説明

解体機

【課題】破砕片の運転席への落下防止効果が向上し、かつ、折り畳み状態の作業アタッチメントの高さ寸法を小さく抑えることが可能である解体機を提供する。
【解決手段】解体機は、作業アタッチメント24を備えている。作業アタッチメント24は、ベースマシンに起伏自在に取り付けられたブーム25と、ブーム25の先端に水平軸まわりに回動自在に取り付けられたインターブーム26と、インターブーム26の先端に水平軸まわりに回動自在に取り付けられたアーム27と、アーム27の先端に取り付けられた破砕装置28と、破砕装置28によって発生する破砕片がベースマシンの運転席へ落下することを防止するガード41とを備えている。ガード41は、作業アタッチメント24を伸長して立ち上げた状態においてインターブーム26における運転席が存在する側を向く面をガード取付面26bとして、当該ガード取付面26bに取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕片が運転席へ落下することを防止するガードが作業アタッチメントに取り付けられた解体機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ベースマシンに作業アタッチメントが取り付けられた解体機が種々提案されている。例えば、高層建造物の解体に使用されるロングアタッチメント付きの解体機では、長尺の作業アタッチメントを折り畳んだ状態で収納または輸送を行うことができるようになっている。
【0003】
このような解体機は、ベースマシンに起伏自在に取り付けられたブームと、このブームの先端に水平軸まわりに回動可能に取り付けられた短尺のインターブームと、このインターブームの先端に水平軸まわりに回動可能に取り付けられたアームと、このアームの先端に取り付けられたニブラ(圧砕装置)などの破砕装置とを具備する。
【0004】
ブームは、ベースマシンに起伏自在に取り付けられたメインブームと、その上段側に着脱自在に連結されたフロントブームと、当該メインブームとフロントブームとの間に介在するインサートブームとからなる。解体機を輸送する場合には、ベースマシンと作業アタッチメントとに分解されて輸送される。このとき、メインブームは、ベースマシンに取り付けられた状態で輸送される。
【0005】
このようなロングアタッチメント付きの解体機を分解するときは、作業アタッチメントを、インターブームを境としてブームが上側、アームが下側となる三つ折れ状態に折り畳んで地上に置き、前記のようにベースマシンとメインブームの組と、メインブームを除く作業アタッチメントの組とに切り離して輸送する。作業アタッチメントの組は、アタッチメントの組全体が折り畳み姿勢のまま輸送される。
【0006】
上記のようなロングアタッチメント付きの解体機では、建物等の解体作業時に斜め上方へ延ばした状態の長尺のアタッチメントの運転席が存在する側を向く面を伝って、解体時に生じる建物等の破砕片(いわゆる解体ガラ)がベースマシン上の運転席(キャビン)に落下するおそれがある。そこで、このような破砕片を運転席から避けるために、例えば、特許文献1に記載されているように、斜め上方へ延ばした状態のアタッチメントにおけるフロントブームにおける運転席が存在する側を向く面をガード取付面として、当該ガード取付面にガードが取り付けられている。ガードは、フロントブームの長尺方向に対して運転席の反対側を向くようにフロントブームに傾斜して取り付けられており、ガードに衝突した破砕片を運転席の反対側へ案内するようにしている。
【0007】
また、特許文献1記載の解体機では、作業アタッチメントを折り畳んだ状態において当該アタッチメントの上面(すなわち、フロントブームのガード取付面)から上方へ突出するガードによってアタッチメントの全高が高くなることを抑えるために、当該ガードがフロントブームのガード取付面に沿って折り畳み自在に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−272648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1記載の解体機では、ガードがフロントブームに取り付けられているが、フロントブームよりもアタッチメントの先端側から落下してくる破砕片を運転席へ落ちないように破砕片を避ける効果の向上が難しいという問題がある。
【0010】
しかも、折り畳み状態の作業アタッチメントでは、ガードが当該アタッチメントの上面(フロントブームのガード取付面)に位置している。そのため、ガードを折り畳んだ状態にしてもフロントブームのガード取付面から上方へ若干突出するので、当該折り畳み状態の作業アタッチメントの高さ寸法を小さくすることが困難である。さらに、折り畳み状態の作業アタッチメントでは、ガードが当該アタッチメントの上面(フロントブームのガード取付面)に位置している(一般には高さ3m程度の位置にある)ので、作業者は地面からガードに手が届かない。そのため、ガードを折り畳むために作業者は折り畳んだアタッチメントの上に登るか、または高所作業車を使用する必要があり、ガードを折り畳む作業が困難である。
【0011】
また、他の従来例として、ガードをアームに取り付けた解体機が提案されている。このような解体機では、作業アタッチメントを折り畳み状態で地面等に置くときにアームの背面に取り付けられた配管を保護するためのブラケットに、ガードが取り付けられている。しかし、アームの背面にブラケットが取り付けられた構造であるため、折り畳み状態のアタッチメントの高さ寸法を低減することが難しいという問題がある。
【0012】
本発明は上記の問題を解消するためになされたものであり、破砕片の運転席への落下防止効果が向上し、かつ、折り畳み状態の作業アタッチメントの高さ寸法を小さく抑えることが可能である解体機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の解体機は、運転席を有するベースマシンに作業アタッチメントが取り付けられた解体機であって、前記作業アタッチメントは、前記ベースマシンに起伏自在に取り付けられたブームと、前記ブームの先端に水平軸まわりに回動自在に取り付けられたインターブームと、前記インターブームの先端に水平軸まわりに回動自在に取り付けられたアームと、前記アームの先端に取り付けられた破砕装置と、前記破砕装置によって発生する破砕片が前記ベースマシンの運転席へ落下することを防止するガードとを備えており、前記ガードは、前記作業アタッチメントを伸長して立ち上げた状態において前記インターブームにおける前記運転席が存在する側を向く面(アタッチメントを折り畳み状態にした状態では、インターブームの前面になる)をガード取付面として、当該ガード取付面に取り付けられている、ことを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、破砕片が運転席へ落下することを防止するガードは、作業アタッチメントを伸長して立ち上げた状態においてインターブームにおける運転席が存在する側を向く面に取り付けられており、フロントブームよりもアタッチメント先端側に位置している。そのため、アタッチメントの先端側から落下してくる破砕片を、ガードがフロントブームに取り付けられた場合と比較して、より早い段階で破砕片を運転席から避けるように落とすことが可能である。
【0015】
また、ガード取付面は、作業アタッチメントを伸長して立ち上げた状態においてインターブームにおける運転席が存在する側を向く面に設定されているので、アタッチメントを折り畳み状態にした状態では、ガード取付面はアタッチメントの前側を向く。したがって、ガードをフロントブームの上面に取り付けた場合のように、当該ガードの存在がアタッチメントの全高に大きく影響を与えず、当該アタッチメントの全高を小さく抑えることが可能である。
【0016】
また、前記ガードは、前記インターブームのガード取付面から張り出した位置と、当該インターブームのガード取付面に沿うように折り畳まれた位置との間で切換可能であることが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、ガードをインターブームのガード取付面から張り出した位置からインターブームのガード取付面に沿うように折り畳むことができるようにしているので、アタッチメントを折り畳んだときにガードがアタッチメントの前面側に位置しても、ガードを折り畳むことにより、アタッチメントの全長が増大することを抑えることが可能である。
【0018】
また、アタッチメントを折り畳んだ状態では、ガードがアタッチメントの前面側に位置しているので、作業者は地面から容易にガードを把持することが可能である。そのため、ガードの折り畳みまたは起立させる作業を容易かつ安全に行うことが可能である。
【0019】
前記ガードは、前記インターブームのガード取付面から張り出した位置と、当該インターブームのガード取付面に沿うように折り畳まれた位置との間で切り換えできるように、前記インターブームに回動軸を中心として回動自在に取り付けられているのが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、ガードがインターブームのガード取付面から張り出した位置と折り畳まれた位置との間で回動軸回りに回動することができるので、アタッチメントを折り畳んだ状態では、アタッチメントの前面側に位置するガードは、自重により回動軸の下側に垂下した状態で折り畳まれた位置を維持することが可能である。
【0021】
さらに、前記ガードは、前記インターブームの長尺方向に対して前記回動軸が傾斜する第1位置と、当該インターブームの長尺方向に対して前記回動軸が直交し、または直交に近い位置である第2位置との間で変更できるように、当該インターブームに対して回転自在に取り付けられているのが好ましい。
【0022】
一般的な解体機のガードは、アタッチメントの先端側から落下してくる破砕片をガードによって運転席から避ける方向へ落とすために、インターブームの長尺方向に対して所定の角度で傾斜して取り付けられている。このようなインターブームの長尺方向に対して傾斜して取り付けられたガードは、アタッチメントを折り畳んだ状態において当該ガードが傾斜した位置から回動軸回りに回転して垂下させようとすれば、ガードが地面やアーム側の配管に近くなり、地面や配管に接触するおそれがある。また、インターブームの幅方向へガードが張り出する量が大きくなり、折り畳み状態のアタッチメントの保管スペースが大きくなるおそれがある。
【0023】
そこで、これらの問題を回避するために、上記の構成では、回動軸回りに折り畳み自在のガードをインターブームの長尺方向に対して回動軸が傾斜した第1位置と回動軸が直交または直交に近い位置である第2位置との間で変更できるようにしたので、アタッチメントを折り畳んだ状態において、ガードをインターブームの長尺方向に対して回動軸が傾斜した第1位置から直交する第2位置へ変更した後にガードを折り畳めば、地面やアーム側の配管に接触する不具合を低減することが可能である。しかも、インターブームの幅方向への張り出し量を小さくすることができ、折り畳み状態のアタッチメントの保管スペースを小さくすることが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、ガードをインターブームに取り付けたことによって、破砕片の運転席への落下防止効果が向上することが可能であり、それとともに、折り畳み状態の作業アタッチメントの高さ寸法を小さく抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の解体機の実施形態に係る超ロングアタッチメント付き解体機のアタッチメントを伸長して立ち上げた状態の概略側面図である。
【図2】図1の解体機のアタッチメントを折り畳んだ状態の概略側面図である。
【図3】図1の作業アタッチメントの折り畳み状態の側面図である。
【図4】図1の作業アタッチメントの伸長状態におけるインターブーム周辺の拡大側面図である。
【図5】図1の作業アタッチメントの伸長状態におけるインターブーム周辺の拡大平面図である。
【図6】図3の作業アタッチメントの矢視A図である。
【図7】図6のガードおよびインターブームの拡大平面図である。
【図8】図6のガードおよびインターブームの拡大側面図である。
【図9】図8のIX−IX断面図である。
【図10】本発明の解体機の他の実施形態に係る回転可能なガードおよびそれが取り付けられるインターブームの拡大平面図である。
【図11】図10のガードおよびインターブームの拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の実施形態では、本発明の解体機の一実施形態として、背景技術の説明に合わせて超ロングアタッチメント付き解体機を適用対象としている。
【0027】
本実施形態の解体機は、図1〜5に示されるように、ベースマシン23と、作業アタッチメント24とから構成されている。ベースマシン23は、クローラ式の下部走行体21と、この下部走行体21上に垂直軸まわりに旋回自在に搭載された上部旋回体22とによって構成されている。作業アタッチメント24は、ベースマシン23の前部に取り付けられている。上部旋回体22は、運転席22aを有する。
【0028】
作業アタッチメント24は、ベースマシン23(上部旋回体22)に起伏自在に取り付けられたブーム25(メインブーム25aとフロントブーム25bとインサートブーム25c1、25c2とから成る)と、このフロントブーム25bの先端部25b2に水平軸まわりに上下方向に回動可能に取り付けられた短尺のインターブーム26と、このインターブーム26の先端に対して後端部27bが水平軸まわりに上下方向に回動可能に取り付けられたアーム27と、このアーム27の先端部に取り付けられたニブラなどの破砕装置28(図1参照)と、破砕装置28によって発生する破砕片がベースマシン23の運転席22aへ落下することを防止するガード41とを具備している。メインブーム25と運転席22aとは、上部旋回体22の幅方向(図1〜2の紙面垂直方向)に並んで配置されている。
【0029】
作業アタッチメント24を作動させるシリンダとして、ブーム25(アタッチメント全体)を起伏させるブームシリンダ29と、インターブーム26を作動させるインターブームシリンダ30と、アーム27を作動させるアームシリンダ31と、それに破砕装置28を水平軸回りに回動させる破砕装置シリンダ32とが設けられている。
【0030】
さらに、インターブームシリンダ、アーム両シリンダ30,31は、それぞれアタッチメント前面側(すなわち、図1に示されるようにアタッチメントを伸長して立ち上げた状態におけるアタッチメントの破砕装置28が存在する側)においてブーム25(フロントブーム25b)とインターブーム26との間、インターブーム26とアーム27との間に後述する取付ピン40a〜40dによって回動自在に連結されている。
【0031】
また、図2〜3に示されるように、作業アタッチメント24の折り畳み輸送時には、同アタッチメント24を、インターブーム26を境としてブーム25が上側、アーム27が下側となる三つ折れ状態に折り畳んで地上に置き、ベースマシン23とメインブーム25aの組と、メインブーム25aおよびインサートブーム25c2を除く作業アタッチメント24の組と、インサートブーム25c2とに切り離して輸送し、輸送後には、同じ状態で組み立てられる。
【0032】
図4及び図5に示されるように、2本のインターブームシリンダ30は、インターブーム26の幅方向に互いに離間して、後述する第1取付ピン40aによってインターブーム26に連結されている。また、1本のアームシリンダ31は、2本のインターブームシリンダ30によって挟まれた位置で、後述する第2取付ピン40bによってインターブーム26の突出部26a(図4参照)に連結されている。
【0033】
図2〜5に示されるように、第1取付ピン40aは、インターブームシリンダ30の一方の端部30aをインターブーム26に水平軸回りに回動自在に連結する。
【0034】
第2取付ピン40bは、アームシリンダ31の一方の端部31aをインターブーム26の後方寄り(図4の右側)の位置から下方に突出する突出部26aに水平軸回りに回動自在に連結する。
【0035】
第3取付ピン40cは、インターブームシリンダ30の他方の端部30bをフロントブーム25bの周面から突出する取付部25b1に水平軸回りに回動自在に連結する。
【0036】
第4取付ピン40dは、アームシリンダ31の他方の端部31bをアーム27の周面から突出する取付部27aに水平軸回りに回動自在に連結する。
【0037】
ガード41は、破砕装置28で発生する破砕片がベースマシン23の運転席22aへ落下することを防止する。
【0038】
ガード41は、アタッチメント24を伸長して立ち上げた状態におけるインターブーム26における運転席22aが存在する側(図1においてインターブーム26の右側)を向く面をガード取付面26bとして、運転席22a(図1〜2参照)と反対側へ向くように、インターブーム26が長尺方向に対して傾斜して当該ガード取付面26bに取り付けられている。
【0039】
図7〜9に示されるガード41を含むガードアセンブリは、ガード41と、一対のブラケット42と、一対の固定ブロック43と、締結板44とを備えている。
【0040】
ガード41は、鋼板などからなるガード本体41aと、当該ガード本体41aの背面側に固定された一対の脚部41bとを備えている。ガード本体41aは、上下の縁部分が折り曲げられており、これら縁部分の強度が向上している。一対の脚部41bは、それぞれ2枚のリブを互いに離間した状態でガード本体41aの背面に固定することにより形成されている。脚部41bには、それぞれ軸部材45が貫通する軸孔41cおよび当該軸孔41cよりもガード本体41aから遠い位置に形成されたピン46が貫通するピン孔41dがそれぞれ水平方向に形成されている。
【0041】
一対のブラケット42は、垂直に立てられた板状のブラケット本体42aと、当該ブラケット本体42aの下端に設けられた台座部42bとを備えている。ブラケット本体42aは、脚部41bの2枚のリブの間に挿入され、上記の軸孔41cおよびピン孔41dに対応する孔(図示せず)がそれぞれ形成されている。
【0042】
軸部材45は、軸孔41cを通して、脚部41bおよびブラケット本体42aを貫通してガード41をブラケット42に回転自在に支持する。これにより、ガード41は、インターブーム26のガード取付面26bから張り出した位置と、当該インターブーム26のガード取付面26bに沿うように折り畳まれた位置との間で、回動軸である軸部材45の回りに回動して切り換えることが可能である。
【0043】
また、ガード41が立ち上がった状態では、脚部41bのピン孔41dがブラケット本体42aに対応する孔と一致するので、ピン孔41dを通して、ピン46によって脚部41bおよびブラケット本体42aを貫通してガード41を立てた状態で固定することが可能である。
【0044】
図7〜9に示されるように、インターブーム26は、そのガード取付面26bを構成する上板26eと、当該上板26e両側に配置された一対の側板26cとを備えている。一対の側板26cの上側縁が上方へ突出することにより、一対の延長部26dが形成されている。一対の延長部26dは、図7〜8に示されるように、インターブーム26の長尺方向において、前後にずれた位置に配置されている。
【0045】
一対の固定ブロック43は、それぞれの側面において一対の延長部26dに対して外側から当接している。
【0046】
また、それぞれの固定ブロック43の上面は、ブラケット42の台座部42bの下面に当接している。固定ブロック43の上面には、めねじ孔が形成されている。
【0047】
締結板44は、めねじ孔が形成された板であり、一対の延長部26dに対して内側から当接している。
【0048】
一対の固定ブロック43のそれぞれにおいて、2本のボルト48が固定ブロック43および延長部26dを水平方向に貫通して締結板44のめねじ孔に螺合することにより、固定ブロック43が延長部26dに締結されている。
【0049】
さらに、一対の固定ブロック43のそれぞれにおいて、2本のボルト47がブラケット42の台座部42bを貫通して固定ブロック43の上面に形成されためねじ孔に螺合することにより、ブラケット42が固定ブロック43に締結されている。
【0050】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態の解体機では、破砕片が運転席22aへ落下することを防止するガード41は、図1に示されるように、アタッチメント24を伸長して立ち上げた状態においてインターブーム26における運転席22aが存在する側を向くガード取付面26bに取り付けられており、フロントブーム25bよりもアタッチメント24先端側に位置している。そのため、アタッチメント24の先端側から落下してくる破砕片を、ガード41がフロントブーム25bに取り付けられた場合と比較して、より早い段階で破砕片を運転席22aから避けるように落とすことが可能である。
【0051】
また、ガード取付面26bは、アタッチメント24を伸長して立ち上げた状態においてインターブーム26における運転席が存在する側を向く面に設定されているので、図2〜3に示されるように、アタッチメント24を折り畳み状態にした状態では、ガード取付面26bはアタッチメント24の前側を向く。したがって、ガード41をフロントブーム25bの上面に取り付けた場合のように、当該ガード41の存在がアタッチメント24の全高H(図3参照)に大きく影響を与えず、当該アタッチメント24の全高Hを小さく抑えることが可能である。
【0052】
(2)
本実施形態の解体機では、インターブーム26のガード取付面26bから張り出した位置と、当該インターブーム26のガード取付面26bに沿うように折り畳まれた位置との間で、回動軸である軸部材45の回りに回動して切り換えることが可能であるので、アタッチメント24を折り畳んだときにガード41がアタッチメント24の前面24a側に位置しても、ガード41を折り畳むことにより、アタッチメント24の全長L(図3参照)が増大することを抑えることが可能である。
【0053】
また、アタッチメント24を折り畳んだ状態では、ガード41がアタッチメント24の前面24a側に位置しているので、作業者は地面G(図3参照)に立って容易にガード41を把持することが可能である。そのため、ガード41の折り畳みまたは起立させる作業を容易かつ安全に行うことが可能である。
【0054】
しかも、ガード41が折り畳み自在であるので、アタッチメント24を折り畳んだ状態で搬送するときにガード41をインターブーム26に沿うように折り畳むことにより、ガード41が周囲に衝突するおそれを低減することが可能である。
【0055】
(3)
また、本実施形態の解体機では、ガード41がインターブーム26のガード取付面26bから張り出した位置と折り畳まれた位置との間で回動軸である軸部材45回りに回動することができるので、図2〜3に示されるアタッチメント24を折り畳んだ状態では、アタッチメント24の前面側に位置するガード41は、自重により軸部材45の下側に垂下した状態で折り畳まれた位置を維持することが可能である。
【0056】
(他の実施形態)
上記の実施形態では、ガード41がインターブーム26の長尺方向に対して傾斜した位置でボルト47によって固定されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ガード41をインターブーム26に対して回転自在に取り付けるようにしてもよい。すなわち、本発明の解体機の他の実施形態として、図10〜11に示される解体機では、ガード41は、回動軸である軸部材45回りに回動して折り畳み自在であり、さらに、インターブーム26の長尺方向に対して軸部材45が傾斜する第1位置Iと、当該インターブーム26の長尺方向に対して当該軸部材45が直交し、または直交に近い位置である第2位置IIとの間で変更できるように、当該インターブーム26に対して回転自在に取り付けられているようにしている。
【0057】
ガード41を回転自在に取り付ける具体的な構成については、本発明はとくに限定するものではないが、例えば、図10〜11に示される例では、インターブーム26の側板26cに対して当該インターブーム26の幅方向に離間した位置に回転軸部51が設けられ、この回転軸部51に対してガード41を支持する一対のブラケット42のうち回転軸部51に近い方のブラケット42が延長ブラケット53などの部材を介して回転自在に支持されている。この場合、各ブラケット42は、固定ブロック43に対しては、前述のボルト47の代わりにピン52で着脱自在に固定されている。これにより、解体作業時には、ガード41をインターブーム26に対して軸部材45が傾斜した第1位置Iへ回転移動させて、ブラケット42を第1固定ブロック54に対してピン52で固定してガード41を使用できる状態にすることが可能である。第1固定ブロック54は、上記実施形態の固定ブロック43(図7〜8参照)と同様に、第1位置Iにおけるブラケット42と連結可能な位置において、インターブーム26の一対の側板26cの上端縁に形成された延長部26dにボルト締めされている。
【0058】
一方、図2〜3に示されるアタッチメント24を折り畳んだ状態では、ガード41を折り畳む前にピン52を外してブラケット42と第1固定ブロック54との間の連結を解除してインターブーム26の長尺方向に対して軸部材45が直交し、または直交に近い位置である第2位置IIまで回転移動させ、ブラケット42を第2固定ブロック55に対してピン52で固定することにより、ガード41を第2位置IIに固定することが可能である。第2固定ブロック55は、第2位置IIにおけるブラケット42と連結可能な位置において、インターブーム26の一対の側板26cの上端縁に形成された延長部26fにボルトなどによって固定されている。
【0059】
このようなガード41を回転自在に移動できる構成では、軸部材45回りに折り畳み自在のガード41をインターブーム26の長尺方向に対して軸部材45が傾斜した第1位置Iと軸部材45が直交または直交に近い位置であるする第2位置IIとの間で変更できるので、アタッチメント24を折り畳んだ状態において、インターブーム26の長尺方向に対して軸部材45が傾斜した第1位置Iから直交する第2位置IIへ変更した後にガード41を折り畳めば、インターブーム26の長尺方向に突出する量Y(図10参照)を低減することができ、それにより、地面Gやアーム27側の配管60(図3参照)に接触する不具合を低減することが可能である。しかも、インターブーム26の幅方向への張り出し量X(図10参照)を小さくすることができ、折り畳み状態のアタッチメント24の保管スペースを小さくすることが可能になる。
【0060】
(変形例)
以上の実施形態では、本発明の解体機の一例としてニブラを備えた解体機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、アタッチメント先端にブレーカ等の破砕装置を備えた他の解体機にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
21 下部走行体
22 上部旋回体
22a 運転席
23 ベースマシン
24 作業アタッチメント
25 ブーム
25a メインブーム
25b フロントブーム
25c1、25c2 インサートブーム
26 インターブーム
26b ガード取付面
27 アーム
28 破砕装置
41 ガード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席を有するベースマシンに作業アタッチメントが取り付けられた解体機であって、
前記作業アタッチメントは、
前記ベースマシンに起伏自在に取り付けられたブームと、
前記ブームの先端に水平軸まわりに回動自在に取り付けられたインターブームと、
前記インターブームの先端に水平軸まわりに回動自在に取り付けられたアームと、
前記アームの先端に取り付けられた破砕装置と、
前記破砕装置によって発生する破砕片が前記ベースマシンの運転席へ落下することを防止するガードと
を備えており、
前記ガードは、前記作業アタッチメントを伸長して立ち上げた状態において前記インターブームにおける前記運転席が存在する側を向く面をガード取付面として、当該ガード取付面に取り付けられている、
ことを特徴とする解体機。
【請求項2】
前記ガードは、前記インターブームのガード取付面から張り出した位置と、当該インターブームのガード取付面に沿うように折り畳まれた位置との間で切換可能である、
請求項1に記載の解体機。
【請求項3】
前記ガードは、前記インターブームのガード取付面から張り出した位置と、当該インターブームのガード取付面に沿うように折り畳まれた位置との間で切り換えできるように、前記インターブームに回動軸を中心として回動自在に取り付けられている、
請求項2に記載の解体機。
【請求項4】
前記ガードは、前記インターブームの長尺方向に対して前記回動軸が傾斜する第1位置と、当該インターブームの長尺方向に対して前記回動軸が直交し、または直交に近い位置である第2位置との間で変更できるように、当該インターブームに対して回転自在に取り付けられている、
請求項3に記載の解体機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−44164(P2013−44164A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182646(P2011−182646)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】