説明

複合プリズム、光源ユニット、および表示装置

複合プリズム(1)は、第1角部(101)、第3角部(103)、第7角部(107)および第5角部(105)によって構成される面に第1の選択性反射面(5)を備えている。また、第3角部(103)、第4角部(104)、第5角部(105)および第6角部(106)によって構成される面に第2の選択性反射面(6)を備えている。第1の選択性反射面(5)および第2の選択性反射面(6)は偏光分離膜によって構成されている。このため、Xキューブと違って4つのプリズム単体の各稜線を一直線に揃えなくても複数の色光の光路の合成および分離を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、投射型表示装置などに用いられる複合プリズム、光源ユニット、および表示装置に関するものである。
【背景技術】
投射型表示装置(以下、プロジェクタという)などの光学装置においては、従来、波長の異なる複数の光の光路を合成あるいは分離することを目的に複数枚の板状の光学素子が用いられている。このため、光学装置を小型化できないという問題点がある。そこで、このような機能を集積した複合プリズムとして、直角三角柱状のプリズムを4個、X状に接合した立方体形状のダイクロイックプリズムが用いられることがある。このようなダイクロイックプリズムは、接合部分の形状からXキューブと称せられている。
このダイクロイックプリズムでは、赤色光を選択的に反射可能な選択性反射膜、および青色光を選択的に反射可能な選択性反射膜がクロスして配置され、液晶プロジェクタでは光路合成素子として用いられている。その際、ダイクロイックプリズムの4つの側面のうちの3つの側面が入射端面として用いられ、他の1つの側面が出射端面として利用される(例えば、特開2002−90509号公報)。
しかしながら、Xキューブでは、4つのプリズム単体の各稜線を一直線に揃える必要があるため、生産性が低く、かつ、歩留まりが低いという問題点がある。また、プリズム単体の段階で角度公差に対する要求も厳しい。このため、Xキューブは、高価なものになってしまうという問題点がある。さらに、Xキューブの場合、4つのプリズム単体の各稜線が一直線に揃うため、それを用いた液晶プロジェクタでは、投射された画像の中心に稜線が映るという問題点がある。従って、プリズム単体同士を接合する際、接着剤の厚さを薄くしなければならないが、接着剤の厚さを薄くすると、ヒートショックに弱くなるなど、信頼性が低下するという問題点がある。さらにまた、Xキューブでは、4つの側面が各々、入射端面および出射端面として用いられているため、側面に空きがない。それ故、Xキューブに向かう光路を構成する光学素子のレイアウトに自由度が低いという問題点もある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、Xキューブと違って4つのプリズム単体の各稜線を一直線に揃える必要がなく、歩留まりの向上、コストの低減、信頼性の向上、画質の向上、設計面での自由度の向上を図ることのできる新たな複合プリズム、この複合プリズムを用いた光源ユニットおよび表示装置を提供することにある。
【発明の開示】
上記課題を解決するために、本発明の複合プリズムでは、複数の透光性部材を接合したことにより形成される複数の接合面に、少なくとも、所定の光学特性を備える光を選択的に透過し、それ以外の光を反射する第1の選択性反射面と第2の選択性反射面が互いに平行、あるいは直交せずに交差する向きに形成され、前記第1の選択性反射面および前記第2の選択性反射面によって、波長の異なる少なくとも3つの光の光路を合成あるいは分離可能であることを特徴とする。
本発明では、透光性部材の接合面に第1の選択性反射面と第2の選択性反射面とを形成し、これらの選択性反射面によって、波長の異なる少なくとも3つの光の光路を合成あるいは分離する。このため、単板の偏光分離素子などを用いて光路を合成あるいは分離を行う必要がないので、コストの低減、および設計面での自由度の向上を図ることができる。また、Xキューブと違って4つのプリズム単体の各稜線を一直線に揃える必要がないので、歩留まりが高く、かつ、信頼性が高い。また、画質の向上を図ることもできる。
本発明において、対向する第1の矩形平面と第2の矩形平面からなる直方体形状の前記第1の矩形平面の各角部を各々、第1角部、第2角部、第3角部および第4角部とし、前記第2の矩形平面で前記第1角部、前記第2角部、前記第3角部および前記第4角部に対応する各角部を各々、第5角部、第6角部、第7角部および第8角部としたとき、前記第1角部、前記第3角部、前記第7角部および前記第5角部によって構成される面に前記第1の選択性反射面を備え、前記第3角部、前記第4角部、前記第5角部および前記第6角部によって構成される面に前記第2の選択性反射面を備えていることを特徴とする。
本発明においては、例えば、前記第1の選択性反射面および前記第2の選択性反射面は各々、偏光分離面により構成されている。従って、前記第1の選択性反射面および前記第2の選択性反射面はいずれも、任意の波長範囲内において、P偏光の光およびS偏光の光のうちの一方の光を透過し、他方の光を反射する。
このような複合プリズムについては、この複合プリズムから出射される色光を各々、変調する液晶ライトバルブなどといった電気光学装置を複数、備えた表示装置を構成するのに用いることができる。
本発明の別の形態では、複数の柱状の前記透光性部材を接合して入射面に45°の角度をなす、互いに平行な複数の接合面を備え、当該複数の接合面のうちのいずれかに所定の波長帯域の光を選択的に反射する前記第1の選択性反射面を備え、他のいずれかの接合面に、前記第1の選択性反射面と異なる波長帯域の光を選択的に反射する前記第2の選択性反射面を備えていることを特徴とする。また、偏光分離面を平行に接合し、任意の偏光光をもった波長光を分離することも可能とする。
本発明に係る複合プリズムを用いた光源ユニットにおいて、前記複合プリズムは、前記第1の選択性反射面として、赤、緑、青の3原色の波長帯域のうちの第1の色光を選択的に反射する第1の色光用ダイクロイックミラーと、前記第2の選択性反射面として第2の色光を前記第1の色光用ダイクロイックミラーに向けて選択的に反射する第2の色光用ダイクロイックミラーと、該第2の色光用ダイクロイックミラーに対して前記第1の色光用ダイクロイックミラーとは反対側に配置されて第3の色光を前記第2の色光用ダイクロイックミラーに向けて反射する第3の色光用反射面とを備え、前記第1の色光用ダイクロイックミラーに向けて前記第1の色光を出射する第1の色光源部が配置され、前記第2の色光用ダイクロイックミラーに向けて前記第2の色光を出射する第2の色光源部が配置され、前記反射面に向けて前記第3の色光を出射する第3の色光源部が配置され、前記第1の色光源部、前記第2の色光源部、および前記第3の色光源部から前記複合プリズムへ光の出射が所定のタイミングで切り換えられることが好ましい。
本発明に係る複合プリズムを用いた光源ユニットにおいて、前記複合プリズムは、前記第1の選択性反射面として、赤、緑、青の3原色の波長帯域のうちの第1の色光を選択的に反射する第1の色光用ダイクロイックミラーと、前記第2の選択性反射面として第2の色光を前記第1の色光用ダイクロイックミラーに向けて選択的に反射する第2の色光用ダイクロイックミラーとを備え、前記第1の色光用ダイクロイックミラーに向けて前記第1の色光を出射する第1の色光源部が配置され、前記第2の色光用ダイクロイックミラーに向けて前記第2の色光を出射する第2の色光源部が配置され、当該第2の色光用ダイクロイックミラーに対して前記第1の色光用ダイクロイックミラーとは反対側から第3の色光を出射する第3の色光源部を備え、前記第1の色光源部、前記第2の色光源部、および前記第3の色光源部から前記複合プリズムへ光の出射が所定のタイミングで切り換えられることが好ましい。
本発明において、前記第1の色光源部、前記第2の色光源部、および前記第3の色光源部は、各々、所定の色光を出射する発光素子であり、前記第1の色光源部、前記第2の色光源部、および前記第3の色光源部は、各々、所定のタイミングで点灯が制御される。
本発明において、前記第1の色光源部、前記第2の色光源部、および前記第3の色光源部は、各々、白色光を色分割して得られた各色の光を出射し、前記第1の色光源部、前記第2の色光源部、および前記第3の色光源部と、前記複合プリズムとの間には、当該複合プリズムに対して各色光が入射するタイミングを制御するシャッタ手段が配置されている構成を採用してもよい。
例えば、本発明に係る複合プリズムを2つ備えた光源ユニットでは、前記2つの複合プリズムのうち、第1の複合プリズムは、前記第1の選択性反射面として、赤、緑、青の3原色の波長帯域のうちの第1の色光を選択的に反射する第1の色光用ダイクロイックミラーと、前記第2の選択性反射面として第2の色光を前記第1の色光用ダイクロイックミラーに向けて選択的に反射する第2の色光用ダイクロイックミラーと、該第2の色光用ダイクロイックミラーに対して前記第1の色光用ダイクロイックミラーとは反対側に配置されて第3の色光を前記第2の色光用ダイクロイックミラーに向けて反射する第3の色光用反射面とを備え、第2の複合プリズムは、前記第1の色光を前記第1の複合プリズムの第1の色光用ダイクロイックミラーに向けて反射する第1の色光用反射面と、前記第1の選択性反射面として第2の色光を前記第1の複合プリズムの第2の色光用ダイクロイックミラーに向けて選択的に反射する第2の色光用ダイクロイックミラーと、前記第2の選択性反射面として第3の色光を前記第1の複合プリズムの第3の色光用反射面に向けて選択的に反射する第3の色光用ダイクロイックミラーとを備え、さらに、前記第2の複合プリズムに対して当該第2の複合プリズムの第3の色光用ダイクロイックミラーに向けて白色光を出射する白色光源を備え、前記第1の複合プリズムと前記第2の複合プリズムとの間には、前記第2の複合プリズムから前記第1の複合プリズムに対して各色光が入射するタイミングを制御するシャッタ手段が配置されていることが好ましい。
本発明を適用した光源ユニットは、例えば、表示装置に用いられる。
例えば、前記複合プリズムを複数、マトリクス状に配置して表示装置が構成される。
また、前記光源ユニットから順次、出射される色光を順次、変調して当該色光に対応する色画像を順次、生成する電気光学装置を用いて表示装置を構成してもよい。
本発明において、前記光源ユニットは、前記電気光学装置に向けて出射する色光の偏光方向を揃える偏光変換手段を備えていることが好ましい。このように構成すると、光の利用効率を高めることができるので、表示画像の輝度を向上することができる。
この場合、前記電気光学装置で順次形成された各色の画像を投射する投射光学系を用いれば、プロジェクタなどを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施の形態1に係る複合プリズムの説明図である。
図2(A)、(B)は、本発明の実施の形態1に係る複合プリズムの分解斜視図、(C)は従来の複合プリズムの分解斜視図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係る複合プリズムの製造方法を示す説明図である。
図4は、本発明の実施の形態1に係る複合プリズムに形成した選択性反射面の光学特性を示す説明図である。
図5は、本発明の実施の形態1に係る複合プリズムの正面図、左側面図、および平面図である。
図6は、本発明の実施の形態1の変形例に係る複合プリズムに形成した選択性反射面の光学特性を示す説明図である。
図7は、本発明の実施の形態1の変形例に係る複合プリズムを用いた液晶プロジェクタの説明図である。
図8は、図7に示す液晶プロジェクタに用いたダイクロイックミラーアレイの説明図である。
図9は、図7に示す液晶プロジェクタに用いた別のダイクロイックミラーアレイの説明図である。
図10は、本発明の実施の形態2に係る複合プリズムの説明図である。
図11は、本発明の実施の形態2に係る複合プリズムに形成した選択性反射面の光学特性を示す説明図である。
図12は、本発明の実施の形態2に係る複合プリズムの使用例を示す説明図である。
図13は、本発明の実施の形態2に係る複合プリズムの製造方法を示す説明図である。
図14は、本発明の実施の形態2に係る複合プリズムを用いたテールランプの説明図である。
図15は、本発明の実施の形態2の変形例1に係る複合プリズムの説明図である。
図16は、本発明の実施の形態2の変形例2に係る複合プリズムの説明図である。
図17は、本発明の実施の形態2の変形例2に係る複合プリズムに用いた選択性反射面の光学特性を示す説明図である。
図18は、本発明の実施の形態2の変形例1に係る複合プリズムを用いた液晶プロジェクタの説明図である。
図19は、本発明の実施の形態2の変形例1に係る複合プリズムを用いた別の液晶プロジェクタの説明図である。
図20は、本発明の実施の形態2の変形例1に係る複合プリズムを用いた直視型の液晶表示装置の説明図である。
【符号の説明】
1、2、複合プリズム
5、7 第1の選択性反射面
6、8 第2の選択性反射面
9 全反射面
31 第1の矩形平面
32 第2の矩形平面
51 赤色LED
52 緑色LED
53 青色LED
66、67、68 シャッタ(シャッタ手段)
73 偏光ビームスプリッタ
74、89、171〜173 液晶ライトバルブ(電気光学装置)
75 投射光学系
80 光源ユニット
81、82 偏光分離プリズム
83 偏光変換プリズム(偏光変換手段)
85 偏光分離面
86 偏光ビームスプリッタ
91 液晶パネル
111 白色光源
110 光源部
150 ダイクロイックミラーアレイ
221、222、223、223、224、225 透光性部材
LG 緑色光
LR 赤色光
LB 青色光
【発明を実施するための最良の形態】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る複合プリズムの説明図である。図2(A)、(B)は、本発明の実施の形態1に係る複合プリズムの分解斜視図、(C)は従来の複合プリズムの分解斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る複合プリズムの製造方法を示す説明図である。図4は、本発明の実施の形態1に係る複合プリズムに形成した選択性反射面の光学特性を示す説明図である。図5は、本発明の実施の形態1に係る複合プリズムの正面図、左側面図、および平面図である。
図1において、本形態の複合プリズム1は、互いに対向する第1の矩形平面31と第2の矩形平面32とを備えた立方体形状の複合プリズムであって、複数の透光性部材を接合したことにより形成される複数の接合面に以下の選択性反射面が形成されている。すなわち、第1の矩形平面31の各角部を各々、第1角部101、第2角部102、第3角部103および第4角部104とし、第2の矩形平面32で第1角部101、第2角部102、第3角部103および第4角部104に対応する各角部を各々、第5角部105、第6角部106、第7角部107および第8角部108としたとき、第1角部101、第3角部103、第7角部107および第5角部105によって構成される面に第1の選択性反射面5を備えている。また、第3角部103、第4角部104、第5角部105および第6角部106によって構成される面に第2の選択性反射面6備えている。従って、第1の選択性反射面5および第2の選択性反射面6は、複合プリズム1の端面に45°、傾いている。
このような構成をXYZ座標軸を用いて表すと、第1の選択性反射面5は、第1角部101(x0、y0、z0)、第3角部103(x1、y1、z0)、第7角部107(x1、y1、z1)、第5角部105(x0、y0、z1)で構成される矩形の接合面に形成され、第2の選択性反射面6は、第3角部103(x1、y1、z0)、第4角部104(x0、y1、z0)、第5角部105(x0、y0、z1)、第6角部106(x1、y0、z1)、で構成される矩形の接合面に形成されており、第1の選択性反射面5と第2の選択性反射面6とは直交していない。
このような構成の複合プリズム1を製造するには、図2(A)に示すように、まず、多層膜からなる第1の選択性反射面5を斜面に形成した断面三角形の棒状のビームスプリッタバー301を製作する。
次に、このビームスプリッタバー301を第1の選択性反射面5を介して接合した後、図2(B)に示すように、45°の角度で切断し、研磨加工を行う。
次に、研磨加工を施した面に対して、図2(B)、図3(A)に示すように、低温蒸着により多層膜からなる第2の選択性反射面6を形成する。
次に、図3(B)に示すように、再びバー状に接合した後、切断面を研磨する。その結果、複合プリズム1が完成する。
このような複合プリズム1では、それを製作する際、第1の選択性反射面5、および第2の選択性反射面6の平面度を損なうことがない。また、第1の選択性反射面5および第2の選択性反射面6はそれぞれ、同一の平面内に形成されるので、高い平面度を得ることができる。さらに、図3(C)に示すXキューブと違って4つのプリズムを各直角稜で合わせて接合する必要がない。それ故、接着剤の厚さを極端に薄くする必要がないので、ヒートショック試験においても良好な結果を示し、高い信頼性を備えている。
本形態の複合プリズム1を基本にして各種光学素子を構成した例を以下に説明する。まず、本例では、第1の選択性反射面5、および第2の選択性反射面6をいずれも多層膜で構成し、第1の選択性反射面5、および第2の選択性反射面6の各々に対して、以下に説明するような選択的反射特性を付与する。
すなわち、第1の選択性反射面5については、図4(A)に示す光学特性を付与し、3原色を構成する赤色光(赤を中心とする波長帯域の光)、緑色光(緑を中心とする波長帯域の光)、青色光(青を中心とする波長帯域の光)の可視波長帯域でP偏光の光を透過し、S偏光の光を反射する面とする。また、第2の選択性反射面6については、図4(B)に示す光学特性を付与し、赤色光および緑色光を透過し青色光を反射する青反射面とする。また、第2の選択性反射面6については、青色光であっても、P偏光の光を透過し、S偏光の光を反射するように構成する。
このように構成した複合プリズム1において、図1および図5に示すように、矩形平面21から入射する光LGを、予めP波に偏光された緑色光としたとき、この光LG(P)は、第1の選択性反射面5および第2の選択性反射面6を透過して矩形平面22に向かって直進する。
また、矩形平面11から入射する光LRを、予めS波に偏光された赤色光としたとき、この光LR(S)は、45°の入射角をもって第1の選択性反射面5で全反射した後、第2の選択性反射面6を透過して矩形平面22に向かう。
また、矩形平面32から入射する光LBを、予めS波に偏光された青色光LB(S)としたとき、この光LBは、45°の入射角をもって第2の選択性反射面6で全反射した後、第1の選択性反射面5を透過して矩形平面22に向かう。
従って、本形態の複合プリズム1によれば、波長の異なる3つの色光の光路を合成することができる。
逆に言えば、偏光方向を調整した白色光を矩形平面22から入射したとき、矩形平面11からは赤色光LRが出射され、矩形平面32からは青色光LBが出射され、矩形面21からは緑光LBとが出射される。従って、波長の異なる3つ以上の色光の光路を分離することができるともいえる。その際、偏光方向を調整しておけば、矩形平面12から赤色光LRと緑色光LGの合成光が出射し、矩形平面31から青色光LBと緑色光LGの合成光を出射することもできる。
[実施の形態1の変形例]
図6(A)、(B)は、本発明の実施の形態1の変形例に係る複合プリズム1に用いた第1の選択性反射面5、および第2の選択性反射面6の光学特性を示す説明図である。図7は、この複合プリズムを用いた液晶プロジェクタの説明図である。図8および図9は、図7に示す液晶プロジェクタに用いたダイクロイックミラーアレイの説明図である。
本例の複合プリズム1も、図1を参照して説明したように、互いに対向する第1の矩形平面31と第2の矩形平面32とを備えた立方体形状の複合プリズムであって、複数の透光性部材を接合したことにより形成される複数の接合面に以下の選択性反射面が形成されている。すなわち、第1の矩形平面31の各角部を各々、第1角部101、第2角部102、第3角部103および第4角部104とし、第2の矩形平面32で第1角部101、第2角部102、第3角部103および第4角部104に対応する各角部を各々、第5角部105、第6角部106、第7角部107および第8角部108としたとき、第1角部101、第3角部103、第7角部107および第5角部105によって構成される面に第1の選択性反射面5を備えている。また、第3角部103、第4角部104、第5角部105および第6角部106によって構成される面に第2の選択性反射面6を備えている。従って、第1の選択性反射面5および第2の選択性反射面6は、複合プリズム1の端面に45°、傾いている。また、第1の選択性反射面5と第2の選択性反射面6とは直交していない。
ここで、第1の選択性反射面5は、図6(A)に示す光学特性を備えた偏光分離膜によって構成され、第2の選択性反射面6については、図6(B)に示す光学特性を備えた偏光分離膜によって構成されている。
このように構成した複合プリズム1を用いた液晶プロジェクタは、図7に示すように、白色光源111およびリフレクタ112を備えた光源部110と、この光源部110から出射された白色光をP偏光に揃えるためのPBS(偏光ビームスプリッタ)コンバータ120と、このPBSコンバータ120から出射された光を青色光LBと、赤色光LRと緑色光LGとの混合光とに色分離するダイクロイックミラー130とを有している。青色光LBに対しては、ダイクロイックミラー130から出射された光を複合プリズム1の矩形平面31(図1を参照)に導く全反射ミラー140が配置されており、青色光LBは、P偏光の光として複合プリズム1に入射する。
一方、赤色光LRと緑色光LGとの混合光に対しては、緑色光LGを選択的にS偏光の光とするダイクロイックミラーアレイ150と、全反射ミラー160とが配置されており、ダイクロイックミラーアレイ150からP偏光の光として出射された赤色光LR、およびダイクロイックミラーアレイ150からS偏光の光として出射された緑色光LGは、共通の光路を辿って複合プリズム1に入射する。
ここで、ダイクロイックミラーアレイ150としては、図8あるいは図9に示すものを用いることができる。これらのダイクロイックミラーアレイのうち、図8に示すものは、断面形状が45度の鋭角を有する平行四辺形や三角形の柱状の透光性部材155が傾斜端面で接合されている。第1の接合界面151には、緑色光LGを反射して赤色光LRを透過するダイクロイックミラー152が形成され、それに対向する第2の接合界面153には、全反射ミラー154が形成されている。また、ダイクロイックミラーアレイ150の入射端面にはインテグレートレンズアレイ156が配置され、全反射ミラー154からの出射端面には1/2λ板157が配置されている。
従って、図7に示すダイクロイックミラー130から出射されたP偏光の赤色光LRおよびP偏光の緑色光LGは、インテグレートレンズアレイ156によってダイクロイックミラー152に導かれると、赤色光LRは、ダイクロイックミラー152を透過してP偏光の光のまま出射される。これに対して、緑色光LGは、ダイクロイックミラー152で反射した後、全反射ミラー154で1/2λ板157に向けて反射され、S偏光の光として出射される。
なお、ダイクロイックミラーアレイ150については、図9に示すように、第1の接合界面151に、緑色光LGを透過して赤色光LRを反射するダイクロイックミラー158が形成され、それに対向する第2の接合界面153には、全反射ミラー159が形成されている構成であってもよい。このダイクロイックミラーアレイ150には、ダイクロイックミラー158からの出射端面に1/2λ板157が配置されている。従って、図7に示すダイクロイックミラー130から出射されたP偏光の赤色光LRおよびP偏光の緑色光LGは、インテグレートレンズアレイ(図8参照)によってダイクロイックミラー158に導かれると、緑色光LGは、ダイクロイックミラー158を透過した後、1/2λ板157でS偏光に変換された後、出射される。これに対して、赤色光LRは、ダイクロイックミラー158で反射した後、全反射ミラー159で反射され、P偏光の光として出射される。
このように構成した液晶プロジェクタにおいて、複合プリズム1の所定の矩形平面に対して、赤色光LRに対する反射型の液晶ライトバルブ171(電気光学装置)、緑色光LGに対する反射型の液晶ライトバルブ172、および青色光LBに対する反射型の液晶ライトバルブ173が配置される。
従って、青色光LBは、複合プリズム1に入射すると、第2の選択性反射面6を透過して青色光用の液晶ライトバルブ173に到達した後、この液晶ライトバルブ173で反射される。その間に、液晶ライトバルブ173で画素毎に光変調され、S偏光とされた光成分については、第2の選択性反射面6で反射され、投射光学系(図示せず)に導かれる。
また、赤色光LRと緑色光LGは、混合光として複合プリズム1に入射すると、赤色光LRのみが第1の選択性反射面5を透過して赤色光用の液晶ライトバルブ171に到達した後、この液晶ライトバルブ171で反射される。その間に、液晶ライトバルブ171で画素毎に光変調され、S偏光とされた光成分については、第1の選択性反射面5で反射され、投射光学系に導かれる。
これに対して、緑色光LGは第1の選択性反射面5で反射して緑色光用の液晶ライトバルブ172に到達した後、この液晶ライトバルブ172で反射される。その間に、液晶ライトバルブ172で画素毎に光変調され、P偏光とされた光成分については、第1の選択性反射面5を透過して投射光学系に導かれる。
そして、投射光学系から出射された各色光によりスクリーン上には所定のカラー画像が表示されることになる。
このように本形態の複合プリズム1を用いた液晶プロジェクタでは、偏光プリズム1の周囲には、青色光LBの光路と、赤色光LRと緑色光LGとの混合光の光路を確保すればよいので、液晶プロジェクタの小型化を図ることができる。また、本形態の複合プリズム1を用いた液晶プロジェクタでは、偏光プリズム1からみたとき、青色光LBの光路と、赤色光LRと緑色光LGとの混合光の光路と、偏光プリズム1からの出射光路を3次元的に配置できるので、液晶プロジェクタにおいて光学系を配置するときの設計の自由度が高い。
さらに、本形態の複合プリズム1は、Xキューブと違って、各プリズム単体の各稜線が一箇所に集中しないので、投射された画像の中心にプリズム単体の稜線が映るという事態を回避できる。
[実施の形態2]
図10は、本発明の実施の形態2に係る複合プリズムの説明図である。図11は、本発明の実施の形態2に係る複合プリズムに形成した選択性反射面の光学特性を示す説明図である。図12は、本発明の実施の形態2に係る複合プリズムの使用例を示す説明図である。図13は、本発明の実施の形態2に係る複合プリズムの製造方法を示す説明図である。
図10において、本形態の複合プリズム2は、ダイクロイックミラーモジュールであり、断面形状が45度の鋭角を有する直角二等辺三角形をした柱状の透光性部材221と、断面形状が45度の鋭角を有する平行四辺形をした柱状の透光性部材222、223とが傾斜端面で接合されている。また、一方の端部226には、断面形状が45度の鋭角を有する直角二等辺三角形をした柱状のダミーの透光性部材224が接合され、3つの接合面231、232、233を備えている。
これら3つの接合界面231、232、233のうち、第1の接合界面231には、図11に示す光学特性を備えたダイクロイックミラーからなる第1の選択性反射面7が形成され、この第1の選択性反射面7は、赤色光LRを反射する一方、緑色光LGおよび青色光LBを透過する。また、第2の接合界面232には、図11に示す光学特性を備えたダイクロイックミラーからなる第2の選択性反射面8が形成され、この第2の選択性反射面8は、赤色光LRおよび緑色光LGを反射する一方、青色光LBを透過する。なお、第3の接合界面233には、青色光に対するミラーとして、図11に示す光学特性を備える全反射面9が形成されている。
このように構成した複合プリズム2は、他方の端部227が出射端面として、例えば、図12に示すように、拡散レンズ241が配置される。また、複合プリズム2の側面には、集光プレート229が配置される。また、集光プレート229によって、第1の選択性反射面7に向けて赤色LED51が配置され、第2の選択性反射面8に向けて緑色LED252が配置され、全反射面9に向けて青色LED53が配置されている。
このように構成したモジュールでは、赤色LED51から出射された赤色光LRは、複合プリズム2において、第1の選択性反射面7で反射され、拡散レンズ41を介して出射される。緑色LED52から出射された緑色光LGは、複合プリズム2において、第2の選択性反射面8で反射した後、第1の選択性反射面7を透過し、しかる後に、拡散レンズ41を介して出射される。青色LED53から出射された青色光LBは、複合プリズム2において、全反射面9で反射した後、第2の選択性反射面8および第1の選択性反射面7を順次透過し、しかる後に、拡散レンズ41を介して出射される。
従って、本形態の複合プリズム2によれば、波長の異なる3つの色光の光路を合成することができる。また、各LED51、52、53を点灯させる組み合わせにより、白色に加えて、6色の色光を出射することができる。
このような構成の複合プリズム2を製造するにあたっては、図13に示すように、平行な2つの基板面を有する複数の透光性基板160の各々の面に、図11を参照して説明した第1の選択性反射面7、第2の選択性反射面8、および全反射面9を形成した後、これらのラミネート基板(透光性基板160)をダミーの透光性基板161とともに光硬化性接着剤を介して重ねる。その際、各基板の端部が45°となるように重ね合わせ位置をずらす。次に、光硬化性接着剤を硬化させた後、点線で示す切断線に沿って、透光性基板160、161の基板面に対して45°の角度をなすように切断し、しかる後に切断面を研磨して、図10に示す複合プリズム2を製造する。従って、Xキューブと違って、生産効率が高いので、安価である。
(複合プリズム2の使用例)
図14は、本発明の実施の形態2に係る複合プリズムを用いたテールランプの説明図である。
複合プリズム2については、例えば、図14に示すように、フライアレイのように、多数、マトリクス状に配置して自動車のテールランプ200などの表示装置を構成することができる。また、本形態の複合プリズム2を用いれば、60万ドット(1000ドット×600ドット)、さらには100万ドット(1200ドット×830ドット)の屋外表示パネルを構成することができる。これらいずれの表示装置でも、3種類のLED51、52、53を所定のタイミングで点灯すれば、任意の色で表示を行うことができる。また、近距離においても解像度が高く、従来の表示装置と比較して2倍以上の解像度を得ることができる。さらに、1ドットで黒表示に加えて、7色の表現を行うことができるので、ブレーキランプの他、ハザードランプ、バックランプ、キーロック警告ランプ、盗難防止用ランプなど、計7種のシグナルランプとして用いることができるなど、各種のパイロットランプとして用いることができる。しかも、画像デザインもオプションで選択できるので、個性的なランプを構成できる。
[実施の形態2の変形例1]
実施の形態2に係る複合プリズム2については、例えば、図15に示すダイクロイックミラーアレイとして構成してもよい。
図15は、本発明の実施の形態2の変形例1に係る複合プリズムの説明図である。ここに示す複合プリズム2では、断面形状が45度の鋭角を有する直角二等辺三角形をした柱状の透光性部材221と、断面形状が45度の鋭角を有する平行四辺形をした柱状の透光性部材222と、断面形状が45度の鋭角を有する直角二等辺三角形をした柱状の透光性部材225とが傾斜端面で接合され、2つの接合界面231、232を備えている。
これら2つの接合界面のうち、第1の接合界面231には、図11に示す光学特性を備えたダイクロイックミラーからなる第1の選択性反射面7が形成され、この第1の選択性反射面7は、赤色光LRを反射する一方、緑色光LGおよび青色光LRを透過する。また、第2の接合界面232には、図11に示す光学特性を備えたダイクロイックミラーからなる第2の選択性反射面8が形成され、この第2の選択性反射面8は、赤色光LRおよび緑色光LGを反射する一方、青色光LBを透過する。
このように構成した複合プリズム2は、他方の端部227が出射端面として、例えば、拡散レンズ41が配置される。また、複合プリズム2の側面には、第1の選択性反射面7に向けて赤色LED51が配置され、第2の選択性反射面8に向けて緑色LED52が配置される。また、透光性部材25の側の端部には、他方の端部227に向けて青色LED53が配置されている。
このように構成したモジュールでは、赤色LED51から出射された赤色光LRは、複合プリズム2において、第1の選択性反射面7で反射され、拡散レンズ41を介して出射される。緑色LED52から出射された緑色光LGは、複合プリズム2において、第2の選択性反射面8で反射した後、第1の選択性反射面7を透過し、しかる後に、拡散レンズ41を介して出射される。青色LED53から出射された青色光LBは、第2の選択性反射面8および第1の選択性反射面7を順次透過し、しかる後に、拡散レンズ41を介して出射される。
従って、本形態の複合プリズム2によれば、波長の異なる3つの色光の光路を合成することができ、このような複合プリズム2も、図14を参照して説明したテールランプ200などの表示装置として利用できる。
[実施の形態2の変形例2]
実施の形態2に係る複合プリズムについては、例えば、図16に示すモジュールに用いる分光用のダイクロイックミラーアレイとして構成してもよい。
図16は、本発明の実施の形態2の変形例2に係る複合プリズムの説明図である。図17は、本発明の実施の形態2の変形例2に係る複合プリズムに用いた選択性反射面の光学特性を示す説明図である。
ここに示す複合プリズム2′では、断面形状が45度の鋭角を有する直角二等辺三角形をした柱状の透光性部材221′と、断面形状が45度の鋭角を有する平行四辺形をした柱状の透光性部材222′、223′とが傾斜端面で接合されている。また、一方の端部226′には、断面形状が45度の鋭角を有する直角二等辺三角形をした柱状のダミーの透光性部材224′が接合され、3つの接合面231′、232′、233′を備えている。
これら3つの接合界面のうち、第1の接合界面231′には、赤色光に対するミラーとして、図17に示す光学特性を備えた全反射面7′が形成されている。また、第2の接合界面232′には、図17に示す光学特性を備えたダイクロイックミラーからなる第1の選択性反射面8′が形成され、この第1の選択性反射面8′は、青色光LBおよび緑色光LGを反射する一方、赤色光LRを透過する。また、第3の接合界面233′には、図17に示す光学特性を備えたダイクロイックミラーからなる第2の選択性反射面9′が形成され、この第2の選択性反射面9′は、青色光LRを反射する一方、緑色光LGおよび赤色光LRを透過する。
このように構成した複合プリズム2′(第2の複合プリズム)は、一方の端部27′が入射端面として、例えば、シャッタ63、偏光変換プリズム69、レンズアレイ61および白色光源62が配置される。また、複合プリズム2′の側面には、3台のシャッタ66、67、68を介して、図10を参照して説明した複合プリズム2(第1の複合プリズム)が配置されて光源ユニットを構成する。
このように構成した光源ユニットにおいて、白色光源62から出射された光は、偏光変換プリズム69で偏光方向が揃えられた後、複合プリズム2′に入射する。そして、白色光に含まれる青色光成分は、複合プリズム2′の第2の選択性反射面9′で反射して青色光LBとして複合プリズム2に入射する一方、赤色光成分と緑色光成分は、第2の選択性反射面9′を透過する。次に、複合プリズム2に入射した青色光LBは、全反射面9で反射した後、第2の選択性反射面8および第1の選択性反射面7を順次透過し、しかる後に、拡散レンズ41を介して出射される。
また、第2の選択性反射面9′を透過した赤色光成分と緑色光成分は、第1の選択性反射面8′に到達し、それに含まれる緑色光成分は、複合プリズム2′の第1の選択性反射面8′で反射して緑色光LGとして複合プリズム2に入射する一方、赤色光成分は、第1の選択性反射面8′を透過する。そして、複合プリズム2に入射した緑色光LGは、第2の選択性反射面8で反射した後、第1の選択性反射面7を透過し、しかる後に、拡散レンズ41を介して出射される。
また、第1の選択性反射面8′を透過した赤色光成分は、全反射面7′で反射して赤色光LRとして複合プリズム2に入射する。そして、複合プリズム2に入射した赤色光LGは、第1の選択性反射面7で反射した後、拡散レンズ41を介して出射される。
このように、本形態の複合プリズム2′によれば、波長の異なる3つの色光の光路を分離することができる。
また、3台のシャッタ66、67、68を所定のタイミングで開閉すれば、複合プリズム2から任意の色を出射できる。従って、カラーホイールを用いなくても、フィールドシーケンシャル方式の液晶プロジェクタの光源ユニットなどとして用いることができ、このような光源ユニットによれば、光路での光吸収が少ないので、高輝度のカラー画像を表示することができる。
また、高輝度を必要とする屋外表示パネルを構成する際、光源として高圧水銀ランプやハロゲンランプなどを用いることができる。
さらに、本例では、白色光が偏光変換プリズム69(偏光変換手段)によって偏光方向がP偏光あるいはS偏光に揃えられているので、シャッタ66、67、68(シャッタ手段)として、液晶パネルを用いることができる。このような液晶パネルをシャッタ66、67、68として用いれば、同期をとるのが容易である。
[実施の形態2の液晶プロジェクタへの利用例1]
上記の実施の形態2、およびその変形例に係る複合プリズム2、2′は、以下に説明するように、液晶プロジェクタに搭載可能である。
図18は、本発明の実施の形態2の変形例1に係る複合プリズムを用いた液晶プロジェクタの説明図である。図18に示す液晶プロジェクタは、実施の形態2の変形例に係る複合プリズム2を光源としたものであり、複合プリズム2の出射側には偏光板71が配置され、さらに偏光分離面72を備えた偏光ビームスプリッタ73が配置されている。また、偏光ビームスプリッタ73の端面に対向するように反射型の液晶ライトバルブ74が配置され、その反対側の端面側には投射光学系75が配置されている。
このように構成した液晶プロジェクタでは、複合プリズム2から赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBが順次出射され、偏光板71によって例えばP偏光の光のみが偏光ビームスプリッタ73に入射する。そして、偏光ビームスプリッタ73に入射した光は、偏光分離面72によって液晶ライトバルブ74に向けて反射され、液晶ライトバルブ74で変調された後、再び偏光分離面72に向かう。その際、S偏光とされた光は、偏光分離面72を透過して投射光学系75から拡大投射される。
その間、各色のLED51、52、53が順次点灯するタイミングに合わせて、液晶ライトバルブ74では、各画素が駆動され、色光に合わせた画像が順次、形成される。それ故、新たなタイプのフィールドシーケンシャル方式の液晶プロジェクタを構成でき、この液晶プロジェクタによれば、投射光学系75からカラー画像が拡大投射することができる。
[実施の形態2の液晶プロジェクタへの利用例2]
図19は、本発明の実施の形態2の変形例1に係る複合プリズムを用いた別の液晶プロジェクタの説明図である。
図19に示す液晶プロジェクタは、実施の形態2の変形例に係る複合プリズム2と、2つの偏光分離プリズム81、82を備えた偏光変換プリズム83(偏光変換手段)とからなる光源ユニット80を複数、配置したものである。ここで、偏光変換プリズム83では、偏光分離プリズム81、82の間に1/2λ板88が配置されている。また、複数の光源ユニット80に隣接して、偏光分離面85を備えた偏光ビームスプリッタ86が配置され、その反対側には、反射型の液晶ライトバルブ89が配置されている。なお、図19には、赤色光LRが出射されている様子を示してある。
このように構成した液晶プロジェクタでは、複合プリズム2から赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBが順次、偏光変換プリズム83の第1の偏光分離プリズム81に出射される。そして、複合プリズム2から出射された色光のうち、例えばP偏光の光成分は、第1の偏光分離プリズム81の偏光分離面を透過した後、偏光ビームスプリッタ86の偏光分離面85を透過し、液晶ライトバルブ89に向かう。そして、液晶ライトバルブ74で変調された後、再び偏光分離面72に向かう。その際、S偏光とされた光は、偏光分離面85で反射して投射光学系(図示せず)から拡大投射される。
また、複合プリズム2から出射された色光のうち、S偏光の光成分は、第1の偏光分離プリズム81の偏光分離面で反射して、1/2λ板88によりP偏光の光に変換された後、第2の偏光分離プリズム82に入射する。そして、第2の偏光分離プリズム82の偏光分離面で反射して偏光ビームスプリッタ86に入射した後、偏光分離面85を透過し、液晶ライトバルブ89に向かう。そして、液晶ライトバルブ89で変調された後、再び偏光分離面85に向かう。その際、S偏光とされた光は、偏光分離面85で反射して投射光学系(図示せず)から拡大投射される。
その間、各色のLED51、52、53が順次点灯するタイミングに合わせて、液晶ライトバルブ89では、各画素が駆動され、色光に合わせた画像が順次、形成される。それ故、投射光学系からカラー画像が拡大投射される。
このように構成した場合には、従来の色フィルタを用いたフィールドシーケンシャル方式の液晶プロジェクタと比較して、LED51、52、53から出射された光の利用効率が高いという利点がある。
[実施の形態2の直視型表示装置への利用例]
図20は、本発明の実施の形態2の変形例1に係る複合プリズムを用いた直視型の液晶表示装置の説明図である。
図20に示す液晶表示装置は、透過型あるいは半透過反射型の液晶パネル91を用いた直視型表示装置である。液晶パネル91としては、例えば、画素スイッチング素子としてTFTを用いたアクティブマトリクス型の液晶パネルを用いることができる。
このような表示装置では、表示面側に偏光板92が配置され、背面側には、拡散板などの光学シート96、および導光板93が重ねて配置されている。また、導光板93の側端部には、図19を参照して説明した光源ユニット80が複数、配置され、この光源ユニット80は、実施の形態2の変形例に係る複合プリズム2と、偏光変換プリズム83とを有し、偏光変換プリズム83では、2つの偏光分離プリズムの間に1/2λ板が配置されている。
このように構成した表示装置でも、図19に示す液晶プロジェクタと同様、複合プリズム2から赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBが順次、出射され、偏光変換プリズム83を介して導光板93に入射する。そして、導光板93に入射した光は、導光板93内で反射を繰り返しながら、液晶パネル91に入射することになる。そして、液晶パネル91で変調された後、出射され、カラー画像を表示する。その間、各色のLEDが順次点灯するタイミングに合わせて、液晶パネル91では、各画素が駆動され、色光に合わせた画像が順次、形成される。それ故、これらの画像が合成されてカラー画像が表示される。
このように構成した表示装置の最大の特徴は、カラーフィルタを介さないでカラー画像を表示することである。従って、カラーフィルタに起因する光の利用効率の低下がない。また、本例の表示装置では、赤のLED51、緑のLED52、青のLED53から出射される3原色の光源を導光板93に入射する前、偏光光に変換しておくので、光源の照度をそのまま維持して液晶パネル91に出射できる。それ故、現行の約3倍の輝度を得ることができるので、モバイルコンピュータや携帯電話機のように、屋外で画像を見る必要がある場合でも、利用者は明瞭な画像を見ることができる。
[その他の実施の形態]
なお、上記形態では、プロジェクタのライトバルブとして液晶ライトバルブを用いた例で説明したが、ライトバルブとして、マイクロミラー・デバイス(DMD:Digital Micromirror Device)を使ったプロジェクタに対して、本発明に係る複合プリズムを用いてもよい。
また、上記形態では、プロジェクタおよび直視型の表示装置に、本発明に係る複合プリズムを用いた例を説明したが、その他の表示装置あるいはその他の光学機器に本発明に係る複合プリズムを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、Xキューブと違って4つのプリズム単体の各稜線を一直線に揃えなくてもよいので、歩留まりの向上、コストの低減、信頼性の向上を図ることのできる光路合成用あるいは光路分離用の複合プリズムを提供することができる。また、本発明に係る複合プリズムを用いれば、各種の表示装置において、画質の向上、設計面での自由度の向上を図ることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の透光性部材を接合したことにより形成される複数の接合面に、少なくとも、所定の光学特性を備える光を選択的に透過し、それ以外の光を反射する第1の選択性反射面と第2の選択性反射面が互いに平行、あるいは直交せずに交差する向きに形成され、
前記第1の選択性反射面および前記第2の選択性反射面によって、波長の異なる少なくとも3つの光の光路を合成あるいは分離可能であることを特徴とする複合プリズム。
【請求項2】
請求の範囲第1項において、対向する第1の矩形平面と第2の矩形平面からなる直方体形状の前記第1の矩形平面の各角部を各々第1角部、第2角部、第3角部および第4角部とし、前記第2の矩形平面で前記第1角部、前記第2角部、前記第3角部および前記第4角部に対応する各角部を各々、第5角部、第6角部、第7角部および第8角部としたとき、
前記第1角部、前記第3角部、前記第7角部および前記第5角部によって構成される面に前記第1の選択性反射面を備え、
前記第3角部、前記第4角部、前記第5角部および前記第6角部によって構成される面に前記第2の選択性反射面を備えていることを特徴とする複合プリズム。
【請求項3】
請求の範囲第2項において、前記第1の選択性反射面および前記第2の選択性反射面は各々、偏光分離面により構成されていることを特徴とする複合プリズム。
【請求項4】
請求の範囲第2項または第3項において、前記複合プリズムから出射される色光を各々、変調する複数の電気光学装置を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求の範囲第1項において、複数の柱状の前記透光性部材を接合して入射面に45°の角度をなす、互いに平行な複数の接合面を備え、
当該複数の接合面のうちのいずれかに所定の波長帯域の光を選択的に反射する前記第1の選択性反射面を備え、
他のいずれかの接合面に、前記第1の選択性反射面と異なる波長帯域の光を選択的に反射する前記第2の選択性反射面を備えることを特徴とする複合プリズム。
【請求項6】
請求の範囲第5項に規定する複合プリズムを備えた光源ユニットであって、
前記複合プリズムは、前記第1の選択性反射面として、赤、緑、青の3原色の波長帯域のうちの第1の色光を選択的に反射する第1の色光用ダイクロイックミラーと、前記第2の選択性反射面として第2の色光を前記第1の色光用ダイクロイックミラーに向けて選択的に反射する第2の色光用ダイクロイックミラーと、該第2の色光用ダイクロイックミラーに対して前記第1の色光用ダイクロイックミラーとは反対側に配置されて第3の色光を前記第2の色光用ダイクロイックミラーに向けて反射する第3の色光用反射面とを備え、
前記第1の色光用ダイクロイックミラーに向けて前記第1の色光を出射する第1の色光源部が配置され、
前記第2の色光用ダイクロイックミラーに向けて前記第2の色光を出射する第2の色光源部が配置され、
前記反射面に向けて前記第3の色光を出射する第3の色光源部が配置され、
前記第1の色光源部、前記第2の色光源部、および前記第3の色光源部から前記複合プリズムへ光の出射が所定のタイミングで切り換えられることを特徴とする光源ユニット。
【請求項7】
請求の範囲第5項に規定する複合プリズムを備えた光源ユニットであって、
前記複合プリズムは、前記第1の選択性反射面として、赤、緑、青の3原色の波長帯域のうちの第1の色光を選択的に反射する第1の色光用ダイクロイックミラーと、前記第2の選択性反射面として第2の色光を前記第1の色光用ダイクロイックミラーに向けて選択的に反射する第2の色光用ダイクロイックミラーとを備え、
前記第1の色光用ダイクロイックミラーに向けて前記第1の色光を出射する第1の色光源部が配置され、
前記第2の色光用ダイクロイックミラーに向けて前記第2の色光を出射する第2の色光源部が配置され、
当該第2の色光用ダイクロイックミラーに対して前記第1の色光用ダイクロイックミラーとは反対側から第3の色光を出射する第3の色光源部を備え、
前記第1の色光源部、前記第2の色光源部、および前記第3の色光源部から前記複合プリズムへ光の出射が所定のタイミングで切り換えられることを特徴とする光源ユニット。
【請求項8】
請求の範囲第6項または第7項において、前記第1の色光源部、前記第2の色光源部、および前記第3の色光源部は、各々、所定の色光を出射する発光素子であり、
前記第1の色光源部、前記第2の色光源部、および前記第3の色光源部は、各々、所定のタイミングで点灯が制御されることを特徴とする光源ユニット。
【請求項9】
請求の範囲第6項または第7項において、前記第1の色光源部、前記第2の色光源部、および前記第3の色光源部は、各々、白色光を色分割して得られた各色の光を出射し、
前記第1の色光源部、前記第2の色光源部、および前記第3の色光源部と、前記複合プリズムとの間には、当該複合プリズムに対して各色光が入射するタイミングを制御するシャッタ手段が配置されていることを特徴とする光源ユニット。
【請求項10】
請求の範囲第5項に規定する複合プリズムを2つ備えた光源ユニットであって、
前記2つの複合プリズムのうち、第1の複合プリズムは、前記第1の選択性反射面として、赤、緑、青の3原色の波長帯域のうちの第1の色光を選択的に反射する第1の色光用ダイクロイックミラーと、前記第2の選択性反射面として第2の色光を前記第1の色光用ダイクロイックミラーに向けて選択的に反射する第2の色光用ダイクロイックミラーと、該第2の色光用ダイクロイックミラーに対して前記第1の色光用ダイクロイックミラーとは反対側に配置されて第3の色光を前記第2の色光用ダイクロイックミラーに向けて反射する第3の色光用反射面とを備え、
第2の複合プリズムは、前記第1の色光を前記第1の複合プリズムの第1の色光用ダイクロイックミラーに向けて反射する第1の色光用反射面と、前記第1の選択性反射面として第2の色光を前記第1の複合プリズムの第2の色光用ダイクロイックミラーに向けて選択的に反射する第2の色光用ダイクロイックミラーと、前記第2の選択性反射面として第3の色光を前記第1の複合プリズムの第3の色光用反射面に向けて選択的に反射する第3の色光用ダイクロイックミラーとを備え、
さらに、前記第2の複合プリズムに対して当該第2の複合プリズムの第3の色光用ダイクロイックミラーに向けて白色光を出射する白色光源を備え、
前記第1の複合プリズムと前記第2の複合プリズムとの間には、前記第2の複合プリズムから前記第1の複合プリズムに対して各色光が入射するタイミングを制御するシャッタ手段が配置されていることを特徴とする光源ユニット。
【請求項11】
請求の範囲第9項または第10項において、前記白色光の偏光方向を揃える偏光変換手段を備え、
前記シャッタ手段として、液晶パネルが用いられていることを特徴とする光源ユニット。
【請求項12】
請求の範囲第5項ないし第11項のいずれかの項に規定する光源ユニットを備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求の範囲第12項において、前記複合プリズムが複数、マトリクス状に配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求の範囲第12項において、前記光源ユニットから順次、出射される色光を順次、変調して当該色光に対応する色画像を順次、生成する電気光学装置を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項15】
請求の範囲第14項において、前記光源ユニットは、前記電気光学装置に向けて出射する色光の偏光方向を揃える偏光変換手段を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項16】
請求の範囲第14項または第15項において、前記電気光学装置で順次形成された各色の画像を投射する投射光学系を備えていることを特徴とする投射型表示装置。

【国際公開番号】WO2004/068197
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【発行日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504700(P2005−504700)
【国際出願番号】PCT/JP2004/000668
【国際出願日】平成16年1月26日(2004.1.26)
【出願人】(502388781)有限会社ハイメック (5)
【Fターム(参考)】