説明

複素環式抗ウイルス化合物

本発明は、C型肝炎ウイルスNS5bポリメラーゼを阻害する阻害剤である、式(I)(式中、R、R、RおよびRは、本明細書中に定義の通りである)を有する1−N−置換−6−(ヘテロ)アリール−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン誘導体を開示する。更に開示されるのは、HCV感染を処置するおよびHCV複製を阻害する組成物および方法である。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤である、式Iを有する非ヌクレオシド化合物およびそれらの特定の誘導体を提供する。これら化合物は、RNA依存性RNAウイルス感染の処置に有用である。それらは、特に、C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus)(HCV)NS5Bポリメラーゼの阻害剤として、HCV複製の阻害剤として、そしてC型肝炎感染の処置用に有用である。
【0002】
C型肝炎ウイルスは、世界中至る所で慢性肝臓疾患の主要原因である。(Boyer, N. et al., J. Hepatol. 2000 32:98-112)。HCVに感染した患者は、肝臓の硬変およびそれに続く肝細胞癌を発生するリスクがあり、したがって、HCVは、肝臓移植のための主要な指標である。
【0003】
HCVは、フラビウイルス属、ペスチウイルス属、およびC型肝炎ウイルスを包含するハパセイウイルス(hapaceiviruses)属を包含するフラビウイルス科(Flaviviridae)というウイルス科のメンバーとして分類された(Rice, C. M., Flaviviridae: The viruses and their replication. In: Fields Virology, Editors: B. N. Fields, D. M. Knipe and P. M. Howley, Lippincott-Raven Publishers, Philadelphia, Pa., Chapter 30, 931-959, 1996)。HCVは、およそ9.4kbのポジティブセンス一本鎖RNAゲノムを含有するエンベロープ付きウイルスである。そのウイルスゲノムは、高度に保存された5’未翻訳領域(UTR)、およそ3011アミノ酸のポリタンパク質前駆体をエンコードしている長いオープンリーディングフレームおよび短い3’UTRから成る。
【0004】
HCVの遺伝分析は、DNA配列の30%を超えて異なる6種類の主要遺伝子型を識別した。30を超えるサブタイプが区別された。米国では、感染した個体のおよそ70%が、1a型および1b型感染を有する。1b型は、アジアにおいて最も優勢なサブタイプである(X. Forns and J. Bukh, Clinics in Liver Disease 1999 3:693-716; J. Bukh et al., Semin. Liv. Dis. 1995 15:41-63)。残念ながら、1型感染性は、2型かまたは3型かどちらの遺伝子型よりも療法に耐性である(N. N. Zein, Clin. Microbiol. Rev., 2000 13:223-235)。
【0005】
ウイルス構造タンパク質には、ヌクレオキャプシドコアタンパク質(C)および二つのエンベロープ糖タンパクE1およびE2が含まれる。HCVは、更に、二つのプロテアーゼ、すなわち、NS2−NS3領域によってエンコードされる亜鉛依存性メタロプロテイナーゼおよびNS3領域中でエンコードされるセリンプロテアーゼをエンコードしている。これらプロテアーゼは、前駆体ポリタンパク質の成熟ペプチドへの特異的領域切断に必要とされる。非構造タンパク質5のカルボキシル半分であるNS5Bは、RNA依存性RNAポリメラーゼを含有する。残りの非構造タンパク質NS4AおよびNS4Bの機能およびNS5A(非構造タンパク質5のアミノ末端半分)の機能は、未知のままである。HCV RNAゲノムによってエンコードされる非構造タンパク質の大部分は、RNA複製に関与していると考えられる。
【0006】
最近、一定数の承認された療法が、HCV感染の処置に利用可能である。HCV感染を処置するおよびHCV NS5Bポリメラーゼ活性を阻害するための新しいおよび既存の治療的アプローチが概説された。R. G. Gish, Sem. Liver. Dis., 1999 19:5; Di Besceglie, A. M. and Bacon, B. R., Scientific American, October: 1999 80-85; G. Lake-Bakaar, Current and Future Therapy for Chronic Hepatitis C Virus Liver Disease, Curr. Drug Targ. Infect Dis. 2003 3(3):247-253; P. Hoffmann et al., Recent patent on experimental therapy for hepatitis C virus infection (1999-2002), Exp. Opin. Ther. Patents 2003 13(11):1707-1723; M. P. Walker et al., Promising Candidates for the treatment of chronic hepatitis C, Exp. Opin. Investing. Drugs 2003 12(8):1269-1280; S.-L. Tan et al., Hepatitis C Therapeutics: Current Status and Emerging Strategies, Nature Rev. Drug Discov. 2002 1:867-881; J. Z. Wu and Z. Hong, Targeting NS5B RNA-Dependent RNA Polymerase for Anti-HCV Chemotherapy, Curr. Drug Targ. - Infect. Dis. 2003 3(3):207-219。
【0007】
リバビリン(1−((2R,3R,4S,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン−2−イル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド;Virazole(登録商標))は、合成の非インターフェロン誘発性広域スペクトル抗ウイルスヌクレオシド類似体である。リバビリンは、Flaviviridae を含めたいくつかのDNAウイルスおよびRNAウイルスに対してin vitro 活性を有する(Gary L. Davis. Gastroenterology 2000 118:S104-S114)。単独療法の場合、リバビリンは、40%の患者において血清アミノトランスフェラーゼレベルを正常レベルへ減少させるが、HCV−RNAの血清レベルを低下させることはない。リバビリンは、更に、有意の毒性を示し、貧血を引き起こすことが知られている。ビラミジン(Viramidine)は、肝細胞中においてアデノシンデアミナーゼによってリバビリンに変換されるリバビリンプロドラッグである(J. Z. Wu, Antivir. Chem. Chemother. 2006 17(1):33-9)。
【0008】
インターフェロン(IFN)は、慢性肝炎の処置に、ほとんど10年間利用可能であった。IFNは、ウイルス感染に応答して免疫細胞によって生産される糖タンパク質である。二つの異なったタイプのインターフェロンが認められている。1型には、いくつかのインターフェロンαおよび一つのインターフェロンβが含まれ、2型には、インターフェロンγが含まれる。1型インターフェロンは、主に、感染した細胞によって生産され、そして隣接する細胞をde novo感染から保護する。IFNは、HCVを含めた多くのウイルスのウイルス複製を阻害し、しかもC型肝炎感染の単独処置として用いられる場合、IFNは、血清HCV−RNAを検出不能レベルへ抑制する。更に、IFNは、血清アミノトランスフェラーゼレベルを標準化する。残念ながら、IFNの作用は一時的である。療法の停止は、70%の再発率を生じ、そして10〜15%だけが、正常血清アラニントランスフェラーゼレベルで持続性ウイルス学的応答を示す。(Davis, Luke-Bakaar,上記)
早期IFN療法の一つの限界は、血液からのタンパク質の急速クリアランスであった。ポリエチレングリコール(PEG)でのIFNの化学誘導体化は、実質的に改善された薬物動態学的性質を有するタンパク質を生じた。PEGASYS(登録商標)は、インターフェロンα−2aおよび40kD分枝モノメトキシPEGのコンジュゲートであり、そしてPEG−INTRON(登録商標)は、インターフェロンα−2bおよび12kDモノメトキシPEGのコンジュゲートである。(B. A. Luxon et al., Clin. Therap. 2002 24(9):13631383; A. Kozlowski and J. M. Harris, J. Control. Release 2001 72:217-224)。
【0009】
リバビリンおよびインターフェロン−αでのHCVの組み合わせ療法は、現在、HCVのための最適療法である。リバビリンおよびPEG−IFN(以下)を組み合わせることは、1型HCVの患者の54〜56%に持続性ウイルス応答(SVR)を引き起こす。そのSVRは、2型および3型HCVについて80%に近づく(Walker,上記)。残念ながら、組み合わせ療法は、臨床的挑戦を与える副作用も生じる。うつ病、インフルエンザ様症状および皮膚反応は、皮下IFN−αに関連し、そして溶血性貧血は、リバビリンでの持続性処置に関連している。
【0010】
抗HCV治療薬としての薬物開発に可能性がある多数の分子標的が、現在、識別されており、NS2−NS3オートプロテアーゼ、NS3プロテアーゼ、NS3ヘリカーゼおよびNS5Bポリメラーゼが含まれるが、これに制限されるわけではない。RNA依存性RNAポリメラーゼは、一本鎖ポジティブセンスRNAゲノムの複製に絶対不可欠である。この酵素は、医薬品化学者の間に有意の関心を引き出した。
【0011】
ヌクレオシド阻害剤は、鎖終結因子としてかまたは、ポリメラーゼへのヌクレオチド結合を妨げる競合阻害剤として作用することがありうる。鎖終結因子として機能するためには、ヌクレオシド類似体は、in vivoで細胞によって取り込まれる必要があるし、ポリメラーゼヌクレオチド結合部位において基質として競合するその三リン酸形へin vivoで変換される必要がある。三リン酸へのこの変換は、一般的には、いずれのヌクレオシドにも追加の構造限界を与える細胞キナーゼによって媒介される。更に、リン酸化のためのこの必要条件は、細胞に基づく検定へのHCV複製の阻害剤としてのヌクレオシドの直接的評価を制限する(J. A. Martin et al., U.S. Patent No. 6,846,810; C. Pierra et al., J. Med. Chem. 2006 49(22):6614-6620; J. W. Tomassini et al., Antimicrob. Agents and Chemother. 2005 49(5):2050; J. L. Clark et al., J. Med. Chem. 2005 48(17):2005)。
【0012】
本発明の化合物およびそれらの異性体形およびそれらの薬学的に許容しうる塩は、更に、ウイルス感染、具体的には、C型肝炎感染および生体宿主の疾患を処置する場合に、互いの組み合わせで用いた時に、および他の生物活性剤であって、インターフェロン、ペグ化インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、低分子干渉性RNA化合物、アンチセンス化合物、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド類似体、免疫グロブリン、イムノモジュレーター、肝臓保護剤(hepatoprotectants)、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬および抗感染化合物から成る群が含まれるがこれに制限されるわけではないものとの組み合わせで用いた時に有用である。このような組み合わせ療法は、更に、本発明の化合物を、他の薬剤または増強剤であって、リバビリンおよび関連化合物、アマンタジンおよび関連化合物、いろいろなインターフェロンであって、例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ等、更には、ペグ化インターフェロンなどの別の形のインターフェロンなどのものなどと同時にかまたは逐次的に与えることを含んでよい。更に、リバビリンおよびインターフェロンの組み合わせは、本発明の少なくとも一つの化合物との追加の組み合わせ療法として投与することができる。
【0013】
現在開発中の他のインターフェロンには、アルブインターフェロン(albinterferon)−α−2b(Albuferon)、DUROSを含むIFN−ω、LOCTERONTMおよびインターフェロン−α−2bXLが含まれる。これらおよび他のインターフェロンは、市場に届いているので、本発明の化合物との組み合わせ療法でのそれらの使用が期待される。
【0014】
HCVポリメラーゼ阻害剤は、薬物発見のための別の標的であり、開発中の化合物には、R−1626、R−7128、IDX184/IDX102、PF−868554(Pfizer)、VCH−759(ViroChem)、GS−9190(Gilead)、A−837093およびA−848837(Abbot)、MK−3281(Merck)、GSK949614およびGSK625433(Glaxo)、ANA598(Anadys)、VBY708(ViroBay)が含まれる。
【0015】
HCV NS3プロテアーゼの阻害剤は、更に、HCVの処置に潜在的に有用であると識別された。臨床試験中のプロテアーゼ阻害剤には、VX−950(Telaprevir, Vertex)、SCH503034(Broceprevir, Schering)、TMC435350(Tibotec/Medivir)およびITMN−191(Intermune)が含まれる。開発の早期段階にある他のプロテアーゼ阻害剤には、MK7009(Merck)、BMS−790052(Bristol Myers Squibb)、VBY−376(Virobay)、IDXSCA/IDXSCB(Idenix)、BI12202(Boehringer)、VX−500(Vertex)、PHX1766 Phenomix)が含まれる。
【0016】
研究中の抗HCV療法のための他の標的には、NS5bへのRNA結合を阻害するシクロフィリン阻害剤;ニタゾキサニド(nitazoxanide);Celgosivir(Migenix);α−グルコシダーゼ−1の阻害剤;カスパーゼ阻害剤;Toll 様受容体アゴニスト;および Zadaxin(SciClone)などの免疫刺激剤が含まれる。
【0017】
現在のところ、C型肝炎(Hepatitis C)ウイルス(HCV)の予防的処置は存在しないし、しかもHCVに対してのみ存在する現在承認されている療法は限られている。新しい医薬化合物の設計および開発が不可欠である。
【0018】
本発明は、式I
【0019】
【化1】

【0020】
(式中、Rは、フェニルまたはピリジニルであって、
(a)C1−6アルキル、
(b)C1−6アルコキシ、
(c)ハロゲン、
(d)フェニル−C1−6アルコキシであって、このフェニルが、C1−3アルコキシ、ハロゲン、C1−3アルキルまたはC1−3−ハロアルキルより選択される1〜3個の基で独立して置換されていてよいもの、
(e)フェニル、
(f)ヘテロアリール−C1−3アルコキシ、ここにおいて、ヘテロアリール基は、ピリジニル、ピリミジニルまたはピラジニルであって、このヘテロアリールが、アミノ、C1−6アルキル、ハロゲンまたはC1−6アルコキシより選択される1個または2個の基で独立して置換されていてよいものである;
(g)フェノキシメチルであって、アミノ、C1−6アルキル、ハロゲンまたはC1−6アルコキシより選択される1個または2個の基で独立して置換されていてよいもの;
(h)ピリジニルメチルスルファニル、
(i)ヘテロアリール、ここにおいて、ヘテロアリール基は、ピリジニル、[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル、フロ[3,2−b]ピリジン−2−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルであり、そしてこのヘテロアリールは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、C1−3ジアルキルアミノ、環状アミンより選択される1〜3個の基で独立して置換されていてよい、
(j)フェニル−C1−3アルキルスルファニル、
(k)ヒドロキシ、
(l)ハロゲン、
(m)カルボキシル、
(n)シアノ、
(p)C1−6ヒドロキシアルキル、
(p)CONR
(q)NR
(r)NHC(O)NRおよび
(s)水素
から成る群より選択される1〜3個の基で置換されていてよいものであり;
は、ハロゲン、C1−3アルキルまたはC1−3アルコキシであり、そしてnは、0〜2であり;
およびRは、
(i)個々で、独立して、
(a)C1−6アルコキシカルボニル、
(b)ベンジル、
(c)ヒドロキシ−C1−6アルカノイル、
(d)C1−6アシル、
(e)フェニルカルボニルであって、このフェニルが、C1−3アルコキシ、ハロ、ヒドロキシより選択される1〜3個の基で独立して置換されていてよいもの、
(f)ヘテロアリールカルボニル、ここにおいて、このヘテロアリール基は、置換されていてよいピラゾール、2−メチルフラン−5−イルカルボニル、ピリミジニル−4−カルボニル、オキサゾール−5−イルカルボニル、ピラジン−2−イルカルボニル、ピリジニルカルボニルであって、このヘテロアリールカルボニルが、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、C1−3ジアルキルアミノ、環状アミンまたはC1−6ヒドロキシアルコキシより独立して選択される1個または2個の基で置換されていてよいものである、
(g)水素
であり、または
(ii)それらが結合している窒素と一緒になって、環状アミンであり;
およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル、フェニルであり;
は、フェニルであって、(a)C1−6アルキル、(b)C1−6アルコキシ、(c)ハロゲン、(d)NR、(e)シアノ、(f)C1−3ハロアルキル、および(g)ヒドロキシから成る群より選択される1〜3個の基で置換されていてよいもの、またはC3−7シクロアルキルであって、C1−4アルキル、ハロゲンまたはC1−4アルコキシより選択される1〜3個の基を含んでよいものであり;
およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6スルホニルであり;
およびRは、独立して、水素またはC1−3アルキルであり、またはそれらが結合している窒素と一緒になって、ピロリジンまたはピペリジンを形成し;
は、水素またはC1−6アルキルである)
による化合物、またはその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0021】
一般式Iを有する化合物は、中性の化合物かまたはそれらの薬学的に許容しうる塩でありうる。
本発明は、更に、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C Virus)(HCV)ウイルス感染である疾患を処置する方法であって、それを必要としている患者に、治療的有効量の式Iによる化合物を投与することによる方法を提供する。その化合物は、単独で投与することができるしまたは他の抗ウイルス化合物またはイムノモジュレーターと共投与することができる。
【0022】
本発明は、更に、細胞中のHCVの複製を阻害する方法であって、HCVを阻害する有効量の式Iによる化合物を投与することによる方法を提供する。
本発明は、更に、医薬組成物であって、式Iによる化合物および少なくとも一つの薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0023】
本明細書中で用いられる「ある(aまたはan)」物質という句は、一つまたはそれを超えるその物質を意味し、例えば、ある化合物は、一つまたはそれを超える化合物または少なくとも一つの化合物を意味する。それ自体で、「ある」、「一つまたはそれを超える」および「少なくとも一つの」という用語は、本明細書中において同じ意味に用いることができる。
【0024】
「本明細書中の上に定義の」という句は、各々の基について、最も広い請求の範囲中に与えられているような最も広い定義を意味する。下に与えられる全ての他の態様において、各々の態様に存在しうる置換基および明確に定義されていない置換基は、与えられている最も広い定義を保持する。
【0025】
本明細書中で用いられるように、連結句中であれ、請求の範囲の主文中であれ、「含む」および「含むこと」という用語は、はっきりした制限のない意味を有すると解釈されるべきである。すなわち、それら用語は、「少なくとも有すること」または「少なくとも含めた」という句と同義に解釈されるべきである。方法の文脈中で用いられる場合、「含むこと」という用語は、その方法が、挙げられている工程を少なくとも包含するが、追加の工程を包含してよいということを意味する。化合物または組成物の文脈中で用いられる場合、「含むこと」という用語は、その化合物または組成物が、挙げられている特徴または成分を少なくとも包含するが、追加の特徴または成分を包含してもよいということを意味する。
【0026】
「独立して」という用語は、本明細書中において、可変部分が、同じ化合物内のその同じまたは異なった定義を有する可変部分の存在または不存在にかかわりなく、いずれか一つの場合に適用されるということを示すのに用いられる。したがって、R”が二回現れ且つ「独立して、炭素または窒素」として定義される化合物において、双方のR”は、炭素でありうる、双方のR”は、窒素でありうる、または一方のR”は、炭素でありうるし、そして他方は窒素でありうる。
【0027】
いずれかの可変部分(例えば、R、R4a、Ar、XまたはHet)が、本発明に用いられるまたは請求の範囲に記載される化合物を示している且つ記載しているいずれかの残基または式中に2回以上存在する場合、各々の存在でのその定義は、他のすべての存在でのその定義とは無関係である。更に、置換基および/または可変部分の組み合わせは、このような化合物が安定な化合物を生じる場合にのみ許される。
【0028】
結合の最後にある「*」または各々の結合中に描かれる「
【0029】
【化2】

【0030】
」という記号は、官能基または他の化学残基の、それが一部分である分子の残り部分への結合点を意味する。したがって、例えば、MeC(=O)OR、ここにおいて、
【0031】
【化3】

【0032】
である。
環系中に描かれた結合は(異なった交点での連結状態とは反対に)、その結合が、いずれかの適する環原子に結合していてよいということを示している。
【0033】
本明細書中で用いられる「任意の」または「場合により」という用語は、続いて記載されるイベントまたは状況が、存在してよいが、存在する必要はないということ、およびその説明が、そのイベントまたは状況が存在する場合およびそれが存在しない場合を包含するということを意味する。例えば、「置換されていてよい」は、置換されていてよい残基が、水素または置換基を包含してよいということを意味する。
【0034】
「約(about)」という用語は、本明細書中において、およそ(approximately)、ほぼ(in the region of)、大まかに(roughly)または近く(around)を意味するのに用いられる。「約」という用語を、数値範囲と一緒にして用いる場合、それは、示されている数値より上および下に境界を拡張することによってその範囲を変更する。概して、「約」という用語は、本明細書中において、ある数値を、開始値より上および下に20%の分散で変更するのに用いられる。
【0035】
本明細書中で用いられるように、変数の数値範囲の詳説は、その範囲内のいずれかの値に等しい変数で本発明を実施することができるということを意味するものである。したがって、本質的に不連続である変数について、その変数は、その範囲の終点を含めた数値範囲のいずれかの整数値に等しいことがありうる。同様に、本質的に連続している変数について、その変数は、その範囲の終点を含めた数値範囲のいずれかの実数値に等しいことがありうる。例として、0〜2の値を有すると記載されている変数は、本質的に不連続である変数について、0、1または2でありうるし、そして本質的に連続している変数について、0.0、0.1、0.01、0.001またはいずれか他の実数値でありうる。
【0036】
式Iの化合物は、互変異性を示す。互変異性体化合物は、二つまたはそれを超える相互変換可能な種として存在しうる。プロトン放出性互変異性体は、二つの原子間での共有結合した水素原子の転位によって生じる。互変異性体は、概して、平衡状態で存在するので、個々の互変異性体を単離する試みは、通常は、混合物を生じ、その化学的および物理的性質は、化合物の混合物と一致する。平衡点は、その分子内の化学的特徴に依存する。例えば、アセトアルデヒドなどの多くの脂肪族アルデヒドおよびケトンの場合、ケト形が優先的に存在するが;フェノールの場合、エノール形が優先的に存在する。一般的なプロトン放出性互変異性体には、ケト/エノール(−C(=O)−CH− →← −C(−OH)=CH−)、アミド/イミド酸(−C(=O)−NH− →← −C(−OH)=N−)およびアミジン(−C(=NR)−NH− →← −C(−NHR)=N−)互変異性体が含まれる。後者の二つは、特に、ヘテロアリールおよび複素環式環において一般的であり、本発明は、すべての互変異性体形の化合物を包含する。
【0037】
式Iを有するいくつかの化合物は、一つまたはそれを超えるキラル中心を含有してよく、したがって、二つまたはそれを超える立体異性体形で存在してよいということは当業者に理解されるであろう。これら異性体のラセミ体、個々の異性体、および一つの鏡像異性体の豊富化混合物、更には、二つのキラル中心が存在する場合のジアステレオマー、および特定のジアステレオマーでの部分豊富化混合物は、本発明の範囲内である。更に、トロパン環の置換が、エンド立体配置かまたはエキソ立体配置でありうるし、そして本発明が、双方の立体配置を包含するということは当業者に理解されるであろう。本発明は、式Iの化合物の個々の立体異性体(例えば、鏡像異性体)、ラセミ混合物、または部分分割混合物、および適所で、それらの個々の互変異性体形をすべて包含する。
【0038】
ラセミ体は、そのままで用いることができるし、またはそれらの個々の異性体へ分割することができる。分割は、立体化学的に純粋な化合物、または一つまたはそれを超える異性体の豊富化混合物を与えることができる。異性体の分離方法は、周知であり(Allinger N. L. and Eliel E. L. in “Topics in Stereochemistry”, Vol. 6, Wiley Interscience, 1971 を参照されたい)、それには、キラル吸着剤を用いたクロマトグラフィーなどの物理的方法が含まれる。個々の異性体は、キラル前駆体からキラル形で製造することができる。或いは、個々の異性体は、10−カンフルスルホン酸、樟脳酸、α−ブロモ樟脳酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、ピロリドン−5−カルボン酸等の個々の鏡像異性体などのキラル酸でジアステレオマー塩を形成し、それら塩を分別結晶後、一方または双方の分割塩基を遊離させ、場合により、そのプロセスを繰り返すことによって混合物から化学的に分離して、どちらかまたは双方を、他方を実質的に不含で、すなわち、>95%の光学純度を有する形で得るようにすることができる。或いは、ラセミ体は、キラル化合物(助剤)に共有結合で連結して、ジアステレオマーを生じることができ、それは、クロマトグラフィーまたは分別結晶によって分離することができ、その後、キラル助剤を化学的に除去して、純粋な鏡像異性体を与える。
【0039】
式Iの化合物は、塩基性中心を含有してよく、適する酸付加塩は、無毒性塩を形成する酸から形成される。無機酸の塩の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩が含まれる。有機酸の塩の例には、酢酸塩、フマル酸塩、パモ酸塩、アスパラギン酸塩、ベシレイト、炭酸塩、重炭酸塩、カムシレート、DおよびL−乳酸塩、DおよびL−酒石酸塩、エシレイト、メシレート、マロン酸塩、オロチン酸塩、グルセプテート、メチル硫酸塩、ステアリン酸塩、グルクロン酸塩、2−ナプシレート、トシレート、ヒベンゼート(hibenzate)、ニコチン酸塩、イセチオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、サッカラート、安息香酸塩、エシレイトおよびパモ酸塩が含まれる。適する塩の概説については、Berge et al, J. Pharm. Sci., 1977 66:1-19 および G. S. Paulekuhn et al. J. Med. Chem. 2007 50:6665 を参照されたい。
【0040】
本明細書中で用いられる専門用語および科学用語は、特に断らない限り、本発明が関する当業者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書中において、当業者に知られているいろいろな方法および材料を論及する。薬理学の一般的な原理を記載している標準的な参考書には、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th Ed., McGraw Hill Companies Inc., New York (2001)が含まれる。これら化合物を製造する場合に用いられる出発物質および試薬は、概して、Aldrich Chemical Co.などの商業供給者から入手可能であるかまたは、当業者に知られている方法により、参考文献に記載の手順にしたがって製造される。以下の説明および実施例において論及される材料、試薬等は、特に断らない限り、商業源から入手可能である。一般的な合成手順は、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, Volumes 1-21; R. C. LaRock, Comprehensive Organic Transformations, 2nd edition Wiley-VCH, New York 1999; Comprehensive Organic Synthesis, B. Trost and I. Fleming (Eds.) vol. 1-9 Pergamon, Oxford, 1991; Comprehensive Heterocyclic Chemistry, A. R. Katritzky and C. W. Rees (Eds) Pergamon, Oxford 1984, vol. 1-9; Comprehensive Heterocyclic Chemistry II, A. R. Katritzky and C. W. Rees (Eds) Pergamon, Oxford 1996, vol. 1-11; およびOrganic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40などの専門書に記載されており、当業者に公知であろう。
【0041】
本発明の一つの態様において、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に記載の通りである式Iによる化合物を提供する。
本発明の第二の態様において、R1aが、置換されていてよいp−フェニレンであり、R1bが、NRであり、Rが、水素であり、そしてRが、ヒドロキシ−C1−6アルカノイル、C1−6アシル、置換されていてよいフェニルカルボニルまたは置換されていてよいヘテロアリールカルボニルである式Iaによる化合物を提供する。
【0042】
【化4】

【0043】
本発明の第三の態様において、R1aが、p−フェニレンであって、ハロゲンで更に置換されていてよいものであり、R1bが、NRであり、RおよびRが、水素であり、Rが、フェニルであって、ハロゲンまたはC1−6アルキルで置換されていてよいものであり、Rが、水素であり、そしてRが、ヒドロキシ−C1−6アルカノイル、C1−6アシル、置換されていてよいフェニルカルボニルまたは置換されていてよいヘテロアリールカルボニルである式Iaによる化合物を提供する。
【0044】
本発明の第四の態様において、R1aが、p−フェニレンであって、ハロゲンで更に置換されていてよいものであり、R1bが、NRであり、RおよびRが、水素であり、Rが、フェニルであって、ハロゲンまたはC1−6アルキルで置換されていてよいものであり、Rが、水素であり、そしてRが、置換されていてよいフェニルカルボニルまたは置換されていてよいヘテロアリールカルボニルである式Iaによる化合物を提供する。
【0045】
本発明の第五の態様において、R1aが、置換されていてよいp−フェニレンであり、R1bが、置換されていてよいヘテロアリールであり、そしてRおよびRが、水素である式Iaによる化合物を提供する。
【0046】
本発明の第六の態様において、R1aが、置換されていてよいp−フェニレンであり、R1bが、置換されていてよいピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルであり、Rが、フェニルであって、ハロゲンまたはC1−6アルキルで置換されていてよいものであり、そしてRおよびRが、水素である式Iaによる化合物を提供する。
【0047】
本発明の第七の態様において、R1aが、置換されていてよいp−フェニレンであり、R1bが、7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルであり、Rが、フェニルであって、ハロゲンまたはC1−6アルキルで置換されていてよいものであり、そしてRおよびRが、水素である式Iaによる化合物を提供する。
【0048】
本発明の別の態様において、R1aが、置換されていてよいp−フェニレンであり、R1bが、置換されていてよいピリミジニルであり、Rが、フェニルであって、ハロゲンまたはC1−6アルキルで置換されていてよいものであり、そしてRおよびRが、水素である式Iaによる化合物を提供する。
【0049】
本発明の第八の態様において、R1aが、置換されていてよいp−フェニレンであり、そしてR1bが、置換されていてよいフェニル−C1−3アルコキシまたは置換されていてよいヘテロアリールメトキシである式Iaによる化合物を提供する。
【0050】
本発明の第九の態様において、R1aが、置換されていてよいp−フェニレンであり、R1bが、置換されていてよいベンジルオキシであり、そしてRおよびRが、水素である式Iaによる化合物を提供する。
【0051】
本発明の別の態様において、R1aが、置換されていてよいp−ピリジニレンであり、R1bが、置換されていてよいベンジルオキシであり、そしてRおよびRが、水素である式Iaによる化合物を提供する。
【0052】
第十の態様において、表IのI−1〜I−59より選択される化合物を提供する。
本発明の第十一の態様において、HCV感染を処置するためのまたはHCV感染の処置用薬剤の製造のための、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物の使用を提供する。
【0053】
本発明の第十二の態様において、HCV感染を処置するための、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物および少なくとも一つの免疫系モジュレーターおよび/またはHCVの複製を阻害する少なくとも一つの抗ウイルス薬;またはHCV感染の処置用薬剤の製造のための、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物および少なくとも一つの免疫系モジュレーターおよび/またはHCVの複製を阻害する少なくとも一つの抗ウイルス薬の使用を提供する。
【0054】
本発明の第十三の態様において、HCVによって引き起こされる疾患を処置するための、またはHCVによって引き起こされる疾患を処置する薬剤の製造のための、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物、およびインターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子またはコロニー刺激因子より選択される少なくとも一つの免疫系モジュレーターの使用を提供する。
【0055】
本発明の第十四の態様において、HCV感染を処置するための、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物およびインターフェロンまたは化学誘導体インターフェロンの使用;またはHCV感染を処置する薬剤の製造のための、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物およびインターフェロンまたは化学誘導体インターフェロンの使用を提供する。
【0056】
本発明の第十五の態様において、HCV感染を処置するための、またはHCV感染を処置する薬剤の製造のための、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物、およびHCVプロテアーゼ阻害剤、別のHCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCVプライマーゼ阻害剤およびHCV融合阻害剤から成る群より選択される別の抗ウイルス化合物の使用を提供する。
【0057】
本発明の第十六の態様において、細胞中のウイルス複製を阻害するための、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に定義の通りである式Iの化合物の、少なくとも一つの薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤と混合した状態での使用を提供する。
【0058】
本発明の第十一の態様において、HCV感染の処置を必要としている患者のHCV感染を処置する方法であって、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物の治療的有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0059】
本発明の第十二の態様において、HCV感染の処置を必要としている患者のHCV感染を処置する方法であって、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物の治療的有効量と、少なくとも一つの免疫系モジュレーターおよび/またはHCVの複製を阻害する少なくとも一つの抗ウイルス薬を共投与することを含む方法を提供する。
【0060】
本発明の第十三の態様において、HCVによって引き起こされる疾患の処置を必要としている患者のHCVによって引き起こされる疾患を処置する方法であって、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物の治療的有効量と、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子またはコロニー刺激因子より選択される少なくとも一つの免疫系モジュレーターを共投与することを含む方法を提供する。
【0061】
本発明の第十四の態様において、HCV感染の処置を必要としている患者のHCV感染を処置する方法であって、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物の治療的有効量と、インターフェロンまたは化学誘導体インターフェロンを共投与することを含む方法を提供する。
【0062】
本発明の第十五の態様において、HCV感染の処置を必要としている患者のHCV感染を処置する方法であって、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物の治療的有効量と、HCVプロテアーゼ阻害剤、別のHCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCVプライマーゼ阻害剤およびHCV融合阻害剤から成る群より選択される別の抗ウイルス化合物を共投与することを含む方法を提供する。
【0063】
本発明の第十六の態様において、細胞中のウイルス複製を阻害する方法であって、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に定義の通りである式Iの化合物の治療的有効量を、少なくとも一つの薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤と混合した状態で送達することによる方法を提供する。
【0064】
本発明の第十七の態様において、組成物であって、R、R、RおよびRが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物を、少なくとも一つの薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤と混合した状態で含む組成物を提供する。
【0065】
本明細書中で用いられる「アルキル」という用語は、単独でも他の基との組み合わせでも更に制限されることなく、1〜10個の炭素原子を含有する未分枝のまたは分枝状鎖の飽和一価炭化水素残基を示す。「低級アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を含有する直鎖または分枝状鎖炭化水素残基を示す。本明細書中で用いられる「C1−6アルキル」は、1〜6個の炭素から構成されるアルキルを意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、ヘキシルおよびオクチルが含まれる低級アルキル基が含まれるが、これに制限されるわけではない。炭素水素結合はいずれも、本発明の範囲から逸脱して、炭素重水素結合で置き換えることができる。
【0066】
本明細書中に記載の定義は、「ヘテロアルキルアリール」、「ハロアルキルヘテロアリール」、「アリールアルキルヘテロシクリル」、「アルキルカルボニル」、「アルコキシアルキル」等のような化学的に関係のある組み合わせを形成するように添付されてよい。「アルキル」という用語を、「フェニルアルキル」または「ヒドロキシアルキル」の場合のように、別の用語の後に接尾辞として用いる場合、これは、他の具体的に挙げられた基より選択される1〜2個の置換基で置換されている上に定義のアルキル基を意味するものである。したがって、例えば、「フェニルアルキル」は、1〜2個のフェニル置換基を有するアルキル基を意味し、したがって、それには、ベンジル、フェニルエチルおよびビフェニルが含まれる。「アルキルアミノアルキル」は、1〜2個のアルキルアミノ置換基を有するアルキル基である。「ヒドロキシアルキル」には、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−(ヒドロキシメチル)、3−ヒドロキシプロピル等が含まれる。したがって、本明細書中で用いられるように、「ヒドロキシアルキル」という用語は、下に定義のヘテロアルキル基サブセットを定義するのに用いられる。−(ar)アルキルという用語は、未置換のアルキル基かまたはアラルキル基を意味する。(ヘテロ)アリールまたは(het)アリールという用語は、アリール基かまたはヘテロアリール基でありうる置換基を意味する。
【0067】
本明細書中で用いられる「シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素原子を含有する飽和炭素環式環、すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルを示す。本明細書中で用いられる「C3−7シクロアルキル」は、炭素環式環中に3〜7個の炭素から構成されるシクロアルキルを意味する。
【0068】
本明細書中で用いられる「アルコキシ」という用語は、−O−アルキル基を意味し、ここにおいて、アルキルは、上に定義のように、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどの、それらの異性体を含めたものである。本明細書中で用いられる「低級アルコキシ」は、前に定義の「低級アルキル」基でのアルコキシ基を示す。本明細書中で用いられる「C1−10アルコキシ」は、アルキルがC1−10である−O−アルキルを意味する。
【0069】
本明細書中で用いられる「ハロアルキル」という用語は、上に定義の未分枝のまたは分枝状鎖アルキル基であって、1個、2個、3個またはそれを超える水素原子が、ハロゲンで置換されているものを示す。例は、1−フルオロメチル、1−クロロメチル、1−ブロモメチル、1−ヨードメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、1−フルオロエチル、1−クロロエチル、1,2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、2,2−ジクロロエチル、3−ブロモプロピルまたは2,2,2−トリフルオロエチルである。本明細書中で用いられる「フルオロアルキル」という用語は、フッ素がハロゲンであるハロアルキル残基を意味する。
【0070】
本明細書中で用いられる「アリール」という用語は、フェニル環であって、特に断らない限り、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノより独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていることもありうるものを意味する。
【0071】
本明細書中で用いられる「ベンジル」という用語は、CCHラジカルであって、そのフェニル環が、特に断らない限り、アリールについて上に記載の1〜3個の置換基で置換されていることもありうるものを意味する。
【0072】
本明細書中で用いられる「フェノキシメチル」という用語は、PhOCH−ラジカルであって、そのフェニル環が、特に断らない限り、アリールについて上に記載の1〜3個の置換基で置換されていることもありうるものを意味する。
【0073】
本明細書中で用いられる「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
本明細書中で用いられる「ヒドロキシアルキル」および「アルコキシアルキル」という用語は、本明細書中に定義のアルキルラジカルであって、それぞれ、異なった炭素原子上の1〜3個の水素原子が、ヒドロキシル基またはアルコキシ基で置き換えられているものを示す。C1−3アルコキシ−C1−6アルキル残基は、1〜3個の水素原子が、C1−3アルコキシで置き換えられていて且つそのアルコキシの結合点が、酸素原子であるC1−6アルキル置換基を意味する。
【0074】
本明細書中で用いられる「シアノ」という用語は、三重結合によって窒素に連結した炭素、すなわち、−C≡Nを意味する。本明細書中で用いられる「ニトロ」という用語は、−NO基を意味する。本明細書中で用いられる「カルボキシ」という用語は、−COH基を意味する。
【0075】
本明細書中で用いられる「アシル」(または「アルカノイル」)という用語は、式−C(=O)R(式中、Rは、水素または本明細書中に定義の低級アルキルである)を有する基を示す。本明細書中で用いられる「アルキルカルボニル」という用語は、式C(=O)R(式中、Rは、本明細書中に定義のアルキルである)を有する基を示す。C1−6アシルまたは「アルカノイル」という用語は、1〜6個の炭素原子を含有する−C(=O)R基を意味する。Cアシル基は、R=Hであるホルミル基であり、そしてC6アシル基は、アルキル鎖が未分枝である場合のヘキサノイルを意味する。本明細書中で用いられる「アリールカルボニル」または「アロイル」という用語は、式C(=O)R(式中、Rは、アリール基である)を有する基を意味する。本明細書中で用いられる「ヘテロアリールカルボニル」または「ヘテロアロイル」という用語は、式C(=O)R(式中、Rは、ヘテロアリール基である)を有する基を意味する。本明細書中で用いられる「ベンゾイル」または「フェニルカルボニル」という用語は、Rがフェニルである「アリールカルボニル」基または「アロイル」基である。
【0076】
本明細書中で用いられる「アミノ」、「アルキルアミノ」および「ジアルキルアミノ」という用語は、それぞれ、−NH、−NHRおよび−NRを意味し、そしてRは、上に定義のアルキルである。ジアルキル残基の窒素に結合した2個のアルキル基は、同じでありうるしまたは異なることがありうる。本明細書中で用いられる「アミノアルキル」、「アルキルアミノアルキル」および「ジアルキルアミノアルキル」という用語は、それぞれ、NH(CH−、RHN(CH−およびRN(CH−を意味し、ここにおいて、nは、1〜6であり、そしてRは、上に定義のアルキルである。本明細書中で用いられる「C1−10アルキルアミノ」は、アルキルがC1−10であるアルキルアミノ残基を意味する。本明細書中で用いられる「フェニルアミノ」という用語は、−NHPh(式中、Phは、置換されていてよいフェニル基である)を意味する。
【0077】
本明細書中で用いられる「環状アミン」という用語は、上に定義の3〜6個の炭素原子を含有する飽和炭素環であって、それら炭素原子の少なくとも一つが、N、OおよびSから成る群より選択されるヘテロ原子で置き換えられているもの、例えば、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキソチオモルホリン、ピロリジン、ピラゾリン、イミダゾリジン、アゼチジンであって、それら環状の炭素原子が、ハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、低級アルキル、低級アルコキシから成る群より選択される1個またはそれを超える置換基で置換されていてよい、または炭素上の2個の水素原子が、双方ともオキソ(=O)で置き換えられているものを意味する。環状アミンがピペラジンである場合、一方の窒素原子は、C1−6アルキル、C1−6アシル、C1−6アルキルスルホニルで置換されていることもありうる。
【0078】
本明細書中で用いられる「アルキルスルホニル」および「アリールスルホニル」という用語は、式−S(=O)R(式中、Rは、それぞれ、アルキルまたはアリールであり、そしてアルキルおよびアリールは、本明細書中に定義の通りである)を有する基を示す。本明細書中で用いられるC1−3アルキルスルホニルアミドという用語は、Rが、本明細書中に定義のC1−3アルキル基であるRSONH−基を意味する。C1−6ハロアルキルスルホニル、C3−7シクロアルキルスルホニル、C3−7シクロアルキル−C1−3アルキルスルホニルまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルスルホニルという用語は、それぞれ、Rが、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキル−C1−3アルキルおよびC1−6アルコキシ−C1−6アルキルである化合物S(=O)Rを意味する。
【0079】
本明細書中で用いられる「ピリジニルメチルスルファニル」という用語は、(ピリジニル)CHS−残基を意味する。「フェニル−C1−3アルキルスルファニル」という用語は、PhCHS−残基を意味する。
【0080】
本明細書中で用いられる「ヘテロアリールC1−3アルコキシ」という用語は、「ヘテロアリールC1−3アルコキシ」残基の結合点は、アルコキシ基の酸素原子であろうということを理解して、本明細書中に定義のアルコキシラジカルであって、アルコキシ基上の水素が、ヘテロアリール基で置き換えられているものである。
【0081】
「4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−」という用語は、次の残基を意味する。
【0082】
【化5】

【0083】
本明細書中で用いられる「フェニレン」という用語は、2の空き原子価を有するベンゼン環を意味する。フェニレン残基は、3種類の可能なレギオ異性体、すなわち、オルト−、−メタ−またはパラ−フェニレンを有する。本明細書中で用いられる「置換されていてよいp−フェニレン」という句は、p−フェニレン残基であって、炭素に結合した残りの水素の一つが、置換基で置き換えられていることもありうるものを意味する。本明細書中で用いられる「ピリジニレン」という用語は、2の空き原子価を有するピリジン環を意味する。p−ピリジニレン残基という用語は、二つのレギオ異性体(i)および(ii)
【0084】
【化6】

【0085】
(式中、AおよびBは異なる)
を有する。
本発明の化合物およびそれらの異性体形およびそれらの薬学的に許容しうる塩は、更に、ウイルス感染、具体的には、C型肝炎感染および生体宿主の疾患を処置する場合に、互いの組み合わせで用いた時に、および他の生物活性剤であって、インターフェロン、ペグ化インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、低分子干渉性RNA化合物、アンチセンス化合物、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド類似体、免疫グロブリン、イムノモジュレーター、肝臓保護剤、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬および抗感染化合物から成る群が含まれるがこれに制限されるわけではないものとの組み合わせで用いた時に有用である。このような組み合わせ療法は、更に、本発明の化合物を、他の薬剤または増強剤であって、リバビリンおよび関連化合物、アマンタジンおよび関連化合物、いろいろなインターフェロンであって、例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ等、更には、ペグ化インターフェロンなどの別の形のインターフェロンなどのものなどと同時にかまたは逐次的に与えることを含んでよい。更に、リバビリンおよびインターフェロンの組み合わせは、本発明の少なくとも一つの化合物との追加の組み合わせ療法として投与することができる。
【0086】
一つの態様において、式Iによる本発明の化合物は、他の活性な治療的成分または治療薬との組み合わせで用いられて、HCVウイルス感染を有する患者を処置する。本発明により、本発明の化合物との組み合わせで用いられる活性な治療的成分は、本発明の化合物との組み合わせで用いられた場合に治療的作用を有するいずれかの物質でありうる。例えば、本発明の化合物との組み合わせで用いられる活性剤は、インターフェロン、リバビリン類似体、HCV NS3プロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼのヌクレオシド阻害剤、HCVポリメラーゼの非ヌクレオシド阻害剤、およびHCVを処置する他の薬物、またはそれらの混合物でありうる。
【0087】
ヌクレオシドNS5bポリメラーゼ阻害剤の例には、NM−283、バロピシタビン(valopicitabine)、R1626、PSI−6130(R1656)、IDX184およびIDX102(Idenix) BILB1941が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0088】
非ヌクレオシドNS5bポリメラーゼ阻害剤の例には、HCV−796(ViroPharma and Wyeth)、MK−0608、MK−3281(Merck)、NM−107、R7128(R4048)、VCH−759、GSK625433およびGSK625433(Glaxo)、PF−868554(Pfizer)、GS−9190(Gilead)、A−837093およびA848837(Abbot Laboratories)、ANA598(Anadys Pharmaceuticals);GL100597(GNLB/NVS)、VBY708(ViroBay)、ベンゾイミダゾール誘導体(H. Hashimoto et al. WO01/47833号、H. Hashimoto et al. WO03/000254号、P. L. Beaulieu et al. WO03/020240A2号;P. L. Beaulieu et al. US6,448,281B1号;P. L. Beaulieu et al. WO03/007945A1号)、ベンゾ−1,2,4−チアジアジン誘導体(D. Dhanak et al. WO01/85172A1号、5/10/2001年出願;D. Chai et al., WO2002098424号、6/7/2002年出願;D. Dhanak et al. WO03/037262A2号、10/28/2002年出願;K. J. Duffy et al. WO03/099801A1号、5/23/2003年出願;M. G. Darcy et al. WO2003059356号、10/28/2002年出願;D.Chai et al. WO2004052312号、6/24/2004年出願;D.Chai et al. WO2004052313号、12/13/2003年出願;D. M. Fitch et al., WO2004058150号、12/11/2003年出願;D. K. Hutchinson et al. WO2005019191号、8/19/2004年出願;J. K. Pratt et al. WO2004/041818A1号、10/31/2003年出願)、1,1−ジオキソ−4H−ベンゾ[1,4]チアジン−3−イル誘導体(J. F. Blake et al. 米国特許公開US20060252785号)および1,1−ジオキソベンゾ[d]イソチアゾール−3−イル化合物(J. F. Blake et al. 米国特許公開第2006040927号)が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0089】
HCV NS3プロテアーゼ阻害剤の例には、SCH−503034(Schering,SCH−7)、VX−950(テラプレビル(telaprevir),Vertex)、BILN−2065(Boehringer-Ingelheim)、BMS−605339(Bristol Myers Squibb)およびITMN−191(Intermune)が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0090】
インターフェロンの例には、ペグ化rIFN−α2b、ペグ化rIFN−α2a、rIFN−α2b、rIFN−α2a、共通IFNα(インフェルゲン(infergen))、フェロン(feron)、レアフェロン(reaferon)、インターマクス(intermax)α、r−IFN−β、インフェルゲンおよびアクチムン(actimmune)、DUROSを含むIFN−ω、アルブフェロン(albuferon)、ロクテロン(locteron)、Albuferon、Rebif、経口インターフェロンα、IFNα−2bXL、AVI−005、PEG−Infergen およびペグ化IFN−βが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0091】
リバビリン類似体およびリバビリンプロドラッグであるビラミジン(viramidine)(タリバビリン(taribavirin))は、HCVを制御するインターフェロンと一緒に投与されてきた。
【0092】
一般的に用いられる略語には、次が含まれる。アセチル(Ac)、水性(aq.)、気圧(Atm)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ピロ炭酸ジ−tert−ブチルまたはboc無水物(BOCO)、ベンジル(Bn)、ブチル(Bu)、Chemical Abstracts Registration Number(CASRN)、ベンジルオキシカルボニル(CBZまたはZ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、ジクロロメタン(DCM)、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBALまたはDIBAL−H)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、エチル(Et)、酢酸エチル(EtOAc)、エタノール(EtOH)、2−エトキシ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル(EEDQ)、ジエチルエーテル(EtO)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート酢酸(HATU)、酢酸(HOAc)、1−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、イソプロパノール(IPA)、メタノール(MeOH)、融点(mp)、MeSO−(メシルまたはMs)、メチル(Me)、アセトニトリル(MeCN)、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、質量スペクトル(ms)、メチル tert−ブチルエーテル(MTBE)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−メチルピロリドン(NMP)、フェニル(Ph)、プロピル(Pr)、イソプロピル(i−Pr)、ポンド/平方インチ(psi)、ピリジン(pyr)、室温(rtまたはRT)、satd.(飽和)、tert−ブチルジメチルシリルまたはt−BuMeSi(TBDMS)、トリエチルアミン(TEAまたはEtN)、トリフラートまたはCFSO−(Tf)、トリフルオロ酢酸(TFA)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、テトラヒドロフラン(THF)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、トリメチルシリルまたはMeSi(TMS)、p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOHまたはpTsOH)、4−Me−CSO−またはトシル(Ts)、N−ウレタン−N−カルボキシ無水物(UNCA)。ノルマル(n−)、イソ(i−)、第二級(sec−)、第三級(tert−)およびネオ−という接頭辞を含めた慣用的な命名法は、アルキル残基と一緒に用いられた場合、それらの慣例の意味を有する。(J. Rigaudy and D. P. Klesney, Nomenclature in Organic Chemistry, IUPAC 1979 Pergamon Press, Oxford.)。
【0093】
本発明によって包含される且つ本発明の範囲内の代表的な化合物の例を、以下の表に与える。以下のこれら実施例および製造例は、当業者が、本発明をより明確に理解し且つ実施することを可能にするために与えられる。それらは、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではなく、単に、本発明を詳しく説明し且つ代表するものとして解釈されるべきである。
【0094】
概して、本出願に用いられる命名法は、IUPAC系統命名法の作成用の Beilstein Institute コンピューター化システムであるAUTONOMTMv.4.0に基づいている。描かれている構造と、その構造に与えられている名称との間に不一致が存在する場合、描かれている構造を、より重要と考えるべきである。更に、構造または構造の一部分の立体化学が、例えば、肉太線または破線で示されていない場合、その構造または構造の一部は、その立体異性体を全て包含すると解釈されるべきである。
【0095】
次の番号スキームを用いて、本発明の化合物を記載する。
【0096】
【化7】

【0097】
【表1−1】

【0098】
【表1−2】

【0099】
【表1−3】

【0100】
【表1−4】

【0101】
【表1−5】

【0102】
【表1−6】

【0103】
【表1−7】

【0104】
【表1−8】

【0105】
【表1−9】

【0106】
【表1−10】

【0107】
【表1−11】

【0108】
本発明の化合物は、下に示され且つ記載されている例示の合成反応スキームに示されているいろいろな方法によって製造することができる。これら化合物を製造する場合に用いられる出発物質および試薬は、概して、Aldrich Chemical Co. などの商業供給者から入手可能であるかまたは、当業者に知られている方法により、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, Volumes 1-21; R. C. LaRock, Comprehensive Organic Transformations, 2nd edition Wiley-VCH, New York 1999; Comprehensive Organic Synthesis, B. Trost and I. Fleming (Eds.) vol. 1-9 Pergamon, Oxford, 1991; Comprehensive Heterocyclic Chemistry, A. R. Katritzky and C. W. Rees (Eds) Pergamon, Oxford 1984, vol. 1-9; Comprehensive Heterocyclic Chemistry II, A. R. Katritzky and C. W. Rees (Eds) Pergamon, Oxford 1996, vol. 1-11; および Organic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40 などの参考文献に記載の手順にしたがって製造される。次の合成反応スキームは、本発明の化合物を合成することができるいくつかの方法を、単に詳しく説明するものであるので、これら合成反応スキームへのいろいろな修飾は、行うことができるし、本出願中にある開示に関して当業者に示唆されるであろう。
【0109】
合成反応スキームの出発物質および中間体は、所望ならば、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等が含まれるがこれに制限されるわけではない慣用的な技法を用いて単離し且つ精製することができる。このような材料は、物理定数およびスペクトルデータを含めた慣用的な手段を用いて特性決定することができる。
【0110】
特に断らない限り、本明細書中に記載の反応は、好ましくは、大気圧の不活性雰囲気下において約−78℃〜約150℃、より好ましくは、約0℃〜約125℃の反応温度範囲で、そして最も好ましくは且つ好都合には、約室温(または周囲温度)、例えば、約20℃で行われる。
【0111】
以下のスキーム中のいくつかの化合物は、一般化した置換基で描かれている;しかしながら、当業者は、それら基Rの性状が、本発明において考えられるいろいろな化合物を与えるように変動することがありうるということを直ちに理解するであろう。更に、反応条件は、具体例であり、別の条件は周知である。以下の実施例における反応配列順序は、請求の範囲の記載の本発明の範囲を制限するものではない。
【0112】
本発明の化合物に共通の足場である1−N−置換−6−(ヘテロ)アリール−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オンは、3−アミノ−5−ブロモチオフェン−l−カルボン酸メチルから、還元的アミノ化によるアミンのアルキル化によって製造して、A−1bを与え、それを、ホルムアミジンで環化して、A−2を与える。C−7残基の導入は、パラジウムで触媒されるカップリング化学を用いて行って、A−3を与える。
【0113】
【化8】

【0114】
が、置換されていてよいフェニルであり、そしてRが水素である場合、工程1は、置換されていてよいベンズアルデヒドで行われる。Rがアルキルである該当する化合物は、該当するアルキルフェニルケトンから製造することができる。Rが、置換されていてよいシクロアルキルである場合、還元的アミノ化は、シクロアルキルカルボキサルデヒドで行われる。
【0115】
還元的アミノ化は、典型的には、アミンおよびカルボニル化合物を、NaBH、LiBH、NaBHCN、Zn(BH、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリドまたはボラン/ピリジンなどの錯金属水素化物の存在において、好都合には、1〜7のpHで、場合により、モレキュラーシーブなどの脱水剤またはTi(IV)(O−i−Pr)の存在下で一緒にすることによって行って、周囲温度での中間体イミンの形成を容易にする。或いは、そのイミンは、水素雰囲気下において、水素化触媒の存在下、例えば、Pd/Cの存在下、1〜5barの水素圧で、好ましくは、20℃〜用いられる溶媒の沸騰温度の温度で形成することができる。それは、反応性基が、反応後に慣用的な方法によって再度切断される慣用的な保護基で反応中に保護される場合、反応中に好都合でもありうる。還元的アミノ化手順は、R. M. Hutchings and M. K. Hutchings Reduction of C=N to CHNH by Metal Hydrides in Comprehensive Organic Synthesis col. 8, I. Fleming (Ed) Pergamon, Oxford 1991 pp. 47-54 に概説された。
【0116】
7−(ヘテロ)アリール置換基は、A−2および置換されていてよい(ヘテロ)アリールボロン酸の、パラジウムで触媒されるSuzukiカップリングを利用して導入する。当業者は、置換(ヘテロ)アリールボロン酸が、容易に入手可能であり、しかも工程3におけるA−3のSuzukiカップリングは、所望の生成物を直接的に生じることができる、または最初に導入された(ヘテロ)アリール残基は、更に修飾することができるということを理解するであろう。したがって、実施例1に記載のように、ボロン酸が、[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−フェニル]ボロン酸である場合、Boc基の除去は、アミンを与え、それを、更に、例えば、未保護アミンのアシル化またはアルキル化によって機能付加することができる。Suzukiカップリング生成物の引き続きの変換の代表的な例は、以下の実施例に開示されている。
【0117】
Suzuki反応は、ボロン酸[R−B(OH)(式中、Rは、アリールまたはビニルである)]と、アリールまたはビニルハライドまたはトリフラート[R’Y(式中、R’=アリールまたはビニル;Y=ハライドまたはOSOCF)]との、パラジウムで触媒されるカップリングであり、化合物R−R’を与える。典型的な触媒には、Pd(PPh、Pd(OAc)およびPdCl(dppf)が含まれる。PdCl(dppf)では、第一級アルキルボラン化合物を、β−脱離を伴うことなく、アリールまたはビニルハライドまたはトリフラートにカップリングさせることができる。極めて活性な触媒が識別された(例えば、J. P. Wolfe et al., J. Am. Chem. Soc. 1999 121(41):9550-9561 および A. F. Littke et al., J. Am. Chem. Soc. 2000 122(17):4020-4028 を参照されたい)。その反応は、トルエン、THF、ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、DMF、DMSOおよびアセトニトリルを含めたいろいろな有機溶媒中、水性溶媒中および二相条件下で行うことができる。反応は、典型的に、約室温〜約150℃で行われる。添加剤(例えば、CsF、KF、TlOH、NaOEtおよびKOH)は、しばしば、カップリングを促進する。Suzuki反応には、パラジウム源、リガンド、添加剤および温度を含めた 極めて多数のパラメーターが存在するので、最適条件は、時々、一定の反応対のためのパラメーターの最適化を必要とする。A. F. Littke et al., 上記は、アリールボロン酸でのSuzukiクロスカップリングのためのRTでPd(dba)/P(tert−Bu)を利用する高収率の条件;およびアリールトリフラートおよびビニルトリフラートのクロスカップリングのためのPd(OAc)/P(C11をRTで利用する条件を開示している。J. P. Wolf et al., 上記は、Pd(OAc)/o−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニルまたはo−(ジシクロヘキシリホスフィノ)ビフェニルを利用するSuzukiクロスカップリングのための有効な条件を開示している。当業者は、過度の実験を伴うことなく、最適条件を決定することができる。
【0118】
アミンのアシル化は、好都合には、アシルハライドまたは酸無水物について、DCM、CHCl、四塩化炭素、エーテル、THF、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、MeCN、DMF、NaOH水溶液またはスルホランなどの溶媒中において、場合により、無機または有機塩基の存在下、−20〜200℃の温度であるが、好ましくは、−10〜160℃の温度で行われる。典型的な有機塩基には、第三級アミンが含まれ、それには、TEA、ピリジンが含まれるが、これに制限されるわけではない。典型的な無機塩基には、KCOおよびNaHCOが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0119】
そのアシル化は、しかしながら、遊離酸について、場合により、酸活性化剤または脱水剤の存在下、例えば、クロロギ酸イソブチル、塩化チオニル、トリメチルクロロシラン、塩化水素、硫酸、メタンスルホン酸、p−TsOH、PCl、P、DCC、DCC/N−ヒドロキシスクシンイミドまたはHOBt、CDI、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート/NMM、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート/DIPEA、N,N’−チオニルジイミダゾールまたはPPh/CClの存在下において、−20〜200℃の温度であるが、好ましくは、−10〜160℃の温度で行うこともできる。
【0120】
置換アミンおよびスルファン(sulfanes)は、アミンまたはチオフェノールのアルキル化によって同様に製造することができる。
R”がフェニルエーテルである本発明によって包含される化合物は、適当に置換されたボロン酸のカップリングによって製造することができる(例えば、実施例8)。4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェノールなどのフェノールボロン酸のアルキル化は、いろいろな構造的に異なったボロン酸を与え、それを用いて、本明細書中に記載の化合物を製造することができる(例えば、実施例10)。
【0121】
フェノールのアルキル化は、典型的に、DMF、THF、NMP、MeCN、アセトン、DCMおよびDCEのような溶媒中において、0℃〜100℃の温度で行われる。典型的に用いられる塩基は、アルキルハライド、アルキルメシレートおよびアルキルトリフラートなどのアルキル化剤と一緒の、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジドおよびカリウムヘキサメチルジシラジドである。Mitsunobuカップリングなどの別の手順は、当該技術分野において周知であり、好都合なところで用いることができる。チオールまたはアミンの類似のアルキル化は、同様の条件下で行うことができる。
【0122】
R”が、ヘテロアリール残基で置換されたフェニル環である本発明によって包含される化合物は、A−2と、2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンまたはその当該技術分野において知られている誘導体などのボロン酸との、パラジウムで触媒されるカップリングによって製造する。
【0123】
HCV活性の阻害剤としての本発明の化合物の活性は、in vivoおよびin vitro検定を含めた、当業者に知られているいずれか適する方法によって測定することができる。例えば、式Iの化合物のHCV NS5B阻害活性は、Behrens et al., EMBO J. 1996 15:12-22、Lohmann et al., Virology 1998 249:108-118 および Ranjith-Kumar et al., J. Virology 2001 75:8615-8623 に記載の標準的な検定手順を用いて決定することができる。特に断らない限り、本発明の化合物は、このような標準検定において、in vitro HCV NS5B阻害活性を示した。本発明の化合物について用いられるHCVポリメラーゼ検定条件は、実施例20に記載されている。HCVのための細胞に基づくレプリコン系が開発されたが、そこにおいて、非構造タンパク質は、Huh7細胞中でサブゲノムウイルスRNAを安定して複製する(V. Lohmann et al., Science 1999 285:110 およびK. J. Blight et al., Science 2000 290:1972)。本発明の化合物について用いられる細胞に基づくレプリコン検定条件は、実施例21に記載されている。ウイルス非構造タンパク質および宿主タンパク質から成る精製済み機能性HCVレプリカーゼの不存在下において、Flaviviridae RNA合成についての本発明者の理解は、活性な組換えRNA依存性RNAポリメラーゼを用いた研究およびこれら研究のHCVレプリコン系における検証に由来する。in vitro 生化学検定の化合物での組換え精製HCVポリメラーゼの阻害は、そのポリメラーゼが、他のウイルスポリペプチドおよび細胞ポリペプチドと会合したレプリカーゼ複合体中に適当な化学量論で存在するレプリコン系を用いて検証することができる。HCV複製の細胞に基づく阻害の証明は、in vitro生化学検定でのHCV NS5B阻害活性の証明よりも、in vivo機能を予測するものでありうる。
【0124】
本発明の化合物は、広範囲の経口投与剤形および担体中で製剤化することができる。経口投与は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、ゼラチン硬および軟カプセル剤、液剤、乳剤、シロップ剤または懸濁剤の形でありうる。本発明の化合物は、他の投与経路の中でも、持続(静脈内滴注)局所非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮(浸透増強剤を包含してよい)、口腔、鼻、吸入および坐剤投与を含めた他の投与経路によって投与する場合に効力がある。好ましい投与方式は、概して、好都合な1日投与計画を用いた経口であり、それは、苦痛の程度および活性成分への患者の応答によって調整することができる。
【0125】
本発明の一つまたは複数の化合物、並びにそれらの薬学的に使用可能な塩は、一つまたはそれを超える慣用的な賦形剤、担体または希釈剤と一緒に、医薬組成物の形および単位剤形にすることができる。医薬組成物の形および単位剤形は、追加の活性化合物または因子を含んでまたは含むことなく、慣用的な成分を慣用的な比率で含んで成ることができ、そして単位剤形は、用いられる予定の1日投薬範囲に相応したいずれか適する有効量の活性成分を含有してよい。医薬組成物は、錠剤または充填剤入りカプセル剤などの固形剤、半固形剤、散剤、徐放性製剤、または液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤などの液状剤、または経口使用のための充填剤入りカプセル剤として;または直腸または膣内投与用の坐剤の形で;または非経口使用のための滅菌注射可能液剤の形であってよい。典型的な製剤は、約5%〜約95%の一つまたは複数の活性化合物(w/w)を含有するであろう。「製剤」または「剤形」という用語は、活性化合物の固形および液状双方の製剤を包含するものであり、当業者は、活性成分が、標的臓器または組織に依存しておよび所望の用量および薬物動態学的パラメーターに依存して、異なった製剤中に存在しうるということを理解するであろう。
【0126】
本明細書中で用いられる「賦形剤」という用語は、医薬組成物を製造する場合に有用である、概して、安全で、無毒性で、そして生物学的にもそれ以外にも望ましくないことがない化合物を意味し、獣医学的使用並びにヒトへの医薬使用に許容しうる賦形剤を包含する。本発明の化合物は、単独で投与することができるが、概して、予定の投与経路および標準的な医薬慣例に関して選択される一つまたはそれを超える適する医薬賦形剤、希釈剤または担体との混合物で投与されるであろう。
【0127】
「薬学的に許容しうる」は、それが、医薬組成物を製造する場合に有用である、すなわち、概して、安全で、無毒性で、そして生物学的にもそれ以外にも望ましくないことがないということを意味し、そしてそれが、ヒトへの医薬使用に許容しうるということを包含する。
【0128】
「薬学的に許容しうる塩」の形の活性成分は、非塩の形では不存在であった活性成分に、望ましい薬物動態学的性質を最初に与えることもでき、しかも体内でのその治療的活性に関して、活性成分の薬力学にプラスに影響することさえもできる。化合物の「薬学的に許容しうる塩」という句は、薬学的に許容しうる且つ親化合物の所望の薬理活性を有する塩を意味する。このような塩には、(1)酸付加塩であって、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等のような無機酸で形成されるもの;または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンフルスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等のような有機酸で形成されるもの;または(2)親化合物注に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアルミニウムイオンで置き換えられているか;またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン等のような有機塩基で配位している場合に形成される塩が含まれる。
【0129】
固形製剤には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤および分散性顆粒剤が含まれる。固形担体は、希釈剤、着香剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤またはカプセル封入材料として作用してもよい一つまたはそれを超える物質であってよい。散剤の場合、担体は、概して、微粉活性成分との混合物である微粉固体である。錠剤の場合、活性成分は、概して、必要な結合容量を有する担体と適する比率で混合し、そして望まれる形状およびサイズに圧縮する。適する担体には、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ロウ、カカオ脂等が含まれるが、これに制限されるわけではない。固形製剤は、活性成分に加えて、着色剤、着香剤、安定化剤、緩衝剤、人工および天然甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含有してよい。
【0130】
液状製剤も、経口投与に適し、それには、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤を含めた液状製剤が含まれる。これらには、使用直前に液状形製剤へ変換することを予定している固形製剤が含まれる。乳剤は、液剤中で、例えば、水性プロピレングリコール液剤中で製造してよいし、またはレシチン、ソルビタンモノオレアートまたはアラビアゴムなどの乳化剤を含有してよい。水性液剤は、活性成分を水中に溶解させ、そして適する着色剤、着香剤、安定化剤および増粘剤を加えることによって製造することができる。水性懸濁剤は、微粉活性成分を、天然または合成ガム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび他の周知の懸濁化剤などの粘稠材料と一緒に水中に分散させることによって製造することができる。
【0131】
本発明の化合物は、(例えば、注射、例えば、ボーラス注射または持続注入による)非経口投与用に製剤化することができ、そして添加保存剤を含むアンプル、プレフィルシリンジ(pre-filled syringes)、小容量注入または多数回用量容器中に単位用量の形で与えることができる。それら組成物は、油状または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤または乳剤、例えば、水性ポリエチレングリコール中の液剤のような形をとることができる。油状または非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)および注射可能有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が含まれ、そしてそれらは、保存剤、湿潤剤、乳化剤または懸濁化剤、安定化剤および/または分散助剤などの配合剤(formulatory agents)を含有してよい。或いは、活性成分は、使用前に適するビヒクル、例えば、滅菌発熱物質不含水で構成するための、滅菌固体の無菌単離によってまたは溶液からの凍結乾燥によって得られる粉末の形であってよい。
【0132】
本発明の化合物は、表皮への局所投与用に、軟膏剤、クリーム剤またはローション剤として、または経皮パッチとして製剤化することができる。軟膏剤およびクリーム剤は、例えば、水性または油状基剤で、適する増粘剤および/またはゲル化剤の添加を伴って製剤化することができる。ローション剤は、水性または油状基剤で製剤化することができ、概して、一つまたはそれを超える乳化剤、安定化剤、分散助剤、懸濁化剤、増粘剤または着色剤も含有するであろう。口内の局所投与に適する製剤には、着香済み基剤、通常は、スクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカント中に活性剤を含むロゼンジ;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性基剤中に活性成分を含むパステル剤;および適する液状担体中に活性成分を含む含嗽剤が含まれる。
【0133】
本発明の化合物は、坐剤としての投与用に製剤化することができる。脂肪酸グリセリドの混合物またはカカオ脂などの低融点ロウを、最初に溶融させ、そして活性成分を、例えば、撹拌することによって均一に分散させる。次に、溶融均一混合物を、好都合なサイズの型に注入し、冷却させ、そして凝固させる。
【0134】
本発明の化合物は、鼻内投与用に製剤化することができる。液剤または懸濁剤は、慣用的な手段によって、例えば、滴瓶、ピペットまたはスプレーで、鼻腔に直接的に適用する。それら製剤は、単回または多数回用量の形で与えることができる。滴瓶またはピペットの場合、これは、患者が、適当な所定容量の溶液または懸濁液を投与して達成することができる。スプレーの場合、これは、例えば、計量霧化スプレーポンプによって達成することができる。
【0135】
本発明の化合物は、特に、気道への、鼻腔内投与を含めたエアゾル投与用に製剤化することができる。化合物は、概して、例えば、5(5)ミクロンまたはそれ未満のオーダーの小さい粒子サイズを有するであろう。このような粒子サイズは、当該技術分野において知られている手段によって、例えば、超微粉砕によって得ることができる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)などの適する噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタンまたはジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素または他の適するガスを含む加圧パック中で与えられる。エアゾルは、好都合には、レシチンなどの界面活性剤を含有してもよい。薬物の用量は、計量バルブによって調節することができる。或いは、活性成分は、乾燥粉末、例えば、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドン(PVP)などのデンプン誘導体などの適する粉末基剤中の化合物の粉末配合物の形で与えることができる。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成するであろう。粉末組成物は、単位用量の形で、例えば、吸入器によって粉末を投与することができる、例えば、ゼラチンまたはブリスターパックのカプセルまたはカートリッジで与えることができる。
【0136】
医薬担体、希釈剤および賦形剤と一緒の適する製剤は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, edited by E. W. Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvania に記載されている。当製剤科学者は、明細書の内容の範囲内で製剤を修飾して、本発明の組成物を不安定にすることなくまたはそれらの治療的活性に影響することなく、特定の投与経路のための多数の製剤を提供することができる。
【0137】
例えば、本発明の化合物を水または他のビヒクル中に一層可溶性にする修飾は、当該技術分野において十分に常套技術の範囲内であるより少ない修飾(塩製剤化、エステル化等)によって容易に達成することができる。本化合物の薬物動態を患者への最大限有益な作用にするために、特定の化合物の投与経路および投薬計画を修飾することも、十分に当該常套技術の範囲内である。
【0138】
本明細書中で用いられる「治療的有効量」という用語は、個体の疾患の症状を減少させるのに必要な量を意味する。その用量は、各々の具体的な場合の個々の必要条件へ調整されるであろう。その投薬量は、処置される疾患の重症度、患者の年齢および全身健康状態、その患者が処置されている他の薬剤、投与経路および形態、および関与している医療の実務者の選択および経験などの多数の因子に依存して、広い限界内で変動することがありうる。経口投与には、1日につき約0.01〜約1000mg/kg体重の1日投薬量が、単独療法および/または組み合わせ療法において適当であるべきである。好ましい1日投薬量は、1日につき約0.1〜約500mg/kg体重、より好ましくは、0.1〜約100mg/kg体重、そして最も好ましくは、1.0〜約10mg/kg体重である。したがって、70kgのヒトへの投与には、投薬量範囲は、1日につき約7mg〜0.7gであると考えられる。その1日投薬量は、単回投薬量としてまたは分割投薬量で、典型的に、1日につき1〜5回の投薬量で投与することができる。概して、処置は、化合物の最適用量未満であるより少ない投薬量で開始する。その後、投薬量を、個々の患者に最適な作用に達するまで、僅かな増加量で増加させる。本明細書中に記載の疾患を処置している当業者は、過度の実験を伴うことなく且つ個人情報、経験および本出願の開示を信頼して、一定の疾患および患者のための本発明の化合物の治療的有効量を確かめることができるであろう。
【0139】
本発明の態様において、活性化合物または塩は、リバビリン、ヌクレオシドHCVポリメラーゼ阻害剤、別のHCV非ヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤またはHCVプロテアーゼ阻害剤などの別の抗ウイルス薬との組み合わせで投与することができる。活性化合物またはその誘導体または塩を、別の抗ウイルス薬との組み合わせで投与する場合、その活性は、親化合物を超えて増加することがありうる。その処置が、組み合わせ療法である場合、このような投与は、ヌクレオシド誘導体の場合に関して、同時または逐次的であってよ。したがって、本明細書中で用いられる「同時投与」には、同じ時点または異なった時点でのそれら物質の投与が含まれる。二つまたはそれを超える物質の同時点での投与は、二つまたはそれを超える活性成分を含有する単一製剤によって、または単一活性剤を含む二つまたはそれを超える剤形の実質的に逐次的な投与によって達成することができる。
【0140】
本明細書中で用いられる「治療的有効量」という用語は、個体の疾患の症状を減少させるのに必要な量を意味する。その用量は、各々の具体的な場合の個々の必要条件へ調整されるであろう。その投薬量は、処置される疾患の重症度、患者の年齢および全身健康状態、その患者が処置されている他の薬剤、投与経路および形態、および関与している医療の実務者の選択および経験などの多数の因子に依存して、広い限界内で変動することがありうる。経口投与には、1日につき約0.01〜約1000mg/kg体重の1日投薬量が、単独療法および/または組み合わせ療法において適当であるべきである。好ましい1日投薬量は、1日につき約0.1〜約500mg/kg体重、より好ましくは、0.1〜約100mg/kg体重、そして最も好ましくは、1.0〜約10mg/kg体重である。したがって、70kgのヒトへの投与には、投薬量範囲は、1日につき約7mg〜0.7gであると考えられる。その1日投薬量は、単回投薬量としてまたは分割投薬量で、典型的に、1日につき1〜5回の投薬量で投与することができる。概して、処置は、化合物の最適用量未満であるより少ない投薬量で開始する。その後、投薬量を、個々の患者に最適な作用に達するまで、僅かな増加量で増加させる。本明細書中に記載の疾患を処置している当業者は、過度の実験を伴うことなく且つ個人情報、経験および本出願の開示を信頼して、一定の疾患および患者のための本発明の化合物の治療的有効量を確かめることができるであろう。
【0141】
本発明の化合物および場合により、一つまたはそれを超える追加の抗ウイルス薬の治療的有効量は、ウイルス負荷量を減少させるまたは治療への持続ウイルス応答を達成するのに有効な量である。ウイルス負荷量に加えて、持続応答に有用な指標には、肝線維症、血清トランスアミナーゼレベルの上昇および肝臓の壊死性炎症活性が含まれるが、これに制限されるわけではない。マーカーの一つの一般的な例は、具体例であり且つ制限するものではないが、血清アラニントランスアミナーゼ(transminase)(ALT)であり、それは、標準的な臨床検定によって測定する。本発明のいくつかの態様において、有効な処置計画は、ALTレベルを約45IU/mL血清未満へ減少させるものである。
【0142】
例えば、本発明の化合物を水または他のビヒクル中に一層可溶性にする修飾は、当該技術分野において十分に常套技術の範囲内であるより少ない修飾(塩製剤化、エステル化等)によって容易に達成することができる。本化合物の薬物動態を患者への最大限有益な作用にするために、特定の化合物の投与経路および投薬計画を修飾することも、十分に当該常套技術の範囲内である。
【0143】
以下の実施例は、本発明の範囲内の化合物の製造および生物学的評価を詳しく説明する。以下のこれら実施例および製造例は、当業者が、本発明をより明確に理解し且つ実施することを可能にするために与えられる。それらは、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではなく、単に、本発明を詳しく説明し且つ代表するものとして解釈されるべきである。
【0144】
以下の実験手順において、SiOクロマトグラフィー溶離剤に関して本明細書中で用いられる「マジック(magic)」という用語は、60/10/1のDCM/MeOH/NHOH溶液を意味する。
【0145】
参考例1
6−ブロモ−1−(4−メチルベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(30)
【0146】
【化9】

【0147】
工程1−0℃に冷却したCHCl(20mL)およびHOAc(4mL)中の32a(1.58g,6.75mmol,CASRN07818−55−3)および4−メチルベンズアルデヒド(1mL,8.5mmol)の溶液に、NaBH(OAc)(1.6g,7.5mmol)を加えた。反応混合物を撹拌し、RTに温めた。(いくつかの場合、追加のアルデヒドおよびNaBH(OAc)を加えて、反応を完了させた。)その反応を、0℃に冷却し、2NのNaOHでクエンチし、DCMで抽出し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(2%〜5%EtOAc)で溶離して精製して、1.65gの32bを得た。
【0148】
工程2−ホルムアミド(12mL)中の32b(700mg,2.06mmol)のスラリーに、KOtBu(12mL,12mmol,THF中1.0M)を滴下した。反応混合物を、加熱して一晩還流させ、RTに冷却させ、HOの添加によってクエンチし、DCMで抽出した。合わせた抽出物を、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、60/10/DCM/MeOH/NHOH溶液およびDCMから成る勾配(98%〜85%DCM)で溶離して精製して、0.5gの30を得た。
【0149】
いくつかの場合、環化は、完了に至らなかった。これらの場合、出発物質および生成物の混合物を単離し、そして環化条件を再度施して、所望の生成物を得た。
参考例2
6−ブロモ−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン
【0150】
【化10】

【0151】
6−ブロモ−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(34)は、還元的アミノ化工程において、4−クロロベンズアルデヒドを用いたことを除いて、実施例1に記載の手順にしたがって合成した。
【0152】
参考例3
6−ブロモ−1−(trans−4−メチルシクロヘキシルメチル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(36)
【0153】
【化11】

【0154】
6−ブロモ−1−(trans−4−メチルシクロヘキシルメチル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(36)は、還元的アミノ化工程において、trans−4−メチルシクロヘキサンカルボアルデヒドを用いたことを除いて、実施例1に記載の手順にしたがって合成した。
【0155】
trans−4−メチルシクロヘキサンカルボアルデヒドは、trans−4−メチルシクロヘキサンカルボン酸から出発した合成した。TMSCHNでメチルエステル形成後、−78℃でのDibal還元は、trans−4−メチルシクロヘキサンカルボアルデヒドを生じた。
【0156】
参考例4
6−ブロモ−1−(2−フルオロ−4−メチルベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(35)
6−ブロモ−1−(2−フルオロ−4−メチルベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(35)は、還元的アミノ化工程において、2−フルオロ−4−メチルベンズアルデヒドを用いたことを除いて、実施例1に記載の手順にしたがって合成した。
【0157】
実施例1
ピリジン−2−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド(I−39)
【0158】
【化12】

【0159】
工程1−DMF(5mL)中の34(300mg,0.85mmol)、[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−フェニル]ボロン酸(260mg,1.1mmol)およびPd(PPh(125mg)のスラリーに、飽和NaCO水溶液(3mL)を加えた。反応混合物を、出発物質がすべて消費されるまで(約30分)、100℃で撹拌した。反応混合物を、RTに冷却し、HOでクエンチし、EtOAcで抽出し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、Magic/CHCl勾配(2%〜30%Magic)で溶離して精製して、250mgの38aを得た。
【0160】
いくつかの場合、反応混合物をクエンチ後、生成物は、反応をHOでクエンチ後に沈澱した。これらの場合、沈澱を集め、そして上澄みを、EtOAcで抽出し、乾燥させ(NaSO)、そしてSiOクロマトグラフィーを行った。
【0161】
工程2−38a(50mg)およびHCl−ジオキサン(1mL,ジオキサン中4.0M溶液)の溶液を、出発物質がすべて消費されるまで、RTで撹拌した。溶媒を蒸発させて、38bの塩酸塩を与え、それを、更に精製することなく用いた。
【0162】
工程3−DMF(1mL)およびTEA(0.05mL)中の工程2による38b、ピリジン−2−カルボン酸(20mg,0.16mmol)の溶液に、EEDQ(40mg,0.16mmol)を加えた。反応混合物を、60℃に加熱し、反応を完了し、RTに冷却後、HOでクエンチした。得られた固体を集めて、10mgのI−39を得た。
2517ClNS[M+H]のMS理論値473。実測値473;1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 10.87 (幅広 s, 1H), 8.78-8.73 (m, 1H), 8.67 (s, 1H), 8.21-8.15 (m, 1H), 8.13-8.03 (m, 3H), 7.86-7.79 (m, 3H), 7.74-7.68 (m, 1H), 7.46 (s, 4H), 5.49 (s, 2H)。
【0163】
5−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド(I−46)は、工程3において、ピリジン−2−カルボン酸を5−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸(CASRN15069−92−8)で置き換え、そしてEEDQをHATUで置き換えたことを除いて、同様に製造した。
【0164】
4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−N−フェニルベンズアミド(I−47)は、工程1において、[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−フェニル]ボロン酸をB−[4−[(フェニルアミノ)カルボニル]フェニル]−ボロン酸(CASRN330793−45−8)で置き換え、そして工程2および工程3を省いたことを除いて、同様に製造した。
【0165】
6−ビフェニル−4−イル−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−13)は、工程1において、[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−フェニル]ボロン酸をB−(4−フェニルフェニル)ボロン酸(CASRN5122−94−1)で置き換え、そして工程2および工程3を省いたことを除いて、同様に製造した。
【0166】
1−(4−クロロ−2−フルオロベンジル)−6−フェニル−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−21)は、工程1において、[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−フェニル]ボロン酸をフェニルボロン酸(CASRN98−80−6)で置き換え、34を35で置き換え、そして工程2および工程3を省いたことを除いて、同様に製造した。
【0167】
1−(4−クロロベンジル)−6−(4−クロロフェニル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−22)は、工程1において、[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−フェニル]ボロン酸を4−クロロフェニルボロン酸(CASRN1679−18−1)で置き換え、34を30で置き換え、そして工程2および工程3を省いたことを除いて、同様に製造した。
【0168】
1−(4−クロロベンジル)−6−(4−フェノキシフェニル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−24)は、工程1において、[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−フェニル]ボロン酸を4−フェノキシフェニルボロン酸(CASRN 51067−38−0)で置き換え、そして工程2および工程3を省いたことを除いて、同様に製造した。
【0169】
6−(4−ブトキシ−3−クロロフェニル)−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−25)は、工程1において、[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−フェニル]ボロン酸を4−ブトキシ−3−クロロフェニルボロン酸(CASRN480438−55−9)で置き換え、そして工程2および工程3を省いたことを除いて、同様に製造した。
【0170】
1−(4−クロロベンジル)−6−p−トリル−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−29)は、工程1において、[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−フェニル]ボロン酸を4−tert−ブチルフェニルボロン酸(CASRN123324−71−0)で置き換え、34を30で置き換え、そして工程2および工程3を省いたことを除いて、同様に製造した。
【0171】
N−{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アセトアミド(I−37)は、ピリジンおよびDMAPの存在下における無水酢酸での38bのアセチル化によって製造した。
【0172】
4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−ベンゾニトリル(I−52)は、工程1において、[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−フェニル]ボロン酸を4−シアノフェニルボロン酸(CASRN126747−14−6)で置き換え、そして工程2および工程3を省いたことを除いて、同様に製造した。
【0173】
4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−安息香酸(I−56)は、I−52を製造するのに用いた4−シアノフェニルボロン酸(CASRN126747−14−6)とのSuzukiカップリングから単離した。
【0174】
1−(4−クロロベンジル)−6−(4−ピロリジン−1−イルフェニル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−56)は、工程1において、[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−フェニル]ボロン酸を4−(ピロリジン−1−イル)−ベンゼンボロン酸(CASRN229009−41−0)で置き換え、そして工程2および工程3を省いたことを除いて、同様に製造した。
【0175】
ピロリジン−1−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド(I−54)は、工程3において、38bを、逐次的にDCIおよびピロリジンで処理することによって尿素を製造することができることを除いて、同様に製造することができる。
【0176】
実施例2
N−{2−クロロ−4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−ヒドロキシブチルアミド(I−30)
【0177】
【化13】

【0178】
工程1−DMF(5mL)中の34(500mg,0.85mmol)、4−アミノ−3−クロロフェニルボロン酸ピナコールエステル(465mg,1.84mmol)およびPd(PPh(250mg)のスラリーに、飽和NaCO水溶液(3.5mL)を加えた。反応混合物を、出発物質が消費されるまで、100℃で撹拌した。反応混合物を、RTに冷却後、HOクエンチした。得られた沈澱を、濾過後、逐次的に、ヘキサン/EtOAcおよびヘキサン/DCMで洗浄して、417mgの6−(4−アミノ−3−クロロフェニル)−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(40)を得た。C1913ClOS[M+H]のMS理論値402。実測値402。
【0179】
工程2−AlMe(0.25mL,2.0M,0.5mmol)を、DCM(0.5mL)中の40(50mg,0.12mmol)のスラリーに加えた。その混合物を、15分間撹拌後、γ−ブチロラクトン(0.02mL)を加え、その混合物を、30℃で48時間撹拌した。混合物を、RTに冷却し、1NのHCLを加え、固体を集めた。この固体を、30%ヘキサン/70% Magic で展開するSiOの分取TLC上で精製して、10mgのN−{2−クロロ−4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−ヒドロキシブチルアミド(I−30)を得た。
2319ClS[M+H]のMS理論値488。実測値488。
1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 9.57 (幅広 s, 1H), 8.67 (s, 1H), 7.99-7.87 (m, 3H), 7.75-7.69 (m, 1H) 7.45 (s, 4H), 5.49 (s, 2H), 4.51 (t, 1H), 3.46 (q, 2H), 2.49 (t, 2H), 1.81-1.68 (m, 2H)。
【0180】
I−35は、工程2において、γ−ブチロラクトンをα−メチルブチロラクトンで置き換えたことを除いて、同様に製造した。
実施例3
ピリジン−2−カルボン酸{2−クロロ−4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド(I−1)
【0181】
【化14】

【0182】
ピリジン−2−カルボニルクロリド塩酸塩(40mg,0.23mmol)を、0℃で維持したDCM中の40(50mg,0.12mmol)およびTEA(0.05mL,0.37mmol)のスラリーに加えた。反応混合物を、一晩撹拌し、RTに温めた。反応混合物を、35℃で3日間撹拌した。固体を集め、逐次的に、DCM、MeOHおよびHOで洗浄して、30mgのI−1を得た。
2516ClS[M+H]のMS理論値507。実測値507:
1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 10.78 (幅広 s, 1H), 8.81-8.76 (m, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.55 (d, 1H), 8.28-8.06 (m, 3H), 7.99 (s, 1H), 7.90-7.82 (m, 1H), 7.80-7.72 (m, 1H), 7.48 (m, 4H), 5.49 (s, 2H)。
【0183】
実施例4
N−{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−2−フルオロフェニル}−ベンズアミド(I−14)
【0184】
【化15】

【0185】
工程1−DMF(3mL)中の34(200mg,0.56mmol)、4−Boc−アミノ−3−フルオロフェニルボロン酸(200mg,0.78mmol)およびPd(PPh(90mg)のスラリーに、飽和NaHCO水溶液(1.2mL)を加えた。反応混合物を、出発物質が消費されるまで、70℃で撹拌し、RTに冷却し、HOでクエンチした。その溶液を、EtOAcで抽出し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、Magic/DCM勾配(2%〜30% Magic)で溶離して精製して、200mgの{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−2−フルオロフェニル}−カルバミン酸tert−ブチル(42)を得た。
2421ClFNS[M+H]のMS理論値486。実測値486。
【0186】
工程2−HCl−ジオキサン(1mL,4.0M溶液)を、42(70mg)に加えた。反応混合物を、出発物質がすべて消費されるまで、RTで撹拌した。その反応を濃縮して、6−(4−アミノ−3−フルオロフェニル)−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(44)をHCl塩として得て、それを、更に精製することなく次の工程に用いた。
【0187】
工程3−0℃で維持したDCM中の工程2によるHCl塩44およびTEA(33μL,0.24mmol)のスラリーに、塩化ベンゾイル(17μL,0.14mmol)を加えた。反応混合物を、RTで一晩撹拌した。その混合物を、40% Magic/60%DCMで展開するSiOの分取TLCプレート上で精製後、Magic/DCM勾配(0%〜20% Magic)で溶離するSiOカラムクロマトグラフィーで精製して、1.8mgのI−14を得た。
2617ClFNS[M+H]のMS理論値490。実測値490:
1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 10.28 (幅広 s, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.03-7.97 (m, 2H), 7.97 (s, 1H), 7.88-7.78 (m, 2H), 7.69-7.49 (m, 4H), 7.48 (m, 4H), 5.49 (s, 2H)。
【0188】
実施例5
2−アミノピリミジン−4−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド(I−8)
【0189】
【化16】

【0190】
工程1−HCl−ジオキサン(1mL,4.0M)を、38a(70mg)に加え、反応混合物を、出発物質がすべて消費されるまで、RTで撹拌した。溶媒を真空中で除去して、38bをHCl塩として得て、それを、更に精製することなく次の工程に用いた。
【0191】
工程2−DMF中の38bのHCl塩、2−アミノピリミジン−4−カルボン酸(30mg,0.22mmol)およびEEDQ(54mg,0.22mmol)の溶液に、TEA(56μL,0.41mmol)を加えた。反応混合物を、60℃に加熱した。更に試薬を加え、そして反応を、38bがすべて消費されるまで、65℃で撹拌した。反応を真空中で濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、Magic/DCM勾配(0%〜20% Magic)で溶離して精製して、僅かに不純なI−8を生じ、それを、逐次的に、DCMおよびMeOHで洗浄して、6.3mgの所望の生成物を得た。C2417ClNS[M+H]のMS理論値489。実測値489:1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 10.49 (幅広 s, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.53 (d, 1H), 7.99-7.79 (m, 5H), 7.48 (m, 4H), 7.16 (d, 1H), 6.95 (bs, 2H), 5.49 (s, 2H)。
【0192】
5−メチルフラン−2−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド(I−3)は、2−アミノピリミジン−4−カルボン酸を5−メチルフラン−2−カルボン酸(CASRN1917−15−3)で置き換えたことを除いて、同様に製造した。
【0193】
2−アミノ−N−{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−イソニコチンアミド(I−9)は、2−アミノピリミジン−4−カルボン酸を2−アミノイソニコチン酸(CASRN13362−28−2)で置き換えたことを除いて、同様に製造した。
【0194】
ピラジン−2−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド(I−12)は、2−アミノピリミジン−4−カルボン酸をピラジン−2−カルボン酸(CASRN98−97−5)で置き換えたことを除いて、同様に製造した。
【0195】
5−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド(I−15)は、2−アミノピリミジン−4−カルボン酸を5−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(CASRN402−61−9)で置き換えたことを除いて、同様に製造した。
【0196】
4−メチルオキサゾール−5−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド(I−18)は、2−アミノピリミジン−4−カルボン酸を4−メチル−5−オキサゾールカルボン酸(CASRN2510−32−9)で置き換えたことを除いて、同様に製造した。
【0197】
イソオキサゾール−5−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド(I−32)は、2−アミノピリミジン−4−カルボン酸を5−イソオキサゾールカルボン酸(CASRN21169−71−1)で置き換えたことを除いて、同様に製造した。
【0198】
実施例6
N−{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2,5−ジフルオロベンズアミド(I−7)
【0199】
【化17】

【0200】
工程1−0℃で維持したDCM中の38bのHCl塩(50mg)およびTEA(35μL,0.25mmol)の溶液に、2,5−ジフルオロベンゾイルクロリド(26mg,0.15mmol)を加えた。反応混合物を、2時間撹拌し、RTに加温した。固体を集め、DCMで洗浄して、16mgのI−7を得た。C2616ClFS[M+H]のMS理論値508。実測値508。1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 10.70 (幅広 s, 1H), 8.72 (s, 1H), 8.00-7.40 (m, 12H), 5.49 (s, 2H)。
【0201】
実施例7
ピリジン−2−カルボン酸{6−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド(I−40)
【0202】
【化18】

【0203】
工程1−DMF(5mL)中の34(150mg,0.42mmol)、5−アミノピリジン−2−ボロン酸ピナコールエステル(150mg,0.68mmol;CASRN1176723−60−6)およびPd(PPh(150mg)のスラリーに、飽和NaCO水溶液(3mL)を加えた。反応混合物を、出発物質がすべて消費されるまで、95℃で撹拌し、RTに冷却し、HOでクエンチした。固体を濾過し、逐次的に、ヘキサン/EtOAcおよびヘキサン/DCMで洗浄して、25mgの6−(5−アミノピリジン−2−イル)−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(46)を得た。C1813ClNOS[M+H]のMS理論値469。実測値469。
【0204】
工程2−ピリジン−2−カルボニルクロリド塩酸塩(17mg,0.10mmol)を、0℃で維持したDCM中の46(20mg,0.05mmol)およびTEA(17μL,0.12mmol)の溶液に加えた。反応混合物を、35℃で3時間撹拌後、追加の試薬を加え、その混合物を、35℃で更に2時間撹拌した。反応を真空中で濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、Magic/CHCl勾配(0%〜20%Magic)で溶離して精製して、僅かに不純なI−40を生じ、それを、HOおよびDCMで洗浄して、1mgの所望の生成物を得た。C2416ClNS[M+H]のMS理論値474。実測値474;1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 10.99 (幅広 s, 1H), 9.11 (s, 1H), 8.80-8.73 (m, 1H), 8.61 (s, 1H), 8.53-8.45 (m, 1H), 8.22-8.02 (m, 3H), 7.98 (s, 1H), 7.75-7.66 (m, 1H), 7.48 (s, 4H), 5.49 (s, 2H)。
【0205】
実施例8
ピリジン−2−カルボン酸{5−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−ピリジン−2−イル}−アミド(I−41)
【0206】
【化19】

【0207】
工程1−DMF(1.2mL)中の34(100mg,0.45mmol)、2−アミノピリジン−5−ボロン酸ピナコールエステル(0.100g,0.45mmol,CASRN827614−64−2)およびPd(PPh(70mg)のスラリーに、飽和NaCO水溶液(0.7mL)を加えた。反応混合物を、出発物質がすべて消費されるまで、70℃で撹拌し、RTに冷却させ、HOでクエンチした。固体を集め、逐次的に、ヘキサン/EtOAcおよびヘキサン/DCMで洗浄して、70mgの6−(6−アミノピリジン−3−イル)−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(48)を得た。C1813ClNOS[M+H]のMS理論値369。実測値369。
【0208】
工程2−ピリジン−2−カルボニルクロリド塩酸塩(52mg,0.29mmol)を、0℃で維持したDCM中の48(60mg,0.16mmol)およびEtN(50μL,0.36mmol)の溶液に加えた。反応混合物を、撹拌し、室温に一晩温めた。更に、試薬を加え、その混合物を、更に10日間撹拌した。固体を集め、逐次的に、DCM、MeOHおよびHOで洗浄して、10mgのピリジン−2−カルボン酸{5−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−ピリジン−2−イル}−アミド(I−41)を得た。C2416ClNS[M+H]のMS理論値474。実測値474:1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 10.62 (幅広 s, 1H), 8.89 (d, 1H), 8.80-8.76 (m, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.43-8.08 (m, 4H), 7.99 (s, 1H), 7.79-7.71 (m, 1H), 7.52-7.43 (m, 4H), 5.49 (s, 2H)。
【0209】
実施例9
6−(4−ベンジルオキシ−3−クロロフェニル)−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−44)
【0210】
【化20】

【0211】
小スターバーが入っているマイクロ波バイアルに、34(142.5mg)および4−ベンジルオキシ−3−クロロボロン酸(266mg,ASRN845551−44−2)、KCO(372mg)およびPd(dppf)Cl(30mg)を入れた。ジオキサン(4mL)およびHO(1mL)を加え、そしてその溶液中に、アルゴンを短時間通気した。バイアルにキャップし、そしてマイクロ波シンセサイザー中において125℃で45分間照射した。冷却後、バイアルを開け、そして内容物をブライン中に注ぎ、その溶液を、DCMで2回抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、勾配(1/1のヘキサン/EtOAc中の5%MeOH、次に、EtOAc中の5%MeOH)で段階的に溶離して精製して、29mgのI−44を黄褐色固体として得た。
【0212】
実施例10
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(ピリジン−2−イルメトキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−28)
【0213】
【化21】

【0214】
工程1−フラスコに、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェノール(510mg,CASRN269409−70−3,50)およびピリジン−2−イルメタノール(280mg)、PPh(690mg)を入れた後、DCM(20mL)中に溶解させた。その溶液を、0℃に冷却し、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.57mL)を加え、そして冷却浴を除去した。30分後、その反応を、SiOパッドを介して通過させ、溶媒を除去した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、20%EtOAc/ヘキサンで溶離して精製して、610mgの2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェノキシメチル]−ピリジン(52)を白色固体として得た。
【0215】
工程2−小スターバーが入っているマイクロ波バイアルに、34(108mg)および52(135mg)を入れた後、NaCO(255mg)およびPd(PPh(15mg)を入れた。トルエン(2.5mL)、EtOH(1mL)およびHO(0.5mL)を添加後、アルゴンを、その溶液中に短時間通気した。バイアルを密封し、そしてマイクロ波シンセサイザー中において110℃に45分間照射した。反応混合物を冷却し、DCMで希釈し、有機抽出物を、逐次的に、HOおよびブラインで洗浄した。抽出物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた固体を、EtOAc、MeOHおよびヘキサンで摩砕して、91mgのI−28を固体として得た。
【0216】
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(ピリジン−3−イルメトキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−50)は、工程1において、ピリジン−2−イルメタノールをピリジン−3−イルメタノールで置き換えたことを除いて、同様に製造した。DCMおよびヘキサンで摩砕することによって得られた生成物は、255〜257℃の融点を示した。
【0217】
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(ピリジン−4−イルメトキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−58)は、工程1において、ピリジン−2−イルメタノールをピリジン−4−イルメタノールで置き換えたことを除いて、同様に製造した。DCMおよびヘキサンで摩砕することによって得られた生成物は、257〜259℃の融点を示した。
【0218】
実施例11
6−[4−(4−アミノ−6−メチルピリミジン−2−イルメトキシ)−フェニル]−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−45)
【0219】
【化22】

【0220】
工程1−アセトン(40mL)中の2−ヨードメチル−6−メチルピリミジン−4−イルアミン(580mg,CASRN108260−15−7)および50(500mg)の溶液を、KCO(1g)で処理し、アルゴン下において50℃で一晩加熱した。その反応を冷却し、1:1のEtOAc/ヘキサン(200mL)中に注いだ。その溶液を、逐次的に、HOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(50〜100%EtOAc)で溶離して精製して、6−メチル−2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェノキシメチル]−ピリミジン−4−イルアミン(54)を得た。
【0221】
工程2−小スターバーが入っているマイクロ波バイアルに、34(103mg)および54(123mg)、NaCO(122mg)およびPd(PPh(10mg)を入れた後、DCM(2.5mL)、MeOH(2.5mL)およびHO(0.1mL)を加えた。アルゴンを、その溶液中に短時間通気し、バイアルを密封し、そしてマイクロ波シンセサイザー中において105℃で35分間照射した。反応を冷却後、混合物をDCMで希釈し、そして逐次的に、HOおよびブラインで洗浄した。抽出物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、蒸発させた。得られた固体を熱DCM、MeOHおよびヘキサンで摩砕することで、74mgのI−45を黄色固体として得た。mp272〜274℃。
【0222】
次のものは、指定の臭化ベンジルでの50のアルキル化によって製造された適当なボロン酸をクロスカップリングすることにより、同様に製造した。1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(3−トリフルオロメチルフェノキシメチル)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(3−トリフルオロメチルベンジルブロミド,CASRN402−23−2)、1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(4−クロロベンジルオキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(4−クロロベンジルブロミド,CASRN622−95−7)、1−(4−クロロベンジル)−6−(4−フェノキシメチルフェニル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(臭化ベンジル)、1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(4−クロロ−3−メチルフェノキシメチル)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(CASRN117890−58−1)、1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(4−メトキシベンジルオキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−11,CASRN2746−25−0)、1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(4−フルオロベンジルオキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−5,CASRN459−46−1)、1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(2−メトキシベンジルオキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(1−(ブロモメチル)−2−メトキシベンゼン,CASRN52289−93−7)、1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェノキシメチル)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−31,2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ベンジルブロミド,CASRN237761−77−20)、1−(4−クロロベンジル)−6−[3−クロロ−4−(ピリジン−2−イルメトキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−6,2−ヨードメチルピリジン,CASRN929876−97−1)、1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(ピラジン−2−イルメトキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−16,2−ヨードメチルピラジン,CASRN120276−51−9)、1−(4−クロロベンジル)−6−[3−(4−フルオロベンジルオキシメチル)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−34,1−(ブロモメチル)−4−フルオロベンゼン,CASRN459−46−1)。
【0223】
実施例12
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(ピリジン−2−イルメチルスルファニル)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−48)
【0224】
【化23】

【0225】
工程1−p−ブロモチオフェノール(380mg,2mmol)および2−ブロモメチルピリジン臭化水素酸塩(500mg,2mmol,CASRN31106−82−8)を、DMF(10mL)中のNaCO(1g)と一緒に一晩撹拌した。その混合物を、EtOと水とに分配し、そして生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(0〜20%EtOAc)で溶離して精製して、2−(4−ブロモフェニルスルファニルメチル)−ピリジン(56)を得た。
【0226】
工程2−ジオキサン中の56、KOAc(800mg)、ビス−(ピナコラート)ジボロン(1g)およびPdCl(dppf)(150mg)の溶液を、100℃で一晩加熱した。その混合物を、EtOとHOとに分配した。ボリネートエステルを、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(0〜25%EtOAc)で溶離して精製して、2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニルスルファニルメチル]−ピリジン(58)を得た。
【0227】
工程3−58および34のパラジウムで触媒されるクロスカップリングは、実施例11の工程2に記載の手順にしたがって行った。
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(ピリジン−3−イルメチルスルファニル)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−51)は、工程1において、2−ブロモメチルピリジン臭化水素酸塩を3−ブロモメチルピリジン臭化水素酸塩(CASRN4916−55−6)で置き換えたことを除いて、同様に製造した。
【0228】
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(ピリジン−4−イルメチルスルファニル)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−60)は、工程1において、2−ブロモメチルピリジン臭化水素酸塩を4−ブロモメチルピリジン臭化水素酸塩(CASRN73870−24−3)で置き換えたことを除いて、同様に製造した。
【0229】
6−(4−ベンジルスルファニルフェニル)−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−20)は、工程1において、2−ブロモメチルピリジン臭化水素酸塩を臭化ベンジルで置き換えたことを除いて、同様に製造した。
【0230】
実施例13
6−(4−ベンジルアミノフェニル)−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−49)
【0231】
【化24】

【0232】
38aのDCM(10mL)および等容量のジオキサン中4MのHClの懸濁液を、1時間撹拌後、蒸発させた。得られた生成物の半分をDMF(1mL)中に含有する溶液に、臭化ベンジル(60μL,1eq.)およびDIPEA(200μL)を加えた。反応を完了後、その混合物を、EtOAcと水とに分配した。生成物を、5%MeOH/DCMで展開するSiOの分取TLCプレート上で精製して、10mgの60を得た。
【0233】
1−(4−クロロベンジル)−6−{4−[(ピリジン−2−イルメチル)−アミノ]−フェニル}−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オンは、2−ブロモメチルピリジンを臭化ベンジルの代わりに用いたことを除いて、同様に製造した。
【0234】
実施例14
6−[4−(7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−フェニル]−1−(4−メチルベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−38)
【0235】
【化25】

【0236】
工程1−DMF(6mL)および飽和NaCO水溶液(3mL)中の5−ブロモ−3−(2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチル(62,200mg,0.60mmol)および5−メチル−2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イルアミン(64,316mg,0.9mmol,CASRN642589−62−0)のスラリーに、Pd(PPh(98mg)を加えた。反応混合物を、100℃に3時間加熱後、RTに冷却した。溶媒を除去し、そして粗生成物を、SiOクロマトグラフィー(Isco)により、10%MeOH/DCMで溶離して精製して、75mgの66aを得た。C2116S[M+H]のMS理論値476。実測値476。(いくつかの場合、トリフルオロアセトアミド基が(部分)加水分解した)。
【0237】
工程2−水性KCOを、MeOH中の66aの溶液に加えた。反応を完了後、溶媒を除去し、そして粗生成物66bを、更に精製することなく次の工程に用いた。
工程3−0℃に冷却したDCM(1mL)およびHOAc(21μL)中の66b(75mg,0.2mmol)および4−メチルベンズアルデヒド(67,25μL,0.36mmol)の溶液に、NaBH(OAc)(53mg,0.25mmol)を加えた。反応混合物を、撹拌し且つRTに加温した。追加のアルデヒドおよびNaBH(OAc)を加えて、反応を完了させた。その混合物を、10%MeOH/DCMで展開する分取SiOプレート上で精製して、100mgの68を得た。C2725S[M+H]のMS理論値484。実測値484。
【0238】
工程4−ホルムアミド(0.06mL)およびDMF(1mL)中の68(100mg,0.21mmol)の溶液に、NaOMe(0.15mL,MeOH中25%)を加えた。反応混合物を、100℃に加熱後、RTに冷却し、そして30%MeOH/DCMで展開するSiOの分取TLSプレート上で精製して、5mgのI−38を得た。C2722OS[M+H]のMS理論値479。実測値479。1H NMR (MeOH-d4, 300 MHz, 2 Hs は認められない): δ 8.49 (s, 1H), 8.18-8.09 (m, 2H), 7.85-7.79 (m, 2H), 7.67 (s, 1H), 7.35-7.20 (m, 4H), 6.69 (s, 1H), 6.05 (s, 1H), 5.51 (s, 2H), 2.41 (s, 3H), 2.31 (s, 3H)。
【0239】
実施例15
1−(4−メチルベンジル)−6−(4−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルフェニル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−57)
【0240】
【化26】

【0241】
工程1−DMF(2mL)および飽和NaCO水溶液(1.3mL)中の62(100mg,0.29mmol)および2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(141mg,0.44mmol,CASRN642589−50−6)のスラリーに、Pd(PPh(47mg)を加えた。反応混合物を、100℃に2時間加熱後、RTに冷却した。溶媒を除去し、そして残留物を、SiOクロマトグラフィー(Isco)により、Magic/DCM勾配(0%〜20% Magic)で溶離して精製して、100mgの3−(4−メチルベンジルアミノ)−5−(4−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルフェニル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(70)を得た。C2622S[M+H]のMS理論値455。実測値455。
【0242】
工程2−ホルムアミド(0.06mL)およびDMF(1mL)中の70(100mg,0.22mmol)の溶液に、NaOMe(0.14mL,MeOH中25%)を加えた。反応混合物を、120℃に加熱後、RTに冷却し、そして30%のMagic/DCMで展開するSiOの分取TLCプレート上で精製して、2mgのI−57を得た。C2619OS[M+H]のMS理論値450。実測値450;1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 9.15 (d, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.55 (d, 1H), 8.18 (d, 2H), 7.99 (s, 1H), 7.92 (d, 2H), 7.26 (s, 1H), 7.35 (d, 2H), 7.19 (s, 2H), 7.06 (m, 1H), 5.46 (s, 2H), 2.24 (s, 3H)。
【0243】
6−(4−フロ[3,2−b]ピリジン−2−イルフェニル)−1−(4−メチルベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−19)は、工程1において、2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンを、2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−フロ[3,2−b]ピリジンで置き換えたことを除いて、同様に製造する。
【0244】
実施例16
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−フェニル]−1H−チエノ[3,2d]ピリミジン−4−オン(I−33)
【0245】
【化27】

【0246】
DMF(1mL)および飽和NaCO水溶液(1.4mL)中の34(50mg,0.14mmol)および2−メチル−5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−[1,3,4]オキサジアゾール(43mg,0.15mmol,CASRN913835−70−8)のスラリーに、Pd(PPh(46mg)を加えた。反応混合物を、100℃に1時間加熱後、RTに冷却した。溶媒を除去し、そして粗生成物を、SiOクロマトグラフィー(Isco)により、Magic/DCM勾配(0%〜30% Magic)で溶離して精製して、12mgのI−33を得た。C2215ClNS[M+H]のMS理論値435、実測値435。1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 8.70 (s, 1H), 8.12-8.00 (m, 4H), 8.03 (s, 1H), 7.47 (s, 4H), 5.52 (s, 2H), 2.61 (s, 3H)。
【0247】
実施例17
6−[4−(7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−3−クロロフェニル]−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−2)
【0248】
【化28】

【0249】
DMF(1mL)および飽和NaCO水溶液(0.7mL)中の34(50mg,0.14mmol)および4−(7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−3−クロロフェニルボロン酸(51mg,0.17mmol)のスラリーに、Pd(PPh(23mg)を加えた。反応混合物を、100℃に1時間加熱後、RTに冷却した。溶媒を除去し、そして粗生成物を、SiOクロマトグラフィー(Isco)により、Magic/DCM勾配(0%〜20% Magic)で溶離して精製して、16mgのI−2を得た。C2618ClOS[M+H]のMS理論値533。実測値533。1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 8.69 (s, 1H), 8.14-8.09 (m, 3H), 7.87 (dd, 1H), 7.62 (幅広 s, 2H), 7.48 (s, 4H), 6.77 (s, 1H), 6.04 (s, 1H), 5.52 (s, 2H), 2.38 (s, 3H)。
【0250】
6−[4−(7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−3−クロロフェニル]−1−(4−メチルシクロヘキシルメチル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オンは、34を36で置き換えたことを除いて、同様に製造して、6mgのI−4を得た。C2727ClNOS[M+H]のMS理論値519。実測値519;1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 8.42 (s, 1H), 8.20-8.18 (m, 2H), 8.12 (d, 1H), 7.94 (dd, 1H), 7.62 (幅広 s, 2H), 6.78 (s, 1H), 6.05 (s, 1H), 4.10 (d, 2H), 2.39 (s, 3H), 1.90-0.90 (m, 10H), 0.85 (d, 3H)。
【0251】
6−[6−(7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−ピリジン−3−イル]−1−(4−メチルシクロヘキシルメチル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オンは、34を36で置き換えたこと、および4−(7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−3−クロロフェニルボロン酸を、2−(7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−ピリジン−5−イルボロン酸で置き換えたことを除いて、同様に製造して、13mgのI−43を得た。C2627OS[M+H]のMS理論値486。実測値486。1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 9.19 (s, 1H), 8.48-8.40 (m, 2H), 8.29 (d, 1H), 8.18 (s, 1H), 7.65 (幅広 s, 2H), 6.85 (s, 1H), 6.04 (s, 1H), 4.10 (d, 2H), 2.39 (s, 3H), 1.90-0.90 (m, 10H), 0.85 (d, 3H)。
【0252】
6−[6−(7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−ピリジン−3−イル]−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オンは、4−(7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−3−クロロフェニルボロン酸を、2−(7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−ピリジン−5−イルボロン酸で置き換えたことを除いて、同様に製造して、2mgのI−42を得た。C2518ClNOS[M+H]の理論値500。実測値500。1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 9.10 (s, 1H), 8.71 (s, 1H), 8.37-8.25 (m, 2H), 8.06 (s, 1H), 7.65 (幅広 s, 2H), 7.54-7.45 (m, 4H), 6.84 (s, 1H), 6.05 (s, 1H), 5.52 (s, 2H), 2.39 (s, 3H)。
【0253】
実施例18
6−[4−(2−アミノピリミジン−4−イル)−フェニル]−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−10)
【0254】
【化29】

【0255】
工程1−ジオキサン(7mL)中の4−(4−ブロモフェニル)−ピリミジン−2−イルアミン(300mg,1mmol)、ビス(ピナコラート)ジボラン(400mg,1.6mmol)、KOAc(330mg,3.3mmol)のスラリーに、Pd(dppf)Cl(60mg)を加えた。反応混合物を、100℃に2時間加熱後、RTに冷却した。溶媒を除去した。残留物を、DCM中に溶解させ、HOで洗浄し、乾燥させた(NaSO)。濃縮すると、若干の生成物が析出し、それを集めて、90mgの4−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−ピリミジン−2−イルアミン(70)と該当するボロン酸の混合物を得た。
【0256】
工程2−DMF(1.2mL)および飽和NaCO水溶液(0.7mL)中の34(60mg,1.2mmol)および70と該当するボロン酸の混合物(50mg)のスラリーに、d(PPh(50mg)を加えた。反応混合物を、70℃に1.5時間加熱後、RTに冷却した。HOおよびEtOAcを加え、得られた沈澱を集めて、12mgのI−10を得た。C2316ClNOS[M+H]のMS理論値446。実測値446。1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): δ 8.69 (s, 1H), 8.36 (d, 1H), 8.24-8.16 (m, 2H), 7.99 (m, 1H), 7.97-7.90 (m, 2H), 7.48 (s, 4H), 7.19 (d, 1H), 6.71 (幅広 s, 2H), 5.52 (s, 2H)。
【0257】
実施例19
6−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−1−(4−メチルベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(I−53)
【0258】
【化30】

【0259】
工程1−DMF(4.5mL)および飽和NaCO水溶液(1.9mL)中の5−ブロモ−3−(4−メチルベンジルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチル(154mg,0.45mmol)および[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−メタノール(158mg,0.68mmol)のスラリーに、Pd(PPh(73mg)を加えた。反応混合物を、100℃に3時間加熱後、RTに冷却した。溶媒を除去し、そして粗生成物を、SiOクロマトグラフィー(Isco)により、EtOAc/ヘキサン勾配(0%〜30%EtOAc)で溶離して精製して、255mgの5−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−3−(4−メチルベンジルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチル(72)を得た。C2121NOS[M+H]のMS理論値368。実測値368。
【0260】
工程2−ホルムアミド(0.2mL)およびDMF(4mL)中の72(255mg,0.7mmol)の溶液に、NaOMe(0.38mL,MeOH中25%)を加えた。反応混合物を、100℃に加熱した。その反応を、RTに冷却し、そして30%MeOH/DCMで展開するSiOの分取TLCプレート上で精製して、26mgのI−53を得た。C2118S[M+H]のMS理論値363。実測値363;1H NMR (MeOH-d4, 300 MHz, 1 H は認められない): δ 8.58 (s, 1H), 7.74-7.69 (m, 2H), 7.60 (s, 1H), 7.48-7.41 (m, 2H), 7.30-7.19 (m, 4H), 5.50 (s, 2H), 4.65 (s, 2H), 2.31 (s, 3H)。
【0261】
実施例20
HCV NS5B RNAポリメラーゼ活性
HCVポリメラーゼ(NS5B570n−Con1)の酵素活性を、酸性不溶性RNA産物中への放射性標識ヌクレオチド一リン酸の取込みとして測定した。取込まれていない放射性標識基質を、濾過によって除去し、そしてシンチラント(scintillant)を、洗浄し且つ乾燥させた放射性標識RNA産物含有フィルタープレートに加えた。反応の最後にNS5B570n−Con1によって生成されたRNA産物の量は、シンチラントによる発光量に正比例した。
【0262】
酵素活性検定に用いられるHCVポリメラーゼは、HCV Con1株である遺伝子型1b(GenBank 受託番号AJ242654)由来の完全長HCVポリメラーゼの21アミノ酸C末端欠失(NS5B570n−Con1)である。そのNS5B570n−Con1を、プラスミド発現コンストラクトpET17bのT7プロモーターの下流にサブクローン化し、そしてタンパク質発現用に、大腸菌(E. coli)菌株BL21(DE3)pLysS中に形質転換させた。単一コロニーを用いて、100μg/mLのアンピシリンを補足したLB培地中の10L培養のための接種材料を37℃で開始した。タンパク質発現は、600nMでの培養物の光学濃度が0.8の時点で、0.25mMイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加によって誘発した。タンパク質発現の誘発は、30℃で16時間行い、その後、細胞を遠心分離によって採取した。NS5B570n−Con1は、Ni−NTA、SP−Sepharose HPおよび Superdex 75樹脂上の続きのカラムクロマトグラフィーを含めた三カラム精製プロトコルを用いて精製して、均一にした。
【0263】
cIRES RNA鋳型(段落[00213]を参照されたい)の存在下の酵素反応は、20nM cIRES RNA、20nM NS5B570n−Con1酵素、0.5μCiのトリチウム化UTP(Perkin Elmer カタログ番号TRK−412;比活性:30〜60Ci/mmol;)、各1μMのATP、CTPおよびGTP、40mM Tris−HCl pH8.0、40mM NaCl、4mM DTT(ジチオトレイトール)、4mM MgCl2、5μlのDMSO中で連続希釈した化合物、および50μlの最終反応容量へのヌクレアーゼ不含水を含有した。ポリA RNA鋳型(段落[00213]を参照されたい)の存在下の酵素反応は、20nMプレミックス済み Poly A:オリゴ(rU)16(0004の項を参照されたい)、20nM NS5B570n−Con1酵素、1μCiのトリチウム化UTP(Perkin Elmer カタログ番号TRK−412;比活性:30〜60Ci/mmol)、40mM Tris−HCl pH8.0、40mM NaCl、4mM DTT(ジチオトレイトール)、4mM MgCl2、5μlのDMSO中で連続希釈した化合物、および50μlの最終反応容量へのヌクレアーゼ不含水を含有した。反応混合物は、96ウェルフィルタープレート(cat#MADVN0B,Millipore Co.)中で集成し、そして30℃で2時間インキュベートした。反応を、10%最終(v/v)トリクロロ酢酸の添加によって止め、4℃で40分間インキュベートした。反応を濾過し、8反応容量の10%(v/v)トリクロロ酢酸酢酸、4反応容量の70%(v/v)エタノールで洗浄し、自然乾燥させ、そして25μlのシンチラント(Microscint 20,Perkin-Elmer)を、各々の反応ウェルに加えた。
【0264】
二つのRNA鋳型を用いて、本明細書中に記載の化合物を検定した。cIRES RNA鋳型は、377ヌクレオチド長さであり、部分相補的配列(36ヌクレオチド)のコアタンパク質と、その次の341ヌクレオチドの相補的配列の内部リボソームエントリー部位(internal ribosome entry site)から成った。ポリA RNA鋳型(GE Amersham カタログ番号27−4110)は、オリゴ(rU)16プライマーに3対1(プライマー−鋳型)のモル比でプレアニーリングしたホモポリマーRNAであった。
【0265】
シンチラントからの発光量は、Topcount(登録商標)プレートリーダー[Perkin-Elmer、エネルギー範囲(Energy Range):低、効率モード(Efficiency Mode):普通、カウント時間(Count Time):1分、バックグラウンド差引(Background Subtract):なし、クロストーク減少(Cross talk reduction):オフ]で、カウント/分(CPM)へ変換した。
【0266】
データは、Excel(登録商標)(Microsoft(登録商標))および ActivityBase(登録商標)(idbs(登録商標))で分析した。酵素の不存在下における反応を用いて、バックグラウンドシグナルを決定し、それを、酵素反応から差し引いた。正対照反応は、化合物の不存在下で行い、それにより、バックグラウンド補正済み活性を、100%ポリメラーゼ活性として設定した。データは全て、正対照の百分率として表した。酵素で触媒されるRNA合成速度を50%減少させた化合物濃度(IC50)は、方程式(i)
【0267】
【数1】

【0268】
を、「Y」が、(%での)相対酵素活性に相当し、「%Min」が、飽和化合物濃度で残留する相対活性であり、「%Max」が、相対最大酵素活性であり、「X」が、化合物濃度に相当し、そして「S」が、Hill係数(または勾配)であるデータに適合することによって計算した。
【0269】
HCVレプリコン検定
この検定は、HCV RNA複製を阻害する式Iの化合物の能力、したがって、HCV感染の処置のためのそれらの潜在的有用性を測定する。その検定は、細胞内HCVレプリコンRNAレベルの簡単な読取りとしてレポーターを利用する。Renillaルシフェラーゼ遺伝子を、内部リボソームエントリー部位(IRES)配列直後の、遺伝子型1bレプリコンコンストラクトNK5.1(N. Krieger et al., J. Virol. 2001 75(10):4614)の最初のオープンリーティングフレーム中に導入し、そして口蹄疫ウイルスからの自己切断ペプチド2Aによってネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)遺伝子と融合させた(M.D. Ryan & J. Drew, EMBO 1994 13(4):928-933)。in vitro転写後、そのRNAを、ヒト肝細胞癌Huh7細胞中にエレクトロポレーションし、そしてG418耐性コロニーを単離し且つ増殖させた。安定して選択される細胞系2209−23は、複製性HCVサブゲノムRNAを含有し、そのレプリコンによって発現されるRenillaルシフェラーゼの活性は、細胞中のそのRNAレベルを反映する。検定は、化合物の抗ウイルス活性および細胞障害性を測定するために、二重反復プレートで、すなわち、不透明白色のものと、透明なもので行い、平行して、認められる活性は、減少した細胞増殖のためでも細胞死のためでもないことを確かめた。
【0270】
Renilla ルシフェラーゼレポーターを発現するHCVレプリコン細胞(2209−23)を、5%ウシ胎仔血清(FBS,Invitrogen カタログ番号10082−147)を含む Dulbecco’s MEM(Invitrogen カタログ番号10569−010)中で培養し、96ウェルプレート上に5000個細胞/ウェルでプレーティングし、そして一晩インキュベートした。24時間後、増殖培地中の異なった希釈度の化合物を、それら細胞に加えた後、それらを、37℃で更に3日間インキュベートした。そのインキュベーション時間の最後に、白色プレート中の細胞を採取し、そしてルシフェラーゼ活性を、R.ルシフェラーゼ検定システム(Promega カタログ番号E2820)を用いることによって測定した。次の段落中に記載の試薬は全て、製造者のキット中に包含されており、それら試薬の製造については、製造者の取扱説明書にしたがった。それら細胞を、100μl/ウェルのリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.0)(PBS)で1回洗浄し、そして20μlの1xR.ルシフェラーゼ検定溶解緩衝液で溶解後、室温で20分間インキュベーションした。次に、プレートを、Centro LB960マイクロプレートルミノメーター(Berthold Technologies)中に挿入し、100μlのR.ルシフェラーゼ検定緩衝液を、各々のウェルに注入し、そしてシグナルを、2秒遅れ2秒測定プログラムを用いて測定した。レプリコンレベルを、未処理細胞対照値に関して50%減少させるのに必要な薬物の濃度であるIC50は、上記のように、ルシフェラーゼ活性の減少百分率対薬物濃度のプロットから計算することができる。
【0271】
Roche Diagnostic 製のWST−1試薬(カタログ番号1644807)を、細胞障害性検定に用いた。10マイクロリットルのWST−1試薬を、ブランクとして培地単独が入っているウェルを含めた透明プレートの各ウェルに加えた。次に、細胞を、37℃で2時間インキュベートし、そしてOD値を、MRX Revelation 微量滴定プレートリーダー(Lab System)を用いて450nmで測定した(650nmで基準フィルター)。再度、細胞増殖を、未処理細胞対照値に関して50%減少させるのに必要な薬物の濃度であるCC50は、上記のように、WST−1値の減少百分率対薬物濃度のプロットから計算することができる。
【0272】
【表2】

【0273】
実施例22
いくつかの経路による投与用の本化合物の医薬組成物を、この実施例に記載のように製造した。
【0274】
【表3】

【0275】
それら成分を混合し、計量分配して、約100mgを各々含有するカプセル剤とする。一つのカプセルが、全1日投薬量に近いと考えられる。
【0276】
【表4】

【0277】
それら成分を一緒にし、メタノールなどの溶媒を用いて造粒する。次に、その製剤を乾燥させ、適当なタブレット成形機で成形して、(約20mgの活性化合物を含有する)錠剤とする。
【0278】
【表5】

【0279】
それら成分を混合して、経口投与用の懸濁液を形成する。
【0280】
【表6】

【0281】
活性成分を、注射用水の一部分に溶解させる。次に、その溶液を等張にする十分量の塩化ナトリウムを、撹拌しながら加える。溶液を、残りの注射用水で重量調整し、0.2ミクロンメンブランフィルターを介して濾過し、無菌条件下で包装する。
【0282】
前述の説明または請求の範囲に開示され、それらの具体的な形で、または開示の機能を実行する手段または開示の結果を達成する方法またはプロセスによって表される特徴は、適宜、単独にまたはこのような特徴のいずれかの組み合わせで、本発明をその異なった形で実現するのに利用することができる。
【0283】
前述の発明は、明確さおよび理解のために、図解および実施例によってある程度詳細に記載した。請求の範囲の範囲内で変更および修飾を行うことができるということは、当業者に明らかであろう。したがって、上の説明は、詳しく説明するためのものであり、制限するものではないということは理解されるはずである。本発明の範囲は、したがって、上の説明に関して決定されるべきではなく、それよりも、請求の範囲に関して、このような請求の範囲が与えられる均等物の全範囲と一緒に決定されるべきである。
【0284】
本明細書中に挙げられている特許、公開出願および科学文献は、当業者の知識を与え、これによって、各々具体的に且つ個々に援用される場合と同程度にそのまま援用される。本明細書中に引用されるいずれかの参考文献と、本明細書中の具体的な内容との間の不一致はいずれも、後者を支持して解決されるであろう。同様に、語句の技術的に理解される定義と、本明細書中に具体的に示されている語句の定義との間の不一致はいずれも、後者を支持して解決されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(式中、Rは、フェニルまたはピリジニルであって、
(a)C1−6アルキル、
(b)C1−6アルコキシ、
(c)ハロゲン、
(d)フェニル−C1−6アルコキシであって、該フェニルが、C1−3アルコキシ、ハロゲン、C1−3アルキルまたはC1−3−ハロアルキルより選択される1〜3個の基で独立して置換されていてよいもの、
(e)フェニル、
(f)ヘテロアリール−C1−3アルコキシ、ここにおいて、ヘテロアリール基は、ピリジニル、ピリミジニルまたはピラジニルであって、該ヘテロアリールが、アミノ、C1−6アルキル、ハロゲンまたはC1−6アルコキシより選択される1個または2個の基で独立して置換されていてよいものである;
(g)フェノキシメチルであって、アミノ、C1−6アルキル、ハロゲンまたはC1−6アルコキシより選択される1個または2個の基で独立して置換されていてよいもの;
(h)ピリジニルメチルスルファニル、
(i)ヘテロアリール、ここにおいて、該ヘテロアリール基は、ピリジニル、[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル、フロ[3,2−b]ピリジン−2−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルであり、そして該ヘテロアリールは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、C1−3ジアルキルアミノ、環状アミンより選択される1〜3個の基で独立して置換されていてよい、
(j)フェニル−C1−3アルキルスルファニル、
(k)ヒドロキシ、
(l)ハロゲン、
(m)カルボキシル、
(n)シアノ、
(p)C1−6ヒドロキシアルキル、
(p)CONR
(q)NR
(r)NHC(O)NRおよび
(s)水素
から成る群より選択される1〜3個の基で置換されていてよいものであり;
は、ハロゲン、C1−3アルキルまたはC1−3アルコキシであり、そしてnは、0〜2であり;
およびRは、
(i)個々で、独立して、
(a)C1−6アルコキシカルボニル、
(b)ベンジル、
(c)ヒドロキシ−C1−6アルカノイル、
(d)C1−6アシル、
(e)フェニルカルボニルであって、該フェニルが、C1−3アルコキシ、ハロまたはヒドロキシより選択される1〜3個の基で独立して置換されていてよいもの、
(f)ヘテロアリールカルボニル、ここにおいて、該ヘテロアリール基は、置換されていてよいピラゾール、2−メチルフラン−5−イルカルボニル、ピリミジニル−4−カルボニル、オキサゾール−5−イルカルボニル、ピラジン−2−イルカルボニル、ピリジニルカルボニルであって、該ヘテロアリールカルボニルが、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、C1−3ジアルキルアミノ、環状アミンまたはC1−6ヒドロキシアルコキシより独立して選択される1個または2個の基で置換されていてよいものである、
(g)水素
であり、または
(ii)それらが結合している窒素と一緒になって、環状アミンであり;
およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル、フェニルであり;
は、フェニルであって、(a)C1−6アルキル、(b)C1−6アルコキシ、(c)ハロゲン、(d)NR、(e)シアノ、(f)C1−3ハロアルキルおよび(g)ヒドロキシから成る群より選択される1〜3個の基で置換されていてよいもの、または、C3−7シクロアルキルであって、C1−4アルキル、ハロゲンまたはC1−4アルコキシより選択される1〜3個の基を含んでよいものであり;
およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6スルホニルであり;
およびRは、独立して、水素またはC1−3アルキルであり、または、それらが結合している窒素と一緒になって、ピロリジンまたはピペリジンを形成し;
は、水素またはC1−6アルキルである)
による化合物、またはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
式Ia
【化2】

(式中、R1aは、置換されていてよいp−フェニレンであり、R1bは、NRであり、Rは、水素であり、そしてRは、ヒドロキシ−C1−6アルカノイル、C1−6アシル、置換されていてよいフェニルカルボニルまたは置換されていてよいヘテロアリールカルボニルである)
を有する化合物を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、フェニルであって、ハロゲンまたはC1−6アルキルで置換されていてよいものであり、R1aが、p−フェニレンであって、ハロゲンで更に置換されていてよいものであり、そしてRおよびRが、水素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、置換されていてよいフェニルカルボニルまたは置換されていてよいヘテロアリールカルボニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
1aが、置換されていてよいp−フェニレンであり、R1bが、置換されていてよいヘテロアリールであり、そしてRおよびRが、水素である式Iaを有する化合物を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
1bが、置換されていてよいピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルであり、そしてRが、フェニルであって、ハロゲンまたはC1−6アルキルで置換されていてよいものである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
1bが、7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
1aが、置換されていてよいp−フェニレンであり、そしてR1bが、置換されていてよいフェニル−C1−3アルコキシまたは置換されていてよいヘテロアリールメトキシである式Iaを有する化合物を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
1bが、置換されていてよいベンジルオキシであり、そしてRおよびRが、水素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
ピリジン−2−カルボン酸{2−クロロ−4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
6−[4−(7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−3−クロロフェニル]−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
5−メチルフラン−2−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
6−[4−(7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−3−クロロフェニル]−1−(4−メチルシクロヘキシルメチル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(4−フルオロベンジルオキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
1−(4−クロロベンジル)−6−[3−クロロ−4−(ピリジン−2−イルメトキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
N−{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−2,5−ジフルオロベンズアミド;
2−アミノピリミジン−4−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
2−アミノ−N−{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−イソニコチンアミド;
6−[4−(2−アミノピリミジン−4−イル)−フェニル]−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(4−メトキシベンジルオキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
ピラジン−2−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
6−ビフェニル−4−イル−1−(4−メチルベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
N−{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−2−フルオロフェニル}−ベンズアミド;
5−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(ピラジン−2−イルメトキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
4−メチルオキサゾール−5−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
6−(4−フロ[3,2−b]ピリジン−2−イルフェニル)−1−(4−メチルベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
6−(4−ベンジルスルファニルフェニル)−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
1−(2−フルオロ−4−メチルベンジル)−6−フェニル−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
6−(4−クロロフェニル)−1−(4−メチルベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
1−(4−クロロベンジル)−6−{4−[(ピリジン−2−イルメチル)−アミノ]−フェニル}−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
1−(4−クロロベンジル)−6−(4−フェノキシフェニル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
1−(4−クロロベンジル)−6−(3−クロロ−4−プロポキシフェニル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
N−{2−クロロ−4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−3−メトキシベンズアミド;
1−(2−ヒドロキシ−4−メチルベンジル)−6−フェニル−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(ピリジン−2−イルメトキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン
6−(4−tert−ブチルフェニル)−1−(4−メチルベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
N−{2−クロロ−4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−ヒドロキシブチルアミド;
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェノキシメチル)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
イソオキサゾール−5−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
1−(4−クロロベンジル)−6−[3−(4−フルオロベンジルオキシメチル)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
N−{2−クロロ−4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−4−ヒドロキシ−2−メチルブチルアミド;
4−[1−(4−メチルベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−安息香酸;
N−{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アセトアミド;
6−[4−(7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−フェニル]−1−(4−メチルベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
ピリジン−2−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
ピリジン−2−カルボン酸{6−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド;
ピリジン−2−カルボン酸{5−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−ピリジン−2−イル}−アミド;
6−[6−(7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−ピリジン−3−イル]−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
6−[6−(7−アミノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−ピリジン−3−イル]−1−(4−メチルシクロヘキシルメチル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
6−(4−ベンジルオキシ−3−クロロフェニル)−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
6−[4−(4−アミノ−6−メチルピリミジン−2−イルメトキシ)−フェニル]−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
5−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−N−フェニルベンズアミド;
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(ピリジン−2−イルメチルスルファニル)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
6−(4−ベンジルアミノフェニル)−1−(4−クロロベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(ピリジン−3−イルメトキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(ピリジン−3−イルメチルスルファニル)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−ベンゾニトリル;
6−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−1−(4−メチルベンジル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
ピロリジン−1−カルボン酸{2−クロロ−4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−フェニル}−アミド;
N−{4−[1−(4−クロロベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル]−2−フルオロフェニル}−イソブチルアミド;
1−(4−クロロベンジル)−6−(4−ピロリジン−1−イルフェニル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
1−(4−メチルベンジル)−6−(4−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルフェニル)−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(ピリジン−4−イルメトキシ)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン;および
1−(4−クロロベンジル)−6−[4−(ピリジン−4−イルメチルスルファニル)−フェニル]−1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン、
から成る群より選択される請求項1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に許容しうる塩。
【請求項11】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染を処置するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項12】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染を処置するための、少なくとも一つの免疫系モジュレーターおよび/またはHCVの複製を阻害する少なくとも一つの抗ウイルス薬との組み合わせでの、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項13】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染を処置する薬剤の製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項14】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染を処置する薬剤の製造のための、少なくとも一つの免疫系モジュレーターおよび/またはHCVの複製を阻害する少なくとも一つの抗ウイルス薬との組み合わせでの、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項15】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染を処置するためのキットであって、請求項1に記載の化合物と、少なくとも一つの免疫系モジュレーターおよび/またはHCVの複製を阻害する少なくとも一つの抗ウイルス薬とを含むキット。
【請求項16】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染を処置する方法であって、それを必要としている患者に、治療的有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項17】
少なくとも一つの免疫系モジュレーターおよび/またはHCVの複製を阻害する少なくとも一つの抗ウイルス薬を投与することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
免疫系モジュレーターが、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子またはコロニー刺激因子である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
免疫系モジュレーターが、インターフェロンまたは化学誘導体インターフェロンである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
抗ウイルス化合物が、HCVプロテアーゼ阻害剤、別のHCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCVプライマーゼ阻害剤およびHCV融合阻害剤から成る群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の化合物が送達される細胞中においてHCVの複製を阻害する方法。
【請求項22】
組成物であって、請求項1に記載の化合物を、少なくとも一つの薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤と混合した状態で含む組成物。

【公表番号】特表2013−505912(P2013−505912A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530235(P2012−530235)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063832
【国際公開番号】WO2011/036128
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】