説明

装飾体

【課題】色相を任意に変化させうる装飾体を提供する。
【解決手段】装飾体は、基材1と、複数の反射部2と、1以上の透過部3とを含む。基材1は、可視光透過性を有するシート部材、またはパネル部材である。複数の反射部2は、第1の色相を有するとともに、遮光性、及び可視光反射性を有し、基材1に互いに間隙4をおいて形成されている。1以上の透過部3は、第1の色相と異なる第2の色相を有するとともに、可視光透過性を有し、基材1の板面を見たとき、少なくとも部分的に間隙4と重なるように、基材1に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器などを装飾するカラーパネル等の装飾体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機に代表される小型電子機器の普及にともない、この種の機器のデザインの重要性が増している。例えば、特許文献1には、このような電子機器に適用され得る高輝性装飾シートであって、見る角度に応じて輝度の高い部分が移動するものが記載されている。
【0003】
また、このような装飾シートに関する技術として、特許文献2,3には、透明基材の表面にシルエットパタンを形成しておき、該基材の一面側からは、反射光によってシルエットパタンからなるデザインを視認でき、他面側からは反対面側(上記の一面側)を視認できるパネルが記載されている。
【0004】
しかしながら、この種の装飾体の分野において、発色領域の色相を任意に変化させる有効な技術は未だに存在しない。例えばホログラムや光学的可変性顔料は、光の反射角度によって色相が変化するものとして知られているが、色相を任意に変化させるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−18631号公報
【特許文献2】特開平6−242305号公報
【特許文献3】特開平8−254605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、色相を任意に変化させうる装飾体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明に係る装飾体は、基材と、複数の反射部と、1以上の透過部とを含む。
【0008】
前記基材は、可視光透過性を有するシート部材、またはパネル部材である。
【0009】
前記複数の反射部は、第1の色相を有するとともに、遮光性、及び可視光反射性を有し、前記基材に互いに間隙をおいて形成されている。
【0010】
前記1以上の透過部は、前記第1の色相と異なる第2の色相を有するとともに、可視光透過性を有し、前記基材の板面を見たとき、少なくとも部分的に前記間隙と重なるように、前記基材に形成されている。
【0011】
本発明に係る装飾体は、基材が光透過性を有し、また、複数の反射部がなす間隙に可視光透過性を有する透過部が重なっているから、基材を挟んだ一方の側に光源がある場合、該間隙を介して第2の色相の光が、基材の他方の側、すなわち視認側に出射される。このとき、複数の反射部は遮光性を有するから、該光源の光を遮断し、さらに、第2の色相の光による、いわゆる逆光の効果のために第1の色相の光は該視認側において視認され得ない。
【0012】
また、基材を挟んだ一方の側に光源がない場合、複数の反射部は可視光反射性を有するから、基材の視認側から入射した光が複数の反射部により反射されて、第1の色相の光が該視認側において視認される。このとき、該間隙を介して第2の色相の光が視認側に出射されることは実質的にないため、第2の色相の光は該視認側において視認され得ない。
【0013】
したがって、本発明に係る装飾体は、基材を挟んだ一方の側における光源の有無に応じて、第1の色相、または第2の色相を選択的に発色することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように、本発明によれば、色相を任意に変化させうる装飾体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る装飾体の第1の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示されたII−II線に沿う断面図である。
【図3】本発明に係る装飾体の第2の実施形態を示す平面図である。
【図4】図3に示されたIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】本発明に係る装飾体の第3の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る装飾体の第4の実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明に係る装飾体の第5の実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明に係る装飾体の第6の実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明に係る装飾体の第7の実施形態を示す断面図である。
【図10】本発明に係る装飾体の第8の実施形態を示す平面図である。
【図11】図10に示されたXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】本発明に係る装飾体の第9の実施形態を示す平面図である。
【図13】図12に示されたXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図14】第9の実施形態の変形例を示す平面図である。
【図15】本発明に係る装飾体の第10の実施形態を示す平面図である。
【図16】図15に示されたXVI−XVI線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.第1の実施形態
図1は、本発明に係る装飾体の第1の実施形態を示す平面図であり、図2は、図1に示されたII−II線に沿う断面図である。装飾体は、基材1と、複数の反射部2と、複数の透過部3とを含む。
【0017】
基材1は、可視光透過性を有する無色のシート部材、またはパネル部材であり、装飾体の用途に応じて可撓性を備えるものであってもよい。基材1は、例えばポリカーボネイト、アクリル、ポリエステルなどの合成樹脂、あるいはガラスなどにより構成し得る。この基材1の厚みは、例えば0.1〜5.0mmである。
【0018】
複数の反射部2と複数の透過部3は、基材1に設けられた発色領域10に形成されている。本実施形態において、発色領域10は、図示されるように矩形状に形成されているが、これに限定されることはなく、例えば、円形や三角形などの他の図形、複雑な図柄、あるいは文字形状などのデザイン性の高いものに形成してもよい。なお、基材1の大きさ、及び発色領域10の数や大きさは、用途に応じて適宜に決定される。
【0019】
複数の反射部2は、基材1の一方の板面1bに、互いに間隙4をおいて線状に積層形成されている。一方、複数の透過部3は、図1に示されるように、基材1の板面1bを見たとき、複数の反射部2のなす間隙4と重なるように、基材1の板面1bに積層形成されている。言い換えれば、複数の透過部3の各々は、該間隙4を充填するように線状に形成されており、複数の透過部3と複数の反射部2は、図2に示されるように、板面1bにおいて、ストライプ模様をなすように、互いに隣接して交互に配置されている。もっとも、複数の透過部3と複数の反射部2の線がなす模様は、このようなストライプ模様に限定されるものではなく、例えば同心円状、波状、網状などの他の模様となし得る。
【0020】
反射部2は、第1の色相を有するとともに、遮光性、及び可視光反射性を有している。反射部2は、汎用の有機顔料などの着色剤により第1の色相に着色されたものであって、例えば、不透明な反射色を有するインキを採用し得る。また、透過部3は、上記の第1の色相と異なる第2の色相を有するとともに、可視光透過性を有する。透過部3は、汎用の有機顔料などの着色剤により第2の色相に着色されたものであって、例えば、透明色を有するインキを採用し得る。複数の透過部3と複数の反射部2は、平板印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、たこ印刷、デジタル印刷などの印刷手法、あるいは塗装手法によって、基材1の上に形成されている。
【0021】
もっとも、反射部2と透過部3は、上述したような塗料に限定されず、例えば顔料などの着色剤により着色されたプラスチック基材であってもよい。この場合、反射部2と透過部3は、汎用の射出成形手段や接着手段を用いて形成される。
【0022】
また、図1において、複数の透過部3と複数の反射部2の面積比は、1:9〜9:1の範囲であり、好ましくは4:6〜6:4である。複数の透過部3と複数の反射部2の幅寸法は、視認距離に応じて変動し、例えば視認距離が板面1bから25cmである場合、150〜500μmが好ましい。複数の透過部3と複数の反射部2の厚み寸法は、用途に応じて適宜に設定し得る。
【0023】
このような装飾体によれば、次のような作用効果が得られる。すなわち、装飾体は、基材1が光透過性を有し、また、複数の反射部2がなす間隙4に可視光透過性を有する透過部3が重なっているから、基材1を挟んだ一方の側7Aに光源5がある場合、該間隙4を介して第2の色相の光5aが、基材の他方の側、すなわち視認側7Bに出射される。このとき、複数の反射部2は遮光性を有するから、該光源の光5bを遮断し、さらに、第2の色相の光5aによる、いわゆる逆光の効果のために第1の色相の光6は該視認側7Bにおいて視認され得ない。
【0024】
また、基材1を挟んだ一方の側7Aに光源5がない場合、複数の反射部2は可視光反射性を有するから、基材1の視認側7Bから入射した光6が複数の反射部2により反射されて、第1の色相の光6が該視認側7Bにおいて視認される。このとき、該間隙4を介して第2の色相の光5aが視認側7Bに出射されることは実質的にないため、第2の色相の光5aは該視認側7Bにおいて視認され得ない。
【0025】
したがって、装飾体は、基材1を挟んだ一方の側7Aにおける光源5の有無に応じて、第1の色相、または第2の色相を選択的に発色することができる。
【0026】
このような装飾体の典型的な適用例としては、携帯電話機などの電子機器の外装ケースがあり、この場合、上記の光源5として、この種の物品に備えられる液晶表示部のバックライトを使用することができる。この構成によれば、例えばメールや通話の着信時にバックライトが点灯したことを契機として、装飾体の発色領域10の色相を第1の色相から第2の色相に変化させることができる。もっとも、装飾体の適用例は、これに限られることはなく、健材、オーディオパネル、自動車などのメーターパネル、時計の文字盤なども含む。
【0027】
また、これまで基材1の色相、及び光源5が発する光の色相は無色であることを前提として説明してきたが、有色であってもよい。この場合、発色領域10の色相は、基材1の色相、及び/または光の色相と第1の色相、または第2の色相との混合色となる。なお、以下の実施形態についても、本実施形態と同様に、基材1の色相、及び光源5が発する光の色相は無色であるものとして説明する。
【0028】
2.第2の実施形態
図3は、本発明に係る装飾体の第2の実施形態を示す平面図であり、図4は、図3に示されたIV−IV線に沿う断面図である。装飾体は、上述した実施形態と同様に、基材1と、複数の反射部2と、透過部3とを含み、個々の構成は同じであるが、透過部3の態様が異なっている。
【0029】
透過部3は、基材1において、複数の反射部2が設けられた板面1bの反対側の板面1aに積層されている。図1に示されるように、透過部3は、発色領域10の全体を含むように、基材1の板面1bを見たとき、複数の反射部2、及びそれらの間隙4と重なるように形成されている。
【0030】
複数の反射部2は、基材1の一方の板面1bに、互いに間隙4をおいて線状に積層形成されている。該間隙4は、上述した実施形態とは異なり、空間である。
【0031】
本実施形態の装飾体は、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、透過部3が設けられた側7Aに光源5がある場合、透過部3、及び間隙4を通して第2の色相の光5aが視認側7Bに出射されて視認されるが、反射部2で反射された第1の色相の光6は視認されない。一方、光源5がない場合、視認側7Bにおいて、反射部2で反射された第1の色相の光6は視認されるが、第2の色相の光5aは視認側7Bに出射されない。
【0032】
3.第3の実施形態
図5は、本発明に係る装飾体の第3の実施形態を示す断面図である。装飾体は、上述した実施形態と同様に、基材1と、複数の反射部2と、透過部3とを含み、個々の構成は同じであるが、反射部2と透過部3の態様が異なっている。
【0033】
すなわち、透過部3は、基材1の視認側7Bの板面1aに積層形成されており、この透過部3の表面に、複数の反射部2が間隙4をおいて積層形成されている。したがって、第2の実施形態と同様に、透過部3は、基材1の板面1aを見たとき、複数の反射部2、及びそれらの間隙4と重なるように形成されている。
【0034】
本実施形態の装飾体は、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、基材1の一方の側7Aに光源5がある場合、透過部3、及び間隙4を通して第2の色相の光5aが視認側7Bに出射されて視認されるが、反射部2で反射された第1の色相の光6は視認されない。一方、光源5がない場合、視認側7Bにおいて、反射部2で反射された第1の色相の光6は視認されるが、第2の色相の光5aは視認側7Bに出射されない。
【0035】
4.第4の実施形態
図6は、本発明に係る装飾体の第4の実施形態を示す断面図である。装飾体は、上述した実施形態と同様に、基材1と、複数の反射部2と、透過部3とを含み、個々の構成は同じであるが、反射部2と透過部3の態様が異なっている。
【0036】
すなわち、複数の反射部2は、基板1の一方の板面1aに間隙4をおいて積層形成され、透過部3は、複数の反射部2を覆って該間隙4を充填するように、基材1の板面1aに積層形成されている。したがって、第2の実施形態と同様に、透過部3は、基材1の板面1aを見たとき、複数の反射部2、及びそれらの間隙4と重なるように形成されている。なお、本実施形態では、これまでの実施形態とは異なり、視認側7Bは、基板1の他方の板面1bが面する側にある。
【0037】
本実施形態の装飾体は、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、複数の反射部2と透過部3とが設けられた側7Aに光源5がある場合、透過部3、及び間隙4を通して第2の色相の光5aが視認側7Bに出射されて視認されるが、反射部2で反射された第1の色相の光6は視認されない。一方、光源5がない場合、視認側7Bにおいて、反射部2で反射された第1の色相の光6は視認されるが、第2の色相の光5aは視認側7Bに出射されない。
【0038】
5.第5の実施形態
図7は、本発明に係る装飾体の第5の実施形態を示す断面図である。装飾体は、上述した実施形態と同様に、基材1と、複数の反射部2と、透過部3とを含み、反射部2を除き、個々の構成は同じである。
【0039】
これまでの実施形態では、反射部2が単一層により構成されているのに対し、本実施形態では、反射部2は、透明な第1層2bと、第1層2bに積層された不透明な第2層2aとを含んでいる。第1層2bは、第1の色相を有し、第2層2aは、遮光性、及び可視光反射性を有する。第1層2bとしては、例えば、可視光透過性、すなわち透明色を有するインキを採用し得る。第2層2aとしては、不透明白色のインキを採用し得る。もっとも、第1層2bと第2層2aは、上述したような塗料に限定されず、例えば顔料などの着色剤により着色されたプラスチック基材であってもよい。
【0040】
本実施形態の装飾体は、全体的構成は第4の実施形態と同じであるから、図示されるように、これと同様の作用効果を奏する。
【0041】
6.第6の実施形態
図8は、本発明に係る装飾体の第6の実施形態を示す断面図である。装飾体は、上述した実施形態と同様に、基材1と、複数の反射部2と、透過部3とを含み、個々の構成は同じである。本実施形態の相違点は、装飾体がさらに複数の突起8を含む点にある。
【0042】
複数の突起8は、それぞれ、可視光透過性を有し、基材の板面1a,1bを見たとき、複数の反射部2の各々と重なるように基材1の視認側7Bの板面1bに形成されている。この突起8の形成には、平板印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、たこ印刷、デジタル印刷などの印刷手法を用いることができる。なお、突起8は、必ずしも全ての反射部2と重なるように設ける必要はなく、その一部のみと重なるように設けてもよい。
【0043】
本実施形態の装飾体は、全体的構成は第4の実施形態と同じであるから、図示されるように、これと同様の作用効果を奏するが、これに加えて、複数の突起8による作用効果を奏する。すなわち、複数の突起8は、光の屈折作用によって、視認側7Bの板面1bから所定距離だけ離れた位置に、見る方向によって模様が移動する立体的な像(いわゆる、ゆらぎ)を作り出すのである。
【0044】
なお、複数の突起8は、図8とは異なり、透過部3の表面に形成してもよい。
【0045】
7.第7の実施形態
図9は、本発明に係る装飾体の第7の実施形態を示す断面図である。装飾体は、上述した実施形態と同様に、基材1と、複数の反射部2と、透過部3とを含み、個々の構成は同じである。本実施形態の装飾体は、図5に示された構成に、さらに可視光透過性の保護膜9を設けたものである。
【0046】
保護膜9は、一液ニス、反応性二液ニス、UVニス、あるいは無色の透明フィルムなどにより構成され、複数の反射部2と透過部3とを覆うように発色領域10に形成されている。この保護膜9の形成には、周知の塗布手段、あるいは貼着手段を用いることができる。なお、保護膜9は、必ずしも発色領域10の全体を覆うように設ける必要はなく、その一部のみを覆うように設けてもよい。
【0047】
本実施形態の装飾体は、全体的構成は第3の実施形態と同じであるから、図示されるように、これと同様の作用効果を奏するが、これに加えて、保護膜9による作用効果を奏する。すなわち、保護膜9は、複数の反射部2と透過部3とを保護し、その劣化を妨げる。なお、保護膜9は、これまで述べた全ての実施形態、及び後述する実施形態にも適用することができる。
【0048】
8.第8の実施形態
図10は、本発明に係る装飾体の第8の実施形態を示す平面図であり、図11は、図10に示されたXI−XI線に沿う断面図である。本実施形態の装飾体は、光源5がある場合に模式化した文字「Y」が発色領域10に表示されるように構成したものである。
【0049】
装飾体は、基材1と、複数の反射部2と、透過部3と、色相調整部31と、遮光部11とを含む。
【0050】
複数の反射部2は、基材1の一方の板面1aに、互いに間隙4をおいて積層形成されており、色相調整部31は、基材1の一方の板面1aに、複数の反射部2を覆うように積層形成されている。色相調整部31は、スモーク色などの比較的に暗い色相を有し、例えば可視光透過性インキで構成される。
【0051】
また、透過部3は、色相調整部31の表面に積層形成され、遮光部11は、この透過部3の表面に積層形成され、基材1の表面1aを見たときに、模式化した文字「Y」を構成するように中抜き部分11aを有している。遮光部11は、例えばグレーなどの比較的に暗い色相を有し、例えば遮光性インキで構成される。もっとも、色相調整部31と遮光部11は、このような塗料に限定されず、例えば顔料などの着色剤により着色されたプラスチック基材であってもよい。
【0052】
本実施形態の装飾体は、上述した実施形態と同様の作用効果を奏することにより、光源5がある場合に模式化した文字「Y」が発色領域10に表示され、光源5がない場合、文字が消えて反射部2の第1の色相が矩形状に発色領域10に表示される。
【0053】
すなわち、透過部3などが設けられた側7Aに光源5がある場合、遮光部11の中抜き部分11a、透過部3、色相調整部31、間隙4、及び基材1を通して第2の色相の光5aが視認側7Bに出射される。このとき、複数の反射部2は遮光性を有するから、光源5の光5bを遮断し、遮光部11も遮光性を有するから、光源5の光5cを遮断する。また、第2の色相の光5aによる、いわゆる逆光の効果のために第1の色相の光6aは視認側7Bにおいて視認され得ない。
【0054】
また、基材1を挟んだ一方の側7Aに光源5がない場合、複数の反射部2は可視光反射性を有するから、基材1の視認側7Bから入射した光が複数の反射部2により反射されて、第1の色相の光6aが視認側7Bにおいて視認される。このとき、複数の反射部2がなす間隙4を介して第2の色相の光5aが視認側7Bに出射されることは実質的にないため、第2の色相の光5aは視認側7Bにおいて視認され得ない。
【0055】
したがって、本発明に係る装飾体は、基材1を挟んだ一方の側7Aにおける光源5の有無に応じて、第1の色相を有する矩形状、または第2の色相を有する文字「Y」を選択的に発色表示することができる。
【0056】
本実施形態において、色相調整部31は、必須の構成ではないが、透過部3が赤などの比較的に明るい色相を有している場合に、透過部3の色相が間隙4から視認側7Bへ漏れることを妨げている。つまり、色相調整部31は、その暗い色相によって、視認側7Bから入射して遮光部11により反射された光6bの輝度を低下させているのである。これにより、光源5の有無に関わらず、透過部3の色相を有する光6bが、図10における遮光部11の中抜き部分11aの外側から出射されることはない。なお、光源5がある場合に、遮光部11の中抜き部分11aを透過する光5aは、輝度が高いために、実質的に色相調整部31による影響を受けることは無い。
【0057】
9.第9の実施形態
図12は、本発明に係る装飾体の第9の実施形態を示す平面図であり、図13は、図12に示されたXIII−XIII線に沿う断面図である。装飾体は、上述した実施形態と同様に、基材1と、複数の反射部2と、複数の透過部3とを含み、個々の構成は同じであるが、反射部2の態様が異なっている。
【0058】
すなわち、これまで述べた実施形態における反射部2は平面視で線状に形成されていたのに対して、本実施形態における反射部2は、透過部3とともに矩形状に形成されている。具体的には、複数の反射部2と複数の透過部3は、基材1の一方の板面1bに積層され、市松模様をなすように、交互に隣接して形成されている。言い換えれば、複数の透過部3の各々は、複数の反射部2がなす矩形状の間隙4を充填するように形成されており、これまで述べた実施形態と同様に、基材1の板面1bを見たとき、複数の反射部2がなす間隙4と重なっている。
【0059】
本実施形態の装飾体は、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、基材1の一方の側7Aに光源5がある場合、透過部3を通して第2の色相の光5aが視認側7Bに出射されて視認されるが、反射部2で反射された第1の色相の光6は視認されない。一方、光源5がない場合、視認側7Bにおいて、反射部2で反射された第1の色相の光6は視認されるが、第2の色相の光5aは視認側7Bに出射されない。
【0060】
また、図14に示されるように、複数の反射部2と複数の透過部3を平面視で三角形状とし、交互に隣接するように基材1の板面1bに規則的に積層形成しても、同様の作用効果を奏することは言うまでもない。つまり、複数の反射部2と複数の透過部3のなす形状は、限定されないのである。
【0061】
10.第10の実施形態
図15は、本発明に係る装飾体の第10の実施形態を示す平面図であり、図16は、図15に示されたXVI−XVI線に沿う断面図である。装飾体は、上述した実施形態と同様に、基材1と、複数の反射部2と、透過部3とを含み、個々の構成は同じであるが、反射部2と透過部3の態様が異なっている。
【0062】
すなわち、複数の反射部2は、平面視で円形状をなし、基材1の一方の板面1bに、互いに間隙4をおいて規則的に積層形成されている。この間隙4は、これまでの実施形態とは異なり、平面視で反射部2の周囲全体を取り囲む空間となっている。また、透過部3は、該板面1bの反対側の板面1aに積層されている。図15に示されるように、透過部3は、発色領域10の全体を含むように、基材1の板面1bを見たとき、複数の反射部2、及びそれらの間隙4と重なるように形成されている。
【0063】
本実施形態の装飾体は、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、基材1の一方の側7Aに光源5がある場合、透過部3と間隙4とを通して第2の色相の光5aが視認側7Bに出射されて視認されるが、反射部2で反射された第1の色相の光6は視認されない。一方、光源5がない場合、視認側7Bにおいて、反射部2で反射された第1の色相の光6は視認されるが、第2の色相の光5aは視認側7Bに出射されない。
【0064】
このように、反射部2と透過部3は、如何なる形状であっても、その積層形態は限定されず、図2、及び図3、さらには図5〜図8に示された何れの形態も採り得る。
【0065】
なお、これまで述べた実施形態において、反射部2としてミラーインキを使用すると、光源5がない場合に、発色領域10があたかも鏡面のようになり、デザイン性を高めることができる。
【0066】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0067】
1 基材
1a,1b 板面
2 反射部
2a,2b 第1層、第2層
3 透過部
4 間隙
8 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、複数の反射部と、1以上の透過部とを含む装飾体であって、
前記基材は、可視光透過性を有するシート部材、またはパネル部材であり、
前記複数の反射部は、第1の色相を有するとともに、遮光性、及び可視光反射性を有し、前記基材に互いに間隙をおいて形成されており、
前記1以上の透過部は、前記第1の色相と異なる第2の色相を有するとともに、可視光透過性を有し、前記基材の板面を見たとき、少なくとも部分的に前記間隙と重なるように、前記基材に形成されている、
装飾体。
【請求項2】
請求項1に記載された装飾体であって、
前記複数の反射部と前記1以上の透過部は、前記基材の一方の板面に積層され、
前記1以上の透過部の各々は、前記間隙を充填するように形成されている、
装飾体。
【請求項3】
請求項1に記載された装飾体であって、
前記複数の反射部は、前記基材の一方の板面に積層され、
前記1以上の透過部は、前記基材の他方の板面に積層された、
装飾体。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載された装飾体であって、
前記1以上の透過部の1つは、前記基材の板面を見たとき、前記複数の反射部、及び前記間隙と重なるように形成されている、
装飾体。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載された装飾体であって、
前記複数の反射部は、第1層と、前記第1層に積層された第2層とを含んでおり、
前記第1層は、前記第1の色相を有しており、
前記第2層は、遮光性、及び可視光反射性を有する、
装飾体。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載された装飾体であって、
さらに複数の突起を含み、
前記複数の突起は、それぞれ、可視光透過性を有し、前記基材の板面を見たとき、前記複数の反射部の各々と重なるように前記基材に形成されている、
装飾体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−162005(P2012−162005A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24552(P2011−24552)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(598147802)株式会社 吉田製作所 (3)
【Fターム(参考)】