説明

見守り支援システムおよび見守り支援方法

【課題】 確実な見守りを可能にする見守り支援システムおよび見守り支援方法を提供する。
【解決手段】 生活者が生活する生活者宅Bで使用されている電子レンジ22A〜エアコン22Cの全体が消費する電力消費量であって、所定時間毎の電力消費量を送信する電力量計20と、電力量計20からの電力消費量とを受信すると、あらかじめ記憶している閾値と受信した電力消費量を比較して、この閾値以上の電力消費量から電子レンジ22A〜エアコン22Cのオンとオフとを検出し、検出したオン時と、オフ時に生活者が在宅していると判定する見守り装置10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一人暮らしの家族などを遠隔地から見守る見守り支援システムおよび見守り支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一人暮らしで大学に通う子供などの様子を遠隔地から見守るシステムが各種ある。一人で暮らす高齢者を見守る場合、高齢者宅で使用されている電気ポットを利用するシステムがある(例えば、特許文献1参照。)。このシステムでは、電気ポットに設けられている給湯スイッチのオン・オフ操作を検出する。この後、このシステムは、検出した操作状況を、通信網を経てモニター部に定期的に送信する。モニター部は、受信した操作状況を基に、一人暮らしをしている高齢者の生活状況を把握する。そして、生活状況に異常があれば、モニター部は、高齢者を見守る家族に対して、電話などで異常発生を連絡する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−248093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気ポットを利用する先に述べたシステムには、次の課題がある。一般的な電気ポットでは、電源ケーブルの先端にマグネットプラグが用いられている。マグネットプラグは電気ポットに接続されるプラグにマグネットを併設した構造であり、このプラグにより電源ケーブルの着脱が自在である。しかし、マグネットプラグが電気ポットに接続されているときに、このポットの利用者である一人暮らしの高齢者が電源ケーブルに足などを引っ掛けて、電源ケーブルが電気ポットから外れる場合がある。
【0005】
このように、電気ポットなどのような電気機器には、電源ケーブルが外れてしまうことがある。このような状態になると、特定の電気機器を利用する、先に述べたシステムでは、その電気機器の操作状況を送信することができない。この結果、電源ケーブルが外れているときに、一人暮らしをしている高齢者の生活状況に異常が発生しても、この高齢者を見守る家族にモニター部が異常を伝えることができない、という課題がある。
【0006】
この発明の目的は、前記の課題を解決し、確実な見守りを可能にする見守り支援システムおよび見守り支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、生活者が生活する生活者宅で使用されている電気機器全体が消費する電力消費量であって、所定時間毎の電力消費量を送信する送信手段と、前記送信手段からの電力消費量を受信すると、あらかじめ記憶している閾値と受信した電力消費量とを比較して、この閾値以上の電力消費量から前記電気機器のオンとオフとを検出し、検出したオン時と、オフ時に前記生活者が在宅していると判定する処理手段と、を備えることを特徴とする見守り支援システムである。
【0008】
請求項1の発明では、生活者宅における所定時間毎の電力消費量を、送信手段が送信する。処理手段は、送信手段からの電力消費量を受信すると、あらかじめ記憶している閾値と受信した電力消費量を比較して、この閾値以上の電力消費量から前記電気機器のオンとオフとを検出する。そして、処理手段は、検出したオン時と、オフ時に前記生活者が在宅していると判定する。
【0009】
請求項2の発明は、生活者が生活する生活者宅で使用されている電気機器全体が消費する電力消費量であって、所定時間毎の電力消費量を送信する送信手段と、前記送信手段からの電力消費量を受信すると、この電力消費量を記憶し、所定期間の電力消費量の推移を得ると、あらかじめ記憶している各電気機器の電力消費量のパターンと、所定期間の電力消費量の推移に含まれる各パターンとを比較して、使用された電気機器と、使用時間とを特定し、特定された電気機器の使用状況の変化から生活パターンの変化を検出する処理手段と、を備えることを特徴とする見守り支援システムである。
【0010】
請求項2の発明では、生活者宅における所定時間毎の電力消費量を、送信手段が送信する。処理手段は、送信手段からの電力消費量を受信すると、この電力消費量を記憶する。この後、処理手段は、所定期間の電力消費量の推移を得ると、あらかじめ記憶している各電気機器の電力消費量のパターンと、所定期間の電力消費量の推移に含まれる各パターンとを比較して、使用された電気機器と、使用時間とを特定する。そして、処理手段は、特定された電気機器の使用状況の変化から生活パターンの変化を検出する。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2項に記載の見守り支援システムにおいて、前記送信手段は、前記生活者宅に設置されて、この生活者宅で使用される電力消費量を計測する機能と、計量結果を記憶する機能と、計測結果を送信する機能とを具備する電力量計である、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の見守り支援システムにおいて、前記処理手段は、連続的に運用される冷蔵庫等のような電気機器の電力消費量の推移を基に設定された値を、前記閾値としてあらかじめ記憶している、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、生活者が生活する生活者宅で使用されている電気機器全体が消費する電力消費量であって、所定時間毎の電力消費量を送信し、電力消費量を受信すると、あらかじめ記憶している閾値と受信した電力消費量とを比較して、この閾値以上の電力消費量から前記電気機器のオンとオフとを検出し、検出したオン時と、オフ時に前記生活者が在宅していると判定する、ことを特徴とする見守り支援方法である。
【0014】
請求項6の発明は、生活者が生活する生活者宅で使用されている電気機器全体が消費する電力消費量であって、所定時間毎の電力消費量を送信し、電力消費量を受信すると、この電力消費量を記憶し、記憶した所定期間の電力消費量の推移を得ると、あらかじめ記憶している各電気機器の電力消費量のパターンと、所定期間の電力消費量の推移に含まれる各パターンとを比較して、使用された電気機器と、使用時間とを特定し、特定された電気機器の使用状況の変化から生活パターンの変化を検出する、ことを特徴とする見守り支援方法である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1および請求項5の発明によれば、生活者宅で使用される電気機器全体の電力消費量であって、閾値により選別された電力消費量を基に生活者の在宅を検出するので、従来のように特定の電気機器に対する操作を基に生活状況を調べる場合に比べて、1つの電気機器に対する通電が行われなくても、残りの電気機器の電力消費量により在宅を検出して、生活者の生活変化を確実に見守ることを可能にする。かつ、電力消費量は閾値により選別されているので、閾値より小さな値の電力消費量、つまり生活者の生活との相関が弱い電力消費量によるオンとオフとの検出を除くことができる。
【0016】
請求項2および請求項6の発明によれば、生活者宅で使用される電気機器全体の電力消費量を基に、使用された電気機器と、使用時間とを検出し、これらの使用状況の変化により、生活パターンの変化を検出する。これにより、従来のように特定の電気機器に対する操作を基に生活状況を調べる場合に比べて、生活者の生活変化を確実に見守ることを可能にする。
【0017】
請求項3の発明によれば、各種機能を備える電力量計により、計測した電力消費量を生活者宅から送信するので、送信設備の新設を不要にすることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、連続的に運用される電気機器の電力消費量の推移を基に設定された閾値を用いるので、冷蔵庫等のような電気機器のオン・オフを検出することがないので、さらに確実に生活者の生活変化を見守ることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1による見守り支援システムを示す構成図である。
【図2】電力量計の一例を示す構成図である。
【図3】利用者テーブルの一例を示す図である。
【図4】電力量テーブルの一例を示す図である。
【図5】電気機器テーブルの一例を示す図である。
【図6】電気機器のパターンの一例を示す図であり、図6(a)は電子レンジのパターンを示す図、図6(b)はドライヤーのパターンを示す図、図6(c)はエアコンのパターンを示す図である。
【図7】管理サーバの一例を示す構成図である。
【図8】電気機器の閾値を説明する説明図であり、図8(a)はオン・オフ型機器の電力消費量を表す図、図8(b)は連続運用型機器の電力消費量を表す図、図8(c)は計測データの電力消費量を表す図である。
【図9】オン・オフ閾値を説明する説明図である。
【図10】在宅見守り処理を示すフローチャートである。
【図11】在宅確認信号を説明する説明図である。
【図12】生活パターン見守り処理を示すフローチャートである。
【図13】機器使用確認信号を説明する説明図である。
【図14】機器使用確認信号を説明する説明図である。
【図15】実施の形態2による見守り支援システムを示す構成図である。
【図16】実施の形態2で用いられる分電盤を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0021】
(実施の形態1)
この実施の形態では、管理センタが見守りサービスを提供する。見守りサービスは、生活者宅で生活する一人暮らしの見守り対象者(以下、「生活者」という)の生活変化を見守るサービスである。生活者としては、一人で暮らす高齢者、両親と離れて学校に通う子供や単身赴任で仕事をする人などが生活者に該当する。管理センタは、電力会社内に設置されているか、または、電力会社と協力関係にあるサービス提供企業に設置されている。
【0022】
こうした見守りサービスを行うための見守り支援システムを図1に示す。図1の見守り支援システムは、管理センタAに設置されている見守り装置10と、生活者宅Bに設置されている、スマートメータのような電力量計20と、見守りサービスの利用者(以下、単に「利用者」という)が使用している携帯電話機30とを備えている。そして、管理センタAの見守り装置10は、通信網NWによって、生活者宅Bの電力量計20および携帯電話機30とデータ通信が可能な環境にある。
【0023】
生活者宅Bには、電力会社の引き込み線101から電気が供給される。電力量計20は、電気を計測する計量器としての機能に加えて、通信機能などを持つ電子式の計器である。電力量計20は、生活者宅Bに電力を供給する引き込み線101に接続されている。生活者宅Bで電力が使用されると、電力量計20は使用された電力を計測して積算する。こうした電力量計20は、図2に示すように、電圧入力部20A、電流入力部20B、変換部20C、処理部20D、記憶部20E、表示部20Fおよび通信部20Gを備えている。
【0024】
電力量計20の電圧入力部20Aは、引き込み線101に設けられている変圧器102の検出電圧を受け取り、電流入力部20Bは引き込み線101に設けられている変流器103の検出電流を受け取る。変換部20Cは、電圧入力部20Aの検出電圧と、電流入力部20Bの検出電流とから、使用した電力に比例するパルス信号を生成して処理部20Dに送る。記憶部20Eは、電力量計20の識別情報である計器番号をあらかじめ記憶している。表示部20Fは液晶ディスプレイのような表示パネル(図示を省略)を備え、処理部20Dの制御によって、表示部20Fに電力消費量の積算値を表示する。通信部20Gは、通信機能を持ち、通信網NWを経て管理センタ1と通信を行う。
【0025】
処理部20DはCPUのような演算回路である。処理部20Dは、年月日を調べるカレンダー機能と時刻を調べるタイマー機能とを持つ。処理部20Dは、変換部20Cからパルス信号を受け取ると、このパルス信号のパルスを計数する。つまり、処理部20Dは、顧客が消費した電力に比例するパルスを計数することにより、顧客が消費した電力を積算して、電力消費量を算出している。処理部20Dは、こうして算出した電力消費量の積算値を表示部20Fに表示する。また、処理部20Dは、所定時間毎のパルス数、つまり、所定時間毎の電力消費量、例えば10分毎の電力消費量を記憶部20Eに記録していく。このときに、処理部20Dは、記録した電力消費量に対して、記録時点の日付けと時刻とを付加する。さらに、処理部20Dは、所定時間毎の電力消費量を計測データとして、通信部2Gを経て管理センタAに対して、定期的に例えば所定時間毎に送信する。このときに、処理部20Dは、送信する電力消費量に対して、記憶部20Eに記憶している計器番号を付加する。つまり、管理センタAに送信される電力消費量には、計器番号と、日付けおよび時刻とが付加される。
【0026】
電力量計20は、引き込み線101からの電力を、生活者宅Bに設置されている分電盤21を経て生活者宅Bに供給する。生活者宅Bでは、電子レンジ22A、ドライヤー22B、…、エアコン22Cの電気機器が使用されている。分電盤21は、漏電ブレーカ等を経て、これらの電気機器に電力を供給する。そして、先に述べたように、電力量計20は、所定時間の電力消費量を、計測データとして管理センタAに送信する。この電力消費量は、電子レンジ22A、ドライヤー22B、…、エアコン22Cで消費される電力量を合計したものである。
【0027】
管理センタAの見守り装置10は、生活者宅Bから受信した計測データを基にして、見守りサービスを提供するものであり、通信制御装置11と、管理サーバ12と、データベース(DB)サーバ13と、管理端末14とを備えている。
【0028】
管理センタAの通信制御装置11は、通信網NWを経由したデータ通信を可能にする。つまり、通信制御装置11は、生活者宅Bからの計測データを受信して管理サーバ12に送り、また、企業内のローカルエリアネットワーク11Aからのデータ、例えば管理サーバ12からのデータを、通信網NWを経由して、見守りサービスの利用者の携帯電話機30やパーソナルコンピュータ(図示を省略)などに送信する。
【0029】
管理センタの管理端末14は、担当者によって操作される管理専用のコンピュータである。管理端末14は、担当者の操作により、例えば、見守りサービスの利用者の新規登録などを管理サーバ12に対して行う。
【0030】
管理センタのデータベースサーバ13は、見守りサービスに必要とするデータを記憶して管理するための、専用のコンピュータである。データベースサーバ13が記憶するデータには、利用者テーブルがある。利用者テーブルは、見守りサービス利用の申し込みをした利用者の一覧を記録している。この利用者テーブルの一例を図3に示す。この利用者テーブルには、利用者の氏名と、この利用者を識別するためのID(IDentification)およびパスワードとが記録されている。また、利用者テーブルには、生活者宅の電力量計の計器番号が記録されている。さらに、利用者テーブルには、利用者の連絡先として電子メールのアドレスなどが記録されている。
【0031】
データベースサーバ13が記憶するデータには、電力量テーブルがある。電力量テーブルは、各生活者宅で消費された電力量のデータであり、生活者宅の電力量計から受信した計測データを基にして生成されている。つまり、電力量テーブルには、日毎における所定時間毎の電力消費量、この実施の形態では、10分毎の電力消費量が記録されている。電力量テーブルの一例を図4に示す。この電力量テーブルには、計器番号に対応して、10分間隔での各時刻の電力消費量が、日毎に現時点まで記録されている。例えば、「0:10」の消費電量は、00時00分から00時10分までの間の電力消費量を表している。
【0032】
データベースサーバ13が記憶するデータには、電気機器テーブルがある。電気機器テーブルは、家庭で使用される各電気機器が消費する電力量のパターンを記録したものである。この電気機器テーブルの一例を図5に示す。この電気機器テーブルには、各電気機器に対応するパターンであり、機器が消費する電力消費量のパターンが記録されている。電力消費量のパターンは、時間経過と共に変化する電気機器の消費電力を、各所定時間の電力消費量で表している。電気機器では、通電開始直後からの消費される電力は、時間経過によりそれぞれ特徴的なパターンを形成する。電気機器が例えば電子レンジやドライヤーであれば、消費される電力はピーク性の負荷となり、図6(a)、図6(b)に示ような電力消費量のパターンが形成される。また、電気機器がエアコンであれば、消費される電力は起動時にピークとなり、その後、負荷が一定で安定するので、図6(c)に示すような電力消費量のパターンが形成される。こうした電力消費量のパターンは、例えば、前もって1つの電器機器について型式などの異なるパターンを調べ、各パターンを平均化して得られる。このようにして得られた電力消費量のパターンは、各所定時間に記録された電力消費量のデータの集まりになる。
【0033】
管理センタの管理サーバ12は、利用者に見守りサービスを提供するための専用のコンピュータである。管理サーバ12は、図7に示すように、処理部12A、記憶部12B、表示部12Cおよび通信部12Dを備えている。通信部12Dは、処理部12Aの制御によって、ローカルエリアネットワーク11Aとデータの送受信を行うインターフェースである。表示部12Cは、処理部12Aの制御によって、管理サーバ12の動作状態などを表示する。記憶部12Bは、データを記憶する記憶装置である。記憶部12Bは、管理サーバ12の動作に必要とするプログラムやデータをあらかじめ記憶している。また、記憶部12Bは、プログラムを実行する際に、必要に応じてデータを一時的に記憶する。
【0034】
記憶部12Bが記憶するデータに、電気機器のオン・オフを検出する際に利用されるオン・オフ閾値がある。ここで、このオン・オフ閾値について説明する。オン・オフ閾値は、例えば冷蔵庫のような、連続的に運用される電気機器(以下、「連続運用型機器」という)の電力消費量の変化(負荷変動)と、例えばドライヤーや電子レンジなどのような、必要に応じてオン・オフされる電気機器(以下、「オン・オフ型機器」という)の電力消費量の変化(負荷変動)とを選別するためのものである。例えば、図8(a)に示すように、オン・オフ型機器では、オン・オフ時の電力消費量の変化LC1、LC2が大きく、オン・オフ時以外の負荷変動LC3が小さいという特性がある。しかも、生活者の必要に応じて使用されるために、1日の中でオン・オフの発生回数が少ない。これに対して、連続運用型機器では、図8(b)に示すように、機器が自動で連続的に運用されるので、負荷変動LC11が小さいという特性がある。しかも、機器が自動で運用されるので、1日の中で負荷変動が頻繁に発生する。
【0035】
電力量計20で検出される電力消費量は、図8(c)に示すように、連続運用型機器の電力消費量と、オン・オフ型機器の電力消費量とが加え合わされたものとなり、この中からオン・オフ時の電力消費量の変化LC1、LC2を検出する必要がある。オン・オフ型機器におけるオン・オフ時の電力消費量の変化を検出するために、図9に示すように、電力消費量の変化とその発生の度数との関係から、発生の度数が大きいときの電力消費量を、連続運用型機器の運転による電力消費量とする。そして、発生の度数が大きいときの電力消費量に比較して低い値を、オン・オフ閾値TWとして設定する。これにより、後で述べるように、処理部12Aは、オン・オフ閾値より小さな値の、電力消費量の変化を、負荷変動のノイズ成分とし、このときの変化をオン・オフとして検出しない。
【0036】
こうして設定されたオン・オフ閾値を、管理サーバ12の記憶部12Bが記憶している。
【0037】
管理サーバ12の処理部12Aは、記憶部12Bに記憶されている各種のプログラムを実行する。処理部12Aが実行するプログラムにはデータ受信処理がある。処理部12Aは、生活者宅の電力量計から計測データを受信すると、計測データの計器番号を参照して、計測データが表す電力消費量を、電力量テーブルの該当する欄に記録し、電力量テーブルを更新する。
【0038】
また、処理部12Aが実行するプログラムには、当日に受信する計測データの電力消費量を基に、生活者の生活変化として在宅を見守る在宅見守り処理がある。処理部12Aは、例えば生活者宅Bの電力量計20から計測データを受信すると、データ受信処理を行い、この後、図10に示す在宅見守り処理を行う。処理部12Aは、在宅見守り処理を開始すると、生活者宅Bの更新された電力消費量を調べる(ステップS1)。ステップS1で、処理部12Aは、記憶部12Bの電力量テーブルを定期的に参照する。
【0039】
処理部12Aは、更新された電力消費量と、記憶部12Bに記憶されているオン・オフ閾値とを比較して(ステップS2)、受信した電力消費量がオン・オフ閾値以上かどうかを判定する(ステップS3)。ステップS3で、更新した電力消費量がオン・オフ閾値より低い場合に、処理部12Aは処理をステップS1に戻す。こうしたオン・オフ閾値により、処理部12Aは、例えば冷蔵庫のような連続運用型機器の運転による電力消費量の変化(負荷変動)を、負荷変動のノイズ成分として選別する。そして、こうした電力消費量の変化は生活者の生活と相関が弱いので、処理部12Aは、このときの電力消費量の変化(負荷変動)を、電気機器のオン・オフとして検出しない。ステップS3で、更新した電力消費量がオン・オフ閾値以上である場合に、電気機器はオン・オフ型機器であり、かつ、例えば電子レンジやドライヤーのような電気機器であるので、処理部12Aは、以後の処理で機器のオン・オフを検出する。
【0040】
ステップS3で、受信した電力消費量がオン・オフ閾値以上である場合、処理部12Aは電気機器のオン・オフの判定を行う(ステップS4)。ステップS4で、処理部12Aは、10分前に受信した前回の電力消費量に比較して、今回受信した電力消費量が所定値以上に大きく立ち上がっている場合に、電気機器のオンと判定する。また、処理部12Aは、前回受信した電力消費量に比較して、今回受信した電力消費量が所定値以上に大きく立ち下がっている場合に、電気機器のオフと判定する。
【0041】
ステップS4が終了すると、処理部12Aは、判定結果を基に在宅確認信号を生成する(ステップS5)。ステップS5で、処理部12Aは、電気機器がオンにされた時と、電気機器がオフにされた時とを生活者が在宅しているとして、在宅確認信号を生成する。例えば、図11に示すように、在宅確認信号では、在宅をパルス信号で表している。つまり、電気機器のオン時とオフ時に、在宅を表すパルス信号が発生している。
【0042】
ステップS5が終了すると、処理部12Aは、あらかじめ設定されたタイミング、例えば朝、昼、夕の時刻に在宅確認信号を、利用者テーブルの連絡先を参照して、利用者の携帯電話機30やパーソナルコンピュータに電子メールで送信して(ステップS6)、在宅見守り処理を終了する。
【0043】
この後、処理部12Aは、在宅見守り処理で生成した在宅確認信号や電力消費量の推移などを必要に応じて、例えば利用者の要望によりデータベースサーバ13に記録する。
【0044】
一方、処理部12Aは、在宅見守り処理と共に生活パターン見守り処理を行う。この処理を行うプログラムは記憶部12Bに記憶されている。在宅見守り処理は、生活者宅Bに在宅しているかどうかにより、生活者の生活変化を見守るが、生活パターン見守り処理は、生活者宅Bにある電気機器の使用状況から、生活者の生活変化を見守る。処理部12Aは、あらかじめ設定された時刻、例えば午前零時になると、図12に示す生活パターン見守り処理を開始し、前日の1日の電力消費量の推移を調べる(ステップS21)。ステップS21で、処理部12Aは、記憶部12Bの電力量テーブルを参照する。
【0045】
処理部12Aは、ステップS1で調べた、1日の電力消費量の推移から、電気機器のオンとオフとを調べ(ステップS22)、電気機器がオンからオフになるまでの間の電力消費量のパターンを抽出する(ステップS23)。この後、処理部12Aは、データベースサーバ13に登録されている電気機器テーブルの各パターンと、ステップS23で抽出したパターンとのパターンマッチングを行い(ステップS24)、マッチング度が一番高いパターンを持つ電気機器の名称を、電気機器テーブルから調べる(ステップS25)。この後、処理部12Aは、ステップS21で調べた1日の電力消費量の該当するパターンに、ステップS25で抽出した電気機器の名称を付加して、機器使用確認信号を生成する(ステップS26)。例えば、図13に示すように、1日の電力消費量の各オンとオフとの間のパターンと、電気機器のパターンとのマッチング度が高い電気機器の名称を基に、図14に示す機器使用確認信号を生成する。
【0046】
ステップS26が終了すると、処理部12Aは、1日の電力消費量におけるすべてのオン・オフを調べたかどうかを判断する(ステップS27)。ステップS27で調べていないオン・オフとがあると、処理部12Aは処理をステップS23に戻す。また、1日の電力消費量におけるすべてのオン・オフを調べ終えたと判断すると、処理部12Aは、生成した機器使用確認信号と、データベースサーバ13に記録してある過去の機器使用確認信号とを比較する(ステップS28)。ステップS28では、電気機器の使用時刻に大きな差異が発生すると、処理部12Aは、生活パターンが変化したと判断し、生活パターンの変化、例えば使用時刻のずれた電気機器の名称などを、比較結果とする。
【0047】
ステップS28が終了すると、処理部12Aは、ステップS26で生成した機器使用確認信号と、ステップS28での比較結果とを、利用者テーブルの連絡先を参照して、利用者の携帯電話機30やパーソナルコンピュータに電子メールで送信して(ステップS29)、生活パターン見守り処理を終了する。
【0048】
この後、処理部12Aは、生活パターン見守り処理で生成した機器使用確認信号や比較結果などを必要に応じて、例えば利用者の要望によりデータベースサーバ13に記録する。
【0049】
次に、この実施の形態による見守り支援システムを用いた見守り支援方法について説明する。通常、管理サーバ12は受信処理により、データベースサーバ13の電力量テーブルを更新していく。こうした状態のときに、生活変化検出サービスの新規利用者があると、管理センタの担当者が管理端末14を操作して、データベースサーバ13の利用者テーブルに新規利用者を登録する。
【0050】
この後、管理サーバ12は、新規利用者が指定した生活者、例えば生活者宅Bの生活者が使用した電力消費量の計測データを、電力量計20から定期的に受信する。そして、管理サーバ12は、在宅見守り処理を行い、例えば朝、昼、夕の時刻に、利用者の携帯電話機30やパーソナルコンピュータに対して在宅確認信号を電子メールで送信する。パーソナルコンピュータが利用される場合には、管理サーバ12は、利用者テーブルのIDやパスワードの入力を求めて、本人確認を行う。利用者は、送られてきた電子メールにより、離れて暮らしている生活者の在宅状況を知ることができる。つまり、生活者宅Bに在宅しているかどうかにより、利用者が生活者の生活変化を見守ることを可能にする。
【0051】
さらに、管理サーバ12は、1日に一度、前日の計測データを基に生活パターン見守り処理を行い、生成した機器使用確認信号と、過去の機器使用確認信号との比較結果を、利用者の携帯電話機30やパーソナルコンピュータに電子メールで送信する。これにより、生活者宅Bにある電気機器の使用状況から、生活者の生活変化を見守ることを可能にする。
【0052】
こうして、この実施の形態によれば、従来のように特定の電気機器(電気ポット)の操作状況を基に生活者の在宅を調べるのとは異なり、複数の電気機器による電力消費量から得た、生活者宅Bに在宅しているかどうかの在宅状況と電気機器の使用状況との両方から、生活者を確実に見守ることを可能にする。また、従来のように特定の電気機器のコンセントが外れて、この機器に対する通電が行われなくても、残りの電気機器により在宅を調べるので、生活者の見守りに与える影響を小さくすることができる。さらに、この実施の形態では、電力消費量の計測データを電力量計20つまりスマートメータから受信するので、計測データを生活者宅Bから送信するための設備等の新設が不要である。
【0053】
(実施の形態2)
この実施の形態では、生活者宅Bの電力量計20がスマートメータではない場合、次のようにして計測データが管理センタAに送信される。この実施の形態による見守り支援システムを図15に示す。図15では、通信網NWと管理センタAとの記載を省略している。なお、この実施の形態では、先に説明した図1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。
【0054】
この実施の形態では生活者宅Bに、電力消費量を計測する機能だけを持つ通常の電力量計40と、分電盤41と、計測ユニット42と、通信制御装置43とを備えている。生活者宅では、配電線101からの電気は、生活者宅Bに設置されている電力量計40を経て、分電盤41で分岐される。分電盤41は、図16に示すように、過電流を検出して遮断する過電流ブレーカ41Aと、電気を分岐するための分岐回路41Bと、分岐された電流を流す各配電線の漏電を検出して遮断する漏電ブレーカ41C〜41Cとを備えている。
【0055】
また、分電盤41は、計測ユニット42の電流センサ42Aを備えている。電流センサ42Aは、過電流ブレーカ41Aを流れる電流を計測し、計測結果を計測ユニット42にそれぞれ送る。なお、分電盤41の分岐回路41Bで分岐された電気は、生活者宅内に設置されているコンセント(図示を省略)を経て、電子レンジ22A、ドライヤー22B、…、エアコン22Cなどに供給される。
【0056】
生活者宅Bに設置されている通信制御装置43は、ルータのようなものであり、通信網NWを経由したデータ通信を可能にする。このとき、通信制御装置43は、家庭内のローカルエリアネットワーク43Aからのデータ、つまり、生活者宅Bに設置されている計測ユニット42からの計測データを、通信網NWを経由して管理センタに送信する。
【0057】
計測ユニット42は、生活者宅内Bで消費される電気を、所定時間毎に記録する装置である。計測ユニット42は、あらかじめ電力量計40の計器番号を記憶している。この実施の形態では、計測ユニット42は、分電盤41を経て、例えば10分毎の消費電力量を記録する。さらに、計測ユニット42は、記録した電力消費量に対して、記録時の日付けと時刻とを付加する。そして、計測ユニット42は、所定時間毎の電力消費量を計測データとして、通信制御装置43に送る。このときに、計測ユニット42は、通信制御装置43に送る電力消費量に対して、あらかじめ記憶している計器番号を付加する。つまり、通信制御装置43が管理センタAに送信する電力消費量には、計器番号と、日付けおよび時刻とが付加される。
【0058】
この後、管理センタAに送信された計測データは、実施の形態1と同様に処理される。
【0059】
こうして、この実施の形態により、電力量計40が通常の計量器であっても、生活者宅Bで暮らす生活者を見守ることを可能にする。
【0060】
(実施の形態3)
この実施の形態では、図12に示す生活パターン見守り処理を行う際に、ステップS21の処理を次のようにしている。つまり、ステップS21で、処理部12Aは、前日の1日の電力消費量を調べる。このときに、処理部12Aは、記憶部12Bの電力量テーブルを参照して得た1日の電力消費量の推移に対してオン・オフ閾値を用いる。これにより、オン・オフ閾値以上の、1日の電力消費量の推移に対して、ステップS22以降の処理を行う。
【0061】
この実施の形態によれば、生活者の生活と相関が強い例えば電子レンジやドライヤーのような電気機器の使用状況が判明するので、確度の高い生活パターンの変化を調べることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
この発明は、生活者の見守りに限らず、生活者の不在確認や、高齢者の安否確認などに利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
A 管理センタ
B 生活者宅
10 見守り装置(処理手段)
11 通信制御装置
12 管理サーバ
13 データベースサーバ
14 管理端末
20 電力量計(送信手段)
30 携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生活者が生活する生活者宅で使用されている電気機器全体が消費する電力消費量であって、所定時間毎の電力消費量を送信する送信手段と、
前記送信手段からの電力消費量を受信すると、あらかじめ記憶している閾値と受信した電力消費量とを比較して、この閾値以上の電力消費量から前記電気機器のオンとオフとを検出し、検出したオン時と、オフ時に前記生活者が在宅していると判定する処理手段と、
を備えることを特徴とする見守り支援システム。
【請求項2】
生活者が生活する生活者宅で使用されている電気機器全体が消費する電力消費量であって、所定時間毎の電力消費量を送信する送信手段と、
前記送信手段からの電力消費量を受信すると、この電力消費量を記憶し、所定期間の電力消費量の推移を得ると、あらかじめ記憶している各電気機器の電力消費量のパターンと、所定期間の電力消費量の推移に含まれる各パターンとを比較して、使用された電気機器と、使用時間とを特定し、特定された電気機器の使用状況の変化から生活パターンの変化を検出する処理手段と、
を備えることを特徴とする見守り支援システム。
【請求項3】
前記送信手段は、前記生活者宅に設置されて、この生活者宅で使用される電力消費量を計測する機能と、計量結果を記憶する機能と、計測結果を送信する機能とを具備する電力量計である、
ことを特徴とする請求項1または2項に記載の見守り支援システム。
【請求項4】
前記処理手段は、連続的に運用される冷蔵庫等のような電気機器の電力消費量の推移を基に設定された値を、前記閾値としてあらかじめ記憶している、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の見守り支援システム。
【請求項5】
生活者が生活する生活者宅で使用されている電気機器全体が消費する電力消費量であって、所定時間毎の電力消費量を送信し、
電力消費量を受信すると、あらかじめ記憶している閾値と受信した電力消費量とを比較して、この閾値以上の電力消費量から前記電気機器のオンとオフとを検出し、
検出したオン時と、オフ時に前記生活者が在宅していると判定する、
ことを特徴とする見守り支援方法。
【請求項6】
生活者が生活する生活者宅で使用されている電気機器全体が消費する電力消費量であって、所定時間毎の電力消費量を送信し、
電力消費量を受信すると、この電力消費量を記憶し、
記憶した所定期間の電力消費量の推移を得ると、あらかじめ記憶している各電気機器の電力消費量のパターンと、所定期間の電力消費量の推移に含まれる各パターンとを比較して、使用された電気機器と、使用時間とを特定し、
特定された電気機器の使用状況の変化から生活パターンの変化を検出する、
ことを特徴とする見守り支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−68774(P2012−68774A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211545(P2010−211545)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】