説明

複数のチューナ受信器におけるクロストークを検出および防止する方法および装置

多数のチューナを用いる受信器は、複数のチューナに与えられる複数の信号の間にクロストークをもたらす可能性がある。開示した実施形態はクロストークを検出し防止する方法及び装置に関する。この方法(300)は、第1の信号処理経路に信号を提供するステップと、前記第1の信号処理経路を経て与えられた信号内のチャンネルにチューニングするステップ(302)と、第2の信号処理経路を経た信号内の前記チャンネルにチューニングするステップ(308)と、前記チャンネルが第2の信号処理経路に存在する場合にクロストークが存在すると決定するステップ(316)とを含んでいる。前記装置(100)は、信号を第1の信号処理経路に与える手段(101)と、第1の信号処理経路を経て与えられた前記信号内のチャンネルにチューニングする手段(104)と、第2の信号処理経路を経た前記信号内の前記チャンネルにチューニングする手段(110)と、前記チャンネルが第2の信号処理経路に存在する場合にクロストークが存在すると決定する手段(106、112、116)とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年2月2日に出願した米国特許仮出願60/764,591号の米国特許法第119条の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、受信器の動作に関し、特にセットトップボックス(set top box)における2つ以上の信号間のクロストークを決定すること(determining)及び防止することに関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションは、以下の説明および/または特許請求の範囲に記述する本発明の様々な態様に関係すると考えられる様々な態様の技術を読者に紹介することを目的とするものである。ここでの説明は、本発明の様々な態様に対する理解を深めるための背景情報を読者に与えるのに有効であると考えられる。従って、これらの記述は、こうした観点で読まれるべきものであり、従来技術を自認するもの(admissions of prior art)として読まれるべきものではない。
【0004】
衛星放送受信セットトップボックスにおいて使用されるようなチューナ及びチューナ・システムは、非常に複雑になってきている。例えば、多数のチューナが、記録及び記憶のための複数のハード・ディスク、複数のテレビなどの複数の外部ディスプレイ・デバイス、及び家の別の部屋に、別々の受信信号を同時に提供するのに使用され可能性がある。さらに、衛星放送サービス・プロバイダは、更なるチャンネル容量及び新しい信号変調フォーマットを設けることにより、性能を向上させてきた。向上された信号性能は、チューナ及びチューナ・システムが性能要件及び入力条件において広いバリエーションを有する信号で動作することを要求する可能性がある。さらなる複雑さ及び性能は、その後のチューナ及びチューナ・システムについての設計要件に負担をかける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セットトップボックスにおいて使用されるチューナ・システムが効率的に動作するために、チューナ・システムにおける各チューナは、別のチューナに供給される信号から独立して且つ動作上の干渉を受けること無く、動作し、信号を受信しなければならない。上記動作は、入力信号が、共通の信号リソースから生成されたか、異なるストリームから、または異なる供給リソースからもたらされたかにかかわらず維持されなければならない。効率的なチューナ動作を維持する1つの現在の方法は、複数のチューナの間の電気的な信号絶縁を与える回路条件及び設計条件を組み込むことである。電気的な信号絶縁は、あるチューナが、セットトップボックスにおける別のチューナに与えられるように意図された信号を受信することを防止する。この回路条件及び設計条件は、クロストークと一般に呼ばれる、一方の信号経路から他方の信号経路への電気信号エネルギーの結合を軽減するか防止することをもたらす。
【0006】
幾つかの最悪な場合の設計条件において、チューナ・システムにおける2つのチューナの間のクロストークに関する要件(crosstalk requirements)は、電気的な信号絶縁が最高で70デシベル(dB)であることを必要とする可能性がある。電気的な信号絶縁のこのような高いレベルの要件は、コストの高い実装及び技術的に挑戦的な設計をもたらす。許容できないクロストーク・レベルは、ある信号伝達条件の下だけに存在している可能性があり、クロストークの原因は、1つの信号ストリームだけが与えられたときなどの信号伝達状態において、容易に解消される可能性がある。残りの信号伝達状態においても、クロストークが検出さる可能性がある場合、クロストークが幾つかの方法により防止されるか制御されることも可能である。よって、チューナ・システムにおける複数のチューナの間の信号クロストークを決定し、可能ならば防止する効率的な方法及び装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示した実施形態は、信号を受信し且つ複数の信号の間のクロストークを決定する及び防止する方法及び装置に関する。ある実施形態において、前記方法は、信号を第1の信号処理経路に与えるステップと、第1の信号処理経路を経て与えられた信号内のチャンネルにチューニングするステップと、第2の信号処理経路を経た信号内のチャンネルにチューニングするステップと、信号内のチャンネルが第2の信号処理経路に存在する場合にクロストークが存在すると決定するステップとを含んでいる。
【0008】
別の実施形態において、前記方法は、第1の信号リソースから供給された第1の信号内のチャンネルにチューニングするステップと、第1の信号内のチャンネルの信号特性を測定するステップと、第1の信号リソースが使用可能にされた状態で、第2の信号リソースから供給される第2の信号内のチャンネルにチューニングするステップと、第1の信号リソースが使用可能にされた状態で、第2の信号内の前記チャンネルの信号特性を測定するステップと、第1の信号リソースを取り外すステップと、第1の信号リソースが取り外された状態で、第2の信号内の前記チャンネルの信号特性を測定するステップと、前記測定された信号特性に基づいて、第1の信号リソースと第2の信号リソースとの間のクロストーク・レベルを決定するステップとを含んでいる。
【0009】
別の実施形態において、前記装置は、信号を第1の信号処理経路に提供する手段と、第1の信号処理経路を経て与えられた信号内のチャンネルにチューニングする手段と、第2の信号処理経路を経て与えられた信号内のチャンネルにチューニングする手段と、前記信号内に前記チャンネルが第2の信号経路に存在する場合にクロストークが存在すると決定する手段とを含んでいる。
【0010】
さらに別の実施例において、前記装置は、第1の信号リソースから供給された第1の信号内のチャンネルにチューニングする手段と、第1の信号内のチャンネルの信号特性を測定する手段と、第1の信号リソースが存在する状態で、第2の信号リソースから供給された第2の信号内のチャンネルにチューニングする手段と、第1の信号リソースが存在する状態で、第2の信号内のチャンネルの信号特性を測定する手段と、第1の信号リソースを取り外す手段と、第1の信号リソースが取り外された状態で、第2の信号内のチャンネルの信号特性を測定する手段と、測定した信号特性に基づき第1の信号リソースと第2の信号リソースとの間のクロストーク・レベルを決定する手段とを含んでいる。
【0011】
本発明の特徴及び利点は、実施形態の一例が示された以下の説明からより明確となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の1つ以上の特定の実施形態が以下において説明される。これら実施形態を簡単に説明するために、実際の装置の全ての特徴が本明細書において説明されるわけではない。多数の開発に特有の決定が、任意の工学プロジェクト又は設計プロジェクトなどの実際の装置の開発において、開発ごとに変わる開発者の特定の目的(システム関係の制約及びビジネス関係の制約の順守など)を達成するためになされなければならない。さらに、このような開発努力は、複雑且つ時間がかかるかもしれないが、この開示の利益を受ける当業者にとっては、設計、組み立て、及び製造の決まりきった作業であろう。
【0013】
以下において、衛星信号を受信するのに使用されるシステム及び回路が説明される。他の種類の信号を受信する別のシステムが非常に類似する構造を含んでいてもよく、前記別のシステムにおいては、信号入力は幾つかの別の手段により供給されることができる。本明細書において説明される実施形態は単に1つの可能性のある実施形態であるということは当業者には明白であろう。よって、代替実施形態において、回路の要素は別の場所に配置されてもよく、若しくは省略されてもよく、又は追加の要素が加えられてもよい。例えば、小さな変更により、説明した回路は、ケーブル・ネットワークから送信された映像信号及び音声信号のような衛星通信でない映像信号サービス及び音声信号サービスにおいて使用するように構成されてもよい。
【0014】
先ず、複数の図面に移り、まず図1を参照すると、本発明の実施形態による衛星信号受信システム100の典型的な実施形態が示されている。複数の衛星信号ストリームは、それぞれは複数のチャンネルを含み、屋外ユニット(outdoor unit)(ODU)101により受信される。ODU101は、低雑音ブロック・コンバータ(LNB)として公知の構造体内に含まれる1つまたはそれ以上のアンテナに、空中を通して伝搬された電波を捕捉し、集中させるパラボラ・アンテナを含む。ODU101は、1つ以上の人工衛星に配置された衛星トランスポンダからの複数の信号ストリームを受信するように構成されてもよい。好ましい実施形態において、16チャンネルの2組がODU101により受信され、1つあるいはそれ以上のLNBを用いて、Lバンドと称される950乃至2150メガヘルツ(MHz)の周波数範囲に変換される。
【0015】
ODU101は、ラジオ周波数(RF)同軸ケーブルを通して、多数の変換された信号ストリームをセットトップボックス102に提供する。好適な実施形態において、セットトップボックス102はODU101から丁度2つの個々の信号ストリームを受信することができる。これら個々の信号ストリームの各々は個々の信号処理経路において処理される。上段の信号経路は、その信号経路が直列に接続される形でチューナ104、リンク回路106、及び伝送デコーダ108を含んでいる。下段の経路も、その信号経路が直列に接続される形でチューナ110、リンク回路112、及び伝送デコーダ112を含んでいる。各処理経路は、二つのスプリットされた信号ストリーム(以下、スプリットされた信号ストリームをスプリット信号ストリームと称する)のうちの一つに関して実質的に同一の信号処理を実行することができる。したがって、上段の信号処理経路のみが本明細書でさらに説明されることになる。
【0016】
信号スプリッティング回路(signal splitting circuit)102からのスプリット信号ストリームの一方がチューナ104に与えられる。チューナ104は、スプリット信号ストリーム内のチャンネルの一方を選択又はチューニングすることにより、スプリット信号ストリームを処理し、1つまたはそれ以上のベースバンド信号を生成する。チューナ104は、スプリット信号ストリームを増幅、フィルタリング、及び周波数変換する増幅器、フィルタ、ミキサ、ならびに発振器などの回路を含んでいる。典型的には、チューナ104は、リンク回路106により制御されるかチューニングされる。あるいは、チューナ104は、後に説明されるコントローラ116のような別のコントローラにより制御されてもよい。制御コマンドは、周波数変換を実行するチューナ104内のミキサにより使用される発振器の周波数を変換するコマンドを含む。
【0017】
典型的には、チューナ104の出力部におけるベースバンド信号は、一まとめにして、望まれる受信信号として引用され、入力信号ストリームとして受信されるチャンネルのグループから選択された1つの衛星チャンネルを示すことができる。信号はベースバンド信号として説明されたが、この信号は、ベースバンドの周波数に実際に近い周波数を有していてもよい。
【0018】
チューナ104からの1つまたはそれ以上のベースバンド信号がリンク回路106に与えられる。リンク回路106は、通常、1つ以上のベースバンド信号を、リンク回路106の残りの回路による復調のためにデジタル信号に変換するのに必要とされる処理回路を含んでいる。ある実施形態において、このデジタル信号は、1つまたはそれ以上のベースバンド信号のデジタル・バージョンであってもよい。別の実施形態において、デジタル信号は、1つ以上のベースバンド信号のベクトル形式であってもよい。リンク回路106は、デジタル信号における復調及び誤り訂正を実行し、トランスポート信号を生成する。このトランスポート信号は、単一プログラム・トランスポート・ストリーム(single program transport streams)(APTS)と称される1つのプログラムのためのデータ・ストリームであってもよく、又は多重プログラム伝送ストリーム(multiple program transport stream)(MPTR)と称される、纏めて多重化された多重プログラム・ストリームであってもよい。
【0019】
リンク回路106は入力されるベースバンド信号の特性解析(characterization)を行う回路を含んでいる。信号特性解析は、相対的な信号レベル、信号対雑音比、又はデジタル信号ビット誤り率の測定を含むことができる。信号特性解析は、入力信号の信号品質を画定するのに使用され、リンク回路内の異なる点における測定、セットトップボックス102内の特定の回路の制御、及び信号ロック表示(signal lock indication)のような状態信号の生成を含むことができる。ロック表示信号(lock indication signal)が、例えば、ユーザにより要求されたチャンネルがチューナ104及びリンク回路106により、正確にチューニングされ、受信されていることを指し示すために、コントローラ116に与えられてもよい。さらに、リンク回路106がイコライザを含んでいるならば、特性解析はイコライザ要素から得られた値を含むことができる。
【0020】
好ましい実施形態において、相対的な信号レベルが、チューナ104における信号利得を調節する自動利得制御ループの一部としてモニタされる。信号がリンク回路106からチューナ104に提供され、チューナ104における信号利得を調節する。この利得調節信号は、1つまたはそれ以上のベースバンド信号の相対的なレベルを測定し、一定の時間間隔に亘って測定された値を統合するすなわちスムージングする(smoothing)リンク回路106において生成される。平滑化処理された値は閾値と比較され、必要ならば、処理されて、チューナ104の利得制御可能な増幅器用の調節信号として、チューナ104に与えられる。
【0021】
トランスポート信号はトランスポート・デコーダ108に与えられる。典型的には、トランスポート・デコーダ108は、SPTS又はMPTSとして与えられるトランスポート信号を、個々のプログラム・ストリームと制御信号とに分ける。はトランスポート・デコーダ108は、プログラム・ストリームを復号し、これら復号されたプログラム・ストリームから音声信号及び画像信号を生成する。ある実施形態において、トランスポート・デコーダ108は、ユーザにより選択された1つのプログラム・ストリームだけを復号し、この1つの復号されたプログラム・ストリームに対応する音声信号及び映像信号だけを生成するように、ユーザ入力又はコントローラ116などのコントローラにより指示される。別の実施形態において、トランスポート・デコーダ108は、利用可能なプログラム・ストリーム全てを復号し、ユーザ要求に応じて、1つまたはそれ以上の音声信号及び映像信号を生成するように指示されることができる。
【0022】
伝送デコーダ108及び伝送デコーダ104の両方からのすべての必要な制御信号に加えて、音声信号及び映像信号がコントローラ116に与えられる。コントローラ116は、音声信号、映像信号、及び制御信号の経路指定(routing)及びインターフェースを管理し、さらにセットトップボックス102内の様々な機能を制御する。例えば、トランスポート・デコーダ108からの音声信号及び映像信号は、コントローラ116を経て音声/映像(A/V)出力部126へ経路指定されることができる。A/V出力部126は、テレビ及びコンピュータなどの外部デバイスによる使用に対して、セットトップボックス102から音声信号及び映像信号を供給する。また、トランスポート・デコーダ114からの音声信号及び映像信号はコントローラ116を経て記録及び格納用メモリ・ブロック130へ経路指定されることもできる。メモリ・ブロック130は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、フラッシュ・メモリ、ハードディスク・ドライブなどのハード・メディアを含むいくつかの形式のメモリであってもよい。メモリ・ブロック130は、コントローラ116により使用される指示(instructions)及びデータを記憶するためのメモリ部と、音声信号及び映像信号を記憶するためのメモリ部とを含むことができる。コントローラ116は、トランスポート・デコーダ108又はトランスポート・デコーダ114からのMPTS又はSPTSなどの二つ以上の形式で信号をメモリ・ブロック130に格納することを可能にする。
【0023】
コントローラ116は、サービス・プロバイダと電話線接続する電話線モデムなどの外部通信インターフェース120に接続される。外部通信インターフェース120は、音声信号及び映像信号の使用を許可する信号を提供する。コントローラ116は、音声/映像信号の使用を管理し、許可されていない使用を防止するための信号を通信するスマートカード(smart card)などのセキュリティ・インターフェイス118に接続される。ユーザ・コントロールは、セットトップボックスを制御するユーザ指示のダイレクト入力を提供するユーザ・パネル(user panel)122と、外部リモート・コントロール・デバイスからのコマンドを受信するリモート制御デバイス124により達成される。ユーザ・パネル122及びリモート制御受信器124はコントローラ116に接続される。図示していないが、コントローラ116は、チューナ104、110、リンク回路106、112、及びトランスポート・デコーダ108、114にも接続され、最初のセットアップ情報を与え、複数のブロックの間の制御情報を渡すことができる。最後に、電力供給源128は、通常、セットトップボックス102内のブロック全部に接続され、電力をこれらブロックに供給し、ODU101などの外部で電力を必要とする全ての要素へ電力を供給する。
【0024】
コントローラ116は、ODUコントローラ130に接続されてODUコントローラ130を制御することができる。ODUコントローラ130は、信号及び電力供給信号を、ODU101とセットトップボックス102との間を接続する同軸ケーブルに与えることにより、ODUに前記信号及び電力供給信号を与える。ある実施形態において、ODUコントローラ130は、特定の信号ストリームを各処理経路、およびチューナ104及びチューナ110への入力部に提供するために、コントローラ116から入力制御信号を受信し、異なるDC電圧レベルをODU101の特定の部分に与える。別の実施形態において、ODUコントローラ130は、コントローラ116から、またリンク回路106及びリンク回路112からの入力を受信し、DC電圧レベル、及び周波数偏移変調(frequency shift keying modulation)に基づく低い周波数の搬送波を用いた個々のチューニング制御信号をODU101に提供する。コントローラ116は制御コマンドを送信し、ODUコントローラ130がODU101にDC電圧、あるいは制御信号のどちらか一方を提供のすることを与えることを無効にすることができる。
【0025】
セットトップボックス102内において説明されたブロックは重要な相互作用を有し、幾つかのブロックは組み合わされ及び/又は再配置されて、同じ様な基本的な機能の全てを備えることができることを当業者であれば認識されたい。例えば、トランスポート・デコーダ108及びトランスポート・デコーダ114は、組み合わされことができ、さらに、コントローラ116の機能の幾つか又は全てを統合し、セットトップボックス102用のメイン・コントローラとして機能させることができる。さらに、様々な機能のコントロールは、ある設計用途及び要件に基づいて分散されたり、割り当てられたりすることができる。一例として、2つの入力信号ストリーム用の処理経路は特定の種類の信号に対して動作することができる。チューナ104、リンク回路106、及びトランスポート・デコーダ108は、高解像度音声及び映像フォーマットを使用する信号を、復調及び復号することができ、一方、チューナ110、リンク回路112、及び伝送デコーダ114はプログラムガイドの動作を維持する信号を受信することができる。
【0026】
セットトップボックス102は、幾つかの動作モードにおいて2つ以上の分割信号ストリームを受信し、別の動作モードでは1つの信号ストリームだけを受信するように構成されることができる。1つの信号ストリームだけを利用するモードにおいて、本発明の態様によれば、セットトップボックス102は単一信号ストリームを両処理経路に提供する信号供給(provision)を含むことができる。1つの信号ストリームだけが使用されるモードにおいてさえも第2の信号ストリームをセットトップボックス102に供給する信号供給は、クロストークに起因する望まれない信号の干渉から生じる潜在的な性能問題を意図せずに与える可能性がある。このような場合、適切な動作を維持するために、本発明の形態にしたがって、セットトップボックス102においてクロストークを検出し、且つ防止することは、重要となる可能性がある。
【0027】
図2を参照すると、セットトップボックス102に設けられるような受信回路200を示すブロック図が示されている。受信回路200は、複数の信号フォーマット内の1つまたはそれ以上の信号ストリームを受信するため複数の処理ブロックを含む。受信回路200は、プログラム又はチャンネル・ガイド情報の提供に関連付けられた信号ストリームの少なくとも一部を受信する複数の処理ブロックを含んでいる。
【0028】
第1の信号ストリームが、上段の信号処理経路でフィルタ202及び増幅器204に与えられる。フィルタ202は、その信号から望まれない信号エネルギー、特に、その信号ストリームに含まれるそのチャンネルの対象の周波数範囲の外側の信号エネルギー、を除去する。増幅器204は信号利得をもたらし、入力信号ストリームの信号のパワー・レベルを増幅する。信号レベルを増幅する主な目的は、その信号処理回路の別の回路における更なる信号レベルの損失分を補うことである。
【0029】
増幅器204の出力部における増幅された信号ストリームは、スプリッタ206に与えられる。スプリッタ206は、信号パワーを2つの経路に分けることにより、2つにスプリットされた信号出力ストリームを生成する。スプリッタ206は2つに分けられた信号経路に信号パワーを等しくスプリットすることができる。あるいは、スプリッタ206は、一方の分割出力ストリームにオリジナルの信号パワー以上の信号出力を与え、他方にオリジナルの信号パワー以下の信号出力を与えてもよい。
【0030】
スプリッタ206からの分割された信号の一方は、切替可能な減衰器208及び増幅器210に与えられる。増幅器210は前述した増幅器と同一の機能を有する。切替可能な減衰器208は信号を減衰させ、通過する信号の信号レベルを減じる。切替可能な減衰器208は1つ以上の減衰回路、及び信号処理経路の内部または外部において減衰器をスイッチする1つ以上のスイッチ、を形成する抵抗回路網(network of resistors)を含むことができる。好ましい実施形態において、切替可能な減衰器208は0dB減衰と15dB減衰との間をスイッチすることができる。切替可能な減衰器208はスイッチ機能を制御する制御入力も含んでいる。制御入力は、信号処理の間、どちらの減衰器の設定が使用されるかを選択する。制御信号は、リンク回路又はコントローラにより与えられる。
【0031】
増幅器210からのさらに処理された信号ストリームが、第2の切替可能な減衰器212及び信号スプリッタ214に与えられる。切替可能な減衰器212の機能及び動作は前述した切替可能な減衰器と同じである。信号スプリッタ214の機能及び動作も前述した信号スプリッタと同じである。信号スプリッタ214の2つの出力の各々はフィルタ(フィルタ216、218)及びチューニング回路220に与えられる。フィルタ216及び218は、上述したように、望まれない信号エネルギーをさらにフィルタする。チューニング回路220は、入力信号ストリーム内の2つの分割されたチャンネルをチューニングするミキサ及び発信器などの処理回路を含む。コントローラ(図示せず)又はチューニング回路220に接続されたリンク回路224、264からの制御信号は、信号ストリームに存在するチャンネルにチューニングするチューニング制御コマンドを備えている。
【0032】
チューニング回路220の1つの出力が従来の(legacy)リンク222に与えられる。従来のリンク22は、衛星信号送信に使用される古い信号フォーマット信号を復調及び復号する。好ましい実施形態において、従来のリンク22は、4相位相偏移(QPSK)変調フォーマット、ビタビ誤り訂正フォーマット、及びリードソロモン誤り訂正フォーマットを用いて、信号を復調及び復号することができる。チューニング回路220の他の出力は、高度な(advanced)リンク224に提供される。高度な(advanced)リンク224は、古い従来の信号フォーマット信号を復調及び復号することが可能であることに加えて、衛星信号送信において使用される新しい高度な信号フォーマットを使用する信号を復調及び復号する。好ましい実施形態において、高度なリンク224は、QPSK変調、ビタビ及びリードソロモン誤り訂正フォーマットに加えて、8相移送偏移(8−PSK)変調、ターボ符号、低密度パリティ検査(LDPC)、ボース・チョードリ・ホッケンガム(Bose, Chaudhuri, and Hocquenghem)(BCH)誤り訂正フォーマットを用いる信号を復調及び復号することができる。従来のリンク222及び高度なリンク224は、音声復号及び映像復号を含むさらなる処理並びに表示のためのトランスポート信号出力などの、出力を提供する。
【0033】
前述したように、高度なリンク224は、切替可能な減衰器208及び切替可能な減衰器212のための制御信号を与える。この制御信号は、信号ストリームからのチューニングされたチャンネルに行われる信号特性解析に基づいて、高度なリンク224により決定される。さらに、コントローラ(図示せず)が、切替可能な減衰器208及び212を制御する高度なリンク224により使用される制御情報を提供してもよい。あるいは、コントローラが、切替可能な減衰器208及び212に制御信号を直接提供してもよい。
【0034】
高度なリンク224は、制御信号をLNBコントローラ226に与える。LNBコントローラ226は、前述したようにODU101を操作する信号を提供する。LNBコントローラ226は、制御信号を生成する処理回路を含むことができる。あるいは、LNBコントローラ226は、DC供給源を信号処理経路に接続する又は切断するスイッチを含むことができる。DC電力供給源(図示せず)はODU101における回路に電力を供給するのに使用される。
【0035】
信号スプリッタ206からの第2の信号出力は、スイッチ250の共通端子に与えられる。スイッチ250により、上段の信号処理経路からの信号が、以下において説明するように下段の信号経路に与えられる。スイッチ250は、2極双投式(EPET)スイッチであることが好ましく、トランジスタ及びダイオードを含むリレー回路又は電子回路を用いて実装されることもできる。スイッチ250の1つの切替端子は、以下において説明される下段の信号処理経路において使用される回路に接続される。スイッチ250の別の切替端子は、抵抗終端290に接続され、上段の信号処理経路からの信号ストリームが下段の信号処理経路に与えられないとき、スプリッタ206の出力接続部を適切に終端する。
【0036】
さらに、ケーブル接続部がセットトップ102に第2の信号ストリームを伝送するならば、第2の信号ストリームは、下段の信号処理経路におけるフィルタ252、増幅器254、及び減衰器256に与えられる。フィルタ252及び増幅器254は前述したフィルタ及び増幅器と同様の動作を行い、同様な機能を有する。減衰器256は抵抗器(これだけに限定されない)などの要素の固定回路網を含み、信号ストリームが通過するとき、信号レベルを低減する。減衰器256は、増幅器254に与えられた信号ストリーム特性、例えば、限定されないが、インピーダンスについてバッファリングを提供する。好ましい実施形態において、減衰器256は3dBの信号損失を生ずる。
【0037】
減衰された下段の信号ストリームは、スイッチ258のスイッチ端子に与えられる。前述されたスイッチ250と共にスイッチ258は、上段の信号処理経路に由来する信号ストリーム又は下段の信号処理経路に由来する信号ストリームが、下段の信号処理経路における残りの回路にさらに与えられることを可能にする。スイッチ258は、DPDTスイッチであることが好ましく、トランジスタ及びダイオードを含むリレー回路又は電気回路を用いて実装されることもできる。スイッチ258の別のスイッチ端子が、前述したように、スイッチ250のスイッチ端子の1つに接続される。スイッチ258の共通の端子は、上段の信号処理回路からの信号ストリーム又は下段の信号処理経路の入力部に与えられた信号ストリームを、下段の信号処理経路における残りの回路に与える。
【0038】
スイッチ250及びスイッチ258は制御信号入力を有している。各制御信号入力用の入力信号はコントローラから与えられる。あるいは、制御信号は従来のリンク222又は高度なリンク224のようなリンク回路から与えられてもよい。好ましい実施形態において、スイッチ250用制御信号入力とスイッチ258用制御信号入力が接続され、共通の制御信号が与えられる。
【0039】
スイッチ258の出力、すなわち共通端子における信号ストリームは切替可能な減衰器260に与えられる。切替可能な減衰器260は、前述されたような機能を有し、前述されたような動作を行う。切替可能な減衰器260からの信号出力はチューニング回路262に与えられる。チューニング回路262はチューニング回路220について説明した回路と類似した回路を含むが、信号ストリーム内のチャンネルから1つのチャンネルだけをチューニングする。チューニング回路の出力は高度なリンク264に与えられる。高度なリンク264は高度なリンク224と同様の動作を行い、機能を有し、さらなる処理のためのトランスポート信号出力を与える。
【0040】
高度なリンク264は、切替可能な減衰器260及びLNB制御器266のための制御信号を与える。切替可能な減衰器260とLNB制御器260に対する高度なリンク264の制御信号及び動作は、高度なリンク224、切替可能な減衰器208及び212、並びにLNB制御器226について前述した制御信号と同じであり、前述した動作と同じように動作する。
【0041】
複数のチューナが1つ以上の信号処理経路からの信号ストリームを利用することを可能にするなどの、受信回路200における回路配置の追加された複雑性は、性能条件を複雑にする。チューナの適切な動作は、本発明の実施形態により、複数の信号処理経路の間にクロストークが存在するかどうかを決定する能力を必要とする可能性がある。さらに、上記において説明された減衰器などの回路を用いた信号処理経路の信号特性の調節は、本発明の実施形態によれば、複数の信号処理経路におけるクロストークを解消するか防止する。
【0042】
図3を参照すると、本発明の形態を使用してクロストークを決定し及び防止する例示的な処理300を示すフローチャートが示されている。通常、処理300はユーザによるセットトップボックス102のセットアップの一部として行われる。さらに、処理300は、初期設定の一部として行われてもよく、セットトップボックス102に与えられる信号ストリームの接続に関連付けられる変更がなされるときはいつでも行われてもよい。
【0043】
ステップ302において、信号ストリームが、セットトップボックス102の信号処理経路の一方、例えば下段の経路に与えられていないか、存在していないとき、他方の信号処理経路用のチューナ、例えばチューナ104は所定のチャンネルにチューニングするように指示される。チューニングされるチャンネルは、チューナ104に与えられた信号ストリーム内の複数のチャンネルの中に存在するチャンネルであるべきである。下段の信号処理経路に存在する信号ストリームは、例えば信号を下段の信号処理経路に供給するのに使用される、ODU101内のLNB回路を、無効にする、すなわち停止するようにODUコントローラ130に指示することにより、除去することができ、又はセットトップボックス102に達しないように防止することができる。
【0044】
次にステップ304において、動作中の信号処理経路におけるリンク回路106によりチューニングされたチャンネル特性により生成されるロック状態信号がチェックされる。ロック状態信号は、コントローラ116により連続してモニタされてもよい。連続モニタリングが使用されるならば、ロック状態信号は、チューナにチューニングするように指示した後、例えば5秒などの短い時間期間に何回かチェックされることを必要としてもよい。ロック状態信号は、例えばコントローラ116に接続された制御バスを経て、割り込みコマンドとして与えられてもよい。
【0045】
ステップ306において、ロック状態信号が、信号ロックがチューニングされたチャンネルに生じていないことを示している場合、エラーが表示される。このエラーは、信号が存在していないこと、又は望まれるチャンネルがその信号ストリームに存在していないこと、を示すのに使用されることができる。このエラーは、正しくない、すなわち無効のチャンネルがチューニングされたか、又はセットトップボックス102において幾つかのハードウェア動作上の問題が存在することをさらに示すことができる。正しくない、無効の、存在していないチャンネルに起因する潜在的なエラーを無くすために、別のチャンネルにチューニングするための追加のコマンドがチューナ104に与えられ、必要ならば、ステップ302及び304を繰り返してもよい。
【0046】
さらに、有効なロック状態だけが、リンク回路106内の回路が信号を処理することが可能な、信号強度などの、を有する十分な信号特性をリンク回路106が受信したこと、を示す。信号は、この後も、信号処理経路に存在していてもよく、この場合、有効なロック状態を決定するのに必要な信号特性の閾値未満である。
【0047】
ステップ304において、ロック状態信号が、信号ロックがチューニングされたチャンネルに生じていることを示す場合、ステップ308において、信号が、下段の信号処理経路の入力部に与えられ、所定のチャンネルにチューニングするコマンドがチューナ110に与えられる。チューナ110によりチューニングされるチャンネルは第1のチューナ、例えばチューナ104でチューニングされたチャンネルと同じチャンネルであることが好ましい。チューナ110用のこの信号は、下段の信号処理経路に信号を供給するのに使用されるODU101におけるLNB回路を使用可能すなわち作動させるようにODUコントローラに指示することにより、与えられることができる。
【0048】
次に、ステップ310において、今動作中の下段の信号処理経路におけるリンク回路112によりチューニングされたチャンネルの信号特性により、ロック状態信号が、生成されたかがチェックされる。このロック状態信号は、前述したようにチェックされることができる。
【0049】
ロック状態信号が、信号ロックがチューニングされたチャンネルに生じていないことを示す場合、ステップ312において、エラーが表示される。このエラーは、信号が存在していないこと又は望まれるチャンネルが信号ストリームに存在していないことを示すのに使用されることもできる。このエラーは、正しくないすなわち無効なチャンネルがチューニングされたこと、または、セットトップボックス102内の幾つかのハードウェア動作の問題があることをさらに示すことができる。このエラーは、信号ストリームが下段の信号処理経路に与えられていないことを示すこともできる。例えば、入力ケーブルが接続されていない可能性がある。ステップ312におけるエラーは、上段の信号処理経路を経て与えられた信号からのクロストークが全くないか少し存在することを示すこともできる。
【0050】
前述したように、正しくない、無効な、存在していないチャンネルに起因して表示される潜在的なエラーの幾つかを解消するために、別のチャンネルにチューニングするさらなるコマンドがチューナ104に与えられ、ステップ301及び304を繰り返すこともできる。ステップ312におけるエラーは、クロストークが存在していないことを示しこともできる。しかし、上記において説明した、可能性のある別のエラーに起因して、ステップ312における決定に基づいた、クロストークが存在していないという結論は正確ではないかもしれない。
【0051】
ステップ310において、ロック状態信号が、信号ロックがチューニングされたチャンネルに生じたことを示す場合、ステップ314において、第1の信号経路すなわち上段の信号経路に元々与えられた信号が除去される。前述したように、下段の信号処理経路用の信号ストリームは、例えば信号を下段の信号経路に供給するために使用されるODU101におけるLNB回路を無効すなわち停止するようにODUコントローラ130に指示することにより、除去されるか、又はセットトップボックス102に達しないように防止される。
【0052】
次に、ステップ316において、今動作中の下段の信号処理経路におけるリンク回路112によるチューニングされたチャンネルの信号特性解析により生成された状態信号が再びチェックされる。ロック状態信号が、ロック状態が存在することをもはや示さない場合、ステップ318において、別のエラー状態が示される。ステップ318におけるエラー表示は、ある種の信号ストリームのクロストークが存在することを示している。ステップ318におけるエラー判定の結果として、クロストークを防止する矯正動作(corrective action)が、なされてもよい。信号ストリームが上段の信号処理経路において処理される間、この矯正動作は、前述したような方法を用いて、下段の信号経路を使用不可能にすることを含むことができる。
【0053】
信号ストリームを最初に使用された信号処理経路から除去したにもかかわらず、信号ロックが残っていることをロック状態信号が示した場合、有効な信号ストリームが、セットトップボックス102への、一方のまたは両方の信号処理経路の入力に存在する可能性がある。さらに、第1の信号処理経路すなわち上段の信号処理経路に最初に与えられた信号ストリームは、第1のチューナによりチューニングされたチャンネルを含む望まれる信号ストリームである。ステップ320において、さらなる信号復調を含むセットトップボックスにおける信号処理を続けることができる。
【0054】
図示していないが、ステップ302、310、314、及び316は、上段の信号処理経路又は下段の信号処理経路に存在する信号ストリームに対するリンク回路106及びリンク回路112におけるロック状態信号についての状態を確認するために、繰り返されてもよい。上記ステップの繰り返しは、例えばクロストークが2つの信号処理経路の間に存在したという追加の確認を提供する。さらに、処理300におけるステップは、ステップ302が下段の信号処理経路に与えられる信号ストリームにおけるチャンネルをチューニングするステップから始まることを可能にするように再配置されることができる。通常、クロストークは複数の信号処理経路の間で等しく起こるが、クロストーク・レベルは、与えられた様々な信号ストリームの信号レベルにおける差に起因して、各処理経路において等しくない可能性がある。
【0055】
処理300は、特定の信号ストリームを使用可能又は使用不可能にするステップを含むとして説明された。代わりに、信号ストリームの1つが第1の信号ストリームに使用される際に、肯定的なロック信号状態を生成するのと同一の処理ステップを用いて処理され得ないことを確実にするように、信号ストリームの1つを変更することができる。例えば、第2の信号ストリームは、所定の周波数にシフトされてもよく、第1の信号ストリーム用の既知の又は予測される周波数に関連して、周波数的に反転されてもよい。セットトップボックス102は、ODUにさらに指示して、衛星通信供給リソースからの第2の信号ストリーム又は第1の信号ストリームとは異なると知られている又は期待される信号偏波(signal polarization)を選択することができる。例えば、処理300は、第2の信号ストリームからの異なるチャンネルにチューニングするステップからなるように変更されてもよい。
【0056】
処理300において説明した信号処理経路はセットトップボックス102に存在する回路を含んでいるが、信号処理経路が信号ストリームを与えるケーブルを含むように拡張することができ、ODU101内の信号ストリームを受信するのに関連した回路をさらに含むことができる。なぜなら、クロストークは、セットトップボックス102に信号ストリームを与えるケーブルなどの、セットトップボックス102の外側の信号処理経路においても起こる可能性があるからである。
【0057】
さらに、処理300は、信号処理経路における信号ストリームを使用可能および使用不可能にするステップを含む信号処理経路を変える1つの方法を説明するが、別の方法が使用されてもよい。信号ストリームを使用不可能又は使用可能にするのに使用される方法は、第1の信号ストリームに対して第2の信号ストリームを変えるステップを含んでいてもよい。方法の選択は、本発明の実施形態によるセットトップボックス102による動作上の問題に依存していてもよい。例えば、第2の信号ストリームを使用可能又は使用不可能にするある方法は、信号ストリームが別のセットトップボックスに与えられるときのセットトップボックス102の外部における制約に起因して、十分に実用的でないかもしれない。よって、クロストークを防止することについてのより頑強な(robust)又は実用的な方法を実現するために、本発明による、可能な信号ストリーム制御方法の幾つか又は全てを、個々に、あるいは互いに連携して、組み込むことが可能かもしれない。
【0058】
図4を参照すると、本発明の実施形態を用いてクロストークを検出し防止する別の、例示的な処理400を示すフローチャートが示されている。処理400は、処理300に継続して又は同時に使用されてもよい。例えば、処理400は処理300のステップ320において開始されることができる。あるいは、以下において説明される処理400のステップ404、408、及び412などのステップが、処理300のステップ304、310、及び316などのステップと同時に行われてもよい。
【0059】
ステップ402において、セットトップボックス102の信号処理経路の一方、例えば下段の経路に提供される信号ストリームが無い場合、別の信号処理経路におけるチューナ、例えばチューナ104は、チャンネルにチューニングするように指示される。チューニングされたチャンネルは、チューナ104に与えられた信号ストリーム内の複数のチャンネルの中に存在するチャンネルである。下段の信号処理経路用の信号ストリームは、このステップ及び後に説明される別のステップにおいて、処理300における説明と同様な態様で、使用可能にされたり、使用不可能にされたりすることができる。
【0060】
次に、ステップ404において、第1のチューナについての受信信号パワー・レベル推定値(estimate)が決定される。このパワー・レベル推定値は、リンク回路、例えばリンク回路106における信号特性解析機能(characterization capabilities)を用いて、通常、決定される。この信号出力レベル推定値は、リンク回路106におけるメモリ又は別のメモリ、例えばメモリ130に記憶されてもよい。
【0061】
ステップ406において、下段の信号処理経路が使用可能にされ、信号が下段の信号処理経路の入力部に与えられ、コマンドが、所定のチャンネルにチューニングするようにチューナ110に与えられる。チューナ110によりチューニングされるチャンネルは第1のチューナ(チューナ104)によりチューニングされるチャンネルと同じであることが好ましい。
【0062】
次に、ステップ408において、第2のチューナについての受信信号パワー・レベル推定値が決定される。このパワー・レベル推定値は、チューナ110によりチューニングされるチャンネルについての期待されない信号パワー・レベル又は望まれない受信信号パワー・レベルである。パワー・レベル推定値は、通常、リンク回路、例えばリンク回路112における信号特性解析機能を用いて決定される。第2のチューナについての望まれない又は期待されない受信信号パワー・レベル推定値は、第1の信号処理経路すなわち上段の信号処理経路からの信号出力のクロストーク又は第1の信号処理経路すなわち上段の信号処理経路に付随するケーブルによるクロストークに起因して潜在的に生成される信号出力の推定値である。第2のチューナについての望まれない又は期待されない受信信号パワー・レベル推定値は、前述したように、メモリに記憶されてもよい。
【0063】
ステップ410において、第1の信号経路すなわち上段の信号経路に最初に与えられた信号が除去される。この信号の除去の後、ステップ412において、第2のチューナについての第2の受信信号パワー・レベル推定値が、リンク回路、例えばリンク回路112において決定される。第2のチューナについての第2の受信信号出力レベル推定値は、第2の信号処理経路すなわち下段の信号処理経路に与えられた受信信号ストリームからのチューニングされるチャンネルの信号出力推定値である。第2のチューナについての第2の信号出力レベル推定値は、前述したようにメモリに記憶されてもよい。
【0064】
ステップ404、408、及び412から信号パワー・レベル推定値が決定された後、ステップ414において、第1のチューナについての受信信号出力レベル推定値、第2のチューナについての期待されない受信信号出力レベル推定値、及び第2のチューナについての第2の受信信号出力レベル推定値が、これらのそれぞれの記憶場所から、必要に応じて、取り出される。その後、3つの値は入力レベル差推定値及びクロストーク・レベル推定値を決定するために処理される。
【0065】
入力レベル差推定値及びクロストーク・レベル推定値の計算は、コントローラ、例えばコントローラ116において行われてもよい。上記計算は、例えば第1のチューナについての受信信号出力レベル推定値を第2のチューナについての第1の受信信号出力レベル推定値から引いて、入力レベル差を決定することを含むことができる。さらに、上記計算は、入力レベル差と第2のチューナについての第2の受信信号出力レベル推定値を第1のチューナについての受信信号出力レベル推定値から引いて、クロストーク・レベル推定値を決定することを含むことができる。例えば各信号レベル推定値のパーセンテージを含む別の計算アルゴリズムを、使用することができる。上記計算は、閾値条件、又は信号処理経路及び信号ストリームに関連付けられた信号レベルの期待される若しくは知られている値を含むことができる。
【0066】
ステップ414における計算が、クロストークが存在するかもしれないことを示す場合、ステップ416において、セットトップボックス102内の回路の調節が、クロストークを防止するため、あるいは軽減するために行われてもよい。好ましい実施形態において、切替可能な減衰器208、212、及び260が調節される。調節の方法は、設計によって決定することができ、減衰器の全ての制御が複数のリンク回路又は1つのコントローラにより実行されるかどうかにかかわらず、使用されるコントローラに依存することになる。1つの方法は、1つの減衰器(例えば減衰器208)を調節し、その後、処理400のステップを繰り返すことである。減衰器設定の変更は、クロストークを解消する設定が見つかるまで、全ての可能な組み合わせが終わるまで続けられてもよい。あるいは、減衰器の設定の全ての可能な組み合わせが試され、最も低いレベルのクロストークを生成する減衰器設定の組み合わせが選択されるようにすることもできる。
【0067】
処理400は、リンク回路106及びリンク回路112によりなされた信号パワー測定を用いたクロストーク・レベル推定値及び信号レベル推定値を決定するステップを説明している。クロストーク・レベル推定値又は信号レベル推定値が、リンク回路106及びリンク回路112における別の信号特性解析特性を用いて決定されることも可能である。例えば、リンク回路106及びリンク回路112において行われる信号対雑音比(SNR)の測定がクロストーク・レベル推定値を決定するのに使用されてもよい。
【0068】
処理300及び400は、セットトップボックス102における上段の信号処理経路として画定された第1の信号処理経路における第1のチューナに関して説明された。処理300及び400は、下段の信号処理経路として画定された第1の信号処理経路において説明された第1のチューナを使用してさらに始めることができ、処理300及び400のフローを変更せずに、指定された処理経路だけ入れ替えて進めることができる。さらに、処理300及び400は2つのチューナ及び2つの入力信号ストリームを利用して説明された。しかし、処理300及び400は、ここで説明したステップに類似する複数のステップを追加し、そのプロセス自身を幾つかまたは全てを繰り返すことによって、セットトップボックス102内の任意の数のチューニング回路への別々の接続部を経て与えられる任意の数の個々の信号ストリームに拡張されることができる。
【0069】
上記開示は、様々な変形及び代替を可能にするが、特定の実施形態が、図面内の例示的な方法だけで示され、本明細書において詳しく説明された。しかしながら、上記開示は、説明した特定の実施形態に本名発明を制限することを意図しているわけではない。むしろ、上記開示は、特許請求の範囲により画定される開示の精神及び範囲内の全ての修正、均等、変形を含むことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態を用いた例示的なシステムのブロック図である。
【図2】本発明の実施形態のブロック図である。
【図3】本発明の実施形態の例示的な処理を示しているフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態の別の例示的な処理を示しているフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号処理経路と第2の信号処理経路との間のクロストークを検出する方法(300)であって、
前記第1の信号処理経路に信号を与えるステップと、
前記第1の信号処理経路を経て与えられた前記信号内のチャンネルにチューニングするステップ(302)と、
前記第2の信号処理経路を経て与えられた前記信号内の前記チャンネルにチューニングするステップ(308)と、
前記信号内の前記チャンネルが前記第2の信号経路において存在する場合にクロストークが存在すると決定するステップ(316)と
を含むことを特徴とする方法(300)。
【請求項2】
クロストークが存在すると決定する前記ステップは、前記信号内の前記チャンネルが前記第2の信号処理経路を経て受信されることを決定するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法(300)。
【請求項3】
クロストークが存在すると決定する前記ステップ(316)は、前記信号が前記第1の信号処理経路だけを経て供給されていることを決定するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法(300)。
【請求項4】
前記信号が前記第1の信号処理経路だけを経て供給されていることを決定する前記ステップは、前記第1の信号処理経路を変えるステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法(300)。
【請求項5】
前記第1の信号処理経路を変える前記ステップは、前記第1の信号処理経路を使用不可能にするステップを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法(300)。
【請求項6】
前記第1の信号処理経路を使用不可能にする前記ステップは、回路へのDCの供給を停止するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法(300)。
【請求項7】
クロストークが存在すると決定する前記ステップ(316)は、前記チャンネルについての信号ロック状態を決定するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法(300)。
【請求項8】
クロストークが存在すると決定する前記ステップ(316)は、信号レベルを測定するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法(300)。
【請求項9】
第1の信号処理経路と第2の信号処理経路との間のクロストークを検出する装置(100)であって、
信号を前記第1の信号処理経路に与える手段(101)と、
前記第1の信号処理経路を経て与えられた前記信号内のチャンネルにチューニングする手段(104)と、
前記第2の信号処理経路を経て与えられた前記信号内の前記チャンネルにチューニングする手段(110)と、
前記信号内の前記チャンネルが前記第2の信号処理経路に存在する場合にクロストークが存在すると決定する手段(106、112、116)と
を含むことを特徴とする第1の信号処理経路と第2の信号処理経路との間のクロストークを検出する装置(100)。
【請求項10】
クロストークが存在すると決定する前記手段(106、112、116)は、前記第1の信号処理経路を変える手段(130)を含むことを特徴とする請求項9に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記第1の信号処理経路を変える前記手段(130)は、前記第1の信号処理経路を使用不可能にする手段を含んでいることを特徴とする請求項10に記載の装置(100)。
【請求項12】
クロストークが存在するとの決定に応じて、信号レベルを低減する手段をさらに含んでいることを特徴とする請求項9に記載の装置(100)。
【請求項13】
クロストークが存在すると決定する前記手段は、前記チャンネルについての信号ロック状態を決定する手段(106、112、116)を含んでいることを特徴とする請求項9に記載の装置(100)。
【請求項14】
クロストークが存在すると決定する前記手段(106、112、116)は、信号出力レベルを測定する手段(106、112)を含んでいることを特徴とする請求項9に記載の装置(100)。
【請求項15】
前記装置はセットトップボックス(101)を含んでいることを特徴とする請求項9に記載の装置(100)。
【請求項16】
前記セットトップボックス(101)は少なくとも2つの入力部に与えられる衛星信号を受信することを特徴とする請求項15に記載の装置(100)。
【請求項17】
前記少なくとも2つの入力部の1つの入力部は、クロストークが存在すると決定する前記手段(106、112、116)に接続されることを特徴とする請求項16に記載の装置(100)。
【請求項18】
複数の信号リソースの間のクロストークを判定する方法(400)であって、
第1の信号リソースから供給された第1の信号内のチャンネルにチューニングするステップ(402)と、
前記第1の信号内の前記チャンネルの信号特性を測定するステップ(404)と、
前記第1の信号リソースが使用可能にされた状態で、第2の信号リソースから供給された第2の信号内のチャンネルにチューニングするステップ(406)と、
前記第1の信号リソースが存在する状態で、前記第2の信号内の前記チャンネルの信号特性を測定するステップ(408)と、
前記第1の信号リソースを無効にするステップ(410)と、
前記第1の信号リソースが除去された状態で、前記第2の信号内の前記チャンネルの信号特性を測定するステップ(412)と、
前記測定した信号特性に基づいて、前記第1の信号リソースと前記第2の信号リソースとの間のクロストーク・レベルを決定するステップ(414)と
を含むことを特徴とする信号リソース同士の間のクロストークを判定する方法(400)。
【請求項19】
クロストーク・レベルの決定に応じて、前記第1の信号及び前記第2の信号の少なくとも1つを調節するステップ(416)をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法(400)。
【請求項20】
前記第1の信号及び前記第2の信号の少なくとも1つを調節する前記ステップ(416)は、切替可能な減衰器を用いて、信号処理経路における信号減衰器を切り替えるステップを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法(400)。
【請求項21】
前記信号特性は、信号出力レベルであることを特徴とする請求項18に記載の方法(400)。
【請求項22】
複数の信号リソースの間のクロストークを判定する装置(200)であって、
第1の信号リソースから供給された第1の信号内のチャンネルにチューニングする手段(220)と、
前記第1の信号内の前記チャンネルの信号特性をチューニングする手段(222、224)と、
前記第1の信号リソースが存在する状態で、第2の信号リソースから供給された第2の信号内のチャンネルにチューニングする手段(262)と、
前記第1の信号リソースが存在する状態で、前記第2の信号内の前記チャンネルの信号特性を測定する手段(264)と、
前記第1の信号リソースを取り外す手段(226)と、
前記第1の信号リソースが取り外された状態で、前記第2の信号内の前記チャネルの信号特性を測定する手段(264)と、
前記測定された信号特性に基づいて、前記第1の信号リソースと前記第2の信号リソースとの間のクロストーク・レベルを決定する手段(222、224、264)と、
を含むことを特徴とする装置(200)。
【請求項23】
クロストーク・レベルの決定に応じて、前記第1の信号及び前記第2の信号の少なくとも1つを調節する手段(208、212、260)をさらに含むことを特徴とする請求項22に記載の装置(200)。
【請求項24】
前記第1の信号及び前記第2の信号の少なくとも1つを調整する前記手段(208、212、260)は、切替可能な減衰器を用いて信号処理経路における信号減衰器を切り替える手段を含むことを特徴とする請求項23に記載の装置(200)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−525700(P2009−525700A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553370(P2008−553370)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/002861
【国際公開番号】WO2007/092298
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】