説明

複合サイクル発電システムの制御装置

【課題】ガスタービンエンジン(GT)(16)、熱回収蒸気発生器(HRSG)(18)及び蒸気タービン(ST)(20)を含む複合サイクル発電システム(10)のための制御システムを提供する。
【解決手段】本制御システムは、オペレータが予測作動パラメータに関する情報を見ることができるディスプレイ(92)と、オペレータが付加的作動制約条件を提供することができるユーザインタフェース(94)と、公称制約条件及び付加的制約条件を満たすGT、HRSG及びSTの入力プロフィールを生成しまた予測作動パラメータに関する情報を生成する制御装置(84)とを含む。制御装置は、発電システム作動の段階移行を検出しかつ入力プロフィールを更新するように構成できる。制御装置は、システム構成要素の少なくとも1つの作動制約条件に対する代替制御動作をマップ化することによって代替作動シナリオを生成するように構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示した主題は、総括的には複合サイクル(CC)発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
増大する使用サイクル要求、上昇する燃料コスト、無秩序な競合エネルギー市場及び厳しい環境規制により、CC発電システム作動の一層迅速なシーケンスの必要性が求められている。さらに、発電システム所有者は、地域の環境規制、エネルギー送出要求及び現在の燃料及びエネルギー価格に応じて異なる始動目標を達成すべく努力している。一般的な始動目標は、始動時間の短縮である。しかしながら、発電システムオペレータは、エミッション、燃料コスト又は正味熱消費率を最少化する必要がある。一部の始動手順は数時間にわたって行われまた負荷、市場又は発電システム条件はその時間の間に変化する可能性があるため、更なる柔軟性(フレキシビリティ)もまた有用である。
【0003】
参考文献としてその全体を本明細書に組み入れている本出願と同一出願人の2005年9月6日出願の米国特許出願第2007/0055392号は、発電システムをモデル予測制御するためのシステム及び方法を記載している。この制御システムは、幾つかの発電システム構成要素のためのモデルを含んでおり、そのモデルは、発電システム構成要素の挙動を予測するようになっている。このシステムはまた、発電システム構成要素の作動パラメータに対応する入力を受けて、モデルに従って発電システムの性能基準を改善する制御装置を含む。
【0004】
幾つかの複合サイクル発電システムは、少なくとも2つのガスタービンエンジン(GT)を含んでいる。各GTは、熱回収蒸気発生器(HRSG)と結合される。各GTからの排気ガスは、対応するHRSG内に送られて、蒸気タービン組立体(ST)を駆動することのようなその他の発電システムプロセスで使用するための蒸気を発生させる。
【0005】
複数のGTを備えた発電システムは、始動プロセスを選択する際に、ただ1つのGTを備えたシステムよりも大きな柔軟性を有する。各HRSGがSTに連結されるGT負荷(連結点)の選択及びGTがSTに連結される順序(始動シーケンス)の選択を使用して、始動性能の改善を達成することができる。しかしながら、そのような選択肢からの最良の選択は、常に明らかというわけではない。加えて、あらゆる始動シーケンスは、発電システム及び構成要素制約条件を考慮に入れながら制御しなくてはならない。制約条件の幾つかの例としては、STロータにおける最大応力、隣り合う回転部品及び固定部品間の最大膨張差又は最小間隙、並びに最高金属及び蒸気温度が含まれる。
【0006】
多くの複合サイクル発電システム始動プロセスでは、回転している歯車及びファイアから離れた第1のGTは、先行GTと呼ばれ、また第2のGTは、遅延ガスタービンと呼ばれる。遅延GT蒸気をST内に混合(融合)させることは、様々なST構成要素内に大きな温度勾配を生じさせる場合がある。温度勾配の大きさに応じて、ST内に熱応力が生じるか或いはST内における熱応力が増大する可能性がある。GT負荷速度が非常に高い場合には、ST内に大きな熱応力が生じて、高い応力及び不均一な熱膨張を招き、これにより、摩擦が生じるおそれがある。反対に、緩やかなGT負荷速度は、安全な作動を保証するが、燃料コストを増大させ、発電システムの有用性を低下させる。
【0007】
過渡作動の間に最適な発電プラント制御動作を行うことにおける1つの課題は、異なる構成要素のダイナミックスの異なるタイムスケールである。例えば、始動プロセスの間に、GTエフェクタ(燃料弁開度及び吸気案内ベーン角度など)における変化は、数秒のうちにGTの状態を変更させるが、それによる応力及び間隙への影響は、比較的長い遅れの後に、一般的には10分〜30分の範囲内で顕れる。制御装置がこれら長期のつまり「将来の」応力又は間隙を正確に予測する能力を有していない場合には、加えられるGT負荷は一般的に、STに過大熱応力が生じるのを防止するために、控えめでありかつ非常に低い負荷速度を含む。もう1つの過渡作動は、遅延HRSG内で発生させた蒸気をST内に混合(融合)することにある。STの過大応力を防止するために、少なくとも幾つかの公知の複合サイクル発電システムは、遅延HRSG内で発生させた蒸気を長時間にわたって手動で混合させている。しかしながら、遅延蒸気をST内に緩やかに混合させることは、混合の完了を不必要に遅らせることになるおそれがある。場合によっては、過渡作動は、手動で制御する作業からなることになり、オペレータは、将来の制約条件(又は限界条件)の遵守を保証しながらその作業を開始する時点を決定しなくてはならない。その作業を開始する制御誘導は一般的に、その作業を可能にする前に不必要に長い遅れが導入される可能性があるという意味で、控えめなものである。本出願と同一出願人の2008年2月29日出願の米国特許出願第12/040296号は、この効率損失を減少させるように第2のHRSGから蒸気を導入するタイミングを決定する方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第2007/0055392号
【特許文献2】米国特許出願第12/040296号
【特許文献3】米国特許第4,222,229号公報
【特許文献4】米国特許第5,042,246号公報
【特許文献5】米国特許第6,370,880号公報
【特許文献6】米国特許第7,206,644号公報
【特許文献7】米国特許出願公開第2006/0233637号公報
【特許文献8】米国特許出願公開第2007/0005392号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】C. Albanesi et al., "Optimization of the Start-up Procedure of a Combined Cycle Power Plant," Proceedings of the 45th IEEE Conference on Decision & Control, San Diego, California, December 13-15, 2006, pages 1840-1845.
【非特許文献2】J. Delson, "Thermal Stress Computation for Steam-Electric Generator Dispatch, IEEE Transactions on Power Systems, Volume 9, No.1, February 1994, pages 120-127.
【非特許文献3】J. Bausa et al., "Dynamic Optimization of Startup and Load-Increasing Processes in Power Plants-Part1:Method," Journal of Engineering for Gas Turbines, Transactions of the ASME, Volume 123, January 2001, pages 246-250.
【非特許文献4】J. Bausa et al., "Dynamic Optimization of Startup and Load-Increasing Processes in Power Plants-Part11:Application," Journal of Engineering for Gas Turbines and Power, Transactions of the ASME, Volume 123, January 2001, pages 251-254.
【非特許文献5】F. Casella et al., "Fast Start-up of a Combine-Cycle Power Plant: a Simulation Study with Modelica," The Modelica Association, September 4th-5th., pages 3-10.
【非特許文献6】E. Gallestey er al., "Model Predictive Control and the Optimization of Power Plant Load While Considering Lifetime Consumption," IEEE Transactions on Power systems, Volume 17, No. 1, February 2002, pages 186-191.
【非特許文献7】Y. Ohsawa at al., "Startup Optimization of a Combined Cycle Power Plant Based on Cooperative Fuzzy Reasoning and a Neural Network," IEEE Transactions on Energy Conversion, Volume 12, No.1, March 1997, pages 51-59.
【非特許文献8】T.Iijima et al., "Hitachi's Latest Supervisory and Control System for Advanced Combined Cycle Power Plants," Hitachi Review, Volume 51, No. 5, 2002, pages 153-157.
【非特許文献9】"Optimizing Generation Control for Combined-Cycle Plants," GE's closed loop generation control helps balance power/steam demand-http://www.gepower.com/prod_serv/serv/op_maint_serv/en/downloads/closed_loop_optimal.pdf, Diesel & Gas Turbine Worldwide, Power-Gen International-Orlando, December 2004.
【非特許文献10】"Solutions for Combined Cycle Power Plants," ABB Ltd. Business Unit Power Generation, 2006, pages 1-8.
【非特許文献11】D.F.Holzhauer et al., "SYSTEMS AND METHODS FOR CHANNELING STEAM INTO TURBINES," U.S.Application 12/040,296, filed February 29, 2008, GE Docket No. 224022-1.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
複合サイクル発電システムの作動をさらに改善して、該発電システム及びその構成要素の始動状態を改善することは有益であると言える。
【課題を解決するための手段】
【0011】
簡潔に言うと、本明細書に開示した1つの実施形態によると、ガスタービンエンジン(GT)、熱回収蒸気発生器(HRSG)及び蒸気タービン(ST)を含みかつ公称作動制約条件を有する複合サイクル発電システムのための制御システムを提供する。本制御システムは、オペレータが発電システムの予測作動パラメータに関する情報を見ることができるディスプレイと、オペレータが発電システムの付加的作動制約条件を提供することができるユーザインタフェースと、あらゆる付加的作動制約条件に対応する入力を受信しかつ発電システムの構成要素作動パラメータを取得し、公称制約条件及びあらゆる付加的制約条件を満たすGT、HRSG及びSTの入力プロフィールを生成し、また発電システムの予測作動パラメータに関する情報を生成するように構成された制御装置とを含む。
【0012】
本明細書に開示した別の実施形態によると、GT、HRSG及びSTを含む複合サイクル発電システムのための制御システムを提供する。本制御システムは、始動させるGTの数、それらGTを始動させる順序、STに対するHRSGの融合形式、又はそれらの組合せに関する命令をオペレータが提供することができるユーザインタフェースと、複数のパラメータを使用してダイナミックス及び制約条件を表すように構成された、GT、HRSG及びSTのためのモデルと、パラメータに対応する入力を受信し、また制約条件を満たすGT、HRSG及びSTの入力プロフィールを生成しかつ少なくとも1つの発電システム作動パラメータを最適化するように構成されたオプティマイザとを含む。この実施形態では、オプティマイザはさらに、発電システム作動の段階移行を検出しかつ入力プロフィールを更新するように構成される。
【0013】
本明細書に開示した別の実施形態によると、GT、HRSG及びSTを含む複合サイクル発電システムのための制御システムを提供する。本制御システムは、発電システムの構成要素パラメータを取得し、GT、HRSG及びSTの入力プロフィールを生成し、かつGTの少なくとも1つ、HRSGの少なくとも1つ、ST、又は前述のもののいずれかの組合せの作動制約条件に対する代替制御動作をマップ化することによって代替作動シナリオを生成するように構成された制御装置を含む。
【0014】
本発明のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点は、その全体を通して同じ参照符号が同様な部分を表している添付図面を参照して以下の詳細な説明を読む時に、一層よく理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本明細書に開示した1つの実施形態による例示的な複合サイクル発電システムの概略図。
【図2】本明細書に開示した1つの態様によるフロー図。
【図3】本明細書に開示した1つの態様によるフロー図。
【図4】本明細書に開示した1つの態様によるフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、例示的な複合サイクル発電システム10の概略図である。一般的に、システム10は、先行側12と遅延側14とを含む。先行側12は、熱回収蒸気発生器(HRSG)18に流れ連通状態で結合されたガスタービンエンジン(GT)16を含む。HRSG18は、蒸気タービン組立体(ST)20と流れ連通状態で結合される。ST20は、高圧(HP)タービン22、中圧(IP)タービン24及び低圧(LP)タービン26を含む。IPタービン24は、IP対LPクロスオーバヘッダ28を用いてLPタービン26に流れ連通状態で結合される。タービン22、24及び26は各々、ロータシャフト30に結合され、ロータシャフト30はまた、発電機32に結合される。
【0017】
図1の実施形態では、先行GT16は、圧縮機34、燃焼器36及びタービン38を含む。圧縮機34は、燃焼器36と流れ連通状態で結合され、燃焼器36は、タービン38の上流に流れ連通状態で結合される。圧縮機34及びタービン38は各々、発電機42に結合されたロータシャフト40に結合される。作動時に、GT16に流入する空気は、圧縮機34によって加圧され、加圧された空気は次に、燃焼器36に送られる。燃焼器36は、燃料源(図示せず)から燃料44を受けかつ燃料44及び空気を混合し、この混合気に点火して高温の燃焼ガス46を形成する。燃焼ガス46は、タービン38に送られて該タービン38を回転させる。タービン38の回転により、シャフト40が発電機42を回転させ、該発電機42が電気を発生するようにする。燃焼ガス47は、タービン38から吐出されかつHRSG18に送られて、HRSG18内で蒸気を発生させるように該HRSG18を通して送られる水を加熱するのを可能にする。
【0018】
HRSG18は、あらゆる適切なタイプのHRSGを含むことができる。1つの例では、HRSG18は、HPドラム48、IPドラム50及びLPドラム52を含む。HPドラム48は、HP蒸気ヘッダ54と流れ連通状態で結合されて、HP蒸気がHPタービン22に送られるのを可能にする。IPドラム50は、IP蒸気ヘッダ56と流れ連通状態で結合されて、IP蒸気又は高温再熱蒸気がIPタービン24に送られるのを可能にする。LPドラム52は、LP蒸気ヘッダ58と流れ連通状態で結合されて、LP蒸気がLPタービン26に送られるのを可能にする。
【0019】
HP蒸気ヘッダ54は、圧力及び温度(PT)センサ60、HP遮断弁62並びにHPバイパス弁64を含むものとして示している。PTセンサ60は、HP蒸気ヘッダ54並びに/或いはHPドラム48内の圧力及び温度を測定する。HP蒸気ヘッダ54は、HP遮断弁62を介してHPタービン22と、また/又はHPバイパス弁64を介して低温再熱蒸気ヘッダ66と流れ連通状態で結合することができる。HP遮断弁62は、HP蒸気がHPタービン22に送られるのを可能にするために開放するか或いはHP蒸気がHPタービン22に送られるのを実質的に阻止するために閉鎖するかのいずれかとすることができる。それに代えて、HP遮断弁62は、HP蒸気の少なくとも一部分がHPタービン22に送られるのを可能にするように可変調整することができる。HPバイパス弁64としては、低温再熱蒸気ヘッダ66に送られるHP蒸気の量を調量する絞りタイプの弁を含むことができる。
【0020】
低温再熱蒸気ヘッダ66は、低温再熱遮断弁68を含み、HRSG18と流れ連通状態で結合することができる。1つの例示的な実施形態では、低温再熱遮断弁68は、HPタービン22とHRSG18との間に結合されて、HPタービン22から吐出されかつHRSG18に送られる低温再熱蒸気の流れを制御するのを可能にする。
【0021】
図1の実施形態では、IP蒸気ヘッダ56は、PTセンサ70、高温再熱IP遮断弁72及びIPバイパス弁74を含む。PTセンサ70は、IP蒸気ヘッダ56並びに/或いはIPドラム50内のIP蒸気の圧力及び温度を測定する。IP蒸気ヘッダ56は、高温再熱IP遮断弁72を介してIPタービン24と、また/又はIPバイパス弁74を介して凝縮器76と流れ連通状態で結合される。IP遮断弁72は、IP蒸気をIPタービン24に送るために開放するか或いはIP蒸気がIPタービン24に送られるのを実質的に阻止するために閉鎖するかのいずれかとすることができる。それに代えて、IP遮断弁72は、IP蒸気の少なくとも一部分をIPタービン24に送るのを可能にするような複数位置に調整することができる。IPバイパス弁74は、凝縮器76に送られるIP蒸気の量を調量する絞りタイプの弁とすることができる。
【0022】
この例示的な実施形態では、LP蒸気ヘッダ58は、PTセンサ78、LP遮断弁80及びLPバイパス弁82を含む。PTセンサ78は、LP蒸気ヘッダ58並びに/或いはLPドラム52内のLP蒸気の圧力及び温度を測定する。LP蒸気ヘッダ58は、LP遮断弁80を介してLPタービン26と、また/又はLPバイパス弁82を介して凝縮器76と流れ連通状態で結合することができる。LP遮断弁80は、LP蒸気をLPタービン26に送るのを可能にするために開放するか或いはLP蒸気がLPタービン26に送られるのを実質的に阻止するために閉鎖するかのいずれかとすることができる。それに代えて、LP遮断弁80は、LPタービン26に送られるLP蒸気の量を調量するような複数位置に調整することができる。LPバイパス弁82としては、凝縮器76に送られるLP蒸気の量を調量する絞りタイプの弁を含むことができる。
【0023】
この例示的な実施形態では、遅延側14は、HRSG118と流れ連通状態で結合されてST20のための蒸気を発生させるのを可能にしたGT116を含む。HRSG118は、ST20と流れ連通状態で結合される。GT116は、先行GT16と実質的に同一であるエンジンを含むことができ、対応する数の要素(圧縮機134、燃焼器136、タービン138、ロータシャフト140、発電機142並びに燃焼ガス146及び147)を備えており、従ってここでは詳述しない。同様に、HRSG118は、HRSG18と同様なHRSGを含むことができ、従って次のような要素、つまりHPドラム148、IPドラム150、LPドラム152、HP蒸気ヘッダ154、IP蒸気ヘッダ156、LP蒸気ヘッダ158、PTセンサ160、HP遮断弁162、HPバイパス弁164、低温再熱蒸気ヘッダ166、低温再熱遮断弁168、PTセンサ170、高温再熱IP遮断弁172、IPバイパス弁174、凝縮器176、PTセンサ178、LP遮断弁180及びLPバイパス弁182については詳述しない。
【0024】
システム10はまた、それに限定されないが、遮断弁62、68、72、80、162、168、172及び180、バイパス弁64、74、82、164、174及び182、タービン22、24及び26、並びにPTセンサ60、70、78、160、170及び178を含む複数の構成要素に通信状態で結合された制御装置84を含む。制御装置84は、システム10内において構成要素との間で信号を送信及び/又は受信する。制御装置84は、システム10が本明細書に説明したように機能するのを可能にするあらゆる適当な制御装置とすることができる。この例示的な実施形態では、制御装置84は、下記の処理を実行するように該制御装置84を構成するエンジン制御ソフトウエアを含むプロセッサベースのシステムである。プロセッサとしては、広義にはコンピュータ、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラム可能論理制御装置、アプリケーション専用集積回路及びその他のプログラム可能回路が含まれる。制御装置84はまた、一般的にメモリ(図示せず)、複数の入力チャネル(図示せず)及び複数の出力チャネル(図示せず)を含む。
【0025】
この例示的な実施形態では、制御装置84は、データ伝送を可能にする複数のワイヤ結線86を介してシステム構成要素に通信状態で結合される。別の実施形態では、制御装置84は、システム10が本明細書に説明したように機能するのを可能にするトランシーバ又はあらゆるその他のワイヤレス通信装置を介して無線式にシステム構成要素に結合される。別の実施形態では、制御装置84は、遠隔配置し、かつネットワークを介してシステム10の構成要素と通信することができる。
【0026】
制御装置84は、システム構成要素から複数の入力を受信し、それらの入力を処理し、プログラム化アルゴリズム及び/又は個別状況に基づいて適切な出力を生成し、また適切なシステム構成要素に信号を送信してそれらの構成要素を制御する。この例示的な実施形態では、制御装置84は、予測アルゴリズムを利用する。1つの実施形態では、制御装置84は、前述の米国特許出願第2007/0055392号に記載されているようなモデル予測制御(MPC)アルゴリズムを利用する。それに代えて、制御装置84は、システム10が本明細書に説明したように機能するのを可能にするあらゆるアルゴリズム及び/又はプログラムを利用することができる。1つの例示的な実施形態では、アルゴリズムは、遅延HRSG118内で生成した遅延蒸気がST20内に送られるか又は混合される場合におけるST20構成要素内の将来の温度勾配、圧力差又は応力を予測する。
【0027】
この例示的な実施形態では、制御装置84は、システム構成要素を制御して、先行及び遅延GT16及び116で生成された蒸気が、ST20内のいずれの構成要素にも過大応力を生じさせずにST20内に送られるのを可能にする。より具体的には、制御装置84は、ST20内に生じる応力をST20の所定の作動制約条件の範囲内のレベルまで低減するのを可能にする。さらに、幾つかの実施形態では、制御装置84は、遅延蒸気をST20内に混合するのに必要な時間量を最少にするのを可能にする。従って、制御装置84は、ST20への過大応力を防止するのを可能にし、かつST20の作動効率及び寿命を増大させるのを可能にする。
【0028】
例示的な実施形態では、十分な量の先行蒸気がST20に供給されて、ST20に動力供給するのを可能にする。1つの実施形態では、HRSG18は、先行HRSGである。従って、エンジン116及びHRSG118は、遅延構成要素として使用される。先行GT16が指定されると、GT16の作動が開始されて、燃焼ガス46がHRSG18に送られるようになる。HRSG18からの蒸気をST20内に送り込むのに先立って、ヘッダ54、56、及び58内には十分な量の蒸気圧が発生される。この例示的な実施形態では、制御装置84は、遮断弁62、72及び80並びにバイパス弁64、74及び82を選択的に位置決めすることによって、先行HP、IP及びLPヘッダ54、56及び58内の圧力を制御する。より具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、参考文献としてその全体を本明細書に組み入れている前述の米国特許出願第12/040296号に記載されているような論理HP設定点SP1及びSP2を用いてHP遮断弁62及びHPバイパス弁64を制御する。
【0029】
この例示的な実施形態では、先行GT16及び先行HRSG18が、HPタービン22に動力を供給するのに十分な蒸気流量を発生しているようになると、バイパス弁64が閉鎖され、また制御装置84内にプログラムされた入口圧力制御(IPC)論理が、TRUE論理(図示せず)を制御装置84に送信する。TRUE IPC論理を受信すると、制御装置84は、HP、IP及びLP設定点SP2を使用してそれぞれの先行HP、IP及びLP蒸気ヘッダ54、56及び58内の蒸気圧を制御し始める。制御装置84がIPCからTRUE論理を受信すると、制御装置84は、モデル予測制御アルゴリズムを起動させ、このモデル予測制御アルゴリズムが、ST20内に遅延蒸気が混合される場合におけるST20の最大予測応力を計算し始める。弁の作動によってGT116及びHRSG118を融合させるための1つの方法も、前述の米国特許出願第12/040296号にさらに記載されている。弁の作動に加えて、前述の米国特許出願第12/040296号に記載されているように、先行及び遅延蒸気の化学組成を求めることができ、また制御装置84は、先行及び遅延蒸気の化学組成に基づいて、遅延蒸気を先行蒸気内に混合することが許されるかどうかを判定することができる。
【0030】
前述の米国特許出願第12/040296号に記載されているように制御装置によって取得することができるその他の任意選択的制約条件には、ST20構成要素の温度が含まれ、それらには、それに限定されないが、HPタービン22及びIPタービン24の表面温度及びボア温度、ST20内の現在の応力変化率、並びにST20構成要素の温度が変化している割合、遅延蒸気がST20内に混合される場合におけるST20内の予測応力、遅延蒸気がST20内に混合される場合における、予測アルゴリズムを使用してのST20の最大予測応力、ST20の所定の温度と遅延HP及びIP蒸気ヘッダ154及び156の圧力及び温度、将来への指定時間内におけるST20の最大予測応力が含まれる。
【0031】
図1及び図2によって表した1つの制御実施形態では、複合サイクル発電システム10のための制御システム11は、オペレータが発電システム10の予測作動パラメータに関する情報を見ることができるディスプレイ92(図2、ステップ201)と、オペレータが発電システム10の付加的作動制約条件を提供することができるユーザインタフェース94と、(a)あらゆる付加的作動制約条件に対応する入力を受信し(図2、ステップ202)かつ発電システムの構成要素作動パラメータを取得し(図2、ステップ203)、(b)公称制約条件及びオペレータによって提供されたあらゆる付加的制約条件を満たすGT、HRSG及びSTの入力プロフィールを生成し、また(c)発電システムの予測作動パラメータに関する情報を生成する(図2、ステップ204)ように構成された制御装置84とを含む。1つの実施例では、構成要素パラメータは、例えばST20の熱電対センサ(図示せず)、GT16及び116の排気ガスのための温度センサ(図示せず)並びに/或いはST20の圧力トランスデューサのようなセンサによって取得した値を含む。別の実施例では、構成要素パラメータは、そのようなセンサによって取得した値に基づいた計算から得ることができる。
【0032】
図2は、専ら説明のために示したものである。例えば、各ステップは、図示した通りの順序で実行する必要はなく、また図示した反復ループは、任意選択的であるが有利なものであると思われる。一層具体的な実施形態では、制御装置84が、入力プロフィールを生成しながら少なくとも1つの発電システム作動パラメータを最適化するようにさらに構成されるのが有利である。例えば、前述の米国特許出願第20070055392号のモデル予測制御のような技術を使用することができる。MPC法は、GT、HRSG、ST及びその他の複合サイクル発電システム構成要素のモデル、センサ情報、並びに効率的なオンラインオプティマイザを使用して、安全な作動を維持しながら予め指定した負荷シーケンス全体にわたり各GTのための最適始動プロフィールを生成する。例えば、構成要素作動パラメータを使用して、モデルは、システムダイナミックスを予測し、かつ将来の制約条件に対する現在の制御動作(GT負荷)の効果を探ることができる。1つの実施形態では、オプティマイザは、発電システムにおける全ての制約条件を満たす最適入力プロフィールを生成する最適化問題をオンラインでモデルを使用して提起しかつ解決する。各制御ステップにおいて、最適化問題は、後続ステップにおける最適制御動作に適合するように形成されかつ解決される。次に、新規なセンサ測定値の組を使用して、構成要素作動パラメータを取得しかつモデルパラメータを調整して予測ダイナミックスにおける精度を最大にする。この調整の後に、新規な最適化問題が形成され、また処理を繰り返すことができる。アルゴリズムは、リアルタイム制御システム上での実行に合わせて設計しかつ最適化することができる。
【0033】
公称又は作動制約条件には、多様な原因による制約条件が含まれる可能性がある。そのような制約条件には一般的に、少なくとも発電システム構成要素に対する一定の物理的制約条件が含まれるが、任意選択的にさらに政府規制の遵守又はオペレータ命令に関連する性能要件が含まれる可能性がある。そのような制約条件は、該制約条件の性質に応じて最大限界値又は最小限界値のいずれかに関するものとすることができる。物理的公称作動制約条件の幾つかの例としては、STロータ内の応力又は応力変化率、隣り合う回転部品及び固定部品間の膨張差又は間隙、並びに金属及び蒸気温度又は温度変化率が含まれる。付加的作動制約条件の幾つかの例としては、前述の公称制約条件に対する変更した制約条件並びに例えば等温線制約条件、HRSG制約条件及び付加的蒸気ドラム応力制約条件のような新規な制約条件が含まれる。
【0034】
予測作動パラメータには、あらゆる1つ又は複数の所望のパラメータを含むことができ、一般的にはオペレータがあらゆる付加的作動制約条件を提供する時に考慮する所望の情報を与えるように選択したパラメータであることになる。例えば、予測作動パラメータには、予測GT負荷、STのロータ応力値,GT排気温度、部分始動時間、全始動時間、エミッション生成、燃料消費量、出費、周囲温度、使用可能蒸気、構成要素温度、構成要素圧力、又はそれらの組合せを含むことができる。別の実施形態では、以下に一層詳細に説明するように、制御装置84は、代替シナリオに関する情報を生成するように構成され、またディスプレイは、代替シナリオに関するそのような情報を示すように構成される。
【0035】
本明細書に開示した実施形態は、単一のGT又は複数のGTを備えた発電システムのために使用することができ、GTが複数のGTを含みまたHRSGが複数のHRSGを含む場合に特に有用であると思われる。そのような実施形態では、制御装置84は、GT及びHRSGの各々のために入力プロフィールを生成するように構成される。1つの例示的な実施形態では、ユーザインタフェース94は、始動させるGTの数、それらGTを始動させる順序、STに対するHRSGの融合形式(連結)、それらGTの融合のための負荷レベル、又はそれらの組合せに関する命令をオペレータが提供することができるように構成される。そのような実施形態では、例えば混合点に到達する時間、混合を完了する時間、所望の負荷に到達する時間、等温線状態、又はそれらの組合せを予測作動パラメータに含ませることが有益である。
【0036】
別の実施形態では、ユーザインタフェース94は、性能要件に関する命令をオペレータが提供することができるように構成され、また制御装置84は、性能要件を受信し、入力プロフィールを生成する時にこの性能要件を使用するように構成される。性能要件には、例えば始動時間、エミッション生成、燃料消費量、正味熱消費率、又はそれらの組合せのような要件を含むことができる。制御装置84は、性能要件を使用して、推奨始動シーケンスを生じるように構成することができる。別の実施形態では、ユーザインタフェースは、所望に応じてオペレータが性能要件を変更することができるようにすることができる。複合サイクル発電システムの全始動時間は3時間〜4時間の期間にわたって行われる場合があり、またこの時間の間に要求が変化する可能性があるので、この選択肢は有益である。
【0037】
図1及び図3により、別の制御実施形態を示している。この実施形態は、図2の実施形態とは別個に又は該実施形態と組合せて使用することができ、始動させるGTの数、それらGTを始動させる順序、STに対するHRSGの融合形式、又はそれらの組合せに関する命令をオペレータが提供することができる(図3、ステップ301)ユーザインタフェース94を含む。また、複数のパラメータを使用してダイナミックス及び制約条件を表す(図3、ステップ302)ように構成された、GT、HRSG及びSTのためのモデル88と、パラメータに対応する入力を受信し、また制約条件を満たすGT、HRSG及びSTの入力プロフィールを生成しかつ少なくとも1つの発電システム作動パラメータを最適化する(図3、ステップ303)ように構成されたオプティマイザ90とを含む。図3の実施形態では、オプティマイザ90はさらに、発電システムの作動の段階移行を検出しかつ入力プロフィールを更新する(図3、ステップ304)ように構成される。段階移行の1つの実施例は、STに対するHRSGの連結又は遮断である。段階移行検出の利点は、オプティマイザ90が性能の改善のためにプロフィールを自動的に再構成することができることである。段階変化は、例えば蒸気弁位置センサ、遮断弁センサ、バイパス弁センサ、GT排気温度センサ、HRSG出力センサ、又は発電システム出力センサのようなセンサ(図示せず)からデータを取得しかつ評価することによって検出することができる。
【0038】
図1及び図4により、さらに別の制御実施形態を示している。この実施形態は、図2及び図3の実施形態のいずれか又は両方とは別個に又はそれらと共に使用することができる。図4の実施形態では、制御装置84は、発電システムの構成要素パラメータを取得し(図4、ステップ401)、GT、HRSG及びSTの入力プロフィールを生成し(図4、ステップ402)、かつGTの少なくとも1つ、HRSGの少なくとも1つ、ST、又はそれらいずれかの組合せの作動制約条件に対する代替制御動作をマップ化することによって代替作動シナリオを生成する(図4、ステップ403)ように構成される。
【0039】
作動シナリオは、個々の制御動作の長期にわたる結果の予測を助けるのに有用である。例えば、1つの実施形態では、代替制御動作には、HRSG融合に関する動作が含まれる。STに対するHRSGの融合の間において、主な制御エフェクタは、遮断及びバイパス弁であり、また主な作動制約条件の1つは、STロータ内における許容応力レベルである。一般的に、バイパス及び遮断弁に関連する時定数は、数秒のオーダであるが、STロータ応力の時定数は、10〜20分のオーダである。複数GT−HRSG対が存在するような複合サイクルの始動時には、ST内へのHRSGの融合は、不必要な待機を回避するために可能な限り早く完了させるべきである制御事象であると言える。この融合(混合)は、現時点ではSTに連結されていないHRSG内で発生させた蒸気を流入させる(ST内に)プロセスである。このプロセスの間には、蒸気をST内に強制的に送るためには、その特定のHRSGのための遮断弁は、開放されるべきであり、またバイパス弁は、閉鎖されるべきである。発電システムがST応力のような作動制約条件付近で作動している場合には、一般的操作手順は、混合プロセスを開始する前にSTロータ内の応力が事前指定レベル以下に低下するまで待機することを必要とする可能性がある。制御装置は、代替制御動作のために複数の予測法を使用して、非融合及び複数融合事象をシミュレートして(これは異なる時間に行われる)、将来の制約条件違背なしに融合を行うのに推奨される時間は何時であるかを決定することができる。このようにして、融合事象を可能にするために応力が事前指定レベル以下になるまで待機する必要がなくなって、大幅に時間が節減されることになる。
【0040】
別の実施形態では、代替制御動作は、遮断弁を開放するかどうか/何時またどれほど開放するかに関連する動作、及び/又は等温線を横切るGT負荷に関連する動作を含むことができる。例えば幾つかの複合サイクル発電プラントは、例えば限られた蒸気アテンポレーション能力に起因した等温線制約条件と呼ばれる作動限界値を受ける。等温線制約条件というのは、高排気温度に対応するGT負荷において長時間留まる限界値を意味している。例えば、1つの実施形態では、等温線温度は、約650℃であり、またその等温線に対応するGT負荷範囲は、気温15℃の日において30%〜40%の範囲となるが、作動領域の負荷範囲は、周囲温度に大いに左右される可能性がある。等温線制約条件が存在する場合には、GTは、高い作動温度によって生じる損傷を回避するために、指定最小負荷速度で等温線領域を横切ることが必要となる可能性がある。異なる時間に等温線を横切るための複数予測の使用は、分析が将来のSTロータ過大応力を何ら予測しない場合にのみGT負荷が等温線を横切ることを可能にする。
【0041】
GT等温線制約条件を取り扱うように設計した1つの一層特殊な実施形態では、代替制御動作は、異なる将来の時間に等温線を横切ることを含む。この実施形態では、GT負荷が等温線領域に近付く時はいつでも、制御システムが別の等温線横断時間をシミュレートしかつ関連する将来のSTロータ応力を評価しながら、GT負荷を維持するようにする。これらの分析の結果、制御システムは、どの等温線横断時間がST過大応力を生じることになるかまた生じないことになるかをリアルタイムに判定する。このようにして、代替シナリオのリアルタイム分析を使用して、応力限界値に従った最も早期の等温線横断時間を決定することができる。
【0042】
マップ化しようとする制御動作のタイプとは独立した別の一層特殊な実施形態では、制御装置84は、代替制御動作をシミュレートし、作動制約条件に対する複数代替制御動作の効果を予測し、かつ複数代替制御動作のどれが作動制約条件に違背することになるかまた違背しないことになるかを識別する(図4、ステップ404)ように構成される。幾つかの実施形態では、代替制御動作をランク付けするように制御装置をさらに構成することも有益である可能性がある。代替制御動作の選択は、制御装置によって自動的に行うか又はオペレータによって選択的に行うことができる。1つの実施形態では、ディスプレイ92は、発電システムの代替作動シナリオ及び代替制御動作の予測効果を表示するように構成され、またユーザインタフェース94は、オペレータによって使用されて、始動させるGTの数、それらGTを始動させる順序、及び/又はSTに対するHRSGの融合形式に関する命令を提供することができる。制御装置84は次に、いずれかのそのような命令を使用して入力プロフィールを生成するように構成される。制御装置84は、推奨制御動作、非推奨制御動作、又はそれらの組合せを決定するように構成することができ、またそのような情報もまた、表示することができる。1つの例示的な実施形態では、制御装置84は、例えば作動制約条件に違背するか又は非推奨制御動作を構成することになるオペレータ命令のいかなる発生も阻止する(又は無効にする)ように構成される。
【0043】
図2の予測作動パラメータに関するか又は図4の代替作動シナリオ及び制御動作に関するかのどちらかの表示選択肢の場合には、オペレータは、入手可能な一層多くの情報を有しており、またオペレータ命令を使用可能にしかつ電力網に電力を送出するのに一層適している。さらに、制御装置がシミュレーションに基づく経験からの知識を組み込んで、異なる性能指数、発電システム内の異なる初期状態、及び当該現場における異なる環境条件に対して最も適した始動シーケンス並びに連結形式を決定する時に、オペレータは、始動を構成するために多数の決定を下すことから解放され、従って現時点における市場又は送電状態に応じた少数の決定に集中することができる。
【0044】
本明細書で使用する場合に、前に数詞のない要素又はステップの表現は、そうではないことを明確に述べていない限り複数のそのような要素又はステップの存在を排除するものではないと理解されたい。さらに、本発明の「1つの実施形態」という表現は、記載した特徴を同様に組み入れた付加的な実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図するものではない。以上、蒸気をST内に送るためのシステム及び方法の例示的な実施形態について詳細に説明している。この説明したシステム及び方法は、本明細書に記載した特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろそのシステムの構成要素は、本明細書に記載したその他の構成要素とは独立してかつ別個に利用することができる。さらに、この方法に記載したステップは、本明細書に記載したその他のステップとは独立してかつ別個に利用することができる。
【0045】
本明細書では本発明の一部の特徴のみを例示しかつ説明してきたが、当業者には多くの修正及び変更が想起されるであろう。従って、提出した特許請求の範囲は、全てのそのような修正及び変更をそれらが本発明の技術思想の範囲内に含まれるものとして保護しようとするものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0046】
10 複合サイクル発電システム
11 制御システム
12 先行側
14 遅延側
16、116 ガスタービンエンジン(GT)
18、118 熱回収蒸気発生器(HRSG)
20 蒸気タービン組立体(ST)
22 高圧(HP)タービン
24 中圧(IP)タービン
26 低圧(LP)タービン
28 ヘッダ
30 ロータシャフト
32 発電機
34、134 圧縮機
36、136 燃焼器
38、138 タービン
40、140 ロータシャフト
42、142 発電機
44 燃料
46、146 燃焼ガス
47、147 燃焼ガス
48、148 HPドラム
50、150 IPドラム
52、152 LPドラム
54、154 HP蒸気ヘッダ
56、156 IP蒸気ヘッダ
58、158 LP蒸気ヘッダ
60、160 PTセンサ
62、162 HP遮断弁
64、164 HPバイパス弁
66、166 低温再熱蒸気ヘッダ
68、168 低温再熱遮断弁
70、170 PTセンサ
72、172 高温再熱IP遮断弁
74、174 IPバイパス弁
76、176 凝縮器
78、178 PTセンサ
80、180 LP遮断弁
82、182 LPバイパス弁
84 制御装置
86 結線
88 モデル
90 オプティマイザ
92 ディスプレイ
94 インタフェース
201 表示ステップ
202 受信ステップ
203 取得ステップ
204 生成ステップ
301 受信ステップ
302 モデルステップ
303 生成ステップ
304 更新ステップ
401 取得ステップ
402 生成ステップ
403 生成ステップ
404 変更ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジン(GT)(16)、熱回収蒸気発生器(HRSG)(18)及び蒸気タービン(ST)(20)を含みかつ公称作動制約条件を有する複合サイクル発電システム(10)のための制御システムであって、
オペレータが前記発電システムの予測作動パラメータに関する情報を見ることができるディスプレイ(92)と、
オペレータが前記発電システムの付加的作動制約条件を提供することができるユーザインタフェース(94)と、
(a)あらゆる付加的作動制約条件に対応する入力を受信しかつ前記発電システムの構成要素作動パラメータを取得し、(b)前記公称制約条件及びあらゆる付加的制約条件を満たす前記GT、HRSG及びSTの入力プロフィールを生成し、また(c)前記発電システムの予測作動パラメータに関する情報を生成するように構成された制御装置(84)と、を含む、
制御システム。
【請求項2】
前記制御装置が、前記入力プロフィールを生成している間に、少なくとも1つの発電システム作動パラメータを最適化するようにさらに構成される、請求項1記載の制御システム。
【請求項3】
前記GTが複数あり、
前記HRSGが複数あり、
前記制御装置が、前記GT及びHRSGの各々のための入力プロフィールを生成するように構成される、
請求項1または2記載の制御システム。
【請求項4】
前記ユーザインタフェースが、始動させるGTの数、それらGTを始動させる順序、前記STに対する前記HRSGの融合形式、前記GTの融合のための負荷レベル、又はそれらの組合せに関する命令をオペレータが提供することができるように構成される、請求項3記載の制御システム。
【請求項5】
前記ユーザインタフェースが、性能要件に関する命令をオペレータが提供することができるように構成され、
前記制御装置が、前記性能要件を受信し、かつ前記入力プロフィールを生成する時に前記性能要件を使用するように構成される、
請求項4記載の制御システム。
【請求項6】
ガスタービン(GT)(16、116)、熱回収蒸気発生器(HRSG)(18、118)及び蒸気タービン(ST)(20)を含む複合サイクル発電システム(10)のための制御システムであって、
始動させるGTの数、それらGTを始動させる順序、前記STに対する前記HRSGの融合形式、又はそれらの組合せに関する命令をオペレータが提供することができるユーザインタフェースと、
複数のパラメータを使用してダイナミックス及び制約条件を表すように構成された、前記GT、HRSG及びSTのためのモデルと、
前記パラメータに対応する入力を受信し、また前記制約条件を満たす前記GT、HRSG及びSTの入力プロフィールを生成しかつ少なくとも1つの発電システム作動パラメータを最適化するように構成されたオプティマイザと、を含み、
前記オプティマイザが、発電システム作動の段階移行を検出しかつ前記入力プロフィールを更新するようにさらに構成される、
制御システム。
【請求項7】
前記段階移行が、前記STに対するHRSGの連結又は遮断を含む、請求項6記載の制御システム。
【請求項8】
ガスタービン(GT)(16、116)、熱回収蒸気発生器(HRSG)(18、118)及び蒸気タービン(ST)(20)を含む複合サイクル発電システム(10)のための制御システムであって、
制御装置(84)を、
含み、前記制御装置(84)が、
(a)前記発電システムの構成要素パラメータを取得し、
(b)前記GT、HRSG及びSTの入力プロフィールを生成し、かつ
(c)前記GTの少なくとも1つ、前記HRSGの少なくとも1つ、前記ST、又は前述のもののいずれかの組合せの作動制約条件に対する代替制御動作をマップ化することによって代替作動シナリオを生成する、ように構成される、
制御システム。
【請求項9】
前記代替制御動作が、HRSG融合に関連する動作、等温線を横切るGT負荷に関連する動作、又はそれらの組合せを含む、請求項8記載の制御システム。
【請求項10】
前記制御装置が、
前記代替制御動作をシミュレートし、
前記作動制約条件に対する前記複数代替制御動作の効果を予測し、かつ
前記複数代替制御動作のどれが前記作動制約条件に違背することになりまた違背しないことになるかを識別する、ように構成される、
請求項8または9記載の制御システム。
【請求項11】
前記発電システムの代替作動シナリオ及び前記代替制御動作の予測効果を表示するように構成されたディスプレイをさらに含む、請求項8乃至10のいずれか1項記載の制御システム。
【請求項12】
始動させるGTの数、それらGTを始動させる順序、前記STに対するHRSGの融合形式、又はそれらの組合せに関する命令をオペレータが提供することができるユーザインタフェースをさらに含み、
前記制御装置が、前記命令を使用して前記入力プロフィールを生成するように構成される、
請求項8乃至11のいずれか1項記載の制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−281381(P2009−281381A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−115094(P2009−115094)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】