複合リードフレーム及びその製造方法
【課題】リードフレーム上に配線基板を設けた複合リードフレームにおいて、放熱性を向上する。
【解決手段】導体板を所定形状に開口してアウターリード及び半導体チップを搭載するダイパッドを設けたリードフレームと、絶縁基板の一主面に導体配線(インナーリード)を設けた配線基板とからなり、前記配線基板が前記リードフレーム上に接着され、前記導体配線と前記アウターリードとが電気的に接続された複合リードフレームであって、前記配線基板は、前記ダイパッドの前記半導体チップが搭載される領域と平面的に重なる領域が開口されており、前記アウターリードの先端部及び前記ダイパッドの外周部と接着されている複合リードフレームである。
【解決手段】導体板を所定形状に開口してアウターリード及び半導体チップを搭載するダイパッドを設けたリードフレームと、絶縁基板の一主面に導体配線(インナーリード)を設けた配線基板とからなり、前記配線基板が前記リードフレーム上に接着され、前記導体配線と前記アウターリードとが電気的に接続された複合リードフレームであって、前記配線基板は、前記ダイパッドの前記半導体チップが搭載される領域と平面的に重なる領域が開口されており、前記アウターリードの先端部及び前記ダイパッドの外周部と接着されている複合リードフレームである。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合リードフレーム及びその製造方法に関し、特に、高周波動作をし、発熱量が高い半導体チップを実装する複合リードフレームに適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂封止型半導体装置で用いられるリードフレームには、図15、図16(a)及び図16(b)に示すように、銅版などの平板状の導体板を開口してアウターリード101を形成したリードフレーム1上に、テープキャリアパッケージ(TCP)などで用いられるテープ状の配線基板(テープキャリア)2を接続した複合リードフレームがある。ここで、図15は前記複合リードフレームの模式平面図、図16(a)は図15のB−B’線での模式断面図、図16(b)は図16(a)の要部拡大図である。
【0003】前記複合リードフレームに用いられる配線基板2は、図15、及び図16(a)に示したように、例えば、ポリイミドテープなどの薄い絶縁基板201の表面に、所定のパターンの導体配線(インナーリード)202が設けられており、前記インナーリード202の一端(接続端子部)204と前記アウターリード101が電気的に接続されている。
【0004】またこのとき、実際には、前記インナーリード202の表面に、図16(b)に示すように、例えば、金めっき膜3が設けられ、一方の前記アウターリード101には銀めっき膜4が設けられており、前記インナーリード202と前記アウターリード101は、前記金めっき膜3、及び前記銀めっき膜4を介在して接続されている。
【0005】前記複合リードフレームの製造方法は、大きく分けると、前記リードフレーム1を形成するリードフレーム形成工程と、前記配線基板2を形成する配線基板形成工程と、前記リードフレーム1と前記配線基板2とを接続する配線基板接続工程とに分けられる。
【0006】前記リードフレーム形成工程は、従来のリードフレームの形成工程と同様であり、短冊状、あるいはテープ状に加工された銅板などの導体板に、例えば、金型を用いた打ち抜き加工で所定形状の開口部、すなわち、図15に示したようなアウターリード101を形成する。また、前記アウターリード101を形成した後、前記アウターリード101の先端部、すなわち、前記配線基板2のインナーリードの接続端子部204と接続される部分に、例えば、銀めっき膜4を形成する。また、前記金型を用いる代わりに、例えば、エッチング処理により前記アウターリード101を形成する方法もある。
【0007】また、前記配線基板形成工程も、従来の配線基板の形成工程と同様であり、例えば、ポリイミドテープなどの一方向に長尺なテープ状の絶縁基板201の表面に導体膜を形成し、前記導体膜をエッチング処理して図15に示したようなパターンの導体配線202を形成する。また、前記導体配線202を形成した後、前記導体配線202の表面に、図16(b)に示したように、例えば、金めっき膜3を形成する。
【0008】前記配線基板接続工程は、図17に示すように、前記リードフレーム1の前記銀めっき膜4を形成した面と、前記配線基板2の前記導体配線202が形成された面とを向かい合わせ、前記リードフレーム1の銀めっき膜4と前記配線基板2の接続端子部204の位置合わせをした後、前記金めっき膜3及び前記銀めっき膜4を熱圧着させ、図16(a)及び図16(b)に示したように、前記アウターリード101と前記インナーリード202とを電気的に接続する。
【0009】前記各工程を経て形成された前記複合リードフレームを用いて半導体装置を製造する工程では、例えば、図18に示すように、前記配線基板2の中央部に、銀ペーストなどの接着剤5を用いて半導体チップ6を接着し、前記半導体チップ6の外部電極(ボンディングパッド)601と前記配線基板2のインナーリード202とを、ボンディングワイヤ7で接続する。
【0010】その後、例えば、金型を用いたトランスファーモールドにより、前記半導体チップ6、前記配線基板2、前記ボンディングワイヤ7、及び前記アウターリード101の前記インナーリードの接続端子部204との接続部を熱硬化性樹脂などの絶縁体で封止し、前記アウターリード101を切断、成形すると、樹脂封止型半導体装置になる。
【0011】前記半導体チップ6は、小型化、高機能化が進んでおり、前記外部電極601の面積が小さくなり、且つ密に配置されるようになってきており、リードフレーム1にインナーリードを形成するのが非常に難しくなってきているが、前記複合リードフレームのように、前記半導体チップの外部電極601と前記ボンディングワイヤ7で接続されるインナーリード202を前記配線基板2に設けることにより、前記インナーリード202の微細化が容易になる。また、前記配線基板2に前記インナーリード202を設けることにより、配線の微細化が可能なだけでなく、前記配線基板2をマイクロストリップ構造にすることもでき、前記半導体チップ6の動作が高速化(高周波化)した場合でも、伝送する信号の高周波特性の劣化を低減できる。そのため、今後、前記複合リードフレームの需要が増えると予想される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の技術では、図18に示したように、前記絶縁基板2上に前記半導体チップ6を接着しているため、例えば、前記半導体チップ6の動作が高速化し、発熱量が大きくなったときに、前記半導体チップ6から発生した熱を効率よく放熱することが難しい。そのため、装置内にたまった熱による電気的特性の変化、熱暴走などにより動作が不安定になりやすく、動作信頼性が低下するという問題があった。
【0013】また、従来の複合リードフレームを用いた半導体装置は、図19に示したように、前記導体配線202が形成された配線基板2上に前記半導体チップ6を接着しているため、前記導体配線202(金めっき膜3)の表面から、前記半導体チップの外部電極601が形成された面6Aまで高さ△Tが大きくなる。すなわち、前記半導体チップの外部電極601から前記導体配線202までの距離が長くなり、前記半導体チップの外部電極601と前記導体配線202を接続するボンディングワイヤ7が長くなる。前記ボンディングワイヤ7は、例えば、金ワイヤなどが用いられるが、前記金ワイヤが長くなることにより、前記金ワイヤ中で信号の劣化が起こりやすくなる。そのため、高周波動作をする半導体チップ6などで、伝達する信号の高周波特性が劣化しやすいという問題があった。
【0014】本発明の目的は、リードフレーム上に配線基板を設けた複合リードフレームにおいて、放熱性を向上することが可能な技術を提供することにある。
【0015】本発明の他の目的は、リードフレーム上に配線基板を設けた複合リードフレームにおいて、高周波特性の劣化を低減することが可能な技術を提供することにある。
【0016】本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかになるであろう。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明において開示される発明の概要を説明すれば、以下のとおりである。
【0018】(1)導体板を所定形状に開口してアウターリード及び半導体チップを搭載するダイパッドを設けたリードフレームと、絶縁基板の一主面に導体配線(インナーリード)を設けた配線基板とからなり、前記配線基板が前記リードフレーム上に接着され、前記導体配線と前記アウターリードとが電気的に接続された複合リードフレームであって、前記配線基板は、前記ダイパッドの前記半導体チップが搭載される領域と平面的に重なる領域が開口されており、前記アウターリードの先端部及び前記ダイパッドの外周部と接着されている複合リードフレームである。
【0019】前記(1)の手段によれば、前記リードフレームに半導体チップを搭載するダイパッドを設け、前記アウターリード及び前記ダイパッドの外周部に前記配線基板を接着することにより、前記半導体チップを前記ダイパッド上に接着することができる。前記ダイパッド、すなわち前記導体板の熱伝導率は、絶縁基板の熱伝導率よりも高いため、従来の、絶縁基板上に半導体チップを接着する複合リードフレームよりも放熱性の高い複合リードフレームを得ることができる。
【0020】また、前記リードフレームにダイパッドを設け、前記ダイパッドの外周部に前記配線基板を接着することにより、前記ダイパッド上に半導体チップを接着したときに、前記半導体チップの外部電極と前記配線基板上の導体配線との距離が近くなる。そのため、前記半導体チップを接着し、前記半導体チップの外部電極と前記配線基板上の導体端子とをボンディングワイヤで接続したとき、ボンディングワイヤを短くし、前記ボンディングワイヤによる高周波特性の劣化を低減することができる。
【0021】また、前記配線基板は、前記絶縁基板の第1主面に前記導体配線を設け、前記絶縁基板の第1主面と対向する第2主面に、前記導体配線とビアで接続され、前記アウターリードと接続される接続端子と、前記ダイパッドと接続されるダミー端子を設けておき、前記接続端子と前記アウターリード、及び前記ダミー端子と前記ダイパッドと、金の薄膜及び銀の薄膜を介在させて接続することにより、前記インナーリードと前記アウターリードとの接続信頼性を向上させるとともに、前記配線基板と前記ダイパッドとの接着信頼性を向上させることができる。またこのとき、前記接続端子と前記アウターリード、及び前記ダミー端子と前記ダイパッドとの接続は、前記金薄膜及び銀薄膜を介在した接続に限らず、はんだを介在させた接続などであってもよい。
【0022】また、前記(1)の手段において、前記ダイパッドの外周部に所定の間隔で突起部を設け、前記配線基板のダミー端子と前記突起部を接着することにより、前記アウターリードの平坦性と前記配線基板の平坦性が一致していなくても、確実に接続されて剥離しにくいため、装置の信頼性が低下することを防げる。
【0023】(2)平板状の導体板を所定形状に開口してアウターリード及び半導体チップを搭載するダイパッドを有するリードフレームを形成するリードフレーム形成工程と、絶縁基板の第1主面に導体配線(インナーリード)が形成され、前記絶縁基板の前記第1主面と対向する第2主面に、前記導体配線と接続された接続端子が形成された配線基板を形成する配線基板形成工程と、前記リードフレーム形成工程で形成された前記リードフレームと、前記配線基板形成工程で形成された前記配線基板とを重ねあわせ、前記配線基板の接続端子と前記リードフレームのアウターリードを電気的に接続する配線基板接続工程とを備える複合リードフレームの製造方法であって、前記配線基板形成工程は、前記絶縁基板の前記第1主面に第1導体膜を形成し、前記絶縁基板の前記第2主面に第2導体膜を形成する工程と、前記絶縁基板の所定位置で、前記第1導体膜と前記第2導体膜をビアで電気的に接続する工程と、前記第1導体膜をエッチング処理して所定のパターンの導体配線(インナーリード)を形成する工程と、前記絶縁基板の所定位置に開口部(デバイスホール)を形成する工程と、前記第2導体膜をエッチング処理して、前記ビアにより前記導体配線と接続される接続端子と、前記絶縁基板の第2開口部の周辺のダミー端子とを形成する工程とを備え、前記配線基板接続工程は、前記接続端子と前記アウターリードを接続するとともに、前記ダミー端子と前記ダイパッドの外周部を接続する複合リードフレームの製造方法である。
【0024】前記(2)の手段によれば、前記配線基板形成工程において、前記絶縁基板の所定位置、言い換えると、前記ダイパッドの半導体チップを乗せる部分と重なる部分に前記第2開口部を形成し、前記配線基板のダミー端子と前記ダイパッドの外周部を接続することにより、前記ダイパッドを有する複合リードフレームを得ることができる。このとき、前記ダイパッド、すなわち前記導体板の熱伝導率は、絶縁基板の熱伝導率よりも高いため、従来の、絶縁基板上に半導体チップを接着する複合リードフレームよりも放熱性の高い複合リードフレームを得ることができる。
【0025】また、前記リードフレーム形成工程は、前記導体板を開口して前記アウターリード及び前記ダイパッドを形成する工程と、前記ダイパッドの表面をエッチング処理し、前記ダイパッドの外周部に突起部を形成する工程とを備え、前記配線基板接続工程は、前記接続端子と前記アウターリードとを接続するとともに、前記ダミー端子と前記ダイパッドの前記突起部とを接続することにより、前記ダイパッドもしくは前記配線基板にゆがみ、ひずみ、あるいは変形などが生じた場合でも、各ダミー端子を確実に接続することができる。すなわち、前記配線基板と前記ダイパッドの外周部とを全面的に接続する場合には、前記ダイパッドもしくは前記配線基板にゆがみ、ひずみ、あるいは変形などが生じた場合、内部に空気が残ったりして剥離しやすくなるが、前記ダイパッドに突起部を形成して接続することにより、剥離しにくくし、接続信頼性が低下することを防げる。
【0026】また、前記配線基板形成工程に、前記接続端子及び前記ダミー端子を形成する工程の後、前記接続端子及び前記ダミー端子の表面に金めっきを形成する工程を備え、前記リードフレーム形成工程に、前記アウターリード及び前記ダイパッドの所定領域に銀めっきを形成する工程を備え、前記接続端子と前記アウターリード、及び前記ダミー端子と前記ダイパッドはそれぞれ、前記金めっき及び前記銀めっきを介在させて接続することにより、熱圧着で簡単に接続でき、且つ接続信頼性を高くすることができる。
【0027】以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
【0028】なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号をつけ、その繰り返しの説明は省略する。
【0029】
【発明の実施の形態】(実施例)図1及び図2は、本発明による一実施例の複合リードフレームの概略構成を示す模式図であり、図1は本実施例の複合リードフレーム全体の平面図、図2(a)は図1の複合リードフレームのA−A’線での断面図、図2(b)は図2(a)の要部拡大図である。
【0030】図1において、1はリードフレーム、101はアウターリード、102はダイパッド、103は位置決め用の穴、2は配線基板、201は絶縁基板、202は導体配線(第1導体膜)、203は電解銅めっき膜(第3導体膜)、203Aはビア、204Aは接続端子、204Bはダミー端子、205は開口部(デバイスホール)、206はビア穴、3は金めっき膜、4は銀めっき膜である。
【0031】本実施例の複合リードフレームは、図1及び図2(a)に示すように、アウターリード101及び半導体チップ(図示しない)を搭載するダイパッド102が設けられたリードフレーム1と、絶縁基板201の第1主面に導体配線(インナーリード)202が設けられた配線基板2とにより構成されている。また、前記リードフレーム1は、例えば、銅板などの短冊状、あるいはテープ状の導体板からなり、図1に示したようなパターンが連続して設けられている。
【0032】また、前記配線基板2は、図2(a)及び図2(b)に示すように、前記絶縁基板201の所定位置に、ビア203Aにより前記導体配線202と電気的に接続される接続端子204A及びダミー端子204Bが設けられており、前記接続端子204Aと前記アウターリード101が接続されるとともに、前記ダミー端子204Bと前記ダイパッド102の外周部が接続されている。このとき、前記絶縁基板201は、例えば、フィルム状の薄いポリイミド樹脂からなり、前記導体配線202、前記ビア203A、前記接続端子204A、及び前記ダミー端子204Bはそれぞれ、銅などの薄膜導体からなる。
【0033】また、前記配線基板2の前記絶縁基板201は、前記ダイパッド102の前記半導体チップが搭載される領域L1と平面的に重なる領域に開口部(デバイスホール)205が設けられている。
【0034】また、前記導体配線202は、図2(b)に示すように、その表面に、例えば、電解銅めっき膜203が形成されており、前記電解銅めっき膜203の一部は、前記絶縁基板201の所定位置に設けられた開口部(ビア穴)206の内壁にも設けられている。すなわち、前記導体配線202と前記接続端子204Aは、前記ビア穴206の内壁に設けられた銅めっき膜(ビア)203Aにより電気的に接続されている。
【0035】また、前記ダイパッド102は、図2(a)に示したように、前記配線基板2のダミー端子204Bと接続される部分に突起部102Aが設けられている。
【0036】また、前記導体配線202上の電解銅めっき膜203、ならびに前記接続端子204A及び前記ダミー端子204Bの表面には、図2(b)に示したように、例えば、金めっき膜3が設けられており、前記接続端子204Aと前記アウターリード101、前記ダミー端子204Bと前記ダイパッド102の突起部102Aはそれぞれ、前記金めっき膜3及び銀めっき膜4を介在させて接続されている。
【0037】前記複合リードフレームの製造方法は、大きく分けると、前記リードフレーム1を形成するリードフレーム形成工程と、前記配線基板2を形成する配線基板形成工程と、前記リードフレーム1上に前記配線基板2を接続する配線基板接続工程に分けられる。以下、前記各工程に沿って、前記複合リードフレームの製造方法について説明する。
【0038】図3乃至図5は、本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、図3、図4、図5はそれぞれ、前記複合リードフレームに用いるリードフレームを形成する各工程の模式平面図である。
【0039】前記リードフレーム形成工程、すなわち、本実施例の複合リードフレームに用いられるリードフレームを形成する工程では、まず、例えば、銅板などの導体板を所定形状に開口し、図3に示すような、アウターリード101及び半導体チップを搭載するダイパッド102を有するリードフレーム1を形成する。
【0040】このとき、前記導体板は、例えば、あらかじめ短冊状あるいはテープ状に加工し、長辺方向の端部に沿って、位置合わせ用の開口部103が形成されており、前記アウターリード101及び前記ダイパッド102は、例えば、金型を用いた打ち抜き加工や、エッチング処理などで、前記導体板上に数個から10数個、連続的に形成する。
【0041】次に、例えば、前記ダイパッド102の表面をハーフエッチングして、図4に示すように、前記ダイパッド102の外周部に突起部102Aを形成する。
【0042】次に、図5に示すように、前記アウターリード101の所定位置、及び前記ダイパッド102の突起部102A上に、銀めっき膜4を形成すると、本実施例の複合リードフレームに用いられるリードフレーム1が得られる。
【0043】図6乃至図8は、本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、図6(a)、図6(b)、図6(c)、図7(a)、及び図7(b)はそれぞれ、前記複合リードフレームに用いる配線基板を形成する各工程の模式断面図であり、図8は前記各工程が終了した配線基板の模式平面図である。
【0044】前記配線基板形成工程、すなわち、本実施例の複合リードフレームに用いられる配線基板は、まず、例えば、テープ状の絶縁基板201の第1主面に第1導体膜202が形成され、前記絶縁基板201の第2主面に第2導体膜204が形成されたテープ材料を準備し、前記絶縁基板201の所定位置に、図6(a)に示すように、前記第1導体膜202側から開口部(ビア穴)206を形成し、図6(b)に示すように、前記第1導体膜202上の全面及び前記ビア穴206の内壁に第3導体膜203を形成する。
【0045】前記テープ材料は、例えば、両面銅張積層板のようなものであり、前記絶縁基板201には、例えば、ポリイミドテープや、ガラス布を基材としてエポキシ系樹脂を含浸させた基板(ガラスエポキシ基板)などが用いられる。また、前記第1導体膜202及び第2導体膜204を形成する方法には、例えば、圧延銅箔や電解銅箔などの薄い銅箔を接着する方法や、例えば、無電解銅めっき、あるいはスパッタリング等で薄膜を形成する方法がある。
【0046】また、前記ビア穴206を形成する工程は、例えば、前記ビア穴206を形成する領域の前記第1導体膜202をエッチングで除去しておき、前記第1導体膜202をマスクとして、炭酸ガスレーザなどを用いたレーザ加工により前記絶縁基板201をエッチングする。また、前記第3導体膜203は、例えば、電解銅めっきにより形成する。
【0047】次に、図6(c)に示すように、前記第3導体膜203及び前記第1導体膜202をエッチング処理して、所定のパターンの導体配線(インナーリード)202を形成する。
【0048】次に、例えば、図7(a)に示すように、前記絶縁基板201の所定位置、言い換えると、前記リードフレーム1のダイパッド102の半導体チップを搭載する領域L1と重なる位置に開口部(デバイスホール)205を形成する。
【0049】次に、図7(b)に示すように、前記第2導体膜204をエッチング処理して、前記接続端子204A及び前記ダミー端子204Bを形成した後、前記導体配線202上の電解銅めっき膜203、前記接続端子204A、及び前記接続端子204Bの表面に、例えば、無電解めっきで金めっき膜3を形成すると、本実施例の複合リードフレームに用いる配線基板2を得ることができる。
【0050】なお、前記配線基板2は、従来のテープキャリアパッケージ(TCP)に用いられる配線基板(テープキャリア)の製造方法で利用されているリールツーリール(Reel to Reel)方式により形成されている。このとき、前記絶縁基板201は、一方向に長尺なテープ状であり、図8に示すように、前記絶縁基板201の長手方向の端部に沿って位置合わせ用の開口部207が設けられている。また、前記絶縁基板201上には、図8に示したように、一個の複合リードフレームに用いられる配線板領域L2が連続して形成されている。
【0051】図9及び図10は、本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、図9は前記リードフレームと前記配線基板とを接続する工程の模式平面図であり、図10は図9の正面方向から見た模式断面図である。
【0052】前記配線基板接続工程、すなわち、前記リードフレーム形成工程で形成した前記リードフレーム1と、前記配線基板形成工程で形成した配線基板2を接続する工程では、まず、例えば、図9及び図10に示すように、前記リードフレーム1と前記配線基板2とを重ね合わせ、前記接続端子204Aと前記アウターリード101上の銀めっき膜4、及び前記ダミー端子204Bと前記ダイパッド102の突起部102A上の銀めっき膜4との位置合わせを行う。このとき、例えば、前記リードフレーム1は、図9における紙面水平方向に搬送しながら前記位置合わせ用の開口部103で位置合わせをし、前記配線基板2は、図9における紙面上下方向に搬送しながら前記絶縁基板201の位置合わせ用の開口部207で位置合わせを行う。
【0053】その後、例えば、前記絶縁基板201から前記領域L2を切り出して、前記リードフレーム1と前記配線基板2を接触させ、前記接続端子204Aの表面の金めっき膜3と前記アウターリード101上の銀めっき膜4、及び前記ダミー端子204Bの表面の金めっき膜3と前記ダイパッドの突起部102A上の銀めっき膜4をそれぞれ熱圧着すると、図1、図2(a)、及び図2(b)に示したような、本実施例の複合リードフレームを得ることができる。
【0054】このとき、前記ダイパッド102の突起部102Aを形成しておき、前記ダミー端子204Bと前記突起部102Aを接続することにより、例えば、前記絶縁基板201や前記ダイパッド102にゆがみ、ひずみ、あるいは変形が生じている場合でも、接続ムラをなくし、確実に接続することができる。
【0055】図11及び図12は、本実施例の複合リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、図11(a)及び図11(b)は半導体チップを実装する工程の断面図、図12は樹脂封止する工程の断面図である。
【0056】前記手順に沿って形成した複合リードフレームを用いて半導体装置を形成する場合、まず、図11(a)に示すように、前記複合リードフレームのダイパッド102上に、例えば、銀ペーストなどの接着剤5を用いて半導体チップ6を接着し、前記半導体チップ6の外部電極(ボンディングパッド)601と前記導体配線202をボンディングワイヤ7で接続する。
【0057】このとき、図11(a)では省略しているが、実際には、前記導体配線202上に、図11(b)に示したように、電解銅めっき膜203及び金めっき膜3が形成されており、前記ボンディングワイヤ7は前記導体配線202上の金めっき膜3と接続される。
【0058】またこのとき、前記半導体チップ6を接着した前記ダイパッド102は、前記リードフレーム1、すなわち、導体板(金属板)であり、ポリイミドテープなどの前記絶縁基板201の熱伝導性よりも高い熱伝導性を持つ。そのため、従来の配線基板2(絶縁基板201)上に半導体チップ6を接着する場合に比べ、放熱特性が向上し、前記半導体チップ6が高周波動作をするなどして、発熱量が高い場合でも、電気的特性の劣化を低減させ、熱暴走などにより動作信頼性が低下することを防げる。
【0059】また、本実施例の複合リードフレームを用いた場合、前記ダイパッド102上に前記配線基板2を接続するため、図11(a)及び図11(b)に示したように、前記導体配線202の表面の金めっき膜3から前記半導体チップの前記外部電極601が設けられた面6Aまでの高さ△Tが小さくなる。そのため、前記半導体チップの外部電極601から前記導体配線202までの距離が近くなり、前記ボンディングワイヤ7を短くすることができる。そのため、高周波動作をさせる場合でも、前記ボンディングワイヤ7による高周波特性の劣化を起こしにくくすることができる。
【0060】前記手順で、前記複合リードフレーム上に半導体チップ6を実装した後は、例えば、金型を用いたトランスファーモールドにより、図12に示すように、前記半導体チップ6、前記配線基板2、前記ダイパッド102、及び前記配線基板2と前記アウターリード101の接続部を、例えば、エポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂8で封止し、前記アウターリード101を切断して個片化し、前記アウターリードを所定の形状に成形すると、樹脂封止型の半導体装置となる。
【0061】以上説明したように、本実施例の複合リードフレームによれば、前記リードフレーム1にアウターリード101及びダイパッド102を形成し、前記ダイパッド102の半導体チップ6を載せる領域L1と重なる部分が開口した配線基板2を接続することにより、前記ダイパッド102上に半導体チップ6を載せたときの放熱特性が向上し、熱暴走などにより動作信頼性が低下することを防げる。
【0062】また、前記ダイパッド102上に前記配線基板2を接続することにより、前記ダイパッド102上に半導体チップを接着したときに、前記配線基板の導体端子(インナーリード)202と前記半導体チップ6の外部電極601との距離が近くなるため、従来の配線基板2上に半導体チップ6を接着する場合に比べ、前記導体配線202と前記外部電極601とを接続するボンディングワイヤ7の長さを短くすることができる。そのため、前記複合リードフレームを用いて半導体装置を製造したときに、前記ボンディングワイヤ7による高周波特性の劣化を低減できる。
【0063】また、本実施例の複合リードフレームでは、前記配線基板2のダミー端子204Bは、図1及び図8に示したように、前記ダイパッド102の突起部102Aの形状に合わせたパッド状に形成しているが、これに限らず、任意の形状に形成することができる。このとき、例えば、前記絶縁基板の開口部(デバイスホール)205の端辺に沿って線状(帯状)に形成してもよいし、前記開口部205の周囲に沿って環状に形成してもよいことは言うまでもない。
【0064】図13は、前記実施例の複合リードフレームの変形例を示す模式図であり、図13(a)は図1のA−A’での断面に相当する断面図、図13(b)は図13(a)の要部断面図である。
【0065】前記実施例の複合リードフレームでは、図2(a)及び図2(b)に示したように、前記ダイパッド102をハーフエッチングして形成した突起部102Aと前記配線基板2のダミー端子204Bを接続していたが、これに限らず、例えば、前記実施例で説明したように、前記配線基板2上に所定の間隔で前記ダミー端子204Bを形成しておき、図13(a)及び図13(b)に示したように、前記突起部102Aを形成していないダイパッド102上と接続してもよい。この場合も、前記ダイパッド102上に銀めっき膜4を形成しておき、前記ダミー配線204Bの表面の金めっき膜3と前記銀めっき膜4が熱圧着されるため、前記配線基板2あるいは前記ダイパッド102にひずみ、ゆがみ、変形が生じている場合でも、接続ムラをなくし、確実に接続することができる。また、このとき、前記ダミー端子204Bは、任意の形状にすることができ、例えば、前記絶縁基板の開口部(デバイスホール)205の端辺に沿った直線状(帯状)であってもよいし、周囲を囲むような環状であってもよいことは言うまでもない。
【0066】図14は、前記実施例の複合リードフレームの他の変形例を示す模式平面図である。
【0067】前記実施例の複合リードフレームでは、図1に示したように、前記アウターリード101が対向する2方向に形成されたリードフレームを用いているが、これに限らず、例えば、図14に示すように、前記アウターリード101が4方向、すなわち、前記ダイパッド102の周囲を囲むように形成されたリードフレームを用いてもよいことはいうまでもない。
【0068】また、図示は省略するが、前記リードフレーム1を形成するリードフレーム形成工程において、従来の、図15に示したような、アウターリード101のみが形成されたリードフレームの所定位置に、別工程で準備した、前記リードフレームよりも厚い金属材料からなるダイパッドを接続してもよい。この場合、前記リードフレーム上に配線板を接続した複合リードフレームを用いて半導体装置を製造したときに、前記ダイパッドの一面、すなわち、半導体チップを接着した面と対向する面を、モールド樹脂8から露出させることができ、前記実施例の複合リードフレームに比べ、さらに放熱特性をよくすることができる。
【0069】以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることはもちろんである。
【0070】
【発明の効果】本発明において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0071】(1)リードフレーム上に配線基板を設けた複合リードフレームにおいて、放熱性を向上することができる。
【0072】(2)リードフレーム上に配線基板を設けた複合リードフレームにおいて、高周波特性の劣化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施例の複合リードフレームの概略構成を示す模式平面図である。
【図2】本実施例の複合リードフレームの概略構成を示す模式図であり、図2(a)は図1の複合リードフレームのA−A’線での断面図、図2(b)は図2(a)の要部拡大図である。
【図3】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、前記複合リードフレームに用いるリードフレームを形成する工程の平面図である。
【図4】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、前記複合リードフレームに用いるリードフレームを形成する工程の平面図である。
【図5】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、前記複合リードフレームに用いるリードフレームを形成する工程の平面図である。
【図6】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、図6(a)、図6(b)、及び図6(c)はそれぞれ、前記複合リードフレームに用いる配線基板を形成する各工程の断面図である。
【図7】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、図7(a)及び図7(b)は、前記複合リードフレームに用いる配線基板を形成する各工程の断面図である。
【図8】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、配線基板を形成する各工程が終了した後の配線基板の平面図である。
【図9】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、前記リードフレームと前記配線基板とを接続する工程の平面図である。
【図10】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、図9の正面方向から見た断面図である。
【図11】本実施例の複合リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、図11(a)は半導体チップを実装する工程の断面図、図11(b)は図11(a)の要部拡大図である。
【図12】本実施例の複合リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図13】前記実施例の複合リードフレームの変形例を示す模式図であり、図13(a)は図1のA−A’線に相当する断面での断面図、図13(b)は図13(a)の要部拡大図である。
【図14】前記実施例の複合リードフレームの他の変形例を示す模式平面図である。
【図15】従来の複合リードフレームの概略構成を示す模式平面図である。
【図16】従来の複合リードフレームの概略構成を示す模式図であり、図16(a)は図15の複合リードフレームのB−B’線での断面図、図16(b)は図16(a)の要部拡大図である。
【図17】従来の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式断面図である。
【図18】従来の複合リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を説明するための模式断面図である。
【図19】従来の複合リードフレームの課題を説明するための模式断面図である。
【符号の説明】
1 リードフレーム
101 アウターリード
102 ダイパッド
102A 突起部
103 位置合わせ用の開口部
2 配線基板
201 絶縁基板
202 導体配線(第1導体膜)
203 電解銅めっき膜(第3導体膜)
203A ビア
204 第2導体膜
204A 接続端子
204B ダミー端子
205 絶縁基板の開口部(デバイスホール)
206 ビア穴
207 位置合わせ用の開口部
3 金めっき膜
4 銀めっき膜
5 接着剤(ダイペースト)
6 半導体チップ
601 半導体チップの外部電極
7 ボンディングワイヤ
8 熱硬化性樹脂(封止用絶縁体)
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合リードフレーム及びその製造方法に関し、特に、高周波動作をし、発熱量が高い半導体チップを実装する複合リードフレームに適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂封止型半導体装置で用いられるリードフレームには、図15、図16(a)及び図16(b)に示すように、銅版などの平板状の導体板を開口してアウターリード101を形成したリードフレーム1上に、テープキャリアパッケージ(TCP)などで用いられるテープ状の配線基板(テープキャリア)2を接続した複合リードフレームがある。ここで、図15は前記複合リードフレームの模式平面図、図16(a)は図15のB−B’線での模式断面図、図16(b)は図16(a)の要部拡大図である。
【0003】前記複合リードフレームに用いられる配線基板2は、図15、及び図16(a)に示したように、例えば、ポリイミドテープなどの薄い絶縁基板201の表面に、所定のパターンの導体配線(インナーリード)202が設けられており、前記インナーリード202の一端(接続端子部)204と前記アウターリード101が電気的に接続されている。
【0004】またこのとき、実際には、前記インナーリード202の表面に、図16(b)に示すように、例えば、金めっき膜3が設けられ、一方の前記アウターリード101には銀めっき膜4が設けられており、前記インナーリード202と前記アウターリード101は、前記金めっき膜3、及び前記銀めっき膜4を介在して接続されている。
【0005】前記複合リードフレームの製造方法は、大きく分けると、前記リードフレーム1を形成するリードフレーム形成工程と、前記配線基板2を形成する配線基板形成工程と、前記リードフレーム1と前記配線基板2とを接続する配線基板接続工程とに分けられる。
【0006】前記リードフレーム形成工程は、従来のリードフレームの形成工程と同様であり、短冊状、あるいはテープ状に加工された銅板などの導体板に、例えば、金型を用いた打ち抜き加工で所定形状の開口部、すなわち、図15に示したようなアウターリード101を形成する。また、前記アウターリード101を形成した後、前記アウターリード101の先端部、すなわち、前記配線基板2のインナーリードの接続端子部204と接続される部分に、例えば、銀めっき膜4を形成する。また、前記金型を用いる代わりに、例えば、エッチング処理により前記アウターリード101を形成する方法もある。
【0007】また、前記配線基板形成工程も、従来の配線基板の形成工程と同様であり、例えば、ポリイミドテープなどの一方向に長尺なテープ状の絶縁基板201の表面に導体膜を形成し、前記導体膜をエッチング処理して図15に示したようなパターンの導体配線202を形成する。また、前記導体配線202を形成した後、前記導体配線202の表面に、図16(b)に示したように、例えば、金めっき膜3を形成する。
【0008】前記配線基板接続工程は、図17に示すように、前記リードフレーム1の前記銀めっき膜4を形成した面と、前記配線基板2の前記導体配線202が形成された面とを向かい合わせ、前記リードフレーム1の銀めっき膜4と前記配線基板2の接続端子部204の位置合わせをした後、前記金めっき膜3及び前記銀めっき膜4を熱圧着させ、図16(a)及び図16(b)に示したように、前記アウターリード101と前記インナーリード202とを電気的に接続する。
【0009】前記各工程を経て形成された前記複合リードフレームを用いて半導体装置を製造する工程では、例えば、図18に示すように、前記配線基板2の中央部に、銀ペーストなどの接着剤5を用いて半導体チップ6を接着し、前記半導体チップ6の外部電極(ボンディングパッド)601と前記配線基板2のインナーリード202とを、ボンディングワイヤ7で接続する。
【0010】その後、例えば、金型を用いたトランスファーモールドにより、前記半導体チップ6、前記配線基板2、前記ボンディングワイヤ7、及び前記アウターリード101の前記インナーリードの接続端子部204との接続部を熱硬化性樹脂などの絶縁体で封止し、前記アウターリード101を切断、成形すると、樹脂封止型半導体装置になる。
【0011】前記半導体チップ6は、小型化、高機能化が進んでおり、前記外部電極601の面積が小さくなり、且つ密に配置されるようになってきており、リードフレーム1にインナーリードを形成するのが非常に難しくなってきているが、前記複合リードフレームのように、前記半導体チップの外部電極601と前記ボンディングワイヤ7で接続されるインナーリード202を前記配線基板2に設けることにより、前記インナーリード202の微細化が容易になる。また、前記配線基板2に前記インナーリード202を設けることにより、配線の微細化が可能なだけでなく、前記配線基板2をマイクロストリップ構造にすることもでき、前記半導体チップ6の動作が高速化(高周波化)した場合でも、伝送する信号の高周波特性の劣化を低減できる。そのため、今後、前記複合リードフレームの需要が増えると予想される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の技術では、図18に示したように、前記絶縁基板2上に前記半導体チップ6を接着しているため、例えば、前記半導体チップ6の動作が高速化し、発熱量が大きくなったときに、前記半導体チップ6から発生した熱を効率よく放熱することが難しい。そのため、装置内にたまった熱による電気的特性の変化、熱暴走などにより動作が不安定になりやすく、動作信頼性が低下するという問題があった。
【0013】また、従来の複合リードフレームを用いた半導体装置は、図19に示したように、前記導体配線202が形成された配線基板2上に前記半導体チップ6を接着しているため、前記導体配線202(金めっき膜3)の表面から、前記半導体チップの外部電極601が形成された面6Aまで高さ△Tが大きくなる。すなわち、前記半導体チップの外部電極601から前記導体配線202までの距離が長くなり、前記半導体チップの外部電極601と前記導体配線202を接続するボンディングワイヤ7が長くなる。前記ボンディングワイヤ7は、例えば、金ワイヤなどが用いられるが、前記金ワイヤが長くなることにより、前記金ワイヤ中で信号の劣化が起こりやすくなる。そのため、高周波動作をする半導体チップ6などで、伝達する信号の高周波特性が劣化しやすいという問題があった。
【0014】本発明の目的は、リードフレーム上に配線基板を設けた複合リードフレームにおいて、放熱性を向上することが可能な技術を提供することにある。
【0015】本発明の他の目的は、リードフレーム上に配線基板を設けた複合リードフレームにおいて、高周波特性の劣化を低減することが可能な技術を提供することにある。
【0016】本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかになるであろう。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明において開示される発明の概要を説明すれば、以下のとおりである。
【0018】(1)導体板を所定形状に開口してアウターリード及び半導体チップを搭載するダイパッドを設けたリードフレームと、絶縁基板の一主面に導体配線(インナーリード)を設けた配線基板とからなり、前記配線基板が前記リードフレーム上に接着され、前記導体配線と前記アウターリードとが電気的に接続された複合リードフレームであって、前記配線基板は、前記ダイパッドの前記半導体チップが搭載される領域と平面的に重なる領域が開口されており、前記アウターリードの先端部及び前記ダイパッドの外周部と接着されている複合リードフレームである。
【0019】前記(1)の手段によれば、前記リードフレームに半導体チップを搭載するダイパッドを設け、前記アウターリード及び前記ダイパッドの外周部に前記配線基板を接着することにより、前記半導体チップを前記ダイパッド上に接着することができる。前記ダイパッド、すなわち前記導体板の熱伝導率は、絶縁基板の熱伝導率よりも高いため、従来の、絶縁基板上に半導体チップを接着する複合リードフレームよりも放熱性の高い複合リードフレームを得ることができる。
【0020】また、前記リードフレームにダイパッドを設け、前記ダイパッドの外周部に前記配線基板を接着することにより、前記ダイパッド上に半導体チップを接着したときに、前記半導体チップの外部電極と前記配線基板上の導体配線との距離が近くなる。そのため、前記半導体チップを接着し、前記半導体チップの外部電極と前記配線基板上の導体端子とをボンディングワイヤで接続したとき、ボンディングワイヤを短くし、前記ボンディングワイヤによる高周波特性の劣化を低減することができる。
【0021】また、前記配線基板は、前記絶縁基板の第1主面に前記導体配線を設け、前記絶縁基板の第1主面と対向する第2主面に、前記導体配線とビアで接続され、前記アウターリードと接続される接続端子と、前記ダイパッドと接続されるダミー端子を設けておき、前記接続端子と前記アウターリード、及び前記ダミー端子と前記ダイパッドと、金の薄膜及び銀の薄膜を介在させて接続することにより、前記インナーリードと前記アウターリードとの接続信頼性を向上させるとともに、前記配線基板と前記ダイパッドとの接着信頼性を向上させることができる。またこのとき、前記接続端子と前記アウターリード、及び前記ダミー端子と前記ダイパッドとの接続は、前記金薄膜及び銀薄膜を介在した接続に限らず、はんだを介在させた接続などであってもよい。
【0022】また、前記(1)の手段において、前記ダイパッドの外周部に所定の間隔で突起部を設け、前記配線基板のダミー端子と前記突起部を接着することにより、前記アウターリードの平坦性と前記配線基板の平坦性が一致していなくても、確実に接続されて剥離しにくいため、装置の信頼性が低下することを防げる。
【0023】(2)平板状の導体板を所定形状に開口してアウターリード及び半導体チップを搭載するダイパッドを有するリードフレームを形成するリードフレーム形成工程と、絶縁基板の第1主面に導体配線(インナーリード)が形成され、前記絶縁基板の前記第1主面と対向する第2主面に、前記導体配線と接続された接続端子が形成された配線基板を形成する配線基板形成工程と、前記リードフレーム形成工程で形成された前記リードフレームと、前記配線基板形成工程で形成された前記配線基板とを重ねあわせ、前記配線基板の接続端子と前記リードフレームのアウターリードを電気的に接続する配線基板接続工程とを備える複合リードフレームの製造方法であって、前記配線基板形成工程は、前記絶縁基板の前記第1主面に第1導体膜を形成し、前記絶縁基板の前記第2主面に第2導体膜を形成する工程と、前記絶縁基板の所定位置で、前記第1導体膜と前記第2導体膜をビアで電気的に接続する工程と、前記第1導体膜をエッチング処理して所定のパターンの導体配線(インナーリード)を形成する工程と、前記絶縁基板の所定位置に開口部(デバイスホール)を形成する工程と、前記第2導体膜をエッチング処理して、前記ビアにより前記導体配線と接続される接続端子と、前記絶縁基板の第2開口部の周辺のダミー端子とを形成する工程とを備え、前記配線基板接続工程は、前記接続端子と前記アウターリードを接続するとともに、前記ダミー端子と前記ダイパッドの外周部を接続する複合リードフレームの製造方法である。
【0024】前記(2)の手段によれば、前記配線基板形成工程において、前記絶縁基板の所定位置、言い換えると、前記ダイパッドの半導体チップを乗せる部分と重なる部分に前記第2開口部を形成し、前記配線基板のダミー端子と前記ダイパッドの外周部を接続することにより、前記ダイパッドを有する複合リードフレームを得ることができる。このとき、前記ダイパッド、すなわち前記導体板の熱伝導率は、絶縁基板の熱伝導率よりも高いため、従来の、絶縁基板上に半導体チップを接着する複合リードフレームよりも放熱性の高い複合リードフレームを得ることができる。
【0025】また、前記リードフレーム形成工程は、前記導体板を開口して前記アウターリード及び前記ダイパッドを形成する工程と、前記ダイパッドの表面をエッチング処理し、前記ダイパッドの外周部に突起部を形成する工程とを備え、前記配線基板接続工程は、前記接続端子と前記アウターリードとを接続するとともに、前記ダミー端子と前記ダイパッドの前記突起部とを接続することにより、前記ダイパッドもしくは前記配線基板にゆがみ、ひずみ、あるいは変形などが生じた場合でも、各ダミー端子を確実に接続することができる。すなわち、前記配線基板と前記ダイパッドの外周部とを全面的に接続する場合には、前記ダイパッドもしくは前記配線基板にゆがみ、ひずみ、あるいは変形などが生じた場合、内部に空気が残ったりして剥離しやすくなるが、前記ダイパッドに突起部を形成して接続することにより、剥離しにくくし、接続信頼性が低下することを防げる。
【0026】また、前記配線基板形成工程に、前記接続端子及び前記ダミー端子を形成する工程の後、前記接続端子及び前記ダミー端子の表面に金めっきを形成する工程を備え、前記リードフレーム形成工程に、前記アウターリード及び前記ダイパッドの所定領域に銀めっきを形成する工程を備え、前記接続端子と前記アウターリード、及び前記ダミー端子と前記ダイパッドはそれぞれ、前記金めっき及び前記銀めっきを介在させて接続することにより、熱圧着で簡単に接続でき、且つ接続信頼性を高くすることができる。
【0027】以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
【0028】なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号をつけ、その繰り返しの説明は省略する。
【0029】
【発明の実施の形態】(実施例)図1及び図2は、本発明による一実施例の複合リードフレームの概略構成を示す模式図であり、図1は本実施例の複合リードフレーム全体の平面図、図2(a)は図1の複合リードフレームのA−A’線での断面図、図2(b)は図2(a)の要部拡大図である。
【0030】図1において、1はリードフレーム、101はアウターリード、102はダイパッド、103は位置決め用の穴、2は配線基板、201は絶縁基板、202は導体配線(第1導体膜)、203は電解銅めっき膜(第3導体膜)、203Aはビア、204Aは接続端子、204Bはダミー端子、205は開口部(デバイスホール)、206はビア穴、3は金めっき膜、4は銀めっき膜である。
【0031】本実施例の複合リードフレームは、図1及び図2(a)に示すように、アウターリード101及び半導体チップ(図示しない)を搭載するダイパッド102が設けられたリードフレーム1と、絶縁基板201の第1主面に導体配線(インナーリード)202が設けられた配線基板2とにより構成されている。また、前記リードフレーム1は、例えば、銅板などの短冊状、あるいはテープ状の導体板からなり、図1に示したようなパターンが連続して設けられている。
【0032】また、前記配線基板2は、図2(a)及び図2(b)に示すように、前記絶縁基板201の所定位置に、ビア203Aにより前記導体配線202と電気的に接続される接続端子204A及びダミー端子204Bが設けられており、前記接続端子204Aと前記アウターリード101が接続されるとともに、前記ダミー端子204Bと前記ダイパッド102の外周部が接続されている。このとき、前記絶縁基板201は、例えば、フィルム状の薄いポリイミド樹脂からなり、前記導体配線202、前記ビア203A、前記接続端子204A、及び前記ダミー端子204Bはそれぞれ、銅などの薄膜導体からなる。
【0033】また、前記配線基板2の前記絶縁基板201は、前記ダイパッド102の前記半導体チップが搭載される領域L1と平面的に重なる領域に開口部(デバイスホール)205が設けられている。
【0034】また、前記導体配線202は、図2(b)に示すように、その表面に、例えば、電解銅めっき膜203が形成されており、前記電解銅めっき膜203の一部は、前記絶縁基板201の所定位置に設けられた開口部(ビア穴)206の内壁にも設けられている。すなわち、前記導体配線202と前記接続端子204Aは、前記ビア穴206の内壁に設けられた銅めっき膜(ビア)203Aにより電気的に接続されている。
【0035】また、前記ダイパッド102は、図2(a)に示したように、前記配線基板2のダミー端子204Bと接続される部分に突起部102Aが設けられている。
【0036】また、前記導体配線202上の電解銅めっき膜203、ならびに前記接続端子204A及び前記ダミー端子204Bの表面には、図2(b)に示したように、例えば、金めっき膜3が設けられており、前記接続端子204Aと前記アウターリード101、前記ダミー端子204Bと前記ダイパッド102の突起部102Aはそれぞれ、前記金めっき膜3及び銀めっき膜4を介在させて接続されている。
【0037】前記複合リードフレームの製造方法は、大きく分けると、前記リードフレーム1を形成するリードフレーム形成工程と、前記配線基板2を形成する配線基板形成工程と、前記リードフレーム1上に前記配線基板2を接続する配線基板接続工程に分けられる。以下、前記各工程に沿って、前記複合リードフレームの製造方法について説明する。
【0038】図3乃至図5は、本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、図3、図4、図5はそれぞれ、前記複合リードフレームに用いるリードフレームを形成する各工程の模式平面図である。
【0039】前記リードフレーム形成工程、すなわち、本実施例の複合リードフレームに用いられるリードフレームを形成する工程では、まず、例えば、銅板などの導体板を所定形状に開口し、図3に示すような、アウターリード101及び半導体チップを搭載するダイパッド102を有するリードフレーム1を形成する。
【0040】このとき、前記導体板は、例えば、あらかじめ短冊状あるいはテープ状に加工し、長辺方向の端部に沿って、位置合わせ用の開口部103が形成されており、前記アウターリード101及び前記ダイパッド102は、例えば、金型を用いた打ち抜き加工や、エッチング処理などで、前記導体板上に数個から10数個、連続的に形成する。
【0041】次に、例えば、前記ダイパッド102の表面をハーフエッチングして、図4に示すように、前記ダイパッド102の外周部に突起部102Aを形成する。
【0042】次に、図5に示すように、前記アウターリード101の所定位置、及び前記ダイパッド102の突起部102A上に、銀めっき膜4を形成すると、本実施例の複合リードフレームに用いられるリードフレーム1が得られる。
【0043】図6乃至図8は、本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、図6(a)、図6(b)、図6(c)、図7(a)、及び図7(b)はそれぞれ、前記複合リードフレームに用いる配線基板を形成する各工程の模式断面図であり、図8は前記各工程が終了した配線基板の模式平面図である。
【0044】前記配線基板形成工程、すなわち、本実施例の複合リードフレームに用いられる配線基板は、まず、例えば、テープ状の絶縁基板201の第1主面に第1導体膜202が形成され、前記絶縁基板201の第2主面に第2導体膜204が形成されたテープ材料を準備し、前記絶縁基板201の所定位置に、図6(a)に示すように、前記第1導体膜202側から開口部(ビア穴)206を形成し、図6(b)に示すように、前記第1導体膜202上の全面及び前記ビア穴206の内壁に第3導体膜203を形成する。
【0045】前記テープ材料は、例えば、両面銅張積層板のようなものであり、前記絶縁基板201には、例えば、ポリイミドテープや、ガラス布を基材としてエポキシ系樹脂を含浸させた基板(ガラスエポキシ基板)などが用いられる。また、前記第1導体膜202及び第2導体膜204を形成する方法には、例えば、圧延銅箔や電解銅箔などの薄い銅箔を接着する方法や、例えば、無電解銅めっき、あるいはスパッタリング等で薄膜を形成する方法がある。
【0046】また、前記ビア穴206を形成する工程は、例えば、前記ビア穴206を形成する領域の前記第1導体膜202をエッチングで除去しておき、前記第1導体膜202をマスクとして、炭酸ガスレーザなどを用いたレーザ加工により前記絶縁基板201をエッチングする。また、前記第3導体膜203は、例えば、電解銅めっきにより形成する。
【0047】次に、図6(c)に示すように、前記第3導体膜203及び前記第1導体膜202をエッチング処理して、所定のパターンの導体配線(インナーリード)202を形成する。
【0048】次に、例えば、図7(a)に示すように、前記絶縁基板201の所定位置、言い換えると、前記リードフレーム1のダイパッド102の半導体チップを搭載する領域L1と重なる位置に開口部(デバイスホール)205を形成する。
【0049】次に、図7(b)に示すように、前記第2導体膜204をエッチング処理して、前記接続端子204A及び前記ダミー端子204Bを形成した後、前記導体配線202上の電解銅めっき膜203、前記接続端子204A、及び前記接続端子204Bの表面に、例えば、無電解めっきで金めっき膜3を形成すると、本実施例の複合リードフレームに用いる配線基板2を得ることができる。
【0050】なお、前記配線基板2は、従来のテープキャリアパッケージ(TCP)に用いられる配線基板(テープキャリア)の製造方法で利用されているリールツーリール(Reel to Reel)方式により形成されている。このとき、前記絶縁基板201は、一方向に長尺なテープ状であり、図8に示すように、前記絶縁基板201の長手方向の端部に沿って位置合わせ用の開口部207が設けられている。また、前記絶縁基板201上には、図8に示したように、一個の複合リードフレームに用いられる配線板領域L2が連続して形成されている。
【0051】図9及び図10は、本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、図9は前記リードフレームと前記配線基板とを接続する工程の模式平面図であり、図10は図9の正面方向から見た模式断面図である。
【0052】前記配線基板接続工程、すなわち、前記リードフレーム形成工程で形成した前記リードフレーム1と、前記配線基板形成工程で形成した配線基板2を接続する工程では、まず、例えば、図9及び図10に示すように、前記リードフレーム1と前記配線基板2とを重ね合わせ、前記接続端子204Aと前記アウターリード101上の銀めっき膜4、及び前記ダミー端子204Bと前記ダイパッド102の突起部102A上の銀めっき膜4との位置合わせを行う。このとき、例えば、前記リードフレーム1は、図9における紙面水平方向に搬送しながら前記位置合わせ用の開口部103で位置合わせをし、前記配線基板2は、図9における紙面上下方向に搬送しながら前記絶縁基板201の位置合わせ用の開口部207で位置合わせを行う。
【0053】その後、例えば、前記絶縁基板201から前記領域L2を切り出して、前記リードフレーム1と前記配線基板2を接触させ、前記接続端子204Aの表面の金めっき膜3と前記アウターリード101上の銀めっき膜4、及び前記ダミー端子204Bの表面の金めっき膜3と前記ダイパッドの突起部102A上の銀めっき膜4をそれぞれ熱圧着すると、図1、図2(a)、及び図2(b)に示したような、本実施例の複合リードフレームを得ることができる。
【0054】このとき、前記ダイパッド102の突起部102Aを形成しておき、前記ダミー端子204Bと前記突起部102Aを接続することにより、例えば、前記絶縁基板201や前記ダイパッド102にゆがみ、ひずみ、あるいは変形が生じている場合でも、接続ムラをなくし、確実に接続することができる。
【0055】図11及び図12は、本実施例の複合リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、図11(a)及び図11(b)は半導体チップを実装する工程の断面図、図12は樹脂封止する工程の断面図である。
【0056】前記手順に沿って形成した複合リードフレームを用いて半導体装置を形成する場合、まず、図11(a)に示すように、前記複合リードフレームのダイパッド102上に、例えば、銀ペーストなどの接着剤5を用いて半導体チップ6を接着し、前記半導体チップ6の外部電極(ボンディングパッド)601と前記導体配線202をボンディングワイヤ7で接続する。
【0057】このとき、図11(a)では省略しているが、実際には、前記導体配線202上に、図11(b)に示したように、電解銅めっき膜203及び金めっき膜3が形成されており、前記ボンディングワイヤ7は前記導体配線202上の金めっき膜3と接続される。
【0058】またこのとき、前記半導体チップ6を接着した前記ダイパッド102は、前記リードフレーム1、すなわち、導体板(金属板)であり、ポリイミドテープなどの前記絶縁基板201の熱伝導性よりも高い熱伝導性を持つ。そのため、従来の配線基板2(絶縁基板201)上に半導体チップ6を接着する場合に比べ、放熱特性が向上し、前記半導体チップ6が高周波動作をするなどして、発熱量が高い場合でも、電気的特性の劣化を低減させ、熱暴走などにより動作信頼性が低下することを防げる。
【0059】また、本実施例の複合リードフレームを用いた場合、前記ダイパッド102上に前記配線基板2を接続するため、図11(a)及び図11(b)に示したように、前記導体配線202の表面の金めっき膜3から前記半導体チップの前記外部電極601が設けられた面6Aまでの高さ△Tが小さくなる。そのため、前記半導体チップの外部電極601から前記導体配線202までの距離が近くなり、前記ボンディングワイヤ7を短くすることができる。そのため、高周波動作をさせる場合でも、前記ボンディングワイヤ7による高周波特性の劣化を起こしにくくすることができる。
【0060】前記手順で、前記複合リードフレーム上に半導体チップ6を実装した後は、例えば、金型を用いたトランスファーモールドにより、図12に示すように、前記半導体チップ6、前記配線基板2、前記ダイパッド102、及び前記配線基板2と前記アウターリード101の接続部を、例えば、エポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂8で封止し、前記アウターリード101を切断して個片化し、前記アウターリードを所定の形状に成形すると、樹脂封止型の半導体装置となる。
【0061】以上説明したように、本実施例の複合リードフレームによれば、前記リードフレーム1にアウターリード101及びダイパッド102を形成し、前記ダイパッド102の半導体チップ6を載せる領域L1と重なる部分が開口した配線基板2を接続することにより、前記ダイパッド102上に半導体チップ6を載せたときの放熱特性が向上し、熱暴走などにより動作信頼性が低下することを防げる。
【0062】また、前記ダイパッド102上に前記配線基板2を接続することにより、前記ダイパッド102上に半導体チップを接着したときに、前記配線基板の導体端子(インナーリード)202と前記半導体チップ6の外部電極601との距離が近くなるため、従来の配線基板2上に半導体チップ6を接着する場合に比べ、前記導体配線202と前記外部電極601とを接続するボンディングワイヤ7の長さを短くすることができる。そのため、前記複合リードフレームを用いて半導体装置を製造したときに、前記ボンディングワイヤ7による高周波特性の劣化を低減できる。
【0063】また、本実施例の複合リードフレームでは、前記配線基板2のダミー端子204Bは、図1及び図8に示したように、前記ダイパッド102の突起部102Aの形状に合わせたパッド状に形成しているが、これに限らず、任意の形状に形成することができる。このとき、例えば、前記絶縁基板の開口部(デバイスホール)205の端辺に沿って線状(帯状)に形成してもよいし、前記開口部205の周囲に沿って環状に形成してもよいことは言うまでもない。
【0064】図13は、前記実施例の複合リードフレームの変形例を示す模式図であり、図13(a)は図1のA−A’での断面に相当する断面図、図13(b)は図13(a)の要部断面図である。
【0065】前記実施例の複合リードフレームでは、図2(a)及び図2(b)に示したように、前記ダイパッド102をハーフエッチングして形成した突起部102Aと前記配線基板2のダミー端子204Bを接続していたが、これに限らず、例えば、前記実施例で説明したように、前記配線基板2上に所定の間隔で前記ダミー端子204Bを形成しておき、図13(a)及び図13(b)に示したように、前記突起部102Aを形成していないダイパッド102上と接続してもよい。この場合も、前記ダイパッド102上に銀めっき膜4を形成しておき、前記ダミー配線204Bの表面の金めっき膜3と前記銀めっき膜4が熱圧着されるため、前記配線基板2あるいは前記ダイパッド102にひずみ、ゆがみ、変形が生じている場合でも、接続ムラをなくし、確実に接続することができる。また、このとき、前記ダミー端子204Bは、任意の形状にすることができ、例えば、前記絶縁基板の開口部(デバイスホール)205の端辺に沿った直線状(帯状)であってもよいし、周囲を囲むような環状であってもよいことは言うまでもない。
【0066】図14は、前記実施例の複合リードフレームの他の変形例を示す模式平面図である。
【0067】前記実施例の複合リードフレームでは、図1に示したように、前記アウターリード101が対向する2方向に形成されたリードフレームを用いているが、これに限らず、例えば、図14に示すように、前記アウターリード101が4方向、すなわち、前記ダイパッド102の周囲を囲むように形成されたリードフレームを用いてもよいことはいうまでもない。
【0068】また、図示は省略するが、前記リードフレーム1を形成するリードフレーム形成工程において、従来の、図15に示したような、アウターリード101のみが形成されたリードフレームの所定位置に、別工程で準備した、前記リードフレームよりも厚い金属材料からなるダイパッドを接続してもよい。この場合、前記リードフレーム上に配線板を接続した複合リードフレームを用いて半導体装置を製造したときに、前記ダイパッドの一面、すなわち、半導体チップを接着した面と対向する面を、モールド樹脂8から露出させることができ、前記実施例の複合リードフレームに比べ、さらに放熱特性をよくすることができる。
【0069】以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることはもちろんである。
【0070】
【発明の効果】本発明において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0071】(1)リードフレーム上に配線基板を設けた複合リードフレームにおいて、放熱性を向上することができる。
【0072】(2)リードフレーム上に配線基板を設けた複合リードフレームにおいて、高周波特性の劣化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施例の複合リードフレームの概略構成を示す模式平面図である。
【図2】本実施例の複合リードフレームの概略構成を示す模式図であり、図2(a)は図1の複合リードフレームのA−A’線での断面図、図2(b)は図2(a)の要部拡大図である。
【図3】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、前記複合リードフレームに用いるリードフレームを形成する工程の平面図である。
【図4】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、前記複合リードフレームに用いるリードフレームを形成する工程の平面図である。
【図5】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、前記複合リードフレームに用いるリードフレームを形成する工程の平面図である。
【図6】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、図6(a)、図6(b)、及び図6(c)はそれぞれ、前記複合リードフレームに用いる配線基板を形成する各工程の断面図である。
【図7】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、図7(a)及び図7(b)は、前記複合リードフレームに用いる配線基板を形成する各工程の断面図である。
【図8】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、配線基板を形成する各工程が終了した後の配線基板の平面図である。
【図9】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、前記リードフレームと前記配線基板とを接続する工程の平面図である。
【図10】本実施例の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式図であり、図9の正面方向から見た断面図である。
【図11】本実施例の複合リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、図11(a)は半導体チップを実装する工程の断面図、図11(b)は図11(a)の要部拡大図である。
【図12】本実施例の複合リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図13】前記実施例の複合リードフレームの変形例を示す模式図であり、図13(a)は図1のA−A’線に相当する断面での断面図、図13(b)は図13(a)の要部拡大図である。
【図14】前記実施例の複合リードフレームの他の変形例を示す模式平面図である。
【図15】従来の複合リードフレームの概略構成を示す模式平面図である。
【図16】従来の複合リードフレームの概略構成を示す模式図であり、図16(a)は図15の複合リードフレームのB−B’線での断面図、図16(b)は図16(a)の要部拡大図である。
【図17】従来の複合リードフレームの製造方法を説明するための模式断面図である。
【図18】従来の複合リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を説明するための模式断面図である。
【図19】従来の複合リードフレームの課題を説明するための模式断面図である。
【符号の説明】
1 リードフレーム
101 アウターリード
102 ダイパッド
102A 突起部
103 位置合わせ用の開口部
2 配線基板
201 絶縁基板
202 導体配線(第1導体膜)
203 電解銅めっき膜(第3導体膜)
203A ビア
204 第2導体膜
204A 接続端子
204B ダミー端子
205 絶縁基板の開口部(デバイスホール)
206 ビア穴
207 位置合わせ用の開口部
3 金めっき膜
4 銀めっき膜
5 接着剤(ダイペースト)
6 半導体チップ
601 半導体チップの外部電極
7 ボンディングワイヤ
8 熱硬化性樹脂(封止用絶縁体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】導体板を所定形状に開口してアウターリード及び半導体チップを搭載するダイパッドを設けたリードフレームと、絶縁基板の一主面に導体配線(インナーリード)を設けた配線基板とからなり、前記配線基板が前記リードフレーム上に接着され、前記導体配線と前記アウターリードとが電気的に接続された複合リードフレームであって、前記配線基板は、前記ダイパッドの前記半導体チップが搭載される領域と平面的に重なる領域が開口されており、前記アウターリードの先端部及び前記ダイパッドの外周部と接着されていることを特徴とする複合リードフレーム。
【請求項2】前記配線基板は、前記絶縁基板の第1主面に前記導体配線が設けられ、前記絶縁基板の第1主面と対向する第2主面に、前記導体配線とビアで接続され、前記アウターリードと接続される接続端子と、前記ダイパッドと接続されるダミー端子とが設けられており、前記接続端子と前記アウターリード、及び前記ダミー端子と前記ダイパッドとは、金及び銀の薄膜を介在させて接続されていることを特徴とする請求項1に記載の複合リードフレーム。
【請求項3】前記ダイパッドは、外周部に所定の間隔で突起部が設けられており、前記配線基板のダミー端子と前記突起部とが接続されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合リードフレーム。
【請求項4】平板状の導体板を所定形状に開口してアウターリード及び半導体チップを搭載するダイパッドを有するリードフレームを形成するリードフレーム形成工程と、絶縁基板の第1主面に導体配線(インナーリード)が形成され、前記絶縁基板の前記第1主面と対向する第2主面に、前記導体配線と電気的に接続された接続端子が形成された配線基板を形成する配線基板形成工程と、前記リードフレーム形成工程で形成された前記リードフレームと、前記配線基板形成工程で形成された前記配線基板とを重ねあわせ、前記配線基板の接続端子と前記リードフレームのアウターリードを電気的に接続する配線基板接続工程とを備える複合リードフレームの製造方法であって、前記配線基板形成工程は、前記絶縁基板の前記第1主面に第1導体膜を形成し、前記絶縁基板の前記第2主面に第2導体膜を形成する工程と、前記絶縁基板の所定位置に、前記第1導体膜と前記第2導体膜を電気的に接続するビアを形成する工程と、前記第1導体膜をエッチング処理して所定のパターンの導体配線(インナーリード)を形成する工程と、前記絶縁基板の所定位置に開口部(デバイスホール)を形成する工程と、前記第2導体膜をエッチング処理して、前記ビアにより前記導体配線と接続される接続端子と、前記絶縁基板の開口部の周辺のダミー端子とを形成する工程とを備え、前記配線基板接続工程は、前記接続端子と前記アウターリードを接続するとともに、前記ダミー端子と前記ダイパッドの外周部を接続することを特徴とする複合リードフレームの製造方法。
【請求項5】前記リードフレーム形成工程は、前記導体板を開口して前記アウターリード及び前記ダイパッドを形成する工程と、前記ダイパッドの表面をエッチング処理し、前記ダイパッドの外周部に突起部を形成する工程とを備え、前記配線基板接続工程は、前記接続端子と前記アウターリードとを接続するとともに、前記ダミー端子と前記ダイパッドの前記突起部とを接続することを特徴とする請求項4に記載の複合リードフレームの製造方法。
【請求項6】前記配線基板形成工程は、前記接続端子及び前記ダミー端子を形成する工程の後、前記接続端子及び前記ダミー端子の表面に金めっきを形成する工程を備え、前記リードフレーム形成工程は、前記アウターリード及び前記ダイパッドの所定領域に銀めっきを形成する工程を備え、前記接続端子と前記アウターリード、及び前記ダミー端子と前記ダイパッドはそれぞれ、前記金めっき及び前記銀めっきを介在させて接続することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の複合リードフレームの製造方法。
【請求項1】導体板を所定形状に開口してアウターリード及び半導体チップを搭載するダイパッドを設けたリードフレームと、絶縁基板の一主面に導体配線(インナーリード)を設けた配線基板とからなり、前記配線基板が前記リードフレーム上に接着され、前記導体配線と前記アウターリードとが電気的に接続された複合リードフレームであって、前記配線基板は、前記ダイパッドの前記半導体チップが搭載される領域と平面的に重なる領域が開口されており、前記アウターリードの先端部及び前記ダイパッドの外周部と接着されていることを特徴とする複合リードフレーム。
【請求項2】前記配線基板は、前記絶縁基板の第1主面に前記導体配線が設けられ、前記絶縁基板の第1主面と対向する第2主面に、前記導体配線とビアで接続され、前記アウターリードと接続される接続端子と、前記ダイパッドと接続されるダミー端子とが設けられており、前記接続端子と前記アウターリード、及び前記ダミー端子と前記ダイパッドとは、金及び銀の薄膜を介在させて接続されていることを特徴とする請求項1に記載の複合リードフレーム。
【請求項3】前記ダイパッドは、外周部に所定の間隔で突起部が設けられており、前記配線基板のダミー端子と前記突起部とが接続されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合リードフレーム。
【請求項4】平板状の導体板を所定形状に開口してアウターリード及び半導体チップを搭載するダイパッドを有するリードフレームを形成するリードフレーム形成工程と、絶縁基板の第1主面に導体配線(インナーリード)が形成され、前記絶縁基板の前記第1主面と対向する第2主面に、前記導体配線と電気的に接続された接続端子が形成された配線基板を形成する配線基板形成工程と、前記リードフレーム形成工程で形成された前記リードフレームと、前記配線基板形成工程で形成された前記配線基板とを重ねあわせ、前記配線基板の接続端子と前記リードフレームのアウターリードを電気的に接続する配線基板接続工程とを備える複合リードフレームの製造方法であって、前記配線基板形成工程は、前記絶縁基板の前記第1主面に第1導体膜を形成し、前記絶縁基板の前記第2主面に第2導体膜を形成する工程と、前記絶縁基板の所定位置に、前記第1導体膜と前記第2導体膜を電気的に接続するビアを形成する工程と、前記第1導体膜をエッチング処理して所定のパターンの導体配線(インナーリード)を形成する工程と、前記絶縁基板の所定位置に開口部(デバイスホール)を形成する工程と、前記第2導体膜をエッチング処理して、前記ビアにより前記導体配線と接続される接続端子と、前記絶縁基板の開口部の周辺のダミー端子とを形成する工程とを備え、前記配線基板接続工程は、前記接続端子と前記アウターリードを接続するとともに、前記ダミー端子と前記ダイパッドの外周部を接続することを特徴とする複合リードフレームの製造方法。
【請求項5】前記リードフレーム形成工程は、前記導体板を開口して前記アウターリード及び前記ダイパッドを形成する工程と、前記ダイパッドの表面をエッチング処理し、前記ダイパッドの外周部に突起部を形成する工程とを備え、前記配線基板接続工程は、前記接続端子と前記アウターリードとを接続するとともに、前記ダミー端子と前記ダイパッドの前記突起部とを接続することを特徴とする請求項4に記載の複合リードフレームの製造方法。
【請求項6】前記配線基板形成工程は、前記接続端子及び前記ダミー端子を形成する工程の後、前記接続端子及び前記ダミー端子の表面に金めっきを形成する工程を備え、前記リードフレーム形成工程は、前記アウターリード及び前記ダイパッドの所定領域に銀めっきを形成する工程を備え、前記接続端子と前記アウターリード、及び前記ダミー端子と前記ダイパッドはそれぞれ、前記金めっき及び前記銀めっきを介在させて接続することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の複合リードフレームの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図17】
【図5】
【図6】
【図18】
【図7】
【図8】
【図10】
【図9】
【図11】
【図19】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図17】
【図5】
【図6】
【図18】
【図7】
【図8】
【図10】
【図9】
【図11】
【図19】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2003−78098(P2003−78098A)
【公開日】平成15年3月14日(2003.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−268418(P2001−268418)
【出願日】平成13年9月5日(2001.9.5)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成15年3月14日(2003.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成13年9月5日(2001.9.5)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
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