説明

表面修飾された顔料組成物

本発明は、式(II)(式中、mは1〜4、好ましくは1又は2の整数であり;Qは、カーボンブラックの残基又は式(I)の少なくとも1つの基若しくはそのシス/トランス異性体を含むクロモフォアの残基であり、Z及びZは互いに独立してO又はN・・・であり、各C・は他の全てのC・から独立して、p軌道に1個の電子を有する炭素原子であり、nは、1〜4の整数であり;Gは、それぞれが互いに独立して式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び式(VIII)からなる群から独立して選択される3又は4個の結合からなる直鎖からなる二価基であり(前記結合は、鎖内で任意の順序で単結合により、又は2個の隣接する式(VII)及び/又は式(VIII)の場合、二重結合により、連続して結合している。ただし、これらの結合の少なくとも各1つは式(IV)及び式(IX)であるとする);R、R及びRは、互いに独立して、H、ハロゲン、OH、NH、NO、R、OR、SR、NR、COR、CO、CONR又はSOであり;各Rは任意の他のRから独立してH又はRであり、好ましくはH、メチル又はエチルであり、最も好ましくはHであり;各Rは任意の他のRから独立して、H、ハロゲン、OH、NH、NO、R、OR、SR、NR、COR、CONR又はSOであり;Rは、H、ジェミナルなR又はRに対する直接結合であって、かくして3又は8員ホモ若しくはヘテロ環を形成するか、或いは任意の他のRから独立してR基であり;各Rは、任意の他のRから独立して、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル又はC〜Cシクロアルケニル(それぞれ非置換であるか、又はハロゲン、アミノ及びヒドロキシからなる群から選択される1以上の置換基で置換され、そして中断されていないか、又は1以上の−O−、−S−、−NH−若しくは−N(C〜Cアルキル)−により中断されている)であり;そしてmは1〜4、好ましくは1又は2の整数である)のクロモフォアを含む化合物、並びに構造[Q2]−[H]のクロモフォアを含む顔料に加えてこれらの化合物を含む、コーティング、カラーフィルター及び顔料組成物におけるレオロジーを改善するためのこれらの化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常、高濃度で不十分な分散性及び/又はレオロジーの傾向がある特定の有機顔料、及び特別な複素環置換基を含むそれらの誘導体を含む顔料組成物に関する。
【0002】
US6,398,858号は、ジアゾ化可能な化合物を用いて着色顔料を製造し、少なくとも1つの芳香族及び/又はC〜C20アルキル基並びに少なくとも1つのイオン性、イオン化可能及び/又は非イオン性基を含む基で置換された顔料を得る方法を開示している。非イオン性基としては、これらに限定されるものではないが、親水性基、疎水性基、アルキル及びアリール基、エーテル、ポリエーテル、アルキル、フッ素化アルキルなどを挙げることができる。実施例では、スルファニル酸又はp−アミノ−安息香酸のみを使用する。
【0003】
US6,494,943号及びUS6,506,245号は、着色顔料を含むインクジェットインク及び他の組成物を開示し、ここで、顔料はジアゾ化剤の存在下での流体力学的キャビテーションにより表面修飾されている。表面修飾は、イミダゾリル及びインドリルなどのアリール及びヘテロアリール基を含む芳香族基を結合することによって得られる。表面修飾について例示される具体的な試薬は、スルファニル酸、p−アミノ−安息香酸、N−p−アミノ−フェニルピリジニウムクロリド、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン及びC.I.Direct Blue 71である。
【0004】
WO02/04564号は、式−X−Sp−Alk(式中、Xはアリーレン又はヘテロ−アリーレンであり、Spはスペーサー(例えばスクシンイミジレン)であり、Alkは長鎖アルキル又はアルケニルである)の少なくとも1つの有機基により置換された無機及び有機顔料を開示している。置換カーボンブラックの例しかない。
【0005】
US6,896,726号は、直線状分散剤基でさらに置換されたフェニル若しくはナフチル基により部分的に置換された、表面処理された有機顔料、例えばジアゾ化プロカインで置換されたC.I.ピグメントレッド255又はジアゾ化4−ヘキサデシル−スルホニルアニリンで置換されたC.I.ピグメントブルー15:3を開示している。
【0006】
WO2005/014727号は、カーボンブラック及び有機顔料誘導体を含む黒色顔料組成物を開示し、ここでは、とりわけ、バルビツール酸、フタルイミド又はベンズイミダゾロン置換基を、開示されていない方法で、直接又はアルキレン鎖上のいずれかでクロモフォアと結合させる。
【0007】
共役ケト又はアゾメチン基を含むカーボンブラック顔料及び有機顔料は、通常高レベルでのあまり十分ではない分散性及び/又はレオロジーに至る(特に、いわゆる「高固形分」コーティングにおいて)。これは、点対称及び/又は鏡対称クロモフォアに基づく有機顔料について特に当てはまる。本発明の目的に関して、クロモフォアの対称性は、ハロゲン、アルキル及び/又はアルコキシなどの、色に対して全く又はほとんど影響を及ぼさない任意の一価周辺置換基を除外して考えなければならない。
【0008】
そのような技術的に厳しい有機顔料の典型的な例は、アントアントロン、1,1’−ジアントラキノリル、ビス−(アントラキノン−1−イル−アミノ)、ビス−(アントラキノン−1−イル−オキシ)、BONAジアゾ縮合、BONAモノアゾ(いくつかのベンズイミダゾロン顔料を包含する)、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、フラバントロン、インダントロン、イソインドリン、イソインドリノン、イソビオラントロン、ナフタロシアニン、ペリレン、フタロシアニン、ピラントロン及びキナクリドン顔料である。多くのそのような顔料は、点対称クロモフォアを有し、[ナ]フタロシアニンは、鏡対称クロモフォアを有するが、さらなる種類由来のいくつかの特別な非対称顔料も本発明を利用する。
【0009】
本発明で好適なのは、カーボンブラック並びに式
【化1】

(式中、Z及びZは、互いに独立してO又はN・・・であり、各C・は他のすべてのC・から独立して、p軌道に電子を有する炭素原子であり、nは、1〜4の整数、好ましくは1又は2、最も好ましくは1である)の少なくとも1つの基又はそれらのシス/トランス異性体を含む有機クロモフォアである。オキソ/イミド置換C原子(C、C)の両方の上の数字はどちらも、それらを区別する意味しかない。C・、C、C、Z及びZは全て、好ましくは基本的に同じ平面中にあり(すなわち、直径が1.5・10−10m{=1.5Å}、好ましくは1・10−10m{=1Å}である、これらの原子核のまわりのすべての仮想上の共有結合性球体を切断する平面を描くことができる)、それらは最も好ましくは拡大された芳香族又はヘテロ芳香族系の一部である。p軌道に電子を有する炭素原子(C・)は、3個の原子と結合するはずであり(2つの単結合及び1つの二重結合)その共有結合性球体(前記定義のとおり)は、この炭素原子が結合している3個の原子の核をとおって伸びる仮想上の平面を切断する。式(I)のシス/トランス異性体は、C・−C・・・、C・−C・及び/又はC・−C・・・間の1以上の結合の周りに180°回転させた結果得られる式として理解されるべきである。したがって、たとえば各
【化2】

は、
【化3】

(n≧2である場合、互いに独立している各C・−C・について)であり得る。有機クロモフォアが好ましいが、カーボンブラックも好適である。
【0010】
式(I)において、点線は、クロモフォアの他の原子との結合を示し、これにより、好ましくは芳香族又は不飽和環が形成される。本発明の顔料のクロモフォアにおいてCとCとの間には場合によってさらなる類似又は異なる結合が存在し得る(これは、特に多環式顔料の場合にあてはまる)が、式(I)(式中、最も短い可能なパスについてn=1〜4)の少なくとも1つの好ましくは平面基が存在する限り、必要ではない。しかし、さらなる芳香族又は不飽和結合は、すべての原子が同じ平面にあることを必要とせず、CとCとの間でどのパスが選択されるかに応じて、nは>4であってもよい。
【0011】
式(I)の基に加えて、本発明の顔料のクロモフォアは、好ましくは、1以上のNH、N−M−N又はNH基(ここで、Mは、二価金属、オキソ−金属又はハロゲノ−金属、たとえばCu、Ni、Zn、Al−Cl、Ti=O又はV=Oである)も含む。NH、N−M−N又はNH基を含む好ましいクロモフォアは、ビス−(アントラキノン−1−イル−アミノ)、ビス−(アントラキノン−1−イル−オキシ)、1,1’−ジアントラキノリル、ジケトピロロピロール、インダントロン、イソインドリン、イソインドリノン、ペリレン、1−フェニル−ヒドラゾノ−2−オキシ−3−カルバモイル−1,2−ジヒドロナフタレン、フタロシアニン及びキナクリドン顔料のものである。最も好ましいのは、1,1’−ジアントラキノリル、ジケトピロロピロール、インダントロン、イソインドリン、イソインドリノン、ペリレン、フタロシアニン及びキナクリドン顔料のクロモフォアである。
【0012】
好適な顔料としては、たとえば、ピグメントイエロー24、99、108、109、110、123、138、139、147、173、175、177、179、182、185、193、199及び257;ピグメントオレンジ22、24、31、32、38、40、43、48、49、51、61、66、69、71、73及び81;ピグメントレッド2、5、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、21、22、23、31、32、83:1、88、90、95、112、114、119、122、123、136、144、146、147、148、149、150、164、166、168、170、174、175、176、177、178、179、180、181、184、185、187、188、190、192、194、202、204、206、207、208、209、210、212、213、214、216、220、221、222、223、224、226、238、242、245、248、253、254、255、256、258、260、261、262、264、270及び272;ピグメントブラウン1、23、25、38、41及び42;ピグメントバイオレット5:1、13、19、23、25、29、31、32、37、42、44及び50;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、25、26、60、63、64及び66;ピグメントグリーン7、8、12、36、37、47、54及び58;ピグメントブラック6、7、20、21、31及び32;バットレッド41及び74;3,6−ジ(3’,4’−ジクロロ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ−[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン、3,6−ジ(4’−シアノ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン、ビスベンズイミダゾ[2,1−a:2’,1’−a’]アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f]ジイソキノリン−10,21−ジオン[CAS55034−79−2]、アントラ[2’’,1’’,9’’:4,5,6;6’’,5’’,10’’:4’,5’,6’]ジイソキノ−[2,1−a:2’,1’−a’]ジペリミジン−12,25−ジオン[CAS6859−32−1]及びWO00/24736号の実施例12bの化合物又は特許出願EP09150817.6号の方法にしたがって得られる化合物(特に、参考として本明細書で援用されるEP09150817.6号の請求項10、11又は12のもの);並びに同じ化学式の任意の成分を含む、及び/又は場合によって同じ結晶格子を有する混合物、混晶及び固溶体が挙げられる。
【0013】
前記顔料に加えて、本発明の組成物は、前記顔料の誘導体を含み、この誘導体は顔料と同じクロモフォアを有する。これらの誘導体は、顔料を適切な試薬と部分的に反応させ、かくして好ましくは、その表面上に誘導体の連続若しくは不連続層又はスポットが存在する顔料を形成することによって都合よく製造することができる。
【0014】
特に高固形分コーティング系において優れたレオロジーを示す顕著な移動のない顔料組成物が、先行技術で開示も示唆もされていない特定の複素環化合物を修飾試薬として用いることによって得られることが意外にも判明した。
【0015】
したがって、本発明は、
(a)(a1)カーボンブラック又は(a2)式(I)
【化4】

(式中、Z及びZは、それぞれ互いに独立してO又はN・・・であり、各C・は、他の全てのC・から独立して、p軌道中に1個の電子を有する炭素原子であり、nは、1〜4の整数である)の少なくとも1つの基若しくはそのシス/トランス異性体を含むクロモフォアQを含む有機顔料;及び
(b)3.5・10gのカーボンブラック又は100モルの前記有機顔料(a)に基づいて、0.5〜30モル、好ましくは0.8〜15モル、最も好ましくは1〜10モルの、式(II)
【化5】

(式中、Qはm価のカーボンブラック又はクロモフォアQの残基であり;
は互いに独立して、
【化6】

からなる群から選択される3又は4個の結合からなる直鎖から構成される二価基であり(前記結合は、鎖内で任意の順序で単結合又は、2つの隣接する
【化7】

の場合は二重結合により連続して結合する。ただし、この結合の少なくともそれぞれ1つは
【化8】

であるとする);
、R及びRは、それぞれ互いに独立して、H、ハロゲン、OH、NH、NO、R、OR、SR、NR、COR、CO、CONR又はSOであり;
各Rは、任意の他のRと独立して、H又はRであり、好ましくはH、メチル又はエチルであり、最も好ましくはHであり;
各Rは、任意の他のRと独立して、H、ハロゲン、OH、NH、NO、R、OR、SR、NR、COR、CO、CONR又はSOであり;
は、H、ジェミナルなR又はRとの直接結合であり、かくして3〜8員ホモ若しくはヘテロ環を形成するか、或いは任意の他のRと独立して、R基であり;
各Rは、任意の他のRと独立して、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル又はC〜Cシクロアルケニル(それぞれ非置換であるか、又はハロゲン、アミノ及びヒドロキシからなる群から選択される1以上の置換基で置換され、中断されていないか、又は、1以上の−O−、−S−、−NH−若しくは−N(C〜Cアルキル)−で中断されている)であり;そして
mは1〜4、好ましくは1又は2の整数である)のクロモフォアを含む化合物;
を含む顔料組成物に関する。
【0016】
化合物(b)は、一般的に、顔料(a)の誘導体である。成分(b)の適切な量及び/又は式(II)中の整数mを計算する目的で、350g/molの純粋に仮想的な「分子量」をカーボンブラックについて仮定する。
【0017】
クロモフォアQの残基Qは、m個の周辺H原子が引き抜かれたクロモフォアQであって、かくしてm個の置換基に対する結合を形成することが可能になる(すなわち、Qは、
【化9】

と同じである)。周辺H原子は好ましくは芳香族C原子上に位置している。クロモフォアQ及び残基Qは、場合によって、ハロゲン、アルキル及び/又はアルコキシなどの、色に対して大きな影響を及ぼさない1以上の同一又は異なる一価周辺置換基によって置換されていてもよい。NH、N−M−N及びNH基並びに色に大きな影響を及ぼす他の置換基(すなわち、水素と比較して、400〜700nmの範囲の主な吸収ピークを≧50nm、好ましくは≧30nmシフトさせる置換基)をそれぞれクロモフォアQ及び残基Qの一部と見なさなければならない。クロモフォアQが置換されている場合、顔料が固溶体でない限り、その残基Qは最も適切には同じように置換され、後者の場合、クロモフォアQ及び残基Qは固溶体の化学的に異なる分子由来であり得る(より反応性が高いものは置換された残基Qをもたらし、反応性が低いものは、残存する非置換クロモフォアQをもたらす)。
【0018】
中の点線は、鎖の連続した結合間の結合及び/又は鎖Gの末端から芳香環への結合を示す。二価基Gの3又は4個の結合は、好ましくは互いに独立して、
【化10】

からなる群から選択される。
【0019】
意外にも、対称的な二価基
【化11】

は、一般的に、他の3員鎖Gほど有効ではない。通常、優れた性能をもたらす好ましい実施形態では、鎖Gは4員であり、かくして芳香環と縮合した6員環を形成する。
【0020】
特に好ましい鎖G
【化12】

であり、Gの任意の末端は、Qに対してメタ位で芳香族C原子と結合し、Gの他の末端は、Qに対してパラ位で芳香族C原子と結合し、Rは、Rから独立して、Rと同じ定義を有する。これらの特に好ましい鎖Gにおいて、特に好ましいR、R、R及びRは、互いに独立してH又はメチルであり、最も好ましいR、R及びRはHであり、そしてRはH又はメチルである。
【0021】
ハロゲンは、Cl、Br又はFであり、好ましくはアリール若しくはヘテロアリール上のCl及びアルキル上のFである。アルケニル及びシクロアルケニルは、1以上の不飽和結合を含み得る。
【0022】
〜Cアルキルは、全体を通して好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル又はtert−アミルである。C〜Cシクロアルキルは、全体を通して好ましくは、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。C〜Cアルケニルは、全体を通して好ましくは、ビニル又はアリルである。
【0023】
、R、R、R、R、R、R及びRは、好ましくはエチル、メチル又は水素であり、最も好ましくは水素である。
【0024】
最も好ましくは、G
【化13】

であり、かくしてクロモフォア
【化14】

(式中、R、R、R、R及びRは、好ましくは全てHである)をもたらす。
【0025】
このようにして得られた化合物は新規であり、かつ本発明の対象である。必要に応じて、それらは高極性溶媒で反応混合物から抽出し、再沈殿させることができるが、一般的に得られたままの顔料組成物の形態で使用することが更に効率的である。
【0026】
したがって、本発明は、式(II)
【化15】

(式中、mは1〜4、好ましくは1又は2の整数であり;
は、カーボンブラックの残基又は式(I)
【化16】

(式中、Z及びZは、互いに独立してO又はN・・・であり、各C・は、全ての他のC・と独立して、p軌道に1個の電子を有する炭素原子であり、nは、1〜4の整数である)の少なくとも1つの基若しくはそのシス/トランス異性体を含むクロモフォアの残基であり;
は、それぞれ他のものから独立して、
【化17】

からなる群から選択される3又は4個の結合からなる直鎖から構成される二価基であり(前記結合は鎖内で任意の順序で単結合により、又は2つの隣接する
【化18】

の場合は二重結合により連続して連結する。ただし、結合の少なくとも各1つは
【化19】

であるとする);
、R及びRは、互いに独立して、H、ハロゲン、OH、NH、NO、R、OR、SR、NR、COR、CO、CONR又はSOであり;
各Rは、任意の他のRから独立して、H又はRであり、好ましくはH、メチル又はエチルであり、最も好ましくはHであり;
各Rは、任意の他のRから独立して、H、ハロゲン、OH、NH、NO、R、OR、SR、NR、COR、CO、CONR又はSOであり;
はH、ジェミナルなR若しくはRに対する直接結合であり、かくして3〜8員ホモ環若しくはヘテロ環を形成するか、或いは任意の他のRから独立してR基であり;
各Rは、任意の他のRから独立して、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル又はC〜Cシクロアルケニル(非置換であるか、又はハロゲン、アミノ及びヒドロキシからなる群から選択される1以上の置換基で置換され、中断されていないか、又は1以上の−O−、−S−、−NH−若しくは−N(C〜Cアルキル)−により中断されている)であり;そして
mは1〜4、好ましくは1又は2の整数である)のクロモフォアを含む化合物にも関する。
【0027】
本発明の化合物を、好ましくは着色コーティング組成物用のレオロジー改良剤として用いることができる。最も好ましいのは、中及び特に高固形分コーティング組成物(通常、硬化後に約1:1〜約10:1の顔料:バインダー比を有するもの)である。耐光性、耐候性及び耐熱性が優れ、またブリーディングもわずかであり、コーティング特性、特に、レオロジーが良好であり、光沢が高く、着色力が高く、保護膜耐性が優れている。
【0028】
したがって、本発明はまた、0〜50質量%、好ましくは5〜30質量%の揮発性部分、10〜50質量%の不揮発性の本質的に無色の部分、並びに5〜85質量%の、カーボンブラック及び/又は、式(I)
【化20】

(式中、Z及びZは、互いに独立して、O又はN・・・であり、各C・は、全ての他のC・から独立して、p軌道に1個の電子を有する炭素原子であり、nは1〜4の整数である)の少なくとも1つの基若しくはそのシス/トランス異性体を含むクロモフォアQを含む有機顔料を含む着色剤部分を含むコーティング組成物にも関し、
全ての前記質量百分率は、常に100%である硬化組成物の合計質量に基づき、
前記コーティング組成物は、3.5・10gのカーボンブラック又は100モルの前記有機顔料に基づいて、0.5〜30モル、好ましくは0.8〜15モル、最も好ましくは1〜10モルの、式(II)
【化21】

(式中、Qは、カーボンブラック又はクロモフォアQのm価残基であり;
は、互いに独立して、
【化22】

からなる群から選択される3若しくは4個の結合からなる直鎖から構成される二価基であり(前記結合は、鎖内で、任意の順序で単結合により、又は2つの隣接する
【化23】

の場合、二重結合により連続して結合する。ただし、結合の少なくとも各1つは
【化24】

であるとする);
、R及びRは、互いに独立して、H、ハロゲン、OH、NH、NO、R、OR、SR、NR、COR、CO、CONR又はSOであり;
各Rは、任意の他のRから独立して、H又はRであり、好ましくはH、メチル又はエチルであり、最も好ましくはHであり;
各Rは、任意の他のRから独立して、H、ハロゲン、OH、NH、NO、R、OR、SR、NR、COR、CO、CONR又はSOであり;
は、H、ジェミナルなR若しくはRに対する直接結合であり、かくして3〜8員ホモ若しくはヘテロ環を形成するか、或いは任意の他のRから独立して、R基であり;
各Rは、任意の他のRから独立して、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル又はC〜Cシクロアルケニル(それぞれ非置換であるか、又はハロゲン、アミノ及びヒドロキシからなる群から選択される1以上の置換基で置換され、中断されていないか、又は1以上の−O−、−S−、−NH−若しくは−N(C〜Cアルキル)−により中断されている)であり;そして
mは1〜4、好ましくは1又は2の整数である)のクロモフォアを含む化合物も含むことを特徴とする。
【0029】
コーティング組成物の揮発性部分は、硬化するとコーティングから消滅する部分である。不揮発性部分は、バインダー及び/又はバインダー前駆体及び必要に応じて光開始剤、安定剤(たとえば、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、レオロジー改良剤、光沢剤)、無機白色若しくはエフェクト顔料(たとえば、二酸化チタン、雲母若しくはアルミニウムフレーク)及び/又はフィラー等の添加剤を含む。バインダー前駆体は、硬化すると反応して、バインダー(一般的に、不飽和モノマー及びテロマー)を形成する化合物である。本質的に無色とは、400〜700nmの範囲の任意の波長でモル吸収係数K≧5000l・mol−1・cm−1を有する化合物、特にColour Indexで記載されているものなどの着色剤を除外すると理解されるべきである。
【0030】
着色剤部分は、本質的に、カーボンブラック及び/又はクロモフォアQを含む1以上の有機顔料から構成され得るか、又は部分若しくは完全可溶性染料、又は特に好ましくは無機黒色若しくは着色顔料及び/又は異なるクロモフォアを有する有機顔料などのさらなる着色剤も含み得る。場合によってさらなる着色剤を添加する目的は、一般的に、色相、彩度及び/又は透明度若しくは不透明度を調節すること、特殊効果(ゴニオクロマティシティー及び/又は角度反射性など)を生むこと、又はコーティング組成物の費用効率を最適化することである。
【0031】
式(II)のクロモフォアを含む本発明の化合物は、公知方法と同様にして、例えば顔料の液体媒体中懸濁液を、式(III)
【化25】

(式中、Xは無機アニオンである)
のジアゾニウム塩で、又は式(IV)
【化26】

の化合物及びジアゾ化剤で処理することにより、例えばUS6,398,858号、US6,494,943号、US6,506,245号又はWO02/04564号などのCabot Corporationの多くの周知の特許で開示されている方法と同様にして、適切に得られる。本発明の化合物は、−20〜200℃、好ましくは0〜100℃の温度で、1分〜100時間の期間で最も適切に製造される。
【0032】
式(III)のジアゾニウム塩又は式(IV)の化合物は、式(II)の化合物の所望の量に基づいて、化学量論量で、又はやや過剰若しくは大過剰で、例えば化学量論量の5倍まで、好ましくは化学量論量の約2〜3倍で適切に用いられる。最適量は、置換される顔料に幾分依存し、どんな場合でも実験的に容易に決定することができる。
【0033】
液体媒体は、顔料と反応せず、また顔料を実質的に溶解しない通常の液体、例えば水、又は通常の疎水性又は好ましくは親水性溶媒である。しかし、液体媒体は、ジアゾニウム塩と反応して、例えばNの損失につながり、これをクエンチせず、非反応性化合物を形成し、かくして顔料との所望の反応を阻害する。同じ理由から、反応はカップリング成分の非存在下で適切に実施される。
【0034】
好適な液体媒体としては、例えば、水、炭化水素、アルコール、アミド、ニトリル、ニトロ化合物、N−複素環、エーテル、酸、エステル、カーボネート及び硫黄化合物が挙げられ、一若しくは多不飽和又はハロゲン化されていてもよい。例は、ペンタン、ヘキサン、n−オクタン、ドデカン又は他の直線状若しくは分枝、飽和若しくは不飽和炭化水素、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、アミルアルコール、シクロヘキサノール又は直線状、分枝若しくは環状C〜Cアルコールの他の異性体、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシ−エタン、1,2−ジエトキシエタン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−n−ブトキシ−エタノール又は他のC〜CアルコキシC〜Cアルキルアルコール、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸アミル及び酢酸2−エトキシエチル、又は他のC〜Cアルカン酸C〜Cアルキルエステル、炭酸ジエチル若しくは炭酸エチレン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチル−アセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド及び2−メチル−1−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N−メチルピロリドン、トリクロロエタン、ニトロベンゼン及びハロゲン化ベンゼンである。さらなる例は、標準的研究から引き出すことができる。溶媒はまた、前記リスト(石油蒸留物フラクションなどの複雑な混合物を包含する)から選択される液体の2以上、例えば3〜20の混合物であってもよい。一般的に、水又は水性混合物の使用が経済的理由から好ましい。
【0035】
ジアゾ化剤は、例えばアルカリ亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム、有機亜硝酸エステル、例えば亜硝酸tert−ブチル、又はニトロソ硫酸である。無機アニオンは、例えばハロゲン化物、例えば塩化物、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、塩素酸塩、過ヨウ素酸塩、又は錯アニオン、たとえばテトラフルオロホウ酸塩又はヘキサフルオロリン酸塩であってよい。アルカリ性、中性若しくは好ましくは酸性、たとえば0.5〜6、特に1〜2のpH範囲であり得る反応媒体のpHを制御するために、無機又は有機酸及び/又は塩基をさらに、場合によって緩衝液混合物の形態で用いることができる。適切なジアゾ化条件は当該技術分野で周知である。
【0036】
本発明による顔料組成物は、ポリマーの原液着色で広く用いることができる。本発明はしたがって、高分子量材料の原液着色のための本発明による顔料組成物の使用、及び全着色高分子量材料に基づいて0.01〜70質量%の本発明による顔料組成物を含む原液着色された高分子量材料に関する。
【0037】
本発明にしたがって着色される高分子量有機材料は、天然又は合成起源であり得、通常、10〜10g/モルの範囲の分子量を有する。これは、たとえば天然樹脂若しくは乾性油、ゴム若しくはカゼイン、又は修飾天然物質、たとえば塩化ゴム、油修飾アルキド樹脂、ビスコース、又はセルロースエーテル若しくはエステル、たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、アセト酪酸セルロース又はニトロセルロースであってよいが、特に完全に合成の有機ポリマー(熱硬化性プラスチック若しくは熱可塑性物質のいずれか)、重合、重縮合若しくは重付加によって得られるような、例えばポリカーボネート、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート若しくはポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(HDPE、HDPE−HMW、HDPE−UHMW、LDPE、LLDPE、VLDPE、ULDPE)、ポリプロピレン若しくはポリイソブチレン、置換ポリオレフィン、例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル又はアクリル酸及び/又はメタクリル酸エステル、又はブタジエンの重合生成物、ポリスチレン若しくはポリメチルメタクリレート、並びに前記モノマー、特にアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)、スチレン/アクリロニトリル(SAN)又はEVAの共重合生成物である。
【0038】
重付加樹脂及び重縮合樹脂のうちから、ホルムアルデヒドのフェノールとの縮合生成物、いわゆるフェノール樹脂、並びにホルムアルデヒドの尿素、チオ尿素及びメラミンとの縮合生成物、いわゆるアミノ樹脂、コーティング樹脂として使用されるポリエステル、飽和(例えば、アルキド樹脂)、又は不飽和(例えば、マレイン酸樹脂)のいずれか、並びに直線状ポリエステル及びポリアミド又はシリコーンを挙げることができる。
【0039】
さらに、高分子量有機材料は、煮アマニ油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、アクリル樹脂又は他の硬化性若しくは重合性前駆体などのコーティング又は印刷インク用バインダーであり得る。多層系も可能である。
【0040】
本発明の着色剤組成物をその中に組み入れることができるか、又はその上にコーティングすることができる、熱可塑性、熱硬化性、エラストマー、本質的に架橋した、又は架橋ポリマーの具体例を以下に列挙する。
【0041】
1.モノオレフィン及びジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリイソプレン又はポリブタジエン並びにシクロ−オレフィンの重合体、例えばシクロペンテン又はノルボルネン;並びにポリエチレン(場合によって架橋していてもよい)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE−HMW)、超高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、並びに直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。
【0042】
ポリオレフィン、すなわち先の段落で一例として言及されるようなモノオレフィンのポリマー、特にポリエチレン及びポリプロピレンは、種々の方法により、特に、以下の方法により:
a)(通常、高圧及び高温での)フリーラジカル重合により;
b)触媒(この触媒は、通常、IVb、Vb、VIb若しくはVIII族の1以上の金属を含む)により製造することができる。これらの金属は、一般的に1以上のリガンド、例えば酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル及び/又はアリールを有し、これらはπ配位若しくはσ配位のいずれかであり得る。かかる金属錯体は、遊離しているか、又は担体、例えば活性化塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、酸化アルミニウム若しくは酸化ケイ素に固定されていてもよい。かかる触媒は、重合媒体中に可溶性であっても、又は不溶性であってもよい。触媒は、重合においてそれ自体活性であり得るか、又はさらなるアクチベータ、例えば金属アルキル、金属水素化物、金属アルキルハロゲン化物、金属アルキルオキシド又は金属アルキルオキサンを用いることができ、この金属は、Ia、IIa及び/又はIIIa族の元素である。アクチベータは、例えば、さらなるエステル、エーテル、アミン又はシリルエーテル基で修飾されていてもよい。
【0043】
2.1)で記載されているポリマーの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレン、ポリプロピレンとポリエチレン(例えばPP/HDPE、PP/LDPE)との混合物及び異なる種類のポリエチレン(例えばLDPE/HDPE)の混合物。
【0044】
3.モノオレフィン及びジオレフィンの互いとの、又は他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン/プロピレンコポリマー、直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びそれらの低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブテン−1コポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブテン−1コポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー及びそれらと一酸化炭素とのコポリマー、又はエチレン/アクリル酸コポリマー及びそれらの塩(イオノマー)、並びにエチレンのプロピレン及びジエン、例えばヘキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデンノルボルネンとのターポリマー;並びにかかるコポリマー同士の混合物又は1)で記載されるポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン−エチレン/プロピレンコポリマー、LDPE−エチレン/酢酸ビニルコポリマー、LDPE−エチレン/アクリル酸コポリマー、LLDPE−エチレン/酢酸ビニルコポリマー、LLDPE−エチレン/アクリル酸コポリマー及び交互又はランダム構造のポリアルキレン−一酸化炭素コポリマー及びそれらと他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物。
【0045】
4.その水素化修飾を含む炭化水素樹脂(例えばC〜C)(例えば、粘着付与樹脂)及びポリアルキレンとデンプンとの混合物。
【0046】
5.ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
【0047】
6.スチレン又はα−メチルスチレンとジエン又はアクリル誘導体とのコポリマー、例えばスチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート及びメタクリレート、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート;スチレンコポリマー及び別のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーから構成される高衝撃強度混合物;並びにスチレンのブロックコポリマー、例えばスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン−ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン−プロピレン/スチレン。
【0048】
7.スチレン又はα−メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエン上スチレン、ポリブタジエン/スチレン又はポリブタジエン/アクリロニトリルコポリマー上スチレン、ポリブタジエン上スチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエン上スチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート;ポリブタジエン上スチレン及び無水マレイン酸;ポリブタジエン上スチレン、アクリロニトリル及び無水マレイン酸又はマレイン酸イミド;ポリブタジエン上スチレン及びマレイン酸イミド、ポリブタジエン上スチレン及びアルキルアクリレート又はアルキルメタクリレート、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー上スチレン及びアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレート又はポリアルキルメタクリレート上スチレン及びアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマー上スチレン及びアクリロニトリル、並びにそれらと6)で記載されているコポリマー、例えばいわゆるABS、MBS、ASA又はAESポリマーなどの公知のものとの混合物。
【0049】
8.ハロゲン含有ポリマー、例えばポリクロロプレン、塩化ゴム、イソブチレン/イソプレン(ハロブチルゴム)の塩素化及び臭素化コポリマー、塩素化又はクロロスルホン化ポリエチレン、エチレン及び塩素化エチレンのコポリマー、エピクロルヒドリンホモポリマー及びコポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン;及びそれらのコポリマー、例えば塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル又は塩化ビニリデン/酢酸ビニル。
【0050】
9.α,β−不飽和酸及びそれらの誘導体由来のポリマー、例えばポリアクリレート及びポリメタクリレート、又はブチルアクリレートで耐衝撃性修飾されたポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル。
【0051】
10.9)で記載されているモノマー同士の、又は他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/ビニルハロゲン化物コポリマー又はアクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンターポリマー。
【0052】
11.不飽和アルコール及びアミン又はそれらのアシル誘導体又はアセタール由来のポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、又はポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリルメラミン;及びそれらと1)で記載されているオレフィンとのコポリマー。
【0053】
12.環状エーテルのホモポリマー及びコポリマー、例えばポリアルキレングリコール、ポリ−エチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又はそれらのビスグリシジルエーテルとのコポリマー。
【0054】
13.ポリアセタール、例えばポリオキシメチレン、並びにコモノマー、例えばエチレンオキシドを含むポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン、アクリレート又はMBSで修飾されたポリアセタール。
【0055】
14.ポリフェニレンオキシド及びスルフィド並びにそれらのスチレンポリマー又はポリアミドとの混合物。
【0056】
15.一方で末端ヒドロキシル基を有するポリエーテル、ポリエステル及びポリブタジエン及び他方で脂肪族又は芳香族ポリイソシアネート由来のポリウレタン、及びそれらの初期生成物。
【0057】
16.ジアミン及びジカルボン酸及び/又はアミノカルボン酸又は対応するラクタムのポリアミド及びコポリアミド、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレン、ジアミン及びアジピン酸由来の芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミン及びイソフタル酸及び/又はテレフタル酸から製造されたポリアミド並びに場合によって修飾剤としてのエラストマー、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド。前記ポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマー若しくは化学結合若しくはグラフトエラストマーとのブロックコポリマー;又はポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール若しくはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマー。また、EPDM又はABSで修飾されたポリアミド若しくはコポリアミド;及び処理中に縮合したポリアミド(「RIMポリアミド系」)。
【0058】
17.ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾール。
【0059】
18.ジカルボン酸及びジアルコール由来及び/又はヒドロキシ−カルボン酸又は対応するラクトン由来のポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート又はポリカプロラクトン、並びにヒドロキシル末端基を有するポリエーテル由来のブロックポリエーテルエステル;並びにポリカーボネート又はMBSで修飾されたポリエステル。
【0060】
19.ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート。
【0061】
20.ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン。
【0062】
21.一方でアルデヒド及び他方でフェノール、尿素又はメラミン由来の架橋ポリマー、例えばフェノール−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド及びメラミン−ホルムアルデヒド樹脂。
【0063】
22.乾性及び不乾性アルキド樹脂。
【0064】
23.飽和及び不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとのコポリエステル、並びに架橋剤としてのビニル化合物由来の不飽和ポリエステル樹脂、並びにそれらのハロゲン含有難燃性修飾物。
【0065】
24.置換アクリル酸エステル由来の、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート又はポリエステルアクリレート由来の架橋性アクリル樹脂。
【0066】
25.メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート又はエポキシ樹脂と架橋したアルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリレート樹脂。
【0067】
26.脂肪族、脂環式、複素環式又は芳香族グリシジル化合物由来の架橋エポキシ樹脂、例えば常用の硬化剤、例えば無水物又はアミン(促進剤の有無を問わない)を用いて架橋しているビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Fジグリシジルエーテルの生成物。
【0068】
27.天然ポリマー、例えばセルロース、天然ゴム、ゼラチン、又はそれらのポリマー−相同的化学的修飾誘導体、例えばセルロースアセテート、プロピオネート及びブチレート、並びにセルロースエーテル、例えばメチルセルロース;並びにコロフォニウム樹脂及び誘導体。
【0069】
28.前記ポリマーの混合物(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDM又はABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PC。
【0070】
熱可塑性物質、エラストマー、架橋又は本質的架橋ポリマーは、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアセタール、天然若しくは合成ゴム又はハロゲン化ビニルポリマー、例えばPVCである。ポリマーは、コポリマー、ポリマーブレンド又は複合体の一部であってもよい。
【0071】
前記高分子量化合物は、単独若しくは混合物で、可塑性組成物、溶液若しくは溶融物(場合によって紡いで繊維を形成することができる)の形態で、使用することができる。これはすぐに利用可能な組成物若しくはそれから形成された物品、又は例えば顆粒の形態のマスターバッチであってよい。場合によって、高分子量有機材料を本発明にしたがって着色するために、常用の添加剤を使用することも可能であり、この添加剤は、未着色有機材料中に含まれていてもよいし、又は混合中に添加することもできる。
【0072】
そのような添加剤の例は、安定剤、例えば酸化防止剤、UV安定剤又は光安定剤、界面活性剤、湿潤剤、可塑剤又はテクスチャー改良剤である。テクスチャー改良剤が望ましい場合、それらは、場合によって、好ましくは本発明による顔料に合成中のできるだけ早期に、又は後処理中に添加される。
【0073】
テクスチャー改良剤は、例えば、少なくとも12個の炭素原子を有する脂肪酸、例えば特に、ステアリン酸若しくはベヘン酸、ステアリン酸アミド若しくはベヘン酸アミド、ステアリン酸若しくはベヘン酸の塩、例えば、ステアリン酸若しくはベヘン酸マグネシウム、ステアリン酸若しくはベヘン酸亜鉛又はステアリン酸若しくはベヘン酸アルミニウム、また第4級アンモニウム化合物、例えば特に、トリ(C〜C)−アルキルベンジルアンモニウム塩、例えばトリメチル−、トリエチル−、トリ−n−プロピル−、トリ−イソプロピル−、トリ−n−ブチル−、トリ−sec−ブチル−及びトリ−tert−ブチル−ベンジルアンモニウム塩、並びに可塑剤、例えばエポキシ化大豆油、ワックス、例えばポリエチレンワックス、樹脂酸、例えばアビエチン酸、コロフォニウムセッケン、水素化若しくは二量化コロフォニウム、(C12〜C18)パラフィンジスルホン酸、アルキルフェノール及びアルコール、例えばステアリルアルコール、またラウリルアミン若しくはステアリルアミン、及び/又は脂肪族1,2−ジオール、例えば1,2−ドデカンジオールである。
【0074】
好ましいテクスチャー改良剤は、ラウリルアミン及びステアリルアミン、脂肪族1,2−ジオール、ステアリン酸及びそのアミド、塩並びにエステル、エポキシ化大豆油、ワックス及び樹脂酸である。
【0075】
そのような添加剤は、例えば有利には、本発明による組成物に基づいて、0.05〜25質量%、好ましくは0.5〜15質量%の量で、それらの製造前、製造中又は製造後に添加することができる。
【0076】
コーティングは、典型的には、原則として産業界で常用の任意のバインダーであり得るポリマーバインダー、たとえばウルマン工業化学百科事典、第5版、第A18巻、第368−426頁、VCH、Weinheim 1991年で記載されているものを含む。一般的に、熱可塑性又は熱硬化性樹脂、例えば熱硬化性樹脂に基づくフィルム形成バインダーである。その例は、アルキド樹脂、アクリル樹脂、アクリルアミド樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂である。
【0077】
バインダーは、空気中で乾燥するか、又は室温で硬化する表面コーティング樹脂であってもよい。そのようなバインダーの例は、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアクリレート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及び特にアルキド樹脂である。バインダーはさらに、異なる表面コーティング樹脂の混合物であり得る。バインダーが硬化性バインダーであるならば、それらは通常、硬化剤及び/又は促進剤とともに用いられる。
【0078】
例えば、本発明で有用な一般的なコーティングバインダーの非限定例としては、ケイ素含有ポリマー、フッ素化ポリマー、不飽和ポリエステル、不飽和ポリアミド、ポリイミド、置換アクリル酸エステル由来の、たとえばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート由来の架橋性アクリル樹脂、酢酸ビニル、ビニルアルコール及びビニルアミンのポリマーが挙げられる。コーティングバインダーポリマーは、コポリマー、ポリマーブレンド又は複合体であってよい。
【0079】
コーティングは、しばしば、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、無水物、ポリ酸及びアミン(促進剤の有無を問わない)と架橋している。
【0080】
バインダーは、低温硬化性又は高温硬化性バインダーであり得;硬化触媒の添加が有利であり得る。バインダーの硬化を促進する好適な触媒は、例えば、ウルマン工業化学百科事典、第5版、第A18巻、第469頁、VCH、Verlagsgesellschaft, Weinheim 1991年に記載されている。
【0081】
特定のバインダーを含むコーティング組成物の例は次のとおりである:
1.低温若しくは高温架橋性アルキド、アクリレート、ポリエステル、エポキシ又はメラミン樹脂或いはそのような樹脂の混合物に基づくコーティング(必要に応じて硬化触媒を追加);
2.ヒドロキシル含有アクリレート、ポリエステル又はポリエーテル樹脂及び脂肪族若しくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートに基づく2成分ポリウレタンコーティング;
3.ベーキング中に脱ブロック化される、ブロック化イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートに基づく1成分ポリウレタンコーティング(必要に応じてメラミン樹脂を追加);
4.トリスアルコキシカルボニルトリアジンクロスリンカー及びヒドロキシル基含有樹脂、例えばアクリレート、ポリエステル又はポリエーテル樹脂に基づく1成分ポリウレタンコーティング;
5.ウレタン構造内に遊離アミノ基を有する脂肪族若しくは芳香族ウレタンアクリレート又はポリウレタンアクリレート及びメラミン樹脂又はポリエーテル樹脂に基づく1成分ポリウレタンコーティング(必要ならば硬化触媒を含む);
6.(ポリ)ケチミン及び脂肪族若しくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートに基づく2成分コーティング;
7.(ポリ)ケチミン及び不飽和アクリレート樹脂又はポリアセトアセテート樹脂又はメタクリルアミドグリコール酸メチルエステルに基づく2成分コーティング;
8.カルボキシル−又はアミノ含有ポリアクリレート及びポリエポキシドに基づく2成分コーティング;
9.無水物基を含有するアクリレート樹脂及びポリヒドロキシ又はポリアミノ成分に基づく2成分コーティング;
10.アクリレート含有無水物及びポリエポキシドに基づく2成分コーティング;
11.(ポリ)オキサゾリン、及び無水物基を含むアクリレート樹脂、又は不飽和アクリレート樹脂、或いは脂肪族若しくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートに基づく2成分コーティング;
12.不飽和ポリアクリレート及びポリマロネートに基づく2成分コーティング;
13.エーテル化メラミン樹脂と組み合わせた熱可塑性アクリレート樹脂又は外部架橋アクリレート樹脂に基づく熱可塑性ポリアクリレートコーティング;及び
14.シロキサン修飾又はフッ素修飾アクリレート樹脂に基づく塗料系。
【0082】
例えば、アクリレートポリマーを含むコーティング又はフィルムは、本発明において有用である。水中に分散可能なアクリル、メタクリル及びアクリルアミドポリマー及びコポリマーも、本発明においてバインダーとしてさらに容易に使用することができる。
【0083】
コーティング組成物はさらなる成分も含むことができ、その例は、溶媒、顔料、染料、可塑剤、安定剤、チキソトロピー剤、乾燥触媒及び/又はレベリング剤である。可能な成分の例は、ウルマン工業化学百科事典、第5版、第A18巻、第429−471頁、VCH、Weinheim、1991年に記載されているものである。
【0084】
可能な乾燥触媒又は硬化触媒は、例えば、有機金属化合物、アミン、アミノ含有樹脂及び/又はホスフィンである。有機金属化合物の例は、例えば、金属カルボン酸塩、特に金属Pb、Mn、Co、Zn、Zr若しくはCuのカルボン酸塩、又は金属キレート、特に金属Al、Ti若しくはZrのキレート、又は有機金属化合物、例えば有機スズ化合物である。
【0085】
金属カルボン酸塩の例は、Pb、Mn若しくはZnのステアリン酸塩、Co、Zn若しくはCuのオクタン酸塩、Mn及びCoのナフテン酸塩又は対応するリノール酸塩、樹脂酸塩又はタラートである。
【0086】
金属キレートの例は、アセチルアセトン、アセチル酢酸エチル、サリチルアルデヒド、サリチルアルドキシム、o−ヒドロキシ−アセトフェノン又はトリフルオロアセチル酢酸エチルのアルミニウム、チタン又はジルコニウムキレート、及びこれらの金属のアルコキシドである。
【0087】
有機スズ化合物の例は、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウラート又はジブチルスズジオクトエートである。
【0088】
アミンの例は、特に、第3級アミン、例えばトリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ジメチルエタノールアミン、N−エチル−モルホリン、N−メチルモルホリン又はジアザビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)及びそれらの塩である。さらなる例は、第4級アンモニウム塩、例えばトリメチルベンジルアンモニウムクロリドである。
【0089】
アミノ含有樹脂は、同時にバインダーであり、硬化触媒である。それらの例は、アミノ含有アクリレートコポリマーである。
【0090】
使用される硬化触媒は、ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィンでもあり得る。
【0091】
塗料組成物は、放射線硬化性塗料組成物でもあり得る。この場合、バインダーは、施用後に化学線によって硬化される(すなわち架橋した高分子量形態に変換される)エチレン性不飽和結合を含むモノマー又はオリゴマー化合物を本質的に含む。
【0092】
系がUV硬化性である場合、系は一般的に光開始剤も含む。好適な光開始剤は当業者に周知であり、好ましくはハロメチルオキサジアゾール、ハロメチル−s−トリアジン、3−アリール−置換クマリン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体、オキシムエステル及びオキシムから選択される。好適な光開始剤は、例えば、GB−2,339,571号、US−6,485,885号、GB−2,358,017号、GB−2,357,293号、WO−02/100903号、J. Photopolym. Sci. Technol. 15, 51−57(2002), IP. com. Journal IPCOM 000012462D, (6), 101−109(2003)、US−2004/0102548号、US−2004/0102673号、WO07/062963号及びWO07/071497号にも記載されている。特定の有用な光開始剤並びにそれらの量及び適切な溶媒は、WO08/101841号(その開示内容(第26頁/27行〜33頁/第5行目)が参考として本明細書で援用される)に開示されている。
【0093】
適切な系は、例えば、ウルマン工業化学百科事典、第5版、第A18巻、第451−453頁に記載されている。
【0094】
コーティング組成物は、その中にバインダーが可溶性である有機溶媒又は溶媒混合物を含み得る。コーティング組成物は、それ以外では水性溶液又は分散液であり得る。ビヒクルは、有機溶媒及び水の混合物でもあり得る。コーティング組成物は、高固形分塗料であってもよいし、又は無溶媒(たとえば、粉体塗装材料)である可能性がある。無溶媒配合物の実例は、アクリレート又はメタクリレートの混合物、不飽和ポリエステル/スチレン混合物又は他のエチレン性不飽和モノマー若しくはオリゴマーの混合物である。粉末コーティングは、例えば、ウルマン工業化学百科事典、第5版、第A18巻、第438−444頁に記載されているものである。粉体塗装材料は、粉体スラリーの形態であってもよい(粉末の好ましくは水中分散液)。
【0095】
コーティングで使用する場合、本発明の顔料組成物を当該技術分野で一般的な技術により分散粒子としてコーティング中に組み入れる。分散は、適切な溶媒の使用によるコーティング組成物中への組み入れと組み合わせてもよい。
【0096】
本発明によるコーティング組成物は、任意の所望の基体、例えば金属、木材、プラスチック、複合体、ガラス又はセラミック材料基体に、常用の方法により、例えば浸漬、ナイフ塗布、フィルム延伸、ブラッシング、スプレー、注入、ドローダウン、スピンコーティング、浸漬又は電気泳動により施用することができ、本発明によるコーティングは、有利には加熱又は照射による乾燥及び硬化後に形成される;ウルマン工業化学百科事典、第5版、第A18巻、第491−500頁も参照。
【0097】
コーティングをもたらすさらなる施用法は、粉体塗装及びコイル塗装法であり、その全詳細は、当業者には本質的に知られている。
【0098】
本発明による顔料組成物での高分子量有機物質の着色は、例えば、後者(場合によってマスターバッチの形態)を基体と、ロールミル又は混合若しくは粉砕装置を用いて混合することによって実施する。着色された材料を、次いで一般に、本質的に公知の方法、例えばカレンダー仕上げ、圧縮成形、押出,コーティング、スプレー、キャスティング、印刷又は射出成形により、所望の最終形態にする。軟質成形品を製造するため又はそれらの脆性を軽減するために、成形前にいわゆる可塑剤を高分子量化合物中に組み入れることが望ましいことが多い。可塑剤として、例えば、リン酸、フタル酸又はセバシン酸のエステルを使用することができる。本発明による方法では、顔料組成物を組み入れる前又は後に、可塑剤をポリマー中に組み入れることができる。異なる色合いを得るために、顔料組成物に加えて、高分子量有機材料、またフィラー又は他の色を付与する成分、例えば白色、着色若しくは黒色顔料並びにエフェクト顔料も、それぞれ所望の量で添加することもできる。
【0099】
顔料組成物の混合は、実際の処理ステップの直前に、例えば本発明による粉末状着色剤及び、同時に顆粒状高分子量有機材料、並びに場合によってさらなる成分、例えば添加剤を、処理直前に混合が行われる押出機の取り入れゾーン中に直接連続して供給することにより実施することもできる。しかし、一般的には、着色剤を前もって高分子量有機材料中に混合するのが好ましい。なぜなら、さらに均一な結果が得られるからである。
【0100】
コーティング及び印刷インクを着色するために、高分子量有機材料及び本発明による着色剤組成物を、場合によって添加剤、例えば安定剤、分散剤、光沢改良剤、フィラー、他の顔料、乾燥剤又は可塑剤とともに、一般的には有機及び/又は水性溶媒又は溶媒混合物中に微細分散又は溶解させる。個々の成分を別々に分散若しくは溶解させるか、又は複数の成分を一緒に分散若しくは溶解させ、それから初めて全ての成分を合する手順を使用することが可能である。
【0101】
着色される高分子量材料がコーティングである場合、これは常用のコーティング又は特殊コーティング、例えば自動車仕上げであってよい。コーティングは、多層仕上げの構成成分であってよい。エフェクト仕上げは、金属フレーク、非被覆若しくは被覆雲母及び/又は干渉顔料の添加によって得られる。本発明による顔料組成物の利点は、コーティング用途で特に顕著である。
【0102】
好ましくは、本発明によるコーティングは、保護として、常用の厚さのクリアラッカーをさらに付与されており、このクリアラッカーは、例えば、1以上のUV吸収剤を含むか、又は透明着色顔料で着色されているか、又はエフェクト顔料を含む。本発明によるコーティングが金属基体上に配置される場合、この基体は、好ましくは例えば白色、黒色、又は灰色プライマーで下塗りされる。灰色プライマーが実際上の理由から通常好ましい。
【0103】
一般的に公知の組成の印刷インクは、出版、図、包装、紙幣、ロジスティック文書又は装飾用に、常用の方法、例えば活版印刷(フレキソ印刷)、平版印刷(オフセット印刷、リソグラフ印刷)、凹版印刷(輪転グラビア、鋼版彫刻)、スクリーン印刷又はインクジェット印刷(ピエゾ若しくは蒸気泡法)により、例えば紙、カード、金属、木材、革、プラスチック又は織物に対して施用される。さらなるインク組成物は、ボールペン及びフェルトペンで、並びにインクパッド、インクリボン及びインクカートリッジで使用することができる。
【0104】
当業者は特に、いつものこととして、当業者に公知の任意のプラスチック、コーティング又は印刷インク組成物、例えば公開特許出願の対象であるもの、又は市販のものを、それらの組成物の正確な知識がない場合でも試用することが特に勧められる。
【0105】
プラスチック、コーティング及び印刷インクの形態の高分子有機材料の原液着色に加えて、本発明による着色剤組成物は、例えば、固体トナー、ワックス転写リボン、又は好ましくはカラーフィルターにも適している。
【0106】
カラーフィルターは、慣例上、赤色、青色及び緑色ピクセルを有し、またほとんどの場合、透明担体材料上に黒色マトリックスも有する。カーボンブラック又は黒色有機顔料に基づく本発明の着色剤組成物をカラーフィルターにおいて一般的に用いて、黒色マトリックス(例えば、その開示内容全体が参考として本明細書で援用されるEP09150825.9で開示されているもの)を形成し、一方、着色顔料、特に赤色、青色又は緑色有機顔料に基づく本発明の着色剤組成物を、一般的にカラーフィルターにおいて使用し、1以上の透明層を形成し、有利には驚くほど高透明度、高コントラスト、高色純度(彩度)及び更に広い達成可能な色域がもたらされる。
【0107】
本発明は、したがって、カラーフィルターを製造するための本発明の組成物又は化合物の使用、並びに少なくとも3色の像点(ピクセル)及び場合によって黒色マトリックスを含むカラーフィルターに関し、この場合、像点及び/又は任意の黒色マトリックスの一部分は、本発明による組成物を含む。
【0108】
カラーフィルターは通常、さらなる、好ましくはカラーフィルター配合物で常用の無色成分、例えば溶媒又は、特に添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、湿潤剤、界面活性剤、消泡剤、可塑剤、テクスチャー改良剤、バインダー、分散剤並びに、好ましくは重合性モノマー若しくはオリゴマー、解重合性ポリマー及び/又は光開始剤を含み得る。この種類のさらなる成分を、本発明の顔料組成物に基づいて、有利には0〜2000%の合計量で添加する。
【0109】
放射線によって修飾可能な組成物は、レジストとしても知られている(例えば、WO2007/113107号で記載されているとおり)。放射線(例えば、UV光)は、例えば、マスクを通して組成物のコーティング上に向けることができ、その過程で、照射された場所はさらに不溶性になるか、又は更に可溶性になるかのいずれかである。可溶性のままであるか、又は可溶性になった層の部分を続いて除去して、所望の像点が残るようにする。後者を次いで通常は熱硬化させる。
【0110】
放射線により修飾可能な任意の所望の組成物、例えばこれらに限定されるものではないが、WO07/062963号又はWO07/071497号で開示されているものを用いることができる。放射線により修飾可能な組成物が好ましく、これをその後、場合によって、40〜320℃、特に180〜300℃、極めて特別には200〜250℃の温度で硬化させる。
【0111】
放射線硬化性組成物の成分及びカラーフィルターの製造法は、当業者に公知である。好ましい方法は、WO08/101841号に記載され;この使用に関連する出願の内容は、したがって、この点でその開示内容全体、特に第19頁/1行目〜第33頁/5行目が参考として本出願中で援用される。全ての手順及び選択を、特に互いに組み合わせて適用する。
【0112】
以下の実施例は、本発明を制限することなく説明する(「%」は特に指定しない限り質量基準である):
【0113】
実施例1:65質量%の非置換γ−キナクリドン(C.I.ピグメントバイオレット19)及び35質量%の2,9−ジクロロキナクリドン(C.I.ピグメントレッド202)からなる固溶体顔料を通常の方法で製造し、湿潤プレスケーキとして単離する。この湿潤プレスケーキを水中に分散させて、10質量%の顔料及び90質量%の水を含む懸濁液を形成し、この懸濁液を0〜3℃で冷却する。
【0114】
1.55gの6−アミノ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(97%純度)を50mlの脱イオン水及び4.2mlの水性塩酸(32質量%HCl)とともに撹拌する。混合物を0〜3℃まで冷却し、2.12mlの亜硝酸ナトリウム4M溶液で処理して、ジアゾニウム塩を形成する。
【0115】
ジアゾニウム塩を含む混合物を次いで300gの10%顔料懸濁液にゆっくりと添加する。懸濁液(pH約1)を連続して0〜3℃、23℃及び60℃でそれぞれ1時間、次いで75〜80℃で4時間30分間撹拌し、次いで最後に25℃まで冷却し、ろ過する。残留物を弱塩基性水中に分散させ、得られた懸濁液をろ過する。残留物を脱イオン水で洗浄し、60℃で乾燥し、次いで粉砕する。
【0116】
実施例2:6−アミノ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを等モル量の5−アミノ−イサチン(85%純度)に替え、懸濁液(pH約1)を連続して0〜3℃、23℃及び60℃でそれぞれ1時間、次いで70℃で3時間撹拌した後、最終的に冷却し、ろ過する以外は、実施例1と同じように進行する。
【0117】
実施例3:6−アミノ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを等モル量の4−フタルイミド(89%純度)に替え、懸濁液(pH約1)を連続して0〜3℃、23℃及び60℃でそれぞれ1時間撹拌し、次いでろ過する以外は、実施例1と同様に進行する。
【0118】
実施例4:6−アミノ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを等モル量の5−アミノ−ベンズイミダゾロン(94%純度)に替え、懸濁液(pH約1)を連続して0〜3℃、23℃及び60℃でそれぞれ1時間、次いで85℃で4時間撹拌した後、最終的に冷却及びろ過する以外は、実施例1と同様に進行する。
【0119】
比較例1:6−アミノ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを等モル量のスルファニル酸に替え、懸濁液(pH約1)を連続して0〜3℃及び23℃でそれぞれ1時間、次いで65℃で2時間撹拌した後、最終的に冷却及びろ過する以外は、実施例1と同様に進行する。
【0120】
比較例2:6−アミノ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオンを等モル量のプロカインアミドに替え、懸濁液(pH約1)を連続して0〜3℃及び23℃でそれぞれ1時間、次いで60℃で2時間15分間撹拌した後、最終的に冷却及びろ過する以外は、実施例1と同様に進行する。
【0121】
実施例5〜10:実施例1、2、3及び4並びに比較例1及び2の顔料組成物を、コーティング組成物で以下のようにそれぞれ試験する。8.0gの実施例1、2、3及び4並びに比較例1及び2の各顔料組成物を、直径2mmのガラスビーズ100gを含む250mlのジャー中に導入する。他の成分を次いで以下のように添加する:
4.0グラムのDisperbyk(登録商標)161(Byk Chemie)
11.4グラムの、20%CAB−531−1(Eastman Chem.)の酢酸n−ブチル溶液
11.4gのMaprenal(登録商標)MF650(Clariant)
15.2gのSetal(登録商標)173−VS−60(Nuplex Resins)
【0122】
顔料組成物を前記混合物中に6時間、Skandex(登録商標)シェーカーで分散させることによって、16質量%の顔料組成物を含むミルベースを得る。ミルベースを遠心分離によってビーズから分離し、レオロジー測定の目的のために、インキュベーター中、23℃で2時間保存する。ミルベースの顔料組成物の粘度を、0.07〜1000s−1の様々な剪断速度で、コーン/プレート系Thermo Haake RV1(商標)(Plate P61、Rotor Cone C60/1:D=60mm、1°、Titan)を用いて測定する。結果(全ての単一計測に最良適合する曲線上で内挿する)は以下のとおりである:
【表1】

【0123】
本発明の実施例1及び2による組成物はまた、特定の顧客のための大手メーカーによるオーダーメードを含む市販のもの、又はその正確な組成は本出願者らにはわからない依然として先行開発中の高固形分コーティング系において、比較例1及び2の組成物よりもはるかに良好に機能する。
【0124】
実施例11:35gのPaliogen(登録商標)Red L4120、ロット03355500を水中に分散させて、10質量%の顔料及び90質量%の水を含む懸濁液を形成し、この懸濁液を0〜3℃で冷却する。
【0125】
1.81gの6−アミノ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(97%純度)を20mlの脱イオン水及び4.8mlの水性塩酸(32質量%HCl)とともに撹拌する。混合物を0〜3℃まで冷却し、亜硝酸ナトリウムの4M溶液2.47mlで処理して、ジアゾニウム塩を形成する。過剰の亜硝酸ナトリウムをスルファミン酸で除去する。
【0126】
ジアゾニウム塩を含む混合物を次いで350gの10%顔料懸濁液にゆっくりと添加する。懸濁液(pH約1)を連続して0〜3℃で1時間、25℃で一晩、そして60℃で8時間撹拌し、次いで最終的に25℃まで冷却し、ろ過する。残留物を600mlの脱イオン水中に分散させ、pHを9に調節し、得られた懸濁液をろ過する。残留物を脱イオン水で洗浄し、60℃及び130ミリバールで乾燥し、次いで粉砕する。収量は35.3gであった。
【0127】
実施例12:35gのPaliogen(登録商標)Red L4120、ロット03355500を水中に分散させて、10質量%の顔料及び90質量%の水を含む懸濁液を形成し、そしてこの懸濁液を0〜3℃で冷却する。
【0128】
2.72gの7−アミノ−2H−1,4−ベンゾキサジン−3(4H)−オン(64.3%純度)を20mlの脱イオン水及び5.2mlの水性塩酸(32質量%HCl)とともに撹拌する。混合物を0〜3℃まで冷却し、亜硝酸ナトリウムの4M溶液2.67mlで処理して、ジアゾニウム塩を形成する。過剰の亜硝酸ナトリウムをスルファミン酸で除去する。
【0129】
ジアゾニウム塩を含む混合物を次いで350gの10%顔料懸濁液にゆっくりと添加する。懸濁液(pH約1)を連続して0〜3℃で1時間、25℃で一晩、そして70℃で3時間撹拌し、次いで最終的に25℃まで冷却し、ろ過する。残留物を600mlの脱イオン水中に分散させ、pHを9に調節し、得られた懸濁液をろ過する。残留物を脱イオン水で洗浄し、60℃及び130ミリバールで乾燥し、次いで粉砕する。収量は33.6gであった。
【0130】
実施例13:30gのPaliogen(登録商標)Red L3885、ロット090008P040を水中に分散させて、10質量%の顔料及び90質量%の水を含む懸濁液を形成し、懸濁液を0〜3℃で冷却する。
【0131】
2.47gの6−アミノ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(97%純度)(60.7%純度)を50mlの脱イオン水及び6.55mlの水性塩酸(32質量%HCl)とともに撹拌する。混合物を0〜3℃まで冷却し、亜硝酸ナトリウムの4M溶液3.37mlで処理して、ジアゾニウム塩を形成する。過剰の亜硝酸ナトリウムをスルファミン酸で除去する。
【0132】
ジアゾニウム塩を含む混合物を次いで300gの10%顔料懸濁液にゆっくりと添加する。懸濁液(pH約1)を連続して0〜3℃で1時間、そして85℃で16時間撹拌し、次いで最終的に25℃まで冷却し、ろ過する。残留物を600mlの脱イオン水中に分散させ、pHを9に調節し、得られた懸濁液をろ過する。残留物を脱イオン水で洗浄し、60℃及び130ミリバールで乾燥し、次いで粉砕する。収量は30.2gであった。
【0133】
実施例14:50gのHeliogen(登録商標)Blue L6950、ロット070002P040を水中に分散させて、15質量%の顔料及び85質量%の水を含む懸濁液を形成し、そして懸濁液を0〜3℃で冷却する。
【0134】
0.99gの6−アミノ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(92.3%純度)を添加し、続いて2.0mlの水性塩酸(32質量%HCl)を添加する。混合物を亜硝酸ナトリウムの4M溶液0.96mlで処理して、ジアゾニウム塩を形成する。過剰の亜硝酸ナトリウムをスルファミン酸で還元した。
【0135】
ジアゾニウム塩及び顔料(pH約1)を含む混合物を次いで連続して0〜3℃で1時間、80℃で16時間撹拌し、次いで最終的に45℃まで冷却する。標準的仕上げ処理により、51.7gの乾燥し、粉砕された物質を得た。
【0136】
実施例15:US7’081’540B2中実施例1Eにしたがって製造した10gのオレンジ色DPP顔料を水中に分散させて、10質量%の顔料及び90質量%の水を含む懸濁液を形成し、懸濁液を0〜3℃で冷却する。
【0137】
0.52gの6−アミノ−1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン(97%純度)を30mlの脱イオン水及び1.41mlの水性塩酸(32質量%HCl)とともに撹拌する。混合物を0〜3℃まで冷却し、亜硝酸ナトリウムの4M溶液0.71mlで処理して、ジアゾニウム塩を形成する。過剰の亜硝酸ナトリウムをスルファミン酸で除去する。
【0138】
ジアゾニウム塩を含む混合物を次いで100gの10%顔料懸濁液にゆっくりと添加する。懸濁液(pH約1)を連続して0〜3℃で1時間、20〜25℃で1時間、47〜50℃で1時間、そして60〜64℃で1時間撹拌する。懸濁液を、12時間25℃で、次いで1時間70〜74℃で、次いで80〜84℃で1時間、そして14時間90℃で撹拌し、次いで最終的に25℃まで冷却し、ろ過する。残留物を弱塩基性水中に分散させ、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを9に調節し、得られた懸濁液をろ過する。残留物を脱イオン水で洗浄し、60℃及び130ミリバールで乾燥し、次いで粉砕する。収量は8.9gであった。
【0139】
実施例16:65質量%の非置換γ−キナクリドン(C.I.ピグメントバイオレット19)及び35質量%の2,9−ジクロロキナクリドン(C.I.ピグメントレッド202)からなる固溶体顔料を通常の方法で製造し、湿潤プレスケーキとして単離し、60℃及び130ミリバールで乾燥し、次いで粉砕する。
【0140】
US5’334’727号の実施例2と同様にして、35.7gのこの乾燥物質を硫酸(100質量%H2SO4)中に溶解させる。青紫色溶液を40℃まで加熱し、13.4gの2−ヒドロキシベンズイミダゾール(97%純度)を添加し、続いて3.0gのパラホルムアルデヒドを添加する。反応混合物を60℃で5時間撹拌する。反応混合物を2リットルの氷/水混合物中に注ぎ、1時間撹拌する。混合物をろ過し、プレスケーキを脱イオン水で洗浄する。収量は170gの湿潤プレスケーキであった。
【0141】
85gの湿潤プレスケーキを400gの水中に懸濁させる。固形分は6.14%である。懸濁液を1.19gの1,2−ドデカンジオールで処理し、70℃まで1時間加熱する。懸濁液を45℃まで冷却し、ろ過し、脱イオン水で洗浄し、50℃及び250ミリバールで乾燥し、次いで粉砕する。収量は30.5gである。
【0142】
実施例17:通常の方法で製造し、湿潤プレスケーキとして単離し、乾燥し、粉砕された65質量%の非置換γ−キナクリドン(C.I.ピグメントバイオレット19)及び35質量%の2,9−ジクロロキナクリドン(C.I.ピグメントレッド202)からなる20gの固溶体顔料を、実施例16にしたがって製造した5gの乾燥顔料とブレンドする。25gのブレンドされた物質を得た。
【0143】
実施例18:通常の方法で製造された、65質量%の非置換γ−キナクリドン(C.I.ピグメントバイオレット19)及び35質量%の2,9−ジクロロキナクリドン(C.I.ピグメントレッド202)からなる50gの固溶体顔料。
【0144】
この湿潤プレスケーキを水中に分散させて、11質量%の顔料及び89質量%の水を含む懸濁液を形成し、そして懸濁液を0〜3℃で冷却する。
【0145】
0.78gの5−アミノ−ベンズイミダゾロン(94%純度)を添加し、続いて1.9mlの水性塩酸(32質量%HCl)を添加する。混合物を亜硝酸ナトリウムの4M溶液0.91mlで処理して、ジアゾニウム塩を形成する。過剰の亜硝酸ナトリウムをスルファミン酸で還元した。
【0146】
ジアゾニウム塩及び顔料(pH約1)を含む混合物を次いで連続して25℃で1時間、80℃で2時間、そして85℃で2時間30分間撹拌し、次いで最終的に45℃まで冷却する。標準的仕上げ処理の結果、43.6gの乾燥し、粉砕された物質を得た。
【0147】
実施例19〜22:参考例Paliogen(登録商標)Red L3885(ロット090008P040)、実施例13、17、18の顔料組成物をそれぞれ以下のようにしてコーティング組成物で試験する。参考例Paliogen(登録商標)Red L3885(ロット090008P040)、実施例13、17、18の各顔料組成物8.0gを、直径2mmのガラスビーズ100gを含む250mlのジャー中に導入する。他の成分を次いで次のように添加する:
4.0グラムのDisperbyk(登録商標)161(Byk Chemie)
11.4グラムの、20%CAB−531−1(Eastman Chem.)の酢酸n−ブチル溶液
11.4gのMaprenal(登録商標)MF650(Clariant)
15.2gのSetal(登録商標)173−VS−60(Nuplex Resins)
【0148】
顔料組成物を前記混合物中に6時間Skandex(登録商標)シェーカー上で分散させることによって、16質量%の顔料組成物を含むミルベースを得る。ミルベースを遠心分離によりビーズから分離し、レオロジー測定の目的のために、インキュベーター中、23℃で2時間保存する。ミルベースの顔料組成物の粘度を、0.07〜1000s−1の様々な剪断速度でコーン/プレート系Thermo Haake RV1(商標)(Plate P61、Rotor Cone C60/1:D=60mm、1°、Titan)を用いて測定する。結果(全ての単一計測に最良適合する曲線上で内挿する)は次のとおりである:
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(a1)カーボンブラック又は(a2)式(I)
【化1】

(式中、Z及びZは、互いに独立してO又はN・・・であり、各C・は、全ての他のC・から独立して、p軌道に1個の電子を有する炭素原子であり、nは1〜4の整数である)の少なくとも1つの基若しくはそのシス/トランス異性体を含むクロモフォアQを含む有機顔料;及び
(b)3.5・10gのカーボンブラック又は100モルの前記有機顔料(a)に基づいて、0.5〜30モル、好ましくは0.8〜15モル、最も好ましくは1〜10モルの、式(II)
【化2】

(式中、Qは、カーボンブラック又はクロモフォアQのm価残基であり;

【化3】

であり(Gの任意の末端はQに対してメタ位で芳香族C原子に結合し、Gの他の末端は、Qに対してパラ位で芳香族C原子に結合し、そしてRは、Rから独立して、Rと同じ定義を有する);
、R及びRは、互いに独立して、H、ハロゲン、OH、NH、NO、R、OR、SR、NR、COR、CO、CONR又はSOであり;
各Rは、任意の他のRから独立して、H又はRであり、好ましくはH、メチル又はエチルであり、最も好ましくはHであり;
各Rは、任意の他のRから独立して、H、ハロゲン、OH、NH、NO、R、OR、SR、NR、COR、CO、CONR又はSOであり;
は、H、ジェミナルなR又はRに対する直接結合であって、かくして3〜8員ホモ若しくはヘテロ環を形成するか、或いは任意の他のRから独立して、R基であり;
各Rは、任意の他のRから独立して、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキルであり、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル又はC〜Cシクロアルケニルであり(それぞれ非置換であるか、又はハロゲン、アミノ及びヒドロキシからなる群から選択される1以上の置換基で置換され、中断されていないか、又は1以上の−O−、−S−、−NH−若しくは−N(C〜Cアルキル)−により中断されている);そして
mは1〜4、好ましくは1又は2の整数である)のクロモフォアを含む化合物
を含む、顔料組成物。
【請求項2】
式(II)のクロモフォアが式
【化4】

(式中、R、R、R、R及びRは、好ましくは全てHである)
である、請求項1に記載の顔料組成物。
【請求項3】

【化5】

(式中、mは1〜4、好ましくは1又は2の整数であり;
は、カーボンブラックの残基、又は式(I)
【化6】

(式中、Z及びZは、互いに独立してO又はN・・・であり、各C・は全ての他のC・から独立して、p軌道に1個の電子を有する炭素原子であり、nは、1〜4の整数である)の少なくとも1つの基若しくはそのシス/トランス異性体を含むクロモフォアの残基であり;

【化7】

であり(Gの任意の末端はQに対してメタ位で芳香族C原子に結合し、そしてGの他の末端は、Qに対してパラ位で芳香族C原子に結合し、そしてRはRから独立して、Rと同じ定義を有する);
、R及びRは、互いに独立して、H、ハロゲン、OH、NH、NO、R、OR、SR、NR、COR、CO、CONR又はSOであり、
各Rは、任意の他のRから独立して、H又はRであり、好ましくはH、メチル又はエチルであり、最も好ましくはHであり;
各Rは任意の他のRから独立して、H、ハロゲン、OH、NH、NO、R、OR、SR、NR、COR、CO、CONR又はSOであり;
は、H、ジェミナルなR又はRに対する直接結合であって、かくして3〜8員ホモ若しくはヘテロ環を形成するか、或いは任意の他のRから独立してR基であり;
各Rは任意の他のRから独立して、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル又はC〜Cシクロアルケニル(それぞれ非置換であるか、又はハロゲン、アミノ及びヒドロキシからなる群から選択される1以上の置換基で置換され、中断されていないか、又は1以上の−O−、−S−、−NH−若しくは−N(C〜Cアルキル)−により中断されている)であり;そして
mは1〜4、好ましくは1又は2の整数である)のクロモフォアを含む化合物。
【請求項4】
好ましくは着色コーティング組成物用のレオロジー改良剤としての請求項3に記載の化合物の使用。
【請求項5】
請求項3に記載の化合物の製造方法であって、カーボンブラックの懸濁液又は式(I)
【化8】

(式中、ZおよびZはそれぞれ互いに独立して、O又はN・・・であり、各C・は他の全てのC・から独立して、p軌道に1個の電子を有する炭素原子であり、nは1〜4の整数である)
の少なくとも1つの基若しくはそのシス/トランス異性体を含むクロモフォアQを含む有機顔料の懸濁液を、液体媒体中で式(III)
【化9】

(式中、Xは無機アニオンである)のジアゾニウム塩、又は式(IV)
【化10】

の化合物及びジアゾ化剤で処理することを含む、製造方法。
【請求項6】
0〜50質量%、好ましくは5〜30質量%の揮発性部分、10〜50質量%の不揮発性で、本質的に無色の部分、及び5〜85質量%の、カーボンブラック及び/又は、式(I)
【化11】

(式中、Z及びZは、互いに独立してO又はN・・・であり、各C・は全ての他のC・から独立して、p軌道に1個の電子を有する炭素原子であり、nは1〜4の整数である)の少なくとも1つの基若しくはそのシス/トランス異性体を含むクロモフォアQを含む有機顔料を含む着色部分を含むコーティング組成物であって、
全ての前記質量百分率は、常に100%である硬化組成物の合計質量に基づき、
前記コーティング組成物がさらに、3.5・10gのカーボンブラック又は100モルの前記有機顔料に基づいて、0.5〜30モル、好ましくは0.8〜15モル、最も好ましくは1〜10モルの、式(II)
【化12】

(式中、Qは、カーボンブラック、又はクロモフォアQのm価残基であり、

【化13】

(Gの任意の末端はQに対してメタ位で芳香族C炭素に結合し、Gの他の末端はQに対してパラ位で芳香族C原子に結合し、そしてRは、Rから独立して、Rと同じ定義を有する)であり;
、R及びRは、互いに独立して、H、ハロゲン、OH、NH、NO、R、OR、SR、NR、COR、CO、CONR又はSOであり;
各Rは、任意の他のRと独立して、H又はR、好ましくはH、メチル又はエチル、最も好ましくはHであり;
各Rは、任意の他のRと独立して、H、ハロゲン、OH、NH、NO、R、OR、SR、NR、COR、CO、CONR又はSOであり;
は、H、ジェミナルなR若しくはRへの直接結合であり、かくして3〜8員ホモ若しくはヘテロ環を形成するか、或いは任意の他のRと独立してR基であり;
各Rは、任意の他のRから独立して、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル又はC〜Cシクロアルケニル(それぞれ非置換であるか、若しくはハロゲン、アミノ及びヒドロキシからなる群から選択される1以上の置換基で置換され、中断されていないか、又は1以上の−O−、−S−、−NH−若しくは−N(C〜Cアルキル)−により中断されている)であり;そして
mは1〜4、好ましくは1又は2の整数である)のクロモフォアを含む化合物も含むことを特徴とする、コーティング組成物。
【請求項7】

【化14】

と同一である、請求項6に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
コーティングを製造するための請求項6又は7に記載のコーティング組成物の使用。
【請求項9】
請求項8に記載のコーティング組成物を硬化させることによって製造されるコーティング。
【請求項10】
カラーフィルターを製造するための請求項6又は7に記載のコーティング組成物の使用。
【請求項11】
少なくとも3色の像点(ピクセル)及び場合によって黒色マトリックスを含むカラーフィルターであって、像点及び/又は任意の黒色マトリックスの一部分が請求項1又は2に記載の顔料組成物、請求項3に記載の化合物又は請求項6若しくは7に記載のコーティング組成物を含む、カラーフィルター。

【公表番号】特表2012−530165(P2012−530165A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515455(P2012−515455)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058345
【国際公開番号】WO2010/146034
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】