説明

複数の遠隔測定システムのためのバックドア式データ同期

複数の遠隔位置で収集されて中央位置に別々に送信されて中央位置で受信されたデータを同期するための装置及び方法を開示する。複数の遠隔センサが設けられ、データ収集シーケンスを開始するように同時に起動される一方、収集したデータを遠隔センサ識別データ及びタイミング情報と共に中央位置に順次送信するように構成されている。そのタイミング情報は、具体的に送信される時間基準を含んでいてもよく、又は、個々の遠隔センサからの連続送信に基づいて得られてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔測定システム及び方法に関するものである。詳述するならば、本発明は、複数の遠隔信号源から信号の測定同期を図ることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤ構造体へ電子デバイスの組込みにより、多くの実際的な利点が得られる。タイヤ電子装置は、温度、圧力、タイヤ回転数、車両速度などのタイヤの様々な物理的なパラメータに係る情報を得るために、センサ及び他の構成要素を含むことができる。このような性能情報は、タイヤ監視及び警告システムに役立てることができ、更には、タイヤ及び/又は車両関連システムを調整又は制御するためにフィードバックシステムの一部として使用できる潜在的可能性がある。
【0003】
米国特許第5,749,984号明細書(Frey達)は、タイヤの撓み、タイヤ速度、タイヤ回転数等の情報を求めることができるタイヤ監視システム及び方法を開示している。米国特許第4,510,484号明細書(Snyder達)には、異常なタイヤ状態を警報するシステムに係る別のタイヤ電子システムの例が記載されている。
【0004】
米国特許第4,862,486号明細書(Wing達)は、タイヤ電子装置に係るものあり、自動車及びトラックのタイヤと一緒に用いる典型的な回転計を開示している。
【0005】
タイヤ構造体に電子システムを組み込むことにより得られる更なる潜在的な可能性は、商業車両分野における資産追跡及び性能評価である。商業用トラック、航空機及び土木車両/採鉱車両は全て、タイヤ電子システムとそれに関連する情報送信の利点を利用できる。タイヤセンサは、走行する車両の各タイヤの走行距離を求めることができ、商業用システムの保守計画の一助となる。採鉱装置等のコストのかかる用途では車両の配置及び性能を最適化させることができる。RFタグ送信を利用して車両群全体を追跡することができる。この例は米国特許第5,457,447号明細書(Ghaem達)に開示されている。
【0006】
一体化タイヤ電子システムは、いろいろな技術及び異なる電力発生システムから電力供給がされてきた。タイヤの運動からエネルギーを発生させる機械的機構の例は米国特許第4,061,200号明細書(Thompson)及び米国特許第3,760,350号明細書(Thomas)に開示されている。かかる例は、最新のタイヤ分野で組み込むには一般に好ましくない嵩ばる複雑なシステムとなっている。米国特許第4,510,484号明細書(Snyder達)には、タイヤ電子システムへ電力供給するための更に別の例が開示されている。この特許は、タイヤの半径方向中心線を中心として対称になされた圧電式電源に係るものである。
【0007】
タイヤ監視システムのための電力を取り出す更に別の公知の方法は、設置対象タイヤの回転によって発生したエネルギーを回収する圧電式電力発生装置に関する。米国特許第6,725,713号は、圧電構造体及びエネルギー蓄積装置を使用して、回転しているタイヤの機械エネルギーから電力を発生するためのシステムを開示している。
【0008】
上述した全ての米国特許の開示内容を、ここに引用して本明細書に組み入れる。
タイヤ関連データ収集送信システムの様々な利用が既に開発されているが、本発明による後述するような所望の特徴の全てを包括的に含む構成は全くなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,749,984号明細書(Frey達)
【特許文献2】米国特許第4,510,484号明細書(Snyder達)
【特許文献3】米国特許第4,862,486号明細書(Wing達)
【特許文献4】米国特許第5,457,447号明細書(Ghaem達)
【特許文献5】米国特許第4,061,200号明細書(Thompson)
【特許文献6】米国特許第3,760,350号明細書(Thomas)
【特許文献7】米国特許第4,510,484号明細書(Snyder達)
【特許文献8】米国特許第6,725,713号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術において遭遇し本発明が注目した問題に鑑みて、複数の遠隔センサからの測定信号を同期させるための改良した装置及び方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
典型的な形態において、複数のタイヤ構造体内に及び/又は単一のタイヤ内の複数の位置に取り付けられている複数センサから送信される信号を同期するための装置及び方法が開示される。
【0012】
そのより単純な形態のうちの1つの形態において、測定又はデータ収集活動は、異なるタイヤ構造体内に配置されている複数のセンサで同時に開始される。
【0013】
本発明の或る実施例の特徴によれば、分析のための中央位置へ後で送信するために、獲得したデータをセンサ内に格納する方法が提供される。
【0014】
本発明の他の実施例の或る特徴によれば、複数の独立したクロック速度を有する複数のセンサからの獲得データを同期させるための方法が開発された。
【0015】
本発明の更に別の実施例の更に別の特徴によれば、他の信号源からの潜在的な干渉又は衝突を無力化するために、複数の位置からの獲得データの正確な送信を確保する方法が開発された。
【0016】
或る実施例の更に別の特徴によれば、所定の時間間隔の間の単一イベント、複数イベント又は連続測定を含む分散的な測定を可能にする方法が提供される。
【0017】
本発明のその他の目的及び利点は、以下の詳細な説明に記載し、また、当業者には以下の詳細な説明から明らかであろう。具体的に図解し参照し説明する特徴及び特徴の構成要素に対する変更や変形は、本発明の範囲から逸脱することなく本発明の様々な実施例及び使用例において実施できることは理解されたい。かかる変形には、限定するものではないが、図解し参照し説明する手段又は特徴又は工程に均等な手段又は特徴又は工程への置換、並びに様々な部品、特徴、工程等の機能上又は動作上又は位置上の反転が含まれる。
【0018】
更に、本発明の様々な実施例及び様々な現在好ましい実施例には、ここに開示する特徴、工程、要素又はそれらの均等物の様々な組合せ又は形状(図面に具体的に図示していない又は図面を参照して詳細に説明していない特徴、工程、要素の組合せ又はそれらの形状も含む)も含まれると理解されたい。「課題を解決するための手段」の項において必ずしも説明していない本発明の他の実施例には、「課題を解決するための手段」の項において言及した特徴又は構成要素又は工程の特徴及び/又は本明細書の他の部分において説明する他の特徴又は構成要素又は工程の特徴の様々な組合せも含まれる。当業者にとっては、本明細書の他の部分を検討するならば、上記した実施例ほかの特徴をより良く理解できる筈である。
【0019】
更に、タイヤ関連したイベント又は現象の測定に関して本発明を一般的に説明するが、複数の位置からの同時測定値を得ることが望ましい又は重要である可能性のあるどのような測定環境にもここに開示する方法は適用できることは明らかであるので、タイヤ関連したイベント又は現象の測定に関することが本発明の要件ではないことは理解されたい。非限定的な例として、自然な又は誘起させた振動又はそのほかの現象を監視したい陸上領域全体に配置された複数の地質学的センサからの同時測定値が望まれるかも知れない。或いは、建物又は船舶の構造体内の複数の位置からの同時測定値を監視することが望まれるかも知れない。更に又、イベント又は対象物を同時に記録して、複数の観察点からの単一の瞬間の同時観察ができるように、例えばデジタル光学装置を使用した光学測定を使用することもできる。本発明の上記した利用例から、当業者は本発明の別の利用方法を思い付くであろうし、そのように思い付いた利用方法も特許請求の範囲内に含まれるべきと理解されたい。
【0020】
当業者に向けた本発明の最良の実施形態を含め、添付図面を参照して本明細書において本発明を十分に且つ実施可能に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】複数の信号源からの測定信号の「バックドア式」送信を使用している本発明の第1の典型的な実施例を概略的に図解している。
【図2】監視対象イベントに関する情報及び他のデータを測定し記録し送信するための典型的な個々の遠隔センサ構成を概略的に図解している。
【図3】中央プロセサと通信する複数の遠隔センサを概略的に図解している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書及び添付図面において、本発明の同一又は類似の特徴又は要素を表すために同一参照符号を使用する。
【0023】
「発明の概要」において上述したように、本発明は、複数の遠隔センサからの測定信号を同期するための改良した装置及び方法に特に関するものである。
【0024】
ここに開示する本発明の複数の特徴の選択的な組合せは、本発明の複数の異なる実施例を構成する。
【0025】
本明細書において開示し説明する典型的な実施例の各々は、本発明の限定を意味するものではないことは理解されたい。
【0026】
1つの実施例の一部として図示し又は説明した特徴又は工程は、別の実施例の特徴と組み合わせて、更に別の実施例を構成することもできる。更に、或る特徴を、同一又は類似の機能を達成するここに明示的に説明していない同様な装置又は特徴と置換可能である。
【0027】
或る測定システムにおいては、複数の遠隔測定の結果は、適切な現象の理解又は解釈を得るために、正確な共通時間ウインドウ内において比較されなければならない。しかしながら、或る動作上の制約のために、複数のセンサからのデータ収集及び処理のための単一の中央受信器に測定データを正確に送信することが妨げられる。データを正確に送信することが妨げられる非限定的な例には、複数の送信器からの送信衝突による干渉や、中央プロセサでの正確な信号又はデータの受信を妨げる可能性のある他の形の干渉がある。
【0028】
従って、中央の位置で受信したデータを、個々の遠隔センサの各々について同一の時間枠すなわち測定時間ウインドウ内において比較できるように、単一データイベント又は複数のデータイベント或いはデータストリームのための複数の互いに独立した遠隔センサからデータ信号を送信する方法が必要である。更に、測定値が同時に又はリアルタイムに送信されない又はできないことに取り組む方法が提供されなければならない。本発明は、そのような課題に取り組む方法を開示する。
【0029】
以下、本発明の同期方法の好ましい実施例を詳細に説明する。図面を参照するならば、図1は、本発明に従って、複数の遠隔センサからの測定信号の事後的なすなわちバックドア式の送信を利用している本発明の第1の実施例を概略的に図解している。
【0030】
より詳しく図1を参照するならば、測定活動102を伴うイベントが時間軸100上に図示されていることがわかろう。上述したように、時間t0とt3との間に行われている測定活動102には、相当異なる環境において発生した沢山な異なるイベントが随伴している可能性がある。更に、そのようなイベントは、時間t1とt2との間に生じている現象比較ウインドウ104内に発生している可能性もある。
【0031】
時間軸100上の多様なタイムマーカ及びそれらに関連している位置が、何らかの形で本発明の開示の範囲を限定するために拡大・縮小されているものではないことは、当業者には理解されたい。より詳しくは、実際の時間間隔は、測定されるか又は記録される具体的なデータに応じて相当変化するので、図面は実際の時間の拡大・縮小を表示していない。更に、図1が時間t0、t1、t2及びt3の間の時間的なずれを図解しているが、それに基づいて如何なる推測もされるべきではない。本発明の実際の動作においては、時間t0とt1とは、同時に生じるかもしれずしないかもしれず、同様に、時間t2とt3とも、同時に生じるかもしれずしないかもしれない。更に、時間t0とt1との同時発生は、時間t2とt3との同時発生を必ずしも必要とはせず、また、時間t2とt3との同時発生は、時間t0とt1との同時発生を必ずしも必要とはしない。一般的に言って、時間t3の後、或る時間間隔を置いた時間t4で、バックドア式送信期間106が開始される。但し、「或る時間間隔」は、非常に短くても又は存在しなくてもよい。
【0032】
以下、タイヤに関連した現象の測定に関係して本発明を説明する。しかし、それは説明のためのみのものである。そのようなタイヤに関連した現象には、非限定的な例であるが、タイヤの圧力、温度、回転速度、回転方向、回転数カウント及び振れを挙げることができる。更に、タイヤの製造地及び製造日、記憶してあるタイヤの車両への装着場所、必要なその他のタイヤの具体的な情報のような情報を含むタイヤ関連データが、データ送信に含まれてもよい。これに関連して、具体的に測定され送信されるデータの正確な特徴は、本発明を何ら限定するものではないことは特に留意されたい。
【0033】
更に図1を参照するならば、測定活動102が大体、時間t0で始まり、時間t3まで続くことがわかろう。この期間内に、現象比較ウインドウ104が時間t1からt2まで続き、その時間t1からt2まで間に、1つの場所で生じる可能性がある1つ以上のイベント又は複数の連続するイベントが他の1つ又は複数の場所で生じる可能性のある同様なイベントと比較される。タイヤ関連現象の具体的な例では、1つのイベントは、時間的に特定な瞬間のタイヤ圧力又は速度の測定とすることができる。車両の走行路に沿った1つ以上のクリート(滑り止め)をタイヤが通過した時間を記録することのような他のイベントも比較することもできる。
【0034】
本発明によれば、比較ウインドウ内に起こっているイベントを比較するために、データが比較ができるように複数の遠隔位置からデータを送信する方法が開発されなければならない。かかる方法が、本発明の心臓部をなすものであり、時間を基準にした複数の測定の「バックドア式」又は事後的な時間同期と本明細書において称する。この方法は、図2に図示したように、複数の独立した遠隔センサ200の使用によって実現することができる。
【0035】
本発明によるならば、図2に図示したように、各独立した遠隔センサ200には、固有の識別ID(RFID)202と、信号の送受信のためのアンテナ214が付属する送信器/受信器(TX/RX)204と、信号プロセッサ206と、メモリ208と、ローカルクロック210と、トランスデューサ212として1つに纏めて図示した1つ以上のセンサの212とが設けられている。
【0036】
トランスデューサ212は、単一の圧電センサ、圧力応答センサ又は他の形式のセンサ又はそれらの組合せとすることができる。更に、ID202は、専用メモリに記憶された識別データ又はメモリ208の一部に記憶されたデータ202’とすることができる。更に又、メモリ208は、信号プロセッサ206内のメモリの一部とし、そのメモリの他の部分が、遠隔センサ200の動作を指示するために使用される信号処理及び制御のソフトウェアのための格納領域とすることもできる。
【0037】
遠隔センサ200を動作させるための電力は、組み込まれている圧電装置、電池又は他の電源から取ることができる。トランスデューサ212が圧電装置である例においては、圧電式電力発生装置と共に圧電装置は、水晶、チタン酸バリウム、硫化カドミウム、鉛ジルコン酸塩チタン酸塩(PZT)、ポリ弗化ビニリデン(PVDF)及びポリ塩化ビニル(PVC)を含む典型的な圧電材料から形成することができる。
【0038】
本発明の方法に影響する個々の遠隔センサ200の1つの特徴は、各々の遠隔センサ200に付属する各(ローカル)クロック210が、ローカルクロック速度を有しており、そのローカルクロック速度が、遠隔センサ200毎に異なっている可能性があることである。また、個々の遠隔センサ200に付属する(ローカル)クロック210の互いに異なる(ローカル)クロック速度は更に、中央プロセサ300(図3)に付属するクロック310(図3)のクロック速度と異なっている可能性がある。この問題に対して実際的な方法で対処する本発明の特徴及び方法を、以下に説明する。
【0039】
図3を参照するならば、典型的なシステムにおいて、複数の遠隔センサ200が設けられ、それら複数の遠隔センサ200に対して単一の中央プロセサ300を1つだけ設けられることが理解されるであろう。ここで説明している典型的な環境において、複数の遠隔センサ200の各々は、車両の個々のタイヤ又はホイールに付属させることができる。図3には6つの遠隔センサ200のみが図示されているが、収集したいデータに関係して任意の数の遠隔センサを使用することができることは理解されたい。典型的な構成では、18輪の車両の各タイヤ又はホイールに一つづつ付属させて、18個の遠隔センサ200を設けて、車両のトラクタ部分に中央プロセサ300を配置することができる。或いは又はそれに加えて、中央プロセサ300を例えば輸送ターミナル内の固定位置に配置して、到着車両又は出発車両からのデータを得ることもできる。
【0040】
次に、本発明に従って構成された装置の動作を説明する。更なる信号処理のために信号を事後的にすなわち「バックドア式」に送信することを可能にするアルゴリズム及び基本的測定アーキテクチャが開示されることが、本出願の開示を理解することにより理解される筈である。
【0041】
本発明の典型的な装置において、複数の遠隔センサ200を設けることができる。各遠隔センサ200には、少なくとも1つのトランスデューサ212と(ローカル)クロック210とが付属している。各(ローカル)クロック210は、それ自身の(ローカル)クロック速度で動作する。遠隔センサ200は、単一のイベント、複数のイベント又は一連のイベントを、遠隔センサに組み込まれているトランスデューサ212によって測定を行うように構成されている。
【0042】
全ての遠隔センサ200について、共通の外部刺激、例えば、中央プロセサ300から送信器/受信器304の送信器部分及びアンテナ314を介して送信された、又は、例として上述した車両システムの場合には、車両に搭載された又は車両外に取り付けられた他の送信器から送信された信号によって測定活動を開始することができる。例えば、車両が輸送ターミナルを出入りするときに、輸送ターミナル内又は輸送ターミナル近くに配置された送信器が測定シーケンスを起動させることもできる。更に、測定シーケンスが例えば条件応答システムを介して自動的に又は手動で起動されてもよいことは理解される筈である。測定シーケンスの典型的な条件応答起動には、特定な領域内に車両が存在することの検出も含まれる。そして、その測定シーケンスは、別の信号の送信と受信によって又は遠隔センサ200に組み込まれているタイマーの動作によって、同様な形態で終了させることができる。
【0043】
本発明の1つの特徴によるならば、全ての遠隔センサ200による測定のこの開始及び終了は、正確に遂行されねばならない訳ではない。しかし、単純に言えば、全ての遠隔センサ200は、少なくとも現象比較ウインドウ104の間、関心対象の現象を積極的に測定しなければならない。測定値の記録は、遠隔センサ200のローカルメモリであるメモリ208に書き込まれる。この記録は、所定の時間間隔の間の単一イベント、複数イベント又は連続測定に対応することができる。典型的なケースにおいて、測定は、閾値又は波形によるイベントの検出及び認識であってもよい。又、他の実施例においては、記録は、測定された現象の開始から終了までの連続測定トランスデューサ出力であってもよい。
【0044】
測定活動期間102の後の或る時間t4で(図1)、各遠隔センサ200は、その固有なID202と、その個々の(ローカル)クロック速度を表す信号と、個々の測定イベントからの経過時間とを含む複数項目のデータを中央プロセサ300に送信する。連続の測定が要求される場合においては、トランスデューサ出力が更に送信されてもよい。遠隔センサ200からのデータ伝送は、中央プロセサ300からの更に別の信号によって起動されてもよく、又は、測定活動102の後、所定の遅延時間後に自動的に起動されてもよい。或いは、時間t4でのデータ伝送の開始は、輸送ターミナル又は他の場所の車両外送信器によって起動されてもよい。
【0045】
もちろん、個々のID202は、データが送信されているその特定の遠隔センサ200を同定するものである。個々の遠隔センサ200の(ローカル)クロック210からのクロック速度信号は、中央プロセサ300のクロック310の同様な所定のクロック速度信号と比較できる所定の信号であってもよい。例えば、そのクロック速度信号は、(ローカル)クロック210によって決まっている時間の単位インクリメント量であってもよく、それは、中央プロセサ300に付属するクロック310によって決まっている同様な時間の単位インクリメント量と比較して正規化することができる。遠隔センサ200によって記録された個々の測定からの経過時間の差は、遠隔センサの時間を中央プロセサの時間に合わせる、即ち正規化するために使用することができる。個々の測定からの経過時間は、遠隔センサ200から中央プロセサ300への各送信毎に更新することができる。
【0046】
本明細書において使用する用語「正規化」は、単位値に関する値を単に調整する意味より広い意味に使用していることを当業者は理解されたい。本発明においては、「正規化」は、上記したような単位値調整を包含することもできるが、2つ以上の場所で検出された同様に具体的に特定したイベントを適正に評価するために、異なるセンサの内部クロックと中央プロセサのために発生されるクロック信号との間のタイムマークをシフトすることを更に包含することもできる。更に、この用語は、複数の位置からの信号の適正な評価のために、振幅、位相、時間偏移又は他のパラメータの調整を必要とするかもしれない場合には、他の形式の信号アライメントを包含することもできる。
【0047】
潜在的な送信衝突を克服するために、様々な遠隔センサ200から繰り返し送信することが必要である場合もある。(ローカル)クロック210によって決まっている時間の単位インクリメント量に対応する信号を使用して信号の同期を図る場合には、中央プロセサ300は、固有な遠隔センサID毎に良好な送信を一回しか受けないように構成されてもよい。必要な良好な送信の回数を1回に制限し、且つ個々の遠隔センサ200からランダムに送信してもよいようにすることによって、潜在的な送信衝突を十分に減少することができる。
【0048】
或いは、中央プロセサ300は、固有な遠隔センサID毎に良好な送信を少なくとも2回受けるように構成されてもよく、その場合、連続した送信の間の個々のクロック速度経過時間を、同じ連続した送信の間の中央プロセサ経過時間とを直接比較することができる。この代替方法は、タイヤ環境状態が(ローカル)クロック210の発振周波数に影響を及ぼす場合がある場合に有効であるかもしれない。
【0049】
上述したように、連続した測定が要求される場合において、遠隔センサ出力を送信できることが可能である。このデータにより、中央プロセサ300は全てのクロック速度を正規化して、全遠隔センサの局部的な測定について各々の独立して測定され又は記録されたイベントの相対的な時間又はシーケンスを決定する。
【0050】
本発明の同期方法は、中央プロセサ300に使用されているクロック310と任意の個々の(ローカル)クロック210との間に実質的にリニアな時間相関がある場合に、最も有効であり、比較的短い測定ウインドウの場合に最高の結果を達成する。しかし、実質的にリニアであるとの仮定が有効ではない可能性があるより長い測定ウインドウの場合、使用されているクロックの形式についてリニアであるとの仮定が有効となるまで、測定ウインドウをセグメント化すなわち分割することができる。一方、より短い測定ウインドウの場合、個々の(ローカル)クロック210と中央プロセサクロック310との間のどのような差も補償することによって、セグメント化により正確さを改善することができる。このセグメント化の方法において、個々のセグメントは、上述した方法と同様な方法で定義され、長い測定ウインドウを評価するように比較結果は組み合わされる。
【0051】
本発明の具体的な実施例に関して詳細に本発明を説明したが、上述したことを理解した当業者にとっては、上記した実施例に対する変形、変更、均等物への置換を容易に実施できることは理解されたい。従って、本発明の開示は、例示であって限定するものではない。本発明の開示は、当業者にとって明らかな本発明の上記した変形、変更、及び/又は追加を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスデューサと、送信器と、受信器と、動作速度を有するクロックとを各々含む複数の遠隔センサを設け、
プロセッサと、送信器と、受信器と、動作速度を有するクロックとを含む中央プロセサを設け、
前記中央プロセサから前記複数の遠隔センサの各々へ第1の信号を送信し、
前記複数の遠隔センサの各々から前記中央プロセサへ、前記クロックの前記動作速度を表す部分を含む第1の信号を送信し、
前記複数の遠隔センサの各々からの前記中央プロセサで受信した前記信号を、前記中央プロセサの前記クロックの前記動作速度に基づいて正規化し、
その正規化された信号に基づいて、前記複数の遠隔センサからの前記信号を同期させる
ことを特徴とする、データを同期するための方法。
【請求項2】
更に、
前記中央プロセサから送信された前記第1の信号に基づいて前記複数の遠隔センサの各々で測定期間を開始させ、
前記複数の遠隔センサの各々から前記中央プロセサへ、前記測定期間中の任意の測定されたイベントからの経過時間を表す信号を送信する
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更に、
前記複数の遠隔センサの各々に固有の識別データを割り当て、
前記固有の識別データを前記中央プロセサに送信する
ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の遠隔センサの各々内の前記クロックの動作速度を表す送信信号部分は、時間の単位インクリメント量を表す信号を含んでいる
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
更に、前記複数の遠隔センサの各々から前記中央プロセサへ、前記クロックの前記動作速度を表す部分を含む第2の信号を送信し、
前記複数の遠隔センサの各々から送信される前記第1の信号と前記第2の信号は連続的に送信され、それら連続的に送信された前記第1の信号と前記第2の信号の時間間隔が、前記複数の遠隔センサの各々内の前記クロックの前記動作速度を表している
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記中央プロセサから前記複数の遠隔センサの各々へ第2の信号を送信し、
前記中央プロセサから送信された前記第2の信号に基づいて前記複数の遠隔センサの各々で前記測定期間を終了させる
ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の遠隔センサの各々で前記測定期間が同時に開始されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
更に、前記複数の遠隔センサの各々での前記測定期間を、当該測定期間の開始後所定の時間に終了させることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
更に、
前記中央プロセサから送信された信号に基づいて前記複数の遠隔センサの各々で第2の測定期間を開始させ、
前記複数の遠隔センサの各々から前記中央プロセサへ、前記第2の測定期間中の任意の測定されたイベントからの経過時間を表す信号を送信し、
より長い測定期間での信号評価を単純化し、より短い測定期間での正確さを改善できるように、前記複数の遠隔センサの各々からの測定情報を分割することができる
ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−511962(P2010−511962A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540216(P2009−540216)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/046401
【国際公開番号】WO2008/069792
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(599140471)ソシエテ ドゥ テクノロジー ミシュラン (96)
【出願人】(597011441)ミシュラン ルシェルシェ エ テクニク ソシエテ アノニム (94)
【Fターム(参考)】