説明

装飾性シート

【課題】耐ガソリン性があり、使用の際に生じるせん断力や応力により基材と粘着剤層との界面での剥離を抑制しうる非ハロゲン系の装飾性シートを提供する。
【解決手段】ポリエステル系樹脂を主成分とし、ポリカルボジイミドを添加剤として含む樹脂フィルム11と、樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に配置されたアクリル系粘着剤層12とを有する装飾性シートとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は装飾性シートに関し、様々な部材に接着剤層を介して貼り付ける非ハロゲン系の樹脂フィルム基材を有する装飾性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車やモータバイクの外装部品や内装部品、あるいは電気製品、家具および建材等の様々な部材表面の装飾に、塗装の代替として、装飾性シートが広く使われている。装飾性シートは、外装フィルム、マーキングフィルム、ブラックアウトフィルム等、種々の呼ばれ方をするが、粘着剤付基材フィルム上に印刷等により形成した装飾層を備え、必要に応じてさらにその装飾層上に透明な保護層等を持つ多層構造を有するフィルムである。
【0003】
装飾性シート用の基材としては、従来、成形性、耐候性、耐久性、経済性等が良好な、ポリ塩化ビニル系(PVC)材料が主に使用されてきた。しかし、ポリ塩化ビニル材は、燃焼によりダイオキシンを発生する危険があるため、環境の安全に配慮した非ハロゲン基材の使用が望まれている。現在、ポリ塩化ビニルに代わる新たな非ハロゲン基材として、価格的にも比較的安価で高い強度を有するポリプロピレン樹脂を代表とするオレフィン系フィルムの使用が検討されている。特許文献1には装飾性シートとして、ポリオレフィン系樹脂基材を使用したマーキングフィルムが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−189990号公報 請求項1の記載
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ポリオレフィン系材料は原油を精製したナフサを原料とする石油系樹脂であるため、一般に石油系溶剤に侵食され易い。このため、耐ガソリン性が必要とされる自動車やモータバイク等の用途に使用する場合はこの点が課題となる。
【0006】
自動車用途に用いられる装飾性シートの代表的なものとして、「ブラックアウトフィルム」と呼ばれる、窓周りの黒塗装の代替シートがあるが、このブラックアウトフィルムは、自動車の窓枠周辺に使用されるため、窓ガラスの昇降に際し、窓枠に接する部分にせん断の力がかかりやすい。特にパワーウィンドウ機能を持つ車両では、ブラックアウトフィルムに大きなせん断力がかかる場合がある。このように装飾性シートにせん断力や応力等の力がかかると、部材上に貼り付けた装飾性シートの剥がれや皺等が発生しやすくなる。一般に、装飾性シートは積層構造を持つため、一部の層や界面に弱い部分が存在すると、そこから剥離や破壊が生じ易い。
【0007】
ポリオレフィン系樹脂を基材として使用した場合は、基材と粘着剤層との接着性が弱いため、せん断力や応力がかかると、粘着剤層と基材との界面で剥離が生じやすい。プライマーを使用して粘着剤層と基材との接着性を改善する試みも行われているが、せん断力や応力が大きい場合は、プライマー処理を施しても十分ではなく、界面からの剥がれが生じる虞れがある。
【0008】
また、最近では、装飾性シートを部材に貼着する方法として、真空中で加熱により装飾性シートを十分に伸展させた状態で、部材に貼り付ける、真空圧着法が採用されることも多いが、この場合は、貼り付け後に、装飾性シート基材に収縮方向の応力が残留しやすい。このため、ブラックアウトフィルムの場合と同様に、装飾性シートの一部の層や界面に接着性が弱い部分が存在すると、そこから剥がれや皺の発生の問題が生じることが予想される。
【0009】
本発明は、上述する従来の課題に鑑みてなされるもので、耐ガソリン性がある非ハロゲン系の樹脂フィルムを基材として用い、使用の際に生じるせん断力や応力に対し、剥がれや皺の発生を抑制しうる装飾性シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の装飾性シートは、ポリエステル系樹脂を主成分とし、ポリカルボジイミドを添加剤として含む樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に配置されたアクリル系粘着剤層とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の装飾性シートは、非ハロゲン系であるポリエステル系樹脂を主成分とするフィルムを使用しているため、耐薬品性、特にガソリン性に優れたフィルムを提供できる。また、樹脂フィルム中に添加されたポリカルボジイミドが、アクリル系粘着剤層中のカルボン酸と高い反応性を有し、化学結合するため、樹脂フィルムとアクリル系粘着剤層との界面の接着性が改善される。その結果、装飾性シートを使用する際にせん断力や応力がかかった場合にも、樹脂フィルムと粘着層との界面での剥離を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
<装飾性シート>
図1に本発明の一実施形態である装飾性シート1の断面構造を示す。同図に示すように装飾性シート1は、少なくとも樹脂フィルム11とその樹脂フィルムの一方の面に形成された粘着剤層12を基本構造として有する。樹脂フィルム11は、ポリエステル系樹脂を主成分とし、ポリカルボジイミドを添加剤として含む。粘着剤層12はアクリル系粘着剤であり、通常、粘着剤層12表面は「ライナー」と呼ばれる剥離層13で被覆されており、装飾性シートを部材等に貼り付ける際には、この剥離層13を剥がして使用する。
樹脂フィルム11中に添加されたポリカルボジイミドは、樹脂フィルム11の主成分であるポリエステル系樹脂との間では通常、不活性な材料であるが、アクリル系粘着剤に含まれるアクリル酸と反応し、化学結合しやすい。このため、基材と粘着剤層との界面での接着性が改善され、その結果、装飾性シートのシート面内方向に、応力やせん断力が生じる場合に、この界面での基材の剥がれを効果的に抑制できる。
【0013】
本明細書において、「装飾性シート」とは、様々な部材の表面に貼付され、主に部材の装飾性を高めるために使用されるものであるが、「装飾」目的のみならず、表面保護等の目的で部材表面に貼付されるものも含む。「装飾性シート」は、「装飾性フィルム」、「マーキングフィルム」、「マーキングシート」、「外装フィルム」、及び「意匠フィルム」等とほぼ同義である。また、車両の窓枠周囲の黒塗装の代替フィルムとして用いる「ブラックアウトフィルム」も装飾性シートの一態様である。樹脂フィルム11の上には、用途に応じて、装飾層や透明保護層等がさらに積層される。
【0014】
以下、より詳細に装飾性シート1の各構成について説明する。
本発明の装飾性シート1で使用される樹脂フィルム11は、主成分として、ポリエステル系樹脂が使用される。ポリエステル系樹脂は、2価以上のカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、2価以上のアルコール又はフェノール成分とを重縮合して得られる樹脂であり、工業用プラスチックとして広く使用されている。
【0015】
このうち、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)等の熱可塑性ポリエステル樹脂フィルムは、耐薬品性(耐ガソリン性を含む)、耐熱性、機械的特性にすぐれ、自動車やモータバイクへの装飾性シートとしての応用に適している。
【0016】
なお、装飾性シートは、凹凸や三次元曲面を持つ部材表面への貼り付け作業が必要な場合は、可とう性や伸展性が求められる。特に手作業で貼り付け作業がなされる場合は、一般には、樹脂フィルム11として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムより軟化点が低いポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムを使用する方がより可とう性があり、作業性は良い。しかしながら、装飾性シートの部材への貼り付け作業を、手作業にかわり、真空圧着法等の機械的方法で行うこともできる。あるいは、機械的方法を使用する場合において、貼り付け時に加熱を行うこともできる。この場合は、手作業の場合に較べ曲げ弾性率がより高いもの使用することも可能である。よって、多少硬質なポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムを使用することも可能である。
【0017】
手作業での貼り付けの際、良好な作業性を得るには、例えば弾性率が約300MPa〜約700MPa、好ましくは390MPa〜650MPaのポリエステルフィルムを樹脂フィルム11として用いることが望ましい。
【0018】
ポリエステルフィルムに上述するような弾性率、言い換えれば可とう性や伸展性等の柔軟性を付与するには、ポリエステル樹脂にポリテトラメチレングリコール等の柔軟性を付与できる成分を共重合する方法や、得られた共重合体をポリエステルに添加する方法、あるいはエチレン・アクリル酸共重合体の金属塩を添加する方法等を使用できる。
【0019】
また、芳香族ポリエステルと柔軟性を持つ脂肪酸ポリエーテルとの共重合体、あるいは芳香族ポリエステルと柔軟性を持つ脂肪酸ポリエーテルとの共重合体も柔軟性をもつポリエステルフィルムとして使用できる。
【0020】
あるいは、柔軟性を持つポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG:Polyethylene Terephthalate Glycol)あるいはアモルファスポリエチレンテレフタレート(APET: Amorhous Polyethylene Terephthalate)等の非結晶性又は低結晶性ポリエステル系樹脂を使用することもできる。例えば結晶化度が50%以下の結晶性の低いポリエステルであって、具体的には、テレフタル酸を主体とするジカルボン酸成分と、エチレングリコール及び、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの少なくとも1種のジオール成分とからなる共重合ポリエステルが挙げられる。なお、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸以外に、アジピン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸及びそれらのエステル形成性誘導体、ジオール成分として、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール以外の脂肪族ジオール、芳香族ジオール、脂環式ジオールなどの成分を含んでも良い。また、上述した非結晶性又は低結晶性ポリエステル系樹脂に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの結晶化度が50%を超える結晶性ポリエステル系樹脂を混合してもよい。結晶性のポリブチレンテレフタレート系樹脂は、ポリブチレンテレフタレートのみならず、イソフタル酸、アジピン酸などのテレフタル酸以外のジカルボン酸成分や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、プロピレングリコールなどのブチレングリコール以外のジオール成分を少量共重合したものでもよい。また、二種以上のポリブチレンテレフタレート系樹脂を混合してもよい。さらに、ポリブチレンテレフタレート系樹脂以外の樹脂を少量添加してもよい。さらに、紫外線吸収剤、帯電防止剤などの各種の添加剤を配合してもよい。
【0021】
市販されているポリエチレンテレフタレート(PET)としては、例えば、ユニチカ社の商品名「エリテールTM」シリーズや東洋紡績社の商品名「バイロン(登録商標)」シリーズがある。また、市販の入手可能なポリブチレンテレフタレート樹脂としては、東レ社の商品名「トレコン(登録商標)」、三菱エンジニアリングプラスチック社の商品名「ノバデュラン(登録商標)」、日本ジーイープラスチック社の商品名「バロックス」、三菱レイヨン社の商品名「タフペット」大日本インキ化学工業社の商品名「プラナック」、及びウィンテックポリマー社の商品名「ジェラネックス(登録商標)」等がある。
【0022】
樹脂フィルム11中には、上記主成分以外にポリカルボジイミドが含有される。ポリカルボジイミドは、カルボジイミド基(−N=C=N−)を有するポリマーであり、カルボジイミド化触媒のもと、ジイソシアネートの脱炭酸縮合反応により形成できる。例えば芳香族ジイソシアネート化合物または脂環族ジイソシアネート化合物を脱炭酸縮合反応して得られるポリカルボジイミドが使用できる。
【0023】
具体的なジイソシアネート化合物としては、例えば1,3,5−イソプロピル−2,4−ジイソシアナトベンゼン、ナフタレンー1,5−ジイソシアネート、2,4−ジイソシアナト−3,5−ジエチルトルエン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルフェニルイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルフェニルイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピル−6−メチルフェニルイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルシクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートを例示することができる。ジイソシアネート化合物は、1種または1種以上を用いることができる。好ましいポリカルボジイミドは、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートのいずれか1種または1種以上のジイソシアネート化合物から得られるポリカルボジイミドである。ポリカルボジイミドは、その末端が、一級若しくは二級アミン、カルボン酸、酸無水物又はモノイソシアネートで封止したものであってもよい。
【0024】
なお、テトラメチルキシリレンジイソシアネートに由来するカルボジイミドで、残存するイソシアネート基が3質量%以下、或いは末端がモノイソシアネートで封止されているものは、ポリエステル系樹脂に対し良好な相溶性を示すとともに、ポリエステル系樹脂に対し非常に安定であり、樹脂との混合や混練作業をスムーズに行うことができる。市販されているポリカルボジイミドとしては、日清紡社の商品名「カルボジライト」を使用できる。
【0025】
樹脂フィルム11中に含まれるポリカルボジイミドの添加量は、限定されるものではないが、少なくとも、樹脂フィルムとアクリル系接着剤との界面における接着力の改善が見られる約0.5質量%以上、或いは約1質量%以上の含有量が望ましい。なお、2質量%を超えると、接着力の改善効果は飽和し始める。よって、樹脂フィルム中のポリカルボジイミドの添加量は、0.5質量%以上10質量%以下でよい。或いは、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下でもよい。
【0026】
なお、ポリエステル系樹脂にポリカルボジイミドを加水分解防止剤として添加する例は知られているが、本発明のポリカルボジイミドの主たる役割は、装飾性シートの基材としてポリエステル系樹脂フィルムを使用した場合に、隣接するアクリル系接着剤との高い反応性により、フィルムと接着剤層の界面接着力を強化することである。しかしながら、同時に、ポリカルボジイミドが有するポリエステル系樹脂の加水分解防止効果を妨げるものではない。
【0027】
樹脂フィルム11の厚みは特に限定されず、貼り付ける部材の形状や貼り付け方法等の用途に応じて変更できる。貼り付け作業性は、膜厚のみならず、フィルムの弾性率にも依存するが、一般に、樹脂フィルム11が厚すぎると、柔軟性が低下し貼り付け作業性が悪くなるとともに、貼り付ける部材の凹凸形状への追従性が低下する。薄すぎると、貼り付け時にフィルムに皺ができ易くなり、貼り付け作業性が低下する。また、樹脂フィルムの弾性率が高すぎれば追従性が悪く、手作業での貼り付けが困難になる。弾性率が低すぎるとこしがなく、皺が発生し易くなる。したがって、手作業で装飾性シートを自動車の車体に貼り付けることを考慮すると、例えば樹脂フィルム11の弾性率が約300MPa以上700MPa以下の場合、樹脂フィルムの膜厚を50μm以上200μm以下とする。さらに、70μm以上、もしくは90μm以上、130μm以下、もしくは110μm以下とすれば、より作業性は良好となる。
【0028】
なお、樹脂フィルム11は、更に、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、補強材、顔料、染料、難燃剤、核剤、滑剤、可塑剤、離型剤その他添加物を含有していてもよく、また、他のポリマーとの混合物であってもよい。
【0029】
粘着剤層12の主成分であるアクリル系粘着剤は、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリルなどの共重合体をベースとした粘着剤である。
【0030】
アクリル系粘着剤中に含まれるアクリル酸には、カルボキシル基(-COOH)が含まれており、樹脂フィルム中のポリカルボジイミドは、アクリル系粘着層との界面で、アクリル酸中に含まれるカルボキシル基と、以下の化学反応を生じる。なお、ここでRは、炭素数4〜10の直鎖又は分枝鎖アルキル基を表す。
【0031】
【化1】

【0032】
こうして、樹脂フィルム11と粘着剤層12との界面で樹脂フィルム中のポリカルボジイミドとアクリル系粘着剤中のカルボキシル基とが化学結合するため、界面の接着性が改善され、耐せん断性や保持力が高まる。したがって、装飾性シート1を部材に貼り付けた後、装飾性シート1に面内方向にせん断力や、応力が生じても、樹脂フィルム11と粘着剤層12界面での剥がれの発生を抑制できる。
【0033】
なお、アクリル系粘着剤中のアクリル酸のモノマー組成としては、5質量%〜15質量%が好ましい。さらに、アクリル系粘着剤には、イソシアネート架橋剤が含まれていることが望ましい。イソシアネート架橋を行うことにより、アクリル系粘着剤の凝集力をさらに改善できる。
【0034】
粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、例えば、約10μm〜50μm、或いは約25μm〜40μmである。
なお、樹脂フィルム11の表面、すなわち粘着剤層が形成される面とは反対の面上に、さらに用途や装飾目的に応じて、コーティングや印刷等の種々の方法により、単数、または複数の装飾層を積層してもよい。例えば、装飾層として、着色剤を含むインク層を形成してもよい。このインク層は、単一色の層のみならず、複数の色で模様が形成した層であってもよい。着色剤としては、フタロシアニン系青顔料やアゾ系赤顔料、アルミフレーク、マイカ粉等を用いることができる。このインク層は、印刷を含む種々のコーティング方法で形成できる。インク層の厚さは特に限定されないが、着色層による適度な隠蔽力を得るため例えば1μm以上が望ましい。一方50μmを超えると印刷やコーティングが困難になる。
【0035】
さらに、樹脂フィルム表面に直接、もしくは上記装飾層上に、「クリア層」と呼ばれる透明保護層を被覆してもよい。このクリア層は、耐候性、耐水性に優れ、また透明性の高い材料から構成することが好ましい。このような材料としては、例えば、フッ素系樹脂塗料、アクリル系樹脂塗料、熱硬化性ウレタン塗料、或いは紫外線硬化性塗料等の無色の塗料が使用できる。このクリア層の層厚は、特に限定されないが、クリア層の保護効果を得るため1μm以上、印刷法等で容易に形成するためには、50μm以下とすることが望ましい。
【0036】
粘着剤層12の表面に形成される剥離層13は、特に限定されないが、紙や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、酢酸セルロース等のプラスチック材料、或いは紙の表面にこれらのプラスチック材料をコーティングしたもの、さらにこれらの表面にシリコーン処理等をしたものが使用できる。なお、剥離層13の表面形状は限定されず、エンボスやストライプや多角形の凸部を形成してもよい。剥離層13表面の凹凸と反転する凹凸形状が粘着剤層表面に転写され、粘着剤層にストライプや格子等の溝を形成することができる。これらの溝は、装飾性シートを部材に貼り付ける際に、エアーの通気を促し、エアー残りをなくすとともに、部材上で装飾性シートの貼り付け位置の修正を容易にする。
【0037】
<装飾性シートの製造方法>
次に、本発明の実施の形態に係る装飾性シートの製造方法について説明する。
まず、樹脂フィルムの製造方法について説明する。製造方法については特に限定されず、カレンダー成形、押出成形等種々の成形方法を使用できる。例えば押し出し成形を使用する場合は、ポリエステル系樹脂ペレットとポリカルボジイミドのペレットもしくは粒状原料とを所定量比で押し出し成形機のホッパに入れる。ホッパからスクリューに供給されたペレットは、加熱され、スクリュー回転により溶解、混練され、ダイを通過する過程でフィルムに成形される。先に、ポリカルボジイミドを最終含有量より多目にポリエステル樹脂に含有したマスターバッチを作製してもよい。ポリエステル樹脂とこのマスターバッチを混合して、最終的にポリカルボジイミドを所定量混合したポリエステル樹脂コンパウンドを形成してもよい。こうして得られた混合樹脂コンパウンドは、フィルム成形用のダイを備えた押出成形機を用いて成形され、樹脂フィルムとなる。
【0038】
一方、アクリル系粘着剤層は、アクリル粘着剤とイソシアネート硬化剤とを所定比で混合した混合液を剥離層であるライナー(剥離紙)上にバーコータ等を用いてコーティングを行い、塗布層を形成し、続いてオーブンにて塗布層を乾燥させる。その後、アクリル系粘着剤層が形成されたライナーとポリエステル樹脂フィルムとをアクリル系粘着剤層とポリエステル樹脂フィルムとが密着するように貼り合わせ、図1に示す装飾性シート1を得る。なお、アクリル系粘着剤層は、ライナーの代わりに樹脂フィルム上にコーティングし、乾燥後ライナーに貼り合せる手順をとることも可能である。
また、インク層及びクリア層を形成する場合は、ポリエステル樹脂フィルムの露出表面上に、シルクスクリーン印刷やグラビア印刷等の方法で各層を形成し、乾燥する。
【0039】
<装飾性シートの用途>
本発明の装飾性シートが貼付される部材に特に制限はないが、代表的な部材としては、自動車やオートバイ等の車両の外装部品及び内装部品、家具、電化製品、建材等が挙げられる。特に、本発明の装飾性シートは、ポリエステル樹脂系フィルムを用いているため耐ガソリン性が良く、自動車やオートバイ等のガソリンを使用する用途に適している。
【0040】
また、ブラックアウトフィルムとして使用する場合は、フィルム端部が車両の窓枠部に回り込むように貼られるため、窓ガラスの昇降の際にフィルム端部にせん断力が生じ易いが、本発明の装飾性シートは、樹脂フィルムと界面での接着性が改善されており、せん断力によるめくれ(剥がれ)や皺の発生が抑制できる。
【0041】
さらに、本発明の装飾性シートは、部材表面にスキージ等を用い、手作業で貼り付けることもできるが、機械的な方法で装飾性シートの貼り付けを行うこともできる。例えば、真空成形法で機械的に装飾性シートを部材に貼り付ける場合は、アプリケーションテープと呼ばれる貼り付ける装飾性シートより広い面積のシート状テープを用意する。このテープ上に装飾性シートを貼り付け、積層体とし、この積層体と真空成形用装置とで閉空間を形成させ、その閉空間内に部材を装着し、その閉空間内を減圧することにより装飾性シートを部材表面に貼り付ける。また、部材に装飾性シートを貼り付ける際、装飾性シートを加熱し、伸展させた状態で部材に貼り付けることもできる。機械的に貼り付けを行う場合は、手作業で貼り付けを行う場合以上に、装飾性シートに大きな伸展力がかかる。特に加熱を行う場合は、装飾性シートを貼り付け後、常温に戻したときに、シート面内に収縮方向の応力が残留する。この残留応力により、ブラックアウトフィルムの場合と同様に、装飾性シートにせん断力が加わるが、本発明の装飾性シートは、樹脂フィルムと界面での接着性が改善されているため保持力が高く、めくれ(剥がれ)や皺の発生が生じ難い。
【実施例】
【0042】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例の記載に限定されるものではない。ここで、特に断りのない限り、「%」は質量%を意味する。
I.実施例1、2及び比較例1〜3
<実施例1>
ポリエステル樹脂として、ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、「PBT樹脂」と表する)を用いた。具体的には、PBT樹脂原料として三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ノバデュラン5510S(商品名)を使用し、ポリカルボジイミド原料として、日清紡(株)製カルボジライトLA-1(商品名)を使用した。
まず、PBT樹脂とポリカルボジイミドとを混合したマスターバッチを作製した。すなわち、押出成形機を用い、ペレット状のPBT樹脂原料90質量部に対し粉体状のポリカルボジイミド原料10質量部をホッパに入れ、スクリュー回転により、溶解、混練させ、ダイから取りだし、ペレット状の樹脂(マスターバッチ)を得た。
次に、このマスターバッチとPBT樹脂ペレットとを押出成形機を用いて混合し、1質量%ポリカルボジイミドが添加されたPBT樹脂を厚み100μmのフィルム状に成形した。このフィルム成形にはL/D=26で30mm径のフルフライト型スクリューを使用した押出し機にフィルム用ダイを取り付けたものを使用し、240℃で成形加工した。
一方、粘着剤としては、住友スリーエム(株)製アクリル粘着剤RDZ2904に綜研化学(株)製イソシアネート硬化剤L-45を0.5%配合したものを使用した。このアクリル系粘着剤を剥離層(ライナー)上にバーコータを用いて塗布し、90℃で乾燥し、約35μmの粘着剤層を形成した。このライナーとしては、シリコーン処理したポリエステルフィルム(商品名クリスパーK2372 東洋紡製)を用いた。
ポリカルボジイミドが添加されたPBT樹脂フィルムとアクリル粘着剤が塗布されたライナーとを貼り合せ、実施例1の装飾性シートを得た。
【0043】
<実施例2>
2質量%ポリカルボジイミドが添加されたPBT樹脂をフィルム状に成形した。それ以外は、実施例1の条件と同様な条件を用いて、実施例2の装飾性シートを得た。
【0044】
<比較例1>
樹脂フィルムとして、ポリカルボジイミドを含まないPBT樹脂フィルムを使用した。PBT樹脂フィルムは、ポリカルボジイミドを含まない以外は、実施例1と同様の条件で作製した。実施例1と同様な条件で、樹脂フィルムと、アクリル粘着剤がコーティングされたライナーとを貼り合せ、比較例1の装飾性シートを得た。
【0045】
<比較例2>
樹脂フィルムとして、塩ビ(PVC)フィルムを作製した。この塩ビフィルムは、塩ビ樹脂(住友スリーエム(株)製FRA3045J)をカレンダー成形により膜厚90μmのフィルムに成形し、フィルム表面にプライマ-処理を行うことで作製した。実施例1と同様な条件で、樹脂フィルムと、アクリル粘着剤がコーティングされたライナーとを貼り合せ、比較例2の装飾性シートを得た。
【0046】
<比較例3>
樹脂フィルムとして、オレフィンフィルムを作製した。このオレフィンフィルムは、押し出し成形した膜厚85μmのポリプロピレンフィルム(住友スリーエム(株)製FPA9300J)の表面をコロナ処理し、その後プライマ-処理を行うことで作製した。
実施例1と同様な条件で、樹脂フィルムと、アクリル粘着剤がコーティングされたライナーとを貼り合せ、比較例3の装飾性シートを得た。
【0047】
2、試験、評価
実施例及び比較例の各装飾性シートを自動車やモータバイクの車体に貼り付ける場合を想定し、塗装板に各装飾性シート貼り付けたサンプルを用いて、接着性の目安として、耐せん断力試験と保持力試験を行った。また、耐溶剤試験を含む種々の耐性試験を行った。各試験方法は以下に示す。
【0048】
<耐せん断力試験>
まず、幅25mm長さ45mmの関西ペイント製KINO1200TW塗装板を準備した。この塗装板の塗装表面の一方の片側、端部から長さ25mmの領域に装飾性シートをスキージで300mm/minの速度で貼り付けた。装飾性シートが貼られていない塗装板の他方の片側端部にパンチ穴を施した。これをサンプルとして使用した。
このサンプルを図2に示す試験機2を用いて耐せん断力を測定した。試験機2は、複数の回転ローラ25からなる台座と、この台座上方に鉛直垂直方向に荷重をかけるための荷重手段(ロードセル)21とを備えている。台座上にサンプル24を置き、その上にEPDMラバー23(10mm×20mm)を介して装飾性シート上に鉛直方向に4kgの重り21をかけた状態で仮固定した。この状態で、試験機ごと80℃のオーブンへ入れ、塗装板のパンチ穴に750gの重り22を繋いだ。こうして塗装板に水平方向に移動する力をかけた。この結果、装飾性シートの粘着剤層にはせん断力がかかった状態となり、そのまま24時間放置した。その後、サンプルをオーブンから取りだし、装飾性シートの状態を観察した。
装飾性シートの状態変化から、耐せん断力を以下のレベル1〜5の5段階で評価した。なお、実用化の観点からは、レベル1または2であれば望ましい。
レベル1: 装飾性シート自体のずれ(スリップ)がなかった。
レベル2: 荷重がかかった装飾性シートの局部(EPDMゴムが接する部分)のみにず れを生じたが、ずれの幅は1mm未満であった。
レベル3: 装飾性シート全体もしくは装飾性シートの局部周囲において1mm以上 のずれが生じた。
【0049】
<保持力試験>
幅約20mm、長さ32mmの関西ペイント(株)製 KINO1200TWクリヤー塗装板と、片面を♯500サンドペーパで研磨した、幅10mm長さ60mmのアルミニウム板とを準備した。一方、試験サンプルとして、実施例または比較例の装飾性シートを幅約15mm、長さ約70mmにカットしたものを準備した。
塗装板をイソプロピルアルコールで洗浄し、乾燥させた。塗装板表面の一方の端部、長さ10mm以上の領域に装飾性シートをスキージで300mm/minの速度で貼り付けた。貼り付け後、80℃のオーブンで24時間養生した。次に貼り付けた装飾性シートの表面を♯500サンドペーパで研磨した。装飾性シートの研磨面をイソプロピルアルコールで洗浄し、乾燥させた。装飾性シートの研磨面に瞬間接着剤を少量塗布し、その上にアルミニウム板の研磨面を貼付け、重石をのせ接着固定した。固定位置は、塗装板端部から10mm程度の位置にした。はみ出した瞬間接着剤は拭き取った。また、アルミニウム板に沿って装飾性シートをカットした。アルミニウム板の装飾性シートが貼られていないほうの端部中央に、重りを取り付けるためにパンチ穴をあけた。こうして、試験片を得た。
80℃の恒温槽中で、試験片を保持力試験機にセットし、10分間養生させた後、アルミニウム板に施したパンチ穴に2100g荷重の重りをかけ、この重りが落下するまでの時間を測定した。試験片3つについて同じ試験を行い、落下までの時間平均を計測値とした。重りが落下するまでに要する時間が長い程、保持力が高いと評価できる。
【0050】
<耐性試験>
長さ150mm幅70mmの関西ペイント製KINO1200TW塗装板に、長さ50mm、幅50mmの装飾性シートをスキージを用いて貼り付けた試験片を作製し、以下の条件で各条件での耐性試験を行った。
a. 耐熱性:試験片を80℃のオーブン内に168時間置いた後取り出し、外観を観 察した。
b. 耐水性:試験片を40℃の恒温水槽に168時間浸漬した後取り出し、外観を観 察した。
c. 耐湿性:試験片を50℃、湿度98%の恒温槽内に168時間置いた後取り出し 、外観を観察した。
d. 耐ガソリン性:試験片をレギュラーガソリン中に30分間浸漬した後、取り出し て24時間放置したものの外観を観察した。
e. 耐軽油性:試験片の表面上に、軽油0.5ml滴下した後、24時間放置した。 軽油をふき取った後、外観を観察した。
f. 耐灯油性:試験片の表面上に、灯油0.5mlを滴下し後、24時間放置した。 軽油をふき取った後、外観を観察した。
g. 耐ワックスリムーバ性:ガードワックスリムーバ(商品名ST−7 ユシロ化学 工業製)0.5mlを滴下し後、24時間放置した。リムーバをふき取った後、 外観を観察した。
h. 耐エンジンオイル性:エンジンオイル(商品名ニッサンモーターオイル ストロ ングセーブ・X 5W−30 日産自動車製)0.5mlを滴下し後、24時間 放置した。オイルをふき取った後、外観を観察した。
【0051】
外観観察から、装飾性シートの耐性について、レベル1〜4の4段階に分けて評価した。
レベル1 :装飾性シートの外観に変化がなかった(良好)。
レベル2 :観察時に装飾性シートの端部が膨潤していたが、24時間内に元の装飾 性シート外観が復元された(復元可能)。
レベル3 :観察時に装飾性シートの端部が膨潤しており、元の外観に復元できるも のの、24時間内には復元できなかった(復元困難)。
レベル4 :装飾性シートの剥がれが生じた。元の装飾性シート外観は復元できなか った(剥離発生、復元不可)。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
3.試験結果
<耐せん断力試験、保持力試験結果>
試験結果を表1に示す。オレフィン系フィルムを用いた比較例3の装飾性シートでは、保持力としては従来の塩ビを用いた比較例2の装飾性シートやPBTを用いた実施例の装飾性シートより良好であるものの、耐せん断力性については劣っていた。
PBTを主成分とし、ポリカルボジイミドを含まない比較例1の装飾性シートも、実施例1及び2の装飾性シートも、従来の塩ビを用いた比較例2の装飾性シートと同程度の耐せん断性を有していたが、保持力試験については、ポリカルボジイミドを添加した実施例1及び実施例2の装飾性シートは、ポリカルボジイミドを含まない比較例1に対して、顕著に改善されていた。
【0055】
<耐溶剤等試験結果>
試験結果を表2に示す。いずれの装飾性シートも耐熱性、耐水性、耐湿性にはすぐれているが、オレフィン系フィルムを使用した比較例3の装飾性シートでは、石油系溶剤に対する耐薬品性が、PBTを主成分とする装飾性シート(実施例1、2及び比較例1)に比較し劣っていた。
【0056】
4.貼り付け作業性
手作業で装飾性シートを自動車やモータバイクの車体に貼り付ける際に良好な作業性を得る条件を確認するため、膜厚と弾性率の異なる複数のPBTを主成分とする参考例の装飾性シートを用い、その作業性について検討した。なお、ここで使用した装飾性シートにはポリカルボジイミドが添加されていないが、ポリカルボジイミドの添加量が10質量%未満の場合は、フィルムの弾性率に大きな変化はないため、ここで得られた結果は、本発明の装飾性シートにも適用できる。
【0057】
<参考例1>
PBT樹脂として東洋紡製ペルプレンS3002(商品名)を使用した以外は、比較例1と同様な条件で、樹脂フィルムの膜厚が異なる5種の装飾性シートを作製した。
【0058】
<参考例2>
比較例1と同様に、PBT樹脂として三菱エンジニアリングプラスチック製のノバデュラン5510S(商品名)を使用し、樹脂フィルムの膜厚が異なる5種の装飾性シートを作製した。
【0059】
<参考例3>
PBT樹脂として三菱エンジニアリングプラスチック製のノバデュラン5505S(商品名)と5510S(商品名)とを質量比1:1で混合した樹脂を使用し、比較例1と同様な条件で、樹脂フィルムの膜厚が異なる5種の装飾性シートを作製した。
【0060】
<参考例4>
PBT樹脂として三菱エンジニアリングプラスチック製のノバデュラン5505S(商品名)を使用し、比較例1と同様な条件で、樹脂フィルムの膜厚が異なる5種の装飾性シートを作製した。
【0061】
<樹脂フィルムの弾性率の測定>
各参考例の樹脂フィルムについて、以下の条件で弾性率を測定した。幅25mm長さ150mmの試験片を用い、チャック間距離100mm、20℃にて、測定スピード300mm/minで、引っ張り試験を行い、弾性率を測定した。測定結果を表3に示した。
【0062】
<貼り付け作業性評価方法>
塗装された自動車のドアを用意し、ドアの塗装面に幅25mm、長さ100mmの装飾フィルムを貼り付け、装飾フィルムの端部をドアコーナー部でドア裏側に巻き込むように折り返す作業をスキージを用いて手作業で行った。なお、巻き込み幅は、約3mmとした。装飾フィルムがドアの形状に馴染んで、浮き上がりや剥がれなく貼られているかどうかを観察した。評価結果を表3に示した。
【0063】
【表3】

【0064】
<貼り付け作業性評価結果>
表3の結果より、上記評価条件において、膜厚が約70〜130μm、弾性率約390〜650MPaの条件で良好な貼り付け作業性が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態に係る装飾性シートの構造を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例及び比較例の装飾性シートの耐せん断力試験に使用した試験機の構造概念図である。
【符号の説明】
【0066】
1 装飾性シート
2 試験機
11 樹脂フィルム
12 粘着剤層
13 剥離層
21 ロードセル
22 重り
23 ラバー
24 サンプル
25 回転ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル系樹脂を主成分とし、ポリカルボジイミドを添加剤として含む樹脂フィルムと、
前記樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に配置されたアクリル系粘着剤層と
を有する装飾性シート。
【請求項2】
前記樹脂フィルムは、前記ポリカルボジイミドを、0.5質量%以上含む、請求項1に記載の装飾性シート。
【請求項3】
前記ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂もしくはポリブチレンテレフタレート樹脂である、請求項1または2に記載の装飾性シート。
【請求項4】
前記樹脂フィルムと前記アクリル系粘着剤層との界面において、少なくとも一部の前記ポリカルボジイミド中のカルボジイミド基(−N=C=N-)と前記アクリル系粘着剤層中のカルボキシル基(-COOH)とが化学結合していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の装飾性シート。
【請求項5】
前記樹脂フィルムは、弾性率が300MPa以上700MPa以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の装飾性シート。
【請求項6】
前記樹脂フィルムは、厚みが50〜200μmである、請求項1から5のいずれか1項に記載の装飾性シート。
【請求項7】
前記アクリル系粘着剤層は、イソシアネート架橋されたものである請求項1から6のいずれか1項に記載の装飾性シート。
【請求項8】
前記装飾性シートは、自動車の窓枠周辺の外装装飾に使用されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の装飾性シート。
【請求項9】
前記装飾性シートは、被装飾部材に貼り付ける際に、100℃以上の温度で被装飾部材表面に真空圧着される装飾性シートとして使用されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の装飾性シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−265134(P2008−265134A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110550(P2007−110550)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】