裸眼立体ディスプレイ装置
【課題】N視点の裸眼立体ディスプレイ装置にN未満の視点数の映像データを表示させる際に、解像感の劣化やノイズの発生を抑えることができる裸眼立体ディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】表示装置50には複数の画素が配列されている。表示装置50上には周期方向を水平方向に対して傾斜させた状態でレンチキュラーレンズLLSが配置されている。レンチキュラーレンズLLSはN視点の映像データをNの異なる視点方向に分割して提示させて、裸眼立体を実現させる。駆動部1は、複数の画素に対してN未満の視点画像からなる映像データの各画素データを割り当てて表示させる際に、重複して見える視点画像の画素データの輝度を低下させて表示装置50に表示させる。
【解決手段】表示装置50には複数の画素が配列されている。表示装置50上には周期方向を水平方向に対して傾斜させた状態でレンチキュラーレンズLLSが配置されている。レンチキュラーレンズLLSはN視点の映像データをNの異なる視点方向に分割して提示させて、裸眼立体を実現させる。駆動部1は、複数の画素に対してN未満の視点画像からなる映像データの各画素データを割り当てて表示させる際に、重複して見える視点画像の画素データの輝度を低下させて表示装置50に表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1次元方向に視差を有する裸眼立体ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レンチキュラーレンズ,スリット型のバリア,レンズアレイ等の特殊な光学部材を用いて、印刷面や液晶パネル等の表示装置に表示された画像を複数の視点方向に分割して提示させ、表示装置を視認する位置によって表示画像を変化させる技術が知られている。この技術の1つとして、表示装置を見る人の右目と左目に、同一のオブジェクトであって特定の視差を有する互いに異なる表示画像(視差画像)を入力させることにより、表示画像を立体視させる技術がある。この立体視の技術によれば、立体視させるための特殊な眼鏡をかけずに立体視が可能な裸眼立体ディスプレイ装置を実現することができる。
【0003】
裸眼立体ディスプレイ装置で画像を立体視させる場合、立体視可能な視認範囲を拡大するため、また、長時間の観賞に耐え得る自然な立体感や滑らかな運動視差を得るために、表示画像を極力細かく分割して視点数を増やしたいという要求がある。最近になって、デジタルサイネージやカーナビゲーション装置等の比較的低解像度の表示装置において、アイキャッチや視認性向上を目的として、視差画像による立体視を行わせるようになってきた。視点数を増やせば増やすほど、解像感が低下する。なお、表示装置自体が物理的に有するものを解像度、人が感じる解像度の程度を解像感とする。低解像度の表示装置において表示画像を立体視させる場合でも、解像感の低下を極力抑え、自然な立体視を実現したいという要求がある。
【0004】
これらの要求を満たすためには、空間上に表示装置を観察する観察者の目の位置を想定し視点を分割するのではなく、極力細かく視点を分割し、観察者は細かく分割したいずれかの視点で表示装置を見る多眼式が有効である。視差画像の分割数を増やすには、表示装置の画素ピッチに対して表示装置に装着する光学部材、例えばレンチキュラーレンズの場合はレンズピッチを大きくすることが有効である。しかしながら、レンズの拡大効果でレンズピッチに比例して色画素が大きく見えるため、レンズのピッチ方向の視差画像の解像感が著しく低下してしまう。すると、水平方向と垂直方向とで視差画像の解像感が異なってしまうという不具合が発生する。なお、バリア等の光学部材を用いた場合も同様である。
【0005】
この不具合を解消する技術として、特許文献1に記載されているように、レンチキュラーレンズ(光学部材)を構成するシリンドリカルレンズ(光学要素)の周期方向を表示装置の画素配列の水平方向に対して傾けることが記載されている。特許文献1に記載の技術によれば、水平方向の画素のみではなく垂直方向の画素も用いて1つの3次元画素を構成することにより、立体表示における水平方向の解像感の低下を抑え、水平及び垂直方向の解像感のバランスを向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3940456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、多視点の裸眼立体ディスプレイ装置に対応した多視点の映像コンテンツを作成するためには、視点数分の複数台のカメラで被写体を撮影するか、コンピュータグラフィックスで視点数分の多視点レンダリングを行う必要がある。前者の場合には、視点数分のカメラが必要となり、撮影するコストも上昇するため、多視点の映像コンテンツはコストが高くなってしまう。後者の場合には、レンダリングの計算量が増大するため、多視点の映像コンテンツはコストが高くなってしまう。
【0008】
一方、2視点の映像コンテンツは低コストであり、立体視用の眼鏡をかけて視聴する立体映画等の普及で入手しやすい。そこで、3視点以上の裸眼立体ディスプレイ装置に対して、2視点の映像コンテンツ(ステレオコンテンツ)を表示させることが考えられる。3視点以上の裸眼立体ディスプレイ装置にステレオコンテンツを表示させると、裸眼立体ディスプレイ装置をある位置で見たときに、2視点の画像が水平方向にずれた状態で重なって見えてしまう。そのため、2視点の画像の視差が大きい場合には左右に大きくぶれたような画像となり、水平方向の解像感が劣化する。また、2視点の画像が水平方向にずれた部分でノイズとなり、観察者に疲労感を与えてしまう。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑み、光学要素の周期方向を画素配列の水平方向に対して傾斜させた光学部材を用いることによってN視点(Nは3以上の整数)の裸眼立体視を実現させる裸眼立体ディスプレイ装置に、N未満の視点数の映像データを表示させる際に、解像感の劣化やノイズの発生を抑えることができる裸眼立体ディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、複数の画素(Pxl)が水平方向及び垂直方向に配列された表示装置(50)と、複数の光学要素が周期的に配列され、前記光学要素の周期方向が前記表示装置における画素の水平方向に対して傾斜させた状態で前記表示装置上に配置され、Nを3以上の整数として、前記複数の画素に対してNの互いに異なる視点画像からなる第1の映像データの各画素データを割り当てることによって前記表示装置に前記第1の映像データを表示させた際に、前記視点画像をNの異なる視点方向に分割して提示させるよう構成された光学部材(LLS)と、前記複数の画素に対してN未満の互いに異なる視点画像からなる第2の映像データの各画素データを割り当てることによって前記表示装置に前記第2の映像データを表示させた状態で、観察者が前記光学部材側から前記表示装置を観察した場合に、重複して見える視点画像の画素データの輝度を低下させるよう制御する輝度制御部(1,11,24)とを備えることを特徴とする裸眼立体ディスプレイ装置を提供する。
【0011】
上記の構成において、前記輝度制御部は、kを自然数として重複して見える視点画像の数を2kとしたとき、前記観察者が前記表示装置に対する観察点を水平方向に移動させた際に視点画像が切り替わる境界に対して水平方向前側のkの視点画像と水平方向後側のkの視点画像における画素データの輝度を低下させることが好ましい。
【0012】
この場合、各視点画像における画素データの輝度を低下させる特性を設定したテーブル、または、各視点画像における画素データの低下させた輝度を計算するための関数を保持する保持部をさらに備え、前記輝度制御部は、前記保持部に保持されたテーブルまたは関数によって得られた輝度となるよう各視点画像における画素データの輝度を低下させることが好ましい。
【0013】
上記の構成において、前記表示装置に前記第2の映像データを表示させるよう前記表示装置を駆動する駆動部をさらに備え、前記駆動部を前記輝度制御部とすることができる。また、前記表示装置に前記第2の映像データを表示させるよう前記表示装置を駆動する駆動部と、前記第2の映像データにおける重複して見える視点画像の画素データの輝度を予め低下させて前記駆動部に供給する輝度変調部とをさらに備え、前記輝度変調部を前記輝度制御部とすることができる。
【0014】
上記の構成において、前記輝度制御部は、前記水平方向前側のkの視点画像における画素データの輝度を前記境界に向かうに従って順次減少させ、前記水平方向後側のkの視点画像における画素データの輝度を前記境界から離れるに従って順次増大させることが好ましい。この際、上に凸の関数で非線形に順次減少させ、上に凸の関数で非線形に順次増大させることが好ましい。
【0015】
上記の構成において、前記第2の映像データの視点数を検出する視点数検出部をさらに備え、前記輝度制御部は、前記視点数検出部が検出した視点数が特定の視点数の場合のみ重複して見える視点画像の画素データの輝度を低下させるよう制御することができる。
【0016】
上記の構成において、前記光学部材は、レンチキュラーレンズであることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の裸眼立体ディスプレイ装置によれば、光学要素の周期方向を画素配列の水平方向に対して傾斜させた光学部材を用いることによってN視点の裸眼立体視を実現させる裸眼立体ディスプレイ装置に、N未満の視点数の映像データを表示させる際に、解像感の劣化やノイズの発生を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】多眼式の裸眼立体ディスプレイ装置において、画像がずれた状態で重なって表示されることを説明するための図である。
【図2】9視点の裸眼立体ディスプレイ装置に2視点のステレオコンテンツを表示させる場合の視点画像の割り当ての例を示す図である。
【図3】17視点の画像を表示可能な裸眼立体ディスプレイ装置を示す図である。
【図4】図3に示す裸眼立体ディスプレイ装置にステレオコンテンツを表示する場合の各視点における輝度の強度を概念的に示す図である。
【図5】本実施形態の裸眼立体ディスプレイ装置にステレオコンテンツを表示する場合の各視点における輝度の強度を概念的に示す図である。
【図6】本実施形態において輝度を変調する範囲を概念的に示す図である。
【図7】本実施形態で用いる強度変調設定テーブルの一例を示す図である。
【図8】本実施形態の裸眼立体ディスプレイ装置における第1の構成例を示すブロック図である。
【図9】図8における表示装置50及びレンチキュラーレンズLLSの具体的構成例を示す図である。
【図10】本実施形態の裸眼立体ディスプレイ装置における第2の構成例を示すブロック図である。
【図11】第2の構成例で用いる強度変調設定テーブルの一例を示す図である。
【図12】第2の構成例で用いる視点割り当てテーブルの一例を示す図である。
【図13】本実施形態の裸眼立体ディスプレイ装置における第3の構成例を示すブロック図である。
【図14】本実施形態において表示される画像の視点と変調強度との関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の裸眼立体ディスプレイ装置の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を用いて、多眼式の裸眼立体ディスプレイ装置において、画像がずれて視認される理由について説明する。図1(A)は、視点0〜8の9視点の映像を表示可能な裸眼立体ディスプレイ装置の構成例である。図1(A)において、複数の画素Pxlが水平(H)及び垂直(V)方向に配列されている。画素Pxlに付している数字はそれぞれの画素Pxlがどの視点画像を表示するかを示している。ここでは1つのシリンドリカルレンズしか示していないが、配列された複数の画素Pxl上には、レンチキュラーレンズLLSが、シリンドリカルレンズの周期方向が画素Pxlの配列の水平方向に対して傾けた状態で配置されている。シリンドリカルレンズ(レンチキュラーレンズLLS)の周期方向とは、シリンドリカルレンズの境界線Lbrと直交する方向である。
【0020】
ブラックストライプがないと仮定した場合の画素Pxlの水平方向の画素ピッチはpx、垂直方向の画素ピッチはpyである。レンチキュラーレンズLLSの水平方向のレンズピッチは4.5px、傾斜角度はtan-1(px/2py)となっている。
【0021】
図1(A)の裸眼立体ディスプレイ装置をある位置から見た場合、シリンドリカルレンズの境界線Lbrから等距離の破線にて示す直線Led上に存在する画素Pxlのみが見える。直線Led上に見える画素Pxlを白で、他の画素Pxlには梨地模様を付している。図1(A)より分かるように、視点0の画像と視点1の画像とが見える。このため、図1(B)に示すように、視点画像Im1と視点画像Im2とがずれた状態で重なって視認される。視点画像Im1と視点画像Im2との間には視差Paxが存在している。視差Paxが大きい場合には左右に大きくぶれた画像となり、水平方向の解像感が劣化することとなる。
【0022】
次に、N視点(Nは3以上の整数)の裸眼立体ディスプレイ装置に2視点のステレオコンテンツを表示させる場合について説明する。2視点のステレオコンテンツにおける一方の映像信号によって表示される画像を画像A、他方の映像信号によって表示される画像を画像Bとする。N視点のそれぞれに視点0〜N−1と符号を付すと、Nが偶数であれば、N視点を2つに分けて、視点0側の半分の視点に画像Aを割り当てて表示し、視点N−1側の半分の視点に画像Bを割り当てて表示することが考えられる。Nが奇数であれば、視点0〜N−1における中央に位置している視点を除き、視点0側の半分の視点に画像Aを割り当てて表示し、視点N−1側の半分の視点に画像Bを割り当てて表示し、中央の視点には画像Aと画像Bとのいずれかを割り当てて表示することが考えられる。
【0023】
図2は、9視点の裸眼立体ディスプレイ装置に2視点のステレオコンテンツにおける画像A,Bを表示させる場合を示している。図2の例では、視点0〜4に画像Aを割り当て、視点5〜8に画像Bを割り当てている。図2において、白で示した画素Pxlには画像Aを表示し、ハッチングを付した画素Pxlには画像Bを表示している。ここでは、レンチキュラーレンズLLSにおける2つのシリンドリカルレンズLs1,Ls2を示している。レンチキュラーレンズLLSが理想レンズであったとしても、領域Ar1,Ar2内の画素Pxlを見ると、常に画像Aと画像Bとがずれた状態で重なって視認される。図1(B)で説明したように、視差Paxが存在し、水平方向の解像感が劣化することとなる。
【0024】
特に、光学部材としてレンチキュラーレンズLLSを用いた裸眼立体ディスプレイ装置においては、レンズで拡大された色画素が明るく視認されることから、視点が切り替わる際に2つの視点画像が重なって視認されると、画像Aと画像Bとで画素値が異なる領域でノイズのように見えて疲労感を与えやすい。N視点の裸眼立体ディスプレイ装置に2視点のステレオコンテンツを表示させる場合には、視点画像Im1と視点画像Im2との間の視差Paxが大きいことが多く、ノイズとして認識される領域が広いため、特に疲労感を与えやすい。
【0025】
図3は、17視点の画像を表示可能な裸眼立体ディスプレイ装置を示している。画素Pxlに付している数字はそれぞれの画素Pxlが視点0から視点16のどの視点画像を表示するかを示している。ここでは、レンチキュラーレンズLLSにおける4つのシリンドリカルレンズLs0〜Ls3を示している。レンチキュラーレンズLLSの水平方向のレンズピッチは4.25px、傾斜角度はtan-1(px/2py)である。なお、この条件では、表示可能な視点数は最大で17視点である。
【0026】
観察者が所定の位置で図3の裸眼立体ディスプレイ装置を観察した場合、レンチキュラーレンズLLSの境界線Lbrから等距離の破線にて示す直線Led上に存在する画素PxlのみをレンチキュラーレンズLLSのピッチ幅だけ拡大して視認することになる。シリンドリカルレンズLs0,Ls2における直線Led上の画素Pxlに着目すると、視点画像2を中心にして視点画像0,2,4が見える。シリンドリカルレンズLs1,Ls3における直線Led上の画素Pxlに着目すると、視点画像3を中心にして視点画像1,3,5が見える。視点画像0,2,4においては視点画像2が最も輝度が高く、視点画像1,3,5においては視点画像3が最も輝度が高いので、視点の中心となっている。即ち、直線Led上の画素Pxlを見る観察者は、視点画像2,3を中心に、視点画像0〜5の6視点の画像が重なった状態で視認することになる。裸眼立体ディスプレイ装置を所定の位置から見たときに重なって見える視点数を重複視点数と表現することとする。
【0027】
図4は、図3に示す裸眼立体ディスプレイ装置における視点0〜8にステレオコンテンツにおける画像Aを、視点9〜16にステレオコンテンツにおける画像Bを表示する場合の各視点における輝度の強度を概念的に示している。図4において水平方向は観測者の水平位置、垂直上方向は画像Aの輝度の強度StA、垂直下方向は画像Bの輝度の強度StBを示す。強度分布の特性に隣接して付している数字は視点画像の番号である。
【0028】
図4において、領域ArAは画像Aのみが視認される領域、領域ArBは画像Bのみが視認される領域である。領域ArABは画像A,B双方が視認される領域である。画像Aにおける視点4の画像が見える観察点Pから右方向に観察点を移動していくと、観察点Qから画像Bにおける視点9の画像が観測され始め、観察点Rで画像Aと画像Bの強度が等しくなる。レンチキュラーレンズLLSを用いた構成では、観察点Qから観察点Rへと観察点を移動させると、画像Bの輝度が急激に強くなるのでノイズとして認識されやすく、疲労感を与えやすい。
【0029】
そこで、本実施形態においては、図5に示すように画像A,Bの輝度を変調する。図6は輝度を変調する範囲を概念的に示している。前述のように、視点0〜16の17視点の裸眼立体ディスプレイ装置において、重複視点数は6視点である。図6において、重複している視点の範囲を重複視点範囲Wにて示している。重複視点範囲Wは画像A側のk(kは自然数)の範囲と画像B側のkの範囲である。Wは2kである。重複視点数は2kの範囲の視点数である。本実施形態においては、少なくとも重複視点範囲Wの範囲で画像A,Bの輝度を変調する。重複視点範囲Wより広い範囲で画像A,Bの輝度を変調してもよい。図7は各視点の画像A,Bの変調強度を示す強度変調設定テーブルの一例である。図5は、図7に示す変調強度で変調した場合の強度StA,StBを示している。
【0030】
本実施形態においては、画像Aが表示される視点と画像Bが表示される視点との境界を中心として画像Aの視点側及び画像Bの視点側双方のkの範囲を変調強度1未満で輝度を変調している。具体的には、観察者が裸眼立体ディスプレイ装置に対する観察点を水平方向に移動させた際に、視点画像が切り替わる境界に対して水平方向前側のkの視点画像と水平方向後側のkの視点画像における画素データの輝度を低下させる。
【0031】
従って、図5に示すように、画像Aのみが視認される領域ArA’と画像Bのみが視認される領域ArB’が図4の領域ArA,ArBよりも広くなる。一方、画像A,B双方が視認される領域ArAB’は図4の領域ArABよりも狭くなる。画像Aにおける視点4の画像が見える観察点Pから右方向に観察点を移動していくと、観察点Qを過ぎても強度StBが小さいので視点9の画像はしばらくの間、認識されない。観察点Qから観察点Rへと観察点を移動させても画像Bの輝度は急激には強くならず緩やかに増加していくので、ノイズとして認識されにくく、疲労感を与えにくい。ノイズとして認識されにくいので、解像感の劣化も抑えることができる。
【0032】
図7に示す画像A,Bの変調強度は単なる一例であり、画像A,Bの輝度の変調のさせ方は図7に示すものに限定されるものではない。例えば、視点0,8,9,16の変調強度を0にしてもよい。図7に示す例や視点0,8,9,16の変調強度を0にした例は、変調強度を非線形にしたものである。視点0,8,9,16の変調強度を0.25にして、変調強度を線形にすることもできる。本実施形態では、視点画像の切り替わる境界である視点0,8,9,16に近い視点の変調強度を小さく(輝度を低く)するほど効果が高い。そのため、効果を維持したまま輝度を確保するために、視点0,8,9,16に近い視点画像ほど輝度を落とし、そこから離れるほど輝度の低下度合いを小さくする、非線形な変調とすることが好ましい。
【0033】
次に、図5に示す輝度変調を実現する裸眼立体ディスプレイ装置の具体的構成例について説明する。
【0034】
<第1の構成例>
図8は裸眼立体ディスプレイ装置の第1の構成例である。第1の構成例は、入力される映像データが2視点のステレオコンテンツであることが予め決まっている場合に好適な構成例である。図8において、一例として液晶パネルである表示装置50の表面に、光学部材の一例としてのレンチキュラーレンズLLSが装着されている。観測者は、レンチキュラーレンズLLS側から表示装置50を観察する。図9に示すように、レンチキュラーレンズLLSは複数のシリンドリカルレンズLs0,Ls1,Ls2…が連結されたものである。隣接するシリンドリカルレンズの間は境界線Lbrとなっている。
【0035】
図9に示す例は、図3と同様、17視点の画像を表示可能な表示装置50である。それぞれの画素Pxlに視点0から視点16のどの視点画像を表示するかを示している。画素Pxlの水平方向の画素ピッチはpx、垂直方向の画素ピッチはpyであり、レンチキュラーレンズLLSの水平方向のレンズピッチは4.25px、傾斜角度はtan-1(px/2py)である。なお、ここでの画素Pxlとは色画素である。視差映像を分割する方向は主として水平方向の1次元となっている。
【0036】
図8において、駆動部1にはステレオコンテンツである映像データが入力される。映像データのフォーマットは任意であり、ライン・バイ・ライン方式、サイド・バイ・サイド方式、フレームシーケンシャル方式等のいずれでもよい。図9に示すように、入力される映像データにおける画像Aは白で示した画素Pxlに割り当てて表示され、画像Bはハッチングを付した画素Pxlに割り当てて表示される。駆動部1は、入力された映像データにおける画像A,画像Bを構成するそれぞれのデータ部分の各画素データを、図9に示すように17視点の表示装置50の各画素に割り当てて表示するよう表示装置50を駆動する。
【0037】
図8において、テーブル保持部2には、図7に示す強度変調設定テーブルが保持されている。駆動部1は、テーブル保持部2に保持された強度変調設定テーブルに基づいて、表示装置50の各画素Pxlに表示する画素データの輝度を変調させて表示装置50に表示させる。テーブル保持部2に強度変調設定テーブルを保持させる代わりに、強度を変調させるための関数を保持させておき、関数を用いた計算によって画素データの輝度を変調させてもよい。
【0038】
第1の構成例は、ステレオコンテンツを表示させるよう表示装置50を駆動する駆動部1自体が、重複して見える視点画像の画素データの輝度を低下させるように制御する輝度制御部となっている。
【0039】
<第2の構成例>
図10に示す第2の構成例は、入力される映像データが2視点のステレオコンテンツに限定されない場合に好適な構成例である。図10において、図8と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0040】
図10において、視点数検出部13及び駆動部11には映像データが入力される。表示装置50がN視点の画像を表示可能であるとすると、入力される映像データはN未満の視点数の視点画像よりなる映像データである。第1の構成例と同様、17視点の表示装置50の場合、入力される映像データは16視点以下の視点数である。映像データは、一例としてヘッダ情報に視点数を示す情報を含んでいる。視点数検出部13は入力された映像データのヘッダ情報に基づいて視点数nを検出する。視点数nを示すデータは駆動部11に入力される。
【0041】
テーブル保持部12には、図11に示す強度変調設定テーブルが保持されている。第2の構成例は、17視点の表示装置50に、映像データとして2視点のステレオコンテンツを表示させる場合のみ図5で説明したように輝度を変調し、他の視点数の映像データであれば輝度を変調しないように構成している。図11に示すように、視点0〜16に対して、視点数nが2以外では輝度を変調しないことを示す“1”が設定されており、視点数nが2であれば図7と同様に1未満の変調強度の値が設定されている。
【0042】
駆動部11は、視点数nを示すデータによって、入力された映像データが2視点のテレオコンテンツであると判断した場合に、テーブル保持部12に保持された強度変調設定テーブルに基づいて、表示装置50の各画素Pxlに表示する画素データの輝度を変調させて表示装置50に表示させる。また、駆動部11は、視点数nを示すデータによって、入力された映像データの視点数nが2以外であると判断した場合には、テーブル保持部12に保持された強度変調設定テーブルに基づいて、表示装置50の各画素Pxlに表示する画素データの輝度を変調させることなく表示装置50に表示させる。
【0043】
図12は、視点数検出部13が検出した視点数nを17視点における視点0〜16にどのように割り当てるかを示している。視点数検出部13が検出した視点数nが2の列において、“0”は前述の画像Aを割り当てることを示し、“1”は前述の画像Bを割り当てることを示している。テーブル保持部12は、図12に示す視点割り当てテーブルも保持している。駆動部11は、入力された映像データの視点数nが2以外である場合には、図12の視点割り当てテーブルに基づいて視点を17視点に割り当てて映像データを表示装置50に表示させる。なお、第2の構成例においては、表示可能な視点数は17であるので、視点数検出部13が検出した視点数nが17を超える場合にはエラーであるとして処理してもよい。
【0044】
第2の構成例も、表示装置50を駆動する駆動部11自体が、2視点のテレオコンテンツを表示した場合に重複して見える視点画像の画素データの輝度を低下させるように制御する輝度制御部となっている。
【0045】
<第3の構成例>
図13に示す第3の構成例は、映像データの輝度を予め変調して駆動部に供給するように構成したものである。図13において、図8と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。図13において、輝度変調部24にはステレオコンテンツである映像データが入力される。テーブル保持部22には、図7と同様の強度変調設定テーブルが保持されている。輝度変調部24は、テーブル保持部22に保持された強度変調設定テーブルに基づいて、入力された映像データの各画素データの輝度を変調して駆動部21へと供給する。駆動部21へと供給される映像データは、予め図5のような特性の輝度変調が施されたデータとなっている。
【0046】
駆動部21は、入力された映像データにおける画像A,画像Bを構成するそれぞれのデータ部分の各画素データを、図9で説明したように17視点の表示装置50に割り当てて表示するよう表示装置50を駆動する。この際、駆動部21は、図8の第1の構成例における駆動部1とは異なり、各画素データを、入力された各画素データの輝度そのままの輝度で表示するよう表示装置50を駆動する。第3の構成例は、輝度変調部24が輝度制御部となっている。
【0047】
<第4の構成例>
特に図示しないが、図10で説明した第2の構成例のように視点数検出部を備えた構成において、第3の構成例と同様に、映像データの輝度を予め変調して駆動部に供給するように構成することも可能である。
【0048】
図14は、以上の各構成例において、表示装置50に表示される画像の視点と変調強度との関係を示している。図14より分かるように、輝度制御部である駆動部1,11や輝度変調部24は、観察者が表示装置50に対する観察点を水平方向に移動させた際に視点画像が切り替わる境界に対して水平方向前側のkの視点画像における画素データの輝度を境界に向かうに従って順次減少させる。また、駆動部1,11や輝度変調部24は、水平方向後側のkの視点画像における画素データの輝度を境界から離れるに従って順次増大させる。この際、前述のように、順次減少及び順次増大の特性は、視点の変化に対して上に凸の非線形であることが好ましい。
【0049】
本実施形態においては、表示装置50に図14に示すような特性でステレオコンテンツである映像データが表示されるので、画像Aから画像Bへの切り替わり、画像Bから画像Aへの切り替わりの際に、輝度が緩やかに増加していくことになり、ノイズとして認識されにくく、疲労感を与えにくくすることができる。ノイズとして認識されにくいので、解像感の劣化も抑えることができる。
【0050】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。本実施形態においては、N視点の裸眼立体視を実現させる裸眼立体ディスプレイ装置に2視点のステレオコンテンツを表示する場合を中心として説明したが、本発明はN視点の裸眼立体ディスプレイ装置に、N未満の視点数の映像データを表示させる場合に適用できる。また、本実施形態においては、光学部材としてレンチキュラーレンズを用いた場合を中心として説明したが、光学部材はレンチキュラーレンズに限定されるものではない。但し、光学部材としはレンチキュラーレンズが好ましい。
【符号の説明】
【0051】
1,11,21 駆動部(輝度制御部)
2,12,22 テーブル保持部(保持部)
13 視点数検出部
24 輝度変調部(輝度制御部)
50 表示装置
LLS レンチキュラーレンズ(光学部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、1次元方向に視差を有する裸眼立体ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レンチキュラーレンズ,スリット型のバリア,レンズアレイ等の特殊な光学部材を用いて、印刷面や液晶パネル等の表示装置に表示された画像を複数の視点方向に分割して提示させ、表示装置を視認する位置によって表示画像を変化させる技術が知られている。この技術の1つとして、表示装置を見る人の右目と左目に、同一のオブジェクトであって特定の視差を有する互いに異なる表示画像(視差画像)を入力させることにより、表示画像を立体視させる技術がある。この立体視の技術によれば、立体視させるための特殊な眼鏡をかけずに立体視が可能な裸眼立体ディスプレイ装置を実現することができる。
【0003】
裸眼立体ディスプレイ装置で画像を立体視させる場合、立体視可能な視認範囲を拡大するため、また、長時間の観賞に耐え得る自然な立体感や滑らかな運動視差を得るために、表示画像を極力細かく分割して視点数を増やしたいという要求がある。最近になって、デジタルサイネージやカーナビゲーション装置等の比較的低解像度の表示装置において、アイキャッチや視認性向上を目的として、視差画像による立体視を行わせるようになってきた。視点数を増やせば増やすほど、解像感が低下する。なお、表示装置自体が物理的に有するものを解像度、人が感じる解像度の程度を解像感とする。低解像度の表示装置において表示画像を立体視させる場合でも、解像感の低下を極力抑え、自然な立体視を実現したいという要求がある。
【0004】
これらの要求を満たすためには、空間上に表示装置を観察する観察者の目の位置を想定し視点を分割するのではなく、極力細かく視点を分割し、観察者は細かく分割したいずれかの視点で表示装置を見る多眼式が有効である。視差画像の分割数を増やすには、表示装置の画素ピッチに対して表示装置に装着する光学部材、例えばレンチキュラーレンズの場合はレンズピッチを大きくすることが有効である。しかしながら、レンズの拡大効果でレンズピッチに比例して色画素が大きく見えるため、レンズのピッチ方向の視差画像の解像感が著しく低下してしまう。すると、水平方向と垂直方向とで視差画像の解像感が異なってしまうという不具合が発生する。なお、バリア等の光学部材を用いた場合も同様である。
【0005】
この不具合を解消する技術として、特許文献1に記載されているように、レンチキュラーレンズ(光学部材)を構成するシリンドリカルレンズ(光学要素)の周期方向を表示装置の画素配列の水平方向に対して傾けることが記載されている。特許文献1に記載の技術によれば、水平方向の画素のみではなく垂直方向の画素も用いて1つの3次元画素を構成することにより、立体表示における水平方向の解像感の低下を抑え、水平及び垂直方向の解像感のバランスを向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3940456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、多視点の裸眼立体ディスプレイ装置に対応した多視点の映像コンテンツを作成するためには、視点数分の複数台のカメラで被写体を撮影するか、コンピュータグラフィックスで視点数分の多視点レンダリングを行う必要がある。前者の場合には、視点数分のカメラが必要となり、撮影するコストも上昇するため、多視点の映像コンテンツはコストが高くなってしまう。後者の場合には、レンダリングの計算量が増大するため、多視点の映像コンテンツはコストが高くなってしまう。
【0008】
一方、2視点の映像コンテンツは低コストであり、立体視用の眼鏡をかけて視聴する立体映画等の普及で入手しやすい。そこで、3視点以上の裸眼立体ディスプレイ装置に対して、2視点の映像コンテンツ(ステレオコンテンツ)を表示させることが考えられる。3視点以上の裸眼立体ディスプレイ装置にステレオコンテンツを表示させると、裸眼立体ディスプレイ装置をある位置で見たときに、2視点の画像が水平方向にずれた状態で重なって見えてしまう。そのため、2視点の画像の視差が大きい場合には左右に大きくぶれたような画像となり、水平方向の解像感が劣化する。また、2視点の画像が水平方向にずれた部分でノイズとなり、観察者に疲労感を与えてしまう。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑み、光学要素の周期方向を画素配列の水平方向に対して傾斜させた光学部材を用いることによってN視点(Nは3以上の整数)の裸眼立体視を実現させる裸眼立体ディスプレイ装置に、N未満の視点数の映像データを表示させる際に、解像感の劣化やノイズの発生を抑えることができる裸眼立体ディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、複数の画素(Pxl)が水平方向及び垂直方向に配列された表示装置(50)と、複数の光学要素が周期的に配列され、前記光学要素の周期方向が前記表示装置における画素の水平方向に対して傾斜させた状態で前記表示装置上に配置され、Nを3以上の整数として、前記複数の画素に対してNの互いに異なる視点画像からなる第1の映像データの各画素データを割り当てることによって前記表示装置に前記第1の映像データを表示させた際に、前記視点画像をNの異なる視点方向に分割して提示させるよう構成された光学部材(LLS)と、前記複数の画素に対してN未満の互いに異なる視点画像からなる第2の映像データの各画素データを割り当てることによって前記表示装置に前記第2の映像データを表示させた状態で、観察者が前記光学部材側から前記表示装置を観察した場合に、重複して見える視点画像の画素データの輝度を低下させるよう制御する輝度制御部(1,11,24)とを備えることを特徴とする裸眼立体ディスプレイ装置を提供する。
【0011】
上記の構成において、前記輝度制御部は、kを自然数として重複して見える視点画像の数を2kとしたとき、前記観察者が前記表示装置に対する観察点を水平方向に移動させた際に視点画像が切り替わる境界に対して水平方向前側のkの視点画像と水平方向後側のkの視点画像における画素データの輝度を低下させることが好ましい。
【0012】
この場合、各視点画像における画素データの輝度を低下させる特性を設定したテーブル、または、各視点画像における画素データの低下させた輝度を計算するための関数を保持する保持部をさらに備え、前記輝度制御部は、前記保持部に保持されたテーブルまたは関数によって得られた輝度となるよう各視点画像における画素データの輝度を低下させることが好ましい。
【0013】
上記の構成において、前記表示装置に前記第2の映像データを表示させるよう前記表示装置を駆動する駆動部をさらに備え、前記駆動部を前記輝度制御部とすることができる。また、前記表示装置に前記第2の映像データを表示させるよう前記表示装置を駆動する駆動部と、前記第2の映像データにおける重複して見える視点画像の画素データの輝度を予め低下させて前記駆動部に供給する輝度変調部とをさらに備え、前記輝度変調部を前記輝度制御部とすることができる。
【0014】
上記の構成において、前記輝度制御部は、前記水平方向前側のkの視点画像における画素データの輝度を前記境界に向かうに従って順次減少させ、前記水平方向後側のkの視点画像における画素データの輝度を前記境界から離れるに従って順次増大させることが好ましい。この際、上に凸の関数で非線形に順次減少させ、上に凸の関数で非線形に順次増大させることが好ましい。
【0015】
上記の構成において、前記第2の映像データの視点数を検出する視点数検出部をさらに備え、前記輝度制御部は、前記視点数検出部が検出した視点数が特定の視点数の場合のみ重複して見える視点画像の画素データの輝度を低下させるよう制御することができる。
【0016】
上記の構成において、前記光学部材は、レンチキュラーレンズであることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の裸眼立体ディスプレイ装置によれば、光学要素の周期方向を画素配列の水平方向に対して傾斜させた光学部材を用いることによってN視点の裸眼立体視を実現させる裸眼立体ディスプレイ装置に、N未満の視点数の映像データを表示させる際に、解像感の劣化やノイズの発生を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】多眼式の裸眼立体ディスプレイ装置において、画像がずれた状態で重なって表示されることを説明するための図である。
【図2】9視点の裸眼立体ディスプレイ装置に2視点のステレオコンテンツを表示させる場合の視点画像の割り当ての例を示す図である。
【図3】17視点の画像を表示可能な裸眼立体ディスプレイ装置を示す図である。
【図4】図3に示す裸眼立体ディスプレイ装置にステレオコンテンツを表示する場合の各視点における輝度の強度を概念的に示す図である。
【図5】本実施形態の裸眼立体ディスプレイ装置にステレオコンテンツを表示する場合の各視点における輝度の強度を概念的に示す図である。
【図6】本実施形態において輝度を変調する範囲を概念的に示す図である。
【図7】本実施形態で用いる強度変調設定テーブルの一例を示す図である。
【図8】本実施形態の裸眼立体ディスプレイ装置における第1の構成例を示すブロック図である。
【図9】図8における表示装置50及びレンチキュラーレンズLLSの具体的構成例を示す図である。
【図10】本実施形態の裸眼立体ディスプレイ装置における第2の構成例を示すブロック図である。
【図11】第2の構成例で用いる強度変調設定テーブルの一例を示す図である。
【図12】第2の構成例で用いる視点割り当てテーブルの一例を示す図である。
【図13】本実施形態の裸眼立体ディスプレイ装置における第3の構成例を示すブロック図である。
【図14】本実施形態において表示される画像の視点と変調強度との関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の裸眼立体ディスプレイ装置の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を用いて、多眼式の裸眼立体ディスプレイ装置において、画像がずれて視認される理由について説明する。図1(A)は、視点0〜8の9視点の映像を表示可能な裸眼立体ディスプレイ装置の構成例である。図1(A)において、複数の画素Pxlが水平(H)及び垂直(V)方向に配列されている。画素Pxlに付している数字はそれぞれの画素Pxlがどの視点画像を表示するかを示している。ここでは1つのシリンドリカルレンズしか示していないが、配列された複数の画素Pxl上には、レンチキュラーレンズLLSが、シリンドリカルレンズの周期方向が画素Pxlの配列の水平方向に対して傾けた状態で配置されている。シリンドリカルレンズ(レンチキュラーレンズLLS)の周期方向とは、シリンドリカルレンズの境界線Lbrと直交する方向である。
【0020】
ブラックストライプがないと仮定した場合の画素Pxlの水平方向の画素ピッチはpx、垂直方向の画素ピッチはpyである。レンチキュラーレンズLLSの水平方向のレンズピッチは4.5px、傾斜角度はtan-1(px/2py)となっている。
【0021】
図1(A)の裸眼立体ディスプレイ装置をある位置から見た場合、シリンドリカルレンズの境界線Lbrから等距離の破線にて示す直線Led上に存在する画素Pxlのみが見える。直線Led上に見える画素Pxlを白で、他の画素Pxlには梨地模様を付している。図1(A)より分かるように、視点0の画像と視点1の画像とが見える。このため、図1(B)に示すように、視点画像Im1と視点画像Im2とがずれた状態で重なって視認される。視点画像Im1と視点画像Im2との間には視差Paxが存在している。視差Paxが大きい場合には左右に大きくぶれた画像となり、水平方向の解像感が劣化することとなる。
【0022】
次に、N視点(Nは3以上の整数)の裸眼立体ディスプレイ装置に2視点のステレオコンテンツを表示させる場合について説明する。2視点のステレオコンテンツにおける一方の映像信号によって表示される画像を画像A、他方の映像信号によって表示される画像を画像Bとする。N視点のそれぞれに視点0〜N−1と符号を付すと、Nが偶数であれば、N視点を2つに分けて、視点0側の半分の視点に画像Aを割り当てて表示し、視点N−1側の半分の視点に画像Bを割り当てて表示することが考えられる。Nが奇数であれば、視点0〜N−1における中央に位置している視点を除き、視点0側の半分の視点に画像Aを割り当てて表示し、視点N−1側の半分の視点に画像Bを割り当てて表示し、中央の視点には画像Aと画像Bとのいずれかを割り当てて表示することが考えられる。
【0023】
図2は、9視点の裸眼立体ディスプレイ装置に2視点のステレオコンテンツにおける画像A,Bを表示させる場合を示している。図2の例では、視点0〜4に画像Aを割り当て、視点5〜8に画像Bを割り当てている。図2において、白で示した画素Pxlには画像Aを表示し、ハッチングを付した画素Pxlには画像Bを表示している。ここでは、レンチキュラーレンズLLSにおける2つのシリンドリカルレンズLs1,Ls2を示している。レンチキュラーレンズLLSが理想レンズであったとしても、領域Ar1,Ar2内の画素Pxlを見ると、常に画像Aと画像Bとがずれた状態で重なって視認される。図1(B)で説明したように、視差Paxが存在し、水平方向の解像感が劣化することとなる。
【0024】
特に、光学部材としてレンチキュラーレンズLLSを用いた裸眼立体ディスプレイ装置においては、レンズで拡大された色画素が明るく視認されることから、視点が切り替わる際に2つの視点画像が重なって視認されると、画像Aと画像Bとで画素値が異なる領域でノイズのように見えて疲労感を与えやすい。N視点の裸眼立体ディスプレイ装置に2視点のステレオコンテンツを表示させる場合には、視点画像Im1と視点画像Im2との間の視差Paxが大きいことが多く、ノイズとして認識される領域が広いため、特に疲労感を与えやすい。
【0025】
図3は、17視点の画像を表示可能な裸眼立体ディスプレイ装置を示している。画素Pxlに付している数字はそれぞれの画素Pxlが視点0から視点16のどの視点画像を表示するかを示している。ここでは、レンチキュラーレンズLLSにおける4つのシリンドリカルレンズLs0〜Ls3を示している。レンチキュラーレンズLLSの水平方向のレンズピッチは4.25px、傾斜角度はtan-1(px/2py)である。なお、この条件では、表示可能な視点数は最大で17視点である。
【0026】
観察者が所定の位置で図3の裸眼立体ディスプレイ装置を観察した場合、レンチキュラーレンズLLSの境界線Lbrから等距離の破線にて示す直線Led上に存在する画素PxlのみをレンチキュラーレンズLLSのピッチ幅だけ拡大して視認することになる。シリンドリカルレンズLs0,Ls2における直線Led上の画素Pxlに着目すると、視点画像2を中心にして視点画像0,2,4が見える。シリンドリカルレンズLs1,Ls3における直線Led上の画素Pxlに着目すると、視点画像3を中心にして視点画像1,3,5が見える。視点画像0,2,4においては視点画像2が最も輝度が高く、視点画像1,3,5においては視点画像3が最も輝度が高いので、視点の中心となっている。即ち、直線Led上の画素Pxlを見る観察者は、視点画像2,3を中心に、視点画像0〜5の6視点の画像が重なった状態で視認することになる。裸眼立体ディスプレイ装置を所定の位置から見たときに重なって見える視点数を重複視点数と表現することとする。
【0027】
図4は、図3に示す裸眼立体ディスプレイ装置における視点0〜8にステレオコンテンツにおける画像Aを、視点9〜16にステレオコンテンツにおける画像Bを表示する場合の各視点における輝度の強度を概念的に示している。図4において水平方向は観測者の水平位置、垂直上方向は画像Aの輝度の強度StA、垂直下方向は画像Bの輝度の強度StBを示す。強度分布の特性に隣接して付している数字は視点画像の番号である。
【0028】
図4において、領域ArAは画像Aのみが視認される領域、領域ArBは画像Bのみが視認される領域である。領域ArABは画像A,B双方が視認される領域である。画像Aにおける視点4の画像が見える観察点Pから右方向に観察点を移動していくと、観察点Qから画像Bにおける視点9の画像が観測され始め、観察点Rで画像Aと画像Bの強度が等しくなる。レンチキュラーレンズLLSを用いた構成では、観察点Qから観察点Rへと観察点を移動させると、画像Bの輝度が急激に強くなるのでノイズとして認識されやすく、疲労感を与えやすい。
【0029】
そこで、本実施形態においては、図5に示すように画像A,Bの輝度を変調する。図6は輝度を変調する範囲を概念的に示している。前述のように、視点0〜16の17視点の裸眼立体ディスプレイ装置において、重複視点数は6視点である。図6において、重複している視点の範囲を重複視点範囲Wにて示している。重複視点範囲Wは画像A側のk(kは自然数)の範囲と画像B側のkの範囲である。Wは2kである。重複視点数は2kの範囲の視点数である。本実施形態においては、少なくとも重複視点範囲Wの範囲で画像A,Bの輝度を変調する。重複視点範囲Wより広い範囲で画像A,Bの輝度を変調してもよい。図7は各視点の画像A,Bの変調強度を示す強度変調設定テーブルの一例である。図5は、図7に示す変調強度で変調した場合の強度StA,StBを示している。
【0030】
本実施形態においては、画像Aが表示される視点と画像Bが表示される視点との境界を中心として画像Aの視点側及び画像Bの視点側双方のkの範囲を変調強度1未満で輝度を変調している。具体的には、観察者が裸眼立体ディスプレイ装置に対する観察点を水平方向に移動させた際に、視点画像が切り替わる境界に対して水平方向前側のkの視点画像と水平方向後側のkの視点画像における画素データの輝度を低下させる。
【0031】
従って、図5に示すように、画像Aのみが視認される領域ArA’と画像Bのみが視認される領域ArB’が図4の領域ArA,ArBよりも広くなる。一方、画像A,B双方が視認される領域ArAB’は図4の領域ArABよりも狭くなる。画像Aにおける視点4の画像が見える観察点Pから右方向に観察点を移動していくと、観察点Qを過ぎても強度StBが小さいので視点9の画像はしばらくの間、認識されない。観察点Qから観察点Rへと観察点を移動させても画像Bの輝度は急激には強くならず緩やかに増加していくので、ノイズとして認識されにくく、疲労感を与えにくい。ノイズとして認識されにくいので、解像感の劣化も抑えることができる。
【0032】
図7に示す画像A,Bの変調強度は単なる一例であり、画像A,Bの輝度の変調のさせ方は図7に示すものに限定されるものではない。例えば、視点0,8,9,16の変調強度を0にしてもよい。図7に示す例や視点0,8,9,16の変調強度を0にした例は、変調強度を非線形にしたものである。視点0,8,9,16の変調強度を0.25にして、変調強度を線形にすることもできる。本実施形態では、視点画像の切り替わる境界である視点0,8,9,16に近い視点の変調強度を小さく(輝度を低く)するほど効果が高い。そのため、効果を維持したまま輝度を確保するために、視点0,8,9,16に近い視点画像ほど輝度を落とし、そこから離れるほど輝度の低下度合いを小さくする、非線形な変調とすることが好ましい。
【0033】
次に、図5に示す輝度変調を実現する裸眼立体ディスプレイ装置の具体的構成例について説明する。
【0034】
<第1の構成例>
図8は裸眼立体ディスプレイ装置の第1の構成例である。第1の構成例は、入力される映像データが2視点のステレオコンテンツであることが予め決まっている場合に好適な構成例である。図8において、一例として液晶パネルである表示装置50の表面に、光学部材の一例としてのレンチキュラーレンズLLSが装着されている。観測者は、レンチキュラーレンズLLS側から表示装置50を観察する。図9に示すように、レンチキュラーレンズLLSは複数のシリンドリカルレンズLs0,Ls1,Ls2…が連結されたものである。隣接するシリンドリカルレンズの間は境界線Lbrとなっている。
【0035】
図9に示す例は、図3と同様、17視点の画像を表示可能な表示装置50である。それぞれの画素Pxlに視点0から視点16のどの視点画像を表示するかを示している。画素Pxlの水平方向の画素ピッチはpx、垂直方向の画素ピッチはpyであり、レンチキュラーレンズLLSの水平方向のレンズピッチは4.25px、傾斜角度はtan-1(px/2py)である。なお、ここでの画素Pxlとは色画素である。視差映像を分割する方向は主として水平方向の1次元となっている。
【0036】
図8において、駆動部1にはステレオコンテンツである映像データが入力される。映像データのフォーマットは任意であり、ライン・バイ・ライン方式、サイド・バイ・サイド方式、フレームシーケンシャル方式等のいずれでもよい。図9に示すように、入力される映像データにおける画像Aは白で示した画素Pxlに割り当てて表示され、画像Bはハッチングを付した画素Pxlに割り当てて表示される。駆動部1は、入力された映像データにおける画像A,画像Bを構成するそれぞれのデータ部分の各画素データを、図9に示すように17視点の表示装置50の各画素に割り当てて表示するよう表示装置50を駆動する。
【0037】
図8において、テーブル保持部2には、図7に示す強度変調設定テーブルが保持されている。駆動部1は、テーブル保持部2に保持された強度変調設定テーブルに基づいて、表示装置50の各画素Pxlに表示する画素データの輝度を変調させて表示装置50に表示させる。テーブル保持部2に強度変調設定テーブルを保持させる代わりに、強度を変調させるための関数を保持させておき、関数を用いた計算によって画素データの輝度を変調させてもよい。
【0038】
第1の構成例は、ステレオコンテンツを表示させるよう表示装置50を駆動する駆動部1自体が、重複して見える視点画像の画素データの輝度を低下させるように制御する輝度制御部となっている。
【0039】
<第2の構成例>
図10に示す第2の構成例は、入力される映像データが2視点のステレオコンテンツに限定されない場合に好適な構成例である。図10において、図8と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0040】
図10において、視点数検出部13及び駆動部11には映像データが入力される。表示装置50がN視点の画像を表示可能であるとすると、入力される映像データはN未満の視点数の視点画像よりなる映像データである。第1の構成例と同様、17視点の表示装置50の場合、入力される映像データは16視点以下の視点数である。映像データは、一例としてヘッダ情報に視点数を示す情報を含んでいる。視点数検出部13は入力された映像データのヘッダ情報に基づいて視点数nを検出する。視点数nを示すデータは駆動部11に入力される。
【0041】
テーブル保持部12には、図11に示す強度変調設定テーブルが保持されている。第2の構成例は、17視点の表示装置50に、映像データとして2視点のステレオコンテンツを表示させる場合のみ図5で説明したように輝度を変調し、他の視点数の映像データであれば輝度を変調しないように構成している。図11に示すように、視点0〜16に対して、視点数nが2以外では輝度を変調しないことを示す“1”が設定されており、視点数nが2であれば図7と同様に1未満の変調強度の値が設定されている。
【0042】
駆動部11は、視点数nを示すデータによって、入力された映像データが2視点のテレオコンテンツであると判断した場合に、テーブル保持部12に保持された強度変調設定テーブルに基づいて、表示装置50の各画素Pxlに表示する画素データの輝度を変調させて表示装置50に表示させる。また、駆動部11は、視点数nを示すデータによって、入力された映像データの視点数nが2以外であると判断した場合には、テーブル保持部12に保持された強度変調設定テーブルに基づいて、表示装置50の各画素Pxlに表示する画素データの輝度を変調させることなく表示装置50に表示させる。
【0043】
図12は、視点数検出部13が検出した視点数nを17視点における視点0〜16にどのように割り当てるかを示している。視点数検出部13が検出した視点数nが2の列において、“0”は前述の画像Aを割り当てることを示し、“1”は前述の画像Bを割り当てることを示している。テーブル保持部12は、図12に示す視点割り当てテーブルも保持している。駆動部11は、入力された映像データの視点数nが2以外である場合には、図12の視点割り当てテーブルに基づいて視点を17視点に割り当てて映像データを表示装置50に表示させる。なお、第2の構成例においては、表示可能な視点数は17であるので、視点数検出部13が検出した視点数nが17を超える場合にはエラーであるとして処理してもよい。
【0044】
第2の構成例も、表示装置50を駆動する駆動部11自体が、2視点のテレオコンテンツを表示した場合に重複して見える視点画像の画素データの輝度を低下させるように制御する輝度制御部となっている。
【0045】
<第3の構成例>
図13に示す第3の構成例は、映像データの輝度を予め変調して駆動部に供給するように構成したものである。図13において、図8と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。図13において、輝度変調部24にはステレオコンテンツである映像データが入力される。テーブル保持部22には、図7と同様の強度変調設定テーブルが保持されている。輝度変調部24は、テーブル保持部22に保持された強度変調設定テーブルに基づいて、入力された映像データの各画素データの輝度を変調して駆動部21へと供給する。駆動部21へと供給される映像データは、予め図5のような特性の輝度変調が施されたデータとなっている。
【0046】
駆動部21は、入力された映像データにおける画像A,画像Bを構成するそれぞれのデータ部分の各画素データを、図9で説明したように17視点の表示装置50に割り当てて表示するよう表示装置50を駆動する。この際、駆動部21は、図8の第1の構成例における駆動部1とは異なり、各画素データを、入力された各画素データの輝度そのままの輝度で表示するよう表示装置50を駆動する。第3の構成例は、輝度変調部24が輝度制御部となっている。
【0047】
<第4の構成例>
特に図示しないが、図10で説明した第2の構成例のように視点数検出部を備えた構成において、第3の構成例と同様に、映像データの輝度を予め変調して駆動部に供給するように構成することも可能である。
【0048】
図14は、以上の各構成例において、表示装置50に表示される画像の視点と変調強度との関係を示している。図14より分かるように、輝度制御部である駆動部1,11や輝度変調部24は、観察者が表示装置50に対する観察点を水平方向に移動させた際に視点画像が切り替わる境界に対して水平方向前側のkの視点画像における画素データの輝度を境界に向かうに従って順次減少させる。また、駆動部1,11や輝度変調部24は、水平方向後側のkの視点画像における画素データの輝度を境界から離れるに従って順次増大させる。この際、前述のように、順次減少及び順次増大の特性は、視点の変化に対して上に凸の非線形であることが好ましい。
【0049】
本実施形態においては、表示装置50に図14に示すような特性でステレオコンテンツである映像データが表示されるので、画像Aから画像Bへの切り替わり、画像Bから画像Aへの切り替わりの際に、輝度が緩やかに増加していくことになり、ノイズとして認識されにくく、疲労感を与えにくくすることができる。ノイズとして認識されにくいので、解像感の劣化も抑えることができる。
【0050】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。本実施形態においては、N視点の裸眼立体視を実現させる裸眼立体ディスプレイ装置に2視点のステレオコンテンツを表示する場合を中心として説明したが、本発明はN視点の裸眼立体ディスプレイ装置に、N未満の視点数の映像データを表示させる場合に適用できる。また、本実施形態においては、光学部材としてレンチキュラーレンズを用いた場合を中心として説明したが、光学部材はレンチキュラーレンズに限定されるものではない。但し、光学部材としはレンチキュラーレンズが好ましい。
【符号の説明】
【0051】
1,11,21 駆動部(輝度制御部)
2,12,22 テーブル保持部(保持部)
13 視点数検出部
24 輝度変調部(輝度制御部)
50 表示装置
LLS レンチキュラーレンズ(光学部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が水平方向及び垂直方向に配列された表示装置と、
複数の光学要素が周期的に配列され、前記光学要素の周期方向が前記表示装置における画素の水平方向に対して傾斜させた状態で前記表示装置上に配置され、Nを3以上の整数として、前記複数の画素に対してNの互いに異なる視点画像からなる第1の映像データの各画素データを割り当てることによって前記表示装置に前記第1の映像データを表示させた際に、前記視点画像をNの異なる視点方向に分割して提示させるよう構成された光学部材と、
前記複数の画素に対してN未満の互いに異なる視点画像からなる第2の映像データの各画素データを割り当てることによって前記表示装置に前記第2の映像データを表示させた状態で、観察者が前記光学部材側から前記表示装置を観察した場合に、重複して見える視点画像の画素データの輝度を低下させるよう制御する輝度制御部と、
を備えることを特徴とする裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記輝度制御部は、kを自然数として重複して見える視点画像の数を2kとしたとき、前記観察者が前記表示装置に対する観察点を水平方向に移動させた際に視点画像が切り替わる境界に対して水平方向前側のkの視点画像と水平方向後側のkの視点画像における画素データの輝度を低下させる
ことを特徴とする請求項1記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項3】
各視点画像における画素データの輝度を低下させる特性を設定したテーブル、または、各視点画像における画素データの低下させた輝度を計算するための関数を保持する保持部をさらに備え、
前記輝度制御部は、前記保持部に保持されたテーブルまたは関数によって得られた輝度となるよう各視点画像における画素データの輝度を低下させる
ことを特徴とする請求項2記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記表示装置に前記第2の映像データを表示させるよう前記表示装置を駆動する駆動部をさらに備え、
前記駆動部が前記輝度制御部となっている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記表示装置に前記第2の映像データを表示させるよう前記表示装置を駆動する駆動部と、
前記第2の映像データにおける重複して見える視点画像の画素データの輝度を予め低下させて前記駆動部に供給する輝度変調部と、
をさらに備え、
前記輝度変調部が前記輝度制御部となっている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記輝度制御部は、前記水平方向前側のkの視点画像における画素データの輝度を前記境界に向かうに従って順次減少させ、前記水平方向後側のkの視点画像における画素データの輝度を前記境界から離れるに従って順次増大させる
ことを特徴とする請求項2または3に記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記輝度制御部は、前記水平方向前側のkの視点画像における画素データの輝度を前記境界に向かうに従って上に凸な関数で非線形に順次減少させ、前記水平方向後側のkの視点画像における画素データの輝度を前記境界から離れるに従って上に凸な関数で非線形に順次増大させる
ことを特徴とする請求項6記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記第2の映像データの視点数を検出する視点数検出部をさらに備え、
前記輝度制御部は、前記視点数検出部が検出した視点数が特定の視点数の場合のみ重複して見える視点画像の画素データの輝度を低下させるよう制御する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記光学部材は、レンチキュラーレンズであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項1】
複数の画素が水平方向及び垂直方向に配列された表示装置と、
複数の光学要素が周期的に配列され、前記光学要素の周期方向が前記表示装置における画素の水平方向に対して傾斜させた状態で前記表示装置上に配置され、Nを3以上の整数として、前記複数の画素に対してNの互いに異なる視点画像からなる第1の映像データの各画素データを割り当てることによって前記表示装置に前記第1の映像データを表示させた際に、前記視点画像をNの異なる視点方向に分割して提示させるよう構成された光学部材と、
前記複数の画素に対してN未満の互いに異なる視点画像からなる第2の映像データの各画素データを割り当てることによって前記表示装置に前記第2の映像データを表示させた状態で、観察者が前記光学部材側から前記表示装置を観察した場合に、重複して見える視点画像の画素データの輝度を低下させるよう制御する輝度制御部と、
を備えることを特徴とする裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記輝度制御部は、kを自然数として重複して見える視点画像の数を2kとしたとき、前記観察者が前記表示装置に対する観察点を水平方向に移動させた際に視点画像が切り替わる境界に対して水平方向前側のkの視点画像と水平方向後側のkの視点画像における画素データの輝度を低下させる
ことを特徴とする請求項1記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項3】
各視点画像における画素データの輝度を低下させる特性を設定したテーブル、または、各視点画像における画素データの低下させた輝度を計算するための関数を保持する保持部をさらに備え、
前記輝度制御部は、前記保持部に保持されたテーブルまたは関数によって得られた輝度となるよう各視点画像における画素データの輝度を低下させる
ことを特徴とする請求項2記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記表示装置に前記第2の映像データを表示させるよう前記表示装置を駆動する駆動部をさらに備え、
前記駆動部が前記輝度制御部となっている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記表示装置に前記第2の映像データを表示させるよう前記表示装置を駆動する駆動部と、
前記第2の映像データにおける重複して見える視点画像の画素データの輝度を予め低下させて前記駆動部に供給する輝度変調部と、
をさらに備え、
前記輝度変調部が前記輝度制御部となっている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記輝度制御部は、前記水平方向前側のkの視点画像における画素データの輝度を前記境界に向かうに従って順次減少させ、前記水平方向後側のkの視点画像における画素データの輝度を前記境界から離れるに従って順次増大させる
ことを特徴とする請求項2または3に記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記輝度制御部は、前記水平方向前側のkの視点画像における画素データの輝度を前記境界に向かうに従って上に凸な関数で非線形に順次減少させ、前記水平方向後側のkの視点画像における画素データの輝度を前記境界から離れるに従って上に凸な関数で非線形に順次増大させる
ことを特徴とする請求項6記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記第2の映像データの視点数を検出する視点数検出部をさらに備え、
前記輝度制御部は、前記視点数検出部が検出した視点数が特定の視点数の場合のみ重複して見える視点画像の画素データの輝度を低下させるよう制御する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記光学部材は、レンチキュラーレンズであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の裸眼立体ディスプレイ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−249060(P2012−249060A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118921(P2011−118921)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
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