説明

複素環式誘導体、その調製および治療上の使用

本発明は、式(I)の化合物


(式中、Xは、−C−、−SO−、−C−N(R)−C−N(R)−基を表し;Yは、酸素原子またはイオウ原子を表し;Rは、水素原子またはC−Cアルキル基を表し;Rは、C−Cアルキル基、炭素環基、C−C12非芳香族炭素環基により置換されたメチル、フェニル、フェノキシメチル、ベンジル、ベンズヒドリル、ベンズヒドリルメチル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラゾリル、フリル、チエニル基;インドリル;ベンゾフリルを表し;Rは、置換または非置換のフェニルを表し;Rは、置換または非置換のフェニルを表し;Rは、水素原子またはC−Cアルキルを表す。)ならびにこれらの塩および溶媒和物に関する。また、本発明は、これを調製するための方法およびその治療上の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複素環式誘導体、これらの調製およびこれらの治療上の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ジアリールオキサゾールカルボキサミド誘導体は、特許出願WO2005/080357およびBioorg.Med.Chem.Lett.、2005年、15、1441ページにカンナビノイド受容体の調節物質として記載されており;ジアリールチアゾールカルボキサミド誘導体は、特許出願WO2003/078413およびWO2004/058255、ならびにJ.Med.Chem.、2005年,48、1823ページに記載されている。
【0003】
特許出願WO2006/074445は、カンナビノイドCBおよびCB受容体に対する活性を有する、様々な複素環式化合物(特にチアゾールおよびオキサゾール誘導体)について記載している。
【発明の開示】
【0004】
今、カンナビノイドCB受容体に対するアンタゴニスト特性を有する新規な複素環式誘導体が発見された。
【0005】
本発明の1つの主題は、以下の式に相当する化合物である。
【0006】
【化5】

[上記式において、
Xは、次式の基を表し;
【0007】
【化6】

Yは、酸素原子またはイオウ原子を表し;
は、水素原子または(C−C)アルキル基を表し;
は、
(C−C)アルキル;
非置換であるまたは(C−C)アルキルで1回もしくは複数回置換されたC−C12非芳香族炭素環基;
非置換であるまたは(C−C)アルキルで炭素環上で1回もしくは複数回置換されたC−C12非芳香族炭素環基で置換されたメチル;
非置換であるまたはハロゲン原子、(C−C)アルキル、ヒドロキシル、(C−C)アルキオキシ、シアノ、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基から;またはフェニル、フェノキシ、ピロリル、イミダゾリル、ピリジルもしくはピラゾリル基(前記基は、非置換であるまたは(C−C)アルキルで1回または複数回置換されている。)から独立に選択された置換基で1回もしくは複数回置換されたフェニル;
メチル上で非置換であるまたは1つもしくは2つの(C−C)アルキル基でメチル上で置換され、フェニル上で非置換であるまたはハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、トリフルオロメチル基およびトリフルオロメトキシ基から独立に選択された1つもしくは複数の置換基でフェニル上で置換されたフェノキシメチル;
非置換であるまたはハロゲン原子、シアノ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、トリフルオロメチル基およびトリフルオロメトキシ基から独立に選択された置換基によってフェニル上で1回もしくは複数回置換された;または(C−C)アルキルおよび(C−C)シクロアルキルから選択された1つもしくは2つの同じもしくは異なる基でα−置換されたベンジル;
ベンジヒドリルまたはベンズヒドリルメチル基;
非置換であるまたは(C−C)アルキルで1回もしくは複数回置換された1,2,3,4−テトラヒドロナフチル;
ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラゾリル、フリルまたはチエニル基(前記基は、非置換であるまたはハロゲン原子、(C−C)アルキルもしくはトリフルオロメチル基から独立に選択された1つもしくは複数の置換基によって置換されている。);
非置換であるまたはハロゲン原子および(C−C)アルキルから独立に選択された置換基で1回もしくは複数回置換されたインドリル;
非置換であるまたはハロゲン原子および(C−C)アルキルから独立に選択された置換基で1回もしくは複数回置換されたベンゾフリル
を表し;
は、非置換であるまたはハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、トリフルオロメチルもしくはトリフルオロメトキシ基およびS(O)Alk基から独立に選択された置換基で1回もしくは複数回置換されたフェニルを表し;
は、非置換であるまたはハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、トリフルオロメチルもしくはトリフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基およびS(O)Alk基から独立に選択された置換基で1回もしくは複数回置換されたフェニルを表し;
は、水素原子または(C−C)アルキルを表し;
nは、0、1または2を表し;
Alkは、(C−C)アルキルを表し、
ただし、Xが−CO−またはCONR−基を表すとき、Rは、
非置換であるまたは(C−C)アルキルで1回もしくは複数回置換されたC−C非芳香族炭素環基;
非置換であるまたはハロゲン原子、(C−C)アルキル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、シアノおよびトリフルオロメチル基から、または1−ピロリルもしくは1−ピラゾリル基から独立に選択された置換基で1回または複数回置換されたフェニル;
非置換であるまたは(C−C)アルキルで1回もしくは複数回置換された1,2,3,4−テトラナフタレン;
ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラゾリル、フリルまたはチエニル基(前記基は、非置換であるまたはハロゲン原子、(C−C)アルキルもしくはトリフルオロメチル基から独立に選択された1つもしくは複数の置換基で置換されている。);
非置換であるまたはハロゲン原子および(C−C)アルキルから独立に選択された置換基で1回もしくは複数回置換されたインドリル;
非置換であるまたはハロゲン原子および(C−C)アルキルから独立に選択された置換基で1回もしくは複数回置換されたベンゾフリル
以外である。]
【0008】
式(I)の化合物は、1個または複数の不斉炭素原子を含むことができる。したがって、これらはエナンチオマーまたはジアステレオマーの形態で存在することができる。これらのエナンチオマーおよびジアステレオマー、さらにラセミ混合物を含むその混合物は、本発明の一部を成す。
【0009】
式(I)の化合物は、水和物または溶媒和物の形態、すなわち1つもしくは複数の水分子または溶媒との会合または組合せの形態で存在することができる。そのような水和物および溶媒和物も、本発明の一部を成す。
【0010】
「ハロゲン原子」という用語は、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素原子を意味する。
【0011】
「(C−C)アルキル」および「(C−C)アルキル」という用語は、それぞれメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシルまたはヘプチル基などの、1個から4個の炭素原子またはそれぞれ1個から7個の炭素原子の直鎖または分枝のアルキル基を意味する。
【0012】
「(C−C)アルコキシ」という用語は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、第二ブトキシまたは第三ブトキシ基などの、1個から4個の炭素原子の直鎖または分枝のアルコキシ基を意味する。
【0013】
「(C−C12)非芳香族炭素環基」という用語は、単環式基または融合もしくは架橋した二環式もしくは三環式基を意味し;「単環式基」という用語は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルなどの、シクロアルキルを意味し(ここでは、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル基が好ましい。);「融合または架橋した二環式または三環式基」という用語は、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチルまたはアダマンチルを意味する。
【0014】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、−Y−が酸素原子を表す式(I)のオキサゾール−およびY−がイオウ原子を表す式(I)のチアゾールについて言及する。
【0015】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、
−X−が−CO−基を表し、置換基RからRが式(I)の化合物の定義の通りである式(IA)の化合物;
−X−が−SO−基を表し、置換基RからRが式(I)の化合物の定義の通りである式(IB)の化合物;
−X−が−CON(R)−基を表し、置換基RからRが式(I)の化合物の定義の通りである式(IC)の化合物;
−X−が−CSN(R)−基を表し、置換基RからRが式(I)の化合物の定義の通りである式(ID)の化合物
について言及する。
【0016】
より具体的には、
Yが酸素原子を表し、Xが−CO−基を表し、置換基RからRが(I)の定義の通りである式(IA)のオキサゾール;
Yがイオウ原子を表し、Xが−CO−基を表し、置換基RからRが(I)の定義の通りである式(IA)のチアゾール;
Yがイオウ原子を表し、Xが−SO−基を表し、置換基RからRが(I)の定義の通りである式(IB)のオキサゾール;
Yがイオウ原子を表し、Xが−SO−基を表し、置換基RからRが(I)の定義の通りである式(IB)のチアゾール;
Yが酸素原子を表し、Xが−CON(R)−基を表し、置換基RからRが(I)の定義の通りである式(IC)のオキサゾール;
Yがイオウ原子を表し、Xが−CON(R)−基を表し、置換基RからRが(I)の定義の通りである式(IC)のチアゾール;
Yが酸素原子を表し、Xが−CSN(R)−基を表し、置換基RからRが(I)の定義の通りである式(ID)のオキサゾール;
Yがイオウ原子を表し、Xが−CSN(R)−基を表し、置換基RからRが(I)の定義の通りである式(IE)のチアゾール
について言及する。
【0017】
本発明の主題である化合物の中で、好ましい化合物は、
が水素原子を表し、
が(I)の定義の値のうちの1つを有し;
およびRが2,4−ジクロロフェニルおよび4−クロロフェニル、2−クロロフェニルおよび4−クロロフェニルまたは2,4−ジクロロフェニルおよび4−メトキシフェニルを表す式(I)の化合物およびその水和物または溶媒和物である。
【0018】
特に最も好ましい化合物は、置換基R、RおよびRが上記の定義の通りであり、Rが(C−C)アルキル、ベンズヒドリルメチル基から選択された基を表す式(I)の化合物およびその水和物または溶媒和物である。
【0019】
また、好ましい化合物は、置換基R、RおよびRが上記の定義の通りであり、Rが、
ハロゲン原子、(C−C)アルキルおよびトリフルオロメチル基から独立に選択された置換基で1回または複数回置換されたフェニル;
非置換であるまたは(C−C)アルキルで置換されたピラゾリル基;
非置換であるまたは(C−C)アルキルで置換された2−インドリル基
から選択された基を表す式(IB)および(ID)の化合物およびその水和物または溶媒和物である。
【0020】
本発明によれば、式(I)の化合物は、
次式の化合物を
【化3】

(式中、R、RおよびRは、請求項1に記載の式(I)の化合物の定義の通りである。)
式(IA)の化合物(式中、−X−は−CO−基を表す。)を調製する必要があるとき、次式の酸もしくはこの酸の機能的誘導体
HOOC−R (III)
(式中、Rは、式(IA)の化合物の定義の通りである。)
により処理する;または
式(IB)の化合物(式中、−X−は−SO−基を表す。)を調製する必要があるとき、
次式のハロゲン化スルホニル
Hal−SO−R (IV)
(式中、Rは、請求項1に記載の式(I)の化合物の定義の通りであり、Halは、ハロゲン原子を表す。)
により処理する;または
式(IC)の化合物(式中、−X−は−CON(R)−基を表す。)を調製する必要があるとき、
次式のハロホルメート
HalCOOAr (V)
(式中、Halは、ハロゲン原子を表し、Arは、フェニルまたは4−ニトロフェニルを表す。)
により処理し、次式の中間体化合物を得、
【化4】

(式中、R、RおよびRは、請求項1に記載の式(I)の化合物の定義の通りである。)この中間体を次いで次式のアミン
HN(R)R (VII)
(式中、RおよびRは、式(I)の化合物の定義の通りである。)
と反応させる;または
式(ID)の化合物(式中、−X−は、−CSNH−基を表す。)を調製する必要があるとき、
イソチオシアネート
N=C=S (VIII)
により処理する
ことを特徴とする方法に従って調製することができる。
【0021】
必要に応じて、式(IC)または式(ID)の化合物(式中、Rは、(C−C)アルキル基を表す。)は、式(I)に相当する化合物(式中、Rは、水素原子を表す。)に対するアルキル化反応を通して調製することができる。
【0022】
場合によって、式(I)の化合物を、その酸付加塩に置き換える。
【0023】
式(II)の化合物を、式(III)自体の酸と処理するとき、この方法は、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム(BOP)またはヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム(PyBOP)またはテトラフルオロホウ酸2−(1Hベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム(TBTU)などのペプチド化学において使用されるカップリング剤の存在下の、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたは4−ジメチルアミノピリジンなどの塩基の存在下において、ジクロロメタン、ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランなどの溶媒中において、−10℃と溶媒の還流温度の間の温度にて実施される。
【0024】
酸(III)の機能的誘導体として、酸塩化物、無水物、混合無水物、C−Cアルキルエステル(ここでアルキルは、直鎖または分枝である。)および活性化エステル(例えばp−ニトロフェニルエステル)を使用することができる。
【0025】
したがって、本発明による方法において、式(III)の酸と塩化チオニルまたは塩化オキサリルを反応させることよって得られた酸塩化物を、塩素化溶剤(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルム)、エーテル(例えば、テトラヒドロフランまたはジオキサン)またはアミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)などの溶媒中において、不活性雰囲気下で、0℃と室温の間の温度で、トリエチルアミン、N−メチルモルホリンまたはピリジンなどの三級アミンの存在下において、式(II)の化合物と反応させることもできる。
【0026】
一変形は、式(III)の酸の混合無水物を、トリエチルアミンなどの塩基の存在下において、クロロギ酸エチルを式(III)の酸と反応させることによって調製し、ジクロロメタンなどの溶媒中において、不活性雰囲気下、室温で、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、これを式(II)の化合物と反応させることからなる。
【0027】
式(II)の化合物を、式(IV)のハロゲン化スルホニルで処理するとき、この方法は、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンなどの存在下、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフランなどの溶媒中において、室温と溶媒の還流温度の間の温度にて実施される。
【0028】
式(II)の化合物を、式(V)のハロホルメートで処理するとき、この方法は、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、ジクロロメタンなどの溶媒中において、0℃と室温の間の温度に実施される。このように得られた式(VI)の中間化合物を、次に、ジクロロメタンなどの溶媒中において、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、0℃と溶媒の還流温度の間の温度で、式(VII)のアミンと反応させる。
【0029】
この方法の一変形によれば、式(IC)の化合物[式中、−X−は、−CON(R)−基(R=H)を表す。]は、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、ジクロロメタンなどの溶媒中において、室温と溶媒の還流温度の間の温度で、式(II)の化合物を、式R−N=C=O(VIII)のイソシアネートと反応させることにより調製することができる。
【0030】
この方法の別の変形によれば、式(IC)の化合物(式中、−X−は、−CON(R)−基を表す。)は、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、ジクロロメタンなどの溶媒中において、0℃と室温の間の温度で、式(II)の化合物を、式ClCON(R)R(IX)の化合物と反応させることにより調製することができる。
【0031】
また、式(IA)、(IB)、(R≠HのIC)、(R≠HのID)の化合物(式中、Rは、(C−C)アルキルを表す。)を、当業者に公知の方法から選択される方法(ハロゲン化アルキルによるアルキル化など)により、式(I)の相当する化合物(式中、Rは、水素原子を表す。)から調製することができる。
【0032】
このように得られた式(I)の化合物を、反応媒質から次いで分離し、例えば、結晶化またはクロマトグラフィーによる標準的方法に従って精製することができる。
【0033】
式(II)の化合物を、以下の反応スキームに従って調製することができる。
【0034】
【化9】

【0035】
式(IX)のエステルを、国際特許出願WO2005/080357またはWO2003/078413に記載の方法に従って調製する。ステップaにおいて、LiAlHまたはLiBHなどの還元剤を使用する。ステップbにおいて、PClが、塩素化剤として使用される。最後に、ステップcにおいて、式(II)の化合物を調製するために、カリウムフタルイミド、次にヒドラジン水和物を反応させる。
【0036】
必要に応じて、式(II)の化合物(式中、Rは、水素原子を表す。)を、例えば、アルキル化剤による反応、還元的媒質中におけるアルデヒドによる還元的アミノ化または酸塩化物によるアシル化、その後の還元などの当業者に公知の方法を用いて、式(II)の化合物(式中、Rは、(C−C)アルキルである。)に変換することができる。
【0037】
優先的に、式(II)のオキサゾールを、以下の反応スキームに従って調製する。
【0038】
【化10】

【0039】
式(XII)の化合物は、公知であるまたは例えば国際特許出願WO2003/007887に記載の方法などの公知の方法により調製する。ステップaにおいて、臭素化は、例えば、ベンゼンもしくはジクロロメタンなどの溶媒中の臭素の作用により、またはテトラヒドロフラン中の三臭化トリメチルフェニルアンモニウムの作用により実施することができる。ステップbにおいて、フタルイミド誘導体を反応させる。酢酸(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)のセシウム塩。中間体として得られた式(XV)の化合物を、ステップcにおいて、酢酸アンモニウムで処理し、式(XVI)のオキサゾール誘導体を形成させる。ステップdにおいて、ヒドラジンの作用により、式(II)の化合物を調製できる。
【0040】
優先的に、式(II)のチアゾールを、以下の反応スキームに従って調製する。
【0041】
【化11】

【0042】
ステップaにおいて、チアゾールを、式(XIII)の化合物に対する酢酸エチルアミノ(チオキソ)の作用により形成させる。次に、このプロセスをスキーム1について前述のように実施する。
【0043】
続く実施例は、本発明による特定の化合物の調製法について述べる。これらの実施例は、本発明を限定するものではなく、単に例示するものである。これらの調製法および実施例では、以下の略語を使用する。
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
DCM:ジクロロメタン
MeOH:メタノール
TFA:トリフルオロ酢酸
AeOH:酢酸
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデス−7−エン
DCC:1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
BOP:ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム
PyBOP:ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム
TBTU:テトラフルオロホウ酸2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム
rt:室温
HPLC:高速液体クロマトグラフィー。
【0044】
本発明による化合物を、LC/UV/MS(液体クロマトグラフィー/UV検出/質量分析)の組合せによって分析する。分子ピーク(MH)および保持時間(t)(分)を測定する。
【0045】
条件MS2
XTerra MS C18カラム(2.1×30mm、3.5μm)を、30℃で、流速0.8ml/分で使用する。
【0046】
溶出剤は、以下の通り構成される。
【0047】
溶媒A:0.025%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液;
溶媒B:0.025%TFAアセトニトリル溶液。
【0048】
【表1】

【0049】
UV検出は、210と400nmの間でダイオードアレイ検出器を用いて実施し、質量検出は、ポジティブESI化学イオン化モードにおいて実施する。
【0050】
条件MS5
XTerra MS C18カラム(2.1×30mm、3.5μm)を、流速1ml/分で使用する。
【0051】
溶出剤は、以下の通り構成される。
溶媒A:0.025%TFA水溶液、
溶媒B:0.025%TFAアセトニトリル溶液。
【0052】
【表2】

【0053】
UV検出は、210と400nmの間でダイオードアレイ検出器を用いて実施し、質量検出は、ポジティブESIモードにおいて実施する。
【0054】
条件MS4
Tosohaas TSKゲルスーパーODSカラム(4.6×5mm、2μm)、流速2.75ml/分で使用する。
【0055】
溶出剤は、以下の通り構成される。
溶媒A:0.05%TFA水溶液;
溶媒B:0.05%TFAアセトニトリル溶液。
【0056】
【表3】

【0057】
UV検出は、210と400nmの間でダイオードアレイ検出器を用いて実施し、質量検出は、ポジティブESI化学イオン化モードにおいて実施する。
【0058】
条件A
シンメトリーC18カラム(2.1×50mm、3.5μm)を、30℃、流速0.4ml/分で使用する。
【0059】
溶出剤は、以下の通り構成される。
溶媒A:pH3.15の0.005%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液;
溶媒B:0.005%TFAアセトニトリル溶液。
【0060】
【表4】

【0061】
UV検出は、λ220nmで実施し、質量検出は、ポジティブESI化学イオン化モードにおいて実施する。
【0062】
調製
1.Y=Oの式(II)の化合物の調製
調製1.1
1−(4−(2−クロロフェニル)−5−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル)メタナンアミン。
【0063】
A)2−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−2−(4−クロロフェニル)エタノン。
三臭化フェニルトリメチルアンモニウム29.54gを、1−(2−クロロフェニル)−2−(4−クロロフェニル)エタノン20.83gのTHF溶液に加える。均一溶液を、室温で1時間15分撹拌する。反応媒質を、濾過し、乾燥するまで濃縮する。粗反応生成物を、ジクロロメタンに溶解し、水、NaCO水溶液、次に水で連続して洗浄する。有機相を、NaSOで乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸留することにより乾燥するまで濃縮する。生成物を、ゆっくりと結晶する油の形態で得る。結晶を、エタノールの最小量で洗浄し、予期された生成物を得る。
【0064】
B)酢酸(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)のセシウム塩。
酢酸(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)15gを、炭酸セシウム11.9gのMeOH−HO混合物(10/1、v/v)に溶解する。混合物を、室温で1時間撹拌する。反応媒質を、乾燥するまで濃縮し、アセトンに溶解し、蒸発乾固する(3回)。次に、粗成生物を、アセトンから再結晶化させる。結晶を濾過し、氷冷アセトンで洗浄した後、予期された生成物を収率97%で得る。
【0065】
C)2−((4−(2−クロロフェニル)−5−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル)メチル−1H−イソインドール−1,3−(2H)−ジオン。
ステップBで調製したセシウム塩40.9gを、ステップAで得たブロモケトン24.6gのDMF(300ml)溶液にへらで加える。混合物を室温で48時間撹拌する。得られた混合物を、DCM/NaHCO(1M)で抽出する。混合物を濾過する。有機相を、NaSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固し、次に沈殿物を水で洗浄し、エーテルですすぐ。有機相および沈殿物から得た固体を、混合し、混合物を、以下のステップにおいて現在の形態で使用する。
【0066】
このように得られた中間体8.8gを、酢酸70mlに溶解し、次に酢酸アンモニウム7.3gを加える。混合物を、溶媒の還流温度で7時間撹拌する。次に、均一混合物を、室温まで冷却することで、沈殿物を生成させる。混合物を濾過する。一方で、濾液をNaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固する。一方で、沈殿物をエーテルですすぐ。得られた生成物を、混合し、予期された化合物を得る。
【0067】
D)1−(4−(2−クロロフェニル)−5−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル)メタンアミン。
前ステップで得られたフタルイミド誘導体5.74gを、エタノール(200ml)に溶解し、50℃で完全に溶解する。ヒドラジン一水和物2.48mlを加え、混合物を溶媒の還流温度で4時間維持し、次に反応媒質を室温まで冷却する。混合物を濾過し、沈殿物をエタノールですすぐ。濾液を濃縮し、次にエーテルに溶解する。第2の沈殿物を再度濾過し、エーテルですすぐ。濾液を10%KOH水溶液で洗浄する。有機相を、NaSOで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮する。予期された生成物を、黄色がかった固体の形態で得る。
【0068】
Y=Oの式(II)での他の中間体を、後述する手順に従って調製した。
【0069】
【表5】

【0070】
2.Y=Sの式(II)の化合物の調製
調製2.1
1−(4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−チアゾール−2−イル)メタンアミン。
【0071】
A)2−ブロモ−1−(4−クロロフェニル)−2−(2,4−ジクロロフェニル)エタノン。
臭素2.5mlを、1−(4−クロロフェニル)−2−(2,4−ジクロロフェニル)エタノンのジクロロメタン(200ml)溶液に1滴ずつ加える。混合物を、室温で4時間撹拌する。反応媒質を、水、飽和NaHCO水溶液、次にNHCl水溶液で洗浄する。有機相を、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固する。予期された生成物を、ペンタンから沈殿させる(収率=94%)。
【0072】
B)エチル4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−チアゾール−2−カルボキシレート
前ステップで得られた誘導体17gおよび酢酸エチルアミノ(チオキソ)9gを、エタノール10mlに懸濁する。混合物を、30分後、50℃でホモジナイズする。加熱を50℃で6時間続ける。反応媒質を室温で20分間撹拌する。次に沈殿物を濾過し、エタノールで洗浄する。予期された生成物を固体の形態で得る(収率=62.4%)。
【0073】
C)(4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−チアゾール−2−イル)メタノール;
前ステップで得られた化合物3.1gを、無水THFに溶解し、0℃まで冷却する。LiAIH222mgを部分的に加える。不活性雰囲気下、0℃で1時間30分撹拌した後、反応媒質を、0℃で連続して水222μl、NaOH222μl溶液(4N)を撹拌しながら30分間加え、その後に水222μlを加えることにより中和させる。混合物を、Celite(登録商標)を通して濾過する。濾液を蒸発乾固し、予期された生成物を粗生成物の形態で得る(収率=90%)。
【0074】
D)2−クロロメチル−4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−チアゾール;
前ステップで得られたアルコール誘導体7gを、DCM300mlに溶解し、不化成雰囲気下で0℃まで冷却する。PCl3.95gを部分的に10分間かけて加える。0℃で15分間撹拌した後、撹拌を室温で終夜続ける。反応媒質を、5%NACl/氷混合物に注ぐ。混合物をDCMで抽出する。混合した有機相を、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固する。予期された生成物を、粗生成物の形態で得る(収率=92%)。
【0075】
E)2−((4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−チアゾール−2−イル)メチル)−1H−イソインドール−1,3−(2H)−ジオン;
前ステップで得られたクロロ誘導体13.5gを、無水DMFに溶解する。カリウム1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イデ9.4gを加え、混合物を65℃で20時間加熱する。次に不均質媒質を濾過し、沈殿物をエーテルですすぐ。濾液を蒸発乾固する。一方で、沈殿物を、水、NaOH溶液(0.2M)、次に水で洗浄する(収率=54%)。一方で、残渣をDCMに溶解し、連続してNaOH水溶液(0.2M)、飽和NaCl溶液で洗浄する。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固する(収率=37%)。
【0076】
2つの画分を混合し、予期された生成物を得る。
【0077】
F)1−(4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−チアゾール−2−イル)メタンアミン。
前ステップで得られたフタルイミド誘導体9.5gを、エタノール(300ml)に懸濁した後、ヒドラジン水和物(1.52ml)を加える。混合物を、溶媒の還流温度で4時間加熱する。反応媒質を室温まで冷却する。不均一媒質を濾過する。濾液を乾燥するまで濃縮し、エタノールに溶解する。もう一度、不均一になっている媒質を濾過する。濾液を連続してNaOH(0.2M、3X)、次に水で洗浄する。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して予期された生成物を得る(収率=67%)。
【0078】
Y=Sの式(II)の他の中間体を、上記の手順に従って調製した。
【0079】
【表6】

【実施例1】
【0080】
式(I)の化合物(式中、−X−=−CO−)を、後述するプロセスに従ってコンビナトリアルケミストリーにより調製する。
【0081】
式(III)のカルボン酸を、DIPEAの3当量の存在下において、0.25Mの濃度までDMFに溶解する。これらの溶液120μlを、各2mlのウェルに入れ、0.25Mの濃度のTBTUのDMF溶液120μlを加える。0.1Mの濃度の式(II)のメチルアミンを含むDMF溶液300μlおよびDIPEAの3当量を、各ウェルに加える。プレートをrtで16時間振盪し、次に蒸発させる。各ウェルにおいて生成した生成物を、EtOAc500μlに溶解し、次に0.1M NaCO400μlを加え、プレートを振盪する。沈降による相の分離後、水相430μlを廃棄し、次に5%NaCl300μlを加え、プレートを振盪する。次に水相350μlを廃棄し、LC/UV/MSによる分析のために20μlを取り、残りを真空下で蒸発させ、予期された化合物を得る。
【実施例2】
【0082】
式(I)の化合物(式中、−X−=−CONH−)を、後述するプロセスに従ってコンビナトリアルケミストリーにより調製する。
【0083】
式(II)の化合物を、DIPEAの3当量の存在下において、0.1Mの濃度までDMFに溶解する。これらの溶液300μlを、各2mlのウェルに入れ、0.25Mの濃度の式(VIII)のイソシアネート化合物を含むTHF溶液120μlを加える。プレートをrtで16時間振盪する。各ウェルにおいて生じた生成物を、EtOAc500μlを加えることにより溶解し、0.1M NaCO400μlを加え、プレートを振盪する。沈降による相の分離後、水相430μlを廃棄し、5%NaCl300μlを加え、プレートを振盪する。沈降による相の分離後、水相350μlを廃棄し、LC/UV/MSによる分析のために20μlを取り、残りを真空下で蒸発させ、予期された化合物を得る。
【実施例3】
【0084】
式(I)の化合物(式中、−X−=−SO−)を、後述するプロセスに従ってコンビナトリアルケミストリーにより調製する。
【0085】
式(II)の化合物を、DIPEAの3当量の存在下において、0.1Mの濃度までDMFに溶解する。これらの溶液300μlを、各2mlのウェルに入れ、0.25Mの濃度の式(IV)の相当する塩化スルホニルを含むTHF溶液120μlを加える。プレートをrtで16時間振盪し、次に蒸発させる。
【0086】
各ウェルにおいて生じた生成物を、EtOAc500μlを加えることにより溶解し、0.1M NaCO400μlを加え、プレートを振盪する。沈降による相の分離後、水相430μlを廃棄し、5%NaCl300μlを加え、プレートを振盪する。沈降による相の分離後、水相350μlを廃棄し、LC/UV/MSによる分析のために20μlを取り、残りを真空下で蒸発させ、予期された化合物を得る。
【0087】
続く表は、本発明による多くの化合物の化学構造および物理的性質を例示する。これらの表において、Me、Et、nPrおよびtBuは、それぞれ、メチル、エチル、n−プロピルおよび第三ブチル基を例示する。
【0088】
【表7】


【0089】
【表8】




【0090】
式(I)の化合物は、M.Rinaldi−Carmonaら、(FEBS Letters、1994年、350、240−244ページ)に記載の実験的条件下で、CBカンナビノイド受容体に対する非常に良好なインビトロでの親和性(IC50≦5×10−7M)を示す。
【0091】
式(I)の化合物のアンタゴニストの性質を、M.Bouaboulaら、J.Biol.Chem.、1995年、270、13973−13980ページ、M.Rinaldi−Carmonaら、J.Pharmacol.Exp.Ther.、1996年、278、871−878ページおよびM.Bouaboulaら、J.Biol.Chem.、1997年、272、22330−22339ページに記載のアデニル酸シクラーゼ阻害モデルにおいて得られた結果によって示した。
【0092】
式(I)の化合物の毒性は、これらの薬物としての使用と一致する。
【0093】
したがって、別の態様によれば、本発明の主題は、式(I)の化合物、または代わりに式(I)の化合物の溶媒和物もしくは水和物を含む、ヒトまたは獣医学のための薬物である。
【0094】
したがって、本発明による化合物は、ヒトおよび動物におけるCBカンナビノイド受容体が関わる疾患の治療または予防に使用することができる。
【0095】
例えば、制限されることなく、式(I)の化合物は、特に、不安、うつ病、気分障害、不眠、せん妄障害、強迫性障害、精神病一般、統合失調症、多動児(MBD)における注意欠陥多動性障害(attention and hyperactivity disorders:AHD)を含む精神障害の治療薬として、さらに特に、アルコール依存症およびニコチン依存症を含む物質乱用および/または物質依存の場合における向精神物質の使用に伴う障害の治療のための向精神薬として有用である。
【0096】
本発明による式(I)の化合物は、片頭痛、ストレス、心因性疾患、パニック発作、てんかん、運動障害、特に、ジスキネジーまたはパーキンソン病、振戦および筋緊張異常の治療のための薬物として使用することができる。
【0097】
また、本発明による式(I)の化合物は、記憶障害、認知障害の治療、特に、老年性認知症およびアルツハイマー病の治療薬として、さらに注意または意識障害の治療における薬物として使用することができる。さらに、式(I)の化合物は、虚血、頭部外傷の治療、ならびに舞踏病、ハンチントン舞踏病およびツレット症候群を含む急性または慢性神経変性疾患の治療における神経保護薬として有用であり得る。
【0098】
本発明による式(I)の化合物は、神経因性疼痛、急性末梢性疼痛、炎症に起因する慢性痛などの疼痛の治療における薬物として使用することができる。
【0099】
本発明による式(I)の化合物は、食欲障害、欲求障害(appetence disorders)(砂糖、含水炭素、薬物、アルコールまたはあらゆる食欲をそそる物質に対する欲求)ならびに/または摂食行動障害の治療における、特に、肥満もしくは食欲異常亢進の治療のために、さらにII型糖尿病もしくはインスリン非依存性糖尿病の治療のために、異脂肪血症およびメタボリック症候群の治療のために、ヒトまたは獣医学における薬物として使用することができる。したがって、本発明による式(I)の化合物は、肥満および肥満に伴うリスク、特に心血管リスクの治療に有用である。
【0100】
さらに、本発明による式(I)の化合物は、胃腸障害、下痢性疾患、潰瘍、嘔吐、膀胱および尿障害、内分泌起因の障害、心臓血管疾患、低血圧、出血性ショック、感染性ショック、慢性肝硬変、肝臓脂肪症、脂肪性肝炎、喘息、レイノー症候群、緑内障、生殖障害、妊娠早期中絶、早産、炎症現象、免疫系疾患、特に、自己免疫疾患およびリウマチ様関節炎などの神経炎症疾患、反応性関節炎、髄鞘脱落に帰着する疾患、多発性硬化症、脳炎などの感染性およびウィルス性疾患、脳卒中の治療における薬物として、さらに抗癌化学療法、ギランバレー症候群ならびに骨疾患および骨粗鬆症の治療のための薬物として使用することができる。
【0101】
本発明によれば、式(I)の化合物は、精神病性障害、特に、統合失調症、多動児における注意欠陥多動性障害(AHD);食欲および肥満障害;記憶および認知障害;アルコール依存症、ニコチン依存症(すなわち、アルコール離脱症状およびタバコ離脱症状)を治療するために最も特に有用である。
【0102】
より具体的には、本発明に記載の式(I)の化合物は、食欲障害、代謝異常、胃腸障害、炎症現象、免疫系疾患、精神病性障害、アルコール依存症およびニコチン依存症の治療および予防において有用である。
【0103】
この態様の1つによれば、本発明は、上記の障害および疾患を治療するための式(I)の化合物およびその溶媒和物または水和物の使用に関する。
【0104】
別の態様によれば、本発明は、有効成分として、本発明による化合物を含む医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は、本発明による少なくとも1種の化合物の有効量、前記化合物の溶媒和物または水和物および少なくも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0105】
前記賦形剤は、薬剤形状および所望の投与方法に従って、当業者に公知の通常の賦形剤から選択される。
【0106】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、外用、局所、気管内、鼻腔内、経皮または直腸内投与のための本発明の医薬組成物において、上記の障害または疾患の予防または治療のために、上記の式(I)の有効成分または可能なこの溶媒和物もしくは水和物を、標準の医薬品賦形剤と混合して、単位投与形態でヒトおよび動物に投与することができる。
【0107】
適切な単位投与形態は、経口投与形態(錠剤、軟もしくは硬ゼラチンカプセル、粉末、顆粒および経口溶剤または懸濁剤など)、舌下、口腔、気管内、眼内および鼻腔内の投与形態、吸入、外用、経皮、皮下、筋肉内または静脈内投与形態、直腸内投与形態ならびにインプラントを含む。外用投与のために、本発明による化合物は、クリーム、ゲル、ポマードまたはローションとして使用することができる。
【0108】
例として、錠剤形態における本発明による化合物の単位投与形態は、以下の成分を含み得る。
本発明による化合物:50.0mg
マンニトール:223.75mg
ナトリウムクロスカルメロース:6.0mg
コーンスターチ:15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース:2.25mg
ステアリン酸マグネシウム:3.0mg
【0109】
経口経路を通して、1日あたり投与される有効成分の用量は、1回または複数回の用量摂取において、0.01から100mg/kg、好ましくは0.02から50mg/kgであり得る。
【0110】
より高用量またはより低用量が適切である特定の場合が存在する可能性があり、そのような用量は、本発明の範囲を逸脱しない。一般の慣例によれば、各患者に適した用量は、投与方法、前記患者の体重および反応によって医師により決定される。
【0111】
また、別の態様によれば、本発明は、上記の病態の治療法に関し、この治療法は、本発明による化合物、または水和物もしくは溶媒和物の有効量の患者への投与を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基もしくは酸付加塩の形態または水和物もしくは溶媒和物の形態の、次式に相当する化合物。
【化1】

[上記式において、
Xは、次式の基を表し;
【化2】

Yは、酸素原子またはイオウ原子を表し;
は、水素原子または(C−C)アルキル基を表し;
は、
(C−C)アルキル;
非置換であるまたは(C−C)アルキルで1回もしくは複数回置換されたC−C12非芳香族炭素環基;
非置換であるまたは(C−C)アルキルで炭素環上で1回もしくは複数回置換されたC−C12非芳香族炭素環基で置換されたメチル;
非置換であるまたはハロゲン原子、(C−C)アルキル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基から;またはフェニル、フェノキシ、ピロリル、イミダゾリル、ピリジルもしくはピラゾリル基(前記基は、非置換であるまたは(C−C)アルキルで1回または複数回置換されている。)から独立に選択された置換基で1回もしくは複数回置換されたフェニル;
メチル上で非置換であるまたは1つもしくは2つの(C−C)アルキル基でメチル上で置換され、フェニル上で非置換であるまたはハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、トリフルオロメチル基およびトリフルオロメトキシ基から独立に選択された1つもしくは複数の置換基でフェニル上で置換されたフェノキシメチル;
非置換であるまたはハロゲン原子、シアノ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、トリフルオロメチル基およびトリフルオロメトキシ基から独立に選択された置換基によってフェニル上で1回もしくは複数回置換された;または(C−C)アルキルおよび(C−C)シクロアルキルから選択された1つもしくは2つの同じもしくは異なる基でα−置換されたベンジル;
ベンジヒドリルまたはベンズヒドリルメチル基;
非置換であるまたは(C−C)アルキルで1回もしくは複数回置換された1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフチル;
ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラゾリル、フリルまたはチエニル基(前記基は、非置換であるまたはハロゲン原子、(C−C)アルキルおよびトリフルオロメチル基から独立に選択された1つもしくは複数の置換基によって置換されている。);
非置換であるまたはハロゲン原子および(C−C)アルキルから独立に選択された置換基で1回もしくは複数回置換された2−インドリル;
非置換であるまたはハロゲン原子および(C−C)アルキル基から独立に選択された置換基で1回もしくは複数回置換されたベンゾフリル
を表し;
は、非置換であるまたはハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、トリフルオロメチルもしくはトリフルオロメトキシ基およびS(O)Alk基から独立に選択された置換基で1回もしくは複数回置換されたフェニルを表し;
は、非置換であるまたはハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、トリフルオロメチルもしくはトリフルオロメトキシ基、およびS(O)Alk基から独立に選択された置換基で1回もしくは複数回置換されたフェニルを表し;
は、水素原子または(C−C)アルキルを表し;
nは、0、1または2を表し;
Alkは、(C−C)アルキルを表し、
ただし、Xが−CO−またはCONR−基を表すとき、Rは、
非置換であるまたは(C−C)アルキルで1回もしくは複数回置換されたC−C非芳香族炭素環基;
非置換であるまたはハロゲン原子、(C−C)アルキル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、シアノおよびトリフルオロメチル基から、または1−ピロリルもしくは1−ピラゾリル基から独立に選択された置換基で1回または複数回置換されたフェニル;
非置換であるまたは(C−C)アルキルで1回もしくは複数回置換された1,2,3,4−テトラヒドロナフチル;
ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラゾリル、フリルまたはチエニル基(前記基は、非置換であるまたはハロゲン原子、(C−C)アルキルおよびトリフルオロメチル基から独立に選択された1つもしくは複数の置換基で置換されている。);
非置換であるまたはハロゲン原子および(C−C)アルキルから独立に選択された置換基で1回もしくは複数回置換されたインドリル;
非置換であるまたはハロゲン原子および(C−C)アルキルから独立に選択された置換基で1回もしくは複数回置換されたベンゾフリル
以外である。]
【請求項2】
塩基もしくは酸付加塩の形態または水和物もしくは溶媒和物の形態の、−Y−が酸素原子を表す式(I)の、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
塩基もしくは酸付加塩の形態または水和物もしくは溶媒和物の形態の、−Y−がイオウ原子を表す式(I)の、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
塩基もしくは酸付加塩の形態または水和物もしくは溶媒和物の形態の、−X−が−CO−基を表し、置換基RからRが式(I)の化合物の定義の通りである式(IA)の、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
塩基もしくは酸付加塩の形態または水和物もしくは溶媒和物の形態の、−X−が−SO−基を表し、置換基RからRが式(I)の化合物の定義の通りである式(IB)の、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
塩基もしくは酸付加塩の形態または水和物もしくは溶媒和物の形態の、−X−が−CON(R)−基を表し、置換基RからRが式(I)の化合物の定義の通りである式(IC)の、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
塩基もしくは酸付加塩の形態または水和物もしくは溶媒和物の形態の、−X−が−CSN(R)−基を表し、置換基RからRが式(I)の化合物の定義の通りである式(ID)の、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
次式の化合物を
【化3】

(式中、R、RおよびRは、請求項1に記載の式(I)の化合物の定義の通りである。)
式(IA)の化合物(式中、−X−は−CO−基を表す。)を調製する必要があるとき、次式の酸もしくはこの酸の機能的誘導体
HOOC−R (III)
(式中、Rは、式(IA)の化合物の定義の通りである。)
により処理する;または
式(IB)の化合物(式中、−X−は−SO−基を表す。)を調製する必要があるとき、
次式のハロゲン化スルホニル
Hal−SO−R (IV)
(式中、Rは、請求項1に記載の式(I)の化合物の定義の通りであり、Halは、ハロゲン原子を表す。)
により処理する;または
式(IC)の化合物(式中、−X−は−CON(R)−基を表す。)を調製する必要があるとき、
次式のハロホルメート
HalCOOAr (V)
(式中、Halは、ハロゲン原子を表し、Arは、フェニルまたは4−ニトロフェニルを表す。)
により処理し、次式の中間体化合物を得、
【化4】

(式中、R、RおよびRは、請求項1に記載の式(I)の化合物の定義の通りである。)この中間体を次いで次式のアミン
HN(R)R (VII)
(式中、RおよびRは、式(I)の化合物の定義の通りである。)
と反応させる;または
式(ID)の化合物(式中、−X−は、−CSNH−基を表す。)を調製する必要があるとき、
イソチオシアネート
N=C=S (VIII)
により処理する
ことを特徴とする、式(I)の化合物を調製するための方法。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または式(I)の化合物の水和物もしくは溶媒和物を含むことを特徴とする薬物。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物またはこの化合物の水和物もしくは溶媒和物およびさらに少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項11】
食欲障害、代謝異常、胃腸障害、炎症現象、免疫系疾患、精神病性障害、アルコール依存症およびニコチン依存症を治療または予防するための薬物調製のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2009−518453(P2009−518453A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545037(P2008−545037)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【国際出願番号】PCT/FR2006/002695
【国際公開番号】WO2007/068815
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】