袋体、積層体、および袋体の製造方法
【課題】発泡樹脂層を利用してリークの発生を防止することができるとともに、コスト上昇を抑制することができる袋体、積層体および袋体の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも発泡樹脂層を含むフィルム状の積層体をヒートシールにより袋状にして形成された袋体において、前記積層体がヒートシールされたヒートシール部の近傍の内側領域に、発泡樹脂層を潰して形成したソリッド部が配置されることを特徴とする。
【解決手段】少なくとも発泡樹脂層を含むフィルム状の積層体をヒートシールにより袋状にして形成された袋体において、前記積層体がヒートシールされたヒートシール部の近傍の内側領域に、発泡樹脂層を潰して形成したソリッド部が配置されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、袋体、それに用いられる積層体、および袋体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、氷菓などを入れる袋体にあっては、顧客が手で把持した際に冷たく感じることから断熱性の向上が要望されていて、近年、発泡樹脂層を設けて断熱性を向上した積層体を用いる袋体が提案されており、例えば、特許文献1に記載の袋体には、積層体の発泡樹脂層として厚さ500μmの発泡ポリエチレン(発泡倍率:35倍)が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−130586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した発泡樹脂層は、剥離方向およびせん断方向の力に脆いため、この発泡樹脂層を備える積層体を用いて袋体を成形するべく積層体同士をヒートシールにより接着した場合、ヒートシール部の近傍に内圧による応力が集中して、十分な落袋強度、耐圧縮強度が得られない場合があるという課題がある。
例えば、発泡樹脂層の内面側のシーラント層が伸びて破れた場合に、発泡樹脂層にも応力が加わって破断してしまい、その際、破断した部分から連鎖的に発泡樹脂層の破断が広がり、内容物のリークが発生してしまう虞がある。
また、発泡樹脂層の内面側のシーラント層をより厚肉に形成することで、シーラント層の破れを防止し、袋体のシール部近傍における耐圧縮強度の向上を図れるが、シーラント層を厚肉に形成する分だけコストが上昇してしまうという課題がある。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、発泡樹脂層を利用してリークの発生を防止することができるとともに、コスト上昇を抑制することができる、袋体、積層体および袋体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、少なくとも発泡樹脂層を含むフィルム状の積層体の周縁部をヒートシールして形成された袋体において、前記積層体がヒートシールされたヒートシール部の近傍の内側領域に、前記発泡樹脂層を潰して形成したソリッド部が配置されることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、ガゼット折込線とヒートシール部との交点近傍の内側領域に前記ソリッド部が配置されることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載の発明において、口栓が取り付けられる口栓取付部の近傍の内側領域に前記ソリッド部が配置されることを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載した発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の袋体を形成する積層体であって、少なくとも一部にソリッド部が形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載した発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の袋体の製造方法であって、積層体に予めソリッド部を形成する工程と、該積層体をヒートシールして袋体を成形する工程とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
この発明の袋体によれば、内圧が高くなった際に応力が加わり易いヒートシール部近傍の内側領域の発泡樹脂層を潰してソリッド部を形成することで、見かけ上、シーラント層を設けるのと同じ作用が得られ、例えば、発泡樹脂層の内面側に肉厚なシーラント層を設けることなしにヒートシール部近傍における耐圧縮強度を増加させることができる。したがって、耐圧縮強度の向上によりリークの発生を防止することができるとともに、コスト上昇を抑制することができる効果がある。
【0012】
さらに、この発明の積層体によれば、予めソリッド部が形成されていることで発泡樹脂層がソリッド化しているので、これを用いた袋体の耐圧縮強度を向上させることができる効果がある。
さらに、この発明の袋体の製造方法によれば、積層体に予めソリッド部を形成して、その後に、ヒートシールにより接着されるヒートシール部を形成することで、ソリッド部を形成する際にヒートシール部以外の積層体内面同士の張り付きを防止することができるため、ソリッド部を形成する際に複雑な作業が不要となり、耐圧縮強度が向上された袋体を簡単に製造することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態における袋体である3方袋の正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態における袋体である4方袋の正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における袋体のヒートシール部近傍の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態における製袋前の積層体を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態における変形例の袋体である3方袋の正面図である。
【図6】本発明の第2実施形態における袋体の斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態における袋体の正面図であり、上部が開放された状態の図である。
【図8】本発明の第2実施形態における袋体の正面図であり、上部が閉塞された状態の図である。
【図9】本発明の第2実施形態における第1変形例の袋体の斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態における第1変形例の袋体の正面図である。
【図11】本発明の第3実施形態における袋体の斜視図である。
【図12】本発明の第3実施形態におけるヒートシール部近傍の断面図であって、(a)はA−A線に沿う断面図、(b)はA’−A’線に沿う断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態における袋体の正面図である。
【図14】図13のB−B線に沿う断面図である。
【図15】本発明の第2実施形態における第2変形例の袋体の斜視図である。
【図16】本発明の第2実施形態における第2変形例の袋体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、この発明の第1実施形態の袋体について図面を参照しながら説明する。
図1は、この実施形態の袋体1を正面から見た図である。この袋体1は、表側に配置される積層体5aと裏側に配置される積層体5b(図示せず)との内面同士を重ね合わせて、その周縁部をヒートシールして形成された3方シール袋、いわゆる平パウチである。この袋体1は、内容物を充填する前の状態を示しており、上部に開口部2が形成され、表裏対称な形状となっている。なお、積層体5aと積層体5bとは同一の構成であるため、特に必要な場合を除き積層体5aについてのみ説明し、積層体5bの説明を省略する。
【0015】
袋体1は、その左縁部、右縁部、および、下縁部に沿って、それぞれヒートシール部7a〜7cが形成され、さらに、これらヒートシール部7a〜7cの近傍、より具体的には、ヒートシール部7a〜7cに隣接する内側領域に所定幅(例えば、上述した0.5〜20mm幅程度)のソリッド部30a〜30cが形成される。これらソリッド部30a〜30cは、ヒートシール部7a〜7cと同様に、溶融加圧により形成される。袋体1は、内容物が充填された後に開口部2が閉塞されることとなるが、この閉塞時にヒートシールにより接着されるヒートシール部7d(図2参照)に隣接した内側領域にも、ヒートシール部7dの内縁に沿って、予めソリッド部30dが形成される。このソリッド部30dは、上述したソリッド部30a〜30cと同様に所定幅(例えば、0.5〜20mm程度)に形成される。そして、図2に示すように、袋体1の開口部2がヒートシールにより閉塞されると、袋体1は、4方シール袋となる。
【0016】
図3は、表面の積層体5aの縁部6aと、裏面の積層体5bの縁部6bとがヒートシールにより接着されたヒートシール部7の近傍を示している。
積層体5aおよび積層体5bは、袋体1の内外方向の外側から順に基材層10、機能層11、発泡樹脂層12、および、シーラント層13が積層されて形成される。発泡樹脂層12とシーラント層13とは共押出し法等により積層される。そして、発泡樹脂層12とシーラント層13とを積層したものと、基材層10と、機能層11とは、ドライラミネート法等により接着されて積層される。なお、積層体5a,5bの積層方法として、ドライラミネート法、押し出しラミネート法、ノンソルベントラミネート法などが挙げられるが、接着強度の面でドライラミネート法を用いるのが好ましい。
【0017】
基材層10は、積層体5aの強度を持たせ、袋体1に成形した場合に最外層となるものであり、ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)、ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、および、ポリアセタールなどの合成樹脂からなるフィルム、又は、これらの合成樹脂を多層共押出ししたフィルム等により形成される。これらのフィルムは無延伸フィルムであってもよく、一軸方向又は二軸方向に延伸した延伸フィルムであっても良い。また、基材層10に用いるフィルムは印刷適正の観点から、一軸方向又は二軸方向に延伸した延伸フィルムを用いることが好ましい。また、基材層10の厚さは、6μm〜50μmであり、より好ましくは9μm〜25μmである。
【0018】
機能層11は、ガスバリア性、および、引張強度等の機械的強度を付与する等の各種機能を具備しており、金属箔や各種プラスチックフィルムなどにより形成される。金属箔を構成する金属としては、アルミニウム、鉄、銅、マグネシウム等が挙げられる。またプラスチックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)、ポリアミド(ナイロン)、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニル共重合体など、又は、これらのプラスチックフィルムにポリ塩化ビニリデンなどを始めとする気体遮断性を有する樹脂を塗工したもの、若しくはこれらのプラスチックフィルムにアルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの無機物を蒸着した各種蒸着フィルムを用いることができる。機能層11の厚さは、6μm〜50μm、より好ましくは6μm〜25μmである。なお、機能層11は複数層設けてあってもよい。
【0019】
発泡樹脂層12は、積層体5aの断熱性を高める機能を有しており、それぞれ発泡された、ポリウレタン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン類、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなどのポリプロピレン類、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などの共重合樹脂類等により形成される。これらの中でも特にポリエチレン類が好適であって、さらにポリエチレン類の中では、低密度ポリエチレンが低融点でソリッドを形成しやすく好適である。また発泡樹脂層12の厚さは、70μm〜250μmであり、より好ましくは100μm〜200μmである。発泡樹脂層12の発泡手段としては、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム等によって窒素ガスまたは炭酸ガスを発生させる化学発泡法や、炭酸ガス(二酸化炭素ガス)、窒素ガス等のガスを用いた物理発泡法が挙げられる。また、物理発泡法には、亜臨界状態、超臨界状態の流体を用いた発泡手段も含まれる。これらの発泡手段の中でも、安全性の観点から食品用途に適した発泡手段としては、炭酸ガス、窒素ガスを用いた物理発泡法が好ましく、その中でも、超臨界状態の炭酸ガス又は窒素ガスを用いた発泡手段が特に好ましい。発泡樹脂層12の発泡倍率は、1.2倍〜3.0倍であり、1.5倍〜2.5倍がより好ましい。なお、発泡樹脂層12は連続気泡であることが好ましいが、独立気泡としても良い。
【0020】
シーラント層13は、ヒートシールにより積層体同士を接着固定する機能を有する。このシーラント層13を設けることで、シール強度の向上を図っている。ここで、シーラント層13に用いられる樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが挙げられ、これらの中から耐寒性の強度の面で、直鎖状低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。このシーラント層13の厚さは、10μm〜200μmであり、より好ましくは20μm〜100μmである。
【0021】
ここで、上述した発泡樹脂層12とシーラント層13とは、主に共押出し法で積層されることが好ましいが、接着剤を介して積層するドライラミネート法や、発泡樹脂層12に溶融したシーラント層13を積層する押出しラミネート法等を用いて積層させても良い。
【0022】
積層体5aと積層体5bとの縁部同士をヒートシールにより接着すると、発泡樹脂層12の気泡が潰されてソリッド状に変化する。発泡樹脂層12の通常の厚さを100μm程度とした場合、ソリッド状に変化した部分の厚さは、50μm程度となる。
同様に、積層体5aと積層体5bとを溶融加圧してソリッド部30a〜30dを形成しようとすると、発泡樹脂層12の通常の厚さが100μm程度であるのに対して、気泡が潰されることでソリッド状に変化して50μm程度の厚さとなっている。
【0023】
つまり、シーラント層13の厚さが50μmである場合、上述したソリッド状の部分およびソリッド部30a〜30dが形成される部分では、発泡樹脂層12とシーラント層13とを積層したものの厚さが100μm程度となっている。そして、発泡樹脂層12の気泡が潰されたソリッド状の部分およびソリッド部30a〜30dは、シーラント層13と略同一の層状態になるため、見かけ上、シーラント層13の厚さが増したのと同じ状態になり、この結果、ソリッド部30a〜30dが形成された部分の剥離方向およびせん断方向の強度が増すこととなる。なお、積層体5a,5bの内側、すなわちシーラント層13側から見た場合、通常の発泡樹脂層12の部分は、気泡によりやや白色に視認されるのに対して、ソリッド部30は発泡樹脂層12の気泡が潰れて樹脂がソリッド化している。
【0024】
次に、この実施形態における袋体1の製造方法について説明する。
まず、袋体1の表面および裏面を構成するフィルム状の積層体5a,5bを、基材層10、機能層11、発泡樹脂層12、および、シーラント層13の順に積層して形成する。
【0025】
次いで、図4に示すように、積層体5a,5bに対して、ヒートシール部7a〜7dが形成される予定の箇所近傍の内側領域に、溶融加圧を行い、発泡樹脂層12が潰されたソリッド部30a〜30dを形成する。これらソリッド部30a〜30dは製袋する形状に応じて適宜形状が変化される。そして、このように形成された積層体5a,5bをロール状にする。ここで、積層体5a,5bのソリッド部30a〜30dは左右対称形状で形成されるため、積層体5a,5bは共通のロールを利用できる。なお、ソリッド部30a〜30dを形成する工程は、積層体5a,5bをロール状にする工程とは別の工程、例えば製袋する工程で行うようにしてもよい。
【0026】
その後、袋体1を成形するべく、ロール状の積層体5a,5bを製袋機(図示せず)にセットして、積層体5a,5bを適宜のサイズに裁断するとともに、シーラー(図示せず)により3方をヒートシールすることで接着し、開口部2を有した袋体1を形成する。ここで、この3方シール袋の状態の袋体1を、別途平パウチ用の充填シール機(図示せず)に供給すると、内容物の充填、開口部2のシールが行われて4方シール袋とされた後に、製造日等の印刷等が行われることとなる。
【0027】
したがって、上述した第1実施形態の袋体1によれば、袋体1の内圧が高くなった際に応力が加わり易いヒートシール部7a〜7dの近傍の内側領域の発泡樹脂層12を潰してソリッド部30a〜30dを形成することで、ヒートシール部7a〜7d近傍における剥離方向およびせん断方向の強度を増加させることができ、とりわけ、3方シール袋、および、4方シール袋である袋体1のヒートシール部7a〜7d内側の全周に亘って強度を増加させることができる。この結果、発泡樹脂層12を設けた場合であっても、ヒートシール部7a〜7dの内側全周の強度向上をして、袋体1の耐圧縮強度を向上することができるとともに、機能層11の厚さ増加によるコスト上昇を抑制することができる。
【0028】
また、第1実施形態の袋体1の製造方法によれば、積層体5a,5bに予めソリッド部30a〜30dを形成して、その後に、ヒートシールにより接着することで、ソリッド部30a〜30dを形成する際にソリッド部30a〜30dにおいて積層体5a,5bの内面同士の張り付きが発生するのを防止することができるため、ソリッド部30a〜30dを形成する際に複雑な作業が不要となり、耐圧縮強度が向上された袋体1を簡単に製造することができる。
【0029】
なお、上述した第1実施形態では、ヒートシール部7a〜7dの内側全周に亘ってソリッド部30a〜30dを形成する場合について説明したが、例えば、図5に示すように、袋体1の左右のヒートシール部7a,7bの内側に配置されるソリッド部30a,30bのみを設けるようにしてもよい。このように形成することで、ソリッド部が形成される範囲を縮小しつつ、特に応力が加わりやすいヒートシール部7a〜7dの隅部における強度向上を図ることができる。
【0030】
次に、この発明の第2実施形態の袋体101について図面を参照しながら説明する。
この実施形態の袋体101は、左右側面が内側に折り込まれるガゼットタイプの袋体におけるソリッド部の配置を最適化したものである。
図6に示すように、袋体101は、フィルム状の積層体105を筒状に形成してその左右側面にガゼット折込部102を形成し、積層体105の下部をヒートシールにより閉塞して形成される。この袋体101は、例えば、内容物を充填した後、上部開口部108がヒートシールにより閉塞される。なお、この実施形態の積層体105は、上述した第1実施形態の積層体5と同様の積層構造を有しているため、詳細説明を省略する。
【0031】
図7に示すように、ガゼット折込部102の内側端縁(図7中、破線で示す;ガゼット折込線)102aと、下部ヒートシール部107aとが交差する交点近傍の内側領域に、発泡樹脂層12の気泡が潰された下部ソリッド部130aが形成される。この下部ソリッド部130aは、下部ヒートシール部107aに沿って隣接して形成され、下部ヒートシール部107aの長手方向中心から左右外側に向かいガゼット折込部102の内側端縁102aをやや越える位置にまで至る。
【0032】
一方、下部ヒートシール部107aと上下方向で対称な位置、すなわち上部ヒートシール部107bが形成される予定位置110の近傍の内側領域に上部ソリッド部130bが形成される。これら上部ソリッド部130bおよび下部ソリッド部130aは、それぞれ上部ヒートシール部107bおよび下部ヒートシール部107aが形成される前に予め積層体105を溶融加圧することで形成される。そして、図8に示すように、上部開口部108をヒートシールにより接着して閉塞することで、上部ヒートシール部107bと上部ソリッド部130bとが隣接配置されることとなる。
【0033】
したがって、上述した第3実施形態によれば、とりわけ、ガゼットタイプの袋体101の場合に、特に内圧による応力が加わりやすいガゼット折込部102の内側端縁102aと上部ヒートシール部107bおよび下部ヒートシール部107aとの交点近傍の内側領域を上部ソリッド部130bおよび下部ソリッド部130aにより強度向上を図ることができるため、ガゼットタイプの袋体101の耐圧縮強度を効率よく向上させることができる。
【0034】
なお、上述した第2実施形態では、左右側面にガゼット折込部102を有する袋体101を一例に説明したが、左右側面にガゼット折込部102を有するものに限られず、第1変形例として図9、図10に示すように、底面ガゼットタイプの袋体301にも本発明は適用可能である。この底面ガゼットタイプの袋体301の場合、正面視で、ガゼット折込部302の内側端縁(ガゼット折込線)302a(図9、図10中、一点差線で示す)と、左側のヒートシール部307aの交点近傍の内側から、底部側のヒートシール部307cに沿ってヒートシール部307bとの交点近傍の内側に至る範囲に、ヒートシール部307a,307b,307cとそれぞれ隣接する所定幅(例えば、0.5〜20mm程度)のソリッド部330が積層体305a,305bに形成される。この第1変形例の構成によれば、内側端縁302aと、左右両側のヒートシール部307a,307bとの交点近傍の内側にソリッド部330が形成されることで、底面ガゼットタイプの袋体301においても、十分な耐圧縮強度の向上を図ることが可能となり、さらに、底面側のヒートシール部307cに沿ってソリッド部330が形成されることで、袋体301の体圧縮強度の更なる向上を図ることが可能になる。
【0035】
次にこの発明の第3実施形態の袋体201について図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態の積層体205aおよび積層体205bは、上述した積層体5a,5bと同様の積層構造であるため、同一部分に同一符号を付して積層体205a,205bの各層の詳細説明を省略する。
図11は、この実施形態における袋体201を示している。この袋体201は、例えば、氷菓等が充填されるガゼットタイプの袋体であって、その左右両側面に、袋体201の幅方向中央に向かって折り込まれるガゼット折込部202を備えている。さらに、この袋体201には、その上部中央部203に口栓204が取り付けられている。この袋体201は、表面、裏面、左面、右面の計4面を形成する4枚のフィルム状の積層体205a〜205dの互いに隣り合う縁部206a〜206dの内面同士がヒートシールにより接着される。なお、上記口栓204は、通常、蓋体(図示せず)が螺合して装着されるようになっており、この蓋体が装着された状態で袋体201が密閉状態となる。そして、袋体201に外部から荷重が加わると、その力に応じて内圧が上昇し、例えば口栓204が開放状態のときには、押圧された力に応じて内容物が口栓204を介して袋体201の外部へと押し出されることとなる。
【0036】
図12(a)は、表面の積層体205aの縁部206aと裏面の積層体205bの縁部206bとをヒートシールにより接着したヒートシール部7およびその近傍を示しており、このヒートシール部7およびその近傍は、上述した第1実施形態の図3と同様の構造となっている。
一方、図12(b)は、表面の積層体205aの縁部206aと、左面の積層体205cの縁部206cとがヒートシールにより接着されたヒートシール部207およびその近傍を示している。なお、袋体201は表裏略対象に形成されており、表面の積層体205aと裏面の積層体205bとは同じ構造であり、また、左面の積層体205cと右面の積層体205dとは同じ構造であるため、以下、積層体205aと積層体205cとが接着されるヒートシール部207についてのみ説明し、他のヒートシール部207についての説明は省略する。
【0037】
積層体205aは、袋体201の内外方向の外側から順に基材層10、機能層11、発泡樹脂層12、および、シーラント層13がドライラミネート等により積層されて形成される。また、左面の積層体205cおよび右面の積層体205dは、袋体201の内外方向の外側から順に基材層20、機能層21、およびシーラント層23がドライラミネート等により積層されて形成される。なお、積層体205a〜205dの積層方法は、第1実施形態と同様に、ドライラミネート法、押し出しラミネート法、ノンソルベントラミネート法などが挙げられるが、接着強度の面でドライラミネート法を用いるのが好ましい。
【0038】
袋体201の側面を形成する積層体205cの基材層20、機能層21、シーラント層23は、上述した積層体5aの基材層10、機能層11およびシーラント層13とそれぞれ同様の構成である。
【0039】
図10〜図14に示すように、上述した積層体205aにはそれぞれヒートシール部207以外に、発泡樹脂層12の気泡を溶融加圧により潰して無発泡状態としたソリッド部230が形成される。このソリッド部230は、ヒートシール部207の近傍の内側領域、より具体的には、応力が集中し易い口栓204が取り付けられる口栓取付部231のヒートシール部207に隣接する内側に、十分な耐圧縮強度を確保可能な0.5〜20mm幅程度、より好ましくは10mm幅程度に形成される。また、ソリッド部230は、口栓取付部231と左右のヒートシール部207との隅部に隣接する内側にも、0.5〜20mm幅程度、より好ましくは10m幅程度で形成される。
【0040】
このソリッド部230は、上述したヒートシール部207を形成する場合と同様に、加熱しながら圧力を掛ける溶融加圧により形成される。ここで、発泡樹脂層12の厚さが100μm程度の場合、発泡樹脂層12の気泡が潰されることで厚さ50μm程度になる。そして、積層体205a,205bの内側、すなわちシーラント層13側から見た場合、通常の発泡樹脂層12の部分は、気泡によりやや白色に視認されるのに対して、ソリッド部230は発泡樹脂層12の気泡が潰れて樹脂(ポリエチレン等)がソリッド化している。
【0041】
<実施例>
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。
この実施例の積層体205a,205bは、基材層10を、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートにより形成し、機能層11を、表面にアルミニウム蒸着皮膜を有する厚さ12μmのアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートにより形成した。また、発泡樹脂層12を、破泡された連続気泡を有する厚さ100μmのポリエチレンにより形成した。また、上述したシーラント層13を厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレンにより形成した。
【0042】
また積層体205c,205dは、基材層20を、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートにより形成し、機能層21を、表面にアルミニウム蒸着皮膜を有するアルミ蒸着ナイロンにより形成した。この機能層21の内側には、厚さ70μmのシーラント層23を形成した。
そして、口栓取付部231のヒートシール部207に隣接する内側の領域に、15mm幅程度のソリッド部230を形成し、積層体205a〜205dの縁部をそれぞれヒートシールすることでガゼットタイプの袋体201を成形した。
次いで、上記のように形成された袋体201に内容物として水道水140mlを充填して70kgfの荷重で加圧して1分間保持する試験を、10検体について行ったところリークは発生しなかった。
【0043】
<比較例>
比較例の積層体205a,205bは、基材層10を、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートにより形成し、機能層11を、表面にアルミニウム蒸着皮膜を有する厚さ12μmのアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートにより形成した。また、発泡樹脂層12を、破泡された連続気泡を有する厚さ100μmのポリエチレンにより形成した。また、上述したシーラント層13を厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレンにより形成した。
【0044】
また積層体205c,205dは、基材層20を、厚さが12μm程度のポリエチレンテレフタレートにより形成し、機能層21を、表面にアルミニウム蒸着皮膜を有するアルミ蒸着ナイロンにより形成した。この機能層21の内側には、厚さ70μmの直鎖状低密度ポリエチレンによりシーラント層23を形成した。
そして、積層体205a〜205dの縁部をそれぞれヒートシールすることでガゼットタイプの袋体を成形した。
【0045】
次いで、上述した実施例と同様に、袋体に水道水140mlを充填して70kgfの荷重で加圧して1分間保持する試験を10検体について行ったところ、7検体でリークが発生した。これは、ヒートシール部207の近傍の発泡樹脂層12の内面側が加圧により伸ばされる一方、基材層20は発泡樹脂層12ほどは伸びないため、発泡樹脂層12の表裏の伸びに差が生じ、発泡樹脂層12にせん断方向の荷重が加わる。そして、このせん断方向の荷重により発泡樹脂層12の内部が破断し、この発泡樹脂層12の破断箇所を介して水道水が外部へリークするものと推測される。なお、一般にシーラント層13は機能層11よりも伸びやすいことから、シーラント層13を用いる場合も上記と同様に発泡樹脂層12に応力が加わり破断することとなる。そしてこの場合、シーラント層13の伸びが限界を超えて破れた時点で内容物である水道水が発泡樹脂層12を介して外部にリークする。
【0046】
したがって、上述した第1実施形態の袋体201によれば、ヒートシール部207ではヒートシールにより発泡樹脂層12が潰されソリッド状となることで引張強度などの機械的強度が十分に得られているのに加えて、さらに、袋体201の内圧が高くなった際に応力が加わり易いヒートシール部207の近傍の内側領域に、発泡樹脂層12を溶融加圧して潰したソリッド部230を形成することで、肉厚なシーラント層13を用いずに、ヒートシール部207の近傍における引張強度などの機械的強度を増加させることができるため、リークの発生を防止するとともにコスト上昇を抑制することができる。
【0047】
また、口栓204が口栓取付部231にて積層体205a,205bとヒートシールにより接着される場合に、この口栓取付部231のヒートシール部207の近傍における積層体205a,205bの剥離方向およびせん断方向への強度を向上させることができるため、口栓204が取り付けられる袋体201の耐圧縮強度の向上を図ることができる。
【0048】
なお、この発明は上述した各実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、上述した第2実施形態では、左右にガゼット折込部102を備える袋体101および、その第1変形例として底部にガゼット折込部302を備える袋体301を一例にして説明したが、これに限られず図15,図16に示す第2変形例のように、底面および左右側面にガゼット折込部402c〜402eを有するいわゆる3方ガゼットタイプの袋体401にも本発明は適用可能である。この3方ガゼットタイプの袋体401の場合、表面の積層体405aと、裏面の積層体405bと、左側のガゼット折込部402cを構成する積層体405cと、右側のガゼット折込部402dを構成する積層体405dと、底面のガゼット折込部402eを構成する積層体405eとを、それぞれの縁部で内面同士をヒートシールにより接着することで成形される。これら、積層体405a〜405eは、それぞれ発泡樹脂層12を有している。
【0049】
袋体401は、図16に示すように、内容物が充填される前の折り畳まれた状態の正面視で、底面のガゼット折込部402eの内側端縁(ガゼット折込線)412eと袋体401の周縁のヒートシール部407との交点近傍の内側領域、換言すれば、内側端縁412eと積層体405a,405bのヒートシール部407とが交差する点Pの、ヒートシール部407に隣接する内側領域に、所定幅(例えば、0.5〜20mm程度)のソリッド部430が形成される。このソリッド部430は、更に、袋体401の隅部を介して底面側のヒートシール部407に隣接する内側領域に周り込み、この底面側のヒートシール部407に隣接する内側領域の全域に亘って形成される。つまり、ソリッド部430は、積層体405a,405bの底面側のヒートシール部407に沿って形成されるとともに、その両端部から上方に向かって点Pまで延在してコの字状を呈する。なお、符号412cは、ガゼット折込部402cの内側端縁、符号412dは、ガゼット折込部402dの内側端縁を示す。
【0050】
同様に、積層体405c,405dにも、ソリッド部430が形成され、底面側のヒートシール部407に隣接する内側領域にヒートシール部407に沿ってコの字状に形成される。また図15、図16において図示都合上省略しているが、積層体405eの縁部にはヒートシール部407が全周に形成され、このヒートシール部407に隣接する内側領域にヒートシール部407に沿って矩形状に配置されたソリッド部430が形成される。
【0051】
したがって、この第2変形例の構成によれば、底面側のガゼット折込部405eの内側端縁412eと、袋体401の周縁のヒートシール部407との交点近傍の内側領域にソリッド部430が形成されることで、3方ガゼットタイプの袋体401においても、十分に耐圧縮強度の向上を図ることが可能となる。また、ソリッド部430が積層体405a〜405dにコの字状に形成されるとともに、積層体405eに矩形状に形成されることで、耐圧縮強度が向上して更なる信頼性の向上を図ることができる。
【0052】
また、上述した第1実施形態では、平パウチの袋体1の製造方法についてのみ説明したが、平パウチの袋体1に限られず、袋体201,301,401も同様に、予めソリッド部を形成した積層体を製袋機にセットしてからヒートシールすることにより接着することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
5a,5b,105,205,305a,305b,405a〜405e 積層体
7a〜7d,107a,207,307a,307b,407 ヒートシール部
30a〜30d,130a,130b,230,330,430・・・ソリッド部
102a,302a,412e 内側端縁
204 口栓
231 口栓取付部
【技術分野】
【0001】
この発明は、袋体、それに用いられる積層体、および袋体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、氷菓などを入れる袋体にあっては、顧客が手で把持した際に冷たく感じることから断熱性の向上が要望されていて、近年、発泡樹脂層を設けて断熱性を向上した積層体を用いる袋体が提案されており、例えば、特許文献1に記載の袋体には、積層体の発泡樹脂層として厚さ500μmの発泡ポリエチレン(発泡倍率:35倍)が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−130586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した発泡樹脂層は、剥離方向およびせん断方向の力に脆いため、この発泡樹脂層を備える積層体を用いて袋体を成形するべく積層体同士をヒートシールにより接着した場合、ヒートシール部の近傍に内圧による応力が集中して、十分な落袋強度、耐圧縮強度が得られない場合があるという課題がある。
例えば、発泡樹脂層の内面側のシーラント層が伸びて破れた場合に、発泡樹脂層にも応力が加わって破断してしまい、その際、破断した部分から連鎖的に発泡樹脂層の破断が広がり、内容物のリークが発生してしまう虞がある。
また、発泡樹脂層の内面側のシーラント層をより厚肉に形成することで、シーラント層の破れを防止し、袋体のシール部近傍における耐圧縮強度の向上を図れるが、シーラント層を厚肉に形成する分だけコストが上昇してしまうという課題がある。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、発泡樹脂層を利用してリークの発生を防止することができるとともに、コスト上昇を抑制することができる、袋体、積層体および袋体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、少なくとも発泡樹脂層を含むフィルム状の積層体の周縁部をヒートシールして形成された袋体において、前記積層体がヒートシールされたヒートシール部の近傍の内側領域に、前記発泡樹脂層を潰して形成したソリッド部が配置されることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、ガゼット折込線とヒートシール部との交点近傍の内側領域に前記ソリッド部が配置されることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載の発明において、口栓が取り付けられる口栓取付部の近傍の内側領域に前記ソリッド部が配置されることを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載した発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の袋体を形成する積層体であって、少なくとも一部にソリッド部が形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載した発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の袋体の製造方法であって、積層体に予めソリッド部を形成する工程と、該積層体をヒートシールして袋体を成形する工程とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
この発明の袋体によれば、内圧が高くなった際に応力が加わり易いヒートシール部近傍の内側領域の発泡樹脂層を潰してソリッド部を形成することで、見かけ上、シーラント層を設けるのと同じ作用が得られ、例えば、発泡樹脂層の内面側に肉厚なシーラント層を設けることなしにヒートシール部近傍における耐圧縮強度を増加させることができる。したがって、耐圧縮強度の向上によりリークの発生を防止することができるとともに、コスト上昇を抑制することができる効果がある。
【0012】
さらに、この発明の積層体によれば、予めソリッド部が形成されていることで発泡樹脂層がソリッド化しているので、これを用いた袋体の耐圧縮強度を向上させることができる効果がある。
さらに、この発明の袋体の製造方法によれば、積層体に予めソリッド部を形成して、その後に、ヒートシールにより接着されるヒートシール部を形成することで、ソリッド部を形成する際にヒートシール部以外の積層体内面同士の張り付きを防止することができるため、ソリッド部を形成する際に複雑な作業が不要となり、耐圧縮強度が向上された袋体を簡単に製造することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態における袋体である3方袋の正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態における袋体である4方袋の正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における袋体のヒートシール部近傍の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態における製袋前の積層体を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態における変形例の袋体である3方袋の正面図である。
【図6】本発明の第2実施形態における袋体の斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態における袋体の正面図であり、上部が開放された状態の図である。
【図8】本発明の第2実施形態における袋体の正面図であり、上部が閉塞された状態の図である。
【図9】本発明の第2実施形態における第1変形例の袋体の斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態における第1変形例の袋体の正面図である。
【図11】本発明の第3実施形態における袋体の斜視図である。
【図12】本発明の第3実施形態におけるヒートシール部近傍の断面図であって、(a)はA−A線に沿う断面図、(b)はA’−A’線に沿う断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態における袋体の正面図である。
【図14】図13のB−B線に沿う断面図である。
【図15】本発明の第2実施形態における第2変形例の袋体の斜視図である。
【図16】本発明の第2実施形態における第2変形例の袋体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、この発明の第1実施形態の袋体について図面を参照しながら説明する。
図1は、この実施形態の袋体1を正面から見た図である。この袋体1は、表側に配置される積層体5aと裏側に配置される積層体5b(図示せず)との内面同士を重ね合わせて、その周縁部をヒートシールして形成された3方シール袋、いわゆる平パウチである。この袋体1は、内容物を充填する前の状態を示しており、上部に開口部2が形成され、表裏対称な形状となっている。なお、積層体5aと積層体5bとは同一の構成であるため、特に必要な場合を除き積層体5aについてのみ説明し、積層体5bの説明を省略する。
【0015】
袋体1は、その左縁部、右縁部、および、下縁部に沿って、それぞれヒートシール部7a〜7cが形成され、さらに、これらヒートシール部7a〜7cの近傍、より具体的には、ヒートシール部7a〜7cに隣接する内側領域に所定幅(例えば、上述した0.5〜20mm幅程度)のソリッド部30a〜30cが形成される。これらソリッド部30a〜30cは、ヒートシール部7a〜7cと同様に、溶融加圧により形成される。袋体1は、内容物が充填された後に開口部2が閉塞されることとなるが、この閉塞時にヒートシールにより接着されるヒートシール部7d(図2参照)に隣接した内側領域にも、ヒートシール部7dの内縁に沿って、予めソリッド部30dが形成される。このソリッド部30dは、上述したソリッド部30a〜30cと同様に所定幅(例えば、0.5〜20mm程度)に形成される。そして、図2に示すように、袋体1の開口部2がヒートシールにより閉塞されると、袋体1は、4方シール袋となる。
【0016】
図3は、表面の積層体5aの縁部6aと、裏面の積層体5bの縁部6bとがヒートシールにより接着されたヒートシール部7の近傍を示している。
積層体5aおよび積層体5bは、袋体1の内外方向の外側から順に基材層10、機能層11、発泡樹脂層12、および、シーラント層13が積層されて形成される。発泡樹脂層12とシーラント層13とは共押出し法等により積層される。そして、発泡樹脂層12とシーラント層13とを積層したものと、基材層10と、機能層11とは、ドライラミネート法等により接着されて積層される。なお、積層体5a,5bの積層方法として、ドライラミネート法、押し出しラミネート法、ノンソルベントラミネート法などが挙げられるが、接着強度の面でドライラミネート法を用いるのが好ましい。
【0017】
基材層10は、積層体5aの強度を持たせ、袋体1に成形した場合に最外層となるものであり、ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)、ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、および、ポリアセタールなどの合成樹脂からなるフィルム、又は、これらの合成樹脂を多層共押出ししたフィルム等により形成される。これらのフィルムは無延伸フィルムであってもよく、一軸方向又は二軸方向に延伸した延伸フィルムであっても良い。また、基材層10に用いるフィルムは印刷適正の観点から、一軸方向又は二軸方向に延伸した延伸フィルムを用いることが好ましい。また、基材層10の厚さは、6μm〜50μmであり、より好ましくは9μm〜25μmである。
【0018】
機能層11は、ガスバリア性、および、引張強度等の機械的強度を付与する等の各種機能を具備しており、金属箔や各種プラスチックフィルムなどにより形成される。金属箔を構成する金属としては、アルミニウム、鉄、銅、マグネシウム等が挙げられる。またプラスチックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)、ポリアミド(ナイロン)、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニル共重合体など、又は、これらのプラスチックフィルムにポリ塩化ビニリデンなどを始めとする気体遮断性を有する樹脂を塗工したもの、若しくはこれらのプラスチックフィルムにアルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの無機物を蒸着した各種蒸着フィルムを用いることができる。機能層11の厚さは、6μm〜50μm、より好ましくは6μm〜25μmである。なお、機能層11は複数層設けてあってもよい。
【0019】
発泡樹脂層12は、積層体5aの断熱性を高める機能を有しており、それぞれ発泡された、ポリウレタン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン類、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなどのポリプロピレン類、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などの共重合樹脂類等により形成される。これらの中でも特にポリエチレン類が好適であって、さらにポリエチレン類の中では、低密度ポリエチレンが低融点でソリッドを形成しやすく好適である。また発泡樹脂層12の厚さは、70μm〜250μmであり、より好ましくは100μm〜200μmである。発泡樹脂層12の発泡手段としては、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム等によって窒素ガスまたは炭酸ガスを発生させる化学発泡法や、炭酸ガス(二酸化炭素ガス)、窒素ガス等のガスを用いた物理発泡法が挙げられる。また、物理発泡法には、亜臨界状態、超臨界状態の流体を用いた発泡手段も含まれる。これらの発泡手段の中でも、安全性の観点から食品用途に適した発泡手段としては、炭酸ガス、窒素ガスを用いた物理発泡法が好ましく、その中でも、超臨界状態の炭酸ガス又は窒素ガスを用いた発泡手段が特に好ましい。発泡樹脂層12の発泡倍率は、1.2倍〜3.0倍であり、1.5倍〜2.5倍がより好ましい。なお、発泡樹脂層12は連続気泡であることが好ましいが、独立気泡としても良い。
【0020】
シーラント層13は、ヒートシールにより積層体同士を接着固定する機能を有する。このシーラント層13を設けることで、シール強度の向上を図っている。ここで、シーラント層13に用いられる樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが挙げられ、これらの中から耐寒性の強度の面で、直鎖状低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。このシーラント層13の厚さは、10μm〜200μmであり、より好ましくは20μm〜100μmである。
【0021】
ここで、上述した発泡樹脂層12とシーラント層13とは、主に共押出し法で積層されることが好ましいが、接着剤を介して積層するドライラミネート法や、発泡樹脂層12に溶融したシーラント層13を積層する押出しラミネート法等を用いて積層させても良い。
【0022】
積層体5aと積層体5bとの縁部同士をヒートシールにより接着すると、発泡樹脂層12の気泡が潰されてソリッド状に変化する。発泡樹脂層12の通常の厚さを100μm程度とした場合、ソリッド状に変化した部分の厚さは、50μm程度となる。
同様に、積層体5aと積層体5bとを溶融加圧してソリッド部30a〜30dを形成しようとすると、発泡樹脂層12の通常の厚さが100μm程度であるのに対して、気泡が潰されることでソリッド状に変化して50μm程度の厚さとなっている。
【0023】
つまり、シーラント層13の厚さが50μmである場合、上述したソリッド状の部分およびソリッド部30a〜30dが形成される部分では、発泡樹脂層12とシーラント層13とを積層したものの厚さが100μm程度となっている。そして、発泡樹脂層12の気泡が潰されたソリッド状の部分およびソリッド部30a〜30dは、シーラント層13と略同一の層状態になるため、見かけ上、シーラント層13の厚さが増したのと同じ状態になり、この結果、ソリッド部30a〜30dが形成された部分の剥離方向およびせん断方向の強度が増すこととなる。なお、積層体5a,5bの内側、すなわちシーラント層13側から見た場合、通常の発泡樹脂層12の部分は、気泡によりやや白色に視認されるのに対して、ソリッド部30は発泡樹脂層12の気泡が潰れて樹脂がソリッド化している。
【0024】
次に、この実施形態における袋体1の製造方法について説明する。
まず、袋体1の表面および裏面を構成するフィルム状の積層体5a,5bを、基材層10、機能層11、発泡樹脂層12、および、シーラント層13の順に積層して形成する。
【0025】
次いで、図4に示すように、積層体5a,5bに対して、ヒートシール部7a〜7dが形成される予定の箇所近傍の内側領域に、溶融加圧を行い、発泡樹脂層12が潰されたソリッド部30a〜30dを形成する。これらソリッド部30a〜30dは製袋する形状に応じて適宜形状が変化される。そして、このように形成された積層体5a,5bをロール状にする。ここで、積層体5a,5bのソリッド部30a〜30dは左右対称形状で形成されるため、積層体5a,5bは共通のロールを利用できる。なお、ソリッド部30a〜30dを形成する工程は、積層体5a,5bをロール状にする工程とは別の工程、例えば製袋する工程で行うようにしてもよい。
【0026】
その後、袋体1を成形するべく、ロール状の積層体5a,5bを製袋機(図示せず)にセットして、積層体5a,5bを適宜のサイズに裁断するとともに、シーラー(図示せず)により3方をヒートシールすることで接着し、開口部2を有した袋体1を形成する。ここで、この3方シール袋の状態の袋体1を、別途平パウチ用の充填シール機(図示せず)に供給すると、内容物の充填、開口部2のシールが行われて4方シール袋とされた後に、製造日等の印刷等が行われることとなる。
【0027】
したがって、上述した第1実施形態の袋体1によれば、袋体1の内圧が高くなった際に応力が加わり易いヒートシール部7a〜7dの近傍の内側領域の発泡樹脂層12を潰してソリッド部30a〜30dを形成することで、ヒートシール部7a〜7d近傍における剥離方向およびせん断方向の強度を増加させることができ、とりわけ、3方シール袋、および、4方シール袋である袋体1のヒートシール部7a〜7d内側の全周に亘って強度を増加させることができる。この結果、発泡樹脂層12を設けた場合であっても、ヒートシール部7a〜7dの内側全周の強度向上をして、袋体1の耐圧縮強度を向上することができるとともに、機能層11の厚さ増加によるコスト上昇を抑制することができる。
【0028】
また、第1実施形態の袋体1の製造方法によれば、積層体5a,5bに予めソリッド部30a〜30dを形成して、その後に、ヒートシールにより接着することで、ソリッド部30a〜30dを形成する際にソリッド部30a〜30dにおいて積層体5a,5bの内面同士の張り付きが発生するのを防止することができるため、ソリッド部30a〜30dを形成する際に複雑な作業が不要となり、耐圧縮強度が向上された袋体1を簡単に製造することができる。
【0029】
なお、上述した第1実施形態では、ヒートシール部7a〜7dの内側全周に亘ってソリッド部30a〜30dを形成する場合について説明したが、例えば、図5に示すように、袋体1の左右のヒートシール部7a,7bの内側に配置されるソリッド部30a,30bのみを設けるようにしてもよい。このように形成することで、ソリッド部が形成される範囲を縮小しつつ、特に応力が加わりやすいヒートシール部7a〜7dの隅部における強度向上を図ることができる。
【0030】
次に、この発明の第2実施形態の袋体101について図面を参照しながら説明する。
この実施形態の袋体101は、左右側面が内側に折り込まれるガゼットタイプの袋体におけるソリッド部の配置を最適化したものである。
図6に示すように、袋体101は、フィルム状の積層体105を筒状に形成してその左右側面にガゼット折込部102を形成し、積層体105の下部をヒートシールにより閉塞して形成される。この袋体101は、例えば、内容物を充填した後、上部開口部108がヒートシールにより閉塞される。なお、この実施形態の積層体105は、上述した第1実施形態の積層体5と同様の積層構造を有しているため、詳細説明を省略する。
【0031】
図7に示すように、ガゼット折込部102の内側端縁(図7中、破線で示す;ガゼット折込線)102aと、下部ヒートシール部107aとが交差する交点近傍の内側領域に、発泡樹脂層12の気泡が潰された下部ソリッド部130aが形成される。この下部ソリッド部130aは、下部ヒートシール部107aに沿って隣接して形成され、下部ヒートシール部107aの長手方向中心から左右外側に向かいガゼット折込部102の内側端縁102aをやや越える位置にまで至る。
【0032】
一方、下部ヒートシール部107aと上下方向で対称な位置、すなわち上部ヒートシール部107bが形成される予定位置110の近傍の内側領域に上部ソリッド部130bが形成される。これら上部ソリッド部130bおよび下部ソリッド部130aは、それぞれ上部ヒートシール部107bおよび下部ヒートシール部107aが形成される前に予め積層体105を溶融加圧することで形成される。そして、図8に示すように、上部開口部108をヒートシールにより接着して閉塞することで、上部ヒートシール部107bと上部ソリッド部130bとが隣接配置されることとなる。
【0033】
したがって、上述した第3実施形態によれば、とりわけ、ガゼットタイプの袋体101の場合に、特に内圧による応力が加わりやすいガゼット折込部102の内側端縁102aと上部ヒートシール部107bおよび下部ヒートシール部107aとの交点近傍の内側領域を上部ソリッド部130bおよび下部ソリッド部130aにより強度向上を図ることができるため、ガゼットタイプの袋体101の耐圧縮強度を効率よく向上させることができる。
【0034】
なお、上述した第2実施形態では、左右側面にガゼット折込部102を有する袋体101を一例に説明したが、左右側面にガゼット折込部102を有するものに限られず、第1変形例として図9、図10に示すように、底面ガゼットタイプの袋体301にも本発明は適用可能である。この底面ガゼットタイプの袋体301の場合、正面視で、ガゼット折込部302の内側端縁(ガゼット折込線)302a(図9、図10中、一点差線で示す)と、左側のヒートシール部307aの交点近傍の内側から、底部側のヒートシール部307cに沿ってヒートシール部307bとの交点近傍の内側に至る範囲に、ヒートシール部307a,307b,307cとそれぞれ隣接する所定幅(例えば、0.5〜20mm程度)のソリッド部330が積層体305a,305bに形成される。この第1変形例の構成によれば、内側端縁302aと、左右両側のヒートシール部307a,307bとの交点近傍の内側にソリッド部330が形成されることで、底面ガゼットタイプの袋体301においても、十分な耐圧縮強度の向上を図ることが可能となり、さらに、底面側のヒートシール部307cに沿ってソリッド部330が形成されることで、袋体301の体圧縮強度の更なる向上を図ることが可能になる。
【0035】
次にこの発明の第3実施形態の袋体201について図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態の積層体205aおよび積層体205bは、上述した積層体5a,5bと同様の積層構造であるため、同一部分に同一符号を付して積層体205a,205bの各層の詳細説明を省略する。
図11は、この実施形態における袋体201を示している。この袋体201は、例えば、氷菓等が充填されるガゼットタイプの袋体であって、その左右両側面に、袋体201の幅方向中央に向かって折り込まれるガゼット折込部202を備えている。さらに、この袋体201には、その上部中央部203に口栓204が取り付けられている。この袋体201は、表面、裏面、左面、右面の計4面を形成する4枚のフィルム状の積層体205a〜205dの互いに隣り合う縁部206a〜206dの内面同士がヒートシールにより接着される。なお、上記口栓204は、通常、蓋体(図示せず)が螺合して装着されるようになっており、この蓋体が装着された状態で袋体201が密閉状態となる。そして、袋体201に外部から荷重が加わると、その力に応じて内圧が上昇し、例えば口栓204が開放状態のときには、押圧された力に応じて内容物が口栓204を介して袋体201の外部へと押し出されることとなる。
【0036】
図12(a)は、表面の積層体205aの縁部206aと裏面の積層体205bの縁部206bとをヒートシールにより接着したヒートシール部7およびその近傍を示しており、このヒートシール部7およびその近傍は、上述した第1実施形態の図3と同様の構造となっている。
一方、図12(b)は、表面の積層体205aの縁部206aと、左面の積層体205cの縁部206cとがヒートシールにより接着されたヒートシール部207およびその近傍を示している。なお、袋体201は表裏略対象に形成されており、表面の積層体205aと裏面の積層体205bとは同じ構造であり、また、左面の積層体205cと右面の積層体205dとは同じ構造であるため、以下、積層体205aと積層体205cとが接着されるヒートシール部207についてのみ説明し、他のヒートシール部207についての説明は省略する。
【0037】
積層体205aは、袋体201の内外方向の外側から順に基材層10、機能層11、発泡樹脂層12、および、シーラント層13がドライラミネート等により積層されて形成される。また、左面の積層体205cおよび右面の積層体205dは、袋体201の内外方向の外側から順に基材層20、機能層21、およびシーラント層23がドライラミネート等により積層されて形成される。なお、積層体205a〜205dの積層方法は、第1実施形態と同様に、ドライラミネート法、押し出しラミネート法、ノンソルベントラミネート法などが挙げられるが、接着強度の面でドライラミネート法を用いるのが好ましい。
【0038】
袋体201の側面を形成する積層体205cの基材層20、機能層21、シーラント層23は、上述した積層体5aの基材層10、機能層11およびシーラント層13とそれぞれ同様の構成である。
【0039】
図10〜図14に示すように、上述した積層体205aにはそれぞれヒートシール部207以外に、発泡樹脂層12の気泡を溶融加圧により潰して無発泡状態としたソリッド部230が形成される。このソリッド部230は、ヒートシール部207の近傍の内側領域、より具体的には、応力が集中し易い口栓204が取り付けられる口栓取付部231のヒートシール部207に隣接する内側に、十分な耐圧縮強度を確保可能な0.5〜20mm幅程度、より好ましくは10mm幅程度に形成される。また、ソリッド部230は、口栓取付部231と左右のヒートシール部207との隅部に隣接する内側にも、0.5〜20mm幅程度、より好ましくは10m幅程度で形成される。
【0040】
このソリッド部230は、上述したヒートシール部207を形成する場合と同様に、加熱しながら圧力を掛ける溶融加圧により形成される。ここで、発泡樹脂層12の厚さが100μm程度の場合、発泡樹脂層12の気泡が潰されることで厚さ50μm程度になる。そして、積層体205a,205bの内側、すなわちシーラント層13側から見た場合、通常の発泡樹脂層12の部分は、気泡によりやや白色に視認されるのに対して、ソリッド部230は発泡樹脂層12の気泡が潰れて樹脂(ポリエチレン等)がソリッド化している。
【0041】
<実施例>
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。
この実施例の積層体205a,205bは、基材層10を、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートにより形成し、機能層11を、表面にアルミニウム蒸着皮膜を有する厚さ12μmのアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートにより形成した。また、発泡樹脂層12を、破泡された連続気泡を有する厚さ100μmのポリエチレンにより形成した。また、上述したシーラント層13を厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレンにより形成した。
【0042】
また積層体205c,205dは、基材層20を、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートにより形成し、機能層21を、表面にアルミニウム蒸着皮膜を有するアルミ蒸着ナイロンにより形成した。この機能層21の内側には、厚さ70μmのシーラント層23を形成した。
そして、口栓取付部231のヒートシール部207に隣接する内側の領域に、15mm幅程度のソリッド部230を形成し、積層体205a〜205dの縁部をそれぞれヒートシールすることでガゼットタイプの袋体201を成形した。
次いで、上記のように形成された袋体201に内容物として水道水140mlを充填して70kgfの荷重で加圧して1分間保持する試験を、10検体について行ったところリークは発生しなかった。
【0043】
<比較例>
比較例の積層体205a,205bは、基材層10を、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートにより形成し、機能層11を、表面にアルミニウム蒸着皮膜を有する厚さ12μmのアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートにより形成した。また、発泡樹脂層12を、破泡された連続気泡を有する厚さ100μmのポリエチレンにより形成した。また、上述したシーラント層13を厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレンにより形成した。
【0044】
また積層体205c,205dは、基材層20を、厚さが12μm程度のポリエチレンテレフタレートにより形成し、機能層21を、表面にアルミニウム蒸着皮膜を有するアルミ蒸着ナイロンにより形成した。この機能層21の内側には、厚さ70μmの直鎖状低密度ポリエチレンによりシーラント層23を形成した。
そして、積層体205a〜205dの縁部をそれぞれヒートシールすることでガゼットタイプの袋体を成形した。
【0045】
次いで、上述した実施例と同様に、袋体に水道水140mlを充填して70kgfの荷重で加圧して1分間保持する試験を10検体について行ったところ、7検体でリークが発生した。これは、ヒートシール部207の近傍の発泡樹脂層12の内面側が加圧により伸ばされる一方、基材層20は発泡樹脂層12ほどは伸びないため、発泡樹脂層12の表裏の伸びに差が生じ、発泡樹脂層12にせん断方向の荷重が加わる。そして、このせん断方向の荷重により発泡樹脂層12の内部が破断し、この発泡樹脂層12の破断箇所を介して水道水が外部へリークするものと推測される。なお、一般にシーラント層13は機能層11よりも伸びやすいことから、シーラント層13を用いる場合も上記と同様に発泡樹脂層12に応力が加わり破断することとなる。そしてこの場合、シーラント層13の伸びが限界を超えて破れた時点で内容物である水道水が発泡樹脂層12を介して外部にリークする。
【0046】
したがって、上述した第1実施形態の袋体201によれば、ヒートシール部207ではヒートシールにより発泡樹脂層12が潰されソリッド状となることで引張強度などの機械的強度が十分に得られているのに加えて、さらに、袋体201の内圧が高くなった際に応力が加わり易いヒートシール部207の近傍の内側領域に、発泡樹脂層12を溶融加圧して潰したソリッド部230を形成することで、肉厚なシーラント層13を用いずに、ヒートシール部207の近傍における引張強度などの機械的強度を増加させることができるため、リークの発生を防止するとともにコスト上昇を抑制することができる。
【0047】
また、口栓204が口栓取付部231にて積層体205a,205bとヒートシールにより接着される場合に、この口栓取付部231のヒートシール部207の近傍における積層体205a,205bの剥離方向およびせん断方向への強度を向上させることができるため、口栓204が取り付けられる袋体201の耐圧縮強度の向上を図ることができる。
【0048】
なお、この発明は上述した各実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、上述した第2実施形態では、左右にガゼット折込部102を備える袋体101および、その第1変形例として底部にガゼット折込部302を備える袋体301を一例にして説明したが、これに限られず図15,図16に示す第2変形例のように、底面および左右側面にガゼット折込部402c〜402eを有するいわゆる3方ガゼットタイプの袋体401にも本発明は適用可能である。この3方ガゼットタイプの袋体401の場合、表面の積層体405aと、裏面の積層体405bと、左側のガゼット折込部402cを構成する積層体405cと、右側のガゼット折込部402dを構成する積層体405dと、底面のガゼット折込部402eを構成する積層体405eとを、それぞれの縁部で内面同士をヒートシールにより接着することで成形される。これら、積層体405a〜405eは、それぞれ発泡樹脂層12を有している。
【0049】
袋体401は、図16に示すように、内容物が充填される前の折り畳まれた状態の正面視で、底面のガゼット折込部402eの内側端縁(ガゼット折込線)412eと袋体401の周縁のヒートシール部407との交点近傍の内側領域、換言すれば、内側端縁412eと積層体405a,405bのヒートシール部407とが交差する点Pの、ヒートシール部407に隣接する内側領域に、所定幅(例えば、0.5〜20mm程度)のソリッド部430が形成される。このソリッド部430は、更に、袋体401の隅部を介して底面側のヒートシール部407に隣接する内側領域に周り込み、この底面側のヒートシール部407に隣接する内側領域の全域に亘って形成される。つまり、ソリッド部430は、積層体405a,405bの底面側のヒートシール部407に沿って形成されるとともに、その両端部から上方に向かって点Pまで延在してコの字状を呈する。なお、符号412cは、ガゼット折込部402cの内側端縁、符号412dは、ガゼット折込部402dの内側端縁を示す。
【0050】
同様に、積層体405c,405dにも、ソリッド部430が形成され、底面側のヒートシール部407に隣接する内側領域にヒートシール部407に沿ってコの字状に形成される。また図15、図16において図示都合上省略しているが、積層体405eの縁部にはヒートシール部407が全周に形成され、このヒートシール部407に隣接する内側領域にヒートシール部407に沿って矩形状に配置されたソリッド部430が形成される。
【0051】
したがって、この第2変形例の構成によれば、底面側のガゼット折込部405eの内側端縁412eと、袋体401の周縁のヒートシール部407との交点近傍の内側領域にソリッド部430が形成されることで、3方ガゼットタイプの袋体401においても、十分に耐圧縮強度の向上を図ることが可能となる。また、ソリッド部430が積層体405a〜405dにコの字状に形成されるとともに、積層体405eに矩形状に形成されることで、耐圧縮強度が向上して更なる信頼性の向上を図ることができる。
【0052】
また、上述した第1実施形態では、平パウチの袋体1の製造方法についてのみ説明したが、平パウチの袋体1に限られず、袋体201,301,401も同様に、予めソリッド部を形成した積層体を製袋機にセットしてからヒートシールすることにより接着することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
5a,5b,105,205,305a,305b,405a〜405e 積層体
7a〜7d,107a,207,307a,307b,407 ヒートシール部
30a〜30d,130a,130b,230,330,430・・・ソリッド部
102a,302a,412e 内側端縁
204 口栓
231 口栓取付部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも発泡樹脂層を含むフィルム状の積層体の周縁部をヒートシールして形成された袋体において、
前記積層体がヒートシールされたヒートシール部の近傍の内側領域に、前記発泡樹脂層を潰して形成したソリッド部が配置されることを特徴とする袋体。
【請求項2】
ガゼット折込線とヒートシール部との交点近傍の内側領域に前記ソリッド部が配置されることを特徴とする請求項1に記載の袋体。
【請求項3】
口栓が取り付けられる口栓取付部の近傍の内側領域に前記ソリッド部が配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の袋体。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の袋体を形成する積層体であって、少なくとも一部にソリッド部が形成されていることを特徴とする積層体。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の袋体の製造方法であって、
積層体に予めソリッド部を形成する工程と、
該積層体をヒートシールして袋体を成形する工程とを備えることを特徴とする袋体の製造方法。
【請求項1】
少なくとも発泡樹脂層を含むフィルム状の積層体の周縁部をヒートシールして形成された袋体において、
前記積層体がヒートシールされたヒートシール部の近傍の内側領域に、前記発泡樹脂層を潰して形成したソリッド部が配置されることを特徴とする袋体。
【請求項2】
ガゼット折込線とヒートシール部との交点近傍の内側領域に前記ソリッド部が配置されることを特徴とする請求項1に記載の袋体。
【請求項3】
口栓が取り付けられる口栓取付部の近傍の内側領域に前記ソリッド部が配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の袋体。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の袋体を形成する積層体であって、少なくとも一部にソリッド部が形成されていることを特徴とする積層体。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の袋体の製造方法であって、
積層体に予めソリッド部を形成する工程と、
該積層体をヒートシールして袋体を成形する工程とを備えることを特徴とする袋体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−101834(P2012−101834A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253201(P2010−253201)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【出願人】(594050821)日生化学株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【出願人】(594050821)日生化学株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
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