説明

被検査体の検査方法及びその装置

【課題】 液晶パネルや液晶セルの欠陥、特に真上からでは見えにくい欠陥や小さく見える欠陥等を確実に検出することができるとともに、安価な装置構成とすることができる被検査体の検査方法及びその装置を提供する。
【解決手段】 被検査体の液晶パネル1を構成する一方の基板側から照明装置2により照明し、被検査体の画面を被検査体を構成する他方の基板側より撮像手段3により撮像することにより取り込まれる検査画像に基づいて被検査体の欠陥を検出する被検査体の検査方法において、照明装置2の照明方向を被検査体に対し垂直方向にして被検査体を検査する第1の検査工程と、照明装置2の照明方向を被検査体に対し斜め方向に変更して被検査体を検査する第2の検査工程とを含むものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の検査方法及びその装置に係り、特に液晶表示体の点灯検査及び非点灯検査における照明方法と、その照明方法を用いた検査方法及び検査装置に関する。ここで、被検査体の液晶表示体は、2枚のパネル基板(例えば、ガラス基板)の間に液晶を封入して構成された状態における液晶セルおよび液晶セルの表裏両面にそれぞれ偏光板を貼着した状態の液晶パネルを含むものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶パネルの欠陥(表示欠陥)を検査する検査装置は、被検査体の液晶パネルの下方にフラット照明装置を置き、その液晶パネルの真上にCCDカメラを設置し、液晶パネルの点灯検査及び非点灯検査においてCCDカメラにより撮像された画像を画像処理することにより欠陥を検出するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このとき、液晶パネルの点灯検査及び非点灯検査において使用する照明は、LED、ハロゲンランプ等による平面照明に集光板を使用し、上方向に照明光を集光し、あるいは散乱光として液晶パネルに照射して真上方向から検査することにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−62302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液晶パネルや液晶セルの欠陥のなかには、異物や気泡の混入によるもの、電極のピンホールによるもの、配向膜のラビング時のゴミの付着等による傷などがある。そして、これらの欠陥によっては見えやすい方向があり、真上方向からでは見えにくいこともある。また、真上からでは欠陥が小さく見える場合がある。したがって、上記のようなCCDカメラを使用した検査では、複数台のCCDカメラを用いて数方向から撮像しなければ欠陥を見逃すおそれがあり、1台のCCDカメラでは検出精度が落ちるという問題がある。
【0006】
一方、複数台のCCDカメラを用いる方法では、検査装置自体が高価になるとともに、検査画像の逐次処理、並行処理のいずれの方式をとるにしても処理にかかる時間がかかり、また装置構成が複雑になるため、コスト上の不利が大きく、液晶パネルの検査工程では採用し難いものである。
【0007】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、液晶パネルや液晶セルの欠陥、特に真上からでは見えにくい欠陥や小さく見える欠陥等を確実に検出することができる被検査体の検査方法及びその装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、コスト的に安価な被検査体の検査方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る被検査体の検査方法は、被検査体を構成する一方の基板側から照明装置により照明し、前記被検査体の画面を前記被検査体を構成する他方の基板側より撮像手段により撮像することにより取り込まれる検査画像に基づいて前記被検査体の欠陥を検出する被検査体の検査方法において、
前記照明装置の照明方向を被検査体に対し垂直方向にして前記被検査体を検査する第1の検査工程と、
前記照明装置の照明方向を被検査体に対し斜め方向に変更して前記被検査体を検査する第2の検査工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
被検査体に対し斜め方向から照明装置の照明光を照射することにより、真上からでは見えにくい欠陥や小さく見える欠陥等が、真上からでも見えやすくなり、また実際の大きさに見えることになるため、欠陥を検出しやすくなり確実に検出することが可能となる。
したがって、第1の検査工程だけでは見逃しがちであった欠陥が、上述のように照明装置の照明方向を被検査体に対し斜め方向に変更することで見えやすくするなるため、第2の検査工程において欠陥を確実に検出することができ、検出精度が向上する。
【0010】
また、本発明の被検査体の検査方法では、前記照明装置に集光板を使用して照明光を一定方向に集光することが好ましい。
これによって、平行な照明光とすることができるので、欠陥がより見えやすくなる。
【0011】
また、本発明の被検査体の検査方法では、前記照明装置の光量を調整可能にすることが好ましい。
黒表示画面での白点欠陥、あるいは白表示画面での黒点欠陥のように欠陥の種類によって、欠陥が見えやすいように照明装置の光量を調整する必要があるためである。また、被検査体を斜め下方向から照明すると撮像手段に到達する光量が減少する場合もあるので、それを回避するために光量を調整する。
【0012】
また、本発明の被検査体の検査方法では、前記照明装置の照明方向を被検査体に対し少なくとも正反対の2つの斜め方向とすることが好ましい。
照明方向が斜めの一方向からだけだと欠陥が見えにくいが、正反対の他方向から照明すると欠陥がよく見える場合があるからである。
【0013】
また、本発明の被検査体の検査方法は、前記照明装置の照明方向が被検査体の視野方向を含むものとする。
これによって、被検査体の視野範囲における欠陥を確実に検出することが可能となる。
【0014】
また、本発明の被検査体の検査方法は、被検査体に電圧を印加せずに検査をする非点灯検査と、電圧を印加して検査をする点灯検査とを含み、前記非点灯検査は前記第1の検査工程を含み、前記点灯検査は前記第1の検査工程と第2の検査工程とを含むものである。
このように構成することにより、検査工程が比較的に簡単になり、欠陥検出精度の向上とコスト低減が可能となる。
【0015】
また、本発明の被検査体の検査方法は、前記第2の検査工程は、前記照明装置の照明方向を被検査体に対し一方の斜め方向に変更して検査する工程と、他方の正反対の斜め方向に変更して検査する工程とを含むものである。
上述のように、照明方向を正反対の2つの斜め方向からとすることで欠陥が見えやすくなるので、いずれかの照明方向に係る検査工程で欠陥を確実に検出することができる。
【0016】
また、本発明の被検査体の検査方法は、前記第2の検査工程において、前記照明装置の照明方向を他方の正反対の斜め方向に変更して検査する工程は、照明方向を一方の斜め方向に変更して検査する工程において良品と判定された被検査体に対して行うものである。
これによって、斜めの一方向からの照明によって欠陥が検出された場合には他方向からの照明による検査は不要となるので、検査工程が簡単になる。
【0017】
本発明に係る被検査体の検査装置は、被検査体を構成する一方の基板側に配置される照明装置と、前記被検査体を構成する他方の基板側に配置される撮像手段と、撮像手段により撮像された被検査体の画面の検査画像をもとに前記被検査体の欠陥検出のための画像処理を行う画像処理装置と、被検査体を駆動する駆動装置とを備え、前記照明装置の照明角度を変更する角度調整機構を有することを特徴とする。
このように照明装置の照明角度を変更する角度調整機構を有する構成であるので、撮像手段は1台でよく、そのため検査装置を安価にできるとともに、上述のように欠陥検出精度の向上が可能である。
【0018】
また、本発明に係る被検査体の検査装置は、前記照明装置の光量を調整する照明調光装置を有するものである。
上述のように、照明装置の光量を調整することで欠陥が検出しやすくなる。
【0019】
また、本発明に係る被検査体の検査装置は、前記照明装置の表面に平行光を生成する集光板を設けたものである。
集光板により平行光を被検査体の斜め方向から照射するので、小さい欠陥が実際の大きさと同等程度に引き伸ばされた形で検出することが可能となり、検出精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の一例を説明する。
図1は本発明の実施の形態における液晶表示体の検査装置の概略構成図、図2は図1の照明回転装置の概要図、図3は本発明の検査の対象である液晶表示体の説明図で、(a)は液晶パネル、(b)は液晶セルの断面図である。
【0021】
この検査装置は、被検査体の液晶パネル1の下方に照明手段としてフラット照明装置2を設置し、その液晶パネル1の真上に撮像手段としてモノクロのCCDカメラ3を設置してなるものである。液晶パネル1は図示しないホルダーにより水平に保持されている。
【0022】
フラット照明装置2は、照明回転装置4により水平位置から傾斜位置まで水平角度(照明角度)が変更可能に支持されている。例えば、図2に示すように、フラット照明装置2はそのケーシングが中央部においてベース5の支柱6上に設けた回転軸7を介して上下方向に回転自在に支持されており、支柱6の側面に設けたステッピングモータ8により回転軸7を例えば、歯車あるいはタイミングベルト等を用いた伝動機構(図示せず)を介して駆動するようになっている。ステッピングモータ8にはエンコーダ(図示せず)を設け、任意の回転角度に応じたパルス数をステッピングモータ8に与えることによりフラット照明装置2の傾斜角度を制御することができる。
【0023】
被検査体の液晶パネル1は、ここでは上下のガラス板の間に液晶を密封してなる液晶セル10の上下ガラス面にそれぞれ上偏光板11と下偏光板12を貼り付けたものを示している(図1、図3(a)参照)。しかし、本発明は被検査体としてこのような液晶パネル1に限定されるものではなく、液晶パネルの製造工程において上下の偏光板11、12を貼着する前の液晶セル10を被検査体とすることもできる(図3(b)参照)。
【0024】
また、液晶パネル1には液晶パネル駆動装置14がケーブル15を介して接続され、液晶パネル1のTFT(薄膜トランジスタ)素子あるいはMIM(Metal−Insulator−Metal)素子を駆動して検査するようになっている。この液晶パネル駆動装置14によって、液晶パネル1に電圧を印加して検査をする点灯検査と、電圧を印加せずに検査をする非点灯検査を行うことができる。
【0025】
また、上記フラット照明装置2には照明調光装置16が接続され、これによりフラット照明光の光量を調整できるようになっている。これは、欠陥の種類によって光量を調整する必要があること、斜め方向からの照明時にはCCDカメラに到達する透過光の光量が少なくなるのでその光量を調整する必要があるためである。いずれも欠陥を見えやすくするためであり、例えば、液晶パネル1の黒表示画面に白点欠陥の場合は照明光の光量を多くして見えやすくする、白表示画面に黒点欠陥の場合は照明光の光量を少なくして見えやすくするといった具合に光量を調整する。
【0026】
上記CCDカメラ3により撮像された液晶パネル1の画面の検査画像は画像処理装置17に取り込まれ、後述するようにその検査画像をもとに画像処理を行うことにより液晶パネル1の欠陥を検出する。また、この画像処理装置17と、上述の液晶パネル駆動装置14および照明調光装置16は通常、パソコンにより構成されており、液晶パネル1の検査を実施する。
【0027】
次に、本実施の形態における液晶パネルの照明方法および検査方法について説明する。図4は本発明の照明方法を模式的に示す説明図、図5乃至図7は本発明の検査方法を実施するためのフローチャートで、図5は検査全体の概要を示すフローチャート、図6は図5の非点灯検査における詳細な手順を示すフローチャート、図7は図5の点灯検査における詳細な手順を示すフローチャートである。なお、図4に示すフラット照明装置2の表面には集光板9を貼り付けて、主に平行光が出射されるようにしている。
【0028】
液晶パネル1の検査は、図5に示すように、最初に非点灯検査を行い(S1)、その後に点灯検査を行う(S2)。非点灯検査とは、液晶パネル1に電圧を印加しないで行う欠陥検査であり、液晶パネル1の種類により、電圧をかけていないとき白表示のモードとなるノーマリーホワイトと、電圧をかけていないとき黒表示のモードとなるノーマリーブラックとがある。また、点灯検査とは、液晶パネル1に電圧をかけて行う欠陥検査である。点灯検査では、例えば携帯電話機やプロジェクタの液晶パネルの場合、白表示、黒表示、グレイ表示、R、G、Bのカラー表示での検査を行っている。
【0029】
液晶パネル1の非点灯検査は、図6のフローチャートに従って実施する。まず、図4(a)に示すように、フラット照明装置2を水平にして液晶パネル1を照明する。すなわち、フラット照明装置2の照明方向を液晶パネル1に対して垂直方向にして液晶パネル1を照明する。このときの表示画面(例えば、パネル非通電での白表示画面)をCCDカメラ3にて撮像し、その画像をA/D変換器によりアナログからデジタルの画像データに変換して取り込む(S11)。
【0030】
次に、取り込まれた画像(検査画像)を画像処理装置17により、例えば256階調の濃淡画像として画像処理を行い、さらに欠陥を強調するために、例えばトップハット(Tophat)フィルタなどを用いてフィルタ処理を行う(S12)。
【0031】
続いて、フィルタ処理をした画像データに対して適正なしきい値を設定し、2値化処理を行う(S13)。そして、しきい値以上のもの(欠陥)があるかどうかを判定する(S14)。しきい値未満であれば、欠陥がない、つまり非点灯検査では良品と判定する(S15)。
【0032】
この良否判定処理(S14)において、良品と判定されると(S15)、上述したように次の点灯検査(S2)に移行する。逆に、不良品と判定されると、その液晶パネル1に対する検査をここで終了する(S3)。
【0033】
以上のS11からS15までの処理が液晶パネル1の非点灯検査における第1の検査工程である。
【0034】
次に、液晶パネル1の点灯検査は、図7のフローチャートに従って実施される。ここではまず、所定の検査パターンを設定して(S21)、その検査パターンを液晶パネル1に表示させる(S22)。照明は、非点灯検査の場合と同様に最初は図4(a)に示すように、フラット照明装置2を水平にして液晶パネル1を照明する。照明方向は液晶パネル1に対して垂直方向である。
【0035】
ついで、検査パターンを表示した画面をCCDカメラ3にて撮像し、その画像を上記同様にA/D変換器によりアナログからデジタルの画像データに変換して取り込む(S23)。なお、検査パターンが複数ある場合には、検査パターン毎に画像を取り込む。
【0036】
次に、画像処理装置17により、上述のように、取り込み画像(検査画像)を256階調の濃淡画像として画像処理を行い、さらに欠陥を強調するためのフィルタ処理を行う(S24)。
【0037】
続いて、フィルタ処理をした画像データに対して適正なしきい値を設定し、2値化処理を行う(S25)。そして、しきい値以上のもの(欠陥)があるかどうかを判定する(S26)。しきい値未満であれば、欠陥がない、つまり点灯検査では良品と判定する(S27)。
【0038】
そして、良品と判定されれば、次に照明角度を変えて検査するルーチンに移行する(S28)。また、良否判定(S26)において不良品と判定されると、その液晶パネル1に対する検査をここで終了する(S3)。
【0039】
以上のS21からS27までの処理が液晶パネル1の点灯検査における第1の検査工程である。
【0040】
次に、照明角度を変えた検査では、まず図4(b)に示すように、フラット照明装置2を同図において右上がり傾斜、すなわちフラット照明装置2の照明方向を液晶パネル1の視野方向を含む方向に斜めに傾ける(S29)。なお、フラット照明装置2の水平方向の傾斜角度(水平角度)は30゜以下が適当であり、その範囲内で角度を変更する。
【0041】
その後、この斜め方向に照明したときの液晶パネル1の画面を上記と同様にCCDカメラ3にて撮像してその画像を取り込み(S30)、ついで画像処理およびフィルタ処理を行い(S31)、さらにしきい値による2値化処理を行う(S32)。そして、欠陥があるか否かの良品判定を行い(S33)、不良品であれば検査を終了し(S3)、良品であれば(S34)、照明角度を上記と反対方向に変えて検査するルーチンに移行する(S35)。
【0042】
以上のS29からS34までの処理が液晶パネル1の点灯検査における第2の検査工程である。
【0043】
そして、今度は図4(c)に示すように、フラット照明装置2を同図において左上がり傾斜に傾ける(S36)。すなわち、フラット照明装置2の照明方向を液晶パネル1に対し上記の斜め方向と正反対の方向に傾ける。このときのフラット照明装置2の水平方向の傾斜角度(水平角度)も30゜以下が適当でその範囲内で角度を変更する。
【0044】
その後は、上記と同様に画像を取り込み(S37)、画像処理およびフィルタ処理を行い(S38)、さらにしきい値による2値化処理を行う(S39)。そして、欠陥があるか否かの良品判定を行う。(S40)。そして、この良品判定において、不良品と判定されれば検査を終了し(S3)、良品と判定されれば(S41)、さらにその検査パターンでの検査を終了してよいか否かを判断する(S42)。そして、全ての検査パターンでの検査が終了しない場合には、再び上記S21に戻って次の検査パターンで同様の検査を行う(S43)。
以上により、液晶パネル1の点灯検査が全て終了する。なお、上記S36からS42までの処理も液晶パネル1の点灯検査における第2の検査工程である。すなわち、この第2の検査工程は、フラット照明装置2の照明方向を液晶パネル1に対し一方の斜め方向にして検査する工程と、他方の正反対の斜め方向にして検査する工程とを含むものである。
このように、斜めの照明方向を少なくも正反対の2方向とすることにより、一方の斜め方向からではよく見えなかった欠陥が他方の斜め方向からの照明によって明瞭に見える場合があるからである。
【0045】
図8は液晶パネル1を駆動させ黒表示画面にしての欠陥検出、すなわち黒画像での白点欠陥の場合を模式的に示す説明図である。また、図9は液晶パネル1を駆動させ白表示画面にしての欠陥検出、すなわち白画像での黒点欠陥の場合を模式的に示す説明図である。
【0046】
図8、図9において、左図はフラット照明装置2を水平(傾斜角度0゜)にして平行な照明光を液晶パネル1に下方から垂直に当てた場合である。このとき例えば、液晶パネル1のブラックマトリックス(BM)13の近傍に欠陥20があった場合には、液晶パネル1の取り込み画面(検査画面)21では、その欠陥20は実際よりも小さく見える。
【0047】
したがって、この検査画面21を真上からCCDカメラ3にて撮像し、その画像を上述のように画像処理して欠陥検出を行った場合、その欠陥20は小さいため、しきい値未満となって欠陥無し、すなわち良品と判定される場合がある。
【0048】
そこで、本実施の形態では、液晶パネル1に対する垂直照明時に、たとえ良品と判定された場合であっても、図8、図9の右図に示すように、フラット照明装置2を傾けて液晶パネル1を斜め方向から照明し、そのときの状態も検査することとしている。
【0049】
フラット照明装置2を図8、図9の右図のように傾けた場合、平行照明光が上記欠陥20に対し斜めに当たる結果、一部の透過光は幅の広がった平行な透過光として上ガラス基板を透過する。したがって、この欠陥20を含む液晶パネル1の取り込み画面(検査画面)21は、その欠陥20が長く伸びて大きく見えることになる。つまり、液晶パネル1を斜め方向から見たときとほとんど同じような大きさに欠陥20が見える。
【0050】
したがって、この検査画面21を真上からCCDカメラ3にて撮像し、その画像を上述のように画像処理して欠陥検出を行った場合、その欠陥20は実際の大きさと同等程度の大きさとなっているため、しきい値により欠陥あり、すなわち不良品と判定することが可能となる。
【0051】
よって、従来は見逃しがちであった小さい欠陥を、斜め方向から照明光を当てることで確実に検出することが可能となり、検出精度が大きく向上することになる。
また、撮像手段としてのCCDカメラ3も1台で済み、検査装置が安価にできる。
【0052】
図10はフラット照明装置2に使用する集光板9の一例を示すものである。フラット照明装置2は、均一な明るさの照明光を平面発光するものであれば何でもよい。特に、集光板9をフラット照明装置2の表面に取り付けることにより、照明光を一方向に集光させることができる。このような集光板9として、図10のようなマイクロレンズアレイやライトコントロールフィルムなどを使用することができる。集光板9によりほぼ平行な照明光を生成することができるので、液晶パネル1の欠陥がより見えやすくなる(検出しやすくなる)。
【0053】
また、フラット照明装置2を照明回転装置4を介して支柱6上に傾斜可能に支持する構成となっているが、さらに支柱6をベース5に対して回転可能にすることにより、照明方向を被検査体に対してあらゆる斜めの方向にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態における液晶表示体の検査装置の概略構成図。
【図2】図1の照明回転装置の概要図。
【図3】本発明の検査の対象である液晶表示体の説明図。
【図4】本発明の実施の形態における照明方法を模式的に示す説明図。
【図5】本発明の実施の形態における検査方法の概要を示すフローチャート。
【図6】図5の非点灯検査における詳細な手順を示すフローチャート。
【図7】図5の点灯検査における詳細な手順を示すフローチャート。
【図8】黒画像での白点欠陥の場合を模式的に示す説明図。
【図9】白画像での黒点欠陥の場合を模式的に示す説明図。
【図10】集光板の一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0055】
1 液晶パネル、2 フラット照明装置、3 CCDカメラ、4 照明回転装置、5 ベース、6 支柱、7 回転軸、8 ステッピングモ−タ、9 集光板、10 液晶セル、11 上偏光板、12 下偏光板、13 ブラックマトリックス、14 液晶パネル駆動装置、15 ケーブル、16 照明調光装置、17 画像処理装置、20 欠陥、21 検査画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体を構成する一方の基板側から照明装置により照明し、前記被検査体の画面を前記被検査体を構成する他方の基板側より撮像手段により撮像することにより取り込まれる検査画像に基づいて前記被検査体の欠陥を検出する被検査体の検査方法において、
前記照明装置の照明方向を被検査体に対し垂直方向にして前記被検査体を検査する第1の検査工程と、
前記照明装置の照明方向を被検査体に対し斜め方向に変更して前記被検査体を検査する第2の検査工程と、
を含むことを特徴とする被検査体の検査方法。
【請求項2】
前記照明装置に集光板を使用して照明光を一定方向に集光することを特徴とする請求項1記載の被検査体の検査方法。
【請求項3】
前記照明装置の光量を調整可能にすることを特徴とする請求項1または2記載の被検査体の検査方法。
【請求項4】
前記照明装置の照明方向を被検査体に対し少なくとも正反対の2つの斜め方向とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の被検査体の検査方法。
【請求項5】
前記照明装置の照明方向が被検査体の視野方向を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の被検査体の検査方法。
【請求項6】
被検査体に電圧を印加せずに検査をする非点灯検査と、電圧を印加して検査をする点灯検査とを含み、
前記非点灯検査は前記第1の検査工程を含み、前記点灯検査は前記第1の検査工程と第2の検査工程とを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の被検査体の検査方法。
【請求項7】
前記第2の検査工程は、前記照明装置の照明方向を被検査体に対し一方の斜め方向に変更して検査する工程と、他方の正反対の斜め方向に変更して検査する工程とを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の被検査体の検査方法。
【請求項8】
前記第2の検査工程において、前記照明装置の照明方向を他方の正反対の斜め方向に変更して検査する工程は、照明方向を一方の斜め方向に変更して検査する工程において良品と判定された被検査体に対して行うことを特徴とする請求項7記載の被検査体の検査方法。
【請求項9】
被検査体を構成する一方の基板側に配置される照明装置と、前記被検査体を構成する他方の基板側に配置される撮像手段と、撮像手段により撮像された被検査体の画面の検査画像をもとに前記被検査体の欠陥検出のための画像処理を行う画像処理装置と、被検査体を駆動する駆動装置とを備え、
前記照明装置の照明角度を変更する角度調整機構を有することを特徴とする被検査体の検査装置。
【請求項10】
前記照明装置の光量を調整する照明調光装置を有することを特徴とする請求項9記載の被検査体の検査装置。
【請求項11】
前記照明装置の表面に平行光を生成する集光板を設けたことを特徴とする請求項9または10記載の被検査体の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−78317(P2006−78317A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262207(P2004−262207)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】