説明

製品及びその電子的に読み取り可能な証明書の真正性を保護及び管理するための方法及び装置

本発明は、製品及びその構成要素、並びにこれらの電子的に読み取り可能な証明書の真正性を保護及び管理するための方法及び装置に関する。製品(1)の構造に応じて、アロイ層(2)が製品上に付設される。次に、層(2)は、ビーム(3)による制御されたビーム又はジェットマーキングにより影響を受け、復元可能なマーキング(4)が付設される。マーキングを管理或いは復元するために、マーキングが付設された領域において、マーキング形成部の表面、導電性或いは構造が調べられる。得られたマーキング暗号化要素の画像は、オリジナルマーキングと復元可能な暗号化要素の関係を含む情報と比較される。この情報は、多媒体暗号マーキング(13)によって改ざん或いは偽造から保護された電子的に読み取り可能な添付証明書(12)上のデータベースにも記録されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品、製品構成要素及びこれらの電子的に読み取り可能な証明書の真正性を保護及び管理するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製品にナンバリングを付しその真正性を管理するためにマーキング、レーザ彫刻、機械的ナンバリング、多媒体多段暗号マーキング(multimedia multi-stage encrypted marking)等を利用する各種方法及び装置が知られている。これら従来技術の方法や装置には、各種証明書が付随しており、その管理は普通、裸眼での目視、或いは器具や自動読取機を用いて行われている。
【0003】
上述の方法の欠点は、機械的ナンバリング或いはレーザ彫刻の場合、オリジナルマーキングやオリジナル証明書の精巧な複製品(所謂クローン)が作成され多段暗号マーキング自体が消去に対する抵抗力がない場合、真正品と偽造品の区別が付かないことである。また、暗号マーキングが深く削り取られた場合には、その唯一性を判断できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ブルガリア特許第BG61241 B1号明細書
【特許文献2】ブルガリア特許第BG63518号明細書
【特許文献3】ブルガリア特許第BG63519号明細書
【特許文献4】ブルガリア特許第BG63520号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、製品、製品構成要素、及びこれらの電子的に読み取り可能な証明書の真正性を保護及び管理するための方法及び装置を創出することである。より具体的には、生産管理、兵器、小火器とそのスペア部品及び弾薬の管理、自動車及び自動車部品産業、航空機産業、機械製造産業、追跡可能であることを目的としたその他の製品、これら製品とその部品の真正性の管理、これら製品の出所及び製造者の証明、これらの証明書の真正性の管理を、付設(deposited)されたマーキングの精巧な複製、模造、コピー或いは消去が行われようとした場合であっても達成できることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的は、製品の構造に応じて薄いアロイ層が製品上に付設されるという特徴を有する方法及び装置を用いて達成される。制御されたビーム(レーザビーム、電子ビーム、イオンビーム等)により行われるマーキング過程においては、温度上昇により、アロイ層の元素が製品材料内に深く侵入し、この場所に多段暗号マーキングが記録されると同時に、材料の構造の変化がマーキング領域周辺及び内部まで起こる。マーキングビームのパワーやアロイ層の厚さ及び種類の制御及び調節によって、特定のマーキング暗号化点における材料変化及び侵入深さを制御できる。この制御は、材料変化及び侵入深さが製品材料構造内の限界深さよりも深くまで達するように行われる。限界深さとは、材料がこれよりも深く機械的に除去された場合(とりわけマーキングが消去された場合)に、製品が破壊されるか製品の使用が不可能になるという深さである。このように作成されたマーキングは消去や改ざんが試みられても復元できるが、マーキングの読み取り及び管理は、マーキング領域(マーキングが消去された場合はマーキングが記録されていた領域)の材料の表面、導電性或いは構造を調べることにより行われる。得られた画像やパラメータは、処理された後、オリジナルマーキングが作成された時点でデータベースに記録された暗号化要素のパラメータと比較される。データベースは、オリジナルマーキングとその内部の暗号化要素の関係を含む。得られたパラメータがデータベース内に記録されたパラメータと一致すれば、消去された場合であってもマーキングは復元でき、その真正性は証明できる。製品のマーキングの際、視認可能なオリジナルマーキングと隠れている暗号化要素の関係は、添付される電子的に読み取り可能な証明書に記録される。その後、証明書の認証チップや証明書材料に対しても同様に、証明書を改ざんや偽物から保護する復元可能な多段暗号マーキングがマーキングされる。証明書には視認可能なオリジナルマーキングと隠れている暗号化要素の関係が含まれているため、証明書は、証明書上のマーキングによってその真正性が証明された後、対応する製品に記録されたマーキングの管理工程に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】復元可能な多段暗号マーキングの付設のための方法。
【図2】復元可能な多段暗号マーキングを読み取るための方法及び装置。
【図3】製品及び添付証明書の真正性を保護するために、消去或いは改ざん後に復元可能な多段暗号マーキングを記録しまた読み取るための方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、本発明を説明する。
【0009】
製品の構造に応じて製品上に薄いアロイ層が付設される。アロイ層は、製品材料によって異なる。制御されたビーム(レーザビーム、電子ビーム、イオンビーム等)により行われるマーキング過程においては、温度上昇により、アロイ層の元素が製品材料内に深く侵入し、この場所に多段暗号マーキングが記録されると同時に、材料の構造の変化がマーキング点周辺及び内部まで起こる。マーキングビームのパワーやアロイ層の厚さ及び種類の制御及び調節によって、特定のマーキング暗号化点における材料の構造変化及び侵入深さが制御される。この制御は、材料変化及び侵入深さが製品材料構造内の限界深さよりも深くまで達するように行われる。限界深さとは、材料がこれよりも深く機械的に除去された場合(中でも、マーキングが消去された場合)に、製品が破壊されるか、製品の使用が不可能になるという深さである。このように作成されたマーキングは消去やクローン作成が試みられても復元できるが、マーキングの読み取り及び管理は、マーキング領域(マーキングが消去された場合はマーキングが記録されていた領域)の材料の表面、導電性或いは構造をリーダ(CCD、AFM、CMOS等)により調べることにより行われる。このようにして得られた画像やパラメータは、処理された後、オリジナルマーキングが作成された時点でデータベースに記録された暗号化要素のパラメータと比較される。データベースは、オリジナルマーキングとその内部の暗号化要素の関係を含む。得られたパラメータがデータベース内に記録されたパラメータと一致すれば、消去された場合であってもマーキングは復元でき、その真正性は証明できる。製品のマーキングの際、視認可能なオリジナルマーキングと隠れている暗号化要素の関係は、添付される電子的に読み取り可能な証明書に記録される。その後、証明書の認証チップや証明書材料にも同様に、証明書を改ざんや偽物から保護する復元可能な多段暗号マーキングがマーキングされる。証明書には視認可能なオリジナルマーキングと隠れている暗号化要素の関係が含まれているため、証明書は、証明書上のマーキングによってその真正性が証明された後、対応する製品に記録されたマーキングの管理工程に利用できる。
【符号の説明】
【0010】
1.製品
2.アロイ層
3.制御されたビーム(レーザビーム、電子ビーム、イオンビーム等)
4.復元可能な多段暗号マーキング
5.材料の構造変化部
6.限界深さ線
7.リーダ(CCD、AFM、CMOS等)
8.コンピュータ
9.データベース
10.多段暗号マーキング
11.製品
12.電子キャリアを有する証明書
13.証明書及び電子キャリア上の復元可能な多段暗号マーキング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の真正性を保護する、消去或いは改ざんが試みられた後でも復元可能な多段暗号マーキングの付設のための方法であって、製品(1)の構造に応じて薄いアロイ層(2)を製品上に付設した後、ビーム(3)による制御されたビーム又はジェットマーキングにおいて、アロイ層とビーム融解による材料(5)の構造変化が、マーキングの機械的材料除去がその深さに達した場合は製品が破壊されるか或いは製品の使用が不可能になる深さである限界深さ(6)よりも深くまで達するような方法で、多段暗号マーキング(4)を記録することを特徴とする方法。
【請求項2】
製品の真正性を保護する、消去或いは改ざんをが試みられた後でも復元可能な多段暗号マーキングを読み取るための方法であって、マーキング領域(マーキングが消去された場合はマーキングが記録されていた領域)の材料の表面、該材料の導電性或いは構造を調べ、得られたマーキング暗号化要素の画像とパラメータを、オリジナルマーキングが作成された時点でのオリジナルマーキングと該オリジナルマーキング中の暗号化要素の関係を含むデータベースに記録された暗号化要素のパラメータと比較し、前記得られたパラメータがデータベース内に記録されたパラメータと一致するとき、マーキングが復元されその真正性が証明されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に従って、製品の真正性を保護する、消去或いは改ざんが試みられた後でも復元可能な多段暗号マーキングを読み取るための装置であって、マーキング又はマーキングが記録された場所は、コンピュータ(8)に接続されたリーダ(7)によって調べられ、コンピュータ(8)は、受け取った情報を処理してデータベース(9)内の情報と比較し、オリジナルマーキング(10)を確認或いは復元することを特徴とする装置。
【請求項4】
製品の真正性を保護する、消去或いは改ざんが試みられた後でも復元可能な多段暗号マーキングを記録し読み取るための方法であって、製品(11)上に多段暗号マーキングを付設し、電子キャリア(12)を備えた添付証明書及びデータベースに、視認可能なマーキングと暗号化要素の関係を記録した後、電子キャリアに記録されたデータの改ざん及び証明書の偽造を防止するために電子キャリアに多段暗号マーキング(13)を記録し、その後、読み取りにおいて、電子キャリアの確認及び製品の多段暗号マーキングの確認を請求項2に従って行い、製品のマーキングの真正性を確認するが、用いるデータベースは、前記証明書の前記電子キャリアに記録されたデータベースであることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−536588(P2009−536588A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508060(P2009−508060)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【国際出願番号】PCT/BG2007/000008
【国際公開番号】WO2007/131307
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(508335107)ケイト・リミテッド (1)
【出願人】(508335118)
【出願人】(508335358)
【Fターム(参考)】