説明

複合型携帯用焼き器

本発明の複合型携帯用焼き器は、持ち運び可能なコンパクトなものであるとはいえ、加熱手段を、ガス火、炭火などから選択して使用でき、その使用法が簡単であるので誰でも使用し易い。また、加熱手段の外部に設けられた1次、2次、3次の熱遮断膜が有効に熱を遮蔽するので、複合型携帯用焼き器が置かれたテーブルの周りに座っているユーザーも加熱手段からの熱を恐れることなく安心して使用できる。さらに、ユーザーの好みに応じて、炭火が好きな者は炭火焼きにし、炭火焼きが厄介な者はガス火焼きにして、手軽に美味しく肉などを焼いて食べることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉類や魚類を焼く料理、または、すき焼き料理が行える複合型携帯用焼き器に関する。従来より、数多くの炭火焼き器やガス焼き器など様々な製品が用いられてきている。夏場になれば、友達や親戚などが集まってまたは各種の会合、野外活動などで豚肉などの肉類を焼くことが多い。この場合に、ガス焼き具または炭火焼き具を事前に用意できず、満足のいく会合にならないことが頻発する。焼くための準備物が用意できなかった場合、携帯用ガスレンジの上に大きな焼き板を載せて肉を焼くことになるが、この場合、ガスタンクに熱が過度に伝わってしまい、この過熱したガスタンクが爆発して、残念ながら事故につながることがある。これは、未だ実用的で且つ安全な携帯用焼き器が製作されていないことを証明している。
【背景技術】
【0002】
肉を焼くためには、多くの準備をせねばならないが、肉を含めあらゆる食材を購入せねばならず、しかも、焼き手段である携帯用ガスレンジ若しくは炭火焼き手段に加えて、焼き板、なども用意する必要があるが、これらを別々に用意する場合、準備物を買い忘れたりして、肉を焼くための最適な条件が成り立ち難い。これらのそれぞれの焼き手段が1つのシステム内において相互作用する構成になってはじめて、手軽に、しかも、安全かつ有効に肉が焼ける手段になり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、携帯用焼き器を、選択的に、炭火およびガス火が同時にまたは選択的に使用可能に構成し、炭火またはガス火の熱源が携帯用焼き器の外部に伝わらないように遮断する他、焼き板、グリル板、すき焼き板の中から任意に選択して使用することのできる簡単な構造の複合型携帯用焼き器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、二重水槽外板、二重水槽外底板、二重水槽内板および二重水槽内底板に囲繞されてなり、且つ、その内部に水が満たされる水タンク空間部を備え、前記二重水槽外板と前記二重水槽内板との間には少なくとも1以上の冷却蒸発空間部が上部開放状に形成され、前記二重水槽外板および前記二重水槽内板を貫通して外部からの空気を流入させるための空気流通手段が形成され、ガスなどの燃料を供給するためのガス供給手段が冷却蒸発空間部の両側または片側に設けられ、前記水タンク空間部に囲繞されてなる燃焼空間部の底面には、前記ガス供給手段から供給されるガスが燃焼される底面ガス燃焼手段が設けられ、前記燃焼空間部の側面には、前記ガス供給手段から燃焼空間部の側面に向かって流入するガスが燃焼される側面ガス燃焼手段が設けられている複合型携帯用焼き器を提供することを課題の解決手段とする。
【0005】
また、本発明は、二重水槽外板、二重水槽外底板、二重水槽内板および二重水槽内底板の材質は、ステンレス鋼およびアルミニウムを含め、金属、非鉄金属、合金または熱硬化性合成樹脂材よりなる群から選ばれるいずれか一種である複合型携帯用焼き器を提供することを課題の解決手段とする。
【0006】
さらに、本発明は、水タンク空間部に囲繞された燃焼空間部内に着脱可能な炭火炉を備える複合型携帯用焼き器を提供することを課題の解決手段とする。
【0007】
さらに、本発明は、前記二重水槽外板と二重水槽内板との間に形成される水タンク空間部を少なくとも1〜4個形成し、二重水槽外底板および二重水槽内底板には、下部から熱源が供給されるための熱源供給貫通孔を形成するが、前記貫通孔の形状は円形または多角形状を呈する複合型携帯用焼き器を提供することを課題の解決手段とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記炭火炉は、薄い鉄板製の底板と斜板を溶接で接合して四角い形状の枠体を形成するが、前記斜板の上端が外部に向かって広くなるように形成し、前記斜板の片側または両側に誘導板を垂直に取り付けて前記斜板と空気誘導板との間には空気誘導路が形成されるようにし、前記炭火炉の底板と斜板との間の下部境界面には複数の孔を穿孔して、前記空気誘導路から流入する空気が、空気孔を通って炭火炉の内部に供給されるようにした複合型携帯用焼き器を提供することを課題の解決手段とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の携帯用焼き器は、炭火、ガス火などの様々な熱源を選択的に使用することができ、しかも、熱源を安全に遮断する二重構造に構成することにより、テーブルの上に安心して載せて楽しんで肉などを焼くことができ、子供でも安心して焼くことができる。なお、本発明の携帯用焼き器は、必要に応じて、焼き板、グリル、すき焼き板などに使い分けられることから、消費者のニーズに合う料理を様々に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】複合型携帯用焼き器の部分横断面斜視図である。
【図2】複合型携帯用焼き器の横からの縦断面斜視図である。
【図3】複合型携帯用焼き器の斜視図である。
【図4】図3の複合型携帯用焼き器に焼き板70を載置した状態の斜視図である。
【図5】複合型携帯用焼き器に炭火炉60を取り付ける前の状態の斜視図である。
【図6】図5における燃焼空間部29に炭火炉60を取り付けた状態の斜視図である。
【図7】図6における炭火炉60を燃焼空間部29に取り付けた状態の横断面斜視図である。
【図8】図6の複合型携帯用焼き器に焼き板70を取り付けた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づき、本発明の構成および実施形態を詳述する。図1から図3において、薄い鉄板製の二重水槽外底板10、二重水槽外板11、12、13、14からなる四角形の外枠体に、それよりも小さな二重水槽内底板20、二重水槽内板21、22、23、24からなる内枠体を二重水槽固定手段28により覆って、水が入れられて密封される水タンク空間部を形成する。このとき、溶接法、ボルトおよびナットを用いる方法などが採用可能である。前記二重水槽外板13と二重水槽内板23との間には、上部が開放された冷却蒸発空間部36、37を形成し、前記二重水槽外板13および二重水槽内板23を貫通する孔を形成し、この孔には、外部から空気を流入させるための空気流入パイプが、この冷却空間蒸発部36を通過しつつ挿設される。
【0012】
前記冷却蒸発空間部37は、水タンク空間部30、31、32、33、34に満たされている水が熱くなると、蒸気が蒸発しつつ熱を運んで水の温度を下げる役割を果たす。ここで、水タンク空間部は、選択的に1個または4個形成可能であり、必要に応じて、2個または3個形成してもよい。水タンクの形成数が4個以下である場合には、未形成の水タンクの部分は、二重水槽内板および二重水槽外板を貼り合わせて水タンク空間をなくして構成する。
【0013】
このような構成において、二重水槽外板13、二重水槽外板14の上端部は、二重水槽内板23、二重水槽内板24の上端部と高さを異ならせて、その端部が外部または内部に向かって撓むようにして、組立および折曲を容易ならしめる。
【0014】
燃焼空間部29の二重水槽内底板20の上に、複数の孔が穿孔されている底面ガス燃焼手段43を取り付けて、底面に供給されるガスが燃焼されるようにできる。また、二重水槽内板21および二重水槽内板22の側面には、複数の孔が穿孔されている側面ガス燃焼手段42を取り付けて、内部燃焼空間部の側面に導かれるガスが側面において燃焼されるようにする。側面ガス燃焼手段42および底面ガス燃焼手段43としては、セラミック製の発熱板が使用可能であり、別のタイプのガス燃焼手段を採用してもよい。
【0015】
セラミック製の発熱板は、熱効率が高く、ガス火の温度分布を均一化させるというメリットがある。二重水槽外板13、二重水槽外板14の外側面に設けられているガス供給手段45、46は、少なくとも片面または両面に2個を選択的に同時に取り付けて使用してもよい。ガスとしては、通常、ブタンガス、LPGガスなどが採用可能である。
【0016】
前記側面ガス燃焼手段42と底面ガス燃焼手段43において、同時にまたは順次にガスを燃焼させて目的とする温度の熱源を提供して内部燃焼空間部29に均一に熱を分散させて、図4に示すように、携帯用焼き器の焼き板70に熱を均一に伝熱することにより、肉類が美味しく調理される。このとき、空気流入パイプ40を介して外部空気が内部に流入して、所要の空気が十分に熱源に向かって供給される。
【0017】
図5から図7に示すように、炭を熱源とする炭火炉60の構成は、下記の通りである。四角形状の薄い鉄板製の底板50と斜板51、52、53、54を溶接で接合し、斜板を上端部が外方に向かって傾斜するように(つまり、上方がやや広くなるように)形成し、前記いずれかの片側または両側に備えられた斜板の外部に空気誘導板56を垂直に取り付ける。
【0018】
前記炉の内枠体をなす斜板と、外部に設けられるこの斜板の両側に備えられる空気誘導板との間には、空気誘導路59が形成され、これは、空気をこの間を通らせて炭火炉60の内部に流入させる通路(ガイド)の役割を果たす。
【0019】
また、前記炭火炉60の底板50と斜板(炭火炉の側壁に相当する)の境界面との間には複数の孔が穿孔され、前記空気誘導路59を介して流入する空気が前記穿孔された空気孔58を介して炉の内部に供給される。炭火炉の斜板53、54の上端部には滑りガイド手段55が横設されて、二重水槽内板の上端部25への引っ掛けが可能になる。なお、二重水槽内板の上端部に載置された状態で左右動可能にして、必要に応じて、炉の使用時に可動とする。前記空気流入パイプ40を通って流入した外部空気は、空気誘導路59を経て空気孔58を通過し、炉の内部空間に流入して炭火に必要とされる空気を十分に供給して火力を強める。
【0020】
本発明の携帯用焼き器は、側面ガス燃焼手段42、底面ガス燃焼手段43において燃焼されるガスを用いて、焼き板70の上で肉を調理することができ、ガス火を使用しない場合には、前記炭火炉60を用いて手軽に調理が行える複合型携帯用焼き器である。
【0021】
ちなみに、本発明の複合型携帯用焼き器は、製造に際して、ガス供給手段45、側面ガス燃焼手段42、底面ガス燃焼手段43を外して、炭火焼き専用に製造してもよいことはいうまでもない。
【0022】
複合型携帯用焼き器は、水タンク空間部30、31、32、33、34の内部に入れられている水の対流現象によって焼き器の内部の熱を吸収し、外部に放出しつつ冷却させることにより、二重水槽外底板および周辺部品の温度が約100℃以下に保たれ、これにより、携帯用焼き器を室内のテーブルなどに載せて手軽に使えるというメリットがある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重水槽外板(11、12、13、14)、二重水槽外底板(10)、二重水槽内板(21、22、23、24)および二重水槽内底板(20)に囲繞されてなり、且つ、その内部に水が満たされる水タンク空間部(30、31、32、33、34)を備え、前記二重水槽外板(11、12、13、14)と前記二重水槽内板(21、22、23、24)との間には少なくとも1以上の冷却蒸発空間部(36、37)が上部開放状に形成され、前記二重水槽外板(11、12、13、14)および前記二重水槽内板(21、22、23、24)を貫通して外部からの空気を流入させるための空気流通手段(40)が形成され、ガスなどの燃料を供給するためのガス供給手段(45)が冷却蒸発空間部(36、37)の両側または片側に設けられ、前記水タンク空間部(30、31、32、33、34)に囲繞されてなる燃焼空間部(29)の底面には、前記ガス供給手段(45)から供給されるガスが燃焼される底面ガス燃焼手段(43)が設けられ、前記燃焼空間部(29)の側面には、前記ガス供給手段(45)から燃焼空間部(29)の側面に向かって流入するガスが燃焼される側面ガス燃焼手段(42)が着脱自在に設けられることを特徴とする複合型携帯用焼き器。
【請求項2】
二重水槽外板(11、12、13、14)、二重水槽外底板(10)、二重水槽内板(21、22、23、24)および二重水槽内底板(20)の材質は、ステンレス鋼およびアルミニウムを含め、金属、非鉄金属、合金または熱硬化性合成樹脂材よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項1に記載の複合型携帯用焼き器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−525908(P2012−525908A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509741(P2012−509741)
【出願日】平成22年5月8日(2010.5.8)
【国際出願番号】PCT/KR2010/002939
【国際公開番号】WO2010/131875
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(511267907)
【Fターム(参考)】