説明

複合容器

【課題】 断熱性、表面性及び外形の寸法精度に優れるとともに、強度、特に縦の圧縮荷重に対する強度及び該圧縮強度による変形の復元性に優れる複合容器を提供すること。
【解決手段】 本発明の複合容器は、パルプを含む原料からそれぞれ抄造された内層容器2と外層容器3とが複合化された容器である。内層容器2は外層容器3よりも弾性率が低く、複合容器1の底部14の外側における角部の曲率半径Roが5mm以下である。内層容器2と外層容器3とを仮想的に重ね合わせたときにそれらの胴部が重なり合う嵌合代を有していることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内層容器と外層容器とを複合化した複合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内層容器と外層容器とを複合化させた複合容器に関する従来技術として、例えば、下記特許文献1及び2の容器が知られている。
特許文献1に記載の容器は、容器本体の外側に断熱部材を配してこれを胴部の上部で嵌合させるとともに、これら容器本体と断熱部材との間に隙間を設けて断熱性を賦与したものである。また、特許文献2の容器は、内側容器の外側を外側シェルで覆ったパルプモールド容器において、内側容器のパルプの密度よりも外側シェルのパルプ密度を低くし、断熱性を賦与したものである。
【0003】
ところで、特許文献1に記載の容器は、胴部に隙間を有しているため、容器の強度が低くならざるを得なかった。また、強度向上のため、真空成形によって容器本体内面にフィルムを貼ると容器が割れてしまったり、容器外面への印刷時の印圧で容器がつぶれたりするおそれがあった。一方、特許文献2に記載の技術は、断熱性を備えているものの、外側シェルが低密度であるため、外表面の表面性が悪く、寸法精度も低いものであった。
【0004】
【特許文献1】特開平11−301753号公報
【特許文献2】特開2002−128075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、断熱性、表面性及び外形の寸法精度に優れるとともに、強度、特に縦の圧縮荷重に対する強度及び該圧縮強度による変形の復元性に優れる複合容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、パルプを含む原料からそれぞれ抄造された内層容器と外層容器とが複合化された複合容器であって、前記内層容器は前記外層容器よりも弾性率が低く、前記複合容器の底部の外側における角部の曲率半径Roが5mm以下である複合容器を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、断熱性、表面性及び外形の寸法精度に優れるとともに、強度、特に縦の圧縮荷重に対する強度及び該圧縮強度による変形の復元性に優れる複合容器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1は、本発明の複合容器を、インスタントカップ麺等の食品容器に適用した一実施形態を示したものである。図1中、符号1は複合容器を示している。
【0010】
図1(a)に示したように、複合容器1は、パルプを含む原料からそれぞれ抄造された内層容器2と外層容器3とが複合化されて一体化されたものである。
【0011】
複合容器1は、内層容器2の弾性率が外層容器3の弾性率よりも低い。内層容器2と外層容器3の弾性率の比は、内層容器は外層容器の1/2〜1/20が好ましい。内層容器2の弾性率は、100〜2000MPaが好ましく、200〜1500MPaがより好ましい。また、外層容器3の弾性率は、200〜10000MPaが好ましく、400〜6000MPaがより好ましく、600〜4000MPaが更に好ましい。ここで、内層容器2及び外層容器3の弾性率は、Rheometrics社製のRheometrics、型式 SOLIDS ANALYZER RSAIIを用い、測定条件は周波数1.6HZ/0.05%strain、JISP8111に規定する標準条件採用、プリテンションはダイナミックフォースの2倍、試料幅6mm、試料長さ35mm、試料厚み0.86mmとし、試料は容器の胴部を高さ方向に切り出したもので測定される。なお、内層容器及び外層容器の弾性率は、材料組成や成形時の加圧力の調整などにより、適宜設定できる。
【0012】
複合容器1は、底部14の外側(外層容器3)における角部の曲率半径Ro(図1(d)参照)が5mm以下である。本発明者らの検討した結果、上述のような低弾性率(低密度)の内層容器2と、それよりも高弾性率(高密度)の外層容器3とを複合化させるとともに、曲率半径Roを5mm以下とすると、縦の圧縮荷重を受けたときの変位を小さく抑えることができるとともに、該圧縮荷重を解いたときの前記変位の高い復元性が発現されることが判明した。即ち、複合容器1が縦の圧縮荷重を受けた場合、内層の変形は外層からの二次的な変形となるので、内層の変形は外層の変形より小さくなるが、外層は弾性率が高くて伸びが小さく、内層は弾性率が低く伸びが大きいので、内層が変形の復元を補助するように作用することとなり、内層、外層の単独での復元性より優れた復元性が得られる。この作用は、特に前記曲率半径が特定の範囲にあるとより顕著であり、該曲率半径Roは0.5〜3mmであることが好ましく、0.5〜2mmであることがさらに好ましい。ここで、縦の圧縮荷重とは、容器を水平位置に正立させた状態の垂直方向の荷重をいう。
【0013】
複合容器1は、後述するように内層容器2が外層容器3に嵌合されて複合化されている。内層容器2と外層容器3とが嵌合されて複合化されることにより、後述する縦の圧縮荷重に対する強度を含む複合容器1の強度及び該圧縮荷重による変形の復元性がより高められる。ここで、嵌合とは、内層容器2と外層容器3とを合体させたときに、両容器の胴部に圧力が加わり、少なくとも一方の容器の胴部のつぶれにより両容器の胴部の間に圧縮、引っ張りといった応力が発生し、両容器の間に摩擦力が発生した状態をいう。
【0014】
以下、複合容器1についてさらに詳述する。
複合容器1は、口部10の周縁部にフランジ部11を有している。図1(b)に示すフランジ部11の上面部(平坦な部分)110の幅W11は、1.0〜5mm、特に1.5〜4mmとすることが好ましい。幅W11を斯かる範囲とすることで、フランジ部11の強度低下を抑えることができるほか、蓋を貼り付ける場合に、良好な接着強度や密閉性が得られる接着面積を確保することができる。
【0015】
フランジ部11の厚み(全層厚み)T11は、容器を手で持ったときの口部変形防止(把持強度の確保)、蓋を貼り付けてそれを剥がすときのフランジの変形防止、薄肉・軽量性、さらに使用時の口当たりの良好性等を考慮すると、0.8〜5mm、特に1.0〜3.5mmとすることが好ましい。
【0016】
複合容器1は、全層厚みが上下方向において異なる部位を胴部12に有している。
【0017】
胴部12の口部近傍部における厚みT121は、容器を手で持った時の口部変形防止(把持強度)、縦荷重による胴部12の口部近傍の座屈防止、薄肉・軽量性等を考慮すると、0.8〜3.5mm、特に0.9〜2.6mmとすることが好ましい。
胴部12の中央部における厚みT122は、断熱性と薄肉・軽量性等を考慮すると、0.7〜3mm、特に0.8〜2.2mmとすることが好ましい。
胴部12の下方部における厚みT123はスタック段差に必要な厚みの確保とスタック部の強度、断熱性、薄肉・軽量性等を考慮すると、0.7〜4mm、特に0.8〜3.1mmとすることが好ましい。なお、本明細書において、胴部12の口部近傍部とは、複合容器1の高さHに対してフランジ部11の上面部110から0〜20%の部分をいう。胴部12の下方部とは、スタック用の段差13より底面までの部分をいう。胴部12の中央部とは、前記口部近傍部と前記下方部との間の部分をいう。
【0018】
複合容器1は、胴部12にスタック用の段差13が形成されている。このため、成形後の複合容器1の積載、分離が容易に行える。スタック用の段差13より下方では、胴部の厚みは薄くなっている。このため、複合容器1の内面に被覆層を真空成形で形成する場合、内層容器2がよじれてそれが破断するのを防止することができる。
【0019】
複合容器1の胴部12のテーパー角θ1(図1(c)参照)は、容器としての使いやすさ、内容積、成形性、成形後の前述した積載、分離の容易性等を考慮すると、3〜10度、特に5〜8度とすることが好ましい。スタック用段差13より下方における胴部の内面のテーパー角θ2(図1(d)参照)は、容器としての薄肉、軽量性や被覆層を真空成形で形成する場合に内層容器2がよじれて破断するのを防止することを考慮すると、2〜9度、特に4〜7度とすることが好ましい。また、θ1>θ2とするのが好ましい。
【0020】
図1(d)に示すように、複合容器1は、底部14の中央部が所定の高さに底上げされた上げ底部141を有し、その外側に平坦な接地部142を有している。底部14の厚みT14は、容器としての断熱性、縦方向の圧縮強度、薄肉・軽量性等を考慮すると、0.4〜2.8mm、特に0.5〜2mmとすることが好ましい。
【0021】
前記底部14の接地部142の接地幅W14は1〜20mm、特に2〜10mmであることが好ましく、底部14の上げ底部141の高さH14は0.5〜5mm、特に1〜3mmであることが好ましい。接地幅14を斯かる範囲とすることで、縦の圧縮加重を受ける接地面積を十分に確保できる。上げ底部141の高さH14を斯かる範囲とすることで、容器の内容積を狭めることなく、しかも内面角部に内容物が入り込んだりすることがない。また、前記曲率半径を有する角部や前記接地幅を有する底部14を後述する弾性素材からなる雄型により、良好に形状を転写できる。また、複合容器1をシュリンクフィルム等の包装材で包装したときに、当該包装材を破りやすくできる。さらに、前記曲率半径Ro、接地幅W14及び上げ底部141の高さH14を斯かる範囲とすることで、それらの相乗効果として、縦方向の圧縮荷重に対する複合容器1に形状的により十分な強度が得られる。
【0022】
複合容器1は、口部10の開口縁部に傾斜面15が形成されている。傾斜面15と前記フランジ部11の上面部110との角度θ3は、30〜75度、特に45〜70度であることが好ましい。また、面取り幅が0.5〜3mmであることが好ましい。面取り幅とはW15をいう(図1(b)参照)。傾斜面15の角度および幅を斯かる範囲とすることによって、開口縁部の角部の成形性が良好となり表面性が向上する。開口縁部の角部のパルプが成形時に押し込まれて傾斜面15の境となる稜線が明確となるため、口部10の外観が良好となるとともに、密度が高められてフランジ部11の強度が向上する。また、開口縁部のパルプの毛羽立ちが抑えられ、樹脂フィルム等で被覆層を形成した場合の密着性が良好となるほか、該被覆層を形成するときのピンホールの発生が抑えられる。また、使用時の口当たりも良好となる。
【0023】
複合容器1は、熱湯を入れても手で持つことができ、かつ薄肉・軽量で所望の強度を有することを考慮すると、断熱性が45〜75℃、特に50〜70℃であることが好ましい。ここで、断熱性は、複合容器の外表面に温度センサー(安立503K−TC−WT)測定部をテープで貼り付け、該複合容器に98〜100℃の熱湯を注ぎ入れ、1分後における容器外面の温度で求められる。
【0024】
複合容器1は、真空成形や圧空成形で被覆層がムラなく樹脂フィルム等で被覆されること、該樹脂フィルム等へのピンホールの発生を防止すること等を考慮すると、透気度は30〜120秒、特に40〜60秒とすることが好ましい。透気度は、JIS P81170−1980に準拠し、例えば、測定装置(東京テスター、Gurley’s Desometer)を用いて測定することができる。
【0025】
複合容器1は、本実施形態のようなインスタントカップ麺用の場合は、胴部12の内径は60〜200mm、好ましくは50〜150mmである。高さHは、60〜200mm、好ましくは70〜150mmである。
【0026】
複合容器1は、廃棄容易性、コスト低下、強度の確保、断熱性の確保等のバランスを考慮すると、総重量は10〜30g、好ましくは10〜25gとすることが好ましい。
【0027】
以下、内層容器2及び外層容器3それぞれについてさらに詳述する。
【0028】
内層容器2は、フランジ部21を有するパルプモールド製であり、複合容器1に断熱性を付与するとともに、フランジ部11にクッション性を付与する。
【0029】
内層容器2の胴部22の内面には、スタック用段差13及び前記お湯の入れ目線16となる段差(図示せず)が形成されている。
【0030】
フランジ部11を構成する内層容器2のフランジ部21の厚みT21(図1(b)参照)は、容器を手で持った時の口部変形防止、蓋を貼り付けてそれを剥がすときのフランジ強度、フランジ部のクッション性、薄肉・軽量、口当たり良好性等を考慮すると、0.4〜3mm、特に0.5〜2mmとすることが好ましい。前記胴部12の口部10近傍部を構成する内層容器2の胴部22の厚みT221は、断熱性、容器を手で持った時の口部変形防止(把持強度の確保)、縦方向の圧縮荷重を負荷したときの胴部12の口部近傍の座屈防止、薄肉・軽量性等を考慮すると、0.55〜2mm、特に0.6〜1.7mmとすることが好ましい。前記胴部12の中央部を構成する内層容器2の胴部22の厚みT222(図1(c)参照)は、断熱性、薄肉・軽量性等を考慮すると、0.5〜1.8mm、特に0.55〜1.5mmとすることが好ましい。前記胴部12の下方部を構成する内層容器2の胴部22の厚みT223(図1(d)参照)は、断熱性、スタック用の段差に必要な厚みの確保、後述するように真空成形で被覆層を形成する場合に内層容器2がよじれて破断するのを防止すること、薄肉・軽量性等を考慮すると、0.55〜3mm、特に0.65〜2.5mmとすることが好ましい。底部14を構成する内層容器2の底部24の厚みT24は、断熱性、縦方向の圧縮強度、薄肉・軽量性等を考慮すると、0.3〜1.8mm、特に0.4〜1.5mmとすることが好ましい。特に胴部の厚みを斯かる範囲にすることで、後述のように内層容器と外層容器とを嵌合させる場合において、所望の接触力を得やすい。
【0031】
外層容器3との嵌合部分を含む内層容器2の胴部22の弾性率は、内層容器2と外層容器3を合体したときに、主に内層容器がつぶれ、外層容器が湾曲しないこと、真空成形での真空圧で内層が破断しないことを考慮すると、好ましくは100MPa〜2000MPa、より好ましくは200MPa〜1500MPa、さらに好ましくは300MPa〜1000MPaである。また、嵌合代の部分の内層容器と外層容器の弾性率の比としては、内層容器は外層容器の1/2〜1/20が好ましい。
ここで、内層容器2の胴部22の弾性率は、上述と同様に、Rheometrics社製のRheometrics、型式 SOLIDS ANALYZER RSAIIを用い、測定条件は周波数1.6HZ/0.05%strain、JISP8111に規定する標準条件採用、プリテンションはダイナミックフォースの2倍、試料幅6mm、試料長さ35mm、試料厚み0.86mmとし、試料は容器の胴部を高さ方向に切り出したもので測定される。なお、内層容器の弾性率は、材料組成や成形時の加圧力の調整などにより、適宜設定できる。
【0032】
内層容器2の密度は0.05〜0.8g/cm3、特に0.1〜0.8g/cm3であることが好ましい。密度を斯かる範囲とすることで、複合容器1に良好な断熱性を賦与できるとともに、容器重量も軽くできる。また、複合容器1の把持強度や圧縮強度も良好なものとすることができる。ここで、本明細書において、密度とは嵩密度をいう。
【0033】
前記胴部12の口部10近傍部を構成する内層容器2の胴部22の密度は、断熱性、容器を手で持ったときの口部の変形防止、縦方向の圧縮荷重による口部の座屈防止等を考慮すると、0.2〜0.8g/cm3、特に0.3〜0.7g/cm3とすることが好ましい。
前記胴部12の中央部を構成する内層容器2の胴部22の密度は、断熱性、容器を手で持ったときの胴部のへこみ防止、印刷時の印圧での変形防止を考慮すると、0.05〜0.5g/cm3、特に0.1〜0.4g/cm3とすることが好ましい。
前記胴部12の下方部を構成する内層容器2の胴部22の密度は、断熱性、容器を手で持ったときの胴部のへこみ防止、印刷時の印圧での変形防止等を考慮すると、0.05〜0.5g/cm3、特に0.1〜0.4g/cm3とすることが好ましい。
【0034】
内層容器2のフランジ部21の密度は、複合容器1を手で持った時の口部変形防止、蓋を貼り付けてそれを剥がすときのフランジ強度、フランジ部のクッション性等を考慮すると、0.2〜1.5g/cm3、特に0.2〜0.8g/cm3とすることが好ましい。
【0035】
内層容器2は、胴部の外面よりも内面が平滑に設けられていることが好ましい。内層容器2の胴部の内面の表面粗さは、樹脂フィルム等で被覆層を形成するときのピンホール発生防止、該被覆層と内層容器2との接着性や外観良好性等を考慮すると、3〜15μm、特に3〜12μmとすることが好ましい。内層容器2の胴部の外面の表面粗さは、外層容器3との摩擦力を大きくして、接着剤を使用しなくても内層容器と外層容器が容易には分離しない程度に一体化することを考慮すると、4〜20μm、特に5〜15μmとすることが好ましい。前記表面粗さRaは、例えば、JIS B0601−2001に準拠し、サーフコム〔(株)東京精密社製〕を用い、ガウシアン補正で傾斜補正を直線とした測定条件で測定される。
【0036】
また、内層容器2の内面には、乾燥型の雄型に設けられた乾燥時の蒸気逃がし用のスリットの跡や吸引孔の跡となる凸部を有していないことが好ましい。乾燥効率等を優先して乾燥型の雄型にスリットや吸引孔を設ける場合には、乾燥型の雄型に高さ方向にスリットや吸引孔を設けることにより、内層容器2の内面にそれらの跡となる凸部を有していても、該凸部への箸やスプーンの引っ掛かりが少なく、該凸部への内容物の引っかかりも少なく、飲食しやすい容器を得ることができる。複合容器1の内面に真空成形で樹脂フィルムを貼り付けて被覆層を形成する場合には、該樹脂フィルムは内層容器2の口部から底部に向けて被覆されていくが、このような高さ方向のスリットや吸引孔の跡となる凸部を有していると、フィルムが被覆されていく方向と該凸部の方向が一致するので、樹脂フィルムを支障なく被覆でき、樹脂フィルムへのピンホールも発生しにくくなるので好ましい。
【0037】
内層容器2は、真空成形や圧空成形によって樹脂フィルム等の被覆層を形成するときに該樹脂フィルム等を容易に吸引変形できる程度の透気度を有することが好ましい。透気度は、JIS P81170−1980に準拠し、例えば、測定装置(東京テスター、Gurley’s Desometer)を用いて求められる。
【0038】
内層容器2は、パルプ成分に嵩高処理パルプを含んでいる。内層容器2に含まれる嵩高処理パルプの量は、内層容器2を構成するパルプ成分中10〜90重量%が好ましく、20〜80重量%がより好ましく、30〜70重量%が更に好ましい。該パルプ成分中の嵩高処理パルプの配合量が斯かる範囲であると、嵩高の効果が発揮され、フランジ部11のクッション性や容器の断熱性も良好となる。また、フランジ部を含む容器全体の強度を確保する上での、バインダーの使用量も適量に抑えられる。ここで、内層容器2に用いられる嵩高処理パルプとは、架橋処理、マーセル化処理等の嵩高処理によってパルプ繊維をカールさせたり、疎水化させたり、繊維自体の剛性を向上させたものをいう。架橋処理パルプとしては、市販のカールドファイバー(例えば米国ウェアハウザー社製「HBA」)、マーセル化処理パルプとしては、市販のマーセル化処理パルプ(例えばレヨンニア社製「POROSAUIE」、同「ULTRANIER、同「SULFATATE」)が挙げられる。
【0039】
前記架橋処理パルプ、前記マーセル化処理パルプ又は前記嵩高処理パルプは、単独で又は二種以上のものを混合して用いることができる。
前記マーセル化処理パルプは、適宜の割合で前記架橋処理パルプに混合して用いることができる。マーセル化処理パルプは架橋処理パルプよりも嵩高性は劣るが、架橋処理パルプに対するマーセル化処理パルプの混合割合を調整することで、内層容器の強度や内層容器の内面の成形性(転写性)が良好となる。また、パルプ繊維のフロックも抑えられ、抄造ムラの発生を防ぐことができる。
【0040】
前記嵩高処理パルプのうち前記架橋処理パルプを用いる場合には、その湿潤カールドファクタは0.1〜1.0、特に0.1〜0.6が好ましい。湿潤カールドファクタを斯かる範囲とすることで、容易に所望の嵩高性が得られる。また、原料スラリー中の分散性も良好となり、抄造ムラが抑えられて成形体に偏肉が生じるのを防ぐことができ、成形体の強度や表面性が良好となる。ここで、湿潤カールドファクタとは、パルプ繊維を室温で純水に浸漬した後FQA(Fiber Quality Analyzer)を用い、測定本数1000本以上、測定範囲0.5〜10mmにおいて、((LA/LB)−1)の算術平均により求められる値であり、繊維の曲線化の度合いを示す数値である。ここで、LAは実際のパルプ繊維の長さ、LBは曲がった状態のパルプ繊維を囲む長方形の最大寸法である。
【0041】
内層容器2は、前記パルプ成分として前記嵩高処理パルプの他に、嵩高処理を行っていないパルプ繊維を含ませることができる。該パルプ繊維は、パルプ成分中に10〜90重量%、特に20〜80重量%含んでいることが好ましい。該パルプ繊維が斯かる範囲で含まれていると、フランジ部や容器の強度低下や紙粉の発生も抑えられ、強度を得るためや紙粉防止のためのバインダーの添加量を抑えることができる。また、嵩高性も得られてフランジ部のクッション性や容器の断熱性が良好となる。該パルプ繊維としては、針葉樹若しくは広葉樹の未晒又は晒クラフトパルプ、サルファイトパルプ、アルカリパルプ、グランドパルプ、又はサーモメカニカルパルプが挙げられる。これらのパルプ繊維は、単独で又は二種以上を適宜の割合で混合して用いることができる。特に二種以上を混合することで、様々な繊維長分布を有するパルプ繊維を調製することができる。
【0042】
前記内層容器用のパルプ繊維は、カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)が500〜800ml、特に600〜750mlであることが好ましい。CSFかかる範囲であると、濾水性も良好で、抄造時間や乾燥時間を短縮することができる。また、抄造ムラが抑えられ、得られる成形体に偏肉が生じたり、成形体の表面性が低下することを防ぐことができる。さらに、所望の断熱性も得られ易い。
【0043】
嵩高処理を行っていない前記パルプ繊維の平均繊維長は、0.4〜5mm、特に、0.5〜3mmであることが好ましい。該パルプ繊維の平均繊維長が斯かる範囲であると、前記嵩高処理パルプとの適度のからみが得られ、得られる成形体の強度低下や紙粉の発生を防ぐことができる。また、フロック(パルプ繊維の凝集)が大きくならず、抄造ムラが生じ難いため、得られる成形体に偏肉が生じたり、表面性が低下することを防ぐことができる。
【0044】
内層容器2のパルプ成分として用いられる前記嵩高処理パルプ、前記パルプ繊維には、木材パルプ、非木材パルプの何れのパルプ繊維をも用いることができる。また、バージンパルプ、古紙パルプの何れのパルプ繊維をも用いることができる。これらのパルプ繊維は、単独で又は二種以上を適宜の割合で混合して用いることができる。
【0045】
内層容器2は、パルプ成分に対し、嵩高剤を0.2〜10重量%含んでいてもよい。これらの範囲内で嵩高剤を含ませることで、嵩高性がより安定的に得られる。
前記嵩高剤としては、花王(株)製「KB115」、同「KB85」等が挙げられ、これらの中でも、サイズ効果の低下を抑えて嵩高性を得ることができる点から同「KB115」が好ましい。
【0046】
内層容器2には、必要に応じ、分散剤、顔料、防かび剤、サイズ剤、紙力増強剤、耐水化剤、接着剤等の添加剤を適宜の割合で含めることができる。
【0047】
前記外層容器3は、主として複合容器1に強度を付与する容器である。外層容器3は、フランジ部11を構成するフランジ部31を有している。
【0048】
外層容器3のフランジ部31の厚みT31は、容器を手で持ったときの口部変形防止、蓋を貼り付けてそれを剥がすときのフランジ強度、薄肉、軽量性等を考慮すると、0.4〜2mm、特に0.5〜1.5mmとすることが好ましい。前記胴部12の口部10近傍部を構成する前記外層容器3の胴部32の厚みT321は、容器を手で持ったときの口部の変形防止、縦方向の圧縮荷重による口部での座屈防止、薄肉、軽量性等を考慮すると、0.25〜1.5mm、特に0.3〜0.9mmとすることが好ましい。前記胴部12の中央部を構成する前記外層容器3の胴部32の厚みT322は、容器を手で持ったときの胴部の変形防止、印刷時の印圧による変形防止、薄肉、軽量性等を考慮すると、0.2〜1.2mm、特に0.25〜0.7mmとすることが好ましい。前記胴部12の下方部を構成する前記外層容器3の胴部32の厚みT323は、縦方向の圧縮荷重による底部での座屈防止、薄肉、軽量性等を考慮すると、0.15〜1.0mm、特に0.15〜0.6mmとすることが好ましい。底部14を構成する外層容器3の底部34の厚みT34は、縦方向の圧縮荷重による底部での座屈防止、薄肉、軽量性等を考慮すると、0.1〜1mm、特に0.1〜0.5mmとすることが好ましい。特に、胴部の厚みを斯かる範囲にすることで、内層容器と外層容器の嵌合時に、外層容器の変形を防止して所望の接触力を得やすい。
【0049】
内層容器2の胴部22との嵌合部分を含む外層容器3の胴部32の弾性率は、内層容器2の胴部22の弾性率よりも高く設けられている。胴部32の弾性率は、内層容器と外層容器を嵌合させたときに、主に内層容器壁がつぶれ、外層容器が湾曲しないこと、容器としての縦方向と横方向の圧縮強度の確保、印刷時の印圧での変形防止を考慮すると、好ましくは200MPa〜10000MPa、より好ましくは400MPa〜6000MPaさらに好ましくは600MPa〜4000MPaである。ここで、外層容器3の胴部32の該弾性率は、内層容器2の胴部22の弾性率と同様にして測定される(試料厚みは0.37mm)。外層容器の弾性力は材料組成、成形時の加圧力の調整などにより、適宜設定できる。
【0050】
外層容器3のフランジ部31の密度は、容器を手で持ったときの容器の変形防止(把持強度の確保)、蓋を貼り付けてそれを取り剥がすときのフランジ部の変形防止、薄肉、軽量性等を考慮すると、0.5〜2g/cm3、特に0.7〜1.5g/cm3とすることが好ましい。
【0051】
前記胴部12の口部近傍部を構成する外層容器3の胴部32の密度は、表面平滑性、紙粉発生防止、容器を手で持ったときの容器の変形防止(把持強度の確保)、縦方向の圧縮荷重による口部での座屈防止、薄肉、軽量性等を考慮すると、0.5〜2g/cm3、特に0.7〜1.5g/cm3とすることが好ましい。
前記胴部12の中央部を構成する外層容器3の胴部32の密度は、表面平滑性、紙粉発生防止、搬送時におけるへこみ防止、お湯を入れて容器を手で持ったときの胴部の変形防止、印刷時の印圧での変形防止、薄肉、軽量性を考慮すると、0.5〜2g/cm3、特に0.7〜1.5g/cm3とすることが好ましい。
前記胴部12の下方部を構成する外層容器3の胴部32の密度は、表面平滑性、搬送時でのへこみ防止、印刷時の印圧での変形防止、薄肉、軽量性等を考慮すると、0.5〜2g/cm3、特に0.7〜1.5g/cm3とすることが好ましい。
前記底部14を構成する外層容器3の底部34の密度は、積み上げ時や搬送時における底部の潰れ防止、薄肉、軽量性等を考慮すると、0.5〜2g/cm3、特に0.7〜1.5g/cm3とすることが好ましい。
【0052】
外層容器3は、内面よりも外面が平滑に設けられていることが好ましい。外層容器3の外面の表面粗さは、印刷性、紙粉発生防止、外観良好性等を考慮すると、0.5〜3μm、特に1〜2μmとすることが好ましい。外層容器3の内面は、低密度の内層容器3のパルプ繊維を絡ませて摩擦抵抗を高くし、内層容器と外層容器との一体性を高める上で、粗面に設けられていることが好ましい。特に胴部32の内面には、後述する乾燥型700の雄型710のネットによって網目状に押圧された跡によって粗面に設けられていることが好ましい。外層容器3の胴部32の内面の表面粗さは、10〜50μm、特に12〜30μmとすることが好ましい。また、印刷、ラベリング、紙粉発生防止などを考慮すると外層容器3の外面、特に胴部の外表面には吸引孔の跡がないことが好ましい。
【0053】
外層容器3の密度は0.5〜2g/cm3、特に0.7〜1.5g/cm3とすることがより好ましい。密度が斯かる範囲であると、乾燥成形時において、パルプ繊維の変色やパルプ繊維自体の強度低下を防ぐことができるほか、外層容器に要する強度や表面性が確保される。ここで、外層容器3の密度は、切り取った外層容器の厚みと面積と重量から求められる。特に、密度を斯かる範囲にすることで、内層容器と外層容器の嵌合時に、外層容器の変形が防止され、内層容器と外層容器の接触力が向上し、両容器の分離がし難くなる。
【0054】
外層容器3用のパルプ繊維には、針葉樹若しくは広葉樹の未晒又は晒クラフトパルプ、サルファイトパルプ、アルカリパルプ、グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等が挙げられる。これらの中でも、成形性、白色性、成形体の表面性、強度の点から、特に針葉樹や広葉樹の晒クラフトパルプが好ましい。これらの繊維は、単独で又は二種以上を適宜の割合で混合して用いることができる。
【0055】
前記外層容器用のパルプ繊維は、CSFが200〜600ml、特に300〜600mlであることが好ましい。CSFかかる範囲であると、濾水性も良好で、抄造時間や乾燥時間を短縮することができる。また、抄造ムラが抑えられ、得られる成形体に偏肉が生じたり、成形体の表面性が低下することを防ぐことができる。
【0056】
外層容器3には、必要に応じ、分散剤、顔料、定着剤、防かび剤、サイズ剤、接着剤、紙力強化剤等の添加剤を適宜の割合で含めることができる。
【0057】
外層容器3の透気度は、表面平滑性を考慮すると、30〜120秒、特に65〜120秒とすることが好ましい。外層容器3の透気度は、平滑面側を装置上側に設定して、後述する方法で測定される。
また、外層容器3の透気度は、内層容器2よりも大きいことが好ましい。外層容器3の透気度を、内層容器2よりも大きくすることによって、後述するように真空成形によって被覆層を密着させる場合に、外層容器3が通気抵抗となって、真空成形用の型に設けられた吸引溝での局部的な吸引力の集中を防ぐことができ、樹脂フィルムへのピンホールの発生を防ぐことができると共に、密着むらのない被覆が可能となる。
【0058】
外層容器3の胴部の内側の寸法(内径)は、内層容器2の胴部の外側の寸法(外径)よりも小さく設けられており、両者を嵌合させた状態では、低密度の内層容器の外面がつぶれ、該内層容器よりも剛性が高い外層容器の外寸法はほとんど変形しない。このため、コンベア上のライン搬送などにおいて、コンベア上に容器が停滞せずに容器がスムーズに流れる。また、外層容器が変形しないので、印刷性にも優れる。また、後述するように樹脂フィルム等の被覆層を真空成形によって密着させる場合にも、内層と外層が強固に一体化しているので真空圧による内層割れの発生が防止される。内層容器を外層容器と同じ高い弾性率のもので構成した場合、複合容器としての断熱性が劣ると共に、嵌合により両容器が強固に一体化するにはこれらを高い寸法精度で成形する必要があるが、内層容器の弾性率を外層容器より低く設定すれば、内層容器と外層容器の嵌合代幅を大きめに設定するとこができるので、断熱性に優れ強固に一体化された容器をより容易に得ることができる。
【0059】
上述の構成の複合容器1は、良好な断熱性を有し強度及び外層の表面性に優れ、薄肉・軽量であるにもかかわらず、その製造時の破損等も生じにくく生産性に優れるものである。特に内層容器2及び外層容器3は、上述のように、内層容器2の胴部22の外面が低密度の凹凸を有する形態に設けられ、外層容器3の胴部32の内面が内層容器2の胴22の外面よりも高い剛性を有し且つ粗く好ましくは網目状の跡を有するため、両容器を嵌合した状態では、内層容器2の外面がつぶれ、該外面が外層容器3の内面に食い込んだ状態となる。このため、両容器間の摩擦力が高くなり、内層容器2と外層容器3とが分離しにくい一体化状態となっており、接着剤を使用しなくても強固に一体化した容器を得ることができる。よって、生産コストが低減されると共に、製造設備が簡素化できる。また、内層容器と外層容器が強固に一体化されているため、容器の口部の変形強度が向上したり、印刷時の印圧による容器の変形や破損の防止、真空成形時の真空圧による内層の破損防止効果等が達成される。また、内層容器と外層容器が強固に一体化されているので、横方向の圧縮強度が高く、容器の中にお湯などを入れて手で持っても変形しにくく、持ちやすい容器となる。
【0060】
次に、本発明の複合容器をその製造方法に言及しつつ図面を参照しながら説明する。
【0061】
複合容器1は、図2(a)〜(g)に示すように、内層容器2及び外層容器3の中間体である内層用抄造体2’及び外層用抄造体3’を、抄造型200、300を用いた湿式抄造法によって個別に抄造し、それらを乾燥型600、700で乾燥させて内層容器2及び外層容器3を得た後、これら内層容器2と外層容器3を嵌合させて一体化することによって製造される。
【0062】
図2(a)に示すように、抄造型200の抄造部210は、フランジ部211を有し且つ所定のテーパー角度を有して先端部に進むにつれて先細る形態を有している。
【0063】
抄造部210は、多孔のプレートを曲げて溶接した薄肉型と、その上に被せた金属製の網を曲げて溶接した抄造ネット(図示せず)とを備えている。抄造部310も、多孔のプレートを曲げて溶接した薄肉型と、その上に被せた金属製の網を曲げて溶接した抄造ネットとを備えている。
【0064】
抄造体2’を乾燥成形する乾燥型600は、図2(b)に示すように、雄型610及び雌型620から構成される。雄型610及び雌型620は、剛性を有するアルミニウム合金等の金属製の型である。
【0065】
雄型610は、前記内層容器2の内面形状に対応する凸状の成形部611を有している。成形部611の先端部には、内層容器2のスタック用段差23に対応して縮径する細成形部612が設けられている。
【0066】
成形部611の内部には、気液流通路613、気液流通路613から分かれて外周面において高さ方向に設けられたスリット状に開口する複数の気液流通路614及び底面に周方向に設けられた円弧状に開口する複数のスリット状気流流通路(図示せず)が設けられており、これらの気液流通路を通して抄造体2’を乾燥させるときの脱水・排気が行われる。また、成形部611の内部には、カートリッジヒーター(図示せず)が配されており、成形部611の外表面を加熱ができるようになっている。
【0067】
雌型620は、内層容器2の外形に対応した凹状の成形部621を有している。雌型620の内部にはカートリッジヒーター622が配されている。また、雌型620は、雄型610と組み合わせたときに成形部611の凸状部分と成形部621の間に所定のクリアランスが形成されるように設けられている。図には示していないが、雌型620には、乾燥時間の短縮、抄造体2’の吸引保持用に、胴部に周方向のスリット、底部に円弧上のスリットが設けられている。
【0068】
雄型710は、耐久性向上の観点から天然ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム等の弾性体と、該弾性体の外側を被覆する流体透過性の伸縮性の抄造ネットとを備えている。該抄造ネットは、得られる外層容器3の胴部32の内面を前述のような粗面、特に網目状の粗面とする観点から、その目開きが20〜100メシュ、特に40〜60メッシュのナイロンなどのポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、アラミド、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド製の織物、編物を用いることが好ましい。
成形部711の内部には、気液流通路713から分かれて外周面につながる複数の気液流通路714及び先端面や角部において開口する複数の気液流通路715が設けられており、これらの気液流通路を通して抄造体3’を乾燥させるときの脱水・排気が行われる。
【0069】
雌型720は、外層容器3の外形に対応した凹状の成形部721を有している。雌型720の内部にはカートリッジヒーター722が配されている。雌型720は、内層容器3の外表面に排気孔跡を残さないように、成形部721の内面で開口する排気孔を有していないものを用いることが好ましいが、乾燥時間の短縮、抄造体3’の吸引保持用に、胴部に周方向のスリット、底部に円弧上のスリットを設けることができる。
【0070】
次に、前記両容器を仮想的に重ね合わせたときの胴部の嵌合代、嵌合代の厚みαついて説明する。
図3(a)は、雌型620にフランジ部21を有する胴部の厚みTの内層容器2を収容したときの部分断面図である。図3(b)は、雌型720にフランジ部31を有する外層容器3を収容したときの部分断面図である。なお、内層容器2の密度は外層容器3の密度よりも低く設定されている。内層容器2のフランジ21部の下面と外層容器3のフランジ部31の上面を仮想的に重ね合わせるために、内層容器2が収容された雌型620を矢印方向に移動させると、両容器は図3(c)の状態となる。このとき、外層容器3の胴部と内層容器2の胴部が重なるが、この重なり代(図3(c)の斜線部分)が前記嵌合代であり、その厚みが該嵌合代の厚みαである。
そして、両容器を嵌合させたときに、外層容器3をほとんど変形させずに両容器を強固に一体化するためには、外層容器3の胴部の厚みTと、該厚みTからの厚みαの差分σ(=T−α)との比(σ/T)の値に好ましい範囲が存在することがわかった。すなわち、両容器が、それらを上述のように仮想的に重ね合わせたときに、0<(σ/T)≦0.9、特に0.1≦(σ/T)≦0.4となり、且つ(σ/T)の最大値が0.35以上の部位を有する場合に、複合容器1が、外層容器3がほとんど変形せずに両容器が強固に一体化されたものとなることがわかった。
【0071】
前記比(σ/T)の好ましい範囲及びそれに関する上述の説明は、内層容器2と外層容器3が共にフランジ部を有する場合のほか、何れか一方の容器のみフランジ部を有する場合や両容器共にフランジ部を有しない場合にも適用される。前記(σ/T)は、胴部12における口部近傍部より中央部において小さくするか、または、胴部12における口部近傍部より胴部12における底部近傍において小さくすることが好ましい。口部は底部と比較して、強度が弱いので、両容器の嵌合時の内層容器のつぶれ量が大きいと口部に変形を生じやすくなることから、(σ/T)をこのように設定することによって、口部に変形を生じることなく、強固に一体化した複合容器を得ることができる。尚、胴部における口部近傍とは、複合容器1の高さHに対してフランジ部11の上面部110から0〜5%の部分をいう。
【0072】
また、前記厚みTは容器の圧縮強度、把握強度、印刷強度、薄肉・軽量性、成形性を考慮すると、0.1〜1.5mmが好ましく、0.1〜1.0mmがより好ましい。
【0073】
抄造体2’及び抄造体3’を抄造する場合には、図2(a)及び(d)に示すように、抄造部210、310に設けられた前記気液流通路に、気液流通管220、320を接続しておく。そして、抄造型200、300の抄造部210、310を囲むように原料スラリーの注入管230、330を配した後、注入管230、330に付設されたスラリー供給管231、331のバルブを開き、それぞれ所定のスラリーを抄造部210、310に供給した後、気液流通管220、320のバルブを開いて気液流通管220、320及び前記気液流通路を通して原料スラリー中の液体分を吸引し、前記ネット上に原料スラリー中の固形分を堆積させる。液体成分の吸引による排出が完了し、前記抄造ネットの表面に抄造体2’、3’がそれぞれ形成されたら、注入管230、330は退避させる。また注入管230、330を配した後、所定量の水を供給し、その後、スラリーを投入することもできる。これにより、スラリー内のパルプ繊維が前記抄造ネットにからまることを防ぎ、抄造体の抄造ネットからの離型を容易にすることができる。また、注入管内でスラリー濃度を薄くすることにより、スラリーのタンクなどの設備を大きくすることなく、抄造ムラの少ない抄造体を得ることができるとともに、水の注入量を変えることにより、また、気液流通管220、320のバルブを開くタイミングをかえることにより、抄造体の高さ方向のパルプ量を変えることができる。
【0074】
抄造体2’の抄造に用いられる原料スラリーには、前記パルプ繊維の濃度が0.1〜2.0wt%のスラリーを用いることが好ましい。分散媒に特に制限はないが、取り扱い性、生産コストの点から水や白水を分散媒とすることが好ましい。また、原料スラリーには、必要に応じ、前記添加剤を適宜の割合で含ませることができる。
【0075】
抄造体2’の抄造に用いられる原料スラリーには、分散剤を前記パルプ成分に対し0.01〜0.5wt%含んでいることが好ましい。分散剤が0.01wt%以上であれば分散効果が十分得られ、0.5wt%以下であると長時間を要せずに抄造を行えるほか、前記抄造ネットや型自体の汚れも抑えられる。
前記分散剤としては、各種界面活性剤、ポリエチレンオキシド又はその誘導体等が挙げられ、これらの中でも、泡立ちが少なく、スラリーが取り扱い易い点からポリエチレンオキシドが好ましい。
【0076】
抄造体3’の抄造に用いられる原料スラリーには、前記パルプ繊維の濃度が0.1〜2.0wt%のスラリーを用いることが好ましい。分散媒に特に制限はないが、取り扱い性、生産コストの点から水や白水を分散媒とすることが好ましい。また、該スラリーには、必要に応じ、前記添加剤を適宜の割合で含ませることができる。
【0077】
次に、抄造体2’、3’を乾燥型600、700で乾燥成形する。
図2(b)、(e)に示すように、抄造体2’、3’を、前記ヒーターで加熱された乾燥型600、700内に配して乾燥しながらプレス成形する。このときの抄造体2’、3’の含水率は、乾燥時間の短縮、表面の平滑性、焦げや変色防止の観点から55〜80%、特に60〜75%であることが好ましい。
【0078】
抄造体2’、3’の乾燥時には、雄型610、710の前記気液通路を通して抄造体2’、3’の液体分(蒸気)を吸引し、外部に排出する。
【0079】
抄造体2’、3’の乾燥時における金型温度は、乾燥による焦げ防止、乾燥効率、表面の平滑性等を考慮すると、110〜250℃、特に120〜230℃であることが好ましい。
【0080】
抄造体2’、3’の乾燥後、乾燥型600、700から雄型610、710を退避させて雄型から抄造体2’、3’を取り出し(図2(c)、(f)参照)、内層容器2及び外層容器3としてこれらを嵌合して一体化する。なお、抄造体3’の乾燥後の含水率は、容器の強度低下の防止、嵌合時の抄造体3’の変形防止、嵌合した容器の分離防止の観点から、0〜10%が好ましく、0〜8がより好ましい。また、抄造容器2’の含水率は、同様の観点から、0〜15%が好ましく、0〜10%がより好ましい。
【0081】
次に、図2(g)に示すように、嵌合型800内に外層容器3を収容し、フランジ部31を下方から支持しておく。そして、その上から内層容器2を外層容器3内に挿入し、内層容器2のフランジ部21を押圧プレート(押圧手段)810で下方に押圧して所定時間保持し、これらを嵌合させて一体化する。必要に応じてフランジ部分の余分な部分のトリミングを行って複合容器の製造を完了する。押圧プレートによる押圧力は、内層容器と外層容器の嵌合が完了する程度の圧力に設定される。また押圧プレートの移動速度は、大きすぎると容器に座屈が発生したり、また小さすぎると合体時間が長くなり生産性が低下する。該押圧力は、押圧方向への容器投影面積基準の応力で1〜10MPa、押圧プレートの速度は、10mm/s〜200mm/sとすることが好ましい。
【0082】
内層容器2及び外層容器3の接合には、必要に応じて接着強度を高める上で、接着剤を用いることもできる。該接着剤としては、デンプン、カルボキシメチルセルロース等の天然接着剤、ポリビニルアルコール等の合成水溶性接着剤を用いることが好ましい。
【0083】
このようにして得られる本実施形態の複合容器1は、断熱性、構造強度、表面性、成形性、廃棄性、内容物の保存性等の種々の性能を満たす薄型で軽量な優れた容器であり、特に、縦の圧縮荷重に対する強度及び該圧縮荷重による変形に対する復元性に優れている。
【0084】
複合容器1には、例えば、その内面及びフランジ部を覆うように被覆層を設けることができる。被覆層の厚みは、水蒸気などのバリアー性、ピンホール防止、材料コスト、スプーンや箸等での引っ掻きによる破れ防止性等を考慮すると、0.02〜0.15mm、特に0.03〜0.01mmとすることが好ましい。
【0085】
前記被覆層には、樹脂フィルムを用いることが好ましい。該樹脂フィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル等のポリビニル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂フィルム、変性ポリエチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステル等の生分解性樹脂フィルム等が挙げられる。そしてこれらの中でも、製造コスト、成形性等の点においては、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、環境の点からは、生分解性樹脂フィルムやバイオマス由来の樹脂フィルムが好ましい。被覆層には、これらの樹脂フィルムを、単独で又は二種以上を積層させて用いることもできる。
【0086】
前記被覆層を、樹脂フィルムを用いて設ける場合には、真空成形、圧空成形等の常法により形成することができる。真空成形による場合には、例えば、図4に示すように、真空吸引路910を及びバンドヒーター920を備えた真空成形型900と、ヒーターを備えたプラグ930を用いる。真空成形型900には、複合容器1のフランジ11の下面に対向する部位911と、フランジ部11との間に所定のクリアランスを設けるとともに、該部位911にも真空吸引路910の吸引口を設けておく。
【0087】
そして、真空成形型900内に複合容器1をセットし、更に複合容器1の開口部10を塞ぐように樹脂フィルム40をセットする。さらに、樹脂フィルム40にその上方から加熱したプラグ930を当接させ、樹脂フィルム40を真空成形型900内に押し込み、複合容器1の通気性を利用し、真空吸引路910を通して複合容器1内を真空引きし、複合容器1の内面に樹脂フィルム40を密着させる。
【0088】
このとき、予め加熱して軟化させた樹脂フィルム40を複合容器1のフランジ部11の下面に至るまで巻き込んで密着させる。そして、樹脂フィルム40の不要部分をトリミングして被覆層4の形成を完了する。
【0089】
本発明は、前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
被覆層は、前記実施形態のように、複合容器を樹脂フィルム被覆して設けることが好ましいが、被覆層は前記樹脂フィルムの樹脂成分を含む塗料を塗工して設けることもできる。
【0090】
前記実施形態の複合容器の形状は断面が円形であったが、円形に限らず、楕円状、角形状、等、特に形状には限定されない。また、前記実施形態では、抄紙と乾燥の工程からなるが、抄造体2’,3’を抄造した後脱水型で脱水し、その後乾燥型で乾燥しても良い。また、製造工程において用いられる前記抄造型、前記脱水型、前記乾燥型の向きは、適宜変更することもできる。ハンドリング性、型の加工性、組み立て性、メンテナンス性等を考慮の上、型を割型、分割型にしても良い。また、内層容器2と外層容器3の一体化方法も上記に限らず、容器の形態たとえば、フランジの有無により適宜変更できる。
【実施例】
【0091】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
下記実施例1〜4により、図1に示す形態であって表1に示す寸法を有する複合容器を、表2に示す弾性率の内層容器及び外層容器を作製し、これらを複合化させることにより得た。そして、得られた複合容器の縦の圧縮荷重に対する変形量(つぶれ量)、該圧縮荷重を解いたときの変形量(つぶれ量)を測定し、その復元性を調べた。また、縦の圧縮荷重をかけ続けて座屈が発生したときの圧縮荷重を調べた。なお、内層容器及び外層容器の嵌合状態を確認するために下記のようにして厚み及び分離力を測定した。
【0092】
〔実施例1〕
<内層容器・外層容器の作製>
多孔プレートを曲げ、雄型形状に溶接加工した型の表面に金属網を同様に溶接、加工した抄造型を用い、図2(a)及び(e)のようにして、まず、水を注入して後、下記原料スラリーを供給し、湿潤状態の抄造体を形成した。
内層用原料スラリー;
パルプ成分配合:(パルプ繊維(HBA(ウエアハウザー社製)/下記外層用パルプ=重量比3/7、CSF=720ml)、パルプスラリー中のパルプ繊維濃度は0.5重量%、水投入後の濃度は0.25重量%)
サイズ剤:対パルプ重量比2%
外層用原料スラリー;
パルプ成分配合:(パルプ繊維(商品名ヒントン/商品名セニブラ=重量比で5/5、CSF=450ml)、パルプスラリー中のパルプ繊維濃度は0.5重量%、水投入後の濃度は0.25重量%)
サイズ剤(対パルプ重量比2%)
【0093】
得られた内層用の抄造体を図2(b)のように乾燥型内に配置し、下記条件で乾燥成形した。
金型(620)の温度を200℃、金型(610)の温度200℃とし乾燥時間は25秒とした。
得られた外層用の抄造体を図2(e)のように乾燥型内に配置し、下記条件で乾燥成形した。
金型(720)の温度:170℃
押圧力は9800N(押圧は50秒間継続)
【0094】
得られた外層容器を嵌合型内に収容し、下記条件において、図2(g)のようにして内層容器を常温の押圧プレートで押圧してこれらの容器を嵌合させ、図1に示す複合容器1を得た。
押圧力:1470N(押圧方向への容器投影面積基準の応力:2.1MPa)
押圧保持時間:4秒
【0095】
〔圧縮強度の評価〕
万能試験機(オリエンテック社製、「テンシロンRTA500」)を用い、得られた複合容器を、開口部を上にして水平に載置し、ロードセル速度20mm/分にて上方から荷重をかけて縦方向の圧縮強度を測定した。圧縮強度は、294Nに達した時点での変位をもって、荷重時のつぶれ量とした。そして、その変位のままで1時間保持した後に荷重を解放し、荷重解放してから24時間後の容器の高さを測定し、圧縮荷重を付加する前の容器の高さとの差をもって解放後のつぶれ量とした。その後、再び同速度でロードセルを可動させて複合容器に縦の圧縮荷重をかけて座屈に至るまでの荷重(座屈荷重)を求めた結果、本実施例の複合容器は、圧縮荷重が637Nにおいて、胴部に座屈が発生した。
【0096】
〔厚みの測定〕
厚み測定計(日本パラメトリクス株式社製、マグナマイク、モデル8000)により、ターゲットボール直径1/8インチを使用して外層厚みを測定した。フランジ厚みはノギスを用いて測定した。
【0097】
〔分離力の測定〕
得られた複合容器の外層容器のフランジ部をカットし、複合容器の開口部を下方に向けて内層容器のフランジ部を接地固定し、得られた複合容器の口部を下向きにして外層容器の外表面を吸引型で吸着した状態で万能試験機(オリエンテック社製、テンシロンRTA500)でロードセル速度5mm/分で引き上げたときのロードセルの荷重を測定し、内層容器と外層容器が分離したときの荷重を分離力とした。表3に、容器の胴部におけるσ/Tと分離力の関係を示す。
【0098】
〔実施例2〕
実施例1と同様にして製造したものを用い、縦圧縮荷重を294Nから441Nに変更した以外は、実施例1と同様の評価を行った。本実施例の複合容器は、圧縮荷重が637Nにおいて、胴部に座屈が発生した。
【0099】
〔実施例3〕
実施例1と同様の内層用及び外層用原料スラリーを用い、前述した嵌合代を有しないように内層容器と外層容器とをそれぞれ作製した。そして、表1に示す外形形状に対応するクリアランスを有する乾燥型を用いてこれら両容器を複合化させて複合容器を得た。得られた複合容器を用い、実施例1と同様の評価を行った。本実施例の複合容器の分離力を測定したところ、分離力は複合化の際の外層容器の吸引力のみによる39Nとなり、両容器には嵌合が生じていなかった。本実施例の複合容器は、圧縮荷重が490Nにおいて、胴部に座屈が発生した。
【0100】
〔実施例4〕
実施例3と同様にして製造したものを用い、実施例2と同様の評価を行った。本実施例の複合容器の分離力を測定したところ、分離力は複合化の際の外層容器の吸引力のみによる39Nとなり、両容器には嵌合が生じていなかった。本実施例の複合容器は、圧縮荷重が490Nにおいて、胴部に座屈が発生した。
【0101】
〔比較例1〕
実施例1と同様の内層用及び外層用原料スラリーを用い、内層用抄造体及び外層用抄造体を抄造し、乾燥させた外層用抄造体に湿潤状態の内層用抄造体を重ね合わせ、表1に示す外形形状に対応するクリアランスを有する乾燥型(雄雌型)を用い、両容器を複合化させて複合容器を得た。得られた複合容器について、実施例1と同様の評価を行った。本比較例の複合容器の分離力を測定したところ、分離力は複合化の際の外層容器の吸引力のみによる39Nとなり、両容器には嵌合が生じていなかった。本実施例の複合容器は、圧縮荷重が392Nにおいて、底部の角に座屈が発生した。
【0102】
【表1】

【0103】
【表2】

【0104】
【表3】

【0105】
表2に示したように、内層容器の弾性率が外層容器よりも低く、複合容器の底部の外側における角部の曲率半径Roが5mm以下である各実施例の複合容器は、縦の圧縮荷重に対する強度及び該圧縮荷重による変形に対する復元性に優れていることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の複合容器は、その用途に特に制限はなく、また収容される内容物にも特に制限はない。用途としては、例えば、前記実施形態のインスタントカップ麺の他、麺類以外のインスタント食品、アイスクリーム、菓子等の各種食品・飲食品の他、調味料、薬品、化粧品、洗剤等の収納容器であって、容器本体に収容する内容物とは別に物品を添付する形態の容器が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の複合容器の一実施形態を模式的に示す図であり、(a)は半断面図、(b)は(a)のAの部分の拡大図、(c)は(a)のBの部分の拡大図、(d)は(a)のCの部分の拡大図である。
【図2】同実施形態の複合容器の製造工程を模式的に示す図であり、(a)は内層容器用の抄造体の抄造工程を示す図、(b)は内層容器用の抄造体の乾燥成形工程を示す図、(c)は内層容器を示す図、(d)は外層容器用の抄造体の抄造工程を示す図、(e)は外層容器用の抄造体の乾燥成形工程を示す図、(f)は外層容器用の抄造体を示す図、(g)は内層容器と外層容器を嵌合させている状態を示す図である。
【図3】(a)〜(c)は、同実施形態における乾燥型に収容された内層容器と外層容器を仮想的に重ねあわせた状態を説明するための部分断面図である。
【図4】同実施形態の複合容器の製造工程における、被覆層の形成工程を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0108】
1 複合容器
10 口部
11 フランジ部
12 胴部
13 段差
14 底部
2 内層容器
3 外層容器
620、720 雌型(乾燥型)
800 嵌合型
810 押圧部材
900 真空成形型
930 プラグ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプを含む原料からそれぞれ抄造された内層容器と外層容器とが複合化された複合容器であって、
前記内層容器は前記外層容器よりも弾性率が低く、前記複合容器の底部の外側における角部の曲率半径Roが5mm以下である複合容器。
【請求項2】
前記内層容器と前記外層容器とを仮想的に重ね合わせたときにそれらの胴部が重なり合う嵌合代を有している請求項1記載の複合容器。
【請求項3】
前記内層容器が嵩高処理パルプを含んでいる請求項1又は2記載の複合容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−160314(P2006−160314A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354586(P2004−354586)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】