説明

表示項目選択装置及び表示項目選択システム

【課題】ユーザが接触操作を行いやすい表示項目選択装置及び表示項目選択システムを提供する。
【解決手段】車両1に搭載され、被接触物が接触する接触センサ100は、第1の方向に並んだ複数の接触検出領域と、前記複数の接触検出領域における、被接触物の接触位置を示す検出信号を生成する検出信号生成手段とを備える。また、車両1に搭載される表示項目選択装置1000は、制御部200と、車載電子機器20とを備える。制御部200は、接触センサ100が生成した検出信号を取得し、この検出信号に基づいて前記被接触物の接触位置を検出する。車載電子機器20の制御装置23は、前記第1の方向と所定の関係にある第2の方向に沿って複数の表示項目を表示部21に表示し、制御部200が検出した接触位置が前記複数の接触検出領域のうちのいずれに属するかに応じて、表示部21が表示した前記複数の表示項目の中の一つの表示項目を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示項目選択装置及び表示項目選択システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ユーザからの接触操作を受け付ける接触センサを車両のステアリングに設け、前記の接触操作に応じて、表示項目が選択される技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−298285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された技術では、例えば、ユーザは車両の運転中に接触センサを見ずに接触操作を行うため、接触操作(つまり、表示項目の選択)を行いづらかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ユーザが接触操作を行いやすい表示項目選択装置及び表示項目選択システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る表示項目選択装置は、
第1の方向に並んだ複数の接触検出領域における、被接触物の接触位置を検出する接触位置検出手段と、
前記第1の方向と所定の関係にある第2の方向に沿って複数の表示項目を表示部に表示し、前記接触位置検出手段が検出した前記接触位置が前記複数の接触検出領域のうちのいずれに属するかに応じて前記表示部が表示した前記複数の表示項目の中の一つの表示項目を選択する表示選択手段と、を備える。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る表示項目選択システムは、
被接触物が接触する接触センサと、表示項目選択装置とを備える、乗り物に搭載される表示項目選択システムであって、
前記接触センサは、
第1の方向に並んだ複数の接触検出領域と、
前記複数の接触検出領域における、被接触物の接触位置を示す検出信号を生成する検出信号生成手段と、を備え、
前記表示項目選択装置は、
前記検出信号生成手段が生成した検出信号を取得し、取得した前記検出信号に基づいて前記被接触物の接触位置を検出する接触位置検出手段と、
前記第1の方向と所定の関係にある第2の方向に沿って複数の表示項目を表示部に表示し、前記接触位置検出手段が検出した前記接触位置が前記複数の接触検出領域のうちのいずれに属するかに応じて前記表示部が表示した前記複数の表示項目の中の一つの表示項目を選択する表示選択手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる表示項目選択装置及び表示項目選択システムによれば、ユーザが接触操作を行いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示項目選択装置を含むシステムの構成図である。
【図2】(a)は、図1の接触センサが搭載されるステアリングの概観図であり、(b)は、図1の車載電子機器の概観図である。
【図3】(a)は、図1の接触センサの表面カバーの正面図であり、(b)は、図1の接触センサの長手方向の側面図であり、(c)は、図1の接触センサの短手方向の側面図である。
【図4】センサシートが有する第1のセンサ列及び第2のセンサ列を説明するための図である。
【図5】(a)は、上スクロール操作を説明するための図であり、(b)は、下スクロール操作を説明するための図である。
【図6】(a)は、上タップ操作を説明するための図であり、(b)は、下タップ操作を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る表示項目選択装置の制御部が実行する操作情報供給処理のフローチャートである。
【図8】表示部に表示される選択タブの具体例を示す図である。
【図9】本発明の変形例に係る接触センサにおける、(a)は、表面カバーの正面図であり、(b)は、長手方向の側面図であり、(c)は、短手方向の側面図である。
【図10】本発明の変形例に係る接触センサにおける、(a)は、表面カバーの正面図であり、(b)は、長手方向の側面図であり、(c)は、短手方向の側面図である。
【図11】本発明の変形例に係る接触センサが搭載されるステアリングの概観図である。
【図12】本発明の変形例に係る、(a)は、右スクロール操作を説明するための図であり、(b)は、左スクロール操作を説明するための図である。
【図13】本発明の変形例に係る、(a)は、右タップ操作を説明するための図であり、(b)は、左タップ操作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る表示項目選択装置及びこれを用いた表示項目選択システムを、図面を参照して説明する。
【0011】
本実施形態に係る表示項目選択装置は、図1に示す、車両1に搭載される表示項目選択装置1000である。車両1のユーザ(通常、運転者)が、指等(被接触物)で、図2(a)に示す接触センサ100に触れて所定の入力操作を行うと、表示項目選択装置1000は、その入力操作に応じた各種動作を車載電子機器20に実行させる。
【0012】
車両1には、接触センサ100と、表示項目選択装置1000と、記憶部300と、が搭載される。表示項目選択装置1000は、車載電子機器20と、制御部200と、を備える。
【0013】
(接触センサ100)
接触センサ100は、図2(a)に示すように、車両1の操舵装置であるステアリング10に組み込まれる。ステアリング10は、図2(a)に示すように、本体部11と、ステアリングホイール12と、を備える。
【0014】
本体部11は、車両1の図示しないステアリングシャフトと接続されるスポーク部であり、その右側に接触センサ100に取り付けられている。本体部11には、接触センサ100の後述する操作面形状にあわせた孔部が形成されている。本体部11に接触センサ100が取り付けられると、接触センサ100の操作面のみがユーザ側に露出する。
【0015】
ステアリングホイール12は、本体部11に取り付けられる、運転者が車両1を操舵する際に握るリング形状の部材である。
【0016】
接触センサ100は、ユーザが、親指等でその操作面に触れて行う操作(以下、接触操作という)を行った際に、制御部200の制御の下、親指等が操作面に触れた位置を検出するタッチパッド装置であり、表面カバー110と、センサシート120と、ケース体(図示せず)と、を備える。
【0017】
表面カバー110は、アクリル樹脂等の絶縁材料からシート状に形成され、ユーザの指等が接触する操作面を有する。接触センサ100が、ステアリング10の本体部11に搭載されると、操作面は、本体部11の表面から隆起する。接触センサ100の搭載態様については後述する。
表面カバー110の操作面は、正面視においては、図3(a)に示すように略円弧状に形成され、側面視においては、図3(b)に示すように凹凸を有して形成されている。このように形成された操作面は、上側操作部(接触検出領域)110a、下側操作部(接触検出領域)110b、溝部110cから構成される。
【0018】
上側操作部110aと下側操作部110bとは、図3(b)に示すように、表面カバー110の平面状の部分である。長手方向中央部に位置する溝部110cを境にして、上側操作部110aは上側に位置し、下側操作部110bは下側に位置する。このようにして、上側操作部110aと下側操作部110bとは、所定の方向に沿って略一列に並んでいる。
【0019】
溝部110cは、図3(b)に示すように、表面カバー110の長手方向中央部に、短手方向に沿って形成された溝状の部分である。溝部110cがこのように形成されているため、ユーザは接触操作を行う際、操作面を目視せずとも、この溝部110cを指先で感じ取ることができる。これにより、溝部110cを基準として、現在、指先が操作面上のどの位置にあるか、を接触感覚で知ることができる。また、溝部110cは、ユーザがこれに触れたことを十分に知覚できるとともに、操作面上をなぞって溝部110cを通過する接触操作を妨げない幅(操作面の長手方向の幅)をもって形成されている。これにより、ユーザは、接触操作においてスムーズな運指が可能である。
【0020】
センサシート120は、指等の被接触物の位置を検出するための複数のセンサ120a(検出電極)を有する投影静電容量方式のセンサシートであり、表面カバー110の背面側に位置する。また、センサシート120は、上側操作部110aと下側操作部110bの各々の領域に対応して設けられている。
【0021】
センサシート120は、図4に示すように、X方向における被接触物の位置を検出するための第1のセンサ列121を有する層と、Y方向における被接触物の位置を検出するための第2のセンサ列122を有する層を重ね合わせて概略構成されている。
第1のセンサ列121と第2のセンサ列122が合わさることにより、結果的に、センサシート120には、センサ120aがマトリックス状に配置されることになる。第1のセンサ列121と第2のセンサ列122は、各々、制御部200と電気的に接続されている。
【0022】
表面カバー110に指等の被接触物が触れると、その裏面側に位置するセンサ120aと被接触物との間の静電容量が変化する。制御部200と各センサ120aとは電気的に接続されているので、制御部200は、各センサにおける静電容量の変化を検出できる。制御部200は、この静電容量の変化に基づいて、被接触物の接触位置を示すタッチ座標(X,Y)を算出する。タッチ座標は、操作面上に予め設定されている、各センサ120aにおけるX−Y座標系における座標値である。
なお、センサシート120に対する表面カバー110の位置関係は、図4に示すセンサシート120のX−Y座標系を基準として考えれば、表面カバー110は、その溝部110cの溝の幅方向がY軸方向と平行となるように位置し、かつ、溝部110cに対して上側操作面110a側が+X方向となるように位置するものとする。
【0023】
タッチ座標は、X方向における静電容量の変化の分布の重心位置(例えば、静電容量が一定の閾値よりも高くかつ最も大きいセンサ120aの位置)に割り当てられているX座標と、Y方向における静電容量の変化の分布の重心位置(例えば、静電容量が一定の閾値よりも高くかつ最も大きいセンサ120aの位置)に割り当てられているY座標と、によって表される。制御部200は、このX座標及びY座標を算出することで、タッチ座標(X,Y)を算出する。
【0024】
ケース体は、硬質樹脂等により形成され、表面カバー110、センサシート120、を収納する接触センサ100の筐体である。
【0025】
以上の構成からなる接触センサ100は、ステアリング10の本体部11の内部に、例えば、下記のように取り付けられる。
i)ステアリング10の本体部11は、その表面側にカバー部(蓋部)を有し、そのカバー部を外した場合に露出する本体部11の内部に、接触センサ100のケース体を取り付けるための取付部が設けられている。
ii)この取付部にネジ等で上記各部(表面カバー110、センサシート120)を収納したケース体が取り付けられることにより、接触センサ100は、ステアリング10の本体部11の内部に設置される。
iii)接触センサ100設置後に、カバー部を被せると、本体部11の表面には前述のように接触センサ100の操作面をユーザ側に露出させる孔部が設けられているため、その孔部から操作面のみが本体部11の外部に露出する(図2(a)参照)。
このように、接触センサ100は本体部11に取り付けられ、その操作面形状のみが、ユーザにより視認されることになる。
【0026】
なお、ステアリング10の本体部11が、上記ケース体の役割をもつ部材を直接有し、このような本体部11に直接、上記各部(表面カバー110、センサシート120)を収納するようにしてもよい。接触センサ100の本体部11への搭載方法は、接触センサ100の製品態様に応じて、適宜、変更できる。
【0027】
(表示項目選択装置1000)
表示項目選択装置1000は、上述のように、制御部200と車載電子機器20とを備える。
【0028】
制御部200は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、後述の記憶部300に格納されている動作プログラムを実行して、各種の処理や制御を行う。制御部200は、その少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の各種専用回路によって構成されてもよい。制御部200は、上記のように、接触センサ100を制御して、タッチ座標を検出し、この検出したタッチ座標に基づいて、後述の操作情報を車載電子機器20に供給する(操作情報供給処理)。
【0029】
車載電子機器20は、図2(b)に示すような車両1用の計器ユニットであり、図1に示すように、表示部21と、速度計22と、制御装置23と、を備える。
【0030】
表示部21は、図2(b)に示すように長方形状をした、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(OEL:Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ、等から構成される。表示部21は、制御装置23の制御の下、2つの選択タブ210(表示項目)を表示する。
【0031】
2つの選択タブ210の各々は、メニュー画面やアイコン等であり、表示部21の右側に、縦方向に並んで表示される。なお、縦方向に並んだ2つの選択タブ210は、表示部21の左側又は中央付近に、縦方向に並んで表示されてもよい。
【0032】
速度計22は、制御装置23の制御の下、車両1の走行速度を示す。なお、ここでは図示しないが、車載電子機器20は、残燃料計等の車両1の走行状態を示す様々な計器を備える。例えば、残燃料計は、制御装置23の制御の下、車両1の残燃料の量を示す。
【0033】
制御装置23は、CPU、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等から構成され、表示部21、速度計22、複数のECU30、制御部200の各々と電気的に接続される。
制御装置23のCPUは、ROM等に格納されている動作プログラムを実行して、車載電子機器20の各動作を制御する。具体的に、制御装置23のCPUは、i)表示部21に選択タブ210を表示させるとともに、制御部200が供給する操作情報に基づいて、選択タブ210の選択、又はスクロール等させたり、ii)複数のECU30のうち所定のECUから車両1の車速値を示すデータを受け取り、速度計22の指針を、その車速値に対応して駆動させたり、等する。
なお、制御装置23のCPUは、その少なくとも一部が、ASIC等の各種専用回路によって構成されてもよい。
【0034】
(記憶部300)
記憶部300は、ROM、RAM、フラッシュメモリ等から構成され、制御部200を構成するCPUのワークエリア、CPUが実行する動作プログラムを記憶するプログラムエリア、データエリア等として機能する。
・プログラムエリアには、後述する操作情報供給処理を実行するためのプログラム、等の動作プログラムが記憶される。
・データエリアには、図示するように、タップ基準範囲B、対応操作データC、等が予め記憶されている。
【0035】
タップ基準範囲Bとは、行われた接触操作がタップ操作であるか否かを判別するためのデータである。制御部200は、被接触物の操作面の接触期間及びこの接触期間内におけるタッチ座標の移動量L(Lについては後述する)がこのタップ基準範囲B内にあれば、接触操作がスクロール操作でないことを条件に、行われた接触操作をタップ操作と判別する。
【0036】
ここで、スクロール操作とは、接触センサの100の操作面を上又は下方向に溝部110cを通過してなぞる操作のことをいい、その方向によって、図5(a)に示す上スクロール操作SC10と、図5(b)に示す下スクロール操作SC20とに区別される。上スクロール操作SC10とは、操作面の下側操作部110bの任意の位置を始点として、溝部110cを通過し、上側操作部110aの任意の位置まで、操作面をなぞる操作をいう。下スクロール操作SC20とは、操作面の上側操作部110aの任意の位置を始点として、溝部110cを通過し、下側操作部110bの任意の位置まで、操作面をなぞる操作をいう。
なお、後述の操作情報供給処理における演算によって、制御部200は、行われた接触操作がスクロール操作であるか否かを判別するためのスクロール基準量(閾値)を算出する。算出されたスクロール基準量は、一時的にデータエリアに記憶される。スクロール基準量については、後に説明する。
【0037】
また、タップ操作とは、接触センサ100の操作面に瞬間的に(タップ基準範囲Bで許容される所定時間及び移動量で)触れる操作のことをいうが、その接触位置によって、図6(a)に示す上タップ操作TP10と、図6(b)に示す下タップ操作TP20とに区別される。上タップ操作TP10とは、上側操作部110aに触れるタップ操作をいう。下タップ操作TP20とは、下側操作部110bに触れるタップ操作をいう。
【0038】
対応操作データCは、車載電子機器20の動作を制御するため、車載電子機器20へ操作情報の少なくとも一部として送信するデータである。対応操作データCは、制御部200が、行われた接触操作を、(1)上スクロール操作SC10と認識した場合に送信する上スクロールデータ、(2)下スクロール操作SC20と認識した場合に送信する下スクロールデータ、(3)上タップ操作TP10と認識した場合に送信する上タップデータ、(4)下タップ操作TP20と認識した場合に送信する下タップデータ、等の複数のデータを含む。上記(1)〜(4)のデータを受信した車載電子機器20がどのような動作を実行するかは、後に述べる。
なお、後述の操作情報供給処理における演算によって、制御部200は、算出された移動量Ly(Lyについては後述する)を示す移動量データを生成する。この移動量データは、一時的にデータエリアに記憶される。
【0039】
なお、記憶部300に格納される各データは、既知のデータ登録手法を用いて、デフォルト値として或いはユーザ自身の操作により適宜格納される。
【0040】
また、制御部200と記憶部300は、車両1の所定の場所に搭載される。例えば、制御部200と記憶部300は、車両1のセンターコンソール内に搭載される。
【0041】
(動作)
以上の構成からなる表示項目選択装置1000は、接触センサ100が受け付けた入力操作に応じて、車載電子機器20の各種動作を制御する。以下、操作情報供給処理について説明する。
【0042】
[操作情報供給処理]
図7のフローチャートに係る処理は、表示項目選択装置1000の制御部200により実行される。この処理は、例えば、車両1のイグニッション・オンにより車載電子機器20の起動されたことを条件に開始される。そして、この処理は、制御部200の動作中において常時行われる。
【0043】
制御部200は、処理を開始すると、接触センサ100において接触操作が行われているか否かを判別する(ステップS101)。接触操作中であるかは、X方向及びY方向において静電容量が前記の一定の閾値よりも高くなっているセンサ120aがあるか否か、によって判別される。このようなセンサ120aがX方向及びY方向において存在する場合、被接触物が操作面に触れている可能性が高い。このような場合、制御部200は、接触操作が行われていると判別し(ステップS101;Yes)、ステップS102の処理を行う。
それ以外の場合、制御部200は、接触操作が行われていないと判別し(ステップS101;No)、ステップS108の処理を行う。
【0044】
なお、制御部200は、図示しないタイマ等によって計時を行う。制御部200は、既に計時を行っており、かつ、ステップS101でNoと判別した場合には、計時を終了する。
また、制御部200は、ステップS101でYesと判別した場合であって、既に計時を行っている場合は計時を続行するが、未だ計時を行っていない場合(すでに計時を終了している場合を含む。)は計時を新たに開始する。
このようにして、制御部200は、最初の接触から接触が解除されるまで、連続的に計時を行うことになる。
【0045】
ステップS102で、制御部200は、前述のようにタッチ座標(X,Y)を算出する。制御部200は、繰り返し到来するステップS102で算出したタッチ座標を時系列順に記憶部300に記録するものとする。制御部200は、タッチ座標(X,Y)を算出したら、ステップS103へ進む。
【0046】
ステップS103で、制御部200は、移動量と移動方向を算出する。移動量と移動方向は、計時開始後最初に算出されたタッチ座標(Xo,Yo)、及びステップS102で算出されたタッチ座標(X,Y)に基づいて算出される。
なお、この最初に算出されたタッチ座標(Xo,Yo)は、接触操作を開始したときの最初の被接触物の位置を表している(以下、このタッチ座標(Xo,Yo)を最初のタッチ座標と呼ぶ)。
【0047】
ここで、移動量は、Lx、Ly、及び、Lである。それぞれ、Lxは最初のタッチ座標(Xo,Yo)から現在のタッチ座標(Xn,Yn)までのX方向の長さXn−Xoの絶対値、Lyは最初のタッチ座標(Xo,Yo)から現在のタッチ座標までのY方向の長さYn−Yoの絶対値、Lは{(Lx)+(Ly)1/2である。
また、移動方向は、Lyの値の正・負を示す量d等である。
制御部200は、移動量と移動方向を算出したら、記憶部300に記録し、ステップS104へ進む。
【0048】
ステップS104で、制御部200は、ステップS103で算出した移動量に基づいて、行われている接触操作がスクロール操作であるか否かを判別する。
スクロール操作であるか否かの判別は、移動量Lyが、最初のタッチ座標(Xo,Yo)から予め記憶部300に設定された溝部110cの位置を示す座標値までのY軸方向の距離(スクロール基準量)を超えたか否かを条件として行われる。Lyがスクロール基準量を超えた場合、接触操作はスクロール操作であると判別される。即ち、ユーザがスクロール操作を行いたい場合には、接触操作で親指等を、溝部110cを超えて通過させる必要がある。
一方、ユーザが、上側操作部110a又は下側操作部110bの領域内のみで接触操作を行った場合、その操作はスクロール操作として判別されないことになる。これにより、ユーザの誤った操作により、車載電子機器20が意図せず動作することを防止することができる。
なお、ステップS104では、行われている接触操作がスクロール操作であるか否かを判別するのみであって、その方向は未だ特定されない。方向の判定は、次に述べるステップS105で行われる。
制御部200は、行われている接触操作がスクロール操作である、と判別した場合(ステップS104;Yes)、ステップS105へ進む。制御部200は、行われている接触操作がスクロール操作でない、と判別した場合(ステップS104;No)、ステップS101に戻る。
【0049】
ステップS105で、制御部200は、ステップS103で算出した移動方向に基づいて、スクロール操作の移動方向を判別する処理を行う。ここでの移動方向の判別は、Lyの値の正・負を示す量dに基づいて行われる。このようにすれば、dが正を示せば、移動方向が上方向と判別でき、dが負を示せば、移動方向が下方向と判別できる。
制御部200は、移動方向が上方向であると判別した場合、即ち、行われた接触操作は上スクロール操作SC10であると認識した場合(ステップS105;上方向)、ステップS106へ進む。
ステップS106で、上スクロール操作SC10を認識した制御部200は、記憶部300から対応操作データCに含まれる上スクロールデータを取得し、この上スクロールデータと、前記移動量Lyを示す移動量データとを操作情報として車載電子機器20(制御装置23)へ供給する。
【0050】
一方、ステップS105で、移動方向が下方向であると判別した場合、即ち、行われた接触操作は下スクロール操作SC20であると認識した場合(ステップS105;下方向)、ステップS107へ進む。
ステップS107で、下スクロール操作SC20を認識した制御部200は、記憶部300から対応操作データCに含まれる下スクロールデータを取得し、この下スクロールデータと、前記移動量Lyを示す移動量データとを車載電子機器20(制御装置23)へ供給する。
【0051】
制御部200は、ステップS106、又は、S107の処理を行うと、ステップS101の処理を行う。このとき、制御部200は、記憶部300に記録している、移動量、タッチ座標、移動方向、スクロール基準量等をリセットする。そして、制御部200は、新たに接触操作を受け付ける。
【0052】
制御部200は、ステップS108で、タップ操作があったかを判別する。制御部200は、直前のステップS101で終了した計時時間tが所定の基準以下の期間(つまり、接触期間が短い場合)であって、かつ、直近のステップS103で算出して記憶部300に記録されている移動量Lが所定の閾値以下である場合(接触移動距離が短い場合)にタップ操作があったと判別し(ステップS108;Yes)、それ以外の場合には、タップ操作がなかったと判別する(ステップS108;No)。前記それ以外の場合とは、計時時間tが計時されていなかった場合、計時の終了が直前のステップS101でなかった場合、移動量Lが記憶部300に記録されていなかった場合を含む。接触期間が短く、接触移動距離が短い接触操作が上側操作部110a又は下側操作部110bで行われた場合、その接触操作は、操作面をなぞる操作ではなく、タップ操作である可能性が高い。制御部200は、ステップS108の処理を行うことで、タップ操作の有無を認識することになる。
また、制御部200は、一度ステップS108の処理を行うと、記憶部300に、移動量、移動方向、スクロール基準量等のデータであって、タッチ座標以外のデータが記録されている場合、それらのデータをリセットする。また、制御部200は、計時時間tが下限値を超え、かつ、前記所定の基準以下の期間であって、移動量Lが前記所定の閾値以下である場合にステップS108でYesと判別してもよい。これによって、偶然に操作面に触れた指について、タップ操作と認識されることを防ぐことができる。
このような計時時間tと移動量Lの閾値のデータが記憶部300にタップ基準範囲Bとして、予め記憶されており、このステップS108で、制御部200は、記憶部300からタップ基準範囲Bを読み出して、行われた接触操作がタップ操作か否かを上記のように判別する。
【0053】
なお、ステップS108では、タップ操作があったか否かを判別するのみであって、接触位置が上側操作部110aの領域内か、下側操作部110bの領域内かは未だ特定されない。接触位置の判別は、次に述べるステップS109で行われる。
制御部200は、行われている接触操作がタップ操作である、と判別した場合(ステップS108;Yes)、ステップS109へ進む。
【0054】
ステップS109で、制御部200は、接触位置が上側操作部110aの領域内か、下側操作部110bの領域内かを判別する。この上側か下側かの判別は、例えば、記憶部300に記録されている最新のタッチ座標(X,Y)が、操作面に予め定められた座標系において、上側操作部110aに対応する座標値の範囲内であるか、下側操作部110bに対応する座標値の範囲内であるか否かを条件として行われる。記憶部300にタッチ座標(X,Y)が、上側操作部110aに対応する座標値の範囲内であれば上側と判別され、下側操作部110aに対応する座標値の範囲内であれば下側と判別されることになる。
【0055】
制御部200は、上側と判別した場合、即ち、行われている接触操作が上タップ操作TP10であると認識した場合(ステップS109;上側)、ステップS110へ進む。
ステップS110で、上タップ操作TP10を認識した制御部200は、記憶部300から対応操作データCに含まれる上タップデータを取得し、取得した上タップデータを車載電子機器20(制御装置23)へ送信する。
【0056】
一方、制御部200は、下側と判別した場合、即ち、行われている接触操作が下タップ操作TP20であると判別した場合(ステップS109;下側)、ステップS111へ進む。
ステップS111で、下タップ操作を認識した制御部200は、記憶部300から対応操作データCに含まれる下タップデータを取得し、取得した下タップデータを車載電子機器20へ送信する。
【0057】
制御部200は、ステップS110、又は、S111の処理を行うと、ステップS101の処理を行う。このとき、制御部200は、記憶部300に記録しているタッチ座標をリセットする。
以上が、操作情報供給処理の手順である。
【0058】
[車載電子機器20側の処理]
以下では、操作情報供給処理における、ステップS106、S107、S110又はS111の処理で制御部200が供給する操作情報を受け取った車載電子機器20側が行う処理について説明する。以下の処理は、制御装置23により実行される。
例えば、車両1のイグニッション・オンにより車載電子機器20が起動されると、制御装置23は、ROM等に格納されている動作プログラムを実行して、表示部21に選択タブ210及びその他の表示画像をROM等から読み出して、表示する。そして、制御部200から操作情報を受け取ると以下のように動作する。
【0059】
制御装置23は、上スクロールデータと移動量Lyを示す移動量データを受け取ると(ステップS106参照)、上スクロールデータのコマンドを受けて、移動量データに応じた移動量で、選択タブ210を、図5(a)に示すように、上方向にスクロールさせる。
【0060】
制御装置23は、下スクロールデータと移動量Lyを示す移動量データを受け取ると(ステップS107参照)、下スクロールデータのコマンドを受けて、移動量データに応じた移動量で、選択タブ210を、図5(b)に示すように、下方向にスクロールさせる。
【0061】
制御装置23は、上タップデータを受け取ると(ステップS110参照)、上タップデータのコマンドを受けて、表示部21の上側に表示している選択タブ210を、図6(a)に示すように、選択して強調表示211にする。
【0062】
制御装置23は、下タップデータを受け取ると(ステップS111参照)、下タップデータのコマンドを受けて、表示部21の下側に表示している選択タブ210を、図6(b)に示すように、選択して強調表示211にする。
【0063】
ここで、強調表示211とは、選択タブ210全体の色が濃くなる表示、選択タブ210を囲む枠線が太くなる表示、選択タブ210内に表示された文字が変形する(文字の書体が変わる、文字が太くなる若しくは白ヌキになる)表示、選択タブ210内に新たな意匠が現れる表示等、ユーザが、選択タブ210によって、その選択タブ210が選択されたこと、又はこれから選択タブ210が示唆する所定の動作がこれから実行されることを十分に認識することができる表示をいう。
また、ここでいう、選択タブ210の「選択」とは、制御装置23が選択タブ210を単に強調表示211にする動作を示すことは勿論のこと、制御装置23が選択タブ210によって示唆される所定の動作を実行すること、制御装置23が選択タブ210によって示唆される所定の項目をその所定の項目の下位の階層を示す複数の項目に展開する(下位の階層の項目を示す選択タブ210を表示する)こと等、を含む概念である。
以下では、制御装置23が、選択タブ210を選択してどのような動作を実行するかの具体例の一例を示す。
【0064】
(選択タブ210の具体例)
図8(a)に示すように、複数の選択タブ210の各々には、「エアコン」、「オーディオ」、「ナビ(カーナビゲーション)」、「設定(車載電子機器20の動作環境設定)」、等の項目が割り当てられている。
なお、図8(a)及び(b)において、点線で示した選択タブ210は、現在、表示部21に表示されている選択タブ210ではなく、ユーザが上スクロール操作SC10又は下スクロール操作SC20を行うことにより、選択タブ210がスクロール移動してはじめて表示部21に表示される選択タブ210を概念的に表したものである。図8(a)で説明すれば、現在、ユーザに実際に視認される選択タブ210は、「オーディオ」を示すものと「ナビ」を示すものの2つ、ということになる。
【0065】
1)初期画面で「オーディオ」と「ナビ」を示す2つの選択タブ210が表示されている、又は、ユーザが上スクロール操作SC10又は下スクロール操作SC20を行うことにより現在「オーディオ」と「ナビ」を示す2つの選択タブ210が表示されている状態で、ユーザが上タップ操作TP10を行うと、制御部200は、上タップデータを車載電子機器20(制御装置23)に供給する。
2)上タップデータを受け取った制御装置23は、表示部21の上側にある「オーディオ」を示す選択タブ210を選択し、強調表示211にする。
3)強調表示211となった「オーディオ」を示す項目は、所定の期間(例えば、0.5〜1秒程度)、強調表示211を継続した後に、「オーディオ」を示す項目の下位の階層を示す複数の項目(ここでは、一例として、制御装置23のフラッシュメモリ等に格納されている曲目のリストを示す項目)に展開する。
4)この展開により、制御装置23は、図8(b)に示すように、「Song_01」と「Song_02」を示す2つの選択タブ210を表示部21に表示する。
5)図8(b)に示す状態で、ユーザが上タップ操作TP10を行うと、表示部21の上側に表示された「Song_01」を示す選択タブ210が強調表示211となり、「Song_01」が示す曲目が車両1の図示しないオーディオ装置により再生される。このとき、強調表示211を前記所定の期間が経過しても継続し続けることで、「Song_01」が現在再生中であることをユーザにわからせるようにしてもよいし、前記所定の期間の経過後に強調表示211はなくなり、図示しない「オーディオ音量設定」、「イコライザ設定」、等を示す選択タブ210にさらに展開させてもよい。一方、図8(b)に示す状態で、ユーザが下タップ操作TP20を行えば、表示部21の下側に表示された「Song_02」を示す選択タブ210が強調表示211となり、「Song_02」が示す曲目が車両1の図示しないオーディオ装置により再生されることになる。
【0066】
以上で説明したように、本実施形態に係る表示項目選択装置1000は、第1の方向に並んだ複数の接触検出領域(本実施形態では上側操作部110aと下側操作部110bの2つの領域)における、被接触物の接触位置(タッチ座標)を検出する接触位置検出手段(制御部200)と、前記第1の方向と所定の関係にある第2の方向に沿って複数の表示項目(本実施形態では2つの選択タブ210)を表示部21に表示し、前記接触位置検出手段が検出した前記接触位置が前記複数の接触検出領域のうちのいずれに属するかに応じて前記表示部が表示した前記複数の表示項目の中の一つの表示項目を選択する表示選択手段(制御部200、制御装置23)と、を備える。このように、ユーザの接触操作を受け付ける操作面の上側操作部110aと下側操作部110bの配置と、制御装置21が表示部21に表示する縦方向に並ぶ2つの選択タブ210の配置に、対応関係をもたせることにより、ユーザの意識において操作面上に触れた位置と選択タブ210の位置とがリンクする。これにより、ユーザは、感覚的に、容易に、接触操作を行うことができる。
なお、ここでいう第1の方向とは、ステアリング12を標準の状態(舵角が0°の状態)にしたときの操作面の、複数の操作部が並ぶ方向をいう。
また、所定の関係とは、第1の方向と第2の方向が略平行であるのは勿論のこと、ユーザが、意識において操作面上に触れた位置と選択タブ210の位置とをリンクさせることができる関係をいう。例えば、ステアリング12を少し切った場合(例えば、舵角が5°や10°の状態)においては、操作面の長手方向と、選択タブ210の並んだ方向は斜めになってしまうが、この程度であれば、ユーザは、十分に、意識において操作面上に触れた位置と選択タブ210の位置とをリンクさせることができるため、第1の方向と第2の方向は、所定の関係にあるということができる。
【0067】
また、前記表示選択手段(制御部200、制御装置23)は、前記接触位置検出手段(制御部200)が検出した前記接触位置(タッチ座標)の移動に応じて、前記複数の表示項目(選択タブ210)をスクロールさせる。このように、ユーザのスクロール操作(SC10又はSC20)に応じて、制御装置23は、選択タブ210をスクロール移動させることができるため、ユーザは、自己が行った操作感覚に近い感覚をもって選択タブ210をスクロール移動させることができる。よって、本実施形態に係る表示項目選択装置1000によれば、ユーザフレンドリである。
さらに、前記接触位置の移動は、前記複数の接触検出領域(本実施形態では上側操作部110aと下側操作部110bの2つの領域)のうちの少なくとも一部の複数の接触検出領域に渡る移動である。即ち、上側操作部110a又は下側操作部110bのいずれか一方の領域内のみで行った接触操作は、制御部200によって、スクロール操作と判別されない。このように、ユーザが誤って、接触センサ100の操作面に触れた場合であっても、スクロール操作とは判別されないため、ユーザの誤操作を防止することができる。
【0068】
また、前記表示選択手段(制御部200、制御装置23)は、前記接触位置検出手段(制御部200)が同じ接触検出領域(上側操作部110a又は下側操作部110bの領域内)において所定の期間内で前記接触位置(タッチ座標)を検出した場合に、前記接触位置が検出された接触検出領域に対応する前記表示項目(選択タブ210)を選択する。このように、ユーザがタップ操作を行う際においても、意識において操作面上に触れた位置と選択タブ210の位置とがリンクするため、接触操作が容易である。
【0069】
また、前記接触検出領域(上側操作部110aと下側操作部110bの2つの領域)の数と、前記表示項目(2つの選択タブ210)の数と、は同じであるため、ユーザは接触操作を、より感覚的に、容易に、行うことができる。
【0070】
また、前記複数の接触検出領域(上側操作部110aと下側操作部110b)は、乗り物(車両1)に搭載される接触センサ100が有する操作部(操作面)の一部であり、前記操作部(操作面)は、正面視において円弧形状に形成されている。このように操作面が形成されることにより、ユーザが、接触操作において主に親指で運指を行う際の、自然な動きを妨げない。よって、接触操作が容易である。
さらに、前記乗り物は、リング形状のステアリングホイール12を有するステアリング10を備え、接触センサ100は、操作部(操作面)の前記円弧形状における円弧の凹みとステアリングホイール12のリング形状の一部における円弧の凹みとが、ステアリングホイール12近傍において、互いに向き合うようにステアリング10に搭載されている。このように、接触センサ100が配置される(一例として、図2(a)に示す位置関係)と、ユーザがステアリングホイール12を把持した際に、想定される親指の付け根を支点とした円弧状の運指に応じて、操作面が配置されることになり、ユーザは、接触操作をなめらかに行うことができる。
【0071】
また、前記複数の接触検出領域は、前記操作部に形成された溝部110cによって区分されている。溝部110cがこのように形成されているため、ユーザは、溝部110cを基準として、今、指が触れている部分が、上側操作部110aなのか下側操作部110bなのかを感覚的に把握することができ、接触操作が容易である。
【0072】
また、表示部21は、乗り物(車両1)に搭載され、前記乗り物の運行情報を示す計器装置(車載電子機器20)に設けられている。このため、ユーザは、車両1の走行中において前方からほとんど目を反らさず、車載電子機器20の表示部21のみを目視して、接触操作を行うことができる。これにより、ユーザに、安全な操作環境を提供することができる。
【0073】
(変形例)
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。以下に変形の例を示す。
【0074】
接触センサ100が有する表面カバー110の形状は、以上の実施形態に係る形状に限られない。接触センサ100は、図9(a)〜(c)や図10(a)〜(c)に示すような表面カバーを有していてもよい。
【0075】
図9に示す変形例における表面カバー2110は、上で述べた溝部110cが位置する箇所に、溝部110cの代わりに、上側操作部110aと下側操作部110bの表面から隆起する隆起部2110cを有する(図9(b)参照)。このような場合の上スクロール操作SC10及び下スクロール操作SC20は、この隆起部2110cを通過することが条件となる。
【0076】
図10に示す変形例における表面カバー3110では、上側操作部3110aと下側操作部3110bが分離するように配置されている(これらを併せたものも操作部の一例である。)。また、この変形例においては、溝部110cに対応する部分が、ステアリング10の本体部11の表面部となっている(図10(a)(b)参照)。このような場合の上スクロール操作SC10及び下スクロール操作SC20は、この露出した表面部を通過することが条件となる。
なお、上側操作部3110aと下側操作部3110bは、本体部11の表面部から上又は下側方向に向かってなめらかに傾斜する形状であるため、ユーザの接触操作(特に、スクロール操作)における運指を妨げない。また、図9及び図10に示す変形例に係る操作面も、正面視において、略円弧状に形成されている。
【0077】
接触操作センサ100が、上記のような変形例に係る表面カバーを有していても、前述した実施形態と同様に、ユーザは接触操作を行い易い。また、車載電子機器20の表示部21のみを目視すれば適格な接触操作を行うことができるため、車両1の運転中においても、快適かつ安全に接触操作を行うことができる。
【0078】
以上の実施形態において、ステアリング10に搭載された接触センサ100は、図2(a)に示すように、その操作面の長手方向が略縦方向に沿うように配置されたが、これに限られない。
図11に示すように、接触センサ100の操作面の長手方向が略横方向に沿うように配置されてもよい。
そして、このように接触センサ100が搭載された場合、表示部21が表示する2つの選択タブ210も図12及び図13に示すように、横方向に並んで配置するようにすればよい。なお、図12及び13においては、横方向に並んだ2つの選択タブ210は表示部21の上側に位置しているが、表示部21の下側又は中央付近に位置していてもよい。
つまり、操作面の形状の長手方向と選択タブ210の配列方向が対応し、かつ、操作面が溝部110cによって区分される領域の数と選択タブ210の数が対応する関係を有するように、表示項目選択装置1000を含むシステムを構成すれば、ユーザの意識において操作面上に触れた位置と選択タブ210の位置とがリンクすることになり、ユーザは、感覚的に、容易に、接触操作を行うことができることになる。
従って、上記対応関係さえ満たせば、接触センサ100の操作面が斜めに配置され、それとともに、表示部21が表示する選択タブ210も斜めに並べて配置されてもよい。また、操作面の円弧状の形状とより感覚的にリンクさせるために、表示される選択タブ210の形状が操作面と略相似した形状で配置されてもよい。
さらに、操作面に溝部110cを複数設けることにより、その設けられた溝部110cの数よりも1つ多く設けられる領域の数と同じ数の選択タブ210を表示部21に表示させてもよい。このようにすれば、ユーザが表示部21を見て、一度に選択できる選択タブ210の数を増やすことができ、ユーザが行うことのできる操作の選択肢を広げることができる。
【0079】
ここで、図11〜13に示す接触センサ100の配置、及び、それに伴う選択タブ210の配置の変形例における、操作面、及び、入力操作について述べる。
【0080】
表面カバー110が有する操作面は、図12及び13に示すように、右側操作部110d、左側操作部110e、溝部110cから構成される。長手方向中央部に位置する溝部110cを境にして、右側操作部110dは右側に位置し、左側操作部110eは左側に位置する。
【0081】
ここでの、スクロール操作は、接触センサ100の操作面を右又は左方向になぞる操作のことをいい、その方向によって、図12(a)に示す右スクロール操作SC30と、図12(b)に示す左スクロール操作SC40とに区別される。右スクロール操作SC30とは、操作面の左側操作部110eの任意の位置を始点として、溝部110cを通過し、右側操作部110dの任意の位置まで、操作面をなぞる操作をいう。左スクロール操作SC40とは、操作面の右側操作部110dの任意の位置を始点として、溝部110cを通過し、左側操作部110eの任意の位置まで、操作面をなぞる操作をいう。
また、タップ操作は、その接触位置によって、図13(a)に示す右タップ操作TP30と、図13(b)に示す左タップ操作TP40とに区別される。右側タップ操作TP30とは、右側操作部110dに触れるタップ操作をいう。左側タップ操作TP40とは、左側操作部110eに触れるタップ操作をいう。
図11〜13で示した変形例における操作情報供給処理は、前述の操作情報供給処理における、上側操作部110aを右側操作部110dに、下側操作部110bを左側操作部110eに、上スクロール操作SC10を右スクロール操作SC30に、下スクロール操作SC20を左スクロール操作SC40に、上タップ操作TP10を右タップ操作TP30に、下タップ操作TP20を左タップ操作TP40に、それぞれ対応させれば、前述の操作情報供給処理と同様に実現できる。
【0082】
上記実施形態の操作情報供給処理においては、スクロール操作を判別するための条件として、移動量Lyが、最初のタッチ座標(Xo,Yo)から溝部110cまでのY軸方向の距離(スクロール基準量)を超えたか否かという条件、即ち、上側操作部110aから下側操作部110bへ又はその逆方向へ、溝部110cを通過して操作面をなぞるという条件を課したが、これに限られない。
スクロール基準量を、最初のタッチ座標(Xo,Yo)から溝部110cまでのY軸方向の距離よりも小さい量に設定することで、溝部110cを通過することを条件として課さずに、上又は下方向に所定の距離移動することを条件として、制御部200にスクロール操作を判別させてもよい。このようにしても、ユーザは溝部110cを基準として接触操作を行うことができ、行われた接触操作はスクロール操作であると判別されることができるため、ユーザにとって接触操作が行い易いことに変わりはない。
【0083】
また、制御部200が行われた接触操作を認識するために、用いられる認識手法は、以上の実施形態におけるものに限られない。例えば、
i)記憶部300に、タッチ座標、移動量、移動方向等の複数のパラメータの組合せからなる複数のパターンであって、受け付けるスクロール操作及びタップ操作によって描かれると想定される軌跡(点も含む)の特徴を示す複数のパターンを予め記憶させる。
ii)この記憶された複数のパターンと、制御部200が算出したタッチ座標等の複数のパラメータの組合せとを、NN法(Nearest Neighbor algorithm)、k-NN法(k-Nearest Neighbor algorithm)等のパターン認識法により比較する。
という手順により、制御部200に、接触操作を認識させてもよい。このようにすれば、操作面上で行われる、より多彩な接触操作(例えば、スクロール操作において、上方向への移動から急に下方向の移動に転じる操作や、素早く上又は下方向に連続して動かす操作)を認識させることができ、それに応じて車載電子機器20に実行させる動作のバリエーションを増やすことができる。
【0084】
また、制御部200及び記憶部300は、それぞれ独立せずに、車載電子機器20の制御装置23又はECU30のいずれかの回路と共通化され、一体化されることで、操作情報供給処理を行ってもよい。
【0085】
以上の実施形態において、車載電子機器20は計器ユニットとし、これが備える表示部21が選択タブ210等の表示画像を表示したがこれに限られない。
車両1が図示しないHUD(Head-Up Display)装置を備え、このHUD装置によって、車両1のウィンドシールドに、選択タブ210等の表示画像を投影させてもよい。
つまり、ユーザが車両1の走行方向から視線を反らさずに、選択タブ210等の表示画像を視認できれば、表示画像を表示する装置、表示画像の表示方法は任意である。
【0086】
また、以上の実施形態においてセンサシート120は、投影静電容量方式であるとしたが、これに限られない。表面静電容量方式であってもよいし、抵抗膜方式等の静電容量方式以外のものであってもよい。
【0087】
また、以上の実施形態においては、ステアリング10に接触センサ100を1つのみ設けたがこれに限られない。接触センサ100は、ステアリング10に複数配置されてもよい。例えば、ステアリング10の本体部11の、ユーザがステアリング10を把持しながら左手親指で操作できる位置に接触センサ100をもう1つ設けることで、ステアリング10に計2つの接触センサ100を配置してもよい。また、このように設けられた2つの接触センサ100の背面(本体部11の背面側)に、両手の人差し指で操作できるようにさらに2つの接触センサ100を設け、ステアリング10に計4つの接触センサ100を配置してもよい。
【0088】
また、以上の実施形態においては、接触センサ100はステアリング10の本体部11に配置されたが、これに限られない。ユーザが車両1を運転しながら、操作しやすい位置であれば、接触センサ100の配置は任意である。例えば、接触センサ100をステアリングホイール12に配置してもよいし、車両1のセンターコンソールに配置してもよい。
ここで、センターコンソールとは、車両1の内装の部位を示し、運転席と助手席を隔てる部分のみならず、ダッシュボードも含む。例えば、センターコンソールのうち、運転席と助手席を隔てる部分に接触センサ100を配置する例としては、シフトレバーに接触センサ100を配置する例が考えられる。また、車両1のパワーウインドスイッチ付近に配置してもよい。
【0089】
また、以上の実施形態における強調表示211に併せて、制御装置23は、ブザー音等を車両1内のオーディオ装置等から再生させることで、選択を受け付けたことを、ユーザに報知させてもよい。
【0090】
また、以上の実施形態では、表示項目選択装置1000と接触センサ100が搭載される乗り物の一例を車両としたが、これに限られない。船舶、航空機等に搭載することも可能である。
【0091】
なお、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1…車両
10…ステアリング
11…本体部
100…接触センサ
110…表面カバー
110a…上側操作部、110b…下側操作部、110c…溝部
120…センサシート
120a…センサ、121…第1のセンサ列、122…第2のセンサ列
12…ステアリングホイール

1000…表示項目選択装置
200…制御部
20…車載電子機器
21…表示部
210…選択タブ、211…強調表示
22…速度計
23…制御装置
30…ECU

300…記憶部
B…タップ基準範囲、C…対応操作データ

SC10…上スクロール操作、SC20…下スクロール操作
TP10…上タップ操作、TP20…下タップ操作

110d…右側操作部、110e…左側操作部
SC30…右スクロール操作、SC40…左スクロール操作
TP30…右タップ操作、TP40…左タップ操作

2110…表面カバー、2110c…隆起部
3110…表面カバー、3110a…上側操作部、3110b…下側操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に並んだ複数の接触検出領域における、被接触物の接触位置を検出する接触位置検出手段と、
前記第1の方向と所定の関係にある第2の方向に沿って複数の表示項目を表示部に表示し、前記接触位置検出手段が検出した前記接触位置が前記複数の接触検出領域のうちのいずれに属するかに応じて前記表示部が表示した前記複数の表示項目の中の一つの表示項目を選択する表示選択手段と、
を備えることを特徴とする表示項目選択装置。
【請求項2】
前記表示選択手段は、前記接触位置検出手段が検出した前記接触位置の移動に応じて、前記複数の表示項目をスクロールさせる、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示項目選択装置。
【請求項3】
前記接触位置の移動は、前記複数の接触検出領域のうちの少なくとも一部の複数の接触検出領域に渡る移動である、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示項目選択装置。
【請求項4】
前記表示選択手段は、前記接触位置検出手段が同じ接触検出領域において所定の期間内で前記接触位置を検出した場合に、前記接触位置が検出された接触検出領域に対応する前記表示項目を選択する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示項目選択装置。
【請求項5】
前記接触検出領域の数と、前記表示項目の数と、は同じである、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示項目選択装置。
【請求項6】
前記複数の接触検出領域は、乗り物に搭載される接触センサが有する操作部の一部であり、
前記操作部は、正面視において円弧形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示項目選択装置。
【請求項7】
前記乗り物は、リング形状のステアリングホイールを有するステアリングを備え、
前記接触センサは、前記操作部の前記円弧形状における円弧の凹みと前記ステアリングホイールの前記リング形状の一部における円弧の凹みとが、前記ステアリングホイール近傍において、互いに向き合うように前記ステアリングに搭載される、
ことを特徴とする請求項6に記載の表示項目選択装置。
【請求項8】
前記複数の接触検出領域は、前記操作部に形成された溝部によって区分されている、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の表示項目選択装置。
【請求項9】
前記表示部は、乗り物に搭載され、前記乗り物の運行情報を示す計器装置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の表示項目選択装置。
【請求項10】
被接触物が接触する接触センサと、表示項目選択装置とを備える、乗り物に搭載される表示項目選択システムであって、
前記接触センサは、
第1の方向に並んだ複数の接触検出領域と、
前記複数の接触検出領域における、被接触物の接触位置を示す検出信号を生成する検出信号生成手段と、を備え、
前記表示項目選択装置は、
前記検出信号生成手段が生成した検出信号を取得し、取得した前記検出信号に基づいて前記被接触物の接触位置を検出する接触位置検出手段と、
前記第1の方向と所定の関係にある第2の方向に沿って複数の表示項目を表示部に表示し、前記接触位置検出手段が検出した前記接触位置が前記複数の接触検出領域のうちのいずれに属するかに応じて前記表示部が表示した前記複数の表示項目の中の一つの表示項目を選択する表示選択手段と、を備える、
ことを特徴とする表示項目選択システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−78988(P2012−78988A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222223(P2010−222223)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】