説明

袋体の注入口具、及び、袋体への注入口具の取付方法

【課題】現場において容易にしかも強固に袋体に取り付けられる注入口具、及び、袋体への注入口具の取付方法を提供する。
【解決手段】注入口具1は、袋体50に形成された開口部51を貫通する注入管2と、注入管2に一体的に設けられるとともに、開口部51の周縁部の内面に当接するように袋体50内に配置されるフランジ部材3と、フランジ部材3との間で開口部51の周縁部を挟持する押さえ部材4と、押さえ部材4をフランジ部材3側へ押圧する複数のボルト6と、複数のボルトが螺合される複数のボルト孔5aが形成されており、注入管2に取り付けられるボルト支持部材5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木用袋体の内部に注入材を注入するために土木用袋体に取り付けられる注入口具、及び、袋体への注入口具の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種土木工事において、モルタルなどの流動性を有する注入材を充填するために土木用袋体が使用されている。例えば、トンネルの施工の際、掘削されたトンネルの内側に、トンネル内壁に沿ったアーチ状の支保工を設置し、この支保工の外周面に透水性を有する長尺の袋体を取り付け、袋体内部にモルタルやコンクリート等の注入材を注入して硬化させることにより、トンネル内壁を支持する工法がある(例えば、特許文献1参照)。また、法面の崩壊防止のブロックを設置する際に、法面とブロックとの間に袋体を設置し、この袋体内部に注入材を注入して、法面とブロックとの間の隙間を埋める工法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
このような工法で使用される袋体は、例えば、筒状の織物の両端部が糸や接着剤で閉じられることにより形成されるとともに、一般的には、注入材を注入するための注入口具が取り付けられる。
【0004】
このような注入口具として、例えば、特許文献3には、袋体の内側に配置されゴム材料で形成された漏斗状の内筒と、内筒に外嵌される漏斗状の外筒とからなる注入口具が開示されている。内筒は、袋体に形成された開口部を貫通する筒状部と、開口部よりも径の大きいテーパー状の鍔部とから構成される。外筒は、内筒の筒状部よりも径の大きい筒状部と、開口部の周縁部の外面に当接するテーパー状の鍔部とから構成される。内筒はゴム材料で形成されており、袋体に注入材を注入した際の注入圧力により、内筒の鍔部が外筒の鍔部側へ押圧されることによって、この2つの鍔部の間で開口部の周縁部が挟持される。また、開口部の径は、内筒の筒状部の外径とほぼ同じであって、鍔部の外径よりも小さい。また、注入口具を袋体へ取り付けるには、袋体の製造時に、筒状袋体の内部から内筒の筒状部を開口部に挿入して、内筒の鍔部を開口部の周縁部の内面に当接させている。
【0005】
また、特許文献4には、袋体に形成された開口部を貫通する注入管と、注入管の端部に形成され、袋体の内部に配置される環板状のフランジ部と、フランジ部材との間で開口部の周縁部を挟持する環板状の押さえ部材とからなる注入口具が開示されている。注入管の外周面と押さえ部材の内周面には、互いに螺合するネジ溝が形成されており、押さえ部材を注入管にねじ入れることによって、押さえ部材とフランジ部材と間で開口部の周縁部が挟持される。また、開口部の大きさは、注入管の外径とほぼ同じであって、フランジ部材及び押さえ部材の外径よりも小さい。
【0006】
【特許文献1】特開平9−195685号公報
【特許文献2】特開2003−13455号公報
【特許文献3】特開平7−257608号公報
【特許文献4】特公昭46−25345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3の注入口具の場合、内筒はゴム材料で形成されており、柔軟性を有するため、例えば、内筒の筒状部に注入ホースを装着したとき、注入ホースの重量により、鍔部が変形し、鍔部が開口部から抜ける場合がある。そのため、内筒の鍔部が開口部から抜けないようにするには、開口部の径を、鍔部の外径よりも小さく、筒状部の外径とほぼ同じにする必要がある。そのため、開口部から内筒の鍔部を袋体内に入れることができないため、注入口具を袋体に取り付けるには、袋体の端部を閉じる前に、もしくは、既に接着剤等で閉じられている端部を一旦切り開いて、その端部から内筒を挿入する必要がある。
【0008】
また、特許文献4の注入口具の場合、押さえ部材とフランジ部材との間で、開口部の周縁部をねじりつつ挟持するため、強固に挟持しようとすると袋体が破損しやすい。また、開口部の大きさが注入管の外径よりも大きい場合、開口部の周縁部がねじれることにより、開口部の中心が注入管の中心からずれて、袋体がフランジ部材と注入口具から抜けたり、注入材が外部に漏れたりする場合がある。
【0009】
また、特許文献1の工法のように、透水性を有する長尺の袋体に注入材を注入する際、注入の途中でポンプのトラブル等により注入を停止した場合、注入材に含まれる水が袋体の表面から徐々に流出して注入材の流動性が低下し、袋体内に完全に注入材を充填できない場合がある。また、特許文献2の工法では、法面に凹凸がある場合、袋体の一部が法面の凸部とブロックとの間に挟まれて閉塞し、注入材を完全に充填できない場合がある。また、特に、施工時間の短縮のために速硬性のモルタル等を使用する場合、注入を途中で停止すると、モルタルが硬化してそれ以上注入できなくなる場合がある。これらのような場合に、袋体内の残りの空間に注入材を充填するために、袋体の初期注入口とは別の位置に、注入口具を取り付けて、ここから新たに注入する必要がある。
【0010】
しかしながら、特許文献3の注入口具は、上述した理由により、開口部の径が内筒の鍔部の外径よりも小さいため、内筒の鍔部を開口部から袋体内に挿入することができない。そのため、現場で注入口具を取り付けるには、袋体の閉じられている端部を一旦切り開き、そこから内筒を挿入して注入口具の取り付け位置まで移動させなければならない。そのため、切り開いた端部を閉じるために、手間と時間を要し、また、ミシンや融着機などの大がかりな機器も必要となる。また、特に、切り開いた端部から注入口具の取り付け位置までの距離が長い場合、袋体内で内筒を移動させる作業には、多大な時間を要する。
【0011】
また、袋体に比較的大きな開口部を形成して、内筒の鍔部をこの開口部を通して袋体内に挿入することも考えられるが、内筒の鍔部は柔軟性を有しており開口部から抜けやすいため、鍔部と開口部の周縁部とを縫着等によって固定する必要があり、手間を要する。また、接着剤を用いて固定する場合、固まるまでに時間を要するため、すぐに注入を行うことができない。
【0012】
また、特許文献4の注入口具を現場で取り付ける場合にも、袋体に比較的大きい開口部を形成し、そこからフランジ部材を袋体内部に挿入する方法が考えられるが、上述したように、開口部の大きさが注入管の外径よりも大きい場合、袋体がフランジ部材と注入口具から抜けたり、注入材が外部に漏れたりする場合がある。
【0013】
そこで、本発明は、現場において容易にしかも強固に袋体に取り付けられる注入口具、及び、袋体への注入口具の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0014】
請求項1の袋体の注入口具は、袋体に形成された開口部を貫通する注入管と、前記注入管に一体的に設けられるとともに、前記開口部の周縁部の内面に当接するように前記袋体内に配置されるフランジ部材と、前記フランジ部材との間で前記開口部の前記周縁部を挟持する押さえ部材と、前記押さえ部材を前記フランジ部材側へ押圧する複数のボルトと、前記複数のボルトが螺合される複数のボルト孔が形成されており、前記注入管に取り付けられるボルト支持部材と、を備えることを特徴とする。
【0015】
この構成によると、ボルト支持部材のボルト孔に螺合されたボルトを押さえ部材側にねじ込むことによって、押さえ部材とフランジ部材側との間で、袋体の開口部の周縁部を強固に挟持することができる。また、挟持する際、押さえ部材とフランジ部材との間で開口部の周縁部がねじれることがない。そのため、たとえ開口部の大きさが注入管の外径よりも大きい場合であっても、開口部の中心が注入管の中心からずれにくい。従って、注入圧によって袋体に引張力が作用しても、開口部の周縁部はフランジ部材と押さえ部材の間から抜けにくく、また、袋体内の注入材が外部に漏れにくい。また、フランジ部材は硬質な材料で形成されるため、袋体の設置作業中等に、フランジ部材が変形して開口部から抜けることもない。
【0016】
請求項2の袋体の注入口具は、請求項1において、前記フランジ部材及び前記押さえ部材の少なくとも一方は、その外周部における前記袋体の前記周縁部を挟持する側が、面取りされていることを特徴とする。
【0017】
この構成によると、袋体を持ち運ぶ際や、注入圧力によって袋体が膨張した際などに、フランジ部材又は押さえ部材によって袋体に傷が付くのを防止することができる。
【0018】
請求項3の袋体の注入口具は、請求項1又は2において、前記フランジ部材及び前記押さえ部材の少なくとも一方は、前記袋体の前記周縁部を挟持する部分において、凸状の曲面形状に形成されていることを特徴とする。
【0019】
フランジ部材及び押さえ部材が、開口部の周縁部を挟持する部分において、平坦に形成されている場合、開口部の周縁部を面接触で挟持する。一方、フランジ部材及び押さえ部材の少なくとも一方が、開口部の周縁部を挟持する部分において、凸状の曲面形状に形成されている場合、開口部の周縁部を線接触で挟持する。そのため、開口部の周縁部をより強固に挟持することができる。
【0020】
請求項4の袋体への注入口具の取付方法は、袋体に形成された開口部を貫通する注入管と、前記注入管に一体的に設けられたフランジ部材と、前記フランジ部材に対向して配置される押さえ部材と、前記押さえ部材を前記フランジ部材側へ押圧するための複数のボルトと、前記複数のボルトが螺合される複数のボルト孔が形成されており、前記注入管に取り付けられるボルト支持部材とを備える注入口具を、袋体に取り付ける注入口具の取付方法であって、前記袋体に前記注入口具を取り付けるための前記開口部を形成する開口部形成工程と、前記フランジ部材を前記開口部から前記袋体内に挿入するフランジ部材挿入工程と、前記押さえ部材と前記フランジ部材との間に前記開口部の周縁部を介在させた後、前記ボルト孔に螺合された前記ボルトによって、前記押さえ部材を前記フランジ側に押圧して、前記押さえ部材と前記フランジ部材との間で前記開口部の周縁部を挟持する袋体挟持工程とを備えており、さらに、前記開口部形成工程において、前記フランジ部材の外径よりも小さい開口幅を有する開口部を形成し、前記フランジ部材挿入工程において、前記袋体の前記開口部に関して両側部分を前記袋体の面方向に関して引っ張って、前記開口部の開口幅を広げた状態で、前記フランジ部材を前記開口部に挿入することを特徴とする。
【0021】
袋体は、一般的に織物等で構成されており柔らかいため、袋体の開口部に関して両側部分を袋体の面方向に引っ張ることにより、開口部は変形して引張方向に開口幅が広げられる。そのため、広げられた状態の開口部に、袋体の外部からフランジ部材を挿入することができる。そして、ボルト支持部材のボルト孔に螺合されたボルトを押さえ部材側にねじ込むことによって、押さえ部材とフランジ部材側との間で、袋体の開口部の周縁部が強固に挟持される。このような方法で取り付けることによって、たとえ開口部の径が小さい異径筒状の袋体であっても、外部から注入口具を簡易に取り付けることができる。従って、現場において容易に注入口具を袋体に取り付けることができる。また、挟持する際、押さえ部材とフランジ部材との間で開口部の周縁部がねじれることがない。そのため、開口部の中心が注入管の中心からずれにくい。従って、注入圧によって袋体に引張力が作用しても、開口部の周縁部はフランジ部材と押さえ部材の間から抜けにくく、また、袋体内の注入材が外部に漏れにくい。また、フランジ部材は硬質な材料で形成されるため、袋体の設置作業中等に、フランジ部材が変形して開口部から抜けることもない。
【0022】
請求項5の袋体への注入口具の取付方法は、請求項4において、前記開口部が、円形状の穴であることを特徴とする。
【0023】
この構成によると、開口部の両側を引っ張って開口部を大きくする際、開口部の一部に局所的に大きな力が作用しにくい。そのため、袋体が開口部の一部から裂けるのを防止することができる。
【0024】
請求項6の袋体への注入口具の取付方法は、請求項5において、広げられる前の前記開口幅が、前記フランジ部材の前記外径の65〜75%であることを特徴とする。このような開口幅に設定することにより、開口部にフランジ部材を挿入しやすく、且つ、押さえ代を確保することができるため、注入圧によって袋体に引張力が作用しても、開口部の周縁部はフランジ部材と押さえ部材の間から抜けにくい。
【0025】
請求項7の袋体への注入口具の取付方法は、請求項4において、前記開口部が、放射状に形成された少なくとも4本以上のスリットであることを特徴とする。
【0026】
この構成によると、開口部が円形状の穴の場合に比べて、フランジ部材と押さえ部材のとの間で挟持される部分の面積が大きくなる。そのため、注入圧によって開口部の周縁部に引張力が作用した場合であっても、押さえ部材とフランジ部材との間から抜けにくくなる。
【0027】
請求項8の袋体への注入口具の取付方法は、請求項4において、前記開口部が、前記注入管の外径とほぼ同じ径の円形状の穴と、この穴から放射状に形成された少なくとも4本以上のスリットとからなることを特徴とする。
【0028】
開口部がスリットのみで構成されている場合、注入管の周囲において、袋体の余った部分が折り畳まれた状態で挟持され、フランジ部材と押さえ部材のとの間で挟持される部分の厚さが不均一となるため、開口部の周縁部に作用する挟持力が部分的に低下し、袋体が注入口具から抜けやすくなる。また、この厚みの差によって隙間が生じ、この隙間から注入材が漏れる場合がある。一方、開口部が、注入管の外径とほぼ同じ径の円形状の穴と、スリットとから構成されている場合、上述したような折り畳まれる部分が生じることなく、フラットな状態で挟持されるため、部分的に挟持力が低減することがなく、また、上述したような隙間も生じない。その上、開口部が円形状の穴のみで構成されている場合に比べて、フランジ部材と押さえ部材との間で挟持される部分の面積を確保することができる。
さらに、円形状の穴に、ほぼ同じ径の注入管が貫通されるため、開口部が円形状の穴のみ、又は、スリットのみで構成されている場合に比べて、袋体とフランジ部材との位置ズレが生じにくく、開口部の中心に注入管が位置する。そのため、円形状の穴の周囲をほぼ均一に挟持することができる。
これらにより、注入圧によって袋体に引張力が作用しても、開口部の周縁部はフランジ部材と押さえ部材の間からより抜けにくく、また袋体内の注入材は外部により漏れにくくなる。
【0029】
請求項9の袋体への注入口具の取付方法は、請求項7又は8において、前記スリットが4本であって、広げられる前の前記開口幅が、前記フランジ部材の前記外径の71〜80%であることを特徴とする。このような開口幅に設定することにより、開口部にフランジ部材を挿入しやすく、且つ、押さえ代を確保できるため、注入圧によって袋体に引張力が作用しても、開口部の周縁部はフランジ部材と押さえ部材の間から抜けにくい。
【0030】
請求項10の袋体への注入口具の取り付け方法は、請求項4〜9の何れかにおいて、前記袋体に予め設けられた注入口から袋体内へ注入材を注入している途中で、前記袋体の前記注入口以外の位置に前記注入口具を取り付ける際に行うことを特徴とする。注入材を注入している途中に、袋体内の注入材が硬化したり、袋体の一部が閉塞したりして、袋体内に注入材を完全に充填することができない場合に、現場において、袋体の適切な位置に注入口具を取り付けることができる。従って、袋体内の注入材を注入できなかった部分に注入材を注入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の注入口具1は、土木用袋体(以下、単に袋体という)50に取り付けられている。
【0032】
袋体50は、例えば、法面と法面用ブロックとの隙間を埋めるために用いられるものとする。また、注入口具1は、現場において袋体50に取り付けられたものとする。具体的には、例えば、袋体50に予め設けられた注入口(図示省略)から袋体50内へ注入材を注入している途中に、法面の凹凸によって、袋体50の一部が法面とブロックとの間で挟まれて閉塞していたため、それ以上注入材を注入できなった場合に、袋体50の残りの空間に注入材を充填するために、現場において後から注入口具1を取り付けたものとする。尚、袋体50への注入口具1の取付方法の詳細については、後述する。
【0033】
袋体50は、例えばポリエステル繊維・ナイロン繊維等の合成繊維により円筒状に織成された筒状の織物であって、その長手方向両端部を縫製又は接着などで閉塞したものである。また、複数枚の平面状織布を重ね合わせて対向する縁同士を縫着した袋体でもよい。袋体50は、透水性を有するものであってもよいが、上記織物の内面に樹脂加工を施した不透水性のものであってもよい。この場合には、袋体50の内面と注入口具1の後述するフランジ部材3との間には、ゴムパッキンを挟んだり、シーリング剤を塗付することが好ましい。
【0034】
図2及び図3に示すように、袋体50には、注入口具1を取り付けるための開口部51が形成されている。開口部51は、円形状の穴であり、図2に示すように、開口部51の開口幅w(穴の径)は、注入口具1の後述するフランジ部材3の外径Dよりも小さい。
【0035】
次に、注入口具1について説明する。図2に示すように、注入口具1は、注入管2と、フランジ部材3と、押さえ部材4と、複数のボルト6と、ボルト支持部材5とを有する。注入口具1は、例えば金属材料で全て形成されている。尚、以下の注入口具1の説明において、図2中の上下方向を上下方向と定義する。また、図2中、袋体50の下側が袋体の内部を表している。
【0036】
注入管2は、上下方向に延びた筒状に形成されており、袋体50に形成された開口部51を貫通する。また、注入管2の下端部を除いた大部分の外周面には、ネジ溝が形成されている。
【0037】
フランジ部材3は、環状の平らな円板状に形成されており、袋体50の内部に配置される。フランジ部材3は、注入管2に一体的に設けられている。詳細には、フランジ部材3は、注入管2の下端に溶接又は鋳造によって接合されている。フランジ部材3の上面は、袋体50の開口部51の周縁部に当接する。
【0038】
フランジ部材3の外周部の上側には、円弧状の曲面で面取りされた面取り部3aが形成されている。尚、面取り部3aは、平面で面取りされた形状であってもよい。
【0039】
また、フランジ部材3の上面には、上方に突出した環状の凸部3bが形成されている。凸部3bは、凸状の曲面形状に形成されている。凸部3bの表面には、ローレット加工により、綾目状や格子状の浅い切り込みが形成されている。
【0040】
押さえ部材4は、フランジ部材3とほぼ同じ外径の環状の平らな円板状に形成されており、袋体50の外部にフランジ部材3に対向して配置される。押さえ部材4の内径は、注入管2の外径よりも若干大きく、押さえ部材4の孔には、注入管2が内挿される。押さえ部材4の下面は、袋体50の開口部51の周縁部に当接する。
【0041】
押さえ部材4の外周部の下側(開口部51の周縁部を挟持する側)は、面取り部4aが形成されている。図2に示すように、面取り部4aは、円弧状の曲面で面取りされた形状であるが、平面で面取りされた形状であってもよい。
【0042】
また、押さえ部材4の下面には、下方に突出した環状の凸部4bが形成されている。凸部4bは、凸状の曲面形状に形成されている。凸部3bと凸部4bとの間で、袋体50の開口部51の周縁部が挟持される。つまり、フランジ部材3及び押さえ部材4は、開口部51の周縁部を挟持する部分において、凸状の曲面形状にそれぞれ形成されていることとなる。尚、図2中、凸部4bの最も突出した部分は、凸部3bの最も突出した部分よりも、若干外周側に位置するように形成されているが、反対に中心側に位置するように形成されていてもよい。また、凸部3bと凸部4bの最も突出した部分同士が対向するように形成されていてもよい。また、凸部4bの表面には、凸部3bと同様にローレット加工により、綾目状や格子状の浅い切り込みが形成されている。
【0043】
ボルト支持部材5は、押さえ部材4(及びフランジ部材3)とほぼ同じ外径の環状の平らな円板状に形成されており、押さえ部材4の上方に配置される。図3に示すように、ボルト支持部材5の表面には、周方向に等間隔で並んだ複数(図3中では8つ)のボルト孔5aが形成されている。また、ボルト支持部材5の内周面には、注入管2の外周面に形成されたネジ溝と螺合するネジ溝が形成されている。ボルト支持部材5は、注入管2にねじ入れられることにより、注入管2に対して上下方向に移動可能に取り付けられる。
【0044】
ボルト支持部材5の複数のボルト孔5aには、複数のボルト6がそれぞれ螺合されている。ボルト6の上下方向長さは、ボルト支持部材5の厚みよりも十分に大きい。ボルト6の下端は、押さえ部材4の上面に当接する。尚、図2では、線の錯綜を避けるために、断面が表示されたボルト以外のボルトを省略して表示している。
【0045】
複数のボルト6をそれぞれ下向きにねじ込むことにより、押さえ部材4がフランジ部材3側に押圧される。これにより、押さえ部材4とフランジ部材3との間で、開口部51の周縁部が強固に挟持される。従って、注入口具1は、現場において容易に袋体50に取り付けることができる。また、開口部51の周縁部は、押さえ部材4とフランジ部材3との間でねじれることなく挟持されるため、たとえ開口部51の大きさが注入管2の外径よりも大きい場合であっても、開口部51の中心が注入管2の中心からずれにくい。そのため、注入圧によって袋体50に引張力が作用しても、開口部51の周縁部はフランジ部材3と押さえ部材4の間から抜けにくく、また、袋体50内の注入材が外部に漏れにくい。また、フランジ部材3は硬質な材料で形成されるため、袋体の設置作業中等に、フランジ部材3が変形して開口部51から抜けることもない。
【0046】
また、フランジ部材3の外周部の上部と、押さえ部材4の外周部の下部は、それぞれ円弧状に面取りされている。そのため、袋体50を持ち運ぶ際や、注入圧によって袋体50が膨張した際などに、フランジ部材3又は押さえ部材4によって袋体50に傷が付くのを防止することができる。
【0047】
さらに、フランジ部材3及び押さえ部材4には、凸部3b及び凸部4bがそれぞれ形成されている。即ち、フランジ部材3及び押さえ部材4は、開口部51の周縁部を挟持する部分において、凸状の曲面形状にそれぞれ形成されている。ここで、フランジ部材と押さえ部材が、開口部の周縁部を挟持する部分において、平坦に形成されている場合、開口部の周縁部を面接触で挟持する。一方、本実施形態のようにフランジ部材3と押さえ部材4が、開口部51の周縁部を挟持する部分において、凸状の曲面形状に形成されている場合、開口部51の周縁部を線接触で挟持する。そのため、開口部51の周縁部をより強固に挟持することができる。
【0048】
また、凸部3bと凸部4bの表面には、ローレット加工が施されて、摩擦係数が高められている。そのため、袋体50内に注入材を注入する際の注入圧や、袋体50内の注入材及び袋体50の自重によって、開口部51の周縁部が面方向に引っ張られてもフランジ部材3と押さえ部材4との間から抜けにくくなる。尚、不透水性の袋体50を使用する場合には、凸部3bと凸部4bとの間に、ゴムパッキン等を介在させてもよい。
【0049】
また、複数のボルト6は、押さえ部材4及び開口部51の周縁部を貫通して袋体50を締め付けるものではない。そのため、袋体50の強度を低下させることなく、袋体50を締め付けることができる。
【0050】
また、注入口具1を用いて袋体50内に注入材を注入するには、注入管2の上部の外周面に注入ホース(図示省略)を装着する。そして、この注入ホースをポンプ(図示省略)に接続し、ポンプから注入ホース及び注入口具1を介して、注入材を袋体50内に注入すると、袋体50は膨張し、法面とブロックとの隙間が埋められる。すると、袋体50内の残りの空間に注入材を注入することができる。
【0051】
次に、袋体50に注入口具1を取り付ける方法について説明する。
【0052】
先ず、袋体50に開口部51を形成する(開口部形成工程)。具体的には、フランジ部材3の外径Dよりも小さい直径wの円形状の穴を袋体50に形成する。また、開口部51の開口幅w(穴の径)は、フランジ部材3の外径Dの65〜75%が好ましい。その理由については後述する。
【0053】
次に、フランジ部材3を開口部51から袋体50内に挿入する(フランジ部材挿入工程)。具体的には、先ず、図4(a)及び(b)に示すように、袋体50の開口部51に関して両側部分を袋体50の面方向に引っ張る。袋体50は、織物で構成されており柔らかいため、袋体50を引っ張ることにより、引張方向に関して開口部51の開口幅が広げられる。次に、図4(c)に示すように、広げられた状態の開口部51に、フランジ部材3の幅の最も大きい部分(幅が外径と同じになる部分)を通過させる。そして、図4(d)及び(B)に示すように、袋体50の引っ張りを解放するとともに、袋体50内に挿入されたフランジ部材3(及び注入管2)の傾きを調整して、フランジ部材3を袋体50内に配置する。
【0054】
次に、注入管2に押さえ部材4を外嵌し、押さえ部材4とフランジ部材3との間に開口部51の周縁部を介在させた後、ボルト支持部材5を注入管2にねじ入れ、ボルト孔5aに螺合されたボルト6によって、押さえ部材4をフランジ部材3側に押圧して、押さえ部材4の凸部4bとフランジ部材3の凸部3bとの間で開口部51の周縁部を挟持する(袋体挟持工程)。
【0055】
以上説明した注入口具1の取付方法によると、フランジ部材3を袋体50の外部から開口部51を通過させて、袋体50内に配置して、押さえ部材4との間で開口部51の周縁部を挟持することができる。これにより、袋体50の外部から注入口具1を簡易に取り付けることができる。従って、現場において、容易に注入口具1を袋体50に取り付けることができる。また、挟持する際、押さえ部材4とフランジ部材3との間で開口部51の周縁部がねじれることがない。そのため、開口部51の中心が注入管2の中心からずれにくいため、注入圧が作用しても袋体50が注入口具1から抜けにくい。また、フランジ部材3は硬質な材料で形成されるため、袋体50の設置作業中等に、フランジ部材3が変形して開口部51から抜けることもない。
【0056】
また、図4(b)に示すように、フランジ部材挿入工程において、袋体50の開口部51に関して両側部分を袋体50の面方向に引っ張った際、開口部51の引張方向の最大開口幅Wは、穴の円周長の半分(wπ/2)となる。この最大開口幅Wが、フランジ部材3の外径Dよりも小さいと、フランジ部材3を開口部51に滑らかに挿入しにくくなる。そのため、最大開口幅Wは、フランジ部材3の外径Dよりも大きいことが好ましい。よって、W=wπ/2>Dの関係から、開口幅wは、フランジ部材3の外径Dの65%以上であることが好ましい。
また、広げられる前の開口幅wが大きすぎると、フランジ部材3と押さえ部材4との間で挟持される開口部51の周縁部の面積が小さくなる、即ち、押さえ代が小さくなるため、注入圧によって袋体に引張力が作用すると、挟持されている部分がフランジ部材3と押さえ部材4との間から抜けやすくなる。そのため、広げられる前の開口幅wは、フランジ部材3を挿入しやすく、且つ、なるべく広い面積で挟持されるように適切に設定される。具体的には、例えば、広げられる前の開口幅wは、フランジ部材3の外径Dの65〜75%程度が好ましい。
【0057】
また、開口部51が円形状の穴であるため、開口部51の両側を引っ張って開口部51を大きくする際、開口部51の一部に局所的に大きな力が作用しにくい。そのため、袋体50開口部51の一部から裂けるのを防止することができる。
【0058】
尚、袋体50を製造する際に注入口具1を取り付ける場合には、以下の方法で取り付けてもよい。即ち、袋体の端部を閉じる前に、注入管2の外径と同じ径の穴を袋体に形成し、袋体の内側からこの穴に、フランジ部材3が固定された注入管2を貫通させる。そして、袋体の外側から、押さえ部材4及びボルト支持部材5を装着してボルト6を締め付け、注入口具1を袋体50に取り付ける。また、袋体50の端部から比較的近い位置に注入口具を取り付けたい場合には、袋体50の端部を一旦切り開いて、上記と同様の方法で取付作業を行ってもよい。
【0059】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0060】
1]開口部51は、円形状の穴に限定されるものではない。例えば、図5(a)に示すように、放射状に形成された4本のスリットで構成された開口部51Aでもよい(第1変更形態)。また、4本のスリットの長さは全て同じとする。4本のスリットのうち直線上に並んだ2本のスリットの全長を、開口部51Aの開口幅wとする。開口幅wはフランジ部材3の外径Dよりも小さい。尚、スリットの方向は、袋体50を構成する織物の布目方向(経糸方向及び横糸方向)とする。スリットの方向が、織物の布目方向に対して斜め方向の場合、取り付け作業中に、裁断した部分の糸が抜ける場合があるからである。
【0061】
開口部51Aが放射状のスリットであることにより、前記実施形態のような円形状の穴の開口部51に比べて、フランジ部材3と押さえ部材4の間で挟持される面積が大きくなる。そのため、注入圧により開口部51Aの周縁部に引張力が作用した場合であっても、押さえ部材4とフランジ部材3との間から抜けにくくなる。また、フランジ部材3の径方向に関して、袋体50の内面とフランジ部材3の上面とが接する長さが長いため、袋体50内の注入材が外部に漏れにくい。
【0062】
第1変更形態の開口部51Aにフランジ部材3を挿入する方法について説明する。先ず、図5(b)に示すように、袋体50を直線状に並んだ2本のスリットに沿って折る。ここで、袋体50を折ったのは、開口部51Aの形状の変化をわかりやすく説明するためであり、もちろん袋体50を折らなくてもよい。次に、図5(c)に示すように、袋体50の開口部51Aに関して両側部分を袋体50の面方向に引っ張って、開口部51Aの開口幅を広げた状態で、フランジ部材3を開口部51Aに挿入する。各スリットの長さはw/2であるため、袋体50を引っ張ったときの、開口部51Aの引張方向の最大開口幅Wは、数式1で表される。
【0063】
【数1】

【0064】
最大開口幅Wがフランジ部材3の外径Dよりも小さいと、フランジ部材3を開口部51Aに挿入しにくくなるため、最大開口幅Wはフランジ部材3の外径Dよりも大きいことが好ましい。よって、W≒1.414w>Dの関係から、広げられる前の開口幅wは、フランジ部材3の外径Dの71%以上が好ましい。 また、広げられる前の開口幅wが大きすぎると、スリットの先端がフランジ部材3(押さえ部材4)の外周端に近くなり、注入管2を中心とした周方向に亘って挟持される部分の面積が小さくなる、即ち、押さえ代が小さくなる。そのため、注入圧によって袋体50に引張力が作用すると、挟持されている部分がフランジ部材3と押さえ部材3との間から抜けやすくなる。従って、広げられる前の開口幅wは、フランジ部材3を挿入しやすく、且つ、周方向に亘ってなるべく広い面積で挟持されるように適切に設定される。具体的には、例えば、広げられる前の開口幅wは、フランジ部材3の外径Dの71〜80%程度が好ましい。
【0065】
尚、スリットの数は、4本以上であってもよいが、複数のスリットのうちの2本のスリットが、ほぼ直線状に形成されていることが好ましい。尚、本発明の広げられる前の開口幅とは、直線状に形成されている2本のスリットがある場合、この2本のスリットの全長とし、また、直線状に形成されている2本のスリットがない場合には、袋体50を引っ張ることなく、開口部が最も長く直線状に開く長さとする。
【0066】
2]また、図6に示すように、注入管2の外径とほぼ同じ径の円形状の穴と、この穴から放射状に形成された4本のスリットとから構成された開口部51Bでもよい(第2変更形態)。開口部51Bの円形状の穴には、注入管2が貫通する。開口部51Bの広げられる前の開口幅wは、第1変更形態と同様にフランジ部材3の外径Dの71〜80%が好ましい。
【0067】
ここで、第1変更形態の開口部51Aはスリットのみで構成されているため、注入管2の周囲において、余った部分が折り畳まれた状態で挟持され、フランジ部材3と押さえ部材4のとの間で挟持される部分の厚さが不均一となり、開口部51の周縁部に作用する挟持力が部分的に低下するため、袋体が注入口具から抜けやすくなる。また、この厚みの差によって隙間が生じ、この隙間から注入材が漏れる場合がある。一方、本変更形態では、開口部51Bは、注入管2が貫通する円形状の穴を有しており、折り畳まれる部分が生じることなく、フラットな状態で挟持されるため、部分的に挟持力が低減することがなく、また、上述したような隙間も生じない。その上、前記実施形態のように、開口部51が円形状の穴のみで構成されている場合に比べて、フランジ部材3と押さえ部材4との間で挟持される部分の面積を確保することができる。
さらに、円形状の穴に、ほぼ同じ径の注入管2が貫通されるため、開口部が前記実施形態のように円形状の穴のみ、又は、第1変更形態のようにスリットのみで構成されている場合に比べて、袋体50とフランジ部材3との位置ズレが生じにくく、開口部51の中心に注入管2の中心が位置する。そのため、円形状の穴の周囲をほぼ均一に挟持することができる。
これらにより、注入圧によって袋体50に引張力が作用しても、開口部51の周縁部はフランジ部材3と押さえ部材4の間からより抜けにくく、しかも袋体50内の注入材は外部により漏れにくくなる。
【0068】
3]押さえ部材4は、環状に形成された1つの部材でなくてもよい。例えば、図7に示すように、環状の板材を2分割したような2つの半環状の板材10C、11Cから構成された押さえ部材4Cでもよい(第3変更形態)。板材10C、11Cの両端部は、互いにかみ合うL字状に形成されており、板材10C、11Cをかみ合わせると、面方向に引っ張っても離れなくなる。この注入口具1Cを袋体50に取り付ける際、ボルト支持部材5を注入管2に取り付けた状態のまま、フランジ部材3とボルト支持部材5との間に押さえ部材4Cを配置することができる。そのため、ボルト支持部材5を注入管2に取り付ける作業を省略でき、取付作業の効率が向上する。
【0069】
4]フランジ部材3の外周の形状は、円形状に限定されない。例えば、四角形状であってもよい(第4変更形態)。この場合、フランジ部材3の最小幅(最短の辺の長さ)が、本発明のフランジ部材の外径に相当する。また、押さえ部材4の外周の形状も、フランジ部材3と同じ四角形状であってもよい。
【0070】
5]フランジ部材3と押さえ部材4の両方が、開口部51の周縁部を挟持する部分において、凸状の曲面形状に形成されていなくてもよい。例えば、フランジ部材3と押さえ部材4の何れか一方が、開口部51の周縁部を挟持する部分において、凸状の曲面形状に形成され、他方は、開口部51の周縁部を挟持する部分において、平坦状に形成されていてもよい(第5変更形態)。この場合であっても、フランジ部材3と押さえ部材4との間で開口部51の周縁部を線接触で挟持することができる。
【0071】
6]また、例えば、図8に示すように、フランジ部材3Fの上面と押さえ部材4Fの下面の両方が、平坦状に形成された注入口具1Fでもよい(第6変更形態)。この場合、前記実施形態のように凸部3b、4bを形成する必要がないため、前記実施形態よりも注入口具の製造工程を簡略化することができる。
【0072】
7]フランジ部材3は、溶接又は鋳造によって注入管2に接合されていなくてもよい。例えば、図9に示すように、注入管2Gの下端部の外周面、及び、フランジ部材3Gの内周面には、それぞれ互いに螺合するねじ溝が形成されており、フランジ部材3Gは、注入管2Gにねじ入れられて取り付けられる注入口具1Gでもよい(第7変更形態)。この構成により、注入口具1Gを製造する際、フランジ部材を注入管に接合するための溶接や鋳造が不要になるため、製造工程を簡略化することができる。
【0073】
尚、この場合、図9に示すように、注入管2Gの内周面には、ねじ溝が形成されていてもよい。袋体50内に注入材を注入する際、この注入管2Gの上部の内周面に、注入ホース(図示省略)の先端部に取り付けられた接続部品(図示省略)をねじ入れ、注入管2Gと注入ホースとを接続する。これにより、前記実施形態のように注入管2の外周面に注入ホースを接続する場合に比べて、注入管2の長さを短くすることができる。そのため、運搬時にかさばらず、また、注入材が硬化し、注入ホースを取り外した後も、袋体50から突出する長さが短いため、邪魔になりにくい。
【0074】
8]ボルト支持部材5は、注入管2にねじ入れられて取り付けられていなくてもよい。例えば、図10に示すように、ボルト支持部材5Hが、溶接又は鋳造によって注入管2Hの上端に接合されている注入口具1Hでもよい(第8変更形態)。この場合、押さえ部材4は、ボルト支持部材5Hとフランジ部材3との間に最初から配置されていてもよいが、図7に示すような2分割されたものを用いてもよい。尚、注入管2Hの内周面には、注入ホースを接続するためのねじ溝が形成されている。この構成により、注入口具1Hを袋体50に取り付ける際、ボルト支持部材5Hを注入管2Hにねじ入れて取り付ける作業が不要になるため、取付作業の効率が向上する。
【0075】
以上、本発明の実施形態及びその変更形態について説明したが、変更形態は適宜組み合わせて実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態に係る注入口具が取り付けられた袋体の断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る注入口具の断面図である。
【図3】注入口具の平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る注入口具の取付方法における、フランジ部材挿入工程を示した平面図である。
【図5】本発明の第1変更形態に係る注入口具の取付方法における、フランジ部材挿入工程の一部を示した図である。
【図6】本発明の第2変更形態に係る注入口具の取付方法における、袋体の開口部を示した平面図である。
【図7】本発明の第3変更形態に係る注入口具のフランジ部材の平面図である。
【図8】本発明の第6変更形態に係る注入口具の断面図である。
【図9】本発明の第7変更形態に係る注入口具の断面図である。
【図10】本発明の第8変更形態に係る注入口具の断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1、1F、1G、1H 注入口具
2、2G、2H 注入管
3、3F、3G フランジ部材
3a 面取り部
3b 凸部
4、4C、4F 押さえ部材
4a 面取り部
4b 凸部
5、5H ボルト支持部材
5a ボルト孔
6 ボルト
50 袋体
51、51A、51B 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体に形成された開口部を貫通する注入管と、
前記注入管に一体的に設けられるとともに、前記開口部の周縁部の内面に当接するように前記袋体内に配置されるフランジ部材と、
前記フランジ部材との間で前記開口部の前記周縁部を挟持する押さえ部材と、
前記押さえ部材を前記フランジ部材側へ押圧する複数のボルトと、
前記複数のボルトが螺合される複数のボルト孔が形成されており、前記注入管に取り付けられるボルト支持部材と、
を備えることを特徴とする袋体の注入口具。
【請求項2】
前記フランジ部材及び前記押さえ部材の少なくとも一方は、その外周部における前記袋体の前記周縁部を挟持する側が、面取りされていることを特徴とする請求項1に記載の袋体の注入口具。
【請求項3】
前記フランジ部材及び前記押さえ部材の少なくとも一方は、前記袋体の前記周縁部を挟持する部分において、凸状の曲面形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の袋体の注入口具。
【請求項4】
袋体に形成された開口部を貫通する注入管と、前記注入管に一体的に設けられたフランジ部材と、前記フランジ部材に対向して配置される押さえ部材と、前記押さえ部材を前記フランジ部材側へ押圧するための複数のボルトと、前記複数のボルトが螺合される複数のボルト孔が形成されており、前記注入管に取り付けられるボルト支持部材とを備える注入口具を、袋体に取り付ける注入口具の取付方法であって、
前記袋体に前記注入口具を取り付けるための前記開口部を形成する開口部形成工程と、
前記フランジ部材を前記開口部から前記袋体内に挿入するフランジ部材挿入工程と、
前記押さえ部材と前記フランジ部材との間に前記開口部の周縁部を介在させた後、前記ボルト孔に螺合された前記ボルトによって、前記押さえ部材を前記フランジ側に押圧して、前記押さえ部材と前記フランジ部材との間で前記開口部の周縁部を挟持する袋体挟持工程とを備えており、
さらに、前記開口部形成工程において、前記フランジ部材の外径よりも小さい開口幅を有する開口部を形成し、
前記フランジ部材挿入工程において、前記袋体の前記開口部に関して両側部分を前記袋体の面方向に関して引っ張って、前記開口部の開口幅を広げた状態で、前記フランジ部材を前記開口部に挿入することを特徴とする袋体への注入口具の取付方法。
【請求項5】
前記開口部が、円形状の穴であることを特徴とする請求項4に記載の袋体への注入口具の取付方法。
【請求項6】
広げられる前の前記開口幅が、前記フランジ部材の前記外径の65〜75%であることを特徴とする請求項5に記載の袋体への注入口具の取付方法。
【請求項7】
前記開口部が、放射状に形成された少なくとも4本以上のスリットであることを特徴とする請求項4に記載の袋体への注入口具の取付方法。
【請求項8】
前記開口部が、前記注入管の外径とほぼ同じ径の円形状の穴と、この穴から放射状に形成された少なくとも4本以上のスリットとからなることを特徴とする請求項4に記載の袋体への注入口具の取付方法。
【請求項9】
前記スリットが4本であって、
広げられる前の前記開口幅が、前記フランジ部材の前記外径の71〜80%であることを特徴とする請求項7又は8に記載の袋体への注入口具の取付方法。
【請求項10】
前記袋体に予め設けられた注入口から前記袋体内へ注入材を注入している途中で、前記袋体の前記注入口以外の別の位置に前記注入口具を取り付けるために行うことを特徴とする請求項4〜9の何れかに記載の袋体への注入口具の取付方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−270365(P2009−270365A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122615(P2008−122615)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】