説明

表面処理装置

【課題】短時間で減圧室を大気圧に昇圧することを可能としながらも、設備コストを大きく低減することができる表面処理装置を提供する。
【解決手段】減圧下で処理ガスを被処理物に接触させ、被処理物を表面処理する表面処理装置1であって、開閉自在な扉体3を備えた減圧室2と、前記減圧室2に接続された排気管10と、排気管10に備えた真空バルブ機構61を介して接続され、減圧室2を所定圧力に減圧する減圧機構60と、減圧室2に圧縮エアを供給して減圧室2を昇圧する昇圧機構11とを備えている。昇圧機構11は、エアコンプレッサから供給される圧縮エアを調圧する調圧機構12と、調圧されたエアを蓄積するエアタンク13と、エアタンク13と排気管10とを接続する圧縮エア供給管14と、圧縮エア供給管14を開閉するバルブ機構15とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧下で処理ガスを被処理物に接触させ、被処理物を表面処理する表面処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面処理装置の一例である真空プラズマ処理装置は、被処理物の表面改質、金属酸化物の除去、薄膜形成、有機物の分解や滅菌など種々の用途に使用されている。
【0003】
特許文献1には、内部でプラズマを発生させる真空チャンバと、この真空チャンバ内に収納されプラズマ発生空間に対面して互いに平行に配置され固定された複数対の電極と、この複数対の電極間に位置するとともに前記電極を挟んで異なる極性に配置された複数の磁石と、この磁石に対して互いに同じ磁極で前記プラズマ発生空間を介して対向した他方の磁石と、前記複数対の電極間で位相をずらして放電しプラズマを発生させる電源装置を備えた多相交流プラズマ発生装置が提案されている。
【0004】
この種の表面処理装置は、減圧室となる真空チャンバに開閉可能な扉体を備え、扉体を開放した状態で被処理物を処理室内に搬入し、扉体を閉塞した後に処理室内を真空レベルまで減圧する真空ポンプを備えている。
【0005】
そして、真空ポンプによる減圧下で被処理物に処理ガスを供給してプラズマ放電させ、表面処理が終了した後に真空チャンバ内の圧力を大気圧に戻し、扉体を開放して被処理物を搬出する。
【0006】
従来、表面処理が終了した後に真空チャンバ内の圧力を大気圧に戻すために、真空ポンプによる吸引を停止した後に、処理ガス供給管を介して処理室に処理ガスを導入し、或は処理室にバルブ機構を介して吸引管を接続し、吸引管を介して処理室に外気を流入させて大気圧に復帰させていた。
【0007】
そのため、処理室内を大気圧まで昇圧し安定させるのに長い時間を要し、処理室への被処理物の搬入搬出時間が長くなるため、処理効率が低下するという問題があった。
【0008】
一方、特許文献2には、ロードロック装置内へのパーティクルの進入を効果的に防止でき、しかも、大気圧に復帰させた後、すぐにチャンバ内を大気開放できるロードロック装置を提供することを目的として、密閉可能なチャンバと、前記チャンバ内に基板を搬入出させる開閉自在な搬入出口と、前記チャンバ内において基板の温度を調節する温度調節部材を有し、前記チャンバ内にガスを供給するガス供給路と、前記チャンバ内を排気する排気路が接続されたロードロック装置であって、前記チャンバ内の雰囲気を、外部との圧力差で排出させるリーク路が前記チャンバに接続され、前記ガス供給路は、比較的流量の大きい大流量配管と、比較的流量の小さい小流量配管とを有し、それら大流量配管と小流量配管とを選択自在であることを特徴とするロードロック装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−193996号公報
【特許文献2】特開2008−251991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献2に記載された構成では、ガス供給路から所定圧力に加圧された不活性ガスをチャンバ内に供給するために、高価な不活性ガスの供給源が必要になるばかりか、チャンバ内を大気圧に維持するためにチェックバルブを備えたリーク路を設ける必要がある等、設備コストが嵩むという問題がある。
【0011】
さらに、前記不活性ガスの供給源は工場に備えられたガス源であるため、加圧されているとはいえ不活性ガスの供給圧力は低く、チャンバ内を大気圧まで昇圧させるのに、やはり長い時間を要してしまう。
【0012】
また、特許文献2に記載された構成を、処理ガスにより被処理物を表面処理する処理室に適用する場合には、処理室へ多量の処理ガスが短時間で供給されるため、室内の圧力を大気圧に復帰させるのに要する時間を短縮することができるが、処理ガスをそのまま大気開放できないため、大掛かりな排ガス処理設備が必要になるという問題がある。
【0013】
本発明の目的は、上述した問題に鑑み、短時間で減圧室を大気圧に昇圧することを可能としながらも、設備コストを大きく低減することができる表面処理装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、本発明による表面処理装置の第一の特徴構成は、減圧下で処理ガスを被処理物に接触させ、被処理物を表面処理する表面処理装置であって、開閉自在な扉体を備えた減圧室と、前記減圧室に接続された排気管と、前記排気管に備えた真空バルブ機構を介して接続され、前記減圧室を所定圧力に減圧する減圧機構と、前記減圧室に圧縮エアを供給して前記減圧室を昇圧する昇圧機構と、を備えている点にある。
【0015】
上述した構成によれば、昇圧機構により、圧縮エアが減圧室に供給されるため、急激に室内の圧力が昇圧され、大気圧に復帰するまでの時間を大幅に短縮することができるようになる。そのような圧縮エアとして、通常、設備内に標準的に設置されているエアコンプレッサからのクリーンなドライエアを用いることができ、また、環境上何らの問題も無くエアを大気開放できるので、特別の高価なガス供給設備や排ガス処理設備を準備する必要が無く、設備費を効果的に低減できるようになる。
【0016】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記昇圧機構は、エアコンプレッサから供給される圧縮エアを調圧する調圧機構と、調圧されたエアを蓄積するエアタンクと、前記エアタンクと前記減圧室とを接続する圧縮エア供給管と、前記圧縮エア供給管を開閉するバルブ機構とを備え、前記真空バルブ機構を閉塞した後に前記バルブ機構を開放するように構成されている点にある。
【0017】
エアコンプレッサから供給される圧縮エアが、調圧機構によって所定圧に調整された後にエアタンクに蓄積されるため、エアタンク内に所定量のエアを安定的に蓄積することができるようになる。そして、排気管に設けた真空バルブ機構を閉塞した後にバルブ機構を開放することによって、エアタンクから圧縮エア供給管を介して所定圧のエアが供給され、短時間で減圧室が大気圧に復帰する。
【0018】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二特徴構成に加えて、前記減圧室の壁面または前記排気管に、一端が大気開放された一本または複数本の給排気管を、給排気バルブ機構を介して接続し、前記バルブ機構を開放した後に前記給排気バルブ機構を開放するように構成されている点にある。
【0019】
昇圧機構によって供給される圧縮エアによって減圧室は急激に大気圧に向けて昇圧されるが、エア供給量が多い場合には減圧室が大気圧以上に昇圧され、エア供給量が少ない場合には減圧室が大気圧まで昇圧されないという事態に到るが、バルブ機構を開放して、ほぼ大気圧に到った時点で給排気バルブ機構が開放されるので、減圧室が大気圧以上に昇圧される場合には給排気管を介して減圧室から余剰エアが排気されて減圧室が大気圧に維持され、減圧室が大気圧まで昇圧されない場合には給排気管を介して外気が減圧室に流入して減圧室が大気圧に維持されるようになる。そのため、特許文献2のようにチェックバルブを備えた別途のリーク路等を設ける必要が無く、設備費を低減することができるようになる。
【0020】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記減圧室が、処理ガス供給機構から供給された処理ガスにより前記被処理物を表面処理する処理室であり、前記被処理物の表面処理が終了した後に、前記昇圧機構により前記処理室が昇圧される点にある。
【0021】
特許文献2のようにロードロック装置を備えていない表面処理装置であっても、上述した圧縮エアを用いた昇圧機構を処理室に組み込むことにより、設備費を低減しながらも被処理物の処理効率を向上させることができるようになる。
【0022】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記エアタンクは、少なくとも前記減圧室の圧力を大気圧に昇圧するのに必要なエア量が充填可能な容量に設定されている点にある。
【0023】
少なくとも、減圧室の圧力を大気圧に昇圧するのに必要なエア量が充填可能な容量のエアタンクを準備することにより、最小の設備で被処理物の処理効率を向上させることができるようになり、被処理物に対する表面処理の実行時にエアコンプレッサからエアタンクに次の昇圧時に向けてエアを蓄積することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明した通り、本発明によれば、短時間で減圧室を大気圧に昇圧することを可能としながらも、設備コストを大きく低減することができる表面処理装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による表面処理装置の一例を示し、処理室の扉体が閉塞した状態の表面処理装置の説明図
【図2】本発明による表面処理装置の一例を示し、処理室の扉体が開放した状態の表面処理装置の説明図
【図3】昇圧機構及び給排気管の作用を説明する表面処理装置の断面図
【図4】昇圧機構及び給排気管の説明図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明の第一実施形態である表面処理装置を説明する。
図1及び図2に示すように、表面処理装置1は、開閉自在な扉体となる蓋体3と処理室本体4とからなる直方体の処理室2と、処理室2を支持し、蓋体3に対して本体4を上下に移動させる開閉支持機構5を備えている。
【0027】
金属製の矩形形状を呈する蓋体3の四隅が四本の支柱6でそれぞれ支持され、処理室本体4の底板中央部に処理室本体4を支持する昇降シリンダ7が設けられている。
【0028】
処理室本体4は金属製の底板4aと、底板4aの辺部から立ち上がるように配置された金属性の環状の側板4bで構成された上面開放の箱体である。側板4bには、円形状の観察窓4cが設けられている。
【0029】
昇降シリンダ7が引退作動すると、処理室本体4が支柱6に沿って蓋体3から下方へ離隔して処理室2が開放される開放状態に移行し、昇降シリンダ7が進出作動すると、処理室本体4が支柱6に沿って上方へ移動して蓋体3と密着した閉塞状態に移行する。
【0030】
処理室2の中央上方及び下方には処理ガス供給管8が接続され、ヘッダ部9を介して密閉状態の処理室に処理ガスが供給される。また、処理室2の縁部上方及び下方には排気管10が接続され、排気管10は真空バルブ機構を介して減圧機構に接続されている。
【0031】
開放状態で処理室2に被処理物がロボットアームを介して搬入或は搬出され、閉塞状態で処理室2に処理ガスが導入され、減圧下で被処理物が表面処理される。
【0032】
図3に示すように、処理室本体4には、被処理物50を支持する枠状の支持部2aが設置され、開放状態で搬入された被処理物50が支持部2aに載置され、昇降シリンダ7の下降によって蓋体3に支持された枠状の押さえ具3aに押圧されることにより、被処理物50が水平姿勢で固定され、その両面が同時に表面処理される。
【0033】
処理室2が閉塞状態に移行すると、減圧機構60を構成するブースタポンプ及び真空ポンプにより処理室2が減圧され、真空バルブ機構61に備えた調圧機構によって、処理室2が所定圧力に減圧される。同時に処理ガス供給装置70から流量調整バルブ70aを介して所定流量の処理ガスが、処理ガス供給管8を介してヘッダ部9に供給される。
【0034】
処理室2の蓋体3及び処理室本体4の底板4bには、セラミック等の絶縁部材を介して複数の円筒状の電極30が長手方向に沿って所定間隔で配設され、電極30の間のそれぞれに板状の磁石40がその極性が交互に異なるように配設されている。
【0035】
処理室2の蓋体3及び処理室本体4の底板4bには、各電極30に対向して処理ガス供給孔2bが形成され、ヘッダ部9に供給された処理ガスが各電極30に向けて供給される。
【0036】
隣接する電極30間で位相をずらした高圧の交流電圧またはパルス状の電圧が電源から各電極30に印加され、電極30間で発生する放電により処理ガスのプラズマを生成して被処理物を表面処理する。
【0037】
本実施形態による表面処理装置では、例えば、処理ガスとして酸素ガスが採用され、表面に銅等の金属膜やレジスト等の樹脂膜が形成された矩形の積層回路基板でなる被処理物の表面が親水化処理されるものであるが、本発明による表面処理装置はこのような種類の処理ガスや被処理物に制限されるものではない。各種表面改質、エッチング、CVDなどプラズマ処理の目的や用途に応じて適宜処理ガスや被処理物は選択される。
【0038】
供給された処理ガスは被処理物50の上下にそれぞれ配置され、被処理物50の周囲を覆うように複数の吸引口が形成された環状の吸引経路を介して排気管10に流出し、真空ポンプにより処理室2の外部に排気される。
【0039】
排気管10のうち、真空バルブ機構61より上流側には、処理室2に圧縮エアを供給して処理室内を大気圧に向けて昇圧する昇圧機構11に備えた圧縮エア供給管14が接続されている。
【0040】
昇圧機構11は、設備内に設置されたクリーンドライエアを生成するエアコンプレッサから供給される圧縮エアを0.5〜0.7MPaの所定の圧力に調圧する調圧機構12と、調圧されたエアを蓄積するエアタンク13と、エアタンク13と排気管10とを接続する圧縮エア供給管14と、圧縮エア供給管14を開閉するバルブ機構15とを備えている。
【0041】
また、処理室の側壁面及び排気管10に、一端がフィルタ18を介して大気開放された複数本の給排気管16を、給排気バルブ機構17を介して接続している。
【0042】
被処理物50に対する表面処理が終了すると、流量調整バルブ70aが閉じられて処理室2内への処理ガスの供給が停止され、真空バルブ機構61が閉塞される。
【0043】
その後に、昇圧機構11のバルブ機構15を開放し、エアタンク13に蓄積された圧縮エアを圧縮エア供給管14及び排気管10を介して処理室2に流入させることにより、急激に処理室2内の圧力を昇圧して大気圧に復帰させる。
【0044】
蓋体3に備えた排気管10と減圧機構60との間にはチェックバルブが設けられ、蓋体3側から処理室内2への圧縮エアの流入が阻止される。
【0045】
処理室2の下方に接続された排気管10を介して処理室2に供給されるエアが処理室2の下方から上方に向けて流入するため、表面処理等で発生したパーティクル等が処理室2の底面に堆積していても、処理室2内に舞い上がり飛散して被処理物50の表面に堆積するような事態も回避される。
【0046】
バルブ機構15を開放して所定時間が経過すると、給排気バルブ機構17を開放して給排気管16を介して処理室2を大気と通流可能な状態に移行する。所定時間とは、圧縮エアの供給により処理室2内がほぼ大気圧に到るまでの時間で、例えば1〜2秒である。尚、処理室2内の圧力を計測する圧力計を備え、圧力計で計測された圧力が略大気圧に到ったときに給排気バルブ機構17を開放するように構成してもよい。
【0047】
昇圧機構11によって供給される圧縮エアによって処理室2は急激に大気圧に向けて昇圧されるが、圧縮エアの供給量が多い場合には処理室2が大気圧以上に昇圧され、エア供給量が少ない場合には処理室2が大気圧まで昇圧されないという事態に到る。
【0048】
しかし、バルブ機構15を開放して、処理室2内がほぼ大気圧に到った時点で給排気バルブ機構17を開放することにより、処理室2が圧縮エアによって大気圧以上に昇圧される場合には、給排気管16を介して処理室2から余剰エアが排気されるので、処理室2を大気圧に維持することができる。
【0049】
また、処理室2が圧縮エアによって大気圧まで昇圧されない場合には、給排気バルブ機構17を開放することにより、給排気管16を介して外気が処理室2に流入するので、処理室2を大気圧に維持することができる。
【0050】
尚、給排気管16はフィルタ18を介して大気開放されるので、外気が給排気管16を介して処理室2内に流入しても、塵埃等、表面処理を阻害する粒子が処理室2内に流入することは無い。
【0051】
エアコンプレッサから供給される約0.3MPaの圧縮空気が、調圧機構12を介して0.5〜0.7MPaに昇圧されて、エアタンク13に充填される。工場などでの一般的なガス供給圧力は0.2〜0.3MPaであり、エアタンク13内の圧力はこれより高く設定する。エアタンク13は、少なくとも処理室2の圧力を大気圧に昇圧するのに必要なエア量が充填可能な容量に設定されている。例えば、処理室2の容量が40〜50Lに設定されている場合、エアタンク13の容量は20L程度に設定される。エアタンク13の容量は、その圧力や処理室の容量に応じて設定されるが、処理室2の容積の30〜70%程度が好ましい。あまり、エアタンクの圧力を高めて容量を小さくすると、小型化できるものの、大気圧に昇圧する際、パーティクル等が相当舞い上がってしまうおそれがある。
【0052】
このような昇圧機構11を備えることにより、表面処理後に処理室2を大気圧に復帰させるまでの時間が大幅に短縮する。上述の例では約1分程度短縮できるようになった。
【0053】
尚、処理室2への給排気管16の接続位置は、上述の例に限るものではなく任意である。また、給排気管16の本数も任意であり、少なくとも1本備えていればよい。
【0054】
処理室20が大気圧に復帰すると、昇降シリンダ7を引退作動させて、処理室本体4を支柱6に沿って蓋体3から下方へ離隔させた開放状態で、ロボットアームを介して処理室2から被処理物50を搬出し、さらに次の被処理物50を搬入し、以後、同様の処理を繰り返す。
【0055】
上述の一連の処理は、表面処理装置1に備えた制御盤から昇降シリンダ7、減圧機構60、処理ガス供給機構70、電源、昇圧機構11、各種のバルブ等に出力される制御信号に基づいてシーケンシャルに制御される。
【0056】
上述の実施形態では、単一の処理室を備えた表面処理装置について説明したが、複数の処理室を備えた表面処理装置についても同様に適用できる。この場合、各処理室に減圧機構60、処理ガス供給機構70、昇圧機構11のそれぞれを共用できる。
【0057】
上述した実施形態では、表面処理装置の処理室を減圧室の例として本発明を適用した例を説明したが、本発明は処理室以外にも適用可能である。例えば、処理室とは別にロードロック装置を備えた表面処理装置では、ロードロック装置を減圧室として昇圧機構11及び給排気管16を備えることも可能である。
【0058】
つまり、図4に示すように、本発明による表面処理装置1は、開閉自在な扉体3を備えた減圧室2と、減圧室2下方に接続された排気管10と、排気管10に備えた真空バルブ機構61を介して接続され、減圧室2を所定圧力に減圧する減圧機構60と、排気管10を介して減圧室2に圧縮エアを供給して昇圧する昇圧機構11とを備え、減圧室2の壁面または排気管10に、一端がフィルタ18を介して大気開放された一本または複数本の給排気管16を、給排気バルブ機構17を介して接続し、バルブ機構15を開放した後に給排気バルブ機構17を開放するように構成されていればよく、昇圧機構11は、エアコンプレッサから供給される圧縮エアを調圧する調圧機構12と、調圧されたエアを蓄積するエアタンク13と、エアタンク13と排気管10とを接続する圧縮エア供給管14と、圧縮エア供給管14を開閉するバルブ機構15とを備えていればよい。
【0059】
尚、昇圧機構により減圧室を確実に大気圧に復帰できる場合には、給排気管を備えなくともよい。
【0060】
上述した各実施形態は本発明の一例に過ぎず、本発明による作用効果を奏する範囲において各機構を構成する部材の材質、大きさ等の具体的構成は適宜変更設計できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
1:表面処理装置
2:減圧室(処理室)
3:扉体(蓋体)
4:処理室本体
5:開閉支持機構
6:支柱
7:昇降シリンダ
8:処理ガス供給管
9:ヘッダ
10:排気管
11:昇圧機構
12:調圧機構
13:エアタンク
14:圧縮エア供給管
15:バルブ機構
16:給排気管
17:給排気バルブ機構
50:被処理物
60:減圧機構
70:処理ガス供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧下で処理ガスを被処理物に接触させ、被処理物を表面処理する表面処理装置であって、
開閉自在な扉体を備えた減圧室と、
前記減圧室に接続された排気管と、前記排気管に備えた真空バルブ機構を介して接続され、前記減圧室を所定圧力に減圧する減圧機構と、
前記減圧室に圧縮エアを供給して前記減圧室を昇圧する昇圧機構と、
を備えている表面処理装置。
【請求項2】
前記昇圧機構は、
エアコンプレッサから供給される圧縮エアを調圧する調圧機構と、調圧されたエアを蓄積するエアタンクと、前記エアタンクと前記減圧室とを接続する圧縮エア供給管と、前記圧縮エア供給管を開閉するバルブ機構とを備え、
前記真空バルブ機構を閉塞した後に前記バルブ機構を開放するように構成されている請求項1記載の表面処理装置。
【請求項3】
前記減圧室の壁面または前記排気管に、一端が大気開放された一本または複数本の給排気管を、給排気バルブ機構を介して接続し、前記バルブ機構を開放した後に前記給排気バルブ機構を開放するように構成されている請求項1または2記載の表面処理装置。
【請求項4】
前記減圧室が、処理ガス供給機構から供給された処理ガスにより前記被処理物を表面処理する処理室であり、前記被処理物の表面処理が終了した後に、前記昇圧機構により前記処理室が昇圧される請求項1から3の何れかに記載の表面処理装置。
【請求項5】
前記エアタンクは、少なくとも前記減圧室の圧力を大気圧に昇圧するのに必要なエア量が充填可能な容量に設定されている請求項1から4の何れかに記載の表面処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−202241(P2011−202241A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71561(P2010−71561)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】