説明

補正装置、補正方法、補正プログラム及び半導体装置の製造方法

【課題】 半導体パターンの露光条件及び観察条件を補正する補正パラメータを外乱の影響を抑制して算出でき、半導体パターンの露光条件及び観察条件における精度を向上可能な補正装置を提供する。
【解決手段】 半導体パターンの露光条件又は観察条件を補正する初期補正パラメータを格納する補正パラメータ記憶装置51と、半導体パターンを露光又は観察したときの誤差を算出する誤差算出部42と、誤差を最小とする仮補正パラメータを算出する仮補正部43と、仮補正パラメータと初期補正パラメータを用いて統計処理を行い、露光条件又は観察条件を補正する本補正パラメータを算出する本補正部44を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造技術に係り、特に、半導体パターンの露光条件及び観察条件を補正する補正装置、補正方法、補正プログラム及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の微細化に伴い、半導体パターンの露光及び観察技術には高精度化が求められている。露光技術においては、半導体集積回路の微細化に伴い、電子ビーム(EB)や集束イオンビーム(FIB)などの荷電粒子ビームを用いる荷電粒子ビーム描画装置が重要になりつつある。荷電粒子ビーム描画装置は、安定した稼動、高いスループット、及び微細加工性能が要求される。しかし、荷電粒子ビーム描画装置を構成する部品の加工精度や組み立て精度には限界があり、荷電粒子ビームを偏向する偏向器による偏向歪み等により、荷電粒子ビームを用いて描画したときに、荷電粒子ビームの実際の照射位置と設計段階で当初予定した所望の照射位置とに位置ずれ(誤差)が生ずる場合がある。荷電粒子ビームを精度良く照射するためには、露光条件等を補正して、位置ずれ(誤差)を補正することが重要である。
【0003】
荷電粒子ビームの照射位置の補正方法としては、例えば、荷電粒子ビーム描画装置のアパーチャの透過電流を調整して成形偏向器の機械的な回転誤差を補正する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、荷電粒子ビーム描画装置のレンズを調整する方法が知られている。レンズの調整方法としては、レンズの電流値を調整して、一括露光用アパーチャの投影像でステージ上に配置されたマーク上を走査した時に得られる反射電子、透過電子、二次電子や光を検出し、マークとアパーチャの図形の相関をとる方法;倍率を規定したいレンズの像面上の図形の寸法を測る手法;レンズの像面上の図形を位置を取得し、レンズの倍率、回転や歪を調整する方法等が知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、荷電粒子ビームの位置ずれを、試料面上の荷電粒子ビームの位置決めをする偏向系で補正する方法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。更に、荷電粒子ビームが偏向される領域内にマークを移動し、マーク検出することで、設定偏向量、ステージ位置、及び検出されたマーク位置の関係から、偏向ゲイン(偏向感度)を補正する手法が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0004】
荷電粒子ビームの照射位置の補正方法においては、荷電粒子ビームを照射して誤差等に基づいて補正パラメータを算出し、補正パラメータを用いて露光条件を補正する。しかし、荷電粒子ビームを照射するときにノイズ等の外乱の影響を受け、補正パラメータとして最適値が算出できない場合がある。このため、荷電粒子ビームによる描画精度が劣化する場合がる。
【特許文献1】特公平7−107893号公報
【特許文献2】特許第3064375号公報
【特許文献3】特許第2786660号公報
【特許文献4】特開2000−6464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、半導体パターンの露光条件及び観察条件を補正する補正パラメータを外乱の影響を抑制して算出でき、半導体パターンの露光条件及び観察条件における精度を向上可能な補正装置、補正方法、補正プログラム及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴は、(イ)半導体パターンの露光条件又は観察条件を補正する初期補正パラメータを格納する補正パラメータ記憶装置と、(ロ)前記初期補正パラメータを用いて前記半導体パターンを露光又は観察したときの誤差を算出する誤差算出部と、(ハ)前記誤差を最小とする仮補正パラメータを算出する仮補正部と、(ニ)前記仮補正パラメータと前記初期補正パラメータを用いて統計処理を行い、前記露光条件又は観察条件を補正する本補正パラメータを算出する本補正部とを備える補正装置であることを要旨とする。
【0007】
本発明の第2の特徴は、(イ)誤差算出部が、半導体パターンの露光条件又は観察条件を補正する初期補正パラメータを用いて前記半導体パターンを露光又は観察したときの誤差を算出する手順と、(ロ)仮補正部が、前記誤差を最小とする仮補正パラメータを算出する手順と、(ハ)本補正部が、前記仮補正パラメータと前記初期補正パラメータを用いて統計処理を行い、前記露光条件又は観察条件を補正する本補正パラメータを算出する手順とを含む補正方法であることを要旨とする。
【0008】
本発明の第3の特徴は、(イ)補正パラメータ記憶装置に格納された半導体パターンの露光条件又は観察条件を補正する初期補正パラメータを用いて前記半導体パターンを露光又は観察したときの誤差を誤差算出部により算出させる命令と、(ロ)前記誤差を最小とする仮補正パラメータを仮補正部により算出させる命令と、(ハ)前記仮補正パラメータと前記初期補正パラメータを用いて統計処理を行い、前記露光条件又は観察条件を補正する本補正パラメータを本補正部により算出させる命令とをコンピュータに実行させる補正プログラムであることを要旨とする。
【0009】
本発明の第4の特徴は、(イ)半導体ウェハ上にレジスト膜を塗布する工程と、(ロ)半導体パターンの露光条件を補正する初期補正パラメータを用いて前記半導体パターンを露光したときの誤差を算出し、前記誤差を最小とする仮補正パラメータを算出し、前記仮補正パラメータと前記初期補正パラメータを用いて統計処理を行い、前記露光条件を補正する本補正パラメータを算出し、前記本補正パラメータを用いて前記半導体パターンを前記レジスト膜に露光してマスクを形成する工程と、(ハ)前記マスクを用いて前記半導体ウェハを加工する工程とを含む半導体装置の製造方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半導体パターンの露光条件及び観察条件を補正する補正パラメータを外乱の影響を抑制して算出でき、半導体パターンの露光条件及び観察条件における精度を向上可能な補正装置、補正方法、補正プログラム及び半導体装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一あるいは類似部分には同一あるいは類似な符号を付している。ただし、図面は模式的なものである。以下の説明では、電子ビームを用いる電子ビーム描画装置(電子ビーム露光装置)を一例に説明するが、イオンビームを用いるイオンビーム描画装置についても電子ビーム描画装置の場合と同様に以下の説明を適用することができる。また、本発明は、半導体パターンを露光するための装置、例えばエキシマレーザーや紫外線を使用した光露光装置や、X線を使用したX線露光装置にも適用することが可能である。また、本発明は、電子ビームを用いた走査型電子顕微鏡等の観察装置にも適用可能である。
【0012】
本発明の実施の形態に係る補正装置3は、図1に示すように、電子ビームの露光条件を補正する初期補正パラメータを格納する補正パラメータ記憶装置51と、初期補正パラメータを用いて半導体パターンを露光したときの誤差を算出する誤差算出部42と、誤差を最小とする仮補正パラメータを算出する仮補正部43と、仮補正パラメータと初期補正パラメータを用いて統計処理を行い、露光条件を補正する本補正パラメータを算出する本補正部44を備える。誤差算出部42、仮補正部43及び本補正部44は、中央処理装置(CPU)4に含まれる。
【0013】
図1に示した電子ビーム描画装置は、描画部1、描画回路2及び補正装置3を備える。描画部1は、鏡筒10及び試料室11を備える。描画部1は、図2に示すように、鏡筒10内に、電子銃12、コンデンサレンズ14、第1及び第2成形アパーチャ(CPアパーチャ)15,20、ブランキングアパーチャ16、ブランキング偏向器17a,17b、投影レンズ18、キャラクタプロジェクション(CP)選択偏向器19a,19b、縮小レンズ21、対物レンズ23、及び対物偏向器(偏向器)22a,22bを備える。
【0014】
電子銃12は、電子ビームを発生する。コンデンサレンズ14は、電子ビームの照明条件を調整する。第1及び第2成形アパーチャ15,20は、電子ビームを所望の形状に成形する。ブランキングアパーチャ16は、電子ビームをオン/オフさせる。ブランキング偏向器17a,17bは、電子ビームをブランキングアパーチャ16上へ偏向する。投影レンズ18は、第2成形アパーチャ20上に像面を形成する。CP選択偏向器19a,19bは、CPアパーチャ15,20が有するパターン(キャラクタ)を選択してCPアパーチャ15,20の光学的な重なりの程度を制御する。縮小レンズ21及び対物レンズ23は、電子ビームをマーク台25や試料27上に結像させる。対物偏向器22a,22bは、電子ビームの照射位置を制御する。CP選択偏向器19a,19b及び対物偏向器22a,22bとしては、例えばコイルや静電型偏向器が使用可能である。また、対物偏向器22a,22bは、スループットを低下させることなく且つ高精度に偏向するために、主偏向器及び副偏向器、並びに偏向収差を最小にするための複数の偏向電極を有する。
【0015】
描画部1は、試料室11内に、位置検出用のマーク台25及びファラデーカップ28と、マーク台25や試料27上からの二次電子や反射電子を検出する検出器24と、X方向及びY方向に移動可能なステージ26を備える。ステージ26上に配置される試料27としては、半導体装置を製造する場合にはレジストを塗布したシリコン(Si)等の半導体基板等を、露光用マスクを作製する場合にはレジスト膜を塗布したガラス基板等を用いることができる。
【0016】
電子銃12から発生した電子ビームは、コンデンサレンズ14により所望の電流密度に調整され、第1成形アパーチャ15に均一に照射される。第1成形アパーチャ15を通過した電子ビームは、投影レンズ18により、第2成形アパーチャ20に照射される。第1及び第2成形アパーチャ15,20の光学的重なりによる電子ビームは、対物偏向器22a,22bが電界を形成して偏向され、縮小レンズ21及び対物レンズ23により試料27上に結像される。また、試料27を移動する場合、試料27の不必要な部分が露光されないように、ブランキング偏向器17a,17bで電子ビームをブランキングアパーチャ16上へ偏向することで、電子ビームをオフ、即ち試料27の表面上に到達しないようにする。
【0017】
電子ビームを偏向するとき、シフト、倍率、回転及び高次の歪み等の偏向器による偏向歪み等により、図3に示すように、電子ビームの実際の照射位置pa(Xa,Ya)が、設計段階で当初予定した所望の照射位置(以下、「ターゲット位置」という。)pd(Xd,Yd)からずれる場合がある。実際の照射位置pa(Xa,Ya)とターゲット位置pd(Xd,Yd)との誤差(Δx,Δy)は、一般的には下記3次多項式(1)及び(2)を用いて補正する。
【0018】
Xc=Xd+a0+a1Xd+a2Yd+a3XdYd+a4Xd2+a5Yd2+a6Xd2Yd+a7XdYd2+a8Xd3+a9Yd3・・・・・(1)
Yc=Yd+b0+b1Xd+b2Yd+b3XdYd+b4Xd2+b5Yd2+b6Xd2Yd+b7Xdy2+b8Xd3+b9Yd3・・・・・(2)
ここで、(Xc,Yc)は偏向電圧に相当する補正量、a0〜a9,b0〜b9は補正パラメータを示す。電子ビームを偏向する際には、ターゲット位置pd(Xd,Yd)の座標(Xd,Yd)を補正式(1)及び(2)の右辺の項Xd,Ydに代入し、予め設定された補正パラメータa0〜a9,b0〜b9を用いて補正量(Xc,Yc)を算出する。ここで、説明を平易にするため、実際の照射位置pa(Xa,Ya)とターゲット位置pd(Xd,Yd)との誤差(Δx,Δy)は、例えば以下の補正式(3)及び(4)を用いて補正されるものとする。
【0019】
Xc=a0+a1Xd+a2Yd+a3XdYd ・・・・・(3)
Yc=b0+b1Xd+b2Yd+b3XdYd ・・・・・(4)
ここで、(Xc,Yc)は偏向電圧に相当する補正量、a0〜a3,b0〜b3は補正パラメータを示す。補正パラメータa0〜a3,b0〜b3は、倍率や回転等を補正するための値をとる。電子ビームを偏向する際には、ターゲット位置pd(Xd,Yd)の座標(Xd,Yd)を補正式(3)及び(4)の右辺の項Xd,Ydに代入し、予め設定された補正パラメータa0〜a3,b0〜b3を用いて補正量(Xc,Yc)を算出する。偏向アンプ30が、補正量(Xc,Yc)に相当する偏向電圧を偏向器22aに印加して、電子ビームの照射位置が補正される。ここで、予め設定された補正パラメータa0〜a3,b0〜b3の値が不正確である場合、適切な補正量(Xc,Yc)が得られず、描画精度が劣化する。このため、適切な補正パラメータa0〜a3,b0〜b3を得ることが重要である。
【0020】
図1に示した補正装置3は、中央処理装置(CPU)4、補正パラメータ記憶装置51、位置記憶装置52、主記憶装置6、入力装置7及び出力装置8を備える。補正パラメータ記憶装置51は、n回目の露光条件の補正で用いた初期補正パラメータPnから(n−i)回目の露光条件の補正で用いた初期補正パラメータPn-i(a0n-i, a1n-i,a2n-i,a3n-i,b0n-i,b1n-i,b2n-i,b3n-i)までの、以前の露光条件の補正でそれぞれ用いた複数の初期補正パラメータPn-i〜Pnを格納する(n,iは正の整数)。位置記憶装置52は、ステージ26上のターゲット位置pd(Xd,Yd)、及び実際の照射位置pa(Xa,Ya)を格納する。ターゲット位置pd(Xd,Yd)は、入力装置7を介して入力されても良く、位置記憶装置52に予め格納されていても良い。
【0021】
CPU4は、描画回路制御部41、誤差算出部42、仮補正部43及び本補正部44を備える。描画回路制御部41は、描画回路2のステージ制御部33、ビーム制御部31及び信号処理部32を制御する。描画回路制御部41は、補正パラメータ記憶装置51から読み出したn回目の露光条件の補正で用いた初期補正パラメータPnをビーム制御部31に設定する。更に描画回路制御部41は、描画部1の性能等に基づいて電子ビーム補正間隔をビーム制御部31に設定する。
【0022】
誤差算出部42は、位置記憶装置52から読み出したターゲット位置pd(Xd,Yd)と、及び初期補正パラメータPnを用いて、電子ビームをターゲット位置pd(Xd,Yd)に照射したときの実際の照射位置pa(Xa,Ya)との誤差(Δx,Δy)を算出する。
【0023】
仮補正部43は、誤差算出部42により算出された誤差(Δx,Δy)を読み込んで、最小二乗法を用いて誤差(Δx,Δy)を最小にする仮補正パラメータP'n(a0'n,a1'n,a2'n,a3'n,b0'n,b1'n,b2'n,b3'n)を算出する。
【0024】
本補正部44は、仮補正部43により算出された仮補正パラメータP'n、及び補正パラメータ記憶装置51から読み出した初期補正パラメータPn-i〜Pnを用いて統計処理(平滑化処理)を行い、本補正パラメータPn+1(a0n+1,a1n+1,a2n+1,a3n+1,b0n+1,b1n+1,b2n+1,b3n+1)を算出する。例えば、本補正部44は、n回目から(n−4)回目までのビーム補正でそれぞれ用いた補正パラメータPn-4〜Pnと、仮補正パラメータP'nを下記式(5)に代入した加重平均を本補正パラメータPn+1として算出する。
【0025】
Pn+1=(1-Σmi)P'n+Σ(miPi) ・・・・・(5)
ここで、miは重み係数を示す。重み係数miの値は例えば入力装置7を介して任意に決定可能である。所望の描画するときには、描画回路制御部41は、本補正パラメータPn+1を描画回路2のビーム制御部31に設定する。
【0026】
図1に示した描画回路2は、ビーム制御部31、信号処理部32、ステージ制御部33及び偏向アンプ30を備える。ビーム制御部31は、補正装置3の描画回路制御部41により設定されたターゲット位置pd(Xd,Yd)、及び(n回目の露光条件の補正で用いた補正パラメータPn(a0n,a1n,a2n,a3n,b0n,b1n,b2n,b3n)や本補正パラメータPn+1を補正式(3)及び(4)に代入して、ターゲット位置pd(Xd,Yd)に対する補正量(Xc,Yc)を算出する。
【0027】
偏向アンプ30は、ビーム制御部31により算出された補正量(Xc,Yc)を用いて、ターゲット位置pd(Xd,Yd)に電子ビームが照射されるように、図2に示した対物偏向器22a,22bに偏向電圧を印加する。なお、偏向アンプ30は、ブランキング偏向器17a,17bに電子ビームをオン/オフさせるための偏向電圧や、CP選択偏向器19a,19bに電子ビームの重なりの程度を制御させるための電圧も印加する。
【0028】
図1に示したステージ制御部33には、図示を省略したモーター及びレーザー測長計がそれぞれ接続されている。ステージ制御部33は、レーザー測長計で測定されたステージ26の座標位置を参照しながらモーターを駆動してステージ26の位置を制御する。信号処理部32は、検出器24により検出された二次電子や反射電子を電気信号に変換して、実際の照射位置pa(Xa,Ya)を補正装置3に伝達する。実際の照射位置pa(Xa,Ya)は、位置記憶装置52に格納される。
【0029】
補正装置3は、入力装置7、出力装置8等をCPU4につなぐ図示を省略した入出力制御装置(インターフェース)を備える。また、CPU4は、図示を省略した記憶装置管理手段を備える。補正パラメータ記憶装置51、位置記憶装置52、及び主記憶装置6との入出力が必要な場合は、記憶装置管理手段を介してファイルの読み出し・書き込み処理がなされる。
【0030】
主記憶装置6には、ROM及びRAMが組み込まれている。ROMは、CPU4において実行されるプログラムを格納しているプログラム記憶装置等として機能する(プログラムの詳細は後述する。)。RAMは、CPU4におけるプログラム実行処理中に利用されるデータ等を一時的に格納したり、作業領域として利用される一時的なデータメモリ等として機能する。主記憶装置6としては、例えば半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクや磁気テープ等が採用可能である。
【0031】
入力装置7からは、検出用位置等が入力される。入力装置7としては、例えばキーボード、マウス、OCR等の認識装置、イメージスキャナ等の図形入力装置、音声入力装置等の特殊入力装置が使用可能である。出力装置8は、CPU4により決定された次期パラメータ等を画面(モニタ)に表示したり、印刷することが可能である。出力装置8としては、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ等の表示装置や、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ等の印刷装置等を用いることができる。
【0032】
次に、本発明の実施の形態に係る電子ビーム描画方法を、図4のフローチャートにしたがって説明する。
【0033】
(イ)ステップS1において、図1に示した描画回路制御部41は、補正パラメータ記憶装置51から読み出した前回(n回目)の露光条件の補正で用いた初期補正パラメータPnを描画回路2のビーム制御部31に設定する。ステップS2において、描画回路制御部41は、描画部1の性能等に基づいて電子ビーム補正間隔もビーム制御部31に設定する。
【0034】
(ロ)ステップS3において、ビーム制御部31は、位置記憶装置52から読み出したターゲット位置pd(Xd,Yd)、及び前回(n回目)の露光条件の補正で用いた初期補正パラメータPnを補正式(3)及び(4)に代入して、補正量(Xc,Yc)を算出する。偏向アンプ30は、ビーム制御部31により算出された補正量(Xc,Yc)に相当する偏向電圧を対物偏向器22a,22bに印加することにより、露光条件を補正する。補正された露光条件で、電子ビームが、ターゲット位置pd(Xd,Yd)に偏向される。検出器24により二次電子或いは反射電子が検出され、電子ビームの実際の照射位置pa(Xa,Ya)が位置記憶装置52に格納される。
【0035】
(ハ)ステップS41において、誤差算出部42は、位置記憶装置52から読み出した実際の照射位置pa(Xa,Ya)と、位置記憶装置52から読み出したターゲット位置pd(Xd,Yd)との誤差(Δx,Δy)を算出する。ステップS42において、仮補正部43は、誤差算出部42により算出された誤差(Δx,Δy)を読み込んで、最小二乗法を用いて誤差(Δx,Δy)を最小にする仮補正パラメータP'nを算出する。ステップS43において、本補正部44では、仮補正部43により算出された仮補正パラメータP'nと、補正パラメータ記憶装置51から読み出した複数の初期補正パラメータPn-i〜Pnとの統計処理(平滑化処理)を行い、本補正パラメータPn+1を算出する。
【0036】
(ニ)ステップS5において、描画回路制御部41は、本補正部44により算出された本補正パラメータPn+1をビーム制御部31に設定する。ステップS6において、ビーム制御部31は、本補正パラメータPn+1を用いて所望の描画位置(ターゲット位置)pd(Xd,Yd)に対する補正量(Xc,Yc)を算出する。偏向アンプ30は、補正量(Xc,Yc)に相当する偏向電圧を対物偏向器22a,22bに印加することにより、電子ビームの露光条件を補正する。補正された露光条件で、電子ビームを用いて、所望の描画処理が行われる。
【0037】
(ホ)ステップS7において、ステップS2において設定した露光条件の補正時間以内であればステップS8に進む。一方、ステップS7において露光条件の補正時間を過ぎていれば描画処理を一時中断してステップS3に戻る。ステップS8において描画処理が終了してれば終了処理を行う。一方、ステップS8において描画処理が終了していなければステップS6に戻り引き続き描画処理を行う。
【0038】
図4に示すステップS42で算出された仮補正パラメータP'nを用いて電子ビームを補正した場合には、前回(n回目)の露光条件の補正で用いた初期補正パラメータPnや誤差(Δx,Δy)にノイズ等の外乱の影響を受けて、仮補正パラメータP'nが最適値からずれる場合がある。これに対して、本発明の実施の形態によれば、ステップS43において仮補正パラメータP'nと以前の露光条件の補正で用いた初期補正パラメータPn-i〜Pnで統計処理を行うので、外乱の影響が低減された本補正パラメータPn+1を算出でき、描画精度を向上することができる。
【0039】
図5に、本発明の実施の形態に係る本補正パラメータPn+1を用いて露光条件を補正する場合の本補正パラメータPn+1の履歴を実線で示し、比較例として本補正パラメータPn+1を算出する以前の仮補正パラメータP'nを用いて露光条件を補正する場合の仮補正パラメータP'nの履歴を点線で示す。本補正パラメータPn+1の履歴は、仮補正パラメータP'nの履歴よりもばらつきが少ないことが分かる。
【0040】
また、図6に、本発明の実施の形態に係る本補正パラメータPn+1を用いて電子ビームの露光条件を補正する場合の描画精度の履歴を実線で示し、比較例としての仮補正パラメータP'nを用いて電子ビームの露光条件を補正する場合の描画精度の履歴を点線で示す。実線で示した本補正パラメータPn+1を用いる場合は、点線で示した仮補正パラメータP'nを用いる場合よりも描画精度の劣化が抑制されていることが分かる。
【0041】
次に、図1に示した電子ビーム描画装置を用いた直接描画方式による半導体装置(LSI)の製造方法の一例を、図7を参照して説明する。
【0042】
(イ)まず、図7のステップS100において、プロセス・マスクシミュレーションが実施される。プロセス・マスクシミュレーションの結果と各電極に入力される電流や電圧の各値から、デバイスシミュレーションがなされる。デバイスシミュレーションにより得られた電気的特性を用いてLSIの回路シミュレーションが行われ、レイアウトデータ(設計データ)を生成する。レイアウトデータをそれぞれ変換して電子ビーム描画装置用の描画データを生成する。
【0043】
(ハ)次に、ステップS302におけるフロントエンド工程(基板工程)では、ステップS310における酸化工程、ステップS311におけるレジスト塗布工程、ステップS312における直接描画方式によるフォトリソグラフィ工程、ステップS313におけるイオン注入工程及びステップS314における熱処理工程等が繰り返して実施される。ステップS313においては、半導体ウェハ上に感光膜(フォトレジスト膜)が塗布される。ステップS312において、図1に示した電子ビーム描画装置を用いて、図4のステップS1〜S8に示す手順と同様に本補正パラメータPn+1を算出し、本補正パラメータPn+1を用いて補正量(Xc,Yc)を算出し、補正量(Xc,Yc)を用いて露光条件を補正しつつ直接描画方式で半導体ウェハ上のフォトレジストに半導体パターンを描画する。更に、フォトレジスト膜が現像されて加工用マスクが作製される。ステップS313においては、作製された加工用マスクを用いて半導体ウェハが加工される。・・・・・一連の工程が終了すると、ステップS303へ進む。
【0044】
(ニ)次に、ステップS303において、基板表面に対して配線処理が施されるバックエンド工程(表面配線工程)が行われる。バックエンド工程では、ステップS315における化学気相成長(CVD)工程、ステップS316におけるレジスト塗布工程、ステップS317における直接描画方式によるフォトリソグラフィ工程、ステップS318におけるエッチング工程、ステップS319における金属堆積工程等が繰り返し実施される。ステップS317においては、ステップS312と同様に、図1に示した電子ビーム描画装置を用いて、図4のステップS1〜S8に示す手順と同様に露光条件を補正しつつ直接描画方式で半導体ウェハ上のフォトレジストに半導体パターンを描画する。更に、フォトレジストを現像して、フォトレジストからなるエッチングマスクが形成される。・・・・・一連の工程が終了したら、ステップS304へ進む。
【0045】
(ホ)多層配線構造が完成し、前工程が完了すれば、ステップS304において、ダイヤモンドブレード等のダイシング装置により、所定のチップサイズに分割される。そして、金属若しくはセラミックス等のパッケージング材料にマウントされ、チップ上の電極パッドとリードフレームのリードを金線で接続された後、樹脂封止などの所要のパッケージ組み立ての工程が実施される。
【0046】
(ヘ)ステップS400において、半導体装置の性能・機能に関する特性検査、リード形状・寸法状態、信頼性試験などの所定の検査を経て、半導体装置が完成される。ステップS500において、以上の工程をクリアした半導体装置は、水分、静電気などから保護するための包装を施され、出荷される。
【0047】
実施の形態に係る直接描画方式による半導体装置の製造方法によれば、ステップS312及びS317において、本補正パラメータPn+1を用いて補正量(Xc,Yc)を算出し、補正量(Xc,Yc)を用いて露光条件を補正している。したがって、描画精度を向上することができ、半導体装置の歩留まりを向上することができる。
【0048】
(第1の変形例)
本発明の実施の形態の第1の変形例に係る電子ビーム描画装置の補正装置3は、図8に示すように、CPU4の予測部45を更に備える。予測部45は、補正パラメータ記憶装置51から読み出したn回目までの露光条件の補正でそれぞれ用いた複数の初期補正パラメータPn-i〜Pnを時系列解析して、初期補正パラメータPn-i〜Pnの変化の傾向(トレンド)を求める。更に、予測部45は、初期補正パラメータPn-i〜Pnの変化の傾向(トレンド)に基づいて、(n+1)回目の本補正パラメータPn+1を予測する。
【0049】
例えば、予測部45は、図9に点線で示す過去24時間以内に1時間毎に算出された24個の補正パラメータPn-23〜Pnを読み出す。予測部45は、補正パラメータPn-23〜Pnの時系列解析を行い、図9に実線で示すように時間軸に対する初期補正パラメータPn-i〜Pnの変化の傾向を3時間毎の移動平均として求める。予測部45は、実線で示した補正パラメータPn-23〜Pnの変化の傾向から、十字で示す本補正パラメータPn+1を予測する。他の構成は、図1に示した電子ビーム描画装置と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0050】
次に、本発明の実施の形態の第1の変形例に係る電子ビーム描画方法を図10を用いて説明する。
【0051】
(イ)ステップS1及びS2の手順は、実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。ステップS2xにおいて、描画回路制御部41は、本補正パラメータPn+1を予測するビーム予測間隔を設定する。ステップS3〜S6の手順は、図4に示した手順と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。ステップS6xにおいて、予測間隔以内であれば、ステップS7に進む。一方、ビーム予測間隔を過ぎていれば、描画処理を一時中断してステップS6yに進む。
【0052】
(ロ)ステップS6yにおいて、予測部45は、補正パラメータ記憶装置51から読み出した初期補正パラメータPn-i〜Pnを時系列解析して、時間軸に対する初期補正パラメータPn-i〜Pnの変化の傾向を求める。更に、予測部45は、初期補正パラメータPn-i〜Pnの変化の傾向に基づいて本補正パラメータPn+1を予測する。ステップS5に戻り、描画回路制御部41は、予測された本補正パラメータPn+1をビーム制御部31に設定する。ステップS6において、描画部1において所望の描画処理が行われる。ここで、ビーム制御部31は、本補正パラメータPn+1を用いて補正量(Xc,Yc)を算出する。偏向アンプ30が補正量(Xc,Yc)を用いて偏向電圧を対物偏向器22a,22bに印加して電子ビームの照射位置が補正される。
【0053】
(ハ)ステップS7において、電子ビーム補正間隔以内であればステップS8に進む。一方、ステップS7において電子ビーム補正間隔を過ぎていれば描画処理を一時中断してステップS3の露光条件の補正に戻る。ステップS8において描画が終了していれば終了処理を行う。一方、描画処理が途中であればステップS6に戻り描画処理を行う。
【0054】
本発明の実施の形態の第1の変形例によれば、予測部45が本補正パラメータPn+1を予測し、予測された本補正パラメータPn+1を用いて露光条件を補正しているので、電子ビームを実際に照射して本補正パラメータPn+1を算出するよりも補正時間を短縮できる。この結果、実質的な稼働時間を増加でき、生産性を向上させることが可能になる。この結果、半導体装置製造の歩留まりを向上することができる。
【0055】
図11には、比較例としての、仮補正パラメータP'nを用いて露光条件を補正する場合の稼動時間の内訳を示す。露光条件の補正を頻繁に行うために稼働時間の多くを露光条件の補正時間にとられ、描画時間、即ち生産時間が少ないことが分かる。これに対して、図12には、図8に示した電子ビーム描画装置を用いた場合の稼動時間の内訳を示す。第1の変形例では、本補正パラメータPn+1を予測しているので、露光条件の補正時間が図11に比べ小さく、結果として装置稼動時間における描画時間(生産時間)が増加していることが分かる。
【0056】
図13に、本補正パラメータPn+1を用いて露光条件を補正した場合の本補正パラメータPn+1の履歴を実線で示し、比較例として仮補正パラメータP'nを用いて露光条件を補正した場合の仮補正パラメータP'nの履歴を点線で示す。実線で示した本補正パラメータPn+1の履歴は、点線で示した仮補正パラメータP'nの履歴よりも変動が少なく安定しているのが分かる。
【0057】
図14に、本発明の実施の形態に係る本補正パラメータPn+1を予測して補正した場合の描画精度の履歴を実線で示し、比較例として仮補正パラメータP'nを用いて補正した場合の描画精度の履歴を点線で示す。点線で示した比較例では、露光条件を補正した時間T11から時間が経過すると次の露光条件の補正の時間T12まで描画精度が劣化するのが分かる。これに対して実線で示した本発明の実施の形態では、電子ビーム補正間隔T11〜T12内で本補正パラメータPn+1を予測し、予測された本補正パラメータPn+1を用いて露光条件を補正しているので、電子ビーム補正間隔T11〜T12内でも安定した描画精度を実現しているのが分かる。
【0058】
(第2の変形例)
本発明の実施の形態の第2の変形例に係る電子ビーム描画装置は、図15に示すように、描画部1が設置されるクリーンルーム(CR)内の圧力(以下、「CR圧力」という。)を計測する圧力センサ91、ステージ26の温度(以下、「ステージ温度」という。)を計測するステージ温度センサ92、及び試料室11内の温度(以下、「試料室温度」という。)を計測する試料室温度センサ93が配置されている点が、図1に示した電子ビーム描画装置と異なる。
【0059】
図16に示すように、CR圧力やステージ温度は逐次変動する。CR圧力が変動すると、真空容器(チャンバー)である試料室11が変形して誤差要因となる。ステージ温度が変動すると、ステージ26自体やステージ26上に配置された試料27が変形して、電子ビームの照射位置の誤差が生じる。また、試料室温度も変動して、金属の膨張や収縮により電子ビームの照射位置に誤差が生じる。圧力センサ91、ステージ温度センサ92、試料室温度センサ93によりそれぞれ計測されたCR圧力、ステージ温度、試料室温度は、「環境パラメータ」として環境パラメータ記憶装置53に格納される。
【0060】
更に、図15に示したCPU4が環境変動量算出部46を備える点が、図1に示した電子ビーム描画装置と異なる。予測部45は、補正パラメータ記憶装置51から読み出した初期補正パラメータPn-i〜Pnに基づいて本補正パラメータPn+1を予測する。環境変動量算出部46は、環境パラメータ記憶装置53から読み出した今回(n+1回目)の環境パラメータと、前回(n回目)の環境パラメータの差分をとり「環境パラメータ変動量」として算出する。
【0061】
更に、予測部45は、ステージ温度変動量ΔTstg、CR圧力変動量ΔPcr及び試料室温度変動量ΔTchを、重み係数C1〜C3で重み付けして線形結合させた予測式(6)を用いて、環境パラメータ変動量ΔTstg,ΔPcr,ΔTchによる本補正パラメータの変動量ΔPを算出する。
【0062】
ΔP=C1ΔTstg+C2ΔPcr+C3ΔTch ・・・・・(6)
ここで、重み係数C1〜C3の値は、予め実験で求めておき、環境パラメータ記憶装置53等に格納しておいても良く、或いは入力装置7を介して入力しても良い。更に、予測部45は、予測された本補正パラメータPn+1に本補正パラメータ変動量ΔPを加算する。この結果、環境パラメータ変動量ΔTstg,ΔPcr,ΔTchを考慮した本補正パラメータPn+1+ΔPが予測される。
【0063】
次に、本発明の実施の形態の第2の変形例に係る電子ビーム描画方法を、図10及び図17のフローチャートを参照しながら説明する。本発明の実施の形態の第2の変形例に係る電子ビーム描画方法では、図15に示した圧力センサ91、ステージ温度センサ92、試料室温度センサ93が、環境パラメータ変動を常に監視する。圧力センサ91、ステージ温度センサ92、試料室温度センサ93によりそれぞれ計測されたCR圧力、ステージ温度、試料室温度等が、環境パラメータとして環境パラメータ記憶装置53に格納する。
【0064】
(イ)図10に示したステップS1〜S6の手順は実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。図10に示したステップS6yにおいて、図17に示すように、ステップS61において予測部45は、本補正パラメータPn+1を予測する。ステップS62において、環境変動量算出部46は、環境パラメータ記憶装置53から読み出した今回(n+1回目)の環境パラメータと、前回(n回目)の環境パラメータの差分をとり環境ステージ温度変動量ΔTstg、CR圧力変動量ΔPcr及び試料室温度変動量ΔTchを算出する。
【0065】
(ロ)ステップS63において、予測部45は、ステージ温度変動量ΔTstg、CR圧力変動量ΔPcr及び試料室温度変動量ΔTchを予測式(6)に代入して、本補正パラメータの変動量ΔPを算出する。ステップS64において、予測部45は、予測された本補正パラメータPn+1に本補正パラメータ変動量ΔPを加算する。この結果、環境パラメータ変動量ΔTstg,ΔPcr,ΔTchを考慮した本補正パラメータPn+1+ΔPが予測される。他の手順は、図10に示した電子ビーム描画方法と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0066】
図18に、比較例として、周辺の環境パラメータの変動を考慮しない例を示す。ビーム補正時間T1,T5以外は、周辺環境が変動しても、補正パラメータは補正されない。このため、環境パラメータの変動によって、図19に示すように描画精度が劣化する。これに対して、本発明の実施の形態の第2の変形例によれば、図20に示すように、ビーム補正時間T1,T5から時間が経過して環境パラメータが変動した時間T2,T3,T4,T6に、本補正パラメータPn+1に本補正パラメータ変動量ΔPを加算する。この結果、環境パラメータ変動量ΔTstg,ΔPcr,ΔTchを考慮した本補正パラメータPn+1+ΔPを予測して、電子ビームの露光条件を補正する。したがって、図21に示すように描画精度の劣化を抑制することができる。なお、環境パラメータの種類はステージ温度変動量ΔTstg、CR圧力変動量ΔPcr及び試料室温度変動量ΔTchに限定されるものではない。
【0067】
(第3の変形例)
本発明の実施の形態の第3の変形例に係る電子ビーム描画装置の補正装置3は、図22に示すように、修正部47を更に有する点が、図15に示した電子ビーム描画装置と異なる。修正部47は、モデルを自動修正するカルマンフィルタの機能を備える。カルマンフィルタは、典型的な統計的手法である。予測部45は、例えばステージ温度変動量ΔTstg(T)、CR圧力変動量ΔPcr(T)、試料室温度変動量ΔTch(T)等の環境パラメータ変動量を予想目的に最も寄与するであろう「説明変数(原因)」として重み係数C1(T),C2(T),C3(T)で線形結合させた予測式(7)を用いて、環境パラメータ変動量ΔTstg(T),ΔPcr(T),ΔTch(T)による本補正パラメータの変動量ΔP(T)を「目的変数(結果)」として算出する。
【0068】
ΔP(T)=C1(T)Tstg(T)+C2(T)Pcr(T)+C3(T)Tch(T) ・・・・・(7)
予測部45は、本補正パラメータPn+1に本補正パラメータの変動量ΔPを加算する。この結果、環境パラメータ変動量ΔTstg(T),ΔPcr(T),ΔTch(T)を考慮した本補正パラメータΔP+ΔP(T)が予測される。
【0069】
誤差算出部42は、環境パラメータ変動量ΔTstg(T),ΔPcr(T),ΔTch(T)を考慮した本補正パラメータΔP+ΔP(T)を用いて描画したときの実際の照射位置pa(Xa,Ya)とターゲット位置pd(Xd,Yd)との誤差(Δx,Δy)を算出する。仮補正部43は、誤差算出部42により算出された誤差(Δx,Δy)を読み込んで、最小二乗法を用いて、誤差(Δx,Δy)を最小にする仮補正パラメータP'nを算出する。本補正部44は、仮補正部43により算出された仮補正パラメータP'nと、補正パラメータ記憶装置51から読み出した初期補正パラメータPn-i〜Pnとの統計処理を行い本補正パラメータPn+1を算出する。
【0070】
一方、修正部47は、予測された本補正パラメータΔP+ΔP(T)と、最適な本補正パラメータPn+1との誤差を比較して、重み係数C1(T),C2(T),C3(T)を修正する。この結果、修正された重み係数C1(T+1),C2(T+1),C3(T+1)の予測式(8)が得られる。
【0071】
ΔP(T+1)=C1(T+1)Tstg(T+1)+C2(T+1)Pcr(T+1)+C3(T+1)Tch(T+1)・・・・・(8)
次回の露光条件の補正の際には、予測部45は、予測式(8)を用いて本補正パラメータPn+2(a0n+2,a1n+2,a2n+2,a3n+2,b0n+2,b1n+2,b2n+2,b3n+2)を予測する。図23に、環境パラメータ変動量を考慮した本補正パラメータを四角で、最適な本補正パラメータを丸で、予測式(7)を用いて予測された本補正パラメータを三角で示す。ここで、例えば時間T33のように誤差We33が大きいときには修正幅Wc33も大きくとり、逆に時間T32のように誤差We32が小さいときには修正幅Wc32を小さくとる。
【0072】
また、描画回路2が、図1に示した偏向アンプ30の代わりに、主偏向器22xに偏向電圧を印加する主偏向アンプ30y、副偏向器22yに偏向電圧22yに偏向電圧を印加する副偏向アンプ30xを備える。電子ビームの照射位置補正の際には、主偏向器22x及び副偏向器22yにより露光条件を補正しても、いずれか一方を用いて補正しても良い。
【0073】
次に、本発明の実施の形態の第3の変形例に係る電子ビーム描画方法を、図10及び図24のフローチャートを参照しながら説明する。
【0074】
(イ)図10に示したステップS1〜S6の手順は実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。図10に示したステップS6yにおいて、図24に示すように、ステップS65において、予測部45は、例えば前回(n回目)の露光条件の補正時のΔTstg(T),ΔPcr(T),ΔTch(T)を説明変数として、重み係数C1(T),C2(T),C3(T)で線形結合させた予測式(6)を作成する。
【0075】
(ロ)ステップS66において、環境パラメータ変動量ΔTstg(T),ΔPcr(T),ΔTch(T)による本補正パラメータの変動量ΔP(T)を算出する。予測部45は、予測された本補正パラメータPn+1に本補正パラメータ変動量ΔPを加算する。この結果、環境パラメータ変動量ΔTstg(T),ΔPcr(T),ΔTch(T)を考慮した本補正パラメータΔP+ΔP(T)が予測される。
【0076】
(ハ)ステップS67において、誤差算出部42は、環本補正パラメータΔP+ΔP(T)を用いて描画したときの実際の照射位置pa(Xa,Ya)とターゲット位置pd(Xd,Yd)との誤差(Δx,Δy)を算出する。仮補正部43は、誤差算出部42により算出された誤差(Δx,Δy)を読み込んで、最小二乗法を用いて、誤差(Δx,Δy)を最小にする仮補正パラメータP'nを算出する。本補正部44は、仮補正部43により算出された仮補正パラメータP'nと、補正パラメータ記憶装置51から読み出した初期補正パラメータPn-i〜Pnとの統計処理を行い本補正パラメータPn+1を算出する。修正部47は、本補正パラメータΔP+ΔP(T)と、最適な本補正パラメータPn+1との誤差を比較して、重み係数C1(T),C2(T),C3(T)を修正する。この結果、修正された重み係数C1(T+1),C2(T+1),C3(T+1)の予測式(8)が得られる。次回の露光条件の補正の際には、予測部45は、予測式(8)を用いて、次回の露光条件の補正で用いる本補正パラメータPn+2を予測する。他の手順は、図10に示した手順と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0077】
本発明の実施の形態の第3の変形例によれば、カルマンフィルタの機能を有する修正部47を用いて予測式(8)の重み係数C1(T+1),C2(T+1),C3(T+1)を修正するので、描画精度を更に向上させることができる。
【0078】
なお、例えば、本発明の実施の形態において示した重み係数miをカルマンフィルタを用いて修正してもよい。また、本発明の実施の形態の第1の変形例に記述した時系列解析における係数をカルマンフィルタを用いて修正してもよい。
【0079】
(第4の変形例)
本発明の実施の形態の第4の変形例に係る電子ビーム描画装置では、図22に示した修正部47が、脳の神経回路網を模倣して情報処理を行なうニューラルネットの機能を備える。修正部47は、説明変数(環境パラメータ)に基づいてニューラルネットを用いて予測値を算出する。説明変数としては、例えば、ウェハ描画が開始されてからの主偏向器22xにより偏向されたビーム偏向距離の総和である総偏向距離、ウェハ描画が開始されてからのステージ走行距離、CR圧力、CR温度等が採用可能である。総偏向距離、ステージ走行距離、CR圧力及びCR温度等は、環境パラメータ記憶装置53に格納される。
【0080】
修正部47は、図25に示すように、ニューラルネット部48、予測モジュール49、及び誤差算出モジュール50を備える。ニューラルネット部48は、複数のユニット480をそれぞれ有する入力層481、中間層482及び出力層483を備える。隣り合う層のユニット480同士は、結合荷重(線分で表示)で結ばれる。ユニット480は生物学的用語の神経細胞(ニューロン)、結合荷重はシナプス結合にほぼ相当する。統計学的用語ではユニット480は変数で、結合荷重とは重み係数のことである。ニューラルネット部48は、環境パラメータ記憶装置53に格納された数百回程度のビーム補正時のデータ(説明変数)を入力信号として入力する。ユニット480間の信号は結合荷重の値を重み係数とする加重和として変換されて次の層の入力信号となる。重み係数はユニット480間の結びつきの強さである。中間層482以降のユニット480内部ではシグモイド関数で信号を変換して出力する。具体的にはロジスティック関数など微分可能な非線形の連続関数が使われる。最初の重みは適当な初期値からスタートし、最終出力信号(補正パラメータ)を計算する。
【0081】
予測モジュール49は、電子ビームを照射したときの合わせずれの観測値(実況値)に基づいて、倍率、回転などの理想的なビームの補正パラメータを予測する。或いは、予測モジュール49は、偏向領域の接続誤差倍率に基づいて、理想的なビームの補正パラメータを予測する。誤差算出モジュール50は、予測モジュール49からの理想的なビームの補正パラメータを正解として、ニューラルネット部48からの補正パラメータを差し引いた誤差を教師信号TSとして算出する。
【0082】
ニューラルネット部48は、最終出力信号(補正パラメータ)を教師信号TSと比較する。最初は一致しないので誤差がある。誤差算出モジュール50により算出される誤差の2乗和の最小化、ないし尤度の最大化などの基準で最適化すべく反復計算して、入力層481に入力される入力信号(説明変数、環境パラメータ)にかかる重み係数を更新しながら収束を目指す。この過程が学習と呼ばれる。例えば、出力層483、中間層482、入力層481へと逆順に重み係数を修正される「誤差逆伝播学習則」を用いる。誤差の2乗和が最小となるまで学習を繰り返し、ユニット480の数、出力階層、及び階層構造を決定する。この結果得られる出力信号を本補正パラメータとして用いる。
【0083】
本発明の実施の形態の第4の変形例によれば、修正部47が、ニューラルネットを用いて重み係数を修正するので、描画精度を更に向上させることができる。なお、ニューラルネットの一例として階層型のニューラルネット部48を説明したが、相互結合型のニューラルネットを用いても良い。
【0084】
(その他の実施の形態)
本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、基準マークが汚れたり、検出器自体が経時劣化する場合がある。この場合、検出信号を増幅するアンプのレベルやゲインを調整する必要がある。この場合にも、検出器用アンプのレベルやゲインを保存しておき、時系列解析して、最適な調整パラメータを予測してもよい。また、カルマンフィルタやニューラルネットを用いた修正部47に適用する場合、前回のマーク交換時期からの経過時間、ビーム調整回数、ビーム照射時間累計などを説明変数としてもよい。その他、ウェハの高さを測定するための検出器の感度調整などにも適用できる。この場合、CR温度やCR圧力などを説明変数として使用する。
【0085】
更に、製品毎の位置あわせマーク検出に適用することも可能である。位置合わせマークの構造は、製品によって異なる。例えば、製品毎に位置合わせマーク検出時のパラメータを保存しておく。ウェハ中心部とウェハ周辺部で、マーク検出条件(検出器用アンプのレベルやゲイン、検出器への印加電圧)が異なる場合は、ウェハ上のマーク位置、マーク検出順序などを説明変数に加えて、カルマンフィルタやニューラルネットを用いた修正部47を用いて、最適なパラメータを予測してもよい。
【0086】
また、製品毎の位置あわせにおいて、位置あわせ補正量の予測に本発明を用いることも可能である。例えば、製品毎に位置合わせ時のパラメータとして、露光ウェハの初期シフト量(ΔXs、ΔYs)を入力する。露光ウェハ毎のシフト量(ΔX's、ΔY's)を、本発明の実施の形態の第4の変形例に示す構成によって予測し、描画を行う。描画後のウェハの位置あわせズレ量(ΔXz、ΔYz)を測定し、教師信号として用いることによって、露光ウェハ毎のシフト量(ΔX's、ΔY's)を正確に求めることが可能になる。
【0087】
更に、描画中の偏向感度パラメータの生成にも適用できる。この場合、ウェハ若しくはロット描画開始からの偏向距離の総和(予め設計されたウェハ上のチップレイアウトデータと描画データから求めることができる)や、ウェハ若しくはロット描画開始からの総ショット数、ウェハ若しくはロット描画開始からのステージ走行距離を説明変数として用いる。このようにすれば、例えば、偏向領域内のパターンの粗密に応じて偏向アンプの温度が変動し、偏向アンプ内の素子の温度特性によって所望の出力電圧が得られない状態となっても、高精度の描画することができる。また、ステージ走行状態によって、試料温度が変動した場合でも、高精度の描画することができる。
【0088】
また、露光装置の投影レンズを調整するためのレンズ調整用パラメータの生成にも適用できる。例えば、CR温度が変動した場合、レンズ電源内部の電気素子の特性が変化する。これにより、レンズ電源の出力電圧(若しくは電流)が変化し、ビームの焦点位置が変化して、誤差要因となる。この場合、CR温度を説明変数として用いれば、CR温度変化によって、レンズ電源の出力が変動し、所望の出力電圧(若しくは電流)が得られない状態となっても、焦点位置を高精度に制御することができ、高精度の描画することができる。
【0089】
また、ビームの光軸調整用パラメータの生成にも適用できる。例えば、CR温度が変動した場合、光軸調整用のコイル若しくは偏向器電源内部の電気素子の特性が変化する。これにより、コイル若しくは偏向器電源の出力電圧(若しくは電流)が変化し、ビームの偏向位置が変化して、誤差要因となる。この場合、CR温度を説明変数として用いれば、CR温度変化によって、コイル若しくは偏向器電源の出力が変動し、所望の出力電圧(若しくは電流)が得られない状態となっても、光軸を高精度に制御することができ、高精度の描画することができる。
【0090】
上述の補正は、電子ビーム描画装置以外の露光装置に適用することができる。例えば、エキシマレーザを光源に用いた半導体露光装置の場合、レーザーを発振するためのガスについて、ガス交換からの累計時間やCR温度を説明変数として用い、描画パターンの寸法誤差を教師信号として、最適な露光量を予測すれば、高精度な露光が可能になる。
【0091】
また、図1に示した補正装置3は、図26に示すように、工場のホスト計算機80に組み込まれていても良い。補正装置3は、複数の電子ビーム描画装置81,82に接続されている。電子ビーム描画装置81,82は、図1に示した描画部1及び描画回路2をそれぞれ備える。ホスト計算機80は、工場全体の電子ビーム描画装置における電子ビーム補正を管理する。
【0092】
また、図1に示した補正装置3は、図27に示すように、工場のホスト計算機80と複数の電子ビーム描画装置81,82間に接続されていても良い。補正装置3は、複数の電子ビーム描画装置81,82における電子ビーム補正を管理する。補正装置3は、各補正装置3自身が管理する電子ビーム描画装置81,82の情報のみ有していれば良い。
【0093】
また、図1に示した補正装置3、及び補正装置3と同様の構成の補正装置3xが、図28に示すように、工場のホスト計算機80と電子ビーム描画装置81,82間に接続されていても良い。複数の補正装置3、3xは、個々の電子ビーム描画装置81,82における露光条件の補正を管理する。複数の補正装置3,3xが、それぞれが担当する電子ビーム描画装置81,82のみの露光条件の補正を管理する点が、図26及び図27に示した例と異なる。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論であり、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子ビーム描画装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る描画部の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る電子ビームのターゲット位置と実際の照射位置の誤差を説明するための概略図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る電子ビーム描画方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る補正パラメータの変動と、比較例に係る補正パラメータの変動を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態に係る位置精度の変動と、比較例に係る位置精度の変動を示すグラフである。
【図7】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態の第1の変形例に係る電子ビーム描画装置の一例を示す概略図である。
【図9】本発明の実施の形態の第1の変形例に係る補正パラメータの予測を説明するためのグラフである。
【図10】本発明の実施の形態の第1の変形例に係る電子ビーム描画方法を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態の第1の変形例に係る電子ビーム描画装置の稼働時間の割合を示すグラフである。
【図12】比較例に係る電子ビーム描画装置の稼働時間の割合を示すグラフである。
【図13】本発明の実施の形態の第1の変形例に係る補正パラメータの変動と、比較例に係る補正パラメータの変動を示すグラフである。
【図14】本発明の実施の形態の第1の変形例に係る位置精度の変動と、比較例に係る位置精度の変動を示すグラフである。
【図15】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る電子ビーム描画装置の一例を示す概略図である。
【図16】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る環境パラメータの変動を示すグラフである。
【図17】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る電子ビーム描画方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図18】比較例に係る補正パラメータの変動を示すグラフである。
【図19】比較例に係る描画精度の変動を示すグラフである。
【図20】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る補正パラメータの変動を示すグラフである。
【図21】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る描画精度の変動を示すグラフである。
【図22】本発明の実施の形態の第3及び第4の変形例に係る電子ビーム描画装置の一例を示す概略図である。
【図23】本発明の実施の形態の第3の変形例に係るカルマンフィルタを説明するためのグラフである。
【図24】本発明の実施の形態の第3の変形例に係る電子ビーム描画方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図25】本発明の実施の形態の第4の変形例に係るニューラルネットを説明するための図である。
【図26】本発明のその他の実施の形態に係る電子ビーム描画システムの一例を示すブロック図である。
【図27】本発明のその他の実施の形態に係る電子ビーム描画システムの他の一例を示すブロック図である。
【図28】本発明のその他の実施の形態に係る電子ビーム描画システムの更に他の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0095】
1…描画部
2…描画回路
3,3x…補正装置
4…中央処理装置(CPU)
31…ビーム制御部
32…信号処理部
33…ステージ制御部
41…描画回路制御部
42…誤差算出部
43…仮補正部
44…本補正部
45…予測部
46…環境変動量算出部
47…修正部
48…ニューラルネット部
49…予測モジュール
50…誤差算出モジュール
51…補正パラメータ記憶装置
52…位置記憶装置
53…環境パラメータ記憶装置
80…ホスト計算機
81,82…電子ビーム描画装置
91…圧力センサ
92…ステージ温度センサ
93…試料室温度センサ
480…ユニット
481…入力層
482…中間層
483…出力層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体パターンの露光条件又は観察条件を補正する初期補正パラメータを格納する補正パラメータ記憶装置と、
前記初期補正パラメータを用いて前記半導体パターンを露光又は観察したときの誤差を算出する誤差算出部と、
前記誤差を最小とする仮補正パラメータを算出する仮補正部と、
前記仮補正パラメータと前記初期補正パラメータを用いて統計処理を行い、前記露光条件又は観察条件を補正する本補正パラメータを算出する本補正部
とを備えることを特徴とする補正装置。
【請求項2】
複数の前記初期補正パラメータの時系列解析を行い、前記本補正パラメータを予測する予測部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の補正装置。
【請求項3】
前記予測部は、前記半導体パターンを露光又は観察するときの環境パラメータ変動量を考慮して前記本補正パラメータを予測することを特徴とする請求項2に記載の補正装置。
【請求項4】
前記環境パラメータ変動量は、前記半導体パターンが形成される試料が配置される試料室の温度、前記半導体パターンを露光又は観察するクリーンルーム内の圧力、及び前記クリーンルーム内の温度の少なくともいずれかの変動量を含むことを特徴とする請求項3に記載の補正装置。
【請求項5】
誤差算出部が、半導体パターンの露光条件又は観察条件を補正する初期補正パラメータを用いて前記半導体パターンを露光又は観察したときの誤差を算出する手順と、
仮補正部が、前記誤差を最小とする仮補正パラメータを算出する手順と、
本補正部が、前記仮補正パラメータと前記初期補正パラメータを用いて統計処理を行い、前記露光条件又は観察条件を補正する本補正パラメータを算出する手順
とを含むことを特徴とする補正方法。
【請求項6】
補正パラメータ記憶装置に格納された半導体パターンの露光条件又は観察条件を補正する初期補正パラメータを用いて前記半導体パターンを露光又は観察したときの誤差を誤差算出部により算出させる命令と、
前記誤差を最小とする仮補正パラメータを仮補正部により算出させる命令と、
前記仮補正パラメータと前記初期補正パラメータを用いて統計処理を行い、前記露光条件又は観察条件を補正する本補正パラメータを本補正部により算出させる命令
とをコンピュータに実行させることを特徴とする補正プログラム。
【請求項7】
半導体ウェハ上にレジスト膜を塗布する工程と、
半導体パターンの露光条件を補正する初期補正パラメータを用いて前記半導体パターンを露光したときの誤差を算出し、前記誤差を最小とする仮補正パラメータを算出し、前記仮補正パラメータと前記初期補正パラメータを用いて統計処理を行い、前記露光条件を補正する本補正パラメータを算出し、前記本補正パラメータを用いて前記半導体パターンを前記レジスト膜に露光してマスクを形成する工程と、
前記マスクを用いて前記半導体ウェハを加工する工程
とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2006−114599(P2006−114599A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−298681(P2004−298681)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】