説明

解剖構造データセットの位置合わせ装置及び方法

【課題】空間情報がない場合に、解剖構造の一つのボリュームデータセットを同解剖構造の別のボリュームデータセットに関連させる方法及びシステムを提供する。
【解決手段】画像慣性モーメントなどのボリュームデータセットの一意空間特性が識別され、ボリュームデータセットに任意基準フレームが付加され、一意空間特性と相関される。追加空間情報も任意基準フレームと相関される。そして追加空間情報は、一意空間特性に基づき第一及び第二ボリュームデータセットを位置合わせすることにより解剖構造の第二ボリュームデータセットに相関される。本方法とシステムでは定義済みの目標に基づく局部基準フレームを設定せずに同じ解剖構造の異なったボリュームデータセットの位置合わせが可能となり、追加空間情報の転写が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、各解剖構造画像データセットを位置合わせする装置と方法、及び各解剖構造画像データセット間の解剖構造情報を対応付ける装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ支援の外科処置において、異なるモダリティ(撮画手段)や異なる期間の間で患者に関連するデータを位置合わせする幾種もの手法が存在する。このような患者関連のデータとしては例えば超音波、磁気共鳴画像診断(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、単一光子放射コンピュータ断層撮影法、陽電子放射断層撮影法などの画像撮影法やモダリティを使用して得られた解剖学的情報がある。異なるモダリティ間で患者関連のデータを位置合わせする手法の1つは「点対点(point to point)」又は「対の点(pair of point)」マッチング手法であって、これは異なるモダリティ間で同定可能な目標又は基準点を使用して変換マトリックスを決定し、異なるモダリティ間での空間的関連を設定する手法である。一例では、MRI又はCT画像スキャンの前に目標又は基準点を患者に配置し、画像スキャン中及び外科処置中に患者上でのその目標又は基準点を同定し、画像スキャンから患者と患者関連のデータ間の位置合わせを設定する。
【0003】
別の手法では、表面位置合わせ(surface registration)が使用されるが、表面位置合わせを設定するために、注目する構造又は領域の複数の表面点が使用される。しばしば別個の手法を使用する別個のモダリティでは表面点は別個に特定される。一つの実施例では、患者の顔が位置合わせ表面として使用される耳鼻咽喉手術において表面位置合わせ手法が使用される。例えば、患者の顔のCT又はMRIスキャンを得て、スキャンで皮膚の表面を識別し、手術中に患者の顔のデジタル化された各点と整合される。このようなデジタル化された各点はデジタル化装置で直接収集しても良いし、位置合わせマスクを使用して間接的に取得しても良い。
【0004】
上記の位置合わせ手法は一般的に患者に関連するデータを一つのモダリティから別のモダリティへ位置合わせする場合のみ利用可能である。最も一般的には、位置合わせ手法は手術で使用される手術器具のローカリゼーションの目的で、手術中に患者の術前の画像データを患者の解剖学的部位に位置合わせするために使用される。
【0005】
ある種の手法、例えば筋骨格系疾患関連の手法では、関節に関する生体力学と機能的情報は疾患の規模又は原因の決定に重要な役割を果たす。一般的にそのような情報は運動分析で得られる。運動分析の一例では、分析の対象となる部位の皮膚に基準点が置かれる。部位が動くと基準点の移動をナビゲーションシステムが追跡し、部位の生体力学的モデルを確定するために基準点の動きが分析される。この技術の明らかな欠点は、基準点は下部の生体構造とは直接関連せず、運動中に皮膚や柔軟組織のずれが生じることである。そのようなずれは運動分析の結果において顕著な誤差や非精密性を増大させ、生体力学モデルの設定に誤りをもたらす。
【0006】
柔軟組織のずれを解決する手法のひとつは小さなタンタルビーズなどの基準点を患者の骨に直接移植することであり、この基準点は患者の部位の運動中に立体X線撮影法で追跡される。この手法の明らかな欠点としては、ビーズ移植には外科手術を要すること、運動分析には電離エネルギーが使用されることなどである。
【0007】
更に、外科処置中に肢の動きが受動的な場合、運動分析では関節の機能的情報が十分に得られないことがある。例えば患者の腕や足を外科医が動かした場合や患者が麻酔下にあり手術台に横たわっている場合、身体に対する重力の影響に抗する自発的筋肉力の活動はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
筋骨格系疾患に関する外科処置が純粋な直立静止の考察から関節のより機能的評価へ、そして早期介入治療へ移行するにつれ、関節に関する機能情報を得てそれを外科処置の計画と執行に容易に関連づけることができる技術は益々重要となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様では、第一データセットに対応する情報を第二データセットに位置合わせするコンピュータ実施の方法が開示される。本方法は、イメージング装置で解剖構造の第一データセットを収集するステップと、第一データセットの構造に対して識別可能な一意の空間関係を有する追加情報である第一データセットに関する追加情報を生成するステップと、第一データセットに関する第一任意基準フレームを設定するステップと、を含んで構成される。第一基準フレームは、前記構造に関する所定の目標へ対する参照なしに設定され、第一基準フレームは第一データセットに対して一意の空間関係を有する。本方法はさらに、イメージング装置で解剖学的構造の第二データセットを収集するステップと、第二データセットに関する第二任意基準フレームを設定するステップと、第一データセットの一意空間パラメータを第二データセットの同じ一意空間パラメータと照合することにより第一基準フレームを第二基準フレームに変換するステップと、前記追加情報を第二データセットに位置合わせするステップと、を含んで構成される。
【0010】
本発明の他の態様では、解剖構造の第一ボリュームデータセットに関連する空間情報を前記解剖構造の第二ボリュームデータセットに対応させるコンピュータ実施の方法が開示される。本方法は、コンピュータ外科ナビゲーションシステムで解剖構造の第一ボリュームデータセットを得るステップと、第一ボリュームデータセットへ第一任意基準フレームを付加するステップと、第一ボリュームデータセット中の固有の特徴を計算するステップと、固有特徴を第一任意基準フレームと相関させるステップと、追加空間情報を第一ボリュームデータセットと対応させるステップとを含む。固有特徴は、全ての参照位置から識別可能な、解剖構造に対して一意の位置と方向を有し、前記空間情報は第一任意基準フレームと相関される一意の空間関係を有する。更に本方法は、コンピュータ外科ナビゲーションシステムで解剖構造の第二ボリュームデータセットを得るステップと、第二ボリュームデータセットへ第二任意基準フレームを付加するステップと、第二ボリュームデータセット中の固有の特徴を識別するステップと、固有特徴を第二任意基準フレームと相関させるステップとを含む。本方法はまた、第一ボリュームデータセットを固有特徴に基づき第一ボリュームデータセットと位置合わせするステップと、追加空間情報を第二ボリュームデータセットと位置合わせして相関付けるステップと、第二ボリュームデータセットで位置合わせされた追加空間情報を表示装置に表示するステップをも含む。前記位置合わせステップはコンピュータにより行われる。
【0011】
更なる態様によると、解剖構造のボリュームデータセットの収集及び処理システムは、患者の解剖構造の第一ボリュームデータセット及び解剖構造の第二ボリュームデータセットを得る取得手段と、第一ボリュームデータセット及び第二ボリュームデータセット中の固有の特徴を計算する計算手段とを含む。前記固有の特徴は、いかなる基準位置からも識別可能な、解剖構造に対して一意の位置と方向を有する。更に本システムは、第一任意基準フレームを第一ボリュームデータセットへ付加し、第二任意基準フレームを第二ボリュームデータセットへ付加する付加手段と、該固有特徴を第一任意基準フレームと相関させる相関手段と、追加空間情報を第一ボリュームデータセットと対応させる対応手段とを含む。前記追加空間情報は第一任意基準フレームに対して一意の空間関係を有する。本システムはまた、固有特徴に基づき第一ボリュームデータセットを第二ボリュームデータセットと位置合わせする位置合わせ手段と、前記追加空間情報を第二ボリュームデータセットと位置合わせして相関させる相関手段とを含む。
【0012】
更なる態様によれば、通常の形状から変形された骨の一部の位置を設定する方法は、変形されていない骨の第一ボリュームデータセットを収集するステップを含み、前記第一ボリュームデータセットは第一骨の第一及び第二部分のボリュームデータを含む。本方法は第一骨の第一部分のボリュームデータの第一一意空間特性を識別するステップと、第一一意空間特性と相関付けられた第一ボリュームデータセットの第一任意基準フレームを確定するステップをも含む。該方法は、中心線の周りにある第一骨を通常反映する第二骨を識別するステップを含み、前記第二骨は第一骨の第一及び第二部分の実質的鏡像構造に対応する第一部分と第二部分をそれぞれ含み、前記第二骨は第二骨の第一部分が第二骨の第二部分に対して変形された位置にあるように通常の形状から変形されている。本方法は更に、第二骨の第一部分の第二ボリュームデータセットを収集するステップと、第二ボリュームデータセットの第二一意空間特性を識別するステップとを含み、第二一意空間特性は第一一意空間特性を実質的に反映し、第一一意空間特性を第二一意空間特性と相関付けることにより第一ボリュームデータセットを第二ボリュームデータセットを鏡像相関において位置合わせするステップと、第二骨の第二位置の通常の位置を第一骨の第二部分の位置と一致するように再確定するステップとを含む。
【0013】
本発明の他の態様と利点は下記の詳細な説明を考慮すれば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本開示の各方法を実施するために適用されたナビゲーションシステムの実施例の概略図である。
【図2】本開示による位置合わせ手順のフローチャートである。
【図2A】本開示による位置合わせ手順のフローチャートである。
【図3A】第一データセットで示される解剖構造の追加空間情報の作成及び該情報の第二データセットに対する関係を示す図である。
【図3B】第一データセットで示される解剖構造の追加空間情報の作成及び該情報の第二データセットに対する関係を示す図である。
【図3C】第一データセットで示される解剖構造の追加空間情報の作成及び該情報の第二データセットに対する関係を示す図である。
【図4A】一例のスクリーンショットであり、
【図4B】データセット収集と位置合わせを示す視覚的表示である。
【図4C】データセット収集と位置合わせを示す視覚的表示である。
【図5】第一解剖構造に関する追加空間情報の作成と、第一解剖構造を反映する第二解剖構造に対するこの情報の関係を示す図である。
【図6A】外科処置中にアクセス不可であり術前に定義された解剖基準フレームの一例を示す図である。
【図6B】外科処置中にアクセス不可であり術前に定義された解剖基準フレームの一例を示す図である。
【図7A】患者の臀部の機能運動パラメータ決定の一例を示す図である。
【図7B】患者の臀部の機能運動パラメータ決定の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の各システムと方法は、患者の1つまたは複数の構造に関する異なったデータセットを位置合わせするために使用でき、このような1つのデータセットから他のデータセットへ追加情報を関連付ける(この追加情報は他のデータセットに関しては存在しないか実際上取得不可能である)ために使用できる。多くの場合、身体の非連続の領域の位置情報は、前もって定義された解剖目標に基づく局部基準フレームを識別したりそれと関連することなしに、連結されている。一つの応用例では、一つのデータセットからの機能情報は、構造の機能的評価を図るために他のデータセットと関連付けられる。例えば、この構造は患者の骨や関節などの解剖構造であっても良いし、ボリュームデータセットは超音波プローブや各モダリティの他の既知のイメージング手法を使用して得られた骨や複数の骨の画像データセットであっても良い。術前画像データセットからの解剖構造に関して作成された機能情報は、外科処置の計画と執行を助けるための術中画像データセットと関連付けられても良いし、ある種の疾患や有害な状態の早期識別や予防のためであっても良い。他の実施例では、例えば一つのデータセットではアクセス可能であるが他のデータセットではアクセス不能であるような解剖基準フレームを再設定するために他の情報を利用できる。本開示の更なる態様は、該構造上で定義済みの目標や基点を必要とすることなく異なったデータセットを位置合わせする機能を提供する。その代わり異なったデータセットに任意基準フレームが設定され、該データセットを位置合わせするために使用される。
【0016】
図面を参照すると、図1は本明細書で開示される手順のステップを実施するよう構成された外科ナビゲーションシステム20の概略図である。外科ナビゲーションシステムは、ディスプレイ装置22、コンピュータシステム24、及びカメラアレイ26を含む。本実施例では、コンピュータシステム20は可動カート28に収容されている。コンピュータシステム24は、当業者に明らかなように、メモリ装置、CPU、及び記憶装置(全て図示せず)を有する如何なるパーソナルコンピュータであってもよい。ディスプレイ装置22は、コンピュータシステム24で使用可能な任意の従来のディスプレイであっても良く、例えば標準的コンピュータモニターやテレビジョン装置である。例示的な外科ナビゲーションシステムはストライカー社製のストライカー・ナビゲーションシステムである。
【0017】
外科ナビゲーションシステム20は、患者30の画像データを受け取るよう構成されている。一つの実施例では、画像データは外科医や看護婦などのユーザ34が操作する超音波プローブ32で取得され、コンピュータシステム24に無線で送信される。あるいは、又は更に、超音波プローブ32とコンピュータシステム24間でデータを有線で送信するシステムを使用しても良い。本実施例では、超音波プローブ32 は患者30の画像データを取得するために非侵襲性、非電離性、携帯可能イメージング・モダリティを提供するものである。更に、超音波プローブ32は、下層にある骨の画像データを提供して皮膚のずれに関連する人為的な運動を解消する。しかし他の実施例では画像データは磁気共鳴画像診断(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、単一光子放射コンピュータ断層撮影法、陽電子放射断層撮影法など他の許容可能な画像撮影法やモダリティを使用して収集できる。
【0018】
カメラアレイ26は、超音波プローブ32に連結されたセンサー36の位置を検出し、超音波プローブ32の位置と方向を追跡するよう構成されている。これに限定されない例として、センサー36は一以上の光放射ダイオード(LED)であっても良く、カメラアレイ26は第一カメラ38、第二カメラ40、及び第三カメラ42であっても良く、それぞれ第一、第二、第三カメラ38、40、42はセンサー36により生成される赤外線(IR)信号を検出するために適応された3個のCCDカメラであってもよい。図示されないが、ユーザ34は超音波プローブ32と同様にカメラアレイ26で追跡可能な他の外科道具及び器具を使用しても良い。これらの追加的な外科道具及び器具は、道具又は器具に内蔵、又は既知又は決定可能な位置及び方向で物理的に対応した、器具の位置を十分に追跡可能とするLEDなどを備えるセンサー36を有していても良い。
【0019】
カメラアレイ26は、外科処置が行われる関連する部位に対して十分な視線(視野)を有するように、可動カート28に装着された回転式アーム44に取り付けられている。他の実施例ではカメラアレイ26は手術室の壁(図示せず)や他の便利な表面や場所に取り付けられても良い。
【0020】
外科ナビゲーションシステム20は、センサー36に対してデータを通信するために使用される少なくとも1台の赤外線送受信機を含むアクティブな光学系であっても良い。例えば、本実施例では、カメラアレイは互いに離れて設置された第一送受信機46と第二送受信機48を含む。本発明はアクティブ光学外科ナビゲーションシステムを使用して説明されるが、本発明のシステムと方法は受動的光学系、磁気ベースシステム、慣性ナビゲーションベースシステム等の他の外科ナビゲーション技術やシステムと使用しても良い。RFIDシステム、ビデオイメージングベースシステム等の他のコンピュータ支援システムも使用できる。
【0021】
カメラアレイ26は、ケーブル50を介してローカライザー(図示せず)に接続されているが、他の例ではコンピュータシステム24に直接接続されている。ローカライザーは、カメラアレイ26の視線の範囲内で超音波プローブ32上のセンサー36の位置と方向を識別するためにカメラアレイ26と協働する。一つの実施例では、ローカライザーはLEDの生の位置データをセンサー36を構成する複数のLEDの個々のLEDの位置に変換し、この情報をコンピュータシステム24に送信する。他の実施例では、ローカライザーはLEDの生の位置データを超音波プローブ32の位置と方向に変換し、この情報をコンピュータシステム24に送信する。更なる実施例では、コンピュータシステム24によって実行されるソフトウェアプログラムが生データを超音波プローブ32の方向に変換できる。生の位置データの変換方法は当業者にとって既知のものである。オプションとしてコンピュータシステム24は超音波プローブ32上の制御ボタン(図示せず)あるいはユーザ34に容易にアクセス可能なボタンで遠隔操作できる。
【0022】
コンピュータシステム24はまたキーボード52、マウス54、又は他の入力装置などのコンピュータシステム24を操作するための1以上の入力装置を含む。
【0023】
図2及び図2Aを参照すると、ある解剖構造の第一ボリュームデータセットを該解剖構造の第二ボリュームデータセットに位置合わせする方法が示されている。好適には、本方法は本文書で開示されるようにコンピュータ外科ナビゲーションシステムを使用して実行され、該ナビゲーションシステムはボリュームデータセットを集め、位置データを保存し、そこから情報を抽出し、位置データをボリュームデータセットと相関付ける1つ以上の収集装置の位置を追跡できる。
【0024】
図2は位置合わせ方法の広角図であり、患者の解剖構造等の構造の第一データセットを収集するブロック80からコントロール(制御処理)が開始する。ブロック80の後、処理はブロック82に移行し、そこでは第一データセットに関する追加位置情報が作成され、ブロック84では第一データセットの第一基準フレームの決定または設定が行われる。第一基準フレームは好適には任意の基準フレームである。ブロック86は第二データセットを収集し、ブロック88はボリュームデータセットの第二基準フレームを決定する。その後、処理はブロック90に移行し、同ブロックは第一基準フレームを第二基準フレームに転換し、ブロック92は解剖構造の機能情報などの、第一基準フレームからの追加空間情報を第二基準フレームと関連付ける。
【0025】
図2Aは図2の方法を採用した方法の詳細図であり、処理はブロック100から開始し、同ブロックは患者の解剖構造等の構造の第一データセットを収集する。第一データセットは、該解剖構造の第一ボリュームデータセットを含んでいて良い。本明細書で使用される解剖構造という用語は完全な骨などの全体的解剖構造部分を含むことができ、解剖構造という用語には骨の小さな部分など、全体よりも小さな全体的解剖構造部分も含まれる。好適にはボリュームデータセットには骨や関節などの解剖構造の位置と方向に関する情報が含まれている。第一ボリュームデータセットは図1の追跡された超音波プローブ32などの皮下イメージング装置を使用して収集されるが、ボリュームデータセットには患者の骨又は他の皮下構造のイメージが含まれている。CTスキャン、MRI、X線などの、第一画像データセットを取得する他の画像取得装置やモダリティも使用できる。例えば第一ボリュームデータセットは術前に取得しても良い。好適には第一ボリュームデータセットは解剖構造に関する画像データを含み、少なくとも2次元(2D)及び3次元(3D)の一方の画像データを含んでいても良い。第一画像データセットを取得するための好例の取得装置及びモダリティには2D又は3Dの超音波イメージング装置が含まれ、2D超音波プローブが使用された場合、該プローブは該解剖構造を包含する領域の複数のスライスを収集することによりボリュームデータを収集するために使用できる。収集装置の位置はボリュームデータセットの収集中に外科ナビゲーションシステムにより追跡される。好適にはボリュームデータセットの収集中に該解剖構造は固定位置にあり、それにより収集中に解剖構造の位置を別途追跡する必要を削減できる。オプションとして、該解剖構造を収集中に追跡できるが、その場合、該解剖構造は収集中に移動でき、取得された該解剖構造に関するボリュームデータセットの位置データに追加的なロバスト性を取り入れても良い。
【0026】
ブロック100の後、処理はブロック102に移行し、同ブロックは第一データセットの第一基準フレームを付加するか決定する。第一基準フレームはひとつの任意基準フレームであり、解剖構造の基点や特定の解剖目標などの予め定義された目標への参照なしに設定されるものである。例えば、第一基準フレームはカメラアセンブリー、超音波プローブ、または第一ボリュームデータセットの中心などの第一ボリュームデータセットそれ自体などであっても良い。他の基準フレームと区別するための任意基準フレームを設定する他の方法も使用できる。基準フレームは、如何なる既知の、あるいは一般的な画像処理アルゴリズムを使用しても設定できる。設定されると、好適には任意基準フレームは一つの骨などの、対象となる解剖構造のボリューム(体積)に対して一意の空間的関係を有し、該任意基準フレームはそれに対して固定した相対位置を有する。
【0027】
処理はブロック104に移行し、同ブロックはボリュームデータセットの空間的に一意の物理的空間側面(特徴)などの第一データセットの固有特徴を識別する。好適には、該固有特徴は如何なる基準位置からも識別可能な、解剖構造に対して一意の位置と方向を有する。好適な方法では、コンピュータシステム24はボリュームデータセットの画像慣性モーメントを計算する適切な命令ルーチンで構成されており、同モーメントは該ボリュームがどの視点で取得されたかあるいは観察されるかに関わらず固定である。如何なる特定のボリュームも、特定のボリュームを表すデータセットに対して、ボリュームがどの視点から観察されるかとは関係なしに、一意の固定した空間関係を有する固定の慣性モーメントを有するので、慣性モーメントの使用は有利である。そのため、例えばある骨の特定の部分のボリュームデータセットの慣性モーメントは、該骨のその部分に対して、ボリュームデータセットがどの視点から取得されたか、あるいは観察されるかとは関係なしに、同じ相対的位置にある。ボリュームデータセットの空間的に一意の物理的空間側面を決定する他の方法を使用しても良く、任意基準フレームを定義するために使用可能な表面輪郭情報、点の目標などの解剖構造に関する別の、又は追加的一意定義の空間情報が得られる。
【0028】
その後、処理はブロック106に移行し、同ブロックは第一任意基準フレームをボリュームデータセットの空間的に一意の物理的空間側面に対して相関させる。一例では、ブロック88では第一任意基準フレーム及び画像慣性モーメントを、第一任意基準フレーム中の画像慣性モーメントのxyz直角座標などの、それらの間で既知の一意空間的関係で相関させる。一つの好適な例では、慣性モーメントが任意基準フレームの軸を定義するように第一任意基準フレームが付加される。任意基準フレームを空間的に一意の物理的空間側面と相関付ける他の方法又はシステム及び/又は同等の方法又はシステムを使用しても良い。
【0029】
処理はブロック108に移行し、同ブロックでは、第一任意基準フレームに対して一意の空間方向を有する追加位置情報を作成し、それを第一ボリュームデータセットと対応付ける。該追加位置情報は、該解剖構造に作用する重力ベクトルなどの解剖構造及び相互の解剖構造の部分の方向の少なくとも一つの機能情報を有していても良い。一つの実施例では、第一データセットは術前のボリュームデータセットであり、機能情報は患者が一般的に立っているか直立の位置にある時に解剖構造に関して取得される。他の実施例では、機能情報は当業者にとって明らかな他の方法で取得しても良い。
【0030】
追加空間情報は第一ボリュームデータセットと連続したものであっても良い。例えば、追加空間情報はボリュームデータセットが取得された時点での、第一ボリュームデータセットの重力ベクトルを定義する重力ベクトル情報を含んでいても良い。重力ベクトルは如何なる既知の方法で取得しても良い。そのような方法には、外科ナビゲーションシステムのカメラに組み込まれた加速計などの重力検知装置が含まれ、重力検知装置は第一ボリュームデータセットが収集されている時に局地重力ベクトルを識別する。次に重力ベクトル情報は、重力ベクトルが第一任意基準フレームに対して一意に位置つけられるようにボリュームデータセットと対応付けられる。
【0031】
別の例では、追加空間情報は第一ボリュームデータセットに対して非連続であっても良い。例えば、追加空間情報は他の基準フレームの位置と方向を識別するベクトルを含んでいても良い。該他の基準フレームは、第一ボリュームデータセットと重ならない非連続のボリュームデータセットの別の任意基準フレームであっても良く、該非連続ボリュームデータセットは別の解剖構造又は同じ解剖構造の別の部分と関連するものであってよい。一つの例では第一ボリュームデータセットは骨の第一の部分であっても良く、非連続ボリュームデータセットは同じ骨の第二の部分であっても良い。他の基準フレームは、外科ナビゲーションシステムのカメラのカメラ基準フレームなど、幾つかのボリュームデータセットに共通なグローバル基準フレームを含んでいても良い。このようにして、各ボリュームデータセットが特に重なっていなくても、またそれらをすぐに表示しなくても、一つ以上の非連続のボリュームデータセットの位置と方向を識別するために全ての一つ以上のボリュームデータセットの位置と方向を使用できるように、一つ以上の非連続ボリュームデータセットの基準フレームの特定の位置及び方向の少なくとも一方を第一ボリュームデータセットと相互に連結することができる。
【0032】
ボリュームデータセットで表される解剖構造に対して一意の空間特性を有する他の追加空間情報も、該ボリュームデータセットにより特定されても良い。これに限定されない例として、他の種類の追加空間情報は、骨盤平面、大腿骨物理的軸、大腿骨解剖軸、及び一般的にこの分野で使用される関係ある局部基準点及び/又はフレームなど、患者の局部解剖基準フレームに対するボリュームデータセットの、任意基準フレームの位置及び方向ベクトルを含み得る。しかし、本開示では、ボリュームデータセットで表される解剖構造に対して一意の識別可能な空間特性を有する如何なる種類の空間情報も、様々な異なった適用に必要又は便利であると考えられるボリュームデータセットと対応付けられ得ると予想される。
【0033】
処理はブロック110に移行し、同ブロックは第二データセットを収集する。一例では、第二ボリュームデータセットは第一ボリュームデータセットと同じ解剖構造のものであっても良いし、少なくともそれと多くの一致点を有するものであっても良い。第一データセットと第二データセット間に十分な一致があることで、第一データセットと第二データセットは後述のステップで位置合わせできる。好適な実施例では、第一ボリュームデータセットで得られる解剖構造と第二ボリュームデータセットで得られる解剖構造との間には少なくとも約70%の一致がある。ある場合には70%以上の一致が更に好適で、他の場合には70%未満の一致でも十分である。第二ボリュームデータセットは第一ボリュームデータセットと同じ視点で取得しても良いし、異なった視点で取得しても良い。
【0034】
他の例では第二ボリュームデータセットは、第一解剖構造に対して既知の、あるいは決定可能な空間関係を有する異なった解剖構造のものであっても良い。一つの態様では、第一ボリュームデータセットは患者の体の片側にある骨かその一部分であり、第二ボリュームデータセットは患者の体の反対側の骨かその一部分であって、第一骨の鏡像に実質的に対応するものであっても良い。これに限定されない例として、第一ボリュームデータセットは左大腿骨骨頭の画像データを含み、第二ボリュームデータセットは右大腿骨骨頭の画像データを含んでいても良い。左大腿骨骨頭は体の中心線に対して右大腿骨骨頭の鏡像と数学的に同等であると仮定される。このように、左大腿骨骨頭と右大腿骨骨頭は体の中心線に対して既知の、あるいは特定可能な空間関係を持つ。例えば、小転子のような大腿骨骨頭の目立つ標準解剖構造は左右の各大腿骨上の同一の位置にあり、体の中心線に対して互いに鏡像関係にある目標として識別できると仮定できる。異なる解剖構造間の他の識別可能な関係も本明細書で説明するように同様に識別でき、使用できる。
【0035】
ある応用例では、第二ボリュームデータセットは第一ボリュームデータセットとは処置において別の段階(手術中など)で取得される。一例では、第二データセットは患者が麻酔下で手術台に横たわっている時に取得された同じ骨又はその一部の術中ボリュームデータセットである。他の応用例では、第一及び第二ボリュームデータセットは両方とも術中、あるいは両方とも術前に収集するなど、同じ外科処置の同じ段階で収集しても良い。更に、一つ以上のボリュームデータセットを例えば術後診断などに役立てるために術後収集しても良い。
【0036】
第二データセットは、第一データセットと同じモダリティを使用して収集しても良いし、別のモダリティでも良い。一例では、第一及び第二ボリュームデータセットの両方とも外科ナビゲーションシステムで追跡するための追跡装置を有する3D超音波イメージングシステムを使用して取得される。本例では、第二データセットも外科ナビゲーションシステム20で追跡される超音波プローブ32を使用して収集される。
【0037】
その後、処理はブロック112に移行し、同ブロックでは第二基準フレームを第二ボリューム第二データセットに付加する。第一基準フレームと同様に、第二基準フレームは任意基準フレームであっても良く、本明細書で説明するように同様な方法で付加または決定できる。第二任意基準フレームは好適には第二ボリュームデータセットにより一意に定義される。一例では、第二任意基準フレームは、第一解剖構造に対して上記で説明したものと同様に、解剖構造により定義される。第二基準フレームは第一基準フレームと同一であっても良いし異なったものであっても良い。
【0038】
処理はブロック114にも移行し、同ブロックは第二ボリュームデータセットの、ボリュームデータセットの空間的一意の物理的空間側面などの、固有の特徴を識別する。第一ボリュームデータセット及び第二ボリュームデータセットが実質的に同一の解剖特徴に関するものである場合、両ボリュームデータセットの固有特徴は同一であることが好適である。その理由は、同一の解剖特徴は第一ボリュームデータセットと第二ボリュームデータセットに関して、画像慣性モーメントなど、同一の一意の空間的特徴を有するはずであるからである。例えば、超音波画像の画像慣性モーメントを計算するシステムでは構造の慣性モーメントは一定であり、該構造がどの視点から観察されるかとは関係なしに、特定の構造に対して実質的に一意である。故に、同じ解剖特徴の慣性モーメントは、異なった視点から得られた解剖特徴の異なったボリュームデータセット中で一意に識別可能である。そのような例では、第二任意基準フレームも画像慣性モーメントと一意かつ空間的に対応していても良い。
【0039】
ブロック116は、ブロック106と同様に、あるいは任意の十分な方法で、第二基準フレームを第二ボリュームデータセットの固有の特徴と相関される。
【0040】
処理は次にブロック118に移行し、同ブロックは第一基準フレームを第二基準フレームに位置合わせする。一実施例では、ブロック118は、各画像の一意慣性モーメントを求め、第一ボリュームデータセットの慣性モーメントを第二ボリュームデータセットの慣性モーメントに照合することに基づいて第一任意基準フレームと第二任意基準フレームを相関付け、それに基づき適切な変換マトリックスを計算するなどの、データセット整合を行う。データセット整合の他の可能な方法としては、第一ボリュームデータセット及び第二ボリュームデータセットの異なるボリュームデータ整合を行い、そうすることにより、適切な又は一般的に知られた方法を使用して第一ボリュームデータセット及び第二ボリュームデータセットが実質的にオーバーレイされ、相互に相関される。位置合わせもまた、例えばボリューム対ボリューム整合、表面対表面整合、及び/又は点対点整合などの他の方法を使用して行うことができる。どのような位置合わせ手法でも、回転、平行移動、スケールを含む数理変換は好適にはコンピュータシステム24で計算され、同コンピュータシステムは共通の、あるいは共通であると仮定される空間的に一意の特徴を2つのボリュームデータセットに位置合わせする。次にコンピュータシステム24は任意基準フレームのうち1つ又は両フレームを変換し空間的に一意の特徴、すなわち各ボリュームデータセットを、相互に位置合わせさせる。適切な変換と位置合わせを計算し行う、他の等しく効率的な方法も当業者に知られているように使用できる。
【0041】
処理は次にブロック120に移行し、同ブロックは解剖構造の機能情報など、第一基準フレームからの追加空間情報を第二基準フレームに関係付ける。第一ボリュームデータセットからの追加空間情報は、第一ボリュームデータセットと第二ボリュームデータセットが位置合わせされた後(あるいは同時)には、第二ボリュームデータセットの第二任意基準フレームと関連している。このようにして、第二ボリュームデータセットが取得された時に追加空間情報が直接使用可能でなくても、該追加空間情報は第二任意基準フレームと対応する。例えば、追加空間情報が上記のように重力ベクトルを含んでいると、解剖構造が異なった方向にあったとしても追加空間情報は解剖構造に対して正しい方向で第二ボリュームデータセットと対応し、位置合わせされる。追加空間情報が上記のように他の基準フレームの位置と方向を識別するベクトルを含んでいる場合、第二ボリュームデータセットの部分でない非連続ボリュームデータセットの位置と方向は、追加空間情報を構成するベクトル情報の対応と位置合わせに基づいて識別されても良い。
【0042】
オプションとして処理はブロック122に移行し、同ブロックは第二ボリュームデータセットとの位置合わせをディスプレイ装置に表示する。追加空間情報の追加的操作及び使用が所望のように行われることができる。
【0043】
上記のブロック100−122は、当業者に明らかなように、ステップを減らすために結合したり、分解して追加ステップを含めたり、配置しなおしたり、順序を変えたり、変更することができる。図2Aに示すように、ある場合のステップ100−122は図2に示すステップ80−92と相関があり、これらのサブステップとみなすことができる。更に、図2及び図2Aのフローチャートで表されるロジックは、図1の外科ナビゲーションシステム20などのブロック80−92及び/又は100−122を実現するよう構成された任意のコンピュータシステムでも実現できる。一実施例では、コンピュータシステム24には図2及び図2Aのブロックとプロセスを実行するための適切にプログラムされたソフトウェアとハードウェアが含まれている。
【0044】
図3A、図3B、及び図3Cで示す例では、追加空間情報は術前ボリュームデータセットから得られた解剖構造の機能情報であり、術中ボリュームデータセットに関連付けられた機能情報を含んでおり、機能情報は患者に対する外科処置中に使用できるようになっている。例えば臀部関節形成術など、そのような外科処置の一つでは、臀部関節を成す様々な骨に作用する重力ベクトルは、患者のある種の機能的運動特性に基づいた人工臀部移植の構成部分の精密な位置決めの重要な要素となる。他の実施例では、解剖構造に関する機能情報は複数の異なった位置や期間に渡って取得できる。例えば、様々な位置にある膝関節に関する機能情報を取得することができ、外科処置中に使用する伸展/屈曲、内反/外反、その他の情報を収集できる。
【0045】
膝関節形成術においては、人工構成部品は、大腿機械軸、骨盤前頭面、又は他の標準解剖基準フレームなどの局部生体力学的/解剖学的基準に頼らずに、本明細書で述べる任意基準フレームを使用して、正確に、効果的に配置される。本明細書で使用される「局部」基準フレームとは、特定の骨格目標など、患者の特定の認められた又は定義済みの解剖特徴に基づく基準フレームである。それと対比して「任意基準フレーム」は観察されている特定のボリュームデータセットなどの、観察されている特徴のみに基づき一意に識別された基準フレームを意味する。換言すれば、任意基準フレームは構造の他の部分に対する1つ以上の特定の定義済み解剖目標の位置に依存せず、注目の対象となる構造のみの一意的空間特性に相関付けられ、それから識別可能な基準フレームである。
【0046】
重力ベクトルGなどの機能情報を術中処置に関連させることにより、患者の自然な運動と運動パターンに基づき正しい人工部品を最適な位置と並べかたで入れることが容易になる。人工部品の位置と並びは、例えば関節特有の解剖、力学的制約、患者のライフスタイル特有の活動、及び人工部品デザイン特有の幾何学的、力学的制約などの複数のパラメータを使用して最適化できる。更なる最適化は、人工部品を受け入れるために関節を準備した後など、術中に現れるか視覚可能となる他の関連する要素を取り入れることにより実現できる。
【0047】
図3Cは、図3Aと図3Bで示す機能情報を含む外科ナビゲーションシステム20などであるコンピュータ実施の外科ナビゲーションシステム上の、追加空間情報を利用する一つの方法と特定の例中のステップを示す。ブロック170では、患者が立っている時、患者154の臀部152又は臀部の部分の術前画像ボリュームデータセットが取得される。好適には、画像ボリュームデータセット150は超音波プローブ32で取得され、同プローブはカメラアレイ26で追跡され、臀部関節の対象となる骨の画像データが収集され、画像データは外科ナビゲーションシステムで利用可能な適切な電子記憶装置に保存される。
【0048】
ブロック172は、カメラアレイの軸などの任意軸を画像ボリュームデータセット150で定義し、画像ボリュームデータセットの一意空間パラメータを識別し、任意軸を空間パラメータに相関する。この特定の例では、一意空間パラメータは好適には上述のように計算された臀部骨の画像ボリュームデータセットの画像慣性モーメントを含む。オプションとして、図3に示すように、任意軸は、臀部152の前面平面156などのような局部解剖パラメータに相関されている。
【0049】
ブロック174は、重力ベクトルGなどの機能情報を含む追加空間情報を画像ボリュームデータセット150に付加する。この例では、重力ベクトルGは図3Aの臀部152に対して床に向かって下向きになっているが、その理由は画像ボリュームデータセット150の取得中に患者は直立しているからである。重力ベクトルは加速計付きの慣性システムで取得されるが、液面測定装置などの本分野で知られているどのような良好なシステムを使用しても良い。重力ベクトルGは、前面平面156に対する特定の傾斜角度βなど、解剖パラメータ及び/又は任意軸に対する重力ベクトルGの方向を決定することにより空間的に付加される。更なる例では、機能平面158、腸骨稜、恥骨結合部などの他の解剖パラメータ、及びそれらで定義される様々な平面、角度なども定義でき、その結果、重力ベクトルGはそれら解剖パラメータに関連付けられ得る。
【0050】
ブロック176は、ブロック170と同様に患者がうつぶせになっている時、同じ領域の術中画像ボリュームデータセット160を収集する。
【0051】
ブロック178は、画像慣性整合や前述のボリュームデータセット整合手法などの適切なデータ一致手法を使用して術前画像ボリュームデータセット150及び術中画像ボリュームデータセット160を位置合わせする。その位置合わせの結果、重力ベクトルGは処理中に使用するために同時、あるいはその後術中ボリュームデータセット160に転写される。
【0052】
ブロック180は、臀部骨と位置合わせされた重力ベクトルGと共に画像ボリュームデータセット160をディスプレイ装置22に表示する。次に、外科ナビゲーションシステム20を使用して人工器官を臀部の骨に合わせる。その結果、重力ベクトルGに対しての骨の位置に基づき予め選択された骨に対して関連付けられる。
【0053】
図3A−3Cに関連して示される方法は、好適には外科ナビゲーションシステム20で実現され、ブロック172,174,178,180は好適には当業者にとって任意の既知の方法で、コンピュータシステム24に関連付けられ、好適にはこれを制御する適切なコンピュータソフトウェア・ルーチンで行われる。
【0054】
図4A−4Cは、ボリュームデータ整合位置合わせ手順の一例を示し、そこでは3つのデータセット収集スクリーンショットが示されている。第一ステップでは、患者の臀部の術前ボリュームデータセット190が超音波プローブで収集されて図4Aで示されるディスプレイ画面で示され、それに第一任意基準フレーム192が付加される。オプションとしては、重力ベクトルGなどの追加空間情報がボリュームデータセット190に対して一意の空間位置で対応する。次に臀部の術中ボリュームデータセット194が収集され、それに対して第二任意基準フレームが付加される。本例では、術前ボリュームデータセット中の臀部の解剖パラメータには右腸骨稜198、左腸骨稜200、及び恥骨結合部202が含まれる。同じ右腸骨稜、左腸骨稜、及び恥骨結合部術中ボリュームデータセット194でも識別され、術前及び術中ボリュームデータセットによりデータセットの一意任意基準フレームが設定される。追加的に、あるいは別途、術前及び術中ボリュームデータセット190、194の画像慣性モーメントが計算され、術前ボリュームデータセット190の画像慣性モーメントは、術中ボリュームデータセット194の画像慣性モーメントと同一であるか、それに十分に近いものである。2つのボリュームデータセット190、194間で約70%以上の一致があることが好適である。図4Bは並べられているものの位置合わせされていない第一及び第二任意基準フレーム192、196など、位置合わせ前の重ね合わされた臀部の術前ボリュームデータセット190及び術中ボリュームデータセット194を示す。術前データセット190及び術中データセット194は次にそれぞれのデータセットを重ね合わせ相関することにより基準フレーム移動により位置合わせされる。この一例が図4Cに示され、臀部の術前及び術中ボリュームデータセット190、194は位置合わせの後重なり合っている。術前及び術中ボリュームデータセットが位置合わせされると、データセット間の変換を使用して、重力ベクトルなどの追加空間情報が術前ボリュームデータセット190から術中ボリュームデータセット194に関連付けられる。上述のように、重力ベクトルGは術前ボリュームデータセット中の臀部の解剖パラメータに対して決定され、それと一意の空間関係でそのボリュームデータセットに付加される。
【0055】
図3A−3C及び図4A−4Cの実施例は、典型的には重力ベクトルGの近似として機能平面158を使用した従来の外科処置と比べて改善されたものである。機能平面158は例えば上前腸骨稜を決定して前後身体軸を積分するなど、既知の方法で決定される。機能平面158は重力ベクトルに対する良好な近似を与えるものであるが、機能平面158の方向と重力ベクトルGの方向との間には一般的に約5°から10°の差が存在する。したがって、通常の活動と運動パラメータに関して患者の機能的側面を考慮する場合、重力ベクトルGの検出と付加はより正確で信頼性の高い方法である。
【0056】
本明細書で開示する概念は、整形外科、再建術、あるいは外傷外科処置などでも利用でき、そのような処置では対象となる部位の機能と解剖構造を再構成することが重要である。ある場合には、対象となる部位を修理するために空間的関係、角度、及び生体力学的パラメータなどの対称生体力学パラメータを与えて損傷部位を反映するために無傷の部位が使用される。例示のみに図5を参照すれば、左大腿骨骨折の患者の場合、同患者の健康な右大腿骨の画像データと機能情報を得ることができる。右大腿骨の機能情報は図2の処置で骨折した左大腿骨と関連付けられる。本例では、当業者に明らかなように、左右両方の大腿骨に関するデータセットは通常外傷外科の条件下で取得される。
【0057】
図5の例を参照すれば、左大腿骨212及び右大腿骨214の概略画像データセット210では、左大腿骨212には左大腿首部を横断して左大腿頭部218を分離するような重大な骨折216が発生しているが、右大腿骨214には影響がない。画像データセット210は、上述のように超音波プローブ32や外科ナビゲーションシステム20などの適切なモダリティで一度に取得でき、コンピュータシステム24に保存できる。次にコンピュータシステム24は左右大腿骨212,214に関する情報を画像データセット210から作成する。該情報には、左大腿骨頭部218を含む第一ボリュームデータセット220と、左大腿体224の一部分を含む第二ボリュームデータセット222が含まれる。各ボリュームデータセット220、222は好適には互いに連続でないか、骨折216の対向側とは数理的に分離されたものであるかの少なくとも一方である。更に、該情報は無影響の右大腿骨214を含む第三ボリュームデータセット226も含んでいる。第三ボリュームデータセット226は、右大腿骨214の頭部と右大腿体の一部分の非連続ボリュームデータセット230を含んでいる。各ボリュームデータセット228と230を含めてボリュームデータセット226全体が取得されている間、右大腿骨214は固定されている。或いは、各ボリュームデータセット228及び230の位置情報に関して相互に追加ロバスト性を与えること、及びボリュームデータセット226の取得中の右大腿骨の動きを補正することの少なくとも一方のために、ボリュームデータセット226が取得されている間、追跡装置(図示せず)を大腿骨214に取り付けても良い。
【0058】
各ボリュームデータセット220、222、228、230には任意基準フレーム232、234、236、238がそれぞれ付加される。各基準フレーム232、234、236、238は好適にはここで説明する画像慣性モーメントなどの、ボリュームデータセットの一意に識別可能な特徴に相関される位置と方向を有する。
【0059】
各ボリュームデータセット222、230の、位置及び方向を含めて、空間関係を相互に一意に定義するベクトル240から成る追加空間情報が設定される。したがって、2つのボリュームデータセットが相互に連続していなくても、各基準フレーム236及び238は、カメラアレイ26などのグローバル基準フレーム242中で、ベクトル240により相互に空間的に相関されている。勿論他のグローバル基準フレームを使用しても構わない。追加的ベクトル240の計算は必ずしも必要でないが、ボリュームデータセット228がボリュームデータセット230と連続している例の場合、冗長測定を与えることにより更なる数理的ロバスト性を与えるためにこのような計算を使用しても良い。
【0060】
次に、無影響の右大腿骨214の対応する部分と一致する左大腿骨頭部218及び左大腿骨体部224の再構成位置を決定するために、損傷した左大腿骨212の第一ボリュームデータセット220及び第二ボリュームデータセット222を整合させて、無影響の右大腿骨214の第三ボリュームデータセット226の対応する部分228及び230それぞれと位置合わせする。一例示的の方法では、位置合わせプロセスには無影響の右大腿骨214の基準フレームから損傷の左大腿骨212の両ボリューム220、222の基準フレームへの移し替えを行うことが含まれている。これを行うためには、左大腿骨212の形状と位置は右大腿骨の形状と位置と同一で、これらの間の中心線に対して鏡像であることが前提となっている。更に、ボリュームデータセット228、230に取得された右大腿骨214の部分の形状はボリュームデータセット220、222に取得された左大腿骨212の対応する部分の形状と実質的に対応していることが前提となっている。これらの仮定により、右大腿骨214の基準フレーム236、238及び対応するボリュームデータセット228、230及びベクトル240は左大腿骨212と一致する位置にあるため、中心線244に対して数理的に反映しているものである。次に、左大腿骨212のボリュームデータセット220、222のうち一つが、右大腿骨214の対応する反映するボリュームデータセット228又は230と合わされる。例えば、各ボリュームデータセット222、238の両方は、反映ボリュームデータセット238にボリュームデータセット222を位置合わせするために使用される小転子などの容易に識別可能な3次元特徴を含んでいても良い。他の例では、各ボリュームデータセット222、238の両方の画像慣性モーメントが計算され、右大腿情報を反映(ミラーリング)した後画像慣性モーメントが合わされる。反映(ミラーリング)した対応する各ボリュームデータセットを位置合わせする他の方法を使用しても良い。
【0061】
ボリュームデータセット222を反映ボリュームデータセット238に位置合わせした後、無影響右大腿骨214の他の部分の方向に関する情報を損傷の左大腿骨212に関連付け、損傷の左大腿骨212の骨折した部分を正しく配置するために外科医によって使用されることができる。例えば、反映ベクトル240’及びボリュームデータセット228では、左大腿骨体部224に対する左大腿骨頭部218の理論的に正しい位置が定義されている。好適には、追跡装置246、248が左大腿骨体部224及び左大腿骨頭部218のそれぞれに取り付けられ、処置中に外科ナビゲーションシステム20により独立して追跡される。外科医は、左大腿骨の各部分218、224を調整して、右大腿骨214の反映ボリュームデー228、230の位置合わせに基づいて理論的に導出された位置に合わせることができる。
【0062】
損傷した骨の対応する部分に対する無影響の骨の関連部分のみが注目の対象であるので、局部基準フレームを使用して患者の体の残りの部分に対して各ボリュームデータセット220、222、226、228、230の絶対位置を計算する必要はない。むしろ、ボリュームデータセット及び付随する基準フレームは任意に選んでも構わない。それゆえに、局部基準フレームを設定する必要がないので時間とコンピュータ資源の節約となる。勿論、本方法はここでの説明のように大腿骨に対する処置に限定されていない。腕、肋骨、足、手、臀部などの体の中心線の両側で実質的に鏡像となるどのような解剖構造に対しても僅かな変更で応用できる。
【0063】
本開示では、解剖基準フレームなど、一つの時期での解剖構造に関する一つのデータセットから、他の時期での同じ解剖構造の他のデータセットに対する空間情報も考慮の対象となる。図6A及び図6Bで示す例の場合は、手術台での患者の位置と覆いのために外科処置中はアクセス不可能な解剖基準フレームを術前に定義する機能である。この例では、前腕へのアクセスが可能である段階で、下部の骨の画像データも含む、前腕250の術前ボリュームデータセットが追跡超音波プローブ32及び外科ナビゲーションシステム20を使用して収集される。例えば、図6Aに示すように、前腕250の一つの位置での第一ボリュームデータセット252と、前腕250の別の位置での第二ボリュームデータセット254とが、両位置がアクセス可能である時に取得される。術前データセットは、注目対象である領域が準備され覆われてアクセス不能となった後の前腕250の領域を含むものであることが好ましい。解剖構造がアクセス可能である時、カメラアセンブリ26のグローバル基準フレーム256など、解剖基準フレームや他の空間情報が定義され、各ボリュームデータセット252、254に関して任意基準フレーム258、260がそれぞれ定義される。各基準フレーム258、260は、上述のように、それぞれのボリュームデータセット252、254の画像慣性モーメントに対して既知の関係を有するなど、対応するボリュームデータセットに基づき一意に識別可能である。一旦定義されると、解剖基準フレームや他のグローバル基準フレーム256は術前データセットの任意基準フレーム258、260と幾何学的に対応し、任意基準フレーム258、260及びそれぞれのボリュームデータセット252、254を相互に一意の空間関係で対応付けるベクトル262が決定される。その後の手術中、図6Bで示す覆いのため、あるいは他の理由で、ボリュームデータセット254に対応する前腕250の部分は超音波プローブ32によりアクセス不能である。そのような場合、ボリュームデータセット252とかなりの部分で一致する後続のボリュームデータセット252’が超音波プローブ32及び外科ナビゲーションシステム20を使用して収集され、解剖構造又はグローバル基準フレーム256を後続のボリュームデータセット252’に関係付けるために任意基準フレーム258が再設定される。任意基準フレーム258は、ボリュームデータセット252、252’の画像慣性モーメントを一致させるなど、前述の方法と実質的に同様な方法で、あるいはボリューム整合や表面整合方法などで、再設定できる。コンピュータシステム24は、前腕250のその領域はアクセス不能であっても適切なプログラムルーチンを使用してベクトル262に基づき第二ボリュームデータセット254の位置を再設定する。これにより、外科ナビゲーションシステム20は、前腕250の骨の部分の位置を再設定できる。それは、以前識別された他のボリューム部分を表示することもなく、上述のように局部解剖目標を定義することもなく以前識別された骨の一ボリューム部分を表示することができることに基づいている。例えば、本明細書に提供される例は、骨などの長時間安定した構造的位置関係を保つ如何なる解剖特徴にも応用でき、空間的に相互接続可能な幾多のボリュームデータセットにも拡張できる。
【0064】
他の応用例では、機能情報は、局部解剖目標を定義する必要もなく、対応する異なった時期に複数の異なった位置で同じ解剖構造の複数のボリュームデータセットを収集することにより生成される。この応用の一例を図7Aと図7Bに示し、ここでは患者270の臀部の機能運動パラメータが決定される。この例では、患者の大腿の部分274の第一ボリュームデータセット272が収集され、骨盤の部分278の第一ボリュームデータセット276が収集されるが、これらは両方とも患者の足が伸びた位置にある時に行われる。患者の大腿274の実質的に同じ部分の第二ボリュームデータセット272’が収集され、骨盤の実質的に同じ部分278の第一ボリュームデータセット276’が収集されるが、これらは両方とも患者の足が屈曲位置にある時に行われる。各ボリュームデータセット272、276、272’、276’には、それぞれのボリュームデータセットの、一意に識別可能な特徴に対する既知の部分と相関されている任意基準フレーム280、282、284、286がそれぞれ付加される。各任意基準フレーム280、282、284、286は各ボリュームデータセット272、276、272’、276’の画像慣性モーメントと相関されていることが好ましいが、本文書で論ずるように特定のボリュームデータセットの他の識別可能一意属性も使用しても構わない。各ボリュームデータセット272、276間のベクトル288及び各ボリュームデータセット272’、276’間のベクトル288’を含む追加位置情報は、該各ボリュームデータセットの、カメラアレイ26の基準フレームなどのグローバル基準フレーム290に対する関係に基づき計算される。ある応用例では、前述のように、重力ベクトルGは任意基準フレーム280、282、284、286のうちの一つ以上のフレームに相関されている。同じボリュームの異なったボリュームデータセット(例えば272と272’)は、ボリュームの一意に識別可能な特徴に基づき相互に位置合わせされる。それは、前述のどのような適切な方法で行っても良い。大腿骨の同じ部分と骨盤の同じ部分の各ボリュームデータセットを取得するプロセスは、幾つもの更なる異なった位置に関して繰り返すことができる。例えば、通常の使用条件下での臀部の運動錐面を定義する場合などである。各ボリュームデータセット272、276、272’、276’は、外科ナビゲーションシステム20のカメラアレイ26で追跡される一つ以上の超音波プローブ32で上述のように取得されることが好適である。一つの方法及びシステムでは、各ボリュームデータセット272、276、272’、276’は追跡された単一の超音波プローブ32のみを使用して取得される。そのようなシステムでは、各位置でそれらのボリュームデータセットが取得されている間、大腿骨と骨盤に動きがないことが好適である。別の方法及びシステムでは、複数の超音波プローブ32が、例えば患者の足などが異なった位置に動かされるたびに、各解剖構造の同時のボリュームデータセットを得るために同時に使用される。ある一定の範囲の運動錐面や重力ベクトルGなどの様々なボリュームデータセットに空間的に関連する臀部関節の機能パラメータは、定義済みの解剖特徴に基づく局部解剖構造基準フレームを定義及び/又は決定することなしに、様々なボリュームデータセットに基づいて計算できる。外科ナビゲーションシステム20に付随する一つ以上のコンピュータシステム24が必要な計算を行い、当業者に既知の方法で、すべての付随するデータをシステムに付随するメモリに保存することが好適である。同様に、体の他の部分に関して同じか同様な機能運動分析を行うことができる。
【0065】
上記の実施例の個々の特徴の様々な組み合わせから成る他の実施例は特に本明細書に含まれているものとする。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本明細書で説明した各方法及び各システムは、他のデータセットで該情報が利用不能であるか容易に取得できない場合でも一つのデータセットから別のデータセットの情報の関係を容易化する。本文書開示の各方法と各システムは、様々な側面で異なったデータセット中の任意に定義された一意基準フレームを有利に利用し、二つ以上のデータセット間で比較及び照合の少なくとも衣っぽいができる特定の目標の識別と使用を必要とせずにデータセットを簡単に位置合わせでき、情報を関連付けることができる。本明細書で開示された教示により利益を得る具体的な処置としては、関節形成術など、手術中機能評価を行う外科処置、無影響の解剖構造からの情報を損傷の解剖構造へ反映せしめる外傷手術などが含まれる。
【0067】
上記の説明により、本発明の幾多の変更は当業者にとって明らかになるであろう。したがって、この説明は例示的な説明のみとして理解されるべきであり、当業者が本発明を利用し、それを実行するための最善の形態を教えるために開示されているのである。添付の特許請求の範囲中にある全ての変更の権利は保有されている。本明細書で参照される全ての特許公報と特許出願公報は、その全体において本明細書に組み込まれてある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータで実行される、第一データセットに対応付けられた情報を第二データセットに位置合わせする方法であって、
イメージング装置で解剖構造の第一データセットを収集するステップと、
一意に識別可能な空間関係を第一データセットの構造に対して有する、第一データセットの追加情報を作成するステップと、
前記解剖構造上の如何なる目標をも参照しないと共に、一意の空間関係を第一データセットに対して有する、第一データセットの第一任意基準フレームを設定するステップと、
イメージング装置で解剖構造の第二データセットを収集するステップと、
第二データセットの第二任意基準フレームを設定するステップと、
第一データセットの一意空間パラメータを第二データセットの同じ一意空間パラメータと整合させることにより第一基準フレームを第二基準フレームに変換するステップと、
前記追加情報を第二データセットに位置合わせするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第一基準フレームを設定するステップは、
如何なる基準位置からも識別できる、解剖構造に対して一意の位置と方向を有する、第一データセット中の固有特徴を計算するステップと、
前記固有特徴を第一任意基準フレームに相関付けるステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二任意基準フレームを設定するステップは、
第二ボリュームデータセット中の固有特徴を識別するステップと、
前記固有特徴を第二任意基準フレームに相関付けるステップと、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記変換するステップは、
コンピュータ外科ナビゲーションシステムで行われ、前記固有特徴に基づき第一データセットを第二ボリュームデータセットに位置合わせするステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記収集ステップは、前記コンピュータ外科ナビゲーションシステムでデータセットを収集するステップを含み、
前記方法が、第二データセットに位置合わせされた追加空間情報をディスプレイ装置で表示するステップをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
解剖構造の第一ボリュームデータセットに関する空間情報を前記解剖構造の第二ボリュームデータセットに対応付ける、コンピュータで実行される方法であって、
コンピュータ外科ナビゲーションシステムで前記解剖構造の第一ボリュームデータセットを取得するステップと、
第一ボリュームデータセットへ第一任意基準フレームを付加するステップと、
如何なる基準位置からも識別できる、解剖構造に対して一意の位置と方向を有する、第一ボリュームデータセットの固有特徴を計算するステップと、
前記固有特徴を第一任意基準フレームへ相関させるステップと、
第一任意基準フレームと相関される一意の空間関係を有する追加空間情を、第一ボリュームデータセットと対応付けるステップと、
コンピュータ外科ナビゲーションシステムで前記解剖構造の第二ボリュームデータセットを取得するステップと、
第二ボリュームデータセットへ第二任意フレームを付加するステップと、
第二ボリュームデータセットの固有特徴を識別するステップと、
前記固有特徴を第二任意基準フレームへ相関させるステップと、
コンピュータで行われ、前記固有特徴に基づき第一ボリュームデータセットを第二ボリュームデータセットへ位置合わせするステップと、
前記追加空間情報を、第二ボリュームデータセットに位置合わせして相関させるステップと、
第二ボリュームデータセットの位置合わせ中の追加空間情報をディスプレイ装置で表示するステップと、
を含む、方法。
【請求項7】
前記固有特徴を計算するステップは、第一ボリュームデータセット及び第二ボリュームデータセットの各々の画像慣性モーメントを計算するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項8】
前記第一ボリュームデータセット及び第二ボリュームデータセットは同一のモダリティで取得されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モダリティは前記コンピュータ外科ナビゲーションシステムで追跡される超音波装置で構成されていることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記追加空間情報を対応付けるステップは、
重力ベクトルを識別するステップと、
前記重力ベクトルを第一任意基準フレームと相関付けるステップと
を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記第二ボリュームデータセットに位置合わせされた前記重力ベクトルをディスプレイ上に表示するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記追加空間情報を対応付けるステップは、
他の解剖構造の第三ボリュームデータセットを取得するステップと、
第三任意基準フレームを前記第三ボリュームデータセットに付加するステップと、
如何なる基準位置からも識別できる、解剖構造に対して一意の位置と方向を有する、第三データセットの固有特徴を計算するステップと、
前記第三ボリュームデータセットの固有特徴を第三任意基準フレームへ相関させるステップと、
前記第一任意基準フレームに対する前記第三任意基準フレームの一意の位置と方向を計算するステップと、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記第三ボリュームデータセットは前記第一ボリュームデータセットと連続していないことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記他の解剖構造は前記解剖構造に対して一定の位置を有することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記解剖構造及び前記他の解剖構造は単一の骨の一部分であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記解剖構造は第一の骨の一部分であり、前記他の解剖構造は第二の骨の一部分であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第一の骨は大腿骨であり、前記第二の骨は骨盤であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記追加空間情報に基づき、前記第一の骨と第二の骨との間の関節に関する機能情報を計算するステップをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第一ボリュームデータセットは第一回目に取得され、前記第二ボリュームデータセットは第二回目に取得されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記解剖構造及び前記他の解剖構造が第一の固定グローバル位置にある間に、前記第一ボリュームデータセット及び第三ボリュームデータセットが取得されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第二ボリュームデータセットは前記解剖構造が第二のグローバル位置にある時に取得されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第一ボリュームデータセット及び第三ボリュームデータセットは術前に取得され、前記第二ボリュームデータセットは術中に取得されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
患者の解剖構造の第一ボリュームデータセット及び前記解剖構造の第二ボリュームデータセットを取得する取得手段と、
如何なる基準位置からも識別できる、解剖構造に対して一意の位置と方向を有する、第一ボリュームデータセット及び第二ボリュームデータセットの固有特徴を計算する計算手段と、
第一任意基準フレームを前記第一ボリュームデータセットへ付加し、第二任意基準フレームを前記第二ボリュームデータセットへ付加する付加手段と、
前記固有特徴を前記第一任意基準フレームへ相関させる固有特徴相関手段と、
前記第一任意基準フレームと相関される一意の空間関係を有する追加空間情を、前記第一ボリュームデータセットと対応付ける対応手段と、
前記固有特徴に基づき前記第一ボリュームデータセットを前記第二ボリュームデータセットに位置合わせする位置合わせ手段と、
前記追加空間情報を、前記第二ボリュームデータセットに位置合わせして相関させる追加空間情報相関手段と、
を備えることを特徴とする、解剖構造のボリュームデータセットを収集し操作するシステム。
【請求項24】
前記第一ボリュームデータセットの重力ベクトルに対して前記解剖構造又はその一部分の方向を決定する決定手段をさらに備えることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記取得手段はコンピュータ外科ナビゲーションシステム及び超音波プローブで成ることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記計算手段は、前記第一ボリュームデータセット及び第二ボリュームデータセットの画像慣性モーメントを計算するコンピュータ実施のルーチンを含むことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
前記対応手段は、前記第一ボリュームデータセットに対する機能情報を識別する識別手段を含むことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項28】
前記機能情報の識別手段は、重力ベクトルを識別する手段を含むことを特徴とする請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記機能情報の識別手段は、関節の運動パラメータを識別する手段を含むことを特徴とする請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記対応手段は、前記第一任意基準フレームに対して第三任意基準フレームの一意の位置と方向を計算する手段を含むことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項31】
前記付加手段は、前記解剖構造上の予め定義された目標に対する参照なしに第一基準フレーム及び第二基準フレームを付加する手段を含むことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項32】
正常な形状から変更された骨の部分の位置を設定する方法であって、
変更されていない第一の骨の第一及び第二部分のボリュームデータを含む第一ボリュームデータセットを収集するステップと、
前記第一の骨の第一部分のボリュームデータセットの第一一意空間特性を識別するステップと、
前記第一一意空間特性と相関される、第一ボリュームデータセットの第一任意基準フレームを設定するステップと、
前記第一任意基準フレームと、前記第一の骨の第二部分との間の一意空間関係を識別するステップと、
中心線に対して通常第一の骨の鏡像である第二の骨を識別するステップであって、前記第二の骨は第一の骨の第一及び第二部分の実質的に鏡像構造として対応する第一及び第二部分を含み、第二の骨の第一部分が第二の骨の第二部分に対して変更された位置にあるように第二の骨が正常な形状から変更されている、ステップと、
前記第二の骨の第一部分の第二ボリュームデータセットを収集するステップと、
第一一意空間特性を実質的にミラーリングする、第二ボリュームデータセットの第二一意空間特性を識別するステップと、
第一一意空間特性を第二一意空間特性に相関させることにより、第一ボリュームデータセットを第二ボリュームデータに鏡像相関で位置合わせするステップと、
前記第二の骨の第二部分の正常位置を、前記第一の骨の第二部分の位置と、前記第一の骨の第一部分の位置合わせされた位置と関連するように一致させて、前記第二の骨の第二部分の正常な位置を再設定するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項33】
前記一意空間関係は、前記第一の骨の第一部分のボリュームデータと、前記第一の骨の第二の部分のボリュームデータ間の位置ベクトルから成ることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第二の骨の第一部分は外傷により前記第二の骨の第二部分から分離されていることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記第一ボリュームデータセット及び第二ボリュームデータセットは、コンピュータ外科ナビゲーションシステムにより追跡される超音波プローブで収集されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記コンピュータ外科ナビゲーションシステムで追跡される追跡装置で、前記第二の骨の第一部分及び第二部分の位置を追跡することをさらに含むことを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第一任意基準フレームは、解剖構造上の事前定義への参照なしに設定されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記第一一意空間特性及び第二一意空間特性を識別するステップは、各ボリュームデータセットの画像慣性モーメントを計算するステップを含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate


【公開番号】特開2012−20133(P2012−20133A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154736(P2011−154736)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(511170825)ストライカー ライビンガー ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (1)
【Fターム(参考)】