説明

複合廃材破砕物の分離精製方法

【課題】複合廃材破砕物は、有用物を人手、又は磁力等の乾式の選別方法で回収されているが、回収効率又はコストが高く、最終処分場で破棄される複合廃材破砕物中には80%以上の有用物が多く含まれている。
【解決手段】湿式ジグの組合せプロセスにより複合単体分離された素材を10程度の種類の素材別に分離精製し、80%以上の原料又は燃料としての有用物を回収することにより資源の確保、最終処分場の埋立減容による環境上の問題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例えば、使用済み自動車がバッテリィ、エンジン等の部品を解体し分別された後、残りの解体物は破砕機により破砕され、鉄等の有用物を人手、又は磁力により選別されるが、それら以外の残渣物は複合廃材破砕物(SR)として最終処分地に埋立される。この残渣物には、約10%の金属類及び約70%のプラスチック類及び約20%のガラス等無機物が混在しているが、それらの構成材料中には例えば、金属類は更に重い比重の金属と軽い比重の金属、プラスチック類は塩素含有系プラスチックと非塩素含有系プラスチックと水より軽いプラスチック、ガラス等無機物はガラス、砂利、泥等の材料で構成されているが、これらを個別に分離精製する技術である。
【背景技術】
【0002】
破砕機により破砕した複合廃材から有用物を回収する既存技術は、磁力選別、渦電流選別及び空気分級法で行なわれている。部分的な選別物に対して湿式による選別機があるが、ほとんどの既存技術は主に金属の回収手段として利用されている。複合廃材破砕物の残渣物から更に残留有用物を分離精製する技術はない。更に、複合廃材破砕物からプラスチック類やガラス等無機物は分離効率が低く、材料を種類別に選別する性能の高い技術はない。更に、既存の選別方式は運転の複雑さ及び運転コストが高い欠点を持っている。
【特許文献1】特開 2000−185241公報
【特許文献2】特開 2004−143575公報
【特許文献3】特開 2004−34674公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、自動車を構成している部品は非常に多く、現在使用済み自動車から解体時に人手及び機械で回収している部分は、バッテリィ、エンジン等である。破砕した後に回収している材料は磁力又は渦電流を利用した鉄及びアルミニウム程度であるが、これらの材料もプラスチック等との混在物中にあるため、回収効率が低く全量を回収することは出来ない。従って、例えば、金属類とプラスチック類に選別してから、磁力又は渦電流による金属の選別を行うことにより効率の高い回収が可能となる。金属類の銅、タングステン、鉛、ステンレスは混合金属として回収し、例えば非鉄金属の精錬工場によって素材にすることが可能である。又、例えばプラスチック類は燃料として使用する場合、プラスチック類内に塩素含有系プラスチックが混在していると燃焼時に有害物質が発生する。従って塩素含有系プラスチックを除去することが必要である。又、プラスチック類混合物を原料として再利用する場合、他のプラスチック含有量が1〜2%以下でないと利用出来ないとしている。又ガラス、砂利、泥等の無機物の非燃焼物は除去する必要がある。
【0004】
しかし、将来の目標は全量の材料を有用物として再利用することであり、ガラスは再利用も望まれている。可燃物を燃焼エネルギーに単に換えるのでなく、プラスチックは塩素含有系プラスチックを含め、素材として再利用する必要性もある。従って、本発明により素材の分離が出来ることにより再利用原料としての価値が生じ、資源の確保、環境問題の解決につながる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
複合廃材破砕物の残渣物の中で実験材料とし、ジグ選別機によるシステムの実証を行った。使用済み自動車のシュレッダーダスト(ASR)は多くの材料品目から構成された廃棄物であるが、個別材料に分離した場合、有用物材料として成立する品目を表3に示す11種類とし、2種類は市場性がないものと仮定して、図1に示すフローに基づき実験を行った。
【0006】
表1は図1に示すフローの内、粒径8mm以上の材料を分離精製した粗粒選別産物名に対する材料の種類を明記したものである。
【0007】
又、表2は図1に示すフロー内、粒径8mm以下の材料を分離精製した細粒選別産物名と材料の種類を明記したものである。
【0008】
図1のフローに従って、分離精製された各材料に対して同一種類の材料品目にまとめたものを表3に示す。市場性の高い有用物材料は品番8、品番10を除いて全てであり、全量割合79.8%が有用物として回収可能であることを示した。即ち、既存技術では、破棄されていたASRから79.8%を更に再利用可能な原材料が回収することを意味する。したがって、図1に示す実証試験のフロー及びマテリアルバランスは課題を解決することを可能にした。
【発明の効果】
【0009】
現在、複合廃材破砕混合物(SR)は、最終廃棄物として埋立処分地に搬送され埋立られ処分されていた。但し、本発明により、土砂系材料を除いた場合、約80.0%の廃棄物が有用物となることが確認された。更に土砂系材料が再生土として実現出来れば、ほぼ全量が再利用される材料となり、新規埋立処分場の建設が不要となる。又、既存の埋立処分されていた産業廃棄物を掘起こし再度分離精製することにより、埋立処分容量の確保にもつながる。総合的な見地から資源の確保、不法投棄、大気汚染及びCO発生抑制の環境問題の対策、新産業への雇用を生むことになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に示すフローによって、実証試験を行った結果、図2に示す複合廃材選別プロセスが発明された。図2は分離精製対象物はASRのみならず、使用済み家電機器の破砕残渣物、建築廃材の破砕残渣物等の複合廃材の残渣物の分離精製することが可能である。図2は実証試験プロセスフローシートである。SRの粒径は40mm以下に破砕されたものであるが、実際は200mm程度の粒径を持った大塊異物も混在してくる。従って、本発明の図2に示すプロセスは、前処理設備には、SRを篩分機は繊維系又は長形物を篩分し、40mm以下にする篩分機が設置されている。
【0011】
40mm以下のSRから有用物のみを有効に選別する方法として湿式の比重選別機を設け、比重の重い順序に選別していく方法を採用するが、湿式比重選別機は、例えば図2に示す構造をもつ選別室が4槽の粗粒湿式比重選別機の場合は、1槽目で例えば10mm以下の粒径を網下から排出させ、10mm以上のSRは2槽目に行くが、比重の最も重い鉛、銅、ステンレススチール等は2槽目の中間帯にある金属用排出口から金属混合物を回収する構造としている。又、2槽目の先端に排出口があり中間比重の金属、例えばアルミニウムを回収する装置が取付けられている。
【0012】
3槽目選別槽より後段の選別は混合プラスチック粒子成分を選別する機能を持たせ、3槽目選別槽は混合プラスチック粒子系成分の中でも比重の重い、例えば、塩素含有系プラスチック粒子を選別するため成層させる選別室であり3槽目選別槽の先端にある重比重プラスチック成分排出装置から、例えば塩素含有系プラスチック成分を回収する。
【0013】
4槽目選別槽は、3槽目選別槽と同様な考え方で例えば、アクリルニトリルブタジエン(ABS)系、ポリスチレン(PS)系プラスチックの中比重プラスチック成分を選別回収する選別槽である。尚、湿式比重選別装置の選別水と共にオーバーフローとなって排出される成分は、殆どが水より軽い例えばポリプロピレン(PP)系、ウレタン(U)系の混合プラスチック粒子である。
【0014】
又、図2において、網下沈降産物中は細粒湿式比重選別機により、基本的には粗粒湿式比重選別機と同様に選別されるが、例えば選別室が2槽の場合は1槽目の選別槽で10mm以下の細粒金属混合物は人工充填層を通して、網下沈降物として回収し、1槽目選別槽にある排出機からはガラス、石等の無機物を排出させる構造の選別機を採用している。
【0015】
2槽目選別槽は細粒のプラスチックを選別する選別室であり、塩素含有系の比較的比重の重いプラスチックを2槽目選別槽の排出機から排出させ回収する。又、細粒湿式比重選別機のオーバーフロでは選炭水と共に細粒のABS、PS系プラスチックが回収される。
【0016】
従って、本発明の最良の構成される形態のプロセス及び機器の機能は多岐複合材料で構成されている家電機器又は建築物等が解体され、破砕工程を経てきたSRは、大塊を除去後、設定された粒径範囲のSRを粗粒の湿式比重選別機により、求められる素材を比重の差を利用して選別し、又選別性能効率を低下させる長形のSRを選別機の外に取出し、又SRを10mm前後で粗粒と細粒に分離して、細粒湿式比重選別機でも比重別にSRを選別することである。更に細粒湿式比重選別機の構成として、細粒金属混合物を回収する方法は選別室に人工充填層の材料としてガラス球、金属球又は砂利を利用し、網下の沈降物として回収する装置でシステムを構成することにより、本発明の最良の形態である。
【実施例1】
【0017】
図3は、複合廃材破砕混合物(SR)00は、破砕され粒径40mm以下の複合廃材原料▲1▼から鉄系金属▲3▼、アルミニウム金属▲4▼、ミックス金属▲5▼と細粒ミックス金属▲9▼、▲13▼、浮上物▲6▼と繊維質プラスチック▲11▼、ガラス・石▲10▼、塩素含有系プラスチック▲14▼、混合プラスチック▲15▼、土砂▲16▼の9種類の産物に分離精製されたSR分離精製設備プロセスフローシートである。図1に示されている粗粒湿式比重選別機と細粒湿式比重選別機は粗粒粗選別機04及び細粒粗選別機12に相当するが、実施例において金属類と混合プラスチック粒子の有用物回収プロセスは実用機の場合はプロセスを変えている。
【0018】
SR00には、大物粒のSRが混入していることが多く、粒径40mm以下を選別対象物とするため、篩分機01が設置され、下部シュート02から粒径40mm以下のSRを受ける。粒径40mm以上の大物粒のSRは破砕機03によって、粒径40mm以下のSRにして、下部シュート02産物とともに粗粒粗選別機(LRジグ)04に装入される。LRジグ04は、5産物が回収される機能を持っていて、LRジグ1槽目産物は約8mm粒径の沈降性細粒物▲8▼として網下から回収される。
【0019】
LRジグ2槽目産物は、金属物を回収する選別槽であり、回収された金属物は鉄系及び非鉄系であり、非鉄系の含有物からアルミニウムと非アルミニウムを選別するため、金属物を回収した後、鉄系金属▲3▼は粗粒磁力選鉱機05で、粗粒アルミニウム選鉱機06で、アルミニウム金属▲4▼とアルミニウム以外の非鉄金属(ミックス金属▲5▼)とに選別する。したがって、金属物は3種類の産物として回収する。長形物は水中で脈動を付与することにより集合する現象を利用して、集合長形物を除去する長形物回収装置07で外に取出す。
【0020】
LRジグ3槽目産物のほとんどは混合プラスチック粒子であるが、若干の細粒金属が残留している場合があるので、LRジグ2槽目と同様なフローとし、細粒磁力選鉱機08と細粒アルミニウム選鉱機09を設置している。LRジグ3槽目産物で回収された細粒プラスチック▲7▼はプラスチックシュレッダー10により、約8mm粒径に粉砕される。
【0021】
LRジグ1槽目産物の沈降性細粒物▲8▼は土砂▲16▼を多く含まれているので、脱泥スクリーン11により、粒径2.5mm以下の篩下産物は土砂▲16▼として回収される。粒径2.5mm以上の篩上産物は、細粒粗選別機(SRジグ)12に搬送され、細粒ミックス金属▲9▼とガラス、石▲10▼の無機物質、細粒プラスチック▲12▼と繊維質産物▲11▼とに分離精製される。SRジグ1槽目の網下産物は細粒ミックス金属▲9▼であり、鉄系金属及び非鉄系金属の混合物であるので前述の細粒磁力選鉱機08及び細粒アルミニウム選鉱機09によって分離精製され回収することになる。SRジグ1槽目の選別産物は、ガラス、石類▲10▼の無機物回収物であり、更にガラスと石類は選別回収することは可能である。SRジグ2槽目の選別産物は、細粒プラスチック▲12▼であり、プラスチックシュレッダー10に搬送される。又、SRジグ2槽目には、粒径8mm以上の長形物が混在するので、細長形物回収装置13が設置されている。SRジグのオーバーフロ産物は、繊維質プラスチック▲11▼がほとんどであり有用物としてLRジグのオーバーフロ産物の浮上物▲6▼とともに回収する。プラスチックシュレッダー10により、粉砕されたプラスチックは細粒精選別機14に装入され、細粒ミックス金属▲13▼、塩素含有系プラスチック▲14▼、混合プラスチック▲15▼に分離精製される。粉砕プラスチックには、若干の細粒の金属が混入している場合があるので、1槽目の細粒ミックス金属▲13▼は、ミックス金属▲5▼とともに有用物として回収する。2槽目は、塩素含有系プラスチック▲14▼を回収する。オーバーフロとなる例えば、ABS、PS系プラスチックは混合プラスチック▲15▼として回収するが、必要に応じてABSとPSを個別に分離精製することもありうる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
使用済み自動車シュレッダーダストには有用物が多く含まれている。金属及びプラスチックおよび窯業系に選別されるとそれらは、原料又は燃料として再利用可能となる。本発明のプロセス及び機器の構成はすでに実証されてきており、土砂系以外の混在物がない場合シュレッダーダストの有用物としての回収率は、99%を越えることを確認してきている。従って、本発明の実現より、資源の再利用、環境保全等多くの利点を持つことになる。又、他の産業廃棄物である例えば、家電シュレッダーダスト及び建築廃材の回収技術として応用される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【表1】
粒径8mm以上の材料を分離精製した粗粒選別産物名の表である。
【表2】
粒径8mm以下の材料を分離精製した細粒選別産物名の表である。
【表3】
分離精製された各材料名と重量割合を示す表である。
【図1】
実証機のフロー及びマテリアルバランス図である。
【図2】
SR選別主要プロセスである。
【図3】
本実施形態のプロセスフローシートである。
【符号の説明】
【0025】
00 複合廃材破砕混合物(SR)
01 篩分機
02 下部シュート
03 破砕機
04 粗粒粗選別機(LRジグ)
05 粗粒磁力選鉱機
06 粗粒アルミニウム選鉱機
07 長形物回収装置
08 細粒磁力選鉱機
09 細粒アルミニウム選鉱機
10 プラスチックシュレッダー
11 脱泥スクリーン
12 細粒粗選別機(SRジグ)
13 細長形物回収装置
14 細粒精選別機(SCジグ)
▲1▼ 複合廃材原料
▲2▼ 長形物
▲3▼ 鉄系金属
▲4▼ アルミニウム金属
▲5▼ ミックス金属
▲6▼ 浮上物
▲7▼ 粗粒プラスチック
▲8▼ 沈降性細粒物
▲9▼ 細粒ミックス金属
▲10▼ ガラス・石
▲11▼ 繊維質プラスチック
▲12▼ 細粒プラスチック
▲13▼ 細粒ミックス金属
▲14▼ 塩素含有系プラスチック
▲15▼ 混合プラスチック
【表1】

【表2】

【表3】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例えば、使用済み自動車がバッテリィ、エンジン等の部品を解体し分別された後、残りの解体物は破砕機により破砕され、鉄等の有用物を人手、又は磁力により選別されるが、それら以外の残渣物は複合廃材破砕物(SR)として最終処分地に埋立される。この残渣物には、約10%の金属類及び約70%のプラスチック類及び約20%のガラス等無機物が混在しているが、それらの構成材料中には例えば、金属類は更に重い比重の金属と軽い比重の金属、プラスチック類は塩素含有系プラスチックと非塩素含有系プラスチックと水より軽いプラスチック、ガラス等無機物はガラス、砂利、泥等の材料で構成されているが、これらを個別に分離精製する技術である。
【背景技術】
【0002】
破砕機により破砕した複合廃材から有用物を回収する既存技術は、磁力選別、渦電流選別及び空気分級法で行なわれている。部分的な選別物に対して湿式による選別機があるが、ほとんどの既存技術は主に金属の回収手段として利用されている。複合廃材破砕物の残渣物から更に残留有用物を分離精製する技術はない。更に、複合廃材破砕物からプラスチック類やガラス等無機物は分離効率が低く、材料を種類別に選別する性能の高い技術はない。更に、既存の選別方式は運転の複雑さ及び運転コストが高い欠点を持っている。
【特許文献1】特開 2000−185241公報
【特許文献2】特開 2004−143575公報
【特許文献3】特開 2004−34674公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、自動車を構成している部品は非常に多く、現在使用済み自動車から解体時に人手及び機械で回収している部分は、バッテリィ、エンジン等である。破砕した後に回収している材料は磁力又は渦電流を利用した鉄及びアルミニウム程度であるが、これらの材料もプラスチック等との混在物中にあるため、回収効率が低く全量を回収することは出来ない。従って、例えば、金属類とプラスチック類に選別してから、磁力又は渦電流による金属の選別を行うことにより効率の高い回収が可能となる。金属類の銅、タングステン、鉛、ステンレスは混合金属として回収し、例えば非鉄金属の精錬工場によって素材にすることが可能である。又、例えばプラスチック類は燃料として使用する場合、プラスチック類内に塩素含有系プラスチックが混在していると燃焼時に有害物質が発生する。従って塩素含有系プラスチックを除去することが必要である。又、プラスチック類混合物を原料として再利用する場合、他のプラスチック含有量が1〜2%以下でないと利用出来ないとしている。又ガラス、砂利、泥等の無機物の非燃焼物は除去する必要がある。
【0004】
しかし、将来の目標は全量の材料を有用物として再利用することであり、ガラスは再利用も望まれている。可燃物を燃焼エネルギーに単に換えるのでなく、プラスチックは塩素含有系プラスチックを含め、素材として再利用する必要性もある。従って、本発明により素材の分離が出来ることにより再利用原料としての価値が生じ、資源の確保、環境問題の解決につながる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
複合廃材破砕物の残渣物の中で実験材料とし、ジグ選別機によるシステムの実証を行った。使用済み自動車のシュレッダーダスト(ASR)は多くの材料品目から構成された廃棄物であるが、個別材料に分離した場合、有用物材料として成立する品目を表1に示す11種類とし、2種類は市場性がないものと仮定して、図1に示すフローに基づき実験を行った。
【表1】

【0006】
表2は図1に示すフローの内、粒径8mm以上の材料を分離精製した粗粒選別産物名に対する材料の種類を明記したものである。
【表2】


【0007】
又、表3は図1に示すフロー内、粒径8mm以下の材料を分離精製した細粒選別産物名と材料の種類を明記したものである。
【表3】

【0008】
図1のフローに従って、分離精製された各材料に対して同一種類の材料品目にまとめたものを表3に示す。市場性の高い有用物材料は品番8、品番10を除いて全てであり、全量割合79.8%が有用物として回収可能であることを示した。即ち、既存技術では、破棄されていたASRから79.8%を更に再利用可能な原材料が回収することを意味する。したがって、図1に示す実証試験のフロー及びマテリアルバランスは課題を解決することを可能にした。
【発明の効果】
【0009】
現在、複合廃材破砕混合物(SR)は、最終廃棄物として埋立処分地に搬送され埋立られ処分されていた。但し、本発明により、土砂系材料を除いた場合、約80.0%の廃棄物が有用物となることが確認された。更に土砂系材料が再生土として実現出来れば、ほぼ全量が再利用される材料となり、新規埋立処分場の建設が不要となる。又、既存の埋立処分されていた産業廃棄物を掘起こし再度分離精製することにより、埋立処分容量の確保にもつながる。総合的な見地から資源の確保、不法投棄、大気汚染及びCO発生抑制の環境問題の対策、新産業への雇用を生むことになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に示すフローによって、実証試験を行った結果、図2に示す複合廃材選別プロセスが発明された。図2は分離精製対象物はASRのみならず、使用済み家電機器の破砕残渣物、建築廃材の破砕残渣物等の複合廃材の残渣物の分離精製することが可能である。図2は実証試験プロセスフローシートである。SRの粒径は40mm以下に破砕されたものであるが、実際は200mm程度の粒径を持った大塊異物も混在してくる。従って、本発明の図2に示すプロセスは、前処理設備には、SRを篩分機は繊維系又は長形物を篩分し、40mm以下にする篩分機が設置されている。
【0011】
40mm以下のSRから有用物のみを有効に選別する方法として湿式の比重選別機を設け、比重の重い順序に選別していく方法を採用するが、湿式比重選別機は、例えば図2に示す構造をもつ選別室が4槽の粗粒湿式比重選別機の場合は、1槽目で例えば10mm以下の粒径を網下から排出させ、10mm以上のSRは2槽目に行くが、比重の最も重い鉛、銅、ステンレススチール等は2槽目の中間帯にある金属用排出口から金属混合物を回収する構造としている。又、2槽目の先端に排出口があり中間比重の金属、例えばアルミニウムを回収する装置が取付けられている。
【0012】
3槽目選別槽より後段の選別は混合プラスチック粒子成分を選別する機能を持たせ、3槽目選別槽は混合プラスチック粒子系成分の中でも比重の重い、例えば、塩素含有系プラスチック粒子を選別するため成層させる選別室であり3槽目選別槽の先端にある重比重プラスチック成分排出装置から、例えば塩素含有系プラスチック成分を回収する。
【0013】
4槽目選別槽は、3槽目選別槽と同様な考え方で例えば、アクリルニトリルブタジエン(ABS)系、ポリスチレン(PS)系プラスチックの中比重プラスチック成分を選別回収する選別槽である。尚、湿式比重選別装置の選別水と共にオーバーフローとなって排出される成分は、殆どが水より軽い例えばポリプロピレン(PP)系、ウレタン(U)系の混合プラスチック粒子である。
【0014】
又、図2において、網下沈降産物中は細粒湿式比重選別機により、基本的には粗粒湿式比重選別機と同様に選別されるが、例えば選別室が2槽の場合は1槽目の選別槽で10mm以下の細粒金属混合物は人工充填層を通して、網下沈降物として回収し、1槽目選別槽にある排出機からはガラス、石等の無機物を排出させる構造の選別機を採用している。
【0015】
2槽目選別槽は細粒のプラスチックを選別する選別室であり、塩素含有系の比較的比重の重いプラスチックを2槽目選別槽の排出機から排出させ回収する。又、細粒湿式比重選別機のオーバーフロでは選炭水と共に細粒のABS、PS系プラスチックが回収される。
【0016】
従って、本発明の最良の構成される形態のプロセス及び機器の機能は多岐複合材料で構成されている家電機器又は建築物等が解体され、破砕工程を経てきたSRは、大塊を除去後、設定された粒径範囲のSRを粗粒の湿式比重選別機により、求められる素材を比重の差を利用して選別し、又選別性能効率を低下させる長形のSRを選別機の外に取出し、又SRを10mm前後で粗粒と細粒に分離して、細粒湿式比重選別機でも比重別にSRを選別することである。更に細粒湿式比重選別機の構成として、細粒金属混合物を回収する方法は選別室に人工充填層の材料としてガラス球、金属球又は砂利を利用し、網下の沈降物として回収する装置でシステムを構成することにより、本発明の最良の形態である。
【実施例1】
【0017】
図3は、複合廃材破砕混合物(SR)00は、破砕され粒径40mm以下の複合廃材原料▲1▼から鉄系金属▲3▼、アルミニウム金属▲4▼、ミックス金属▲5▼と細粒ミックス金属▲9▼、▲13▼、浮上物▲6▼と繊維質プラスチック▲11▼、ガラス・石▲10▼、塩素含有系プラスチック▲14▼、混合プラスチック▲15▼、土砂▲16▼の9種類の産物に分離精製されたSR分離精製設備プロセスフローシートである。図1に示されている粗粒湿式比重選別機と細粒湿式比重選別機は粗粒粗選別機04及び細粒粗選別機12に相当するが、実施例において金属類と混合プラスチック粒子の有用物回収プロセスは実用機の場合はプロセスを変えている。
【0018】
SR00には、大物粒のSRが混入していることが多く、粒径40mm以下を選別対象物とするため、篩分機01が設置され、下部シュート02から粒径40mm以下のSRを受ける。粒径40mm以上の大物粒のSRは破砕機03によって、粒径40mm以下のSRにして、下部シュート02産物とともに粗粒粗選別機(LRジグ)04に装入される。LRジグ04は、5産物が回収される機能を持っていて、LRジグ1槽目産物は約8mm粒径の沈降性細粒物▲8▼として網下から回収される。
【0019】
LRジグ2槽目産物は、金属物を回収する選別槽であり、回収された金属物は鉄系及び非鉄系であり、非鉄系の含有物からアルミニウムと非アルミニウムを選別するため、金属物を回収した後、鉄系金属▲3▼は粗粒磁力選鉱機05で、粗粒アルミニウム選鉱機06で、アルミニウム金属▲4▼とアルミニウム以外の非鉄金属(ミックス金属▲5▼)とに選別する。したがって、金属物は3種類の産物として回収する。長形物は水中で脈動を付与することにより集合する現象を利用して、集合長形物を除去する長形物回収装置07で外に取出す。
【0020】
LRジグ3槽目産物のほとんどは混合プラスチック粒子であるが、若干の細粒金属が残留している場合があるので、LRジグ2槽目と同様なフローとし、細粒磁力選鉱機08と細粒アルミニウム選鉱機09を設置している。LRジグ3槽目産物で回収された細粒プラスチック▲7▼はプラスチックシュレッダー10により、約8mm粒径に粉砕される。
【0021】
LRジグ1槽目産物の沈降性細粒物▲8▼は土砂▲16▼を多く含まれているので、脱泥スクリーン11により、粒径2.5mm以下の篩下産物は土砂▲16▼として回収される。粒径2.5mm以上の篩上産物は、細粒粗選別機(SRジグ)12に搬送され、細粒ミックス金属▲9▼とガラス、石▲10▼の無機物質、細粒プラスチック▲12▼と繊維質産物▲11▼とに分離精製される。SRジグ1槽目の網下産物は細粒ミックス金属▲9▼であり、鉄系金属及び非鉄系金属の混合物であるので前述の細粒磁力選鉱機08及び細粒アルミニウム選鉱機09によって分離精製され回収することになる。SRジグ1槽目の選別産物は、ガラス、石類▲10▼の無機物回収物であり、更にガラスと石類は選別回収することは可能である。SRジグ2槽目の選別産物は、細粒プラスチック▲12▼であり、プラスチックシュレッダー10に搬送される。又、SRジグ2槽目には、粒径8mm以上の長形物が混在するので、細長形物回収装置13が設置されている。SRジグのオーバーフロ産物は、繊維質プラスチック▲11▼がほとんどであり有用物としてLRジグのオーバーフロ産物の浮上物▲6▼とともに回収する。プラスチックシュレッダー10により、粉砕されたプラスチックは細粒精選別機14に装入され、細粒ミックス金属▲13▼、塩素含有系プラスチック▲14▼、混合プラスチック▲15▼に分離精製される。粉砕プラスチックには、若干の細粒の金属が混入している場合があるので、1槽目の細粒ミックス金属▲13▼は、ミックス金属▲5▼とともに有用物として回収する。2槽目は、塩素含有系プラスチック▲14▼を回収する。オーバーフロとなる例えば、ABS、PS系プラスチックは混合プラスチック▲15▼として回収するが、必要に応じてABSとPSを個別に分離精製することもありうる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
使用済み自動車シュレッダーダストには有用物が多く含まれている。金属及びプラスチックおよび窯業系に選別されるとそれらは、原料又は燃料として再利用可能となる。本発明のプロセス及び機器の構成はすでに実証されてきており、土砂系以外の混在物がない場合シュレッダーダストの有用物としての回収率は、99%を越えることを確認してきている。従って、本発明の実現より、資源の再利用、環境保全等多くの利点を持つことになる。又、他の産業廃棄物である例えば、家電シュレッダーダスト及び建築廃材の回収技術として応用される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実証機のフロー及びマテリアルバランス図である。
【図2】SR選別主要プロセスである。
【図3】本実施形態のプロセスフローシートである。
【符号の説明】
【0025】
00 複合廃材破砕混合物(SR)
01 篩分機
02 下部シュート
03 破砕機
04 粗粒粗選別機(LRジグ)
05 粗粒磁力選鉱機
06 粗粒アルミニウム選鉱機
07 長形物回収装置
08 細粒磁力選鉱機
09 細粒アルミニウム選鉱機
10 プラスチックシュレッダー
11 脱泥スクリーン
12 細粒粗選別機(SRジグ)
l3 細長形物回収装置
14 細粒精選別機(SCジグ)
▲1▼ 複合廃材原料
▲2▼ 長形物
▲3▼ 鉄系金属
▲4▼ アルミニウム金属
▲5▼ ミックス金属
▲6▼ 浮上物
▲7▼ 粗粒プラスチック
▲8▼ 沈降性細粒物
▲9▼ 細粒ミックス金属
▲10▼ ガラス・石
▲11▼ 繊維質プラスチック
▲12▼ 細粒プラスチック
▲13▼ 細粒ミックス金属
▲14▼ 塩素含有系プラスチック
▲15▼ 混合プラスチック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み自動車、使用済み家電機器が解体処理及び建築廃材が手選別により大物の複合廃材及び大物の有用物が回収された後、残渣物となった複合廃材は破砕機により破砕され、多種の金属混合物、多種のプラスチック混合物、多種の無機物混合物を含む複合廃材破砕混合物となるが、複合廃材破砕混合物となる使用済み自動車、使用済み家電機器、建築廃材等の産業廃棄物、一般産業廃棄物が、単独または複数の複合廃材破砕混合物は構成されている材料を別々に選別することにより、再生新原料となる。再生新原料を製造する方法として、複合廃材破砕混合物を水槽の中で水とともに上下方向に脈動させ、比重の重い物体から比重の軽い物体を順次分離精製する湿式比重選別機(ジグ選別機)で選別するが、選別システムは40mm以下の複合廃材破砕混合物の選別が3種類の機能別のジグ選別機からなり、粗粒粗選別機では、8mm前後の細粒複合廃材破砕混合物と金属複合廃材破砕混合物とプラスチック系複合廃材破砕混合物及び水より比重の軽い浮上物系複合廃材破砕混合物を分離精製し、細粒粗選別機は、粗粒粗選別機で選別された8mm前後の細粒の複合廃材破砕混合物から金属複合廃材破砕混合物、プラスチック系複合廃材破砕混合物を分離精製し、細粒精選別機は粗粒粗選別機及び細粒粗選別機のプラスチック系複合廃材を粒径10mm前後に調整粉砕したプラスチック系複合廃材を塩素含有系プラスチックと非塩素含有形プラスチックに分離精製する機能を持つジグ選別機で構成されたシステム。
【請求項2】
粗粒粗選別機の機能を向上させるための、40mm以上の特に長形物質、例えば導線、ゴムを除去装置を備え付け、及び金属複合廃材破砕混合物から鉄系金属と非鉄系金属を分離する鉄選別機と非鉄選別機は、粗粒粗選別機で選別された後工程に設置されているシステム。
【請求項3】
細粒粗選別機にフィードされる8mm前後の細粒複合廃材破砕混合物から、2.5mm前後の無機物系物質、例えば砂、レンガを細粒粗選別機の前処理システムとして、篩分スクリーンを設置し、細粒祖選別機の選別粒度を+2.5mmを対象とした細粒複合廃材破砕混合物を分離精選するシステム。
【請求項4】
細粒精選別機は、粗粒粗選別機及び細粒粗選別機から選別されたプラスチック系複合廃材破砕混合物を分離精製するが、細粒精選別機に装入する前処理設備としてプラスチック系複合廃材破砕混合物の粒径を10mm前後にする粉砕機が設置されていて、種々のプラスチック材料をプラスチックの種類毎に分離精製するシステム。
【請求項5】
粗粒粗選別機には、長形ハーネス、長形繊維、長形ゴム及び長形プラスチック等の長形状の選別が困難な粗害物をブラシ状の円筒回収装置により、水中からかき上げて、選別装置の系外に取出す装置を備え付けているシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−289332(P2006−289332A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144669(P2005−144669)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(500144491)アグロ技術株式会社 (6)
【出願人】(597164828)有限会社鉱物解析研究所 (3)
【Fターム(参考)】