説明

表面活性化ナノ粒子の惑光防止および反射防止コーティング

1つの高耐久性反射防止コーティングが、1つの低屈折率の1つの第1相と1つの高屈折率の1つの第2段階との間に1つの自己集合勾配層を形成する段階であって、勾配層が第1および第2相の界面において第1および第2相の中間の1つの屈折率を有する段階と、該工程によって形成される複数のコーティングと複数の物品を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年9月19日に出願された米国仮出願番号第60/411754号の優先権を主張し、参照によって本願明細書においてその全てが援用される。
【0002】
本発明は、一実施形態において、惑光防止および(または)反射防止コーティング、コーティングされた基板、およびこれらを備える装置および製品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な光学的アプリケーションにおいて、高品質および機能的な複数のコーティングがしばしば重要となる。高い光学的な品質を達成するために、1つの光学装置の表面は、複数の破損と複数の汚染に対する保護膜として機能することに加えて、装置の性能を著しく向上させる事が出来る全光路中の1つの活性化された部分であるべく設計される。例えば引っ掻き、しみ、複数の静電荷の蓄積、あるいは惑光、反射等による視角の減少に対する保護といった最表層の機能は、1つ以上の機能コーティング層の施工によって達成されて良い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のセル式電話、複数のパーム装置または複数の携帯型オンラインツールのような携帯型テレコミュニケーションまたはコンピューター化された複数の機器の使用の1つの急激な増加に伴って、複数の表示装置のそれぞれがアウトドア環境での使用に見合うはるかに厳しい複数の品質および耐久試験に合格する事がしばしば要求される。従って、それらの表層の機能コーティングは、画質を改善する目的にせよ、装置表面を保護する目的にせよ、複数の新たな要求に対応するために著しくアップグレードされるべきである。
【0005】
1つのデスクトップユニットと比較して、複数のラップトップ・コンピューターを含む複数の小型装置は、制御性の低い1つの照明環境の下で操作される可能性が多い。1つのディスプレイの表面からの外部光の反射は、総入射強度の1つの小さな割合のみ(通常の入射の4〜8%)ではあるが、所望のディスプレイ品質を達成するためにはこれでもまだ明る過ぎ得る。1つの表面反射による複数の悪影響は、それが1つの減少したコントラスト比に起因するとしても、あるいは1つの外部オブジェクトの1つの妨げとなる像に起因するとしても所望されず、最小限にされるべきである。1つの表面から正反射を低減させる事は、その強度を低減する事(つまりAR(反射防止)処理)によって、あるいは結合した反射ビームの複数の方向を本質的に拡散する事(つまりAG(惑光防止)処理)によって達成されて良い。
【0006】
屈折率の最大の変化は大気(n〜1)と基板(n〜1.5)との間の界面で生じるので、1つのディスプレイ基板の1つの有効なARまたはAGコーティングは、表層(つまり大気または複数の周囲環境と直接接触状態にある)に存在するべきであり、従って、複数の摩耗と複数の引っ掻きから装置を保護するための1つの十分に耐久性を有するコーティング層であるべきである。従って、ARまたはAG機能は、1つの表示装置の表層におけるハードコーティング中に形成される事が好ましい。これまでにおける最も簡単なアプローチは、表面が正反射を拡散するために十分である程度に粗くされるように1つのハードコーティング構造内の無機の複数の粒子あるいは複数の重合体ビードのいずれかを加える事による(1つのAGハードコーティング)。
【0007】
一般的に、1つのARコーティングは1つのAGコーティングよりも更に複雑である。通常、1つのARコーティングは、視聴方向で干渉が弱め合うので、各界面からの複数の反射を拡大し得る1つの正確に制御された多層構造を生成する事が必要である。このような1つの多層ARコーティングは、1つの全可視スペクトル上において所望の弱め合う干渉を達成するために、複数の屈折率変化および層厚さの1つの規定された組合せを有していなければならない。更に、このような1つの弱め合う干渉を達成するために、各層の厚さは、数〜10ナノメートル以内の精度で制御される必要があり、これによって、1つの通常のコーティング・プロセスによって達成可能である製品と比較して、その製造(通常は蒸気蒸着プロセスによる)がより困難かつ高コストになる。
【0008】
蒸気蒸着による1つの多層ARコーティングは反射強度を低減させるのに有効であるが、表面が平坦であるので、(低減された)正反射を拡散するのには有効では無い。明るい1つの屋外照明条件の下で使用された時、全体の可視スペクトルにわたって反射を100%低減させる事が出来ない限り、弱くて時には有色の1つの明るい外部物体の1つの像を示し得る。従って、様々な外部照明環境の下で使用される1つの表示装置にとって、ARおよびAG機能を組み合わせた1つの表面コーティングがより所望され、1つのより高い価値を有するであろう。
【0009】
ARおよびAGの二重の結果を達成するために、1つの表面コーティング層は、反射を弱め合う干渉および表面から集められた反射の拡散の両方を遂行するべきである。蒸気蒸着によって作成された従来の1/4波長(1/4λ)ARコーティング、そして複数層の干渉コーティングでさえ、表面が平坦であるので、残余の正反射を拡散する事が出来なかった。1つの惑光防止効果を持たせるために、表面は、波長と比較してあまり小さくない長さスケールにおいて1つの非平面形状でなければならない(例えば、可視領域の反射光を拡散するには、分子のスケールの1つの曲率は小さ過ぎるであろう)。
【0010】
本発明は、一実施形態において、ARとAGの効果を同時に達成する1つの表面コーティング層を形成するために、1つの正確に制御されたサイズ(λの数十分の1からλ以上)を有する複数のナノ粒子を利用する。
【0011】
著しいAR効果を達成するために、屈折率が1つの限定された範囲内であり、複数の反射光が相互に位相外れとなるように、表面コーティング層は、1つの規定された変化の範囲内の屈折率および複数のナノドメイン(例えば、〜1/4波長)における1つの順序付けられた配置を持って形成されるべきである。添付の複数の図10a、10bおよび10cは、本分野における既存の幾つかのアプローチの実例である。
【0012】
図10aは、1つの従来型の1/4波長ARコーティングを表わす。完全な相殺を達成するために、コーティングの屈折率は(n・n1/2と等しくなければならない。nが1近傍でnが通常は〜1.5である空気と接触する任意のコーティング層については、コーティングの屈折率は約1.22まで低下させられなければならない。既存の均質の材料の最低の屈折率は約1.33である。更に、n=1.22が達成可能であったとしても、単層コーティングの有効測定範囲は約1つの波長に制限され、これは全ての可視スペクトルに対して十分ではない。幾つかの異なった複数の界面からの、および1つの周波数領域に渡る複数の反射において複数の弱め合う干渉が発生するための複数の屈折率および厚さの1つの定められた組合せを有する1つの多層コーティングが、双方の問題に対する1つの解決策であった。しかしながら、このように複雑かつ正確に階層構造を成した1つの構造は、とりわけ加工速度およびコスト面において困難が伴う。
【0013】
(図10bおよび図10cによって表わされるもののように)1つのARコーティングの複数の障害および製造コストを低減する事を意図した他の複数の単層のアプローチは、表面の平均屈折率を約1.22にするために1つの多孔質構造を必要とする。図10bは、静電引力によって複数の粒子が配置される1つのコーティングの一例を示す(H.ハットリ(H.Hattori)、Adv.Mater.,13,No.1,51−53ページ,2001年1月5日を参照)。図10cは、表面に1つのナノポア構造を作るためにモノマー溶媒の蒸発によって準備されたナノ層分離ポリマーブレンド・コーティングの例を示す(S.ワルハイム(S.Walheim)等、サイエンス(Science)、1999年、283、520を参照)。
【0014】
同様の表面ナノポール構造を作る他の複数の方法は、H.ハットリの記事に相互参照され、例えば、ガラスのエッチングまたは浸出、ゾルゲル合成、スパッタリング、選択的な溶解、浸漬コーティングおよびグレーチングを含む。
【0015】
ほとんどのこれらのアプローチは、バルク材を1つのサブ波長スケールで空気と混合することにより、表面上における1つの低い屈折率層を達成した。この概念は、C.G.ベルンハルト(C.G.Bernhard)「1つの視覚系中の構造的および機能的な順応(Structure and functional adaptation in a visual system)」Endeavor、26、79−84(1967)によって、複数の夜間飛行蛾の角膜上で最初に発見された「Moth−eye構造」に起因し得る。しかしながら、ディスプレイ・アプリケーション用の1つのAR構造は、1つの蛾目と異なり、如何なる複数の破損も招かずに規則的な複数の物理的な衝撃に耐える事が出来なければならない。また、これはこれらの他の複数のアプローチにおいて達成可能ではあり得ない。
【0016】
本発明の複数の実施形態において、複数のナノ粒子の使用に基づく高性能ARコーティングは、これらの正確な複数のナノ構造を十分に早くかつコスト効率よく製造する1つの製造方法によって達成され、アプリケーションの意図した領域における十分な機械的強度および頑強性を有する1つのARコーティングを提供する。本発明の適切な機械的な強度および頑強性を達成するために、本発明の複数の実施形態は、他の機能表面の上に残る1つのAR層を提供し、AR効果のために設計された微細な面の肌にさもなければ永久の破損をもたらし得る機械的・化学的な複数の衝撃に耐えるために十分な耐久性を提供する事が出来る。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一実施形態において、本発明は、1つの高屈折率の1つの第2相の最表層に1つの自己集合勾配層を形成する事によって1つの低屈折率媒質に使用される1つの高耐久性反射防止コーティングを提供する1つの工程を提供し、前記勾配層は、前記低屈折率媒質と前記第2相との中間の1つの屈折率を有する。他の実施形態において、本発明は1つの反射防止コーティングを有する複数の物品を備え、1つの反射防止コーティングは1つの高屈折率の1つの第2相の最表層に1つの自己集合勾配層を有し、該勾配層は、前記低屈折率媒質と前記第2相との中間の1つの屈折率を有する。本実施形態において、勾配層は、周囲の低い屈折率媒質の屈折率と第2相の屈折率の中間の1つの屈折率を有する。
【0018】
本発明の一実施形態において、1つの反射防止コーティングは、複数の超分子と溶液との間の複数の分子間力が前記複数の超分子を上昇させて前記溶液の最表層から部分的に露出させるように選択されるという複数の条件下で1つの硬化可能な樹脂の前記溶液中に前記複数の超分子を備える1つのコーティング合成物を堆積することによって形成される。複数の超分子の密度は、硬化された時に前記硬化可能な樹脂の前記最表層に部分的に埋め込まれた前記複数の超分子が高密度に充填された少なくとも1つの層を形成するために十分なだけ集中する。本実施形態において、硬化後の複数の超分子および前記硬化可能な樹脂の複数の屈折率は、硬化の後に結果として生じるコーティングが前記最表層における露出した超分子の複数の粒子から前記硬化された樹脂の前記厚さを貫通して増加する複数の屈折率の1つの勾配を提供するように選択される。本方法は、前記溶液を排除する段階と、前記堆積した硬化可能な樹脂を硬化させる段階とを更に備える。1つの反射防止コーティングを提供するために、この工程は前記硬化された樹脂の前記最表層に部分的に埋め込まれる前記複数の超分子が高密度に充填される1つの配列を提供する。
【0019】
一実施形態において、複数の超分子は複数のシリカナノ粒子である。他の実施形態において、複数の超分子は複数の重合体のナノ粒子である。複数の超分子の充填密度は全表面に関して一定である必要が無い。同様に、複数の超分子が硬化された樹脂の最表層の内部に埋め込まれる範囲は、コーティング合成物の施工および硬化速度やコーティング合成物中の複数の超分子の集中のような他の複数の要因に関与する動力学に依存して変化し得、および変化する事が予想されるであろう。当業者は、所望の反射防止および(または)惑光防止の複数の特性を提供するべく表面における高表面密度を達成するために、自己集合プロセスを促進するために複数の官能基を備え得る複数の超分子(例えば複数のシリカナノ粒子)の任意の組合せに対するコーティング合成物を調合する事が出来るであろう。
【0020】
本発明の一実施形態において、1つの合成層は、高密度に充填されたコーティング層のような表層面から部分的に露出する複数のナノ粒子による1つのロール・コーティング工程によって施工される。この種の構造は、複数の粒子と支持樹脂層との間の結合に起因する合理的な1つの機械的強度を達成し得る。露出した部分は、上半分における低平均屈折率を達成するために複数の粒子表面間に複数の空気ポケットを備える。更に、樹脂中に沈められた部分でさえも支持コーティング樹脂よりも低い平均屈折率を有するように、複数の粒子は低屈折率基板から製造され得る。空気(n〜1)および粒子(n〜1.33)の1つの混合から複数の粒子および樹脂(n〜1.5)への屈折率が徐々に変化する事によって、さもなければ起こり得る1から1.5までの屈折率の急激な変化が平坦化され、複数の屈折率の1つの勾配を構成する。一実施形態において、勾配層からの干渉を排除するために、粒子の直径は可視光線の約1/2λに制御される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明におけるこのような反射防止コーティング合成層の一実施形態が、概略的に図1に示される。1つの反射防止膜(1)は、複数のナノ粒子(3)の高密度に充填された1つの配列を備える1つの自己集合勾配層(2)と、低屈折率(4)の1つの第1相(通常は空気)、および高屈折率(5)の1つの第2相を備える。実際上、追加の複数のナノ粒子(示されない)が第2相の大部分に存在しても良く、これは、複数のナノ粒子の高密度配列がコーティングの最表層に形成される事による自己集合プロセスの動力学に通常は起因するものである。
【0022】
1つの有限の層数の代わりに1つの屈折率勾配を使用する事によって、屈折率の差のより少ない限りなく多数の副層の統合されたものからの1つの弱め合う干渉を達成する。合成屈折率が浸透厚さ(n(x))の関数として表わされる場合、集合的な干渉効果は以下の方程式によって近似し得る。
【0023】
【数1】

【0024】
より正確な1つの計算において、λは更にxの関数であるべきである。この勾配によるアプローチの有効性は、他の複数の反射防止の方法と同様に、波長以下のスケールにおける厚さ内の勾配中の複数の変数を如何に正確に制御出来るか否かにに依存する。しかしながら、この勾配によるアプローチは、積分されたものから効果を平均化するので、上に引用された他のアプローチほど限定的であるべきでは無い。例えば、厚さは1/2波長から1/2波長の数回の積まで及び得る。あるいは、幾つかの波長の1つの領域に渡って1つのより緩慢な勾配が達成出来る場合、厚さの正確さは比例して緩和され得る。1/4λ層と勾配によるアプローチとの比較が、相対する複数の位相角を有する複数のベクトルの複数の相殺を表す以下の2つの図によって示され得る。

【0025】
180度離間している2つの位相の1つのベクトル和である左側の図は、正確に1/4λだけ離間している2つの界面からの複数の反射の弱め合う干渉を示す。複数のベクトルの振幅は、2つの界面における屈折率の不連続的な変化に比例する。2つのベクトルの1つの完全な相殺を達成するために、1/4λコーティング層の屈折率は正確に(n1・n2)1/2に等しくなければならない。一方、右側の図において、1つの勾配ゾーンにおける様々な層からの多数の反射成分の統合の結果として干渉が起こる。各ベクトルの振幅は、屈折率Δn(x)/2n(x)の差に比例するので、はるかに小さい。勾配ゾーンが長いほど、複数の位相ベクトルおよび各反射成分の振幅が小さくなる。勾配ゾーンの屈折率の連続的な変化によって、それぞれの反射の複数の位相角の1つの連続的変化が為される。従って、本発明の一実施形態における勾配ゾーンは、反射の際の位相の相殺の1つの完全なサイクルをカバーするために、少なくとも1/2λであるか、その1つの積である。
【0026】
機械的な統一性を維持するために、屈折率勾配は、それら自身が基礎を為す1つのハードコーティング樹脂層への1つの強い結合によって更に支持される複数の粒子が露出する事によって自然に形成され得る。粒子層の厚さ(つまり粒径)は、最低でも約1/2λであり得る。更に全体の1/2λの1つの厚さをカバーする1つの勾配を形成するためには、露出する複数の粒子の屈折率が樹脂層より低いことが必要である。本発明の一実施形態において、複数の粒子は表層(露出している層)において高密度に充填され、それ以外の部分においては低密度に充填され、その結果、樹脂に対する屈折率の差に起因する無視可能な内部散乱が発生するであろう。
【0027】
本発明は、(樹脂系に対して)1つの最適化された直径、1つの低い屈折率、そして、1つの低い表面の自由エネルギーを備えた複数の粒子を生成する一実施形態を提供し、その結果、例えば、1つのロール・コーティング・プロセスによるコーティングの施工中における表面層のこれらの複数の粒子の自己集合プロセスによって1つの勾配層の形成が為される。
【0028】
1ミクロン、あるいはそれ未満のサイズの1つの粒子において、支配的な相互間力は界面張力(毛管現象)である。従って、約1/2λの1つの直径を有する複数の粒子の集合は、粒子表面の自由エネルギーを樹脂混合物のそれよりも低くする事によって達成され得る。例えば、本発明の複数の実施形態において、1つのゾルゲル法によって合成された1つの粒子中のフルオロカーボンの量を低下させる1つの表面自由エネルギーを提供することによって本目的が達せられる。1つの十分な含量において、全ての部材中最低の分極率を有するフッ素原子が、複数の合成粒子の表面自由エネルギーおよび屈折率を低下させる事が出来る。
【0029】
本発明の一実施形態において、自己集合勾配層は、勾配層を有する周囲の低屈折率の媒質の界面と、勾配層を有する第2相の界面との間で徐々に大きさが増加する1つの屈折率を有する。
【0030】
本発明の一実施形態において、高い屈折率を有する第2相は1.4を超える1つの屈折率を有し、例えば1.45、1.5、1.55あるいは1.6を超える。
【0031】
周囲の低屈折率媒質は、空気あるいは他の気体、または複数の水環境のようなコーティングの周囲の複数の環境である。
【0032】
一実施形態において、自己集合勾配層は、複数のモノマーまたは複数のオリゴマーによる1つの硬化可能な合成物によって形成され得、複数のモノマーまたは複数のオリゴマーは、硬化処理によって1つの永続性を有する1つ以上の重合体を形成するために重合する。このような硬化可能な複数の合成物、このような複数の合成物に好適な複数の添加剤および複数の硬化処理は、当該技術において周知である。例えば、本願に参照としてその開示が援用される米国特許出願公開第2001/0035929号に記載される複数の合成物は、本発明の使用に対して好適である。一実施形態において、硬化可能な合成物はポリアクリル酸である。本発明の一実施形態において、硬化処理は1つの熱処理である。他の実施形態において、硬化処理は、紫外放射または電子ビーム放射のような化学線の放射による。
【0033】
一実施形態において、自己集合勾配層は、1つの固体表面エネルギーと1つの液体表面エネルギーとの間の差を作る事によって形成されて良い。1つの固体表面エネルギーと1つの液体表面エネルギーとの間の差によって、1つの濡れ試験における接触角が決定する。該固体から成る1つの粒子が液体−空気の界面において浮動状態にある場合、同一の接触角は、露出の程度を直接的に検出する。1つの接触角と露出量との関係は、図2a〜図2dによって示される(この長さスケールにおいて、重力は無視し得る程度に小さい)。
【0034】
1つの粒子の表面エネルギーを低下させる事によって、1つのハードコーティングの表面に対する粒子の浮遊を支援し得る。しかしながら、界面における複数の粒子の増加によって、複数の粒子の凝集を更に促進し得る。この概念を実行する際に、1つの液体−空気界面において、適切な量の界面活性剤が自己集合プロセスの微調整のために使用されても良い。
【0035】
複数の自己集合ナノ粒子は、1つの硬化可能な合成物と混合した直後に1つの所望される期間中に1つの硬化可能な合成物から1つの支持マトリクスの最表層における高密度に充填された1つの配列を形成する事の可能な複数のナノ粒子である。一実施形態において、複数のナノ粒子がそれ自身で集合するこのようなメカニズムは、硬化可能な合成物内の複数のナノ粒子の浮遊によって発生する。
【0036】
これらの複数のナノ粒子の一部が1つの硬化可能な合成物中に埋没する場合、結果として生じる複数のナノ粒子が部分的に埋没した配列は、支持する硬化合成物よりも低い平均屈折率を有するようになるであろう。本発明の一実施形態において、複数のナノ粒子は、コーティングの最表層で(つまり周囲の低い屈折率媒質との界面において)高密度に分布し、第2相においては低密度に分布し、複数のナノ粒子と硬化可能な合成物との間の屈折率差に起因する内部散乱を無視し得る様に為される。
【0037】
任意の特定の理論あるいは説明によって拘束される事を所望してはいないが、複数の反射防止コーティングの勾配層によって生じる周囲の低い屈折率媒質と第2相との間の屈折率が徐々に変化する事によって屈折率の勾配が決定される、と考えられている。更に複数の屈折率の勾配が、さもなければ第1相(通常は1つの屈折率約1を有する空気)から第2相(1つのより高い屈折率(例えば1.5)を有する)までしばしば経験される屈折率の急激な変化を平坦化させる要因であると考えられている。
【0038】
表面の曲率または表面の粗さは、表面の反射の方向の拡散によって惑光防止効果の要因となっていると考えられている。同じ効果が、高いヘーズを引き起こし得る。他方では、反射防止機能は、表面の光沢を低減して弱め合う干渉を生成することによって惑光を弱める。このような光沢低減メカニズムは、それ自身においてヘーズを増加させないし、明瞭度について妥協しない。従って、反射防止および或光防止の要素を組み合わせて本発明の様々な実施形態における勾配層を使用する事によって、1つの表示装置に適用された際に高い解像度を提供する。
【0039】
本発明における反射防止および惑光防止の二重の特性は、一連のサンプルの複数のヘーズ値に対する複数の光沢値をプロットする事によって決定されて良い。1つのコーティング構成が惑光防止効果のみによって光沢を低減する場合、プロットの勾配(つまり、ヘーズ増加1単位当たりの光沢低減の単位)は、統合された惑光防止および反射防止効果を有する1つのコーティングよりもより平坦である。この効果は、下記の複数の例に報告される幾つかのコーティングに対する光沢対ヘーズの1つのプロットを示す図3に示される。
【0040】
複数のナノ粒子の自己集合は、複数のナノ粒子の表面自由エネルギーを低下させることにより達成され得、従って、硬化可能な合成物の最表層にナノ粒子が浮遊する事を容易にする。該粒子から成る1つのナノ粒子が液体−気界面において浮遊している際、図2a〜2dによって示されるように、露出の程度は、1つの濡れ試験において液体・固体間の接触角に比例する。
【0041】
一実施形態において、ナノ粒子は表面自由エネルギーを低下させる量のフッ素を1つのフルオロカーボン基の形で組込む。複数のナノ粒子に組み込まれ得るフルオロカーボン基の複数の例は、例えばペルフルオロオクチル、ペルフルオロヘプチル、ペルフルオロヘキシルおよびペルフルオロベンジルのようなペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルケン、ペルフルオロアリル基のような、複数のペルフルオロカーボン基を含む複数のナノ粒子に組み込まれて良い。他の実施形態において、フルオロカーボン基、例えば例えばトリデカフルオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロオクチル基のような1つのハイドロフルオロカーボンのような部分的にフッ素で処理された基であって良い。
【0042】
フッ素を含む複数のナノ粒子を含む1つの反射防止コーティング層は、耐引っ掻き性を有し、1つの低い摩擦係数を有する事によって特徴付けられる。
【0043】
一実施形態において、ナノ粒子の表面エネルギーは1つの表面活性合成物による処理によって低下する。複数の表面活性合成物は、ナノ粒子の複数の配列の自己集合を促進するために、硬化可能な合成物とナノ粒子の間の表面エネルギー差を調節するために使用され得る。一実施形態において、表面活性合成物は1つの界面活性剤である。適切な複数の界面活性剤は、特開平8−142280あるいは米国特許第6602652号に記載されたものを含み、これらの複数の開示は参照によって援用される。一実施形態において、1つ以上の界面活性剤の混合物が使用されても良い。一実施形態では、界面活性剤はジメチルジオクタデシルアンモニウム臭化物(「DDAB」)を含む。
【0044】
本発明の一実施形態において、複数のナノ粒子の直径は、1つの可視光線の波長の数十分の1から可視光線の波長の1〜数倍との間である。本発明の一実施形態において、複数のナノ粒子の直径は、光の波長の約8分の1から光の波長との間にある。他の実施形態において、複数のナノ粒子の直径は、光の波長の4分の1から波長の半分との間にある。本発明の他の実施形態において、複数のナノ粒子の直径は、波長の半分から波長の2倍との間にある。他の実施形態において、複数のナノ粒子の直径は、約100〜約600ナノメートルとの間にある。他の実施形態において、複数のナノ粒子は、サイズと形が少なくとも略同一である。他の実施形態において、複数の粒子は球状であるか、あるいは少なくとも略球状である。
【0045】
本発明の一実施形態において、複数のナノ粒子の直径の分散が5パーセント以内となる程度に複数の粒子の直径は同一である。本発明の一実施形態における複数のナノ粒子の1つの粒径分布は、図6において示される。
【0046】
本発明の一実施形態において、複数のナノ粒子は複数のシリカナノ粒子を含む。本発明の他の実施形態において、複数のナノ粒子は、複数のフルオロカーボン基を更に備える複数のシリカナノ粒子を含む。
【0047】
ステーベル(stoeber)等、J.Colloid Interface Sci.26,62(1968)に記載された略一定の断面積の複数のシリカナノ粒子は、ゾルゲルタイプ合成によって提供され得る。反応的な複数のシラノール基および複数の水酸基を形成するために、該プロセスは、ブリンカー(Brinker)等、J.Non−Cryst.Solids、48,47−64(1982)に記載されるように、エタノール、水およびアンモニアの1つの溶液中のテトラエチルオルトシリケート(TEOS)の加水分解によって進行し得る。その後、複数のシラノール基が、1つの重合鎖を形成するために凝縮する。ボガッシュ(Bogush)等,J.Colloid Interface Sci.142,1−18(1991)に記載されたように、2つの反応段階から重合鎖長さが増加するにつれて、溶液中に鎖が最早溶解しないまでに重合体の溶解度は減少し、これによって、複数のナノサイズのシリカ粒子のサイズおよび形状は一定となる。これらの複数の参照の複数の開示は、参照によって本願に援用される。
【0048】
ステーベルのプロセスは、所望の基(例えばフルオロアルキル基)の取り込みを許可するために修正され得る。このような取り込みが、複数のシラン結合剤(例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン)(APS)の使用によって、あるいはフッ素で処理された複数のナノ粒子のために(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン(「F−TEOS」)のような複数の開始材料の適切な選択によって生じ得る。
【0049】
本発明の他の実施形態において、複数のシリカナノ粒子は、TEOSの触媒作用が及ぼされた加水分解によって形成される。例えば、次の複数の参照がこのような合成技法について記述し、参照によって本願に援用される。カワグチ、オノ(Kawaguchi and Ono)、J.Non−Cryst.Solids、121,383−388(1990)、カルマカル(Karmakar)等、J.Non−Cryst.Solids、135,29−36(1991)、ディン、デイ(Ding and Day)、J.Mater.Res.6,168−174(1991)、モン(Mon)等、J.Cer.Soc.Jap.101,1149−1151(1993)、オノ、タカハシ(Ono and Takahashi)、World Congress on Particle Technology、3,20、1−11、ポープ(Pope)、Mater.Res.Soc.Symp.Proc.372,253−262(1995)、および、ポープ(Pope)、SPIE,1758,360−371(1992)。ヤン(Yang)等、Journal of Materials Chemistry、8,743−750(1998)、キ(Qi)等、Chem.Mater.10,1623−1626(1998)、およびボアシエール、リー(Boissiere and Lee)、Chemical Communications、2047−2048(1999)を参照のこと。
【0050】
米国特許第6091476号に記載されるように、一実施形態において、複数のナノ粒子は、複数の有機重合体、あるいはシリカまたはシリコンを含む1つの成分を含む有機−無機高分子からなる。該開示は参照によって本願に援用される。本発明の複数の実施形態において、複数のナノ粒子を形成するために、複数の低い屈折率材料が使用される。
【0051】
本発明の一実施形態は、複数の眼鏡レンズ、複数の望遠鏡レンズ、複数の顕微鏡レンズあるいは他の複数の光学の装置のような1つの光学装置用の1つの高分解能かつ多機能の反射防止コーティングを提供する。本発明の一実施形態は、例えば1つの無線またはセル式電話またPDA装置の表示スクリーンのような1つのテレコミュニケーション装置用の1つの高分解能かつ多機能の反射防止コーティングである。
【0052】
本発明の他の実施例において、反射防止コーティングが1つの基板に適用される。一実施形態において、基板は、1つの可撓性ガラスあるいは1つの従来のガラスのような1つのガラスである。他の実施形態において、基板は、ポリカーボネート、三酢酸セルロース(「TAC」)のような1つの高分子材料、あるいは、米国特許出願公開第2001/0035929A1号によって開示された波動の伝播が主題となっている複数の光学または表示装置または他の複数の装置に対して好適な任意の他の基板である。一実施形態において、基板は可撓性を有する(例えば、1つのロールに巻きつけられ得る)。他の実施形態において、基板は透明である。
【0053】
本発明は、勾配層の形成が、コーティングの最表層におけるこれらの複数のナノ粒子の自己集合プロセスに拠るように、1つの一定の直径、1つの低い屈折率、および1つの低い表面自由エネルギー(樹脂システムと比較した場合)を有する複数のナノ粒子を生成する1つの実施形態を提供する。
【0054】
本発明は、1つの反射防止あるいは惑光防止コーティング、あるいは反射防止および惑光防止機能の1つの二重機能付きコーティングを提供し、これらの複数のコーティングのうちの任意のものによってコーティングされた複数の物品を更に提供する。
【0055】
一実施形態において、本発明の複数のコーティングは、例えばナノ粒子サイズおよび量、粘性あるいはコーターのタイプを変化させる事によって、あるいは1つ以上のプロセス制御と組み合わせてこれらの複数の構成制御のうちの1つを変化させる事によって、二重ARおよびAG機能を達成する事が出来る。
【0056】
本発明の一実施形態において、自己集合勾配層の複数のナノ粒子は、1つのARおよび(または)AG機能の達成に加えて、1つのディスプレイの輝度レベルを増加させるために使用される。一実施形態において、本発明の複数のコーティングは、1つの高いレベルの白濁(white muddiness)によって示されるような明暗双方の状態の輝度を増加させ得る。本発明の複数の実施形態は、本願に記載される写像性(distinctness of image)(「DOI」)試験によって測定されるような高い明瞭性を備えた複数のコーティングを生成し得る複数のプロセス、複数のコーティングおよび複数の物品を提供する。
【0057】
本発明の一実施形態は、複数のLCD用の1つの高分解能ARおよびAGコーティングを提供する。
【0058】
一実施形態において、反射防止コーティングの構成は、例えば毎分20〜50フィートの速度で、例えば毎分30フィートの速度で1つのロール・コーティング・プロセスによって透明であり得る1つの可撓性フイルムまたはシートのような1つの可撓性基板上に施工される。しばしば、1つのRoll−to−Rollコーティング・プロセスによって得られ得るARおよび(または)AGコーティングの複数の品質は、複数の配合表、および樹脂の粘性、複数の界面活性剤、容積、回線速度および複数のコーターのタイプのような複数の処理パラメタによって本質的に変化する。本発明の一実施形態において、1つのコーティングのヘーズ、光沢および反射率は、配合表と複数の処理条件の調節によって精密に調節されて良い。本発明の配合表と処理の最適化は、コーティング技術の当業者によって選択され得る。
【0059】
一実施形態において、反射防止コーティングは浸漬コーティング、スピン・コーティングまたはスプレー・コーティングによって施工される。
【0060】
例えば、硬化可能な樹脂の硬化の割合を含む1つのコーティング・プロセスの速度に依存して、動的力性が熱力学力を超える結果として、幾つかのナノ粒子は、複数のナノ粒子の高密度の最表層の配列の下部に残存し得る。本発明は、実質的にあるいは全くARの複数の特性を妨害しない分量の複数のナノ粒子が硬化された樹脂の大部分を占める第2相に存在し得る。
【0061】
一実施形態において、本発明の複数のコーティングは、惑光防止効果(拡散反射)および白濁に寄与する散乱光のランベルト部分を増加させる。この効果は図4に示される。任意の特定の理論に拘束される事を所望してはいないが、この現象は、高い屈折率の第2相より低い屈折率を有する複数の粒子の複数の層からの光散乱の1つの結果であると考えられる。この状況は図5で示され、これは1つのコーティングの界面に存在する複数の粒子の複数の界面からの光反射を示す。1つの高光屈折率の媒質から1つの低屈折率の複数の球体へと1つの光が伝播する界面における全反射は、1つの伝播光の複数の方向を変更させた連続的な散乱を引き起こした。1つの明状態の輝度の増加の割合が1つの暗状態の輝度よりも低い場合、この表面散乱プロセスは、差異レベルの1つの損失に帰着し得る。更に、しかしながら、この層の複数の屈折率および残りの表示装置がどのように互いに一致するかに依存して、これは表示装置の視角を改善し得る。従って、複数の粒子の複数のサイズおよび密度によって決定される屈折率および複数の幾何学的な特徴の調整可能な差を有する自己集合最表層は、本発明によって当所意図した複数の外光源からの反射の低減に加えて、コントラスト比、複数視角および複数の配光のような1つの表示装置の他の重大な複数の光学散乱特性を調節し得る。
【0062】
複数の実施例
【0063】
以下の複数の例において、複数のナノ粒子は、開始ゾルがテトラエトキシシラン(「TEOS」)および(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン(「F−TEOS」)の混合物である1つの修正Stoeberプロセスによって生成される。複数のナノ粒子は、1つのアンモニア触媒を伴うイソプロピルアルコール(「IPA」の溶媒中で生成される。このプロセスによるナノ粒子サイズは、光散乱(90Plus粒径解析器、Brookhaven Instruments Corporation社製)によって測定された。ナノ粒子のサイジング用の溶媒はエタノールであった。ナノ粒子の複数の懸濁は、ナノ粒子のサイジングの前に5〜10分間超音波によって処理された。複数のナノ粒子中のフルオロ含量は、複数の反応物の複数の分子比に基づいて計算された。
【0064】
1つの適切な樹脂および光重合開始剤で混合した後に、1つの硬化可能なコーティングが1つのロール・コーティング・プロセスによって製造し得る。
【実施例1】
【0065】
反応バイアルにおいて、20mlのIPA、1.6mlのTEOSおよび0.4mlのF−TEOSが加えられ、2分間1つの高速で磁気撹拌機によって混合された。撹拌中に、2.21mlの脱イオン水および1mlの濃縮NH3/H2O溶液(NH3:28〜30wt%)が該混合物に加えられた。この混合物は更に30分間撹拌された。透明な混合物は1つの不透明な白い懸濁へと発達した。その懸濁は2日間寝かせられ、ナノ粒子サイズは光散乱によって測定された。ナノ粒子サイズは約300nmであった。複数のナノ粒子中のフッ化処理されたシリカ対純粋なシリカの分子比は、13:87である。
【実施例2】
【0066】
反応バイアルにおいて、20mlのIPA、1.4mlのTEOSおよび0.6mlのF−TEOSが加えられ、2分間1つの高速で磁気撹拌機によって混合された。撹拌中に、2.21mlの脱イオン水および1mlの濃縮NH3/H2O溶液(NH3:28〜30wt%)が該混合物に加えられた。この混合物は更に30分間撹拌された。透明な混合物は1つの不透明な白い懸濁へと発達した。その懸濁は2日間寝かせられ、ナノ粒子サイズは光散乱によって測定された。粒子サイズは約210nmであった。複数のナノ粒子中のフッ化処理されたシリカ対純粋なシリカの分子比は、20:80である。
【実施例3】
【0067】
反応バイアルにおいて、20mlのIPA、1.2mlのTEOSおよび0.8mlのF−TEOSが加えられ、2分間1つの高速で磁気撹拌機によって混合された。撹拌中に、2.5mlの脱イオン水および1mlの濃縮NH3/H2O溶液(NH3:28〜30wt%)が該混合物に加えられた。この混合物は更に30分間撹拌された。透明な混合物は1つの半透明の懸濁へと発達した。その懸濁は2日間寝かせられ、ナノ粒子サイズは光散乱によって測定された。ナノ粒子サイズは約160nmであった。複数のナノ粒子中のフッ化処理されたシリカ対純粋なシリカの分子比は、28:72である。
【実施例4】
【0068】
反応バイアルにおいて、20mlのIPA、1.0mlのTEOSおよび1.0mlのF−TEOSが加えられ、2分間1つの高速で磁気撹拌機によって混合された。撹拌中に、2.5mlの脱イオン水および1mlの濃縮NH3/H2O溶液(NH3:28〜30wt%)が該混合物に加えられた。この混合物は更に30分間撹拌された。混合物は、撹拌中も寝かせている間にも透明に保たれた。光散乱はこのサンプルのために正確なナノ粒子サイズを得る事が出来なかった。複数のナノ粒子中のフッ化処理されたシリカ対純粋なシリカの分子比は、37:63である。
【実施例5】
【0069】
反応バイアルにおいて、20mlのIPA、1.4mlのTEOSおよび0.6mlのF−TEOSが加えられ、2分間1つの高速で磁気撹拌機によって混合された。撹拌中に、1.5mlの脱イオン水および1mlの濃縮NH3/H2O溶液(NH3:28〜30wt%)が該混合物に加えられた。この混合物は更に30分間撹拌された。透明な混合物は1つの半透明の懸濁へと発達した。その懸濁は2日間寝かせられ得、ナノ粒子サイズは光散乱によって測定された。ナノ粒子サイズは120nmであった。複数のナノ粒子中のフッ化処理されたシリカ対純粋なシリカの分子比は、20:80である。
【実施例6】
【0070】
反応バイアルにおいて、20mlのIPA、1.4mlのTEOSおよび0.6mlのF−TEOSが加えられ、2分間1つの高速で磁気撹拌機によって混合された。撹拌中に、2.92mlの脱イオン水および1mlの濃縮NH3/H2O溶液(NH3:28〜30wt%)が該混合物に加えられた。この混合物は更に30分間撹拌された。透明な混合物は1つの不透明な白い懸濁へと発達した。その懸濁は2日間寝かせられ、ナノ粒子サイズは光散乱によって測定された。ナノ粒子サイズは300nmであった。複数のナノ粒子中のフッ化処理されたシリカ対純粋なシリカの分子比は、20:80であった。
【実施例7】
【0071】
反応バイアルにおいて、20mlのIPA、2.8mlのTEOSおよび1.2mlのF−TEOSが加えられ、2分間1つの高速で磁気撹拌機によって混合された。撹拌中に、2.92mlの脱イオン水および1mlの濃縮NH3/H2O溶液(NH3:28〜30wt%)が該混合物に加えられた。この混合物は更に30分間撹拌された。透明な混合物は1つの不透明な白い懸濁へと発達した。その懸濁は2日間寝かせられ、ナノ粒子サイズは光散乱によって決定された。ナノ粒子サイズは250nmであった。複数のナノ粒子中のフッ化処理されたシリカ対純粋なシリカの分子比は、20:80であった。
【実施例8】
【0072】
反応バイアルにおいて、20mlのIPA、1.6mlのTEOSおよび0.4mlのF−TEOSが加えられ、2分間1つの高速で磁気撹拌機によって混合された。撹拌中に、2.29mlの脱イオン水および2mlの濃縮NH3/H2O溶液(NH3:28〜30wt%)が該混合物に加えられた。この混合物は更に30分間撹拌された。透明な混合物は1つの不透明な白い懸濁へと発達した。その懸濁は2日間寝かせられ、ナノ粒子サイズは光散乱によって決定された。ナノ粒子サイズは400nmであった。ナノ粒子中のフッ化処理されたシリカ対純粋なシリカの分子比は、20:80であった。
【実施例9】
【0073】
上述されたように、表面の反射の複数の方向の拡散によって、表面の曲率または粗さが惑光防止効果の要因である。同じ影響が、上述された高いヘーズ(反射と伝送)および他の所望されない影響を引き起こし得る。他方、AR機能は表面の光沢を低減し、弱め合う干渉を生成することによって惑光を弱める。このような1つの光沢低減メカニズムは、それ自身でヘーズを増加させないし、明瞭性について妥協しない。従って、本願において示された傾斜法の使用によってARとAGの双方を共に使用する事によって、1つの表示装置の解像度を向上させ得る。
【0074】
1つの二重(ARおよびAG)の機能のコーティングの本特徴を実証する迅速な1つの方法は、一連のサンプルの複数の光沢値対複数のヘーズ値をプロットする事である。1つのコーティング構成がAG効果のみによって光沢を低減する場合、プロットの勾配(つまり、ヘーズ増加1単位当たりの光沢低減の単位)は、統合された惑光防止および反射防止効果を有する1つのコーティングよりもより平坦である。これは後述の一連の実験によって実証される。
【0075】
幾つかの合成物に対するヘーズと光沢が測定された。結果は図3に示される。ISTN1のカーブは、本発明の一実施形態において、異なるフッ素含有量(5%から27%まで)のフッ化処理されたシリカを含んでいる複数のコーティングを示し、光沢が減少すると共にフッ素の含有量が上昇する事を示す。ISTN2のカーブは、本発明の他の実施形態において、固定の量のフッ化処理されたシリカだが異なる量の界面活性剤(ジメチルジオクタデシルアンモニウム臭化物(DDAB))を含んでいる複数のコーティングを示す。界面活性剤は、表面においてフッ化処理されたシリカ粒子の凝析を低減させるのを支援する。比較のために、ヘーズと光沢の測定が、市販の惑光防止コーティングされた表示装置のためにも為された。複数のヘーズ測定は、日本電色のNDH−2000によって為された。複数の光沢測定は、日本電色のVG−2000によって為された。これから解るように、光沢対ヘーズの傾斜は、本発明の複数の実施形態におけるコーティングにおいて本質的により高い。
【実施例10】
【0076】
上述された複数の粒子混合手順は、如何なる困難をも伴わず、3kgの1つのバッチ・サイズ、そしてその後10kgの1つのバッチ・サイズへとスケールアップされた。10kgのバッチの複数の製品は超音波で処理され、それぞれ21時間寝かせられる。超音波処理を行なわずに寝かせられた複数のサンプルは、より小さい1つの粒径分布を有するように観察された。表1は、双方のケースのデータを示す。図6は、超音波処理を行なわずに寝かせられた1つのサンプルの粒子分布を示す。可視光線の1/4から1/2λまで変動する複数の混合粒子の複数のサイズが、反射防止と惑光防止効果の評価のために1つのUV硬化可能なコーティング構成に加えられた。このようなコーティングを生成するための1つの典型例が以下に挙げられる。
【0077】
1つのコンテナ中に、或る量のフッ化処理されたシリカ粒子IPA懸濁、複数の分散剤(界面活性剤)、複数のアクリル酸塩モノマーまたは(および)複数のオリゴマー、およびIPAに溶解したフォトイニシエータが、1つのコーティング混合物を生成するために加えられて混合された。その後、コーティング混合物は、超音波浴に移送され、約5分間処理される。コーティング混合物は、1つのコーティング・バー(Meyer6#あるいはMeyer8#)を使用して、1つのTACフイルムに手動で施工される。その後、濡れたコーティングを備えたTACフイルムは、3分間の乾燥の為に70℃の1つのオーブンへ移送される。乾燥したコーティングフイルムは、約25FPMの速度の1つのコンベヤおよび約300WPIの放射によって硬化を行なう1つのUV硬化機器に移送される。UV硬化の後に、コーティングされたフイルムは、ヘーズ、光沢、反射および明瞭度のような光学的性質を評価するの準備が整う。
【0078】
【表1】

【0079】
本発明の複数の実施形態における複数の自己集合ナノ粒子を組込む複数のAR/AGコーティングは、高屈折率の硬化された耐久性を有する樹脂の最表層において密度が変動しカプセル化の程度が変動するナノドメイン中に整列する複数のナノ粒子の高密度に充填された複数の配列を一般に含む1つの勾配層を備える。このような配置は、図9aおよび図9bによって示され、これは、250nmの複数のフッ化処理されたシリカの粒子の75個およびアクリル樹脂の100個を含む1つのフォーミュラからの、本願に記載されるように形成されたコーティング表面の原子間力顕微鏡(AFM、ディメンジョン3000SPM、ディジタル・インストルメンツ社)の複数の像である。図9aは、表面のモルフォロジの1つの直接観測を示す。図9bは、表面の1つの3Dプロファイルを示す。双方の像は、サンプルの同じスポットより取られた(走査サイズ5.000μm、設定値−2.000V、走査速度1.001Hz、標本数512)。
【0080】
更に、画質に関して妥協する事無くAG特性を変化させるという本発明のユニークな特徴を例証するために、一連のプロダクトは、フッ化処理されたシリカ粒径および量を、コーティング固形物含量、粘性および複数の施工装置タイプを変化させる事によって、広範囲における複数のAR−AG特性の組合せによって製造された。以下の表は、1つの高いヘーズ値(より多くのAG効果)から1つの低いヘーズ値(1つの支配的なAR効果)まで及ぶ複数の例が挙げられる。本発明の複数の作動原則から当初設計されたように、複数のヘーズ値が広範囲に及ぶのにも拘わらず、写像性(DOI)によって測定されたサンプルの明瞭度が一貫して高い(450以上)ことに注意されたい。
【0081】
図2は、本発明の複数のコーティングの複数の実施形態によって製造され得る1つの高いヘーズ値(より多くのAG効果)から1つの低いヘーズ値(1つ支配的なAR効果)までの複数の例を報告する。
【0082】
【表2】

【0083】
図7および図8のグラフで表されるように、本発明の複数のコーティングの反射防止効果は、UV−可視−NIR分光測光器U−4100によって可視光線の波長範囲に渡って5度の表面反射スペクトルを測定する事により確認され得る。
【0084】
表3は、本発明の複数のコーティングの2つの追加の実施形態によって得られる様々な物理的性質のデータを提供する。
【0085】
【表3】

【0086】
複数の計測法
厚さ:ミツトヨTD−C112M
硬さ:ヨシツC221A
5度反射:日立U−4001
光沢:日本電色VG−2000
ヘーズ:日本電色NDH−2000
明瞭度:スガ試験機ICM−1T
接触角:フェース(FACE)CA−D
【0087】
表2および表3から認識されるように、本発明の複数の実施形態は、複数のAG/ARコーティング光沢の低減、色の混合および明瞭度の向上と言った光学的な複数の品質を向上する事が出来る。同一の樹脂の配合表を使用し、同一レベルの硬さを提供して準備された周知のAG/ARコーティングと比較して、例えば、本願明細書に記載されるような本発明の複数の実施形態によって作られたコーティングは、本質的により高い明瞭度を提供する。概観検査によって観察される光沢および色の混合は、本発明の複数の実施形態における新規のコーティングの方がより良好であった。スガ試験機の試験装置ICM−1Tを使用して、本発明の複数の実施形態におけるAG/ARの明瞭度は一貫して450以上であり、AG機能を有する如何なる既存のコーティングよりも著しく良好である。上記の記載は、主として、複数の光波との干渉を含む複数の光学および(または)表示装置および他の複数の装置および複数の製品を伴う本発明における複数の反射防止(惑光防止を含む)コーティングの複数の実施形態に関する。しかしながら、複数の異なる性質の2つの媒質の界面における複数の粒子の自己集合によって形成される1つの勾配層を含む本発明における複数の反射防止コーティングは、例えば、複数の電磁波、複数の音波、複数の水の波などを含む他の複数の波の種類の伝搬を含む広範囲のアプリケーションのために使用されても良い。
【0088】
いずれの場合においても、複数の波の反射は2つの伝送媒質の界面における複数のインピーダンスの1つの誤った組合せによって引き起こされる。2つの異なる媒質間のギャップを埋める(当該の波の)少なくとも1/2波長の厚さを有する1つの勾配層は、本質的に反射を低減させるために弱め合う干渉を生成するであろう。これらの様々な異なる複数の種類の複数の波のうちの任意の物のために、当該の波の断片的な波長によって決定されるサイズを有し、2つの異なる媒質の中間の1つのインピーダンスを有する1つの粒子は、1つの勾配を達成するために2つの異なる媒質の界面に配置される。従って、本発明の反射防止コーティングは、勾配層の厚さが実際的な寸法を有する、即ち、媒質の寸法よりも大きくない複数の波長である限り、任意の波の伝播に適用可能であろう。
【0089】
従って、本発明の一実施形態は、複数の音波、複数のレーダー波、または複数の赤外線の反射を低減するためのインピーダンスの1つの勾配層を含み、該勾配層は、本願明細書に記載される複数の実施形態のうちの任意のものに従って製造される。
【0090】
本発明の他の実施形態は、本願明細書に記載された複数の実施形態のうち任意のものにおける反射防止コーティングを、1つのソーラー・パネルの反射防止層として使用する事を含む。ソーラー・パネル自身は、当業者に周知の複数のソーラー・パネルのうちの任意の構造であって良い。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の1つの反射防止コーティングの一実施形態の1つの横断面の立面図である。
【図2a】固液接触角(θ)と、気液界面から粒子が露出する程度との関係を示する図である。
【図2b】固液接触角(θ)と、気液界面から粒子が露出する程度との関係を示する図である。
【図2c】固液接触角(θ)と、気液界面から粒子が露出する程度との関係を示する図である。
【図2d】固液接触角(θ)と、気液界面から粒子が露出する程度との関係を示する図である。
【図3】本発明の複数の実施形態における2つのコーティングのための計測された光沢対ヘーズを示す1つのグラフである。
【図4】本発明の複数の実施形態におけるコーティングに対するランベルト部分中において増加した散乱光を示す1つの図である。
【図5】1つのコーティングの界面に存在する複数のナノ粒子の界面からの光の反射に起因する1つのマルチ散乱プロセスを示す1つの概略図である。
【図6】本発明の一実施形態に従って準備された複数のナノ粒子の1つのサンプルの1つの粒径分布を示す。
【図7】可視光線の1つの波長範囲に渡って5°の表面反射率を計測した配置を例証する1つの概略図である。
【図8】本発明の複数の実施形態における複数の反射防止コーティングのための波長の1つの関数として反射光の1つのプロットである。
【図9a】サンプルの同一スポットから取られた構造モルフォロジ(9A)の1つの直接観測を示す、本発明の反射防止コーティングの一実施形態の複数のナノ粒子の高密度に充填された配列の原子間力顕微鏡(AFM)による像である。
【図9b】サンプルの同一スポットから取られた表面の3Dプロファイルを示す、本発明の反射防止コーティングの一実施形態の複数のナノ粒子の高密度に充填された配列の原子間力顕微鏡(AFM)による像である。
【図10a】公知の複数の反射防止膜の概略図である。
【図10b】公知の複数の反射防止膜の概略図である。
【図10c】公知の複数の反射防止膜の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの低屈折率媒質に使用される1つの高耐久性反射防止コーティングを提供する1つの工程であって、1つの高屈折率の1つの第2相の最表層に1つの自己集合勾配層を形成する段階を備え、前記勾配層が、前記低屈折率媒質と前記第2相との中間の1つの屈折率を有する、工程。
【請求項2】
前記自己集合勾配層が、前記勾配層の界面エネルギーを低下させることによって形成される、請求項1に記載の工程。
【請求項3】
1つの基板上に前記反射防止コーティングをロール・コーティングする段階を備える、請求項1に記載の工程。
【請求項4】
前記基板が1つの可撓性基板である、請求項3に記載の工程。
【請求項5】
前記可撓性基板が1つの透明な樹脂を備える、請求項4に記載の工程。
【請求項6】
前記反射防止コーティングが、浸漬コーティングよって、スピン・コーティングによって、またはスプレー・コーティングによって1つの基板上に施工される、請求項1に記載の工程。
【請求項7】
前記基板が1つの非可撓性基板である、請求項3に記載の工程。
【請求項8】
前記勾配層が複数のナノ粒子を備える、請求項1に記載の工程。
【請求項9】
前記複数のナノ粒子が、可視光線の波長の約8分の1から1倍までの間の1つの直径を有する、請求項8に記載の工程。
【請求項10】
前記複数のナノ粒子が、可視光線の波長の約2分の1の1つの直径を有する、請求項8に記載の工程。
【請求項11】
前記複数のナノ粒子が、可視光線の波長の約2分の1の1つの積である1つの波長を有する、請求項8に記載の工程。
【請求項12】
前記複数のナノ粒子が、1つのStoeber工程によって生成される、請求項8に記載の工程。
【請求項13】
1つの表面活性合成物が前記複数のナノ粒子に施工される、請求項8に記載の工程。
【請求項14】
前記複数のナノ粒子が、1つのフルオロカーボン基を更に備える、請求項8に記載の工程。
【請求項15】
前記複数のナノ粒子が、1つのフルオロカーボン基を更に備える、請求項12に記載の工程。
【請求項16】
前記複数のナノ粒子は、100乃至600ナノメートルの間の1つの直径を有する、請求項15に記載の工程。
【請求項17】
前記複数のナノ粒子が、1つの高屈折率の前記第2相を備える1つの硬化した樹脂材料に部分的に埋め込まれる、請求項8に記載の工程。
【請求項18】
1つの反射防止コーティングを提供する1つの工程であって、
複数の超分子と溶液との間の複数の分子間力が前記複数の超分子を上昇させて前記溶液の最表層から部分的に露出させるように選択されるという複数の条件下で1つの硬化可能な樹脂の前記溶液中に前記複数の超分子を備える1つのコーティング合成物を堆積する段階であって、複数の超分子は硬化された時に前記硬化可能な樹脂の前記最表層に部分的に埋め込まれた前記複数の超分子が高密度に充填された少なくとも1つの層を形成するために十分なだけ集中し、硬化の後に結果として生じるコーティングが前記最表層から前記硬化された樹脂の前記厚さを貫通して増加する複数の屈折率の1つの勾配を提供するように前記複数の超分子および前記硬化可能な樹脂の複数の屈折率が選択される段階と、
前記溶液を排除する段階と、
前記堆積した硬化可能な樹脂を硬化させる段階と
を備え、
前記複数の超分子が高密度に充填される1つの配列が、前記硬化された樹脂の前記最表層に部分的に埋め込まれる、
工程。
【請求項19】
前記複数の超分子が複数のシリカナノ粒子を備える、請求項18に記載の工程。
【請求項20】
前記複数の超分子が、自己集合プロセスを促進する複数の官能基によって修正済の複数のシリカナノ粒子を備える、請求項18に記載の工程。
【請求項21】
前記複数の官能基がフッ素を備える、請求項20に記載の工程。
【請求項22】
前記硬化可能な樹脂が1つのアクリル樹脂を備える、請求項21に記載の工程。
【請求項23】
前記溶液がイソプロピルアルコールを備える、請求項22に記載の工程。
【請求項24】
前記超分子が、前記硬化可能な樹脂よりも低い1つの屈折率を有する高分子材料の複数のナノ粒子を備える、請求項18に記載の工程。
【請求項25】
請求項1乃至24の任意の1つの工程によって製造される1つの反射防止コーティング。
【請求項26】
請求項18の工程によって製造される1つの高分解能、惑光防止および反射防止コーティング。
【請求項27】
請求項26における1つの高分解能、惑光防止および反射防止コーティングを備える1つの表示装置。
【請求項28】
請求項26における高分解能、惑光防止および反射防止コーティングを備える1つの光学装置。
【請求項29】
1つの眼鏡レンズである、請求項28に記載の光学装置。
【請求項30】
1つの顕微鏡または望遠鏡レンズである、請求項28に記載の光学装置。
【請求項31】
請求項26における1つの高分解能、多機能コーティングを備える1つのテレコミュニケーション装置。
【請求項32】
請求項26におけるの1つの高分解能、多機能コーティングを備える1つのセル式電話またはPDA装置の1つの表示画面。
【請求項33】
請求項1または請求項18の工程によって製造されるコーティングを備える1つのソーラー・パネル。
【請求項34】
請求項1または請求項18の工程による1つのコーティングを備える1つの導波管機能を提供する1つの表示装置。
【請求項35】
1つの視聴スクリーンを備える1つの表示装置の光学輝度あるいはコントラスト比を増加させる1つの方法であって、前記視聴スクリーン上において請求項25における1つのコーティングを施工する段階を備える方法。
【請求項36】
請求項25における1つの反射防止コーティングを備える複数の音波、複数のレーダー波あるいは複数の赤外線の反射を低減させるためのインピーダンスを有する1つの勾配層。
【請求項37】
使用中に1つの周囲の低屈折率媒質に露出される1つの基板用の1つの反射防止コーティングであって、
前記周囲の低屈折率媒質より高い1つの屈折率を有する1つの第2相と、
自己集合した複数のナノ粒子を含む前記第2相の最表層に部分的に埋め込まれる1つの勾配層と
を備え、
前記勾配層の屈折率は、前記周囲の低屈折率媒質の屈折率から前記第2相の屈折率まで徐々に変化する、
反射防止コーティング。
【請求項38】
前記勾配層が、1つの硬化された樹脂に部分的に埋め込まれる前記自己集合した複数のナノ粒子を備える、請求項37に記載の1つの反射防止コーティング。
【請求項39】
前記勾配層が、前記複数のナノ粒子の埋め込まれていない複数の部分間に周囲の低屈折率媒質を更に備える、請求項37に記載の1つの反射防止コーティング。
【請求項40】
前記複数のナノ粒子が複数のStoeberプロセス粒子を備える、請求項37に記載の1つの反射防止コーティング。
【請求項41】
前記複数のStoeberプロセス粒子がシリカを備える、請求項40に記載の1つの反射防止コーティング。
【請求項42】
前記複数のStoeberプロセス粒子がフッ化処理されたシリカを備える、請求項40に記載の1つの反射防止コーティング。
【請求項43】
前記フッ素で処理されたシリカ粒子が、前記複数のシリカ粒子に接合した複数のトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル基を備える、請求項42に記載の1つの反射防止コーティング。
【請求項44】
1つの基板上に請求項37の反射防止コーティングを備える、1つの反射防止基板。
【請求項45】
前記基板が透明である、請求項44に記載の1つの反射防止基板。
【請求項46】
前記基板がガラスを備える、請求項44に記載の1つの反射防止基板。
【請求項47】
前記基板が透明な樹脂を備える、請求項44に記載の1つの反射防止基板。
【請求項48】
前記基板がトリアセチル・セルロースを備える、請求項44に記載の1つの反射防止基板。
【請求項50】
1つの反射防止コーティングであって、
高屈折率を有する1つの耐久性樹脂の1つの層と、前記耐久性樹脂層の最表層における屈折率を有する1つの勾配層とを備え、
前記コーティングが、4〜40の範囲内の1つのヘーズ、1.8〜0.1%の1つの反射、および少なくとも約450の1つの写像性(distinctness of image:DOI)を有する、
反射防止コーティング。
【請求項51】
前記勾配層が、前記耐久性樹脂の最表層において、密度が変化し且つカプセル化の程度が変化する複数の領域中に配置される複数のナノ粒子を備える、請求項50に記載の1つの反射防止コーティング。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低屈折率媒質に使用される高耐久性反射防止コーティングを提供する工程であって、高屈折率の1つの第2相の最表層に1つの自己集合勾配層を形成する段階を備え、前記勾配層が、前記低屈折率媒質と前記第2相との中間の屈折率を有する、工程。
【請求項2】
前記自己集合勾配層が、前記勾配層の界面エネルギーを低下させることによって形成される、請求項1に記載の工程。
【請求項3】
基板上に前記反射防止コーティングをロール・コーティングする段階を備える、請求項1に記載の工程。
【請求項4】
前記基板が可撓性基板である、請求項3に記載の工程。
【請求項5】
前記可撓性基板が透明な樹脂を備える、請求項4に記載の工程。
【請求項6】
前記反射防止コーティングが、浸漬コーティングよって、スピン・コーティングによって、またはスプレー・コーティングによって基板上に施工される、請求項1に記載の工程。
【請求項7】
前記基板が非可撓性基板である、請求項3に記載の工程。
【請求項8】
前記勾配層が複数のナノ粒子を備える、請求項1に記載の工程。
【請求項9】
前記複数のナノ粒子が、可視光線の波長の約8分の1から1倍までの間の直径を有する、請求項8に記載の工程。
【請求項10】
前記複数のナノ粒子が、可視光線の波長の約2分の1の直径を有する、請求項8に記載の工程。
【請求項11】
前記複数のナノ粒子が、可視光線の波長の約2分の1の積である波長を有する、請求項8に記載の工程。
【請求項12】
前記複数のナノ粒子が、Stoeber工程によって生成される、請求項8に記載の工程。
【請求項13】
表面活性合成物が前記複数のナノ粒子に施工される、請求項8に記載の工程。
【請求項14】
前記複数のナノ粒子が、フルオロカーボン基を更に備える、請求項8に記載の工程。
【請求項15】
前記複数のナノ粒子が、フルオロカーボン基を更に備える、請求項12に記載の工程。
【請求項16】
前記複数のナノ粒子は、100乃至600ナノメートルの間の直径を有する、請求項15に記載の工程。
【請求項17】
前記複数のナノ粒子が、高屈折率の前記第2相を備える硬化した樹脂材料に部分的に埋め込まれる、請求項8に記載の工程。
【請求項18】
反射防止コーティングを提供する工程であって、
複数の超分子と溶液との間の複数の分子間力が前記複数の超分子を上昇させて前記溶液の最表層から部分的に露出させるように選択されるという複数の条件下で硬化可能な樹脂の前記溶液中に前記複数の超分子を備えるコーティング合成物を堆積する段階であって、複数の超分子は硬化された時に前記硬化可能な樹脂の前記最表層に部分的に埋め込まれた前記複数の超分子が高密度に充填された少なくとも1つの層を形成するために十分なだけ集中し、硬化の後に結果として生じるコーティングが前記最表層から前記硬化された樹脂の前記厚さを貫通して増加する複数の屈折率の勾配を提供するように前記複数の超分子および前記硬化可能な樹脂の複数の屈折率が選択される段階と、
前記溶液を排除する段階と、
前記堆積した硬化可能な樹脂を硬化させる段階と
を備え、
前記複数の超分子が高密度に充填される配列が、前記硬化された樹脂の前記最表層に部分的に埋め込まれる、
工程。
【請求項19】
前記複数の超分子が複数のシリカナノ粒子を備える、請求項18に記載の工程。
【請求項20】
前記複数の超分子が、自己集合プロセスを促進する複数の官能基によって修正済の複数のシリカナノ粒子を備える、請求項18に記載の工程。
【請求項21】
前記複数の官能基がフッ素を備える、請求項20に記載の工程。
【請求項22】
前記硬化可能な樹脂がアクリル樹脂を備える、請求項21に記載の工程。
【請求項23】
前記溶液がイソプロピルアルコールを備える、請求項22に記載の工程。
【請求項24】
前記超分子が、前記硬化可能な樹脂よりも低い屈折率を有する高分子材料の複数のナノ粒子を備える、請求項18に記載の工程。
【請求項25】
請求項1乃至24の任意の工程によって製造される反射防止コーティング。
【請求項26】
請求項18の工程によって製造される高分解能、惑光防止および反射防止コーティング。
【請求項27】
請求項26における高分解能、惑光防止および反射防止コーティングを備える表示装置。
【請求項28】
請求項26における高分解能、惑光防止および反射防止コーティングを備える光学装置。
【請求項29】
眼鏡レンズである、請求項28に記載の光学装置。
【請求項30】
顕微鏡または望遠鏡レンズである、請求項28に記載の光学装置。
【請求項31】
請求項26における高分解能、多機能コーティングを備えるテレコミュニケーション装置。
【請求項32】
請求項26におけるの高分解能、多機能コーティングを備えるセル式電話またはPDA装置の表示画面。
【請求項33】
請求項1または請求項18の工程によって製造されるコーティングを備えるソーラー・パネル。
【請求項34】
請求項1または請求項18の工程によるコーティングを備える導波管機能を提供する表示装置。
【請求項35】
視聴スクリーンを備える表示装置の光学輝度あるいはコントラスト比を増加させる方法であって、前記視聴スクリーン上において請求項25におけるコーティングを施工する段階を備える方法。
【請求項36】
請求項25における反射防止コーティングを備える複数の音波、複数のレーダー波あるいは複数の赤外線の反射を低減させるためのインピーダンスを有する勾配層。
【請求項37】
使用中に周囲の低屈折率媒質に露出される基板用の反射防止コーティングであって、
前記周囲の低屈折率媒質より高い屈折率を有する1つの第2相と、
自己集合した複数のナノ粒子を含む前記第2相の最表層に部分的に埋め込まれる1つの勾配層と
を備え、
前記勾配層の屈折率は、前記周囲の低屈折率媒質の屈折率から前記第2相の屈折率まで徐々に変化する、
反射防止コーティング。
【請求項38】
前記勾配層が、硬化された樹脂に部分的に埋め込まれる前記自己集合した複数のナノ粒子を備える、請求項37に記載の反射防止コーティング。
【請求項39】
前記勾配層が、前記複数のナノ粒子の埋め込まれていない複数の部分間に周囲の低屈折率媒質を更に備える、請求項37に記載の反射防止コーティング。
【請求項40】
前記複数のナノ粒子が複数のStoeberプロセス粒子を備える、請求項37に記載の反射防止コーティング。
【請求項41】
前記複数のStoeberプロセス粒子がシリカを備える、請求項40に記載の反射防止コーティング。
【請求項42】
前記複数のStoeberプロセス粒子がフッ化処理されたシリカを備える、請求項40に記載の反射防止コーティング。
【請求項43】
前記フッ素で処理されたシリカ粒子が、前記複数のシリカ粒子に接合した複数のトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル基を備える、請求項42に記載の反射防止コーティング。
【請求項44】
基板上に請求項37の反射防止コーティングを備える、反射防止基板。
【請求項45】
前記基板が透明である、請求項44に記載の反射防止基板。
【請求項46】
前記基板がガラスを備える、請求項44に記載の反射防止基板。
【請求項47】
前記基板が透明な樹脂を備える、請求項44に記載の反射防止基板。
【請求項48】
前記基板がトリアセチル・セルロースを備える、請求項44に記載の反射防止基板。
【請求項49】
反射防止コーティングであって、
高屈折率を有する耐久性樹脂の1つの層と、前記耐久性樹脂層の最表層における屈折率を有する1つの勾配層とを備え、
前記コーティングが、4〜40の範囲内のヘーズ、1.8〜0.1%の反射、および少なくとも約450の写像性(distinctness of image:DOI)を有する、
反射防止コーティング。
【請求項50】
前記勾配層が、前記耐久性樹脂の最表層において、密度が変化し且つカプセル化の程度が変化する複数の領域中に配置される複数のナノ粒子を備える、請求項50に記載の反射防止コーティング。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【公表番号】特表2006−500206(P2006−500206A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537724(P2004−537724)
【出願日】平成15年9月8日(2003.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2003/027780
【国際公開番号】WO2004/027517
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(505006116)オプティマックス テクノロジー コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】