説明

表面近傍冷却通路を備えたタービン部品及びその方法

【課題】空気冷却式ターボ機械部品内に表面近傍冷却通路を形成する方法を提供する。
【解決手段】部品10の表面領域の表面内にチャネルを形成して、チャネルが該表面で開口しかつ該部品10内の第1の冷却通路に流体連結させるステップを伴う。次に、表面上にまたチャネルを埋めない状態で該チャネルを覆うように金属層を堆積させる。金属層は、表面領域の表面においてチャネルを閉鎖して、第1の冷却通路に流体連結した第2の冷却通路を該チャネルと共に部品10内部に形成する。次に、金属層上に皮膜系を堆積させて、部品10の最外側表面を形成する。第2の冷却通路は、第1の冷却通路よりも部品10の最外側表面に近接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ機械のタービン翼形部部品のような高温で作動する部品に関する。より具体的には、本発明は、高温部品内に表面近傍冷却通路を形成して、該部品の熱伝達特性を促進する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用及び航空機用ガスタービンエンジンのバケット(ブレード)、ノズル(ベーン)及びその他の高温ガス通路部品のようなターボ機械の部品は一般的に、タービン運転温度及び条件に合わせて望ましい機械的及び環境的特性を有するニッケル、コバルト又は鉄基超合金で形成される。ターボ機械の効率はその運転温度によって決まるので、タービンバケット及びノズルのような部品がますます高い温度に耐えることができるようにするための要望が存在する。超合金部品の最大局所温度が該超合金の溶融温度に近づくにつれて、強制空気冷却が必要になる。そのために、ガスタービンバケット及びノズルの翼形部は多くの場合に、空気、一般的にはブリード空気が翼形部内の内部冷却通路を通して強制的に送られかつ次に翼形部表面における冷却孔を通して吐出されて部品からの熱を伝達するようにした複雑な冷却スキームが必要となる。冷却孔はまた、冷却空気が部品の周囲表面をフィルム冷却するのに役立つように構成することもできる。
【0003】
鋳造プロセスによって形成されたバケット及びノズルは、内部冷却通路を形成するための中子を必要とする。中子及び鋳造プロセス時に移動するその可能性により、従来型の鋳造プロセスが部品の外部表面に近接して冷却通路を設置することができる範囲が制限される。その結果、冷却通路は一般的に、鋳造タービンバケット又はノズルの母材表面の下方約0.1インチ(約2.5mm)以上に位置している。しかしながら、熱伝達効率は、冷却通路を現在可能であるよりも表面に近接させて配置することができた場合には、大幅に高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6461107号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、空気冷却式ターボ機械部品内に1つ以上の表面近傍冷却通路を形成する方法を提供し、そのような部品の注目に値するが非限定的な実施例には、ガスタービンのバケット(ブレード)、ノズル(ベーン)、シュラウド及びその他の高温ガス通路部品が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によると、本方法は、部品の表面領域の表面内にチャネルを形成して、チャネルが該表面で開口しかつ該部品内の第1の冷却通路に流体連結させるステップを伴う。次に、表面上にまたチャネルを埋めない状態で該チャネルを覆うように金属層を堆積させる。金属層は、表面領域の表面においてチャネルを閉鎖して、第1の冷却通路に流体連結しかつ該第1の冷却通路よりも該金属層の外側表面に近接した第2の冷却通路を該チャネルと共に部品内部に形成する。次に、金属層上に皮膜系を堆積させて、部品の最外側表面を形成する。第2の冷却通路は、第1の冷却通路よりも部品の最外側表面に近接している。
【0007】
本発明の別の態様は、上記のステップを含む方法によって形成された部品である。
【0008】
本発明の技術的効果は、鋳造プロセス時に中子を用いて形成した冷却通路よりも部品表面に非常に近接した冷却通路を鋳造部品内部に配置することができることである。その結果、本発明は、部品、具体的にはガスタービンエンジンの高温ガス通路内に設置された空気冷却式ターボ機械部品の熱伝達効率を大幅に高めることができる。
【0009】
本発明の他の態様及び利点は、以下の詳細な説明からより良好に分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明から利益を得ることができるタイプの高圧タービンバケットの斜視図。
【図2】本発明の実施形態により表面領域の表面内に形成された複数のチャネルを示す、図1のバケットの表面領域の部分断面図。
【図3】図2のチャネルを覆って堆積された層を示す断面図。
【図4】図3の層内におけるアルミナイジング表面領域を示す断面図。
【図5】図4の層内におけるアルミナイジング表面領域上に堆積されたボンディングコート及び遮熱コーティングを示す断面図。
【図6】図4の層内におけるアルミナイジング表面領域上に直接堆積された遮熱コーティングを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は一般的に、比較的高温度を特徴とする環境内で作動させる部品、具体的にはその最大表面温度がそれを形成している材料の溶融温度に接近し、部品表面温度を低下させるための強制空気冷却の使用を必要とする部品に適用可能である。そのような部品の注目に価する実施例には、産業用及び航空機用ガスタービンエンジンのようなターボ機械の高及び低圧タービンバケット(ブレード)、ノズル(ベーン)、シュラウド及びその他の高温ガス通路部品が含まれる。
【0012】
図1には、タービンバケット10の非限定的な実施例を示している。バケット10は一般的に、ガスタービンエンジンの運転時に高温燃焼ガスが導かれる翼形部12を含み、また従ってその表面は非常な高温を受ける。翼形部12は、該翼形部12からプラットフォーム16によって分離されたバケット10の根元セクション上に形成したダブテール14を用いてタービンディスク(図示せず)に固定されるように構成されるものとして示している。翼形部12は冷却孔18を含み、その根元セクションを通ってバケット10に流入したブリード空気が、この冷却孔18を通して強制的に送られてバケット10から熱を伝達する。図1に示すバケット10を参照して本発明の利点を説明するが、本発明の教示は一般的に、産業用及び航空機用ガスタービンエンジンのその他の高温ガス通路部品並びに極度な高温を受ける多様なその他の部品にも適用可能である。
【0013】
図2は、例えば図1における翼形部12又は該翼形部12のプラットフォーム16の表面領域のような、バケット10の外部表面領域22を示している。表面領域22は一般的に、例えばニッケル、コバルト又は鉄基超合金のようなバケット10の母材であり、その注目に値するが非限定的な実施例には、GTD−111(登録商標)(General Electric社)、GTD−444(登録商標)(General Electric社)、IN−738、Rene N4、Rene N5及びRene 108のようなニッケル基超合金が含まれる。バケット10は、該バケット10がガスタービンエンジン内で受ける高い温度及び応力に耐える等軸、方向性凝固(DS)又は単一結晶(SX)鋳造品として形成することができる。バケット10を製造するのに好適な溶融及び鋳造プロセスは、よく知られており、従って本明細書では何ら詳細には説明しないことにする。
【0014】
図2はさらに、表面領域22内に形成された複数チャネル23を示しており、これらチャネル23は領域22の表面24で開口する。チャネル23はその後に、バケット10内部に表面近傍冷却通路(図5及び図6)を形成し、従って圧縮機ブリード空気のような冷却空気がそれを通って流れるのを可能にするのに十分な断面積を有するのが望ましい。例えば、チャネル23は、約0.01〜約0.050インチ(約0.25〜約1.25mm)の一般的な範囲で、最大約0.1インチ(約2.5mm)までの幅及び深さ(それぞれ、表面24に対して平行及び垂直)を有するのが好ましいが、より小さい及びより大きい幅及び深さも実施可能である。さらに、チャネル23は、例えば約0.0001〜約0.0025平方インチ(約0.065〜約1.6平方mm)のような最大約0.01平方インチ(約6.5平方mm)までの断面積を有するのが好ましい。チャネル23は、矩形断面を有するものとして示しているが、チャネル23として、矩形以外の断面形状とすることができることを予見することができる。しかしながら、矩形断面は、表面領域22内にチャネル23を容易に形成することができる様々な方法、例えばフライス加工、ワイヤEDM、ミルドEDM、ウォータジェットトレンチ加工及びレーザトレンチ加工によって形成される。チャネル23は、その個々のチャネル23が隣接する組のチャネル23に対してよりも互いに近接した組の形態で形成されているものとして示している。しかしながら、このような構成は必ずしも必要でなく、またその他の構成も予見することができる。
【0015】
チャネル23は、図2に示すように、表面24の下方により深く設置された1つ以上の冷却通路28(その1つを図2〜図6に示している)に流体結合されるように領域22の表面24内に形成される。冷却通路28は、バケット10の根元セクション内における1つ以上の開口部(図示せず)を通して圧縮機ブリード空気のような冷却空気を受け、次にこの冷却空気をチャネル23並びに冷却孔18に供給する。従って、各冷却通路28は、チャネル23のいずれよりもより大きい断面積を有するのが好ましい。冷却通路28は、例えばバケット10を鋳造するのに使用する伝統的な鋳造方法において用いられる中子によるような従来型の方法によって、形成することができる。バケット10の鋳造表面24及び最終的にはバケット10上の皮膜によって形成されるあらゆる最外側表面に対する冷却通路28の近接度は、鋳造プロセス時にコアを正確に配置しかつその位置を維持することができる能力によって制限され、殆どの場合に鋳造表面24から約0.1インチ(約2.5mm)以上となる。
【0016】
図3は、鋳造表面24及びそのチャネル23を覆って層30を施工して、表面24においてチャネル23を閉鎖した結果を示している。層30は、バケット10のあらゆる部分、具体的には該バケット10のあらゆる外部表面を覆って施工することができるが、マスキング法を用いて、その中にチャネル23が形成されている正にバケット10のその表面に層30が施工されるようにすることも実施可能である。図3から明らかなように、チャネル23及び層30は、協働してバケット10の内部に位置する通路26を形成する。チャネル23は、層30の厚さのみによって該層30の表面32から分離されているので、通路26は、それを通して該通路26が冷却空気を供給される冷却通路28よりも層30の表面30に近接している。
【0017】
層30は、メッキプロセスによって施工して鋳造表面24に緊密に被着させるのが好ましい。注目に価するメッキ法には、電気メッキ及び無電解メッキが含まれ、これらのメッキ法はよく知られており、従って何らの詳細な説明も必要としない。メッキ材料がチャネル23内に堆積されるのを防止するために、図3はさらに、フィラー又はマスキング材料34で埋められたものとしてチャネル23を示している。マスキング材料34は、層30の堆積時には存在しているが、バケット10を実使用に配置するのに先立って、そうではなく通路26に存在しないようにする。従って、マスキング材料34は、層30を堆積させた後のある時点で、該マスキング材料34を溶融させることなどにより除去することができるのが好ましい。この目的のための好適な材料の非限定的な実施例には、チャネル23を埋めかつそれを覆ってメッキすることができると同時に、化学的又は熱的処理による除去を維持することができるワックス、グラファイト及びその他の材料が含まれる。従って、マスキング材料34として使用するための様々な材料を開発し又はその他の方法で特定することができることを予見することができる。メッキ法は、マスキング材料34の早期溶融を回避するその比較的低い処理加工温度、比較的複雑な形状のプレート表面に対して可能であること、堆積層30の厚さを正確に制御することができること、及びメッキすることによって堆積させることができる多様な材料の観点から、層30を堆積させる好ましいプロセスであると思われる。しかしながら、一部のプラズマ溶射法又はロウ付け法を採用して層30を形成することも実施可能とすることができる。
【0018】
層30の組成は、表面領域22の材料と化学的及び物理的に適合性があるのが好ましい。従って、層30用として特に注目に価する材料は、表面領域22がニッケル基超合金で構成されている場合には、ニッケル、ニッケル含有合金又はニッケル基合金である。例えば、ニッケルは、それによって他の元素の粒子をニッケル基基材内に分散させることができるプロセスによって堆積させることができる。1つのそのような方法は、米国公開特許出願第2003/0211239号に開示されており、それによると、クロミウム、アルミニウム、ジルコニウム、ハフニウム、チタン、タンタル、ケイ素、カルシウム、鉄、イットリウム及び/又はガリウムの粒子をメッキプロセスによってニッケル、コバルト及び/又は鉄のメッキ層内に組入れることができる。メッキプロセスによって製造することができる望ましいニッケル含有合金は、NiCoCrAlYのようなMCrAlYタイプの皮膜である。層30の厚さは、高温ガス流れを受けるバケット10の外部表面を冷却する通路26を通る冷却空気流の能力に影響を与える。従って、層30の厚さは一般的に、約0.01インチ(約250μm)以下であるが、より大きい厚さも予見することができる。層30の厚さはまた、表面領域22の構造的一体性に影響を与え、従って層30の最小厚さは一般的に、約0.005インチ(約125μm)となる。層30の組成はその強度及び熱伝導性を決定するが、約0.005〜約0.01インチ(約125〜約250μm)の範囲内の厚さが一般的に、好適であると思われる。
【0019】
図4は、通路26からマスキング材料34を除去しかつ層30の表面32をアルミナイジングして、層30の表面32内にアルミニウム含有領域36を形成した結果を示している。領域36は、該領域36がその中に形成された基材よりも大量のアルミニウム(原子百分率で)を含むことを意味して、アルミニウムリッチと呼ぶことができる。アルミナイジングプロセスは、アルミニウムを堆積させかつ層30の表面32上に及び該表面32の下方にアルミナイド(アルミニウム金属間化合物)を形成する傾向になる。アルミニウム含有領域36を形成するために様々なプロセスを使用することができ、その実施例には、米国公開特許出願第2009/0214773号及び第2009/0126833号に開示されたものが含まれるが、拡散アルミナイドボンディングコート及び環境皮膜を形成するために使用されるものと同様な様々なその他の拡散アルミナイドプロセスを使用することができる。
【0020】
層30の表面32のアルミナイジングは、図5及び図6に示す皮膜系に関する幾つかの理由から、任意選択的であるが好ましいステップである。図5では、ボンディングコート38は、アルミニウム含有領域36上に直接堆積されかつ該ボンディングコート38上に堆積された遮熱コーティング(TBC)40が続くものとして示している。図6では、遮熱コーティング42は、介在ボンディングコートがない状態でアルミニウム含有領域36上に直接堆積されたものとして示している。遮熱コーティング40及び42用の一般的であるが非限定的な材料はセラミック材料であり、その注目に価する実施例は、イットリア(YSZ)で部分的に又は完全に安定化させたジルコニア、或いはマグネシア、セリア、スカンジア及び/又はカルシアのような別の酸化物、並びに任意選択的に熱伝導性を低下させるその他の酸化物である。遮熱コーティング40及び42は、バケット10の下層表面領域22に対して所望レベルの熱保護をもたらすのに十分な厚さに、一般的には約75〜約300μmのオーダで堆積されるが、より小さい及びより大きい厚さも実施可能である。
【0021】
ガスタービンエンジンの部品用のTBCシステムでは一般的であるように、ボンディングコート38は、例えばMCrAlX(ここで、Mは鉄、コバルト及び/又はニッケル、またXはイットリウム、希土類金属及び/又は反応金属)のようなオーバレイ皮膜などのアルミニウム含有組成であるのが好ましいが、その他のボンディングコート組成の使用もまた予見することができる。MCrAlXのようなアルミニウム含有ボンディングコートは当然ながら、それが被覆する表面(層30の表面32のような)の酸化を防止することができると同時に、遮熱コーティング40をボンディングコート38に対して化学結合させることができるアルミニウム酸化物(アルミナ)スケール(図示せず)を発生させる。特に好適なMCrAlX皮膜材料は一般的に、約5重量%以上のアルミニウムを含むが、5重量%よりも少ないアルミニウムを含むMCrAlX皮膜もまた使用することができる。ボンディングコート38は一般的に、約12〜約75μmの厚さを有するが、より小さい及びより大きい厚さもまた実施可能である。ボンディングコート38は、物理的蒸着(PVD)プロセス及び熱溶射のような様々なプロセスによって堆積させることができ、好ましいプロセスは、プラズマ溶射、HVOF(高速オキシ−燃料)及びワイヤアーク溶射のような熱溶射プロセスであると思われる。
【0022】
層30が何らのアルミニウムも含まない場合には、例えばボンディングコート38内のニッケル又はニッケル合金、アルミニウムは、層30内に拡散し易くなり、ボンディングコート38内のアルミニウム含有量を激減させる。最終的には、ボンディングコート38内のアルミニウムのレベルは、保護スケールの更なる緩やかな成長を妨げるのに十分なほど激減して、非保護酸化物のより急激な成長を許し、それによって表面領域22に耐酸化性を与えかつ遮熱コーティング40を固着させるボンディングコート38の能力を減退させる。その結果、層30の表面32内にアルミニウム含有領域36を形成することによって、ボンディングコート38からのアルミニウムの拡散を促進する化学勾配が低下する。
【0023】
図6の実施形態では、アルミニウム含有領域36は、図5のボンディングコート38に置き換わり、また領域36上に成長するアルミナスケールが、耐酸化性を与えかつ遮熱コーティング42の固着を促進する。この実施形態では、アルミニウム含有領域36は、拡散プロセスによって堆積させて白金アルミナイド(PtAl)金属間化合物を含むのが好ましい。
【0024】
遮熱コーティング40及び42は、異なる構造を有するものとして図5及び図6に示している。図5に示す皮膜40は、それによって軟化粒子がボンディングコート38によって形成された堆積表面上に「スプラット」として堆積しかつ非円柱状不規則扁平微粒子並びにある程度の不均一性及び有孔性を有する皮膜40を形成する空気プラズ溶射(APS)のような熱溶射プロセスよって堆積される。このような遮熱コーティングのカテゴリーは、高密垂直亀裂(DVC)TBCと呼ばれる皮膜を含み、これらの皮膜は、米国特許第5830586号、第5897921号、第5989343号及び第6047539号において報告されているような、垂直微小亀裂を有して耐久性を向上させるプラズマ溶射によって堆積される。他方、図6に示す皮膜42は、電子ビーム物理的蒸着(EBPVD)のようなPVDプロセスによって堆積され、このPVDプロセスは、破砕に至る損傷応力を引き起こさない状態で膨張及び収縮することができる円柱微粒子構造を生じさせる。それに代えて、図6の皮膜42は、真空プラズマ溶射(VPS)としても知られている低圧プラズマ溶射(LPPS)プロセスによって薄膜として堆積させることができる。
【0025】
上記のプロセスステップの結果として、バケット10内のチャネル23及び層30によって形成された通路26は、バケット10の鋳造時に従来型の中子法によって形成された冷却通路28よりもバケット10の最外側表面44(遮熱コーティング40又は42の1つによって形成された)に近接した表面近傍冷却通路26である。開口部(図示せず)は、それを通して通路28からの冷却空気をバケット10の外部に排出させる通路26内に形成することができ、或いは通路26は、翼形部12内に存在する冷却孔18に流体連結することができる。各通路26及び最外側表面44間の距離は、層30、ボンディングコート38(存在する場合には)及び遮熱コーティング40又は42によって決定され、またこれら層の組合せ厚さは、それらのそれぞれの堆積プロセスによって制御することができるので、通路26は、例えばバケット10の最外側表面44の下方2mm以下、より好ましくは最外側表面44の下方約1mm以下とすることができ、またその各々が伝統的な鋳造方法を使用して中子によって形成された従来型の冷却通路28で実施可能であるものよりも大幅に小さい、バケットの最外側表面44の下方約200μm以下とさえすることができる。従って、通路26は、冷却通路28と比較してバケット10の熱伝達効率を大幅に高めることができる。
【0026】
本発明を特定の実施形態に関して説明してきたが、当業者には他の形態も採用することができることは明らかである。従って、本発明の技術的範囲は、提出した特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0027】
10 バケット
12 翼形部
14 ダブテール
16 プラットフォーム
18 孔
22 領域
23 チャネル
24 表面
26 通路
28 通路
30 層
32 表面
34 材料
36 領域
38 コート
40 皮膜
42 皮膜
44 表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械の高温ガス通路部品(10)内に冷却通路(26、28)を設ける方法であって、
前記部品(10)の表面領域(22)の表面(24)内に、該表面(24)で開口しかつ該部品(10)内の第1の冷却通路(28)に流体連結したチャネル(23)を形成するステップと、
前記表面(24)上にまた前記チャネル(23)を埋めない状態で該チャネル(23)を覆うように、前記表面領域(22)の表面(24)において該チャネル(23)を閉鎖して前記第1の冷却通路(28)に流体連結しかつ該第1の冷却通路(28)よりもその外側表面(32)に近接した第2の冷却通路(26)を該チャネルと共に前記部品(10)内部に形成した金属層(30)を堆積させるステップと、
前記金属層(30)上に、前記部品(10)の最外側表面(44)を形成しかつ前記第2の冷却通路(26)が前記第1の冷却通路(28)よりも該部品(10)の最外側表面(44)に近接するようにした皮膜系(34、40、42)を堆積させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記第2の冷却通路(26)が、前記部品(10)の最外側表面(44)から2mm以下である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記金属層(30)を堆積させるステップに先立って、前記チャネル(23)内にマスキング材料(34)を堆積させるステップと、
前記金属層(30)を堆積させるステップの後に、前記マスキング材料(34)を前記チャネル(23)から取除くステップと
をさらに含む、請求項1又は請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記金属層(30)が、ニッケル、ニッケル含有合金及びニッケル基合金からなる群から選択される組成を有する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記金属層(30)上に前記皮膜系(34、40、42)を堆積させるのに先立って、該金属層(30)の外側表面(32)をアルミナイジングして、該外側表面(32)内にアルミニウム含有領域(36)を形成するステップをさらに含む、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記皮膜系(34、40)が、前記金属層(30)上に堆積させた金属ボンディングコート(34)及び該ボンディングコート(34)上に堆積させたセラミック皮膜(40)を含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記皮膜系(42)が、前記金属層(30)上に直接堆積させたセラミック皮膜(42)を含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ターボ機械の高温ガス通路部品(10)であって、
前記部品(10)の表面領域(22)の表面(24)内に形成されかつ該部品(10)内部の第1の冷却通路(28)に流体連結したチャネル(23)と、
前記表面(24)上にまた前記チャネル(23)を埋めない状態で該チャネル(23)を覆うように堆積され、前記表面領域(22)の表面(24)において該チャネル(23)を閉鎖して、前記第1の冷却通路(28)に流体連結しかつ該第1の冷却通路(28)よりもその外側表面(32)に近接した第2の冷却通路(26)を該チャネルと共に前記部品(10)内部に形成した金属層(30)と、
前記金属層(30)上に堆積されかつ前記部品(10)の最外側表面(44)を形成した皮膜系(34、40、42)と
を含んでおり、前記第2の冷却通路(26)が、前記第1の冷却通路(28)よりも前記部品(10)の最外側表面(44)に近接している、高温ガス通路部品(10)。
【請求項9】
前記第2の冷却通路(26)が、前記部品(10)の最外側表面(44)から2mm以下である、請求項8記載の高温ガス通路部品(10)。
【請求項10】
前記部品(10)が、タービンバケット又はタービンノズルである、請求項8又は請求項9記載の高温ガス通路部品(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−127347(P2012−127347A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−270783(P2011−270783)
【出願日】平成23年12月12日(2011.12.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】