説明

親水性ポリプロピレン融体添加剤

安定で耐久性のある親水性を熱可塑性ポリマー又はそのブレンドに付与するための、融体添加剤であるイオン性及び非イオン性界面活性剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年3月27日に出願された、米国特許仮出願第61/164,247号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリマーは、吹込及びカスケードフィルム、押し出されたシート、フォーム、繊維、及びこれらから製造された製品、織布及び編織物、並びに不織布繊維性ウェブなどの、様々な製品を作るために広範に利用される。これらの製品に使用されるポリプロピレンなどの多くの熱可塑性ポリマーは、本質的に疎水性であり、これらの疎水性がこれらの用法を制限するか、又はこれらから作られた成形物品の表面を改質するためのいくらかの努力を必要とするかのいずれかの、熱可塑性ポリマーとしての多くの用法が存在する。例えば、ポリオレフィンは、(おむつ、女性ケア製品及び個人用失禁製品などの吸収性物品の構成体において採用される)不織布ウェブの製造において使用され、このような不織布ウェブの使用は、これらの疎水性のために制限される。ポリオレフィンは、これらの用途に特に望ましいが、それは、ポリオレフィンが低コストであり、比較的低いガラス転移温度に起因して柔らかな「手触り」(例えば、不織布に対する柔らかな感触)を提供するからである。
【0003】
親水性表面を提供するためのコーティング方法は既知であるが、またいくつかの制限も有する。コーティング調製において要求される追加工程は、高価であり、時間がかかり、特殊な装置を必要とする。コーティングに使用される溶媒の多くは、引火性の液体であるか、又は曝露限度を有し、これは特別な製造設備を必要とする。水溶液の外側にコーティングされると、水は続いて炉内で除去されなければならないが、これがエネルギー集約的であり、高費用であるのは、水が高い蒸発熱を有するからであり、このためにライン速度が遅くなる。更に、親水性表面を提供するために使用される任意の界面活性剤の量は、コーティング溶媒における溶解度、適用されるコーティングの量、及び、起こり得る起泡問題により制限される。
【0004】
国際公開第92/18569号及び同第95/01396号(Sargentら)は、抗ぬれ(撥水)及び帯電防止特性を有するフィルム及び繊維を調製するために熱可塑性ポリマーを押出成形するのに用いるフルオロケミカル化学物質添加剤を記載している。
【0005】
繊維の表面及びバルクの両方に親水性を付与するために、1つ以上の界面活性剤を熱可塑性ポリマーの融体に添加することも、既知である。米国特許第4,857,251号及び同第4,920,168号(Nohrら)は、熱可塑性ポリマーと、特定部位を有するシロキサン含有添加剤と、を含む表面分離可能な熱可塑性組成物の溶融押出成形により繊維を形成する方法を記載している。
【0006】
フッ素性化学物質及び/又はフッ素含有基はまた、繊維に親水性を付与することが既知である。例えば、米国特許第5,804,625号(Temperanteら);欧州特許第0 516271号(Gardiner);米国特許第5,244,951号及び同第5,300,357号(Gardiner)及び同第7,230,043号(Klun)を参照されたい。
【0007】
他の添加剤も記載されてきた。米国特許第4,189,420号(Sugimoto)は、ポリオキシエチレン(poloxyethyelne)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、モノグリセリド及びジグリセリド、並びに、ポリグリセロール脂肪酸エステルから選択される表面湿潤剤を開示している。米国特許第5,087,520号(Suzukiら)は、脂肪酸ジエタノールアミドとポリエーテル変性シリコーンとソルビタン脂肪酸エステルとアルキルスルホネートの金属塩との混合物を有するポリオレフィン又はポリエステルを含む繊維を記載している。
【0008】
特定の種類の炭化水素、シリコーン、及びフルオロケミカル界面活性剤は、それぞれポリマーに親水性を付与するために有用であるものとして記載されている。これらの界面活性剤は典型的には2つの方法(1)局所適用、例えば、界面活性剤を、水溶液から、押し出された不織布ウェブ、若しくは繊維へと噴霧、若しくはパディング、若しくはフォーミングし、続いて乾燥させること、又は(2)ウェブの押出成形の前に界面活性剤をポリオレフィン融体中に組み込むこと、の一方により、熱可塑性ポリマーと接触する。後者がより好ましいが、親水性を付与するのに十分な量で繊維又はフィルムの表面を確実に被覆し、ひいては耐久性のある親水性を確保するために表面にて適切に配向されたままでいる界面活性剤を見出すのは困難である。上述のように、界面活性剤の局所適用によって親水性にしたウェブは、多くの欠点を被る。一部のウェブ構成体はまた、水性媒体との一度の接触後に親水性が減少したことが報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のものなどの、親水性を付与するのに界面活性剤の局所適用が不利な点は、界面活性剤それ自体からの皮膚刺激、不均一な表面及びバルク親水性を包含し得る。1つ以上の界面活性剤を融体添加剤として熱可塑性ポリマーに組み込むことは、局所適用に伴う問題を緩和し、加えてこれが組み込まれる布地、又は不織布に、より柔軟な「手触り」を提供し得る。
【0010】
非毒性であり、かつ、布地の「手触り」を保存又は改善する融体界面活性剤を用いて、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)繊維性不織布の、耐久性のある湿潤性を入手する必要は存在し続けている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、耐久性のある親水性、好ましくは生体適合性の、組成物を製造するための組成物、物品及び方法を目的とする。この組成物に、熱可塑性ポリマーに安定で耐久性のある親水性を付与するために、融体添加剤と組み合わせて特定のイオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を組み込む。この組成物は、溶融加工可能であり得、様々な食品安全、医学、パーソナルケア並びに、浄水、並びに、空気及び液体濾過用途における有用性を有し得る。重要なことに、この組成物は、ポリオレフィンの物理特性(例えば、引張、伸びなど)を犠牲にすることなく低コストで製造することができ、低コスト使い捨て繊維製品での使用を可能にする。本明細書に記載の繊維組成物で製造されるウェブは、例えば、水で飽和させ、絞り出し、乾燥させるといった、水による反復接触(「侵襲的処置(insult)」)後も親水性及び吸水性を維持する。
【0012】
耐久性のある親水性組成物で製造された物品は、上記組成物から製造される、成形ポリマー物品、ポリマーシート、ポリマー繊維、織布ウェブ、不織布ウェブ、多孔質膜、ポリマーフォーム、並びに、熱又は接着積層体などの層状組成物、及び、これらの組み合わせを含むことができる。このような物品は、使い捨て及び再利用のどちらも可能な物品を包含する。本開示の有用な物品の例は、耐久性のある親水性組成物を含むフィルム、フォーム、及び/又は織布、若しくは不織布から製造される創傷接触材料、並びに外科用ドレープ、又は外科用ガウン、加えて本発明の耐久性のある親水性組成物から製造される個人用衛生物品、例えば、おむつ、女性用衛生パッド及びこれらに類するものである。
【0013】
本開示の方法は、本明細書において記載される熱可塑性ポリマー及び界面活性剤を供給することと、これらの材料を十分にブレンドして生体適合性の、耐久性のある親水性組成物を生じさせることと、を含む。
【0014】
一態様では、ポリマー組成物は、ポリマー組成物を押出成形できるように、溶融加工可能である。熱可塑性ポリマーと界面活性剤の溶融加工可能な組成物は、耐久性のある親水性を呈する。
【0015】
別の態様では、ポリマー組成物は溶媒に可溶性又は分散性であり、組成物はソルベントキャスト、ソルベントスパンにかけてフィルム、繊維、又はフォームを形成させてもよい。
【0016】
以下の定義された用語に関して、別の定義が特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所において示されない限り、これらの定義が適用される。
【0017】
用語「生体適合性」は、組成物が、組織との接触時に、生体組織中又は生体組織上に毒性、有害性又は免疫応答を生じないことを意味する。用いる試験方法としては、組成物を、組織(皮膚、創傷、又は、食道若しくは尿道のような開口部に含まれる粘膜組織など)と接触させる用途のためのASTM F719、及び、組成物を組織内に注入する用途のためのASTM F763が挙げられる。
【0018】
用語「安定で耐久性のある親水性」又は「耐久性のある親水性の」は、典型的には繊維又は布地形態において、組成物が、23℃にて少なくとも30日にわたって、好ましくは23℃にて少なくとも40日にわたって経時処理した際に、吸水性を維持することを意味する。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「ポリオレフィン」は、モノマーとしての単純オレフィン(アルケンとも呼ばれる)から製造されるポリマーを意味する。同意語は、ポリアルケンである。例えば、ポリエチレンは、オレフィンエチレンを重合することにより製造されるポリオレフィンである。本明細書で使用するとき、ポリオレフィンは、オレフィンモノマーと、非オレフィンモノマーとのコポリマーも包含する。ポリオレフィンはまた、ポリアルファオレフィンも包含する。
【0020】
語句「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の環境において特定の利益を供し得る発明の実施形態を示す。しかしながら、同一の又は他の状況下で、他の実施形態も好まれる可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の引用は、他の実施形態が有用でないことを含意するものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0021】
終点による数の範囲の記述は、その範囲内(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5を含む)及びその範囲内の任意の範囲に包含される全ての数を含む。
【0022】
本明細書で使用されるように、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用される。用語「及び/又は」(使用される場合)は、1つ又は全ての特定した要素/特性、若しくは任意の2つ以上の特定した要素/特性の組み合わせを意味する。
【0023】
用語「及び/又は」は、1つ又は全ての記載した要素/特性、若しくは任意の2つ以上の記載した要素/特性の組み合わせを意味する。
【0024】
上記概要は、本発明の各実施形態又は全ての実装形態を記載するものではない。むしろ、本発明に対する一層の理解は、下記の「発明を実施するための形態」及び請求項を参照することにより明らかになり、理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明は、以下に列挙される図面を参照して更に説明され、類似構造は、いくつかの図にわたって、類似番号によって参照される。
【図1】本明細書に記載の代表的な不織布組成物の見かけの表面エネルギーについてのデータを示すグラフ。
【図2】本明細書に記載の別の代表的な不織布組成物の見かけの表面エネルギーについてのデータを示すグラフ。
【図3】本明細書に記載の別の代表的な不織布組成物の見かけの表面エネルギーについてのデータを示すグラフ。
【図4】本明細書に記載の別の代表的な不織布組成物の見かけの表面エネルギーについてのデータを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、安定で耐久性のある親水性を熱可塑性ポリマー又はそのブレンドに付与するために、融体添加剤であるイオン性及び非イオン性界面活性剤の使用を開示する。好ましい熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、これらのブレンド及びコポリマーなどのポリオレフィンである。繊維形態では、ポリオレフィン繊維は、他の熱可塑性(例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン及びこれらに類するもの)及び非熱可塑性繊維(綿、木材パルプ、レーヨン、黄麻、麻及びこれらに類するものなどの天然繊維が挙げられる)とブレンドされてもよい。本明細書に記載の組成物は、外科手術で使用される、親水性吸収性不織布/フィルム積層体ドレープ、並びに、女性用衛生パッド、おむつ、失禁パッド及びこれらに類するものなどのパーソナルケア吸収材、を製造するために特に有用である。
【0027】
親水性の有無は、様々な方法で測定され得る。例えば、疎水性であるか、又はその親水性を喪失した多孔質不織布ウェブと水が接触する際、水はウェブを通じて流れず、又は望ましくないほど緩慢に流れる。重要なことに、本明細書に記載の組成物で形成される繊維及びウェブは、安定な親水性(吸水性)を呈する。すなわち、これらは、ポリ/Tyvekパウチなどの、清浄であるが多孔質のエンクロージャ内で、23℃(特定の用途では23℃以下)にて30日超、及び好ましくは40日超にわたって経時処理した後でも、親水性を維持する。最も好ましい組成物は、実施例に記載の方法に従って試験した際に、45℃にて10日超、より好ましくは45℃にて30日超、最も好ましくは45℃にて40日超経過した後に安定で耐久性のある親水性(吸水性)を維持する。好ましい繊維は、瞬間的に湿潤可能であり、吸収性であり、かつ非常に高い初速度で水を吸収することができる。
【0028】
一態様では、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン及びこれらに類するもの、並びに、これらのブレンド及びコポリマー)と、硫酸基、スルホン酸基、スルタイン基、リン酸基含有界面活性剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のイオン性界面活性剤と、(i)5〜80重量パーセントのポリオキシエチレンを含有する少なくとも1種の非イオン性でフッ素化されていないポリオキシエチレン基含有界面活性剤、(ii)少なくとも1種の非イオン性フルオロケミカル界面活性剤及び(iii)(i)、(ii)及び(iii)の組み合わせ、からなる群から選択される1つ以上の非イオン性界面活性剤と、を含む耐久性のある親水性の熱可塑性組成物が提供される。次に、組成物は、フィルム又は繊維を形成するために、溶融押出成形することができる。界面活性剤のブレンドは、フィルム又は繊維に対してその表面に耐久性のある親水性を付与するのに十分な量で、フィルム又は繊維中に存在する。
【0029】
別の態様では、耐久性のある親水性フィルム、耐久性のある親水性布地、及び、この繊維から作製されたウェブが提供される。医療用ドレープ、創傷ドレッシング、医療用ガウン、エプロン、濾材、工業用拭き取り用品、並びにパーソナルケア及びホームケア用品、例えば、おむつ、顔用ティッシュ、顔用拭き取り用品、ウェットタオル、ドライタオル、使い捨て吸収性物品、及び衣類、例えば、幼児用おむつ、又はトレーニングパンツ、成人用失禁製品、女性用衛生製品、例えば、生理用ナプキン、及びパンティライナー、並びに、これらに類するものを包含する、耐久性のある親水性布地及びウェブから製造される物品もまた記載される。
【0030】
透明な熱可塑性ポリマーを使用すると、曇り止めフィルムが可能である。曇り止めフィルムは、保護メガネ及びこれに類するものとして、食品包装時に使用され得る。このようなフィルムは、単独で使用されてもよく、光学的に透明な基材などの他の基材に積層されてもよい。
【0031】
更に別の態様では、多層の水性液体吸収性物品は、水性媒体に対して撥性(imperious)である繊維(無孔フィルム)に取り付けられたバッキングシートを備える。例えば、重要なことに、いくつかの外科用ドレープは、繊維性トップシート内に吸収されている液体がこれを通じて皮膚の表面に伝わり、そこで皮膚上に存在するバクテリアによって汚染されることを防止するために液体不透過性であるフィルム/不織布積層体である。他の実施形態では、構造体は、例えば、使い捨ておむつ、拭き取り用品若しくはタオル、生理用ナプキン及び失禁パッドを構成するのに有用な、上記のウェブ又はその間に並置された布地から作製された水性媒体透過性トップシート及び所望により吸収性トップシート、並びに水性液体吸収性(すなわち、親水性)層を更に備えてもよい。
【0032】
本発明の組成物は、「比較的均質」である。すなわち、これらは、良好な混合を伴う溶融押出成形により製造することができ、押出成形時に、長手方向及び放射方向の両方で、繊維をわたって界面活性剤などの添加剤の濃度が比較的均質である。明らかに、長手方向の差異は、添加剤のいずれかの濃度が変わることに起因して生じ得る。しかしながら、時間と共に、及び/又は熱処理により界面活性剤は移動して、ある点、例えば繊維表面において、濃度がより高くなるか、又はより低くなり得ることが認識される。本発明で使用される界面活性剤は、シースコア繊維のシース層において、又は、フィルム−フィルム及びフィルム−布地積層体の特定の層のみにおいて、用いられ得る。重要なことに、界面活性剤は、それらが存在する層全体にわたって存在する。
【0033】
別の態様では、本明細書に更に記載のように、熱可塑性ポリマーと少なくとも1種のイオン性界面活性剤と少なくとも1種の非イオン性界面活性剤の混合物又はブレンドから耐久性のある親水性繊維を調製する方法が提供される。ブレンドの融体が、例えば、押出成形、又は鋳造によって加工、又は成形され、繊維内に溶解、又は分散し、繊維表面に少なくとも部分的に存在してその表面を耐久性のある親水性にする界面活性剤を有する繊維を生成する。いくつかの界面活性剤は感熱性を示すため、押出成形機内の加工温度は、好ましくは約300℃未満、より好ましくは約250℃未満に維持され、界面活性剤は特定の加工技術によってもたらされるこのような温度に曝露される。
【0034】
耐久性のある親水性は、繊維化学仕上げ後作業(例えば、追加的な界面活性剤の適用)を必要とせずに達成されるが、これは、繊維が押し出される際に耐久性のある親水性である一方で、押出成形の後にウェブを加熱することが、界面活性剤で表面を被覆し親水性を向上させる助けとなり得るためである。これは熱可塑性樹脂のガラス転移温度の温度以上で行われ、典型的には120℃未満、より好ましくは100℃未満である。被覆は、全ての界面活性剤について生じるものではなく、いくつかの界面活性剤については、押出成形後にウェブを加熱することを避けて親水性特性の劣化の可能性を最小化すべきである。
【0035】
繊維への親水性の付与は、少なくとも1つの融体添加剤であるイオン性界面活性剤と、少なくとも1つの融体添加剤である非イオン性界面活性剤を用いて、行われる。これらは、好ましくは、下記のような特定の比率で組み合わされる。界面活性剤は、便宜的に濃縮組成物中のポリマーと混合され、これは次に、ホッパー、又は実質的に均一な混合物になるようにブレンドが達成される限りにおいては押出成形機に沿ったいずれか別の場所で、未加工のポリマーと混合される。あるいは、組み合わせた界面活性剤は、例えば、容積移送式ポンプ又は重量喪失供給装置を使用して、押出成形機に直接(事前混合することなく)添加されてもよい。
【0036】
請求されている本発明の好ましい組成物は、グリセリドを含まない。本明細書で使用するとき、「グリセリド」は、グリセリンのアシルエステルを意味し、モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド、並びに、これらの混合物を包含する。1個以上のアシル基を有するグリセリドについて、アシル基は、様々な鎖長のものであり得る(例えば、米国特許第4,189,420号(Sugimotoら)に開示されている混合グリセリド)。
【0037】
本発明の好ましい組成物としては、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(好ましくはポリオレフィン、更に好ましくはポリプロピレン又はポリエチレンである)を含む比較的均質の組成物が挙げられる。熱可塑性ポリオレフィンは、好ましくは、溶融押出により形成される際に、ペルフルオロ化された界面活性剤を本質的に含まない。特定の実施形態では、組成物は、好ましくは、増強量の第二ポリオレフィンポリマーを含み、以降ではこれを「親水性増強ポリオレフィン」と呼ぶものとする。親水性増強ポリオレフィンは、典型的には、少なくとも4つの炭化水素を有するモノマーから誘導され、通常、熱可塑性ポリオレフィンポリマーの分子量よりも小さな分子量を有する。好ましい親水性増強ポリオレフィンはポリアルファオレフィンであり、より好ましくはポリブチレンである。
【0038】
本発明の好ましい組成物はまた、組成物の総重量に基づいて0.25〜8重量パーセントの量で、より好ましくは組成物の総重量に基づいて0.5〜4重量パーセントの量で、更に好ましくは組成物の総重量に基づいて0.75〜2重量パーセントの量で、少なくとも1種のイオン性界面活性剤を含む。少なくとも1種の非イオン性界面活性剤もまた存在し、好ましい組成物中に、組成物の総重量に基づいて0.25〜8重量パーセントの量で、より好ましくは組成物の総重量に基づいて0.5〜4重量パーセントの量で、更に好ましくは組成物の総重量に基づいて0.75〜2重量パーセントの量で、存在する。イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の比率は、濡れ及び耐久性のある親水性を達成するために重要である。好ましくは、イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の比は、1:5〜5:1重量部であり、より好ましくは1:4〜4:1重量部である。
【0039】
好適なイオン性界面活性剤としては、硫酸基、スルホン酸基、スルタイン基、リン酸基及びこれらの組み合わせの親水性官能基が挙げられる。本明細書で使用するとき、イオン性「界面活性剤」は、少なくとも1個の親水性官能基(例えば、硫酸基、スルホン酸基、スルタイン基及びリン酸基)と、少なくとも1個の疎水性基(通常6〜約30個の炭素原子(平均炭素鎖長として)を有するアルキル、アルキレン、アラルキル又はアルカリル基など)と、を有する界面活性剤分子を意味するものと理解される。例としては、ナトリウムオクタデシルスルフェート塩、パラフィンスルホネート塩、分枝鎖アルカンスルホネート塩、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート塩、ドデシルベンゼンスルホネート、ラウリルホスフェート、Ceteth−10 PPG−5ホスフェート及びこれらに類するものが挙げられる。
【0040】
好適な非イオン性界面活性剤としては、非イオン性でフッ素化されていないポリオキシエチレン基含有界面活性剤及び非イオン性フルオロケミカル界面活性剤及びこれらの組み合わせが挙げられる。非イオン性でフッ素化されていない界面活性剤は、疎水性物質1モルあたり1〜100モルのエチレンオキシドを有し、通常6〜約30個の炭素原子を有するアルキル、アルキレン、アラルキル又はアルカリル基などの疎水基を少なくとも1個有する。好ましい非イオン性でフッ素化されていない界面活性剤は、疎水性物質1モルあたり1〜20モルの、好ましくは疎水性物質1モルあたり1〜10モルの、エチレンオキシドを有する。典型的には、アルキレンオキシド鎖は、エーテル又はエステル結合を通して疎水性物質に接続される。好ましくは、1つ以上の非イオン性でフッ素化されていないポリエチレン基含有界面活性剤は、5〜80重量パーセントのポリオキシエチレン、より好ましくは10〜60重量パーセントのポリオキシエチレンを含有する。例としては、ステアレス−2、ステアレス−10、ベヘネス−5、1〜5モルのエチレンオキシドを有するエイコサノールのエトキシレート、並びに、PEG 400ジステアレート、PEG 1000ジステアレート、PEG 600モノラウレート及びこれらに類するものなどのエステルが挙げられる。
【0041】
好適な非イオン性でフッ素化された界面活性剤としては、少なくとも4個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基と、ポリアルコキシレートなどの好適な非イオン性親水基と、を有する界面活性剤、並びに、米国特許第5,804,625号及び同第7,230,043号に記載のものが挙げられる。当業者であれば、エトキシレートは、多くの場合、様々なエトキシル化度の分布状態であることが認識されよう。それゆえに、本明細書で述べているエチレンオキシドの重量%又はエチレンオキシドのモル数は、平均値である。重量%値は、重量平均値であることが理解される。アルカノール又はアルカン酸1モルあたりのエチレンオキシドのモル数を表す値は、数平均値である。
【0042】
編み織物、織布及び不織布として製造される、本明細書に記載の好ましい多孔質布地構成体は、実施例に開示される見かけの表面エネルギー試験によって試験した際に、60ダイン/cm超、好ましくは70ダイン/cm超の見かけの表面エネルギーを有する。本明細書に記載の耐久性のある親水性繊維から作製される好ましい多孔質布地材料は、水に濡れると、72ダイン/cm超の見かけの表面エネルギー(純水についての表面張力)を有する。最も好ましい材料は瞬間的に水を吸収し、5℃、23℃及び45℃のうちのいずれかで10日にわたって経時処理した後でも、吸水性を維持する。「瞬間的」吸収は、布地上に静かに配置される(滴下されるのではない)100μLの水滴が、布地の表面上に分離性の液滴を形成せずに、孔の中に吸収されることを意味する。
【0043】
本発明の好ましいフィルム構成体は、水性流体によって湿潤可能であり、米国特許第5,268,733号に半角技術として記載されるTantec接触角計器(Shaumburg,IL)を使用して測定した際に、脱イオン水と40°未満、好ましくは30°未満、最も好ましくは20°未満の接触角を有する。
【0044】
本発明はまた、十分な親水性及び耐久性を得るために、少なくとも0.25重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、更に好ましくは少なくとも0.75重量%、最も好ましくは少なくとも1.0重量%の量で、少なくとも1種のイオン性界面活性剤を含む、比較的均質な親水性ポリマー組成物の製造方法も開示する。イオン性界面活性剤は、好ましくは、物理的特性における不必要な劣化を防止し、水性流体の負荷時に起泡するのを回避するために、並びに、積層化製品における接着破損を防止するために、8重量%以下、好ましくは6重量%以下、更に好ましくは4重量%以下、最も好ましくは2重量%以下の濃度で存在する。本発明の組成物はまた、十分な親水性及び耐久性を得るために、少なくとも0.25重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、更に好ましくは少なくとも0.75重量%、最も好ましくは少なくとも1重量%の濃度で、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。
【0045】
イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤は、溶融プロセスでポリマーとブレンドし、フィルム、繊維又はフォームを形成させることにより、最終組成物中で使用され得る。しかしながら、これらの組成物は、まず、一方又は両方の界面活性剤をはるかに高濃度で含有する濃縮物又は「マスターバッチ」を作製することにより、作製してもよい。これらの濃縮物は、濃縮物を追加のポリマーとブレンドし、フィルム、繊維又はフォームを形成させることにより、最終組成物を作製するために使用され得る。場合によっては、本方法はまた、ウェブを50℃超の温度に後加熱することを含んでもよい。好ましいものではないが、場合によっては、本明細書に記載の組成物から形成された布地又はフィルムの表面へのコーティング方法を用いて、追加の界面活性剤を添加することが望ましい場合もある。
【0046】
ポリオレフィンポリマー
ポリオレフィンは、本明細書に記載の組成物において有用なポリマーである。例としては、ポリエチレン;エチレンと、より長鎖のオレフィンとのコポリマー;ポリプロピレン;ポリ(1−ブテン);ポリ(3−メチルブテン);ポリ(4−メチルペンテン);並びに、直鎖及び分枝鎖ポリオレフィン及びいわゆるメタロセンポリオレフィンなどの、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン及び1−オクタデセンとのコポリマーが挙げられる。
【0047】
本明細書で使用するとき、ポリオレフィンは、オレフィンモノマーの、非オレフィンモノマーとのコポリマーも包含する。オレフィンと共重合可能である代表的なモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、クロロプロピオン酸ビニルなどのビニルエステルモノマー;アクリル及びα−アルキルアクリル酸モノマー及びこれらのアルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリルなどのアミド及びニトリル;スチレン、o−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン及びビニルナフタレンなどのビニルアリールモノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン及び臭化ビニリデンなどのビニル及びビニリデンハロゲン化物モノマー;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル及びマレイン酸無水物などのマレイン及びフマル酸及びこれらの無水物のアルキルエステルモノマー;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル及び2−クロロエチルビニルエーテルなどのビニルアルキルエーテルモノマー;ビニルピリジンモノマー;N−ビニルカルバゾールモノマー;並びに、N−ビニルピロリジンモノマーが挙げられる。他の代表的なポリオレフィンとしては、ポリアルファオレフィンが挙げられる。
【0048】
本発明の不織布ウェブ又は多孔質フィルムを製造するために使用される好ましいポリオレフィンは、2〜8個の炭素原子を有するモノ−1−オレフィン(アルファオレフィン)から誘導される繰り返し単位からなるポリ(アルファ)オレフィンである。本発明での使用のための熱可塑性オレフィン系ポリマーを製造するために用いることができるモノマーとしては、単独で又は混合物中で、又は順次重合系における、エチレン、プロピレン及び1−ブテンが挙げられる。好適な熱可塑性ポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン/エチレンコポリマー、ポリブチレン、並びに、ポリプロピレン/ポリブチレンのブレンドなどのこれらのブレンドが挙げられる。最も好ましいのは、ポリプロピレンである。これらのポリマーを調製するためのプロセスは周知であり、本発明は、特定の触媒又はプロセスで作製されるポリマーに限定されるものではない。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーと第二親水性増強ポリマーとを含むポリマーの二成分ブレンドを含み、これらは後でイオン性及び非イオン性界面活性剤とブレンドされる。これらの実施形態は、界面活性剤又は熱可塑性ポリオレフィンポリマーと親水性増強ポリオレフィンポリマーのみの二成分ブレンドを有する熱可塑性ポリマー組成物と比較して、表面改質が増強されており、例えば、親水性が増している。本発明の親水性増強ポリオレフィンポリマーとして有用なポリマーは、熱可塑性ポリマーの結晶化度を低減させるポリマー(又はポリマーのブレンド)である。一般に、親水性増強ポリマーは、熱可塑性ポリマーと不相溶である場合には、熱可塑性ポリマーの結晶化度を減少させない。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、このような親水性増強ポリマーが、おそらくより多くの界面活性剤に物品の表面へ到達できるようにすることにより、及び/又は、界面活性剤の適切な配向を確実にすることにより、親水性を増強できることを発見した。ポリマーブレンドの結晶化度の程度の減少は、示差走査熱量測定(DSC)により判定することができる。
【0050】
繊維形成のために、ポリオレフィンポリマーは、好ましくは、比較的高いメルトフローインデックスを有する。好ましくは、メルトフローインデックスは、ASTM D1238により測定した際に、15g/10分を超え、より好ましくは20g/10分を超え、最も好ましくは25g/10分を超える。
【0051】
熱可塑性ポリマーがポリプロピレンホモポリマー(例えば、ExxonからのEscorene(商標)PP3505)、コポリマー、又はこれらの混合物である場合には、本発明で有用な親水性増強ポリマーとしては、ポリブチレンなどの樹脂及びそのコポリマー(例えば、ポリブチレンPB 0200、ポリブチレンPB 0400、ポリブチレンPB 0800、ポリブチレンDP 8310及びポリブチレンDP 8340(全てBasell(Wilmington,Del.)から入手可能));並びに、アタクチックポリ(アルファ)オレフィン、例えば、APAO−2180 E8アタクチックポリプロピレン(ポリプロピレンの高分子量ホモポリマー、Rexene Co.から入手可能)が挙げられる。
【0052】
ポリブチレンPB 0400などの親水性増強ポリマーは、一般に、少なくとも約2重量%の濃度で有効であり、好ましいのは少なくとも約4重量%の濃度である。親水性増強効果は、最大で25重量%及びそれ以上の添加濃度にて見られるが、いくつかの材料では、これは、引張り強度などの他の重要な物理的特性に負の影響を与える恐れがある。ほとんどの実施形態では、親水性増強ポリマーは、8重量%以下の濃度で存在する。
【0053】
界面活性剤
本発明の組成物は、表面の湿潤を助け、及び/又は微生物と接触して死滅させるのを補助するために、1つ以上の界面活性剤を含む。本明細書で使用するとき、用語「界面活性剤」は、水の表面張力を低減させることが可能な両親媒性物質(共有結合している極性及び非極性領域の両方を有する分子)を意味する。この用語は、石鹸、洗剤、乳化剤、及び界面活性剤などを含むことを意味する。界面活性剤は、少なくとも1個の極性基を有さねばならないが、2個以上を有してもよい。同様に、界面活性剤は、少なくとも1個の非極性基を有さねばならないが、2個以上を有してもよい。
【0054】
イオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤
本発明で有用なアニオン性界面活性剤としては、以下の構造を有する界面活性剤が挙げられる:
R−(O)SO
式中、
R=炭化水素C7〜C30アルキル又はC7〜C30アルキレン、分枝鎖又は直鎖であるC4〜C16ペルフルオロ化アルキル、又はC12〜C30アラルキル、所望により、ランダム又はブロック配置でエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基又はこれらの組み合わせなどの0〜100個のアルキレンオキシド基で置換されてもよく、エステル又はエーテル結合のように、炭素鎖上又は炭素鎖中でO、N又はSで更に置換されてもよい;
X=0又は1であり;
M=任意の塩であり、好ましくはアルカリ土類金属塩、好ましくはLi+、K+又はNa+、又は、三級アミン及び四級アミンを包含するアミン塩である。
【0055】
アニオン性界面活性剤の例としては、C7〜C18アルカンスルホネート、C7〜C18二級アルカンスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、例えば、ドデシルベンゼンスルホネート;C7〜C18アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、例えば、トリデセスナトリウム−4スルフェート、ラウレスナトリウム4スルフェート、ラウレスナトリウム8スルフェート(Stepan Company(Northfield,IL)から入手可能)、Cytecから入手可能なComplemix 100などのドクサートナトリウム(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、ペルフルオロオクチルスルホン酸カリウム及びこれらに類するものが挙げられる。以下の構造を有する双極性イオンのスルタイン界面活性剤も有用である:
(R−O)2P(O)O 又は R−OP(O)(O)2 M
式中、R及びMは、上記の通りに定義される。
【0056】
例としては、Specialty Industrial Products,Inc.(Spartanburg,SC)からSipostat 0018として入手可能なリン酸ステアリル、ラウレス−4リン酸及びジラウレス−4リン酸が挙げられる。
【0057】
多くの場合、「スルタイン」又は「スルホベタイン」と呼ばれる両性界面活性剤の部類であるスルホン酸アンモニウム両性物質も有用であり。下式により表すことができる:
−(C(O)−NH)−R−N(R−R−SO
式中、R〜R及び「a」は、下記に記載の通りである。
【0058】
は、(C1〜C22)アルキル又はアルキレン基、好ましくはC6〜C16アルキル基である。
【0059】
は、H又は(C1〜C12)アルキル、アルキレン基又はC6〜C12アラリル(alaryl)又はアラルキル基である。Rは好ましくはメチル又はベンジル基であり、最も好ましくは両方のR基はメチル基である。RがHの場合、より高いpH値における界面活性剤は、例えばNa、K、Li等のカチオン性対イオンと共に第三級アミンとして、又は第四級アミン基として存在し得ることが理解される。
【0060】
及びRは、それぞれ独立して、(C1〜C10)アルキレン基であり、これらは同一であってもよく又は異なっていてもよく、所望により、1個以上のN、O若しくはS原子、又は、1個以上のヒドロキシル若しくはアミン基で置換されてもよい。
【0061】
a=0又は1である。
【0062】
例としては、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン(McIntyre Group Ltd.からMACKAM 50−SBとして市販)、ラウリルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、タローアミドプロピルヒドロキシスルタイン、ミリスチルアミドプロピルヒドロキシスルタイン及びこれらに類するものが挙げられる。
【0063】
アニオン性官能基を有する界面活性剤は、金属又は有機アンモニウム対イオンを有し得る。いくつかの有用なアニオン性界面活性剤は、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルベンゼンエーテルスルフェート、アルキルスルホアセテート、二級アルカンスルホネート、及び二級アルキルスルフェートなどのようなスルホネート及びスルフェートからなる群から選択される。これらの多くは、下式により表すことができる:
−(OCHCH(OCH(CH)CH−(Ph)a1−(OCHCH−(O)−SO
及び
−CH[SO−M]−R
式中:a1及びb=0又は1であり;n、p及びm=0〜100(好ましくは0〜20)であり;Rは下記の通りに定義されるが、ただし、R又はRのうちの少なくとも1つが少なくともC8であり;Rは(C1〜C12)アルキル基(飽和直鎖、分枝鎖又は環状基)であり、所望により、N、O若しくはS原子又はヒドロキシル、カルボキシル、アミド若しくはアミン基によって置換されてもよく;Ph=フェニルであり;並びに、Mは、H、Na、K、Li、アンモニウム又は、トリエタノールアミン若しくは第四級アンモニウム基などのプロトン化第三級アミンのようなカチオン性対イオンである。
【0064】
上記式中、エチレンオキシド基(すなわち、「n6」及び「m3」基)及びプロピレンオキシド基(すなわち、「p2」基)は、逆の順番並びにランダム、順次又はブロック配列で生じる場合がある。Rは、R(上記に記載した通り)であるか、又は、R−C(O)N(CH)CHCH−並びに−OC(O)−CH−のようなエステル基(式中、Rは(C8〜C22)アルキル基(分枝鎖、直鎖又は環状基)である)のようなアルキルアミド基であってよい。例としては、Stepan Company(Northfield,IL)から入手可能なPOLYSTEP B12(n=3〜4、M=ナトリウム)及びB22(n=12、M=アンモニウム)などのラウリルエーテルスルフェート並びにメチルタウリン酸ナトリウム(日光ケミカルズ株式会社(日本、東京)から商品名NIKKOL CMT30で入手可能)のようなアルキルエーテルスルホネート;Clariant Corp.(Charlotte,NC)から入手可能な(C14〜C17)二級アルカンスルホン酸ナトリウム(α−オレフィンスルホネート)であるHostapur SASのような二級アルカンスルホネート;Stepan Companyから商品名ALPHASTEP PC−48で入手可能なメチル−2−スルホ(C12〜C16)エステルナトリウム及び2−スルホ(C12〜C16)脂肪酸二ナトリウムのようなメチル−2−スルホアルキルエステル;両方ともStepan Companyから、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム(商品名LANTHANOL LAL)及びラウレススルホコハク酸二ナトリウム(STEPANMILD SL3)として入手可能なアルキルスルホアセテート及びアルキルスルホスクシネート;Stepan Companyから商品名STEPANOL AMとして市販されているラウリル硫酸アンモニウムのようなアルキルスルフェート;Cytec IndustriesからAerosol OTとして入手可能なジオクチルスルホコハク酸ナトリウムのようなジアルキルスルホコハク酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
好適なアニオン性界面活性剤としてはまた、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アラルキルホスフェート及びアラルキルエーテルホスフェートのようなホスフェートが挙げられる。多くは、下式により表すことができる:
[R−(Ph)a3−O(CHCHO)n2(CHCH(CH)O)p2q2−P(O)[O
式中:Ph、R、a3、n2、p2及びMは、上記に定義されており;rは0〜2であり;q2=1〜3であるが、ただし、q2=1のとき、r=2であり、q2=2のとき、r=1であり、q2=3のとき、r=0である。上記のように、エチレンオキシド基(すなわち、「n2」基)及びプロピレンオキシド基(すなわち、「p2」基)は、逆の順番並びにランダム、順次、又はブロック配列で生じる場合がある。例としては、Clariant Corp.から商品名HOSTAPHAT 340KLとして市販されている、一般にトリラウレス−4−ホスフェートと呼ばれるモノ−、ジ−及びトリ−(アルキルテトラグリコールエーテル)−o−リン酸エステルの混合物、並びに、Croda Inc.,Parsipanny,NJから商品名CRODAPHOS SGとして入手可能なPPG−5セテス10ホスフェート、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
本明細書に記載の非極性R基は、数平均鎖長を表すものと理解される。例えば、多くの界面活性剤は、ある範囲のアルキル鎖長を有するココナッツ油などの天然油から誘導される。ココナッツ油の場合、これは、C8からC16まで様々であり、数平均鎖長が約C12〜C13であることが報告されている。
【0067】
1つ以上の界面活性剤を、所望の結果を生じるために好適な濃度で、本明細書に記載の組成物中及び/又は上に使用してもよい。一部の実施形態では、組成物中で使用するとき、それらは、組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、少なくとも0.75重量%、少なくとも1.0重量%又は少なくとも2.0重量%の総量で存在する。高度に親水性のウェブ、又は複数回にわたる水性流体との接触に耐え得るウェブが所望される特定の実施形態では、界面活性剤組成物は、ポリマー組成物の2重量%超、3重量%超、又は更に5重量%超を構成する。シースコア繊維、積層体、又は、界面活性剤が組成物全体に添加されていない他の構造体については、上記百分率値は、界面活性剤が添加された層又は要素の中の界面活性剤の重量%である。
【0068】
他の実施形態では、界面活性剤は、布地、フィルム又はフォーム組成物の総重量に基づいて、15重量%以下、10重量%以下、8重量%以下又は6重量%以下の合計量で存在する。シースコア繊維、積層体、又は、界面活性剤が組成物全体に添加されていない他の構造体については、上記値は、界面活性剤が添加された層又は要素の中の界面活性剤の重量%である。
【0069】
溶融加工の場合、好ましい界面活性剤は揮発性が低く、加工条件下で有意に分解しない。好ましい界面活性剤は、10重量%未満の水、好ましくは5重量%未満の水、及びより好ましくは2重量%未満の水、及び更により好ましくは1重量%未満の水を含有する(カールフィッシャー分析により測定される)。湿分含量は、組成物中のポリマー又は他の加水分解に反応しやすい化合物の加水分解を防ぐために低く維持することができ、これは、押し出されたフィルム、又は繊維に透明性を提供する助けとなる。
【0070】
不揮発性キャリアに事前に溶解させた界面活性剤を使用することが特に便利であり得る。キャリアは典型的に熱的に安定であり、150℃、180℃、200℃の高さの、又は更には250℃の高さであり得るプロセス温度での化学分解に耐えることができる。好ましい実施形態では、界面活性剤のキャリアは、23℃において液体である。好ましいキャリアとしては、ポリアルキレンオキシド、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダム及びブロックコポリマー、熱的に安定な多価アルコール、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリンなどが挙げられる。ポリアルキレンオキシドは、開始ポリオールによって直鎖、又は分枝鎖であり得る。例えば、エチレングリコールを使用して誘導されたポリエチレングリコールは直鎖であってもよく、一方、グリセリン、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールで誘導されたものは分枝状であってもよい。
【0071】
好ましいキャリアにはまた、多価アルコールの低分子量エステル、例えば、トリアセチン、グリセリルカプリレート/カプレート、アセチルトリブチルシトレートなどが挙げられる。キャリアとしてはまた、低分子量ポリマーを挙げてもよい。例えば、濃縮物は、低分子量ポリエチレン又はポリプロピレン中で作製され得る。
【0072】
非イオン性界面活性剤
非イオン性でフッ素化されていない界面活性剤
本発明の非イオン性炭化水素界面活性剤は、下式のうちの一方により特徴付けられる:
R−PA 又は R−PA−R
式中、各Rは上記に定義されており、PAは、R 1モルあたり0〜100モルのアルコキシレートを有する、ポリエチレンオキシド、又は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム若しくはブロックコポリマーなどの、ポリアルコキシレートである。好ましくは、PAはポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコール鎖の長さは、界面活性剤中のPEGの平均重量%が5〜60%、好ましくは10〜40%であるように選択される。Rは、エーテル、エステル、アミド又はアミン結合を介してPA基に接続され得ることに留意されたい。PAは、−OHで又は1〜22個の炭素原子を有するR基で終端され得る。好ましくは、PAはOHで終端される。例としては、Brij(商標)アルキル及びアルキレンエトキシレート、並びに、Triton(商標)X−ノニルフェノール及びオクチルフェノールエトキシレートが挙げられる。低エトキシル化度界面活性剤については、一部の開始アルコールが組成物中に存在し得る(n=0)ことに留意されたい。開始アルコールは、疎水性物質1モルあたりのエチレンオキシド単位の平均数を計算する際に含まれる。
【0073】
本発明の非イオン性炭化水素界面活性剤はまた、下式の界面活性剤を含み得る:
【0074】
【化1】

【0075】
式中:n及びmは、1〜約100、好ましくは1〜約20、の数であり、界面活性剤中のポリオキシエチレンの重量パーセントが平均で5〜80重量パーセント、好ましくは10〜60重量%であるように、選択される。重量%を計算する際、ポリエチレンオキシドの平均量は、ガス又は液体クロマトグラフィーを質量分析法と共に用いることにより決定され、重量平均として取り扱われる。各Rは、互いに独立して、置換され得る又は置換され得ないアルキル又はアリール基であって、2〜約20個の炭素原子を含有するアルキル又はアリール基として選択され、その骨格鎖は直鎖、分枝鎖、あるいは、十分に大きいのであれば、環状又はこれらの任意の組み合わせであり得、その結果、骨格鎖はまた所望により、骨格鎖の炭素原子に結合した、酸素、六価硫黄及び三価窒素原子などの1個以上のカテナリーヘテロ原子を含むことができる。
【0076】
例としては、Air Products(Allentown,PA)から入手可能なSurfynol及びDynol界面活性剤が挙げられる。
【0077】
非イオン性フルオロケミカル界面活性剤
本発明に好適なペルフルオロ化されたラジカル含有界面活性剤は、米国特許第5,804,625号及び同第7,230,043号に記載のもの、並びに、Dupontから入手可能な非イオン性Zonyl界面活性剤である。Dupontから入手可能なZonyl界面活性剤などのアニオン性でペルフルオロ化されたラジカル含有界面活性剤は、上記イオン性界面活性剤として使用することができる。
【0078】
特に有用な非イオン性フルオロケミカル界面活性剤としては、構造内に水溶性ポリオキシアルキレン基のブロックを1個以上含有するフルオロ脂肪族基含有非イオン性化合物が挙げられる。このような界面活性剤の一部類は、米国特許第5,300,357号(Gardiner)に記載されており、この記述は、参照により本明細書に組み込まれる。一般に、本発明で有用なフルオロケミカル界面活性剤としては、式Iにより下記に表されるものが挙げられる。
【0079】
(I) (R−Q)−Z
式中:
は、直鎖、分枝鎖、又は、十分に大きいのであれば、環状、又はこれらの任意の組み合わせであり得る少なくとも4個のペルフルオロ化炭素原子を有するフルオロ脂肪族基である。フルオロ脂肪族ラジカルの骨格鎖は、骨格鎖の炭素原子のみに結合した酸素、六価硫黄及び三価窒素原子などの1個以上のカテナリーヘテロ原子を含むことができる。ペルフルオロ化フルオロ脂肪族基が好ましいが、水素又は塩素原子が置換基として存在してもよく、ただし、存在したとしても2個の炭素原子あたり、いずれかの原子が1個だけ存在するものとする。Rは多数の炭素原子を含有することができるが、多数になるほどラジカルは通常、鎖長の短いもので可能なフッ素活用効率よりも低いフッ素活用効率を示すことから、Rが20個以下の炭素原子である化合物が好ましい。約3〜約12個の炭素原子を含有するフルオロ脂肪族ラジカルが、最も好ましい。一般に、Rは、約40〜約78パーセントのフッ素を含有する。R基の末端部分は、好ましくは、少なくとも4個のペルフルオロ化炭素原子、例えば、CFCFCFCF−、を含有し、特に好ましい化合物は、Rが、例えば、CF(CF−といったペルフルオロアルキルである場合のように、R基がペルフルオロ化又は実質的にペルフルオロ化されているものである。好適なR基としては、例えば、C−、C−、及びC11、C17−、C13CHCH−、及びC1021−CHCH−が挙げられる。
【0080】
上記式I中のQは、多価の、一般には二価の、結合基又は共有結合であり、記載のZ基(非イオン性の水溶性基である)とRを連結させる手段を提供し;Qは、例えば、−S−、−O−、−CO−、−SO−、−N(R)−(式中、Rは水素であるか、又は、O、N、Sなどのカテナリーヘテロ原子を含み得るC〜Cの置換された若しくは置換されていないアルキル基である)、−C2n−(n=1〜6)などのヘテロ原子含有基を含むことができ;Qは、例えば、−CON(R)C2n−、−SON(R)C2n−、−SON(R)C2n−、−SON(R)C2nO[CHCH(CHCl)O]CHCH(CHCl)−(n=1〜6;g=1〜10)、−SON(CH)COCHCH(OH)CH−、−SON(C)COCHCH(OH)CH−、−SON(H)CHCH(OH)CHNHC(CH)CH−、−(CHS(CH−及び−(CHSCH(CH)CH−といったものを生じさせるようなこのような基の組み合わせを含むことができ;
上記式I中のZは、ポリ(オキシアルキレン)基(OR’)を含む非イオン性の水溶性基であり、式中、R’は、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−及び−CH(CH)CH(CH)−などの2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、xは約2〜約20の数であり、Zは好ましくはポリ(オキシアルキレン)基を含有する。オキシアルキレン単位は、上記ポリ(オキシアルキレン)におけるように同一であることができ、あるいは、ヘテロの直鎖若しくは分枝鎖の、ランダムに分布したオキシエチレン及びオキシプロピレン単位、すなわち、ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)、におけるように、又は、オキシプロピレン単位の直鎖若しくは分枝鎖ブロックにおけるように、混合物として存在する。ポリ(オキシアルキレン)鎖は、1個以上のカテナリー結合により割り込まれ得るか、又は、1個以上のカテナリー結合を含むことができ、このカテナリー結合は、式
−O−CH−CH(O−)−CH−O−
の基を含むようなものであり、ただし、このような結合は、実質的には、ポリ(オキシアルキレン)鎖の水溶性を変えないものとする。Z基は、例えば、−OCH、−OCHCH、−OCC(CHCHC(CHCH、−OC(C19、−OC1225、−OC1429、−OC1633又は−O−QR(式中、Q及びRは上記で定義した通りである)といった、ヒドロキシル、低級アルキルエーテル、アルカリルエーテル又はフルオロアルキルエーテルで終端され得;nは1〜6の数である。
【0081】
上記式Iにより表されるものなどのフルオロ脂肪族基含有非イオン性界面活性剤は、米国特許第2,915,554号(Albrechtら)に記載の方法などの既知の方法を用いて、調製され得る。このAlbrechtの特許は、フルオロ脂肪族アルコール(例えば、ROH)、酸(例えば、RSON(R)CHCOH)及びスルホンアミド(例えば、RSON(R)H)などの活性水素含有フッ素性化学物質中間体を、例えば、エチレンオキシドと反応させて、中間体から各々、R(OCOH、RSON(R)CHCO(CO)H及びRSON(R)(CO)Hを生じさせることによる、フルオロ脂肪族基含有非イオン性化合物の調製を開示している(式中、nは約3を超える数であり、Rは水素又は低級アルキル基(例えば、1〜6個の炭素原子)である)。類縁化合物は、中間体をプロピレンオキシドで処理することにより調製され得る。それらの記載が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,787,351号(Olson)に開示されているフルオロ脂肪族オリゴマー及び米国特許第2,723,999号(Cowenら)に開示されている特定のフッ素化アルコール−エチレンオキシド縮合体もまた有用であると考えられる。疎水性長鎖炭化水素基を含有するフルオロ脂肪族基含有非イオン性界面活性剤は、
【0082】
【化2】

【0083】
などのフルオロ脂肪族エポキシドを、例えば、CHC(CHCHC(CH(OC9.5OH又はC1225(OCOHなどのエトキシル化アルキルフェノール又はアルコールと、各々BFエーテル化合物の存在下で反応させることにより、調製され得る。これらは、まずエトキシル化アルキルフェノール又はアルコールを、塩化チオニルと反応させることにより塩化物に転化させ、次に得られた塩化物を、例えば、炭酸ナトリウム及びヨウ化カリウムの存在下で、C17SONH(CH)といった活性水素含有フルオロ脂肪族スルホンアミドと反応させることによっても調製され得る。
【0084】
本発明での使用のための非イオン性フッ素性化学物質添加剤の具体例としては:CSON(C)(CHCHO)17、CSON(CH)(CHCHO)17、CSON(C)(CHCHO)17、CSON(CH)(CHCHO)17、CSON(CH)(CHCHO)CH[CHCH(CH][CHCH(CH)CHCH(CH]、CSON(C)(CHCHO)CH[CHCH(CH][CHCH(CH)CHCH(CH]、CSON(CH)(CHCHO)CH[CHCH(CH][CHCH(CH)CHCH(CH]、C11SON(CH)(CHCHO)CH[CHCH(CH][CHCH(CH)CHCH(CH]、C11SON(CH)(CHCHO)1021、CSON(CH)(CHCHO)−C(CH−CH−C(CH、C11SON(CH)(CHCHO)1429、CSON(CH)(CHCHO)−C17、CSON(CH)CHCH(OH)CHO(CHCHO)C(CH−CH−C(CH、CSON(CH)CHCH(OH)CHO(CHCHO)CH[CHCH(CH][CHCH(CH)CHCH(CH]及びCSON(CH)(CHCHO)C(O)−C1123が挙げられ、式中、上記化合物の各々についてxは8〜15である。
【0085】
式Iの化合物は、耐久性のある親水性をポリマー組成物に提供し、有利なことに、一般に、より長い(例えば、C17−)ペルフルオロアルキル基を有する同族化合物などの他のポリマー添加剤よりも熱的に安定である。束縛されるものではないが、式Iのものに類似しているが、より短いR基を有する化合物は、一般に、定義された通りのR基を有するものよりも熱的に安定ではないと考えられている。更に、C〜Cフルオロアルキル基を有する式Iの化合物は、例えば、ペルフルオロオクチル基といったより長いフルオロアルキル基を有するものに匹敵するか又はそれよりも良好な性能を提供する。本明細書に更に記載のように、C〜Cペルフルオロアルキル基は、より対費用効果的であり、環境的により好ましい。
【0086】
任意成分
他の任意の成分が、本明細書において所望されるように、組成物内に含まれ得る。
【0087】
組成物に抗菌作用を付与するために、抗菌成分が加えられてもよい。抗菌成分は、少なくとも部分的な抗菌作用を提供する組成物の成分であり、すなわち、これは少なくとも1つの微生物に対して少なくともいくらかの抗菌作用を有する。それは、好ましくは、組成物から浸出し、細菌を死滅させるのに十分多い量で存在する。それはまた、生分解性であってもよく、及び/又は、植物若しくは植物生成物のような再生可能な資源から製造されてもよく若しくは誘導されてもよい。生分解性抗菌成分は、加水分解的に又は酵素的に分解することができるエステル又はアミド結合のような、少なくとも1個の官能性結合を含んでよい。
【0088】
本発明における使用に好適な抗菌成分の例には、本出願者の同時係属出願である米国特許出願公開第2008−0142023(A1)号に記載のものが挙げられ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0089】
特定の抗菌成分は非荷電であり、少なくとも7個の炭素原子を含有するアルキル又はアルケニル炭化水素鎖を有する。溶融加工の場合、好ましい抗菌成分は揮発性が低く、加工条件下で分解しない。好ましい抗菌成分は、2重量%未満、より好ましくは0.10重量%未満の水を含有する(カールフィッシャー分析により測定)。含水量は、ガス放出又は「ゲル」を防ぎ、押出成形フィルムに透明性を付与するために、低く維持される。
【0090】
使用するとき、抗菌成分含量は(すぐ使用できる状態で)、典型的には、少なくとも1重量%、2重量%、5重量%、10重量%であり、場合により15重量%を超える。低強度が望ましい、特定の実施形態では、抗微生物成分は、組成物の20重量%超、25重量%超、又は更には30重量%超で含まれる。
【0091】
特定の抗菌成分は両親媒性物質であり、界面活性であり得る。例えば、いくつかの抗菌アルキルモノグリセリドは界面活性である。抗菌成分を含む本発明のいくつかの実施形態では、抗菌成分は界面活性成分とは異なるものであると認識される。例えば、出願人の同時係属中の米国特許出願第2004−0241216−A1号を参照されたい(参照により本明細書に組み込まれる)。この参照に教示されているように、組成物は、アルファヒドロキシ酸及びこれに類するものなどのエンハンサを更に含んでもよい。Schulke Mayr(Belgium,N.V.)から入手可能なSensiva SC50(2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、INCI名エチルヘキシルグリセリン)などのアルキルモノグリセリルエーテルも可能である。
【0092】
組成物は更に有機及び無機充填剤を含んでもよい。移植可能な用途の場合、生分解性、吸収性又は生体内分解性の無機充填剤が特に魅力的である場合がある。これらの物質は、ポリマー組成物の分解速度を制御する助けとなり得る。例えば、多くのカルシウム塩及びリン酸塩が好適であり得る。代表的な生体適合性、吸収性充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸カルシウムナトリウム、リン酸カルシウムカリウム、リン酸四カルシウム、α−リン酸三カルシウム、β−リン酸三カルシウム、リン酸カルシウムアパタイト、リン酸八カルシウム、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、フッ化カルシウム、クエン酸カルシウム、酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウムが挙げられる。特に好適な充填剤は、三塩基性リン酸カルシウム(ヒドロキシアパタイト)である。
【0093】
他の追加的な成分としては、酸化防止剤、着色剤、例えば、染料、及び/又は色素、静電気防止剤、蛍光増白剤、悪臭抑制剤、香料、及び芳香剤、創傷治癒、又は他の皮膚活性を促進するための活性成分、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0094】
用途及び製造方法
本発明の組成物を含む物品は、ポリマー樹脂からポリマーシートなどの製品を製造するために、当該技術分野において既知であるプロセスにより製造してもよい。多くの用途では、このような物品は、2時間浸漬し、乾燥させた後、物理的一体性(例えば、引っ張り強度)が実質的に低下することなく、23℃で水中に定置され得る。典型的には、これらの物品は水をほとんど含まず、又は全く含まない。押出成形、射出成形又はソルベントキャスト後、物品中の水分含量は、典型的には、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.2重量%未満である。高分子シートは、本明細書に記載の本発明の樹脂組成物から押出成形プロセスにより成形されてもよく、医療用ドレープ及び衣類、パーソナルケア用品、個人衛生用品、吸収材、テープ裏材並びに食品包装などの用途に有用な親水性ポリマーシートを生じる。
【0095】
本発明の組成物から製造され得る物品としては、外科用ドレープ、手技用ドレープ、プラスチック特殊ドレープ、切開用ドレープ、バリアドレープ、バリアガウン、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド(SMS又はSMMS)ガウン及びこれらに類するものなどの医療用ドレープ及びガウン、創傷ドレッシング、創傷吸収体、創傷接触層、手術中に血液及び体液を吸収するのに使用する外科用スポンジ、外科用インプラント、加えて、管状押出成形製品、例えば、血管カテーテル、尿カテーテル、気管内チューブ、シャント、創傷ドレイン、及び他の医療用装置を挙げることができる。
【0096】
重要なことに、本発明の好ましい親水性の添加物界面活性剤は、それらで作製された布地及びフィルムの、接着剤、熱及び/又は超音波による固着を可能にする。本明細書に記載の組成物から作製される物品は、熱又は超音波で一緒に溶接されてもよく、並びに他の適合性物品に溶接されてもよい。組成物は、他の物質と併用して、鞘/芯物質、積層体、2つ以上の物質の化合物構造、又は種々の医療用装置上へのコーティングに有用な構成体を形成することができる。本発明の組成物はまた、外科用ドレープ、医療用物品、トップシートなどのおむつ構成要素、女性用衛生パッドのための構成要素、美容用及び家庭用拭き取り製品、外科用スポンジ、創傷包帯並びにこれらに類するものの製造に有用であり得る。
【0097】
本明細書に記載の組成物は、その独自の湿潤特性により、手術用ドレープ及びガウンに使用するのに特に好適である。例えば、ポリオレフィン/界面活性剤組成物は、本明細書に記載の耐久性のある親水性を有する。良好な引張り強度を有する組成物を含む不織布ウェブ、フィルム及びシートは、熱封止されて、強力な接着を形成し、特殊なドレープ製造を可能してもよく、使い捨て製品において重要であり得、並びに高表面エネルギーを有して、高湿潤性及び流体吸収性を可能にすることができる。不織布の場合、表面エネルギーは、下記の見かけの表面エネルギー試験を用いて、不織布について測定される。フィルムについては、表面エネルギーは、蒸留水との接触角により測定され、米国特許第5,268,733号に記載の半角技術及びTantec接触角計器モデルCAM−micro(Shaumburg,IL)を用いて平坦なフィルム上で測定すると、多くの場合、50°未満、好ましくは30°未満、最も好ましくは20°未満である。フィルム以外の形態の組成物の接触角を測定するために、その組成物のフィルムをソルベントキャストにより製造すべきである。
【0098】
このような不織布、フィルム及びチューブ材は、物理的強度の有意な喪失なしにエチレンオキシドガスにより殺菌できる(1milの厚さのフィルムについての引張り強度の減少は、3回の排気後のEOガス注入、及び残りのエチレンオキシドを除去するための3回の排ガス排気を含む、標準的な50℃(温かい)のエチレンオキシド殺菌サイクルへの曝露後、20%以下、好ましくは10%以下である)。
【0099】
組成物の親水性特性は、吸収性を改善することにより、創傷用及び外科用ドレッシング並びにテープなどの物品を改善し得る。本組成物を創傷包帯裏材フィルムで用いる場合、フィルムは、感圧性接着剤(PSA)、例えば、アクリル及びブロックコポリマー接着剤、ヒドロゲル接着剤、ヒドロコロイド接着剤及び発泡接着剤などが挙げられるが、これらに限定されない、様々な接着剤で部分的に(例えば、領域又はパターン)コーティングするか、又は完全にコーティングしてもよい。PSAは、水分の蒸発を可能にするために比較的高い湿気透過速度を有することができる。
【0100】
好適な感圧性接着剤としては、アクリレート系のもの、ポリウレタン、KRATON、及び他のブロックコポリマー、シリコーン、ゴム系接着剤、並びにこれらの接着剤の組み合わせが挙げられる。好ましいPSAは、開示がこれによって参照により組み込まれる米国再発行特許第24,906号に記載のアクリレートコポリマー、特に97:3のイソオクチルアクチレート:アクリルアミドのコポリマーなどの皮膚に適用される通常の接着剤である。また好ましくは、参考として本明細書に組み込まれる米国特許番号第4,737,410号(実施例31)に記載されているような70:15:15イソオクチルアクリレート−エチレンオキシドアクリレート:アクリル酸ターポリマーである。他の有用な接着剤は、これによって開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,389,827号、同第4,112,213号、同第4,310,509号及び同第4,323,557号に記載されている。また、米国特許第4,310,509号及び同第4,323,557号に記載されるように、薬剤又は抗菌剤を接着剤に含むことも想到される。
【0101】
本発明の組成物から全体又は部分的に製造され得る他の医療用装置としては、縫合糸、縫合締結具、外科用メッシュ、三角巾及び他の医療用装置が挙げられる。
【0102】
多くの用途では、本発明のフィルム、繊維又は不織布は、本質的にそれら自身への接着性を有さない(すなわち、これらは互いにブロック形成しない)。実際、外科用ドレープなどの折り畳める物品を製造するとき、様々な層が長期にわたって接触していた後でも、物品が容易に開くことが重要である。これらの層は、容易に開かれなければならない。好ましくは、0.7kg/cm(68.6kPa)の荷重下で一晩静置した後、本発明の2層の間に識別可能な接着が全くないまま、層が開く。
【0103】
本発明の組成物はまた、成人用失禁、幼児用おむつ、女性用衛生製品、及び本出願者の同時係属出願である米国特許出願公開第2008−0200890(A1)号に記載のような他のものに有用であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0104】
本発明の組成物を製造する1つのプロセスでは、溶融形態の熱可塑性ポリマーを、界面活性剤に対して十分な量で混合し、本明細書において記載される親水性特性を有するポリマー組成物を生じさせる。ポリマー組成物を溶融加工するための様々な装置及び技術が、当該技術分野において既知である。このような装置及び技術は、例えば、米国特許第3,565,985号(Schrenkら)、同第5,427,842号(Blandら)、同第5,589,122号及び同第5,599,602号(Leonard)、並びに同第5,660,922号(Henidgeら)に開示されている。溶融加工装置の例としては、本発明の組成物を溶融加工するための押出成形機(単軸及び二軸)、バンバリーミキサー、及びブラベンダー押出成形機が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
組成物の成分を、押出成形機内で混合し、押出成形機を通して運搬することで、好ましくは溶解物中でポリマー分解又は副反応の生じさせることなくポリマー組成物を得ることができる。加工温度は、脂肪族ポリエステルと界面活性剤を混合し、フィルム又は繊維として組成物を押出成形することを可能にするのに十分である。可能性のある分解反応には、エステル交換、加水分解、鎖の切断及びラジカル鎖分解が挙げられ、加工条件はこのような反応を最低限に抑えるべきである。本組成物は、例えば、透明(曇りのない)であり、表面上に油性残留物(ポリマーマトリクスからの成分の相分離を示す可能性がある)がないといった、食品包装のような用途に望ましい特性を有する。
【0106】
以下の実施例によって、本発明は更に明確にされるが、これらの実施例は代表的なものであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0107】
見かけの表面エネルギー試験方法:
表面エネルギーを測定する方法は、以下に記載した変更を用いたAATCC試験法118−1983である。この変更試験法により測定した表面エネルギーは、以後「見かけの」表面エネルギーと呼ぶ。AATCC試験法118−1983は、一連の選択された炭化水素組成物による濡れに対する、布地の耐性を評価することにより、布地の表面エネルギーを決定する。しかしながら、AATCC 118−1983で説明されている炭化水素類は、25℃で約19.8ダイン〜27.3ダイン/センチメートルの表面エネルギーの測定を提供するにすぎない。この範囲は、布地耐性試験にメタノールと水の様々な混合物を使用することにより拡大される。組成物及びこれらが示す表面張力を表1に示す。
【0108】
【表1】

【0109】
試験手順は次の通りである。実施例材料の見本が、平滑で水平な表面上に平坦に定置される。最も小さな番号の試験液で開始することを除き、AATCC 118−1983の方法を用いて、5滴の液体(およそ100マイクロメートル)を実施例材料の表面上に静かに(滴下ではない)配置する。5滴のうち少なくとも3滴が、60秒以内に布地に吸い上げられたら、次により高い表面エネルギーの液体が使用される。少なくとも3滴が実施例の布地表面上に留まる場合には、見かけの表面張力は、少なくとも3滴を吸収させなかった最も低い表面張力の液体として記録される。より正確には、見かけの表面エネルギーは、全ての液滴を吸収する最も高い数と少なくとも3滴を受け付けない最も低い数との間の範囲として、報告することができる。
【0110】
本明細書に記載の組成物において使用される好ましい材料は、水に濡れると、72ダイン/cm超の見かけの表面エネルギー(純水についての表面張力)を有する。最も好ましい材料は瞬間的に水を吸収し、5℃、23℃及び45℃で10日にわたって経時処理した後でも、吸水性を維持する。より好ましい材料は瞬間的に水を吸収し、5℃、23℃及び45℃で20日にわたって経時処理した後でも、吸水性を維持する。更に好ましい材料は瞬間的に水を吸収し、5℃、23℃及び45℃で30日にわたって経時処理した後でも、吸水性を維持する。
【0111】
対照例1〜5:
未希釈のポリプロピレンとブレンドしたマスターバッチを用いて、スパンボンド型不織布例を調製した。使用されるポリプロピレンは下記に示す。使用に先立ってマスターバッチ材料を乾燥させた。
【0112】
スパンボンド不織布は、2.5インチ(63.5mm)の圧縮比3:1バリアフライト単軸スクリュー押出成形機を使用した、Davis−Standard BLUE RIBBON(DS−25(登録商標))押出成形機(Davis Standard Corporation,Pawcatuck,CT)を使用し、多数のダイ開口部を含む押出ヘッドにポンプを通じて供給して、得られた。
【0113】
ダイヘッドは、33.83ポンド/時間の処理量で合計512個の開口部孔を有した(0.50g/孔/分)。ダイは、7.875インチ(200mm)の横方向長さを有した。孔直径は0.020インチ(0.445mm)であり、L/D比は6であった。未希釈のポリプロピレンの、ダイでの溶融押出成形温度は235℃に設定したが、添加剤を有するポリプロピレンの溶融押出成形温度は、添加剤の種類及び量によって決定した。対照(未希釈のポリプロピレン)と同様のウェブを製造するために、温度が調節された。ウェブ形成及び結合プロセスの典型的な記載は、米国特許出願公開第2008/0038976(A1)号により例示され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。対照例1〜5は、以下の成分で調製された:Exxon Mobile PP3155から供給されるポリプロピレン(商品番号5J2281B4、ASTM D1238に従って測定すると、36g/10分のメルト・インデックスを有する);Bassel Polyolefins DP8911から供給されるポリブチレン(商品番号FK09XX501);Clariant Corp.(Charlotte NC)からマスターバッチ材料番号105190として供給されるHostastat HS1 FF、C10〜C18第二級アルカンスルホン酸ナトリウム塩、ポリプロピレン中の濃縮物として供給される帯電防止剤、20重量%の界面活性剤;米国特許第7,230,043号に記載のFC界面活性剤FCS−1;並びに、Masterbatch Techmer PMから供給されるTPM 12713親水性融体添加剤、分析したところ、公称ポリプロピレン中約30%固形分であることが判明しており、以下の組成=R−O(CH2CH2O)nH(式中、R=C20H23である)(1−エイコサノール、n=0〜5)を有し、表2に示す以下の分布を有する。
【0114】
【表2】

【0115】
それゆえに、この界面活性剤中のPEGの平均重量%は15.3%であり、これは以下の表3に示すように導出した。
【0116】
【表3】

【0117】
【表4】

【0118】
H=濡れた状態での最高表面エネルギー(湿潤する最大数)
L=濡れない状態での最低表面エネルギー(湿潤しない最小数)
(「加湿」=40℃/75%相対湿度での再循環チャンバで試料を経時処理にかけた)
データは、最大4%のTPM12713(ポリエチレンキャリア中のエイコサノールエトキシレート)を用いて製造した不織布材が水を吸収できなかったことを示す。対照5の結果は、熱風接着を通して、熱風で一列になったウェブが表面エネルギーを実質的に増加したように見えるが、この対照5はそれでも水を吸収しないことを示す。
【0119】
(実施例6〜14)
実施例1〜5に列挙されている原材料を使用して、実施例1〜5の手順に従って、表5に列挙された組成物を製造した。表5はまた、巻き上げ時にロール上で水を用いて得られた初期の濡れの結果を表す。実施例8、10、12〜14は、製造されたときに、機械上で瞬時の湿潤を示した。
【0120】
【表5】

【0121】
製造されたウェブを、5℃、23℃(室温)及び45℃にて時間の関数としての見かけの表面エネルギーについて試験した。これらの条件下で、封止されているが多孔質のポリ/Tyvekパウチにて不織布ウェブを保存した。試料を定期的に取り出し、試験に先立って1日にわたって室温になるようにした。全データを表6A〜8Bに包含させた。試料が、製造されたロールの開始から終わりまで採取されたことに留意されたい。
【0122】
【表6】

【0123】
#I=ロールの内側
#O=ロールの外側
H=濡れた状態での最高表面エネルギー(湿潤する最大数)
L=濡れない状態での最低表面エネルギー(湿潤しない最小数)
HS=Hostastat HS1 FFマスターバッチ
Tech=Techmer 12713マスターバッチ
PB=ポリブチレン、Bassel Polyolefins DP8911
【0124】
【表7】

【0125】
#I=ロールの内側
#O=ロールの外側
H=濡れた状態での最高表面エネルギー(湿潤する最大数)
L=濡れない状態での最低表面エネルギー(湿潤しない最小数)
「72^」として示されている実施例の結果は、見かけの表面エネルギーが72ダイン/cm超である(すなわち、水が試料を濡らし、より高い表面張力液体は使用されなかった)。「N/A」は、試料が水により濡れ、それゆえに全てのより低い表面エネルギーで同様に濡れることを示す。
【0126】
周囲実験室保存の11日後、実施例6〜14の試料は、5℃、23℃及び45℃の制御条件下で保存され、その後、定期的に試験された。表6A及び6Bに示されている「53日」の試験結果に加えて、試験結果が表7A、7B、8A及び8Bに示される。
【0127】
【表8】

【0128】
【表9】

【0129】
「72^」として示される実施例の結果は、水で瞬時に湿潤しない実施例を示す。
【0130】
【表10】

【0131】
【表11】

【0132】
「72^」として示される実施例の結果は、脱イオン水で瞬時に湿潤しない実施例を示す。
【0133】
結果はまた、実施例11、12、13及び14における組成物について図1〜4でプロットされている。
【0134】
本明細書で引用した特許、特許文書、及び刊行物の全ての開示内容は、それぞれが個々に援用された場合と同様に、その全内容が参照によって援用される。本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性組成物であって、
a)熱可塑性ポリオレフィンポリマーと、
b)
(i)スルフェート、
(ii)スルホネート、
(iii)スルタイン、
(iv)ホスフェート、及び
(v)これらの組み合わせ、
からなる群から選択される少なくとも1種のイオン性界面活性剤と、
c)
(i)5〜80重量パーセントのポリオキシアルキレンを含有する少なくとも1種の非イオン性でフッ素化されていないポリオキシアルキレン基含有界面活性剤、
(ii)少なくとも1種の非イオン性フルオロケミカル界面活性剤、及び
(iii)これらの組み合わせ、
からなる群から選択される少なくとも1種の非イオン性の第二の界面活性剤と、
を含み、前記界面活性剤(b)と(c)の混合物が、安定で耐久性のある親水性を付与するのに十分な量で前記組成物中に存在する、熱可塑性組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリオレフィンポリマーが、8個以下の炭素原子を有するモノマーから誘導される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリオレフィンポリマーがポリアルファオレフィンである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性ポリオレフィンポリマーがポリプロピレンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記イオン性界面活性剤が、C7〜C30分枝鎖又は直鎖アルキル基、C7〜C30分枝鎖又は直鎖アルキレン基及びC12〜C30アラルキル基からなる群から選択される少なくとも1個の非極性基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記非イオン性でフッ素化されていないポリオキシエチレン基含有界面活性剤が、10〜60重量パーセントのポリオキシエチレンを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記非イオン性でフッ素化されていない界面活性剤が、6〜30個の炭素原子を有する少なくとも1個の疎水基を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記イオン性界面活性剤が前記組成物の0.25〜8重量パーセントで存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記イオン性界面活性剤が前記組成物の0.5〜4重量パーセントで存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記イオン性界面活性剤が前記組成物の0.75〜2重量パーセントで存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記非イオン性の第二の界面活性剤が前記組成物の0.25〜8重量パーセントで存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記非イオン性の第二の界面活性剤が前記組成物の0.5〜4重量パーセントで存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記非イオン性の第二の界面活性剤が前記組成物の0.75〜2重量パーセントで存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物がペルフルオロ化された界面活性剤を本質的に含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
抗微生物成分を更に含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が生体適合性である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が溶融加工可能である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物がソルベントキャスト又はソルベントスピンされている、請求項1〜17に記載の組成物。
【請求項19】
成形ポリマー物品、ポリマーシート、ポリマー繊維、織布ウェブ、不織布ウェブ、多孔質膜、ポリマーフォーム、加えて層状組成物、例えば、熱積層体又は接着積層体、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物を含む物品。
【請求項20】
前記不織布ウェブが、スパンボンドウェブ、ブローンマイクロファイバーウェブ、又は水流交絡ウェブからなる群から選択される、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
請求項1に記載の組成物を含む外科用ドレープ。
【請求項22】
請求項1に記載の組成物を含む外科用ガウン。
【請求項23】
請求項1に記載の組成物を含む創傷接触材料。
【請求項24】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物を含むおむつ、又は女性用衛生パッドなどの個人衛生物品。
【請求項25】
請求項1に記載の組成物から作製された耐久性のある親水性フォームを含む物品。
【請求項26】
請求項1に記載の組成物から作製された耐久性のある親水性フィルムを含む物品。
【請求項27】
請求項1に記載の組成物から作製された耐久性のある親水性の織布又は不織布繊維又はウェブを含む物品。
【請求項28】
前記物品が、前記物品中で水性媒体吸収性構造として機能する本発明の布地を含む医療用ドレープ、濾材、医療用拭き取り用品、工業用拭き取り用品、又は、電池セパレータである、請求項27に記載の物品。
【請求項29】
前記ウェブが、見かけの表面エネルギー試験により試験した際に、60ダイン/cm超の見かけの表面エネルギーを有する、請求項27に記載の布地を含む物品。
【請求項30】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の組成物を含む物品であって、前記物品が水性媒体不透過性バッキングシートを備える、物品。
【請求項31】
前記物品が水性媒体不透過性バッキングシート、水性媒体透過性トップシート、及び、それらの間に並置された請求項1に記載の組成物から作製される水性液体吸収性(すなわち、親水性)層を更に備える、請求項27に記載の物品。
【請求項32】
前記物品が、使い捨ておむつ、拭き取り用品、タオル、生理用ナプキン、電池セパレータ又は失禁パッドである、請求項27に記載の物品。
【請求項33】
少なくとも4個の炭化水素を有するモノマーから誘導される親水性増強ポリオレフィンを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
親水性増強ポリオレフィンを更に含み、前記親水性増強ポリオレフィンが前記熱可塑性ポリオレフィンポリマーの分子量未満の分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
前記親水性増強ポリオレフィンがポリアルファオレフィンである、請求項33又は34に記載の組成物。
【請求項36】
前記親水性増強ポリオレフィンがポリブチレンである、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記親水性増強ポリオレフィンが約2〜25重量%の濃度で存在する、請求項33〜36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
耐久性のある親水性組成物の製造方法であって、
少なくとも1種の熱可塑性ポリオレフィンポリマーを供給することと、
(i)スルフェート、
(ii)スルホネート、
(iii)スルタイン、
(iv)ホスフェート、及び
(v)これらの組み合わせ、
からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を供給することと、
(i)5〜80重量パーセントのポリオキシエチレンを含有する少なくとも1種の非イオン性でフッ素化されていないポリオキシエチレン基含有界面活性剤、
(ii)少なくとも1種の非イオン性フルオロケミカル界面活性剤、
(iii)及びこれらの組み合わせ、
からなる群から選択される少なくとも1種の非イオン性の第二の界面活性剤を供給することと、
溶融押出成形により繊維を形成することと、を含む、方法。
【請求項39】
耐久性のある親水性組成物の製造方法であって、
溶媒可溶性又は分散性である少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを供給することと、
(i)スルフェート、
(ii)スルホネート、
(iii)スルタイン、
(iv)ホスフェート、及び
(v)これらの組み合わせ、
からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を供給することと、
(i)5〜80重量パーセントのポリオキシエチレンを含有する少なくとも1種の非イオン性でフッ素化されていないポリオキシエチレン基含有界面活性剤、
(ii)少なくとも1種の非イオン性フルオロケミカル界面活性剤、
(iii)及びこれらの組み合わせ、
からなる群から選択される少なくとも1種の非イオン性の第二の界面活性剤を供給することと、
前記界面活性剤を前記ポリマーに組み込んで組成物を形成することと、
前記組成物をフィルム又はフォームにソルベントキャストすることと、を含む、方法。
【請求項40】
耐久性のある親水性組成物の製造方法であって、
溶媒可溶性又は分散性である少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを供給することと、
(i)スルフェート、
(ii)スルホネート、
(iii)スルタイン、
(iv)ホスフェート界面活性剤、及び
(v)これらの組み合わせ、
からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を供給することと、
(i)5〜80重量パーセントのポリオキシエチレンを含有する少なくとも1種の非イオン性でフッ素化されていないポリオキシエチレン基含有界面活性剤、
(ii)少なくとも1種の非イオン性フルオロケミカル界面活性剤、
(iii)及びこれらの組み合わせ、
からなる群から選択される少なくとも1種の非イオン性の第二の界面活性剤を供給することと、
前記熱可塑性界面活性剤をポリマーと組み込むことと、
前記組成物をソルベントスピンして1つ以上の繊維を形成することと、を含む方法。
【請求項41】
前記非イオン性でフッ素化されていないポリオキシエチレン基含有界面活性剤が、10〜60重量パーセントのポリオキシエチレンを含有する、請求項38〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記ポリオレフィンが8個以下の炭素原子を有するモノマーから誘導される、請求項38〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記ポリオレフィンがポリアルファオレフィンである、請求項38〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンである、請求項38〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記組成物が、ペルフルオロ化された界面活性剤を本質的に含まない、請求項38〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記ポリマーと前記イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤をブレンドすることが、前記ポリマーと前記イオン性及び非イオン性界面活性剤とを共押出することを含む、請求項38〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
追加の熱可塑性ポリマーをブレンドする後続工程を更に含む、請求項38〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記ウェブを後加熱することを更に含む、請求項38〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記ウェブを後加熱する工程が、50℃〜120℃の温度にて行われる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記押出成形工程における前記加工温度が約300℃よりも低い、請求項38〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
親水性増強ポリマーが、前記イオン性及び非イオン性界面活性剤とブレンドされる、請求項38〜40のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−522141(P2012−522141A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502248(P2012−502248)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/028665
【国際公開番号】WO2010/111491
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】