説明

複数容量の無線トランクにおいてアドレス指定するための通信システムおよび方法

【課題】複数容量の無線トランクにおいてアドレス指定するための通信システムおよび方法を提供する。
【解決手段】1つ又はこれより多いトランクライン経由して、無線アクセス通信装置106に接続されたプライベートブランチ交換システム又はキーシステムなどの中央電話スイッチを含んでいる。無線アクセス通信装置は、好ましく、中央電話スイッチからの各ラインのための個別の加入者インターフェース104を含んでいる。無線アクセス通信装置106は、各加入者インターフェースからデータを収集し、該データを空中プロトコルと両立しうるフォーマットに整え、1つ又はこれより多い無線チャンネル上の情報をセルラベースステーションに伝送する。これにより、無線アクセス通信装置は、無線トランク上の中央電話スイッチのトランクラインから受信されたコールをネットワークに接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信サービスを提供する方法とシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
構内交換機(PBX)や簡易交換システム(Key type system)のようなローカルな電話交換システムは、公衆電話サービスの代替として、または公衆電話サービスに接続されるものとして、何年にもわたって事業所やその他施設で利用されてきた。PBXまたは簡易交換システムにおいては、公衆電話サービスにアクセスすることなく、ユーザは自局システム内で通話することができた。自局システム内での電話トラフィックが多ければ、そのようなシステムを利用することにより、多大な経済的利益が得られる。
【0003】
他方、PBXや簡易交換システムを利用するものが、上記システムに接続されていない者に電話をする必要が生じたとき、一般的には、そのような外線呼は、PBXや簡易交換システム制御装置から地上通信線を経由して公衆電話会社を経由するようにルーティングされなければならない。そのような2つの機能(すなわち、自局システム内の呼のサポートと外線呼のサポート)を可能とするために、PBXや簡易交換システムへ接続する際に手動で電話呼のルーティングを行うことができる専用電話機が開発されている。例えば、異なる電話回線にそれぞれ対応するボタンを供えた卓上電話機を提供することができる。適切なボタンを押下することにより、ユーザは、構内通話の呼か、公衆電話ネットワークを介する呼のための別の指定回線かを選択する。
【0004】
他のPBXや簡易交換システムでは、選択した回線上での呼のルーティングを自動化しているものもある。例えば、ユーザは、ダイヤルされた最初のディジット(数字)により、自局システム内の呼であるか公衆電話ネットワークを介した呼であるかを選択でき、PBXや簡易交換システムは、その最初のディジットを分析し、適切な伝送手段を利用し正しい宛先へ呼をルーティングする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,629,956号明細書。
【特許文献2】米国特許第5,610,940号明細書。
【特許文献3】米国特許第5,548,253号明細書。
【特許文献4】米国特許第5,396,515号明細書。
【特許文献5】米国特許第5,499,265号明細書。
【特許文献6】米国特許第5,455,822号明細書。
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「移動体交換センターから基地局サブシステムへのインターフェース;レイヤー3仕様書(Mobile Switching Center (MSC) to Base Station Subsystem (BSS) Interface; Layer 3 Specification)」,GSM勧告08.08。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
PBXや簡易交換システムは、私設構内電話システムを経済的にカバーするという点で利用価値の高いものである一方、長距離の場合は、PBXや簡易交換システムを使用するユーザは、PBXに接続された地上通信線を有する地域交換キャリア(Local Exchange Carrier(LEC))に頼る必要がある。LECは、呼を長距離キャリアに接続する。ユーザは、地域交換キャリアと長距離キャリアの両方に長距離電話呼の使用料を払わねばならないので、長距離電話サービスは、特に長距離通話の利用量が多い場合には、非常にコストの高いものになる可能性がある。
【0008】
長距離サービスを用いる際にコストが高くなることに加えて、既存のPBXや簡易交換システムのもう1つの潜在的な欠点として、遠隔地域での展開が難しいか、または費用がかかることが挙げられる。例えば、長距離サービスか、または、他の公衆ネットワークサービスが必要とされた場合、一般的にはPBXや簡易交換システムの展開は、地上通信線が設置された地域に制限される。そうすることで、PBXや簡易交換システムにおいて、遠隔サービス提供者に接続するための地域交換キャリアへの接続が可能となる。所望の展開場所に地上通信線がなければ、PBXや簡易交換システムを利用して長距離アクセスを行うために地上通信線へ接続することは費用高となってしまう。また、従来型のPBXや簡易交換システムは、長距離アクセスや他タイプの公衆ネットワークサービスのための地上通信線とインターフェースを必要とする場合に、一般的にはあまり高い移動性を発揮することができない。
【0009】
ローカルエリアの呼を管理するPBXや簡易交換電話システムの機能を有する通信システムであって、低コストかつ高い信頼性で長距離サービスまたはその他ネットワークサービスにもアクセス可能なものが必要とされている。比較的低費用でネットワークリソースや長距離のサービスエリアへのアクセスをPBXや簡易交換システムが達成できるようにするための多用途なメカニズムも必要とされている。PBXや簡易交換システムまたは他のタイプのローカルエリアネットワークのローカルユーザに対して長距離のサービスエリアやその他ネットワークサービスを提供するための頑健かつ柔軟な通信プロトコルを用いる通信システムも必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、その1つの態様において、複数の電話回線を無線通信リンクを介してセルラー(携帯電話)ネットワークへ接続する無線トランクを有する通信システムを提供する。本発明のひとつの実施の形態では、構内交換機や簡易交換システムのような、中央電話交換機や顧客構内装置(Customer Premises Equipment(CPE))は、1つ又は複数のトランクを介して無線アクセス通信装置に接続される。該無線アクセス通信装置は、セルラーネットワークへの1つ又は複数の無線通信チャンネルをCPEに提供する。呼は、CPEにより選択的に接続され、地上通信線を介してネットワークへ送られるか、もしくは、地上通信線を迂回する無線アクセス通信装置へ送られる。基地局の収容力とトラフィック量の許容範囲において、ある地理的領域内にある複数の無線アクセス通信装置は、セルラーネットワークの単一の基地局と通信を行うことができる。
【0011】
本発明のもう1つの態様では、CPEに接続される複数のトランクインターフェースと、セルラーネットワークへの1つ又は複数の無線通信リンクを確立する無線トランシーバーとを有する無線アクセス通信装置が提供される。各トランクインターフェースは、ボコーダー(vocoder)および加入者インターフェースを備えた回線カードに接続される。コントローラは、回線カードと無線トランシーバーとのインターフェースをとり、無線伝送に適したフォーマットから、CPEトランク伝送に適したフォーマットへのデータ変換、又は逆の変換を補助する。無線アクセス通信装置とネットワーク間で通信されるデータは、無線アクセス通信装置で暗号化され、移動体交換センターにより、又は、移動体交換センターと基地局サブシステムの間に設けた、別個のトランスコーディング装置により解読される。
【0012】
本発明におけるもう1つの態様では、無線アクセス通信装置は、各CPEトランクがネットワークへの加入者であるかように接続されているときの接続相手であるCPEトランクのそれぞれを登録する。従って、各CPEトランクは、一意的な加入者識別コードによりアドレス指定されてもよい。無線アクセス通信装置は、好ましくは、情報をネットワークに送るためにさまざまな態様のGSM信号方式を利用して、無線アクセス通信装置により、GSMに基づくネットワークとの通信をトランスペアレントに行うことができる。
【0013】
本発明における更にもう1つの態様では、無線アクセス通信装置は、定期的にそのCPEトランクのそれぞれを再登録する。基地局は、無線アクセス通信装置からの再登録信号を受信してモニターし、所定の時間内に再登録信号がなければ、アラームメッセージをネットワークへ出力する。無線アクセス通信装置には一意的な装置識別コードが付与され、これにより、基地局は異なる無線通信リンクを単一の無線アクセス通信装置に相関させることができる。
【0014】
本発明における更なるもう1つの態様では、無線アクセス通信装置の各トランクインターフェースは個々に認証され、データの暗号化および解読に必要な一意の暗号化鍵を導出する。ユーザ鍵は、各トランクインターフェースと、ネットワークの中央レジスタとに格納される。認証手順において、認証パラメータ(例えば、乱数)は、トランクインターフェースに転送され、トランクインターフェースは、署名つき応答と、格納されたユーザ鍵に基づいた暗号化鍵を生成する。ネットワークは、これに一致する署名つき応答及び暗号化鍵を、その一端において生成する。無線アクセス通信装置は、署名つき応答をネットワークに返信し、これは、さらなる通信が許可される前に検証される。
【0015】
本発明における更なるもう1つの態様では、ダイヤルされたディジット(DTMFトーンのような)が、少なくともひとつの無線通信リンクを含む通信経路を介して伝送される。呼のセットアップにおいて、ダイヤルされたディジットは、信号方式メッセージとして、無線アクセス通信装置から基地局へ伝送される。呼がアクティブである間においては、ダイヤルされたディジットは、各ディジットの開始および停止を示すGSM DTAPメッセージを利用して無線アクセス通信装置からネットワークへ伝送される。DTAPメッセージは、基地局サブシステムに対して、トランスペアレントに中継される。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態において、無線アクセス通信装置は、さまざまな態様の周波数分割多重アクセス(FDMA)、時分割多重アクセス(TDMA)、及び/又は符号分割多重アクセス(CDMA)を利用した通信プロトコルに従って動作し、それによって、複数の通信チャンネルが、オンデマンドで無線アクセス通信装置へ割り当てられる。好ましい実施の形態においては、無線アクセス通信装置とセルラーネットワークの基地局との間の通信は、複数の無線全二重通信チャンネルによって実施され、各CPEトランクに1つのチャンネルが割り当てられ、基地局送信は、ある周波数帯域の時間スロットで行われ、ユーザ局送信(無線アクセス通信装置からのものを含む)は、異なる周波数帯域の時間スロットで行われる。このような実施の形態において、ユーザ局時間スロットは、基地局時間スロットから時間的にオフセットされてもよく、無線伝送は、スペクトル拡散技術を利用して実施されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の好ましい実施の形態における、システム全体のアーキテクチャを示す図。
【図2】本発明の好ましい実施の形態における、無線アクセス通信装置の基本アーキテクチャを示すブロック図。
【図3】図2に示された無線アクセス通信装置のソフトウェアアーキテクチャを示す図。
【図4】基地局の基本アーキテクチャを示すブロック図。
【図5】図4に示された基地局のソフトウェア構成を示す図。
【図6】本発明の好ましい実施の形態における、無線アクセス通信装置に接続された複数トランクのアドレス指定を示すブロック図。
【図7】基地局と基地局コントローラ間のインターフェース信号方式の構成を示す図。
【図8】システムプロトコルのアーキテクチャを示す概略図。
【図9】好ましい実施の形態の通信システムにおける無線アクセス通信装置(CPRU)、基地局および基地局コントローラの構成要素間におけるベアラ(bearer)経路機能の分割を示す図。
【図10】好ましい実施の形態のシステムにおける異なった構成要素間のインターフェースを示す図。
【図11】異なるロケーションエリアに設けられ、かつ単一の基地局コントローラに接続された複数の無線アクセス通信装置を示す説明図。
【図12】ネットワークレベルの登録手順を示す呼のフロー図。
【図13】ネットワークレベルの登録解除(DE−登録)手順を示す呼のフロー図。
【図14】PBXを有する通信システムにおける発信音、ディジット伝送およびディジット分析を示す呼のフロー図。
【図15】簡易交換システム(KTS)を含む通信システムにおける発信音、ディジット伝送およびディジット分析を示す呼のフロー図。
【図16】もうひとつのタイプのPBXを有する通信システムにおける発信音、ディジット伝送およびディジット分析を示す呼のフロー図。
【図17】もうひとつのタイプのKTSを含む通信システムにおける発信音、ディジット伝送およびディジット分析を示す呼のフロー図
【図18】PSTNが相互接続を行わないときに発信呼のセットアップに成功した場合を示す呼のフロー図。
【図19】PSTNが相互接続を行うときに発信呼のセットアップに成功した場合を示す呼のフロー図。
【図20】通話中着信を含むシナリオを示す呼のフロー図。
【図21】3者通話を含むシナリオを示す呼のフロー図。
【図22】DTMFトーン伝送を示す呼のフロー図。
【図23】本発明の例示的な実施の形態における周波数スペクトル割り当てを示す周波数分布図。
【図24】本発明の例示的な実施の形態における周波数スペクトル割り当てを示す周波数分布図。
【図25】図1に示される通信システムで使用される無線通信プロトコルのタイミングチャートを示す図。
【図26】図1に示される通信システムで使用されるもうひとつの無線通信プロトコルのタイミングチャートを示す図。
【図27】認証処理を示す図。
【図28】ネットワークレベルの登録を示す呼のフロー図。
【図29】アラーム報告処理を示す呼のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明におけるさらなる実施の形態、改良形態、変更形態および機能向上も、以下で説明される。
【0019】
図1に、本発明の好ましい実施の形態による通信システム101の全体システムアーキテクチャを示す。図1に示したシステムアーキテクチャにおいて、中央電話交換機105に複数の電話ステーション装置102が接続されている。ここでの電話ステーション装置102とは、電話機であってもよいし、モデム、FAX、又は完了された呼接続(completed call connection)を介して通信できるその他の装置であってもよいことは理解されるところである。本明細書では中央電話交換機105を「顧客構内装置」ないし「CPE」と呼称するが、このCPE105は、例えば構内交換機(PBX)ないし簡易交換システム(key system)であってもよい。これらのPBXや簡易交換システムについては、種々の構成が当該技術分野でよく知られているところである。
【0020】
図1に示した好ましい実施の形態では、CPE105は、公衆交換電話網(PSTN)125と無線アクセス通信装置106(本明細書及び図面においては、「顧客構内無線装置」ないし「CPRU」と呼称することがある)との両方に接続されている。後ほど詳述するように、好ましい実施の形態にあって、呼は、当該呼の種類に応じてPSTN125と無線アクセス通信装置106とのいずれかに選択的に接続される。無線アクセス通信装置106は無線トランク108(複数の無線通信リンクからなる)を介して基地局109と通信する。基地局109は、地理的に隣接又は近接したその他の基地局109と共に、基地局コントローラ112に接続されている。この基地局コントローラ112はトランスコーディング装置115に接続され、トランスコーディング装置115は移動体交換センター(mobile switching center:MSC)116に接続されている。所望によっては、基地局コントローラ112は、トランスコーディング装置115を間にはさむことなく、移動体交換センター116に直接接続されてもよい。移動体交換センター116は、PSTN125に接続される。
【0021】
基地局コントローラ112は、トランスコーディング装置115に接続された(所望に応じてMSC116に接続された)ことに加えて、運用保守センター(operations and maintenance center:OMC)120にも接続され、運用保守センター120は運用支援システム(operations support system:OSS)122に接続されている。移動体交換センター116は、図1に示すように、ホームロケーションレジスタ及び認証センター(home location register and authentication center:HLR/AuC)123と、運用支援システム122とに接続してある。尚、基地局109は地域管理端末121とも接続されていてもよい。
【0022】
後で説明するように、一態様での本発明は、無線トランクを有するシステムでの通信を促進するための信号伝送技術とプロトコルを提供するものである。信号方式情報は、無線アクセス通信装置106の機能を利用してCPE105とPSTN125の間の通信を実行できるように、通信システム101の種々のインターフェースのうちの1つ又は複数を介して転送される。好ましい実施の形態では、通信システムはIS-661通信プロトコル(或いは、IS-661プロトコルの修正版)とGSM通信プロトコルのうちのさまざまな態様を組み込んで、「ハイブリッド」プロトコルを利用している。好ましい信号伝送技術とプロトコルについての詳細な説明は、好ましいシステムの基本的な構成要素のうちのいくつかをその動作と共に説明した後に行うとする。
【0023】
後述するように、一態様での本発明は、少なくとも一つの無線リンクを含む通信路を介して、ダイヤルされたディジット(例えば、DTMFトーンの如く)を転送する。呼のセットアップ時において、ダイヤルされたディジットは、無線アクセス通信装置106から基地局109に信号方式メッセージとして送られる。呼がアクティブである間においては、ダイヤルされたディジットは、各ディジットの始まりと終わりとを示すGSM DTAPメッセージを利用して無線アクセス通信装置106からネットワークに送られる。DTAPメッセージは基地局106と基地局コントローラ112とを介して、移動体交換センター116に対して、トランスペアレントに中継される。このディジット伝送に関する詳細な説明は、好ましいシステムの基本的な構成要素の構成及び動作のうちのいくつかを説明した後に行うとする。
【0024】
また後述するように、一態様での本発明は、図1に示した通信システムの如くの無線通信システムでの認証及びセキュリティの技術を提供する。好ましくは無線アクセス通信装置106は、CPE105に接続された複数のトランクないしユーザインターフェース接続をサポートできるのが望ましく、その場合での認証は、トランクないしユーザインターフェース接続毎に個別的に行われる。ある態様にあっては、無線アクセス通信装置106は、ネットワークによって、個々の加入者の集まりとして扱われる。無線アクセス通信装置106によってサポートされる各トランクないしユーザインターフェース接続は、ネットワークから受信した認証パラメータに基づいて、それ自体の暗号化鍵を導出する。従って、無線アクセス通信装置106は、固有の一意的な暗号化パターンををそれぞれ有するベアラ経路である、ネットワークを介してルーティングされる複数の暗号化ベアラ経路(encrypted bearer paths)を提供する。好ましい認証及びセキュリティの技術の詳細な説明については、好ましいシステムの基本的な構成要素のうちのいくつかをその動作と共に説明した後に行うとする。
【0025】
図1に示した好ましい通信システム101では、呼は、電話ステーション装置102から直接にPSTN125を介して(即ち、陸上通信線接続を介して)接続されてもよく、または、無線アクセス通信装置106を用いて無線トランク108を介してPSTN125に接続されてもよい。電話ステーション装置102の内の一つから発呼する場合、呼は直接にPSTN125にルーティングされてもよく、或いは、無線アクセス通信装置106にルーティングされてもよい。このような呼のルーティングは、手動選択に基づくものであるか、または、ダイヤルされた番号に基づいて自動的になされるかの何れかであってもよく、詳細については後述する。好ましい実施の形態では、近距離の電話呼はPSTN125に直接ルーティングされるが、長距離の電話呼は無線アクセス通信装置106を介してルーティングされる。
【0026】
図1に示したシステムの動作は、部分的にもCPEの特性に依存する。前述したように、CPE105は、例えばPBXや簡易交換システム(key-type system)を含んでもよい。CPE105がPBXを備えた場合での実施の形態では、このPBXは、好ましくは、電話ステーション装置102からの発信呼を、ユーザがダイヤルした電話番号もしくはアクセスディジットの何れかに応じて、無線アクセス通信装置106またはPSTN125の何れかへルーティングする。例えばユーザは、無線アクセス通信装置106にアクセスするためには所定のディジット(例えば、「8」)を最初にダイヤルし、また、PSTN125への直接LECアクセスを行うためには別のディジット(例えば、「9」)を最初にダイヤルする。このようにして、例えばユーザは、無線アクセス通信装置106にアクセスして長距離発信電話呼の発呼を行うか、または、PSTN125にアクセスしてその他の種類の発信呼の発呼を行うことになる。別の方法としては、ある種のPBXを、ダイヤルされた番号を分析して長距離呼及び近距離呼のルーティングを行うように構成してもよい。この機能を利用することで、長距離呼を無線アクセス通信装置106を介してルーティングするが、近距離呼や緊急呼についてはPSTN125を介してルーティングするように、PBXを構成することができる。
【0027】
CPE105が簡易交換システムを備えた実施の形態にあっては、ユーザは電話機本体のボタンを押下して回線(無線アクセス通信装置106への回線か、PSTN125への回線)を手動選択してもよい。例えば、ユーザは長距離発信呼には呼処理装置として無線アクセス通信装置106を選択し、また、その他の発信呼にはPSTN125を選択することになるであろう。一部の簡易交換システムは、ある種のPBXのように、ダイヤルされた番号を分析して、呼の最初のディジット及び/又はダイヤルされた桁数に応じて当該呼を無線アクセス通信装置106又はPSTN125の何れかへルーティングするように構成されていてもよい。このようにして、例えば長距離呼を無線アクセス通信装置106を介してルーティングし、また、近距離ないし緊急の呼をPSTN125を介してルーティングできるように、簡易交換システムを構成することができる。
【0028】
別の実施の形態にあっては、システムを、柔軟性は少ないものの、アーキテクチャを潜在的により簡単化するように構成してもよい。例えば、全ての着信呼がPSTN125からCPE105に直接にルーティングされるようにする一方、全ての近距離発信呼(音声やデータの何れにしても)と、全ての長距離データ発信呼と、身体障害者のための全てのTTY呼とがPSTN125を介して直接にルーティングされるように、システムを構成してもよい。そのような実施の形態にあっては、無線アクセス通信装置106は、概して長距離音声通信発信機能を有するものとなろう。
【0029】
CPE105は、CPEトランクインターフェース104を介して無線アクセス通信装置106に接続されている。CPEトランクインターフェース104は、複数のCPEトランクを備え、CPEトランクのそれぞれは、例えば当業者には公知のループスタートトランクまたはグラウンドスタートトランクを含んでもよい。当業者にはよく知られているように、ループスタートトランクとグラウンドスタートトランクの両方を、同一の地域内交換設備(即ち、同一のPBXないしKTS)によってサポートすることができる。
【0030】
CPE105がPBXを備えた実施の形態においては、PBXは好ましくは所定の動作特性を有するものである。即ち、PBXとしては、PBXと無線アクセス通信装置106との間のCPEトランクインターフェース104上のループスタートトランクまたはグラウンドスタートトランク(あるいは、その両方)をサポートすることに加えて、ループスタートトランクないしグラウンドスタートトランク上のDTMFアドレス信号方式もサポートしているのが望ましい。このPBXは、前述したようにPSTN125かまたは無線アクセス通信装置106のいずれかを介して呼をルーティングするように構成されることが可能であり、従って、どのトランクがPSTN125につながり、どのトランクが無線アクセス通信装置106につながっているかを識別する機能を備えているのが望ましい。PBXとしては、発信呼が発呼された場合に試行するトランク群の順序を指定すると共に、無線アクセス通信装置106から無線システムへのアクセスに問題が発生した場合に無線アクセス通信装置106の代わりにPSTN125を介して長距離発信呼をルーティングしなおす機能が備わっているのが望ましい。
【0031】
他方、CPE105が簡易交換電話システム(key telephone system:KTS)を備えた実施の形態では、KTSは好ましくは所定の動作特性を有するものである。即ち、KTSとしては、KTSと無線アクセス通信装置106との間におけるCPEトランクインターフェース104上のループスタートトランクまたはグラウンドスタートトランク(または、両方)をサポートするように構成されたことに加えて、ループスタートないしグラウンドスタートトランク上のDTMFアドレス信号方式もサポートし、前述したように呼をPSTN125または無線アクセス通信装置106のいずれかを介してルーティングする機能が備わっているのが望ましい。また、これは必ずしも必須ではないが、補助的な呼支援機能(supplementary call support features)と、ルート選択機能(即ち、無線アクセス通信装置106とPSTN125につながるトランク群を識別して、試行するトランク群の順序をKTS上で指定する機能)とがKTSに備わっていてもよい。このようにKTSにルート選択機能が備わっているのであれば、無線アクセス通信装置106から無線システムへのアクセスに問題が発生した場合に無線アクセス通信装置106の代わりにPSTN125を介して長距離発信呼をルーティングしなおす機能が備わっていなければならない。
【0032】
無線アクセス通信装置106は、無線システムを介してCPE105へアクセスする無線トランクのゲートウェイとして動作し、CPE105からの呼を無線ネットワークを介して完了させることができるように個々のCPEトランクを無線通信リンクと相関させる。図6は、複数(図示の例では4つ)のCPEトランク602を介してCPE105(図1参照)に接続した無線アクセス通信装置605の一実施の形態を示している。この無線アクセス通信装置605は、複数の無線通信リンク(ないし「パイプ」)609を介して無線ネットワークに、特に、基地局(図6においては図示せず)に接続されている。無線アクセス通信装置605は無線通信リンク609を確立して、それとCPEトランク602とを相関させ、これにより、特定のCPEトランク602に係る通信が、割り当てられた無線通信リンク609を介して行われることになる。CPE105と接続されているユーザは、CPE105を介して何れかのCPEトランク602に接続されることで、無線アクセス通信装置605への(従って、無線ネットワークへの)アクセスを得ることができる。このようにして、CPE105と接続されている潜在的には大勢のユーザが無線ネットワークへの呼を完了させる能力を有し、このとき、同時に発呼できるユーザ数は、利用可能なCPEトランク602(ひいては、無線通信リンク609)の数に等しくなる。
【0033】
前述のように、無線アクセス通信装置106は、無線ネットワークへアクセスするCPE105のゲートウェイとして動作し、好ましくは種々の機能を実行するものである。好ましい実施の形態では、この無線アクセス通信装置106は、発信呼に係るオフフック検出を行い、CPE105への(従って、発呼した電話ステーション装置102への)発信音の供給をサポートする。また、この無線アクセス通信装置106は、無線通信チャンネル(例えば、無線ネットワークがTDMA及び/又はTDDのシステムである場合、無線時間スロット)の獲得を開始すると共に、呼制御手順を開始する。呼が確立している間、この無線アクセス通信装置106はダイヤルされたアドレスディジット(即ち、DTMFトーン)を検出して、検出したディジットを、呼制御信号方式を用いてネットワークへ転送する。無線アクセス通信装置106は、基地局109から受信され、呼の種別(基地局109で行われたディジット分析に基づく)を表すダイヤル終了標識に応じて、通常の発呼を行うか、それとも緊急発呼を行うかを判定する。また、この無線アクセス装置106はCPE105からオフフック遷移の検出も行い、このオフフック遷移に応答してネットワークに対する呼解放手順を開始する。呼が完了されたとき、無線通信装置106は、CPE105によって開始される終話処理のための切断手順に係る、陸上通信線にとってトランスペアレントな制御を行う。この機能の一部として、無線アクセス装置106は、従来の無線システムによってサポートされる解放ガード時間(release guard times)を実装する。
【0034】
無線アクセス通信装置106は、前述した機能の他に、呼がアクティブである間におけるDTMFディジットの信号方式もサポートしている。この機能の一部として、この無線アクセス通信装置106は、呼がアクティブである間にCPE105からのDTMFトーンを検出して、DTAP信号方式を用いてネットワークにそのディジットを中継する。また、呼の間に、この無線アクセス通信装置106は、ネットワークから受信した呼経過音をベアラ経路を介してCPE105にトランスペアレントに転送するようであってもよい。ネットワークから呼経過DTAP信号方式の受信が行われるときはいつも、この無線アクセス通信装置106は、呼経過DTAP信号を、CPE105への呼経過音に変換する。この無線アクセス通信装置106は、必要なときにはCPE105へのリオーダ音を生成して、無線ネットワークの輻輳について、又は受話器外し信号のタイマー満了状態(permanent signal timer expiry conditions)についてCPE106に報知するようにしてもよい。
【0035】
また、無線アクセス通信装置106としては、ベアラ処理に関係のある多数の機能を行えるのが望ましい。例えば、好ましい実施の形態としては、音声通信のボコーダ処理(電気的音声分析合成:vocoding)を無線アクセス通信装置106が行うようにしている。これについて詳述すれば、ボコーダ処理は、ネットワークにおけるための音声の符号化及び/又は圧縮と、それとは反対方向の(即ち、CPE106へ送るための)音声の復号化及び/又は伸長(decompression)とを含む。また、無線アクセス通信装置106としては、順方向エラー訂正(FEC)と、ベアラ音声の暗号化及び解読(無線アクセス通信装置106とトランスコーディング(transcoding)装置115とは、暗号化のピア・ツー・ピアエンドポイントである)と、エコーキャンセル機能も実行するのが望ましい。暗号化及び解読については、無線アクセス通信装置106は、無線送信(即ち、無線トランク108を経由した送信)に先立ってベアラデータを暗号化し、ネットワークから受信したベアラデータを解読する。エコーキャンセル機能は、例えばCPE105とのインターフェースに2線と4線のハイブリッド構造が存在するときに、無線ネットワークに向かって潜在的に生成される可能性のあるエコーを抑圧するために無線アクセス通信装置106によってサポートされる。
【0036】
好ましい実施の形態にあっては、無線システムに関連した無線アクセス通信装置106は、呼登録機能、登録解除機能、ユーザ認証機能、ベアラ情報の暗号化機能、ネットワーク管理機能などの管理及びセキュリティ機能をサポートしている。無線アクセス通信装置106は、音声発信呼のための手段を提供することに加えて、緊急の発信呼(即ち、「911」)と、呼がアクティブである間におけるエンド・ツー・エンドのDTMF信号方式とをサポートしているのが望ましい。
【0037】
好ましい無線アクセス通信装置201の詳細な構成を図2に、また、その無線アクセス通信装置201の好ましいソフトウェア構成の詳細を図3にそれぞれ示す。図2に示したように、無線アクセス通信装置201は、トランクインターフェース(例えば、図1に示したトランクインターフェース104)を介してCPE105(図1を参照)を無線アクセス通信装置201に接続する複数の加入者ポート203を備えている。各加入者ポート203は、無線アクセス通信装置201を介する一つの呼接続をサポートし、例えばRJ-11型インターフェースで構成されていてもよい。図2では加入者ポート203は合計四個あるとして図示しているが、これらの加入者ポート203の数は、無線アクセス通信装置201を利用する特定の用途、或いは、その環境に応じて変わる。例えば、無線アクセス通信装置201は、一つの加入者ポート203のみを備えていてもよいし、或いは、その無線通信装置201が一般にアクセス可能でありかつ利用可能な無線通信チャンネルの個数のような、実用上の考慮事項によってのみ限定される任意個数の加入者ポート203を備えていてもよい。また、加入者ポート203はどのようなインターフェースであってもよいが、前述のRJ-11型インターフェースは斯かるインターフェースの一例に過ぎない。
【0038】
各加入者ポート203は個々の回線インターフェース装置ないし回線カード部205に接続されている。従って、無線アクセス通信装置201は、加入者ポート203毎に一個ずつ、四個の回線カード部205を備える。回線カード部205は、CPE105から無線アクセス通信装置201への物理的な加入者回線インターフェースを提供し、また、デジタル化及びデータ圧縮機能も提供する。
【0039】
図2においては、複数の回線カード部205の内の一つについてその詳細を示しているが、残りの回線カード部205も同様に構成されている。回線カード部205は、どれか一つの加入者ポート203と接続した加入者インターフェース207を備える。この加入者インターフェース207は、加入者回線インターフェース回路(subscriber line interface circuit:SLIC)217を備え、これは、電池電源供給や過負荷保護、監視、2線と4線のハイブリッドなどを含む、従来公知のループインターフェース機能を提供する。この回線カード部205は、ループスタート及びグラウンドスタートの両方の信号方式をサポートしているのが望ましい。例えば無線アクセス通信装置201に設けられた手動式トグルスイッチないしディップスイッチ(図示せず)を用いて、ループスタート信号方式とグラウンドスタート信号方式との間での選択を行ってもよく、各回線カード部205は、ループスタートないしグラウンドスタートトランクとインターフェースするように個別に構成されてもよい。また、加入者インターフェース207は、標準的なCODEC、または代替として加入者回線音声処理回路(subscriber line audio processing circuit:SLAC)215を備え、これにより、回線カード部205と、加入者ポート203に接続したユーザ局(例えば、図1に示した電話ステーション装置102)との間でアナログ・デジタル変換とデジタル・アナログ変換を行う。CODECないしSLAC215は、標準的なμ−法パルス符号変調(PCM)インターフェースをなしている。加入者インターフェース207には、呼出音を生成する呼出音生成器216も備わっている。
【0040】
CODECないしSLAC215からはデジタル化されたデータストリームが出力され、これが1つ又は複数の信号線214を介してボコーダ206に供給され、ボコーダ206はデジタルデータストリームを圧縮データ信号に圧縮する。ボコーダ206は、比較的高速のデジタル信号処理器211(例えば一秒当たり2000万命令の処理速度か、その他の適当な速度で動作する)と、高速スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)212やEPROM213の如くのサポートモジュールとからなる。ボコーダ206は好ましくは、例えば無線アクセス通信装置201がエラーを含むデータフレーム、もしくは、順方向エラー訂正(FEC)では訂正できないエラーを含むデータフレームを検出したような状況に対処するために、予測音声パターンを導き出す補間機能をそれ自体の復号化機能の一部として提供する。また、ボコーダ206の復号化機能には、有益であればCPE105への出力を無音化するミュート機能が含まれているのが望ましく、これは例えば、制御トラフィック交換時にそのようにするのが有益である。ボコーダ206は、例えば8Kbpのレートで圧縮データ信号を出力し、この信号は、制御部220に設けた制御回線カードアッセンブリ(line card assembly:LCA)226に供給される。制御部220はこれにより、回線カード部205毎に1つずつ、四つの圧縮データ信号を受信する。
【0041】
各回線カード部205には、加入者インターフェースモジュール(subscriber interface module:SIM)208も設けられている。SIM208の概略的な機能としては、システムセキュリティを提供すること、加入者認証情報や加入者特有データの如くの情報を含む加入者特有情報を記憶することにある。好ましい実施の形態としては、SIM機能は、各CPEトランクがネットワークによって異なった加入者とみなされてもよいように、無線アクセス通信装置201によってサポートされる各CPEトランク毎に複製されるようにする。この複製については図6を参照しながら説明する。図6では、複数のCPEトランク602が無線アクセス通信装置605に接続されているように示している(各CPEトランク602は、図2の詳細図に示した加入者ポート203と接続されている)。各CPEトランク602毎に別個のSIM606が関連付けられている。従って、CPEトランク602が四つある場合では、無線アクセス通信装置605は四個のSIM606を備えている。この無線アクセス通信装置605は、物理的無線通信リンク609を取り扱う無線トランシーバ(図示せず)へデータとその他の情報を転送するために、CPEトランク602毎に1つずつ、複数の無線インターフェース装置607をさらに備えている。
【0042】
一般に、通信システム内における各加入者は、一意的な識別パラメータと、おそらくは互いに異なるシステムパラメータとを必要とする。複数のCPEトランク(図2に示した複数の加入者ポート203に対応)がシステムにより個々かつ固有の加入者と見なされる限り、各CPEトランクは、固有識別子と、好ましくは固有の認証パラメータ及びその他のシステムパラメータとに関連付けられ、これらは各回線カード205において用いられている別個のSIM208を少なくとも部分的に利用して実装される。
【0043】
SIM208の機能(functionality)は、無線アクセス通信装置のハードウェアアーキテクチャ内での一個かそれ以上の取外し不能SIMチップとして実装されてもよい。SIM208は、不揮発性メモリ(例えばROMや不揮発性RAM)内に、加入者識別子の如くの加入者情報を記憶している。好ましい実施の形態としては、加入者識別子として、国際移動体加入者識別子(international mobile subscriber identifier:IMSI)番号を利用する。SIM208は、前述のように加入者識別子を記憶していることに加えて、例えば所定のGSM用途で従来用いられている「A3」及び/又は「A8」の認証手順のような認証手順を実行するようになっている。この認証については後で詳述する。
【0044】
ある態様における本発明は、無線アクセス通信装置106を含む好ましい通信システム101のセキュリティ機能に関係している。そのようなセキュリティ機能には、例えば認証と暗号化とが含まれている。
【0045】
無線アクセス通信装置106では近距離移動体セルラーシステムの無線リソースが利用されているので、他人が携帯電話機(ハンドセット)を不正に使おうとするのと同じやり方で無線アクセス通信装置106の身元情報を不正に使おうとするケースが考えられる。例えば、多くのアナログ移動電話通信網において携帯電話機のクローンが作られ、斯かる電話の不正使用に起因して大量の減益を来すようなことがある。
【0046】
このことから、好ましい通信システム101では、ネットワークリソースが許可なく使用されるのを阻止するためにも、また、無線アクセス通信装置106(及びその他の無線エンティティ)を詐称から保護するためにも、認証手順が使われる。認証は、ユーザ登録毎に実行されるとともに、通常の呼のセットアップの一部として1−in−N方式で、すなわちN回の発呼毎に1回の認証を行うのが望ましい。但し、Nはシステムに応じて適宜設定する。
【0047】
また、好ましい実施の形態としては、認証の要求及び応答とは、GSM移動管理(mobility management:MM)プロトコルの一部としてMSC116と無線アクセス通信装置106との間で転送されるようになっており、また、GSM A3/A8認証機構に基づいている。ユーザ側にあっては、無線アクセス通信装置106は、各CPEトランク毎に標準のGSM SIM機能を含んでいる。無線アクセス通信装置106においては、各CPEトランク毎に、CPEトランクに関連付けられたGSM SIM機能の中で加入者の身元情報(即ち、IMSI)と加入者鍵値(K)とが記憶されている。ネットワーク側にあっては、MSC116は、HLR/AuC123のホームロケーションレジスタ(HLR)構成要素に対して一式の認証情報を要求する。好ましい実施の形態としては、この一式の認証情報は、本明細書において3つ組認証情報と称する三つの認証パラメータからなる。HLR/AuC123のHLR/AuC構成要素のうちのHLR構成要素はMSC116に対して認証情報の一式を転送する。
【0048】
3つ組認証情報は、生成された乱数(RAND)と、加入者のSIMカードの認証に利用される、署名つき応答(SRES)と、無線アクセス通信装置106とネットワークとの間の無線リンクにわたる情報を暗号化し、かつ解読するのに利用される暗号化鍵(K)との三つからなる。HLR/AuC123のうちのAuC構成要素と、無線アクセス通信装置106との両方に記憶されている加入者鍵値Kは、二つの別個のアルゴリズム(当該技術では一般にA3とA8として知られている)のいずれかにおいて、又は組み合わされたA3/A8アルゴリズムにおいて使用され、これにより認証手順のための暗号化鍵Kと署名つき応答SRESとが生成される。HLR/AuC123のうちのAuC構成要素では、乱数RANDを生成するために乱数生成器を利用しており、生成した乱数RANDはMSC116により無線アクセス通信装置106へ供給される。無線アクセス通信装置106は、この乱数RANDを、加入者鍵値Kと一緒にA3アルゴリズムへの入力とすることにより、署名つき応答SRESを生成する一方、A8アルゴリズムへの入力とすることにより、暗号化鍵Kを生成する。
【0049】
この署名つき応答SRESは、MSC116に返信され、続いてビジターロケーションレジスタ(visitor location register:VLR)により、VLR内の署名つき応答値と比較される。返信された署名つき応答SRESがVLR内の署名つき応答値と一致するなら、加入者は、登録をし、発呼し、他のネットワーク相互動作をする許可を受ける。他方、返信された署名つき応答SRESがVLR内の署名つき応答値と一致しないなら、加入者は、登録をし、発呼し、他のネットワーク相互動作をすることを禁止される。そのような場合、基地局109は、認証(authentication)の試みが失敗したことをMSC116により通知され、基地局109は、認証失敗のメッセージとともに、無線アクセス通信装置106への呼の接続を終わらせる。
【0050】
好ましくは、HLR/AuC123のうちのAuC構成要素と、SIM構成要素は、加入者鍵値Kiの存在とA3/A8アルゴリズムについて知っている唯一の部分である。HLR/AuC123のうちのAuC構成要素は、各認証要求に対して新しい乱数RANDを生成し、署名つき応答SRESと暗号化鍵Kcを導出し、必要なら、それらをHLR/AuC123のうちのAuC構成要素とMSC116とに転送する。MSC116は、署名つき応答SRESまたは暗号化鍵Kの実際の導出には関係される必要はない。
【0051】
図27は、認証手順を説明する図であり、通信システム101の好ましい実施形態における機能の分割を含む。図27に示されるように、乱数RAND、署名つき応答SRESおよび暗号化鍵Kcを含む3つ組認証情報は、HLR/AuC123からの要求により転送された後で、MSC116のVLRに格納される。乱数RANDは無線アクセス通信装置106に送られ、そこで、署名つき応答SRESと暗号化鍵Kcとをローカルに生成するため加入者鍵値Kiとともに用いられる。署名つき応答SRESは、MSC116のVLRに格納されたSRESに対する比較のため、無線アクセス通信装置106によりMSC116に返信される。その後、暗号化鍵Kcは無線通信チャンネルを通る送信を暗号化するために使用される。
【0052】
ユーザ側でのベアラ(bearer)暗号化は、無線アクセス通信装置106により行われる。ネットワーク側でのベアラ情報の暗号化は、好ましくは、トランスコーディング(transcoding)装置115で実行される。オプションで、信号方式メッセージ(たとえば制御トラフィック)の暗号化が実行されてもよい。多様な適当なアルゴリズムがベアラ暗号化のために選択できる。たとえば、GSM A5/1アルゴリズムがそのような目的のため利用できる。
【0053】
呼の確立の一部として、認証処理の間の暗号化鍵Kの確立と関連して、暗号モード設定手順を用いて暗号化処理がセットアップされてもよい。暗号化鍵Kcは、MSC116から基地局コントローラ112に中継されてもよく、次に、基地局コントローラ112は、N−インターフェース562を通る信号方式メッセージを用いて基地局109に暗号化鍵Kcを中継する。次に、基地局109は、インバンド(inband)信号方式を用いて、暗号化鍵Kcをトランスコーディング装置115に中継して返信する。
【0054】
再び図2を参照して説明すると、無線アクセス通信装置201の制御部220は、無線アクセス通信装置201の事実上全ての面でタイミングと制御を行う。制御部220は、たとえば16ビットRISCプロセッサ(シーメンス社製のC165またはC163プロセッサなど)と、関連するサポートモジュール(すなわち、SRAM、フラッシュメモリなど)からなるプロセッサ225を含む。SIM208へのアクセスは、ホストプロセッサ225により開始され、制御部220における制御回線カード・アッセンブリ(LCA)により制御されてフォーマット処理が行われる。また、プロセッサ225は、多くのシステムの活動を協働させ、種々のモジュールの間でデータを移動させる。
【0055】
プロセッサ225は、制御LCA226に接続され、制御LCA226は、上述のように、回線カード部205の各々からボコーダに接続される。また、制御LCA226は、無線インターフェース回線カード・アッセンブリ(radio interface control line card assembly:RIFLCA)に接続される。制御LCA226は、無線アクセス通信装置201の無線部と回線カード部との間のインターフェースを提供する。制御LCA226は、データのパッケージ化及びフォーマット処理を行い、また、無線(over-the-air:OTA)プロトコルを調整し、かつ制御する。これにより、最大で4つまでのシリアルデータストリーム(各回線カード部205から1つずつ)とそれぞれの無線通信チャンネルとの間の協働を維持する。
【0056】
無線インターフェースLCA227は、ベースバンドプロセッサ228に接続される。ベースバンドプロセッサ228は、デジタル無線ASIC(digital radio ASIC:DRA)229を含んでいてもよい。ベースバンドプロセッサ228は、無線部240に接続される。無線部240は、好ましくは、制御LCA226に接続された選択器242により選択可能な、複数のアンテナ243を備える。これにより、1以上のアンテナ243からの信号が、無線トランシーバ241(または各アンテナ243につき1つずつの無線トランシーバ)に与えられる。1つの実施形態では、無線アクセス通信装置201が通信する各時間フレームに対し最良のアンテナ(及び/または無線受信機)を選択するように、アンテナダイバーシティ技術が使用される。
【0057】
無線アクセス通信装置201は、外部の直流電源250またはオンボード電池251のいずれかにより電力供給を受けてもよい。電池251は、予備の電源として使用でき、外部電源250が切断されたときや利用できないときに自動的に使用される。無線アクセス通信装置201の電力部221は、論理部と無線部とに必要な電力を供給するローカルの電圧レギュレータと、任意の必要なループ電池電圧を供給するスイッチングレギュレータとを含んでもよい。
【0058】
無線アクセス通信装置201は、観察者に装置の状況を示すため、LED231または他の視覚表示機構を備えてもよい。表示されるステータス状況の種類は、たとえば、電力が入っているか否か、装置が機能しているか否か(すなわち、すべての自己テストに合格したか)、または、装置がサービス中であるか否か(すなわち、基地局に現在登録されているか)を含む。
【0059】
動作時には、圧縮されたシリアルデータが、制御LCA226の制御のもとで複数の回線カード205の間で転送される。制御LCA226は、圧縮されたシリアルデータを、無線インターフェースLCA227に適したフォーマットにする。また、制御LCA226は、任意の所望の暗号化をおこない、順方向エラー訂正情報を付加する。制御LCA226は、データを無線インターフェースLCA227に送り、無線インターフェースLCA227は、そのデータをベースバンドプロセッサ228に送る。無線インターフェースLCA227は、チャンネルとタイミングの情報を追跡し、チャンネルとタイミングのパラメータに従ってデータを処理することをベースバンドプロセッサ228に指示する。好ましい実施形態では、ベースバンドプロセッサ228は、例えば特許文献1〜3に示した送信機に関して説明したように、連続位相変調スペクトル拡散信号、または他の種類の直交位相信号または関連する信号を定式化するための送信機を含む。無線インターフェースLCA227により決定されるように、適当な時間間隔で、ベースバンドプロセッサ228は、データを無線部240に送り、無線部240は、信号を適当な送信周波数に変換し、無線で送信するために任意の必要なフィルタリングを行う。無線アクセス通信装置106により使用される周波数帯域は、一般に、そのシステムが配備されている全体的な通信システムにより支配される。たとえば、周波数帯域は、1930〜1990MHzのPCS周波数帯域内であってもよく、または、任意の他の適当な1以上の周波数帯域であってもよい。
【0060】
到来するメッセージ信号は、1以上のアンテナにより受信されて無線トランシーバ241に送られ、必要に応じてダウンコンバート及び/またはフィルタリングが行われる。ダウンコンバート及び/またはフィルタリングがなされたデータは、次に、ベースバンドプロセッサ228に送られ、ベースバンドプロセッサ228は、受信された信号を復調する。好ましい実施形態では、無線アクセス通信装置201は、スペクトル拡散フォーマットを用いてデータを送信し受信する。そのような実施形態において、ベースバンドプロセッサ228は、好ましくは、スペクトル拡散相関器(correlator)を含む。当該技術では、多様なスペクトル拡散相関器が知られており、その例として、たとえば、特許文献1、2、4および5に説明または記載されている実施形態がある。
【0061】
ベースバンドプロセッサ228は、とりわけ受信信号強度表示信号(RSSI)を出力し、これは、制御LCA226により、到来信号を受信するための最良のアンテナ243(および/または無線受信機)を選択する際に使用される。スペクトル拡散相関処理の後で、ベースバンドプロセッサ228は、無線インターフェースLCA227にデータビットのストリームを出力し、無線インターフェースLCA227は、そのデータが受信された無線通信チャンネルに基いて、適当な回線カード205にデータを転送する。次に、そのデータは、回線カード205により処理され、その回線カード205に接続された特定の加入者ポート203を介してCPE105に送られる。
【0062】
図3は、無線アクセス通信装置201のための好ましいソフトウエア構造の図である。図3に示されるように、無線アクセス通信装置201のソフトウエアは、無線アクセス通信装置201によりサポートされる物理的インターフェースに基き、機能的に2つの主要構成要素に分けられる。これらの2つの主要構成要素は、回線管理部350及び無線管理部351として参照される。
【0063】
回線管理部350は、概して、無線アクセス通信装置201とCPE105の間のCPEトランク管理と通信を扱う。また、このCPEトランク管理と通信インターフェース機能に加えて、回線管理部350は、呼の信号方式と、DTMF認識と、集められたDTMFディジットの無線管理部351への転送とを受け持つ。回線管理部350は、複数の回線ドライバ303および複数のSIMドライバ304を備え、無線アクセス通信装置201によりサポートされるCPEトランク毎に1つずつの回線ドライバ303および1つずつのSIMドライバ304が設けられる。1つの回線ドライバ303および1つのSIMドライバ304とが集まって、1つのCPE回線ソフトウエア構成要素302となる。
【0064】
無線管理部351は、基地局109(図1参照)への通信インターフェースとリンク管理を扱う。また、無線管理部351は、先に詳細に説明したように、(回線管理部350を介しての)CPE105からのDTMFディジットの受信と、基地局109へのDTMFディジットの中継(最終的にはPSTN125に送られる)を受け持つ。また、無線管理部351は、基地局コントローラ112や移動体交換センター116(図1参照)などの種々のネットワークエンティティとのエンド・ツー・エンドの通信を含む、無線通信プロトコルを実装する。無線管理部351により実装される無線通信プロトコルの1例では、たとえば、GSM直接アプリケーション転送部(direct application transfer part:DTAP)プロトコル、または、本明細書で説明されているIS−661無線(「O−Notes」)プロトコルである。物理的無線レベルで、無線アクセス通信装置201の無線管理部351は、好ましくは、IS−661プロトコルを実装する。
【0065】
図3にさらに示すように、無線管理部351は、無線アクセス通信装置201によりサポートされるCPEトランク(すなわち加入者ポート203)毎に1つずつの、複数のCPE回線リンクオブジェクト310を備える。各CPE回線リンクオブジェクト310は、1つのCPE回線またはトランクのための信号方式のリソースを提供し、信号方式プロトコルスタックをともに形成するいくつかの構成要素を備える。信号方式プロトコルスタックのこれらの構成要素は、CPE回線とのインターフェースとしてともに動作して、呼の管理、移動管理、音声呼を完成させるために必要な無線リソース機能、および、ネットワークリソースを使用するために要求される登録機能を提供する。
【0066】
各CPE回線リンクオブジェクト310は、CPE回線管理部311を備え、CPE回線管理部311の目的は、適当なCPE回線またはトランクのためのCPE回線ソフトウエア構成要素302とのインターフェースをとることである。好ましい実施形態では、CPE回線管理部は、GSM呼管理部312とGSM呼登録管理部313とのインターフェースをとり、これらの両者は、GSM移動管理構成要素314とのインターフェースをとる。GSM移動管理構成要素314は、プロトコル適応(protocol adaption:PAL)構成要素315とのインターフェースをとり、プロトコル適応(PAL)構成要素315は、無線(OTA)状態マシン316とのインターフェースをとる。OTA状態マシン316は、概して、物理的無線インターフェースの管理を受け持ち、無線送信/受信インターフェース及びスロット管理(RTRX)構成要素321と通信する。
【0067】
動作時には、図13〜図22の呼のフローの図を参照して後で詳細に説明するように、CPE回線管理部311は、GSM移動管理構成要素314に信号を送り、接続確立手順を開始する。また、CPE回線管理部311は、ネットワークへのDTMFディジットの送信、音声経路を有効にすること、呼出音の生成、話中音の生成(PSTNが相互接続を行わない場合)、および、CPE105へのオンフック表示信号の送信を制御する。さらに、CPE回線管理部311は、通常および緊急の呼の手順を管理するとともに、CPEで開始された終話処理を管理する。
【0068】
GSM呼管理構成要素312と、GSM登録構成要素313と、GSM移動管理構成要素314は、それぞれ呼管理、登録、及び移動管理に関係したある程度(段階)のGSM機能を提供する。プロトコル適応構成要素315は、もし必要であれば、GSM信号方式(signaling)プロトコルを無線プロトコル(例えば、IS−661無線プロトコルのような)に適合させる。OTA状態マシン316は無線プロトコルを実装し、上述したように、物理的な無線インターフェースを管理する。
【0069】
複数のCPE回線リンクオブジェクト310に加えて、OTA管理部351はさらに、無線アクセス通信装置201のハードウェア(回線ドライバ303及びSIMドライバ304に制御されたハードウェアを含む。)にプログラミングインターフェースを提供する、ハードウェアサービス構成要素320を備える。OTA管理部351は、パワー・オン/リセット初期化(POST)構成要素323及びデバッグポート管理部322を含むとともに、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)330を含んでもよく、これはマルチタスクオペレーティングシステムであってもよい。デバッグポート管理部322が提供されるとき、ソフトウェアの内部状態に外側からアクセスすることができ、またソフトウェアのダウンロードが許可される。
【0070】
上述の構成要素に加えて、OTA管理部351はまた、運用、管理及び処理(operations, administration and management:OAM)構成要素324を備える。OAM構成要素はアプリケーションレベルで動作し、障害の認識、アラームの発生と送信、及び障害検出ならびにアラームにおいて必要とされる呼処理データのための回線管理部350との通信のような機能を実行する。モニターされる障害又は故障のタイプは、例えば、ハードウェア故障(電源障害、無線装置障害、回線カード障害などのような)、ソフトウェア障害、通信障害、及びサービス品質の障害(例えば、時間周期毎の不成功に終わった呼の試行、時間周期毎の時間スロット交換要求、時間周期毎の不成功に終わった時間スロット交換、時間周期毎の消失した呼の数、ビットエラーレートで表示されるチャンネル品質など)、その他を含んでもよい。ソフトウェア、ハードウェア及び電気通信の機能間の依存関係に起因する複数の故障を引き起こす単一の障害を単一の障害として報告するように、障害報告を調整してもよい。
【0071】
1つの態様において、無線アクセス通信装置201をサポートするために用いられる無線管理部351の機能は、移動体ユーザアプリケーションをサポートするために用いられる機能の部分集合又は変形としてみなすことができる。例えば、従来のGSMシステムにおいて移動体ユーザをサポートするために用いられる移動管理インターフェース(mobility management interface:MMI)ソフトウェア構成要素は、図3に図示されるソフトウェアアーキテクチャにおいて、CPE回線管理部311に置き換えられる。移動体ユーザアプリケーションに関する他の違いは、(移動体ユーザアプリケーションの場合に信号方式(signaling)プロトコルスタックを単一の論理インスタンスとして有することに対して)信号方式プロトコルスタックの論理インスタンスが、無線アクセス通信装置201に接続されたCPE回線毎にそれぞれ提供されることと、SIMドライバが、例えば複数の独立SIMドライバ304の提供によって、複数のSIM(又はそれらの論理的等価物)を収容するように移動体ユーザアプリケーションに対して変形されることとである。さらに、CPE105からのハードウェア音声経路を基地局通信リンクと関連付ける能力が追加される。また、信号方式プロトコルはまた、本明細書に詳述されるように、基地局109(図1を参照。)によるディジット分析をサポートするために変形される。ある移動体ユーザアプリケーションにおいて従来用いられるDSAT及びDTAアダプタソフトウェア構成要素は、無線アクセス通信装置201によって必要とされず、従って実装されない。
【0072】
再び図1を参照すると、無線アクセス通信装置106は、上述のように、無線システムの基地局109とインターフェースをとり、これによってPSTN125への最終的なアクセスを可能にする。好ましい基地局401のブロック図が図4に図示されている。基地局401は、共通グローバルバスのバックプレーンにより互いに接続された、多数の別個の構成要素を備える。これらの構成要素はデジタル回線カード404と、無線(OTA)プロセッサカード405と、電源モジュール407と、複数の無線カード406とを含み、これらすべては電子回路モジュール420上に存在する。電子回路モジュール420は、短絡による損傷などを防止するための保護回路403を備えるI/Oモジュール421に接続されている。各無線カード406は、保護回路403を介して、複数のアンテナ403の1つに接続されている。デジタル回線カード404は、保護回路403を介して、バックホール回線430上で(図1に図示されるように、基地局コントローラ112及びMSC116を介して)PSTN125に接続され、あるいはまた他の物理的な接続上で他の基地局109に接続されている。可能ならば、基地局401はローカルなAC電源ライン425に接続されてもよい。
【0073】
動作中において、無線アクセス通信装置(図4では参照番号412で示す)は、無線メッセージを基地局401との間で送受信する。基地局401では、アンテナダイバーシティを達成するために複数のアンテナ411及び無線カード406が用いられる。典型的には、所定の時間において無線信号を送信又は受信するために1つのアンテナ411が選択される。スペクトル拡散通信を用いるとき、OTAプロセッサカード405は、無線アクセス通信装置412から受信されたスペクトル拡散信号を相関させてそれをデータビットに変換するための、スペクトル拡散相関器及び他のベースバンド処理回路を備えることができる。OTAプロセッサカード405はデジタル回線カード404にデータを転送し、デジタル回線カード404はデータのフォーマット処理を行い、それをPSTN125へ向けて、他の介在するシステム構成要素(基地局コントローラ112及びMSC116のような)を介してバックホール上で送る。同様に、デジタル回線カード404はPSTN125からデータを受信し、OTAプロセッサカード405にデータを転送し、OTAプロセッサカード405は無線プロトコルのためにデータのフォーマット処理を行い、選択された無線カード406及びアンテナ411を用いて、フォーマット処理されたデータを送信する。
【0074】
無線カード406の主要な機能は、RFデータパックを送信しかつ受信することと、パケットデータ完全性サービス(例えば巡回冗長検査)を実行することと、アンテナダイバーシティアルゴリズムをサポートすることである。OTSプロセッサカード405の主要な機能は、無線カード406とデジタル回線カード404の間でベアラデータを移動させることである。OTAプロセッサカード405はまた、デジタル回線カード404からの運用、管理、処理及び準備(operations, administration, management and provisioning:OAM&P)要求を実行し、デジタル回線カード404との間で信号方式情報を(内部基地局メッセージ又は「I−ノート」を用いて)通信し、及び無線アクセス通信装置412との間で信号方式情報を(無線信号方式メッセージ又は「O−ノート」を用いて)通信する。
【0075】
デジタル回線カード404の主要な機能は、バックホール回線430上の「D−チャンネル」のためのリンクアクセス手順(ling access procedures for the "D-channel":LAPD)の伝送を処理すること、OTAプロセッサカード405と(基地局コントローラ112のような)ネットワーク側バックホール構成要素の間でベアラデータを交換すること、及びバックホール回線430上のベアラデータを多重化し、多重分離することである。デジタル回線カード404の他の主要な機能は、無線ベアラフレームタイミングを(T1回線のような)バックホール回線430上のタイミングと同期させること、ネットワークインターフェースと無線インターフェースでサポートされたOAM&P手順の変換を提供すること、バックホール回線430上のLAPD伝送との間で内部基地局メッセージ(例えばI−ノート)をマッピングすること、及び、OTAプロセッサカード405と通信して信号方式情報を(例えば、信号方式I−ノートを用いて)送受信することである。
【0076】
基地局401のための好ましいハイレベルソフトウェアアーキテクチャが図5に図示されている。図5に図示されているソフトウェアアーキテクチャによれば、基地局401のソフトウェアは2つの機能的グループに分割され、1つの機能的グループは無線機能に関係し、他の機能的グループは回線カード機能に関係する。これら2つの主たる機能的グループは、図5にOTA管理部502及び回線カード管理部503として図示され、これらの各々は好ましくはそれら自体のプロセッサボード上で動作する。OTA管理部502と回線カード管理部503の間の通信は、デジタル回線カード404上に物理的に存在するデュアルポートRAM(図示せず)を用いて実行することができる。
【0077】
OTA管理部502と回線カード管理部503のためのソフトウェアは、異なるプロセッサを用いて実行することができる。例えば、好ましい実施形態において、OTA管理部502のためのソフトウェアはMC68430マイクロプロセッサを用いて実行され、同時に回線カード管理部503のためのソフトウェアはMC68MH360マイクロプロセッサを用いて実行され、これらの両方はモトローラ・コーポレーションにより製造されるものである。OTA管理部502のためのマイクロプロセッサは好ましくはバスマスターであり、グローバルバス(すなわちバックプレーン)を介するデュアルポートRAMへのアクセスを有する。I−ノートの形式のIS−661信号方式メッセージと、ベアラデータは、デュアルポートRAMインターフェースを介して転送され、これによってOTA管理部502と回線カード管理部503の間の信号方式通信が可能になる。
【0078】
OTA管理部502の主要なハイレベル機能は、デュアルポートRAMと無線カード406の間でベアラデータを移動させることと、回線カード管理部503と無線アクセス通信装置412の間で呼制御信号方式の処理を行うことである。OTA管理部502の他の機能は、無線リソース管理と、地上リソース管理と、OAM&Pサポートとを含む。
【0079】
回線カード管理部503の主要なハイレベル機能は、デュアルポートRAMとバックホール回線430の間のベアラデータの多重化と多重分離(例えばT1バックホール回線を用いるとき、CCITT I.460のようなプロトコルに従う)と、バックホール回線430上でのLAPD伝送の実行(例えばQ.921インターフェースプロトコルを用いて)と、OTA管理部502とバックホールLAPDの間の信号方式メッセージのルーティング及び変換と、OAM&Pサポートとを含む。
【0080】
基地局401と関連付けられた種々のインターフェースが図5に点線として図式的に図示され、これらのインターフェースは、無線アクセス通信装置412と基地局401の間の無線インターフェース又は「O−インターフェース」560と、OTA管理部502と回線カード管理部503の間の内部インターフェース又は「I−インターフェース」と、基地局401とネットワーク側バックホール構成要素(図1に図示される基地局コントローラ112、MSC116、及びPSTN125のような)の間のネットワークインターフェース又は「N−インターフェース」とを含む。これらのインターフェースに関するさらに別の情報は本明細書に説明され、以下に後述される図10に抽象レベルで図示される。
【0081】
動作中において、基地局401は無線アクセス通信装置412のための無線リソースを管理し、これによって無線トランク108(図1を参照)のネットワーク側のサポートを提供する。広範な種々の異なる通信方式と無線リソースプロトコルを用いてもよい。例えば、基地局401が無線通信のためにIS−661プロトコルを実装しているとき、基地局401は、時間スロットとスペクトル拡散符号とを含む、無線アクセス通信装置412と基地局401の間の無線通信チャンネルをサポートするために必要なリソースを管理する。基地局401はまた、PSTN125への接続を提供するバックホール回線へのデータ転送と、バックホール回線からのデータの転送のための多重化機能を提供する。基地局401は、例えば、上述したようにPSTN125へのデータとPSTN125からのデータをMSC116を介してパイプラインで伝送する、基地局コントローラ112へのT1(又はフラクショナルT1)バックホール回線430上にデータを多重化することができる。
【0082】
基地局401(又は図1における109)を基地局コントローラ112(図1を参照)に接続する、N−インターフェースでのプロトコル信号方式は、Q.921のLAPDプロトコルを用いた伝送であってもよい。基地局401を無線アクセス通信装置412に接続する、O−インターフェースでのプロトコル信号伝送は、IS−661プロトコルに従う無線信号方式メッセージ(「O−ノート」)を用いて達成することができる。O−ノートはIS−661RFパケットの中のベアラデータとともに送信してもよい。
【0083】
また、OTA管理部502と回線カード管理部503のそれぞれのための特定のソフトウェア機能構成要素が図5に表されている。OTA管理部502は、OTA管理部502のためのベアラデータの転送を処理する、信号処理構成要素513及びOTAデータリンク構成要素514を含む。信号処理構成要素513とOTAデータリンク構成要素514は、IS−661(又は他の適当な)無線プロトコルを実装するとともに基地局401上でプロトコルを実行するためのプロトコル状態マシンを含む、IS−661プロトコル構成要素512と相互動作する。これによって、信号処理構成要素513とOTAデータリンク構成要素514は、IS−661パケット541で、ベアラデータと信号方式情報を転送する。IS−661プロトコル構成要素512は、OAM&P構成要素510及びI−インターフェースルーター構成要素511とインターフェースをとり、IS−661プロトコルへの信号方式の任意の必要な変換を提供する。
【0084】
回線カード管理部503は、回線カード管理部503のためのベアラデータの転送を処理する、信号処理構成要素523とベアラデータリンク構成要素524とを備える。信号処理構成要素523とベアラデータリンク構成要素524は、バックホール回線430上で利用可能な1つ以上のT1時間スロットを備える、T1バックホールリンク553上における(例えばI.460のフォーマットの)ベアラデータ552の転送及び受信を実行する。また回線カード管理部503は、LAPD信号方式リンク551上で信号方式メッセージ(例えばN−ノート)の転送及び受信をするLAPD構成要素522を備える。ゆえに、N−インターフェース562を介して、2つの別個の情報「パイプ」が提供され、このうち1つは信号方式のためであり、もう1つはベアラトラフィックのためであり、一方、O−インターフェース560を介して、OTA管理部502は信号伝送とベアラデータを無線チャンネル上で多重化する。LAPD構成要素522は、OAM&P構成要素520及びI−インターフェースルーター構成要素521とインターフェースをとる。回線カード管理部503のI−インターフェースルーター構成要素521は、OTA管理部502のI−インターフェースルーター構成要素511と通信し、これによって回線カード管理部503とOTA管理部502の間でI−ノートを転送することが可能になる。
【0085】
基地局401は、呼関連機能のために無線及び地上ベアラチャンネルの接続及び管理を行い、運用管理センター120(図1)を通じてシステムオペレータによって制御されているOAM&Pを介してシステム管理をサポートしている。その無線リソース管理の機能の一部として、基地局401は、無線アクセス通信装置412からの(通常及び緊急の)発信音声呼をサポートする。オプションで、無線アクセス通信装置412への着信するページ(incoming pages)が、基地局401によってサポートされていてもよい。無線アクセス通信装置412は、静止した装置として具体化されてもよいので、移動体ユーザアプリケーションをサポートするのであれば必要とされたであろうハンドオフ(handoff)機能は、無線アクセス通信装置をサポートするために基地局401によって利用される必要はない。しかし、基地局401がTDMAを利用しているプロトコルを使用する場合には、基地局401は、時間スロット相互交換(time slot interchange:TSI)をサポートするように構成されてもよく、それによって、容認できないレベルの干渉が生じている時間スロット中のトラフィックを、「より静かな」時間スロットに再配置することができる。アナログ方式において、FDMA又はCDMA技術が無線プロトコル用に利用される場合には、基地局401は、周波数相互交換又は符号相互交換をそれぞれ利用できる。
【0086】
他の無線リソース管理機能の中でもとりわけ、基地局401は、無線チャンネル(無線トランク108の無線通信チャンネルを含んでいる)から地上(即ち、バックホール(backhaul))チャンネルへのマッピングを管理する。また、基地局401は、OAM&P機能を通じて、管理上の状態変更と、構成と、無線リソースの提供とをサポートする。また、基地局401は、無線リソース用の障害管理とアラーム管理を提供し、また、基地局コントローラ112に障害又はアラーム信号を送る。加えて、基地局401は、無線インターフェースを通る信号方式フローの制御、各無線チャンネル用の電力制御管理、無線リンクが中断したときの無線リンクの回復、及び基地局コントローラ112へのデバッグ情報ログを提供する。様々な無線チャンネル用の電力制御管理の一部として、基地局401は、無線リソースに関連する性能測定基準(performance metrics)を、分析のために基地局コントローラ112に送ってもよい。
【0087】
複数の無線アクセス通信装置412が基地局401のサービスエリア内に展開されている場合には、容量とトラフィックの制約をうけて、基地局401は、概して一以上の無線アクセス通信装置412からの呼を扱うことができる。無線アクセス通信装置412の個数は、基地局401で利用できる無線チャンネル数と、基地局401への発呼要求が行われた際のトラフィック量とに依存する。本明細書に詳述されるように、基地局401は、所望により、登録解除のような処理を容易化するために、割り当てられた複数の無線チャンネルを特定の無線アクセス通信装置412に論理的に関連付けるように構成されてもよい。
【0088】
地上リソース管理に関して、基地局401は、バックホール線430にわたって(T1時間スロットの如くの)バックホールチャンネルを管理して割り当てる。基地局401は、信号方式メッセージを通じて、基地局コントローラ112にバックホールチャンネル割り当てを示す。無線アクセス通信装置106が移動体ではない実施形態においては、基地局401はハンドオフ(handoff)をサポートする必要はなく、従って、ハンドオフを行うためにバックホールチャンネルの再ルーティングをサポートする必要もない。基地局401のOAM&P構成要素520は、管理上の状態変更と、構成と、地上リソースの供給とのためのサポートを提供する。また、地上リソースの性能測定基準のためのサポートを提供し、測定基準を基地局コントローラ112に送る。さらに、OAM&P構成要素520は、地上リソース用の障害管理とアラーム管理を提供し、また、それらは基地局コントローラ112に送られる。また、基地局401は、T1バックホール接続のためのスリップ管理及び回復と、無線チャンネル及びバックホールチャンネル間のベアラレート適合と、トランスコーダ(transcoder)装置115をコントロールするためのベアラデータフレーム内のインバンド信号方式とを提供する。
【0089】
呼制御のサポートに関して、基地局401は、無線アクセス通信装置412から受信された発信音声呼を確立し、維持し、終了させることに関与する。それらの機能に適する好ましい呼フローは、図14から図19までに示されており、以下に詳述されている。また、基地局401は、必要であれば、電話呼がアクティブである間、エンドユーザからPSTN125にDTMF信号方式の中継を行う。この信号方式の中継は、基地局401を通じてトランスペアレントに行われ、信号方式はI−インターフェースとN−インターフェースの転送手順によってサポートされている。また、基地局401は、発信電話呼用のディジット分析を提供する。
【0090】
また、基地局401は、好ましくは、種々の方法セキュリティのサポートを提供する。基地局401は、例えば、トランスコーディング装置115と無線アクセス通信装置106で行われるベアラ暗号化用のサポートを提供する。また、基地局401は、ユーザ同一性の保護のためにGSMの一時的移動体加入者識別情報(temporary mobile subscriber identity:TMSI)をサポートしてもよい。
【0091】
再度図1を参照すると、ここに基地局コントローラ112の態様が記載されている。図1に記載されているように、基地局109は、(図5を参照して先に説明したN−インターフェースのような)N−インターフェースのようなインターフェースを越えて基地局コントローラ112に接続されている。(信号方式メッセージとベアラトラフィックを含む)データは、基地局109と基地局コントローラ112の間においてN−インターフェースを越えて送られる。
【0092】
好ましい基地局コントローラ112は、ある態様においては、一以上の基地局109を管理するために用いられる基地局サブシステムコントローラとしてみなされてもよい。基地局コントローラ112が行うべき主な処理は、MSC116と無線アクセス・サブシステム(即ち、物理的無線チャンネルを確立し、維持することに責務を有するシステム構成要素)の間のインターフェースを提供することである。好ましい実施形態においては、基地局コントローラ112は、所定態様のIS−661通信プロトコルとGSM通信プロトコルを組み込んでおり、それによって、「ハイブリッド」プロトコルとして呼んでもよいものを利用している。別の実施形態では、基地局コントローラ112は、IS−661プロトコルを全体として用いて、又は、GSMプロトコルを全体として用いて実装されてもよい。
【0093】
IS−661プロトコルによれば、無線リソースの管理は基地局109で行われるが、さほど大きな役割が基地局コントローラ112に与えられるわけではない。一方、GSM型システムでは、基地局コントローラ112は、無線リソース管理において大きな役割を果たしており、本質的には、無線インターフェース管理を担当する小型の交換機を備えていると見られてもよい。GSMシステムでは、基地局コントローラ112は、無線チャンネルの割り当て、ハンドオフ及び解放をどの時点で行うかについて、基地局109と移動局(同様に無線アクセス通信装置106)に指示することを可能にするインテリジェントな機能を備えて構成される。GSM型システムにおける基地局109と基地局コントローラ112との間のインターフェースは、Abisインターフェースと呼ばれる。
【0094】
IS−661プロトコルとGSMプロトコルの両方の態様を持つ「ハイブリッド」プロトコルを利用する通信システムでは、基地局コントローラ112は好ましくは多様なリソース管理機能を実行する。それらの機能の一部として、基地局コントローラ112は、ベアラ回路の切り換えと、ベアラ接続性の提供とを行い、無線アクセス通信装置106からの発信音声呼のために、基地局109からMSC116への経路を形成する。ベアラ回路の切り換えに加えて、基地局コントローラ112は、無線アクセス通信装置106からMSC116や他のネットワーク構成要素への信号方式経路を提供する。必要ならば、基地局コントローラ112は、GSM A−インターフェース571上のBSSMAP無線リソース管理手順と、N−インターフェース562上の「N−ノート」無線リソース管理手順との間で相互接続を実行する。
【0095】
基地局コントローラ112は、無線チャンネルの割り当て及び解放に関与する。IS−661プロトコルが利用される場合には、基地局109は、実際に無線リソースを割り当てたり、解放したりするエンティティである。しかし、呼のセットアップの一部として、基地局コントローラ112がこの過程を調整するエンティティである。また、基地局コントローラ112は、バックホールチャンネルの割り当てや解放をコントロールする。IS−661プロトコルが利用される場合、基地局109は、バックホールチャンネルにわたるベアラリソースを実際に割り当てるエンティティである。しかし、呼のセットアップの一部として、基地局コントローラ112が同様にこの過程を調整する。
【0096】
また、基地局コントローラ112は、送信されるデータの暗号化に関与している。好ましくは、トランスコーディング装置115(図1)がベアラ暗号化に係るネットワーク側のエンドポイントである一方、基地局コントローラ112が、ベアラメッセージの暗号化をセットアップし、調整する。
【0097】
認証や識別等の所定の移動管理手順が、無線アクセス通信装置106とMSC116との間においてエンドツーエンド方式で実行され、本質的に相互接続の必要なく基地局コントローラ112を介して中継転送される。他の移動管理機能のために、基地局コントローラ112は、N−インターフェース手順とA−インターフェース手順間における相互接続を実行する。例えば、基地局コントローラ112は、位置更新やネットワークレベルの登録(本明細書に詳述するように通常及び定期的の両方)と、登録解除やIMSIデタッチと、時間スロット相互交換再割り当てと、移動管理接続確立とのために、N−インターフェース手順とA−インターフェース手順間における相互接続を実行してもよい。
【0098】
呼制御メッセージと手順は、無線アクセス通信装置106とMSC116との間においてエンドツーエンド方式で実行され、基地局コントローラ112を介してトランスペアレントに中継される。一つの態様として、基地局コントローラ112は、呼制御信号方式を実行するために、無線アクセス通信装置106とMSC116との間の信号方式経路を提供する。
【0099】
基地局コントローラ112は、多様なインターフェースをサポートしてもよい。好ましくは、基地局コントローラ112は、トランスコーディング装置115へのT−インターフェースをサポートしたり、又は、トランスコーディング装置の機能が基地局コントローラ112と統合されている場合には、統合された基地局コントローラ/トランスコーディング装置と、MSC116との間のGSM A−インターフェース571をサポートしたりする。別の方向では、また好ましくは、基地局コントローラ112は、様々な基地局109に接続されているN−インターフェースをサポートする。
【0100】
好ましい形態において、図1に示されているように、基地局コントローラ112は、トランスコーディング装置115との間で情報の送受信を行なう。ある態様のトランスコーディング装置115は、一実施形態では基地局コントローラ112とMSC116との間に設けられた基地局サブシステム(base station subsystem:BSS)のエンティティを含んでいる。好ましくは、トランスコーディング装置115は、基地局コントローラ112の管理制御下にあるものの、MSC116の内部に物理的に配置され、それによって、基地局コントローラ112は、MSC116の場所から遠隔して配置することができる。トランスコーディング装置115は、棚状の複数のトランスコーディング装置を含んでおり、これらは、基地局コントローラ112の制御下にはあるが、互いに独立して動作している。好ましい形態では、棚状の各トランスコーディング装置は、最大で92個までのベアラチャンネルをサポートする。
【0101】
トランスコーディング装置115は、概して、ベアラ経路上の鍵機能のネットワーク側処理を行う。この処理は、例えば、音声のトランスコーディングと、ネットワーク側の順方向エラー訂正(FEC)と、ベアラ音声のネットワーク側の暗号化及び解読とを含んでいてもよい。
【0102】
音声トランスコーディング機能に関して、トランスコーディング装置115は、好ましくは、ユーザ側から受信した符号化音声データと、64キロビット/秒でネットワーク側から受信した「μ−法」符号化パルス符号変調(PCM)データとの間の双方向の変換を提供する。無線アクセス通信装置106でのボコーダ206(図2参照)は、CPE105から受信された音声を、ネットワークへの無線送信用に圧縮する。逆方向では、無線アクセス通信装置106でのボコーダ206は、CPE105への伝送前に無線音声を伸長(decompress)する。
【0103】
好ましくは、トランスコーディング装置115は、とりわけ、音声符号化器と音声復号化器とを含んでいる。トランスコーディング装置115での音声符号化器は、ネットワークから64キロビット/秒で送られてくるPCM音声データを受信して、このデータを、無線アクセス通信装置106に送信するために下位レートの無線チャンネルに圧縮する。順方向エラー訂正(FEC)情報は、FEC機能によってトランスコーディング装置115で別々に付加される。トランスコーディング装置115での音声復号化器は、無線アクセス通信装置106からの圧縮された音声データを処理して、このデータをトランスコードして、MSC116に伝送するための64キロビット/秒のPCM音声データを生成する。トランスコーディング装置115での音声復号化器は、さらに補間機能を提供し、これにより、順方向エラー訂正機能によっては訂正できないエラーを含むフレームを基地局109が検出したときには、予想される音声パターンを出力する。また、トランスコーディング装置115での音声復号化器は、制御トラフィックの伝送中のように必要時において、A−インターフェースへの出力を無音化するためのミュート機能を提供する。
【0104】
順方向エラー訂正(FEC)に関して、ユーザからネットワークへの方向では、FEC情報は、無線アクセス通信装置106によってメッセージ上に付加される。基地局コントローラ112及び/又はトランスコーディング装置115におけるチャンネル復号化機能はFEC情報を使用することで、エラーの存在の検出と、受信したビットに基づく、送信された可能性が最も高いビットの推定とを行う。ネットワークからユーザへの方向では、基地局コントローラ112及び/又はトランスコーディング装置115では、フレームがN−インターフェースを介して送られる前に、ボコーダ処理機能から受信したフレームに順方向エラー訂正を適用する。ネットワークからユーザへの方向でのFEC復号化は、無線アクセス通信装置106によって実行される。
【0105】
暗号化および解読機能に関して、本システムで利用されるベアラ暗号化(encryptionまたはciphering)機構は、好ましくはGSM A5/1アルゴリズムに基づく。GSM A5/1アルゴリズムは、当該技術分野において周知のアルゴリズムである。ベアラ音声については、暗号化および解読のためのシステム内の2つのエンドポイントは、無線アクセス通信装置106およびトランスコーディング装置115である。ここでは、通信は、(あるタイプの時分割多重アクセスすなわちTDMAシステムに見られるように)複数の時間フレームおよび複数の時間スロットに分割され、暗号化および解読はフレーム毎に行われる。
【0106】
無線アクセス通信装置106をおよびトランスコーディング装置115は、好ましくは、無線アクセス通信装置106が1フレームの暗号化に用いるフレーム数が、トランスコーディング装置115が解読に用いるフレーム数と同じであり、その逆もまた同様という意味において、「暗号化同期」の状態にある。GSM A5/1アルゴリズムは、フレーム数に基づく、フレーム毎の暗号化/解読マスクの生成を含む。典型的には、暗号化同期の確立および再確立は、呼のセットアップのときと、エラー状態(無線リンクまたはバックホールリンクのいずれで生じた場合であっても)に起因する暗号化同期のロスから回復したときとに行われる。いったん暗号化同期が確立されると(または場合によって再確立されると)、無線アクセス通信装置106およびトランスコーディング装置115は、無線インターフェース及びバックホールインターフェースの各フレームサイクルに対してフレーム数を増加させる。好ましくは、同一のフレーム長(例えば、20ミリ秒)が無線時間フレーム及びバックホール時間フレームの双方に対して用いられ、ここでフレーム数を増加させるとき、各フレームサイクルは、通常、暗号化/解読機能の2つのエンドポイント間でフレーム数が同期した状態を維持する。
【0107】
トランスコーディング装置115は、さまざまなインターフェースをサポートしてもよい。トランスコーディング装置115は、MSC116においてトランスコーディング装置115をリンクするA−インターフェースと、トランスコーディング装置115を基地局コントローラ112にリンクするT−インターフェースとをサポートしてもよい。T−インターフェースは、ベアラ音声データを伝送する。ベアラ音声データは、トランスコーディング装置のベアラ機能により処理され、また、SS7リンクを介するA−インターフェース信号方式とともに、A−インターフェース上でMSC116へと中継される。好ましくは、トランスコーディング装置115は、SS7リンクを介して、またオプションでX.25または類似タイプのリンクを介して、基地局コントローラ112とMSC116との間で信号方式のトランスペアレントなパススルーを提供する。T−インターフェースはまた、トランスコーディング装置115のOAM&P制御のための信号方式の伝送と、トランスコーディング装置機能に係る動的な各呼ごと(per-call)の制御のための、トランスコーディング装置115と基地局コントローラ112との間のインバンド信号方式の伝送とを行う。トランスコーディング装置115と基地局コントローラ112との間で交換される信号方式は、特定の時間スロット(例えば、時間フレームの第1時間スロット)に集中され、Dチャンネルのためのリンクアクセス手順(LAPD)プロトコルのレベル2を用いて制御される。
【0108】
図9は、無線アクセス通信装置106、基地局109、基地局コントローラ112および/またはトランスコーディング装置115において実行されるベアラ経路機能の好ましい分割を示すハイレベル図である。図9に示されるように、無線アクセス通信装置のベアラ経路機能901は、音声符号化および復号化911と、順方向エラー訂正(FEC)912と、暗号化および解読913と、トーン生成914とを含む。基地局のベアラ経路機能902は、バックホールのフレーム処理921と、チャンネル多重化および多重分離922とを含む。基地局コントローラおよびトランスコーディング装置のベアラ経路機能903は、音声符号化および復号化931と、順方向エラー訂正(FEC)932と、暗号化および解読933と、バックホールのフレーム処理934と、チャンネル多重化および多重分離935とを含む。これらの機能は、本システムの様々な構成要素に関連して前に説明しており、本明細書の他の部分でも様々な詳しさで、または参考として本明細書に組み込まれる資料の中で、さらに説明される。
【0109】
図9に示されるように、無線アクセス通信装置106において実行される音声符号化/復号化、暗号化/解読およびFEC機能は、基地局コントローラ112および/またはトランスコーディング装置115にも同じように設けられる。基地局109において実行されるチャンネル多重化/多重分離およびバックホールのフレーム処理機能もまた、基地局コントローラ112および/またはトランスコーディング装置115により同じように設けられる。
【0110】
再び図1を参照すると、トランスコーディング装置115は移動体交換センター(MSC)116に接続され、MSC116はPSTN125に接続されている。MSC116は基地局サブシステム(BSS)およびPSTN125の間のインターフェースとして動作し、長距離ネットワークへのゲートウェイとして動作するセルラー交換機である。MSC116は、呼のセットアップ、ルーティング選択、着信及び発信チャンネル間の交換、通信制御および接続の解放を含む、電話交換能力を有する。加えて、MSC116は、認証、暗号化、無線リソース管理および位置登録更新手順を含む、加入者の移動管理を考慮して上記の機能を果たす。MSC116により、無線アクセス通信装置106がPSTN125と相互接続することもまた可能になる。MSC116は、セルラーネットワークで交換機能を提供する能力を有する、デジタル多重化システム(digital multiplex system:DMS)の「スーパーノード」に基づく交換システムの一部であってもよい。また、好ましくは、ビジターロケーションレジスタ(VLR)はMSC116と同じ場所に配置され、統合される。
【0111】
MSC116は、様々なインターフェースをサポートしてもよい。MSC116は、A−インターフェースとPSTNインターフェースをサポートしてもよい。A−インターフェースは、MSC116および基地局サブシステム(BSS)間のリンケージ、特に基地局コントローラ112およびトランスコーディング装置115間のリンケージを提供する。PSTNインターフェースは、MSC116とPSTN125とを接続するのに用いられる。MSC116とPSTN125にわたって、音声および回路トラフィックが伝送される。MSC116はまた、移動通信応用部(mobile application part:MAP)インターフェースをサポートしてもよい。移動通信応用部(MAP)インターフェースは、移動情報がネットワークレベル構成要素間で転送されることを可能にするCCS7アプリケーションである。加えてMSC116は、課金センターインターフェースと、運用管理センター(OMC)インターフェースと、サービスセンターインターフェースとをサポートしてもよい。課金センターインターフェースは、MSC116を、課金イベントをダウンロードするための下流プロセッサに接続するのに用いられる。運用管理センター(OMC)インターフェースは、MSC116およびビジターロケーションレジスタ(VLR)を管理するのに用いられる。サービスセンターインターフェースは、移動局へのショートメッセージの中継と、格納および転送とを担当するサービスセンターの機能を接続するのに用いられる。
【0112】
好ましくは、MSC116は様々な機能を果たす。例えば、好ましくはMSC116は加入者を認証し、そしてシステムにアクセス可能であれば移動局を認証する。MSC116はPSTN125に対してインターフェースをとり、例えば、公衆陸上移動網(public land mobile network:PLMN)またはPCS−1900ネットワークに対するインターフェースをとることができる。MSC116はまた、地上チャンネルの割り当て、および呼制御および信号方式のサポートも提供する。加えてMSC116は、PSTN125へのエコーキャンセル処理、データベース情報の取り扱いおよび管理、課金記録、加入者登録および位置管理の取り扱い、および動作測定を行うことができる。
【0113】
MSC116は、ホームロケーションレジスタ(HLR)および認証センター(AuC)に接続され、これらは図1では、統合された装置HLR/AuC123として一まとめに示される。HLR/AuC123はデジタル(例えば、DMS)スーパーノードプラットフォーム上に構築でき、様々な機能エンティティと相互接続されている。機能エンティティは、ビジターロケーションレジスタ、MSCおよび移動通信応用部(MAP)とを含む。HLR/AuC123のHLR構成要素は、加入者についての情報、加入者に割り当てられたサービスについての情報、そのようなサービスの状態についての情報や、サービスが開始された場合のサービスの動作をサポートするのに求められるさらなる情報を含む。HLRはMSC116および/またはVLRからの要求に応答して、加入者データを提供し、または更新する。HLRはVLRと通信して加入者データをダウンロードし、VLRによりカバーされる地域内の移動局に対する呼のルーティング情報を獲得する。
【0114】
HLR/AuC123のAuC構成要素は、ネットワークにアクセスするために認証を試みる際に用いられる加入者鍵を含む。AuC構成要素は加入者鍵を用いて認証ベクトルを生成する。認証ベクトルとは、HLR構成要素を介してVLRに提供される。認証に関する更なる詳細は既に説明したので、上述の説明から理解されるであろう。
【0115】
PCS1900移動体システムのような移動体システムでは、HLR/AuC123のHLR構成要素により保持される情報により、移動局は、地理的な位置にかかわらず、一意の番号を利用してアドレス指定されることが可能になる。よって、移動局はネットワーク内で、およびネットワーク間を自由にローミングできる。無線アクセス通信装置106および関連の構成要素が利用される固定アクセス無線サービスを提供するシステムでは、HLR構成要素は、完全に移動体に基づくシステム内の移動局に対して保持されるのと同様の情報を含む。HLR/AuC123のHLR構成要素は、無線アクセス通信装置106とインターフェースをとる加入者に関する情報を含む。前に説明したように、無線アクセス通信装置106と接続されている個々のCPEトランク(例えば、図6に示すCPEトランク602)は、HLRおよびHVRにとっては、個々の加入者(すなわち「移動局」)として見える。そのため、無線アクセス通信装置106に接続された各CPEトランクは、それ自体の(好ましくは一意の)加入者識別番号を有する。加入者識別番号は、前に説明したように国際移動体加入者識別子(IMSI)を含んでもよい。国際移動体加入者識別子(IMSI)は、CPE105の製造時に割り当てられたCPEトランクの一意かつ恒久的な識別子である。または加入者識別番号は、移動体加入者ISDN(mobile subscriber ISDN:MSISDN)番号を含んでもよい。移動体加入者ISDN(MSISDN)番号は、CPE105に割り当てられた公衆PSTN番号の1つである。
【0116】
無線ネットワークは、無線アクセス通信装置106にサービス可能であることに加えて、個々の移動体加入者にサービスを提供するようにおそらくは構成されるので、無線アクセス通信装置106は、その非移動体的な態様を、無線ネットワークからはトランスペアレントであるように維持するための機能を含むことができる。例えば、携帯電話加入者は、しばしば無線ネットワークに信号を送り、定期的にVLRをリフレッシュしてもよい。システムの固定無線の態様を、無線ネットワークからはトランスペアレントであるように維持するため、無線アクセス通信装置106は、例えばGSM定期的登録機構を用いて、ネットワークレベルの登録を定期的に行い、「加入者」に対するVLRのエントリを有効状態に維持してもよい。無線アクセス通信装置106はまた、以前に接続された基地局109のロケーションエリアと異なるロケーションエリアにおいて基地局109を介して登録が行われる毎に、ネットワークレベルの登録を行う。初期登録および定期的な登録に関する詳細は、上に説明されている。
【0117】
音声呼の確立および維持に関連する所定の特徴について、以下により詳しく説明する。ここでは、無線アクセス通信装置106が展開された通信システムのさまざまな構成要素間の相互動作を参照する。
【0118】
CPE105により発呼される「発信」音声呼の確立に関して、無線アクセス通信装置106は、無線通信チャンネルの獲得、移動管理接続性、および呼のセットアップを取り扱い、加えて、好ましくは様々なエラーまたは例外状況を取り扱う能力を有する。無線アクセス通信装置106がCPE105によるトランク捕捉を検出すると、無線アクセス通信装置106はそのCPEトランクを「話中」としてマーキングし、発信音を出力する(基地局109と通信可能であると仮定する)。同時に、無線アクセス通信装置106は無線通信チャンネル獲得手順を開始する。無線アクセス通信装置106がCPE105からダイヤルされた最初のディジットを検出すると、またはCPE105から何らかのディジットを受信する前にCPE105からのオンフックを検出すると、発信音は除去される。
【0119】
無線通信チャンネルの初期獲得を容易にするために、無線アクセス通信装置106は、最初に起動されたとき、好ましくは近隣の基地局109の詳細探索を行い、適切な基地局109を見つける。無線アクセス通信装置106は基地局109と通信を確立し、現在の基地局109から、周囲基地局マップを受信する。周囲基地局マップは、無線アクセス通信装置106に近隣の基地局109のリストを提供する。近隣の基地局109のリストは、無線通信のための候補である。周囲基地局マップを利用して、無線アクセス通信装置106は基地局選択テーブルを作り上げる。基地局選択テーブルは、近隣の基地局109に関する信号品質情報などを含む。基地局選択テーブルは、無線アクセス通信装置106の不揮発性メモリに格納される。続いて電源が入れられると、無線アクセス通信装置106は、その基地局獲得を迅速に行うために既存の基地局選択テーブルを利用する。
【0120】
発信呼をセットアップするための、又は登録を行うためのトリガーをCPE105から受信したとき、無線アクセス通信装置106は無線通信チャンネルの獲得を試みる。所定の無線システムでは、無線通信チャンネルの獲得は、無線システムの制御チャンネルとの相互動作により実現される。あるタイプのTDMAシステムでは、チャンネル獲得処理は、基地局109により確立された時間フレーム内の時間スロットの獲得を伴う。時間スロットの獲得は、例えば特許文献6により詳しく説明されているハンドシェイクプロトコルにしたがって行われてもよい。
【0121】
無線アクセス通信装置106が、基地局109と通信するための利用可能な無線通信チャンネルを見つけることができないならば、無線アクセス通信装置106の次の動作は、アクティブな他の呼があるか否か、または無線アクセス通信装置106によってセットアップされている他の呼があるか否かによって左右される。アクティブな他の呼がなく、さらに無線アクセス通信装置106によってセットアップされている他の呼がないならば、無線アクセス通信装置106が通信可能な基地局109を見つけるために、無線アクセス通信装置106は、周囲エリアを探索する。(例えば、受信信号品質やトラフィックの利用可能性に基づいて)適当な基地局109が発見されたならば、無線アクセス通信装置106は、新しい基地局109における無線通信チャンネルを獲得しようと試みる。(例えば、特定の実施の形態において、無線アクセス通信装置106は、時間スロット内に送信される汎用ポーリングメッセージ(general polling message)を探してもよい。ここで、汎用ポーリングメッセージは、上記参照の特許文献6公報において記載されているように、通信するための無線時間スロットの利用可能性を示す。) 無線アクセス通信装置106が、無線通信チャンネルの獲得に失敗したならば、再度獲得を試みてもよく、または異なる基地局109を探してもよい。無線アクセス通信装置106は、無線アクセス通信装置106が無線通信チャンネルを獲得するか、またはリンク確立タイムアウト期間の満了、すなわち無線通信チャンネルの獲得に失敗したことがわかるまで、この処理を続ける。
【0122】
現在の基地局109との別の無線通信チャンネルを獲得しようとする試みが失敗であったときに、アクティブな他の呼がある、または無線アクセス通信装置106によってセットアップされている他の呼があるならば、無線アクセス通信装置106は、チャンネルを獲得しようとする試みが失敗であることを示す。その代わりとして、無線アクセス通信装置106は、異なる基地局109に対して呼をセットアップしようと試み、それによって、同時に2つの異なる基地局109との通信を維持しようと試みてもよい(1つが、現在アクティブな呼を処理し、もう1つが、最新の呼を処理する)。
【0123】
無線通信チャンネルを獲得しようとする試みが失敗であったならば、無線アクセス通信装置106は、CPEトランクにおいて「リオーダ」音を出力し、無線通信状態を「輻輳」としてマーキングする。無線アクセス通信装置106が、CPE105に対するグラウンドスタートトランクインターフェースを有するならば、無線アクセス通信装置106は、空きのCPEトランクを捕捉する(つまり、各CPEトランク602において先端を接地する)ことによって、それらCPEトランクを話中にする。輻輳状態が続いている限り、CPE105は、無線アクセス通信装置106に向けられていたはずの呼をPSTN125へルーティングさせようとする(CPE105は、呼のルーティング能力があると仮定する)。「輻輳」状態であるならば、無線アクセス通信装置106は、現在の基地局109において利用可能な無線チャンネルを追跡し続ける。輻輳状態が解消されたならば(例えば、無線アクセス通信装置106が、基地局109からの汎用ポーリングメッセージを確認することができる、または基地局109から通信チャンネルが使用可能であることを示す情報を受け取ることができるならば)、無線アクセス通信装置106は、無線通信状態を「非輻輳」としてマーキングする。無線アクセス通信装置106は、CPE105に対するグラウンドスタートトランクインターフェースを有するならば、無線アクセス通信装置106は、CPEトランクを解放する(つまり、先端を接地から外す)ことによってすべてのCPEトランクを話中状態から解除する。
【0124】
無線チャンネルの獲得に成功したならば、無線アクセス通信装置は、ディジットの伝送及び分析に進む。最初にダイヤルされたディジットを検出したとき、無線アクセス通信装置106は、発信音を除去し、ディジット分析手順を始める。好ましい実施の形態において、ディジットは、無線通信チャンネルが確立した後で、無線アクセス通信装置106から中継されて受信され、基地局109でディジット分析が行われる。基地局109は、ディジットを格納し、ディジットを分析し、呼のタイプと、ダイヤルシーケンスの最後とを判断する。
【0125】
例示的な実施の形態において、基地局109は、以下のようにディジットを分析する。「X」が「4」または「9」である場合に、基地局109がディジットパターン「X11」を検出したとき、ダイヤルが完了したものと判断する。ディジットシーケンスが「911」であるならば、基地局109は、呼のタイプを緊急の呼としてマーキングする。その他のタイプの呼は、いずれも通常の呼としてマーキングされる。最初の3つのディジットが「411」または「911」でないならば、基地局109は、ディジットを受信しつづけ、ダイヤル完了タイムアウト時間(例えば4秒)を用いてダイヤルの最後を検出する。ダイヤル完了タイムアウト時間を使用するために、最初のディジットが基地局109によって受信されたときにダイヤルタイマーが起動され、新しいディジットが受信されるたびにダイヤルタイマーはリセットされる。ダイヤルタイマーがダイヤル完了タイムアウト時間までカウントするとき、基地局109は、ダイヤルが完了したと判断する。
【0126】
ダイヤルシーケンスが完了したと判断したとき、基地局109は、呼の確立を続けるトリガーを無線アクセス通信装置106に対して発する。この呼の確立は、移動管理接続確立と、呼のセットアップを含む。このトリガーは、呼のタイプ(つまり、通常であるか、それとも緊急であるか)も示す。
【0127】
ユーザ(つまり、電話ステーション装置102)から基地局109への通信経路を確立しようとする際に、いくつかのタイプの例外またはエラーが生じる可能性がある。例えば、無線アクセス通信装置106が基地局109と通信不可能になっているならば、無線アクセス通信装置106は、発信音を生成しない。その代わりに、無線アクセス通信装置106は、CPE105を介してユーザにリオーダ音を出力する。トランク捕捉が無線アクセス通信装置106によって認識された後で、所定のタイムアウト時間にわたって無線アクセス通信装置106によってディジットが受信されないならば、以下に説明するように、そのトランクに対して受話器外し信号処理を行う(つまり、そのトランクを、延長されたオフフック状態にあるものとして処理する)。ユーザからのダイヤルが不完全であるならば、またはダイヤルされた番号が無効であるならば、MSC116は、適切な動作を行う。そのような状況において、基地局109は、概してダイヤルの終了を検出し、無線アクセス通信装置106による呼のセットアップをトリガーする。不完全なディジットシーケンスまたは無効なディジットシーケンスが、基地局109によってDTAPセットアップメッセージに書き込まれて、MSC116に送信される。MSC116において実行されるディジット分析において、例外状況を検出すると、MSC116は、DTAP解放完了(DTAP Release Complete)メッセージを無線アクセス通信装置106に返信する。このDTAP解放完了メッセージは、ダイヤルされた番号が無効であることを示す。
【0128】
無線アクセス通信装置106は、現在使用している基地局109との通信を失うならば、または1つまたは複数の無線通信リンクの品質が、許容できる最低限度(例えば、ビットエラー率の高さ、信号の弱さに基づいて)を下回るならば、無線アクセス通信装置106は、十分な品質で通信可能な基地局109を決定するための基地局獲得手順を開始する。無線アクセス通信装置106とCPE105との間のグラウンドスタートトランクインターフェースの場合、無線アクセス通信装置106は、CPEトランクを捕捉することによって、つまり各CPEトランク602において先端を接地することによって、それらCPEトランクを話中にする。(現在の基地局109との通信を再確立すること、または異なる基地局との十分に強いRFリンクを発見することのいずれかにより)基地局の再獲得が完了するとき、無線アクセス通信装置106は、基地局109との通信が失われたりまたは中断されたりしたときに話中であったCPEトランクを、話中状態から解除する。
【0129】
本発明の別の態様において、複数のCPEトランクが無線アクセス通信装置106に物理的に接続されていても、無線アクセス通信装置106によってサポートされるCPEトランクは、それぞれネットワークへの論理加入者に相当する。したがって、例えば、4つのCPEトランク602が無線アクセス通信装置106に接続されている場合、4つの一意的な加入者識別子が割り当てられる。各CPEトランク602に対して異なる論理加入者識別子を使用することによって、無線アクセス通信装置106が基地局109への1つまたは複数の無線リンクを介して複数の呼を処理することができる。特定の実施の形態において、各CPEトランク602は、アドレスを指定するために、それ自体の国際移動体加入者識別子(IMSI)番号及び移動局ISDN(MSISDN)を用いて識別される。無線アクセス通信装置106が、接続されたCPEトランクのうちの1つに代わって「移動管理」手順と呼制御手順を始めるとき、無線アクセス通信装置106は、そのCPEトランクに割り当てられたIMSIを使用する。
【0130】
システムのネットワークサイド(基地局109、基地局コントローラ112、MSC116等)では、無線アクセス通信装置106と関連付けられた各論理加入者は、基地局109と無線で通信することも可能な別々の移動体加入者であるかのように、別々のユーザとして認識される。基地局109は、通常、1つのエンティティ(つまり、無線アクセス通信装置106)に属する異なるIMSIのグループを知る必要がない。IMSIは、工場でプログラミングされた、1つまたは複数の加入者インターフェースモジュール(SIM)606チップに保持されることが好ましい。各SIM606チップは、いったん無線アクセス通信装置106に配置されたならば、特定のCPEトランクに属する。本明細書のほかの場所でも記載されているように、IMSIは、登録、認証、およびネットワークアクセスのために使用される。
【0131】
無線アクセス通信装置106に格納されるIMSIはそれぞれ、好ましくは、HLR/AuC123のHLR構成要素において格納されるMSISDNに対応する。MSISDN番号は、MSISDN番号に変換されるNANP番号と等価物、つまり1+NPA+NXX+XXXXのフォーマットを有する番号であってもよい。MSISDN番号は、発呼と課金情報(billing)の生成などのために使用される。MSISDN番号は、CPE105に割り当てられる公衆PSTN番号の1つであってもよい。したがって、MSISDN番号は、PSTN125からCPE125に割り当てられてもよい。
【0132】
無線アクセス通信装置106には、国際移動体装置識別(International Mobile Equipment Identity:IMEI)番号の形式における識別シリアル番号が割り当てられてもよい。IMEI番号は、工場で割り当てられてもよく、好ましくは、各無線アクセス通信装置106は、一意的なIMEI番号に関連付けられている。装置識別レジスタ(Equipment Identity Register:EIR)エレメントがネットワーク内で使用されるならば、装置識別レジスタエレメントは、システムにおける各無線アクセス通信装置106のIMEI番号を含む。無線アクセス通信装置106によって生成されるアラームは、識別の目的でIMEI番号を使用してもよい。
【0133】
本明細書において以前に説明したように、本発明は、1つの態様において、無線トランクを有するシステムにおける通信を容易にするための信号方式及びプロトコルの技術を提供する。CPE105とPSTN125との間の通信が、無線アクセス通信装置106の能力を利用して行うことができるように、信号方式情報は、通信システム101の1つまたは複数のさまざまなインターフェースを用いて伝送される。好ましい実施の形態において、通信システム801は、IS−661通信プロトコル(または、その修正版)の態様とGSM通信プロトコルの態様とを組み込んで、「ハイブリッド」プロトコルを利用する。
【0134】
IS−661のさまざまな態様は、以下のように要約される。IS−661プロトコルによれば、基地局109と、移動局または他のユーザ局との間の無線通信が、周波数分割二重通信方式(FDD)を使用することによって実行される。このとき、基地局109は、基地局の周波数帯域を介して信号を送信し、移動局またはその他のユーザ局は、移動局/ユーザ局の周波数帯域を介して信号を送信する。複数の送信は時間スロットにしたがって区別され、ここで、基地局の周波数帯域および移動局/ユーザ局の周波数帯域のそれぞれにおけるTDMA時間フレームは、32個の時間スロットを含み、そのそれぞれは625マイクロ秒の長さであり、その結果、TDMA時間フレームの継続時間は、20ミリ秒となる。(しかしながら、ある変形例では、16個の二重通信方式の時間スロットが使用される。) 動作上好ましい周波数は、1850から1990MHzであり、シンセサイザーが調整するステップサイズの大きさは100kHzである。通信は、1.6MHzのRFチャンネルの間隔を有するスペクトル拡散通信を用いて実行される。スペクトル拡散変調は、二乗余弦の平方根を使用する方法で(using a root raised cosine method)実行されるパルス波形整形を伴うMSKまたはOQPSKであってもよい。好ましくは、スペクトル拡散のチッピングレートは、2つのチャンネル、つまりIチャンネルとQチャンネルのそれぞれにおいて1.25Mチップ(Mcps)である。システムはアンテナダイバーシティを行ってもよい。さらにシステムは、(例えば3dBの)所定のステップにおいて、移動局またはその他のユーザ局の電源制御を行ってもよい。
【0135】
通信システム内の異なるインターフェースは、通信経路のチェーンのどこにインターフェースがあるかということに部分的に依存して、異なるプロトコルを使用してもよい。図10は、本発明の好ましい実施の形態に係る通信システム801における異なる構成要素間にあるインターフェースを示す図である。これらのインターフェースの一部は、図5において示された好ましい基地局109に関して先に概略的に説明した。図10において示されたさまざまなインターフェースは、無線アクセス通信装置106と基地局109との間の無線インターフェースまたは「O−インターフェース」560と、基地局109内部(つまり、図5において示されているように、好ましい基地局501の回線カード管理部503とOTA管理部502との間)の内部インターフェースまたは「I−インターフェース」561と、基地局109と基地局コントローラ112との間のネットワークインターフェースまたは「N−インターフェース」562とを含む。基地局コントローラ112は、GSM A−インターフェース571のような標準インターフェースを介してMSC116と通信する。
【0136】
好適な実施の形態では、図1に示される本発明の実施の形態に従って、トランスコーディング装置(transcoding unit)115が、基地局コントローラ112とMSC116との間に挿入される。この実施の形態では、「T−インターフェース」と呼ばれる付加的なインターフェースが、基地局コントローラ112とトランスコーディング装置115との間に設けられ、上記トランスコーディング装置115は、GSM A−インターフェース571のような標準インターフェースを通して、MSC116と通信する。
【0137】
図10に示される通信インターフェースの各々について、まずは、無線アクセス通信装置106と基地局109との間の「O−インターフェース」560から、より詳細に説明する。「O−インターフェース」560は、1つ又はそれ以上の無線(wireless, over-the-air)の通信チャンネルを有しており、各チャンネルは、好ましくは(必須ではないが)、全二重通信をサポートすべく、順方向の通信リンク及び逆方向の通信リンクを有している。O−インターフェース560の1つ又は複数の無線通信チャンネルは、時分割多重アクセス(TDMA)、周波数分割多重アクセス(FDMA)又は符号分割多重アクセス(CDMA)若しくはそれらのさまざまな組合せを利用するプロトコルを含む、種々の異なる多重アクセス通信プロトコルのいずれかにより実現されてもよい。O−インターフェース560は、ある別の実施の形態において、例えば制御トラフィック(traffic)及び信号方式(signaling)情報を伝送するために使用される、基地局109からの無線ブロードキャストチャンネルを有していてもよい。他の実施の形態では、専用のブロードキャスト制御チャンネルは使用されない。
【0138】
好適な実施の形態では、上記基地局109が、セルの分離(cell isolation)のために、さまざまな態様のFDMA、TDMA及びCDMAを利用するセルラーネットワーク(cellular network)の一部である。例示的な実施の形態では、複数のユーザ局が分離され、多重アクセスがTDMAによって実現される。周波数分割二重通信方式(FDD:frequency division duplexing)が、16個の全二重のユーザ局が共通のRF無線周波数を共有することを可能とするために採用される。上記セルラーネットワークにおいて、隣接したセルは、9つの周波数チャンネルのうちの1つの割り当てを受け、7つの符号再利用パターンを使用し、これによりセル間の分離を実現する。直接拡散スペクトル拡散伝送が、基地局109と、無線アクセス通信装置106を含むセル内のユーザ局とにより用いられる。スペクトル拡散通信は、セル間の干渉と、同じ近傍(proximity)内で動作する他のシステム(例えばPCSシステム)に関する干渉とを軽減する。隣接クラスタにおける複数のセルは、直交する又は略直交する拡散符号、伝送電力制御、指向性アンテナ及び時間スロット相互交換(TSI)を含む、種々の干渉除去技術を用いる。
【0139】
図25には、本発明の1つの実施の形態において、O−インターフェース560を通じて通信するために用いられ得る、1つの可能な通信プロトコルが示されている。図25に示されたプロトコルは、時分割多重アクセス(TDMA)及びスペクトル拡散技術を用いる。図25に示されるように、ポーリングループ1380(「メジャーフレーム」)が、複数の時間スロット1381(「マイナーフレーム」)を有する。各マイナーフレーム1381は、基地局109(例えばセルラー局)とユーザ局(例えば移動体ユーザ)との間の時分割二重通信方式の通信を有する。つまり、同じマイナーフレーム1381内において、基地局109がユーザ局に送信し、またユーザ局が逆に基地局109に送信する。
【0140】
より詳しくは、図25におけるポーリングループ1380の一部の分解図に示されるように、マイナーフレーム1381は、基地局送信(ベース送信)1383の前に、移動局又はユーザ局送信1382を有する。マイナーフレーム1381はまた、ユーザ局送信1382の前に可変無線遅延ギャップ(variable radio delay gap)1384を有し、ユーザ局送信1382の後に、ターンアラウンドギャップ(turn around gap)1388及びガードタイムギャップ(guard time gap)1389が続く。ギャップ1389の後は、基地局送信1383であり、該基地局送信1383の後には、他のターンアラウンドギャップ1393が続く。ユーザ局送信1382は、プリアンブル(preamble)1385、プリアンブルサウンディングギャップ(preamble sounding gap)1386、及び、ユーザ局メッセージ区間(user message interval)1387を有する。基地局送信は、プリアンブル1390、プリアンブルサウンディングギャップ1391及び基地局メッセージ区間1392を有する。
【0141】
図26には、O‐インターフェース560を通ずる通信に使用され得る、他の通信プロトコルが示される。図26に示されるプロトコルは、FDMA(複数の送信が異なる周波数の割当てにより区別されるという意味で)およびTDMA(複数の送信が別々の時間の割当てにより区別されるという意味で)の両方の態様を用いる。図26に示されるように、基地局からユーザ局への送信のために、ある周波数帯域1510が基地局109に割り当てられ、また、ユーザ局から基地局への送信のために、他の周波数帯域1511がユーザ局(例えば携帯電話機(ハンドセット)又は他の無線装置)に割り当てられる。反復するメジャー時間フレーム(又は「ポーリングループ」)1501が、各周波数帯域1510,1511における通信用に定義される。反復するメジャー時間フレーム1501内において、複数の(例えば16個の)基地局時間スロット1502及びユーザ局時間スロット1503が定義され、ここで、好ましくはユーザ局時間スロット1503は、基地局時間スロット1502に対して、ある量の時間だけ遅延する。
【0142】
各メジャー時間フレーム1501において16個の基地局時間スロット1502及び16個のユーザ局時間スロット1503が定義される好適な実施の形態では、第1の基地局時間スロット1502と第1のユーザ局時間スロット1503との間の時間遅延1505は、所定数の時間スロット、例えば8個の時間スロットに対応する、予め設定された量の時間であり、このため「スロットオフセット」と呼ばれる。この時間遅延つまりスロットオフセット1505によって、ユーザ局時間において、割り当てられた基地局時間スロット1502での基地局周波数帯域1510にわたる送信信号を受信すること、基地局からユーザ局への送信を処理すること、送信/受信周波数の切換えを行うこと、そして、逆方向リンクの送信を行うために時間フレーム継続時間全体を待つ必要なく、対応するユーザ局時間スロット1503における逆方向リンクの送信を行うことが可能になる。スロットオフセット1505は、8つの時間スロット以外の時間量を有することができる、若しくは、メジャー時間フレーム1501が、スロットオフセット1505が全く存在しないように定義されてもよい。
【0143】
代替として、固定された時間遅延つまりスロットオフセット1505を有する代わりに、基地局時間スロット1502及びユーザ局時間スロット1503は、互いに独立に割り当てられることも可能であり、このとき、該基地局時間スロット1502と対応するユーザ局時間スロット1503(すなわち二重通信を構成するペア)との間の間隔は、例えばユーザのタイプに基づいて動的に選択される。
【0144】
好適な実施の形態では、無線アクセス通信装置106に割り当てられた1つ又は複数のユーザ局時間スロット1503及び1つ又は複数の基地局時間スロット1502が、無線アクセス通信装置106における無線トランシーバの送信/受信周波数の切換えを可能とするのに十分な時間量だけオフセットされる。1つの実施態様では、無線アクセス通信装置106は、送信/受信周波数の切換えを行なうのに約625マイクロ秒を要する。この時間は、時間スロット1502,1503の長さがそれぞれ1.35ミリ秒であると、時間スロット継続時間の半分に対応する。ここでは、好ましくは、「仮想的」な時間スロットを形成するように、基地局時間スロット1502と対応するユーザ局時間スロット1503との間に8スロットのオフセットが設けられている。8スロットのオフセットは、好適な実施の形態に関しては、無線アクセス通信装置106による送信/受信周波数の切換えの潜在的な回数を削減しつつ、利用可能な無線スロットスペースにおいて無線アクセス通信装置106毎に4つのトランクを収容するのに十分であると考えられる。
【0145】
1つの実施の形態によれば、無線アクセス通信装置106は、基地局109との間でスロット割当てのネゴシエーションを行うときに、スロット割当てマップを基地局109へ送信する。スロット割当てマップは、無線アクセス通信装置106において、呼に対してどの無線スロットがすでに割り当てられているかを示す。基地局109は、スロット割当てマップの情報を用いて、利用可能な時間スロット1502,1503のプールから基地局時間スロット1502及びユーザ局時間スロット1503を引き出す。基地局109は、例えば無線アクセス通信装置106の送信/受信切換え時間の制約に基づき、この選択を行なう。
【0146】
好適な通信プロトコルの一態様では、単一の基地局時間スロット1502及び単一のユーザ局時間スロット1503が、ともに、1つの二重通信チャンネルを構成する。好適な実施の形態では、図26に関して記述されたプロトコルの時間フレーム1501が、合計で16個の可能な二重通信チャンネルにわたって、16個の基地局時間スロット1502及び16個の対応するユーザ局時間スロット1503をサポートする。好適な実施の形態では、各基地局時間スロット1502及びユーザ局時間スロット1503の継続時間はで1.35ミリ秒であり、また、各時間スロットは、符号化された音声又は他のデータを9.6キロビット/秒で伝送することを可能とする。
【0147】
単一の基地局109によりサポート可能な無線アクセス通信装置106の個数は、概して、基地局109において利用可能な通信チャンネルの個数と、無線アクセス通信装置106により必要とされる通信チャンネル(すなわちCPEトランク)の個数とに関する関数である。例えば、基地局109において16個の通信チャンネルが利用可能である場合、そして各無線アクセス通信装置106が4つのCPEトランク602を有する場合において、基地局109は、4つの無線アクセス通信装置106をサポートすることができ、その各々は、与えられた時間において最大容量で動作する。しかしながら、無線アクセス通信装置106が所定の期間だけ最大容量未満で動作すると期待される場合において、また、阻止要件及び期待される加入者負荷に基づき、無線アクセス通信装置106が基地局109を共有リソースとして用いるように、4つよりも多くの無線アクセス通信装置106が単一の基地局109へ割り当てられてもよい。加えて、基地局109が、1つ又は複数の無線アクセス通信装置106との通信と同時に、携帯電話機又は他の無線装置のような他の無線ユーザと通信してもよい。
【0148】
通信チャンネルは、好ましくは、要求に基づいて無線アクセス通信装置106に割り当てられるが、ある実施の態様では、予め割り当てられていてもよい。無線通信チャンネルの動的な割当ての利点は、より多くのユーザがサポートされ得ることである。図26に示されるプロトコルに関して、無線通信チャンネルは、好ましくは、無線アクセス通信装置106から基地局109への要求に基づいて割り当てられる。無線通信チャンネルの割当ては、同じく基地局109と通信する移動体ユーザ(もし存在すれば)に関しても同様に実行される、すなわち、基地局109を一部に含むネットワークについてのセルラー通信プロトコルに従って実行される。例えば、無線通信チャンネルは、専用の制御チャンネルの支援によって割り当てられてもよい。また、適切であればいかなる他の無線通信チャンネルを割り当てる若しくは指定するためのメカニズムが用いられてもよい。
【0149】
O−インターフェース560が、概して、無線アクセス通信装置106と基地局109との間の直接の無線インターフェースを含む一方、図10に詳しく示されるような幾つかの他のインターフェースが、情報をPSTN125と交換する際に必要とされる。PSTN125へ進むときの次のインターフェースは、I−インターフェース561である。I−インターフェース561は、基地局109の内部にあり、また、概して、特にネットワークへのバックホール伝送に適したフォーマットへの無線メッセージの変換及びその逆の変換を行う。I−インターフェース561の更なる詳細は、図5に関して説明される。
【0150】
図10に示されるような、無線アクセス通信装置106からPSTN125へ進むときの次のインターフェースは、N−インターフェース562であり、それは、基地局109を基地局コントローラ112へ接続するものである。N−インターフェース562は、本明細書で更に説明されるように、トラフィック及び信号方式の通信チャンネルを有する。物理層において、N−インターフェース562は、トランスポート機構として、フラクショナルT1サービスを利用する。各フラクショナルT1リンクは、64キロビット/秒から1.536メガビット/秒までの転送速度をサポートする。T1リンク上の各時間スロットは、最大で4つまでの16キロビット/秒のべアラーチャンネル(bearer channel)をサポートする。
【0151】
N−インターフェース562のトラフィックチャンネルは、1つの無線トラフィックチャンネル(すなわち1つの無線通信チャンネル)のデータ(例えば音声データ)を伝送するための、集約されていない16キロビット/秒のチャンネルを有する。最大で4個までのかかるトラフィックチャンネルは、1つの64キロビット/秒のT1時間スロットへ多重化され得る。信号方式及びOAM&P情報を64キロビット/秒の速度で伝送するために、単一の信号チャンネルが各基地局109毎に設けられる。信号方式トラフィックは、無線アクセス通信装置106とMSC116との間で中継される信号方式トラフィックと同様に、基地局109と基地局コントローラ112との間のリンクに属する制御情報を有する。
【0152】
N−インターフェース562を通ずる信号方式及び運用若しくは管理上のメッセージ伝送を管理するために、LAPD端末エンドポイント識別子(terminal endpoint identifiers:TEI)が、ローカル管理端末(もし設けられていれば)と基地局109との間の制御情報とともに、基地局コントローラ112と基地局109との間の信号方式及びOAM&P情報の転送用に用いられる。TEIは、好ましくは、基地局共通機能(図7参照,後述)と、N−インターフェース562上でメッセージを送受信するトランシーバとに割り当てられる。基地局共通機能のTEIは、N−インターフェース562上のT1時間スロットに対して永久に割り当てられ、T1時間スロットの数から導き出される。トランシーバのTEIは半永久的であり、また、構成パラメータから確定される。上記基地局共通機能及びバックホールトランシーバ内の異なる機能エンティティは、サービスアクセスポイント識別子(service access point identifiers:SAPI)を用いて、アドレス指定される。特定の実施の形態では、単一のバックホールトランシーバが、基地局109によりサポートされ、従って、かかる実施の形態では、たった1つのトランシーバTEIが用いられる。
【0153】
図7は、本発明の好適な実施の形態に関連して用いられるN−インターフェース562のための、インターフェース信号方式構成をより詳細に示す。図7に示されるように、基地局コントローラ(BSC)702は、複数の論理リンク711乃至715にわたって基地局(OBTS)703へ接続されており、これらの論理リンク711乃至715のすべては、物理的な見地からは、単一のデジタル時間スロットチャンネル(又はDS0)上へ多重化され、パルス符号変調(PCM)を用いて伝送される。図7に示される基地局703は、端末エンドポイント識別子TEI B及びTEI Cによりそれぞれ識別される、2つのトランシーバ706,707(それぞれ「TRX1」及び「TRX2」と示す)と、端末エンドポイント識別子TEI Aにより識別される基地局共通機能部(base common function:BCF)705を有する。
【0154】
論理リンク711から715は、サービス・アクセス・プロバイダ識別子(service access provider identifier: SAPI)タイプによって分類することができる。例えば、図7に示された実施態様では、「62」というSAPIタイプはОAM&P信号方式(ОAM&P signaling)を示し、「0」というSAPIタイプはトラフィック信号方式を示している。図7に示されたインターフェース信号方式構成で説明されるように、1つのОAM&P SAPI論理リンク712と1つのトラフィック信号方式論理リンク713とが1つのトランシーバ(transceiver)706と論理的に関連付けられ、もう1つのОAM&P SAPI論理リンク714と1つのトラフィック信号方式論理リンク715とが他のトランシーバ(transceiver)707と論理的に関連付けられている。第3のОAM&P論理リンク711は基地局共通機能部705と論理的に関連付けられている。
【0155】
トラフィック制御に対する信号方式メッセージは、各々トランシーバ706及び707に接続された2つの論理リンク713及び715に伝送される。基地局703と基地局コントローラ702との間の相互動作のために論理リンク713及び715によって伝えられる信号方式メッセージは、例えば、バックホール(backhaul)及び無線リソース管理や、移動管理などの機能に関連したものである。チャンネル713及び715によって伝えられる信号方式メッセージは、また、無線アクセス通信装置106とMSC116との間のエンド−ツー−エンドの呼制御および移動管理信号方式に関連したものであり、そして、転送ノート内にカプセル化されている。更に、基地局703により基地局コントローラ702に送られ、そして転送ノート内にカプセル化された観測カウンタ(observation counter)及び動作測定(operation measurement)は、論理リンク713及び715を介して伝送されることができる。
【0156】
(例えばОAM&Pなどの)管理機能に関連したメッセージは、論理リンク711,712及び714上で基地局共通機能部705及びトランシーバ706及び707にそれぞれ伝送される。ОAM&Pメッセージ伝送は、基地局コントローラ703による基地局703の管理のために行われる。
【0157】
好ましい実施態様では、基地局コントローラ112はT−インターフェースを通じてトランスコーディング装置(transcoding unit)115に接続されており、そのことは図1に示されているが図10では明示的には示されていない。上記T−インターフェースは、ベアラー(bearer)音声チャンネル・リンク及び信号方式リンクを含む多様な異なるリンクを伝えるT1接続を通じて、基地局コントローラ112をトランスコーディング装置115にリンクさせる。T−インターフェースは、基地局109とトランスコーディング装置115(すなわち、暗号化/暗号解読アルゴリズムのエンドポイント)の間のインバンド(inband)信号方式情報に加えて、符号化され暗号化された音声およびFEC情報を包含した複数の16キロビット(kilobits)/秒のベアラー音声チャンネルを伝える。一つの実施態様においては、最大で4つまでのかかるベアラー音声チャンネルが一つのDSО時間スロット(timeslot)上に多重化され得る。ベアラー音声チャンネルは、トランスコーディング及び速度適応機能のためにトランスコーディング装置115によって処理され、トランスコーディング装置115は、ベアラー音声チャンネル・データを、MSC116に中継するために、64キロビット/秒のパルス符号変調された(PCM)音声データにフォーマット処理する。
【0158】
ベアラー・データに加えて、T−インターフェースは、1つ若しくはそれ以上の信号方式リンクも伝える。例えば、T−インターフェースは、標準的なLAPDデータ・リンクを用いて、基地局コントローラ112によりトランスコーディング装置115のОAM&P制御のための信号方式リンクを伝える。T−インターフェースは、また、各々1つのT1 DSО時間スロットを用いて、基地局コントローラ112とMSC116との間に、SS7信号方式リンクを伝える。これらリンクの信号方式情報は、トランスコーディング装置115を介して、基地局コントローラ112とMSC116との間でトランスペアレントに中継される。T−インターフェースはまた、オプションで、基地局109と運用管理センター(operations management center:ОMC)120との間で通信リンクを伝えてもよい。
【0159】
トランスコーディング装置115は(もし、備えられていれば)、例えばGSM A−インターフェースのような標準的なインターフェースによってMSC116に接続される。その代わりに、トランスコーディング装置115の機能が基地局コントローラ112内に組み込まれても良く、その場合には、基地局コントローラ112は、例えばGSM A−インターフェースのような標準的なインターフェースによってMSC116に接続されることになるであろう。A−インターフェースは、図1に表示され、また、図7においても参照数字571で示されている。GSM A−インターフェースの詳細は、例えば、非特許文献1に記載されている。本明細書に記載された1つ又は複数の好ましい実施態様の特徴と機能をサポートするために、好ましくは、標準的なGSM A−インターフェースに対して何等かの変更が加えられる。かかる変更は、例えば、トラフィック及び信号方式の両方を伝えるために物理的インターフェースとしてT1回線を用いることや、特定の地理的領域(例えば、北アメリカなど)においてはμ−法符号化を用いることなどを含むものである。
【0160】
ベアラー・リンクがトランスコーディング装置115とMSC116との間を接続するのに対して、A−インターフェースのための信号方式リンクは、概して、基地局コントローラ112とMSC116との間で論理的に延在する。トランスコーディング装置115は、特に言及されたように、T−インターフェースを通じて受信された16キロビット/秒のベアラー・リンクを処理して、MSC116に向かう64キロビット/秒のパルス符号変調リンクを生成させる。A−インターフェース信号方式チャンネルは、信号方式接続制御部(signaling connection control part:SCCP)論理信号方式リンクを伝える。SCCPリンクは、PSTN125と通信中である無線アクセス通信装置106の各アクティブなCPEトランク(つまり「論理的な移動局」)毎に、基地局コントローラ112とMSC116との間で維持される。A−インターフェースを通じて伝えられる信号方式情報は、リンク管理のための基地局コントローラ112とMSC116の間のSS7信号方式と、A−インターフェース無線リソース管理信号方式と、A−インターフェース移動管理信号方式と、無線アクセス通信装置106とMSC116との間で基地局コントローラ112によって中継される呼制御信号方式と、オプションで、基地局コントローラ112とОMC120との間のОAM&P信号方式とを含んでいる。A−インターフェース信号方式トラフィックは、トランスコーディング装置115(もしも、備えられていれば)を通過し、そして、トランスコーディング装置115は、説明したように、基地局コントローラ112とMSC116との間で信号方式情報をトランスペアレントに中継する。
【0161】
この明細書中で以前に言及したように、本発明に従った好ましい通信システム101では、信号方式のGSMに係る態様と非GSMに係る態様との両方が利用されている。好ましい実施態様においては、物理的プロトコル(physical protocol)の相互接続がネットワークレベルにおいて本質的にトランスペアレントになるように、通信システム101内ではGSM信号方式及びメッセージングの態様が用いられる。この実施態様では、非GSM物理層(non-GSM physical layer)が採用されており、一方、MSC116との通信はGSM信号方式フォーマットを用いてパッケージされ、その結果、無線システムの非GSMの態様がネットワークに対してトランスペアレントになる。好ましいシステムで用いられる種々のインターフェースの詳細は以上に記載され、一方、通信システム101内で実行される信号方式及びプロトコルは、以下により詳細に説明される。信号方式及びプロトコルは、図1,7及び10に示された特定のインターフェースを参照して説明されるが、信号方式及びプロトコルのの態様は、同様に他のインターフェース形態を用いて採用されてもよい。
【0162】
図8は、好ましい通信システム101のある特定の実施態様に対するプロトコルアーキテクチャを示す図であり、更に、О−インターフェース560、N−インターフェース562及びA−インターフェース571を介する、無線アクセス通信装置106、基地局109、基地局コントローラ112及びMSC116の間における好ましい接続関係を示している。図8に示されたプロトコルアーキテクチャにおいては、「CM」は接続管理に関連付けられ、「MM」は移動管理に関連付けられ、「ОTA」は無線プロトコル(over-the-air protocol)に関連付けられ、「LAPD」はDチャンネルのためのリンク・アクセス・プロトコルに関連付けられ、「IWF」は相互接続機能に関連付けられ、「PhL」は物理層(physical layer)に関連付けられ、「BSSMAP」は基地局サブシステム管理応用部(base station subsystem management application part)に関連付けられ、「SCCP」はSS7信号方式接続制御部に関連付けられ、「MTP」はメッセージ転送部に関連付けられ(MTPのレイヤー2及び3)、「ОAM」は運用、保守及び管理(operations, maintenance and administration)に関連付けられ、「NTS−MM」はN−ノート(N-Note)移動管理に関連付けられ、そして、「NTS−RR」はN−ノート無線リソース管理に関連付けられている。
【0163】
大部分の物理的な無線機能に対しては、通信システムの好ましい実施態様はIS−661移動システム用のプロトコルアーキテクチャを利用する。よりハイレベルの機能に対しては、以下により詳細に説明するように、通信システムの好ましい実施態様はGSMの態様を用いる。
【0164】
呼制御プロトコルは、GSMディレクション転送応用部(direction transfer application part:DTAP)の呼制御エンティティ(entity)であり、図8においてはGSM−CM層として示されている。このGSM DTAP呼制御エンティティ(すなわち、GSM−CM層)は、(1)無線アクセス通信装置106とMSC116との間での通常の発信音声呼(すなわち、CPE105を発信元とする)の確立、維持及び解放と、(2)無線アクセス通信装置106とMSC116との間での緊急の(すなわち、「911」)発信音声呼の確立、維持及び解放と、(3)呼がアクティブである間におけるネットワーク方向でのCPE105からのDTMFトーン(tone)の信号方式とを含む、様々な機能をサポートしている。ディジット分析が好ましくは基地局109で行われるので、無線アクセス通信装置106と基地局109との間にトランスペアレント(transparent)なディジット伝送が行われる。更に、システムは、また、好ましくは、DTAPプロトコルメッセージのための制御転送(CT−TRA)О−ノートを介した転送(transport)能力を与える。
【0165】
図8においてはGSM−MM層として示されているGSM DTAP移動管理エンティティは、認証および加入者識別を含む種々の移動管理手順を実行するために、エンド・ツー・エンドで(無線アクセス通信装置106とMSC116との間で)用いられる。他の移動管理手順は、О−ノートとN−ノートを用いるプロトコル部分としてО−インターフェース560とN−インターフェース562においてサポートされており、図8においてはОTA−MMエンティティ及びNTS−MMエンティティとして示されている。これら他の移動管理手順は、位置の更新またはネットワーク−レベルの登録(通常のものと定期的なものの両方)と、IMSIデタッチまたは登録解除と、一時的移動体加入者識別情報(TMSI)の再割り当てと、(通常の呼および緊急の呼の両方に対する)移動管理接続確立とを含んでいる。これら移動管理手順は、基地局109及び基地局コントローラ112内で相互接続の影響を受け、基地局コントローラ112は、これら手順を、A−インターフェース571を介する対応のGSM移動管理手順に変換する。更に、無線アクセス通信装置106と基地局109との間での基地局レベルの登録(通常のものと定期的なものの両方)は、О−ノート移動管理手順によってサポートされている。
【0166】
GSM−CM及びGSM−MMプロトコルは、無線アクセス通信装置106と基地局109との間においてエンド・ツー・エンドで実行され、そして、プロトコル・メッセージは、基地局109及び基地局コントローラ112を介して、トランスペアレントに中継される。プロトコル・メッセージは、О−インターフェース560を介するトランスポートО−ノート(CT−TRA)メッセージ、基地局109と基地局コントローラ112との間のLAPD信号方式リンクを用いてN−インターフェース562を介するトランスポートN−ノート・メッセージ、及びSCCP信号方式リンクを用いたA−インターフェース571上のBSSMAPメッセージ内にカプセル化されてもよい。
【0167】
無線移動管理手順は、基地局109内において、図8ではNTS−MM層として示されるN−ノート移動管理手順と相互接続する。NTS−MM手順は、N−インターフェース562のLAPD信号方式リンク上で実行され、基地局コントローラ112内において、A−インターフェース上の対応するDTAP移動管理(GSM−MM)手順と相互接続する。GSM−MMプロトコルは、従って、部分的には無線アクセス通信装置106とMSC116との間においてエンド・ツー・エンドで実行され、また、部分的には基地局コントローラ112とMSC116との間で実行される。
【0168】
無線リソース管理機能は、図8に示されたОTA無線リソース(ОTA−RR)管理プロトコル・エンティティによって与えられる。かかる無線リソース管理機能は、リンク獲得、失ったリンクの回復、ベアラメッセージの暗号化、無線スロットのネゴシエーション(negotiation)及び時間スロットの相互交換(TDMAシステムの場合)、ディジット伝送及び分析、割り当て(assignment)及びモード変更、リンク解放(ネットワークにより開始されたか、又は無線アクセス通信装置106により開始されたか)、基地局支援情報、及び周囲基地局テーブル情報を含むものである。О−インターフェース560では、無線リソース管理は、ОTA−RRエンティティによりО−ノート・プロトコルの一部として実行される。
【0169】
О−インターフェース560上のО−ノート・プロトコルは、無線通信チャンネル(すなわち、無線通信リンク)を管理するために、リンク層機能を有している。これらリンク層管理機能は、ARQ、巡回冗長検査(CRC)、セグメント化およびセグメント化解除、電力制御などを含んでいる。
【0170】
基地局コントローラ112及びMSC116との相互動作を要する無線リソース機能構成要素は、基地局109により、図8ではNTS−RRエンティティとして示されるN−インターフェース562上のN−ノート・プロトコル内における無線リソース機能と相互接続される。基地局コントローラ112は、次には、無線リソース機能をA−インターフェース571上のBSSMAP層機能と相互接続させる。チャンネル割り当て、チャンネル解放などの無線リソース管理手順は、MSC116によりBSSMAP手順を介して始められ、そして、基地局コントローラ112が、これら手順をN−インターフェース562上のNTS−RRプロトコル手順に変換する。
【0171】
N−インターフェース562を通じて、無線リソース管理のためのNTS−RRプロトコル手順は、暗号化と、割り当て及びモード変換と、リンク解放とを含む。無線リソース機能に加えて、NTS−RRエンティティの機能は、N−インターフェース562の1つ又は複数のバックホールリンク上でベアラー・チャンネルの割当および割当解除を管理するための手順を含んでいる。
【0172】
N−インターフェース562上で、信号方式リンクはLAPDプロトコルに基づいている。A−インターフェースを通じて、BSSMAPメッセージはSCCP接続部に伝えられる。SCCP及びMTP層は、基地局コントローラ112とMSC116との間に頑健な信号方式リンクを与えるために用いられる。
【0173】
無線アクセス通信装置106の機能をサポートするために、種々のBSSMAP手順がA−インターフェース571上において行われる。これらのBSSMAP手順は例えば、割り当て、阻止、リセット、解放、暗号モード制御及び初期メッセージを含む。
【0174】
無線アクセス通信装置106は、もし、望まれるのであれば、固定的に展開されてもよいので、移動機能はサポートされなくてもよい。例えば、無線アクセス通信装置106は、異なる基地局に対する通話中ハンドオーバ、ブロードキャストチャンネル、非対称チャンネル、サブレートチャンネル、集約されたチャンネル、多重モードトラフィック、信号方式メッセージの暗号化、または、無線Dチャンネルをサポートする必要がない。また、無線アクセス通信装置106は、着信呼のページング、SMS呼の呼び出し、または、呼に関連した補足サービスをサポートする必要がない。これらの機能をなくすことにより、無線アクセス通信装置106の実装を簡単化することができ、また、基地局サブシステムと他のネットワーク側の構成要素から要求されるサポート機能を簡単化することができる。
【0175】
通常の呼の移動管理接続確立は、無線アクセス通信装置106の移動管理エンティティ(すなわち、図8に示すGSM−MMエンティティ)により始められる。これを行うために、移動管理エンティティは、通常の呼であることを示すサービスタイプフィールドを有する接続管理(CM)サービス要求メッセージを、MSC116に送信する。CMサービス受理メッセージを送信することによりMSC116は応答する。MSC116からのCMサービス受理メッセージを受信したときに、無線アクセス通信装置106は、詳細後述するように、及び/又は参照により本明細書に組み入れられた関連出願において説明されるように、通常の呼のセットアップを続ける。
【0176】
通常の呼の場合、移動管理接続確立手順(mobility management connection establishment procedure)は、認証手順を含んでもよい。そのような手順は、認証のためのDTAP移動管理信号方式に基いてもよく、また、MSC116と無線アクセス通信装置106の間においてエンド・ツー・エンドで実行されてもよい。
【0177】
緊急の呼(すなわち、「911」)の場合、無線アクセス通信装置106の移動管理エンティティ(すなわち、図8に示すGSM−MMエンティティ)は、緊急の呼であることを示すCMサービスタイプフィールドを有するCMサービス要求メッセージを送信することにより、移動管理接続確立手順を開始する。これに応答して、MSC116はCMサービス受理メッセージを無線アクセス通信装置106に送信する。MSC116からのCMサービス受理メッセージを受信したときに、無線アクセス通信装置106は緊急の呼のセットアップを続ける。緊急の呼の場合、ネットワークは認証手順を呼び出す必要はない。
【0178】
もし、サービス要求がMSC116により拒否されたとき、または、サービス要求のタイムアウトの期限が切れたときは、無線アクセス通信装置106はCPE105に対してリオーダ音を出力し、呼確立手順を中止してもよい。
【0179】
無線アクセス通信装置106は呼接続の確立において移動管理接続確立手順を利用するのが好ましいが、CPEトランクは典型的にはシステムの可動構成要素とならない。通信システム101は、本明細書で概略的に記述されるように、移動通信システムにおいて利用される技術を、無線アクセス通信装置106を通じて無線トランク108のセットアップ及び維持を促進させるように適合させる。無線アクセス通信装置106を含む通信システム101において所定態様の移動通信システムを用いることは、別個の基地局サブシステムを構成すること又はPSTN125への他の専用無線経路を構成されることを必要とせずに、既存の移動通信システムのインフラストラクチャーが本発明に係る無線トランクをサポートすることができるという利点を有する。
【0180】
移動管理接続確立手順が完了後、無線アクセス通信装置106はMSC116との間でDTAP信号方式に係る交換を行い、発信呼をセットアップする。通常の呼をセットアップする手順と緊急の呼をセットアップする手順との間の基本的な差異は、呼が開始される方法にある。通常の呼の場合、無線アクセス通信装置106は、空の被呼アドレスフィールドを有するDTAPセットアップメッセージを基地局109へ送信する。基地局109は、セットアップメッセージの被呼アドレスフィールドに、ディジット分析手順の一部として予め格納されたディジットを書き込み、その後、セットアップメッセージを、基地局コントローラ112を介してMSC116に中継する。緊急の呼の場合、無線アクセス通信装置106は、DTAP緊急セットアップメッセージをMSC116に送る。DTAP緊急セットアップメッセージは、基地局109と基地局コントローラ112とを介してトランスペアレントに中継される。MSC116は呼要求の受理を示すためにDTAP呼処理中(Call Proceeding)メッセージを返信する。
【0181】
もし、無線アクセス通信装置106が、PSTN相互接続を示すDTAP経過メッセージをMSC116から受信すれば、無線アクセス通信装置106は、CPEトランクと無線通信リンクとの間にその音声経路(例えば、無線通信チャンネルがTDMA時間スロットの場合には、無線時間スロット)を接続する。無線アクセス通信装置106はその後、呼経過音(call progress tone)(話中/呼出音)がネットワーク(すなわち、PSTN125)からインバンドで到来することを期待する。呼の経過にともない、無線アクセス通信装置106は、MSC116から受信した呼経過信号をCPE上の適当な音や信号に変換する。
【0182】
もし、無線アクセス通信装置106がDTAPアラートメッセージをMSC116から受信すれば、無線アクセス通信装置106は、CPE105に対する呼出音を生成する。その音は、以下(1)〜(5)を含む所定の条件の元で除去される。(1)被呼ユーザが応答したことを示すDTAP接続メッセージが、MSC116から受信された場合。(2)呼が、DTAP切断または解放完了メッセージによりネットワーク側から終話された場合。(3)呼が、リンクレベル(無線)解放を用いて解放された場合。(4)無線アクセス通信装置106にてタイマの満了が生じた場合。(5)無線アクセス通信装置106はCPE105からのオンフック表示信号を検出した場合。
【0183】
もし、無線アクセス通信装置106が、被呼者が話中であることを示すDTAP切断または解放完了メッセージを受信すれば、無線アクセス通信装置106による動作はPSTN相互接続(interworking)の有無に依存する。もし、無線アクセス通信装置106がPSTN相互接続の指示を受信しなかったときは、無線アクセス通信装置106はCPE105に対して話中音を出力し、話中音タイマを始動させる。もし、無線アクセス通信装置106がCPE105からオンフック表示信号を検出すれば、または、話中オンタイマにより計時される話中音タイムアウト期間が満了すれば、話中音は無線アクセス通信装置106により除去される。一方、PSTN相互接続が存在する場合に、被呼者が話中である旨の表示信号が受信されたときは、話中音が、PSTN125によりベアラー経路上においてインバンドで出力され、無線アクセス通信装置106を介してCPE105に至るまで中継される。
【0184】
もし、無線アクセス通信装置106が、接続が完了した旨を示すDTAP接続メッセージをネットワークから受信すれば、無線アクセス通信装置106は、接続済みでないときにはベアラー経路を接続し、DTAP接続肯定応答メッセージをPSTN125に返信する。
【0185】
呼確立の間の例外状況が生じたとき、無線アクセス通信装置106は呼確立手順を中止する。また、グラウンドスタート(ground-start)CPEトランクに関しては、それはCPE105に切断表示信号を送る。
【0186】
好ましくは、呼の終話処理(call clearing)もまたサポートされ、これはCPE105またはMSC116のいずれかにおいて始められてもよい。CPE105は、切断信号を無線アクセス通信装置106に出力することにより呼の終話処理を始める。もし、CPE105がその呼に係る発呼者であれば、無線アクセス通信装置106は、呼終話処理ガードタイムアウト期間(例えば600ミリ秒)の計時を開始し、上記期間が終了したとき、CPEトランクを解放し、DTAP信号方式を用いて呼を終話し、すべての無線リソース(over-the-air resources)を解放する。
【0187】
ネットワークから無線アクセス通信装置106へ呼終話処理メッセージを送信することにより、呼の終話処理はネットワーク側(すなわち、MSC116にて)上で開始される。無線アクセス通信装置106の応答は、CPEトランクがグラウンドスタートトランクを含むか、それともループスタートトランクを含むかに依存する。もし、CPEトランクがグラウンドスタートトランクであれば、無線アクセス通信装置106が呼終話処理メッセージをPSTN125から受信したときに、無線アクセス通信装置106は呼終話処理ガードタイムアウト期間(すなわち、600ミリ秒)の計時を開始し、その期間が終了したとき、CPE105に切断指示を送信し、受話器外し信号タイマをスタートする。受話器外し信号タイマの目的は後述する。無線アクセス通信装置106はCPE105からの切断信号を待ち、その切断信号を受信した後、受話器外しタイマを停止させ、CPEとランクを解放する。同時に、ネットワークに対する呼の終話処理が実行されて処理が完了し、呼に対する無線リソースが解放される。
【0188】
もし、一方、CPEトランクがループスタートトランクを含むのであれば、無線アクセス通信装置106が呼終話処理メッセージをPSTN125から受信したときに、無線アクセス通信装置106が受話器外し信号タイマをスタートさせる。無線アクセス通信装置106はCPE105からの切断信号を待ち、切断信号受信後、受話器外しタイマを停止し、CPEトランクを解放する。同時に、ネットワークに対する呼の終話処理が実行されて処理が完了し、その呼に対する無線リソースが解放される。
【0189】
ネットワークによって開始される呼の終話処理の後、もし、CPE105を通じて発呼したユーザがオフフックのままであれば、受話器外し信号(延長されたオフフック)状態がCPEトランク上で生ずる。無線アクセス通信装置106は、この状況を、前述の受話器外し信号タイマを用いて処理する。もし、CPE105からの切断信号を受信することなく受話器外し信号タイマが満了したときは、無線アクセス通信装置106はリオーダ音をCPE105に出力する。もし、この状態でリオーダ音が出力されてから所定時間(例えば60秒)経過した後、無線アクセス通信装置106がまだCPE105から切断を検出してないとき、無線アクセス通信装置106はリオーダ音を除去し、トランクを話中状態に維持し、CPE105からの切断の受信を保留する。
【0190】
呼経過音は次のように要約され得る。空きCPEトランク上でオフフック遷移が検出されたとき、発信音が無線アクセス通信装置106からCPE105へ出力される。被呼ユーザが話中であることを示すDTAP切断または解放完了メッセージが無線アクセス通信装置106で受信されたとき、話中音が出力される(非PSTN相互接続のみの場合)。DTAP変更メッセージ(DTAP Altering message)が受信されたとき、呼出音が出力される(非PSTN相互接続のみの場合)。無線アクセス通信装置106により無線アクセスの輻輳状態が検出される間、または、前述のように受話器外し信号タイマが満了したとき、リオーダ音が出力される。
【0191】
無線アクセス通信装置106は、呼がアクティブである間、DTMFトーンの伝送をサポートしてもよい。「順」方向において、無線アクセス通信装置106はCPE105により生成されるDTMFトーンを検出し、これらの音をMSC1165へのDTAP信号方式に変換する。MSC116は、DTAP DTMF信号方式メッセージを受信したときに、PSTN125へのDTMFトーンを再生成する。「逆」方向において、そのような方法での呼がアクティブである間におけるDTMFトーン信号方式は、現在のGSMプロトコルでは一般にサポートされていない。
【0192】
無線アクセス通信装置106は好ましくは2つの主な種類(ネットワークレベルと基地局レベル)の登録をサポートする。ネットワークレベルの登録と基地局レベルの登録に対して、無線アクセス通信装置106は、本明細書では「通常」の登録および「定期的」な登録という、2つの異なる登録を行なう。これにより、本発明の一実施形態において、4種類の登録がサポートされる。
【0193】
無線アクセス通信装置106によりサポートされる2種類のネットワークレベル登録は、通常のネットワークレベル登録と定期的なネットワーク登録を含む。無線アクセス通信装置106に接続されるCPEトランクのそれぞれがネットワークにより個々の加入者として参照されるので、登録手順は典型的には、個々のCPEトランクの代わりに、無線アクセス通信装置106により実行される。各CPEトランクはその一意の識別子(例えばそのIMSI)にしたがい別々に登録される。もし、特定のCPEトランクに対して登録が失敗すれば、無線アクセス通信装置106は、そのCPEトランクを、登録が失敗したものとしてマーキングする。
【0194】
無線アクセス通信装置106の電源がオンにされたとき、または、無線アクセス通信装置106がロケーションエリアを変更したとき、すなわち以前に登録されていたものとは異なるロケーションエリアに属する基地局109と通信を開始するときに、通常のネットワークレベルの登録が行われる。登録手順は、A−インターフェース571上の通常の位置更新手順を含んでも良い。
【0195】
図28は通常のネットワークレベルの登録を示す呼のフロー図である。図28に示すように、電源をオンにしたとき、無線アクセス通信装置106は無線通信チャンネル(例えば、図25に関して前述したようなTDMAシステムにおける無線時間スロット)を確立する。無線通信チャンネルを獲得した後、無線アクセス通信装置106は、無線アクセス通信装置106に関する運用及び保守データのために論理リンクが要求されていることを示すサービス要求を、基地局109に送信する。サービス要求は制御トラフィックサービス要求(CT−SRQ)メッセージの形態をとることができる。基地局109は制御トラフィック肯定応答メッセージで返信する。その後、無線アクセス通信装置106は、各CPEトランクの各加入者識別子(即ち、IMSI)と無線アクセス通信装置106の装置識別子(即ち、IMEI)に関する情報を含む1つ以上の制御トラフィック転送メッセージを、基地局109に送信する。それに応答して、基地局109は、IMEIと各IMSIの間のマッピングを、それの装置・加入者テーブル(本明細書では、それの「IMEIテーブル」ともいう)に入力する。次いで、基地局109は「アラーム」メッセージのフォーマット処理を行い、アラームを、無線アクセス通信装置106を識別する情報(即ち、そのIMEI)および無線アクセス通信装置106が登録されたというメッセージとともにOSS122に送信する。登録情報を送信した後、無線アクセス通信装置106は、図28に示すように、制御トラフィック解放(CT−REL)メッセージを基地局109に送信することにより、論理リンクを解放する。
【0196】
通常のネットワークレベルの登録に加えて、無線アクセス通信装置106は定期的なネットワークレベルの登録も行うことができる。これを行うために、無線アクセス通信装置106は、初期登録後に、登録間隔が所定時間よりも小さくなるように選択された周期で、各IMSI(即ち、各CPEトランク)を定期的に再登録する。例えば、上記所定時間としては、MSC116におけるビジターロケーションレジスタ(VLR)の記録保持時間より少ない時間量としてもよい。また、所定時間としては、無線ネットワークに対して超過負担とならない十分な長さとなるように選択されるべきである。定期的なネットワークレベルの登録は、A−インターフェース571における定期的位置更新手順との間の変換を行う。周期はGSMネットワークインフラストラクチャにおいて構成可能である。
【0197】
また、無線アクセス通信装置106は、好ましくは2種類の基地局レベルの登録、即ち、通常の基地局レベル登録と定期的な基地局レベル登録をサポートする。基地局レベルの登録の場合、各CPEトランクはそれの一意な識別子(即ち、IMSI)により別々に登録される。
【0198】
無線アクセス通信装置106が、それが以前に登録されたものと異なるが同じロケーションエリアに属する基地局109との通信を開始するときに、通常の基地局レベルの登録が行われる。通常の基地局レベル登録は、無線アクセス通信装置106が、ロケーションエリアを変更する必要なしに、新たな周囲基地局テーブルを受信することを可能にする。基地局レベルの登録手順は、A−インターフェースにおける通常の位置更新手順との間の変換を行う。
【0199】
また、無線アクセス通信装置106は、基地局109に各IMSI(即ち、各CPEトランク)を定期的に登録することにより、定期的な基地局レベルの登録を実行する。再登録の周期は基地局109によって制御される。周期はOAM&Pにより構成可能であり、再登録の周期が例えば16秒となるように選択してもよい。
【0200】
定期的な基地局レベルの登録に係る周期は、無線アクセス通信装置106の「健康状態」を監視するための機構として利用できる。この態様では、定期的な基地局レベルの登録は、無線アクセス通信装置109が現在それと通信中であることを知るための基地局109の「心拍」として機能することができる。
【0201】
登録解除は、無線アクセス通信装置106の電源がオフにされるときに、無線アクセス通信装置106に接続された各CPEトランクに代わってシステムによって実行される。無線アクセス通信装置106は、電源オフ時に、実際に電源をダウンさせる前に各CPEトランクに対して登録解除を行うことを含むシャットダウン手順を開始する。
【0202】
無線アクセス通信装置106において障害が検出された場合、オペレータにこの障害について知らせるためにアラームメッセージが送信される。障害が検出されると、無線アクセス通信装置106は、制御トラフィック転送(CT−TRA)メッセージを用いて基地局109に障害通知(即ち、アラームメッセージ)を送信する。次いで、基地局109は、障害のある存在としての基地局オブジェクトを使用する基地局コントローラ112に、障害報告を送信する。
【0203】
図29はアラーム報告処理を示す呼のフロー図である。図29に示すように、先ず、無線通信チャンネル(例えば、図25に関して前述したようなTDMAシステムにおける時間スロット)が、そのようなチャンネルがまだ確立されていない場合において獲得される。次に、無線アクセス通信装置106に関する運用及び保守データのために論理リンクが必要であることを示すサービス要求が、無線アクセス通信装置106から基地局109に送信される。サービス要求は制御トラフィックサービス要求(CT−SRQ)メッセージの形態をとる。基地局109から制御トラフィック肯定応答メッセージを受信した後、無線アクセス通信装置106はアラーム情報を基地局109に自由に送信できるようになる。アラーム情報は必要に応じて1つより多くの物理的メッセージで伝送してもよい。アラーム情報の送信後、無線アクセス通信装置106は、制御トラフィック解放(CT−REL)メッセージを送信することにより、論理リンクを解放する。次いで、基地局109はアラーム情報を基地局アラームメッセージのフォーマットにパッケージ化し、運用管理センター(OMC)120および・またはOSS122にそれを送信する。
【0204】
無線アクセス通信装置106によって基地局109に送信されるアラームメッセージまたはアラーム情報のフォーマットは、複数のフィールドを含むことができ、例えば、識別子フィールド、障害タイプフィールド、状態フィールド、障害原因フィールド、およびログ番号フィールドを含む。識別子フィールドは、国際移動体装置識別(IMEI)番号などの、無線アクセス通信装置106を識別する情報を含む。障害タイプフィールドは、発生した障害のタイプ、例えば、通信障害、サービス品質障害、処理障害、または装置障害などを示す情報を含む。状態フィールドは、無線アクセス通信装置106が動作中であるか非動作状態であるかを示す。障害原因フィールドは、例えば、無線装置障害、回線カード障害、または未知の障害など、障害の原因を示す。ログ番号はアラームを追跡するために使用される。無線アクセス通信装置106は、対応のログ番号をそれぞれ有するトリガーされたアラームのログを保持してもよい。ログとして記録されたアラーム情報は、後でデバックに使用してもよい。
【0205】
もし障害が無線アクセス通信装置106のリソース(即ち、ハードウェアまたはソフトウェア)に関するときは、もしそれが識別可能ならば、アラーム報告は好ましくは、障害のあるリソースを識別する。アラームの追跡を有効にするために、無線アクセス通信装置106の制御部に障害テーブルが保持されてもよい。アラームが報告されると、障害テーブルへの入力が行われる。障害テーブルは同じアラームが再度報告されることを防止するのに役立つ。障害テーブルは電源オンまたはリセットのときにおいて消去されてもよい。
【0206】
基地局109は、無線アクセス通信装置106において発生されたアラームを、基地局アラームメッセージフォーマットを用いて、基地局コントローラ112に中継する。基地局アラームメッセージフォーマットは複数のフィールドを含むことができ、例えば、障害タイプフィールド、障害レベルフィールド、障害原因フィールド、および追加情報フィールドなどを含む。障害タイプフィールドは(例えば、装置障害などの)障害のタイプを示す情報を含み、障害レベルフィールドは(警告などの)障害の重大度を示し、障害原因フィールドは(無線アクセス通信装置106などの)障害の原因を示し、追加情報フィールドは、通常は障害に関する詳細情報を含み、無線アクセス通信装置106からアラームが送られる特別な場合は、無線アクセス通信装置106から受信されたアラームメッセージのコピーを含む。
【0207】
図1に示すような本発明の好ましい実施例によれば、無線アクセス通信装置106は、PSTN125の長距離機能への接続性をもたらす、GSMに基づくセグメントを介した通常の発信音声呼の確立、維持および切断を行う能力を提供する。無線アクセス通信装置106と他のシステム構成要素は、トランク監督信号方式、アドレス信号方式、およびCPE105への呼経過音の供給を含む、標準的な信号方式機能をCPEインターフェース上でサポートすることにより、CPE105に対して有線回線のトランスペアレント動作を提供する。
【0208】
電源オンの後の初期化手順の一部として、好ましくはその後に定期的に、無線アクセス通信装置106は、近くの基地局109とPSTN125とに対して登録する。ここで、登録とは、概して、無線アクセス通信装置106に接続された加入者(即ち、CPEトランク602)がネットワークに対してそれ自体の識別情報を示すときに用いられる処理として説明される。無線アクセス通信装置106に接続された各CPEトランクは、ネットワークによって個々の加入者と見なされるので、登録手順は典型的には個々のCPEトランクに代わって実行されるものであり、また、複数のCPEトランクに対して反復されることが必要であってもよい。
【0209】
図12はネットワークレベル登録手順を示す呼のフロー図である。図12に示す手順の最初のステップとして、無線アクセス通信装置106は、近くの基地局109への無線通信チャンネル(例えば、TDMAまたはTDDシステムでの時間スロット、またはFDDシステムでの周波数チャンネル、または他の規定チャンネル)を獲得する。無線通信チャンネルは、無線システムによって利用されている特定のプロトコルにより獲得される。次に、無線アクセス通信装置106は、システムによって利用されている特定の登録プロトコルにより、ネットワークレベルの登録手順を実行する。登録手順は、例えば、A−インターフェース571での位置更新手順を含むこともできる。無線アクセス通信装置106は、ネットワークインフラストラクチャにより制御される周期を用いて、その後のネットワークレベルの登録処理を一定間隔で行う。また、無線アクセス通信装置106は、以前に通信中であった基地局のものとは異なるロケーションエリア内の基地局109を介して通信を開始する場合にも、ネットワークレベルの登録処理を行ってもよい。登録後は、無線通信チャンネルは明け渡され、MSC116は、図12に示すようにリソース解放手順を開始する。
【0210】
ネットワークレベルの登録処理に加えて、無線アクセス通信装置106は、基地局109により制御される周期を用いて、基地局109の定期的登録を一定間隔で行うこともできる。各登録の試みに対して、無線アクセス通信装置106は、無線通信チャンネルの獲得と、登録と、呼が進行中でない限り無線通信チャンネルの明け渡しとを行う。もし呼が進行中であれば、無線アクセス通信装置106は新たなチャンネルを獲得する必要はないが、もし特定の無線プロトコルの下で可能な場合は、存在する通信チャンネルにわたって登録情報を送信することができる。定期的な基地局レベルの登録に加えて、無線アクセス通信装置106は、以前に通信中であった基地局と異なる基地局であるが同じロケーションエリア内の基地局を介して通信を開始する場合は、基地局109の初期登録も行う。
【0211】
無線アクセス通信装置106の電源がオフにされるときは、無線アクセス通信装置106に接続された各CPEトランクに代わって、システムによって登録解除が行われる。図13はネットワークレベルの登録解除手順を示す呼のフロー図である。図13に示す手順の最初のステップとして、無線アクセス通信装置106は、近くの基地局109への無線通信チャンネル(例えば、TDMA時間スロット)を獲得する。無線通信チャンネルは、無線システムによって利用されている特定のRFプロトコルにより獲得される。次に、無線アクセス通信装置106は、システムによって利用されている特定のプロトコルにより、IMSIデタッチ手順などのネットワークレベルの登録解除手順を実行する。登録解除後は、無線通信チャンネルは明け渡され、図13に示すように、MSC116はリソース解放手順を開始する。
【0212】
無線アクセス通信装置106による登録処理後、CPE105、無線アクセス通信装置106、および基地局サブシステムを介してPSTN125への発信呼が発呼されてもよい。図14乃至19は、異なるレベルのインテリジェントルーティング機能を有するPBXとKTXを含む種々のタイプのCPE実施形態における、発信呼のための発信音、ディジット伝送、ディジット分析および呼のセットアップを示す呼のフロー図である。例えば、図14は、「ダム(dumb)」PBX、即ち、ダイヤルされた番号の分析に基づいて呼をルーティングする能力のないPBXとして実装されたCPE105に係る、発信音、ディジット伝送およびディジット分析を示す呼のフロー図である。図14に示すように、(例えば、図1に示すような電話ステーション装置などの)ユーザ102がオフ・フックとなり、CPE105(即ち、PBX)にオフ・フック信号を送信する。オフ・フック信号を検出すると、PBX105は発信音をユーザ102に出力する。次いで、ユーザ102はアクセスコード(即ち、所定のディジット、例えば「8」)をダイヤルして、無線アクセス通信装置106により提供された無線トランクにアクセスする。上記アクセスコードのディジットを検出すると、PBX105は発信音を除去し、無線アクセス通信装置106に接続されたトランクを捕捉する。
【0213】
トランクの捕捉を検出すると、無線アクセス通信装置106は、ユーザー102へ第2の発信音を出力する。その第2の発信音は、PBX105を通じてユーザー102へ供給される。その第2の発信音の適用に並行して、その無線アクセス通信装置106は、無線通信チャンネルの獲得を開始する。TDMAまたはTDDシステムでは、例えば、手順中のこのステップは一般に、無線時間スロットの捕捉を伴う。
【0214】
発信音を検出すると、ユーザー102は、被呼者の番号(ディジット)をダイヤルし始める。無線アクセス通信装置106は、最初のディジットを検出した後、第2の発信音を除去する。もし無線通信チャンネルの獲得がこの時点で完了していなかったならば、無線アクセス通信装置106は一時バッファに受信したディジットを格納する。
【0215】
無線通信チャンネルの獲得に成功した後、図14に示したように、無線アクセス通信装置106は、制御トラフィックサービス要求(CT−SQR)メッセージを基地局109へ送信して、その基地局におけるディジット分析アプリケーションにサービスを要求する。基地局109はディジット分析アプリケーションを開始し、そして、制御トラフィック肯定応答(CT−ACK)メッセージを無線アクセス通信装置106へ返信する。その無線アクセス通信装置106は、その後、ユーザー102から受信したディジットを、受信する毎にひとつづつ基地局109へ送信する。各ディジットは制御トラフィック転送(CT−TRA)メッセージの一部として送信される。各ディジットの値は、例えばCT−TRAメッセージ内の4ビットフィールドにより示されてもよい。基地局109は各受信したディジットを格納する。すべてのアドレスディジットが基地局109で受信されると、基地局109は、(ディジット分析により)ダイヤルシーケンスが完了したことを検出し、そして、ダイヤルが完了したことを示すメッセージ内容を有する制御トラフィック転送(CT−TRA)メッセージを、中央呼処理装置106に返信する。無線アクセス通信装置106は次いで、発呼に進むことができる。
【0216】
図15は図14に類似したものであるが、ここでは、「ダム」KTS、つまりダイヤルされた番号の分析に基づいて呼をルーティングする能力をもたない簡易交換システムとして実装されたCPE105に係る、発信音、ディジット伝送およびディジット分析を示す。図15に示したように、ユーザー102は、最初に無線アクセス通信装置106への発信回線を選ぶ。ユーザー102は、次いでオフフックにして、オフフック信号をCPE105(つまりKTS)に送る。オフフック信号を検出すると、CPE105は、無線アクセス通信装置106に接続されたトランクを捕捉する。無線アクセス通信装置106は、トランクの捕捉を検出すると、これに応答して、発信音をユーザー102へ出力する。発信音の適用に並行して、無線アクセス通信装置106は、無線通信チャンネルの獲得に進む。TDMAまたはTDDシステムでは、このステップは一般に、無線時間スロットの捕捉を伴う。
【0217】
ユーザー102が発信音102を検出したとき、被呼者のディジット(番号)をダイヤルし始める。最初のディジットを検出した後、無線アクセス通信装置106は発信音を除去する。この時点までに無線通信チャンネルの獲得が完了していなかったならば、無線アクセス通信装置106は一時バッファにそのディジットを記憶する。
【0218】
無線通信チャンネルの獲得に成功したとき、無線アクセス通信装置106は、図15に示すように、制御トラフィックサービス要求(CT−SRQ)メッセージを基地局109へ送信し、基地局109におけるディジット分析アプリケーションにサービスを要求する。基地局109は、ディジット分析アプリケーションを開始し、そして、制御トラフィック肯定応答(CT−ACK)メッセージを無線アクセス通信装置106に返信する。無線アクセス通信装置106は次いで、ユーザーから受信したディジットを、受信する毎に一つづつ基地局109に送信する。各ディジットは図14に関して述べたように、制御トラフィック転送(CT−TRA)メッセージの一部として送信される。基地局109は、受信した各ディジットを格納する。すべてのアドレスディジットが基地局109で受信された後、基地局109は(そのディジット分析に基づき)ダイヤルシーケンスが完了したことを検出し、そして、ダイヤルが完了したことを示すメッセージ内容を有する制御トラフィック転送(CT−TRA)メッセージを中央呼処理装置106に返信する。
【0219】
図16は、図14及び図15と同様に発信音、ディジット伝送およびディジット分析を示すものであるが、ここでは、ダイヤルされた番号の分析に基づいて呼をルーティングするための十分なビルトインのインテリジェント機能を有するPBXシステムとして実装されたCPE105について示す。図16で示したように、ユーザー102は、最初にオフフックして、オフフック信号をCPE105(つまりPBX)に送信する。オフフック信号を検出すると、CPE105はユーザー102へ発信音を出力する。ユーザー102は次いで、外線にアクセスするためにアクセスコード(つまり「8」や「9」のような予め決められたディジット)をダイヤルする。アクセスコードのディジットを検出したとき、CPE105は発信音を除去し、ディジット分析を開始する。ダイヤルした番号が予め決められたアクセスコードのディジットであることが検出されると、CPE105は第2の発信音をユーザー102に出力する。
【0220】
ユーザー102はその後、被呼者のディジット(番号)をダイヤルし始める。ユーザー102からの最初のディジットを検出すると、CPE105は発信音を除去し、そしてディジット分析を開始する。CPE105によりすべてのディジットが受信されたとき、そのCPE105はそのディジット分析から、完全な電話番号がダイヤルされたと決定する。CPE105はまた、そのディジット分析から、その呼が長距離である(つまりアクセスコードに続いて発呼された最初のディジットが「1」である)か否かを決定し、もし呼が長距離のとき、無線アクセス通信装置106に接続されたトランクを捕捉する。呼が長距離ではなかったとき、CPE105はその呼を直接PSTN125にルーティングする。
【0221】
CPEトランクの捕捉を検出すると、無線アクセス通信装置106はユーザーに第2の発信音を出力する。この第2の発信音は、ユーザー側のCPE105により無音化され、つまり、第2の発信音はユーザー102まで送られない。第2の発信音の適用に並行して、無線アクセス通信装置106は無線通信チャンネルの獲得に進む。例えばTDMAまたはTDDシステムでは、例えば、このステップは一般に、無線時間スロットの捕捉を伴う。第2の発信音がCPE105により検出されると、CPE105は、DTMFトーンとしてユーザー102から以前に受信したディジットを無線アクセス通信装置106へ出力し始める。最初のディジット(つまりDTMFトーン)を検出すると、無線アクセス通信装置106は第2の発信音を除去する。もし、無線通信チャンネルの獲得がこの時点までに完了していなかったとき、無線アクセス通信装置106は、無線通信チャンネルが得られるようになるまでディジットを一時バッファに格納する。
【0222】
無線通信チャンネルの獲得に成功した後、無線アクセス通信装置106は、制御トラフィックサービス要求(CT−SRQ)メッセージを基地局109へ送信し、基地局109でのディジット分析アプリケーションにサービスを要求する。基地局109は、ディジット分析アプリケーションを開始し、そして、制御トラフィック肯定応答(CT−ACK)メッセージを無線アクセス通信装置106に返信する。無線アクセス通信装置106は次いで、ユーザーから受信したディジットを、受信する毎に一つづつ基地局109に送信する。各ディジットは、制御トラフィック転送(CT−TRA)メッセージの一部として送信される。基地局109は、受信した各ディジットを格納する。すべてのアドレスディジットが基地局109で受信された後、基地局109はダイヤルシーケンスが完了したことを検出し、そして、ダイヤルが完了したことを示すメッセージ内容を含む制御トラフィック転送(CT−TRA)メッセージを、中央呼処理装置106に返信する。無線アクセス通信装置106は次いで、発呼に進むことができる。
【0223】
図17は、図14、図15及び図16に類似したものであるが、ここでは、ダイヤルされた番号の分析に基づいて呼をルーティングするための十分なビルトインのインテリジェント機能を有する簡易交換システム(KTS)として実装されたCPE105に係る、発信音、ディジット伝送およびディジット分析を示す。図17に示したように、ユーザー102は最初にオフフックしてオフフック信号をCPE105(つまりKTS)に送信する。そのオフフック信号を検出すると、CPE105はユーザー102に発信音を出力する。ユーザー102はその後、被呼者のディジット(番号)をダイヤルする。ユーザーから最初のディジットを検出すると、CPE105は発信音を除去し、そしてディジット分析を開始する。
【0224】
CPE105によりすべてのディジットが受信された後、そのCPE105はそのディジット分析から、完全な電話番号がダイヤルされたと決定する。そのCPE105はまたそのディジット分析から、その呼が長距離である(つまりダイヤルされた最初のディジットが「1」である)であるか否かを決定し、もしその呼が長距離ならば、無線アクセス通信装置106に接続されたトランクを捕捉する。もし、その呼が長距離でないならば、CPE105はその呼を直接PSTN125にルーティングする。
【0225】
トランクが捕捉されたとき、無線アクセス通信装置106はCPE105に第2の発信音を出力する。この第2の発信音は、ユーザー側のCPE105により無音化され、つまり第2の発信音はユーザーまで送られない。第2の発信音の適用に並行して、無線アクセス通信装置106は無線通信チャンネルの獲得に進む。TDMAまたはTDDシステムでは、このステップは一般に無線時間スロットの捕捉を伴う。第2の発信音がCPE105により検出されると、CPE105は、ユーザー102から以前に受信したディジットを無線アクセス通信装置106へ出力する。最初のディジットを検出すると、無線アクセス通信装置106は第2の発信音を除去する。もし、無線通信チャンネルの獲得がこの時点までに完了していなかったとき、無線アクセス通信装置106は、ディジットを一時バッファに格納する。
【0226】
無線通信チャンネルの獲得に成功した後、無線アクセス通信装置106は、制御トラフィックサービス要求(CT−SRQ)メッセージを基地局109へ送信し、基地局109でのディジット分析アプリケーションにサービスを要求する。基地局109は、ディジット分析アプリケーションを開始し、そして、制御トラフィック肯定応答(CT−ACK)メッセージを無線アクセス通信装置106に返信する。無線アクセス通信装置106は次いで、ユーザーから受信したディジットを、受信する毎に一つづつ基地局109に送信する。各ディジットは、制御トラフィック転送(CT−TRA)メッセージの一部として送信される。基地局109は、受信した各ディジットを格納する。すべてのアドレスディジットが基地局109で受信された後、基地局109はダイヤルシーケンスが完了したことを検出し、そして、ダイヤルが完了したことを示すメッセージ内容を有する制御トラフィック転送(CT−TRA)メッセージを中央呼処理装置106に返信する。無線アクセス通信装置106は次いで、発呼に進むことができる。
【0227】
もし無線アクセス通信装置106が発信音(または第2の発信音)を出力し、そして予め設定された時間内にCPE105からディジットを受信していないならば、ダイヤルのタイムアウト条件になる。その場合、無線アクセス通信装置106は、捕捉されているかもしれないすべての無線通信チャンネルを解放し、ユーザに対する受話器外し状態のための処理を行う(つまり、必要ならば登録解除手順を実行し、呼のために割り当てられたすべてのリソースの解放をMSC116に実行させる)。
【0228】
図18および19は、二つのシナリオで呼セットアップ手順に成功した場合を示す呼のフロー図である。図18は、MSC116においてPSTN相互接続を行わないときの、CPEから開始された通常の(つまり緊急でない)呼セットアップシーケンスに成功した場合の呼のフロー図である。図18に示したように、発信音の供給、ディジット伝送およびディジット分析は、図14〜17の呼のフロー図に示したいずれかのシナリオにしたがって実行される。各々の例では、呼のフローは、基地局109から無線アクセス通信装置106へのダイヤル表示信号が終わったときに終了する。基地局109からのダイヤル表示信号の最後を受信すると、無線アクセス通信装置106は、通常の呼に対する移動管理接続確立手順を開始する。この手順の結果として、SCCPリンクがA-インターフェース571を介する呼のために確立され(GSMシステムであると仮定している)、そして、更に、呼を処理するためにMSC116に対する移動管理接続がセットアップされる。この手順の一部は、もし所望ならば、呼のための認証及び暗号モード設定手順を伴ってもよい。
【0229】
移動管理接続手順を完了した後、無線アクセス通信装置106は図18に示すように、直接転送応用部(DTAP)セットアップメッセージを基地局109へ送信する。DTAPセットアップメッセージは、空の被呼アドレスフィールドを含み、MSC116に送られる。基地局109はそのDTAPセットアップメッセージを途中で受信し、そして被呼アドレスフィールド内に、以前のディジット分析ステップの間に無線アクセス通信装置106から受信したディジットを書き込む。基地局109はその後、基地局コントローラを通じてMSC116へDTAPメッセージを転送する。そのMSC116は、図18に示したように、DTAP呼進行中メッセージを無線アクセス通信装置106へ送信することにより、DTAPセットアップメッセージに肯定応答する。
【0230】
ベアラリソース割当て手順が、この後、A−インターフェース571から始まりO−インターフェース560に進む無線固定アクセスシステムの各インターフェースにおいて実行される。ベアラリソース割当て手順の結果として、A−インターフェース571とN−インターフェース562とO−インターフェース560とにベアラチャンネルが割り当てられ、基地局コントローラ112を介して、交換された接続がセットアップされる。
【0231】
ベアラリソース割当て手順が完了した後、MSC116は、DTAPアラートメッセージを、無線アクセス通信装置106に送信する。無線アクセス通信装置106は、CPE105(すなわち、PBXもしくはKTS、又はその他の同様のシステム)を通るインバンド経路を経由して、呼出音をユーザ102に送る。被呼者が呼に応答したときに、MSC116は、DTAP接続メッセージを、無線アクセス通信装置106に送信する。その時点で、無線アクセス通信装置106はその音声経路にアタッチされ、ユーザへの呼出音を除去する。無線アクセス通信装置106は、DTAP接続肯定応答メッセージでもってMSC116に応答し、このとき、呼は会話状態となる。
【0232】
図19は、図18と同様に、CPEから開始された通常の呼のセットアップシーケンスに成功した場合の呼のフローを示しているが、MSC116においてPSTN相互接続が行われている。図19に示されているように、発信音の供給、ディジット伝送及びディジット分析は、図14〜図17の呼のフロー図に示された任意のシナリオに従って実行される。基地局109からのダイヤル表示信号の終了を受信すると、無線アクセス通信装置106は、通常の呼のための移動管理接続確立手順を開始する。図18の呼のフローと同様に、この手順の結果として、SCCPリンクがA-インターフェースを介する呼のために確立され(GSMシステムであると仮定している)、そして、更に、呼を処理するためにMSC116に対する移動管理接続がセットアップされる。もし希望があれば、この手順の一部は呼のための認証及び暗号モード設定手順を伴っていてもよい。
【0233】
移動管理接続手順が完了した後、無線アクセス通信装置106は、DTAPセットアップメッセージを基地局109に送信する。DTAPセットアップメッセージは、空の被呼アドレスフィールドを含み、MSC116に送られる。基地局109は、DTAPセットアップメッセージを途中で受信し、以前のディジット分析ステップにおいて無線アクセス通信装置から受信されたディジットを、アドレスフィールド中に書き込む。基地局109は、この後、基地局コントローラ112を経由してMSC116にDTAPセットアップメッセージを伝送する。MSC116は、図18に示されているように、DTAP呼進行中メッセージを無線アクセス通信装置106に送信することにより、DTAPセットアップメッセージの受信を肯定応答する。ベアラリソース割当て手順が、この後、図18の呼のフローと同様に、A−インターフェースから始まりO−インターフェースに進む無線固定アクセスシステムの各インターフェースにおいて実行される。ベアラリソース割当て手順の結果として、A−インターフェースとN−インターフェースとO−インターフェースとにベアラチャンネルが割り当てられ、基地局コントローラ112を介して、交換された接続がセットアップされる。
【0234】
ベアラリソース割当て手順が完了した後、MSC116は、PSTN125との相互接続を示すDTAP経過メッセージを、無線アクセス通信装置106に送信する。無線アクセス通信装置106は、この時点でその音声経路にアタッチされる。ネットワークは、接続された音声経路上で呼出音を検出し、そして呼出音は、無線アクセス通信装置106によって、CPE105(すなわち、KTSもしくはPBX、又はその他の同様のシステム)を経由してユーザ102に中継伝送される。被呼者が呼に応答したときに、ネットワークは呼出音を除去する。MSC116は、DTAP接続メッセージを、無線アクセス通信装置106に送信する。無線アクセス通信装置106はDTAP接続肯定応答メッセージでもって応答し、この後、呼は会話状態に移行する。
【0235】
図18又は図19に示されたいずれの呼のフローのシナリオにおいても、もし被呼者が話中であれば、この呼は一般に拒絶される。PSTN相互接続を行わない場合は、MSC116からのDTAP切断メッセージに応答して、無線アクセス通信装置106からユーザ102に話中音が送信され、DTAP解放手順が開始される。オンフック信号がユーザ102から検出されたとき、無線アクセス通信装置106は、呼リソース解放手順を開始する。PSTN相互接続を行う場合は、話中音はPSTN125から送信される。CPE105がユーザ102からオンフック信号を検出したとき、それは切断メッセージを無線アクセス通信装置106に送信し、これはこの後、DTAP解放手順を開始し、その後に呼リソース解放手順が続く。
【0236】
長距離ネットワークインターフェース上でISDN相互接続が行われる場合は、無線アクセス通信装置106は、MSC116から受信されたDTAP信号方式に基づいて、CPE105に対する適当な呼経過音を生成する。このような呼経過音は、例えば、話中音及び呼出音を含む。PSTN相互接続を行う場合は、これらの呼経過音は、PSTN125によって生成されて、無線アクセス通信装置106にインバンドで送られ、無線アクセス通信装置106はこれらをCPE105に中継される。発信音は、常に、無線アクセス通信装置106によって生成される。また、輻輳状態のとき、又は受話器外し処理の一部として、無線アクセス通信装置106によってリオーダ音が生成されてもよい。
【0237】
図20〜図22は、種々の呼のシナリオを示す呼のフロー図である。図20は、呼がアクティブである間の通話中着信の状況のための呼のフローを示している。図20に示されているように、第1のユーザは、ネットワーク上で、あるアクティブな呼について話中状態にある。第2のユーザは第1のユーザに発呼することを望み、オフフック信号を生成させる。CPE105(すなわち、KTS、PBX又はその他の同タイプのシステム)はオフフック信号を検出し、発信音でもって応答する。第2のユーザは第1のユーザの電話番号をダイヤルするが、この呼は長距離ではないので(というより、むしろ局間である)、それはCPE105それ自体によって処理され、この後それを無線アクセス通信装置106に送信する。第2のユーザから最初のディジットを検出すると、CPE105は発信音を除去する。
【0238】
該番号がダイヤルされた後、CPE105は第1のユーザに呼を伝達しようと試みる。第1のユーザがすでに他の呼について話中状態にあることを知れば、CPE105は第1のユーザに通話中着信音(call waiting tone)を出力し、他の発呼者が接続を試みていることを第1のユーザに知らせる。CPE105はまた、第2のユーザにも呼出音を出力し、第1のユーザが呼び出されていることを知らせる。
【0239】
もし、第1のユーザがフックフラッシュでもって通話中着信音に応答すれば、CPE105はフックフラッシュ信号を検出し、最初の会話を保留状態にする。CPE105は、この後、第1のユーザと第2のユーザとを会話に接続する。第1のユーザは、この後、図20に示されているように、フックフラッシュ信号を用いることにより、会話間で切り換えることができる。
【0240】
図21は、3者通話のセットアップシナリオを示す呼のフロー図である。図21に示された呼のフローの最初に、第1のユーザがネットワーク上ですでにアクティブな呼について話中状態にあると仮定する。第1のユーザは、この後、第2のユーザに対して局間の呼を発呼すると決定する。そうするために、第1のユーザは、CPE105にフックフラッシュ信号を供給する。CPE105は、第1のユーザにリコール発信音を与え、そして元の会話を保留状態にすることにより応答する。第1のユーザは、この後、第2のユーザの内線にダイヤルする。CPE105がダイヤルされた内線の最初のディジットを検出したときに、それはリコール発信音を終了する。
【0241】
内線のダイヤル動作が完了した後、CPE105は、第2のユーザに呼を送ることを試みる。同時に、CPE105は、第1のユーザに呼出音を供給する。CPE105が第2のユーザからオフフック信号を受信したとき、それは第1のユーザへの呼出音を終了する。第1のユーザと第2のユーザとは、この後、アクティブな呼において会話をすることができる。第1のユーザからフックフラッシュ信号を検出すると、CPE105は2つの呼を接続し、3者通話を達成する。
【0242】
図20及び図21の呼のフローの状況のそれぞれにおいては、呼機能は、トランスペアレントにエンドユーザに与えられる。さらに、呼は、PSTN125上でも同様にトランスペアレントに達成される。
【0243】
図22は、CPE105からPSTN125への呼がアクティブである間におけるDTMF信号方式手順を示している。予め設定された最小DTMFタイムアウト期間(例えば、20ミリ秒)を超えるCPE105からのDTMFトーンを検出すると、無線アクセス通信装置106は、DTAP開始DTMFメッセージをMSC116に送信する。DTAP開始DTMFメッセージは、ディジットが送信されていることを示している。MSC116がこのメッセージを受信したとき、それはネットワークに向けてDTMFトーンを再生成し、DTAP開始DTMF肯定応答メッセージを、無線アクセス通信装置106に返信する。
【0244】
無線アクセス通信装置106がDTAP開始DTMF肯定応答メッセージを検出したとき、それはDTAP停止DTMFメッセージをMSC116に送信する。DTAP停止DTMFメッセージを受信すると、MSC116はネットワークに対してDTMFトーンの送信を停止する。MSC116は、DTAP停止DTMF肯定応答メッセージを、無線アクセス通信装置106に返信する。この手順は、CPE105によって送信された各DTMFトーンに対して繰り返される。
【0245】
DTAP開始DTMFメッセージ及びDTAP停止DTMFメッセージは、両方とも、既存のGSMプロトコルによってサポートされるメッセージである。無線アクセス通信装置106は、DTAP開始DTMFメッセージ及びDTAP停止DTMFメッセージを利用して、呼がアクティブである間にDTMFトーンに関連する情報を、トランスペアレントに基地局109及び基地局コントローラ112に伝送する。これにより、DTMFトーンは、無線通信チャンネルにわたって関連づけられ、ネットワークに中継伝送される前に、MSC116で再生成される。
【0246】
通常の呼及び緊急の呼の両方とも、図1の好ましい通信システム101によって取り扱われることができる。緊急の呼(すなわち、「911」の呼)は、好ましくは、CPE105によって直接PSTN125にルーティングされる。これは、その他の呼がルーティングされる場合と同じ方法で達成されてもよい。例えば、ユーザは、緊急の呼に対してPSTNアクセスコードをダイヤルしてもよく(PBXの場合)、あるいは卓上電話機からPSTNトランクを選択してもよい(KTSの場合)。これに代えて、CPE105は、受信されたディジットを分析することによりPSTNトランクに緊急の呼をルーティングするように構成されることができる。それにもかかわらず、このような呼を発呼するトリガーを受信したときに緊急の呼を確立し、維持し、かつ切断する能力を無線アクセス通信装置106にもたせるのが望ましいかもしれない。無線アクセス通信装置106は、GSMに基づくセグメントを用いてこれらの緊急の呼に係る動作を実行してもよい。
【0247】
図23及び図24は、本発明の2つの特定の実施形態における無線リソースのためのそれぞれのスペクトル割り当てを示す周波数分布図である。図23は、5MHzの利用可能な無線周波数帯域幅にわたる、可能なスペクトル割り当てを示している。図23に示されているように、5MHzの帯域幅は、1.6MHz間隔の中心周波数をそれぞれ有する3つのサブ帯域に分割されてもよく、このとき、外側の各サブ帯域の中心周波数から、5MHzの帯域幅の外縁まで間隔は0.9MHzになる。図24は、6.6MHzの利用可能な無線周波数帯域幅にわたる、可能なスペクトル割り当てを示している。図24に示されているように、6.6MHzの帯域幅は、1.6MHz間隔の中心周波数をそれぞれ有する4つのサブ帯域に分割されてもよく、このとき、外側の各サブ帯域の中心周波数から、6.6MHzの帯域幅の外縁まで間隔は0.9MHzになる。図23と図24のいずれかにかかる実施形態においても、(基地局109と無線アクセス通信装置106のいずれかの)無線送信機は、信号を、好ましくは、ほぼ1.6MHzの最大帯域幅をもつ、直接拡散スペクトル拡散信号を送信する。図23及び図24中の特定のスペクトル割り当ては、単なる例示の意味であり、好ましいスペクトル拡散無線通信経路のための可能なスペクトル割り当てを示している。しかしながら、どのようなスペクトル割り当てでも、基地局109と無線アクセス通信装置106との間で利用される特定の無線接続の目的で用いることができる。
【0248】
1つ又はこれより多い実施形態が、本発明の種々の態様に従って上述されているが、これらの実施形態の多数の変形例が、本明細書で説明されているのと同一又は類似の動作原理を組み込みつつ存在する。例えば、当業者にとっては、CPE105及び無線アクセス通信装置106の機能が単一の装置内に組み合わせ可能であることは明らかなことであろう。また、1つ又はこれより多い電話ステーション装置102が、CPE105をバイパスして、無線アクセス通信装置106に直接接続されることも可能である。さらに、CPE105は、電話回線により電話ステーション装置102に接続される必要はなく、これに無線で接続されてもよい(すなわち、無線PBX)。
【0249】
本発明のある態様にかかるローカルエリア通信システムは、PBX又はKTSからネットワークへの陸上回線接続を必要とするシステムとは対照的に、遠隔地域及び/又は地方に配備することが比較的容易であろう。無線アクセス通信装置をPBX又はKTSに接続することに加えて、遠隔地に配置されたローカルエリア通信システムが、比較的少ない配備努力の追加でもって、無線ネットワークの恩恵(長距離アクセスを含む)を受けることができる。
【0250】
本明細書では、本発明の好ましい実施形態が記述されているが、本発明の範囲及び概念の範囲内において、多数の変形例が可能である。このような変形例は、明細書及び図面を参照すれば、当業者にとって明らかなことであろう。本発明は、それゆえ、添付の請求項の精神と範囲とにより限定されるほかは、何ら限定されるべきものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信ポートを有する無線アクセス通信装置とセルラー・ネットワークの間に無線通信を創設するステップと、要求に応じて複数のユーザ局から通信ポートへのコール要求に応えると共に、それに応じて無線アクセス通信装置を介してセルラー・ネットワークへのコールを創設するステップと、通信ポートをセルラー・ネットワークで周期的に登録するステップとを備える通信方法。
【請求項2】
1個の加入者識別子が各通信ポートに対応するように複数の加入者識別子を通信ポートに割当てるステップを更に備え、又、通信ポートをセルラー・ネットワークで周期的に登録する上記ステップが、セルラー・ネットワークの各通信ポート用の加入者識別子を無線アクセス通信装置からセルラー・ネットワークに周期的に送信するステップを備える請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
通信ポートをセルラー・ネットワークで周期的に登録する上記ステップが、通信ポートをセルラー・ネットワークの中央レジスタで登録するステップを備える請求項3に記載の通信方法。
【請求項4】
通信ポートをセルラー・ネットワークの中央レジスタで登録する上記ステップが、中央レジスタの記録保持時間より短い周期インタバルで各加入者識別子を送信するステップを備える請求項4に記載の通信方法。
【請求項5】
周期インタバルが16秒以下である請求項5に記載の通信方法。
【請求項6】
中央レジスタが、セルラー・ネットワークの移動体交換センターのビジター・ロケーション・レジスタを備える請求項3に記載の通信方法。
【請求項7】
通信ポートをセルラー・ネットワークで周期的に登録する上記ステップが、通信ポートをセルラー・ネットワークの基地局で周期的に登録するステップを備え、又、無線アクセス通信装置とセルラー・ネットワークの間に無線通信を創設する上記ステップが、無線アクセス通信装置と基地局の間に無線通信を創設するステップを備える請求項1に記載の通信方法。
【請求項8】
基地局における加入者ポートの一つの周期的登録を受信しなかった時に、アラーム・メッセージを基地局からセルラー・ネットワークの中央オフィスに送信するステップを更に備える請求項7に記載の通信方法。
【請求項9】
通信ポートをセルラー・ネットワークの中央レジスタで周期的に登録するステップを更に備える請求項7に記載の通信方法。
【請求項10】
中央レジスタが、セルラー・ネットワークの移動体交換センターのビジター・ロケーション・レジスタを備える請求項9に記載の通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−153186(P2009−153186A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44468(P2009−44468)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【分割の表示】特願2000−528115(P2000−528115)の分割
【原出願日】平成10年12月8日(1998.12.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(501452034)ザーコム・ワイヤレス・インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】Xircom Wireless, Inc.
【Fターム(参考)】