説明

被覆フィルム

【課題】新規な被覆された二次成形可能なフィルム、そのようなフィルム用の用面被覆組成物、この表面被覆組成物の硬化および二次成形の組み合わされた方法、並びにこの被覆フィルムから製造される成形物体の提案。
【解決手段】A) 成分B)と重付加するのに好適な少なくとも一つの化学官能a)を含む化合物一個以上、および、B) 成分A)と重付加するのに好適な化学官能a)とは異なる少なくとも一つの化学官能b)を含む、化合物一個以上、を含有し、成分AおよびBの少なくとも一つがエチレン性不飽和二重結合を必ず含み、かつ任意に、C) 重付加に好適な化学官能を含まないエチレン性不飽和化合物、D) 光開始剤、E) 添加剤、F) 非機能性ポリマーおよび/または充填材、を含有してもよく、該成分のうち重付加反応により架橋可能な、平均官能価が2.8より大きい成分がない表面被覆組成物により達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な被覆された二次成形可能なフィルム、そのようなフィルム用の表面被覆組成物、表面被覆組成物の硬化および二次成形の組み合わされた方法、並びにこの被覆フィルムから製造される成形物体に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルムを最初に広範囲にわたって被覆し、次に輸送または貯蔵の目的のためにロールに巻き、かつ次いで現場で所望の最終形態にする方法が知られている。そのような手順は、更に塗装しないでも成形直後に、表面が要求される性質(例えば堅牢度および外観)を既に示す場合に特に興味深い。この概念は、製造(例えば、プラスチックプロセッサによる自動車用アドオン部品(add-on parts)の製造)に大きな潜在性を有し、三次元部品コーティングの複雑な工程がより単純な平面基材のコーティングに取って替わる。加えて、均質の被覆フィルムを使用することにより、自動車用アドオン部品のセパレートコーティング(separate coating)(いわゆるオフラインコーティング(offline coating))で頻繁に起こる、それぞれの表面被覆層の色が同じでないという問題(カラーマッチング)を避けることが可能である。
【0003】
一般的に、良好な表面特性はコーティングの高い架橋密度を要求する。しかしながら、高い架橋密度は、取り得る最大の延伸率わずか数パーセントを有するデュロメリック(duromeric)な挙動の原因となり、成形操作中にコーティングにクラックを生じる傾向がある。要求される高い架橋密度と所望される高い延伸率との間の、この明らかな対立は、違う方法で(例えば、硬化を成形の前後、二段階で行うことによって)解決され得る。
【0004】
このことは、例えば二つの異なるメカニズムによる乾燥/硬化によって果たされ得る。
【0005】
EP-A 0 819 516は、成形可能な、放射線硬化可能な被覆フィルムを用いる成形操作中の物体の被覆方法を記述している。この方法は、低いガラス転移温度のせいで、被覆フィルムが、成形前かつ硬化後に、十分なブロック抵抗(block resistance)をもたないという欠点を有する。このことは硬化後成形前に取り扱いが大きく悪くなり、産業の適用への主な欠点となる。なぜならば、例えばそのようなフィルムはロール状に巻くことができず、保護フィルムを用いるときにだけロール状に巻かれ得るからであり、またそれらが互いに粘着するからである。更に、ガラス転移温度およびポリマーの種類のネーミング(「ホスファゼン、ウレタン、アクリレート」)は別として、この先行技術は、熱可塑性成形性およびデュロメリック挙動、特に最後の硬化後の屋外暴露および引掻きに対する堅牢度を可能にするために表面被覆系の成分がどの性質を有するべきかを示していない。加えて、達成され得る延伸率への言及がない。
【0006】
同様にWO 00/63015は、放射線を用いて硬化され得る、被覆された成形可能なフィルムを記述している。成形前の改良されたブロック抵抗が40℃以上のガラス転移温度を有するポリマー状成分の添加によって達成される。二段階の硬化が言及されている(「さらに、放射線硬化可能な組成物は、放射線硬化可能な化合物に加えて、更に他の化学反応によって硬化に寄与する化合物も含有し得る」)が、そのような系がどのようにして調製され得るかについての再現可能な記述が与えられていない。更に、調製の説明で、ポリマー状成分の溶融物中における放射線硬化可能なコーティングの調製温度「160℃」と、後で基材上で行われる熱硬化の温度「150℃まで、好ましくは130℃まで」との間の矛盾がある。
【0007】
要約すれば、先行技術が以下の要求:
1) 常套の方法によるフィルムまたはフィルム複合材料への単純な適用
2) 好適なツールを使用して二次成形され得る、ブロック抵抗熱可塑性被覆フィルムをもたらす、重付加メカニズムを介した熱硬化
3) 成形された被覆フィルム上への放射線による表面コーティングの最後の硬化(達成されるコーティングの堅牢度特性は、既に成形された物体の常套の表面コーティングによって得られる堅牢度特性と比較可能である。)
を満たす二次成形可能なフィルムのコーティング用表面被覆系を記述していないことがわかる。
【0008】
発明の要旨
本発明はこれらの要求に合うコーティング系を提供する。
【0009】
延伸率が50%より大きい対応する被覆フィルムが、なるべく直鎖の成分を、重付加により成形する前に部分的に硬化し、成形後に放射線により完全に硬化する、選択された、いわゆる二重硬化表面被覆系(dual cure surface-coating systems)でコーティングすることにより製造され得ることがわかった。
【0010】
従って、本発明は更に、基材フィルムおよび本発明による表面被覆組成物から成形される少なくとも一つのコーティングから成る、被覆された二次成形可能なフィルムを提供する。本発明は更に、表面被覆組成物の硬化、および二次成形の組み合わされた方法、その使用、および被覆フィルムから製造される成形物体を提供する。
【0011】
重付加反応を用いて硬化され、ブロック抵抗および熱可塑性層を成形し、最後に続く光学線により開始される重合により硬化される、二次成形基材の製造用の本発明による表面被覆組成物は以下のことを特徴とする:
−重付加反応の範囲内の成分が2.8より大きい平均官能性を有さず、かつ
−少なくとも50%の延伸率がクラック成形を生じることなく達成され得る。
【0012】
本発明による表面被覆組成物は、有機溶媒に溶解された100%固体または液体または水様相に溶解および/または乳化された100%固体または液体で使用されてもよい。
【0013】
本発明による表面被覆組成物は:
A) 成分B)との重付加に好適であり、b)と異なる少なくとも一つの化学官能a)を含む一以上の化合物であって、この化合物は
A1) エチレン性不飽和二重結合を含まない化合物、および/または
A2) エチレン性不飽和二重結合を含む化合物
および
B) 成分A)との重付加に好適であり、a)と異なる少なくとも一つの化学官能b)を含む一以上の化合物であって、この化合物は
B1) エチレン性不飽和二重結合を含まない化合物、および/または
B2) エチレン性不飽和二重結合を含む化合物
を含有する組成物であって、成分AおよびBの少なくとも一つはエチレン性不飽和二重結合を必ず含み、
および任意に
C) 重付加に好適な化学官能を含まないエチレン性不飽和化合物、
D) 光開始剤、
E) 添加剤、例えば安定化剤、触媒および他の助剤および添加剤、
F) 非機能性ポリマーおよび/または充填材
を含有する組成物。
【0014】
発明の詳細な説明
重付加に好適な化学官能a)およびb)は原則としてコーティングテクノロジーで通常使用される官能(化学部分)である。イソシアネート-ヒドロキシル/チオール/アミン、カルボキシレート-エポキシド、メラミン-ヒドロキシルおよびカルバメート-ヒドロキシルが特に好適である。官能a)として、より特に好ましいものは更にブロック形態のイソシアネートであり、かつ官能b)としてより特に好ましいものはヒドロキシル、一級および/または二級アミンおよびアスパラギネートである。
【0015】
イソシアネートA)として、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族および脂環式ジ-またはポリ-イソシアネートが使用される。更にそのようなジ-またはポリ-イソシアネートの混合物を使用することも可能である。好適なジ-またはポリ-イソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタンの異性体およびこれらの所望の異性体含量を有する混合物、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートの異性体、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルイレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4'-または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン-4,4',4''-トリイソシアネートまたはこれらのウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレト、オキサジアジントリオン、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオン構造を有する誘導体およびこれらの混合物である。好適な工程により過剰なジイソシアネートを取り除いた、オリゴマー化および/または誘導体化ジイソシアネートに基づくポリイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタンの異性体およびこれらの混合物に基づくポリイソシアネートが好適である。HDI、IPDIおよび/またはビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタンの異性体のオリゴマー状イソシアヌレート、ウレトジオン、アロファネートおよびイミノオキサジアジンジオンおよびこれらの混合物が好適である。IPDIのオリゴマー状イソシアヌレート、ウレトジオンおよびアロファネートおよびビス(4,4'-イソシアナトヘキシル)メタンの異性体のオリゴマー状イソシアヌレートが特に好適である。
【0016】
要すれば更にイソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と部分的に反応させた上述のイソシアネートA)を使用することも可能である。この目的のために、好ましくはα,β-不飽和カルボン酸誘導体、例えばイソシアネートに対して反応性の少なくとも一つの基を有するアクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド、並びにビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテルおよびジシクロペンタジエニル-ユニット-含有化合物が使用される。これらは特に好ましくは少なくとも一つのイソシアネート反応性基を有するアクリレートおよびメタクリレートである。ヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートとして、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ("ε"-カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート(例えばTone(登録商標)M100 (Dow、米国))、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、多価アルコール(例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エトキシル化、プロポキシル化またはアルコキシル化トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール又はジペンタエリトリトールまたはそれらの市販の混合物)のヒドロキシ-官能性モノ-、ジ-またはテトラ-(メタ)アクリレートが考慮に入る。加えて、イソシアネート反応性オリゴマー状またはポリマー状不飽和アクリレートおよび/またはメタクリレート-基-含有化合物それ自体または上述のモノマー状化合物との組み合わせが好適である。
【0017】
要すれば更にコーティングテクノロジーで当業者に知られているブロッキング剤と部分的に反応した上述のイソシアネートA)を使用することも可能である。挙げられ得るブロッキング剤の例は、アルコール、ラクタム、オキシム、マロン酸エステル、アルキルアセトアセテート、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾールおよびアミン(例えばブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4-トリアゾール、ジメチル-1,2,4-トリアゾール、イミダゾール、マロン酸ジエチルエステル、酢酸エステル、アセトンオキシム、3,5-ジメチルピラゾール、ε-カプロラクタム、N-tert-ブチル-ベンジルアミン、シクロペンタノンカルボキシエチルエステルまたはこれらのブロッキング剤の所望の混合物)を含む。
【0018】
官能基a)、すなわち、例えばイソシアネート基、の使用される成分A)1分子あたりの平均数(官能価)はそれぞれ2.8未満、好ましくは1.5〜2.5、特に好ましくは1.8〜2.1である。
【0019】
成分A1)の化合物として、エチレン性不飽和官能を含まない上述のいずれのジ-またはポリ-イソシアネートA)が単独か所望の混合物で使用されてもよい。
【0020】
成分A2)の化合物として、重合で化学線の作用下でエチレン性不飽和化合物と反応する、少なくとも一つのイソシアネート基および加えて少なくとも一つのエチレン性不飽和官能を有する、いずれの上述の化合物A)が単独か所望の混合物で使用されてもよい。
【0021】
イソシアネート反応性化合物B)はモノマー状、オリゴマー状またはポリマー状化合物並びにそれらの化合物一つ以上の混合物である。
【0022】
成分B)の好適な化合物は低分子量の短鎖(すなわち炭素原子2〜20個を含む)脂肪族、芳香脂肪族または脂環式ジオール、トリオールおよび/またはより多価のポリオールである。ジオールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-2-ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、位置異性ジエチルオクタンジオール、1,3-ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-および1,4-シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA (2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピオン酸(2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピルエステル)である。好適なトリオールの例は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロールである。好適な高官能アルコールはジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールまたはソルビトールである。脂肪族ジオールが好ましく、脂環式ジオールがより特に好ましい。
【0023】
高分子量脂肪族および脂環式ポリオール(例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ヒドロキシ官能アクリル樹脂、ヒドロキシ官能ポリウレタン、ヒドロキシ官能エポキシ樹脂または対応するハイブリッド)もまた好適である(Roempp Lexikon Chemie、465〜466頁、第10版、1998、Georg-Thieme-Verlag、シュトゥットガルト参照)。(環状)脂肪族ポリエステルポリオールおよび/または(環状)脂肪族ポリカーボネートポリオールが好ましく、分枝直鎖状脂肪族ジオール(branched linear aliphatic diols)を含むポリエステルおよび/または分枝直鎖状脂肪族ジオールを含むポリカーボネートポリオールがより特に好ましい。
【0024】
成分B)の化合物として、重合でイソシアネートに対して反応性の基少なくとも一つおよびエチレン性不飽和化合物と化学線の作用下で反応する不飽和官能少なくとも一つを含む化合物を単独でまたは所望の混合物で使用することもまた可能である。
【0025】
イソシアネートに対して反応性の基少なくとも一つを有する、α,β-不飽和カルボン酸誘導体(例えば、アクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド)並びにビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテルおよびジシクロペンタジエニル-ユニットを含む化合物の使用が好ましい。これらは特に好ましくは、イソシアネート反応性基少なくとも一つを有するアクリレートおよびメタクリレートである。
【0026】
ヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレート(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε-カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート(例えば、Tone(登録商標)M100(Dow、ドイツ国のシュヴァルバッハ)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エトキシル化、プロポキシル化またはアルコキシル化トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール))のヒドロキシ-官能性モノ-、ジ-またはテトラ-アクリレートまたはそれらの市販の混合物が更に好適である。
【0027】
加えて、イソシアネート反応性オリゴマー状またはポリマー状不飽和アクリレートおよび/またはメタクリレート基を含む化合物、それ自体または上述のモノマー状化合物との組み合わせが好適である。
【0028】
ポリエステルアクリレートの調製は、DE-A 4 040 290(3頁、25行〜6頁24行)、DE-A 3 316 592(5頁14行〜11頁30行)およびP.K.T. Oldring (Ed.)、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations For Coatings、Inks & Paints、第2巻、1991、SITA Technology、ロンドン、123〜135頁に記述されている。
【0029】
同様に、OH価が20〜300 mg KOH/gのヒドロキシル基を含むエポキシ(メタ)アクリレートまたはOH価が20〜300 mg KOH/gのヒドロキシル基を含むポリウレタン(メタ)アクリレートまたはOH価が20〜300 mg KOH/gのアクリレート化ポリアクリレート(それぞれそれ自体が知られている)、並びにそれらの互いの混合物およびヒドロキシル基を含む不飽和ポリエステルとの混合物および更にポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物またはヒドロキシル基を含む不飽和ポリエステルとポリエステル(メタ)アクリレートの混合物を使用することが可能である。そのような化合物は同様にP.K.T. Oldring (Ed.)、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations For Coatings, Inks and Paints、第2巻、1991、SITA Technology、ロンドン 37〜56頁に記述されている。定義されるヒドロキシ官能性を有するポリエステルアクリレートが好ましい。
【0030】
ヒドロキシル基を含むエポキシ(メタ)アクリレートは、特にアクリル酸および/またはメタクリル酸と、モノマー状、オリゴマー状またはポリマー状ビスフェノールA、ビスフェノールF、ヘキサンジオールおよび/またはブタンジオールまたはそれらのエトキシル化および/またはプロポキシル化誘導体のエポキシド(グリシジル化合物)の反応生成物に基づく。更に定義された官能性を有するエポキシアクリレート(例えば、任意に不飽和ジカルボン酸(例えば、フマル酸、マレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸またはアジピン酸)とグリシジル(メタ)アクリレートとの反応からのエポキシアクリレート)が好ましい。脂肪族エポキシアクリレートが特に好ましい。アクリレート化ポリアクリレートは、例えば、グリシジル官能性ポリアクリレートと(メタ)アクリル酸の反応よって調製され得る。
【0031】
イソシアネート反応性成分B)は、一分子あたり平均で2.6以下、好ましくは2.3〜1.7、特に好ましくは2.1〜1.85のイソシアネート反応性基を有する。
【0032】
成分B1)の化合物として、エチレン性不飽和官能を含まない上述のイソシアネート反応性化合物B)が、単独でまたは所望の混合物で使用され得る。
【0033】
成分B2)の化合物として、少なくとも一つのイソシアネート反応性基および更に重合で化学線の作用下でエチレン性不飽和化合物と反応する少なくとも一つのエチレン性不飽和官能を含む上述の化合物B)が単独でまたは所望の混合物で使用され得る。
【0034】
成分C)として、重合で化学線の作用下でエチレン性不飽和化合物と反応する少なくとも一つの官能基を有し、イソシアネート基もイソシアネート反応性基も含まない、好適な一以上のモノマー状またはポリマー状化合物がある。そのような化合物は、例えば、エステル、カーボネート、アクリレート、エーテル、ウレタンまたはアミドまたはそれらの構造タイプのポリマー状化合物である。更に化学線の作用下、重合可能な少なくとも一つの基を含むそのようなモノマーおよび/またはポリマーの所望の混合物を使用することも可能である。
【0035】
成分C)の化合物として、変性モノマーまたはポリマーを使用してもよく、それらの変性はそれ自体既知の方法で行われる。変性で、適切な化学官能価が分子に導入される。好適なα,β-不飽和カルボン酸誘導体(例えば、アクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド、更にビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテルおよびジシクロペンタジエニル-ユニットを含む化合物)が存在する。ビニルエーテル、アクリレートおよびメタクリレートが好ましく、アクリレートが特に好ましい。実施例は、放射線硬化の技術で知られている反応性希釈剤(Roempp Lexikon Chemie、491頁、第10版、1998、Georg-Thieme-Verlag、シュトゥットガルト参照)または放射線硬化の技術で知られているバインダー(例えば、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、シリコーンアクリレート、ポリカーボネートアクリレートおよびアクリレート化ポリアクリレート)を含む。
【0036】
好適なエステルは、通常炭素原子を2〜20個有するアルコール、好ましくは炭素原子を2〜20個有する多価アルコールの、不飽和酸または不飽和酸クロリド、好ましくはアクリル酸およびそれらの誘導体でのエステル化により得られる。最後に、当業者に知られているエステル化法が使用され得る。
【0037】
エステル化に好適なアルコール成分は、一価アルコール(例えば、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノールおよびデカノールの異性体)、更に脂環式アルコール(例えば、イソボルノール(isobornol)、シクロヘキサノールおよびアルキル化シクロヘキサノール、ジシクロペンタノール)、芳香脂肪族アルコール(例えば、フェノキシエタノールおよびノニルフェニルエタノール)、並びにテトラヒドロフルフリルアルコールである。更に好適なアルコール成分は、二価アルコール(例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオールの異性体、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチルヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびトリプロピレングリコール)である。好適な多価アルコールはグリセロール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトールまたはジペンタエリトリトールである。ジオールおよび多価アルコールが好ましく、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。
【0038】
好適なエステルおよびウレタンは、例えば、更に炭素原子を2〜20個、好ましくは炭素原子を2〜4個有する不飽和OH官能性不飽和化合物と、酸、エステル、酸無水物または酸クロリドまたはイソシアネートとの反応によって得られる。
【0039】
ヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートとして、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε-カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート(例えば、Tone(登録商標)M100(Dow、ドイツ国のシュヴァルバッハ))、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エトキシル化、プロポキシル化またはアルコキシル化トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールまたはそれらの市販混合物)のヒドロキシ官能性モノ-、ジ-またはテトラ-アクリレートが考慮に入る。
【0040】
好ましい不飽和OH官能性化合物の例は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-および3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-、3-および4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、更にOH官能性ビニルエーテル(例えば、ヒドロキシブチルビニルエーテル)、およびそれらの混合物である。
【0041】
OH官能性不飽和化合物として、n-1等量までの(メタ)アクリル酸とn価アルコール、アミド、アミノアルコールおよび/またはそれらの混合物の反応によって得られるOH官能性(メタ)アクリル酸エステルまたはアミド、を使用することが更に可能である。好適なn価のアルコールはグリセロール、トリメチロールプロパンおよび/またはペンタエリトリトールである。
【0042】
エポキシ官能性(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との反応生成物が同様に使用され得る。例えば、特に有利に使用され得るグリシジルメタクリレートとアクリル酸の反応はグリセロールの混合アクリル酸-メタクリル酸エステルを生じる。モノ-、ジ-またはポリ-イソシアネートは、OH官能性不飽和化合物からのウレタンの調製に使用されてもよい。ブチルイソシアネートの異性体、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタンの異性体または所望の異性体含量を有するそれらの混合物、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートの異性体、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルイレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4'-または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン-4,4',4''-トリイソシアネートまたはそれらのウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレト、オキサジアジントリオン、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオン構造を有する誘導体、およびそれらの混合物がこの目的に好適である。好適な処理によって過剰のジイソシアネートが除去されたオリゴマー化および/または誘導体化ジイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタンの異性体およびそれらの混合物に基づくポリイソシアネートが好ましい。HDIのオリゴマー状イソシアヌレート、ウレトジオン、アロファネートおよびイミノオキサジアジンジオン、IPDIのオリゴマー状イソシアヌレート、ウレトジオンおよびアロファネート、およびビス(4,4'-イソシアナトヘキシル)メタンの異性体のオリゴマー状イソシアヌレートおよびそれらの混合物が好ましい。
【0043】
上の説明と同様に、好適なポリエステル、ポリカーボネートまたはポリウレタンは、例えば、炭素原子を2〜12個、好ましくは炭素原子を2〜4個有する不飽和OH-官能性化合物と、例えば、酸-、エステル-または酸クロリド-官能性ポリエステルまたはポリカーボネートまたはNCO-官能性ポリウレタンの反応により得られる。
【0044】
酸価が5より大きいポリエステルとグリシジル-官能性(メタ)アクリレート(例えば、グリシジルメタクリレート)の反応生成物もまた好適である。不飽和ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリウレタンの合成に好ましいOH-官能性不飽和化合物は、ヒドロキシエチルアクリレートおよびヒドロキシプロピルアクリレートの異性体である。グリシジルメタアクリレートとアクリル酸の反応生成物が特に好ましい。
【0045】
アクリレートおよびビニル芳香族モノマーの重合をしてはじめてポリアクリレートが放射線硬化用に変性され得る。このことはポリアクリレートの調製条件に関して不活性であり、不飽和放射線硬化基に加えて続いてはじめて変性される官能基を介して行われる。この目的に好適な基は、例えば以下の表に列挙される基である:

【0046】
光開始剤Dは、化学線によって作用され、対応する重合可能な基のフリーラジカル重合を開始し得る開始剤である。光開始剤は、単一分子(タイプI)および二分子(タイプII)の開始剤が区別されている、それ自体知られている市販の化合物である。(タイプI)-系は、例えば、芳香族ケトン化合物(例えば、三級アミンとの組み合わせのベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(Michlerのケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたは上述のタイプの混合物)である。(タイプII)-開始剤、例えばベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド(例えば、2,4,6-トリメチル-ベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド)、ビスアシロホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、カンファーキノン、α-アミノアルキルフェノン、α,α-ジアルコキシアセトフェノンおよびα-ヒドロキシアルキルフェノンもまた好適である。これらの化合物の混合物を使用することもまた有利であり得る。硬化に使用される線源に依存して、光開始剤のタイプおよび濃度が当業者に知られている方法で適合されなければならない。更なる詳細は、例えば、P.K.T. Oldring (Ed.)、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations For Coatings, Inks & Paints、第3巻、1991、SITA Technology、ロンドン、61〜328頁に記載されている。
【0047】
成分E)として、表面コーティング、ペイント、インク、封止材料および粘着剤の技術で常套の添加剤または助剤が存在してもよい。
【0048】
特に、それらの添加剤または助剤は、安定剤、光安定剤(例えば紫外線吸収剤および立体ヒンダーアミン(sterically hindered amines、HALS)、更に酸化防止剤および表面被覆組成物用の補助物質(例えば、沈降防止剤、消泡剤および/または湿潤剤)、流動剤(flow agents)、可塑剤、触媒、可溶化剤および/または増粘剤並びに顔料、着色剤および/または艶消剤である。光安定剤の使用および様々なタイプの光安定剤が、例えばA. Valet、Lichtschutzmittel fuer Lacke、Vincentz Verlag、Hanover、1996に記述されている。
【0049】
成分F)として、機械的性質および光学的性質を調節するための非機能性ポリマーおよび充填材が存在し得る。コーティング剤と相溶性かつ混和性のポリマーおよび充填材がこの目的に好適である。成分Fの化合物は、バルクな材料として使用されても平均直径が1〜10,000ナノメートルの範囲内、好ましくは1〜500ナノメートルの範囲内、特に好ましくは2〜200ナノメートルの範囲にある粒子の形態で使用されてもよい。
【0050】
好適なポリマー状添加剤は、ポリマー、例えば、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミドおよびポリウレア、である。
【0051】
充填材として、無機充填材、グラスファイバーおよび/または金属充填材が使用されてもよく、いわゆる金属表面コーティングの常套の配合で用いられる。
【0052】
本発明による被覆組成物用の好適なフィルムは、成形される複合材料用のキャリヤー材料として働き、一般的な堅牢度要求に加えて、とりわけ必要な熱成形適性を有さなければならない。従って、原則として、熱可塑性ポリマー、特に、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリアミド、異なるポリマーのコポリマーおよび異なるポリマーのブレンドが好適である。
【0053】
熱可塑性ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)およびPMMAの変性バリエーション、ポリカーボネート、アクリルスチレン-アクリロニトリルコポリマー(ASA)およびこれらのポリマーの混合物が特に好適である。
【0054】
基材フィルムは、好ましくは厚さ50〜5000 μm、好ましくは200〜2000 μmのフィルムの形態で使用される。基材層のポリマーは、任意に添加剤(例えば、安定剤、充填材(例えば、繊維)、および着色剤)を含んでもよい。
【0055】
基材フィルムの背面に、すなわち、被覆組成物が適用されない面に、熱成形可能な接着層が任意に適用されてもよい。このために、手順に依存して、好適な溶融接着剤または放射線硬化接着剤が存在する。加えて、同様に熱成形可能な保護フィルムが接着層の表面に適用され得る。
【0056】
このフィルムは、任意に更に熱可塑性表面被覆層(例えば、定着剤、着色ベースラッカーおよび/または作用ベースラッカー)で被覆されてもよい。従って、本発明による被覆組成物は、フィルムに直接適用されず、常套の方法で適用され、乾燥された熱可塑性表面被覆層に適用され得る。
【0057】
重付加反応を用いる硬化は、重合生成物が二官能性モノマーまたは多官能性モノマーの繰返付加(付加反応が低分子量化合物の開裂なしに進行する反応)によって形成する重合反応と解釈される(Elias、Makromolekuele、第5版、第1巻、220頁以降、HuethigおよびWepf、バーゼル、1990参照)。重付加反応の例は、ポリウレアおよびポリウレタンの生成およびエポキシ樹脂のジアミンまたはポリアミンとの反応である。本発明によるイソシアネートA)およびイソシアネート反応性成分B)からのポリウレタンの生成による硬化が好ましい。
【0058】
ブロック抵抗コーティングは自己粘着しないコーティングである(Zorll (Ed.)、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben、第10版、81頁、Georg Thieme Verlag、シュトュットガルト、1998参照)。
【0059】
熱可塑性物質は、その使用温度より高い温度で、可逆的軟化点または可逆的軟化範囲を示す物質である。可逆的軟化点または可逆的軟化範囲よりも上では、熱可塑性物質は、軟化点または軟化範囲以下にこの物質を冷却した後に保持される新しい形態を機械的に成形し得る。一般的に、ポリマー状物質の熱可塑性挙動は、ポリマー状ユニットの直鎖および/または分枝構造を要求する。他方、架橋ポリマーは、架橋度が低くても、もはや熱可塑性挙動を示さないが、デュロメリック挙動は示す。すなわち、架橋ポリマーは全く熱成形できないか、ほんのわずかにしか熱成形できない。
【0060】
化学線を用いる硬化は、例えば、化学線によって上述の光開始剤から遊離される開始剤ラジカルを用いるエチレン性不飽和炭素-炭素二重結合のフリーラジカル重合であると解釈される。
【0061】
本発明は、更に表面被覆組成物の硬化方法と本発明による被覆組成物の二次成形方法とを組み合わせた方法にも関する。
【0062】
本発明による被覆組成物は、最初に常套の方法(例えば、ナイフ塗布(knife application)、ローラー塗(roller application)、噴霧またはプリント)によって、基材フィルム(フイルム)に適用される。適用される層厚(硬化前)は、典型的には0.5〜5000 μm、好ましくは5〜1000 μm、特に好ましくは15〜200 μmである。溶媒が使用される場合、この溶媒は適用後に常套の方法によって除去される。
【0063】
次に熱重付加反応を開始する最初の硬化工程を行う。被覆組成物の成分AおよびBの定義された官能価のため、熱可塑特性を有するブロック抵抗コーティングはそれによって形成される。
【0064】
熱形成可能な保護フィルムは、特に使用される基材フィルムが被覆表面に面する面上に接着層を有する場合、要すれば最初の硬化工程の前または後で被覆表面に適用されてもよい。
【0065】
最初の硬化工程後、基材フィルムの背面へのコーティング接着なしに被覆フィルムは任意に巻かれ得る。しかしながら、被覆フィルムをカットして一定の大きさにすることおよび、切断部を単独にかまたは一塊で別の加工に送ることも可能である。
【0066】
最初の硬化工程後、または要すれば巻いた後、この被覆フィルムは熱成形により所望の最終形態にされ得る。このことは常套の工程(例えば、深絞り成形、真空成形、プレス成形、吹込成形)によって行われ得る(Lechner (Ed.)、Makromolekulare Chemie、384頁以降、Verlag Birkenhaeuser、バーゼル、1993参照)。加えて、この被覆フィルムは、任意にコーティング物体の加熱状態で使用されてもよい。接着層が任意に定着剤としてフィルムと被覆される物体の間に入れられてもよい。
【0067】
成形工程後、被覆フィルムのコーティングが化学線の放射によって最終的に硬化される。放射線硬化は、好ましくは高エネルギー放射、すなわち、紫外線照射または日光(例えば波長が200〜750 nmの光)の作用または、高エネルギー電子(電子線、90〜300 keV)照射によって行われる。光または紫外線の線源として、例えば、中圧もしくは高圧水銀灯が使用され、水銀蒸気が他の元素(例えばガリウムまたは鉄)でドーピングすることにより変性されていてもよい。レーザー、パルスランプ(紫外線フラッシュライトラジエータ(UV flashlight radiators)という名で知られている)、ハロゲンランプまたはエキシマーラジエータが同様に使用されてもよい。このラジエータが静止方法で入れられて、照射される材料が機械装置を用いて線源を通過するかもしくは、このラジエータが可動であり、照射される材料が硬化中に位置を変えなくてもよい。通常紫外線硬化の場合に架橋に十分な線量は、80〜5000 mJ/cm2の範囲内である。
【0068】
照射は、要すれば酸素を除いて(例えば不活性ガス雰囲気下または脱酸素雰囲気下で)行ってもよい。好適な不活性ガスは、好ましくは、窒素、二酸化炭素、希ガスまたは燃焼ガスである。照射は、更に放射に対して透明な媒体でコーティングをカバーすることによって行われてもよい。それらの例は、プラスチックフィルム、ガラスまたは液体(例えば水)である。
【0069】
要すれば使用してもよい開始剤のタイプおよび濃度は、線量および硬化条件によって、予備試験を適応することにより当業者に知られている方法で変化されるかもしくは最適化される。成形フィルムの硬化に関して、複数のラジエータを使用して硬化を行うことが特に有用である。ラジエータの取り合わせは、コーティングの全ての場所が硬化に最適な線量および放射強度を受けられるように選択される。特に、非照射領域(陰の領域(shaded area))は避けられる。
【0070】
固定装置中の水銀ラジエータが特に好ましく硬化に使用される。従って、光開始剤は、コーティング中の固形に基づいて0.1〜10 wt.%、特に好ましくは0.2〜3.0 wt.%の濃度で使用される。そのようなコーティングの硬化に好ましくは200〜600 nmの波長範囲内で測定される500〜4000 mJ/cm2の線量が使用される。
【0071】
最後の硬化前または後で、成形被覆フィルムは、要すれば充填材入りポリマー(例えば熱可塑性樹脂)または反応性ポリマー(例えば、二成分ポリウレタン系)を使用してその背面に噴霧または泡を適応することによって変性されてもよい。粘着層は要すれば定着剤として使用されてもよい。
【0072】
そこから製造される被覆フィルムまたは成形物体の使用:
【0073】
成形被覆フィルムは、原則として非被覆フィルムまたは成形後に被覆されるフィルムと同じように使用され得る。特に、透明または部分的に透明な成形被覆フィルムは、電子デバイスのスクリーン、インジケータまたはディスプレイの製造に使用され得る。それらは更にラベルまたは標識として(例えば部分的に押し上げられるかもしくは押し下げられる領域を有するラベルまたは標識(例えば、自動車のナンバープレート))のみならず、更にクレジットカードまたは安全対策として三次元構造が使用される他のカードの製造にも使用され得る。更に、エンボス加工された金属の代わりに、例えば高品質包装に使用され得る。
【0074】
背面に噴霧されたかもしくは背面に泡が適用された成形物体は、原則として同様に適切に成形された被覆または非被覆プラスチック部品として使用され得る。従って、本発明による成形物体は、特にプラスチック部材がその機能のため高品質表面被覆の有利な特性(外観、耐性、引掻きおよび摩耗に対する堅牢度)を要求する場合、有用に使用され得るが、しかし続く表面被覆はコストの理由でなしで済ます。そのような適用は特に、小さい電子装置(例えば、携帯電話または電話、シェーバーおよびコンピュータ、特に特定のストレスにさらされる持ち運び可能な装置)のケーシングである。この成形物体は、自動車または航空機構造に(特に自動車もしくは車体部品用アドオン部品として)有利に使用される。
【0075】
実施例
酸価:mg KOH/g試料で与えられ、0.1 mol./l NaOH溶液でブロモチモールブルー(エタノール性溶液)に対する滴定、黄色から緑を経て青への変色(DIN 3682に基づく)。
【0076】
ヒドロキシル価:mg KOH/g試料で与えられ、ジメチルアミノピリジン触媒で無水酢酸で常温アセチル化(cold acetylation)した後0.1 mol./l meth. KOH溶液で滴定(DIN 53240に基づく)。
【0077】
イソシアネート含量:%で与えられ、ブチルアミンとの反応後、0.1 mol./l塩酸で逆滴定(DIN EN ISO 11909に基づく)。
【0078】
ゲル透過クロマトグラフィ(GPC):溶離剤THF、RI検出、ポリスチレンスタンダードで校正後積算。
【0079】
粘度:回転式粘度計(Haake、タイプVT 550)、23℃で測定。
【0080】
他に表示しない限り、百分率はwt.%である。
【0081】
被覆組成物の成分
実施例1:イソシアナトアクリレートの調製
4,4'-(2,4'-)ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン9000 gを、窒素下、スターラー、還流冷却器(reflux condenser)、窒素配管(nitrogen delivery)、内部温度計および滴下漏斗を備えた平底容器(flat-ground vessel)に入れた。次にこの混合物を60℃に加熱し、水酸化トリメチルベンジルアンモニウムの5% n-ブタノール/メタノール=12:1溶液28.0 gをゆっくりと計量添加し、粗原料溶液のNCO含量が25.5〜25.8%になるまで温度を60〜80℃に保持した。次にジブチルホスフェートの5% 4,4'-(2,4'-)ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン溶液21.0 gを添加し、冷却を行い、ジイソシアナトヘキサン(HDI)に基づく市販のイソシアヌレートポリイソシアネート(NCO = 21.8 %、粘度 = 3000 mPas/23℃、モノマー状HDI = 0.1%)450 gを添加し、モノマー状4,4'-(2,4'-)ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンを200℃/0.15 mbarで薄膜蒸留(thin-film distillation)により分離した。そのようにして得られた固体樹脂(NCO = 15.0%)1894.52 gを除去し、還流冷却器、滴下漏斗、内部温度計およびスターラーを備える別の多口フラスコ(multi-necked flask)中でブチルアセテート975.00 g、ジブチル錫ジラウレート3.176 gおよび2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール3.18 gと一緒にし、このフラスコの口を通じて空気を通し(6 l/h)、この混合物を攪拌しながら60℃に加熱した。次にヒドロキシエチルアクリレート374.12 gをゆっくりと滴下し、最高温度65℃に到達させた。次にこの反応混合物を60℃でNCO含量が4.4%以下になるまで攪拌した。
【0082】
室温での24時間の貯蔵後の特性データ:

*−NCO官能価はジイソシアナトジシクロヘキシルメタンの三量体およびHDIイソシアヌレートポリイソシアネートの粗原料溶液の、三量体、五量体、七量体および九量体シグナルの積算によるGPCの評価により決定した。この混合物による数学上のイソシアネート基の官能価から、ヒドロキシエチルアクリレートとの反応によって消費される割合を引いた。この残りの数学上のNCO官能価を示した。
【0083】
実施例2:イソシアナトアクリレートの調製
ジイソシアナトヘキサン(HDI)に基づく市販のイソシアヌレートポリイソシアネート(NCO含量:23.4 wt.%、23℃における粘度1200 mPa s、モノマー状HDI = 0.1 %)552.0 gを、還流冷却器、スターラー、滴下漏斗および内部温度計を備える多口フラスコに入れ、このフラスコの口を通じて空気を通した(2 l/h)。2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチル-フェノール1.6 gをそこに添加した。この溶液を攪拌しながら60℃に加熱した。熱源をはずし、2-ヒドロキシエチルアクリレート116.0 gを、温度55〜65℃で滴下した。次に、更なる反応を60℃でNCO含量が12.8 %以下になるまで行った。
【0084】
室温での24時間の貯蔵後の特性データ:

*−NCO官能価は実施例1と同じように決定した。
【0085】
実施例3:イソシアナトアクリレートの調製
ブチルアセテート375.00 g、ジイソシアナトヘキサン(HDI)に基づく市販のイソシアヌレートポリイソシアネート(NCO = 21.8 %、粘度 = 3000 mPas/23℃、モノマー状HDI = 0.1 %)642.22 gおよび2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.87 gを、室温で還流冷却器、スターラー、滴下漏斗および内部温度計を備える多口フラスコ中に入れ、この多口フラスコを通して空気を通し(6 l/h)、次にこの混合物を60℃に加熱した。グリシジルメタクリレートとアクリル酸の反応生成物160.65 g(EP-A 1541609の実施例19によって調製)をゆっくりと滴下し、最高温度65℃に到達した。次にこの反応混合物を60℃でNCO含量が9.5 %以下になるまで攪拌した。次にシクロヘキサンジメタノール71.25 gをゆっくりと滴下し、最高温度65℃に到達した。次にこの反応混合物を更に60℃でNCO含量が5.6 %以下になるまで攪拌した。
【0086】
室温での24時間の貯蔵後の特性データ:

*−NCO官能価は実施例1と同じように決定した。
【0087】
実施例4:エポキシアクリレートの調製
Eponex(登録商標)1510 (Hexion) 2644.84 g、トリフェニルホスフィン17.40 gおよび2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール3.48 gを、室温で還流冷却器、スターラー、滴下漏斗および内部温度計を備える多口フラスコ中に入れ、この多口フラスコを通じて空気を通し(6 l/h)、次にこの混合物を60℃に加熱した。アクリル酸834.28 gを60℃で数時間にわたり滴下した。添加が完了すると、温度を80℃に上げ、酸価が1.5未満に下がるまで保持した。次にブチルアセテート1498 gを添加し、攪拌を3時間60℃で行った。
【0088】
室温での24時間の貯蔵後の特性データ:

【0089】
実施例5:エポキシアクリレートの調製
アジピン酸2700.06 gおよびブタンジオール499.54 gを、室温で蒸留橋(distillation bridge)およびスターラーを備える多口フラスコ中に入れ、この多口フラスコを通じて窒素を通し(6 l/h)、この混合物を酸価が484以下になるまで180℃で攪拌しながら加熱した。この予備生成物2251.88 gを、室温で還流冷却器および内部温度計を備える別の多口フラスコ中でグリシジルメタクリレート2735.94 g、トリフェニルホスフィン9.98 gおよび2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール4.99 gと一緒にし、この多口フラスコを通じて空気を通し(6 l/h)、この混合物を攪拌しながらゆっくりと80℃に加熱し、この温度で酸価が常に20以下になるまで保持した。
【0090】
室温での24時間の貯蔵後の特性データ:

【0091】
実施例6:3-メチル-1,5-ペンタンジオールに基づくポリカーボネートジオールの調製
3-メチル-1,5-ペンタンジオール34,092 gを、80℃で蒸留ヘッド(distillation head)、スターラーおよび受け器を備える60 lの加圧反応器中でイッテルビウム(III)アセチルアセトネート8.0 gおよびジメチルカーボネート10,223 gと一緒にした。次にこの反応混合物を窒素雰囲気下で2時間で150℃に加熱し、攪拌しながら還流下で2時間この温度を保持した(圧力は3.9 bar(絶対圧)まで上昇した)。次に分解産物メタノール(ジメチルカーボネートとの混合物)を、圧力を4時間のうちに連続的に全部で2.2 barまで下げて蒸留によって除去した。次に蒸留操作を終了し、更に150℃でジメチルカーボネート10,223 gを反応混合物中に投入し、この温度を攪拌しながら還流下で2時間保持した(圧力は3.9 bar(絶対圧)まで上昇した)。次に分解産物メタノール(ジメチルカーボネートとの混合物)を蒸留によって再び除去した(圧力は4時間のうちに連続的に全部で2.2 barまで下げた)。次に蒸留操作を終了し、更に150℃でジメチルカーボネート7147 gをこの反応混合物中に投入し、攪拌しながら還流下でこの温度を2時間保持した(圧力は3.5 bar(絶対圧)まで上昇した)。次に分解産物メタノール(ジメチルカーボネートとの混合物)を再び蒸留により除去した(圧力は4時間のうちに常圧に下げた)。次にこの反応混合物を2時間のうちに180℃に加熱し、この温度を攪拌しながら2時間保持した。次に温度を130℃に下げ、圧力を20 mbarに下げながら窒素気流(5 l/h)をこの反応混合物に通した。次に温度を4時間で180℃まで上昇し、6時間保持した。次に、この反応混合物から更にメタノール(ジメチルカーボネートとの混合物)の除去を行った。通気および反応混合物の室温への冷却後、以下の特性データを有する無色液体オリゴカーボネートジオールを得た。
ヒドロキシル価(OHZ) 173.4 mg KOH/g
75℃での粘度、D:16: 175 mPas
数平均分子量(Mn): 646 g/mol
【0092】
実施例7:1,4-ブタンジオールおよび1,6-ヘキサンジオールに基づくポリカーボネートジオールの調製
1,4-ブタンジオール532.8 gおよび1,6-ヘキサンジオール698.8 gを、窒素雰囲気下、スターラーおよび還流冷却器を備える4リットルの三口フラスコ中に入れ、この混合物を110℃かつ20 mbarで2時間脱水した。次に窒素で通気を行い、イッテルビウム(III)アセチルアセトネート0.3 gおよびジメチルカーボネート1395.0 gを添加し、反応混合物を24時間還流下で保持した(110℃のオイルバス温度)。次に還流冷却器をClaisenブリッジに置き換え、生じる分解産物メタノール(および存在するジメチルカーボネート)を留去した。その終わりに、温度110℃を2時間のうちに150℃に上昇させ、150℃に到達すると、4時間保持した。次に温度を2時間のうちに180℃に上昇させ、更に4時間保持した。次にこの反応混合物を100℃に冷却し、窒素気流(2 l/h)を反応混合物に通じた。更に、圧力を段階的に20 mbarまで下げ、継続している蒸留中ヘッド温度が60℃を超えないようにした。20 mbarに到達すると、温度を130℃まで上昇し、6時間保持した。通気および冷却後、以下の特性データを有する、室温で液体のオリゴカーボネートジオールを得た。
ヒドロキシル価(OHZ): 108.9 mg KOH/g
75℃での粘度、D:16: 600 mPas
数平均分子量(Mn): 1028 g/mol
【0093】
実施例8:ウレタンアクリレートの調製
ジイソシアナトヘキサン(HDI)に基づく市販のイソシアヌレートポリイソシアネート4507.15 g(NCO含量:23.4 wt.%、23℃の粘度1200 mPa s、モノマー状HDI = 0.1 %)、ブチルアセテート2970.00 g、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール10.51 gおよびジブチル錫ジラウレート5.26 gを室温で還流冷却器、スターラー、滴下ロートおよび内部温度計を備える多口フラスコ中に入れ、このフラスコを通じて空気を通し(2 l/h)、次にこの混合物を60℃に加熱した。グリシジルメタクリレートとアクリル酸の反応生成物(EP-A 1541609の実施例19によって調製)6007.08 gをゆっくりと滴下した(最高温度65℃に到達した)。次にこの反応混合物をNCO含量が0.2 %以下になるまで60℃で攪拌した。
【0094】
室温での24時間の貯蔵後の特性データ:

【0095】
被覆組成物実施例9〜19:
被覆組成物を以下の表による量(単位はg)共に混合し、流動添加剤Byk 306(Byk-Chemie、ドイツ国のヴェーゼル)0.75 %および光開始剤Irgacure(登録商標)184 (Ciba Specialty Chemistry、スイスのバーゼル)50 %溶液5 %を添加し、ブチルアセテートで噴霧粘度(4 mm孔を有する粘度カップ中ランアウトタイム20〜25 s、固形分約45〜60 %に相当)に調節することによって調製した。イソシアネートを含む成分とイソシアネートなしの成分は、適用直前まで一緒にしなかった。

PES−ポリヘキサンジオールアジペート(分子量約850 g/mol.、OH価4.2 %)
CHDM−1,4-シクロヘキサンジメタノール(市販の異性体混合物、OH価24.0 %)
DBTL−ジブチル錫ジラウレート(ウレタンイサチン触媒)
【0096】
被覆組成物を、それぞれスプレーガンを用いて、市販の自動車ラッカーの着色プラスチックベースラッカーで被覆されたポリカーボネート/ABSフィルム(Bayfol(登録商標)TP 231、Byer MaterialScience AG、ドイツ国のレーフェルクーゼン;厚さ1 mm、ポリカーボネート側が被覆された)、黒色ポリカーボネートフィルム(厚さ1 mm)および、(耐薬品性および耐引掻き性を測定するために)黒色光沢被覆金属シートに適用した。乾燥層厚はそれぞれ約60 μmであった。次に全てのコーティングを周囲温度で10分間予備乾燥し、次に100℃で20分間空気循環炉中で乾燥した。周囲温度に冷却した後、被覆ポリカーボネートフィルムを用いて、このコーティングのブロック抵抗を試験した(DIN 53150と同じように、フィルムの背面に対してコーティング、ラウンドラバープレッシャーメンバー(round rubber pressure member)、d = 2 cm、60秒間2 kg負荷、評価1 = 非常に粘着性〜5 = ドライ、変化なし)。被覆フィルムの曲げ強さを、直径8 cmのパイプ回りで曲げることによって試験した。後でクラックを示さない場合、コーティングが試験を通ったとする。
【0097】
被覆フィルムを深絞り成形した。使用された道具は、垂直の辺の長さ(edge length)および水平の辺の長さが、いずれも約2 cmのである段付角錐である。延伸率は、深絞り成形後に、いくつかの段階表面でのフィルムの厚さ、内部辺および外部辺を測定することによって決定した。延伸率>20、>50、>100、または>150 %が示される。深絞り成形を、フィルム温度185℃で約60秒にわたって、ツール温度65℃で予備吹込なしに行った。
【0098】
深絞り成形フィルムおよびメタルシート上のコーティングを、水銀ラジエータ(ランプ長1 cmあたりの電力80 W)を用いて線量約3000 mJ/cm2で硬化した。
【0099】
耐引掻き性を、DIN 55668−「研究室の洗浄設備を使用するコーティングの耐引掻き性試験」の方法−によって測定した。このコーティングの光沢度を、引掻き前、引掻き後および引掻き後80℃で2時間後に角度20°で測定した。Daimler-Chrysler勾配オーブン法(gradient oven method)によって耐薬品性を、1 %硫酸で試験した。接触時間一時間後のラッカーへのダメージが認められる最も低い温度が示される。最初の値は暴露終了後一時間の評価、第二の値は暴露終了後24時間の評価に対応する。コーティングの耐溶剤性を、アセトンを染み込ませたコットンウールパッドで100往復行程(適用圧約1 kg)によって更に試験した。暴露後完璧に残っている場合、コーティングが試験を通ったとする。
【0100】

【0101】
この実施例は、乾燥後のコーティングがブロック抵抗に関して良好〜非常に良好であるが、それでもなお折り曲げ可能であることを示す。このコーティングは深絞り成形可能であり、高い延伸率を示す。紫外線硬化後、このコーティングは試験された性質、耐溶剤性、耐硫酸性および耐引掻き性に関して自動車車体の一連のラッカー塗で、これまでされてきた要求を満たす。
【0102】
実施例20:紫外線硬化コーティングおよびプラスチックベースのラッカーで提供される深絞り成形ポリカーボネート/ABSフィルムの背面への噴霧
背面に噴霧するために、グラスファイバーマットを最初に三次元フィルム成形物体の背面(ABS側)全体に配置する。第二の実施工程で、三次元フィルム成形物体を好適な加熱可能な成形用金型に置く。第三の実施工程で、次に液体2K PUR系を成形用金型とフィルム成形物体の間に残るキャビティに噴霧する。
【0103】
本発明を説明の目的で上記に詳細に説明したが、そのような詳細は、請求項によって規定されるものを除いて、もっぱら説明の目的のためであって、変更が発明の精神および範囲から逸脱しない限り当業者によってなされ得ると解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A) 成分B)と重付加するのに好適な少なくとも一つの化学官能a)を含み、任意にエチレン性不飽和二重結合を含んでもよい一以上の化合物、および
B) 成分A)と重付加するのに好適な少なくとも一つの化学官能a)とは異なる化学官能b)を含み、任意にエチレン性不飽和二重結合を含んでもよい一以上の化合物、
を含有する表面被覆組成物であって、成分AおよびBの少なくとも一つがエチレン性不飽和二重結合を必ず含み、
および任意に
C) 重付加に好適な化学官能を含まないエチレン性不飽和化合物、
D) 光開始剤、
E) 添加剤、例えば安定剤、触媒および他の助剤および添加剤、
F) 非機能性ポリマーおよび/または充填材、
を含有してもよく、重付加反応により架橋可能な成分のいずれもが2.8より大きい平均官能価を有さない、表面被覆組成物。
【請求項2】
請求項1記載の表面被覆組成物で被覆された基材。
【請求項3】
該基材が成形物体である、請求項2記載の基材。
【請求項4】
該成形物体が深絞り成形可能なフィルムである、請求項3記載の基材。
【請求項5】
請求項1記載の組成物で被覆された自動車部品。
【請求項6】
該部品が請求項1記載の表面被覆組成物で被覆された深絞り成形フィルムの成形品である、請求項5記載の自動車部品。

【公開番号】特開2007−186678(P2007−186678A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−321623(P2006−321623)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】