説明

製鋼スラグの溶融改質処理方法

【課題】製鋼工程の精錬処理時に発生する製鋼スラグの溶融改質処理方法において、スラグ組成等の影響により流動性が低いスラグを溶融改質処理した場合であっても、高品質のスラグを高い歩留りで得る。
【解決手段】SiO含有物質を改質材として、溶融改質処理装置内の製鋼スラグに改質材を溶射することにより、製鋼スラグを溶融改質処理する製鋼スラグの溶融改質処理方法において、溶融改質処理の開始前における(TLL−T)/(TLL−TSL)で表される固相率が0.5以上の製鋼スラグを使用した場合に、製鋼スラグの溶融改質処理開始前の温度Tと製鋼スラグの液相線温度TLLとの関係が、T+150℃≧TLLを満たす条件で溶融改質処理を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製鋼工程の精錬処理時に発生する製鋼スラグの溶融改質処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶銑予備処理および脱炭処理等の製鋼工程の精錬処理により生成される製鋼スラグは、遊離CaO(以下、「f.CaO」と記載することがある。)を含み、このf.CaOの水和反応により体積が膨張し、多くの微小な亀裂や開気孔を発生する場合がある。このようなf.CaOを多く含む製鋼スラグは体積安定性が低い。また、溶融状態の製鋼スラグは気泡(主としてCOガス)を多く含んでいる。このような気泡を含む溶融製鋼スラグを冷却すると気泡を含んだ状態で凝固してしまうため、吸水率が高い低品質のものとなる。
【0003】
そのため、製鋼スラグは、土木工事用の仮設材、道路の地盤改良材、下層路盤材等の低級用途に専ら使用され、より高級用途である上層路盤材、コンクリート用骨材、石材原料等には用いられにくい。
【0004】
これに対して、製鋼スラグを、上層路盤材、コンクリート用骨材、石材原料等の用途に有効利用すべく、従来から、製鋼スラグの高品質化を図り商品価値を高めるために、製鋼スラグ中のf.CaOを低減させたり、溶融製鋼スラグ中の気泡を低減させたりすることが行われている。例えば、上層路盤材やコンクリート用骨材として利用する場合には、スラグ中のf.CaOは0.1%以下、吸水率を3.0%以下とすることが改質処理の目安とされている。
【0005】
このような改質処理の方法として、例えば、非特許文献1には、転炉から排出された脱炭スラグを溶融状態のまま改質する方法が記載されている。この方法は、溶融スラグ中に酸素と珪酸(SiO)含有改質材を浸漬ランスを通じて吹き込み、スラグ中のFeOをFeに酸化させて、その際の反応熱で昇熱し、溶融状態を維持しながら改質材によってスラグの塩基度(CaO/SiO)を低減し、未滓化石灰を体積安定性のある化合物(2CaO・SiO)に変化させるものである。
【0006】
また、例えば、特許文献1には、溶銑予備処理や脱炭処理を行う精錬炉からスラグ鍋に排出された製鋼スラグに、バーナを用いて改質材を溶射する際に、バーナの位置を所定の条件を満たすように設定する製鋼スラグの溶融改質処理方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−261038号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】M.Kuehn, et al., 2nd European Steelmaking Congress, Taranto(1997年)p445〜453
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記非特許文献1の方法は、脱炭スラグのように1600℃以上の高温で、かつ流動性が確保されているスラグの場合には効果的であるものの、スラグの温度やスラグ中のトータルのFe量(以下、「T・Fe」と記載することがある。)が低位である場合には、スラグ顕熱が不足するため、スラグの流動性が低下する。また、塩基度(CaO/SiOの質量比)が高位である場合には、同一温度におけるスラグの粘度が増すため、スラグの流動性が低下する。すなわち、上記非特許文献1の方法では、スラグ温度やスラグ組成により、スラグの流動性が低下する場合があり、この場合、スラグの改質効果が十分に発揮できないか、または改質処理できない、という問題があった。
【0010】
また、上記特許文献1の方法では、スラグを溶融改質する際の前提となる処理前のスラグが溶融または半溶融の流動性がある状態であることが前提となっている。すなわち、上記特許文献1の方法においては、塩基度が高いために高融点で流動性が低い固相状態のスラグは、溶融改質処理の対象とはなっておらず、このような流動性の低いスラグを溶融改質する方法は、これまでは提案されていなかった。
【0011】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、製鋼工程の精錬処理時に発生する製鋼スラグの溶融改質処理方法において、スラグ組成等の影響により流動性が低いスラグを溶融改質処理した場合であっても、高品質のスラグを高い歩留りで得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下で定義する固相率が0.5以上の製鋼スラグを使用した場合であっても、溶融改質処理開始前の製鋼スラグの温度Tと当該製鋼スラグの液相線温度TLLとの関係が、T+150℃≧TLLを満たす条件で溶融改質処理を行うことにより、f・CaOが低い高品質のスラグが高い歩留りで得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明によれば、SiO含有物質を改質材として、溶融改質処理装置内の製鋼スラグに前記改質材を溶射することにより、前記製鋼スラグを溶融改質処理する製鋼スラグの溶融改質処理方法であって、前記溶融改質処理の開始前における下記式(1)で表される固相率が0.5以上の前記製鋼スラグを使用する場合に、前記製鋼スラグの前記溶融改質処理開始前の温度Tと前記製鋼スラグの液相線温度TLLとの関係が、T+150℃≧TLLを満たす条件で、前記溶融改質処理を開始することを特徴とする、製鋼スラグの溶融改質処理方法が提供される。
固相率=(TLL−T)/(TLL−TSL) ・・・(1)
【0014】
ただし、前記式(1)において、TLLは前記製鋼スラグの液相線温度であり、Tは固相率の測定時における前記製鋼スラグの温度であり、TSLは前記製鋼スラグの固相線温度である。
【0015】
また、前記製鋼スラグの溶融改質処理方法において、精錬終了後、出鋼した後に転炉内に前記製鋼スラグを残留させ、送酸しながら前記転炉内に残存した地金を燃焼させることにより、前記溶融改質処理の開始前における前記製鋼スラグの温度が(TLL−150)℃以上となるように、前記製鋼スラグを予熱してもよい。
【0016】
あるいは、前記製鋼スラグの溶融改質処理方法において、前記改質材を溶射する前に、転炉から排滓後の前記製鋼スラグを均熱炉で加熱することにより、前記溶融改質処理の開始前における前記製鋼スラグの温度が(TLL−150)℃以上となるように、前記製鋼スラグを予熱してもよい。
【0017】
あるいは、前記製鋼スラグの溶融改質処理方法において、転炉の吹止温度を(TLL−150)℃以上とし、前記溶融改質の開始前における前記製鋼スラグの温度を(TLL−150)℃以上に保持するようにしてもよい。
【0018】
また、前記製鋼スラグの溶融改質処理方法において、前記溶融改質処理を行っている際に、前記製鋼スラグを間欠的に機械攪拌してもよい。
【0019】
また、前記溶融改質処理を行っている際に、前記製鋼スラグを複数個の前記溶融改質処理装置間で移し変えてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、製鋼工程の精錬処理時に発生する製鋼スラグの溶融改質処理方法において、溶融改質処理前の製鋼スラグの温度条件を、当該製鋼スラグの液相線温度との関係で規定することにより、スラグ組成等の影響等により流動性が低いスラグを溶融改質処理した場合であっても、高品質のスラグを高い歩留りで得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理方法における製鋼スラグの予熱方法の一例を示す説明図である。
【図2】同実施形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理方法を示す説明図である。
【図3】同実施形態に係る溶融改質処理中における製鋼スラグの撹拌方法の一例を示す説明図である。
【図4】同実施形態に係る溶融改質処理中における製鋼スラグの撹拌方法の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
[固相状態のスラグの溶融改質処理の現状について]
まず、本発明の実施の形態について説明をする前に、その前提として、固相状態のスラグの溶融改質処理の現状について説明する。なお、本明細書においては、「固相状態のスラグ」を、下記式(1)で表される固相率が0.5以上のスラグと定義する。また、この式(1)で定義される固相率の詳細については後述する。
固相率=(TLL−T)/(TLL−TSL) ・・・(1)
【0024】
現状では、固相状態の製鋼スラグを溶融改質する場合、言い換えれば、溶融改質処理開始前の製鋼スラグの固相率が高い場合には、製鋼スラグの溶融改質処理に用いられるバーナの火炎に接触するスラグの表層部分は溶融するものの、当該表層部分の下方に位置する製鋼スラグがいわば断熱材となってしまい、製鋼スラグ全体の溶融改質処理が行われるまでには長時間を要してしまう。このため、転炉から約30〜60分/チャージごとに生成される製鋼スラグに関しては、溶融改質処理開始前の製鋼スラグの固相率が高い場合には、溶融改質処理が対応できない。
【0025】
これは、以下のような理由であると考えられる。すなわち、バーナにより製鋼スラグの表層部分が加熱され、製鋼スラグの表層部分が高温になって溶融したとしても、改質対象となる製鋼スラグ全体の温度が低温である場合には、溶融した表層部分の製鋼スラグの温度よりもその下方の製鋼スラグの温度の方が低いため、表層部分の製鋼スラグとその下方の製鋼スラグとの間で自然な熱対流を生じない。そのため、バーナ加熱により生じた製鋼スラグの溶融部分(以下、「融液層」と言う場合がある。)の大きさはほとんど増大しない。また、融液層が生じた後に、当該融液層をガス攪拌や機械攪拌により強制的に攪拌したとしても、スラグは熱伝導率が低いことから、製鋼スラグの温度が低いと融液層の拡大には長時間を要する。従って、固相率が高く、温度が低い製鋼スラグを単に上面側からバーナで加熱するだけでは、溶融改質処理装置内の製鋼スラグ全体を溶融状態にすることは困難である。
【0026】
さらに、上記のように、製鋼スラグの表層部分だけが溶融する現象が生ずると、表層部分の下方の製鋼スラグが改質されない状態で、溶融改質処理装置内に残存してしまう場合もあり、製鋼スラグの溶融改質処理の歩留まりが悪くなってしまう。また、溶融改質処理中に製鋼スラグの攪拌を行う場合には、未改質の製鋼スラグが融液層に継続的に供給されるため、この場合、改質された製鋼スラグの品質も低下してしまう。すなわち、改質されて品質の向上した製鋼スラグが得られる割合が低下してしまう。
【0027】
そこで、以下に説明する本発明の一実施の形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理方法においては、溶融改質処理開始前における固相率が0.5以上の製鋼スラグの溶融改質処理を、製鋼スラグの溶融改質処理開始前の温度Tと製鋼スラグの液相線温度TLLとの関係が、T+150℃≧TLLを満たす条件で溶融改質処理を開始することとしている。以下、本発明の一実施の形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理方法について詳細に説明する。
【0028】
[本発明の一実施の形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理方法について]
上述したように、本実施形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理方法は、SiO含有物質を改質材として、溶融改質処理装置内の製鋼スラグに改質材を溶射することにより、製鋼スラグを溶融改質処理する方法である。
【0029】
(改質処理の対象について)
本実施形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理方法では、製鋼スラグを改質処理の対象としており、改質対象の製鋼スラグの種類としては特に限定されるものではないが、例えば、脱炭スラグ、溶銑予備処理スラグ、電気炉スラグ等を使用することができる。
【0030】
ただし、本実施形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理方法では、上記製鋼スラグのうち、溶融改質処理開始前における下記式(1)で表される固相率が0.5以上の製鋼スラグを使用する。
固相率=(TLL−T)/(TLL−TSL) ・・・(1)
【0031】
なお、上記式(1)は一般的に広く知られており、TLLはスラグの液相線温度であり、Tは固相率の測定時におけるスラグの温度であり、TSLはスラグの固相線温度である。また、スラグの液相線温度とは、完全に液相の状態から固相が現れ始める温度のことをいい、スラグの固相線温度とは、固相と液相が共存する状態から完全に固相となる温度のことをいう。すなわち、スラグ温度Tが液相線温度TLL以上のときは固相率が0となり、スラグ温度Tが低くなるにつれて固相率も高くなり、スラグ温度Tが固相線温度TSL以下のときに固相率が1となる。従って、本実施形態に係る製鋼スラグは、固相と液相とが共存している状態をも含んでいることとなる。
【0032】
ここで、スラグの固相率は上記式(1)で定義しているが、本発明者らが事前に実験に基づいて調査した結果、上記式(1)で定義したスラグの固相率が0.5以上であれば、スラグの流動性が無い状態であることを確認している。すなわち、本実施形態に係る製鋼スラグの固相率が0.5以上であるとは、固相と液相とが共存した状態であっても、当該製鋼スラグが流動性を有しない状態であることを表している。
【0033】
また、本実施形態における製鋼スラグの温度Tは、例えば、光学式の温度計(例えば、二色温度計)を用いて測温することができるが、熱電対を直接スラグに浸漬して測温することもできる。
【0034】
また、本実施形態における製鋼スラグの液相線温度TLLおよび固相線温度TSLは、例えば、スラグ組成から、熱力学計算モデルSOLGASMIX(例えば、「Proc. of 6th Int. Iron and Steel Cong.,1990,Nagoya,ISIJ,p256−263.」を参照)により算出することができる。なお、上記計算モデルで算出した液相線温度TLLおよび固相線温度TSLの値と実験で求めた液相線温度TLLおよび固相線温度TSLの値とは差異を生ずる場合があるので、必要に応じて、事前に比較をしてその差異を把握しておくことが望ましい。
【0035】
また、熱力学計算モデルの他の例としては、FactSage(例えば、「鉄と鋼 Vol.88(2002)No2 p51−58」を参照)等の市販の計算ソフトがあり、このFactSage等の計算ソフトを用いて、スラグ組成からスラグの溶融温度(液相線温度)を算出することが可能である。なお、この場合も、必要に応じて、事前に算出値と実験値とを比較しておくことが望ましい。
【0036】
(製鋼スラグの温度条件について)
また、本実施形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理方法では、製鋼スラグの溶融改質処理開始前の温度Tと製鋼スラグの液相線温度TLLとの関係が、下記式(2)を満たす条件で、溶融改質処理を開始する。
+150℃≧TLL ・・・(2)
【0037】
ここで、本実施形態における「溶融改質処理開始前の温度T」とは、出鋼後、転炉から排滓された製鋼スラグを溶融改質処理の処理場まで搬送し、溶融改質処理装置に装入した後、溶融改質処理を開始する際の製鋼スラグの温度を意味する。また、転炉から製鋼スラグを排滓することなく、転炉を溶融改質処理装置として用いて、転炉内で溶融改質処理を行っても良い。この場合には、本実施形態における「溶融改質処理開始前の温度T」とは、転炉において溶融改質処理を開始する際の製鋼スラグの温度を意味する。
【0038】
また、本実施形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理方法における製鋼スラグの温度条件を、上記式(2)のようにしたのは、後述する実施例に示すように、式(2)を満たす条件で、改質後の製鋼スラグの品質が顕著に高くなり、かつ、溶融改質処理の歩留まりが顕著に向上するとともに、溶融改質処理開始前の製鋼スラグが流動性を有しない場合でも、転炉から約30〜60分/チャージごとに生成される製鋼スラグに溶融改質処理が対応できることが確認されたためである。
【0039】
また、溶融改質処理開始前の製鋼スラグの温度Tを、上記式(2)を満たすようにするためには、例えば、以下のような3通りの方法がある。
【0040】
第1の方法としては、精錬終了後、出鋼した後に転炉内に製鋼スラグを残留させ、送酸しながら転炉内に残存した地金を燃焼させることにより、溶融改質処理装置に装入し、溶融改質処理を開始する際における製鋼スラグの温度Tが(TLL−150)℃以上となるように、製鋼スラグを予熱する方法がある。以下に、図1を参照しながら、この第1の方法について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理方法における製鋼スラグの予熱方法の一例を示す説明図である。
【0041】
本実施形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理方法においては、図1に示すように、精錬終了後、出鋼した後に、転炉1内に製鋼スラグ2を残留させ、製鋼スラグ2を溶融改質処理場に搬送して改質材としてのSiO含有物質を溶射する前に、転炉1内で製鋼スラグ2を予熱する。この予熱の方法としては、例えば、吹錬用ランス3等を用いて、酸素を吹きながら吹錬用ランス3の酸素ジェット4により、転炉2内に残存した地金5を燃焼させる。ここで、この地金5の燃焼反応は発熱反応であることから、地金5の燃焼により発生した熱により、製鋼スラグ2を昇温させることができる。
【0042】
第2の方法としては、改質材を溶射する前に、転炉から排滓後の製鋼スラグを均熱炉(炉内温度が、例えば1700℃等の一定温度に保持された加熱炉)で加熱して昇温させることにより、溶融改質処理装置に装入し、溶融改質処理を開始する際における製鋼スラグの温度Tが(TLL−150)℃以上となるように、製鋼スラグを予熱する方法がある。この方法は、例えば、処理対象のスラグが、転炉等から排出した後の温度が1200〜1300℃と比較的低温のスラグ(例えば、転炉における溶銑予備処理スラグ等)である場合に実施される。
【0043】
第3の方法としては、転炉の吹止温度を(TLL−150)℃以上とし、溶融改質処理装置に装入し、溶融改質処理を開始する際の製鋼スラグの温度を(TLL−150)℃以上に保持する方法がある。この方法は、例えば、処理対象のスラグが、転炉における脱炭スラグ等である場合に実施される。製鋼スラグの液相線温度TLLは、当該製鋼スラグの組成が決まれば、上述した熱力学計算モデルを用いて算出することができる。また、転炉における吹錬の操業条件により、精錬後のスラグ組成を推定することができるので、事前に操業条件に応じて製鋼スラグの組成を推定しておき、推定したスラグ組成から、処理対象の製鋼スラグの液相線温度を求めておけばよい。さらに、製鋼スラグを転炉から排滓して溶融改質処理装置に装入するまでの間における製鋼スラグの温度の低下代については経験により予測できる。そして、上記のようにして求めた製鋼スラグの液相線温度と予測した温度低下代とに基づいて、転炉における吹止温度を決定することができる。
【0044】
なお、上記3通りの方法のうち、工業的に実施が容易であるという観点から、第1の方法が最も現実的な実施の形態であるといえる。
【0045】
(溶融改質処理の方法について)
以上説明したようにして、溶融改質処理開始前の製鋼スラグの温度Tを、T+150℃≧TLL(式(2))の条件を満たすようにした後に、溶融改質処理装置内で、製鋼スラグの溶融改質処理が開始される。なお、溶融改質処理が開始された以降は、製鋼スラグの温度Tは上昇するため、溶融改質処理が開始時に上記式(2)を満足していれば良い。以下、図2を参照しながら、本実施形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理方法において、製鋼スラグに改質材を溶射して実際に改質処理を行う際の詳細な方法について説明する。図2は、本実施形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理方法を示す説明図である。
【0046】
図2に示すように、まず、上記式(2)の温度条件を満たしている固相率が0.5以上の固体状の製鋼スラグ2を、溶融改質処理装置6内に装入する。次いで、溶融改質処理装置6内の製鋼スラグ2の表面に向けて、バーナ7等の加熱手段を用いて改質材8として、SiO含有物質を溶射する。
【0047】
<改質材について>
ここで、改質材8としては、SiO含有物質、すなわち、ケイ酸を含有しているものであれば良い。この改質材8としてのSiO含有物質は、製鋼スラグ2の塩基度(CaO/SiOの質量比)を低減し、製鋼スラグ中のf.CaOと反応して、体積安定性の良好な化合物(2CaO・SiO)を形成するために、製鋼スラグに添加される。このSiO含有物質としては、SiO含有量が50質量%以上のものが好ましく、例えば、石炭灰、ケイ砂などが例示できるが、これらに限定されるものではない。SiO含有物質について、SiO成分の残部は主にAl成分である場合が多い。また、改質材8のサイズについては、例えば、石炭灰は粒径が数十μm以下のものが大半を占める微細粉末であるが、改質材8のサイズは、バーナ7等の加熱手段から溶射できる粒径であればよく、特に限定はされない。
【0048】
<バーナについて>
加熱手段としてバーナ7を用いる場合には、バーナ7の燃料としては、例えば、灯油、重油、液化天然ガス(LPG)、微粉炭などを用いることができる。また、本実施形態に係る溶融改質処理は、複数のバーナ7を用いて実施しても良い。また、バーナ7用の支燃性ガスとしては、通常は酸素が用いられるが、純酸素や空気を用いても良い。さらに、改質材8を気流搬送するための搬送気体としては空気が推奨されるが、これに限定されるものでなく、バーナ7の燃焼に必要な酸素を搬送気体として用いてもよく、あるいは、バーナ7の燃焼に無関係な気体を搬送気体として用いてもよい。
【0049】
<融液層について>
製鋼スラグ2は、改質材8の溶射前は塩基度(CaO/SiOの質量比)が高いために融点も高いが、改質材8が溶射されると、塩基度が低下するために融点も低下してくる。また、製鋼スラグ2は、その表面がバーナ7等の加熱手段により加熱されるため、表面側から溶融してきて、融液層2Lが生じ始める。このとき、融液層2Lの下方の製鋼スラグ2Sは、固体状態を維持している。
【0050】
<溶融改質処理中のスラグの状態について>
ここで、本実施形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理は、上記のように融液層2Lが生じた後では、製鋼スラグ2の少なくとも一部が流動性を有する状態を維持しながら行われる。このように、製鋼スラグ2が流動性を有する状態で改質処理が行われるのは、スラグの流動性を良好にしてf.CaOの低減を促進するためである。すなわち、流動性を有する状態の製鋼スラグに改質材としてのSiO含有物質を添加することにより、製鋼スラグ中の未反応のf.CaOと改質材中のSiOを反応させてf.CaOの量を低減させることができる。従って、f.CaOの水和反応(CaO+HO→Ca(OH))によるスラグの体積膨張を防止することができる。一方、製鋼スラグの流動性が悪い場合には、固相のスラグ中のf.CaOと改質材中のSiOとの反応が十分に進行せず、その結果、f.CaOの低減効果が低くなってしまう。
【0051】
なお、本実施形態では、製鋼スラグ2は、溶融改質処理の開始時に流動性がないものを対象としている。具体的な指標としては、上記式(1)を算出するに際して、熱力学計算モデル(例えば、SOLGASMIX)で求めた推定値で表すと、溶融改質処理開始前の製鋼スラグは、固相率が0.5以上であれば、流動性を有しない状態であることがわかる。本実施形態に係る溶融改質処理方法では、改質処理が進行していくうちに、バーナ7による加熱や、改質材8の溶射による製鋼スラグ2の低塩基度化が進行するために、製鋼スラグ2の固相率が低下する結果、製鋼スラグ2の流動性がさらに向上し、改質反応が促進されることとなる。
【0052】
<溶融改質処理中の攪拌について>
ちなみに、本実施形態に係る溶融改質処理方法では、溶融改質処理開始前の製鋼スラグが、固相率が0.5以上で流動性を有しない状態であるため、本実施形態に係る溶融改質処理方法として、ランス(図示せず)等により溶融改質処理装置6内の製鋼スラグ2の融液層2Lに撹拌ガス等を吹き込み、ガス撹拌等により融液層2Lを攪拌することで、改質反応界面(改質材8が溶射される製鋼スラグ2の表面)のスラグを更新することが好ましい。これにより、製鋼スラグ2の融液層2Lの割合をより短時間で増大させて、製鋼スラグ2の固相率を低下させることが可能となる。
【0053】
さらに、本実施形態に係る溶融改質処理方法では、改質処理時間を短縮するために、例えば、以下の(A)や(B)の方法等により、溶融改質処理中の製鋼スラグ2を強制的に撹拌することがさらに好ましい。
(A)溶融改質処理を行っている際に、製鋼スラグ2を間欠的に機械攪拌する。
(B)溶融改質処理を行っている際に、製鋼スラグ2を複数個の溶融改質処理装置6間で移し変える。
【0054】
以下、図3を参照しながら、上記(A)の例における製鋼スラグ2の撹拌方法について、図4を参照しながら、上記(B)の例における製鋼スラグ2の撹拌方法について詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る溶融改質処理中における製鋼スラグの撹拌方法の一例を示す説明図であり、図4は、本実施形態に係る溶融改質処理中における製鋼スラグの撹拌方法の他の例を示す説明図である。
【0055】
まず、上記(A)の例、すなわち、溶融改質処理を行っている際に、製鋼スラグ2を間欠的に機械攪拌する例の場合には、図3に示すように、融液層2Lが生じた後に、溶融改質処理装置6内の製鋼スラグ2を、撹拌手段9を用いて間欠的に機械撹拌する。この場合の撹拌手段9としては、例えば、スラグドラッガーやインペラー等を使用することができる。これにより、製鋼スラグ2の融液層2Lの割合を短時間で増大させ、製鋼スラグ2の固相率をより短時間で低下させることが可能となる。従って、溶融改質処理を行っている際に、製鋼スラグ2を間欠的に機械攪拌することにより、溶融改質処理の時間を大幅に短縮することができる。
【0056】
次に、上記(B)の例、すなわち、溶融改質処理を行っている際に、製鋼スラグ2を複数個の溶融改質処理装置6間で移し変える例の場合には、図4(a)に示すように、融液層2Lが生じた後に、溶融改質処理装置6内の製鋼スラグ2を、他の溶融改質処理装置6に移し変える。すると、図4(b)に示すように、バーナ7等の加熱により温度が上昇した融液層2Lが固体状態のスラグ2Sよりも下方に位置するようになる。このように、より高温のスラグが下方に位置することにより、自然な対流が発生し、図4(c)に示すように、製鋼スラグ2の融液層2Lの割合をより短時間で増大させ、製鋼スラグ2の固相率を短時間で低下させることが可能となる。従って、溶融改質処理を行っている際に、製鋼スラグ2を複数個の溶融改質処理装置6間で移し変えることにより、溶融改質処理の時間を大幅に短縮することができる。
【0057】
<溶融改質処理中の改質材の状態について>
なお、上述したように、本実施形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理方法においては、一旦流動性を有する状態となった製鋼スラグ2の流動性を維持すること、製鋼スラグ2中のf.CaOと改質材8中のSiOとの反応を促進すること等の理由から、バーナ7等の加熱手段から溶射される改質材8としてのSiO含有物質を溶融状態で、製鋼スラグ2に添加することが重要である。なぜならば、改質材8が未溶融状態のままで製鋼スラグ2に添加された場合、または、改質材8が一旦バーナ7の火炎中で溶融状態となったとしても温度が低下して凝固した後に製鋼スラグ2に添加された場合には、これらの改質材8が製鋼スラグ2から顕熱を奪い、これにより製鋼スラグ2の温度の低下を招き、製鋼スラグ2の流動性の維持ができなくなる場合があるためである。また、未溶融状態の改質材8や一旦溶融した後に凝固した改質材8は、製鋼スラグ2中のf.CaOとの反応速度が遅く、効率的な溶融改質処理を行うことが困難となる場合がある。
【実施例】
【0058】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。本実施例では、下記表1に示す組成の製鋼スラグに対して、下記表2に示す組成の石炭灰を用いて、下記表3に示す条件で溶融改質処理を行った。その後、溶融改質処理の改質歩留り、および、改質処理後の製鋼スラグのf・CaO量を測定し、吸水率を評価した(結果は、表3を参照)。
【0059】
ここで、本実施例における「改質歩留り」は、溶融改質処理を施したスラグ量(改質前のスラグ量)[t]と、改質材の添加量[t]の合計量に対する、改質されて溶融改質処理装置から排出されたスラグ量[t]の質量比とした。すなわち、「改質歩留り=(改質され溶融改質処理装置から排出されたスラグ量)/(改質前のスラグ量)+(改質材添加量)」である。すなわち、流動性のないスラグを対象としているため、溶融改質処理が良好に行われなかった場合、溶融改質処理後のスラグの流動性が悪くなるため、スラグが排出されにくいことから、改質歩留りは低くなる。
【0060】
また、吸水率の評価は、溶融改質処理後に溶融改質処理装置を傾転して改質後の製鋼スラグを別の容器に排出して凝固させ、f.CaOを分析することにより行った。具体的には、改質後のスラグの体積膨張の原因となるf・CaO量が少ないほど、吸水率が高いと評価した。
【0061】
なお、本実施例におけるスラグ組成の分析方法としては、蛍光X線分析(JIS K 0119)を用い、f・CaOの分析方法としては、エチレングリコール抽出法ICP発光分光分析を用いた。
【0062】
以下、各実施例および比較例における溶融改質処理の条件および結果について詳述する。
【0063】
(実施例1)
1650℃で転炉での吹錬を行い、出鋼した後に転炉内にスラグを残し、引き続き、送酸しながら、転炉内に残存した地金を燃焼させてスラグ温度を1670℃まで昇温させた。その後、スラグを転炉から排滓した。排滓によりスラグ温度は1600℃に低下し、さらに、排滓後のスラグを溶融改質処理場まで搬送した後の溶融改質処理開始前のスラグ温度は1590℃であり、スラグの固相率は0.8であり、スラグは流動性を有していない状態であった。また、溶融改質処理前のスラグの質量は17トンであり、このスラグに改質材3.4トンを加えて溶融改質処理を行った。改質材の溶射によりスラグの表層側から融液層が拡大し、60分の処理時間でスラグ全体を溶融させることができた。溶融改質処理終了後、溶融した部分(改質処理が行われた部分)を排出し、冷却して凝固させた。その後、改質歩留り及び改質後のf・CaO量を測定した結果、改質歩留まりは92%と高く、改質後のスラグ中におけるf・CaO量も0.11質量%と、上層路盤材等の高級用途に使用可能であることの目安となる0.5質量%未満を達成することができた。
【0064】
(実施例2)
1750℃で転炉での吹錬を行い、吹錬終了直後のスラグの状態を観察したところ溶融状態であったが、転炉から排滓した後のスラグ温度は1655℃となった。さらに、排滓後のスラグを溶融改質処理場まで搬送した後の溶融改質処理開始前のスラグ温度は1650℃であり、スラグの固相率は1.0であり、スラグは流動性を有していない状態であった。また、溶融改質処理前のスラグの質量は20トンであり、このスラグに改質材4.0トンを加えて溶融改質処理を行った。改質材の溶射によりスラグの表層側から融液層が拡大し、60分の処理時間でスラグ全体を溶融させることができた。溶融改質処理終了後、溶融した部分(改質処理が行われた部分)を排出し、冷却して凝固させた。その後、改質歩留まり及び改質後のf・CaO量を測定した結果、改質歩留まりは95%と高く、改質後のスラグ中におけるf・CaO量も0.12質量%と、上層路盤材等の高級用途に使用可能であることの目安となる0.5質量%未満を達成することができた。
【0065】
(比較例1)
吹止温度1630℃で転炉での吹錬を終了し、スラグを排滓したが、排滓直後でスラグ温度が1560℃に低下した。また、溶融改質処理装置が耐火物で補修した後で装置自体の温度が低かったために、溶融改質処理装置に装入した際のスラグの温度低下が大きく、溶融改質処理装置内での溶融改質処理開始前のスラグ温度が1490℃となった。また、スラグの固相率は1.0であり、スラグは流動性を有していない状態であった。さらに、溶融改質処理前のスラグの質量は18トンであり、このスラグに改質材3.6トンを加えて60分の処理時間で溶融改質処理を行った。溶融改質処理開始前のスラグの温度が本発明の温度条件の範囲よりも低かったため、改質材の溶射によりスラグ表層は溶融するものの全体を溶融させるには至らなかった。溶融改質処理終了後、溶融した部分(改質処理が行われた部分)のみを排出し、冷却して凝固させた。その後、改質歩留まり及び改質後のf・CaO量を測定した結果、改質歩留まりは18%と低く、改質後のスラグ中におけるf・CaO量も0.65質量%と、上層路盤材等の高級用途に使用可能であることの目安となる0.5質量%未満を達成することができなかった。
【0066】
(比較例2)
吹止温度1680℃で転炉での吹錬を終了し、スラグを排滓した。このとき、排滓直後のスラグ温度は1580℃であったが、溶融改質処理装置において、前チャージのスラグを改質するのに長時間を要し、スラグ排滓から溶融改質処理開始までの待ち時間が長くなったために、溶融改質処理開始前のスラグ温度が1420℃となった。また、スラグの固相率は1.0であり、スラグは流動性を有していない状態であった。さらに、溶融改質処理前のスラグの質量は21トンであり、このスラグに改質材4.2トンを加えて60分の処理時間で溶融改質処理を行った。溶融改質処理開始前のスラグの温度が本発明の温度条件の範囲よりも低かったため、改質材の溶射によりスラグ表層は溶融するものの全体を溶融させるには至らなかった。溶融改質処理終了後、溶融した部分(改質処理が行われた部分)のみを排出し、冷却して凝固させた。その後、改質歩留まり及び改質後のf・CaO量を測定した結果、改質歩留まりは22%と低く、改質後のスラグ中におけるf・CaO量も0.61質量%と、上層路盤材等の高級用途に使用可能であることの目安となる0.5質量%未満を達成することができなかった。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
【表3】

【0070】
また、上記実施例1,2及び比較例1,2における改質前のスラグ温度(℃)と改質歩留り(%)との関係は、表3に示した結果からわかるように、固相率0.5以上の固体状の製鋼スラグを溶融改質処理する場合であっても、溶融改質処理開始前の製鋼スラグの温度Tが、T+150℃≧TLLを満たす条件で溶融改質処理を開始することにより、吸水率の低い高品質のスラグを高い歩留りで得ることができる。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0072】
1 転炉
2 製鋼スラグ
2L スラグ融液層
2S 固体状態のスラグ
3 吹錬用ランス
4 酸素ジェット
5 地金
6 溶融改質処理装置
7 バーナ
8 改質材
9 撹拌手段



【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiO含有物質を改質材として、溶融改質処理装置内の製鋼スラグに前記改質材を溶射することにより、前記製鋼スラグを溶融改質処理する製鋼スラグの溶融改質処理方法であって、
前記溶融改質処理の開始前における下記式(1)で表される固相率が0.5以上の前記製鋼スラグを使用する場合に、
前記製鋼スラグの前記溶融改質処理開始前の温度Tと前記製鋼スラグの液相線温度TLLとの関係が、T+150℃≧TLLを満たす条件で、前記溶融改質処理を開始することを特徴とする、製鋼スラグの溶融改質処理方法。
固相率=(TLL−T)/(TLL−TSL) ・・・(1)
ただし、前記式(1)において、TLLは前記製鋼スラグの液相線温度であり、Tは固相率の測定時における前記製鋼スラグの温度であり、TSLは前記製鋼スラグの固相線温度である。
【請求項2】
精錬終了後、出鋼した後に転炉内に前記製鋼スラグを残留させ、送酸しながら前記転炉内に残存した地金を燃焼させることにより、前記溶融改質処理の開始前における前記製鋼スラグの温度が(TLL−150)℃以上となるように、前記製鋼スラグを予熱することを特徴とする、請求項1に記載の製鋼スラグの溶融改質処理方法。
【請求項3】
前記改質材を溶射する前に、転炉から排滓後の前記製鋼スラグを均熱炉で加熱することにより、前記溶融改質処理の開始前における前記製鋼スラグの温度が(TLL−150)℃以上となるように、前記製鋼スラグを予熱することを特徴とする、請求項1に記載の製鋼スラグの溶融改質処理方法。
【請求項4】
転炉の吹止温度を(TLL−150)℃以上とし、前記溶融改質の開始前における前記製鋼スラグの温度を(TLL−150)℃以上に保持することを特徴とする、請求項1に記載の製鋼スラグの溶融改質処理方法。
【請求項5】
前記溶融改質処理を行っている際に、前記製鋼スラグを間欠的に機械攪拌することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製鋼スラグの溶融改質処理方法。
【請求項6】
前記溶融改質処理を行っている際に、前記製鋼スラグを複数個の前記溶融改質処理装置間で移し変えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製鋼スラグの溶融改質処理方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−285634(P2010−285634A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138374(P2009−138374)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】