説明

被切削性ハニカムシール材及びガスタービン

【課題】良好な被切削性を確保した被切削性ハニカムシール材を提供する。
【解決手段】複数枚の波形薄板21を重ね合わせて空所22及び隔壁23よりなる蜂の巣状の小室区画構造を持った六角形ハニカム構造体24をなし、基材Ba側に対してろう付けにより固定されることで該基材Ba及び回転体間の隙間をシールするとともに、回転体が接触した場合に自ら削られるようにした被切削性ハニカムシール材20において、波形薄板21を重ね合わせる接合面間に、六角形ハニカム構造体24の高さHより低い仕切板25を基材側Baに設けて挟持した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば高温のタービン軸シール材等に適用される被切削性ハニカムシール材及びこの被切削性ハニカムシール材を備えたガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機、燃焼器及びタービンを主な構成要素とするガスタービンが公知である。
圧縮機は、通常タービン軸と直結して設けられ、タービンで取り出された軸出力の一部を利用して駆動される。この圧縮機は、空気を取り込んで圧縮し、高圧の圧縮空気を燃焼器へ吐出する。圧縮機から吐出された圧縮空気は、燃焼用空気として燃焼器に導入され、燃焼器に供給された燃料とともに燃焼して高温の燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスはタービンに導入され、動翼と静翼との間を流れることによりタービンを駆動してタービン軸を回転させる。
【0003】
このようなガスタービンのタービンにおいては、タービン軸とともに回転する動翼と、ケーシング側に固定設置されている静翼との間を高温の燃焼ガスが流れるので、動翼の先端部等から燃焼ガスが漏れないようにするため、たとえば図8に示すように、ハニカムシールと呼ばれる板状の六角形ハニカム構造体12を備えた被切削性ハニカムシール材が低圧段側に用いられている。
【0004】
図9は、被切削性ハニカムシール材(以下では、「ハニカムシール材」と呼ぶ)10を用いたガスタービンのシール構造を示す概略構成図であり、このハニカムシール材10は、静翼1や分割環2等の静止側に貼り付けられている。一方、動翼3やタービン軸4等の回転側にはシールフィン5が突設され、シールフィン5の先端部5aとハニカムシール面との隙間(離間距離)を管理することにより、燃焼ガスが高圧側から低圧側へ漏れないようにシールする。
なお、この場合のハニカムシール面は、板状体のハニカムシール材10が静翼1等にろう付けして貼り付けられている面と反対側の面(裏面)になる。
【0005】
このようなシール構造においては、図9(b)に示すように、シールフィン5の先端部5aがハニカムシール面に接触すると、相対的に柔らかい材料を用いた静止側のハニカムシール材10が削れて凹部10aを形成する。すなわち、被切削性のハニカムシール材10は、シールフィン5が接触すると容易に削られるシール材であり、ハニカムシール材10側を削ることで動翼3等の回転側部材が損傷することを防止したものである。
【0006】
上述したハニカムシール材10は、たとえば図10及び図11に示すように、台形状の凹凸が交互に連続する薄板成形材11を複数組み合わせて接合することにより、略六角形の空所及び隔壁よりなる蜂の巣状が連続して配置されるようにした六角形ハニカム構造体12を形成し、この六角形ハニカム構造体12を基材Baにろう付けしたものである。
六角形ハニカム構造体12は、基材Baに対してシート状ろう材6を用いたろう付けにより貼り付けられている。
【0007】
ハニカムシール材10の製造時には、薄板材料をプレス成形した薄板成形材11をスポット溶接により仮付けして六角形ハニカム構造体12を形成する。この状態では、隣接する薄板成形材11の接合面間に微小な隙間が形成されている。この後、基材Baの貼付面と六角形ハニカム構造体12との間にシート状ろう材6を挟み込み、この状態のまま炉内で加熱処理してシート状ろう材6を溶融させる。
この熱処理により、隣接する薄板成形材11の接合面間には、毛細管現象により微小隙間を通って溶融したシート状ろう材6が侵入するので、薄板成形材11間に形成された多数のろう付け部13により、シールフィン5と接触するハニカムシール面を形成する六角形ハニカム構造体12の剛性が確保されている。このろう付け部13は、薄板成形材11の先端部(上端部)までろう材が侵入(ろう上がり)している。なお、この場合のろう付け部13は、六角形ハニカム構造体12の隔壁となる。
【0008】
上述したように、六角形ハニカム構造体12をスポット溶接で製作し、基材Baに対して六角形ハニカム構造体12をろう付けすることにより、接合部の先端までろう上がりする金属セル状構造物は下記の特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4083009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述したハニカムシール材10のろう付け部13では、薄板成形材11より硬いろう材がハニカムシール面まで到達している。このため、シールフィン5によるハニカムシール材10の被切削性は、回転するシールフィン5がろう付け部13を通過して接触する状況になると、薄板成形材11のみと接触する場合よりも低下することになる。
また、ろう付け部13は、接合により薄板成形材11の板厚も2倍になるため、これによっても被切削性が低下することとなる。
【0011】
一方、ろう付け部13は直線状になるが、図12に示すように、ろう付け部13の直線と動翼3の回転に伴うシールフィン5の移動方向とは略一致して平行になる。このような方向の一致は、シールフィン5が被切削性の低いろう付け部13と接触して移動する距離を増大させるため、好ましいものではない。しかも、ろう付け部13においては、2枚の薄板成形材11及びろう材の厚み(幅)を有しているので、シールフィン5の接触面積が大きくなって減耗しやすい状況にある。
【0012】
しかし、ろう付け部13の直線方向とシールフィン5の移動方向とが一致することの回避は、細長い薄板をプレス成形するという六角形ハニカム構造体12の製造上極めて困難なことである。
上述したように、ハニカムシール材10側における被切削性の低下は、接触したシールフィン5側が削られる原因になることも考えられるため、ガスタービンの性能を維持する上で好ましくない。
【0013】
さらに、ろう付け部13のように2枚の薄板成形材11が接合された2枚板部(隔壁)と、接合のない1枚板部とでは、六角形ハニカム構造体12を形成する板厚に差があるため、板厚の薄い1枚板部において酸化減肉が先行して不均一になるという問題もある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、良好な被切削性を確保した被切削性ハニカムシール材、及びこの被切削性ハニカム材を備えたガスタービンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の請求項1に係る被切削性ハニカムシール材は、複数枚の波形薄板を重ね合わせて空所及び隔壁よりなる蜂の巣状の小室区画構造を持った板状体をなし、基材側に対してろう付けにより固定されることで該基材及び回転体間の隙間をシールするとともに、前記回転体が接触した場合に自ら削られるようにした被切削性ハニカムシール材において、前記波形薄板を重ね合わせる接合面間に、前記板状体の高さより低い仕切板を前記基材側に設けて挟持したことを特徴とするものである。
【0015】
このような本発明の被切削性ハニカムシール材によれば、波形薄板を重ね合わせる接合面間に、前記板状体の高さより低い仕切板を基材側に設けて挟持したので、仕切板の存在により接合部で対向する波形薄板の面間距離は、ハニカムシール面となる上端部側で広くなっている。このため、ろう付け時に毛細管現象によって発生するろう上がりは、基材側に設けた仕切板と波形薄板との間においてのみ発生するので、ろう上がりの上限は仕切板の上端位置となる。
すなわち、仕切板の板厚を毛細管現象が生じないように設定すれば、波形薄板より硬いろう材のろう上がりは、ハニカムシール面を形成する波形薄板の上端部まで到達することを防止でき、従って、被切削性ハニカムシール材の波形薄板として用いる素材によって規定される良好な被切削性を確保することができる。
【0016】
上記の発明において、前記仕切板は、前記接合面間で部分的に高くなる凸部を備えていることが好ましく、これにより、波形薄板より硬いろう付けの領域を減らして被切削性を確保できる。すなわち、回転方向に延在する仕切板に対し、接合面の回転方向において部分的となる範囲に波形薄板の上端部またはその近傍まで高くなる凸部を設けるので、回転側と接触するろう付け部の回転方向長さを短縮することができる。
【0017】
上記の発明において、前記仕切板は、前記回転体の軸方向において前記回転体と接触する可能性のある範囲にのみ設けられていることが好ましく、これにより、万が一波形薄板等にリーク等の不具合が生じてもシール機能の低下を最小限に抑えることができる。
【0018】
本発明の請求項4に係る被切削性ハニカムシール材は、複数枚の波形薄板を重ね合わせて空所及び隔壁よりなる蜂の巣状の小室区画構造を持った板状体をなし、基材側に対してろう付けにより固定されることで該基材及び回転体間の隙間をシールするとともに、前記回転体が接触した場合に自ら削られるようにした被切削性ハニカムシール材において、前記波形薄板は、波形の凹凸先端部となる一部を互いに嵌合させて重ね合わせた接合面を備えていることを特徴とするものである。
【0019】
このような本発明の被切削性ハニカムシール材によれば、波形薄板は、波形の凹凸先端部となる一部を互いに嵌合させて重ね合わせた接合面を備えているので、回転方向と交差する方向のろう付け領域を低減して被切削性を確保することができる。
【0020】
本発明の請求項5に係る被切削性ハニカムシール材は、複数枚の波形薄板を重ね合わせて空所及び隔壁よりなる蜂の巣状の小室区画構造を持った板状体をなし、基材側に対してろう付けにより固定されることで該基材及び回転体間の隙間をシールするとともに、前記回転体が接触した場合に自ら削られるようにした被切削性ハニカムシール材において、前記回転体の軸方向へ前記ろう付けを行う領域は、前記回転体の回転方向において前記波形薄板を重ね合わせる接合面の2つおきに設けられていることを特徴とするものである。
【0021】
このような本発明の被切削性ハニカムシール材によれば、前記回転体の軸方向へ前記ろう付けを行う領域は、前記回転体の回転方向において前記波形薄板を重ね合わせる接合面の2つおきに設けられているので、ろう付け領域を低減して被切削性を確保することができる。この場合、ろう付けを行う領域を2つおきにするのは、互いに隣接する波形薄板どうしが必ずろう付けされるようにしたためである。
【0022】
本発明の請求項6に係る被切削性ハニカムシール材は、波形薄板と薄板とを交互に重ね合わせて空所及び隔壁よりなる蜂の巣状の小室区画構造を持った板状体をなし、基材側に対してろう付けにより固定されることで該基材及び回転体間の隙間をシールするとともに、前記回転体が接触した場合に自ら削られるようにした被切削性ハニカムシール材とし、前記回転体の軸方向へ前記ろう付けを行う領域には、前記回転体の回転方向において前記波形薄板が形成する一組の凹凸分だけ間隔を設けたことを特徴とするものである。
【0023】
このような本発明の被切削性ハニカムシール材によれば、波形薄板と薄板とを交互に重ね合わせて板状対を形成し、回転体の軸方向へろう付けを行う領域には、回転体の回転方向において波形薄板が形成する一組の凹凸分だけ間隔を設けたので、ろう付け領域を低減して被切削性を確保することができる。この場合、ろう付けを行う領域に波形薄板が形成する一組の凹凸分だけ間隔を設けたのは、隣接する波形薄板及び薄板が必ずろう付けされるようにしたためである。
【0024】
本発明の請求項7に係る被切削性ハニカムシール材は、曲率の異なる波形薄板を交互に重ね合わせて空所及び隔壁よりなる蜂の巣状の小室区画構造を持った板状体をなし、基材側に対してろう付けにより固定されることで該基材及び回転体間の隙間をシールするとともに、前記回転体が接触した場合に自ら削られるようにした被切削性ハニカムシール材とし、前記回転体の軸方向へ前記ろう付けを行う領域には、前記回転体の回転方向において前記波形薄板の大曲率側が形成する一組の凹凸分だけ間隔を設けたことを特徴とするものである。
【0025】
このような本発明の被切削性ハニカムシール材によれば、曲率の異なる波形薄板を交互に重ね合わせて板状体を形成し、回転体の軸方向へろう付けを行う領域には、回転体の回転方向において波形薄板の大曲率側が形成する一組の凹凸分だけ間隔を設けたので、ろう付け領域を低減して被切削性を確保することができる。この場合、ろう付けを行う領域に波形薄板の大曲率側が形成する一組の凹凸分だけ間隔を設けたのは、隣接する波形薄板及び薄板が必ずろう付けされるようにしたためである。
【0026】
本発明の請求項8に係るガスタービンは、空気を導入して圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される空気で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼器から燃焼ガスの供給を受けるタービンとを具備し、前記タービンの内部に前記燃焼ガスの漏れをシールする請求項1から7のいずれかに記載の被切削性ハニカムシール材が設けられていることを特徴とするものである。
【0027】
本発明のガスタービンによれば、タービンの内部に燃焼ガスの漏れをシールする請求項1から7のいずれかに記載の被切削性ハニカムシール材が設けられているので、タービン内を流れる燃焼ガスをシールする被切削性ハニカムシール材の良好な切削性を確保し、良好なシール性を維持することができる。
【発明の効果】
【0028】
上述した本発明によれば、回転体と接触するろう付け部を低減して被切削性ハニカムシール材の良好な被切削性を確保し、この被切削性ハニカム材を備えたガスタービンにおいては、良好なシール性を維持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る被切削性ハニカムシール材の第1の実施形態を示す図であり、(a)は回転体側から見た平面図、(b)は要部の分解斜視図、(c)は(a)のA−A断面図である。
【図2】本発明に係る被切削性ハニカムシール材の第2の実施形態を示す図であり、(a)は回転体側から見た平面図、(b)は要部の分解斜視図、(c)は(a)のB−B断面図である。
【図3】本発明に係る被切削性ハニカムシール材の第3の実施形態を示す図であり、(a)は回転体側から見た平面図、(b)は(a)の正面図である。
【図4】本発明に係る被切削性ハニカムシール材の第4の実施形態を示す図で、回転体側から見た平面図である。
【図5】本発明に係る被切削性ハニカムシール材の第5の実施形態を示す図で、回転体側から見た平面図である。
【図6】本発明に係る被切削性ハニカムシール材の第6の実施形態を示す図で、回転体側から見た平面図である。
【図7】本発明に係る被切削性ハニカムシール材の第7の実施形態を示す図で、回転体側から見た平面図である。
【図8】ハニカム構造体の概要を示す斜視図である。
【図9】ハニカム構造体を用いたガスタービンのシール構造を示す要部の概略構成図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)のC部拡大図である。
【図10】ハニカムシール材のろう付け概要を示す説明図である。
【図11】従来のハニカムシール構造を説明するための図で、(a)は回転体側から見た平面図、(b)は(a)のD−D断面図である。
【図12】従来のハニカムシール構造に係る課題を説明するための図で、回転体側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る被切削性ハニカムシール材及びガスタービンの一実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
ガスタービンコンバインドサイクル発電等に使用されるガスタービンは、空気を導入して圧縮する圧縮機と、圧縮機から供給される空気(圧縮空気)で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、燃焼器から燃焼ガスの供給を受けるタービンとを具備して構成される。
【0031】
このようなガスタービンのタービンにおいては、たとえば図9に示すように、タービン軸4とともに回転する動翼3と、ケーシング側に固定設置されている静翼1との間を高温の燃焼ガスが流れるので、動翼3の先端部等から燃焼ガスが漏れないようにするため、図1に基づいて以下に説明する被切削性ハニカムシール材(以下、「ハニカムシール材」と呼ぶ)20が用いられている。
すなわち、ガスタービンのタービン内部には、固定側となる静翼1の先端部及び分割環2の内周面等にハニカムシール材20が貼り付けられており、回転側の動翼3及びタービン軸4に設けたシールフィン5の先端部5aとハニカムシール材20との間からタービン内を流れる燃焼ガスが漏れないようにシールしている。
【0032】
ハニカムシール材20は、たとえば図1に示すように、波形薄板である複数枚の薄板成形材21を重ね合わせることにより、空所22及び隔壁23よりなる蜂の巣状(ハニカム状)の小室区画(セル)構造を有する板状体である。すなわち、ハニカムシール材20となる板状体は、台形状の凹凸が交互に繰り返すように成形した幅(高さ)Hの薄板成形材21を重ね合わせることにより、略六角形の空所22及び隔壁23よりなる蜂の巣状のハニカム構造を形成した高さ(厚さ)Hの六角形ハニカム構造体(板状体)24となる。
ここで使用する好適な薄板成形材21には、たとえばニッケル基合金等のように、比較的柔らかく優れた被切削性を有している素材を用いており、細長い板材からプレス成形した波形薄板となる。
【0033】
ハニカムシール材20は、基材Ba及び回転体(動翼3やタービン軸4等)間の隙間をシールするとともに、回転体が接触した場合に自ら削られるようにした被切削性を有している。換言すれば、上述したハニカムシール材20は、基材Baの貼付面に垂直な高さH方向(薄板成形材21の幅方向)の被切削性と、基材Baの貼付面と平行なシールフィン5の移動方向(回転方向)におけるシール性とを兼備させるため、空所22及び隔壁23よりなるハニカム状の小室区画構造を持った板状体の六角形ハニカム構造体24となる。
【0034】
このハニカムシール材20は、たとえば静翼1や分割環2のように、静止側となる基材Baに対してろう付けにより貼り付けして使用される。すなわち、本実施形態のハニカムシール材20は、回転体である動翼3に対向するケーシング側の基材(分割環2等)Baに対して、ろう付けにより貼付面(内周面)に固定されている。
なお、ハニカムシール材20は、図10に基づいて上述したように、ソート状ろう材6を用いて基材Baにろう付けされる。
【0035】
さらに、本実施形態のハニカムシール材20は、薄板成形材21の波形薄板を重ね合わせる接合面間に、すなわち隔壁23を形成する部分に、板状体である六角形ハニカム構造体24の高さHより低い仕切板25を基材Ba側に設けて挟持している。
この仕切板25には、薄板成形材21と同じ素材が用いられ、隣接する薄板成形材21の隔壁23に挟み込んで配置した後、適所をスポット溶接して薄板成形材21と一体化されている。なお、仕切板25は、六角形ハニカム構造体23が基材Baと接するろう付け面側に寄せた位置に挟持されている。
【0036】
仕切板25の板厚Wについては、薄すぎるとろう付け時に溶融したろう材が毛細管現象によりろう上がりするので、ろう上がりを生じないような値に設定する。
この場合、板厚Wの下限値については、使用するろう材の種類、供給量、加熱時間及び温度の他、薄板成形材21の素材(濡れ性)、六角形ハニカム構造体24の大きさ(辺の長さ、薄板成形材21の板厚及び高さH)等のように、毛細管現象に影響を及ぼす多数のパラメータが存在するため、実際の製品が有する諸条件に合わせた試験を行い、最適値を確認することが望ましい。
【0037】
一方、仕切板25の板厚Wは、厚すぎるとハニカムシール材20としての機能が損なわれる。すなわち、板厚Wが厚すぎると、単に波形薄板が並列するだけとなり、上述した六角形ハニカム構造体24としてのシール機能が損なわれる。そこで、板厚Wの上限値については、たとえば下記のような幾何学的定義により規定する。
図1(c)において、ハニカムシール材20を構成する薄板成形材21は、ハニカム構造を形成する高さ(厚さ)をHとし、仕切板25の高さをh1とすれば、仕切板25の高さh1がろう上がりによりろう付けされる領域となり、仕切板25のない自由端高さh2(h2=H−h1)がろう付けされない領域となる。
【0038】
そして、薄板成形材21が両面に作用する圧力差を受けて倒れ込んだ場合、隣接する薄板成形材21に必ず接触することを必要条件にすれば、仕切板25の板厚Wは、自由端高さh2より十分に小さい(W≪h2)値が上限となる。すなわち、ろう材が侵入して被切削性を低下させるというろう付け部13の問題がなければ、薄板成形材21どうしを接触させて剛性を得ることが望ましいため、薄板成形材21が両面に作用する圧力差を受けて倒れ込んだ場合には、隣接する薄板成形材21に必ず接触ことを必要条件にしている。
【0039】
このように、上述した本実施形態のハニカムシール材20によれば、薄板成形材21を重ね合わせる接合面間において、六角形ハニカム構造体23の高さより低い仕切板25を基材Ba側に配設して挟持したので、仕切板25の存在により接合部で対向する薄板成形材21の面間距離は、ハニカムシール面となる上端部側(自由端高さh2)の領域で広くなっている。このため、ろう付け時に毛細管現象によって発生するろう上がりは、基材Ba側に設けた仕切板25と薄板成形材21との間に限定される。
この結果、ろう上がりによるろう付け部26は、図1(c)に示すように、仕切板25の両面に形成される。すなわち、ろう上がりの上限は仕切板25の上端位置となり、従って、ハニカムシール面となる上端部側(自由端高さh2)の領域では、シールフィン5の先端部5aと接触するのは薄板成形材21のみとなる。
【0040】
すなわち、ハニカムシール材20の被切削性は、ろう材の影響を受けることなく、シールフィン5の先端部5aと接触する薄板成形材21の素材によってのみ規定されるため、素材の選択に応じて良好な被切削性を確保することができる。換言すれば、仕切板25の板厚Wを毛細管現象が生じないように設定しておけば、薄板成形材21より硬いろう材のろう上がりは、ハニカムシール面を形成する薄板成形材21の上端部まで到達することができず、従って、ハニカムシール材20の被切削性は、薄板成形材21の被切削性によって規定される。
【0041】
また、本実施形態のハニカムシール材20は、ハニカムシール面となる部分におけるろう材の影響がなくなって被切削性を向上させので、この被切削性の向上分だけ薄板成形材21の板厚を増すことも可能になる。このような板厚の増加は、酸化減肉の影響を低減し、ハニカムシール材20の耐久性を向上させることができる。
【0042】
<第2の実施形態>
本発明に係るハニカムシール材について、第2の実施形態を図2に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図示のハニカムシール材20Aでは、上述した実施形態の仕切板25に代えて、接合面間で部分的に高くなる凸部を備えた仕切板30を採用している。この仕切板30は、基板Ba側となる下端部にシールフィン5の移動方向へ延在して設けられ、平板部31及び凸成形部32が交互に設けられている。なお、この仕切板30は、毛細管現象によるろう上がりが生じない程度の板厚Wを有していればよい。
【0043】
凸成形部32は、平板部31から略鉛直に上昇して略U字状に折り返した部分であり、接合面間で部分的に高い凸部となる。この凸成形部32は、接合部となる隔壁23の範囲内において、薄板成形材21の高さと略一致する高さとなるように設けられている。この場合、凸成形部32の幅は、すなわち、シールフィン5の回転方向長さLは、隔壁23より十分に小さい値(たとえば1/3程度)となっている。なお、凸成形部32の頂点は、シールフィン5の回転方向において、隔壁32の略中間位置にある。
【0044】
このような仕切板30を採用したことにより、図2(c)に示すように、ろう上がりによるろう付け部33は、仕切板30と薄板成形材21との接合部に形成される。
このため、シールフィン5の回転方向において、ろう付け部33の長さは、最大で凸成形部32の回転方向長さLとなり、図11に示した従来のろう付け部13と比較すれば、大幅に短縮されている。すなわち、上述した仕切板30の採用により、六角形ハニカム構造体24Aでは、薄板成形材21より硬いろう付け部33の領域を減らして被切削性を確保することができる。換言すれば、シールフィン5の回転方向に延在する仕切板30に対して、接合面の回転方向において部分的となる範囲にのみ薄板成形材21の上端部またはその近傍まで高くなる凸成形部32を設けたので、回転側のシールフィン5と接触するろう付け部33の回転方向長さLを短縮することができる。
【0045】
従って、ハニカムシール材20Aの被切削性は、ろう材の影響が最小限に抑えられているので、良好な被切削性を確保することができる。換言すれば、被切削性に悪影響を及ぼすろう付け部33の回転方向長さLを短縮したので、ハニカムシール材20Aの被切削性は良好となる。なお、この場合においても、被切削性の向上分だけ薄板成形材21の板厚を増すことが可能になり、このような板厚の増加は、酸化減肉の影響を低減し、ハニカムシール材20Aの耐久性を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、隔壁23の上端部付近まで仕切板30の凸成形部32が存在しているので、特にハニカムシール材20Aのハニカムシール面(上端部)側において、剛性確保が容易になる。なお、ハニカムシール材20Aの剛性確保に余裕があれば、凸成形部32の高さを上端部より低く設定することも可能である。
【0047】
<第3の実施形態>
本発明に係るハニカムシール材について、第3の実施形態を図3に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図示のハニカムシール材20Bでは、上述した仕切板25が、回転体の軸方向において回転体と接触する可能性のある範囲にのみ設けられている。すなわち、ハニカムシール材20Bは、ハニカムシール材動翼3を備えたタービン軸4の軸方向において、動翼3やタービン軸4に突設されて一体に回転するシールフィン5の先端部5aと接触する可能性がある範囲に限定して仕切板25を設け、接触する可能性のない範囲については、図11に示した従来構造を採用している。
【0048】
図1に示す実施形態の場合、隣接する空所22は、仕切板25の存在によりシールフィン5の移動方向(回転方向)である周方向に連通している。このため、全周方向に配列されている空所22の一部において、万が一施工不良等によるリークが発生すると、ハニカムシール材20のシール機能が一挙に損なわれることも考えられる。
そこで、上述したハニカムシール材20Bは、図3に示すように、タービン軸4の軸方向において、回転体と接触する可能性のある仕切板設置範囲Saと、回転体と接触する可能性のない成形材接合範囲Sbとに区分し、接触する可能性のある仕切板設置範囲Saにのみ仕切板25を設けた六角形ハニカム構造体24Bを採用している。
【0049】
この場合、回転体と接触する可能性のある仕切板設置範囲Saは、シールフィン5の先端部5aと接触する可能性がある軸方向範囲と、その両端側となる高圧側及び低圧側に設定した適度な軸方向の余裕範囲とを加えたものとする。従って、回転体と接触する可能性がない成形材接合範囲Sbは、ハニカムシール20Bを貼り付ける軸方向範囲において、回転体と接触する可能性のある仕切板設置範囲Saを除いたものとなる。この成形材接合範囲Sbには、従来の六角形ハニカム構造体12が採用されている。
【0050】
このようにすれば、薄板成形材21等に万が一リーク等の不具合が生じても、ハニカムシール材20Bにおける軸方向のシール機能低下を最小限に抑えることができる。
すなわち、本実施形態のハニカムシール材20Bにおいて、空所22が周方向に連通しているのは軸方向の一部である仕切板設置範囲Saに限定されるため、仕切板設置範囲Saの高圧側及び低圧側にある成形材接合範囲Sbによってシール機能を維持することができる。
なお、図示の構成例及びその説明では仕切板25を採用しているが、薄板成形材21の上端部より低い仕切板30を採用した場合においても、同様の適用が可能である。
【0051】
<第4の実施形態>
本発明に係るハニカムシール材について、第4の実施形態を図4に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図示のハニカムシール材20Cにおいて、薄板成形材40は、波形の凹凸先端部41となる一部を互いに嵌合させて重ね合わせた接合面42を備えている。この場合の薄板成形材40は、略六角形の空所22を形成する薄板成形材21と比較して、凹凸を形成する傾斜面の傾斜角度が異なっている。すなわち、凹凸先端部41の傾斜面は、シールフィン5の移動方向に対して直交に近い大きな傾斜角度θを有している。
【0052】
このため、隣接する凹凸先端部41を互いに重ね合わせて勘合させると、凹凸先端部41の先端部が早い段階で干渉するので、比較的短い接合面42とともに、比較的大きな空所43が形成される。図示の構成例では、凹凸先端部41の凹部深さにおいて、1/3程度が勘合されて接合面42を形成し、残る2/3程度領域に空所43が形成されている。このハニカムシール材20Cをろう付けすると、接合面42の範囲にろう上がりが生じてろう付け部となる。
このような本実施形態のハニカムシール材20Cによれば、傾斜角度θを大きく設定した波形の凹凸先端部41とし、この凹凸先端部41の一部を互いに嵌合させて重ね合わせた接合面42を備えているので、シールフィン5の移動(回転)方向と交差する方向のろう付け領域を低減して被切削性を確保することができる。
【0053】
<第5の実施形態>
本発明に係るハニカムシール材について、第5の実施形態を図5に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図示のハニカムシール材20Dにおいては、回転体の軸方向へろう付けを行う領域Rが異なっている。すなわち、回転体となるシールフィン5の移動方向において、全領域をろう付けするのではなく、薄板成形材21を重ね合わせる接合面の2つおきにろう付け部27が形成されるようにして、ろう付けの領域Rが設けられている。
【0054】
換言すれば、隣接する薄板成形材21が接合される隔壁23には、シールフィン5の移動方向において、ろう付け部27となる隔壁23の間に、ろう付けされない隔壁23が2箇所存在している。
このような本実施形態のハニカムシール材20Dによれば、回転体の軸方向へ部分的にろう付けを行う領域Rを設定したので、ろう付け部27となる隔壁23の間に、ろう付けされない隔壁23が2箇所存在している。このため、被切削性を低下させるろう付け部27の領域を低減し、ハニカムシール材20Dの被切削性を確保することができる。
【0055】
この場合、ろう付けを行う領域Rが接合部23の2つおきになっているのは、互いに隣接する薄板成形材21どうしが必ずろう付けされるようにするためである。すなわち、接合部23の1つおきにろう付けすると、シールフィン21の移動方向と直交する方向において、隣接する空所22が1つおきにしかろう付けされず、従って、スポット溶接による仮付けのみの接合状態となるためである。
【0056】
ところで、上述したろう付け領域(図中のハッチング部分)Rの限定には、たとえば本出願人の先の出願である特開2004−174580号公報に開示されているように、マスキングシート及びストップオフ剤を使用する方法を用いればよい。
この場合のマスキングシートは、ミクロン単位の隙間に侵入し、しかも離型性に優れていることが必要であり、たとえば、丸本ストルアル株式会社の「レプリセット」等が好適である。また、ストップオフ剤は、ろう材に対する濡れ性を低減して、ろう材の浸透を防止する役目を果たすものであり、作業後の除去性を考慮して、たとえばニクロブレース社製の「ホワイトストップオフ2」等が好適である。
【0057】
<第6の実施形態>
本発明に係るハニカムシール材について、第6の実施形態を図6に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図示のハニカムシール材20Eにおいては、波形薄板51と薄板52とを交互に重ね合わせて空所53及び隔壁54よりなる蜂の巣状の小室区画構造を形成する。このような小区画構造を持った板状体は、ハニカム構造体のハニカムシール材20Eとなる。このハニカムシール材20Eは、基材Ba側に対してろう付けにより固定されることにより、基材Ba及び回転体との間に形成される隙間をシールするとともに、回転体が接触した場合に自ら削られるようになっている。
【0058】
このような被切削性のハニカムシール材20Eにおいて、回転体であるタービン軸4等の回転軸方向へろう付けを行う領域Rには、回転体の回転方向において波形薄板51が形成する一組の凹凸分だけ間隔を設けてある。
すなわち、波形薄板51及び薄板52は、波形薄板51の頂点で接しており、この接触部分が隔壁54となる。図示の構成例では、波形薄板51の位相が一致しているので、回転体の軸方向において隔壁54は同一直線状にある。このため、全領域でろう付けしない場合、波形薄板51を両側の薄板52とろう付けするためには、波形薄板51の凹凸一組分だけ間隔を設けて、換言すれば、2箇所の隔壁54を挟んでろう付け部55を設けることが必要となる。
【0059】
この結果、被切削性の妨げとなるろう付け部55の領域が低減し、良好な被切削性を確保することができる。
なお、この実施形態においても、ろう付け領域(図中のハッチング部分)Rの限定は、上述した第6の実施形態と同様に行えばよい。
【0060】
<第7の実施形態>
本発明に係るハニカムシール材について、第7の実施形態を図7に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図示のハニカムシール材20Fにおいては、曲率の異なる波形薄板61,62を交互に重ね合わせて空所63及び隔壁64よりなる蜂の巣状の小室区画構造を形成している点が異なっている。
【0061】
このようなハニカムシール材20Fにおいても、回転体であるタービン軸4等の回転軸方向へろう付けを行う領域Rには、回転体の回転方向において大曲率を有している波形薄板62が形成する、すなわち、曲がり具合のきつい曲面を有している波形薄板62が形成する一組の凹凸分だけ間隔を設けてある。
すなわち、波形薄板61,62は、曲率の大きい波形薄板62の頂点で接しており、この接触部分が隔壁64となる。図示の構成例では、波形薄板61,62の位相が一致しているので、回転体の軸方向において隔壁64は同一直線状にある。このため、全領域でろう付けしない場合、波形薄板61,62をろう付けするためには、曲率が大となる波形薄板62の凹凸一組分だけ間隔を設けて、換言すれば、2箇所の隔壁64を挟んでろう付け部65を設けることが必要となる。
【0062】
この結果、被切削性の妨げとなるろう付け部65の領域が低減し、良好な被切削性を確保することができる。
なお、この実施形態においても、ろう付け領域(図中のハッチング部分)Rの限定は、上述した第6の実施形態と同様に行えばよい。
【0063】
このように、上述した各実施形態によれば、回転体側となるシールフィン5の先端部5aと接触するろう付け部の領域(長さや面積)を低減し、被切削性ハニカムシール材の良好な被切削性を確保することができる。
従って、この被切削性ハニカム材を備えたガスタービンは、タービンを流れる燃焼ガスの良好なシール性を維持し、効率や信頼性の高い運転が可能になる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 静翼
2 分割環
3 動翼
4 タービン軸
5 シールフィン
5a 先端部
6 シート状ろう材
20,20A〜F 被切削性ハニカムシール材(ハニカムシール材)
21,40 薄板成形材(波形薄板)
22,53,63 空所
23,54,64 隔壁
24,24A〜B 六角形ハニカム構造体(板状体)
25,30 仕切板
26,27,33 ろう付け部
32 凸成形部(凸部)
51,61,62 波形薄板
52 薄板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の波形薄板を重ね合わせて空所及び隔壁よりなる蜂の巣状の小室区画構造を持った板状体をなし、基材側に対してろう付けにより固定されることで該基材及び回転体間の隙間をシールするとともに、前記回転体が接触した場合に自ら削られるようにした被切削性ハニカムシール材において、
前記波形薄板を重ね合わせる接合面間に、前記板状体の高さより低い仕切板を前記基材側に設けて挟持したことを特徴とする被切削性ハニカムシール材。
【請求項2】
前記仕切板は、前記接合面間で部分的に高くなる凸部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の被切削性ハニカムシール材。
【請求項3】
前記仕切板は、前記回転体の軸方向において前記回転体と接触する可能性のある範囲にのみ設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の被切削性ハニカムシール材。
【請求項4】
複数枚の波形薄板を重ね合わせて空所及び隔壁よりなる蜂の巣状の小室区画構造を持った板状体をなし、基材側に対してろう付けにより固定されることで該基材及び回転体間の隙間をシールするとともに、前記回転体が接触した場合に自ら削られるようにした被切削性ハニカムシール材において、
前記波形薄板は、波形の凹凸先端部となる一部を互いに嵌合させて重ね合わせた接合面を備えていることを特徴とする被切削性ハニカムシール材。
【請求項5】
複数枚の波形薄板を重ね合わせて空所及び隔壁よりなる蜂の巣状の小室区画構造を持った板状体をなし、基材側に対してろう付けにより固定されることで該基材及び回転体間の隙間をシールするとともに、前記回転体が接触した場合に自ら削られるようにした被切削性ハニカムシール材において、
前記回転体の軸方向へ前記ろう付けを行う領域は、前記回転体の回転方向において前記波形薄板を重ね合わせる接合面の2つおきに設けられていることを特徴とする被切削性ハニカムシール材。
【請求項6】
波形薄板と薄板とを交互に重ね合わせて空所及び隔壁よりなる蜂の巣状の小室区画構造を持った板状体をなし、基材側に対してろう付けにより固定されることで該基材及び回転体間の隙間をシールするとともに、前記回転体が接触した場合に自ら削られるようにした被切削性ハニカムシール材とし、
前記回転体の軸方向へ前記ろう付けを行う領域には、前記回転体の回転方向において前記波形薄板が形成する一組の凹凸分だけ間隔を設けたことを特徴とする被切削性ハニカムシール材。
【請求項7】
曲率の異なる波形薄板を交互に重ね合わせて空所及び隔壁よりなる蜂の巣状の小室区画構造を持った板状体をなし、基材側に対してろう付けにより固定されることで該基材及び回転体間の隙間をシールするとともに、前記回転体が接触した場合に自ら削られるようにした被切削性ハニカムシール材とし、
前記回転体の軸方向へ前記ろう付けを行う領域には、前記回転体の回転方向において前記波形薄板の大曲率側が形成する一組の凹凸分だけ間隔を設けたことを特徴とする被切削性ハニカムシール材。
【請求項8】
空気を導入して圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される空気で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼器から燃焼ガスの供給を受けるタービンとを具備し、前記タービンの内部に前記燃焼ガスの漏れをシールする請求項1から7のいずれかに記載の被切削性ハニカムシール材が設けられていることを特徴とするガスタービン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−226559(P2011−226559A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97005(P2010−97005)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】