説明

複素環化合物および使用方法

【課題】 ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)の強力なアゴニストである(薬理学的)薬剤を提供すること。
【解決手段】 式
【化1】


で示される化合物は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)の強力なアゴニストであることを見いだした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複素環化合物、それらを含む医薬組成物およびレチノイドX受容体(RXR)および3種のサブタイプPPARα、PPARδおよびPPARγを伴うペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)ファミリーに関連した状態の処置方法に関するものである。
【発明の開示】
【0002】
一態様において、本発明は、式
【化1】

[式中、
Lは、
【化2】

基(式中、Rは、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはシクロアルキルであり、
は、水素、ヒドロキシ、所望により置換されていてもよいアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アルキルチオ、アリールチオまたはアラルキルチオであり、
は水素またはアリールであるか、または
およびRは、組合わされ、それらが結合している炭素原子と一緒になって5〜7員環を形成するアルキレンであり、
nは0または1〜2の整数であり、
Yは水素であるか、または
nが1である場合、YおよびRはそれらが結合している炭素原子と一緒になって単結合を形成し、
は水素であるか、または
nが1である場合、RおよびYは、それらが結合している炭素原子と一緒になって単結合を形成し、RおよびRはそれらが結合している炭素原子と一緒になって単結合を形成する)であるか、または
Lは、
【化3】

基(式中、Rは、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはシクロアルキルであり、
R"は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、アルコキシまたはハロゲンであり、
mは1〜2の整数であり、
Yは水素であり、
は水素であるか、または
mが1である場合、RおよびYは、それらが結合している炭素原子と一緒になって単結合を形成する)であり、
RおよびR'は、独立して水素、ハロゲン、所望により置換されていてもよいアルキル、アルコキシ、アラルキルまたはヘテロアラルキルであるか、または
RおよびR'が互いに隣接している炭素原子に結合している場合、RおよびR'は一緒になってメチレンジオキシ基を形成するか、または
RおよびR'が互いに隣接している炭素原子に結合している場合、RおよびR'は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、所望により置換されていてもよい5〜6員芳香族またはヘテロ芳香族環を形成するか、または
R−CおよびR'−Cは、独立して窒素により置換され得、
Xは−Z−(CH)−Q−W(式中、Zは、単結合、O、S、S(O)、S(O)、−C(O)−または−C(O)NR−であり、
は、水素、アルキルまたはアラルキルであり、
pは1〜8の整数であり、
pが1であるとき、Zが単結合ではない場合Qは単結合であるか、または
Qは−O(CH)−または−S(CH)−であり、rは0または1〜8の整数であるか、または
Qは、−O(CH)1−8O−、−S(CH)1−8O−、−S(CH)1−8S−、−C(O)−または−C(O)NR−であり、Rは、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルであるか、または
pが1ではない場合、Qは、−NR−、−NRC(O)−、−NRC(O)NH−または−NRC(O)O−であり、
Wは、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキルまたはヘテロアラルキルであるか、または
WおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって8〜12員二環式環を形成し、それらは所望により置換され得るかまたは酸素、窒素および硫黄から選択される別のヘテロ原子を含み得るものとする)である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物を提供する。
【0003】
別の態様において、本発明は、哺乳類におけるPPAR受容体活性が介在する状態の処置方法を提供する。上記状態には、脂質代謝異常、高脂血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、高トリグリセリド血症、心不全、心筋梗塞、血管疾患、心血管疾患、高血圧症、肥満、炎症、関節炎、癌、アルツハイマー病、皮膚病、呼吸器疾患、眼科疾患、IBD(過敏性腸疾患)、潰瘍性大腸炎およびクローン病がある。本発明化合物は、グルコース寛容減損、高血糖症およびインスリン抵抗性が関与する状態、例えば1型および2型糖尿病およびX症候群の処置および予防用の血糖降下薬として哺乳類において特に有用である。好ましいのは、PPARαおよびPPARγ受容体の二重アゴニストである本発明化合物である。
【0004】
本発明は、複素環化合物、それらを含む医薬組成物、化合物の製造方法並びに上記化合物を用いた、PPAR類の活性化を含む、RXRおよびPPARファミリーが介在する状態の処置方法に関するものである。本発明化合物はまた、RXR受容体とヘテロ二量体複合体を形成することが知られている他の核受容体についてのリガンドと組合わせて使用され得る。
【0005】
さらに、本発明は、上記状態の処置を目的とする本発明複素環化合物を含む医薬組成物に関するものである。
【0006】
以下、本発明化合物の記載に使用される様々な語の定義を列挙する。これらの定義は、特定の例で個々にまたは大きな基の一部として他に限定されていない場合、請求の範囲を含め本明細書の全体を通して使用されている語に当てはまるものとし、例えばある基の結合点がその基内の特定原子に限定される場合、結合点は特定原子のところで矢印により特定される。
【0007】
「所望により置換されていてもよいアルキル」の語は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜7個の炭素原子を有する非置換または置換直鎖または分枝状鎖炭化水素基をいう。非置換アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチルなどがある。置換アルキル基の例には、限定はされないが、以下の基の1個またはそれ以上により置換されたアルキル基がある:ハロ、ヒドロキシ、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシ、アルキルオキシアルコキシ、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アルキルチオノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリール、アルケニル、アルキニル、アラルコキシ、グアニジノ、ヘテロシクリル、例えばインドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジル、ピペリジル、モルホリニルなど。
【0008】
「低級アルキル」の語は、1〜7個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する上記のアルキル基をいう。
「ハロゲン」または「ハロ」の語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素をいう。
【0009】
「アルケニル」の語は、少なくとも2個の炭素原子を有し、さらに結合点に炭素対炭素二重結合を含む上記アルキル基のいずれかをいう。2〜4個の炭素原子を有する基が好ましい。
【0010】
「アルキニル」の語は、少なくとも2個の炭素原子を有し、さらに結合点に炭素対炭素三重結合を含む上記アルキル基のいずれかをいう。2〜4個の炭素原子を有する基が好ましい。
【0011】
「アルキレン」の語は、単結合により結合された1〜6個の炭素原子の直鎖架橋(例、−(CH)−(式中、xは1〜6である))をいい、1〜3個の低級アルキルまたはアルコキシ基により置換され得る。
【0012】
「シクロアルキル」の語は、3〜12個の炭素原子の所望により置換されていてもよい単環式、二環式または三環式炭化水素基をいい、それらは各々所望により1個またはそれ以上の置換基、例えばアルキル、ハロ、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルカノイル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオール、アルキルチオ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル−およびアリールスルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクリルなどにより置換され得る。
【0013】
単環式炭化水素基の例には、限定はされないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシルおよびシクロヘキセニルなどがある。
【0014】
二環式炭化水素基の例には、ボルニル、インジル、ヘキサヒドロインジル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル、2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチルなどがある。
【0015】
三環式炭化水素基の例には、アダマンチルなどがある。
「アルコキシ」の語は、アルキル−O−をいう。
【0016】
「アシル」の語は、アルカノイル、アロイル、ヘテロアロイル、アリールアルカノイルまたはヘテロアリールアルカノイルをいう。
【0017】
「アルカノイル」の語は、アルキル−C(O)−をいう。
「アルカノイルオキシ」の語は、アルキル−C(O)−O−をいう。
【0018】
「アルキルアミノ」および「ジアルキルアミノ」の語は、それぞれアルキル−NH−および(アルキル)N−をいう。
【0019】
「アルカノイルアミノ」の語は、アルキル−C(O)−NH−をいう。
「アルキルチオ」の語は、アルキル−S−をいう。
【0020】
「アルキルアミノチオカルボニル」の語は、アルキル−NHC(S)−をいう。
「トリアルキルシリル」の語は、(アルキル)Si−をいう。
【0021】
「トリアルキルシリルオキシ」の語は、(アルキル)SiO−をいう。
「アルキルチオノ」の語は、アルキル−S(O)−をいう。
【0022】
「アルキルスルホニル」の語は、アルキル−S(O)−をいう。
「アルコキシカルボニル」の語は、アルキル−O−C(O)−をいう。
【0023】
「アルコキシカルボニルオキシ」の語は、アルキル−O−C(O)O−をいう。
「カルバモイル」の語は、アルキル−NHC(O)−、(アルキル)NC(O)−、アリール−NHC(O)−、アルキル(アリール)−NC(O)−、ヘテロアリール−NHC(O)−、アルキル(ヘテロアリール)−NC(O)−、アラルキル−NHC(O)−およびアルキル(アラルキル)−NC(O)−という。
【0024】
「アリール」の語は、環部分に6〜12個の炭素原子を有する単環式または二環式芳香族炭化水素基、例えばフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ビフェニルおよびジフェニル基をいい、それらは各々所望により1〜4個の置換基、例えばアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、所望により置換されていてもよいアミノ、チオール、アルキルチオ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキルチオノ、アルキル−およびアリールスルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクロイルなどにより置換され得る。
【0025】
「単環式アリール」の語は、アリールのところに記載されている所望により置換されていてもよいフェニルをいう。
【0026】
「アラルキル」の語は、アルキル基を通して直接結合されたアリール基、例えばベンジルをいう。
【0027】
「アラルキルチオ」の語は、アラルキル−S−という。
「アラルコキシ」の語は、アルコキシ基を通して直接結合されたアリール基をいう。
【0028】
「アリールスルホニル」の語は、アリール−S(O)−をいう。
「アリールチオ」の語は、アリール−S−をいう。
【0029】
「アロイル」の語は、アリール−C(O)−をいう。
「アロイルアミノ」の語は、アリール−C(O)−NH−をいう。
「アリールオキシカルボニル」の語は、アリール−O−C(O)−をいう。
【0030】
「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロ」の語は、所望により置換されていてもよい、完全に飽和または不飽和の、芳香族または非芳香族環基であって、例えば4〜7員単環式、7〜12員二環式または10〜15員三環式環系であり、少なくとも1個の炭素原子含有環に少なくとも1個のヘテロ原子を有する基をいう。ヘテロ原子を含む複素環基の各環は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択された1、2または3個のヘテロ原子を有し得、その場合窒素および硫黄ヘテロ原子はまた所望により酸化され得る。複素環基は、ヘテロ原子または炭素原子で結合され得る。
【0031】
単環式複素環基の例には、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、4−ピペリドニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソランおよびテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニルなどがある。
【0032】
二環式複素環基の例には、インドリル、ジヒドロイ(ン)ドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジニル、キヌクリジニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、デカヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノオキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(例えば、フロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,2−b]−ピリジニル]またはフロ[2,3−b]ピリジニル)、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニル(例えば3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル)、フタラジニルなどがある。
【0033】
三環式複素環基の例には、カルバゾリル、ジベンゾアゼピニル、ジチエノアゼピニル、ベンズインドリル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、フェノオキサジニル、フェノチアジニル、キサンテニル、カルボリニルなどがある。
【0034】
「ヘテロシクリル」の語は、置換複素環基を含む。置換複素環基は、下記のものの1、2または3個により置換された複素環基をいう:
(a)アルキル、
(b)ヒドロキシ(または保護ヒドロキシ)、
(c)ハロ、
(d)オキソ(すなわち=O)、
(e)所望により置換されていてもよいアミノ、アルキルアミノまたはジアルキルアミノ、
(f)アルコキシ、
(g)シクロアルキル、
(h)カルボキシ、
(i)ヘテロシクロオキシ、
(j)アルコキシカルボニル、例えば非置換低級アルコキシカルボニル、
(k)メルカプト、
(l)ニトロ、
(m)シアノ、
(n)スルホンアミド、スルホンアミドアルキル、スルホンアミドアリールまたはスルホンアミドジアルキル、
(o)アリール、
(p)アルキルカルボニルオキシ、
(q)アリールカルボニルオキシ、
(r)アリールチオ、
(s)アリールオキシ、
(t)アルキルチオ、
(u)ホルミル、
(v)カルバモイル、
(w)アラルキル、または
(x)アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはハロにより置換されたアリール。
【0035】
「ヘテロシクロオキシ」の語は、酸素架橋を通して結合された複素環基をいう。
【0036】
「ヘテロアリール」の語は、芳香族複素環、例えば単環式または二環式アリール、例えばピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリルなどをいい、所望により例えば低級アルキル、低級アルコキシまたはハロにより置換されていてもよい。
【0037】
「ヘテロアリールスルホニル」の語は、ヘテロアリール−S(O)−をいう。
「ヘテロアロイル」の語は、ヘテロアリール−C(O)−をいう。
「ヘテロアラルキル」の語は、アルキル基を通して結合されたヘテロアリール基をいう。
【0038】
プロドラッグ誘導体、例えばソルボリシスにより、または生理学的条件下で遊離カルボン酸に変換され得る本発明カルボン酸の医薬上許容されるプロドラッグエステル誘導体も本発明に包含される。
【0039】
上記カルボン酸エステルの例は、好ましくは当業界で慣用的に使用されている低級アルキルエステル、シクロアルキルエステル、低級アルケニルエステル、ベンジルエステル、モノまたはジ置換低級アルキルエステル、例えばω−(アミノ、モノまたはジ低級アルキルアミノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル)−低級アルキルエステル、α−(低級アルカノイルオキシ、低級アルコキシカルボニルまたはジ低級アルキルアミノカルボニル)−低級アルキルエステル、例えばピバロイルオキシ−メチルエステルなどである。
【0040】
本発明化合物は、置換基の性質によって1個またはそれ以上の不斉中心を有し得る。それらのジアステレオマー、光学異性体、すなわち鏡像異性体、および幾何異性体も本発明に包含される。
【0041】
好ましいのは、Xが−Z−(CH)−Q−W(式中、Zは、単結合、O、S、−C(O)−または−C(O)NR−であり、
は、水素、アルキルまたはアラルキルであり、
pは1〜8の整数であり、
Qは単結合である(ただし、pが1であるとき、Zが単結合ではない)か、または
Qは−O(CH)−または−S(CH)−であり、rは0または1〜8の整数であるか、または
Qは、−O(CH)1−8O−、−S(CH)1−8O−、−S(CH)1−8S−、−C(O)−または−C(O)NR−であり、Rは、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルであるか、または
pが1ではない場合、Qは、−NR−、−NRC(O)−、−NRC(O)NH−または−NRC(O)O−であり、
Wは、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキルまたはヘテロアラルキルであるか、または
WおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって8〜12員二環式環を形成し、それらは所望により置換され得るかまたは酸素、窒素および硫黄から選択される別のヘテロ原子を含み得るものとする)である式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0042】
さらに好ましいのは、式
【化4】

[式中、
Lは、
【化5】

基(式中、Rは水素または所望により置換されていてもよいアルキルであり、
およびRは水素であるか、または
およびRは、組合わされて、それらが結合している炭素原子と一緒になって6員環を形成するアルキレンであり、
nは0または1〜2の整数であり、
Yは水素であり、
は水素である)であるか、または
Lは、
【化6】

基(式中、Rは水素または所望により置換されていてもよいアルキルであり、
R"は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、アルコキシまたはハロゲンであり、
mは1〜2の整数であり、
Yは水素であり、
は水素である)であり、
RおよびR'は、独立して水素、ハロゲン、所望により置換されていてもよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであるか、または
RおよびR'が互いに隣接している炭素原子に結合している場合、RおよびR'は一緒になってメチレンジオキシ基を形成し、
Zは、単結合、O、Sまたは−C(O)NR−であって、Rは、水素、アルキルまたはアラルキルであり、
pは1〜5の整数であり、
Qは単結合である(ただし、pが1であるとき、Zが単結合ではない)か、または
Qは−O(CH)−または−S(CH)−であって、rは0であるか、または
Qは−C(O)−または−C(O)NR−であって、Rは、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルであるか、または
pが1ではない場合、Qは、−NR−、−NRC(O)−、−NRC(O)NH−または−NRC(O)O−であり、
Wは、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであるか、または
WおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、9〜10員二環式環を形成し、それらは所望により置換され得るかまたは酸素、窒素および硫黄から選択される別のヘテロ原子を含み得る]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0043】
さらに好ましいのは、Lが、
【化7】

基(式中、Rは水素または所望により置換されていてもよいアルキルであり、
およびRは水素であり、
nは0または1〜2の整数である)であるか、または
Lが、
【化8】

基(式中、Rは水素または所望により置換されていてもよいアルキルであり、
R"は水素であり、
mは1〜2の整数である)であり、
Rが、水素、ハロゲン、所望により置換されていてもよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであり、
R'が水素であり、
Zが、単結合、OまたはSであり、
pが1〜5の整数であり、
Qは単結合である(ただし、pが1であるとき、Zが単結合ではない)か、または
Qが、O、Sまたは−C(O)NR−であって、Rが、水素、所望により置換されていてもよいアルキルまたはシクロアルキルであるか、または
pが1ではない場合、Qが、−NR−、−NRC(O)NH−または−NRC(O)O−であって、Rが、水素、アルキルまたはアラルキルであり、
Wが、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであるか、または
WおよびRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって、9〜10員二環式環を形成し、それらは所望により置換され得るかまたは酸素、窒素および硫黄から選択される別のヘテロ原子を含み得る、式(IA)の化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0044】
最も好ましいのは、式
【化9】

[式中、
Lは、
【化10】

基であって、Rは水素または所望により置換されていてもよいアルキルであり、
nは0または1であるか、または
Lは、
【化11】

基であって、Rは水素または所望により置換されていてもよいアルキルであり、
mは1であり、
Rは、水素、ハロゲン、所望により置換されていてもよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであり
Zは、単結合、OまたはSであり、
pは1〜5の整数であり、
Qは単結合である(ただし、pが1であるとき、Zが単結合ではない)か、または
Qは、O、Sまたは−C(O)NR−であって、Rは、水素、所望により置換されていてもよいアルキルまたはシクロアルキルであるか、または
pが1ではない場合、Qは、−NR−、−NRC(O)NH−または−NRC(O)O−であって、Rは、水素、アルキルまたはアラルキルであり、
Wは、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであるか、または
WおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、9〜10員二環式環を形成し、それらは所望により置換され得るかまたは酸素、窒素および硫黄から選択される別のヘテロ原子を含み得る]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0045】
さらに好ましいのは、Lが、
【化12】

基であって、Rが水素であり、nが0または1であり、
Rが、水素、ハロゲン、所望により置換されていてもよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであり
Zが、単結合、OまたはSであり、
pが1〜4の整数であり、
Qは単結合である(ただし、pが1であるとき、Zが単結合ではない)か、または
QがOまたはSであり、
Wがアリールまたはヘテロシクリルである、
式(IB)の化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0046】
また、さらに好ましいのは、Lが、
【化13】

基であって、Rが水素であり、
Rが、水素、ハロゲン、所望により置換されていてもよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであり
Zが、単結合、OまたはSであり、
pが1〜4の整数であり、
Qは単結合である(ただし、pが1であるとき、Zが単結合ではない)か、または
QがOまたはSであり、
Wがアリールまたはヘテロシクリルである、
式(IB)の化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0047】
また、さらに好ましいのは、基Lにおける不斉中心が(R)立体配置である、式(IB)の化合物またはその医薬上許容される塩である。
【0048】
また、さらに好ましいのは、
が水素または所望により置換されていてもよいアルキルであり、
Rが、水素、ハロゲン、所望により置換されていてもよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであり
Zが、OまたはSであり、
pが2であり、
Qが−NR−であって、Rが低級アルキルであり、
Wがアリールまたはヘテロシクリルである、
A群と称される式(IB)の化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0049】
好ましいのは、Rが、水素、クロロ、n−プロピルまたはメトキシである、A群における化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0050】
また、さらに好ましいのは、
が水素または所望により置換されていてもよいアルキルであり、
Rが、水素、ハロゲン、所望により置換されていてもよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであり
Zが単結合であり、
pが2であり、
Qが−C(O)NR−であって、Rが所望により置換されていてもよいアルキルであり、
Wがアリールまたはヘテロシクリルであるか、または
WおよびRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって、9〜10員二環式環を形成し、それらは所望により置換され得るかまたは酸素、窒素および硫黄から選択される別のヘテロ原子を含み得る、
B群と称される、式(IB)の化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0051】
好ましいのは、Rが、水素、クロロ、n−プロピルまたはメトキシである、B群における化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0052】
また、さらに好ましいのは、
が水素または所望により置換されていてもよいアルキルであり、
Rが、水素、ハロゲン、所望により置換されていてもよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであり
Zが、単結合、OまたはSであり、
pが2〜3の整数であり、
QがOまたはSであり、
Wがアリールまたはヘテロシクリルである、
C群と称される、式(IB)の化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0053】
好ましいのは、Rが、水素、クロロ、n−プロピルまたはメトキシである、C群における化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0054】
C群における別の好ましい化合物群は、Wが、
【化14】

から成る群から選択される化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0055】
また、さらに好ましいのは、
が水素または所望により置換されていてもよいアルキルであり、
Rが、水素、ハロゲン、所望により置換されていてもよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであり
ZがOまたはSであり、
pが1〜2の整数であり、
Qが単結合であり、
Wがアリールまたはヘテロシクリルである、
D群と称される、式(IB)の化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0056】
好ましいのは、Rが、水素、クロロ、n−プロピルまたはメトキシである、D群における化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0057】
D群における別の好ましい化合物群は、Wが、
【化15】

から成る群から選択される化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0058】
また、D群におけるさらに別の好ましい化合物群は、
が水素または所望により置換されていてもよいアルキルであり、
Rが、水素、ハロゲン、所望により置換されていてもよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであり
ZがOまたはSであり、
pが2であり、
Qが単結合であり、
Wが、
【化16】

から成る群から選択される化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、またはその光学異性体の混合物である。
【0059】
本発明の特定具体例は、
(R)-1-{4-[4-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-ブトキシ]-ベンゼンスルホニル}-アゼチジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[3-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-プロポキシ]-ベンゼンスルホニル}-アゼチジン-2-カルボン酸;
(R)-1-[4-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イルメトキシ)-ベンゼンスルホニル]-アゼチジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-オキサゾール-4-イルメトキシ]-ベンゼンスルホニル}-アゼチジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[5-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-オキサゾール-4-イルメトキシ]-ベンゼンスルホニル}-アゼチジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(3,5-ビス-トリフルオロメチル-フェニル)-5-メチル-オキサゾール-4-イルメトキシ]-ベンゼンスルホニル}-アゼチジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4−イル)-エトキシ]-ベンゼンスルホニル}-アゼチジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[4-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-ブトキシ]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[3-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-プロポキシ]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-(4-{3-[2-プロピル-4-(4-トリフルオロメチル-フェノキシ)-フェノキシ]-プロポキシ}-ベンゼンスルホニル)-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-エトキシ]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-(4-{2-[2-プロピル-4-(4-トリフルオロメチル-フェノキシ)-フェノキシ]-エトキシ}-ベンゼンスルホニル)-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{3-メトキシ4-[3-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-プロポキシ]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{3-クロロ-4-[3-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-プロポキシ]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[3-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-プロポキシ]-3-プロピル-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[3-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-プロピルスルファニル]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-エチルスルファニル]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[3-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-プロピル]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-[4-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イルメトキシ)-ベンゼンスルホニル]-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-オキサゾール-4-イルメトキシ]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[5-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-オキサゾール-4-イルメトキシ]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(3,5-ビス-トリフルオロメチル-フェニル)-5-メチル-オキサゾール-4-イルメトキシ]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-[4-(2-ビフェニル−4−イル-5-メチル-オキサゾール-4-イルメトキシ)-ベンゼンスルホニル]-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-[3-メトキシ−4-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イルメトキシ)-ベンゼンスルホニル]-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-[3-クロロ-4-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イルメトキシ)-ベンゼンスルホニル]-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-[4-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イルメトキシ)-3-プロピル-ベンゼンスルホニル]-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-[4-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4−イルメチルスルファニル)-ベンゼンスルホニル]-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-オキサゾール-4−イルメチルスルファニル]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[5-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-オキサゾール-4−イルメチルスルファニル]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(3,5-ビス-トリフルオロメチル-フェニル)-5-メチル-オキサゾール-4−イルメチルスルファニル]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4−イル)-エトキシ]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{3-メトキシ−4-[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4−イル)-エトキシ]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{3-クロロ-4-[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4−イル)-エトキシ]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-(4-{2-[5-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-オキサゾール-4−イル]-エトキシ}-ベンゼンスルホニル)-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4−イル)-エチルスルファニル]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[4-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-ブトキシ]-ベンゼンスルホニル}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[3-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-プロポキシ]-ベンゼンスルホニル}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-エトキシ]-ベンゼンスルホニル}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-{3-メトキシ−4-[3-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-プロポキシ]-ベンゼンスルホニル}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-{3-クロロ-4-[3-(4-フェノキシ-2-プロピル-フェノキシ)-プロポキシ]-ベンゼンスルホニル}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-[4-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イルメトキシ)-ベンゼンスルホニル]-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-オキサゾール-4-イルメトキシ]-ベンゼンスルホニル}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[5-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-オキサゾール-4-イルメトキシ]-ベンゼンスルホニル}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(3,5-ビス-トリフルオロメチル-フェニル)-5-メチル-オキサゾール-4-イルメトキシ]-ベンゼンスルホニル}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-[3-メトキシ4-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イルメトキシ)-ベンゼンスルホニル]-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-[3-クロロ-4-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イルメトキシ)-ベンゼンスルホニル]-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-[4-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イルメトキシ)-3-プロピル-ベンゼンスルホニル]-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-[4-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4−イルメチルスルファニル)-ベンゼンスルホニル]-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(4-フルオロ-フェニル)-5-メチル-オキサゾール-4−イルメチルスルファニル]-ベンゼンスルホニル}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[5-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-オキサゾール-4−イルメチルスルファニル]-ベンゼンスルホニル}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(3,5-ビス-トリフルオロメチル-フェニル)-5-メチル-オキサゾール-4−イルメチルスルファニル]-ベンゼンスルホニル}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4−イル)-エトキシ]-ベンゼンスルホニル}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;および
(R)-1-{3-クロロ-4-[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4−イル)-エトキシ]-ベンゼンスルホニル}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[5-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-オキサゾール-4−イルメチルスルファニル]-ベンゼンスルホニル}-ピロリジン-2-カルボン酸;
(R)-1-{4-[5-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-オキサゾール-4−イルメチルスルファニル]-ベンゼンスルホニル}-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸
またはその医薬上許容される塩、またはその鏡像体、またはその鏡像体の混合物である。
【0060】
本発明の酸性化合物の医薬上許容される塩類は、塩基により形成される塩類、すなわちカチオン塩類、例えばアルカリおよびアルカリ土類金属塩類、例えばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム並びにアンモニウム塩類、例えばアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、およびトリス−(ヒドロキシメチル)−メチルアンモニウム塩類である。
【0061】
同様に、塩基性基、例えばピリジルが構造の一部を構成する場合、例えば無機酸、有機カルボン酸および有機スルホン酸、例えば塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸の酸付加塩類も可能である。
【0062】
式(I)の化合物は、式
【化17】

(式中、RおよびR'は前記の意味を有し、X'は前記Xを表すか、またはX'はXに変換可能な基である)で示されるスルホン酸類似体から出発して製造され得る。まず式(II)の化合物を、本明細書記載の反応条件または当業界で周知の条件を用いて、塩素化剤、例えばチオニルクロリドまたはオキサリルクロリドで処理することにより式
【化18】

(式中、R、R'およびX'は前記の意味を有する)
のスルホニルクロリドを形成し得る。
【0063】
次いで、式(III)(ただし、R、R'およびX'は前記の意味を有する)のスルホニルクロリドを、不活性溶媒、例えばジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン中、塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN−メチルモルホリンの存在下、式
【化19】

(式中、R、R、R、R、n、Y、R"およびmは前記の意味を有する)
で示されるアミンと反応させることにより、式
【化20】

[式中、R、R'およびX'は前記の意味を有し、Lは
【化21】

基(式中、R、R、R、R、n、Y、R"およびmは前記の意味を有する)を表す]
で示される化合物を生成し得る。式(IV)および(V)のアミンは、本明細書記載の方法またはその改良法、または当業界で公知の方法により生成され得る。
【0064】
式(I')(ただし、X'は前記Xを表す)の化合物は、本明細書記載の方法またはその改良法、または当業界で周知の方法を用いて式(I')(ただし、X'はXに変換可能な基である)の化合物から生成され得る。例えば、まず式(I')(ただし、X'はベンジルオキシである)の化合物は、極性有機溶媒、例えば酢酸エチルまたはエタノール中、例えば触媒、例えばパラジウム・炭素の存在下、水素での還元により、式
【化22】

(式中、R、R'およびLは前記の意味を有する)
の化合物に変換され得る。次いで、生成した式(VI)のフェノールを、不活性溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン中、塩基、例えば炭酸カリウムまたは水素化ナトリウムの存在下、式
【化23】

(式中、p、QおよびWは前記の意味を有し、Lgは脱離基、例えばブロミド、クロリドまたはトリフルオロメタンスルホネートを表す)
のアルキル化剤で処理することにより、式(I')(ただし、X'は−O−(CH)−Q−Wであり、p、QおよびWは前記の意味を有する)の化合物を形成させ得る。
【0065】
別法として、式(I')(ただし、X'は−O−(CH)−Q−Wであり、p、QおよびWは前記の意味を有する)の化合物は、極性溶媒、例えば1,4−ジオキサン中、塩基水溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液を用いて、式(II)の化合物をそのジアルカリ金属塩、例えばジナトリウム塩に変換し、次いで式(VII)(式中、p、QおよびWは前記の意味であり、Lgは、脱離基、例えばブロミド、クロリドまたはトリフルオロメタンスルホネートを表す)のアルキル化剤で処理して、式
【化24】

(式中、R、R'、p、QおよびWは前記の意味を有する)
の化合物を形成させることにより、式(II)(ただし、X'はヒドロキシであり、RおよびR'は前記の意味である)のスルホン酸類似体から生成され得る。
【0066】
式(VIII)(式中、R、R'、p、QおよびWは前記の意味を有する)の化合物を、塩素化剤、例えばチオニルクロリドまたはオキサリルクロリドで処理することにより、式
【化25】

(式中、式中、R、R'、p、QおよびWは前記の意味を有する)
で示されるスルホニルクロリドを生成させ得る。式(IX)のスルホニルクロリドを、極性溶媒、例えば1,4−ジオキサン中、塩基、例えば水酸化ナトリウム水溶液の存在下、式(IV)または(V)のアミンまたはその酸付加塩(ただし、Rは水素であり、R、R、n、Y、R"およびmは前記の意味を有する)と反応させることにより、式(I')(ただし、X'は−O−(CH)−Q−Wであり、p、QおよびWは前記の意味を有する)の化合物を形成させ得る。
【0067】
同様に、式(I')(ただし、R、R'およびLは前記の意味を有し、X'はチオールである)の化合物は、式(I')(ただし、X'は−S−(CH)−Q−Wである)に変換され得る。例えば、式
【化26】

(式中、RおよびR'は前記の意味である)
のチオールは、当業界で周知の方法により二量体化され、式
【化27】

(式中、RおよびR'は前記の意味である)
のジスルフィドを形成し得る。
【0068】
式(XI)(RおよびR'は前記の意味である)の化合物は、不活性溶媒、例えばジクロロメタン中、クロロスルホン酸で処理し、次いで例えば水酸化ナトリウム水溶液を用いて塩基性加水分解することにより、式
【化28】

(式中、RおよびR'は前記の意味である)
のビス・スルホニルクロリド類似体に変換され得る。次いで、生成したビスナトリウム塩を、塩素化剤、例えばチオニルクロリドまたはオキサリルクロリドで処理することにより、式(XII)のスルホニルクロリドを形成させ得る。
【0069】
式(XII)(ただし、RおよびR'は前記の意味を有する)のスルホニルクロリドを、不活性溶媒、例えばジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン中、塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN−メチルモルホリンの存在下、式
【化29】

(式中、R、R、R、R、n、Y、R"およびmは前記の意味を有する)
のアミンと反応させることにより、式
【化30】

[式中、RおよびR'は前記の意味を有し、Lは、
【化31】

(式中、R、R、R、R、n、Y、R"およびmは前記の意味を有する)
基を表す]
のジスルフィドを生成させ得る。
【0070】
式(XIII)(ただし、R、R'およびLは前記の意味を有する)のジスルフィドを、極性溶媒、例えばエタノールまたはテトラヒドロフラン中、還元剤、例えば水素化ホウ素ナトリウムまたはトリフェニルホスフィンでそれぞれ処理することにより、式
【化32】

(式中、R、R'およびLは前記の意味を有する)
のチオールに還元し得る。
【0071】
次いで、式(XIV)のチオールを、不活性溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン中、塩基、例えば炭酸カリウムまたは水素化ナトリウムの存在下、式
【化33】

(式中、p、QおよびWは前記の意味を有し、Lgは脱離基、例えばブロミド、クロリドまたはトリフルオロメタンスルホネートを表す)
のアルキル化剤で処理することにより、式(I')(ただし、X'は−S−(CH)−Q−Wであり、p、QおよびWは前記の意味を有する)の化合物を形成させ得る。
【0072】
好ましくは、式(VII)のアルキル化剤は、pが2〜5の整数であり、QがOであり、Lgがクロリドまたはブロミドであり、Wが
【化34】

である群から選択されるか、または式(VII)のアルキル化剤は、pが1〜2であり、Qが結合であり、Lgがクロリドまたはブロミドであり、Wが
【化35】

である群から選択されるか、または式(VII)のアルキル化剤は、pが2であり、Qが結合であり、Lgがクロリドまたはブロミドであり、Wが
【化36】

である群から選択される。
【0073】
式(VII)のアルキル化剤は、本明細書記載の方法またはその改良法を用いて、または当業界で公知の方法を用いて製造され得、例えば4−クロロメチル−5−メチル−2−フェニルオキサゾールおよび4−クロロメチル−5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニル]−オキサゾールは、国際PCT特許出願第WO00/64888号に記載された方法を用いて、またはJ.Med.Chem.、第43巻、995−1010頁(2000)に従って製造され得る。1−(3−ブロモプロポキシ)−4−フェノキシ−2−プロピル−ベンゼンは、国際PCT特許出願第WO00/78312号に記載された方法で製造され得る。
【0074】
好ましくは、式
【化37】

(式中、RおよびRは、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチルまたはアリールである)
を有する式(VII)のアルキル化剤は、式
【化38】

(式中、RおよびRは、式(VIIa)の場合と同じ意味を有する)
の化合物を、アセトニトリル中、塩素化剤、例えばオキシ塩化リン(POCl)で処理することにより製造され得る。式(VIIa)のアルキル化剤を高い化学的収率および純度で得るためには、反応をアセトニトリル中で実施することが不可欠であり、すなわち、式(VIIa)のアルキル化剤は、高い位置選択性、好ましくは99%より高い選択性で本発明方法に従って得られる。塩素化は、好ましくは周囲温度、例えば室温で実施される。
【0075】
式(VIIb)の化合物は、酸触媒、例えば気体塩酸および有機溶媒、例えば酢酸エチルまたは酢酸、好ましくは氷酢酸の存在下、式
【化39】

(式中、RおよびRは、式(VIIb)の場合と同じ意味を有する)
のアルデヒドを、式
【化40】

の2,3−ブタジオンモノオキシムと縮合して、式(VIIb)(ただし、RおよびRは前記の意味を有する)の化合物を生成させることにより製造され得る。
【0076】
好ましい実施態様では、式(VIIa)のアルキル化剤は、4−クロロメチル−5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−オキサゾールである。
【0077】
また、別法として、式(VI)のフェノールおよび式(XIV)のチオールを、ミツノブ条件下、例えば、有機溶媒、例えばテトラヒドロフラン中、トリフェニルホスフィンおよびジエチルアゾジカルボキシレートの存在下、式
【化41】

(式中、p、QおよびWは前記の意味を有する)
のアルコールと反応させることにより、式(I')(ただし、X'は、それぞれ−O−(CH)−Q−Wまたは−S−(CH)−Q−Wであり、p、QおよびWは前記の意味である)の化合物を生成させ得る。式(VII")のアルコールは、本明細書記載の方法またはその改良法により、または当業界で周知の方法により製造され得る。
【0078】
式(I')(ただし、X'は、−(CH)−Q−Wであり、pおよびWは前記の意味であり、QはOまたはSを表す)の化合物は、式
【化42】

(式中、R、R'およびpは前記の意味を有し、Pgは保護基、例えばアシル、例えばアセチルまたは低級アルコキシカルボニルを表す)
の化合物を、不活性溶媒、例えばジクロロメタン中、クロロスルホン酸と反応させ、それに続いて塩素化剤、例えばチオニルクロリドまたはオキサリルクロリドで処理して、式
【化43】

(式中、R、R'、pおよびPgは前記の意味を有する)
のスルホニルクロリドを生成させることにより得られる。
【0079】
式(XVI)のスルホニルクロリドを、上記と同様式(VI)または(V)のアミンとカップリングさせることにより、式
【化44】

(式中、R、R'、p、PgおよびLは前記の意味を有する)
の化合物を形成させ得る。それに続いて、特にPgがアセチルであるとき、極性溶媒、例えばメタノール、テトラヒドロフランまたは1,4−ジオキサン中、塩基、例えば水酸化ナトリウム水溶液を用いて保護基を除去することにより、式
【化45】

(式中、R、R'、pおよびLは前記の意味を有する)
のアルコールを得る。
【0080】
式(XVIII)のアルコールを、例えばミツノブ条件下、式W−OHのフェノールまたは式W−SHのチオールとカップリングすることにより、式(I')[ただし、R、R'およびLはそれぞれ前記の意味を有し、X'は−(CH)−Q−Wを表し、pおよびWは前記の意味を有し、QはOまたはSである]の化合物を形成させ得る。
【0081】
別法として、本明細書記載の方法またはその改良法を用いるか、または当業界で周知の方法を用いることにより、式(XVIII)のアルコールを、式
【化46】

(式中、R、R'、pおよびLは前記の意味を有し、Lgは、脱離基、例えばクロリド、ブロミドまたはトリフルオロスルホネートを表す)
の化合物に変換させ得る。それに続いて、不活性溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン中、塩基、例えば炭酸カリウムまたは水素化ナトリウムの存在下、式W−OHのフェノールまたは式W−SHのチオールと反応させることにより、式(I')[ただし、R、R'およびLはそれぞれ前記の意味を有し、X'は−(CH)−Q−Wを表し、pおよびWは前記の意味を有し、QはOまたはSである]の化合物が得られる。
【0082】
式(I')[ただし、R、R'およびLは前記の意味を有し、X'は−C(O)NR−(CH)−Q−Wを表し、R、p、QおよびWは前記の意味を有する]の化合物は、式
【化47】

(式中、R、R'およびLは前記の意味を有し、Rは所望により置換されていてもよいアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはシクロアルキルである)
のカルボン酸の活性化誘導体を、式
【化48】

(式中、R、p、QおよびWは前記の意味を有する)
のアミンまたはその酸付加塩と反応させることにより製造され得る。式(XX)のカルボン酸および式(XXI)のアミンは、本明細書記載の方法またはその改良法を用いるか、または当業界で周知の方法を用いて製造され得る。
【0083】
同様に、式(I')[ただし、R、R'およびLは前記の意味を有し、X'は−Z−(CH)−C(O)NR−Wを表し、Z、p、RおよびWは前記の意味を有する]の化合物は、式
【化49】

(式中、R、R'、L、Zおよびpは前記の意味を有し、Rは所望により置換されていてもよいアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはシクロアルキルである)
のカルボン酸の活性化誘導体を、式
【化50】

(式中、RおよびWは前記の意味を有する)
のアミンまたはその酸付加塩と反応させることにより製造され得る。式(XXII)のカルボン酸および式(XXIII)のアミンは、本明細書記載の方法またはその改良法を用いるか、または当業界で周知の方法を用いて製造され得る。
【0084】
本明細書で挙げられた工程において、カルボン酸の活性化誘導体、例えば式(XX)および(XXII)で示されるものには、酸塩化物、臭化物およびフッ化物、混合無水物、低級アルキルエステルおよびその活性化エステル、およびカップリング剤により形成された付加物、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、O−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレートなどがある。混合無水物は、好ましくはピバル酸によるもの、または炭酸の低級アルキルヘミエステル、例えばエチルまたはイソブチル類似体である。活性化エステルには、例えば、スクシンイミド、フタルイミドまたは4−ニトロフェニルエステルがある。カルボン酸の活性化誘導体、例えばそれぞれ式(XX)または(XXII)で示されるものとアミン、例えば式(XXI)または(XXIII)で示されるものの反応は、不活性溶媒、例えばジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン中、塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN−メチルモルホリンの存在下で実施され得る。式(XX)および(XXII)のカルボン酸は、本明細書または文献に記載の方法を用いてそれらの活性化誘導体に変換され得る。
【0085】
式(I')[ただし、R、R'およびLは前記の意味を有し、X'は、−Z−(CH)−NRC(O)−W、−Z−(CH)−NRC(O)NH−Wまたは−Z−(CH)−NRC(O)O−Wを表し、Z、p、RおよびWは前記の意味を有する]の化合物は、式
【化51】

(式中、R、R'、Z、p、RおよびLは前記の意味を有し、Rは所望により置換されていてもよいアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはシクロアルキルである)
のアミンを、不活性溶媒、例えばジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン中、塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN−メチルモルホリンの存在下、N−誘導体化剤、例えば活性化カルボン酸誘導体、イソシアネートまたはクロロホルメートとそれぞれ反応させることにより得られる。式(XXIV)のアミンは、本明細書記載の方法またはその改良法を用いるか、または当業界で周知の方法を用いて製造され得る。
【0086】
式(I')(ただし、R、R'、LおよびX'は前記の意味を有し、Rは所望により置換されていてもよいアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはシクロアルキルである)の化合物は、本明細書記載の反応条件またはその改良法を用いるか、または当業界で周知の方法を用いて式(I')(ただし、Rは水素である)の化合物に変換され得、例えば式(I')(ただし、Rは低級アルキル、例えばメチルまたはエチルである)の化合物を、極性溶媒、例えばメタノール、エタノール、1,4−ジオキサンまたはテトラヒドロフラン中、塩基水溶液、例えば水酸化ナトリウムまたはカリウムで処理することにより、式(I')(ただし、R、R'、LおよびX'は前記の意味を有し、Rは水素である)の化合物を生成させ得る。
【0087】
本明細書記載の方法で本発明化合物に変換される出発化合物および中間体、存在する官能基、例えばアミノ、チオール、カルボキシルおよびヒドロキシ基は、所望により調製的有機化学で一般的である慣用的保護基により保護されていてもよい。保護アミノ、チオール、カルボキシルおよびヒドロキシ基は、分子フレームワークが破壊されたりまたは他の望ましくない副反応が起こることなく緩やかな条件下で遊離アミノ、チオール、カルボキシルおよびヒドロキシ基に変換され得るものである。
【0088】
保護基を導入する目的は、所望の化学的変換の実施に使用される条件下において反応成分との望ましくない反応から官能基を保護することである。特定反応についての保護基の必要性および選択は、当業者には周知であり、保護される官能基(ヒドロキシ基、アミノ基など)の性質、置換基がその一部である分子の構造および安定性および反応条件により異なる。
【0089】
これらの条件を満たす公知の保護基およびそれらの導入および除去については、例えばMcOmie、“Protective Groups in Organic Chemistry”、プレナム・プレス、ロンドン、ニューヨーク(1973)、およびGreeneおよびWuts、“Protective Groups in Organic Synthesis”、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ、インコーポレイテッド、ニューヨーク(1999)に記載されている。
【0090】
上記反応は、標準的方法に従って、希釈剤、好ましくは例えば試薬に不活性であり、その溶媒であるもの、または他の上記薬剤をそれぞれ縮合させる触媒および/または不活性雰囲気の存在または不存在下、低温、室温または高温(好ましくは使用溶媒の沸点またはその前後)、および大気圧または大気圧より高圧で実施される。好ましい溶媒、触媒および反応条件は、後記実施例に示されている。
【0091】
さらに本発明には本方法の変形も包含され、その場合、そのいずれかの段階で得られる中間生成物を出発材料として使用し、残りの工程を実施するか、または出発材料を反応条件下その場で形成させるか、または反応成分をそれらの塩または光学的に純粋な対掌体形態で使用する。
【0092】
本発明化合物および中間体はまた、自体公知の方法に従って互いに変換され得る。
本発明はまた、新規出発材料およびそれらの製造方法に関するものである。
【0093】
出発材料および方法の選択により、化合物は、例えば実質的に純粋な幾何(シスまたはトランス)異性体、光学異性体(対掌体)、ラセミ体またはその混合物として、可能な異性体の一つまたはその混合物の形態であり得る。前記の可能な異性体またはその混合物もこの発明の範囲内に含まれる。
【0094】
生成したいかなる異性体混合物でも、例えばクロマトグラフィーおよび/または分画結晶化により、成分の物理化学的差異に基いて純粋な幾何または光学異性体、ジアステレオマー、ラセミ体に分離され得る。
【0095】
得られた最終生成物または中間体のいかなるラセミ体でも、公知方法により、例えば、光学活性酸または塩基により得られたそのジアステレオマー塩を分離し、光学活性酸性または塩基性化合物を遊離させることにより、光学対掌体に分離され得る。すなわち、カルボン酸中間体は、例えばD−またはL−(アルファ−メチルベンジルアミン、シンコニジン、シンコニン、キニン、キニジン、エフェドリン、デヒドロアビエチルアミン、ブルシンまたはストリキニーネ)塩類の分画結晶化により、それらの光学対掌体に分離され得る。ラセミ生成物はまた、キラルクロマトグラフィー、例えばキラル吸着剤を用いた高圧液体クロマトグラフィーにより分離され得る。
【0096】
最後に、本発明化合物は、遊離形態で、または塩形成基が存在する場合にはその塩として得られる。
【0097】
本発明酸性化合物は、医薬上許容される塩基、例えばアルカリ金属水酸化物水溶液による塩に、有利にはエーテル性またはアルコール性溶媒、例えば低級アルカノールの存在下で変換され得る。後者の溶液から、塩をエーテル、例えばジエチルエーテルにより沈澱させ得る。生成した塩は、酸での処理により遊離化合物に変換され得る。これらまたは他の塩類もまた、得られた化合物の精製に使用され得る。
【0098】
塩基性基を有する本発明化合物は、酸付加塩、特に医薬上許容される塩に変換され得る。これらは、例えば無機酸、例えば鉱酸、例えば硫酸、リン酸またはハロゲン化水素酸、または有機カルボン酸、例えば非置換またはハロゲンにより置換された例えば(C−C)アルカンカルボン酸、例えば酢酸、例えば飽和または不飽和ジカルボン酸、例えばしゅう酸、コハク酸、マレイン酸またはフマル酸、例えばヒドロキシ−カルボン酸、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸またはクエン酸、例えばアミノ酸、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸、または有機スルホン酸、例えば(C−C)−アルキル−スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、または非置換または例えばハロゲンにより置換されたアリールスルホン酸により形成される。好ましいのは、塩酸、メタンスルホン酸およびマレイン酸により形成された塩類である。
【0099】
遊離化合物およびそれらの塩形態である化合物間の密接な関係を考慮すると、本明細書において化合物といえば常に、対応する塩も、それが環境下で可能または適切である場合には含まれるものとする。
【0100】
また、化合物は、それらの塩類も含め、水和物形態で得られるか、またはそれらの結晶化に使用される他の溶媒を含み得る。
【0101】
本発明医薬組成物は、PPAR受容体、特にPPARαおよびPPARγが介在する状態の処置を目的とする、ヒトを含む哺乳類への腸溶、例えば経口または直腸、経皮および非経口投与に適切なものである。上記状態には、本発明化合物が使用され得る処置に関して後記で挙げている状態が含まれる。上記医薬組成物は、本発明薬理学的活性化合物の有効量を単独または1種またはそれ以上の医薬的に許容される担体と組合わせて含む。
【0102】
本発明の薬理学的活性化合物は、腸溶または非経口適用に適切な賦形剤または担体と連係的または混合してその有効量を含む医薬組成物の製造に使用され得る。上記組成物は、滅菌されるか、および/またはアジュバント、例えば保存剤、安定剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調節用塩および/または緩衝液を含み得る。さらに、それらはまた、他の治療上貴重な物質を含み得る。上記組成物は、それぞれ慣用的混合、造粒またはコーティング方法に従って製造され、約0.1〜75%、好ましくは約1〜50%の割合で有効成分を含む。
【0103】
経皮適用に適切な処方物は、治療有効量の本発明化合物を担体と共に含む。有利な担体は、吸収されやすい薬理学的に許容される溶媒を含むことにより、宿主の皮膚に浸透し易くする。特徴的には、経皮装置は、裏当て部材、所望により担体と共に化合物を含むレザーバー、所望による長時間にわたって予め定められた制御速度で宿主の皮膚に化合物を送達するための速度制御バリアー、および装置を皮膚に固定するための手段を含む包帯の形態である。
【0104】
医薬処方物は、上記本発明化合物の治療有効量を単独または別の治療薬と組合わせて、例えば各々文献で報告されている治療有効用量で含む。上記治療薬には、インスリン、インスリン誘導体またはミメティクス(模擬物質)、インスリン分泌促進剤、例えばスルホニル尿素、例えばグリピジドおよびアマリル、インスリン分泌増強スルホニル尿素受容体リガンド、例えばメグリチニド、例えばナテグリニドおよびレパグリニド、インスリンセンシタイザー、例えばプロテインチロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、GSK3(グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3)阻害剤またはRXRリガンド、ビグアニド、例えばメトホルミン、アルファ‐グルコシダーゼ阻害剤、例えばアカルボース、GLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)、GLP−1類似体、例えばエキセンジン−4、およびGLP−1ミメティクス、DPPIV(ジペプチジルペプチダーゼIV)阻害剤、例えばイソロイシン‐チアゾリジド、DPP728およびLAF237、脂質降下薬、例えば3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤、例えばロバスタチン、ピタバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ベロスタチン、フルバスタチン、ダルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、フルインドスタチンおよびリバスタチン、スクアレンシンターゼ阻害剤またはFXR(肝臓X受容体)およびLXR(ファルネソイドX受容体)リガンド、コレスチラミン、フィブラート、ニコチン酸またはアスピリンがある。本発明化合物は、他の有効成分と同時、その前または後に、同一または異なる投与経路により別々に、または同じ医薬処方物で一緒に投与され得る。
【0105】
約50〜70kgの哺乳類についての単位用量は、約1mgと1000mgの間、有利には約5〜500mg間の有効成分を含み得る。活性化合物の治療有効量は、温血動物(哺乳類)の種、体重、年齢および個々の状態、投与形態、および含まれる化合物により異なる。
【0106】
本発明化合物は、PPAR受容体に結合するため、PPAR、特にPPARαおよびPPARγが介在する状態の処置に使用され得る。従って、上記化合物は、脂質代謝異常、高脂血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、高トリグリセリド血症、心不全、心筋梗塞、血管疾患、心血管疾患、高血圧症、肥満、炎症、関節炎、癌、アルツハイマー病、皮膚病、呼吸器疾患、眼科疾患、IBD(過敏性腸疾患)、潰瘍性大腸炎およびクローン病の処置に使用され得る。特に、本発明化合物は、グルコース寛容減損、高血糖症およびインスリン抵抗性が関与する状態、例えば1型および2型糖尿病およびX症候群の処置および予防用の血糖降下薬として哺乳類で使用され得る。
【0107】
上記特性は、有利には哺乳類、例えばマウス、ラット、イヌ、サルまたは摘出臓器、組織およびその調製物を用いたインビトロおよびインビボ試験で立証され得る。上記化合物は、溶液、好ましくは水溶液形態によりインビトロで、および腸溶的、非経口的、有利には静脈内経路で例えば懸濁液または水溶液としてインビボで適用され得る。インビトロでの用量は、約10−5モルと10−10モル間の濃度範囲であり得る。インビボ治療有効量は、投与経路により約1〜500mg/kg間、好ましくは約5〜100mg/kg間の範囲であり得る。
【0108】
本発明化合物は、PPARαおよびPPARγ受容体に結合するため、哺乳類においてPPARαおよびPPARγ受容体の二重アゴニストとして使用され得る。
【0109】
本発明による化合物の活性は、以下の方法または文献で詳述されている方法により評価され得る。
【0110】
PPARα、PPARδおよびPPARγ受容体へのインビトロ機能的結合は、以下の要領で測定される:
【0111】
PPARα、PPARδおよびPPARγ受容体についての機能的結合検定法は、コアクチベーター依存的受容体リガンド検定法(CARLA)の変形である(Krey et al.、“Fatty Acids,Eicosanoids, and Hypolipidemic Agents Identified as Ligands of Peroxisome Proliferator-Activated Receptors by Coactivator-Dependent Receptor Ligand Assay”(コアクチベーター依存的受容体リガンド検定法によりペルオキシソーム増殖因子活性化受容体のリガンドとして同定された脂肪酸、エイコサノイドおよび脂質降下薬)、Molecular Endocrinology、第11巻、779−791頁(1997)参照)。このCARLA検定法は、以前に検討されたTR−FRET検出方法を使用する(Hemmila、“LANCE:Homogeneous Assay Platform for HTS”(LANCE:HTSについてのホモジニアス検定プラットホーム)、J.Biol.Screening、第4巻、303−307頁(1999);Mathis、“HTRF Technology”(HTRF技術)、J.Biomol.Screening、第4巻、309−313頁(1999)参照)。検定法は全て、hPPARαリガンド結合ドメイン(LBD)(アミノ酸167〜468)(GST−hPPARαLBD)、GST−hPPARδLBD(アミノ酸139−442)またはGST−hPPARγLBD(アミノ酸175−476)のグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合蛋白質3nM、Eu標識抗GST抗体(ワラック)3nM、ビオチニル化ステロイド受容体コアクチベーター−1(SRC−1)ペプチド(N−末端ビオチニル化ペプチド、CPSSHSSLTERHKILHRLLQEGSPS、SRC−1のアミノ酸676−700から誘導)30nM、およびストレプトアビジン標識アロフィコシアニン(APC;プロザイム)10nMを含んでいた。PPAR LBDへのリガンドの結合は、LBDの立体配座を改変させ、ビオチニル化SRC−1ペプチドを結合させ得る。この結果、Eu標識抗GST抗体およびストレプトアビジン標識APCが極めて接近することにより、蛍光エネルギー移動が容易になる。ビオチニル化SRC−1ペプチドは、標準固相ペプチド合成方法により製造される。GST−PPAR LBDは、18℃での標準発現条件を用いることにより、エシェリキア・コリ(E.coli)株BL21(DE3)においてpGEXベクター(アマーシャム・ファルマシア)で発現される。場合によっては、GST‐PPAR LBDは、groESLと共発現される。GST融合蛋白質を、グルタチオンセファロースアフィニティーカラム(アマーシャム・ファルマシア)で製造業者により記載された方法を用いて精製する。検定緩衝液は、50mMのトリス、pH7.4、50mMのKCl、0.1%のBSAおよび1mMのDTT(ジチオトレイトール)を含んでいた。25μLの最終量で黒色半領域96ウェルプレートにおいて検定を実施する。全成分を混合後、反応混合物を室温で3時間置いた後、ワラック・ビクター2プレートリーダーでTR−FRET(時間分解蛍光共鳴エネルギー移動)シグナルを読み取る(665nMおよび620nMでのシグナルの比率を測定する)。4−パラメーターロジスティック方程式を用いてExcelアドイン・プログラムXLFit(IDビジネス・ソルーションズ、ギルドフォード、サリー、英国)によりEC50値を評価する。
【0112】
インビボでのグルコースおよびインスリン低下活性は以下の要領で評価され得る:
11週齢の成熟雄C57BLob/obマウス(ジャクソン・ラボ、バー・ハーバー、メイン)を、明(暗)サイクル逆転室(午後6時から午前6時まで照明)において1ケージ当たり6匹収容し、ピュリナローデントチャウ飼料を自由採食および自由飲水させる。1日目、尾の血液試料を午前8時に採取し、血漿グルコースレベルを測定する。動物を無作為に対照および化合物群に割当てる。群の血漿グルコース値の平均をマッチさせた。次いで、動物に賦形剤(0.5%カルボキシメチル−セルロースおよび0.2%トウィーン80)または賦形剤中の化合物(30mg/kgで)を経口投与する。マウスに全部で3日間毎日服用させる。4日目、基礎血液を採取する。YSI2700デュアル・チャンネル・バイオケミストリー・アナライザー(イエロー・スプリングス・インスツルメント・カンパニー、イエロースプリングス、オハイオ)を用いることによりグルコース濃度について、およびELISA検定法を用いることによりインスリン濃度について血漿試料を分析する。
【0113】
本発明の実例となる、実施例1の化合物は、PPARα受容体結合検定法において約27nMのEC50、PPARγ受容体結合検定法において約23nMのEC50、およびPPARδ受容体結合検定法において約173nMのEC50を示す。実施例5−10の化合物は、PPARα受容体結合検定法において約3nMのEC50、PPARγ受容体結合検定法において約3nMのEC50、およびPPARδ受容体結合検定法において約1250nMのEC50を示し、そして実施例6−39の化合物は、PPARα受容体結合検定法において約7nMのEC50、PPARγ受容体結合検定法において約2nMのEC50、およびPPARδ受容体結合検定法において約1165nMのEC50を示す。さらに、上記化合物は、ob/obマウスにおいて約30mg/kgの1日経口用量で3日後には血漿グルコースおよびインスリンレベルを著しく低下させる。
【0114】
以下の実施例は、本発明の説明を目的としており、それに対する制限であるとみなされるべきではない。温度は摂氏で与えられている。特記しない場合、蒸発は全て、減圧下、好ましくは約15〜100mmHg(=20〜133mbar)間で実施される。最終生成物、中間体および出発材料の構造は、標準的分析方法、例えば微量分析および分光特性、例えばMS、IRおよびNMRにより確認される。使用されている略語は当業界で慣用的なものである。
【実施例】
【0115】
実施例1
(R)−1−{4−[3−(4−フェノキシ−2−プロピル−フェノキシ)−プロポキシ]−ベンゼンスルホニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸
【化52】

A.(R)−1−(4−ベンジルオキシ−ベンゼンスルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸
室温で攪拌しながら水(79mL)中の(R)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸(2.89g、14.5mmol)および1N水酸化ナトリウム(37.7mL、37.7mmol)の溶液に、ジオキサン(104mL)中の4−ベンジルオキシベンゼンスルホニルクロリド(4.1g、14.5mmol)の溶液を滴下する。滴下完了後、反応混合物のpHをモニターし、次の2時間の間に1N水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと加えることにより7〜8間に維持する。反応混合物を室温で一晩攪拌する。溶液を砕氷中に注ぎ、生成した混合物を1N塩酸水溶液(15mL)によりpH2〜3に酸性化する。生成物をジクロロメタン(2×150mL)中へ抽出する。抽出物を水(150mL)、ブライン(150mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥し、濾過し、濃縮して、5.5gの(R)−1−(4−ベンジルオキシ−ベンゼンスルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸を油状物として得る:[M+1]+ = 410.32, [M-1]- = 408.24。
【0116】
B.(R)−1−(4−ベンジルオキシ−ベンゼンスルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル
メタノール(260mL)中の標記A化合物、(R)−1−(4−ベンジルオキシ−ベンゼンスルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸(5.55g、13.6mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(0.52g、2.7mmol)の溶液を、4時間還流温度で窒素下加熱する。溶液を一晩室温で放置すると、結晶性固体が形成される。結晶を真空濾過により集め、高度真空下で乾燥する。結晶の第二クロップを母液から得、これを単離し、高度真空下で乾燥する。合わせた収量3.84gの(R)−1−(4−ベンジルオキシ−ベンゼンスルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステルを、純粋な結晶性生成物として得る:[M+1]+ = 424.27。
【0117】
C.(R)−1−(4−ヒドロキシ−ベンゼンスルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル
窒素下エタノール(200mL)中の標記B化合物、(R)−1−(4−ベンジルオキシ−ベンゼンスルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル(3.00g、7.1mmol)の懸濁液に、10%パラジウム・炭素(0.3g)を加える。生成した混合物を46psiで18.5時間、室温で水素化する。混合物を真空濾過によりセライトで濾過する。濾液を真空中で濃縮し、1.31gの(R)−1−(4−ヒドロキシ−ベンゼン−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステルを得、それ以上精製せずに使用する:[M+1]+ =334.22, [M-1]- = 332.16。
【0118】
D.(R)−1−{4−[3−(4−フェノキシ−2−プロピル−フェノキシ)−プロポキシ]−ベンゼンスルホニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル
室温でN,N−ジメチルホルムアミド(50mL)中の標記C化合物、(R)−1−(4−ヒドロキシ−ベンゼンスルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル(1.31g、3.9mmol)の溶液に、一回で無水炭酸カリウム(2.16g、15.6mmol)を加える。15分後、N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中の3−(4−フェノキシ−2−プロピル−フェノキシ)−プロパン−1−ブロミド(1.37g、3.9mmol)の溶液を、室温で加える。反応混合物を室温で64時間攪拌する。反応混合物を濾過し、濾液を水(150mL)で希釈し、生成した混合物をエーテル(2×150mL)で抽出する。有機抽出物を水(3×100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、真空中濃縮して、2.32gの粗(R)−1−{4−[3−(4−フェノキシ−2−プロピル−フェノキシ)−プロポキシ]−ベンゼンスルホニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステルを得る。粗生成物をクロマトグラフィー(SiO:100g;溶離液30%→50%酢酸エチル、ヘキサン中)により精製して、1.47gの純粋な(R)−1−{4−[3−(4−フェノキシ−2−プロピル−フェノキシ)−プロポキシ]−ベンゼン−スルホニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステルを無色ゴムとして得る:[M+1]+ =602.49。
【0119】
E.(R)−1−{4−[3−(4−フェノキシ−2−プロピル−フェノキシ)−プロポキシ]−ベンゼンスルホニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸
室温で窒素下メタノール(50mL)中の標記D化合物、(R)−1−{4−[3−(4−フェノキシ−2−プロピル−フェノキシ)−プロポキシ]−ベンゼンスルホニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル(1.47g、2.44mmol)の混合物に、1N水酸化ナトリウム水溶液(4.9mL、4.9mmol)を滴下する。滴下完了後、混合物を室温で45分間攪拌した時点で、5mLのテトラヒドロフランを加えることにより、出発材料の溶解を促す。混合物を一晩攪拌する。反応混合物を真空下で濃縮し、残さを水(50mL)およびエーテル(50mL)間に分配する。水層を分離し、1N塩酸水溶液で酸性化する。生成物をジクロロメタン中に抽出する。抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)で乾燥し、濾過し、濃縮して、1.02gの(R)−1−{4−[3−(4−フェノキシ−2−プロピル−フェノキシ)−プロポキシ]−ベンゼンスルホニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸を白色泡状固体として得る。固体をエタノール(1mL)で処理することにより、固体を溶解させ、放置すると結晶が形成し始める。結晶を分離し、高度真空下40℃で乾燥して、0.85gの純粋な(R)−1−{4−[3−(4−フェノキシ−2−プロピル−フェノキシ)−プロポキシ]−ベンゼンスルホニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸を得る:[M+1]+ =588.46, [M-1]- = 586.41。
【0120】
実施例2
(R)−1−[4−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イルメトキシ)−ベンゼンスルホニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸
【化53】

A.4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸二ナトリウム塩
1N水酸化ナトリウム水溶液(86mL、86mmol)中の4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩二水和物(20g、86mmol)の溶液を攪拌し、1時間50〜60℃で加熱する。溶液を50℃で真空中濃縮し、固体を得る。固体を無水トルエンに懸濁し、真空濃縮する。この過程を2回反復する。固体を高度真空中で18時間、50℃で乾燥し、21.34gの4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸二ナトリウム塩を得る。
【0121】
B.4−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イルメトキシ)−ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩
20mLのN,N−ジメチルホルムアミド中の標記A化合物、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸二ナトリウム塩(3.50g、16.1mmol)および4−クロロメチル−5−メチル−2−フェニル−オキサゾール(4.00g、19.3mmol)の混合物を攪拌し、18時間110℃で窒素下加熱する。冷却した反応混合物を濾過し、得られた固体をジクロロメタンで十分に洗浄する。固体を一晩乾燥して、1.42gの4−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イルメトキシ)−ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を得る:[M+1]+ =346.05, [M-1]- = 344.02。
【0122】
C.4−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イルメトキシ)−ベンゼンスルホニルクロリド
0℃で窒素下攪拌しながらチオニルクロリド(8.0mL)および2滴のN,N−ジメチルホルムアミドから成る溶液に、標記B化合物、4−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イルメトキシ)−ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(1.42g、3.8mmol)を1回で加える。生成した懸濁液を10分間0℃で攪拌する。氷浴を除去し、懸濁液を室温で1.5時間攪拌する。さらに3滴のN,N−ジメチルホルムアミドを加えた後、さらに1時間攪拌すると、澄明溶液が生成する。残さを水(20mL)および酢酸エチル(20mL)間に分配する。有機層を分離し、水(3×20mL)、0.1Nの水酸化ナトリウム(3×20mL)およびブライン(20mL)で連続洗浄する。有機層を無水MgSOで乾燥し、濾過し、真空中濃縮して、油状物を得、これがゆっくりと凝固して、0.48gの4−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イルメトキシ)−ベンゼンスルホニルクロリドを得る:[M+1]+ =363.99。
【0123】
D.(R)−1−[4−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イルメトキシ)−ベンゼンスルホニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸
室温で標記C化合物、(R)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸塩酸塩(0.92g、4.6mmol)、1N水酸化ナトリウム水溶液(12.0mL、12mmol)および水(25mL)から成る溶液に、ジオキサン(33mL)中の4−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イルメトキシ)−ベンゼンスルホニルクロリド(1.65g、4.6mmol)の溶液を滴下する。滴下完了後、反応混合物のpHをモニターし、次の2時間の間に1N水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと加えることにより7〜8間に維持する。反応混合物を室温で一晩攪拌する。溶液を砕氷に注ぎ、生成した混合物を1N塩酸水溶液(11mL)によりpH2〜3に酸性化する。形成した沈澱物を集め、水で洗浄し、高度真空下で一晩乾燥し、1.5gの(R)−1−[4−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イルメトキシ)−ベンゼンスルホニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸を得る:[M+1]+ =491.2, [M-1]- = 489.1。
【0124】
実施例3
(R)−1−[4−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イルメチルスルファニル)−ベンゼンスルホニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸
【化54】

【0125】
A.4,4'−ジチオビスベンゼンスルホン酸
0℃のジクロロメタン(40mL)中のフェニルジスルフィド(4.36g、20mmol)の溶液に、ジクロロメタン(60mL)中のクロロスルホン酸(4.64g、2.95mL、40mmol)の溶液を滴下する。混合物を0℃で1時間、次いで室温で1.5時間攪拌する。反応混合物を真空中濃縮乾固し、残さをジエチルエーテルおよび水間に分配する。水相を分離し、2N水酸化ナトリウム水溶液で塩基性にし、真空下半分の体積に濃縮する。生成した溶液を一晩冷蔵する。一晩形成された沈澱物を廃棄し、固体が現れ始めるまで濾液をさらに真空中で濃縮する。混合物を2時間冷蔵庫に入れておく。混合物をエタノールで処理し、形成された固体を濾過し、エタノールで2回洗浄し、室温で一晩、高度真空下で乾燥し、白色固体として6.0gの4,4'−ジチオビスベンゼンスルホン酸を得る:[M-1]- = 398.8。
【0126】
B.4,4'−ジチオビスベンゼンスルホニルクロリド
0℃のチオニルクロリド(70mL)に、標記A化合物4,4'−ジチオビスベンゼンスルホン酸(5.9g、14mmol)、次いでN,N−ジメチルホルムアミド(1.4mL)を分割して加える。生成した混合物を室温で5時間攪拌する。反応混合物を真空中で濃縮乾固し、酢酸エチル、次いで氷および水で処理する。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウムおよびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中濃縮し、黄褐色固体として4.0gの4,4'−ジチオビスベンゼンスルホニルクロリドを得る。
【0127】
C.4,4'−ジチオビス−[(R)−1−ベンゼンスルホニル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸]
0℃の(R)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸塩酸塩(4.35g、21.7mmol)、1N水酸化ナトリウム水溶液(43.5mL、43.5mmol)および水(20mL)から成る溶液に、ジオキサン(60mL)中の標記B化合物、4,4'−ジチオビスベンゼンスルホニルクロリド(3.0g、7.24mmol)の溶液を滴下する。滴下完了後、反応混合物のpHをモニターし、次の2時間の間に1N水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと加えることにより7〜8間に維持する。反応混合物を室温で一晩攪拌する。反応混合物を濾過し、濾液を砕氷に注ぎ、生成した混合物を1N塩酸水溶液によりpH2〜3に酸性化する。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を1N塩酸水溶液、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮し、泡状固体として4.0gの4,4'−ジチオビス−(1−ベンゼンスルホニル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸)を得る:[M-1]- = 667.25。
【0128】
D.(R)−1−(4−メルカプト−ベンゼンスルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸
0℃のエタノール(60mL)中の水素化ホウ素ナトリウム(0.185g、4.86mmol)の溶液に、標記C化合物、4,4'−ジチオビス−(1−ベンゼンスルホニル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸)(0.65g、0.973mmol)を分割して加える。反応混合物を室温で一晩攪拌する。混合物を氷/水で処理し、2N塩酸水溶液で酸性化し、酢酸エチル中に抽出する。有機抽出物を合わせ、水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中濃縮し、ゴムとして0.63gの(R)−1−(4−メルカプト−ベンゼンスルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸を得る:[M-1]= 333.9。
【0129】
E.(R)−1−[4−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イルメチルスルファニル)−ベンゼンスルホニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸
ジオキサン(8mL)中の標記D化合物、(R)−1−(4−メルカプト−ベンゼンスルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸(0.56g、1.67mmol)の溶液に、室温で1N水酸化ナトリウム水溶液(3.4mL)および水(2mL)を加える。生成した溶液を、ジオキサン(4mL)中の4−クロロメチル−5−メチル−2−フェニル−オキサゾール(0.423g、2.04mmol)の溶液で滴下処理する。1.5時間攪拌後、反応混合物を真空中でほぼ乾固状態に濃縮する。残さを水中に取り、水相をエーテルで洗浄し、2N塩酸水溶液で酸性化し、酢酸エチル中に抽出する。有機相を合わせ、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。有機相を真空下で濃縮し、高度真空下で一晩乾燥し、0.68gの(R)−1−[4−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イルメチルスルファニル)−ベンゼンスルホニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸をゴムとして得る:[M-1]- = 504.9。
【0130】
実施例4
以下の化合物は、実施例1と同様にして実施例1における標記C化合物を適切なアルキル化剤で処理することにより、または実施例2または3記載のプロトコールに従うことにより製造される。
【化55】

【0131】
【表1】

【0132】
実施例5
以下の化合物は、前記実施例と同様にして製造される:
【化56】

【0133】
【表2】

【0134】
実施例6
以下の化合物は、前記実施例と同様にして、または本明細書記載の方法を用いて製造される:
【化57】

【0135】
【表3】

【表4】

【表5】

【0136】
実施例7
4−クロロメチル−5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−オキサゾール
【化58】

A.4,5−ジメチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−オキサゾール・3−オキシド、塩酸塩
2〜5℃の氷酢酸800mL中の4−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(400.0g、2.3mol)および2,3−ブタンジオンモノオキシム(212g、2.055mol)の溶液に、塩化水素ガス(250g)を1.5時間ゆっくりと吹き込む。混合物を同温度でさらに1時間攪拌する。5〜25℃間に温度を維持しながら、3.75Lのt−ブチルメチルエーテルを添加する(最初の400mLの添加は発熱性である)。生成した懸濁液を30分間攪拌し、次いで10℃に冷却し、固体を濾過により集める。フィルターケーキを500mLのt−ブチルメチルエーテルで洗浄し、55〜60℃(20mbar)で18時間乾燥することにより、550g(91%収率)の4,5−ジメチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−オキサゾール・3−オキシド、塩酸塩を得る:m.p.182〜184℃(分解)。
【0137】
B.4−クロロメチル−5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−オキサゾール
4.06Lのアセトニトリル中の標記A化合物、4,5−ジメチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−オキサゾール・3−オキシド塩酸塩(500g、1.70mol)の懸濁液を、室温で15分間攪拌し、次いで10℃に冷却する。491g(3.17mol)のPOClを、30分間にわたって15℃で加える。懸濁液を室温で16時間攪拌し、混合物を10℃に冷却し、6Lの水を反応混合物にゆっくりと加える(初めの400mLの水添加は非常に発熱性が高い)。次いで、懸濁液を室温でさらに6時間攪拌し、固体を濾過により集め、2Lの水で洗浄し、50℃(20mbar)で一定重量に乾燥することにより、4−クロロメチル−5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−オキサゾールを白色固体(400g、85%収率)として得る:m.p.97〜98℃。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

(式中、RおよびRは、独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチルまたはアリールである)
で示されるアルキル化剤の製造方法であって、式
【化2】

(式中、RおよびRは式(VIIa)の場合と同じ意味を有する)
で示される化合物を、アセトニトリル中において塩素化剤で処理することを含む方法。
【請求項2】
塩素化剤がオキシ塩化リンである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
式(VIIa)のアルキル化剤が、4−クロロメチル−5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−オキサゾールである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
式(VIIb)の化合物が、式
【化3】

(式中、RおよびRは請求項1記載の意味を有する)
で示されるアルデヒドを、酸触媒および有機溶媒の存在下、式
【化4】

で示される2,3−ブタジオンモノオキシムと縮合して式(VIIb)の化合物を生じさせることにより製造される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
酸触媒が気体の塩酸であり、有機溶媒が氷酢酸である、請求項4記載の方法。

【公開番号】特開2009−24001(P2009−24001A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174659(P2008−174659)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【分割の表示】特願2003−545622(P2003−545622)の分割
【原出願日】平成14年11月20日(2002.11.20)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】