説明

親水性活性を有する耐水性皮膜形成用組成物

皮膜形成用組成物は、約80モルパーセント〜約100モルパーセントの疎水性成分と約0〜約20モルパーセントの荷電成分とを含むポリマーと、生物活性剤と、溶媒とを含み、ポリマーと生物活性剤とは組成物中に均一に分散している。皮膜形成用組成物は、“液体包帯”として使用され、生体表面上に耐水性皮膜を形成し、ポリマーと生物活性剤とは混和したままの状態である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願との相互参照]
本願は、2006年4月6日出願の米国仮出願番号60/789,757の利益を主張するものであり、前記出願の全文が参照により本願に援用される。
[技術分野]
本開示は、概して、生体表面をおおう耐水性皮膜形成用組成物及び該組成物の形成方法に関する。
[背景]
“液体包帯”は、創傷の治癒処置の分野で発展を続けている。液体包帯は、通常、ポリマーまたは硬化性樹脂溶液を含んでおり、傷口に塗ると乾いて耐水性の軟質皮膜を形成する。皮膜は傷口の湿り気を保つ一方、外側から傷口を保護する役割を果たす。液体包帯にはまた化粧効果があり、特に成人消費者の関心を引き付けている。
【0002】
液体包帯により形成されたポリマー皮膜はまた、傷口に活性薬剤(例えば治療薬)を供給する役割を果たすことができる。しかしながら、これまでのところ、ポリマー溶液に常にうまく活性薬剤を含めることができたわけではない。例えば、液体包帯のポリマー溶液に活性薬剤を含ませることにより、皮膜に制限が加えられ、亀裂や傷口からの剥離による構造破損といったことが起きやすくなる。さらに、使用可能な活性薬剤の範囲、供給システム内に含めることが可能な活性薬剤の量の範囲、含有活性薬剤を供給システムから供給する速度範囲の点で、皮膜は制限を受けやすい。
【0003】
ポリマー溶液に常に非常にうまく活性薬剤を取り入れることができたわけではない別の理由は、既存のポリマーを基礎にした液体包帯システムの多くが、許容程度の“耐洗浄性”を提供するために、疎水性ポリマーを使用していることである。しかしながら、疎水性ポリマーの使用は、多くの場合、塩化ベンザルコニウム、ベンゾカインあるいはリドカインといった親水性麻酔薬または親水性抗菌剤等の活性薬剤の含有を阻害する。なぜなら、これらの薬剤は、そのような構成ではすぐに沈殿してしまうからである。
【0004】
したがって、特に疎水性活性薬剤が液体包帯の構成に使用される場合においては、より汎用性及び調整可能性のある活性薬剤供給システムが引き続き必要とされている。
[発明の概要]
本発明の開示は、溶媒中にポリマーと任意に生物活性剤とを含む皮膜形成用組成物を提供する。該組成物は、“液体包帯”等の、各種用途に使用されて、生体表面の傷をおおって保護する耐水性皮膜を形成することができる。
【0005】
本開示のいくつかの実施例において、上記ポリマーは、疎水性成分及び荷電性成分の両方を含み、それらの成分は任意の生物活性剤と結びついて、ポリマー及び生物活性剤を溶液中に均一に分散した状態に保ち、溶媒が蒸発すると、耐水性皮膜を形成する。ある実施例においては、生物活性剤は親水性であるにも拘わらず、溶液中及び皮膜形成の際に、ポリマーと共に均一に分散した状態に保たれる。生物活性剤が、液体の状態及び皮膜の状態でポリマーと混和したままの状態にあるため、生物活性剤は、生体表面に治療及び/または化粧効果をもたらすことができる。さらに、本開示の皮膜形成用組成物は、結果として生じる皮膜の耐洗浄性等の機械的特性を損なうことなく、これらの生物活性剤を保持したまま生体表面に提供されることができる。
【0006】
本開示のいくつかの実施例によると、上記の皮膜形成用組成物は、約80モルパーセント〜約100モルパーセントの疎水性成分と約0〜約20モルパーセントの荷電成分とを含むポリマーを含む。皮膜形成用組成物はまた、任意に生物活性剤と溶媒とを含む。ある実施例において、ポリマー及び生物活性剤は、組成物全体にわたって十分に分散している。このような実施例においては、溶媒の沸点が、主として1気圧で100℃未満、より具体的には1気圧で75℃未満、であると好都合である。ある実施例では、そのような溶媒には、約90〜約100重量パーセントの1以上のアルカンと約0〜約10重量パーセントの1以上の非水性極性溶媒とが含まれている。
【0007】
いくつかの実施例において、上記ポリマーは、荷電成分として約5モルパーセント以下のメタクリル酸(MAA)を含むことができる。残りのモルパーセントは、疎水性成分としての2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)及びメチルメタクリレート(MMA)であってその割合は約75/25〜約50/50モルパーセントEHMA/MMAである。より具体的には、ポリマーは、荷電成分として約2モルパーセント以下のMAAを含むことができ、残りの疎水性成分としてのEHMA及びMMAのモルパーセントの割合は約55/45〜約50/50モルパーセントEHMA/MMAである。これらの実施例の溶媒が、約90〜約100容量パーセントのオクタンと約0〜約10容量パーセントのイソプロパノールとを含むと好都合である。より具体的には、溶媒は、約1〜5容量パーセントのイソプロパノールに対して95〜99容量パーセントのオクタンである。このような実施例については、オクタンがその異性体であるイソオクタンであるのが好ましい。
【0008】
いくつかの実施例において、上記ポリマーはさらに親水性成分を含み、その場合、ポリマーは、約0〜約10モルパーセントの荷電成分を含み、ポリマーの残りのモルパーセントは親水性成分及び疎水性成分であってその割合は約60/40〜約80/20パーセントである。ある実施例では、ポリマーは、荷電成分として約2.0から約7.5モルパーセントのアクリル酸(AA)を含み、残りのモルパーセントは、疎水性成分としてのメチルアクリレート(MA)及び親水性成分としての2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)であってその割合は約40/60パーセントMA/HEMA〜約20/80パーセントMA/HEMAである。ある実施例では、溶媒は、約60〜85容量パーセントの水と約15〜40容量パーセントのエタノールとを含むことができる。より具体的には、溶媒は、約65〜75容量パーセントの水と約25〜35容量パーセントのエタノールとを含み、さらに具体的には、この実施例の溶媒は、約70容量パーセントの水と約30容量パーセントのエタノールとを含む。
【0009】
本開示の付加的な実施例には、本明細書で既に述べたように、上記の皮膜形成用組成物を作成するためのポリマーと皮膜形成用組成物を作成するための方法とが含まれている。
【0010】
本明細書においては、“1つの(a)”、“1つの(an)”、“1つ以上の(one or more”、“少なくとも1つの(at least one)”という表現は 、相互に置換可能に用いられる。
【0011】
特に断りのない限り、本開示及び請求項の範囲に用いられた成分の量、反応条件等を表す数字は全て、あらゆる場合において“約”という表現により修正されるものとして理解される。したがって、反対の記述がない限り、以下の明細書及び添付の請求項に記載の数値パラメータは、本開示により得ようとされる所望の特性によって変化する可能性のある近似値である。最低限、各数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、また一般の丸め法を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。
【0012】
広範にわたる本開示の範囲を説明する数値範囲及びパラメータが近似値であるにも拘わらず、特定の例に記載された数値については、可能な限り正確に報告している。しかしながら、どのような数値であっても、各試験計測に見られる標準偏差から必然的に生じるある程度の誤差を本質的に含んでいる。
【0013】
本明細書において使われる“生体表面”という用語には、皮膚、爪、粘膜が含まれるがこれらに限定されない。本明細書において使われる生体表面に対する“傷”には、切傷、裂傷、亀裂、あかぎれ、擦傷、水脹れ、火脹れ、まめ、切断、裂傷、損傷、火傷、その他の生体表面に対する傷が含まれるがこれらに限定されない。
【0014】
本明細書において、“皮膜形成用組成物”には、硬化及び/または乾燥して軟質皮膜を生体表面等の表面に接着した状態で残す、本開示による液体ポリマー被覆組成物が含まれる。いくつかの実施例の皮膜形成用組成物は、生体表面に塗布されると室温(20℃〜25℃)で硬化及び/または乾燥する。
【0015】
本明細書において、“軟質”とは、上記皮膜形成用組成物で形成された皮膜が、生体面の通常の屈曲によって実質的に裂けたりしないことを意味する。
【0016】
本明細書において使われる“生物活性剤”には、皮膜の下にある生体表面に放出される治療薬及び/または美的目的の化粧剤が含まれるがこれらに限定されない。“治療薬”の例としては、治療効果のある量の抗菌剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、酸化防止剤、及びそれらの混合物が含まれるがこれらに限定されない。“化粧剤”の例としては、顔料、染料、及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。
【0017】
本明細書において使われる“ポリマー”または“ポリマー組成物”には、ランダム、ブロック、グラフト、ハイパーブランチ、あるいはそれ以外のもの、及びそれらの混合物を含む各種構造を備えたコポリマー、ターポリマー、マルチポリマーが含まれる。本発明のポリマーを形成するモノマーの重合は、バルク重合または半連続重合等の従来の方法により行うことができる。
【0018】
“任意”または“任意に”は、続いて記述された事象または出来事が起きても起きなくてもよく、その記述が前記事象または出来事が起きる事例及び起きない事例を含むことを意味する。例えば、“任意に置換されたヒドロカルビル”という語句は、ヒドロカルビル部分が置換されていてもされていなくてもよく、その記述には、非置換のヒドロカルビル及び置換が行われたヒドロカルビルの両方が含まれることを意味する。
【0019】
本明細書において使われる“アルキル”という用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、オクチル、デシル等の必ずしも必要ではないが通常1〜約24炭素原子を含む分岐または非分岐の飽和線形(すなわち直鎖)炭化水素基と、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基(すなわち脂環式)とをさす。大体において、必ずではないが、本明細書におけるアルキル基は、1〜約12の炭素原子を含む。“低級アルキル”という用語は、1〜6の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子のアルキル基を意図している。“置換アルキル”は、1以上の置換基で置換されたアルキルをさし、“ヘテロ原子含有アルキル”及び“ヘテロアルキル”という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子と交換されたアルキルをさす。
【0020】
本明細書において使われる“アルカン”という用語は、メタン、エタン、n−プロパン、イソプロパン、n−ブタン、イソブタン、t−ブタン、オクタン、デカン等の必ずではないが通常1〜約24の炭素原子を含む分岐または非分岐の飽和炭化水素基と、シクロペンタン、シクロヘキサン等のシクロアルカン基とをさす。大体において、必ずでないものの、本明細書におけるアルカン基は、1〜約12の炭素原子を含む。
【0021】
本明細書において使われる“アルケニル”という用語は、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル等の必ずしも必要ではないが通常2〜約24の炭素原子と少なくとも1つのニ重結合とを含む分岐または非分岐の炭化水素基をさす。大体において、必ずではないが、本明細書におけるアルケニル基は、2〜約12の炭素原子を含む。“低級アルケニル”という用語は、2〜6の炭素原子、好ましくは2〜4の炭素原子のアルケニル基を意図している。“置換アルケニル”は、1以上の置換基で置換されたアルケニルをさし、“ヘテロ原子含有アルケニル”及び“ヘテロアルケニル”という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子と交換されたアルケニルをさす。
【0022】
本明細書において使われる“アルキニル”という用語は、エチニル、n−プロピニル、イソプロピニル、n−ブチニル、イソブチニル、オクチニル、デシニル等の必ずしも必要ではないが通常2〜約24の炭素原子と少なくとも1つの三重結合とを含む分岐または非分岐の炭化水素基をさす。大体において、必ずではないが、本明細書におけるアルキニル基は、2〜約12の炭素原子を含む。“低級アルキニル”という用語は、2〜6の炭素原子、好ましくは3〜4の炭素原子のアルキニル基を意図している。“置換アルキニル”は、1以上の置換基で置換されたアルキニルをさし、“ヘテロ原子含有アルキニル”及び“ヘテロアルキニル”という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子と交換されたアルキニルをさす。
【0023】
本明細書において使われる“アルコキシ”という用語は、単一の、末端エーテル結合で結ばれたアルキル基を意図している。すなわち、“アルコキシ”基は、アルキルが上記に定義したものである場合に−O−アルキルとして表すことができる。“低級アルコキシ”基は、1〜6、より好ましくは1〜4、の炭素原子を含むアルコキシ基を意図している。“アリールオキシ”という用語は、以下に定義されるアリールと共に、同様に使用される。
【0024】
“アレニル”という用語は、本明細書においては従来の意味で使用されて、−CH=C=CH2の構造を持つ分子セグメントをさす。“アレニル”基は、1以上の非水素置換基で置換されてなくても置換されていてもよい。
【0025】
本明細書において使われる“アリール”という用語は、特に断りがなければ、単一の芳香環、または互いに融合、共有結合、あるいはメチレンまたはエチレン部分等の共通基に結合した、複数の芳香環を含む芳香族置換基をさす。共通連結基は、ベンゾフェノンのようなカルボニル、ディフェニルエーテルのような酸素原子、あるいはディフェニルアミンのような窒素原子であってもよい。好ましいアリール基には、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ディフェニルエーテル、ディフェニルアミン、ベンゾフェノン等の、1つの芳香環、または2つの融合または結合した芳香環が含まれる。特定の実施例において、アリール置換基は、1〜約200の炭素原子、通常は1〜約50の炭素原子、好ましくは1〜約20の炭素原子を持つ。“置換アリール”は、1以上の置換基(例えばトリル、メシチル及びペルフルオロフェニル)で置換されたアリール部分をさし、“ヘテロ原子含有アリール”及び“ヘテロアリール”という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子と交換されたアリールをさす。
【0026】
“アラルキル”という用語は、アリール置換基を持つアルキル基をさし、“アラルキレン”という用語は、アリール置換基を持つアルキレン基をさす。“アルカリル”という用語は、アルキル置換基を持つアリール基をさし、“アルカリレン”という用語は、アルキル置換基を持つアリーレン基をさす。
【0027】
“ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基”において見られるような“ヘテロ原子含有”という表現は、1以上の炭素原子が、例えば、窒素、酸素、硫黄、リンまたはシリコン等の炭素以外の原子と交換された分子または分子断片をさす。同様に、“ヘテロアルキル”という用語は、ヘテロ原子含有のアルキル置換基をさし、“ヘテロ環”という用語は、ヘテロ原子含有の環状置換基をさし、“ヘテロアリール”という用語は、ヘテロ原子含有のアリール置換基をさす、等々。“ヘテロ原子含有”という表現が、ヘテロ原子含有基と考えられる羅列に先立って現れたときは、その表現がその基の全ての要素に適用されることを意図している。すなわち、“ヘテロ原子含有アルキル、アルケニル及びアルキニル”という語句は、“ヘテロ原子含有アルキル、ヘテロ原子含有アルケニル及びヘテロ原子含有アルキニル”と解釈されるものとする。
【0028】
“ヒドロカルビル”は、アルキル基、アルケニル基、アリール基等の分岐または非分岐の、飽和または非飽和種を含む、1〜約30の炭素原子、好ましくは1〜約24の炭素原子、非常に好ましくは1〜約12の炭素原子を含む一価ヒドロカルビルラジカルをさす。“低級ヒドロカルビル”は、1〜6の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子のヒドロカルビル基を意図する。“置換ヒドロカルビル”は、1以上の置換基で置換されたヒドロカルビルをさし、“ヘテロ原子含有ヒドロカルビル”及び“ヘテロヒドロカルビル”という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子と交換されたヒドロカルビルをさす。
【0029】
上述の定義のいくつかに言及されたように、“置換ヒドロカルビル”、“置換アリール”、“置換アルケニル”等に見られるような“置換”という用語は、ヒドロカルビル、ヒドロカルビレン、アルキル、アルケニルまたはその他の部分において、炭素原子に結合された少なくとも1つの水素原子が、ヒドロキシル、アルコキシ、チオ、ホスフィノ、アミノ、ハロ、シリル等の官能基である1以上の置換基で交換されていることを意味している。“置換”という表現が、置換基と考えられる羅列に先立って現れたときは、その表現がその基の全ての要素に適用されることを意図している。すなわち、“置換アルキル、アルケニル及びアルキニル”という語句は、“置換アルキル、置換アルケニル及び置換アルキニル”と解釈されるものとする。同様に、“任意に置換されたアルキル、アルケニル及びアルキニル”という語句は、“任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル及び任意に置換されたアルキニル”と解釈されるものとする。
【0030】
本明細書において使われる元素周期表の元素及び基は全て、基を番号付けするための新しいIUPACシステムを説明する1995年にCRC Press社により出版された化学及び物理学のハンドブック(Handbook of Chemistry and Physics)の表を参照している。
【0031】
本開示のこれら及びその他の特徴及び利点を、以下に開示する具体例との関連で説明する。
[詳細な説明]
本開示の実施例は、疎水性成分と荷電成分とを含むポリマーと、任意に生物活性剤とを含む皮膜形成用組成物を提供するものであり、ポリマーと生物活性剤とが溶媒中に十分に分散して上記皮膜形成用組成物を形成する。生体表面等の表面に塗布すると、溶媒の大部分または全てが好ましくは蒸発して、ポリマーと生物活性剤とを接着性の適合した耐水性皮膜として残す。生物活性剤が、液体状態及び皮膜状態の両方でポリマーと共に均一に分散した状態で残るので、生物活性剤は、生体表面に治療及び/または化粧効果を提供できる。
【0032】
さらに、本開示の皮膜形成用組成物は、結果として生じた皮膜の、耐洗浄性等の機械的特性を損なうことなく、これらの生物活性剤を保持したまま生体表面へ供給される。例えば、実施例の皮膜形成用組成物から形成された皮膜は、弾性があり、よい屈曲及び伸長耐久性を備え、石鹸や水にさらされている間に洗い流されたり膨らんだりしない。さらに、皮膜形成用組成物に使用される溶媒は、室温で比較的速乾性があり、皮膚のような表面に刺激を与えず、生体組織上の傷に塗布しても実質的に傷みを伴わない(例えば、刺すような感じがない)。結果として生じる皮膜はまた、実質的に水の影響を受けず、耐水性があり、非粘着性で、塵等を引きつけたり及び/または留めたりせず、水蒸気及び/または酸素ガスの透過を制御する役割を果たすことができる。
【0033】
本明細書に記載するように、実施例のポリマーは、疎水性成分と荷電成分との組み合わせから生じる特異的性質を持ち、生物活性剤が溶媒の蒸発後でも組成物中に分散した状態で留まることを可能にする。各種実施例によると、生物活性剤は、生物活性剤が親水性であってもポリマーと混和した状態で留まることができる。理論だけに限られず、本開示のポリマーに荷電モノマーを使用することは、荷電モノマーを欠くと必ずしも溶解しない親水特性を持つ生物活性剤を可溶化するのに役立つ。
【0034】
本開示の実施例のポリマーには、通常、約80モルパーセント〜約100モルパーセントの疎水性成分と、約0から約20モルパーセントの荷電成分とが含まれる。上記の皮膜形成用組成物にはまた、任意に生物活性剤と、ポリマーと生物活性剤とが組成物中に十分に分散した溶媒とが含まれる。ポリマーの疎水性成分及び荷電成分は、重合可能なモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含む物質である。
【0035】
付加的な実施例においては、皮膜形成用組成物のポリマーは、親水性成分を含み、その場合のポリマーは、約0〜10モルパーセントの荷電成分を含み、ポリマーの残りのモルパーセントは、約60/40パーセントから約80/20パーセントの割合の親水性成分及び疎水性成分である。ポリマーの親水性成分は、重合可能なモノマー、オリゴマー、またはポリマーを含む物質である。
【0036】
本開示のポリマーのいくつかの実施例において、ランダムにまたは個々のポリマーブロック(例えば、熱可塑性エラストマー、グラフト等)中で、疎水性及び親水性成分の組み合わせを使用してもよい。ポリマー中で使用されるモノマーの選択における一変形例としては、疎水性、荷電性あるいは親水性の各カテゴリ内で1以上のモノマーを使用することである。
【0037】
“疎水性成分”という表現は従来技術で広く認知されており、一般的にはアルキルアクリレート、アルキル(メタ)クリレート、(メタ)クリルアミド、アリルエステル、あるいはビニルエステルモノマーといった、疎水性部分、例えば、通常1以上の炭素原子の分岐または非分岐の、置換または非置換のアルキルまたはシクロアルキル鎖を持つエステル、を含むモノマーを含むことを意図している。
【0038】
本明細書に記述されているような疎水性成分としてのモノマーの例には、置換及び非置換スチレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、及びアクリル酸及びメタクリル酸のエステルであって、エチルアクリレートまたはメタクリレート、プロピルアクリレートまたはメタクリレート、ブチルアクリレートまたはメタクリレート、及びアクリル酸またはメタクリル酸のC12〜C18エステル等の、エステル基が1以上の炭素原子の炭素原子鎖を持つものが含まれるがこれらに限定されない。
【0039】
疎水性成分もまた、アルキルエステルを含むことができ、その場合アルキル部分は、2以上の炭素原子の分岐または非分岐の、置換または非置換のアルキル鎖、または、置換または非置換のアリール基である。ジアルキル及びモノアルキルアクリルアミド及びメタクリルアミドは、さらに疎水性成分と考えられる。ジアルキルメタクリルアミド及びアクリルアミドは、置換可能なまたは非置換の、分岐可能なまたは非分岐の少なくとも2以上の炭素原子を持つアルキル鎖を含む。モノアルキルメタクリルアミドまたはアクリルアミドは、分岐可能なまたは非分岐の、置換可能なまたは非置換の少なくとも4以上の炭素原子を持つアルキル鎖を含む。
【0040】
疎水性成分に適したモノマーは上記に記載されており、塩化ビニル、塩化ニビリデン、プロピオン酸ビニル、アルファ−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ブタジエン、シクロヘキサジエン、エチレン、プロピレンが含まれると共に、ビニルトルエン、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、及びそれらの混合物が含まれるがこれらに限定されない。付加的な疎水性モノマーとしては、メチルアクリレート(MA)、メチルメタクリレート(MMA)、エチルアクリレート(EA)、エチルメタクリレート(EMA)、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)、2−メトキシエチルアクリレート(MEA)、2−メトキシエチルメタクリレート(MEMA)、スチレン(Sty)、酢酸ビニル(VA)、ネオデカン酸ビニル(VND)、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)、ブチルアクリレート(BA)、n−ブチルメタクリレート(BMA)、イソブチルメタクリレート、ラウリルアクリレート(LA)、及びそれらの混合物が含まれる。
【0041】
本明細書において使われる“親水性成分”は、一般的にはヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)クリレート、(メタ)クリルアミド、及びビニルエステルモノマーといった、親水性部分、例えば、1以上のヒドロキシル、ポリエトキシ、ポリプロピロキシ基が付着したアルキルまたはシクロアルキル鎖を持つアルコキシエステル、を含むモノマーを含むことを意図している。親水性成分は、一般に、疎水性ポリマーの溶媒化に有用な、無極性の低沸点の溶媒には溶けない。
【0042】
本明細書に記述されているような親水性成分としてのモノマーの例には、N−ビニルピロリドン(VPL)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)または2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N−トリス(ヒドロキシメチル)アクリルアミドまたはN−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド(THMMAM)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N−アクリロイルまたはメタクリロイルモルホリン、ポリエチレングリコールアクリレート(PEGA)またはポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)または2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレートまたはメタクリレート等の“ペグ化”または“エトキシ化”アクリレートまたはメタクリレート、N−イソプロピルアクリルアミドまたはメタクリルアミド、グリセロールモノアクリレートまたはメタクリレート、N−(2−ヒドロキシプロピル)アクリルアミドまたはメタクリルアミド及びN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド及びメタクリルアミドが含まれると共に、メタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、無水マレイン酸の半エステル、アクリルアミド、アクリレートアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルエーテル(メチルビニルエーテルなど)、マレイミド、その他の極性ビニルヘテロ環、アリルアルコール、ビニルアルコール(重合後の酢酸ビニルの加水分解によって製造されたものなど)、及びそれらの混合物が含まれるがこれらに限定されない。
【0043】
ある実施例において、親水性モノマーには、N−ビニルピロリドン(VPL)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド(THMMAM)、ポリエチレングリコールアクリレート(PEGA)、ポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)、及びそれらの混合物が含まれる。
【0044】
本明細書において使われる“荷電成分”には、その分子に関連するカチオンまたはアニオン電荷を含むモノマー、あるいは荷電されていないものの容易にイオン化されるモノマー(アクリル酸、メタクリル酸、及びアミン含有のモノマー等)が含まれる。例えば、アニオンには、アンモニウムイオン、第四アンモニウムイオン、ハロゲン化物、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、酢酸等を含むことができる。カチオンとしては、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの各種金属イオンが適している。
【0045】
ある実施例において、荷電成分としてのモノマーには、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)等のN,N−ジメチルアミノアルキルアクリレート、四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート等のN,N−ジメチルアミノアルキルメタクリレート、[2(メタクリロイルオキシ)エチル]トリアルキルアンモニウム塩、塩化[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム(AETMAC)等の[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリアルキルアンモニウム塩、N,N−ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、N,N,N−トリメチルアミノアルキルメタクリルアミド塩、N,N,N−トリメチルアミノアルキルアクリルアミド塩、塩化(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウム(VBTMAC)等の(ビニルベンジル)トリアルキルアンモニウム塩、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、イトコン酸(IC)、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、モノ−2−(メタクリロイル)エチルコハク酸エステル(MAES)、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(AMPS)、ビニルホスホン酸(VPA),ビニルイミダゾール、ビニルビリジン、スチレンスルホン酸塩、及びそれらの混合物が含まれるがこれらに限定されない。
【0046】
本開示のポリマーが、例えば、バルク重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法が含まれるがこれらに限定されないラジカル重合法によって準備されてもよい。例えば、本開示のポリマーは、乳化重合によって準備できる。乳化重合法によると、本開示での使用に適したポリマーは、所望のモノマーと水溶性のラジカル開始剤システム(熱開始剤または光開始剤等)とを含む乳液を窒素またはアルゴン等の不活性雰囲気中において形成し、その乳液を発熱反応が起きるまで熱することにより準備される。反応混合物をかき混ぜて冷やし、その結果生じたポリマーを収集する。任意に、イオン性または非イオン性界面活性剤を反応混合物に加えてもよい。還元剤を任意に追加して、ラジカル開始剤を使って酸化還元“レドックス”対を形成してもよい。
【0047】
乳化重合反応の間、多量のモノマーを反応槽にバッチ式にあるいは連続または半連続的に供給することができる。半連続的とは、複数のモノマーのバッチを重合の進行中に槽に供給することを意味する。モノマーを槽に追加する個々の速度は、時間と共に特定のモノマーが消費される速度に依存する。通常、モノマーを追加する速度は、モノマーを消費する速度、すなわちモノマーをポリマーへ変換する速度にほぼ等しい。
【0048】
反応としては、反応槽をまず溶媒で満たす。本開示の重合反応に適した溶媒には、例えば、水、ケトン、エーテル、極性非プロトン性溶媒、エステル、芳香族溶剤、及び、線形及び環状の両方の脂肪族炭化水素が挙げられる。ケトンの例としては、メチルエチルケトン(2−ブタノン)(MEK)、アセトン等が挙げられる。エーテルの例としては、メトキシメチルエーテルまたはエチルエーテル等のアルコキシアルキルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4ジオキサン等が挙げられる。極性非プロトン性溶媒には、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が含まれる。適当なエステルとしては、酢酸エチル、酢酸メチル等の酢酸アルキルが含まれる。芳香族溶剤には、トルエン、キシレン等のアルキルアリール溶剤とクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族とが含まれる。炭化水素系溶剤としては、例えば、イソオクタン、ヘキサン、シクロヘキサン等が含まれる。
【0049】
乳化重合の場合、通常0.01重量%〜1重量%の量の表面活性剤を加えることができる。重合は、通常、モノマーの最初の供給後に、溶媒相に開始剤または開始剤システムを加えることにより開始される。
【0050】
本開示の中での“ラジカル開始剤”という語句は、適当な作業状況(例えば、熱活性化、照射、酸化還元条件等)下でラジカル種の形成を引き起こすことが可能な化合物または化合物の混合物を広くさす。本開示による重合混合に有用なラジカル開始剤の例としては、例えば、アルキルペルオキシド、置換アルキルペルオキシド、アリールペルオキシド、置換アリールペルオキシド、アシルペルオキシド、アルキルヒドロペルオキシド、置換アルキルヒドロペルオキシド、アリールヒドロペルオキシド、置換アリールヒドロペルオキシド、ヘテロアルキルペルオキシド、置換ヘテロアルキルペルオキシド、ヘテロアルキルヒドロペルオキシド、置換ヘテロアルキルヒドロペルオキシド、ヘテロアリールペルオキシド、置換ヘテロアリールペルオキシド、ヘテロアリールヒドロペルオキシド、置換ヘテロアリールヒドロペルオキシド、アルキルペルエステル、置換アルキルペルエステル、アリールペルエステル、置換アリールペルエステル、過炭酸塩、ハロゲン化物化合物、及びアゾ化合物が挙げられる。実行される実施例によっては、熱またはUV光を開始剤としてもよい。具体的な開始剤としては、ラウロイルペルオキシドを挙げることができる。
【0051】
各種実施例において、使用される開始剤の量は、通常、モノマー混合物の全重量の0.03〜2重量%の間あるいは0.05〜1重量%の間である。開始剤の全量を重合の開始の際に加えてもよいし、あるいは、重合過程の間に連続的に重合に開始剤を加えることもできる。開始剤の一部を開始時に加え、残りを重合の間に1回以上に分けて加えてもよい。分けて追加する場合、バッチ式で追加してもよいしあるいは連続的に追加してもよい。乳化重合システムは、さらに、緩衝剤及び錯形成剤等の助剤を含んでもよい。
【0052】
使用される重合条件には重合の温度が含まれ、通常、約20℃から約110℃、より具体的には、約40℃〜約90℃、さらに具体的には、約50℃〜約80℃の範囲である。大気を不活性雰囲気で制御してもよく、例えば、窒素またはアルゴンが好都合である。
【0053】
重合条件に反応時間を含むこともでき、各種実施例においては、約0.5時間から約72時間、より具体的には約1時間から約24時間、さらに具体的には約2時間から約12時間である。モノマーのポリマーへの変換は、少なくとも約50%、少なくとも約75%、さらには少なくとも85%であってもよい。
【0054】
別の実施例においては、構造Iとして下記に示すオキサゾリンモノマーなどのモノマーの重合など、(リビング)カチオン開環重合過程による非ラジカル重合作用により、本開示のポリマーを得てもよい。いくつかのオキサゾリンを含む共重合では、異なるR置換基を用いたカチオン重合によってシステムにおける疎水性/親水性のバランスに影響を与えることにより、ランダムコポリマーを得ることができる。親水性オキサゾリンの例は、2−メチル−2−オキサゾリンである。疎水性オキサゾリンの典型的な例は、2−ノニル−2−オキサゾリンである。このリビングカチオン開環重合作用により、ブロックコポリマーを得ることも可能である。ポリ(2―ノニル―2−オキサゾリン)を合成する典型的な合成プロトコルが、Hoogenboomらによって、コンビナトリアルケミストリージャーナル、2005、7、10−13で報告されている。参照することにより本願に援用されるその開示には、アセトニトリル及びジクロロメタンの溶媒混合液中で、メチルトシレートを開始剤として使用することが含まれている。
【0055】
【化1】

【0056】
(構造I)
Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換へテロ原子含有ヒドロカルビル、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択される。より具体的には、Rは、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアレニル、任意に置換されたアラルキル、任意に置換されたアシル、任意に置換されたアロイル、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルからなるグループから選択されてもよい。
【0057】
本開示のポリマーは、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー及びハイパーブランチコポリマーからなるグループから選択された構造を備えることができる。本願で使用される“ブロックコポリマー”には、異なる組成を持つ少なくとも2つのセグメントを含むポリマーが含まれる。異なる組成とは、いくつもの異なる構造のうちのいずれかであって、単に統計的な方法であるいは制御されずに、ポリマー構造にモノマーを含まないものである。単一のブロックタイプのポリマー構造には、3つ、4つまたはそれ以上のモノマーが含まれるかもしれないが、本願では、1つのブロックコポリマーと見なす。ブロックコポリマーは、モノマーの順次追加を含む、あるいはコポリマーの1以上のブロック間で結合グループを形成できる多機能制御因子を使用した、いくつもの方法で準備できる。グラフトポリマーは、本開示の制御条件下で、複数のラジカル重合を開始できる開始剤を使用して生成可能である。
【0058】
本開示の別の局面では、ポリマーは、疎水性成分を持つポリマーと、荷電成分と、任意に本願の規定に従う親水性成分との混合物であってもよい。その代わりに、ポリマーは、疎水性成分と荷電成分とを、疎水性成分、荷電成分、親水性成分を含むポリマーと混合したポリマーなど、ポリマー同士の混合物であってもよい。
【0059】
各種実施例において、ポリマーの分子量は、50,000〜数百万であってもよい。ある実施例では、分子量は、50,000〜1,000,000重量平均分子量(Mw)の範囲にある。本開示のある局面では、ポリマーのMwは、約65,000と約500,000との間、より具体的には75,000と約500,000との間、さらに具体的には約200,000と500,000との間である。ポリマーのMwは、開始剤、開始剤濃度、モノマー濃度、反応温度、反応溶媒、及び/または反応方法を変化させることによって制御可能である。
【0060】
本願に規定されるように、本開示のポリマーを形成するのに使用されるモノマーのタイプ及びモル分率は、いくつかある皮膜品質の中の、浸透性、接着性、弾力性、柔軟性、強靭性、温度安定性を調整するために選択可能であり、液体包帯の要件に合うようにすることができる。例えば、ポリマーの少なくとも1つのガラス遷移温度(Tg)を、一旦皮膜形状になったポリマーが約37℃(例えば、体温)〜約50℃で柔軟になるように調整できる。モノマーのTgは、周知のパラメータである。ランダムコポリマーを形成するのにモノマーの組み合わせを使用すると、結果として生じるポリマーのTgは、異なるモノマーのTgの関数になる。例えば、本開示のポリマーは、高Tgのモノマーと低Tgのモノマーとを組み合わせて、結果として生じた皮膜が生体表面に塗布された際に亀裂を生じないように所望のTgに調整されたポリマーを提供できる。
【0061】
本開示の実施例にふさわしいポリマーのスクリーニング及び分析は、いくつかある技術のうち、並列材料加工技術により行うことができる。本開示では、“Library Studio(登録商標)”ソフトウェア(Symyx Technologies,Inc.、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ)を使用して、本開示のポリマー用のモノマーライブラリを設計できる。ライブラリの設計の際、疎水性成分、荷電成分、及び任意に親水性成分の割合が様々に異なるモノマーを、異なるライブラリ用のアレイにおいて選択できる。その結果得られるライブラリは、“Renaissance Application Server(登録商標)”(Symyx Technologies,Inc.、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ)に任意に保存することができる。そこから、情報及び命令が“Impressionist(登録商標)”ソフトウェア(Symyx Technologies,Inc.、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ)またはその他の測定器制御ソフトウェアに提供され、アレイ状にポリマーを合成する自動合成ステーションでライブラリを作成及び実行する。結果として生じたポリマーは、その後、化学属性、溶解属性、熱属性、及び機械属性を含む、一定の物理的特性及び機能的特性のスクリーニングを受けることが可能になる。
【0062】
ある実施例において、本開示のポリマーは、荷電成分として約5モルパーセント以下のメタクリル酸(MAA)を共重合することにより形成され、残りのモルパーセントは、疎水性成分としての2−エチルヘクシルメタクリレート(EHMA)及びメチルメタクリレート(MMA)であってその割合は約75/25〜約50/50モルパーセントEHMA/MMAである。さらなる実施例では、ポリマーは、荷電成分として約2モルパーセント以下のMAAを共重合することにより形成され、残りのモルパーセントは、疎水性成分としてのEHMA及びMMAであってその割合は約55/45〜約50/50モルパーセントEHMA/MMAである。このポリマーは、生体表面への接着に優れ、柔軟で耐水で、本願に説明されるように、イソオクタン及びイソプロパノールなどの治療に適した溶媒に可溶であり、本来親水性である溶剤を含む多種の生物活性剤に非常によく適合する。
【0063】
別の実施例では、ポリマーは、荷電成分として約0〜約5モルパーセントのMAAと、約30〜約45モルパーセントのMMAと、約1〜約15モルパーセントの2−メトキシエチルメタクリレート(MEMA)とを共重合することにより形成され、ポリマーの残りのモルパーセントは、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)であり、MMA、MEMA、HMAは疎水性成分である。さらなる実施例では、ポリマーは、約0〜2モルパーセントのMAAと、約35〜約40モルパーセントのMMAと、約5〜15モルパーセントのMEMAとを共重合することにより形成され、ポリマーの残りのモルパーセントは、EHMAである。このポリマーは、生体表面への接着に優れ、柔軟で耐水で、本願に説明されるように、イソオクタン及びイソプロパノールなどの治療に適した溶媒に可溶であり、本来親水性である溶剤を含む多種の生物活性剤に非常によく適合する。
【0064】
さらなる実施例では、ポリマーは、荷電成分として約2.0〜約7.5モルパーセントのアクリル酸(AA)を共重合することにより形成され、残りのモルパーセントは、疎水性成分としてのメチルアクリレート(MA)及び親水性成分としての2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)であってその割合は約40/60パーセントMA/HEMA〜約20/80パーセントMA/HEMAである。このポリマーは、生体表面への接着に優れ、柔軟で耐水で、本願に説明されるように、水及びエタノールなどの治療に適した溶媒に可溶であり、本来親水性である溶剤を含む多種の生物活性剤に非常によく適合する。
【0065】
本開示の実施例は、皮膜形成用組成物を作成する各種方法をさらに含んでいて、その中には本開示のポリマーを溶媒中の生物活性剤で溶解することも含まれている。皮膜形成用組成物に使用される溶媒は、治療上安全で皮膚に耐性があるのが望ましい。そのような溶媒の沸点は、1気圧で十分に低い(例えば、75℃以下)ため、大気温度、圧力、湿度(例えば、22℃、1気圧、相対湿度50%)で生体表面に皮膜形成用組成物を塗布すると、3分以内、2分以内、さらには1分以内に手が触れるくらいまで皮膜形成用組成物が乾燥する。これは、モノマーの選択、分子量制御、溶媒システムの選択により可能になる。ある実施例では、本開示のポリマーは、水への溶解度に制限がある(40℃の脱イオン化した水に1重量パーセント(wt%)未満)。
【0066】
皮膜形成用組成物に適した溶媒には、ポリマーが25℃で少なくとも1wt%の濃度で溶解できるものが含まれる。一般的には、皮膜形成用組成物のポリマー含有量は、溶媒の全重量に対し、約50wt%未満、及び/または約20wt%未満である。ある実施例において、皮膜形成用組成物のポリマー含有量は、溶媒の全重量に対し、約8wt%である。更なる実施例では、皮膜形成用組成物は、ポリマー及び/または生物活性剤が分散してスラリーまたは分散を形成する溶媒を含むことができる。
【0067】
本開示の溶媒は、1以上の疎水性溶媒を含むことができる。適当な疎水性溶媒の例には、1以上のC4−C12直鎖、分岐、または環状アルカン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、アセトン、アセトニトリルジオキサン、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、またはそれらの混合物を含む非極性溶媒が含まれる。塗布液として好都合な溶媒には、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソオクタン、n−ヘプタン、n−オクタン、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0068】
溶媒には、本願に規定された1以上の疎水性溶媒と1以上の非水性極性溶媒とを混合した溶媒の混合物が含まれてもよい。好都合な非水性極性溶媒には、アルコール、(アセテート等の)エステル、(酢酸等の)有機酸、及びグリコールが含まれてもよい。例としては、イソプロパノール、プロパノール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、N−メチルピロリドン、グリセロール、これらの組み合わせ等が挙げられる。この種類の溶媒システムを使用することによって、皮膜はより迅速に乾く。さらに、親水性及び荷電モノマーを含むポリマーシステムの溶解度を高めるのに使用される極性溶媒の量は最少である。
【0069】
疎水性成分と荷電成分とを含む本開示のポリマーについての各種実施例において、溶媒には、約85〜約100重量パーセントの1以上の非極性溶媒(例えば、アルカン)と約0〜約15重量パーセントの1以上の非水性極性溶媒とを含むことができる。ある実施例において、溶媒には、ペンタン、ヘキサン、イソオクタン、あるいはその混合物からなるグループから選択される約90〜約100容量パーセントの1以上の非極性溶媒と、アルコール(例えば、イソプロパノール)、エチルアセテート、アセトン、あるいはその混合物からなるグループから選択される約0〜約10容量パーセントの1以上の非水性極性溶媒が含まれる。さらなる実施例では、溶媒には、ペンタン、ヘキサン、イソオクタン、あるいはその混合物からなるグループから選択される約90〜99容量パーセントの1以上の非極性溶媒と、アルコール(例えば、イソプロパノール)、エチルアセテート、アセトン、あるいはその混合物からなるグループから選択される約1〜約10容量パーセントの1以上の非水性極性溶媒が含まれる。さらなる実施例では、溶媒には、約95〜99容量パーセントの1以上の非極性溶媒と、約1〜5容量パーセントの1以上の非水性極性溶媒が含まれる。いくつかの実施例では、非水性極性溶媒はイソプロパノールであり、アルカンはイソオクタンである。
【0070】
疎水性成分と、荷電成分と、親水性成分とを含む本開示のポリマーについて、溶媒に、約60〜85容量パーセントの水と約15〜40容量パーセントのエタノールとを含むことができる。さらなる実施例では、溶媒には、約65〜75容量パーセントの水と約25〜35容量パーセントのエタノールとが含まれる。さらなる実施例では、溶媒には、約70容量パーセントの水と約30容量パーセントのエタノールとが含まれる。
【0071】
付加的な成分を溶媒に追加して、溶媒中のポリマーの溶解度を高める及び/または増加することができる。例えば、本願に規定されたポリマーの各種実施例について、揮発性主剤を使用してポリマー上のカルボン酸基をイオン化することにより、水性システムにおける溶解度を改良することができる。このイオン化に適当な主剤の例には、水酸化アンモニウム、2−アミノメチルプロパノール(2−AMP)、及びそれらの混合物が含まれるがこれらに限定されない。イオン化によりポリマーの溶解度を増加できる。皮膜形成組成物の塗布後、溶剤と揮発性主剤とは蒸発して、その結果、ポリマー上でカルボン酸基のプロトン化が起きる。ポリマー上の酸基は強力に連携し、結果として生じる皮膜に力を与え、皮膜により大きな耐洗浄性を提供する。可塑化、接着性の改良、及び/またはレオロジー制御等のために、その他の物質を溶媒及び/または皮膜形成用組成物に加えてもよい。
【0072】
皮膜を形成する生体表面に対し敏速にまたは連続的に皮膜形成用組成物を放出するため、本開示の生物活性剤を皮膜形成用組成物に含めてもよい。本願に規定されるように、親水性の生物活性剤は、液体状態及び皮膜状態において、本開示のポリマーと混和した状態に留まる。生物活性剤には、皮膜の下にある生体表面に放出可能な治療薬及び/または美的目的のために提供される化粧剤が含まれるがこれらに限定されない。本願で使用される“治療薬”は、被検者において局所または全身効果を生むものであり、診断、治療、緩和、処置、あるいは病気の予防及び/または被検者の望ましい身体発育及び状態の強化での使用を意図した物質を包含するものとして使用される。本願で使用される“被検者”という用語は、哺乳類(例えば、人間)及び非哺乳類を含むものとする。
【0073】
治療薬の例としては、治療効果のある量の抗菌剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、酸化防止剤、及びそれらの混合物が含まれるがこれらに限定されない。治療薬の追加の例としては、合成または天然物質、及び、薬理的活性ポリペプチド(本願では、ペプチド、オリゴペプチド、プロテイン、酵素、ホルモン等を含む、あらゆる長さのL−またはD−アミノ酸のポリマーを含有する)、糖(例えば、単糖、ニ糖、多糖及びムコ多糖)、ビタミン等が無制限に含まれる。化粧剤の例としては、顔料、染料、及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。含むことが望ましいと考えられるその他のタイプの生物活性剤としては、UV及びIR吸収剤が挙げられる。
【0074】
本開示によると、本開示の生物活性剤は、治療薬、化粧剤、及びそれらの混合物からなるグループから選択された親水性物質である。生物活性剤の適当な例としては、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、クロホクトール等、抗生物質等の抗菌剤、クロルヘキシジン、サンギナリン抽出物、メトロニダゾール、及び、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム(BZK)等の第四アンモニウム化合物等の抗真菌剤及び防腐剤、イブプロフェン、フェンブフェン、コルチゾン等の抗炎症剤、ビタミンA、C、E等のビタミン、ベノキシネート、ベンゾカイン、リドカイン、プロカイン等の麻酔薬、抗ヒスタミン剤、解熱剤、バイオサイド、殺菌剤、及び、バクテリオシン、抗体、酵素等の生体分子、非ステロイド系抗炎症薬、コラーゲン等のタンパク性剤、保存料、乳白剤、顔料、染料等の着色剤、pH調整剤、陰イオン、非イオン、陽イオン及び両性イオンまたは両性界面活性剤等の界面活性剤、皮膜形成用組成物のpH及びイオン強度を中和するための緩衝剤または塩が挙げられる。
【0075】
皮膜形成用組成物と組み合わせることができる添加剤には、例えば、所望のレベルまで混合物の粘度とチクソ性とを調整するための粘度及び流量制御剤、皮膜の酸化安定性を改良するための酸化防止剤、界面活性剤、乳化剤、保存料、安定剤、希釈剤、及び排気剤、または消泡剤、可塑剤、接着促進剤、またはこれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。
【0076】
ある実施例では、各生物活性剤が、皮膜形成用組成物及び生物活性剤の全重量の少なくとも約0.1重量パーセント(wt%)の量だけ皮膜形成用組成物内部に(すなわち、内部に含まれて)存在する。さらなる実施例では、生物活性剤が、皮膜形成用組成物及び生物活性剤の全重量の少なくとも約1wt%の量だけ皮膜形成用組成物内部に存在する。さらなる実施例では、生物活性剤が、皮膜形成用組成物及び生物活性剤の全重量の少なくとも約5wt%の量だけ皮膜形成用組成物内部に存在する。一般に、各生物活性剤の量は、皮膜形成用組成物の溶解限度以下である。
【0077】
本開示の皮膜形成用組成物を、UV吸収剤を含めることにより日焼け止め剤等として使用することもできる。その他の使用法としては、唇荒れを解消する、肌を整える、皮膜の形成前に治療される皮膚及び他の表面を保護するために皮膜を使用することが挙げられる。
【0078】
いくつかの実施例では、皮膜形成用組成物から形成される皮膜の厚みは、約1000ミクロンより小さく、約500ミクロンより小さく、及び/または約100ミクロンより小さい。皮膜は望むだけ薄くできる(例えば、1ナノメータ以下)が、通常、約10ナノメータ〜約100ナノメータより薄くはない。一般的に、皮膜の厚さは、皮膜を形成するのに使用される処理によって制限される。本願の実施例では、皮膜の厚さは不変または一定でなくてもよい。さらに、皮膜の厚さは、生物活性剤が放出される持続時間を調節するために使用できる。
【0079】
本開示の皮膜形成用組成物をさらにキットに含めることもできる。キットには、一定量の本開示の皮膜形成用組成物を取り出し容器に入れたものを含めることができる。ある実施例では、取り出し容器として、アプリケータを備えたビンが含まれ、アプリケータはボトルに引き出し可能に取り付けられている。キットは、取り出し容器及び皮膜形成用組成物の使用上の注意を含むパッケージとして提供されることができる。適当なアプリケータの例には、ブラシ、棒、スポンジ、布、スポイト、ポンプスプレー、あるいは噴霧構造またはその他の利用可能な液体を表面に塗る技術または構造が含まれるがこれらに限定されない。
【0080】
本発明を各種の特定及び好ましい実施例を参照しながら説明してきたが、以下に詳細な例を参照しながらさらに説明する。しかしながら、例及び詳細な記述に示したものを超えて本発明の基本となるテーマに多くの拡張、変形及び修正を行うことができ、それらもまた本発明の精神及び範囲内にあることが理解されるであろう。
[例]
本発明の数多くの実施例を以下の例を用いて説明する。しかしながら、これらの例に記載される特定の材料及びその量、さらにその他の条件及び詳細は、広く従来技術に適用されるものと解釈されるべきで、本発明をいかなる方法によっても不当に抑制あるいは制限するものと解釈されるべきではない。
【0081】
例3,6,7の反応は全て、アルゴンまたは窒素ガスの陽圧下の炉乾燥ガラス製品で行われた。空気及び湿気に影響される溶液は、注射器を用いてゴム隔膜で蓋をした反応槽に移動した。反応混合物及びクロマトグラフィーにより収集された部分については、回転蒸発器(およそ20℃/20トール)で濃縮した。業務用試薬は、30分間窒素蒸気またはアルゴン蒸気にさらしてガス抜きされたモノマーを除いて、さらなる精製を行わずに使用した。モノマー阻害物質は、Aldrich社の阻害物質除去剤[9003−70−07]を使って蒸留またはろ過によって除去した。窒素またはアルゴン雰囲気下で重合混合物を取り出してグローブボックスに密閉し、本願に記載の各温度で実験を行った。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、自動ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)システム及びポリマーの極性によって異なる型のカラムと溶離剤とを用いて行った。一般に、SECは、米国特許Nos.6,296,771、6,294,338、6,265,226、6,260,407、6,175,409に沿って行われ、その内容は参照されることによって本願に援用される。分子量及び多分散性指標(PDI)については、直鎖ポリスチレン標準を参照している。モノマー変換は、Brucker AC 400(400MHz)上で1H−NMRによりまたはHP−6890自動システム上でGCにより測定した。ポリマーのガラス遷移温度は、Parallel DMTA Workflow(Symyx Technologies社,カリフォルニア州サンタクララ)を用いて測定した。
【0082】
本例では、以下の略語を用いる:“EHMA”は2−エチルヘキシルメタクリレート、“MMA”はメチルメタクリレート、“MMA”はメタクリル酸、“MEMA”は2−メトキシエチルメタクリレートである。特に記載のない限り、試薬は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのSigma−Aldrich社から購入した。2-エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)は、マサチューセッツ州ウォードヒルのAlfa Aesar社から購入した。全ての実験で使用した水は、使用前に蒸留してガス抜きした。
[例1]
Library Studio(登録商標)ソフトウェア(Symyx Technologies,Inc.、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ)を用いてMAA、EHMA、MMAのランダム共重合用のモノマーライブラリを設計した。重合反応は、Library Studio(登録商標)ソフトウェアにより提供されたレシピ情報からParallel Polymerization Reactor(登録商標)(Symyx Technologies,Inc.、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ)を用いた乳化処理により準備された。モノマーの原液は、以下の表Iに示した通りである。Parallel Polymerization Reactor(登録商標)の24の反応槽を以下のように構成した:24の密閉したステンレススチール反応室のアレイを設け、各反応室に、速度制御された回転軸攪拌パドルと、約8mlの容積を持つ使い捨てガラスライナー反応槽と、窒素ガスマニホールド注入口及び排出口、サーモスタット制御の暖房装置と、ポンプ及びバルブ分配システムにより供給される、各反応槽への注入ラインとを設けた。各分配システムのフィードラインには、以下(表1)に記載の対応する原液を注入した。反応炉は、清潔な空の状態で組み立てられ密閉された。反応炉は5回洗い流し、各回、窒素で60psigの圧力に加圧して、その後、通気のためにシステムから空気を流した。最後に、反応の間中、環境(1気圧)窒素雰囲気下でシステムを維持した。
【0083】
【表1】

【0084】
24の反応槽のアレイ(4行6列)について、MAAの全モノマーの割合が、アレイの1行目については2.76%、2行目については1.84%、3行目については、0.92%、4行目については0.0%であり、EHMA/MMAの全モノマーの理論上のモル比は、1列目については55/45、2列目については58.1/41.9、3列目については61.6/38.4、4列目については65/35、5列目については70/30、6列目については75/25であった。
【0085】
追加のプロトコルは以下の通りとした。第1段階では、界面活性剤溶液の追加後に溶媒を追加した。45分から1時間後、10%のEHMA、9%のMMA及びMAA原液を追加し、温度を58℃に設定して攪拌を開始した。20分後、30%のAsc溶液と5%のt−BHPを各反応槽に追加した。第2段階は20分後に開始し、残りのモノマー(90%のEHMA,90%のMMA及び90%のMAA)の大部分と開始剤とを9時間かけて100回に分けて半連続的に加えた。残りの1%のMMA及びMAAをその後、1回で追加した。暖房装置は58℃で1時間維持した。サンプルをグラスウールでろ過し、直接アセトンに沈殿させた。その後、固形物を数回水で洗浄し、一晩乾かした。
[例2]
例1で合成したポリマーをスクリーニングにかけ、屈曲耐久性、伸長耐久性、及び耐洗浄性を含む各種の性能特性を調べた。耐洗浄性試験により、例1のポリマーで形成された皮膜の石鹸水溶液中での溶解度と水の吸収による非溶解性ポリマーの厚みの増加についての情報を得た。この試験の目的は、ポリマー皮膜が、個人の衛生状態または皿洗いなどの家事活動の間の条件と同様の条件下の水に溶解するか、または吸収するか、を評価することである。ポリマー皮膜は、20μlの20%ポリマー溶液をアルミ板で覆ったKapton(登録商標)(デュポン社、デラウェア州ウィルミントン)上に注ぐことにより形成した。37℃に設定したホットステージ上に皮膜を載せて乾燥させた後、走査レーザ表面形状測定装置(Symyx Technologies,Inc.、カリフォルニア州サンタクララ)を使って皮膜の厚み(H1)を読み取って記録した。
【0086】
43℃で15分間、洗浄液にアルミ板を(表が下になるように)浸すことによって皮膜の完全性に対する水の影響を評価した。この溶液をペトリ皿に取り、磁力を用いてそっとかき混ぜることにより、溶液温度を均質にし、皮膜にいくらかの切込みを入れた。要求時間後、アルミ板を清潔な水で洗浄し、圧縮空気をそっと吹き付けることにより余分な水気を除去した。皮膜(H2)の厚さを皮膜がまだぬれている間に素早く計測した。厚みの減少は、ポリマーの部分的溶解を表し、厚みの増加は、皮膜の膨張を示す。厚みの変化がなかったサンプルは耐洗浄性ポリマーと見なした。中間の場合(皮膜の部分的な溶解及び膨張が同時に起きた)も、元の値に近い厚みとなるため、結果の解釈を誤る可能性がある。ぬれた状態で厚みを読み取ることから生じる疑念を払拭するために、皮膜が乾いた後に再び3回目の読み取り(H3)を実行した。H3/H1の比は、材料が溶解することに抵抗する程度、すなわち耐洗浄性、を数値で表す;H2/H3の比は、洗液に浸された際の膨張度合いを表す。
【0087】
例1のポリマーで形成した皮膜の耐洗浄性の結果を表IIに示す。全てのポリマーが2%(H3/H1)以内という、あらゆる厚みの変化についてよい耐洗浄性を示している。
【0088】
【表2】

【0089】
屈曲耐久性試験では、各ポリマーの皮膜をViton(登録商標)シート(デュポン社、デラウェア州ウィルミントン)上に形成した。Vitonの表面の準備として、まずビードブラストを行って表面を荒くし、その結果生じた皮膜の接着度を改良した。皮膜の準備としては、40μlの15wt%ポリマー溶液を弾性基質上のクロロホルムに注ぎ、ほぼ1cm2をおおうように広げた。皮膜は、37℃のホットステージ上で一晩乾燥させた。ポリマー皮膜の乾燥時の厚みはほぼ20〜30μmであった。
【0090】
その後、皮膜を、環境制御室(35℃、50%の相対湿度)に6時間置き、平衡化した。皮膜を載せた弾性基質を鋭角極を中心にして巻き、皮膜のどの部分も実験の間のどこかで90度曲げられるようにして、屈曲テストを実行した。この動きを10回(ストローク)繰り返した。ポリマー皮膜に生じる亀裂またはしわを、顕微鏡を使用して画像に保存した。10ストローク後のポリマー皮膜に何ら変化は観察されなかった。
【0091】
伸長耐久性試験では、屈曲耐久性試験の場合と同様にビードブラストを行ったViton(登録商標)ストリップ上に、ポリマー皮膜を準備した。上記に説明したように皮膜を乾燥させ平衡化し、機械及び環境制御条件下(35℃、50%の相対湿度)でストリップを伸長した。ストリップは、900%/分の伸長速度で、元の長さ(40mm)から100%伸長された(すなわち、皮膜は元の長さの2倍に引き伸ばされた)。伸長が最大に達すると、結果(亀裂、層間剥離等)を記録した。皮膜を弛緩させて元の長さに戻した後、顕微鏡で写真を撮って、弛緩後の皮膜の構造的変化を記録した。ポリマーA4の皮膜は、非常にわずかな端部剥離を示し、ポリマーB6の皮膜は、弛緩後いくつかの亀裂が見られた。残りの皮膜には何の構造的変化も観察されなかった。
[例3]
EHMA、MMA、MAAのモノマーから形成されたポリマーを準備して特徴付けし、1以上の疎水性溶媒及び1以上の非水性極性溶媒との混合物中での溶解度を調べた。反応用モノマー、EHMA、MMA、MAAのモルパーセントはそれぞれ、54モル%、44.16モル%、1.84モル%であった。ポリマーの準備には、乳化ラジカル重合法においてモノマーの全重量に対し0.3重量パーセントのレドックス開始システム(過酸化物開始剤)を用いた。全重合反応体積は1リットルであった。
【0092】
2L、三つ口、丸底のフラスコに、攪拌機、温度計、アダプタ、加熱マントル、さらにアルゴン雰囲気を提供する流量制御装置と、個々の原液(表III)からラインへの注入口(隔壁)とを配備した。6.102gのTergitol 15S5(Dow Chemical Company)、2.029gのTergitol 15S40(Dow Chemical Company)、0.001gの酢酸ナトリウム(Sigma Chemical社)、6.102gのDowfax 2A1(Dow Chemical Company)の界面活性剤の混合物をフラスコに注入した。フラスコは、30分間アルゴンで浄化した。フラスコに両端注射針を介して水(367.97mL)を注入して界面活性剤の混合物上に注いだ。乳化混合物を15〜30分攪拌した後、フラスコ中の乳化混合物を58℃の一定温度まで加熱した。
【0093】
【表3】

【0094】
以下の表IVのMMA、EHMA、MAA原液のモノマーの初期分量をフラスコに投入し、乳化混合物を58℃の一定温度で20分間攪拌しながら平衡化した。20分後、Asc原液の初期分量(表IV)をフラスコに追加した。そのさらに10分後にt−BHP原液の初期分量(表IV)を投入して、ラジカル開始剤を供給した。さらに20分後、残りのラジカル開始剤(Asc/t−BHP)とMMA、EHMA、MAA原液を、表IVに示すように、9時間かけて100回分に等しく分けてフラスコに加えた。9時間の反応時間後、1度に、表IVのMMA原液及びMAA原液のモノマーの後発分量を乳化混合物に加えた。その結果生じた乳化混合物を、室温まで冷却される前の1時間、58℃で攪拌した。
【0095】
【表4】

【0096】
結果として生じた乳化混合物をグラスウールに通して固形物を取り除いた。ポリマーを含む乳化混合物を、室温でメタノールまたはアセトン中に滴下して加えることにより沈殿させた。その結果生じたポリマーをろ過し、フィルタを通して泡が観察されなくなるまでブフナー漏斗上で水を使って十分に洗浄した。その後、ポリマーをフリーズドライして吸収された水分を除去した。逆沈殿法により、ポリマーを最小量の溶媒に溶解し、非溶媒を溶液に滴下して加え、さらにポリマーを精製した。この処理により、小さな分子(未反応モノマー、開始剤、界面活性剤または小さなポリマー鎖)の除去が可能になる。
【0097】
処理の間、ポリマー(300g)を各150g(単に便宜上)の2つのロットに分け、ビーカー中の500mLのイソプロパノール−イソオクタン(50/50vol/vol)の混合物中に溶解した。その後、エタノール(4L)をポリマー及びイソプロパノール−イソオクタンの混合物に滴下して加え、濁った混合物を得た。濁った混合物を1時間攪拌し、一晩冷蔵庫(3℃)に置いた。その結果生じた上澄みを廃棄し、ビーカーの底に粘着性材料としてポリマーを集めた。その後、ポリマーを数回エタノールで洗浄し、プラスチック容器に移し、分析前に16時間、85℃で乾燥した。
【0098】
その後、ポリマーをH1 NMR及びゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって特徴付けた。ポリマー中のEHMA/MMAユニットのモル比を1H NMRにより、53モル%EHMA及び47モル%MMAに決定した。GPCにより得た分子量は、495,000g/molの重量平均分子量(Mw)及び2.35の多分散性指標(PDI)で広いピークを示した。EHMA/MAA/MMAポリマーのガラス遷移温度(Tg)は、Parallel DMTA Workflow(Symyx Technologies社、カリフォルニア州サンタクララ)を使用して測定し、Tg=42.0℃だった。
[例4]
例3のポリマー0.15gを5wt%のイソプロパノールを含む1mlのイソオクタンと混合して、15wt%ポリマー溶液を準備した。ポリマー皮膜は、耐水試験及び耐久試験のために、例2と同様にして15wt%ポリマー溶液から準備した。皮膜を温水石鹸水で洗浄し、厚みの測定のために再び乾燥した後のポリマー皮膜の厚みの変化は、2%未満だった。屈曲及び伸長耐久試験の間、皮膜表面には何の変化も観察されなかった。
[例5]
例3のポリマー0.15gを5wt%イソプロパノール及び0.13wt%の塩化ベンザルコニウム(Aldrich社)を含む1mlのイソオクタンと混合して、15wt%ポリマー溶液を準備した。ポリマー皮膜は、耐水試験及び耐久試験のために例2と同様にして15%のポリマー溶液から準備した。皮膜を温水石鹸水で洗浄し、厚みの測定のために再び乾燥した後のポリマー皮膜の厚みの変化は、2%未満だった。屈曲及び伸長耐久試験の間、皮膜表面には何の変化も観察されなかった。
[例6]
EHMA、MMA、MAA、MEMAのモノマーから形成されたポリマーを準備して特徴付けし、1以上の疎水性溶媒及び1以上の非水性極性溶媒との混合物中での溶解度を調べた。反応用モノマー、EHMA、MMA、MEMA、MAAのモルパーセントはそれぞれ、49モル%、39モル%、11モル%、1モル%である。ポリマーの準備には、ラジカル重合法として80℃のイソオクタン溶液中のモノマーの全モルに対し0.8モルパーセントで熱開始システム(過酸化物開始剤)を用いた。全重合反応体積は0.4リットルであった。
【0099】
1L、三つ口、丸底のフラスコに、攪拌機、温度計、アダプタ、さらに不活性雰囲気を提供する流量制御装置と、個々の原液(表V)からラインへの注入口(隔壁)とを準備した。フラスコには加熱器も設けた。
【0100】
【表5】

【0101】
以下の表VIのEHMA、MMA、MEMA、MAA原液のモノマーの初期分量と、溶媒と開始剤(ラウロイルペロキシド)とをフラスコに投入して攪拌し、その後、混合物を80℃の一定温度まで加熱した。10分後、5時間かけてモノマー原液の1回分を100回に分けて追加し、開始剤の1回分を10回に分けて追加した。試薬の追加後、混合物をさらに1時間80℃で攪拌した。冷却前に、混合物を200mlのイソプロパノールで希釈した。室温になったら、エタノールをゆっくりと(3リットルまで)加えることによりポリマーを沈殿させた。沈殿物をエタノールで数回洗浄し、イソオクタン/イソプロパノール50/50vol%中に溶解し、エタノールを使用した沈殿を繰り返した。エタノールでの数回の洗浄後、沈殿物をプラスチックのフラスコに入れ、48時間、65℃の温度で真空下で乾燥した。
【0102】
【表6】

【0103】
その後、EHMA/MMA/MEMA/MAAポリマーをH1 NMR及びゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって特徴付けた。統合EHMA、MMA、MAA、MEMAユニットのモル比を1H NMRにより、48モル%EHMA、41モル%MMA、11モル%MEMAに決定した。GPCによるポリマーの分析は、129,000g/molの重量平均分子量(Mw)及び1.90の多分散性指標(Mw/Mn)で広いピークを示した。EHMA/MMA/MEMA/MAAポリマーのガラス遷移温度は、Tg=41.2℃だった。
[例7]
EHMA、MMA、MAA、MEMAのモノマーから形成されたポリマーを準備して特徴付けし、1以上の疎水性溶媒及び1以上の非水性極性溶媒との混合物中での溶解度を調べた。反応用モノマー、EHMA、MMA、MEMA、MAAのモルパーセントはそれぞれ、60モル%、32モル%、7モル%、1モル%であった。ポリマーの準備には、ラジカル重合法として80℃のイソオクタン溶液中のモノマーの全モルに対し0.8モルパーセントの熱開始システム(過酸化物開始剤)を用いた。全重合反応体積は0.4リットルであった。
【0104】
1L、三つ口、丸底のフラスコに、攪拌機、温度計、アダプタ、さらに不活性雰囲気を提供する流量制御装置と、個々の原液(表VII)からラインへの注入口(隔壁)とを準備した。フラスコには加熱器も設けた。
【0105】
【表7】

【0106】
表VIIIのEHMA、MMA、MEMA、MAA原液のモノマーの初期分量と、イソオクタン、ラウロイルペロキシド(開始剤)とをフラスコに投入し、混合物を80℃の一定温度まで加熱した。10分後、5時間かけて、モノマー原液の1回分を100回に分けて追加し、開始剤の1回分を10回に分けて追加した。試薬の追加後、混合物をさらに1時間、80℃で攪拌した。冷却前に、混合物を200mlのイソプロパノールで希釈した。室温になったら、エタノールをゆっくりと(3リットルまで)加えることによりポリマーを沈殿させた。沈殿物をエタノールで数回洗浄し、イソオクタン/イソプロパノール50/50容量%中に再び溶解し、エタノールを使用した沈殿を繰り返した。エタノールでの数回の洗浄後、沈殿物をプラスチックのフラスコに入れ、48時間、65℃の温度で真空下で乾燥した。
【0107】
【表8】

【0108】
その後、ポリマーをH1 NMR及びゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって特徴付けた。ポリマー中の統合EHMA、MMA、MEMAユニットのモル比を1H NMRにより、60モル%EHMA、33モル%MMA、7モル%MEMAに決定した。GPCによるポリマーの分析は、182,000g/molの重量平均分子量(Mw)及び2.08の多分散性指標(Mw/Mn)で広いピークを示した。ポリマーのガラス遷移温度は、Tg=32.0℃だった。
[例8]
以下の追加のポリマーライブラリを合成し、本願の記載通りにスクリーニングした。
【0109】
A)MAA(2〜0.5mol%)及びEHMA/MMA(50/50〜62/37モル比)。
【0110】
B)MAA(1mol%)、MAA(32〜42mol%)、MEMA(1〜11mol%)、EHMA(残りのmol%)。
【0111】
反応は全て8mL規模で行われた。ポリマーライブラリAについては、溶媒として水を使用した。ポリマーライブラリBについては、溶媒としてイソオクタンを使用した。両方の反応用の全モノマー濃度は10wt%であった。使用した開始剤の量は、混合物中の全モノマーに対し1wt%であった。疎水性及び荷電モノマー原液の濃度は、溶媒中15wt%であった。
【0112】
本願に引用された特許、特許文献、出版物の完全な開示は全て、それぞれの開示を個々に含んでいるかのように、参照されることにより本願に援用される。本発明の各種改良及び変更は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者に明らかになるであろう。本発明は、本願に記載の実施形態及び例によって不当に制限されることを意図したものでなく、そのような例及び実施形態は、以下に本願に記載の請求項によってのみ制限されることを意図した発明の範囲でのみ、例示されていることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約80モルパーセント〜約100モルパーセントの疎水性成分と、約0〜約20モルパーセントの荷電成分とを含むポリマーと、
生物活性剤と
溶媒とを含む皮膜形成用組成物であって、前記ポリマー及び前記生物活性剤が前記組成物に均一に分散した皮膜形成用組成物。
【請求項2】
前記ポリマーが、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー、ハイパーブランチポリマーからなるグループから選択された構造を備えた請求項1に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項3】
前記疎水性成分が、重合可能なモノマー、オリゴマー、またはポリマーを含む物質である請求項1に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項4】
前記疎水性成分用の物質が、メチルアクリレート(MA)、メチルメタクリレート(MMA)、エチルアクリレート(EA)、エチルメタクリレート(EMA)、2−メトキシエチルアクリレート(MEA)、2−メトキシエチルメタクリレート(MEMA)、スチレン(Sty)、酢酸ビニル(VA)、ネオデカン酸ビニル(VND)、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)、ブチルアクリレート(BA)、ブチルメタクリレート(BMA)、ラウリルアクリレート(LA)、及びそれらの混合物からなるグループから選択された請求項3に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項5】
前記荷電成分が、重合可能なモノマー、オリゴマー、またはポリマーを含む物質である請求項1に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項6】
前記荷電成分の物質が、N,N−ジメチルアミノアルキルアクリレート、N,N−ジメチルアミノアルキルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、[2(メタクリロイルオキシ)エチル]トリアルキルアンモニウム塩、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリアルキルアンモニウム塩、塩化[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム(AETMAC)、N,N−ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、N,N,N−トリメチルアミノアルキルメタクリルアミド塩、N,N,N−トリメチルアミノアルキルアクリルアミド塩、(ビニルベンジル)トリアルキルアンモニウム塩、塩化(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウム(VBTMAC)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、イトコン酸(IC)、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、モノ−2−(メタクリロイル)エチルコハク酸エステル(MAES)、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(AMPS)、ビニルホスホン酸(VPA)、及びそれらの混合物からなるグループから選択された請求項5に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項7】
前記ポリマーが、約5モルパーセント以下のメタクリル酸(MAA)を含み、前記ポリマーの残りのモルパーセントが2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)及びメチルメタクリレート(MMA)であってその割合が約75/25〜約50/50モルパーセントEHMA/MMAである請求項1に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項8】
前記ポリマーが、約2モルパーセント以下のメタクリル酸(MAA)を含み、前記ポリマーの残りのモルパーセントが2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)及びメチルメタクリレート(MMA)であってその割合が約55/45〜約50/50モルパーセントEHMA/MMAである請求項7に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項9】
前記溶媒が、約90〜約100容量パーセントのオクタンと約0〜約10容量パーセントのイソプロパノールとを含む請求項8に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項10】
前記ポリマーが、約0〜約5モルパーセントのメタクリル酸(MAA)と、約30〜約45モルパーセントのメチルメタクリレート(MMA)と、約1〜約15モルパーセントの2−メトキシエチルメタクリレート(MEMA)とを含み、前記ポリマーの残りのモルパーセントが2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)である請求項1に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項11】
前記ポリマーが、約0〜2モルパーセントのメタクリル酸(MAA)と、約35〜約40モルパーセントのメチルメタクリレート(MMA)と、約5〜15モルパーセントの2−メトキシエチルメタクリレート(MEMA)とを含み、前記ポリマーの残りのモルパーセントが2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)である請求項10に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項12】
前記溶媒が、約85〜100容量パーセントのオクタンと約0〜15容量パーセントのイソプロパノールとを含む請求項11に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項13】
前記ポリマーが、さらに親水性成分を含み、前記ポリマーが、約0〜約10モルパーセントの荷電成分を含み、前記ポリマーの残りのモルパーセントが親水性成分及び疎水性成分であってその割合が約60/40パーセント〜約80/20パーセントである請求項1に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項14】
前記親水性成分が、重合可能なモノマー、オリゴマー、またはポリマーを含む物質である請求項13に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項15】
前記親水性成分用の物質が、N−ビニルピロリドン(VPL)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド(THMMAM)、ポリエチレングリコールアクリレート(PEGA)、ポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)、及びそれらの混合物からなるグループから選択された請求項14に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項16】
前記ポリマーが、前記荷電成分として約2.0から約7.5モルパーセントのアクリル酸(AA)を含み、前記ポリマーの残りのモルパーセントが、前記疎水性成分としてのメチルアクリレート(MA)及び前記親水性成分としての2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)であってその割合が約40/60パーセントMA/HEMA〜約20/80パーセントMA/HEMAである請求項15に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項17】
前記溶媒が、約60〜85容量パーセントの水と約15〜40容量パーセントのエタノールとを含む請求項16に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項18】
前記溶媒が、さらに水酸化アンモニウム、2−アミノメチルプロパノール(2−AMP)、及びそれらの混合物を含む請求項17に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項19】
前記生物活性剤が、治療薬、化粧剤、及びそれらの混合物からなるグループから選択された親水性物質である請求項1に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項20】
前記治療薬が、治療効果のある量の抗菌剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、酸化防止剤、及びそれらの混合物からなるグループから選択された請求項19に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項21】
前記化粧剤が、顔料、染料、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択された請求項19に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項22】
前記ポリマーが、前記溶媒が蒸発すると、耐水性皮膜を形成する請求項1に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項23】
前記ポリマー及び前記生物活性剤が、前記溶媒が蒸発しても、均一に分散したままである請求項22に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項24】
液体包帯として使用された請求項1に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項25】
前記ポリマーの溶解度が、40℃の脱イオン化した水において1重量パーセント未満である請求項1に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項26】
前記ポリマーが、25℃の前記溶媒に少なくとも1重量%の濃度で溶解可能である請求項1に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項27】
前記溶媒の沸点が、1気圧で75℃未満である請求項26に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項28】
前記溶媒が、約90〜約100重量パーセントの1以上のアルカンと約0〜約10重量パーセントの1以上の非水性極性溶媒とを含む請求項27に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項29】
前記溶媒が、ペンタン、ヘキサン、イソオクタン、またはその混合物からなるグループから選択された約90〜約100重量パーセントの1以上のアルカンと、アルコール、エチルアセテート、アセトン、あるいはその混合物からなるグループから選択された約0〜約10重量パーセントの1以上の非水性極性溶媒とを含む請求項27に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項30】
前記非水性極性溶媒がイソプロパノールであり、前記アルカンがイソオクタンである請求項28に記載の皮膜形成用組成物。
【請求項31】
皮膜形成用組成物を作成するためのポリマーであって、
約80モルパーセント〜約100モルパーセントの疎水性成分と、約0〜約20モルパーセントの荷電成分との反応生成物からなるポリマーを含み、前記ポリマーが、溶媒中で生物活性剤と共に均一に分散したポリマー。
【請求項32】
前記ポリマーが、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー、ハイパーブランチポリマーからなるグループから選択された構造を備えた請求項31に記載のポリマー。
【請求項33】
前記疎水性成分が、重合可能なモノマー、オリゴマー、またはポリマーを含む物質である請求項32に記載のポリマー。
【請求項34】
前記疎水性成分用の物質が、メチルアクリレート(MA)、メチルメタクリレート(MMA)、エチルアクリレート(EA)、エチルメタクリレート(EMA)、2−メトキシエチルアクリレート(MEA)、2−メトキシエチルメタクリレート(MEMA)、スチレン(Sty)、酢酸ビニル(VA)、ネオデカン酸ビニル(VND)、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)、ブチルアクリレート(BA)、ブチルメタクリレート(BMA)、ラウリルアクリレート(LA)、及びそれらの混合物からなるグループから選択された請求項33に記載のポリマー。
【請求項35】
前記荷電成分が、重合可能なモノマー、オリゴマー、またはポリマーを含む物質である請求項31に記載のポリマー。
【請求項36】
前記荷電成分の物質が、N,N−ジメチルアミノアルキルアクリレート、N,N−ジメチルアミノアルキルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、[2(メタクリロイルオキシ)エチル]トリアルキルアンモニウム塩、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリアルキルアンモニウム塩、塩化[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム(AETMAC)、N,N−ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、N,N,N−トリメチルアミノアルキルメタクリルアミド塩、N,N,N−トリメチルアミノアルキルアクリルアミド塩、(ビニルベンジル)トリアルキルアンモニウム塩、塩化(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウム(VBTMAC)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、イトコン酸(IC)、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、モノ−2−(メタクリロイル)エチルコハク酸エステル(MAES)、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(AMPS)、ビニルホスホン酸(VPA)、及びそれらの混合物からなるグループから選択された請求項35に記載のポリマー。
【請求項37】
前記ポリマーが、約5モルパーセント以下のメタクリル酸(MAA)を含み、前記ポリマーの残りのモルパーセントが2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)及びメチルメタクリレート(MMA)であってその割合が約75/25〜約50/50モルパーセントEHMA/MMAである請求項31に記載のポリマー。
【請求項38】
前記ポリマーが、約2モルパーセント以下のメタクリル酸(MAA)を含み、前記ポリマーの残りのモルパーセントが2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)及びメチルメタクリレート(MMA)であってその割合が約55/45〜約50/50モルパーセントEHMA/MMAである請求項37に記載のポリマー。
【請求項39】
前記溶媒が、約90〜約100容量パーセントのオクタンと約0〜約10容量パーセントのイソプロパノールとを含む請求項38に記載のポリマー。
【請求項40】
前記ポリマーが、約0〜約5モルパーセントのメタクリル酸(MAA)と、約30〜約45モルパーセントのメチルメタクリレート(MMA)と、約1〜約15モルパーセントの2−メトキシエチルメタクリレート(MEMA)とを含み、前記ポリマーの残りのモルパーセントが2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)である請求項31に記載のポリマー。
【請求項41】
前記ポリマーが、約0〜2モルパーセントのメタクリル酸(MAA)と、約35〜約40モルパーセントのメチルメタクリレート(MMA)と、約5〜15モルパーセントの2−メトキシエチルメタクリレート(MEMA)とを含み、前記ポリマーの残りのモルパーセントが2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)である請求項40に記載のポリマー。
【請求項42】
前記溶媒が、約85〜100容量パーセントのオクタンと約0〜15容量パーセントのイソプロパノールとを含む請求項41に記載のポリマー。
【請求項43】
前記ポリマーが、さらに親水性成分を含み、前記ポリマーが、約0〜約10モルパーセントの荷電成分を含み、前記ポリマーの残りのモルパーセントが親水性成分及び疎水性成分であってその割合が約60/40パーセント〜約80/20パーセントである請求項31に記載のポリマー。
【請求項44】
前記親水性成分が、重合可能なモノマー、オリゴマー、またはポリマーを含む物質である請求項43に記載のポリマー。
【請求項45】
前記親水性成分用の物質が、N−ビニルピロリドン(VPL)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド(THMMAM)、ポリエチレングリコールアクリレート(PEGA)、ポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)、及びそれらの混合物からなるグループから選択された請求項44に記載のポリマー。
【請求項46】
前記ポリマーが、前記荷電成分として約2.0から約7.5モルパーセントのアクリル酸(AA)を含み、前記ポリマーの残りのモルパーセントが、前記疎水性成分としてのメチルアクリレート(MA)及び前記親水性成分としての2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)であってその割合が約40/60パーセントMA/HEMA〜約20/80パーセントMA/HEMAである請求項45に記載のポリマー。
【請求項47】
前記溶媒が、約60〜85容量パーセントの水と約15〜40容量パーセントのエタノールとを含む請求項46に記載のポリマー。
【請求項48】
前記溶媒が、さらに水酸化アンモニウム、2−アミノメチルプロパノール(2−AMP)、及びそれらの混合物を含む請求項47に記載のポリマー。
【請求項49】
前記生物活性剤が、治療薬、化粧剤、及びそれらの混合物からなるグループから選択された親水性物質である請求項31に記載のポリマー。
【請求項50】
前記治療薬が、治療効果のある量の抗菌剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、酸化防止剤、及びそれらの混合物からなるグループから選択された請求項49に記載のポリマー。
【請求項51】
前記化粧剤が、顔料、染料、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択された請求項50に記載のポリマー。
【請求項52】
前記ポリマーが、前記溶媒が蒸発すると、耐水性皮膜を形成する請求項31に記載のポリマー。
【請求項53】
前記ポリマー及び前記生物活性剤が、前記溶媒が蒸発しても、均一に分散したままである請求項52に記載のポリマー。
【請求項54】
液体包帯として使用された請求項31に記載のポリマー。
【請求項55】
前記ポリマーの溶解度が、40℃の脱イオン化した水において1重量パーセント未満である請求項31に記載のポリマー。
【請求項56】
前記ポリマーが、25℃の前記溶媒に少なくとも1重量%の濃度で溶解可能である請求項31に記載のポリマー。
【請求項57】
前記溶媒の沸点が、1気圧で75℃未満である請求項56に記載のポリマー。
【請求項58】
前記溶媒が、約90〜約100重量パーセントの1以上のアルカンと約0〜約10重量パーセントの1以上の非水性極性溶媒とを含む請求項57に記載のポリマー。
【請求項59】
前記溶媒が、ペンタン、ヘキサン、イソオクタン、またはその混合物からなるグループから選択された約90〜約100重量パーセントの1以上のアルカンと、アルコール、エチルアセテート、アセトン、あるいはその混合物からなるグループから選択された約0〜約10重量パーセントの1以上の非水性極性溶媒とを含む請求項58に記載のポリマー。
【請求項60】
前記非水性極性溶媒がイソプロパノールであり、前記アルカンがイソオクタンである請求項59に記載のポリマー。
【請求項61】
皮膜形成用組成物を作成するための方法であって、
(i)約80モルパーセント〜約100モルパーセントの疎水性成分と、約0〜約20モルパーセントの荷電成分との反応生成物からなるポリマーと、
(ii)生物活性剤とを
溶媒に溶解させるステップを含む方法。
【請求項62】
前記生物活性剤が、治療薬、化粧剤、及びそれらの混合物からなるグループから選択された親水性物質である請求項請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記治療薬が、治療効果のある量の抗菌剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、酸化防止剤、及びそれらの混合物からなるグループから選択された請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記化粧剤が、顔料、染料、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択された請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記溶媒を蒸発させて前記ポリマー及び前記生物活性剤の耐水性皮膜を形成するステップを含み、前記ポリマー及び前記生物活性剤が、前記溶媒が蒸発しても、均一に分散したままである請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記疎水性成分が、重合可能なモノマー、オリゴマー、またはポリマーを含む物質である請求項61に記載の方法。
【請求項67】
前記疎水性成分用の物質が、メチルアクリレート(MA)、メチルメタクリレート(MMA)、エチルアクリレート(EA)、エチルメタクリレート(EMA)、2−メトキシエチルアクリレート(MEA)、2−メトキシエチルメタクリレート(MEMA)、スチレン(Sty)、酢酸ビニル(VA)、ネオデカン酸ビニル(VND)、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)、ブチルアクリレート(BA)、ブチルメタクリレート(BMA)、ラウリルアクリレート(LA)、及びそれらの混合物からなるグループから選択された請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記荷電成分が、重合可能なモノマー、オリゴマー、またはポリマーを含む物質である請求項61に記載の方法。
【請求項69】
前記荷電成分の物質が、N,N−ジメチルアミノアルキルアクリレート、N,N−ジメチルアミノアルキルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、[2(メタクリロイルオキシ)エチル]トリアルキルアンモニウム塩、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリアルキルアンモニウム塩、塩化[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム(AETMAC)、N,N−ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、N,N,N−トリメチルアミノアルキルメタクリルアミド塩、N,N,N−トリメチルアミノアルキルアクリルアミド塩、(ビニルベンジル)トリアルキルアンモニウム塩、塩化(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウム(VBTMAC)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、イトコン酸(IC)、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、モノ−2−(メタクリロイル)エチルコハク酸エステル(MAES)、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(AMPS)、ビニルホスホン酸(VPA)、及びそれらの混合物からなるグループから選択された請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記ポリマーを形成するための前記反応が、約5モルパーセント以下のメタクリル酸(MAA)を反応させて、前記ポリマーを形成するステップを含み、前記ポリマーの残りのモルパーセントが2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)及びメチルメタクリレート(MMA)であってその割合が約75/25〜約50/50モルパーセントEHMA/MMAである請求項61に記載の方法。
【請求項71】
前記ポリマーを形成するための前記反応が、約2モルパーセント以下のメタクリル酸(MAA)を反応させて、前記ポリマーを形成するステップを含み、前記ポリマーの残りのモルパーセントが2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)及びメチルメタクリレート(MMA)であってその割合が約55/45〜約50/50モルパーセントEHMA/MMAである請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記溶媒が、約90〜約100容量パーセントのオクタンと約0〜約10容量パーセントのイソプロパノールとを含む請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記ポリマーが、約0〜約10モルパーセントの荷電成分の反応生成物から形成され、残りのモルパーセントが親水性成分及び疎水性成分であってその割合が約60/40パーセント〜約80/20パーセントである請求項61に記載の方法。
【請求項74】
前記親水性成分が、重合可能なモノマー、オリゴマー、またはポリマーを含む物質である請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記親水性成分用の物質が、N−ビニルピロリドン(VPL)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド(THMMAM)、ポリエチレングリコールアクリレート(PEGA)、ポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)、及びそれらの混合物からなるグループから選択された請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記ポリマーを形成するための前記反応が、前記荷電成分として約2.0から約7.5モルパーセントのアクリル酸(AA)を反応させて、前記ポリマーを形成するステップを含み、前記ポリマーの残りのモルパーセントが前記疎水性成分としてのメチルアクリレート(MA)及び前記親水性成分としての2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)であってその割合が約40/60パーセントMA/HEMA〜約20/80パーセントMA/HEMAである請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記溶媒が、約60〜85容量パーセントの水と約15〜40容量パーセントのエタノールとを含む請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記溶媒が、さらに水酸化アンモニウム、2−アミノメチルプロパノール(2−AMP)、及びそれらの混合物を含む請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記皮膜形成用組成物を使用して液体包帯を形成するステップを含む請求項61に記載の方法。
【請求項80】
前記溶媒の沸点が、1気圧で75℃未満である請求項61に記載の方法。
【請求項81】
前記溶媒が、約90〜約100重量パーセントの1以上のアルカンと約0〜約10重量パーセントの1以上の非水性極性溶媒とを含む請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記溶媒が、ペンタン、ヘキサン、イソオクタン、またはその混合物からなるグループから選択された約90〜約100重量パーセントの1以上のアルカンと、アルコール、エチルアセテート、アセトン、あるいはその混合物からなるグループから選択された約0〜約10重量パーセントの1以上の非水性極性溶媒とを含む請求項81に記載の方法。

【公表番号】特表2009−532563(P2009−532563A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504225(P2009−504225)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/008053
【国際公開番号】WO2007/123789
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(508300068)シミックス テクノロジーズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】