説明

表示装置

【課題】従来技術における欠点を取り除くことができる表示装置を提供できないでいた。
【解決手段】本願に係る発明によれば、2D/3D表示において、第1の焦点強度と第2の焦点強度との間において連続的なやり方で切り替えられることができる焦点をもつ切り替え可能なレンチキュラアレイが供給される。この切り替え可能なレンチキュラアレイは、流体の円筒形レンズ部分を有しており、この焦点はエレクトロウェッティングによって制御され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピクセルを有する画像を表示するための表示デバイスを有し、更に、上記ピクセルの異なるタイプの画像間において切り替えるための手段を有する表示装置に関する。このような表示装置の実施例は、例えば、立体画像及び平面画像の双方を表示することができるディスプレイである。表示されるべき画像は、例えば、LCDパネル又はマイクロメカニカルパネルなどの光変調表示デバイスのような種々のタイプの表示デバイスから生じるだけでなく、例えば、(ポリ)LEDパネル、プラズマパネル又はCRTでさえあり得る光生成表示デバイスから生じることも可能である。
【背景技術】
【0002】
3D(three-dimensional,三次元)表示及び2D(two-dimensional,二次元)表示の双方に適しているこのような表示装置のある実施例が、米国特許第6,069,650号明細書に示されている。この米国特許明細書は、3D表示の場合、サブピクチャが左眼及び右眼について生成されるように、ピクセルに対して配置されるレンチキュラ素子のアレイを具えるLCDパネルを示す。上記レンチキュラ素子は、電気光学材料、例えば、その材料の屈折率が第1の値と第2の値との間において切り替え可能である液晶材料で充填されるスペースに置かれる。
【0003】
上記2つの値の1つの値を、レンチキュラ素子の材料の屈折率と実質的に等しくなるように選択することによって、2つのステートのうち1つのステートにおけるレンズ作用が除去されるので、2D画像が示される。他のステートでは、液晶材料が、レンチキュラシートの材料の屈折率とは異なる屈折率を有する。ピクセルを適切に駆動させることによって、この場合、両眼への情報が異なる(3D画像)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(僅かな温度依存性をもつ)適切な液晶材料について、2つのステート間の屈折率の差は、この場合レンチキュラである素子にとって大きな湾曲が必要であるように(0.2のオーダーであり)、そのため、液晶材料の層が厚みの差を有し、それゆえ、不均一な切り替え動作を行う。
【0005】
更に、この液晶材料は異方性である。このことは、 液体を通される光について、普通の屈折率と異常な屈折率との間の屈折率の差は、全ての方向において同じではないことを意味する。従って、表示デバイスの動作(behavior)が、ある視野角について最適化されたならば、この動作は他の視野角については不十分であろう(角度依存性)。
【0006】
本発明の目的は、とりわけ、上記の欠点を可能な限り取り除くことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、異なるタイプの画像間において切り替えるための手段は、異なる屈折率及び異なる導電率をもつ少なくとも2つの実質的に不混和性の流体を含む少なくとも1つのリザーバを有し、この異なるタイプの画像間において切り替えるための手段が、流体間の界面の形状を変化させるための駆動手段も備える。
【0008】
レンズ作用をもつ素子が等方性の媒体を有するために、上記の角度依存性は無視できるほど僅かである。更に、適切な流体と空気との間の屈折率の差は、通常、上記の0.2を上回る(典型的な実施例では約0.48である)ので、より薄い厚みのレンチキュラシートを用いれば充分である。実際には、2つの流体が、好ましくは、実質的に同じ密度をもって一般に使用される。その結果、このアセンブリは重力に影響されないであろう。
【0009】
光透過部は、いかなる(ITO)電極又はコーティングも必要としないので、透過率が高められる。
【0010】
レンチキュラ素子は、正のレンズ及び負レンズの双方を構成することができる。2D表示と3D表示との間を切り替えるために、この表示装置は、一方の流体が導電性であり、他方の流体が実質的に絶縁性である、異なる屈折率をもつ2つの不混和性の流体を有し、界面の形状が、湾曲した表面とフラットな表面との間において切り替え可能である。
【0011】
第1の実施形態では、画像平面の方向で見て、リザーバはほぼ環状の横断面をもつ。しかし、リザーバは、好ましくは、ほぼ矩形又は六角形の横断面をもち、それによって、一層大きな有効表面領域をもたらす。
【0012】
本発明のある側面によれば、ピクセルを有し、画像を表示するための表示デバイスと、上記ピクセルの立体画像と平面画像との間で切り替えるための切り替え手段とを有する表示装置であって、上記切り替え手段が、異なる屈折率及び異なる導電率をもつ少なくとも2つの実質的に不混和性の流体を含む少なくとも1つのリザーバを有し、更に、上記流体間の界面の形状を変化させるための駆動手段を備え、上記少なくとも1つのリザーバが、複数のピクセルに関連付けられ、上記界面の縁が前記リザーバの側面に接する、表示装置が与えられる。
【0013】
本発明のこれら及び他の態様は、本明細書の以下に説明される実施形態から明らかになると共に、これらの実施形態を参照して明瞭に説明されるであろう。
【0014】
図面は概略であり、一律の縮尺に従わずに描かれている。対応する構成要素は、同じ参照符号によって一般に示される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるあるレンチキュラ素子の概略的な断面図である。
【図2】図3のラインII−IIに沿って切った、本発明による表示デバイスの断面図である。
【図3】図2の表示デバイスの平面図である。
【図4】本発明による別のレンチキュラ素子の平面図である。
【図5】図4のラインV−V及びVI−VIに沿って切った断面図である。
【図6】図4のラインV−V及びVI−VIに沿って切った断面図である。
【図7】本発明による他の表示デバイスの平面図である。
【図8】本発明による他の表示デバイスの平面図である。
【図9】典型的な応用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明において用いられる可変焦点距離をもつレンズの原理を示す。図1のレンズは、透明壁6を備えるリザーバ5を有している。この実施形態では、リザーバ5は、上記図面の平面に対して横向きな平面においてほぼ環状の横断面をもつ。この実施形態では、複数のリザーバが、概略的に破線6''によって示されている、1つの基板6'上に設けられている。
【0017】
例えば、ガラス製、但し、好ましくは、合成樹脂材料製のリザーバ5は、一方では、例えば、ヘキサデカン又はシリコンオイルのようなアルカンなどの第1の絶縁流体8で充填され、他方では、水又は食塩水(例えば、水及びエチルアルコールの混合溶液内で溶解される塩化カリウム(KCl))のような極性液体7で充填されるように構成される。
【0018】
本発明では基板6'上に設けられる第1の電極9は、極性液体7の中に突き出ており、第2の電極10は、リザーバの壁内に置かれている。電極10は絶縁層11によって上記液体7から絶縁される。電極9と電極10との間に概略的に示される電圧源12によって、2つの流体7及び8の間のメニスカスの湾曲が影響され得る(エレクトロウェッティング)。使用された電圧に依存して、接触角θがある値を想定する。図1の左側部(状態(a))では、この実施例において接触角θが90度を上回り、流体7及び8の間のメニスカス14が湾曲を上向きに想定するので、リザーバ6と、流体7及び8とを具えるアセンブリは、入射光(矢印13)に対する正のレンズとして機能する。図1の右側部(状態(b))では、この実施例において接触角θが90度を下回り、流体7及び8の間のメニスカス14が湾曲を下向きに想定するので、リザーバ6と、流体7及び8とを具えるアセンブリは、入射光(矢印13)に対する負のレンズとして機能する。
【0019】
絶縁層11は、好ましくは、接触角(θ)が所与の調整電圧において90度であるようなウェッティング特性を有する。流体7及び8の間のメニスカス15は、この場合、フラットである。その場合、レンズ作用が無いので、2D画像が示される。印加された電圧に依存して、所与の負の値と所与の正の値との間で変化し得る焦点をもって、レンズ作用がもたらされ得る。
【0020】
図2は、複数のピクセル3を有する液晶パネル2を備える表示デバイス1の一部の概略的な断面図であり、図3は、この表示デバイス1の一部の平面図である。この表示デバイスは、(フラットな)光源又はバックライト4をもつ通常のやり方で供給される。簡潔に説明するために、ピクセル3及びバックライト4のみが示される。基板、及び他の可能な構成要素、例えば、偏光子又はリタデーションフォイルなどは、図2に示されない。
【0021】
図1の実施形態では、リザーバは、画像平面の方向に見て、ほぼ環状の横断面をもつ。更に、各々のリザーバは、1つのピクセルのみと関連付けられる。この関連付けは、図3の斜線領域16によって示される部分の領域における有効なアパーチャを犠牲にして行われるであろう。従って、リザーバは、好ましくは、複数のピクセルと関連付けられ、図3の矩形17によって概略的に示される、ほぼ矩形(又は六角形)の横断面をもつ。この横断面が、一層大きい有効表面をもたらす。このようなリザーバは、図4乃至図6に概略的に示されており、これらの図の参照符号は、図1の参照符号と同じ構成部品を示す。絶縁層11が、接触角(θ)が0Vの電圧時に90度であるようなウェッティング特性をもつ場合、電極10''(及び図示されないが関連の電圧源)は、省かれることができる。代替例として、ピクセルごとのレンズ作用又はピクセルの集まりごとのレンズ作用を調整することによって、表示デバイス全体にわたってより均一なレンズ動作を得るように、電極10(10',10'')における調整可能な電圧が、各々のリザーバについて使用されてもよい。このレンズ動作は、使用される材料及び表示デバイスの表面のリザーバの位置に依存され得る。可変調整が、他の目的、例えば、見る人の距離に依存する湾曲を適応化するために使用されてもよい。
【0022】
図7は、平面図で見て、リザーバのサイド18が、ピクセルの列の方向19に対して(鋭)角αで延在する実施形態を示す。解像度の損失が、行及び列にわたって広がるので、あまりストライプの無い画像が示される。しかし、依然として相互のクロストークがある。このことは、(複数のピクセルに結合される)リザーバ17の行20と、リザーバ17'の行21とが、互いに対してオフセットされる、図8のデバイスにおいて防止される。
【0023】
最後に、図9は、どのように図1の表示デバイス1が使用され得るかを示す。この図は、リザーバ6の一部をもつパネル2の一部と、ピクセル(又はピクセルの列)A,B,C,Dに関連付けられる典型的な幾つかの光路とを示す。図9Aは、上記に説明された第2のステートの状態に関係しており、この状態では、各々のピクセル(又はピクセルの列)A,B,C,Dの光が、レンチキュラのメニスカスによって反射される(このことは、点線、実線、破線及び一点鎖線によってそれぞれ示される)。レンチキュラ素子のレンズ作用のために、ピクセル(又はピクセルの列)A,B,C,Dの光は、種々の異なる方向に偏向され、見る人22は、左右別々の眼で異なるピクセルからの光を見る(立体画像)。フラットなメニスカスをもつ上記に説明されたステートの状態に関係する図9Bでは、レンズ作用が除去され、見る人は、全てのピクセル(又はピクセルの列)A,B,C,Dを左右それぞれの眼で見る。
【0024】
必要であれば、追加のレンズ作用が、リザーバ5の上側表面に湾曲を設けるか、又は補助レンズによって得られる。
【0025】
本発明は、新規な特徴的事項のそれぞれ皆に、そしてこうした特徴的事項の組み合わせのそれぞれ皆に存するものである。請求項にある参照符号は、それらの保護範囲を限定するものではない。動詞「有する(comprise)」及びその活用形の使用は、請求項に記載されたもの以外の構成要素の存在を排除するものではない。構成要素に先行する単数表現の冠詞「a」又は「an」は、そうした構成要素の複数の存在を排除するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピクセルを有し、画像を表示するための表示デバイスと、前記ピクセルの立体画像と平面画像との間で切り替えるための切り替え手段とを有する表示装置であって、前記切り替え手段が、異なる屈折率及び異なる導電率をもつ少なくとも2つの実質的に不混和性の流体を含む少なくとも1つのリザーバを有し、更に、前記流体間の界面の形状を変化させるための駆動手段を備え、前記少なくとも1つのリザーバが、複数のピクセルに関連付けられ、前記界面の縁が前記リザーバの側面に接する、表示装置。
【請求項2】
一方の流体が導電性であり、他方の流体が実質的に絶縁性である、異なる屈折率をもつ2つの不混和性の流体を有する、請求項1に記載の表示装置であって、前記界面の前記形状が、湾曲した表面とフラットな表面との間において切り替え可能である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
画像平面の方向で見て、ほぼ環状の横断面をもつリザーバを有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記画像平面の方向で見て、ほぼ矩形又は六角形の横断面をもつリザーバを有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ピクセルの行に対して見て、前記リザーバのサイドが、前記ピクセルの行の方向と鋭角を成して延在する、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記リザーバの連続的な行で見ると、前記リザーバが互いにオフセットされる、請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
複数のピクセルについて共通のリザーバを有する、請求項1に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−34085(P2011−34085A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177110(P2010−177110)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【分割の表示】特願2003−570171(P2003−570171)の分割
【原出願日】平成15年2月6日(2003.2.6)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】