説明

複合サイクル発電プラントの熱交換器

【課題】複合サイクル発電プラントの熱回収蒸気発生器を提供する。
【解決手段】複合サイクル発電プラント2は、ガスターボ機械4と、ガスターボ機械4に動作可能に接続された蒸気ターボ機械6と、ガスターボ機械4及び蒸気ターボ機械6に動作可能に接続された熱回収蒸気発生器(HRSG)10と、ガスターボ機械4に流動的に接続された冷却システム65とを含む。冷却システム65は、ガスターボ機械4に冷媒を通過させて熱を吸収するように構成及び配置される。復水システム60は、蒸気タービン6及びHRSG10に流動的に接続される。復水システム60は、蒸気タービン6からHRSG10まで復水を運ぶように構成及び配置される。熱交換部材80は、冷却システム65及び復水システム60に流動的に接続される。熱交換部材80は、冷媒に取り込まれた熱を復水に伝達するように構成及び配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合サイクル発電プラントの技術に関し、より詳細には、複合サイクル発電プラントの熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
複合サイクル発電プラント(CCPP)において、ガスターボ機械が発電機を駆動し、これが電気を生み出す。ガスターボ機械からの廃熱を使用して熱回収蒸気発生器(HRSG)に蒸気を発生させ、次いで、蒸気ターボ機械を介して更なる電気を生み出すためにこの蒸気が使用される。より詳細には、複合サイクルは、複数の熱力学サイクルを利用する発電エンジン又は発電所の特徴である。ガスターボ機械等の熱機関は、それらの燃料が生み出すエネルギーの一部分(通常は50%未満)を使用することができるだけである。燃焼による余熱(例えば、高温の排気ガス)は、一般的に無駄になる。ブレイトンサイクル(ガス)及びランキンサイクル(蒸気)等の2つ以上の「サイクル」を組み合わせることによって、出力効率の改善につながる。
【0003】
従来、ガスターボ機械は、一般的に水の形である冷媒を供給して潤滑温度を下げるターボ機械システム冷却システムを含み、発電機、及びその他の構成部品に冷媒を提供する。冷媒に取り込まれた熱は、空冷熱交換器等の冷却モジュールを用いて大気に放出される。冷媒は、ターボ機械と空冷熱交換器の間の閉ループ内を流れて、熱を取り込んで排除する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様によれば、複合サイクル発電プラントは、ガスターボ機械と、ガスターボ機械に動作可能に接続された蒸気ターボ機械と、ガスターボ機械及び蒸気ターボ機械に動作可能に接続された熱回収蒸気発生器(HRSG)と、ガスターボ機械に流動的に接続された冷却システムとを含む。冷却システムは、ガスターボ機械に冷媒を通過させて熱を吸収するように構成及び配置される。復水システムは、蒸気タービン及びHRSGに流動的に接続される。復水システムは、蒸気タービンからHRSGまで復水を運ぶように構成及び配置される。熱交換部材は、冷却システム及び復水システムに流動的に接続される。熱交換部材は、冷媒に取り込まれた熱を復水に伝達するように構成及び配置される。
【0005】
本発明の別の態様によれば、複合サイクル発電プラントの運転方法は、冷却システムを通して複合サイクル発電プラント(CCPP)のガスターボ機械部分の中に冷媒を通すステップと、ガスターボ機械からの熱を冷媒中に吸収するステップと、熱交換部材内に冷媒を導くステップと、CCPPの蒸気ターボ機械部分に流動的に接続された復水システムに復水を案内するステップと、熱交換部材に復水を通過させるステップと、加熱復水を形成するために、冷媒に取り込まれた熱を熱交換部材内の復水に伝達するステップと、加熱復水を熱回収蒸気発生器(HRSG)に運ぶステップとを含む。
【0006】
上記及びその他の利点並びに特徴は、図面に関連してなされる以下の説明からより明らかになるであろう。
【0007】
本発明と見なされる主題は、本明細書の結びの部分の特許請求の範囲において具体的に指摘され明確に請求されている。本発明の上記及びその他の特徴並びに利点は、添付図面に関連してなされる以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】例示的実施形態に従った複合サイクル発電プラントを示す概略図である。
【図2】例示的実施形態の別の態様に従った複合サイクル発電プラントを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明では、例として図面を参照して、利点及び特徴と共に本発明の実施形態を説明する。
【0010】
図1を参照すると、例示的実施形態に従った複合サイクル発電プラント(CCPP)が全体的に2で示されている。CCPP2は、発電機8を介して蒸気ターボ機械6に動作可能に接続されたガスターボ機械4を有するターボ機械システム3を含む。ガスターボ機械4及び蒸気ターボ機械6はまた、熱回収蒸気発生器10に接続される。ガスターボ機械4は、共通圧縮機/タービン軸20によってタービンセクション18に動作可能に接続された圧縮機セクション16を含む。圧縮機セクション16及びタービンセクション18はまた、燃焼器22によって接続される。空気は、圧縮機セクション16内で圧縮され、燃焼器22に導かれて、燃料と混合し、可燃混合気を形成する。可燃混合気は点火されて、燃焼ガスを形成し、これがタービンセクション18に運ばれる。燃焼ガスからの熱及び運動エネルギーは、タービンセクション18において機械的回転エネルギーに変換される。機械的エネルギーは、発電機8及び蒸気ターボ機械6を駆動するために利用される。
【0011】
蒸気ターボ機械6は、高圧(HP)蒸気セクション27と、中圧(IP)蒸気セクション28と、低圧(LP)蒸気セクション29とを含む。HP蒸気セクション27は、第1軸31によってIP蒸気セクション28に動作可能に連結され、IP蒸気セクション28は、第2軸32によってLP蒸気セクション29に動作可能に連結される。例示的実施形態によれば、蒸気ターボ機械6は、HRSG10に流動的に接続される。より詳細には、HP蒸気セクション27は、導管(図示せず)によってHRSG10のHPセクション36に流動的に接続される。同様に、IP蒸気セクション28は、別の導管(同じく図示せず)によってHRSG10のIPセクション38に流動的に接続され、LP蒸気セクション29は、導管41によってHRSGのLP蒸発器セクション40に流動的に接続される。弁42は、LP蒸発器40を脱気器44に流動的に接続する。脱気器44は、HP出口ポート46及びIP出口ポート47を含む。脱気器44は、HRSG10に運ばれる給水から空気及びその他の溶解ガスを除去するように構成される。最後に、HRSG10が排気筒50を含むことが示されている。このとき、例示的実施形態は三圧力式HRSGシステムに関して示されているが、二圧力式HRSGシステムを含むその他のHRSGシステムもまた利用することができることを理解されたい。また、再熱及び非再熱HRSGシステムの両方を利用することができることも理解されたい。
【0012】
CCPP2は、更に、蒸気ターボ機械6のLP蒸気セクション29に流動的に接続される復水システム60を含むことが示されている。復水システム60は、LP蒸気セクション29からのLP蒸気を凝縮して、HRSG10に給水を提供する。復水システム60は、LP蒸気タービン29からの蒸気を受け入れる凝縮器63と、冷水システム65とを含む。冷水システム65は、LP蒸気に近接して冷水を運んで復水を形成する。その後、復水は、復水抽出ポンプ68によって導管72を介してLP節炭器67に運ばれる。
【0013】
例示的実施形態によれば、導管72は、熱交換器80を通過する。熱交換器80は、LP節炭器67に運ばれる復水の温度を上げる。復水の温度を上げることによって、確実に排気筒50における温度が酸露点温度より高い状態にする助けとなる。例示的実施形態の一態様によれば、熱交換器80から出る復水の温度は、約95°F(36℃)〜約155°F(68.3℃)の範囲である。むろん、温度範囲は、様々な内外の運転条件に応じて変動し得ることを理解されたい。復水の温度を上げるのに利用される加熱媒体は、ターボ機械システム3のターボ機械システム冷却システム85から得られる。
【0014】
冷却システム85は、ターボ機械システム3の様々な部分に水等の冷媒を通過させて、温度を下げる。冷却システム85は、例えば、潤滑油冷却器、発電機冷却器、噴霧空気冷却器、タービン脚部冷却器等の1つ又は複数の構成部品を含む。冷媒は、様々な構成部品から熱を吸収する。その後、冷媒は、供給導管87を介して熱交換器80に運ばれ、戻し導管88を介してターボ機械システム冷却システム85に戻される。例示的実施形態の一態様によれば、供給導管87を流れる冷媒は、約110°F(43.3℃)〜約170°F(76.6℃)の範囲の温度である。熱交換器80から戻される冷媒は、約90°F(32.2℃)〜約150°F(65.5℃)の範囲の温度である。むろん、上記の温度は変動し得ることを理解されたい。熱交換器80を流れる冷媒は、熱を復水に伝える。このようにして、HRSG10に入る復水を予熱して、排気筒50内の煙道ガス温度が確実に酸露点温度より高い状態にする。更に、余熱を行なうために冷却を用いることによって、専用の加熱器や、LP節炭器67内で給水を再循環させるLP再循環ポンプの必要がない。従って、例示的実施形態はCCPP2の運転を向上させるだけでなく、様々な費用の掛かる構成部品の必要性も排除して、運転効率を向上させる。
【0015】
ある動作条件下では、特定の時期の間、一定の環境において、即ち始動中は、冷却を含む熱交換から恩恵を受けるには、凝縮器吐出温度が低すぎる。即ち、冷媒の温度は、確実に排気筒内の煙道ガスが酸露点温度より高い状態にするために復水/給水の温度を上げるには不十分である。そのような場合、復水の専用加熱がより望まれることになる。従って、ターボ機械システム3は、バイパスシステム110を含む。
【0016】
バイパスシステム110は、制御装置112と、熱交換器80から運ばれる復水の温度を検知するように構成及び配置されるセンサ113とを含む。復水の温度が所望温度以下の場合、その度合いは様々な内外の条件に応じて変動し得るが、制御装置112は、複数の弁118〜120を作動させて、熱交換器80のバイパスを開始する。より詳細には、弁118は、ターボ機械システム冷却システム85のバイパスを開始する。即ち、冷媒を熱交換器80に運ぶ代わりに、空冷熱交換器123等の熱交換装置に冷媒が運ばれる。むろん、熱交換装置は、冷却塔、湿潤表面空気冷却器などを含む様々な形態をとることができることを理解されたい。空冷熱交換器123上のファン125によって生じる気流を通すことによって、熱が冷媒から除去される。弁119は、バイパスループ130内に復水を導くことによって熱交換器80のバイパスを開始する。最後に、弁120は、LP節炭器67からLP再循環ポンプ133及び温度制御モジュール135まで復水を導く。温度制御モジュール135は熱交換器80に取って代わり、復水の温度を上昇させるために作動する。LP再循環ポンプ133は、復水をLP節炭器に通過させて、確実に排気筒50内の煙道ガスが酸露点温度より高い状態にする。
【0017】
バイパスシステムを組み込むことによって、例示的実施形態は、ターボ機械システム冷却システムを用いて様々な動作条件下で復水を加熱することができる。上述のように、復水を加熱するためにターボ機械システム冷却を用いることによって、専用加熱やLP再循環ポンプの作動の必要性を排除することによって運転費を削減することができる。しかしながら、ターボ機械システム冷却が煙道ガス温度を酸露点温度以上に維持するのに十分でない状況下では、バイパスシステムが作動する。バイパスシステムは、確実に復水温度が酸露点温度より高い状態にする。煙道ガス中のSO2/SO3が排気中の水分と反応したときに起こる硫酸形成を避けるために、煙道ガスを酸露点温度又はそれ以上の温度で維持することが望ましい。硫酸形成を避けることによって、腐食及びその他の有害作用を防ぐ。
【0018】
その他の動作条件下では、特定の時期の間、及び/又は一定のその他の環境において、凝縮器吐出温度は、バイパスシステムが必要ないほど十分に高い。そのような条件下で、CCPP2は図2に示すような構成をとる。図2に示す構成において、冷却システム85は、熱交換器80に流動的に直接接続され、導管72は、脱気器44に流動的に直接接続される。バイパスシステムの必要性を排除することによって、CCPPの全費用を低減すると共に、様々な維持に関する問題を取り除く。
【0019】
限定した実施形態のみに関して本発明を詳細に説明してきたが、本発明がそのような開示した実施形態に限定されるものではないことは、容易に理解されたい。むしろ、本発明は、これまで説明していないが本発明の技術的思想及び技術的範囲に相応するあらゆる変形、変更、置換又は同等の構成を組み込むように修正することができる。更に、本発明の様々な実施形態について説明してきたが、本発明の態様は説明した実施形態の一部のみを含むことができることを理解されたい。従って、本発明は、上記の説明によって限定されるものと見なすべきではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0020】
2 複合サイクル発電プラント(CCPP)
3 ターボ機械システム
4 ガスターボ機械
6 蒸気ターボ機械
8 発電機
10 熱回収蒸気発生器(HRSG)
16 圧縮機セクション
18 タービンセクション
20 圧縮機/タービン軸
22 燃焼器
27 HP蒸気タービンセクション
28 IP蒸気タービンシステム
29 LP蒸気タービンセクション
31 HPとIP間の軸
32 IPとLP間の軸
36 HPセクション
38 IPセクション
40 LPセクション蒸発器
41 導管
42 弁
44 脱気器
46 HP出口ポート
47 IP出口ポート
50 排気筒
60 復水システム
63 凝縮器
65 冷水システム
67 LP節炭器
68 復水抽出ポンプ
72 導管
80 熱交換器
85 冷却システム
87 供給導管
88 戻し導管
110 バイパスシステム
112 制御装置
113 センサ
118,119,120 複数の弁
123 空冷熱交換器
125 ファン
130 バイパスループ
133 LP再循環ポンプ
135 温度制御モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスターボ機械(4)と、
前記ガスターボ機械(4)に動作可能に接続された蒸気ターボ機械(6)と、
前記ガスターボ機械(4)及び前記蒸気ターボ機械(6)に動作可能に接続された熱回収蒸気発生器(HRSG)(10)と、
前記ガスターボ機械(4)に流動的に接続され、前記ガスターボ機械(4)に冷媒を通過させて熱を吸収するように構成及び配置される冷却システム(85)と、
前記蒸気タービン(27,28,29)及び前記HRSG(10)に流動的に接続され、前記蒸気ターボ機械(6)から前記HRSG(10)まで復水(63)を運ぶように構成及び配置される復水システム(60)と、
前記冷却システム(85)及び前記復水システム(60)に流動的に接続され、冷媒に取り込まれた熱を前記復水(63)に伝達するように構成及び配置される熱交換部材(80)とを含む、複合サイクル発電プラント(2)。
【請求項2】
空冷熱交換器(123)と、
選択的に前記空冷熱交換器(123)を前記冷却システム(85)に流動的に接続するバイパスシステム(110)とを更に含む、請求項1に記載の複合サイクル発電プラント(2)。
【請求項3】
前記バイパスシステム(110)に動作可能に接続され、前記冷媒と前記復水(63)の間の温度差(135)に基づいて、選択的に前記空冷熱交換器(123)を流動的に接続し、前記熱交換部材(80)の接続を外すように構成及び配置される制御装置(112)を更に含む、請求項2に記載の複合サイクル発電プラント(2)。
【請求項4】
前記復水システム(60)と前記HRSG(10)の間に流動的に接続された再循環ポンプ(133)を更に含み、前記制御装置(112)は、前記空冷熱交換器(123)が前記冷却システム(85)に接続されているときに、選択的に前記再循環ポンプ(133)を前記HRSG(10)及び前記復水システム(60)に接続するように構成及び配置される、請求項3に記載の複合サイクル発電プラント(2)。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−117517(P2012−117517A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−224539(P2011−224539)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】