説明

袋体装填装置

【課題】進退動して袋体fを箱体B内に挿入する挿入体50のストロークを小さくする。
【解決手段】袋体fを供給する袋体供給手段2と、この袋体供給手段2から受け取った袋体fを開口している箱体B内に装填する挿入体50を有する袋体装填手段4とを備えている。袋体供給手段2の4個の引き出しチャック30によって、成形された袋体fの開口部の4箇所を把持して移動し、水平状態の袋体装填手段4(袋体受け取り姿勢R)の挿入体50および折り返しフィンガー48の外側から被せた後、袋体装填手段4を下方へ向けて揺動させ(袋体装填姿勢L)、続いて、下降させて袋体fの底部を下方に停止している箱体Bの底面まで挿入し、さらに折り返しフィンガー48を下降させて袋体fの開口部側を箱体Bの外面に折り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は袋体装填装置に係り、特に、段ボール製または厚紙製の箱体や、合成樹脂製または金属製のコンテナケース等の開口部を有する容器の内部に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂や紙等の材質で形成した袋体を装填する袋体装填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前記のように箱体や容器の開口部から内部に袋体を挿入し、箱体等の内面に沿うように装填する袋体の装填装置が従来から知られている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された袋敷設装置は、引上げ機構によってフィルム原反を引き上げた後、分離機構によって熱シールをするとともに切断する。切断された袋体の開口部を開口機構で保持して開口し、この袋体を前記分離位置の上方から、搬送コンベヤ上の装填位置上方へと水平移動させる。装填位置の上方には、折り返し体と押し込み体を有する装填ユニットが昇降可能に設けられており、折り返し体で袋体の口部を保持して下降し、押し込み体を袋体内に挿入して箱体内と対応する大きさに拡張し、この押し込み体によって袋体の底面部を箱体の底部に押圧するとともに、折り返し体によって、袋体の口部を外側に折り返して箱体のフラップに被覆するようにしている。
【0004】
また、特許文献2に記載された袋敷設装置は、フィルム繰り出し機構によって繰り出された筒状フィルムを熱溶着機構で溶着した後、フィルム切断機構で切断した包装袋をフィルム開口機構に送る。開口された包装袋の投入口を水平位置のフィルム保持機構によって保持させて、下方に向けて90度回転させてフィルム装填機構の下方に位置させる。フィルム装填機構の下方には、箱送りコンベヤによって段ボール箱が挿入位置に供給されており、フィルム保持機構とフィルム装填機構を下降させて、包装袋を箱体の底部まで挿入するとともに、折り返し爪によって包装袋の投入口を折り返して、包装袋を箱体内にセットする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−36390号公報
【特許文献2】特公平7−98529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された装置では、開口機構の複数の保持体によって袋体の口部を保持した後、袋体の口部を開口しながら敷設位置の上方へ水平移動する。敷設位置の下方の搬送コンベヤ上には箱体が供給され、上方には装填機構が配置されている。この位置で装填機構を駆動して、装填ユニットの折返し体を下降させて袋体の口部を保持するとともに、押込み体を袋体の内部に挿入して箱体の底面部に押圧する。従って、装填ユニットは、少なくとも袋体の全長と箱体の高さの分だけストロークする必要がある。
【0007】
また、特許文献2に記載された装置では、フィルム保持機構が、水平位置と下方へ向けた垂直位置との間で90度往復回動できるようになっているが、フィルム保持機構に保持されている包装袋を下方の段ボール箱に挿入するフィルム装填機構は、フィルム保持機構を垂直にした位置の上方に配置されており、前記特許文献1の構成と同様に、包装袋の全長と段ボール箱の高さ分以上のストロークを必要とする。このように上下方向に長いストロークを必要とする構成では、装置の高さが非常に大きくなり、場所によっては設置できないという問題がある。また装置が大型化することにより装置の設置および製造コストが増大するという問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、袋体を箱体内に挿入する挿入体のストロークを小さくして、全体をコンパクト化できる装置を提供するもので、袋体を供給する袋体供給手段と、この袋体供給手段により供給された袋体を受け取って、開口した状態の箱体の内部に装填する袋体装填手段とを備えた袋体装填装置において、前記袋体装填手段は、袋体の開口部を拡開した状態で保持する袋体保持部材と、袋体保持部材に保持された袋体の底部を前記箱体の底部まで挿入する挿入体とを備え、前記袋体保持部材および挿入体を、前記袋体供給手段から供給される袋体を受け取る袋体受け取り姿勢と、前記袋体供給手段から受け取った袋体を前記箱体の内部に装填する袋体装填姿勢との間で回動自在に設けるとともに、前記袋体保持部材は、前記挿入体を袋体の内部に位置させた状態で袋体を保持しながら前記袋体受け取り姿勢から袋体装填姿勢へと回動することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の袋体装填装置は、袋体を保持する袋体保持部材と、この袋体保持部材に保持されている袋体を箱体内に挿入する挿入体を、袋体の受け取り時と挿入時に異なる姿勢を取るように回動可能に構成し、袋体受け取り姿勢で袋体供給手段から供給された袋体の内部に挿入体を収容した状態にし、その後、袋体装填姿勢に回動させてから、挿入体の動作によって袋体を箱体内に装填するようにしたので、装填時の挿入体のストロークを小さくすることができ、装置全体をコンパクトにすることができる。また、袋体の受け取り姿勢と装填姿勢とを適宜選択して好適な位置に配置することができるので、装置の設置場所に応じてフレキシブルな装置設計が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、袋体装填装置の全体の構成を示す側面図である。(実施例1)
【図2】図2は、前記袋体装填装置の作動を説明する側面図である。
【図3】図3は、前記袋体装填装置の、袋体を箱体内に挿入した状態を示す側面図である。
【図4】図4(a)は、図1のIV−IVに沿う断面図であり、袋体供給手段から袋体装填手段に袋体を受け渡す状態を説明する図である。図4(b)は、ガゼット折りによる袋体の受け渡し状態を示す図であり、図4(a)と同様の断面図である。
【図5】図5は、第2の実施例に係る袋体装填装置の側面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0011】
袋体を供給する袋体供給手段と、この袋体供給手段から供給された袋体を受け取って、開口した状態の箱体の内部に挿入し装填する袋体装填手段を備えており、袋体装填手段は、袋体の開口部を拡開した状態で保持する袋体保持部材と、袋体保持部材に保持されている袋体を、その底部側から箱体内の底部まで挿入し箱体の内面に装填するする挿入体を備えている。前記袋体保持部材と挿入体は、袋体供給手段から供給される袋体を受け取る袋体受け取り姿勢と、袋体供給手段から受け取った袋体を箱体の内部に装填する袋体装填姿勢との二つの姿勢を取るように回動可能に構成されており、袋体供給手段から袋体装填手段に袋体を供給する際に、前記挿入体が袋体の内部に収容された状態で、前記袋体保持部材が袋体を受け取って保持し、この袋体受け取り姿勢から袋体装填姿勢へ回動した後、袋体の装填を行うようにしたので、挿入体のストロークを短くして、装置の小型化を図るという目的を達成する。
【実施例1】
【0012】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この袋体装填装置(全体として符号1で示す)は、袋体を成形して供給する袋体供給手段2と袋体を箱体B内に挿入し内面に装填する袋体装填手段4とを備えている。袋体供給手段2は、ロール状に巻かれたフィルム原反Fを引き出し、一枚ずつの袋体f(図2参照)に成形して下流側の袋体装填手段4に供給する。袋体装填手段4は、袋体供給手段2から受け渡された袋体fを箱体Bの内部まで挿入するとともに、その開口部側を箱体Bの外面に折り返して箱体Bの内面全体に装填する。
【0013】
先ず、袋体fを成形する袋体供給手段2について説明する。予め筒状に形成された長尺のシートFaを、ロール状に巻いたフィルム原反F(ロール状に巻かれた状態のフィルムを符号F、引き出したシートの状態のフィルムを符号Fa、一枚ずつの袋体を符号fで示す)を、基台6上の端部寄りに設置したロールスタンド8に支持させている。このロール状のフィルム原反Fを引き出して、複数のローラ10、12、14、18および繰り出しローラ20、22等を介して、1枚ずつの袋体fを成形する袋体成形部24に送られる。袋体成形部24は、横シール装置26およびカッター28を有しており、横シール装置26では、所定の長さ(成形する袋体fの全長)で長尺のシートFaを横方向にシールして袋体fの底部を形成する。また、カッター28は、横シール装置26でシールされた位置の搬送方向後方側をカットして、一枚の切り離された袋体fを形成する。この袋体fは、一辺(搬送方向前方側の辺)に開口部が形成されるとともに、その他三方の辺が封止されている。
【0014】
袋体成形部24の搬送方向下流側(図1の右側)には、筒状のシートFaの先端開口部を把持する4個の引き出しチャック30が設けられている。これら各引き出しチャック30は開閉可能な一対の爪状部材30a、30bから成っており、後に説明するように僅かに開放している筒状の袋体fの開口部の4箇所を把持する(図4(a)参照)。これら4個の引き出しチャック30は、鉛直方向を向いている2本のアーム32にそれぞれチャックベース34を介して2個ずつ取り付けられている。一本のアーム32に取り付けられている上下各一組の引き出しチャック30が、アーム32に対して図1の上下方向に移動して接近離隔できるようになっており、各一組の引き出しチャック30が接近した状態で袋体fを把持し、その後、互いに離隔して袋体fの開口部を拡開する(図4(a)に示す状態にする)。
【0015】
基台6上に設置されている機枠36の天面36aに、袋体供給手段2の袋体成形部24の上方と、袋体装填手段4の上方にそれぞれ位置するように、スプロケット38、40が回転可能に支持されており、これら両スプロケット38、40間に亘って無端状チェーン42が巻き回されている。この無端状チェーン42にアーム取付部材43を介して前記2本のアーム32が取り付けられている。駆動側のスプロケット(図1の左側のスプロケット38)に、伝達ベルト44を介してモータ46(以下第1モータと呼ぶ)の回転が伝達されるようになっており、第1モータ46の駆動により駆動スプロケット38を正逆回転することによって、前記アーム32を袋体供給手段2側と袋体装填手段4側との間で往復移動できるようになっている。4個の引き出しチャック30が筒状シートFaの開口部を保持した状態で、これら引き出しチャック30が取り付けられている2本のアーム32を、袋体供給手段2側から袋体装填手段4側へ移動させることにより、筒状のシートFaを引き出していく。
【0016】
前記各引き出しチャック30は、前述のように一対の爪状部材30a、30bからなっており、その一方30b(図4(a)参照)を袋体fの開口部内に挿入し、他方30aを袋体fの外側から当接させてシートの両面を把持するようになっている。そこで、筒状シートFaを把持する際に一方の爪状部材30bを開口部内に挿入できるように、開口部を開口させるための予備開口手段(図示せず)をカッター28の近くに設けている。予備開口手段は、一般的な吸盤等の吸着部材でもよく、また、その他の予備開口手段を用いてもよい。
【0017】
袋体装填手段4は、袋体供給手段2の引き出しチャック30から受け渡された袋体fを保持する4箇所の袋体保持部材(折り返しフィンガー)48と、これら折り返しフィンガー48とともに下降して袋体fを箱体B内に挿入する挿入体50とを備えている(図1および図4(a)参照)。前記機枠36の一方の側壁36b(図1の右側の側壁)の上下2箇所にスプロケット52、54が取り付けられ、これら両スプロケット52、54間に無端状チェーン56が掛け回されている。側壁36bの上部に駆動モータ58(以下第2モータと呼ぶ)が取り付けられており、この第2モータ58の駆動が伝達ベルト60を介して一方のスプロケット52(上方側の駆動スプロケット)に伝達され、無端状チェーン56を上下方向に往復走行させることができる。なお、前記第1モータ46および第2モータ58は、サーボモータ等公知のモータを用いることができる。
【0018】
無端状チェーン56に、このチェーン56の移動方向と直交する方向(水平方向)を向けて固定アーム62が取り付けられている。この固定アーム62の先端に、回動アーム64が水平位置と鉛直方向を向いた下方位置との間で往復回動可能に連結されている。この回動アーム64の回動端にベース部材66を介して前記折り返しフィンガー48および挿入体50が取り付けられている。従って、回動アーム64を、図示しない駆動手段によって、図1に示す水平位置から下方へ向けて90度回動させると、折り返しフィンガー48および挿入体50が、図2に想像線で示すように下方を向いた状態になる。この状態で、前記第2モータ58の駆動によって無端状チェーン56を走行させて、固定アーム62を図1に示す位置から下降させると、折り返しフィンガー48および挿入体50が一体的に下降する。
【0019】
前記4個の折り返しフィンガー48は、前記ベース部材66に固定された取付部材68に支持されており、この取付部材68に沿って袋体fの開口部を開放する方向(図1の上下方向、図4(a)の左右方向)に移動できるようになっている。また、これら4個の折り返しフィンガー48は、前述のように挿入体50とともに一体的に下降可能であるとともに、挿入体50に対してさらに前進できるようになっている。この実施例では、折り返しフィンガー48と挿入体50が前記無端状チェーン56の走行によって下降して下降端に到達した後、さらに、折り返しフィンガー48が挿入体50に対して下降できるようになっている。なお、折り返しフィンガー48と挿入体50の移動方向は、この実施例のように下方に限るものではなく、その他の方向に向かって移動させる構成にすることもできるが、その移動方向に移動した挿入体50に対して、折り返しフィンガー48が同じ方向にさらに移動できるようになっている。
【0020】
前記袋体装填手段4の挿入体50と折り返しフィンガー48が下方を向いた状態の時に、その下方位置に箱体Bを供給する箱体供給手段70(箱体搬送コンベヤ)が配置されている。この実施例では、箱体搬送コンベヤ70は、図面の手前から奥に向けて(または奥から手前に向けて)走行しており、前記下方を向いた挿入体50および折り返しフィンガー48が下方を向いた時に、その直下の位置に箱体Bを停止させて位置決めするためのストッパ(図示せず)が設けられている。この箱体搬送コンベヤ70としては、ベルトコンベヤやローラコンベヤを用いることが一般的であるが、これらコンベヤに限るものではなく、その他公知の搬送手段を用いることができる。なお、図1中の符号72は、前記袋体供給手段2、袋体装填手段4および箱体搬送コンベヤ70等の作動を制御する制御装置である。
【0021】
以上の構成に係る袋体装填装置1の作動について説明する。ロール状に巻かれてスタンド8に支持されているロール状のフィルム原反Fから引き出されたシートFaが、ローラ10、12、14、18および繰り出しローラ20、22等を介して、二枚重ねの扁平の状態のまま袋体成形部24に送られる。
【0022】
袋体成形部24の搬送方向下流側には、4個の引き出しチャック30が、袋体成形部24付近から下流側の袋体装填手段4の位置付近まで往復動可能に配置されており、最も上流側に移動した位置(袋体成形部24付近)で袋体fの開口部を把持する。4個の引き出しチャック30は、それぞれ一対の爪状部材30a、30bからなっており、一方の爪状部材30bを袋体fの開口部内に挿入するとともに、他方の爪状部材30aを袋体fの外側から当接させて押さえつけることにより袋体fの一枚のシートを把持するようになっている。そこで、一方の爪状部材30bを袋体fの開口部内に挿入するために、袋体成形部24の近くに図示しない袋体の予備開口手段を配置してあり、一方の爪状部材30bを挿入できる分だけ開口部を開放する。
【0023】
予備開口手段によって開口された袋体f(実際には袋体fとして切断される前の筒状シートFa)の開口部内に、4個の引き出しチャック30の一方の爪状部材30bをそれぞれ挿入して袋体fの開口部の4箇所を把持する。4個の引き出しチャック30によって把持した後、第1モータ46の駆動によりチェーン42を走行させて、引き出しチャック30が取り付けられている2本のアーム32を前進(袋体装填手段4方向へ移動)させる。また、アーム32を移動させつつ、各アーム32に取り付けられている2組の引き出しチャック30を互いに離隔させて(図1の上下方向、図4の左右方向に離隔させる)袋体fの開口部を拡開させる。また、引き出しチャック30の袋体装填手段4方向への移動によって、一枚の袋体fの長さ分だけ引き出した後、袋体成形部24の横シール装置26によって袋体fの底部となる位置で、長尺のシートFaを横断する方向にシールする。その後、横シール部材26のやや上流側に配置されているカッター28を作動させて、シール位置の僅かに後方をカットして、所定長さの一枚の袋体fを形成する。
【0024】
袋体fの開口部を把持している4個の引き出しチャック30をさらに袋体装填手段4方向へ移動させて、袋体装填手段4の折り返しフィンガー48に袋体fを引き渡す。引き出しチャック30から袋体fを受け取る時点では、挿入体50および折り返しフィンガー48を有する袋体装填手段4は、図1に示すように水平な状態(請求項1に記載した袋体受け取り姿勢R)になっており、拡開した状態の引き出しチャック30が折り返しフィンガー48の外側に重なり合う位置まで移動して、袋体fを挿入体50と折り返しフィンガー48に被せた状態にする。
【0025】
袋体fが被せられた後、折り返しフィンガー48を拡開してこの折り返しフィンガー48によって袋体fを内面側から保持する(折り返しフィンガー48は図1に示す状態から図2に実線で示す位置まで拡開する)。このように折り返しフィンガー48を拡開させる際に、タイミングを合わせて引き出しチャック30の把持を開放して、袋体fの受け渡しを行う。次に、袋体fを受け取って保持している折り返しフィンガー48と、袋体fの内部に収容された状態になっている挿入体50を水平な状態から下方へ向けて90度回動させる(図2に想像線で示す状態)。このように挿入体50および折り返しフィンガー48が、下方の箱体コンベヤ70上の箱体Bの方向を向いている状態が請求項1に記載した袋体装填姿勢Lである。なお、引き出しチャック30は、一方の爪状部材30bを袋体fの内部に挿入させた状態になっているので、折り返しフィンガー48に袋体fを受け渡した後、袋体fの開口部から遠ざかる方向へ後退する。
【0026】
折り返しフィンガー48を拡開させた状態で袋体fを保持している袋体装填手段4を、下方の箱体搬送コンベヤ70によって搬送され、図示しないストッパによって停止されている箱体Bの開口部と対向する位置まで回動させると、袋体fはその底部が箱体Bの上端の開口部とほぼ同じ高さ、または開口部に接近した高さになり、この袋体fの内部に収容された状態になっている挿入体50は、従来の装置(挿入体に相当する部材が袋体の開口部よりも上方に位置している)と比較して、箱体Bの底部までの距離が極めて接近している。
【0027】
袋体装填姿勢L(図2に想像線で示す状態)になった後、第2モータ58の駆動により無端状チェーン56を走行させて固定アーム62を下降させる。固定アーム62の先端に連結されている回動アーム64は鉛直方向を向いており、固定アーム62の下降に伴って回動アーム64が下降し、挿入体50および4個の折り返しフィンガー48が一体的に下降する。これら袋体装填手段4が下降すると、まず、袋体fの底部側が箱体B内に入り、さらに挿入体50が下降することによって袋体fの底部が箱体Bの底面まで挿入される。挿入体50はその下面(回動アーム64に連結されている面と逆の面)が箱体Bの底面に接近する位置まで下降して停止する。一体的に下降する袋体装填手段4の挿入体50は、箱体Bの内部に挿入されるサイズであるが、拡開している4個の折り返しフィンガー48は箱体Bの幅よりも広い間隔に拡開されており、箱体Bの外側に位置している。その後、折り返しフィンガー48が、下降を停止している挿入体50に対してさらに下降し、袋体fの開口部側を箱体Bの外側に折り返す(図3参照)。なお、この実施例では、袋体装填手段4を下降させる駆動手段としてモータ58の駆動により走行する無端状チェーン56を用いたが、必ずしもこの構成に限定されるものではなく、エアシリンダ等その他の駆動手段を用いることもできる。また、前記無端状チェーン42についても、エアシリンダ等その他の手段を用いることもできる。
【0028】
この実施例に係る袋体装填装置1では、挿入体50および折り返しフィンガー48を備えた袋体装填手段4を水平な状態(袋体受け取り姿勢R)にして袋体fを供給し、しかも、挿入体50を袋体fの内部に収容した状態にしてから、下方へ向けて90度回転させて袋体装填姿勢Lにした後、下方に供給されている箱体B内に挿入して装填するようにしたので、挿入体50の移動距離を大幅に短縮することができる。その結果、挿入体50を移動させる移動手段(この実施例では第2モータ58によって走行する無端状チェーン56)もコンパクトにすることができ、装置全体を小型化することができる。従って、装置の設置場所に拘束されることなく、自由なレイアウトで装置を設置することが可能である。なお、前記実施例では、袋体装填手段4の挿入体50を枠状の構成としたが、必ずしもこのような構造に限るものではなく、袋体fの底部を箱体Bの底面まで挿入し、箱体Bの内面に沿って装填できるものであれば良く、例えば、ブロアを設けてエアにより袋体fの底部を箱体Bの底面に向けて押圧するようにして箱体B内に装填することも可能である。また、前記実施例では、袋体供給手段2において、筒状シートFaを所定の長さの位置でシールし切断して袋体fを形成しているが、予め形成した袋体fを引き出しチャック30に供給するようにしてもよい。
【実施例2】
【0029】
図5は第2の実施例に係る袋体装填装置101の側面図であり、前記実施例1と基本的な構成は共通なので、同一または共通の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、相違する部分についてだけ説明する。
【0030】
この実施例では、挿入体150と折り返しフィンガー148を備える袋体装填手段104が、袋体供給手段2から袋体fを受け取る袋体受け取り姿勢Rは、実施例1と同様に水平な姿勢であるが、袋体装填姿勢100Lが鉛直方向(図2に想像線で示す袋体装填手段4参照)ではなく、斜め下方を向いており、袋体受け取り姿勢Rから下方へ向けて約45度回動させている。従って、袋体装填手段104を進退動させる無端状チェーン156がほぼ45度の傾斜で配置されている。つまり、上方のスプロケット152は機枠36の側壁36bの上部に取り付けられ、下方のスプロケット154は基台6上に立ち上げた支柱180を介して取り付けられており、これら両スプロケット152、154に掛け回された無端状チェーン156は、モータ158の駆動により斜め45度の角度で往復走行する。このチェーン156に取り付けられている固定アーム162は、チェーン156の走行方向と直交する方向を向いているので、ほぼ斜め上方45度を向いている。この固定アーム162に対して、回動アーム164は、水平な位置と固定アーム162に対して直角の位置との間で往復回動する。
【0031】
袋体装填姿勢Lが斜め方向なので、袋体fが装填される箱体Bも袋体装填手段104の向きと対向させて配置する必要がある。そこでこの実施例では、箱体搬送コンベヤ170に揺動式のストッパ182を設けている。箱体Bを搬送する箱体搬送コンベヤ170はローラコンベヤであり、これらローラの隙間から出没可能な揺動式のストッパ182を設け、箱体Bの搬送中は、搬送される箱体Bに干渉しないようにストッパ182の揺動部182aをローラ間に隠れた状態にしておき(図5に想像線で示す位置)、袋体fの装填作業を行う際は、このストッパ182を上方へ向けて揺動させて箱体Bをローラコンベヤ170から持ち上げ、前記袋体装填手段4と対向する位置に停止させる(図5に実線で示す位置)。
【0032】
この実施例に係る装置でも、前記第1実施例とほぼ同様の作動を行うが、袋体供給手段2から袋体fを水平な袋体受け取り姿勢Rで受け取った後、下方に向けて斜め45度の角度まで回動して袋体装填姿勢Lとなり、この姿勢で、挿入体150および折り返しフィンガー148を箱体Bの方向へ前進させて袋体fを箱体B内に装填する。
【0033】
前述のように実施例1では、袋体装填手段4が、水平方向の袋体受け取り姿勢Rで袋体供給手段2から袋体fを受け取り、下方へ向けて90度回動して鉛直方向を向いた袋体装填姿勢Lで袋体fを箱体B内に挿入し装填している。また、実施例2では、実施例1と同様に、袋体装填手段104が、水平方向の袋体受け取り姿勢Rで袋体供給手段2から袋体fを受け取り、その後、袋体装填手段104が下方へ向けて45度回動して、斜め下方を向いた袋体装填姿勢100Lで、袋体fを箱体Bへ装填している。なお、袋体受け取り姿勢Rと袋体装填姿勢Lは、前記各実施例の位置に限定されるものではなく適宜選択することができる。例えば、袋体fを下方から供給し、袋体装填手段を下向きの状態(袋体受け取り姿勢)にして袋体fを被せ、その後、袋体装填手段を斜め下方45度の位置まで上方へ向けて回動させ、この姿勢(袋体装填姿勢)で箱体Bへ装填するようにしても良い。また、袋体装填手段を上向きにして(袋体受け取り姿勢)、上方の袋体供給手段から袋体fを供給し、90度回転して水平方向の袋体装填姿勢になった後、開口部を横向きの状態で停止している箱体Bに袋体fを装填するようにしてもよい。さらに、前記第2実施例では、下方から送られてきた袋体fを水平な姿勢の袋体装填手段104が受け取って斜め下方を向いた袋体装填姿勢100Lで、袋体fを箱体Bへ装填しているが、上方から供給されてきた袋体fを、袋体装填手段を水平な状態にした袋体受け取り姿勢で受け取った後、斜め下方45度に回動させた袋体装填姿勢にして、箱体への袋体の装填を行うようにしてもよい。その他、袋体受け取り姿勢と袋体装填姿勢を、各種の位置となるように選択し組み合わせることができる。
【実施例3】
【0034】
図4(b)は、前記第1および第2実施例で用いた形状のシートFaから形成した袋体f(図4(a)に示す形状をフラット折りと呼ぶ)とは異なるガゼット折りシートに適用した場合を示すもので、この場合でも、本発明の構成を適用することができる。ガゼット折りシートの場合には、引き出しチャック230の一方を袋体200fの内部に挿入することはなく、袋体200fの4箇所の角部を外側から引き出しチャック230によって把持している。このガゼット折りの場合にも適宜の予備開口機構によって予備開口を行う。なお、このガゼット折りシートの場合には、外側から把持しているので、袋体装填手段204の折り返しフィンガー248に引き渡して、折り返しフィンガー248および挿入体250を備えた袋体装填手段204が回動する際に退避動作を行う必要はない。
【符号の説明】
【0035】
B 箱体
f 袋体
L 袋体装填姿勢
R 袋体受け取り姿勢
1 袋体装填装置
2 袋体供給手段
4 袋体装填手段
48 袋体保持部材(折り返しフィンガー)
50 挿入体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体を供給する袋体供給手段と、この袋体供給手段により供給された袋体を受け取って、開口した状態の箱体の内部に装填する袋体装填手段とを備えた袋体装填装置において、
前記袋体装填手段は、袋体の開口部を拡開した状態で保持する袋体保持部材と、袋体保持部材に保持された袋体の底部を前記箱体の底部まで挿入する挿入体とを備え、前記袋体保持部材および挿入体を、前記袋体供給手段から供給される袋体を受け取る袋体受け取り姿勢と、前記袋体供給手段から受け取った袋体を前記箱体の内部に装填する袋体装填姿勢との間で回動自在に設けるとともに、
前記袋体保持部材は、前記挿入体を袋体の内部に位置させた状態で袋体を保持しながら前記袋体受け取り姿勢から袋体装填姿勢へと回動することを特徴とする袋体装填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−183739(P2011−183739A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53307(P2010−53307)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(390008305)エスアイ精工株式会社 (39)
【Fターム(参考)】