説明

表示/操作パネルの高さおよび傾斜調整装置

【課題】パネルの傾きだけでなく、パネルの高さも同時に調整することができ、また、確実かつ高精度に調整することができる表示/操作パネルの高さおよび傾斜調整装置を提供する。
【解決手段】機器本体に取り付けられる取付部材Nに枢着軸Sを介して回動自在に取り付けられる調整装置Rが、パネル取付ブラケット1と、取付部材Nに枢着軸Sを介して回動自在に取り付けられる回動フレーム2と、回動フレーム2を回動せしめる第1駆動手段と、パネル取付ブラケット1を回動せしめる第2駆動手段から構成され、さらに、第1駆動手段が、第1駆動モーター5と、第1減速歯車列と、枢着軸Sと同一軸上に配列されると共に取付部材Nに一体に固定される枢着軸側作動軸から構成されると共に、第2駆動手段が、第2駆動モーター7と、第2減速歯車列と、パネル取付ブラケット1を取付固定するパネル側作動軸から構成される傾斜調整装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンターなどのOA機器や、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品に設けられるモニターパネルや操作パネルなどのパネルの高さや傾きを制御する表示/操作パネルの高さおよび傾斜調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、上記パネルは、操作者が見易く操作し易い高さや傾きに調整する必要がある。従来、OA機器のパネルの傾きを任意に調整するようにした技術が知られている。
しかしながら、上記従来のOA機器には、パネルの傾きだけでなく、パネルの高さも同時に調整することができる技術はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−337506
【特許文献2】特開2007−41507
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、パネルの傾きだけでなく、パネルの高さも同時に調整することができ、また、確実かつ高精度に調整することができる表示/操作パネルの高さおよび傾斜調整装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の表示/操作パネルの高さおよび傾斜調整装置は、複写機、プリンターなどの機器本体に取り付けられる取付部材と、該取付部材に枢着軸を介して回動自在に取り付けられる調整装置と、該調整装置のパネル取付ブラケットに取り付け固定される表示/操作パネルから成る表示/操作パネルの高さおよび傾斜調整装置において、上記調整装置が、上記パネル取付ブラケットと、上記取付部材に枢着軸を介して回動自在に取り付けられる回動フレームと、該回動フレームを回動せしめる第1駆動手段と、上記パネル取付ブラケットを回動せしめる第2駆動手段から構成され、さらに、上記第1駆動手段が、第1駆動モーターと、第1減速歯車列と、上記枢着軸と同一軸上に配列されると共に上記取付部材に一体に固定される枢着軸側作動軸から構成されると共に、上記第2駆動手段が、第2駆動モーターと、第2減速歯車列と、パネル取付ブラケットを取付固定するパネル側作動軸から構成されることを特徴とする。また、上記第1減速歯車列が、上記第1駆動モーターの出力軸に設けたねじ歯車と噛み合うはす歯歯車と、該はす歯歯車と一体となった小歯車と噛み合う大歯車を有する第一歯車と、該第一歯車の小歯車と噛み合う大歯車を有する第二歯車と、該第二歯車の小歯車と噛み合う大歯車を有する第三歯車と、該第三歯車の小歯車と噛み合う大歯車を有する第四歯車と、該第四歯車の傘歯車と噛み合う傘歯車から構成されることを特徴とする。さらに、上記第2減速歯車列が、上記第2駆動モーターの出力軸に設けたねじ歯車と噛み合うはす歯歯車と、該はす歯歯車と一体となった小歯車と噛み合う大歯車を有する第一歯車と、該第一歯車の小歯車と噛み合う大歯車を有する第二歯車と、該第二歯車の小歯車と噛み合う大歯車を有する第三歯車と、該第三歯車の小歯車と噛み合う大歯車を有する第四歯車と、該第四歯車の傘歯車と噛み合う傘歯車から構成されることを特徴とする。又更に、上記第1減速歯車列および/または第2減速歯車列の各歯車の内のいずれかの歯車が、その支持軸に対して自由に回転でき且つ皿バネ等の弾発部材により弾性的に挟持された状態で取り付けられ、該歯車にかかる負荷トルクが一定量を超えるとスリップして空回りするように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の表示/操作パネルの高さおよび傾斜調整装置は、パネルの傾きだけでなく、パネルの高さも同時に調整することができ、また、確実かつ高精度に調整することができる。さらに、表示/操作パネルの高さおよび傾斜を、それぞれ独立して作動せしめることができるので、表示/操作パネルを任意の高さにおける任意の傾斜角度に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の表示/操作パネルの高さおよび傾斜調整装置をOA機器の本体に設けた一実施例の説明図である。
【図2】図1の要部の詳細斜視図である。
【図3】図2の調整装置の駆動機構の説明斜視図である。
【図4】パネルの高さ調整の作動説明図である。
【図5】低い位置のパネルの傾斜調整の作動説明図である。
【図6】高い位置のパネルの傾斜調整の作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の表示/操作パネルの高さおよび傾斜調整装置の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0009】
図1において、Mは、複写機、プリンターなどの機器本体、Pはパネルである。該機器本体Mの適宜箇所には、取付部材Nが取付固定されていると共に、該取付部材Nには、枢着軸Sを介して調整装置Rが回動自在に取り付けられている。上記パネルPは、前記調整装置Rのパネル取付ブラケット1に取付固定されている。
【0010】
図2は上記取付部材N、枢着軸Sおよび調整装置Rを示すもので、さらに詳細には、上記調整装置Rは、主として、上記パネル取付ブラケット1と、回動フレーム2と、第1駆動手段3と、第2駆動手段4から構成されている。
【0011】
上記回動フレーム2は、その基端部が上記枢着軸Sに取付固定されていると共に、その先端部には、上記パネル取付ブラケット1が回転自在に取り付けられている。
【0012】
上記第1駆動手段3は、上記調整装置Rを上記枢着軸Sの周りに上下に回動せしめることを目的とするもので、図3から明らかなように、主として、第1駆動モーター5と、第1減速歯車列6と、上記枢着軸Sと同一軸上に配列されると共に上記取付部材Nに一体に固定される枢着軸側作動軸S′から構成されている。さらに、該第1減速歯車列6は、上記第1駆動モーター5の出力軸に設けたねじ歯車5aと噛み合うはす歯歯車6aと、該はす歯歯車6aと一体となった小歯車と噛み合う大歯車を有する第一歯車6bと、該第一歯車6bの小歯車と噛み合う大歯車を有する第二歯車6cと、該第二歯車6cの小歯車と噛み合う大歯車を有する第三歯車6dと、該第三歯車6dの小歯車と噛み合う大歯車を有する第四歯車6eと、該第四歯車6eの傘歯車と噛み合う傘歯車6fから構成される。該傘歯車6fには、上記枢着軸Sと同一軸上に配列されると共に上記取付部材Nに一体に固定される枢着軸側作動軸S′が一体的に設けられている。
【0013】
上記第2駆動手段4は、上記パネルPを取付固定する上記パネル取付ブラケット1を傾動自在に回動せしめることを目的とするもので、図3から明らかなように、主として、第2駆動モーター7と、第2減速歯車列8から構成されている。さらに、該第2減速歯車列8は、上記第2駆動モーター7の出力軸に設けたねじ歯車7aと噛み合うはす歯歯車8aと、該はす歯歯車8aと一体となった小歯車と噛み合う大歯車を有する第一歯車8bと、該第一歯車8bの小歯車と噛み合う大歯車を有する第二歯車8cと、該第二歯車8cの小歯車と噛み合う大歯車を有する第三歯車8dと、該第三歯車8dの小歯車と噛み合う大歯車を有する第四歯車8eと、該第四歯車8eと一体となった傘歯車と噛み合う傘歯車8fから構成される。該傘歯車8fには、上記パネル取付ブラケット1を取付固定するパネル側作動軸9が一体的に設けられている。
【0014】
なお、上記第1および2減速歯車列6,8の各歯車の内のいずれかの歯車は、その支持軸に対して自由に回転でき且つ皿バネ等弾発部材により弾性的に挟持された状態で取り付けられ、該歯車にかかる負荷トルクが一定量を超えるとスリップして空回りし、過負荷に対する安全機能が働くようになっている。安全機能はこれに限定するのもではない。
【0015】
上記実施例の表示/操作パネルの高さおよび傾斜調整装置は、以上のように構成されているので、図4に示すように、上記パネルPを機器本体Mに対して高さ調整する場合には、上記第1駆動手段3の第1駆動モーター5を稼働させ、その回転数を上記第1減速歯車列6を介して大幅に減速すると共に回転トルクを増幅させて、上記枢着軸側作動軸S′を回転させる。該枢着軸側作動軸S′は上記取付部材Nに一体に固定されており、また、該取付部材Nには上記回動フレーム2が回動自在に取り付けられているので、枢着軸側作動軸S′が回転すると、その反作用で回動フレーム2が枢着軸Sを中心に上下に揺動する。その結果、回動フレーム2の先端部のパネル取付ブラケット1に取り付けられているパネルPの高さが上下に移動する。
【0016】
また、図5に示すように、回動フレーム2の先端部のパネルPが下がった状態で、その傾きを調整する場合には、上記第2駆動手段4の第2駆動モーター7を稼働させ、その回転数を上記第2減速歯車列8を介して大幅に減速すると共に回転トルクを増幅させて、上記パネル取付ブラケット1を回転させ、これに取り付けたパネルPの傾きを変える。
【0017】
さらに、図6に示すように、上記第1駆動手段3により上方に移動させられたパネルPの傾斜を調整する場合には、上述のように、第2駆動手段4により行えばよい。
【0018】
上述のように、パネルPの高さ調整は、上記第1駆動手段3により、また、パネルPの傾斜調整は、第2駆動手段4により、それぞれ独立して行うようになっているので、パネルPの位置が最下部にある図5の状態から、最後部にある図6の状態の間で、その位置と傾斜を自由に選択して、パネルPを最適の高さと傾斜状態で操作することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 パネル取付ブラケット
2 回動フレーム
3 第1駆動手段
4 第2駆動手段
5 第1駆動モーター
5a ねじ歯車
6 第1減速歯車列
6a はす歯歯車
6b 第一歯車
6c 第二歯車
6d 第三歯車
6e 第四歯車
6f 傘歯車
7 第2駆動モーター
7a ねじ歯車
8 第2減速歯車列
8a はす歯歯車
8b 第一歯車
8c 第二歯車
8d 第三歯車
8e 第四歯車
8f 傘歯車
9 パネル側作動軸
M 機器本体
N 取付部材
P パネル
R 調整装置
S 枢着軸
S′ 枢着軸側作動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複写機、プリンターなどの機器本体に取り付けられる取付部材と、該取付部材に枢着軸を介して回動自在に取り付けられる調整装置と、該調整装置のパネル取付ブラケットに取り付け固定される表示/操作パネルから成る表示/操作パネルの高さおよび傾斜調整装置において、上記調整装置が、上記パネル取付ブラケットと、上記取付部材に枢着軸を介して回動自在に取り付けられる回動フレームと、該回動フレームを回動せしめる第1駆動手段と、上記パネル取付ブラケットを回動せしめる第2駆動手段から構成され、さらに、上記第1駆動手段が、第1駆動モーターと、第1減速歯車列と、上記枢着軸と同一軸上に配列されると共に上記取付部材に一体に固定される枢着軸側作動軸から構成されると共に、上記第2駆動手段が、第2駆動モーターと、第2減速歯車列と、パネル取付ブラケットを取付固定するパネル側作動軸から構成されることを特徴とする表示/操作パネルの高さおよび傾斜調整装置。
【請求項2】
上記第1減速歯車列が、上記第1駆動モーターの出力軸に設けたねじ歯車と噛み合うはす歯歯車と、該はす歯歯車と一体となった小歯車と噛み合う大歯車を有する第一歯車と、該第一歯車の小歯車と噛み合う大歯車を有する第二歯車と、該第二歯車の小歯車と噛み合う大歯車を有する第三歯車と、該第三歯車の小歯車と噛み合う大歯車を有する第四歯車と、該第四歯車の傘歯車と噛み合う傘歯車から構成されることを特徴とする請求項1に記載の表示/操作パネルの高さおよび傾斜調整装置。
【請求項3】
上記第2減速歯車列が、上記第2駆動モーターの出力軸に設けたねじ歯車と噛み合うはす歯歯車と、該はす歯歯車と一体となった小歯車と噛み合う大歯車を有する第一歯車と、該第一歯車の小歯車と噛み合う大歯車を有する第二歯車と、該第二歯車の小歯車と噛み合う大歯車を有する第三歯車と、該第三歯車の小歯車と噛み合う大歯車を有する第四歯車と、該第四歯車の傘歯車と噛み合う傘歯車から構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の表示/操作パネルの高さおよび傾斜調整装置。
【請求項4】
上記第1減速歯車列および/または第2減速歯車列の各歯車の内のいずれかの歯車が、その支持軸に対して自由に回転でき且つ皿バネ等の弾発部材により弾性的に挟持された状態で取り付けられ、該歯車にかかる負荷トルクが一定量を超えるとスリップして空回りするように構成されることを特徴とする請求項1、2または3に記載の表示/操作パネルの高さおよび傾斜調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−197537(P2010−197537A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40282(P2009−40282)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(592264101)下西技研工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】