説明

複合複屈折部材

【課題】 液晶表示装置の広い視野角と、液晶セルの複屈折の補償と、画面の着色防止を実現できる複合複屈折部材を提供する。
【解決手段】 第1の複屈折層と、第2の複屈折層とを含む複合複屈折部材であり、
前記第1の複屈折層の少なくとも片面に、前記第2の複屈折層が形成され、
前記複合複屈折部材全体としての、波長400〜800nmにおける、△ndx/△nd550の値と、Rthx/Rth550の値とが異なる、
前記第2の複屈折層が、ポリアミド等のポリマーから形成されるか、または
前記複合複屈折部材の△ndとRthが、以下の式(1)および(2)を満たす複合複屈折部材により、解決できる。
△nd400/△nd550<1 (1)
Rth400/Rth550>1 (2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の複屈折層と、第2の複屈折層とを含む複合複屈折部材に関する。
【背景技術】
【0002】
位相差フィルムは、様々な液晶表示装置に組み込まれて用いられている。位相差フィルムが組み込まれた液晶表示装置の画面は、視野角が補償され、液晶セルの複屈折が補償されるなどにより、表示特性が改善される。前記位相差フィルムとしては、光学的に正または負の一軸性を有するフィルムが、従来から用いられている(例えば、特許文献1および2参照)。しかし、液晶表示装置の種類によっては、このような一軸性フィルムでは、それを組み込んだ液晶表示装置の画面の表示特性が改善できない場合もあった。
【0003】
この問題を解決するために、三方向の屈折率が制御された光学的二軸性のフィルムが位相差フィルムとして用いられるようになった(例えば、特許文献3および4参照)。この二軸性フィルムは、一般的に、ポリマーフィルムを二軸延伸することにより作成される。しかし、このような二軸性フィルムでは、それを組み込んだ液晶表示装置の画面の着色という問題が依然としてあった。
【特許文献1】特開平4−194820号公報
【特許文献2】特表平8−511812号公報
【特許文献3】特開平3−33719号公報
【特許文献4】特開平3−24502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、液晶表示装置の広い視野角と、液晶セルの複屈折の補償と、画面の着色防止とを実現するための、位相差フィルムとして有用な、複合複屈折部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1の複屈折層と、第2の複屈折層とを含む複合複屈折部材であり、
前記第1の複屈折層の少なくとも片面に、前記第2の複屈折層が形成され、
前記第2の複屈折層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミド−イミドおよびポリエステル−イミドからなる群から選択される少なくとも1種類の非液晶ポリマーから形成され、
前記複合複屈折部材全体としての、波長400〜800nmにおける、△ndx/△nd550の値と、Rthx/Rth550の値とが異なる第1の複合複屈折部材である。
【0006】
前記において、
△ndxおよびRthxは、波長xnmにおける△ndおよびRthを示し、
△nd550およびRth550は、波長550nmにおける△ndおよびRthを示し、
△ndは、(nx−ny)×d、Rthは、(nx−nz)×dを示す。
nx、nyおよびnzは、それぞれ前記複合複屈折部材におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、前記X軸とは、前記複合複屈折部材の面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸は、前記X軸および前記Y軸に垂直な厚み方向を示す。dは、前記複合複屈折部材の平面の厚みを示す。
【0007】
また、本発明は、第1の複屈折層と、第2の複屈折層とを含む複合複屈折部材であり、
前記第1の複屈折層の少なくとも片面に、前記第2の複屈折層が形成され、
前記複合複屈折部材の△ndとRthが、以下の式(1)および(2)を満たし、
前記複合複屈折部材全体としての、波長400〜800nmにおける、△ndx/△nd550の値と、Rthx/Rth550の値とが異なる第2の複合複屈折部材である。
△nd400/△nd550<1 (1)
Rth400/Rth550>1 (2)
前記において、
△ndx、△nd550、RthxおよびRth550は、前述の通りであり、
△nd400およびRth400は、波長400nmにおける△ndおよびRthを示す。
【発明の効果】
【0008】
本発明の複合複屈折部材は、液晶表示装置の広い視野角と、液晶セルの複屈折の補償と、画面の着色防止とを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、第1の複屈折層と、第2の複屈折層という2つの層を含む複合複屈折部材である。また、本発明の第1の複合複屈折部材および第2の複合複屈折部材は、それぞれ上記所定の条件を満たすため、液晶パネルなどに使用される際、偏光フィルムの視野角を補償し、かつ液晶の複屈折を補償する。さらに、本発明者らは、本発明の第1の複合複屈折部材および第2の複合複屈折部材が、液晶パネルなどの画面表示の着色を抑制できることも見出した。
【0010】
なお、本発明の第2の複合複屈折部材おいて、第2の複屈折層は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミド−イミドおよびポリエステル−イミドからなる群から選択される少なくとも1種類の非液晶ポリマーから形成されるのが好ましい。
【0011】
本発明の複合複屈折部材において、前記第2の複屈折層は、その第1の複屈折層が形成される材料とは異なる材料から形成されるのが好ましい。
【0012】
本発明の積層偏光板は、本発明の複合複屈折部材を含む積層偏光板である。
【0013】
本発明の液晶表示装置は、液晶セルおよび光学部材を含み、前記液晶セルの少なくとも一方の表面に前記光学部材が配置された液晶表示装置であって、前記光学部材が、本発明の複合複屈折部材または本発明の積層偏光板である。
【0014】
本発明の画像表示装置は、液晶表示装置、プラズマディスプレイ装置およびエレクトロルミネッセンス表示装置からなる群から選択された少なくとも一つの画像表示装置であって、本発明の複合複屈折部材または本発明の積層偏光板を含む。
【0015】
まず、本発明の複合複屈折部材は、第1の複屈折層と第2の複屈折層とを含む。前記第1の複屈折層の形成材料としては、延伸または収縮処理されると、複屈折性を示すような材料である。また、前記形成材料としては、それから形成されたフィルムが透明であるようなポリマーが好ましい。この形成材料は、最終的に複合複屈折部材が、本発明の前記各条件を満たすものであれば特に制限されないが、前記条件の中でも「前記複合複屈折部材全体としての、波長400〜800nmにおける、△ndx/△nd550の値と、Rthx/Rth550の値とが異なる」という条件を満たすために、例えば、前記第1の複屈折層の△ndの波長分散が比較的小さく、かつ前記第1の複屈折層のRthの波長分散が比較的小さく、かつ、第1の複屈折層の△nd≧第1の複屈折層のRthの特性を有する層を形成できるような材料を選択することが好ましい。
【0016】
前記第1の複屈折層の形成材料としての前記ポリマーとしては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン等)、アモルファスポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン、セルロース系ポリマー(トリアセチルセルロース(TAC)等)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリノルボルネン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリル樹脂や、これらの混合物等が挙げられる。
【0017】
また、前記第1の複屈折層の形成材料として、液晶ポリマー等も使用できる。例えば、特開平2001−343529号公報(WO 01/37007号)に記載されているような、側鎖に置換イミド基または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換フェニル基または非置換フェニル基とニトリル基とを有する熱可塑性樹脂との混合物等も使用できる。具体例としては、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドの交互共重合体と、アクリロニトリルとスチレンの共重合体との混合物等である。
【0018】
これらの形成材料の中でも、前記第1の複屈折層の形成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン、セルロース系ポリマー、ポリマーカーボネート樹脂等が好ましい。また、前記第1の複屈折層の形成材料は、負の複屈折率を有することが好ましい。さらに、第1の複屈折層は、Δnd400/Δnd550<1の特性を有することが好ましい。
【0019】
前記第1の複屈折層の形成材料であるポリマーフィルムは、前記ポリマー等を、押出成形、カレンダー法、溶媒キャスティング法等で成形して製造することができる。さらに、前記ポリマーフィルムは、本発明の複合複屈折部材を形成するために所望な光学特性を有するように、延伸(一軸、二軸等)されていてもよい。
【0020】
また、前記ポリマーフィルムとしては、親水化処理や疎水化処理、基材の溶解性を低減する処理等の表面処理を施したものを用いることもできる。
【0021】
前記第1の複屈折層の厚みは、通常10μm以上500μm以下であり、好ましくは20μm以上200μm以下、特に好ましくは30μm以上100μm以下である。
【0022】
つぎに、前記第2の複屈折層の形成材料としては、そこから形成されたフィルムが複屈折性を示すポリマーであるような材料である。この第2の複屈折層の形成材料は、最終的に複合複屈折部材が、本発明の前記各条件を満たすものであれば特に制限されないが、前記条件の中でも「前記複合複屈折部材全体としての、波長400〜800nmにおける、△ndx/△nd550の値と、Rthx/Rth550の値とが異なる」という条件を満たすために、例えば、前記第2の複屈折層の△nが比較的大きく、かつ前記第2の複屈折層のRthの変化が比較的大きい層、換言すると、前記第2の複屈折層の△nd<前記第2の複屈折層のRthの特性を有する層を形成できるような材料を選択することが好ましい。
【0023】
前記第1の複合複屈折部材における、前記第2の複屈折層の形成材料は、非液晶ポリマーである。前記第2の複合複屈折部材における、前記第2の複屈折層の形成材料は、最終的な複合複屈折部材が、本発明の前記式(1)および式(2)を満たすものであれば、特に制限されないが、例えば、非液晶性ポリマーであるのが好ましい。
【0024】
前記非液晶性ポリマーとしては、例えば、耐熱性、耐薬品性、透明性に優れ、剛性にも富むことから、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等のポリマーが好ましい。これらのポリマーは、いずれか一種類を単独で使用してもよいし、例えば、ポリアリールエーテルケトンとポリアミドとの混合物のように、異なる官能基を持つ2種以上の混合物として使用してもよい。このようなポリマーの中でも、高透明性、高配向性、高延伸性であることから、ポリイミドが特に好ましい。
【0025】
前記ポリマーの分子量は、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量(Mw)が1,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは2,000〜500,000の範囲である。
【0026】
前記ポリイミドとしては、例えば、面内配向性が高く、有機溶剤に可溶なポリイミドが好ましい。具体的には、例えば、特表2000-511296号公報に開示された、9,9-ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物を含み、下記一般式(1)に示す繰り返し単位を1つ以上含むポリマーが使用できる。
【0027】
【化1】

【0028】
前記一般式(1)中、R3〜R6は、水素原子、ハロゲン原子、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC110アルキル基で置換されたフェニル基、およびC110アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。好ましくは、R3〜R6は、ハロゲン原子、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC110アルキル基で置換されたフェニル基、およびC110アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。
【0029】
前記一般式(1)中、Zは、例えば、C620の4価芳香族基であり、好ましくは、ピロメリット基、多環式芳香族基、多環式芳香族基の誘導体、または、下記一般式(2)で表される基である。
【0030】
【化2】

【0031】
前記一般式(2)中、Z’は、例えば、共有結合、C(R72基、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(C252基、または、NR8基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。また、wは、1から10までの整数を表す。R7は、それぞれ独立に、水素原子またはC(R93である。R8は、水素原子、炭素原子数1〜約20のアルキル基、またはC620アリール基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。R9は、水素原子、フッ素原子、または塩素原子である。
【0032】
前記多環式芳香族基としては、例えば、ナフタレン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはアントラセンから誘導される4価の基があげられる。また、前記多環式芳香族基の置換誘導体としては、例えば、C110のアルキル基、そのフッ素化誘導体、およびF原子やCl原子等のハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも一つの基で置換された前記多環式芳香族基があげられる。
【0033】
この他にも、例えば、特表平8-511812号公報に記載された、繰り返し単位が下記一般式(3)または(4)で示されるホモポリマーや、繰り返し単位が下記一般式(5)で示されるポリイミド等があげられる。なお、下記一般式(5)のポリイミドは、下記一般式(3)のホモポリマーの好ましい形態である。
【0034】
【化3】

【0035】
前記一般式(3)〜(5)中、GおよびG’は、例えば、共有結合、CH2基、C(CH32基、C(CF32基、C(CX32基(ここで、Xは、ハロゲン原子である。)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(CH2CH32基、および、N(CH3)基からなる群から、それぞれ独立して選択される基を表し、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0036】
前記一般式(3)および(5)中、Lは、置換基であり、dおよびeは、その置換数を表す。Lは、例えば、ハロゲン原子、C13アルキル基、C13ハロゲン化アルキル基、フェニル基、または、置換フェニル基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン原子、C13アルキル基、およびC13ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基があげられる。また、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子があげられる。dは、0から2までの整数であり、eは、0から3までの整数である。
【0037】
前記一般式(3)〜(5)中、Qは置換基であり、fはその置換数を表す。Qとしては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、ニトロ基、シアノ基、チオアルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、アルキルエステル基、および置換アルキルエステル基からなる群から選択される原子または基であって、Qが複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子があげられる。前記置換アルキル基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基があげられる。また前記置換アリール基としては、例えば、ハロゲン化アリール基があげられる。fは、0から4までの整数であり、gおよびhは、それぞれ0から3および1から3までの整数である。また、gおよびhは、1より大きいことが好ましい。
【0038】
前記一般式(4)中、R10およびR11は、水素原子、ハロゲン原子、フェニル基、置換フェニル基、アルキル基、および置換アルキル基からなる群から、それぞれ独立に選択される基である。その中でも、R10およびR11は、それぞれ独立に、ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0039】
前記一般式(5)中、M1およびM2は、同一であるかまたは異なり、例えば、ハロゲン原子、C13アルキル基、C13ハロゲン化アルキル基、フェニル基、または、置換フェニル基である。前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子があげられる。また、前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン原子、C13アルキル基、およびC13ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基があげられる。
【0040】
前記一般式(3)に示すポリイミドの具体例としては、例えば、下記一般式(6)で表されるもの等があげられる。
【0041】
【化4】

【0042】
さらに、前記ポリイミドとしては、例えば、前述のような骨格(繰り返し単位)以外の酸二無水物やジアミンを、適宜共重合させたコポリマーがあげられる。
【0043】
前記酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物があげられる。前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等があげられる。
【0044】
前記ピロメリト酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリト酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリト酸二無水物等があげられる。前記ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記ナフタレンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,3,6,7−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,2’−ジブロモ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ジクロロ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等があげられる。
【0045】
また、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物のその他の例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−[4,4’−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(フタル酸無水物)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物等があげられる。
【0046】
これらの中でも、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、より好ましくは、2,2’−ビス(トリハロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、さらに好ましくは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
【0047】
前記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミンがあげられ、具体例としては、ベンゼンジアミン、ジアミノベンゾフェノン、ナフタレンジアミン、複素環式芳香族ジアミン、およびその他の芳香族ジアミンがあげられる。
【0048】
前記ベンゼンジアミンとしては、例えば、o−、m−およびp−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、1,4−ジアミノ−2−フェニルベンゼンおよび1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼンのようなベンゼンジアミンから成る群から選択されるジアミン等があげられる。前記ジアミノベンゾフェノンの例としては、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、および3,3’−ジアミノベンゾフェノン等があげられる。前記ナフタレンジアミンとしては、例えば、1,8−ジアミノナフタレン、および1,5−ジアミノナフタレン等があげられる。前記複素環式芳香族ジアミンの例としては、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、および2,4−ジアミノ−S−トリアジン等があげられる。
【0049】
また、前記芳香族ジアミンとしては、これらの他に、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジアニリン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等があげられる。
【0050】
前記ポリエーテルケトンとしては、例えば、特開2001−49110号公報に記載された、下記一般式(7)で表されるポリアリールエーテルケトンがあげられる。
【0051】
【化5】

【0052】
前記一般式(7)中、Xは、置換基を表し、qは、その置換数を表す。Xは、例えば、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化アルキル基、低級アルコキシ基、または、ハロゲン化アルコキシ基であり、Xが複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。
【0053】
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子およびヨウ素原子があげられ、これらの中でも、フッ素原子が好ましい。前記低級アルキル基としては、例えば、C16の直鎖または分岐鎖の低級アルキル基が好ましく、より好ましくはC14の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、および、tert−ブチル基が好ましく、特に好ましくは、メチル基およびエチル基である。前記ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の前記低級アルキル基のハロゲン化物があげられる。前記低級アルコキシ基としては、例えば、C16の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、より好ましくはC14の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、および、tert−ブトキシ基が、さらに好ましく、特に好ましくはメトキシ基およびエトキシ基である。前記ハロゲン化アルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキシ基等の前記低級アルコキシ基のハロゲン化物があげられる。
【0054】
前記一般式(7)中、qは、0から4までの整数である。前記一般式(7)においては、q=0であり、かつ、ベンゼン環の両端に結合したカルボニル基とエーテルの酸素原子とが互いにパラ位に存在することが好ましい。
【0055】
また、前記一般式(7)中、R1は、下記一般式(8)で表される基であり、mは、0または1の整数である。
【0056】
【化6】

【0057】
前記一般式(8)中、X’は置換基を表し、例えば、前記一般式(7)におけるXと同様である。前記一般式(8)において、X’が複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。q’は、前記X’の置換数を表し、0から4までの整数であって、q’=0が好ましい。また、pは、0または1の整数である。
【0058】
前記一般式(8)中、R2は、2価の芳香族基を表す。この2価の芳香族基としては、例えば、o−、m−もしくはp−フェニレン基、または、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、o−、m−もしくはp−テルフェニル、フェナントレン、ジベンゾフラン、ビフェニルエーテル、もしくは、ビフェニルスルホンから誘導される2価の基等があげられる。これらの2価の芳香族基において、芳香族に直接結合している水素原子が、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基で置換されてもよい。これらの中でも、前記R2としては、下記一般式(9)〜(15)からなる群から選択される芳香族基が好ましい。
【0059】
【化7】

【0060】
前記一般式(7)において、前記R1としては、下記一般式(16)で表される基が好ましく、下記一般式(16)において、R2およびpは、前記一般式(8)と同義である。
【0061】
【化8】

【0062】
さらに、前記一般式(7)において、nは重合度を表し、例えば、2〜5000の範囲であり、好ましくは、5〜500の範囲である。また、その重合は、同じ構造の繰り返し単位からなるものであってもよく、異なる構造の繰り返し単位からなるものであってもよい。後者の場合には、繰り返し単位の重合形態は、ブロック重合であってもよいし、ランダム重合でもよい。
【0063】
さらに、前記一般式(7)で示されるポリアリールエーテルケトンの末端は、p−テトラフルオロベンゾイレン基側がフッ素原子であり、オキシアルキレン基側が水素原子であることが好ましく、このようなポリアリールエーテルケトンは、例えば、下記一般式(17)で表すことができる。なお、下記一般式において、nは、前記一般式(7)と同様の重合度を表す。
【0064】
【化9】

【0065】
前記一般式(7)で示されるポリアリールエーテルケトンの具体例としては、下記一般式(18)〜(21)で表されるもの等があげられ、下記各一般式において、nは、前記一般式(7)と同様の重合度を表す。
【0066】
【化10】

【0067】
また、これらの他に、前記ポリアミドまたはポリエステルとしては、例えば、特表平10−508048号公報に記載されるポリアミドやポリエステルがあげられ、それらの繰り返し単位は、例えば、下記一般式(22)で表すことができる。
【0068】
【化11】

【0069】
前記一般式(22)中、Yは、O原子またはNH基である。また、Eは、例えば、共有結合、C2アルキレン基、ハロゲン化C2アルキレン基、CH2基、C(CX32基(ここで、Xは、ハロゲン原子または水素原子である。)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(R)2基、および、N(R)基からなる群から選ばれる少なくとも一種類の基であり、それぞれ同一でもよいし異なってもよい。前記Eにおいて、Rは、C13アルキル基およびC13ハロゲン化アルキル基の少なくとも一種類であり、カルボニル官能基またはY基に対してメタ位またはパラ位にある。
【0070】
また、前記一般式(22)中、AおよびA’は、置換基であり、tおよびzは、それぞれの置換数を表す。また、pは、0から3までの整数であり、qは、1から3までの整数であり、rは、0から3までの整数である。
【0071】
前記Aは、例えば、水素原子、ハロゲン原子、C13アルキル基、C13ハロゲン化アルキル基、OR(ここで、Rは、前記定義のものである。)で表されるアルコキシ基、アリール基、ハロゲン化等による置換アリール基、C19アルコキシカルボニル基、C19アルキルカルボニルオキシ基、C112アリールオキシカルボニル基、C112アリールカルボニルオキシ基およびその置換誘導体、C112アリールカルバモイル基、ならびに、C112アリールカルボニルアミノ基およびその置換誘導体からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記A’は、例えば、ハロゲン原子、C13アルキル基、C13ハロゲン化アルキル基、フェニル基および置換フェニル基からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記置換フェニル基のフェニル環上の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C13アルキル基、C13ハロゲン化アルキル基およびこれらの組み合わせがあげられる。前記tは、0から4までの整数であり、前記zは、0から3までの整数である。
【0072】
前記一般式(22)で表されるポリアミドまたはポリエステルの繰り返し単位の中でも、下記一般式(23)で表されるものが好ましい。
【0073】
【化12】

【0074】
前記一般式(23)中、A、A’およびYは、前記一般式(22)で定義したものであり、vは、0から3の整数、好ましくは、0から2の整数である。xおよびyは、それぞれ0または1であるが、共に0であることはない。
【0075】
前記非液晶性ポリマーとしては、特表平8−511812号公報に記載された、前記一般式(3)〜(5)で表されるものが好ましい。
【0076】
前記第2の複屈折層の厚みは、通常1μm以上20μm以下であり、好ましくは1μm以上10μm以下、特に好ましくは1μm以上7μm以下である。
【0077】
本発明の複合複屈折部材は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0078】
まず、第1の複屈折層の形成材料であるポリマーフィルムを延伸または収縮して、第1の複屈折層を形成する。
【0079】
前記ポリマーフィルムの延伸方法としては特に制限されないが、通常の方法を用いることができる。例えば、一軸延伸、テンター横延伸、二軸延伸が挙げられる。一軸延伸は、自由端一軸延伸、固定端一軸延伸が好ましい。二軸延伸は、長軸方向の延伸倍率が短軸方向の延伸倍率よりも小さいのが好ましい。また、二軸延伸は全テンター方式による同時二軸延伸、ロールーテンター法による逐次二軸延伸のいずれの方法でも用いることができる。
【0080】
前記ポリマーフィルムの延伸倍率は、延伸方法によって異なるが、通常前記ポリマーフィルムの長さに対して、102〜200%延伸する。
【0081】
前記ポリマーフィルムを延伸する温度は、使用する前記ポリマーフィルムのガラス転移点(Tg)や前記ポリマーフィルム中の添加物の種類などに応じて適宜選択される。前記ポリマーフィルムを延伸する温度は、例えば50〜300℃、好ましくは50〜200℃、特に好ましくは80〜170℃である。特に、前記ポリマーフィルムを延伸する温度は、延伸される前記ポリマーフィルムのTg付近またはTg以上であるのが好ましい。
【0082】
前記ポリマーフィルムの収縮方法としては、特に制限されないが、通常の方法を用いることができる。例えば、ポリマーフィルムを形成する際に基材を用い、前記ポリマーフィルムが形成された基材を加熱または冷却することにより、基材を収縮させて行うことができる。そのような基材としては、熱収縮性フィルムなどの収縮能を有する基材を用いることができる。収縮能を有する基材を用いる場合、延伸機を利用して、基材の収縮率を制御することが好ましい。具体的には、テンター延伸機で延伸倍率を1未満に設定する方法や、縦一軸延伸機にて等倍に設定し、幅収縮を行う方法が挙げられる。
【0083】
このように、延伸または収縮処理により、第1の複屈折層を形成することができる。
【0084】
次いで、前記第1の複屈折層の少なくとも片面に、第2の複屈折層を形成する前記所定のポリマーを塗工して第2の複屈折層の前駆層を形成する。塗工方法としては、特に限定されないが、例えば、前述のようなポリマーを加熱溶融して塗布する方法や、前記ポリマーを溶媒に溶解させたポリマー溶液を塗布する方法等があげられる。その中でも、作業性に優れ、光学異方性制御の点から、前記ポリマー溶液を塗布する方法が好ましい。
【0085】
前記ポリマー溶液におけるポリマー濃度は、特に制限されないが、例えば、塗工が容易な粘度となることから、溶媒100重量部に対して、前記ポリマーが、例えば0.5〜50重量部、好ましくは5〜50重量部、より好ましくは10〜40重量部である。溶媒100重量部に対して前記ポリマーが0.5重量部以上であると、塗工に適した粘度が得られるので好ましい。また、50重量部以下であると、滑らかな塗工面を形成できる粘度が得られるので好ましい。
【0086】
前記ポリマー溶液の溶媒としては、特に制限されず、例えば、前記非液晶性ポリマー等の形成材料を溶解できればよく、前記形成材料の種類に応じて適宜決定できる。具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類;アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;あるいは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等があげられる。これらの溶媒は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。また、前記第1の複屈折層を侵食しないものが好ましい。
【0087】
前記ポリマー溶液は、例えば、必要に応じて、さらに安定剤、可塑剤、金属類等の種々の添加剤を配合してもよい。
【0088】
また、前記ポリマー溶液は、例えば、前記形成材料の配向性等が著しく低下しない範囲で、異なる他の樹脂を含有してもよい。前記他の樹脂としては、例えば、各種汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等があげられる。
【0089】
前記汎用樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ABS樹脂、およびAS樹脂等があげられる。前記エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアセテート(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリブチレンテレフタレート(PBT)等があげられる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)、および液晶ポリマー(LCP)等があげられる。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂等があげられる。
【0090】
このように、前記他の樹脂等を前記ポリマー溶液に配合する場合、その配合量は、例えば、前記ポリマーに対して、0〜50重量%であり、好ましくは、0〜30重量%である。
【0091】
前記ポリマー溶液の塗工方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、ダイコート法、ブレードコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法、押出法等があげられる。また、塗工に際しては、必要に応じて、ポリマー層の重畳方式も採用できる。
【0092】
前記形成材料の溶融液の塗工方法としては、前記基材の面が塗工可能な方法であれば限定されないが、例えば、キャスティング法、溶融押し出し法等が挙げられる。前記形成材料の溶融液は、例えば、必要に応じて、上述の安定剤、可塑剤、金属類等の種々の添加剤および異なる他の樹脂をさらに含有してもよい。
【0093】
次いで、前記基材に塗工された前記形成材料の溶液または溶融液を固化させて、前記第1の複屈折層の少なくとも片面に第2の複屈折層を形成する。
【0094】
前記固化の方法としては、前記形成材料を固化させ、層を形成する方法であれば、特に制限されず、例えば、自然乾燥や加熱乾燥等の乾燥があげられる。その条件も、例えば、前記形成材料の種類や、溶液の場合には前記溶媒の種類等に応じて適宜決定できるが、例えば、温度は、通常、50℃〜500℃であり、好ましくは60℃〜300℃であり、さらに好ましくは70℃〜200℃である。なお、固化は、一定温度で行っても良いし、段階的に温度を上昇または下降させながら行っても良い。固化時間も特に制限されないが、前記ポリマーの溶液を用いた場合、固化により溶媒を除去する条件を用いる必要がある。通常、固化時間は、5秒〜10分、好ましくは10秒〜5分である。
【0095】
このようにして、第1の複屈折層上に第2の複屈折層を形成し、本発明の複合複屈折部材を形成することができる。
【0096】
本発明の複合複屈折部材の、例えば、波長xnmにおけるRthxが、液晶セルの波長xnmにおけるRthと符号が逆で、絶対値が同一であるのが好ましい。このような条件を満たす複合複屈折部材は、液晶セルの複屈折Rthを補償できるからである。
【0097】
なお、前記第2の複屈折層を、前記第1の複屈折層の形成材料とは異なる材料から形成することにより、前記複合複屈折部材を形成するのが好ましい。
【0098】
また、前記第2の複屈折層と、前記第1の複屈折層のそれぞれの光学特性が、以下の式(A)〜(C)のすべてを満たすような、それぞれの材料を選択し、かつ前記第2の複屈折層と、前記第1の複屈折層とを、互いの遅相軸が直交するように配置することにより、前記式(1)と(2)を同時に満足することができ、従って、前記第2の複合複屈折部材を形成することができる。
(A)前記第1の複屈折層のΔndおよびRthの波長分散が小さい。
(B)前記第2の複屈折層のΔndおよびRthの波長分散が、前記第1の複屈折層の波長分散より大きい。
(C)前記第1の複屈折層のΔnd>前記第2の複屈折層のΔnd、かつ前記第1の複屈折層のRth<前記第2の複屈折層のRth。
前記△ndおよびRthは、前述のとおりである。
【0099】
つぎに、本発明の複合複屈折部材は、部材単独または必要に応じて他の複屈折フィルム等と組み合わせた積層体として各種の光学用途、具体的には、各種液晶表示素子の光学補償部材として利用することができる。例えば、工業的に製造されているヨウ素系や染料系の偏光板(または偏光子)と本発明の複合複屈折部材とを組み合わせることにより、液晶表示素子の複屈折性を補償、調整する機能を有する積層偏光板とすることができる。
【0100】
本発明の複合複屈折部材と任意に組み合わせて用いる偏光板は、特に限定されないが、その基本的な構成は、偏光子の片側または両側に、保護層(フィルム)を積層したものである。
【0101】
前記偏光子(偏光フィルム)としては、特に制限されず、例えば、従来公知の方法により、各種フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて染色し、架橋、延伸、乾燥することによって調製したもの等が使用できる。この中でも、自然光を入射させると直線偏光を透過するフィルムが好ましく、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。前記二色性物質を吸着させる各種フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルム等があげられ、これらの他にも、例えば、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム等も使用できる。これらの中でも、好ましくはPVA系フィルムである。また、前記偏光フィルムの厚みは、通常、1〜80μmの範囲であるが、これには限定されない。
【0102】
前記保護層としては、特に制限されず、従来公知の透明フィルムを使用できるが、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。このような透明保護層の材質の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等があげられる。また、前記アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等もあげられる。この中でも、偏光特性や耐久性の点から、表面をアルカリ等でケン化処理したTACフィルムが好ましい。
【0103】
また、前記保護層としては、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムが例示される。このポリマー材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有す熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物があげられる。なお、前記ポリマーフィルムは、例えば、前記樹脂組成物の押出成形物であってもよい。
【0104】
また、前記保護層は、例えば、色付きが無いことが好ましい。具体的には、下記式で表されるフィルム厚み方向の位相差値(Rth)が、−90nm〜+75nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは−80nm〜+60nmであり、特に好ましくは−70nm〜+45nmの範囲である。前記位相差値が−90nm〜+75nmの範囲であれば、十分に保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)を解消できる。なお、下記式において、nx,ny,nzは、前述と同様であり、dは、その膜厚を示す。
Rth=[{(nx+ny)/2}-nz]・d
【0105】
また、前記透明保護層は、さらに光学補償機能を有するものでもよい。このように光学補償機能を有する透明保護層としては、例えば、液晶セルにおける位相差に基づく視認角の変化が原因である、着色等の防止や、良視認の視野角の拡大等を目的とした公知のものが使用できる。具体的には、例えば、前述した透明樹脂を一軸延伸または二軸延伸した各種延伸フィルムや、液晶ポリマー等の配向フィルム、透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を配置した積層体等があげられる。これらの中でも、良視認の広い視野角を達成できることから、前記液晶ポリマーの配向フィルムが好ましく、特に、ディスコティック系やネマチック系の液晶ポリマーの傾斜配向層から構成される光学補償層を、前述のトリアセチルセルロースフィルム等で支持した光学補償位相差板が好ましい。このような光学補償位相差板としては、例えば、富士写真フィルム株式会社製の商品名「WVフィルム」等の市販品があげられる。なお、前記光学補償位相差板は、前記位相差フィルムやトリアセチルセルロースフィルム等のフィルム支持体を2層以上積層させることによって、位相差等の光学特性を制御したもの等でもよい。
【0106】
前記透明保護層の厚みは、特に制限されず、例えば、位相差や保護強度等に応じて適宜決定できるが、通常、500μm以下であり、好ましくは5〜300μm、より好ましくは5〜150μmの範囲である。
【0107】
前記透明保護層は、例えば、偏光フィルムに前記各種透明樹脂を塗布する方法、前記偏光フィルムに前記透明樹脂製フィルムや前記光学補償位相差板等を積層する方法等の従来公知の方法によって適宜形成でき、また市販品を使用することもできる。
【0108】
また、前記透明保護層は、さらに、例えば、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキングの防止や拡散、アンチグレア等を目的とした処理等が施されたものでもよい。前記ハードコート処理とは、偏光板表面の傷付き防止等を目的とし、例えば、前記透明保護層の表面に、硬化型樹脂から構成される、硬度や滑り性に優れた硬化被膜を形成する処理である。前記硬化型樹脂としては、例えば、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系等の紫外線硬化型樹脂等が使用でき、前記処理は、従来公知の方法によって行うことができる。スティッキングの防止は、隣接する層との密着防止を目的とする。前記反射防止処理とは、偏光板表面での外光の反射防止を目的とし、従来公知の反射防止層等の形成により行うことができる。
【0109】
前記アンチグレア処理とは、偏光板表面において外光が反射することによる、偏光板透過光の視認妨害を防止すること等を目的とし、例えば、従来公知の方法によって、前記透明保護層の表面に、微細な凹凸構造を形成することによって行うことができる。このような凹凸構造の形成方法としては、例えば、サンドブラスト法やエンボス加工等による粗面化方式や、前述のような透明樹脂に透明微粒子を配合して前記透明保護層を形成する方式等があげられる。
【0110】
前記透明微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等があげられ、この他にも導電性を有する無機系微粒子や、架橋または未架橋のポリマー粒状物等から構成される有機系微粒子等を使用することもできる。前記透明微粒子の平均粒径は、特に制限されないが、例えば、0.5〜20μmの範囲である。また、前記透明微粒子の配合割合は、特に制限されないが、一般に、前述のような透明樹脂100重量部あたり2〜70重量部の範囲が好ま
しく、より好ましくは5〜50重量部の範囲である。
【0111】
前記透明微粒子を配合したアンチグレア層は、例えば、透明保護層そのものとして使用することもでき、また、透明保護層表面に塗工層等として形成されてもよい。さらに、前記アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角を拡大するための拡散層(視覚補償機能等)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層、アンチグレア層等は、前記透明保護層とは別個に、例えば、これらの層を設けたシート等から構成される光学層として、偏光板に積層してもよい。
【0112】
各構成物同士(複合複屈折部材、偏光子、透明保護層等)の積層方法は、特に制限されず、従来公知の方法によって行うことができる。一般には、前述と同様の粘着剤や接着剤等が使用でき、その種類は、前記各構成物の材質等によって適宜決定できる。前記接着剤としては、例えば、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製接着剤や、ゴム系接着剤等があげられる。また、ホウ酸、ホウ砂、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸等のビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤等から構成される接着剤等も使用できる。前述のような粘着剤、接着剤は、例えば、湿度や熱の影響によっても剥がれ難く、光透過率や偏光度にも優れる。具体的には、前記偏光子がPVA系フィルムの場合、例えば、接着処理の安定性等の点から、PVA系接着剤が好ましい。これらの接着剤や粘着剤は、例えば、そのまま偏光子や透明保護層の表面に塗布してもよいし、前記接着剤や粘着剤から構成されたテープやシートのような層を前記表面に配置してもよい。また、例えば、水溶液として調製した場合、必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒を配合してもよい。なお、前記接着剤を塗布する場合は、例えば、前記接着剤水溶液に、さらに、他の添加剤や、酸等の触媒を配合してもよい。このような接着層の厚みは、特に制限されないが、例えば、1nm〜500nmであり、好ましくは10nm〜300nmであり、より好ましくは20nm〜100nmである。特に限定されず、例えば、アクリル系ポリマーやビニルアルコール系ポリマー等の接着剤等を使用した従来公知の方法が採用できる。これらの接着剤は、例えば、その水溶液を前記各構成物表面に塗工し、乾燥すること等によって使用できる。前記水溶液には、例えば、必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合できる。これらの中でも、前記接着剤としては、PVAフィルムとの接着性に優れる点から、PVA系接着剤が好ましい。
【0113】
偏光板と複合複屈折部材とを積層して積層偏光板を形成する場合、両者を接着層や粘着層等の適宜な接着手段を用いて積層することができるが、これに限定されるものではない。例えば、まず第1の複屈折層の上に第2の複屈折層を形成した複合複屈折部材を製造する。その後、トリアセチルセルロース等の保護フィルムを偏光子の片面と接着し、偏光子の他方の面には前記複合複屈折部材を接着する。偏光子と前記複合複屈折部材の第1の複屈折層が向かいあうように配置すれば、複合複屈折部材の第1の複屈折層を偏光板の片側の保護フィルムとして使用できる。
【0114】
本発明の積層偏光板は、実用に際して、前記本発明の複合複屈折部材の他に、さらに他の光学層を含んでもよい。前記光学層としては、例えば、以下に示すような偏光板、反射板、半透過反射板、輝度向上フィルム等、液晶表示装置等の形成に使用される、従来公知の各種光学層があげられる。これらの光学層は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよく、また、1層でもよいし、2層以上を積層してもよい。このような光学層をさらに含む積層偏光板は、例えば、光学補償機能を有する一体型偏光板として使用することが好ましく、例えば、液晶セル表面に配置する等、各種画像表示装置への使用に適している。
【0115】
ここで、このような一体型偏光板について説明する。
【0116】
まず、反射型偏光板または半透過反射型偏光板の一例について説明する。前記反射型偏光板は、本発明の積層偏光板にさらに反射板が、前記半透過反射型偏光板は、本発明の積層偏光板にさらに半透過反射板が、それぞれ積層されている。
【0117】
前記反射型偏光板は、通常、液晶セルの裏側に配置され、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置(反射型液晶表示装置)等に使用できる。このような反射型偏光板は、例えば、バックライト等の光源の内蔵を省略できるため、液晶表示装置の薄型化を可能にする等の利点を有する。
前記反射型偏光板は、例えば、前記弾性率を示す偏光板の片面に、金属等から構成される反射板を形成する方法等、従来公知の方法によって作製できる。具体的には、例えば、前記偏光板における透明保護層の片面(露出面)を、必要に応じてマット処理し、前記面に、アルミニウム等の反射性金属からなる金属箔や蒸着膜を反射板として形成した反射型偏光板等があげられる。
【0118】
また、前述のように各種透明樹脂に微粒子を含有させて表面を微細凹凸構造とした透明保護層の上に、その微細凹凸構造を反映させた反射板を形成した、反射型偏光板等もあげられる。その表面が微細凹凸構造である反射板は、例えば、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制できるという利点を有する。このような反射板は、例えば、前記透明保護層の凹凸表面に、真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式等、従来公知の方法により、直接、前記金属箔や金属蒸着膜として形成することができる。
【0119】
また、前述のように偏光板の透明保護層に前記反射板を直接形成する方式に代えて、反射板として、前記透明保護フィルムのような適当なフィルムに反射層を設けた反射シート等を使用してもよい。前記反射板における前記反射層は、通常、金属から構成されるため、例えば、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続や、透明保護層の別途形成を回避する点等から、その使用形態は、前記反射層の反射面が前記フィルムや偏光板等で被覆された状態であることが好ましい。
【0120】
一方、前記半透過型偏光板は、前記反射型偏光板において、反射板に代えて、半透過型の反射板を有するものである。前記半透過型反射板としては、例えば、反射層で光を反射し、かつ、光を透過するハーフミラー等があげられる。
【0121】
前記半透過型偏光板は、通常、液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置等を比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射して画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置等に使用できる。すなわち、前記半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、一方、比較的暗い雰囲気下においても、前記内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置等の形成に有用である。
【0122】
つぎに、本発明の積層偏光板に、さらに輝度向上フィルムが積層された偏光板の一例を説明する。
【0123】
前記輝度向上フィルムとしては、特に限定されず、例えば、誘電体の多層薄膜や、屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体のような、所定偏光軸の直線偏光を透過して、他の光は反射する特性を示すもの等が使用できる。このような輝度向上フィルムとしては、例えば、3M社製の商品名「D-BEF」等があげられる。また、コレステリック液晶層、特にコレステリック液晶ポリマーの配向フィルムや、その配向液晶層をフィルム基材上に支持したもの等が使用できる。これらは、左右一方の円偏光を反射して、他の光は透過する特性を示すものであり、例えば、日東電工社製の商品名「PCF350」、Merck社製の商品名「Transmax」等があげられる。
本発明の各種偏光板は、例えば、前述のような複屈折層を含む積層偏光板と、さらに光学層とを積層して、2層以上の光学層を含む光学部材であってもよい。
このように2層以上の光学層を積層した光学部材は、例えば、液晶表示装置等の製造過程において、順次別個に積層する方式によっても形成できるが、予め積層した光学部材として使用すれば、例えば、品質の安定性や組立作業性等に優れ、液晶表示装置等の製造効率を向上できるという利点がある。なお、積層には、前述と同様に、粘着層等の各種接着手段を用いることができる。
【0124】
前述のような各種偏光板は、例えば、液晶セル等の他の部材への積層が容易になることから、さらに粘着剤層や接着剤層を有していることが好ましく、これらは、前記偏光板の片面または両面に配置することができる。前記粘着層の材料としては、特に制限されず、アクリル系ポリマー等の従来公知の材料が使用でき、特に、吸湿による発泡や剥離の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性等の点より、例えば、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層となることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層等でもよい。前記偏光板表面への前記粘着剤層の形成は、例えば、各種粘着材料の溶液または溶融液を、流延や塗工等の展開方式により、前記偏光板の所定の面に直接添加して層を形成する方式や、同様にして後述するセパレータ上に粘着剤層を形成させて、それを前記偏光板の所定面に移着する方式等によって行うことができる。なお、このような層は、偏光板のいずれの表面に形成してもよく、例えば、偏光板における前記位相差板の露出面に形成してもよい。
【0125】
このように偏光板に設けた粘着剤層等の表面が露出する場合は、前記粘着層を実用に供するまでの間、汚染防止等を目的として、セパレータによって前記表面をカバーすることが好ましい。このセパレータは、前記透明保護フィルム等のような適当なフィルムに、必要に応じて、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤による剥離コートを設ける方法等によって形成できる。
【0126】
前記粘着剤層等は、例えば、単層体でもよいし、積層体でもよい。前記積層体としては、例えば、異なる組成や異なる種類の単層を組み合わせた積層体を使用することもできる。また、前記偏光板の両面に配置する場合は、例えば、それぞれ同じ粘着剤層でもよいし、異なる組成や異なる種類の粘着剤層であってもよい。
前記粘着剤層の厚みは、例えば、偏光板の構成等に応じて適宜に決定でき、一般には、1〜500μmである。
【0127】
前記粘着剤層を形成する粘着剤としては、例えば、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性や接着性の粘着特性を示すものが好ましい。具体的な例としては、アクリル系ポリマーやシリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、合成ゴム等のポリマーを適宜ベースポリマーとして調製された粘着剤等があげられる。
【0128】
前記粘着剤層の粘着特性の制御は、例えば、前記粘着剤層を形成するベースポリマーの組成や分子量、架橋方式、架橋性官能基の含有割合、架橋剤の配合割合等によって、その架橋度や分子量を調節するというような、従来公知の方法によって適宜行うことができる。
【0129】
以上のような本発明の複合複屈折部材や偏光板、各種光学部材(光学層をさらに積層した各種偏光板)を形成する偏光フィルム、透明保護層、光学層、粘着剤層等の各層は、例えば、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で適宜処理することによって、紫外線吸収能を持たせたものでもよい。
本発明の複合複屈折部材や偏光板は、前述のように、液晶表示装置等の各種装置の形成に使用することが好ましく、例えば、偏光板を液晶セルの片側または両側に配置して液晶パネルとし、反射型や半透過型、あるいは透過・反射両用型等の液晶表示装置に用いることができる。
【0130】
液晶表示装置を形成する前記液晶セルの種類は、任意で選択でき、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、ツイストネマチック型やスーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型のもの等、種々のタイプの液晶セルが使用できる。これらの中でも、本発明の複合複屈折部材や積層偏光板は、特にVA(垂直配向;Vertical Aligned)セルの光学補償に非常に優れているので、VAモードの液晶表示装置用の視角補償フィルムとして非常に有用である。
【0131】
また、前記液晶セルは、通常、対向する液晶セル基板の間隙に液晶が注入された構造であって、前記液晶セル基板としては、特に制限されず、例えば、ガラス基板やプラスチック基板が使用できる。なお、前記プラスチック基板の材質としては、特に制限されず、従来公知の材料があげられる。
【0132】
また、液晶セルの両面に偏光板や光学部材を設ける場合、それらは同じ種類のものでもよいし、異なっていてもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば、プリズムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板やバックライト等の適当な部品を、適当な位置に1層または2層以上配置することができる。
【0133】
さらに、本発明の液晶表示装置は、液晶セルおよび光学部材を含み、前記光学部材として、本発明の複合複屈折部材または本発明の積層偏光板を使用する以外は、特に制限されない。また、さらに光源を有する場合には、特に制限されないが、例えば、光のエネルギーが有効に使用できることから、例えば、偏光を出射する平面光源であることが好ましい。
【0134】
本発明の液晶表示装置は、視認側の複合複屈折部材の上に、例えば、さらに拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護層や保護板を配置したり、または液晶パネルにおける液晶セルと偏光板との間に補償用位相差板等を適宜配置することもできる。
【0135】
なお、本発明の複合複屈折部材や積層偏光板は、前述のような液晶表示装置には限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、FED(電界放出ディスプレイ:Field Emission Display)等の自発光型表示装置にも使用できる。自発光型フラットディスプレイに使用する場合は、例えば、本発明の複合複屈折部材の面内位相差値Δndをλ/4にすることで、円偏光を得ることができるため、反射防止フィルターとして利用できる。
【0136】
以下に、本発明の積層偏光板を備えるエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置について説明する。本発明のEL表示装置は、本発明の複合複屈折部材または積層偏光板を有
する表示装置であり、このEL装置は、有機ELおよび無機ELのいずれでもよい。
【0137】
近年、EL表示装置においても、黒状態における電極からの反射防止として、例えば、偏光子や偏光板等の光学フィルムをλ/4板とともに使用することが提案されている。本発明の複合複屈折部材や積層偏光板は、特に、EL層から、直線偏光、円偏光もしくは楕円偏光のいずれかの偏光が発光されている場合、あるいは、正面方向に自然光を発光していても、斜め方向の出射光が部分偏光している場合等に、非常に有用である。
【0138】
まずここで、一般的な有機EL表示装置について説明する。前記有機EL表示装置は、一般に、透明基板上に、透明電極、有機発光層および金属電極がこの順序で積層された発光体(有機EL発光体)を有している。前記有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えば、トリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層とアントラセン等の蛍光性有機固体からなる発光層との積層体や、このような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層との積層体や、また、前記正孔注入層と発光層と電子注入層との積層体等、種々の組み合わせがあげられる。
【0139】
そして、このような有機EL表示装置は、前記陽極と陰極とに電圧を印加することによって、前記有機発光層に正孔と電子とが注入され、前記正孔と電子とが再結合することによって生じるエネルギーが、蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。前記正孔と電子との再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、電流と発光強度とは、印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0140】
前記有機EL表示装置においては、前記有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明であることが必要なため、通常、酸化インジウムスズ(ITO)等の透明導電体で形成された透明電極が陽極として使用される。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に、仕事関数の小さな物質を用いることが重要であり、通常、Mg−Ag、Al−Li等の金属電極が使用される。
【0141】
このような構成の有機EL表示装置において、前記有機発光層は、例えば、厚み10nm程度の極めて薄い膜で形成されることが好ましい。これは、前記有機発光層においても、透明電極と同様に、光をほぼ完全に透過させるためである。その結果、非発光時に、前記透明基板の表面から入射して、前記透明電極と有機発光層とを透過して前記金属電極で反射した光が、再び前記透明基板の表面側へ出る。このため、外部から視認した際に、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見えるのである。
【0142】
本発明の有機EL表示装置は、例えば、前記有機発光層の表面側に透明電極を備え、前記有機発光層の裏面側に金属電極を備えた前記有機EL発光体を含む有機EL表示装置において、前記透明電極の表面に、本発明の複合複屈折部材(積層偏光板等)が配置されることが好ましく、さらにλ/4板を偏光板とEL素子との間に配置することが好ましい。このように、本発明の複合複屈折部材を配置することによって、外界の反射を抑え、視認性向上が可能であるという効果を示す有機EL表示装置となる。また、前記透明電極と複合複屈折部材との間に、さらに位相差板が配置されることが好ましい。
【0143】
前記位相差板および偏光板等は、例えば、外部から入射して前記金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって前記金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板として1/4波長板を使用し、かつ、前記偏光板と前記位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、前記金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、前記偏光板によって直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は、前記位相差板によ
って、一般に楕円偏光となるが、特に前記位相差板が1/4波長板であり、しかも前記角がπ/4の場合には、円偏光となる。
【0144】
この円偏光は、例えば、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び、有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、前記位相差板で再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、前記偏光板の偏光方向と直交しているため、前記偏光板を透過できず、その結果、前述のように、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができるのである。
【実施例1】
【0145】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、第1の複屈折層、第2の複屈折層および複合複屈折部材の特性は以下の方法で評価した。
【0146】
位相差は、位相差計(王子計測機器社製、商品名KOBRA21ADH)を用いて測定した。
【0147】
屈折率は、位相差計(王子計測機器社製、商品名KOBRA21ADH)を用いて590nmにおける屈折率を測定した。
【0148】
膜厚は、アンリツ製デジタルマイクロメーター、商品名K−351C型を用いて測定した。
【0149】
(実施例1)
厚さ100μmの等方性ノルボルネンフィルムを175℃で180%テンター横一軸延伸して、厚み60μmの延伸ノルボルネンフィルム(第1の複屈折層)を得た。このフィルムは、△nd=120nm、Rth=155の光学特性を示した。
【0150】
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FDA)および、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(PFMBTFMB)から合成された重量平均分子量(Mw)12万のポリイミドを、シクロヘキサノンに溶解して15重量%のポリイミド溶液を調製した。その溶液を、前記延伸ノルボルネンフィルム上に塗布した。その後100℃で10分間熱処理し、厚さ5μmの完全透明で平滑なポリイミドフィルムを前記延伸ノルボルネンフィルム上に形成し、さらに、175℃で3%縦一軸延伸することにより、複合複屈折部材を得た。この複合複屈折部材は、△nd=50nm、Rth=250nm、nx>ny>nzの光学特性を示した。なお、前記ポリイミドフィルム(第2の複屈折層)は、△nd=70、Rth=95の光学特性を示した。
【0151】
この複合複屈折部材の波長400〜800nmにおける、△ndx/△nd550の値とRthx/Rth550の値とを図1に示す。
【0152】
(比較例1)
厚さ100μmの等方性ノルボルネンフィルムを175℃で180%テンター横一軸延伸して、厚み60μmのフィルムを得た。このフィルムは、△nd=120nm、Rth=155の光学特性を示した。
【0153】
フィルムの波長400〜800nmにおける、△ndx/△nd550の値とRthx/R
th550の値を図2に示す。
【0154】
(比較例2)
実施例1で調製したポリイミド溶液を、厚さ50μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(透明ポリマーフィルム)上に塗布した。その後100℃で10分間熱処理し、厚さ6μmの完全透明で平滑なポリイミドフィルムをTACフィルム上に形成した。このポリイミドフィルムは、△n=0.04nm、Rth=240nmの光学特性を示した。
【0155】
このポリイミドフィルムとTACフィルムを一体として、160℃で5%縦一軸延伸し、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは、△n=50nm、Rth=250nm、nx>ny>nzの光学特性を示した。なお、前記積層フィルムのうち、延伸された前記ポリイミドフィルムは、△nd=50、Rth=210の光学特性を示し、延伸された前記TACフィルムは、△nd=0、Rth=40の光学特性を示した。
【0156】
この積層フィルムの波長400〜800nmにおける、△ndx/△nd550の値とRthx/Rth550の値とを図2に示す。
【0157】
(比較例3)
厚さ188μmのARTONフィルム(JSR社製)を175℃で、縦延伸で130%、横延伸で135%に延伸して、厚み120μmのフィルムを得た。このフィルムは、△nd=50nm、Rth=250nm、nx>ny>nxの光学特性を示した。
【0158】
前記フィルムの波長400〜800nmにおける、△ndx/△nd550の値とRthx/Rth550の値とを図2に示す。
【0159】
図1および2に示すように、実施例1で得られた複合複屈折部材の波長400〜800nmにおける、△ndx/△nd550とRthx/Rth550の値は、異なっていた。一方、比較例1〜3で得られたフィルムの波長400〜800nmにおける、△ndx/△nd550とRthx/Rth550の値は、同一であった。
【0160】
実施例1で得られた複合複屈折部材の光学特性と、比較例1〜3で得られたフィルムの光学特性とを表1に示した。
【0161】
【表1】

【0162】
前記表1に示すように、実施例1で得られた複合複屈折部材は、△nd400/△nd550<1、かつRth400/Rth550>1を満たした。一方、比較例1〜3で得られたフィルムは、△nd400/△nd550<1、かつRth400/Rth550>1を満たすことができなかった。
【0163】
(評価試験)
VAモードの液晶パネルのフロント側に、アクリル系粘着層を介して、偏光板(日東電工社製、商品名:SEG1425DU)を貼り付けた。なお、前記液晶パネルと、前記偏光板の吸収軸は、その成す角度が0°になるように配置した。また、その液晶パネルのリア側に、実施例1で得た複合複屈折部材ならびに比較例2および比較例3で得たフィルムのそれぞれを、アクリル系粘着層を介して貼り付けた。なお、前記液晶パネルと、前記複合複屈折部材は、その面内遅相軸が成す角度が0°になるように配置した。さらに、前記複合複屈折部材または前記フィルムの上に、偏光板(日東電工社製、商品名:SEG1425DU)をアクリル系粘着層を介して貼り付けて、液晶パネルを形成した。なお、前記複合複屈折部材または前記フィルムと、前記偏光板は、その吸収軸の成す角度が90°になるように配置した。
【0164】
つぎに得られた液晶パネルの上下、左右、対角(45°〜225°)、対角(135°〜315°)の各方向でのコントラスト比(Co)≧10の視野角を測定した。コントラスト比は、前記液晶パネルに、白画像および黒画像を表示させ、商品名Ez contrast 160D(ELDIM社製)により、表示画面の正面、上下左右について、視野角0〜70°におけるXYZ表示系のY値、x値、y値をそれぞれ測定した。そして、白画像におけるY値(YW)と、黒画像におけるY値(YB)とから、各視野角におけるコントラスト比(YW/YB)を算出した。
【0165】
実施例1で得た複合複屈折部材ならびに比較例2および3で得たフィルムを含む液晶パネルのコントラスト図を図3〜5にそれぞれ示す。なお、図中、黒部分が10以下のコントラスト比であることを意味する。
【0166】
実施例1で得た複合複屈折部材ならびに比較例2および比較例3で得たフィルムを含む液晶パネルの正面方向の輝度、CIE1931表色系による色度を、ミノルタ製分光放射輝度計 商品名CS−1000を用いて測定した。このとき、液晶パネルに電圧を印加せず、画面は、全面白表示を行った状態である。測定は、液晶パネルの光源側から5mm、15mm、25mmの点で行った。図6〜8にそれぞれの結果を示す。
【0167】
図3〜5より、実施例1で得た複合複屈折部材を含む液晶パネルは、表示コントラストが良好であることが示された。従って、液晶パネルの視野角が補償され、かつ液晶セルの複屈折が補償されていることが示された。
【0168】
また、実施例1で得られた複合複屈折部材を含む液晶パネルは、比較例2および比較例3で得られたものに比べて、カラーシフトが小さかった。
【0169】
さらに、図6〜8より、実施例1で得た複合複屈折部材を含む液晶パネルは、白表示のシフト量が少なく、液晶パネルの画面の着色が抑制されていることが示された。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】実施例1で得た複合複屈折部材の波長400〜800nmにおける△ndx/△nd550とRthx/Rth550の値を示すグラフである。
【図2】比較例1〜3で得たフィルムの波長400〜800nmにおける△ndx/△nd550とRthx/Rth550の値を示すグラフである。
【図3】実施例1で得た複合複屈折部材を含む液晶パネルの等コントラスト曲線である。
【図4】比較例2で得たフィルムを含む液晶パネルの等コントラスト曲線である。
【図5】比較例3で得たフィルムを含む液晶パネルの等コントラスト曲線である。
【図6】実施例1で得た複合複屈折部材を含む液晶パネルのCIE1931表色系による色度図である。
【図7】比較例2で得たフィルムを含む液晶パネルのCIE1931表色系による色度図である。
【図8】比較例3で得たフィルムを含む液晶パネルのCIE1931表色系による色度図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の複屈折層と、第2の複屈折層とを含む複合複屈折部材であり、
前記第1の複屈折層の少なくとも片面に、前記第2の複屈折層が形成され、
前記第2の複屈折層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミド−イミドおよびポリエステル−イミドからなる群から選択される少なくとも1種類の非液晶ポリマーから形成され、
前記複合複屈折部材全体としての、波長400〜800nmにおける、△ndx/△nd550の値と、Rthx/Rth550の値とが異なる複合複屈折部材。
前記において、
△ndxおよびRthxは、波長xnmにおける△ndおよびRthを示し、
△nd550およびRth550は、波長550nmにおける△ndおよびRthを示し、
△ndは、(nx−ny)×d、Rthは、(nx−nz)×dを示す。
nx、nyおよびnzは、それぞれ前記複合複屈折部材におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、前記X軸とは、前記複合複屈折部材の面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸とは、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸とは、前記X軸および前記Y軸に垂直な厚み方向を示す。dは、前記複合複屈折部材の平面の厚みを示す。
【請求項2】
第1の複屈折層と、第2の複屈折層とを含む複合複屈折部材であり、
前記第1の複屈折層の少なくとも片面に、前記第2の複屈折層が形成され、
前記複合複屈折部材の△ndとRthが、以下の式(1)および(2)を満たし、
前記複合複屈折部材全体としての、波長400〜800nmにおける、△ndx/△nd550の値と、Rthx/Rth550の値とが異なる複合複屈折部材。
△nd400/△nd550<1 (1)
Rth400/Rth550>1 (2)
前記において、
△ndxおよびRthxは、波長xnmにおける△ndおよびRthを示し、
△nd550およびRth550は、波長550nmにおける△ndおよびRthを示し、
△nd400およびRth400は、波長400nmにおける△ndおよびRthを示し、
△ndは、(nx−ny)×d、Rthは、(nx−nz)×dを示す。
nx、nyおよびnzは、それぞれ前記複合複屈折部材におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、前記X軸とは、前記複合複屈折部材の面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸とは、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸とは、前記X軸および前記Y軸に垂直な厚み方向を示す。dは、前記複合複屈折部材の平面の厚みを示す。
【請求項3】
前記第2の複屈折層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミド−イミドおよびポリエステル−イミドからなる群から選択される少なくとも1種類の非液晶ポリマーから形成される請求項2に記載の複合複屈折部材。
【請求項4】
前記第2の複屈折層が、前記第1の複屈折層が形成される材料とは異なる材料から形成される請求項1〜3のいずれかに記載の複合複屈折部材。
【請求項5】
前記複合複屈折部材を含む積層偏光板であって、前記複合複屈折部材が請求項1〜4のいずれかに記載の複合複屈折部材である積層偏光板。
【請求項6】
液晶セルおよび光学部材を含み、前記液晶セルの少なくとも一方の表面に前記光学部材が配置された液晶表示装置であって、前記光学部材が、請求項1〜4のいずれかに記載の複
合複屈折部材または請求項5に記載の積層偏光板である液晶表示装置。
【請求項7】
液晶表示装置、プラズマディスプレイ装置およびエレクトロルミネッセンス表示装置からなる群から選択された少なくとも一つの画像表示装置であって、請求項1〜4のいずれかに記載の複合複屈折部材または請求項5に記載の積層偏光板を含む画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−18323(P2006−18323A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253694(P2005−253694)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【分割の表示】特願2003−309220(P2003−309220)の分割
【原出願日】平成15年9月1日(2003.9.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】