説明

親水性被覆下地用樹脂組成物、アルミニウム合金塗装板及びその製造方法

【課題】 プレコートフィン材等のアルミニウム合金材において、親水性、耐食性、着色性に優れており、且つ成形加工時においても皮膜にクラックなどが入らず、加工時に工具摩耗の少ない成形加工性を有する親水性被覆のための下地被覆用樹脂組成物の提供。
【解決手段】 アルミニウム合金基材表面に親水性被覆層を形成する際に、基材表面と親水性被覆層との間に下地被覆層を形成するための樹脂組成物が、固形分の組成として、一部がアクリル酸及び/またはメタクリル酸を含有する自己乳化性エポキシ系樹脂であり、該エポキシ系樹脂の含有量は1.0〜50.0重量%であり、該エポキシ系樹脂100重量部に対して、Zrオンを含むZr化合物を金属換算の含有量が0.01〜25.0重量部であり、Fイオンを含むF化合物を、Fイオンとしての含有量が0.015〜25.0重量部を含む水性エマルジョンである親水性被覆下地用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属、特にアルミニウム材またはアルミニウム合金材(以下単に「アルミニウム基材」または「アルミニウム合金」という)の表面に親水性・耐食性・塗膜密着性、特に成形加工後の耐食性を発現させる皮膜を形成させるために好適な親水性被覆下地用樹脂組成物、その組成物をアルミニウム基材の表面に塗布し、皮膜を形成させた塗装アルミニウム合金板及び製造方法であり、特に熱交換器用アルミニウムフィン材に適するものである。
【背景技術】
【0002】
金属材料、特にアルミニウム基材の表面は親水性に乏しいため、空調機、自動車などの熱交換器のフィンや印刷の平板印刷版材には、その表面に親水性皮膜を形成して使用している。
最近の空調機用熱交換器は軽量化のために、熱効率の向上とコンパクト化が要求され、フィン間隔をでき得る限り狭くする設計が取り入れられてきた。空調機用熱交換器は、冷房運転中に空気中の水分がアルミニウムフィンの表面に凝縮水となって付着する。金属材料の表面は一般に親水性に乏しいため、この凝縮水はフィン表面に半円形もしくはフィン間にブリッジ状になって存在することになる。これはフィン間の空気の流れを妨げ通風抵抗を増大させ、ノイズの発生と熱交換効率を著しく低下させる原因となっていた。熱交換器の熱効率を向上させるには、フィン表面の凝縮水を迅速に排除することが必要である。
【0003】
この解決法として、(1)アルミニウム基材フィン表面に高親水性皮膜を形成し、凝縮水を薄い水膜として流下せしめる、(2)アルミニウム基材フィン表面に撥水性皮膜を形成し、凝縮水を表面に付着させないようにする、ことが考えられるが、(2)の方法は、現時点では極めて困難である。親水性を付与するためには表面に親水性組成物を塗布し、焼付け等を行うことにより、親水性被膜を形成する。この場合親水性組成物は、材料表面に結露水滴が形成されることの防止、材料表面の水膜を保持すること等を目的として、皮膜形成されている。
【0004】
親水性皮膜を形成させる方法としては、数多くの提案がなされている。例えばカルボキシメチルセルロースとポリエチレングリコールを含有する組成物を塗布し、親水性の皮膜を形成させる方法(特許文献1)が提案されている。
また、親水性付与に伴う耐食性の劣化を補ったり、親水性被覆の素材への固着性向上等を目的として、親水性皮膜とアルミニウム基材表面との間に下地処理と呼ばれる耐食性皮膜を設けることがある。その中でも、特許文献2をはじめとする多くの従来技術はクロメート下地処理を行うことを推奨または例示しているが、近年の環境問題より、クロムを含む材料を用いることは好まれず、クロムを含まない処理に移行しつつある。
【0005】
また、特許文献3では、ジルコニウムイオン/チタンイオン、フッ素イオン、ならびに−NH/−NHを含む可溶性エポキシ樹脂を含む表面処理剤、特許文献4では、ジルコニウム/チタン/ハフニウム、イソシアネート基/メラミン基を含有する水溶性エポキシ化合物からなる表面処理剤等が提案されているが、これらの表面処理剤を用いて耐食性を満足する下地皮膜を形成しようとすると、十分な厚さの被膜が形成困難であり、皮膜形成時に均一な皮膜を形成することができず、その結果耐食性が不十分となってしまう等の問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開2000−028291号公報
【特許文献2】特開平06−322552号公報
【特許文献3】特開2003−253461号公報
【特許文献4】特開2005−008982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、プレコートフィン材等の親水性皮膜を有するアルミニウム材について、親水性、塗膜密着性、耐食性に優れており、且つ成形加工時においても親水性皮膜にクラックなどが入らず、また加工時に工具摩耗の少ない成形加工性を有する親水性被覆のための下地被覆用樹脂組成物、それを用いた親水性被覆アルミニウム塗装板、親水性被覆−潤滑被覆アルミニウム板の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも一部がアクリル酸及び/またはメタクリル酸からの誘導体であるモノマーを反応させた自己乳化性エポキシ系樹脂からなり、フッ素イオン、ジルコニウムイオンからからなる親水性被覆下地用樹脂組成物が優れた性能を発揮する下地皮膜を形成することを見出して本発明を完成した。
[1] アルミニウム及びアルミニウム合金基材表面に親水性被覆層を形成する際に、この基材表面と親水性被覆層との間に下地被覆層を形成するための樹脂組成物として、固形分の組成が少なくとも一部がアクリル酸及び/またはメタクリル酸からの誘導体であるモノマーまたはポリマーを反応させた自己乳化性エポキシ系樹脂であり、該エポキシ系樹脂の含有量は1.0〜50.0重量%であり、該エポキシ系樹脂100重量部に対して、ジルコニウムイオンを含むジルコニウム化合物を金属換算の含有量が0.01〜25.0重量部であり、フッ素イオンを含むフッ素化合物を、フッ素イオンとしての含有量が0.015〜25.0重量部を含む水性エマルジョンであることを特徴とする親水性被覆下地用樹脂組成物、
【0009】
[2] 自己乳化性エポキシ系樹脂が、ビスフェノール類を反応させて得られるエポキシ樹脂である上記[1]に記載の親水性被覆下地用樹脂組成物、
[3] 親水性被覆下地用樹脂組成物において、前記樹脂組成物に加え、顔料及び/または染料をエポキシ系樹脂100重量部に対して0.1〜10.0重量部加えている上記[1]または[2]に記載の親水性被覆下地用樹脂組成物、
【0010】
[4] アルミニウムまたはアルミニウム合金基材の少なくとも一方の表面に、第1層として上記[1]〜[3]のいずれかに記載の親水性被覆下地用樹脂組成物からなる乾燥皮膜量が50〜10000mg/mの下地皮膜層を設けたことを特徴とする親水性被覆用下地塗装アルミニウム板、
[5] アルミニウムまたはアルミニウム合金基材の少なくとも一方の表面に、第1層として上記[1]〜[3]のいずれかに記載の親水性被覆下地用樹脂組成物からなる下地皮膜層、第2層として親水性被覆層からなり、第1層の下地皮膜層は該下地被覆層の乾燥皮膜量が50〜10000mg/mであり、第2層としての親水性被覆層は、有機系親水性成分および/または無機系親水性成分の少なくとも1種類以上を含有する皮膜層からなり、親水性被覆量が、30〜5000mg/mである親水性被覆アルミニウム塗装板、
[6] 上記[5]における親水性被覆アルミニウム塗装板の、第2層の親水性被覆層の表面に水溶性潤滑皮膜層が形成されており、該潤滑皮膜層の被覆量が10〜5000mg/mであることを特徴とする親水性被覆−潤滑被覆アルミニウム板、
【0011】
[7] アルミニウムまたはアルミニウム合金基材の少なくとも一方の表面に、親水性被覆下地用樹脂組成物を下地被覆層の乾燥皮膜量が50〜10000mg/mとなるように塗布した後、150℃以上で1〜60秒にて焼付処理し、下地皮膜層を形成することを特徴とする親水性被覆用下地塗装アルミニウム板の製造方法、
[8] 親水性被覆用下地皮膜アルミニウム塗装板に、有機系親水性成分および/または無機系親水性成分の少なくとも1種類以上を含有する親水性組成物を、皮膜量が30〜5000mg/mとなるように塗布した後175℃以上で1〜60秒にて焼付処理し、親水性皮膜層を形成することを特徴とする親水性被覆アルミニウム塗装板の製造方法、および
[9] 親水性被覆アルミニウム塗装板の親水性皮膜層上に、水溶性潤滑剤層を、10〜5000mg/mとなるように塗布することを特徴とする親水性被覆−潤滑被覆アルミニウム板の製造方法、を開発することにより上記の課題を解決した。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、親水性、塗膜密着性、特に成形加工後の耐食性を有するアルミニウム材において、表面に親水性被覆を行なっても優れた親水性を維持し、成形加工後においても親水性被覆が劣化しない、耐食性に優れた親水性被覆下地用樹脂組成物、さらに顔料を添加することにより意匠性を付与することができる親水性被覆アルミニウム合金板を提供する。
なお本明細書においては、代表として空調機の熱交換機用フィン材を例に挙げて述べたが、アルミニウム基材に親水性被覆を必要とする場合には、他の用途においても同様な効果を有することはもちろんである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の親水性被覆下地用樹脂組成物は、エポキシ系樹脂、フッ素イオン、ジルコニウムイオンからなる水性エマルジョンである。
親水性被覆下地用樹脂組成物[以下「下地用樹脂組成物」という。]中に含まれる前記エポキシ系樹脂は、少なくとも一部がアクリル酸及び/またはメタクリル酸からの誘導体であるモノマーを反応させた自己乳化性エポキシ系樹脂である。下地用樹脂組成物のエポキシ系樹脂の含有量は、1.0〜50.0重量%である。
またジルコニウム含有量は、エポキシ系樹脂100重量部に対して、金属換算にて0.01〜25.0重量部であり、フッ素イオン含有量は、0.015〜25.0重量部である。下地用樹脂組成物はさらに、染料または顔料を含有しても良い。
該下地用樹脂組成物の塗布量は、アルミニウム基材の表面に、第1層として50〜10000mg/mである。さらに該下地塗膜層の表面に、第2層として親水性被覆層が、有機系親水性成分および/または無機系親水性成分を少なくとも1種類以上を含有する皮膜層からなる親水性被覆層であって、30〜5000mg/mが設けられる親水性被覆アルミニウム塗装板である。
【0014】
下地用樹脂組成物中における樹脂としては、エポキシ系樹脂を用いる。エポキシ系樹脂は、可とう性、耐水性、耐食性、塗膜密着性、着色性をバランスよく取れるので、成形加工を必要とするプレコートアルミニウム板に用いる樹脂としては、最適である。該エポキシ系樹脂としては、例えばビスフェノール型、ノボラック型、グリシジルエーエル型などの環状脂肪族型、非環状脂肪族型などがあるが、特に限定されるものではない。エポキシ樹脂のエポキシ当量としては、特に制限されるものではないが、エマルジョン化が容易で、かつこれを塗料として用いた際の防食性に優れる点から、150〜3000g/eqであること、特に160〜1800g/eqであることが好ましい。
【0015】
これらの中でも、工業的汎用性及び耐食性、入手性が良好である点から、特にビスフェノール類を反応させて得られるエポキシ樹脂で好ましい。ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等が挙げられ、1種のみを単独で使用しても、2種以上の混合物として使用しても良い。この中でも、工業的汎用性から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
【0016】
本発明において用いるエポキシ系樹脂としては、少なくとも一部がアクリル酸及び/またはメタクリル酸からの誘導体であるモノマー及びポリマーを反応させた自己乳化性エポキシ系樹脂である。少なくとも一部がアクリル酸及び/またはメタクリル酸からの誘導体であるモノマー及びポリマーを反応させる方法は、
(1)エポキシ樹脂を、カルボキシル基を含有するアクリル系誘導体(モノマーであってもアクリル系ポリマーであっても良い。)にてエステル化し、塩基で中和して水性媒体中に分散させる方法(エステル化法)。
(2)アクリル酸等のカルボキシル基を含有する重合性モノマーを一成分とするアクリル系誘導体をフリーラジカル発生剤に用いて、エポキシ樹脂にグラフト化させ、水性媒体中に分散させる方法(グラフト化法)。
(3)エポキシ樹脂のエポキシ基の一部にアクリル酸等を反応せしめ、(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ樹脂を得、次いで前述のエポキシ樹脂とアクリル酸等を含有するアクリル系モノマーとを共重合し、得られた共重合体を水中に分散させる方法(直接法)。
等が挙げられるが、本発明では、何れの方法によるものであっても良く特定は不要である。中でも、工業性、汎用性等の点から、グラフト化法によるアクリル酸および/またはメタクリル酸の導入方法が好ましい。
【0017】
本発明において、下地用樹脂組成物におけるジルコニウムイオン作用は、塗膜形成時にジルコニウム化合物(ジルコニウムイオン)が、アルミニウム基材表面とエポキシ樹脂を架橋し、アルミニウム基材界面付近にジルコニウム濃度が濃い濃度勾配を持つ皮膜を形成する。アルミニウム基材界面以外にも下地皮膜中にはジルコニウムが多く存在することから、前述の下地皮膜表面に親水性被覆を形成する際、下地皮膜中のエポキシ樹脂の未反応成分が移行するのをジルコニウム塩がブロックする。よって、親水性皮膜層を形成したとき優れた親水性を保持でき、その上ジルコニウム化合物の添加による緻密な皮膜構造により、塗膜における耐透水性が向上し、更に優れた耐食性を示す。そのうえ、ジルコニウムイオンは、顔料等の分散に用いられる界面活性剤に悪影響を示さないため顔料等の分散性に優れる。
【0018】
本発明の組成物にジルコニウムイオンを配合するには、例えばフルオロジルコニウム酸、フルオロジルコニウム酸のリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩、硫酸ジルコニウム、硫酸ジルコニル、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、フッ化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム等のジルコニウム化合物を挙げることができるが、上記以外のジルコニウムイオンを含有する水溶性ジルコニウム化合物を用いてもよい。
【0019】
本発明の下地用樹脂組成物組成物にフッ素イオンを含有させると、アルミニウム基材に対するエッチング剤としての役割を果たすものである。フッ素イオンとしては、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化水素酸アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化水素酸ナトリウム等によって供給することができ、前記ジルコニウムイオン供給剤としてフルオロジルコニウム酸、フルオロジルコニウム酸アンモニウム等の含フッ素含有ジルコニウム化合物を使用した場合には、そこからも一部供給される。
【0020】
本発明における下地用樹脂組成物中のエポキシ系樹脂の含有量は、1.0〜50.0重量%である。1.0重量%未満であると、耐食性を満足する膜厚を確保できなくなるおそれがあり、50.0重量%を超えると、均一に塗装することができなくなり、ローピング(筋模様)が発生するおそれがあり、均一な塗膜が形成されないおそれがある。より好ましい下限は2.0重量%、より好ましい上限は10.0重量%である。
【0021】
エポキシ系樹脂、ジルコニウムイオン及びフッ素イオンの配合割合としては、ジルコニウムイオンの配合量として、エポキシ系樹脂100重量部に対して、金属換算0.01〜25.0重量部、好ましくは、0.05〜10.0重量部である。ジルコニウム元素が0.01重量部より低いと、親水皮膜成分が下地皮膜への移行するのをブロックすることができず、親水性の低下をまねく。反対に25.0重量部より多く配合してもその効果は飽和し不経済である。
フッ素イオンの配合量は、エポキシ系樹脂100重量部に対して、0.015〜25.0重量部である。0.015重量部未満では、アルミニウム材表面のエッチング量が不足し、十分な塗膜密着性を図ることができず、25.0重量部より多く配合すると下地皮膜中にフッ素イオンが残留し、耐食性を満足することができない。
【0022】
また、下地用樹脂組成物に顔料または染料を含有させることが可能であり、意匠性を付与することができる。顔料を下地用樹脂組成物に含有させて下地皮膜を形成した後、その表面に親水性皮膜を形成することにより、成形加工後に顔料が表面に露出せず、結露水や水滴が付着しても顔料の溶出が抑えることが可能である。顔料または染料は、塗料分野で汎用に使用されているものであれば特に限定されない。
【0023】
顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、黄鉛、酸化鉄、カーボンブラック等の無機顔料、アゾ系、ジアゾ系、縮合アゾ系、チオインジゴ系、インダンスロン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ベンゾイミダゾール系、ペリレン系、ペリノン系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラピリジン系、ジオキサジン系等の有機顔料が挙げられる。
【0024】
また、染料としては直接染料や反応染料、酸性染料、カチオン染料、バット染料、媒染染料等が挙げられる。上記の顔料または染料は、単独もしくは2種類以上が含有されていても差し支えない。
また、顔料または染料の配合量は、エポキシ系樹脂100重量部に対して、0.1〜10.0重量部であり、好ましくは、0.5〜5.0重量部である。顔料の配合量が10.0重量部を超えると、皮膜成分のエポキシ系樹脂が十分にする皮膜形成できず、皮膜欠陥を生み、耐食性を低下してしまい、フィン表面に結露した水に顔料が溶け出してしまい、0.1重量部未満であると、皮膜が十分に着色しない。
【0025】
本発明における下地用樹脂組成物の水性媒体は、少なくとも50容積%以上、好ましくは80容積%以上が水であり、これと親水性溶剤との混合物である。
親水性溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、ペンタノール等のアルコール系溶剤の他、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル系溶剤、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル系溶剤、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の一連のグリコールアルキルエーテル系溶剤のエステル化物等が挙げられる。
【0026】
本発明の下地用樹脂組成物は、樹脂成分としてのエポキシ系樹脂、ジルコニウムイオン、フッ素イオンとを成分として含むものであり、また顔料及び染料を含むものであっても良い。さらに必要により、貯蔵中の腐敗防止を目的に有機銅系、有機ヨード系、イミダゾール系、イソチアゾリン系、ピリチオン系、トリアジン系、銀系等の抗菌・抗黴作用を有する防腐剤や、タンニン酸、没食子酸、フイチン酸、ホスフィン酸等の防錆剤や、ポリアルコールのアルキルエステル類、ポリエチレンオキサイド縮合物等のレベリング剤や、相溶性を損なわない範囲で添加されるポリアクリルアミド、ポリビニルアセトアミド等の充填剤や、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩系等の界面活性剤、酸化亜鉛、酸化シリコン(シリカ)、酸化アルミ(アルミナ)、酸化チタン等の無機酸化物等を添加することができる。
【0027】
本発明の下地用樹脂組成物を種々の硬質材料の表面に塗布する方法については、特に制限はない。
例えば、本発明の親水性被覆下地用樹脂組成物を用い、熱交換器用アルミニウム基板を脱脂処理して乾燥したのち、その表面に本樹脂組成物を塗布し、皮膜を形成する。
【0028】
皮膜を形成する塗布方法としては、例えば、ロールスクイズ法、ケミコーター法、ロールコーター法、エアナイフ法、浸漬法、スプレー法、静電塗装法等があげられ、乾燥は一般的な加熱法、誘電加熱法などにより行うことができる。これらの方法のうち皮膜の均一性、生産性からロールコーター法が好ましい。そして、ロールコーター法としては、塗布量管理に便利なグラビアロールを用いる方法や、厚塗りするのに便利なナチュラルコート方式や、塗布面を綺麗に仕上げるのに有利なリバースコート方式等を採用することができる。
【0029】
本発明における下地用樹脂組成物および親水性被覆材の塗装は、第1層として、ジルコニウムイオン、フッ素イオンを含有するエポキシ系樹脂を主成分する皮膜を50〜10000mg/m形成して、親水性被覆用下地塗装アルミニウム板を形成し、更に第2層として、親水性被覆層を30〜5000mg/m形成して親水性被覆アルミニウム塗装板を製造するするが、第1層には、上記成分の他に顔料及び染料を含有することにより、意匠性を付与することができる。
【0030】
親水性被覆用下地塗装アルミニウム板の製造方法は、ジルコニウムイオン、フッ素イオンを含有するエポキシ系樹脂を主成分する皮膜を50〜10000mg/mとなるように塗布した後、150℃以上で焼付処理し、下地皮膜を形成する。
【0031】
第1層の皮膜量が50mg/m未満であると、十分な耐食性が得られない。また、10000mgを超えても、耐食性が飽和し、不経済である。好ましくは、100〜7000mg/m、より好ましくは200〜5000mg/m程度であるのがよい。第2層の膜厚としては、30〜5000mg/m2である。第2層の膜厚が30mg/m未満であると、下地皮膜層を十分に覆うことができず、十分な親水性が得られない。また、5000mg/mを超えても、親水性が飽和し、不経済である。好ましくは、100〜3000mg/m、より好ましくは300〜2000mg/m程度であるのがよい。
【0032】
塗装形成する際に行う焼付け加熱条件は、焼付け温度(到達表面温度)は150℃以上であり、好ましくは、170〜300℃であり、焼付時間は1〜60秒で行うことが好ましい。
塗装における焼付け温度が175℃未満や焼付け時間が1秒未満であると、皮膜が十分に形成されず、塗膜密着性や耐食性の低下、特に親水性の低下が顕著になる。反対に焼付け温度が300℃を超えたり、焼付け時間が60秒を超えると、変色や塗膜密着性の低下などを生じて、製品上問題となる。
【0033】
親水性被覆アルミニウム塗装板の製造方法は、上記の方法にて製造した親水性被覆用下地塗装アルミニウム板に親水性被覆材を30〜5000mg/mとなるように塗布し、150℃以上にて焼付けを行い、その表面に親水性被覆を形成することにより得られる。
【0034】
親水性被覆材としては、親水性を有するものであれば特に制限はなく、有機系親水性成分または無機系親水性成分の少なくとも1種類以上を含有するものであれば良く、これにより基材表面に親水性を発揮させることが出来る。
【0035】
有機系親水性成分としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂、アクリルアミド、アクリル酸あるいはアクリルエステルといった(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等が適しており、これらの2種以上の混合物、共重合体であってもよい。これらの基剤樹脂は自己架橋型のものであってもよく、必要に応じヘキサブチロールメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン等のメラミン化合物、エポキシ基を有する化合物、ブチロール基を付加させた尿素あるいはイソシアナート基を有する化合物といった硬化剤が添加されていてもよい。
【0036】
無機系親水性成分としては、水ガラスあるいはコロイダルシリカ等などが挙げられ、皮膜性状を調整するために、有機系親水性成分から選ばれる1種以上の成分との複合系としてもよい。第2層の形成方法は、前述した方法で構わない。
【0037】
塗装における焼付け温度が150℃未満であると、皮膜が十分に形成されず、親水性の持続や耐食性の低下が生じる。焼付け時間が60秒を超えると、親水性の低下を生じる。
【0038】
更に、親水性被覆層の表面に水溶性潤滑層が形成するときは、その潤滑性によりプレス加工等の成形加工を行なった場合に、優れた成形性が得られる。水溶性潤滑層は、水溶性であり且つ優れた潤滑性を有するものであれば、特に限定するものではない。
【0039】
水溶性潤滑材としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシエチレン系物質等が挙げられる。
【0040】
なお、水溶性潤滑層を形成する方法は、親水性被覆層を形成したのち、水溶性潤滑剤を含有する処理剤を塗布・焼付けすることにより、水溶性潤滑層を形成する方法や親水性被覆層を形成する際、水溶性潤滑剤を含有させた親水性処理剤を塗布する方法などが挙げられるが、特に限定するものではない。
【0041】
水溶性潤滑材の皮膜量としては、10〜5000mg/mである。潤滑の皮膜量が10mg/m未満であると、皮膜が十分に形成されず、加工成形性に改善効果が見られない。また、5000mg/mを超えても、加工成形性が飽和し、不経済である。好ましくは、50〜2000mg/m、より好ましくは100〜1000mg/m程度であるのがよい。
【0042】
このようにして得られるアルミニウム塗装板(親水性被覆アルミニウム塗装板および親水性被覆−潤滑被覆アルミニウム板)は、その表面にプレス成形加工用の揮発性プレス油を塗布してからスリット加工やコルゲート加工等の成形加工を施すことにより、所望のフィン形状からなる熱交換器用フィン材となる。このようなプレコートアルミニウムフィン材は、例えば空調機用熱交換器のフィン材として好適に用いられるが、フィン材間の結露を防止する用途であれば、空調機用熱交換器に限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
【0044】
〔エポキシ系樹脂の製造〕
(エポキシ系樹脂A)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部(以下単に「部」とする。)、ブチルセロソルブ 80部、n−ブタノール80部を120℃にて攪拌・溶解させ、120℃に保持した状態でメタクリル酸25部、スチレン15部、エチルアクリレート5部、メチルメタクリレート5部、重合開始剤3部を混合したアクリルモノマー及び重合開始剤溶液を1時間にて滴下した。滴下終了後120℃にて更に1時間保持した後、60℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノール15部を添加した。つづけてイオン交換水所定量を1時間かけて滴下した。
【0045】
得られたエポキシ樹脂に、フッ化ジルコニウム水素酸(ジルコニウムとして17.7%含有)及びフッ化水素酸を所定量 徐々に添加し、更に攪拌しながら、アンモニアを加え、pHを調整した。得られた樹脂組成物に、所定の顔料/染料を添加・攪拌し、均一に分散させた。
【0046】
(エポキシ系樹脂B)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 100部、n−ブチルアルコール 120部を仕込み、120℃で攪拌しながら完全に溶解させた後、無水メタクリル酸1部を仕込み、攪拌・溶解させ、メタクリル酸 18部、スチレン15部、エチルアクリレート1部、重合開始剤1部、メチルエチルケトン76部を仕込み、80℃にて攪拌・溶解させ、ジメチルエタノールアミン 2.5部、イオン交換水 所定量滴下し、攪拌しながら1時間かけて滴下した。
得られたエポキシ樹脂に、フッ化ジルコニウム水素酸(ジルコニウムとして17.7%含有)及びフッ化水素酸を所定量 徐々に添加し、更に攪拌しながら、アンモニアを加え、pHを調整した。得られた樹脂組成物に、所定の顔料/染料を添加・攪拌し、均一に分散させた。
【0047】
(エポキシ系樹脂C)
上記のエポキシ系樹脂AにおけるビスフェノールA型エポキシ樹脂を、ノボラック型エポキシ樹脂と置き換えた他は、同様な製造方法である。
【0048】
(アクリル樹脂)
n−ブタノール100部を105℃にて、アクリル 酸10部,2−ヒドロキシメタアクリレート15部,ブチルアクリレート50部,エチルアクリート25部,重合開始剤2部の混合物を3時間にわたって滴下した。その後105℃に保ち1時間反応し,重合開始剤0.3部を添加し,1時間反応させ終了した。40℃にて、トリエチルアミン14部および水200部を添加し,減圧下80℃にて合成溶剤を水とともに留去し,水性 アクリル 樹脂が得られた。本樹脂は比較例1においてエポキシ系樹脂に代えて使用した。
【0049】
〔実施例1〜19、比較例1〜13〕
表1および表2に示す配合比にて、前記したエポキシ系樹脂、フッ素イオン、ジルコニウムイオン、顔料/染料を配合して親水性被覆下地用樹脂組成物を調製した。前述のエポキシ系樹脂は、アクリル酸及び/またはメタクリル酸からの誘導体であるモノマーまたはポリマーを反応させたエポキシ樹脂であり、本発明例及び比較例に用いた下地用樹脂組成物は、以下のようにして製造した。
【0050】
予め製造されたアクリル酸及び/またはメタクリル酸からの誘導体であるモノマーまたはポリマーを反応させた自己乳化性エポキシ系樹脂にフッ化ジルコニウム水素酸(ジルコニウムとして17.7%含有)及びフッ化水素酸を所定量 徐々に添加し、更に攪拌しながら、アンモニアを加え、pHを中性に調整した。得られた樹脂組成物に、必要に応じて、エポキシ樹脂濃度を所定濃度にするために10%n−ブタノールを含有する水、および所定の顔料(フタロシアニンブルー)を添加・攪拌し、均一に分散させた。
【0051】
アルミニウム合金板(1100−H24材、0.100mm厚さ)を弱アルカリ脱脂、水洗、乾燥後、樹脂組成物をロールコーターにて塗布し、上記で得られた各実施例及び比較例の下地用樹脂組成物について、所定の板表面温度(PMT)、時間で焼付けし、所定の皮膜量の下地被覆アルミニウム合金板を得た。次いで得られた下地被覆アルミニウム合金板に各種親水性処理剤をロールコーターにて塗布し、焼付けし、親水性被覆アルミニウム合金板を得た。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
得られた親水性被覆アルミニウム合金板について、親水性、耐食性、意匠性(色調、色調持続性)、塗膜密着性、塗装性(皮膜レベリング性)を下記の方法で測定した。その結果を、表3に示す。
また水溶性潤滑層については、所定量のポリエチレングリコールを混合した親水性処理剤をロールコーターにて塗布・焼付けを行い、親水性被覆層、水溶性潤滑層を同時に形成した。
【0055】
[測定方法]
〔耐食性〕
得られた供試材を180度曲げ試験を行い、曲げサンプルをSST480時間行い、目視にて曲げ部に変色を確認した。
◎ :変色 無し
○ :ほとんど 変色 無し
× :全面的に変色発生
【0056】
〔親水性〕
ゴニオメーターで純水の接触角を測定した。
◎:接触角が10°以下
○:接触角が10゜を越え、20°以下
△:接触角が20゜を越え、30゜以下
×:接触角が30゜を越える
【0057】
〔意匠性〕
−色調−
着色性所定の下地処理及び所定の塗料組成物で塗装したアルミニウム合金板の着色状態を色差計にてE値を測定し、顔料を加えない同様な塗装板との差をΔEとし、着色の度合いとした。◎および○を、性能を満足する合格とした。
◎:7≦ΔE
○:5<ΔE≦7
△:3<ΔE≦5
×: ΔE≦3
【0058】
−色調持続性−
顔料を分散した親水性被覆アルミニウム合金板の親水性被覆面を外側にして180°折り曲げ、折り曲げた親水性被覆アルミニウム合金板を25℃の水に240時間浸漬させ、浸漬前後の色差をΔEの減少量にて測定した。
◎: ΔE≦0.5
○:0.5<ΔE≦1
△: 1<ΔE≦3
×: 3<ΔE
【0059】
〔成形性〕
実機フィンプレスにてドローレス成形を実施した状況で評価した。
(成形条件)
揮発性プレスオイル:AF−2C(出光興産)を使用し、しごき率は58%、成形スピードは250spmで実施した。
(評価)
◎:非常に良好
○:良好
△:カラー部内面にキズ発生
×:不良(座屈、カラー飛び発生)
【0060】
〔塗膜密着性〕
JIS H4001における付着性試験を用い、碁盤目におけるテープ剥離後の残存個数を測定した。
【0061】
〔塗装性〕
皮膜が均一に形成されているか、ローピング(筋模様の有無)を目視で確認した。
○:ローピング なし
×:ローピング あり
【0062】
【表3】

【0063】
表3に示すように本発明例は、いずれも耐食性、親水性、成形性、塗膜密着性に不具合は見られず、十分に満足している。
上記の発明例の中でも、本発明例10〜19における顔料を含んでいるも組成物は、上記の性能の他に意匠性を付与していることが認められる。更に、本発明例19は、親水性被覆層の上にポリエチレングリコール層を形成しているので、更に成形性が優れている。
【0064】
これに対し、比較例1は塗布型クロメートしか存在しないので、耐食性、親水性、成形性を満足することは出来なかった。比較例2は、塗布型クロメート層に親水性被覆層を形成しているため、耐食性を満足することは出来なった。
比較例3は、エポキシ系樹脂の代わりにアクリル系樹脂を使用しているため、耐食性、親水性ともに満足することは出来なかった。比較例4、5は、ジルコニウムイオンを含んでいないか、または含んでいても所定量より少なかったため、親水性を満足することは出来なかった。比較例6は、エポキシ系樹脂の含有量が多かったため、塗装時にローピングが発生した。比較例7は、下地皮膜厚が薄すぎたため、耐食性を満足することはできなかった。比較例8は、フッ素イオンが多いため、フッ素が下地皮膜中に残存してしまい、耐食性を満足することはできなかった。
【0065】
比較例9は、下地処理における焼付け温度が低かったため、耐食性、親水性、密着性を満足することはできなかった。比較例10は下地処理における焼付け時間が長かったため、塗膜密着性を満足することはできなかった。比較例11は、親水性処理における焼付け温度が低かったため、耐食性、塗膜密着性を満足することはできなかった。比較例12は、焼付け時間がながったため、親水性を満足することはできなかった。比較例13は、親水性処理剤に顔料を入れたため、加工したサンプルでは、顔料が溶出してしまい、色調を維持することが出来なかった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
従って、本発明の目的は、アルミニウム材の表面に親水性、塗膜密着性、耐食性において優れた性能を発揮する下地皮膜を形成し得る親水性被覆下地用樹脂組成物を提供することにある。このような親水性被覆下地用樹脂組成物により形成された下地皮膜を有するプレコートフィン材等のアルミニウム塗装板を提供することにある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム及びアルミニウム合金基材表面に親水性被覆層を形成する際に、この基材表面と親水性被覆層との間に下地被覆層を形成するための樹脂組成物として、固形分の組成が少なくとも一部がアクリル酸及び/またはメタクリル酸からの誘導体であるモノマーまたはポリマーを反応させた自己乳化性エポキシ系樹脂であり、該エポキシ系樹脂の含有量は1.0〜50.0重量%であり、該エポキシ系樹脂100重量部に対して、ジルコニウムイオンを含むジルコニウム化合物を金属換算の含有量が0.01〜25.0重量部であり、フッ素イオンを含むフッ素化合物を、フッ素イオンとしての含有量が0.015〜25.0重量部を含む水性エマルジョンであることを特徴とする親水性被覆下地用樹脂組成物。
【請求項2】
自己乳化性エポキシ系樹脂が、ビスフェノール類を反応させて得られるエポキシ樹脂である請求項1に記載の親水性被覆下地用樹脂組成物。
【請求項3】
親水性被覆下地用樹脂組成物において、前記樹脂組成物に加え、顔料及び/または染料をエポキシ系樹脂100重量部に対して0.1〜10.0重量部加えている請求項1または2に記載の親水性被覆下地用樹脂組成物。
【請求項4】
アルミニウムまたはアルミニウム合金基材の少なくとも一方の表面に、第1層として請求項1〜3のいずれか1項に記載の親水性被覆下地用樹脂組成物からなる乾燥皮膜量が50〜10000mg/mの下地皮膜層を設けたことを特徴とする親水性被覆用下地塗装アルミニウム板。
【請求項5】
アルミニウムまたはアルミニウム合金基材の少なくとも一方の表面に、第1層として請求項1〜3のいずれか1項に記載の親水性被覆下地用樹脂組成物からなる下地皮膜層、第2層として親水性被覆層からなり、第1層の下地皮膜層は該下地被覆層の乾燥皮膜量が50〜10000mg/mであり、第2層としての親水性被覆層は、有機系親水性成分および/または無機系親水性成分の少なくとも1種類以上を含有する皮膜層からなり、親水性被覆量が、30〜5000mg/mである親水性被覆アルミニウム塗装板。
【請求項6】
請求項5における親水性被覆アルミニウム塗装板の、第2層の親水性被覆層の表面に水溶性潤滑皮膜層が形成されており、該潤滑皮膜層の被覆量が10〜5000mg/mであることを特徴とする親水性被覆−潤滑被覆アルミニウム板。
【請求項7】
アルミニウムまたはアルミニウム合金基材の少なくとも一方の表面に、親水性被覆下地用樹脂組成物を下地被覆層の乾燥皮膜量が50〜10000mg/mとなるように塗布した後、150℃以上で1〜60秒にて焼付処理し、下地皮膜層を形成することを特徴とする親水性被覆用下地塗装アルミニウム板の製造方法。
【請求項8】
親水性被覆用下地皮膜アルミニウム塗装板に、有機系親水性成分および/または無機系親水性成分の少なくとも1種類以上を含有する親水性組成物を、皮膜量が30〜5000mg/mとなるように塗布した後175℃以上で1〜60秒にて焼付処理し、親水性皮膜層を形成することを特徴とする親水性被覆アルミニウム塗装板の製造方法。
【請求項9】
親水性被覆アルミニウム塗装板の親水性皮膜層上に、水溶性潤滑剤層を、10〜5000mg/mとなるように塗布することを特徴とする親水性被覆−潤滑被覆アルミニウム板の製造方法。

【公開番号】特開2007−70435(P2007−70435A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257707(P2005−257707)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000107538)古河スカイ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】