表面処理方法および表面処理装置
【課題】 本件は、カセットから複数枚の円板を取り出して、塗布槽内の塗布液に浸漬し、さらにその塗布液から引き上げてカセットに戻す表面処理方法および装置であって、塗布液を浸漬により塗布するにあたり、配列された円板どうしの接触を回避するとともに正常な塗布を行なう。
【解決手段】 横に延びて支持棒311の直上に位置し磁気ディスク媒体20の配列間隔と同一間隔で下向きに凹部が形成された保持棒321を用意し、その保持棒321を、磁気ディスク媒体20が槽40の直上に搬送された後その槽40内の塗布液に浸漬されるまでの間、各磁気ディスク媒体20の上端が各々の凹部321aに入り込んだ保持状態にまで支持棒に近づけておき、かつ、磁気ディスク媒体20が塗布液に浸漬された後その塗布液から引き上げられるまでの間、保持棒321を磁気ディスク媒体20と非干渉となる退避状態にまで、支持棒311から遠ざけておく。
【解決手段】 横に延びて支持棒311の直上に位置し磁気ディスク媒体20の配列間隔と同一間隔で下向きに凹部が形成された保持棒321を用意し、その保持棒321を、磁気ディスク媒体20が槽40の直上に搬送された後その槽40内の塗布液に浸漬されるまでの間、各磁気ディスク媒体20の上端が各々の凹部321aに入り込んだ保持状態にまで支持棒に近づけておき、かつ、磁気ディスク媒体20が塗布液に浸漬された後その塗布液から引き上げられるまでの間、保持棒321を磁気ディスク媒体20と非干渉となる退避状態にまで、支持棒311から遠ざけておく。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、カセットから複数枚の円板を取り出して塗布槽内の塗布液に浸漬し、さらにその塗布液から引き上げてカセットに戻す表面処理方法および表面処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば磁気ディスク媒体の製造にあたり、製造過程にある磁気ディスク媒体を液を満たした槽に浸漬してその磁気ディスク媒体の表面に保護膜を形成するなど、製品の製造にあたり、製造過程にある製品の表面に浸漬により膜を形成する表面処理工程を経ることがある。
【0003】
ここでは、磁気ディスク媒体の表面処理を例に挙げて説明する。
【0004】
図1は、磁気ディスク媒体を収納するカセットとそのカセットに収納された磁気ディスク媒体を示す斜視図である。
【0005】
このカセット10は、上面が両端面に開口しており、また両側壁11の内壁に一定の配列間隔でリブ111が形成されている。磁気ディスク媒体20は、円板形状を有し中央に穴21が設けられている。このカセット10には、複数の磁気ディスク媒体20が、リブ111にガイドされて、それらの磁気ディスク媒体20の穴21が連通するように立てた状態で、そのリブ111の間隔と同一の配列間隔で収納されている。
【0006】
図2〜図10は、従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【0007】
この表面処理装置30Aには、磁気ディスク媒体20(図1参照)を支持するための、ハンガー31と称される支持機構が備えられている。ハンガー31には、横に延びる支持棒311が備えられており、磁気ディスク媒体20は直接的には支持棒311で支持される。ここに示す例では、このハンガー31には、4支持棒311が4本備えられている。
【0008】
図11は、支持棒の形状とその支持棒に支持された状態の磁気ディスク媒体20を示した図である。
【0009】
ハンガー31に備えられた支持棒311は、図11に示すように横に延び、図1に示すカセット10内での磁気ディスク媒体20の配列間隔と同一の間隔で上向きの凹部311aが形成されており、各凹部311aに、各磁気ディスク媒体20の中央の穴21(図1参照)の上縁が係止されている。
【0010】
図2〜図10に戻って表面処理装置30Aの動作を説明する。
【0011】
図3に示すように、磁気ディスク媒体20を収納した4個のカセット10がこの表面処理装置30Aに近づいて来ると、ハンガー31が矢印A方向に下降し、カセット10が図4に示す矢印Bの方向にさらに前進すると、支持棒311が、カセット10に収納された複数の磁気ディスク媒体20の中央の穴21(図1参照)に入り込み、さらにハンガー31が図5に示す矢印Cに示すように上昇することにより、磁気ディスク媒体20が図11に示す状態に持ち上げられてカセット10から取り出される。尚、図5およびこれ以降の各図においては、図11に示すように複数配列された磁気ディスク媒体20を、1つの円柱形で略示することがある。
【0012】
ハンガー31によって図5に示すように持ち上げられた磁気ディスク媒体20は、今度は図6に示す矢印D方向に、4台の槽40の真上まで搬送される。この4台の槽40の中には、この磁気ディスク媒体20の表面に塗布されて保護膜を形成する塗布液が収容されている。
【0013】
次は、図7の矢印Eに示すようにハンガー31が下降して磁気ディスク媒体20が槽40内の塗布液に浸漬され、その後、図8の矢印Fに示すようにハンガー31が上昇して磁気ディスク媒体20が塗布液から引き上げられ、図9の矢印Gに示すように搬送され、図10の矢印Hに示すように下降して磁気ディスク媒体20がカセット10内に再び収納される。
【0014】
図12は、磁気ディスク媒体が塗布液に浸漬された状態を示した模式図である。
【0015】
磁気ディスク媒体20は、支持棒311の凹部311aに入り込んだ状態でその凹部311aのみ支持されているため、槽40内の塗布液41への浸漬時に矢印X−X方向に揺動して隣接する磁気ディスク媒体20の上端どうしや下端どうしが接触し、それらの磁気ディスク媒体20の上端や下端に塗布液が正常に塗布されずにそれらの磁気ディスク媒体が製造不良となることがある。
【0016】
磁気ディスク媒体20どうしの接触を防止するには、磁気ディスク媒体20をその中央のみでなく、上端や下端でも支持することが考えられるが(特許文献1,2参照)、そうすると今度は、その上端又は下端を支持した支持部材が正常な塗布を妨げる要因となるおそれがある。
【0017】
また、磁気ディスク媒体どうしの配列間隔を広げることも考えられるが、そうすると一回に処理できる枚数が少なくなってしまい、製造効率の低下を招くことになる。
【特許文献1】特開平8−41649号公報
【特許文献2】特開2000−123361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本件開示の表面処理方法および表面処理装置の課題は、塗布液を浸漬により塗布するにあたり、配列された円板どうしの接触を回避するとともに正常な塗布を行なうことにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本件開示の表面処理方法は、中央に穴が設けられた複数枚の円板を、所定の配列間隔で、各円板の穴が連通するように立てた状態に収納するカセットからそれら複数枚の円板を取り出して、塗布液を収容した塗布槽内の塗布液に浸漬し、さらにその塗布液から引き上げてカセットに戻す表面処理方法であって、
横に延び上記配列間隔と同一間隔で少なくとも上向きに複数の第1の凹部が形成された支持棒をカセットに対し相対的に移動させてそのカセットに収納された複数枚の円板の中央の穴に挿入し各円板を各第1の凹部に係止して持ち上げることによりそれら複数枚の円板をカセットから取り出す取出しステップと、
前記取出しステップによりカセットから取り出された複数枚の円板を塗布槽の直上にまで搬送する第1の搬送ステップと、
第1の搬送ステップにより塗布槽の直上に搬送された複数枚の円板を、横に延びて支持棒の直上に位置し、上記配列間隔と同一間隔で少なくとも下向きに複数の第2の凹部が形成された保持棒を各円板の上端縁が各第2の凹部に入り込んだ保持状態にまで支持棒に近づけた状態を維持しながら、塗布槽内の塗布液に浸漬させる浸漬ステップと、
浸漬ステップにより前記塗布液に浸漬した状態にある複数枚の円板を、保持棒を複数枚の円板と非干渉となる退避状態にまで支持棒から遠ざけた状態を維持しながら、塗布液から引き上げる引上げステップと、
引上げステップにより塗布液から引き上げられた状態の複数枚の円板をカセットの直上にまで搬送する第2の搬送ステップと、
第2の搬送ステップによりカセットの直上にまで搬送された複数枚の円板をカセットに収納する収納ステップとを有する。
【0020】
また、本件開示の表面処理装置は、中央に穴が設けられた複数枚の円板を、所定の配列間隔で、各円板の穴が連通するように立てた状態に収納するカセットからそれら複数枚の円板を取り出して、塗布液を収容した塗布槽内の塗布液に浸漬し、さらにその塗布液から引き上げてカセットに戻す表面処理装置であって、
横に延び上記配列間隔と同一間隔で少なくとも上向きに複数の凹部が形成された支持棒を有し、その支持棒をカセットに対し相対的に移動させてカセットに収納された複数枚の円板の中央の穴に挿入し各円板を各第1の凹部に係止して持ち上げることによりそれら複数枚の円板をカセットから取り出し、それら複数枚の円板を塗布槽の直上にまで搬送して塗布槽内の塗布液に浸漬させ、さらにそれら複数枚の円板を塗布液から引き上げカセットの直上にまで搬送してカセットに収納する円板支持機構と、
横に延びて支持棒の直上に位置し上記配列間隔と同一間隔で少なくとも下向きに第2の凹部が形成された保持棒を有し、その保持棒を、少なくとも、上記の複数枚の円板が塗布槽の直上に搬送された後その塗布槽内の塗布液に浸漬されるまでの間、それら複数枚の各円板の上端縁が各第2の凹部に入り込んだ保持状態にまで支持棒に近づけた保持状態を維持し、かつ、少なくとも、塗布液に浸漬された複数枚の円板が塗布液から引き上げられるまでの間、保持棒をそれら複数枚の円板と非干渉となる退避状態にまで支持棒から遠ざけておく浸漬補助機構とを備えている。
【0021】
複数の円板を支持棒のみで支持して塗布液に浸漬する場合に揺れ(図12参照)が発生するのは、それら複数枚の円板が塗布液に浸漬されつつある状態のときであって、円板が塗布液に浸漬された後、および浸漬された円板を塗布液から引き上げる際には、隣接する円板に接触するほどの揺れは発生し難い。
【0022】
本件開示の表面処理方法および表面処理装置は、この点に着目したものであり、上記の保持棒を用意し、複数枚の円板を塗布液に浸漬するために下降しつつある間はその保持棒により円板の揺れを防止し、浸漬した後はその保持棒を円板から離して、その離した状態で引き上げるものであり、円板の配列間隔を広げることなく円板どうしの接触が防止され、正常な塗布が行なわれる。
【発明の効果】
【0023】
本件開示の表面処理方法および表面処理装置によれば、塗布液を浸漬により塗布するにあたり、配列された円板どうしの接触を回避するとともに正常な塗布が行なわれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本件の実施形態を説明する。
【0025】
図13〜図21は、本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【0026】
図13〜図21は、前述した図2〜図10にそれぞれ対応しており、ここでは、図2〜図10との相違点を中心に説明する。
【0027】
図13〜図21に示す表面処理装置30Bは、図2〜図10に示した表面処理装置30Aに、さらに、保持棒321を備えた浸漬補助機構32を備えていることにある。ここで、この実施形態では支持棒311が4本備えられていることに対応し、保持棒321も4本備えられている。
【0028】
この保持棒321は、横に延びて対応する支持棒311の直上に位置し、図1に示すカセット10内での磁気ディスク媒体20の配列間隔と同一の間隔で下向きに凹部が形成されている。
【0029】
図22は、支持棒と保持棒との双方で支持された状態の磁気ディスク媒体を示した図である。
【0030】
磁気ディスク媒体20の、ハンガー31を構成する支持棒311による支持方式は、図11に示した従来の場合と同様である。ここでは、その支持棒311の真上に、浸漬補助機構32を構成する保持棒321が配列されており、各磁気ディスク媒体20の上端が、保持棒321に形成され、支持棒311の凹部311aの配列ピッチと同一のピッチに配列された下向きの凹部321aに入り込んでいる。
【0031】
図23は、図22の一部分の拡大図である。
【0032】
保持棒321は、支持棒311の凹部311aに係合して支持棒311に支持された磁気ディスク媒体20の上端が保持棒321の凹部321aに入り込み、かつ、磁気ディスク媒体20に外乱が作用していない状態においては磁気ディスク媒体20と非接触となる保持状態にまで支持棒311に近づいている。後述する塗布液への浸漬にあたっては、磁気ディスク媒体20の上端が保持棒321の凹部321aに入り込み、かつ非接触の保持状態を維持したまま下降し、磁気ディスク媒体20が塗布液に浸漬される。
【0033】
図13〜図22に戻って表面処理装置30Bの動作を説明する。
【0034】
図14に示すように、複数枚の磁気ディスク媒体20を収納した4個のカセット10がこの表面処理装置30Bに近づいて来ると4台のハンガー31が矢印A方向に下降し、図15に示す矢印Bの方向にカセット10がさらに前進すると、ハンガー31の支持棒311が、カセット10に収納された複数の磁気ディスク媒体20の中央の穴21(図1参照)に入り込み、さらにハンガー31が図16に示す矢印Cに示すように上昇することにより、磁気ディスク媒体20が図11に示す状態に持ち上げられてカセット10から取り出される。
【0035】
これら図14〜図16に示す磁気ディスク媒体20をカセット10から取り出す間、保持棒321は、支持棒311の直上であって、支持棒311とは十分に離れた位置にあり、磁気ディスク媒体20と干渉しない退避状態となっている。
【0036】
ハンガー31によって図16に示すように持ち上げられた磁気ディスク媒体20は、今度は図17に示す矢印D方向に、4台の槽40の直上まで搬送される。このとき、保持棒321も支持棒311と一緒に矢印D方向に移動するが、保持棒321は退避状態を保っている。4台の槽40の中には、この磁気ディスク媒体20の表面に塗布されて保護膜を形成する塗布液が収容されている。
【0037】
次に、図18の矢印Eに示すようにハンガー31が下降して磁気ディスク媒体20が槽40内の塗布液に浸漬されるが、この下降の際は、支持棒311は停止したまま保持棒321のみが先ず下降して保持状態(図22,図23に示す状態)となり、その後、その保持状態を維持したまま、支持棒311と保持棒321が同時に下降し、磁気ディスク媒体20が槽40内の塗布液中に浸漬される。このとき、磁気ディスク媒体20には、その磁気ディスク媒体20を図12に示す矢印X−X方向に揺動させる外乱が加わることがあるが、その場合であっても、磁気ディスク媒体20の上端は、保持棒321の凹部321aに入り込んでいるため、隣接する磁気ディスク媒体20どうしの接触は回避される。
【0038】
また、磁気ディスク媒体20がその上端まで塗布液内に浸漬されて外乱の作用が収まると磁気ディスク媒体20の上端は保持棒321の凹部321aとは接触しない状態となり、塗布液が上端にまで回り込んで正常な塗布が行なわれる。
【0039】
その後、磁気ディスク媒体20は、図19の矢印Fに示すように塗布液から引き上げられるが、この際、先ず、支持棒311は残したまま保持棒321のみが早めに引き上げられて退避状態になり、その後、支持棒311が引き上げられる。このように保持棒321は、磁気ディスク媒体20を塗布液に浸漬させる際のみ作用させ磁気ディスク媒体20を引き上げるときには保持棒321を退避させておくことにより、磁気ディスク媒体20どうしの接触を避けつつ磁気ディスク媒体20の上端にまで正常な塗布が行なわれる。
【0040】
その後、図20の矢印Gに示すように搬送され図21の矢印Hに示すように下降して、磁気ディスク媒体20がカセット10内に再び収納される。
【0041】
ここで、保持棒321は、磁気ディスク媒体20を塗布液に浸漬させる時のみ有効に作用するが、例えば図17に示す搬送の前に保持状態に移行してもよい。
【0042】
また、保持棒321は、磁気ディスク媒体20に外乱が作用していないときに磁気ディスク媒体上端が凹部321aに入り込み、かつ接触しないように制御されているが、保持棒321の高さを磁気ディスク媒体20の上端が保持棒321の凹部321aに入り込んでその凹部321に接触するように制御しても、例えば磁気ディスク媒体20が上端まで塗布液に浸漬される直前又は直後に保持棒を引き上げるなど、塗布液の塗布に支障を及ぼさないように制御すればよい。
【0043】
また、本実施形態では、支持棒311には上向きの凹部311aが形成され保持棒321には下向きの凹部321aが形成されているが、支持棒311は上向きにのみ、また保持棒321は下向きにのみ凹部が形成されているのではなく、例えば、所定ピッチで細径に形成されて一周する溝を有する円形の棒などであって、磁気ディスク媒体20をその一周する溝に支持し、あるいは入り込ませる構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】磁気ディスク媒体を収納するカセットとそのカセットに収納された磁気ディスク媒体を示す斜視図である。
【図2】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図3】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図4】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図5】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図6】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図7】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図8】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図9】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図10】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図11】支持棒の形状とその支持棒に支持された状態の磁気ディスク媒体を示した図である。
【図12】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図13】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図14】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図15】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図16】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図17】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図18】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図19】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図20】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図21】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図22】支持棒と保持棒との双方で支持された状態の磁気ディスク媒体を示した図である。
【図23】図22の一部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0045】
10 カセット
11 両側壁
20 磁気ディスク媒体
21 穴
30A,30B 表面処理装置
31 ハンガー
40 槽
41 塗布液
111 リブ
311 支持棒
311a,321a 凹部
321 保持棒
【技術分野】
【0001】
本件は、カセットから複数枚の円板を取り出して塗布槽内の塗布液に浸漬し、さらにその塗布液から引き上げてカセットに戻す表面処理方法および表面処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば磁気ディスク媒体の製造にあたり、製造過程にある磁気ディスク媒体を液を満たした槽に浸漬してその磁気ディスク媒体の表面に保護膜を形成するなど、製品の製造にあたり、製造過程にある製品の表面に浸漬により膜を形成する表面処理工程を経ることがある。
【0003】
ここでは、磁気ディスク媒体の表面処理を例に挙げて説明する。
【0004】
図1は、磁気ディスク媒体を収納するカセットとそのカセットに収納された磁気ディスク媒体を示す斜視図である。
【0005】
このカセット10は、上面が両端面に開口しており、また両側壁11の内壁に一定の配列間隔でリブ111が形成されている。磁気ディスク媒体20は、円板形状を有し中央に穴21が設けられている。このカセット10には、複数の磁気ディスク媒体20が、リブ111にガイドされて、それらの磁気ディスク媒体20の穴21が連通するように立てた状態で、そのリブ111の間隔と同一の配列間隔で収納されている。
【0006】
図2〜図10は、従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【0007】
この表面処理装置30Aには、磁気ディスク媒体20(図1参照)を支持するための、ハンガー31と称される支持機構が備えられている。ハンガー31には、横に延びる支持棒311が備えられており、磁気ディスク媒体20は直接的には支持棒311で支持される。ここに示す例では、このハンガー31には、4支持棒311が4本備えられている。
【0008】
図11は、支持棒の形状とその支持棒に支持された状態の磁気ディスク媒体20を示した図である。
【0009】
ハンガー31に備えられた支持棒311は、図11に示すように横に延び、図1に示すカセット10内での磁気ディスク媒体20の配列間隔と同一の間隔で上向きの凹部311aが形成されており、各凹部311aに、各磁気ディスク媒体20の中央の穴21(図1参照)の上縁が係止されている。
【0010】
図2〜図10に戻って表面処理装置30Aの動作を説明する。
【0011】
図3に示すように、磁気ディスク媒体20を収納した4個のカセット10がこの表面処理装置30Aに近づいて来ると、ハンガー31が矢印A方向に下降し、カセット10が図4に示す矢印Bの方向にさらに前進すると、支持棒311が、カセット10に収納された複数の磁気ディスク媒体20の中央の穴21(図1参照)に入り込み、さらにハンガー31が図5に示す矢印Cに示すように上昇することにより、磁気ディスク媒体20が図11に示す状態に持ち上げられてカセット10から取り出される。尚、図5およびこれ以降の各図においては、図11に示すように複数配列された磁気ディスク媒体20を、1つの円柱形で略示することがある。
【0012】
ハンガー31によって図5に示すように持ち上げられた磁気ディスク媒体20は、今度は図6に示す矢印D方向に、4台の槽40の真上まで搬送される。この4台の槽40の中には、この磁気ディスク媒体20の表面に塗布されて保護膜を形成する塗布液が収容されている。
【0013】
次は、図7の矢印Eに示すようにハンガー31が下降して磁気ディスク媒体20が槽40内の塗布液に浸漬され、その後、図8の矢印Fに示すようにハンガー31が上昇して磁気ディスク媒体20が塗布液から引き上げられ、図9の矢印Gに示すように搬送され、図10の矢印Hに示すように下降して磁気ディスク媒体20がカセット10内に再び収納される。
【0014】
図12は、磁気ディスク媒体が塗布液に浸漬された状態を示した模式図である。
【0015】
磁気ディスク媒体20は、支持棒311の凹部311aに入り込んだ状態でその凹部311aのみ支持されているため、槽40内の塗布液41への浸漬時に矢印X−X方向に揺動して隣接する磁気ディスク媒体20の上端どうしや下端どうしが接触し、それらの磁気ディスク媒体20の上端や下端に塗布液が正常に塗布されずにそれらの磁気ディスク媒体が製造不良となることがある。
【0016】
磁気ディスク媒体20どうしの接触を防止するには、磁気ディスク媒体20をその中央のみでなく、上端や下端でも支持することが考えられるが(特許文献1,2参照)、そうすると今度は、その上端又は下端を支持した支持部材が正常な塗布を妨げる要因となるおそれがある。
【0017】
また、磁気ディスク媒体どうしの配列間隔を広げることも考えられるが、そうすると一回に処理できる枚数が少なくなってしまい、製造効率の低下を招くことになる。
【特許文献1】特開平8−41649号公報
【特許文献2】特開2000−123361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本件開示の表面処理方法および表面処理装置の課題は、塗布液を浸漬により塗布するにあたり、配列された円板どうしの接触を回避するとともに正常な塗布を行なうことにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本件開示の表面処理方法は、中央に穴が設けられた複数枚の円板を、所定の配列間隔で、各円板の穴が連通するように立てた状態に収納するカセットからそれら複数枚の円板を取り出して、塗布液を収容した塗布槽内の塗布液に浸漬し、さらにその塗布液から引き上げてカセットに戻す表面処理方法であって、
横に延び上記配列間隔と同一間隔で少なくとも上向きに複数の第1の凹部が形成された支持棒をカセットに対し相対的に移動させてそのカセットに収納された複数枚の円板の中央の穴に挿入し各円板を各第1の凹部に係止して持ち上げることによりそれら複数枚の円板をカセットから取り出す取出しステップと、
前記取出しステップによりカセットから取り出された複数枚の円板を塗布槽の直上にまで搬送する第1の搬送ステップと、
第1の搬送ステップにより塗布槽の直上に搬送された複数枚の円板を、横に延びて支持棒の直上に位置し、上記配列間隔と同一間隔で少なくとも下向きに複数の第2の凹部が形成された保持棒を各円板の上端縁が各第2の凹部に入り込んだ保持状態にまで支持棒に近づけた状態を維持しながら、塗布槽内の塗布液に浸漬させる浸漬ステップと、
浸漬ステップにより前記塗布液に浸漬した状態にある複数枚の円板を、保持棒を複数枚の円板と非干渉となる退避状態にまで支持棒から遠ざけた状態を維持しながら、塗布液から引き上げる引上げステップと、
引上げステップにより塗布液から引き上げられた状態の複数枚の円板をカセットの直上にまで搬送する第2の搬送ステップと、
第2の搬送ステップによりカセットの直上にまで搬送された複数枚の円板をカセットに収納する収納ステップとを有する。
【0020】
また、本件開示の表面処理装置は、中央に穴が設けられた複数枚の円板を、所定の配列間隔で、各円板の穴が連通するように立てた状態に収納するカセットからそれら複数枚の円板を取り出して、塗布液を収容した塗布槽内の塗布液に浸漬し、さらにその塗布液から引き上げてカセットに戻す表面処理装置であって、
横に延び上記配列間隔と同一間隔で少なくとも上向きに複数の凹部が形成された支持棒を有し、その支持棒をカセットに対し相対的に移動させてカセットに収納された複数枚の円板の中央の穴に挿入し各円板を各第1の凹部に係止して持ち上げることによりそれら複数枚の円板をカセットから取り出し、それら複数枚の円板を塗布槽の直上にまで搬送して塗布槽内の塗布液に浸漬させ、さらにそれら複数枚の円板を塗布液から引き上げカセットの直上にまで搬送してカセットに収納する円板支持機構と、
横に延びて支持棒の直上に位置し上記配列間隔と同一間隔で少なくとも下向きに第2の凹部が形成された保持棒を有し、その保持棒を、少なくとも、上記の複数枚の円板が塗布槽の直上に搬送された後その塗布槽内の塗布液に浸漬されるまでの間、それら複数枚の各円板の上端縁が各第2の凹部に入り込んだ保持状態にまで支持棒に近づけた保持状態を維持し、かつ、少なくとも、塗布液に浸漬された複数枚の円板が塗布液から引き上げられるまでの間、保持棒をそれら複数枚の円板と非干渉となる退避状態にまで支持棒から遠ざけておく浸漬補助機構とを備えている。
【0021】
複数の円板を支持棒のみで支持して塗布液に浸漬する場合に揺れ(図12参照)が発生するのは、それら複数枚の円板が塗布液に浸漬されつつある状態のときであって、円板が塗布液に浸漬された後、および浸漬された円板を塗布液から引き上げる際には、隣接する円板に接触するほどの揺れは発生し難い。
【0022】
本件開示の表面処理方法および表面処理装置は、この点に着目したものであり、上記の保持棒を用意し、複数枚の円板を塗布液に浸漬するために下降しつつある間はその保持棒により円板の揺れを防止し、浸漬した後はその保持棒を円板から離して、その離した状態で引き上げるものであり、円板の配列間隔を広げることなく円板どうしの接触が防止され、正常な塗布が行なわれる。
【発明の効果】
【0023】
本件開示の表面処理方法および表面処理装置によれば、塗布液を浸漬により塗布するにあたり、配列された円板どうしの接触を回避するとともに正常な塗布が行なわれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本件の実施形態を説明する。
【0025】
図13〜図21は、本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【0026】
図13〜図21は、前述した図2〜図10にそれぞれ対応しており、ここでは、図2〜図10との相違点を中心に説明する。
【0027】
図13〜図21に示す表面処理装置30Bは、図2〜図10に示した表面処理装置30Aに、さらに、保持棒321を備えた浸漬補助機構32を備えていることにある。ここで、この実施形態では支持棒311が4本備えられていることに対応し、保持棒321も4本備えられている。
【0028】
この保持棒321は、横に延びて対応する支持棒311の直上に位置し、図1に示すカセット10内での磁気ディスク媒体20の配列間隔と同一の間隔で下向きに凹部が形成されている。
【0029】
図22は、支持棒と保持棒との双方で支持された状態の磁気ディスク媒体を示した図である。
【0030】
磁気ディスク媒体20の、ハンガー31を構成する支持棒311による支持方式は、図11に示した従来の場合と同様である。ここでは、その支持棒311の真上に、浸漬補助機構32を構成する保持棒321が配列されており、各磁気ディスク媒体20の上端が、保持棒321に形成され、支持棒311の凹部311aの配列ピッチと同一のピッチに配列された下向きの凹部321aに入り込んでいる。
【0031】
図23は、図22の一部分の拡大図である。
【0032】
保持棒321は、支持棒311の凹部311aに係合して支持棒311に支持された磁気ディスク媒体20の上端が保持棒321の凹部321aに入り込み、かつ、磁気ディスク媒体20に外乱が作用していない状態においては磁気ディスク媒体20と非接触となる保持状態にまで支持棒311に近づいている。後述する塗布液への浸漬にあたっては、磁気ディスク媒体20の上端が保持棒321の凹部321aに入り込み、かつ非接触の保持状態を維持したまま下降し、磁気ディスク媒体20が塗布液に浸漬される。
【0033】
図13〜図22に戻って表面処理装置30Bの動作を説明する。
【0034】
図14に示すように、複数枚の磁気ディスク媒体20を収納した4個のカセット10がこの表面処理装置30Bに近づいて来ると4台のハンガー31が矢印A方向に下降し、図15に示す矢印Bの方向にカセット10がさらに前進すると、ハンガー31の支持棒311が、カセット10に収納された複数の磁気ディスク媒体20の中央の穴21(図1参照)に入り込み、さらにハンガー31が図16に示す矢印Cに示すように上昇することにより、磁気ディスク媒体20が図11に示す状態に持ち上げられてカセット10から取り出される。
【0035】
これら図14〜図16に示す磁気ディスク媒体20をカセット10から取り出す間、保持棒321は、支持棒311の直上であって、支持棒311とは十分に離れた位置にあり、磁気ディスク媒体20と干渉しない退避状態となっている。
【0036】
ハンガー31によって図16に示すように持ち上げられた磁気ディスク媒体20は、今度は図17に示す矢印D方向に、4台の槽40の直上まで搬送される。このとき、保持棒321も支持棒311と一緒に矢印D方向に移動するが、保持棒321は退避状態を保っている。4台の槽40の中には、この磁気ディスク媒体20の表面に塗布されて保護膜を形成する塗布液が収容されている。
【0037】
次に、図18の矢印Eに示すようにハンガー31が下降して磁気ディスク媒体20が槽40内の塗布液に浸漬されるが、この下降の際は、支持棒311は停止したまま保持棒321のみが先ず下降して保持状態(図22,図23に示す状態)となり、その後、その保持状態を維持したまま、支持棒311と保持棒321が同時に下降し、磁気ディスク媒体20が槽40内の塗布液中に浸漬される。このとき、磁気ディスク媒体20には、その磁気ディスク媒体20を図12に示す矢印X−X方向に揺動させる外乱が加わることがあるが、その場合であっても、磁気ディスク媒体20の上端は、保持棒321の凹部321aに入り込んでいるため、隣接する磁気ディスク媒体20どうしの接触は回避される。
【0038】
また、磁気ディスク媒体20がその上端まで塗布液内に浸漬されて外乱の作用が収まると磁気ディスク媒体20の上端は保持棒321の凹部321aとは接触しない状態となり、塗布液が上端にまで回り込んで正常な塗布が行なわれる。
【0039】
その後、磁気ディスク媒体20は、図19の矢印Fに示すように塗布液から引き上げられるが、この際、先ず、支持棒311は残したまま保持棒321のみが早めに引き上げられて退避状態になり、その後、支持棒311が引き上げられる。このように保持棒321は、磁気ディスク媒体20を塗布液に浸漬させる際のみ作用させ磁気ディスク媒体20を引き上げるときには保持棒321を退避させておくことにより、磁気ディスク媒体20どうしの接触を避けつつ磁気ディスク媒体20の上端にまで正常な塗布が行なわれる。
【0040】
その後、図20の矢印Gに示すように搬送され図21の矢印Hに示すように下降して、磁気ディスク媒体20がカセット10内に再び収納される。
【0041】
ここで、保持棒321は、磁気ディスク媒体20を塗布液に浸漬させる時のみ有効に作用するが、例えば図17に示す搬送の前に保持状態に移行してもよい。
【0042】
また、保持棒321は、磁気ディスク媒体20に外乱が作用していないときに磁気ディスク媒体上端が凹部321aに入り込み、かつ接触しないように制御されているが、保持棒321の高さを磁気ディスク媒体20の上端が保持棒321の凹部321aに入り込んでその凹部321に接触するように制御しても、例えば磁気ディスク媒体20が上端まで塗布液に浸漬される直前又は直後に保持棒を引き上げるなど、塗布液の塗布に支障を及ぼさないように制御すればよい。
【0043】
また、本実施形態では、支持棒311には上向きの凹部311aが形成され保持棒321には下向きの凹部321aが形成されているが、支持棒311は上向きにのみ、また保持棒321は下向きにのみ凹部が形成されているのではなく、例えば、所定ピッチで細径に形成されて一周する溝を有する円形の棒などであって、磁気ディスク媒体20をその一周する溝に支持し、あるいは入り込ませる構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】磁気ディスク媒体を収納するカセットとそのカセットに収納された磁気ディスク媒体を示す斜視図である。
【図2】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図3】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図4】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図5】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図6】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図7】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図8】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図9】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図10】従来の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図11】支持棒の形状とその支持棒に支持された状態の磁気ディスク媒体を示した図である。
【図12】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図13】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図14】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図15】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図16】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図17】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図18】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図19】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図20】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図21】本件の一実施形態の表面処理装置およびその動作を示す図である。
【図22】支持棒と保持棒との双方で支持された状態の磁気ディスク媒体を示した図である。
【図23】図22の一部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0045】
10 カセット
11 両側壁
20 磁気ディスク媒体
21 穴
30A,30B 表面処理装置
31 ハンガー
40 槽
41 塗布液
111 リブ
311 支持棒
311a,321a 凹部
321 保持棒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に穴が設けられた複数枚の円板を、所定の配列間隔で、各円板の穴が連通するように立てた状態に収納するカセットから該複数枚の円板を取り出して、塗布液を収容した塗布槽内の該塗布液に浸漬し、さらに該塗布液から引き上げて前記カセットに戻す表面処理方法であって、
横に延び、前記配列間隔と同一間隔で少なくとも上向きに複数の第1の凹部が形成された支持棒を前記カセットに対し相対的に移動させて該カセットに収納された複数枚の円板の中央の穴に挿入し各円板を各第1の凹部に係止して持ち上げることにより該複数枚の円板を該カセットから取り出す取出しステップと、
前記取出しステップにより前記カセットから取り出された前記複数枚の円板を前記塗布槽の直上にまで搬送する第1の搬送ステップと、
前記第1の搬送ステップにより前記塗布槽の直上に搬送された前記複数枚の円板を、横に延びて前記支持棒の直上に位置し、前記配列間隔と同一間隔で少なくとも下向きに複数の第2の凹部が形成された保持棒を各円板の上端縁が各第2の凹部に入り込んだ保持状態にまで前記支持棒に近づけた状態を維持しながら、前記塗布槽内の塗布液に浸漬させる浸漬ステップと、
前記浸漬ステップにより前記塗布液に浸漬した状態にある前記複数枚の円板を、前記保持棒を該複数枚の円板と非干渉となる退避状態にまで前記支持棒から遠ざけた状態を維持しながら、前記塗布液から引き上げる引上げステップと、
前記引上げステップにより前記塗布液から引き上げられた状態の前記複数枚の円板を前記カセットの直上にまで搬送する第2の搬送ステップと、
前記第2の搬送ステップにより前記カセットの直上にまで搬送された該複数枚の円板を前記カセットに収納する収納ステップとを有することを特徴とする表面処理方法。
【請求項2】
前記浸漬ステップは、前記保持棒を、前記複数枚の各円板の上端縁が各第2の凹部に入り込み、かつ、該円板への外乱がない状態において該円板と非接触となる保持状態にまで前記支持棒に近づけた状態を維持しながら、該複数枚の円板を前記塗布槽内の塗布液に浸漬させるステップであることを特徴とする請求項1記載の表面処理方法。
【請求項3】
前記円板は、情報が磁気的に記録される磁気ディスク媒体であり、前記塗布液は、該磁気ディスク媒体表面に保護膜を塗布するための塗布液であることを特徴とする請求項1又は2記載の表面処理方法。
【請求項4】
中央に穴が設けられた複数枚の円板を、所定の配列間隔で、各円板の穴が連通するように立てた状態に収納するカセットから該複数枚の円板を取り出して、塗布液を収容した塗布槽内の該塗布液に浸漬し、さらに該塗布液から引き上げて前記カセットに戻す表面処理装置であって、
横に延び前記配列間隔と同一間隔で少なくとも上向きに複数の凹部が形成された支持棒を有し、該支持棒を前記カセットに対し相対的に移動させて該カセットに収納された複数枚の円板の中央の穴に挿入し各円板を各第1の凹部に係止して持ち上げることにより該複数枚の円板を該カセットから取り出し、該複数枚の円板を前記塗布槽の直上にまで搬送して該塗布槽内の塗布液に浸漬させ、さらに該複数枚の円板を該塗布液から引き上げ前記カセットの直上にまで搬送して該カセットに収納する円板支持機構と、
横に延びて前記支持棒の直上に位置し前記配列間隔と同一間隔で少なくとも下向きに第2の凹部が形成された保持棒を有し、該保持棒を、少なくとも、前記複数枚の円板が前記塗布槽の直上に搬送された後該塗布槽内の塗布液に浸漬されるまでの間、該複数枚の各円板の上端縁が各第2の凹部に入り込んだ保持状態にまで前記支持棒に近づけた該保持状態を維持し、かつ、少なくとも、前記塗布液に浸漬された前記複数枚の円板が該塗布液から引き上げられるまでの間、前記保持棒を該複数枚の円板と非干渉となる退避状態にまで前記支持棒から遠ざけておく浸漬補助機構とを備えたことを特徴とする表面処理装置。
【請求項5】
前記浸漬補助機構は、前記保持棒を、少なくとも、前記複数枚の円板が前記塗布槽の直上に搬送された後該塗布槽内の塗布液に浸漬されるまでの間、該複数枚の各円板の上端縁が各第2の凹部に入り込み、かつ、該円板への外乱がない状態において該円板と非接触となる保持状態にまで前記支持棒に近づけた該保持状態を維持するものであることを特徴とする請求項4記載の表面処理装置。
【請求項6】
前記円板は、情報が磁気的に記録される磁気ディスク媒体であり、当該表面処理装置は、前記塗布液として前記磁気ディスク媒体表面に保護膜を塗布するための塗布液を用いて該磁気ディスク媒体表面に保護膜を塗布する装置であることを特徴とする請求項4又は5記載の表面処理装置。
【請求項1】
中央に穴が設けられた複数枚の円板を、所定の配列間隔で、各円板の穴が連通するように立てた状態に収納するカセットから該複数枚の円板を取り出して、塗布液を収容した塗布槽内の該塗布液に浸漬し、さらに該塗布液から引き上げて前記カセットに戻す表面処理方法であって、
横に延び、前記配列間隔と同一間隔で少なくとも上向きに複数の第1の凹部が形成された支持棒を前記カセットに対し相対的に移動させて該カセットに収納された複数枚の円板の中央の穴に挿入し各円板を各第1の凹部に係止して持ち上げることにより該複数枚の円板を該カセットから取り出す取出しステップと、
前記取出しステップにより前記カセットから取り出された前記複数枚の円板を前記塗布槽の直上にまで搬送する第1の搬送ステップと、
前記第1の搬送ステップにより前記塗布槽の直上に搬送された前記複数枚の円板を、横に延びて前記支持棒の直上に位置し、前記配列間隔と同一間隔で少なくとも下向きに複数の第2の凹部が形成された保持棒を各円板の上端縁が各第2の凹部に入り込んだ保持状態にまで前記支持棒に近づけた状態を維持しながら、前記塗布槽内の塗布液に浸漬させる浸漬ステップと、
前記浸漬ステップにより前記塗布液に浸漬した状態にある前記複数枚の円板を、前記保持棒を該複数枚の円板と非干渉となる退避状態にまで前記支持棒から遠ざけた状態を維持しながら、前記塗布液から引き上げる引上げステップと、
前記引上げステップにより前記塗布液から引き上げられた状態の前記複数枚の円板を前記カセットの直上にまで搬送する第2の搬送ステップと、
前記第2の搬送ステップにより前記カセットの直上にまで搬送された該複数枚の円板を前記カセットに収納する収納ステップとを有することを特徴とする表面処理方法。
【請求項2】
前記浸漬ステップは、前記保持棒を、前記複数枚の各円板の上端縁が各第2の凹部に入り込み、かつ、該円板への外乱がない状態において該円板と非接触となる保持状態にまで前記支持棒に近づけた状態を維持しながら、該複数枚の円板を前記塗布槽内の塗布液に浸漬させるステップであることを特徴とする請求項1記載の表面処理方法。
【請求項3】
前記円板は、情報が磁気的に記録される磁気ディスク媒体であり、前記塗布液は、該磁気ディスク媒体表面に保護膜を塗布するための塗布液であることを特徴とする請求項1又は2記載の表面処理方法。
【請求項4】
中央に穴が設けられた複数枚の円板を、所定の配列間隔で、各円板の穴が連通するように立てた状態に収納するカセットから該複数枚の円板を取り出して、塗布液を収容した塗布槽内の該塗布液に浸漬し、さらに該塗布液から引き上げて前記カセットに戻す表面処理装置であって、
横に延び前記配列間隔と同一間隔で少なくとも上向きに複数の凹部が形成された支持棒を有し、該支持棒を前記カセットに対し相対的に移動させて該カセットに収納された複数枚の円板の中央の穴に挿入し各円板を各第1の凹部に係止して持ち上げることにより該複数枚の円板を該カセットから取り出し、該複数枚の円板を前記塗布槽の直上にまで搬送して該塗布槽内の塗布液に浸漬させ、さらに該複数枚の円板を該塗布液から引き上げ前記カセットの直上にまで搬送して該カセットに収納する円板支持機構と、
横に延びて前記支持棒の直上に位置し前記配列間隔と同一間隔で少なくとも下向きに第2の凹部が形成された保持棒を有し、該保持棒を、少なくとも、前記複数枚の円板が前記塗布槽の直上に搬送された後該塗布槽内の塗布液に浸漬されるまでの間、該複数枚の各円板の上端縁が各第2の凹部に入り込んだ保持状態にまで前記支持棒に近づけた該保持状態を維持し、かつ、少なくとも、前記塗布液に浸漬された前記複数枚の円板が該塗布液から引き上げられるまでの間、前記保持棒を該複数枚の円板と非干渉となる退避状態にまで前記支持棒から遠ざけておく浸漬補助機構とを備えたことを特徴とする表面処理装置。
【請求項5】
前記浸漬補助機構は、前記保持棒を、少なくとも、前記複数枚の円板が前記塗布槽の直上に搬送された後該塗布槽内の塗布液に浸漬されるまでの間、該複数枚の各円板の上端縁が各第2の凹部に入り込み、かつ、該円板への外乱がない状態において該円板と非接触となる保持状態にまで前記支持棒に近づけた該保持状態を維持するものであることを特徴とする請求項4記載の表面処理装置。
【請求項6】
前記円板は、情報が磁気的に記録される磁気ディスク媒体であり、当該表面処理装置は、前記塗布液として前記磁気ディスク媒体表面に保護膜を塗布するための塗布液を用いて該磁気ディスク媒体表面に保護膜を塗布する装置であることを特徴とする請求項4又は5記載の表面処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2010−67297(P2010−67297A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230988(P2008−230988)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]