説明

複合誘電体及びその製造方法

本発明は、高周波帯域において、高い比誘電率を有しつつ誘電損失が低く抑えられた誘電体を提供することを主な目的とする。すなわち、本発明は、無機酸化物の多孔体に導電性粒子が分散してなる複合誘電体であって、 1)1GHz以上の高周波帯域における当該誘電体の比誘電率εrが4以上であり、2)1GHz以上の高周波帯域における当該誘電体の誘電損失tanδが2×10−4以下である複合誘電体及びその製造方法に係る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、電子回路素子に関する。より具体的には、本発明は、特にマイクロ波、ミリ波等の高周波帯で用いられる誘電体に関する。
【背景技術】
電子回路素子に用いられる誘電体に関し、比誘電率が10程度以上の材料としては従来よりセラミックスが使用されている。誘電体として高誘電率の材料を用いることによって、電子回路素子の小型化を図ることができる。さらに、マイクロ波、ミリ波等の高周波帯においては、電磁エネルギーが誘電体中に集中するために、放射損失が小さくなるという利点がある。セラミックスは、近年ではマイクロ波通信機器への応用が進み、高い誘電率と低い誘電損失を持つ材料が開発されている。
比誘電率が10程度以上のセラミックス以外の材料として、樹脂に導電性粉末を混合した複合誘電体が開示されている(特公昭55−2044号公報)。また、樹脂に誘電体粉末を混入させた複合誘電体が開示されている(特開昭58−166609号公報)。これらの複合誘電体では、マトリクス材料と粉末の配合比を変えることによって比誘電率を変化させることが可能である、切削等の加工性が良好である、という特徴がある。
【発明の開示】
しかしながら、これまでに開発されたセラミックス材料は、誘電率が高いものは誘電損失が大きい。その上、誘電損失は、適用する周波数に比例して増大する。このため、高誘電率の材料は、高周波帯域において用いることが難しいとされている。
複合誘電体の誘電損失は、マトリックスとして用いられる材料の電気抵抗率に依存するところが大きい。ところが、複合誘電体では、分散させた粒子がマトリックスを介して相互に電気的接触をすることにより、誘電損失が発生することがある。これは、たとえ抵抗率の大きな材料をマトリックスとして用いても回避することが困難である。この現象は、分散粒子として導電性粒子を用いた場合に特に顕著に現れる。また、マトリックス材料自身の誘電損失も複合誘電体の誘電損失に影響を及ぼす。
上記理由より、電気抵抗が極めて大きい又は無限大でそれ自身の誘電損失が0の材料をマトリックスとして用いれば、低誘電損失の複合誘電体を形成することができ、さらに分散粒子を高密度に配置することにより、高誘電率、低誘電損失の特性を併せ持つ複合誘電体を実現できる。電気抵抗が極めて大きい又は無限大でそれ自身の誘電損失が0の材料としては空気が挙げられる。そこで、空気をマトリックスとして用いることができれば理想的な複合誘電体が形成できるが、空気中に粒子を分散、固定することは不可能である。
従って、本発明の主な目的は、高周波帯域において、高い比誘電率を有しつつ誘電損失が低く抑えられた誘電体を提供することにある。
すなわち、本発明は、下記の複合誘電体及びその製造方法に係る。
1.無機酸化物の多孔体に導電性粒子が分散してなる複合誘電体であって、 1)1GHz以上の高周波帯域における当該誘電体の比誘電率εrが4以上であり、2)1GHz以上の高周波帯域における当該誘電体の誘電損失tanδが2×10−4以下である複合誘電体。
2.複合誘電体の気孔率が4%以上75%以下である前記項1に記載の複合誘導体。
3.前記多孔体のかさ密度が10kg/m以上500kg/m以下である前記項1に記載の複合誘電体
4.前記多孔体の比表面積が50m/g以上1500m/g以下である前記項1に記載の複合誘電体。
5.前記多孔体の平均細孔径が1nm以上1000nm以下である前記項1に記載の複合誘導体。
6.前記多孔体の材料の抵抗率が1010Ω・m以上である前記項1に記載の複合誘電体。
7.前記多孔体の材料の誘電損失が1×10−3以下である前記項1に記載の複合誘電体。
8.前記多孔体の材料が、抵抗率1010以上であり、かつ、誘電損失1×10−3以下である前記項1に記載の複合誘電体。
9.前記多孔体の一部又は全部が、シリカ及びアルミナの少なくとも1種である前記項1に記載の複合誘電体。
10.前記多孔体が、無機酸化物の湿潤ゲルを乾燥することによって得られた乾燥ゲルである前記項1に記載の複合誘電体。
11.湿潤ゲルが、ゾルゲル法により調製される前記項10に記載の複合誘電体。
12.導電性粒子の導電率σが30000S/m以上である前記項1に記載の複合誘電体。
13.導電性粒子の含有率が当該誘電体中75容量%以上95容量%以下である前記項1に記載の複合誘電体。
14.導電性粒子の平均粒径が100μm以下である前記項1に記載の複合誘電体。
15.導電性粒子が、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、タングステン、モリブデン及びこれらを含む合金の少なくとも1種である前記項1に記載の複合誘電体。
16.無機酸化物中に導電性粒子が分散してなる複合誘電体を製造する方法であって、導電性粒子と無機酸化物の湿潤ゲルとを含む材料を乾燥させる工程を有する製造方法。
17.前記材料が、湿潤ゲルの原料溶液に導電性粒子を混合し、次いで原料溶液をゲル化することによって得られる前記項16に記載の製造方法。
18.導電性粒子を原料溶液に混合するに先立って、予め導電性粒子の表面の一部又は全部を予め無機酸化物の湿潤ゲルで被覆する前記項17に記載の製造方法。
19.容器内で対流させた前記導電性粒子に前記湿潤ゲルの原料溶液を噴霧することにより、前記導電性粒子の表面の一部又は全部を無機酸化物の湿潤ゲルで被覆する前記項18に記載の製造方法。
20.湿潤ゲルが、ゾルゲル法により調製される前記項16に記載の製造方法。
21.導電性粒子の導電率σが30000S/m以上である前記項16に記載の製造方法。
22.導電性粒子を当該誘電体中75容量%以上95容量%以下となるように配合する前記項16に記載の製造方法。
23.導電性粒子の平均粒径が100μm以下である前記項16に記載の製造方法。
24.導電性粒子が、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、タングステン、モリブデン及びこれらを含む合金の少なくとも1種である前記項16に記載の製造方法。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の複合誘電体を示す図である。
図2は、本発明の複合誘電体の製造工程を示す図である。
図3は、本発明の複合誘電体の製造工程を示す図である。
【符号の説明】
1 誘電体
2 導電性粒子
11 ゲル原料液
12 導電性粒子
13 湿潤ゲル
14 乾燥ゲル
21 導電性粒子
22 容器
23 ゲル原料液
24 ノズル
25 導電性粒子複合体
26 ゲル原料液
27 湿潤ゲル
28 乾燥ゲル
【発明を実施するための最良の形態】
1.複合誘電体
本発明の複合誘電体は、無機酸化物の多孔体中に導電性粒子が分散してなる複合誘電体であって、1)1GHz以上の高周波帯域における当該誘電体の比誘電率εrが4以上であり、2)1GHz以上の高周波帯域における当該誘電体の誘電損失tanδが2×10−4以下である。
導電性粒子
導電性粒子の導電率は、誘電体の使用方法、用途等に応じて適宜設定することができる。一般的には30000S/m以上、特に1×10S/m以上であることが望ましい。導電性粒子の材質は、導電性を有する材料であれば良く、例えば金属又は合金、炭素材料、金属酸化物等の公知の材料の中から適宜選択することができる。
特に、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、タングステン、モリブデン及びこれらを含む合金ならびにカーボンブラックの少なくとも1種を好適に用いることができる。より好ましくは、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、タングステン、モリブデン及びこれらのいずれかを含む合金の少なくとも1種である。
導電性粒子の粒子形状は限定的でなく、球状粒子、鱗片状粒子、不定形状粒子等のいずれであってもよい。また、導電性粒子の平均粒径は、通常100μm以下の範囲内において、特に誘電体に適用される周波数等に応じて適宜設定することができる。より具体的には、導電性粒子の粒径は、複合誘電体に適用される電磁波の複合誘電体中における波長の1/2以下、好ましくは1/4以下、より好ましくは1/10以下とする。これにより、使用する電磁波に対して複合誘電体が連続体としてより効果的に作用することができる。
導電性粒子の含有率は、所望の特性等に応じて適宜決定すれば良い。通常は誘電体中25容量%以上とすれば良く、特に50容量%以上、さらに75容量%以上とすることが好ましい。なお、上記含有率の上限は、機械的強度等の見地より95容量%程度とすれば良い。
導電性粒子は、公知の製法によって得ることもできる。例えば、ボールミル、ジェットミル、攪拌ミル等を用いるブレークダウン法; 蒸発凝縮法、CVD法、共沈法、均一沈殿法、水熱合成法、ゾルゲル法等のビルドアップ法が挙げられる。
無機酸化物の多孔体
多孔体を構成する無機酸化物の種類は、特に制限されず、所望の特性等に応じて適宜決定すれば良い。例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化鉄、酸化スズ、酸化ジルコニウム等のほか、これらの混合物(混合酸化物)、複合酸化物等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を採用することができる。
特に、本発明では、抵抗率1010Ω・m以上である無機酸化物を好適に用いることができる。さらに、誘電損失が1×10−3以下の無機酸化物を好適に用いることができる。特に、抵抗率1010Ω・m以上であり、かつ、誘電損失が1×10−3以下である無機酸化物がより望ましい。従って、このような特性を得るという点で、無機酸化物の一部又は全部として、シリカ及びアルミナの少なくとも1種を用いることが望ましい。
無機酸化物の多孔体におけるかさ密度、BET比表面積及び平均細孔径は、無機酸化物の種類、使用方法等によって適宜設定し得る。
かさ密度は、通常10〜500kg/m程度、特に50kg/m以上400kg/m以下の範囲から適宜決定すれば良い。比表面積は、通常50m/g以上1500m/g以下程度、特に100m/g以上1000m/g以下の範囲内から適宜設定することができる。比表面積は、窒素吸着法であるブルナウアー・エメット・テラー法(以下、BET法と略す)で測定した値である。また、多孔体の平均細孔径は、通常1nm以上1000nm以下、特に5nm以上50nm以下の範囲から適宜決定することができる。
このような多孔体としては、例えばゾルゲル法で調製された湿潤ゲルを乾燥することによって得られた乾燥ゲルを多孔体として好適に用いることができる。ゾルゲル法自体は、公知の方法に従って実施することができる。具体的な製造方法は、後記の製法に従えば良い。
誘電体の物性
本発明の複合誘電体は、1)1GHz以上(特に、1GHz以上32GHz以下、より具体的には1GHz、5.5GHz、25GHz及び32GHz)の高周波帯域における比誘電率εrが4以上(好ましくは10以上)であり、2)1GHz以上(特に、1GHz以上32GHz以下、より具体的には1GHz、5.5GHz、25GHz及び32GHz)の高周波帯域における誘電損失tanδが2×10−4以下(特に1.8×10−4以下)である。すなわち、本発明の複合誘電体は、高周波帯域において、高い誘電率及び低い誘電損失をともに兼ね備える。
また、本発明の複合誘導体の気孔率は、用いる多孔体の気孔率等によるが、通常は4%以上75%以下程度、特に8%以上50%以下であることが望ましい。
<実施の形態1>
本発明の複合誘電体について図1を用いて説明する。図1は、本発明の複合誘電体の実施例を説明する図である。誘電体1、誘電体1中に分散された導電性粒子2とからなる。誘電体1として多孔体が好ましく使用される。多孔体を用いることにより、見かけの抵抗率を同一組成のバルク材料と比較して高くすることができる。
空孔率vの多孔体を任意の面で切断した際、断面積S0に対して断面上に現れる骨格が占める面積sの割合は統計的にs/S0=(1−v)2/3となる。このことから、多孔体を形成する材料の抵抗率をρ0としたとき、この多孔体の見かけの抵抗率ρは、ρ=ρ0/(1−v)2/3と表される。これより、バルク材料と比較して高抵抗のマトリックスを形成することができる結果、漏れ電流を抑制することができ、誘電損失の小さな複合誘電体を提供することができる。
多孔体の材料としては、シリカ、アルミナ及びこれらを主成分とした誘電体を好ましく用いることができる。これは、シリカやアルミナの抵抗率が1015Ω・m以上と高く、かつ、誘電損失が1/10000のオーダーと非常に低いからである。ただし、シリカやアルミナに限らず、材料の抵抗率が1010Ω・m以上で、誘電損失が1/1000のオーダー以下の材料であれば、誘電体の原料(マトリックス)として用いることができる。
多孔体を得る方法としては、原料粉体の成型、原料粉体焼成、化学発泡、物理発泡、ゾルゲル法などが挙げられる。
また、導電性粒子2には導電率σが30000S/m以上の材料を選択することが望ましい。これにより、導電性粒子中を自由電子が速やかに移動し、かつ、粒子中で発生する損失をより小さくすることができる。
本発明で用いる導電性粒子2は、印加された外部電界に対し、外部電界を相殺して粒子内部に電界が存在しないか、極めて小さい値となる程度の電荷が粒子表面に誘起される。この誘起電荷によって、導電性粒子2は双極子能率を持つ。外部電界の変化に対し、導電性粒子2内の電荷の移動は極めて速やかであるため、個々の導電性粒子の誘電損失は低く抑制される。
導電性粒子2を得る方法としては、たとえばボールミル、ジェットミル、攪拌ミル等のブレークダウン法、あるいは蒸発凝縮法、CVD法、共沈法、均一沈殿法、水熱合成法、ゾルゲル法等のビルドアップ法などが挙げられる。
導電性粒子2としては、たとえばアルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、タングステン、モリブデン及びこれらの合金粒子又はカーボンブラックを好ましく用いることができる。特に、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、タングステン、モリブデン等の導電率σ(S/m)が1×10以上の純金属を用いることにより、更に好ましい結果を得ることができる。ただし、これらに限らず、他の金属又は合金、炭素粉末、導電性酸化物等のような30000S/m以上の導電率を有する材料を粒子化したものであれば、いずれも用いることが可能である。
導電性粒子2の粒径は、使用する電磁波の複合誘電体中における波長の1/2以下、好ましくは1/4以下、より好ましくは1/10以下とする。これにより、使用する電磁波に対して複合誘電体が連続体として作用することができる。
また、導電性粒子2の充填率は25容量%以上であれば複合誘電体として使用することができるが、50容量%以上とすることにより、好ましい結果が得られ、75容量%以上とすることにより、さらに好ましい結果が得られる。半径aの導電性粒子を電界E中に置いた時、導電性粒子の持つ双極子モーメントpは真空の比誘電率をε0とするとp=4Пε0×a3×Eとなる。一方、複合誘電体についてローレンツの内部電界を適用するとεrは、単位体積中に含まれる粒子の個数をN、一粒子の分極率をαとすると、(εr−1)/(εr+2)=Nα/3ε0で表される。ここでα=p/Eとなるため、導電性粒子2の充填率を25容量%としたとき複合誘電体の比誘電率εrは2となって樹脂と同程度の比誘電率となり、50容量%としたとき複合誘電体の比誘電率εrは4となってガラスと同程度の比誘電率となる。そして、75容量%以上としたとき複合誘電体の比誘電率εrは10以上となって、誘電体セラミックスと同程度以上の比誘電率とすることができる。
<実施の形態2>
本発明の第二の実施の形態は、第一の実施の形態において多孔体に乾燥ゲルを用いたものである。
本発明の多孔体においては、粒子の分散性と担持性、さらに高い充填率における粒子間間隙への形成性から、ナノメートルサイズの気孔とナノメートルサイズの骨格を多く有する材料を用いることが好ましい。このような好ましい材料としては、ゾルゲル法によって得られる乾燥ゲルが挙げられる。
乾燥ゲルは、ゾルゲル反応によって形成される多孔体であり、ゲル原料液の反応によって固体化した固体骨格部が溶媒を含んで構成された湿潤ゲルを経て、その湿潤ゲルを乾燥して溶媒除去することにより、形成される。この乾燥ゲルは、100nm以下のサイズの粒子で構成される固体骨格部によって平均細孔直径が数100nm以下の範囲である連続気孔が形成されているナノ多孔体である。また、固体成分を少なくすることにより、非常に低密度な多孔体を得ることができる。
乾燥ゲルの材質としては、無機材料を用いることができる。無機酸化物の乾燥ゲル(特に乾燥ゲルの固体骨格部)は、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)等のゾルゲル反応で得られる一般的なセラミックスを成分として適用することができる。
2.複合誘電体の製造方法
本発明の複合誘電体の製造方法は、特に限定されない。例えば、導電性粒子と無機酸化物の湿潤ゲルとを含む材料を乾燥させることによって、複合誘電体を好適に製造することができる。
湿潤ゲルの調製
湿潤ゲルは、公知の方法で製造することができる。特に、無機酸化物の網目構造骨格(多孔体)をより確実に形成できるという点で、ゾルゲル法で調製された湿潤ゲルを好適に用いることができる。以下、ゾルゲル法により製造する場合を代表例として説明する。
原料としては、ゾルゲル反応により湿潤ゲルを形成するものであれば限定されない。公知のゾルゲル法で使用されている原料を使用することもできる。例えば、ケイ酸ナトリウム、水酸化アルミニウム等の無機材料、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム−sec−ブトキシドなどの有機金属アルコキシドの有機材料などを用いることができる。これらは、目的とする無機酸化物の種類に応じて選択すればよい。
ゾルゲル法は、公知の条件に従って実施すれば良い。一般的には、上記の原料を溶媒に溶解させて溶液(原料溶液)を調製し、室温又は加温下で反応させ、ゲル化すれば良い。たとえば、シリカ(SiO)の湿潤ゲルをつくる場合は、以下のように実施すればよい。
シリカの原料としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシランなどのアルコキシシラン化合物、これらのオリゴマー、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ)、ケイ酸カリウムなどの水ガラス化合物、コロイダルシリカなどが挙げられる。これは、単独または混合して用いることができる。
溶媒としては、原料が溶解し、生成したシリカが溶解しないものであれば限定されない。例えば、水のほか、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、トルエン、ヘキサンなどが挙げられる。これらは1種または2種以上で用いることができる。
また、必要に応じて、触媒、粘度調整剤等の各種添加剤も配合することができる。触媒としては、水のほか、塩酸、硫酸、酢酸などの酸、アンモニア、ピリジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基を用いることができる。粘度調整剤としては、エチレングリコール、グリセリン、ポリビニルアルコール、シリコーン油などを用いることができるが、湿潤ゲルを所定の使用形態にできるのであれば限定されない。
上記原料を溶媒に溶解して溶液を調製する。この場合の溶液の濃度は、用いる原料又は溶媒の種類、所望のゲルの性状などによって異なるが、一般的には骨格を形成する固体成分濃度が数重量%〜数十重量%程度とすれば良い。上記溶液は、必要に応じて上記添加剤を加え、攪拌した後、注型、塗布などによって所望の使用形態にすれば良い。この状態で一定時間経過すれば、溶液はゲル化して所定の湿潤ゲルを得ることができる。具体的には、溶媒中で原料が反応しながらシリカの微粒子を形成し、その微粒子が集まって網目構造骨格を形成して湿潤ゲルが生成する。
この場合、溶液の温度は限定的でなく、常温又は加熱下とすれば良い。加熱する場合は、用いる溶媒の沸点未満の温度の範囲内で適宜設定することができる。なお、原料等の組合せによっては、ゲル化する際に冷却しても良い。
また、生成した湿潤ゲルを後のカーボン前駆体形成などの工程において、溶媒の親和性を高めること等を目的として、必要に応じて表面処理を行うこともできる。この場合、湿潤ゲルの状態で溶媒中でその固体成分の表面に表面処理剤を化学反応させて処理することもできる。
表面処理剤としては、例えばトリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、エチルトリクロルシラン、フェニルトリクロルシランなどのハロゲン系シラン処理剤; トリメチルメトシシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどのアルコキシ系シラン処理剤; ヘキサメチルジシロキサン、ジメチルシロキサンオリゴマーなどのシリコーン系シラン処理剤; ヘキサメチルジシラザンなどのアミン系シラン処理剤; プロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクタノール、デカノールなどのアルコール系処理剤などを用いることができる。これらは、多孔体の用途等に応じて1種又は2種以上を選定すればよい。
導電性粒子
用いる導電性粒子の種類、添加量等は、前記1.で説明した内容と同様にすればよい。
導電性粒子を添加する時期は、どの段階でもよい。例えば、湿潤ゲルの形成前の原料に予め導電性粒子を添加しても良いし、あるいは形成された湿潤ゲルに導電性粒子を配合してもよい。
本発明の製造方法では、導電性粒子の表面の一部又は全部を予め無機酸化物の湿潤ゲルで被覆しておくことが好ましい。このような被覆処理を行うことにより、誘電体中における導電性粒子どうしをより確実に絶縁することができる。被覆する方法は限定的でなく、例えば前記原料溶液を導電性粒子の表面に付与し、表面上で湿潤ゲルを形成させることにより実施することができる。被覆量は、導電性粒子の種類等に応じて適宜決定すればよい。前記原料溶液を導電性粒子に付与する方法としては、例えば噴霧法、浸漬法等の公知の方法に従えば良い。例えば、容器内で対流させた前記導電性粒子に前記湿潤ゲルの原料溶液を噴霧することにより、前記導電性粒子の表面の一部又は全部を無機酸化物の湿潤ゲルで被覆することができる。
粒子表面を被覆する湿潤ゲルは、マトリックスを形成する湿潤ゲルと同じ組成であっても良いし、互いに異なる組成であっても良い。特に、本発明では、両者は同じ組成であることが好ましい。
乾燥処理
乾燥処理には、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥の通常乾燥法のほか、超臨界乾燥法、凍結乾燥法等も用いることができる。一般に、乾燥ゲルの表面積を高く、かつ、低密度化を図るため湿潤ゲル中の固体成分量を少なくすれば、ゲル強度が低下する。また、単に乾燥するだけでは、溶媒蒸発時のストレスによってゲルが収縮してしまうことが多い。湿潤ゲルから優れた多孔質性能を有する乾燥ゲルを得るためには、乾燥手段として超臨界乾燥又は凍結乾燥を好ましく用いることができる。これによって、乾燥時のゲルの収縮、すなわち高密度化を効果的に回避することができる。通常の溶媒蒸発させる乾燥手段においても、蒸発速度をゆっくりさせるための高沸点溶媒を使用したり、蒸発温度を制御することによって、乾燥時のゲルの収縮を抑制することができる。また、湿潤ゲルに対し、ゲルの固体成分の表面を撥水処理等を施して表面張力を制御することによっても、乾燥時のゲルの収縮を抑制することができる。
超臨界乾燥法又は凍結乾燥法では、溶媒を液体状態から相状態を変えることによって、気液界面を無くして表面張力によるゲル骨格へのストレスを与えることなく乾燥できる。このため、乾燥時のゲルの収縮を防ぐことができ、低密度の乾燥ゲルの多孔質体を得ることができる。本発明では、特に、超臨界乾燥法を用いることがより好ましい。
超臨界乾燥に用いる溶媒は、湿潤ゲルの保持している溶媒を用いることができる。また、必要に応じて、超臨界乾燥において扱いやすい溶媒に置換しておくのが好ましい。置換する溶媒としては、直接その溶媒を超臨界流体にするメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類のほか、二酸化炭素、水などが挙げられる。または、これらの超臨界流体で溶出しやすいアセトン、酢酸イソアミル、ヘキサンなどの有機溶剤に置換しておいてもよい。
超臨界乾燥は、オートクレーブなどの圧力容器中で行うことができる。たとえば、溶媒がメタノールではその臨界条件である臨界圧力8.09MPa以上、臨界温度239.4℃以上にし、温度一定の状態で圧力を徐々に開放することにより行う。たとえば、溶媒が二酸化炭素の場合には、臨界圧力7.38MPa以上、臨界温度31.1℃以上にして、同じように温度一定の状態で超臨界状態から圧力を開放して気体状態にして乾燥を行う。たとえば、溶媒が水の場合には、臨界圧力22.04MPa以上、臨界温度374.2℃以上にして乾燥を行う。乾燥に必要な時間としては、超臨界流体によって湿潤ゲル中の溶媒が1回以上入れ替わる時間以上を経過すればよい。
<実施の形態3>
本発明の製造方法の実施形態を図2を用いて説明する。
所定の組成比で調製したゲル原料溶液11中に導電性粒子12を投入し、攪拌分散させる。ゲル原料溶液11の粘度が低い間は浸透性が高いため、導電性粒子12の間隙に溶液が浸透する。この間隙に浸透した溶液がゲル化することにより、導電性粒子12間に多孔体が形成されて導電性粒子12どうしが絶縁される。また、導電性粒子12の沈降速度が十分低くなる程度に溶液の粘度が上昇するまでの間攪拌を継続することにより粒子が溶液中で均一に分散する。この状態を保ったまま溶液のゲル化を完了させて湿潤ゲル13とし、これを乾燥させることにより、粒子どうしが絶縁され、粒子が均一に分散された乾燥ゲル14を得ることができる。この構成により、高誘電率、低誘電損失の複合誘電体が形成できる。なお、粒子を分散させる方法としては、攪拌以外に超音波等の手段を用いることもできる。また、これらの手段を組み合わせて用いることにより、導電性粒子の分散性をいっそう高めることができる。
<実施の形態4>
本発明の製造方法の別の実施形態を図3を用いて説明する。
導電性粒子21を容器22内に配置し、容器下部より熱風を送り込むことにより粒子21が容器内で対流を起こす。所定の組成比で調製したゲル原料溶液23を容器側面に付いたノズル24より容器22中に噴霧し、導電性粒子21に付着させる。付着したゲル原料溶液23は導電性粒子21が対流している間にゲル化し、導電性粒子21表面の少なくとも一部に薄膜を形成する。このようにして得られた導電性粒子複合体25を所定の組成比で調製したゲル原料溶液26中に投入し、攪拌分散させる。導電性粒子複合体25の沈降速度が十分低くなる程度に溶液の粘度が上昇するまでの間、攪拌を継続することにより導電性粒子複合体25が溶液中で均一に分散する。この状態を保ったまま溶液のゲル化を完了させて湿潤ゲル27とし、これを乾燥させることにより、粒子どうしの絶縁が一層確実になされ、粒子が均一に分散された乾燥ゲル28を得ることができる。この構成により、高誘電率、低誘電損失の複合誘電体が形成できる。なお、導電性粒子複合体25を分散させる方法としては、攪拌以外に超音波等の手段を用いることもできる。また、これらの手段を組み合わせて用いることにより、導電性粒子の分散性をいっそう向上させることができる。
【発明の効果】
以上のように本発明の複合誘電体は、無機酸化物の多孔体に導電性粒子が分散しているので、セラミックス誘電体及び樹脂をマトリクスに用いた複合誘電体では実現できなかった高い誘電率、低い誘電損失特性を実現することができる。すなわち、1)1GHz以上の高周波帯域における当該誘電体の比誘電率εrが4以上であり、2)1GHz以上の高周波帯域における当該誘電体の誘電損失tanδが2×10−4以下という優れた特性を発揮することができる。これにより、電子回路の小型化及び高性能化に大いに貢献することができる。
より詳細には、本発明の複合誘電体は、導電性粒子を誘電体マトリクスに分散させた構成において、誘電体として空気に準じた電気的特性を持つ無機酸化物の多孔体を用いることにより、空気では不可能であった粒子の分散、固定を可能とし、樹脂を用いた場合には不十分であった導電性粒子相互の電気的絶縁性を大きくすることができる。この構成によって、漏れ電流を抑制することができ、誘電損失の小さい複合誘電体を製造することができる。
さらに、導電性粒子を高密度に充填する場合には、低誘電損失性を保ったまま複合誘電体の比誘電率を高くすることが可能なため、セラミックス誘電体及び樹脂をマトリクスに用いた複合誘電体では実現できなかった高誘電率、低誘電損失特性を併せもつ複合誘電体を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
本発明の複合誘電体は、特にマイクロ波、ミリ波等の高周波帯で用いられる誘電体として有効である。このため、携帯電話、ミリ波無線LAN、高周波信号伝送機器、GPS、衛星通信機器等の各種の電子デバイスに利用することが可能である。
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
【実施例1】
テトラエトキシシランとエタノールとアンモニア水溶液(0.1規定)をモル比で1対3対4となるように混合し、ゲル原料液を調製した。この原料液をフッ素樹脂製容器に入れた。次いで、この中に平均粒径10μmのアルミニウム粒子(導電率:3.96×10S/m)を充填率0.86となるように投入した後、室温下でマグネチックスターラーを用いて攪拌分散させた。
次に、マグネチックスターラーのヒーターを用いて、攪拌を継続しつつ溶液を40℃に加熱した。溶液の粘度が上昇し、粒子の沈降が見られなくなった時点で溶液をテフロン(R)製治具に注入して40℃で24時間静置し、直径2mm×高さ1mmの円柱状湿潤ゲルを得た。この湿潤ゲルをエタノールで洗浄(溶媒置換)した後に、二酸化炭素による超臨界乾燥を行うことにより、乾燥ゲル中にアルミニウム粒子が分散した複合体(気孔率:約12%)を得た。超臨界乾燥は、圧力12MPa、温度50℃の条件で4時間経過後に、圧力を徐々に開放し大気圧にしてから降温した。
得られた複合体の比誘電率εr及び誘電損失tanδをネットワークアナライザを用いて測定した。その結果を表1に示す。なお、表1には、比較例1として、従来のセラミックス(MgTiO−CaTiO)を同様に測定した結果も併せて示す。

【実施例2】
あらかじめ体積を測定しておいた、粒径が10μmから50μmの銅粒子を高さ80cm、直径15cmの金属製円筒容器中に投入し、容器下面より熱風を送り込んで銅粒子(導電率:5.76×10S/m)を容器内で対流させた。また、ケイ酸ソーダの電気透析を行い、pH10〜11のケイ酸水溶液(水溶液中のシリカ成分濃度8重量%)を作り、そのケイ酸水溶液のpHを5.5に調整し、ゲル原料溶液とした。このゲル原料溶液を、金属容器側面のノズルより容器中に噴霧し、銅粒子の粒子表面を部分的に覆うように付着させた。
ゲル原料溶液の噴霧を終了し、銅粒子表面で溶液がゲル化し溶媒が蒸発した後送風を止めて銅粒子を乾燥ゲル薄膜で部分的に被覆した導電性粒子複合体を得た。上記と同じ組成に調製したゲル原料液をフッ素樹脂製容器に入れ、この中に導電性粒子複合体を、銅粒子としての充填率が0.91となるように投入して室温下でマグネチックスターラーを用いて攪拌分散させた。
溶液の粘度が上昇し、粒子の沈降が見られなくなったところで溶液をテフロン(R)製治具に注入して室温で3時間静置し、直径2mm,高さ1mmの円柱状湿潤ゲルを得た。この湿潤ゲルをエタノールで洗浄(溶媒置換)した後に、二酸化炭素による超臨界乾燥を行って、乾燥ゲル中に銅粒子が分散した複合体(気孔率:約8%)を得た。超臨界乾燥は、圧力12MPa、温度50℃の条件で4時間経過後に、圧力を徐々に開放し大気圧にしてから降温した。
得られた複合体の比誘電率εr及び誘電損失tanδをネットワークアナライザを用いて測定した。その結果を表1に示す。
【実施例3】
あらかじめ体積を測定しておいた、粒径が50μmの炭素粉末を高さ80cm、直径15cmの金属製円筒容器中に投入し、容器下面より熱風を送り込んで炭素粉末(導電率:3.0×10S/m)を容器内で対流させた。また、ケイ酸ソーダの電気透析を行い、pH10〜11のケイ酸水溶液(水溶液中のシリカ成分濃度8重量%)を作り、そのケイ酸水溶液のpHを5.5に調整し、ゲル原料溶液とした。このゲル原料溶液を、金属容器側面のノズルより容器中に噴霧し、炭素粉末の粒子表面を部分的に覆うように付着させた。
ゲル原料溶液の噴霧を終了し、炭素粉末表面で溶液がゲル化し溶媒が蒸発した後、送風を止めて炭素粉末を乾燥ゲル薄膜で部分的に被覆した導電性粒子複合体を得た。上記と同じ組成に調製したゲル原料液をフッ素樹脂製容器に入れ、この中に導電性粒子複合体を、炭素粉末としての充填率が0.5となるように投入して室温下でマグネチックスターラーを用いて攪拌分散させた。
溶液の粘度が上昇し、粒子の沈降が見られなくなったところで溶液をテフロン(R)製治具に注入して室温で3時間静置し、直径20mm,高さ10mmの円柱状湿潤ゲルを得た。この湿潤ゲルをエタノールで洗浄(溶媒置換)した後に、二酸化炭素による超臨界乾燥を行って、乾燥ゲル中に炭素粉末が分散した複合体(気孔率:約45%)を得た。超臨界乾燥は、圧力12MPa、温度50℃の条件で4時間経過後に、圧力を徐々に開放し大気圧にしてから降温した。
得られた複合体の比誘電率εr及び誘電損失tanδをネットワークアナライザを用いて測定した。その結果を表1に示す。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機酸化物の多孔体に導電性粒子が分散してなる複合誘電体であって、 1)1GHz以上の高周波帯域における当該誘電体の比誘電率εrが4以上であり、2)1GHz以上の高周波帯域における当該誘電体の誘電損失tanδが2×10−4以下である複合誘電体。
【請求項2】
複合誘電体の気孔率が4%以上75%以下である請求項1に記載の複合誘導体。
【請求項3】
前記多孔体のかさ密度が10kg/m以上500kg/m以下である請求項1に記載の複合誘電体
【請求項4】
前記多孔体の比表面積が50m/g以上1500m/g以下である請求項1に記載の複合誘電体。
【請求項5】
前記多孔体の平均細孔径が1nm以上1000nm以下である請求項1に記載の複合誘導体。
【請求項6】
前記多孔体の材料の抵抗率が1010Ω・m以上である請求項1に記載の複合誘電体。
【請求項7】
前記多孔体の材料の誘電損失が1×10−3以下である請求項1に記載の複合誘電体。
【請求項8】
前記多孔体の材料が、抵抗率1010以上であり、かつ、誘電損失1×10−3以下である請求項1に記載の複合誘電体。
【請求項9】
前記多孔体の一部又は全部が、シリカ及びアルミナの少なくとも1種である請求項1に記載の複合誘電体。
【請求項10】
前記多孔体が、無機酸化物の湿潤ゲルを乾燥することによって得られた乾燥ゲルである請求項1に記載の複合誘電体。
【請求項11】
湿潤ゲルが、ゾルゲル法により調製される請求項10に記載の複合誘電体。
【請求項12】
導電性粒子の導電率σが30000S/m以上である請求項1に記載の複合誘電体。
【請求項13】
導電性粒子の含有率が当該誘電体中75容量%以上95容量%以下である請求項1に記載の複合誘電体。
【請求項14】
導電性粒子の平均粒径が100μm以下である請求項1に記載の複合誘電体。
【請求項15】
導電性粒子が、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、タングステン、モリブデン及びこれらを含む合金の少なくとも1種である請求項1に記載の複合誘電体。
【請求項16】
無機酸化物中に導電性粒子が分散してなる複合誘電体を製造する方法であって、導電性粒子と無機酸化物の湿潤ゲルとを含む材料を乾燥させる工程を有する製造方法。
【請求項17】
前記材料が、湿潤ゲルの原料溶液に導電性粒子を混合し、次いで原料溶液をゲル化することによって得られる請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
導電性粒子を原料溶液に混合するに先立って、予め導電性粒子の表面の一部又は全部を予め無機酸化物の湿潤ゲルで被覆する請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
容器内で対流させた前記導電性粒子に前記湿潤ゲルの原料溶液を噴霧することにより、前記導電性粒子の表面の一部又は全部を無機酸化物の湿潤ゲルで被覆する請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
湿潤ゲルが、ゾルゲル法により調製される請求項16に記載の製造方法。
【請求項21】
導電性粒子の導電率σが30000S/m以上である請求項16に記載の製造方法。
【請求項22】
導電性粒子を当該誘電体中75容量%以上95容量%以下となるように配合する請求項16に記載の製造方法。
【請求項23】
導電性粒子の平均粒径が100μm以下である請求項16に記載の製造方法。
【請求項24】
導電性粒子が、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、タングステン、モリブデン及びこれらを含む合金の少なくとも1種である請求項16に記載の製造方法。

【国際公開番号】WO2004/100180
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504481(P2005−504481)
【国際出願番号】PCT/JP2004/006484
【国際出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【特許番号】特許第3743830号(P3743830)
【特許公報発行日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】