説明

触覚ディスプレイ及びその製造方法

【課題】 携帯性に優れ、かつ衝撃などに耐性を有し、可とう性を有する触覚ディスプレイ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の触覚ディスプレイは、触覚を刺激する刺激部位がマトリクス状に形成された触覚表示部が設けられた触覚ディスプレイであり、刺激部位を上下駆動させる高分子材料で形成された長尺形状の高分子アクチュエータと、高分子アクチュエータの駆動制御を行う有機材料で形成された有機トランジスタとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に機械的刺激を提示し、人間に2次元または3次元的な情報を伝達するための触覚ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、点字ディスプレイやバーチャルリアリティで用いる形状ディスプレイなど、 感覚代行で使用する触覚ディスプレイの小型化に関する開発が行われている。
間隔代行のためには、触覚の情報提示方法が実際の情報伝達の結果を左右することになる。現在の多くの触覚ディスプレイは、触刺激素子を2次元のマトリクス状に配列した空間情報提示型が採用されている。
通常、能動的な皮膚にたいする触刺激の状態に依存する場合、提示する情報を示すパターン全体を、一括して触覚ディスプレイに提示している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、点字ディスプレイは、2次元マトリクスに配列した、アクチュエータによる機械的な触刺激素子を、上下に駆動させて表示面全体に凹凸を形成するものである。
例えば、触刺激素子がピンアレイで形成されている場合、凹凸した素子が時間的にそのままの状態を保ち、利用者が指で触れることにより、指の皮膚感覚により、表示された情報を認識する。
点字ディスプレイとしては、1ユニットが6ピンないしは8ピンからなるものが、また、パターン情報表示用には複数のピンで構成された2次元型パターン情報提示装置、3次元型パターン情報提示装置が作られている。
【特許文献1】特開2003−122246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す点字ディスプレイにおいては、ソレノイド型のアクチュエータと無機半導体の制御回路とから構成されている。
このため、上記点字ディスプレイには、触覚刺激を提示するためのアクチュエータの機械的駆動のために要する消費電力が他の電子回路に比較すればかなり大きく、ポータブル型の触覚ディスプレイを設計するためには電力量の大きなバッテリを設ける必要がある。
また、上記点字ディスプレイは、触刺激素子としての触ピンを、マトリクス状に複数配置するため、実際の触知部位よりもそれを駆動する機構を収納する部位の容量が極めて大きくなるり、大きさ・重量とも過大となり、携帯性が良くないという欠点がある。
また、上記点字ディスプレイは、無機材料で形成されており、剛性が強いため、衝撃性に弱い欠点を有している。
さらに、従来の触覚ディスプレイは、無機材料で形成されているため、可とう性が悪く触覚表示部が変形しないので、人間の皮膚に対して装着し難いという欠点がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、携帯性に優れ、かつ衝撃などに耐性を有し、可とう性を有する触覚ディスプレイ及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の触覚ディスプレイは、触覚を刺激する刺激部位がマトリクス状に形成された触覚表示部が設けられた触覚ディスプレイであり、前記刺激部位を上下駆動させる高分子材料で形成された長尺形状の高分子アクチュエータと、該高分子アクチュエータの駆動制御を行う有機材料で形成された有機トランジスタとを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の触覚ディスプレイは、前記各高分子アクチュエータの長尺方向が、前記表示平面において斜め方向に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の触覚ディスプレイは、前記高分子アクチュエータ各々が、長尺方向の駆動範囲を等しくするスペーサに固定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の触覚ディスプレイは、刺激部位上部を含む触覚表示部全面がフッ素コートされたシリコンゴムの保護シートで覆われていることを特徴とする。
【0010】
本発明の触覚ディスプレイは、前記触覚表示部が複数のブロックから構成され、各ブロックが点字1文字分の分解能の刺激部位を有する点字ディスプレイとして形成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の触覚ディスプレイの製造方法は、触覚を刺激する刺激部位がマトリクス状に形成された触覚表示部が設けられた触覚ディスプレイの製造方法であり、前記刺激部位を上下駆動させる高分子材料で形成された、触覚表示部毎に設けられた長尺形状の高分子アクチュエータからなるアクチュエータ層を形成するアクチュエータ作成工程と、該高分子アクチュエータを刺激部位単位に駆動制御を行う有機材料で形成された有機トランジスタからなるトランジスタシートを形成するトランジスタシート作成工程と、各高分子アクチュエータと、それぞれのアクチュエータを駆動するトランジスタとの位置が対向するように、アクチュエータ層とトランジスタシートとを重ね合わせて結合する貼り合わせ工程とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の触覚ディスプレイの製造方法は、前記アクチュエータ作成工程において、前記各高分子アクチュエータの長尺方向を、前記表示平面において斜め方向とするよう形成することを特徴とする。
【0013】
本発明の触覚ディスプレイの製造方法は、前記アクチュエータ作成工程において、前記各高分子アクチュエータの上下方向の駆動距離を等しくするスペーサに固定することを特徴とする。
【0014】
本発明の触覚ディスプレイの製造方法は、前記貼り合わせ工程において、トランジスタシートにおける各有機トランジスタのコンタクトパッドと、高分子アクチュエータとを導電体ペーストにより接合することで貼り付けることを特徴とする。
【0015】
本発明の触覚ディスプレイの製造方法は、刺激部位上部を含む触覚表示部全面をフッ素コートされたシリコンゴムの保護シートで覆う工程をさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の触覚ディスプレイによれば、刺激部位の駆動に高分子アクチュエータを用いているため、アクチュエータを小型化し、かつ刺激部位の駆動機構を簡易とすることができ、駆動機構の構成を全体的に大幅に縮小し、大きさ及び重量を低減させ、また消費電力を大幅に削減することが可能なため、従来例に比較して携帯性を向上させることができる。
また、本発明の触覚ディスプレイによれば、高分子(アクチュエータ部分)及び有機材料(トランジスタ部分)で形成されているため、衝撃に強く、また可とう性に優れており、触覚表示部を変形させることができ、人体への装着を容易とすることができる。
【0017】
また、本発明の触覚ディスプレイによれば、触覚表示部上部がフッ素加工したシリコンゴムのシートで覆われているため、従来例に比して、耐水性を向上させることができる。
また、本発明の触覚ディスプレイによれば、高分子(アクチュエータ部分)及び有機材料(トランジスタ部分)の温度による収縮及び膨脹の係数がほば等しいため、熱刺激に対して、無機材料で形成したアクチュエータと、有機材料で形成したトランジスタとの組み合わせにより形成したり、高分子材料で形成したアクチュエータと無機材料で形成したトランジスタとの組み合わせに比較し、強度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施例による触覚ディスプレイを図面を参照して説明する。図1は同実施例の一構成例としての点字ディスプレイ(触覚ディスプレイの応用として)の構造を示す概念図である。
一実施形態による点字ディスプレイは、主として、フレーム層100,高分子アクチュエータで構成されているアクチュエータ層200、及び有機トランジスタから構成されているトランジスタシート300が結合された構造となっている。図1は、上記点字ディスプレイを上部から見た平面図を示しているが、下層の状態が確認できるよう、フレーム層100およびアクチュエータ層200を部分的に取り外した構成を示している。
フレーム層100を見て判るように、触覚表示部が複数のブロックからなり、各ブロックが点字1文字の分解能の刺激部位がマトリクス状(例えば、刺激部位1つが1ドットとして、縦3×横2ドット)に配置して構成されている。この刺激部位は、後に説明するが高分子アクチュエータにより上下し、指の皮膚を刺激し、情報を神経の刺激として、利用者に知覚させて、情報の伝達を行うものである。
【0019】
また、上記有機トランジスタは、上記高分子アクチュエータを上下に駆動させる制御を行い、駆動対象の高分子アクチュエータと平面視でほぼ重なる位置に対向して配置されている。この有機トランジスタの回路構成は、例えば、図2に示すようなマトリクス構成となっている。ビットラインBL1〜BL21とワードラインWL1〜WL8とが交差する位置に、各高分子アクチュエータを駆動するトランジスタが配置されている。アクチュエータを駆動する際、このアクチュエータに対応する有機トランジスタにて交差するビットラインとワードラインとに信号を与えることにより、有機トランジスタからアクチュエータの電極に対して、高分子アクチュエータを上下駆動するための駆動電圧が印加されることになる。
フレーム層100には、触覚表示部のブロックにおいて、各刺激部位に対応した位置に孔が開口されている。そして、高分子アクチュエータにより上方へ押し上げられたとき、上記孔から刺激部位がフレーム層表面から突出し、一方、高分子アクチュエータが元の位置に戻ったときに、刺激部位の上部がフレーム層表面とほぼ同一か、または下部に位置することになる。
【0020】
次に、図3を参照して、刺激部位,高分子アクチュエータ及び有機トランジスタの構成を説明する。図3は、上記ブロックにおける1つの刺激部位に対応した部分の断面構造を示す概念図である。
トランジスタシート300の構造は、絶縁性の有機薄膜(例えば、PEN;ポリエチレンナフタレート、PI;ポリイミド等の絶縁体)の基板301表面に、金属(例えば、Cr/Au)のゲート電極302のパターン形成され、ゲート電極302及び露出している基板301を覆うゲート絶縁膜303が形成され、ゲート電極302に対向させ、このゲート電極302と同様な幅のチャネル層304が上記ゲート絶縁膜303表面に形成され、チャネル層304のパターンのそれぞれの端部にソース電極305A,ドレイン電極305Bを形成する。
【0021】
また、基板301裏面と、ソース電極305A,ドレイン電極305B,チャネル層304及び露出したゲート絶縁膜303との各々の表面に、それぞれ絶縁性の有機薄膜(例えば、パリレン樹脂)を封止膜307,封止膜306として形成している。
また、封止膜307,基板301ゲート及び絶縁膜303を貫通するビアホール308内に充填された導電体309によりソース電極305Aと、裏面の封止膜307上のパッド310とが接続されている。ここで、ソース電極305Aがパッド310を介して、アクチュエータ202の裏面電極に接続され、ドレイン電極305Bがいずれかのビットラインに接続され、ゲート電極302がいずれかのワードラインに接続される。
【0022】
次に、アクチュエータ層200の構造は、ブロックの内部方向に長尺状に形成された高分子アクチュエータ202と、ブロック内において各高分子アクチュエータ202の駆動部分の長尺方向の長さが均一になるよう、高分子アクチュエータ202上部の一方の端部に貼着されたスペーサ201とから構成されている。ここで、高分子アクチュエータ202は、電圧の印加により、高分子電解質内の陽イオンが陰極側へ移動し、表裏で膨潤に差が生じて伸縮状に変形することを利用し、駆動させるイオン伝導アクチュエータ、例えばデュポン社のNafion(登録商標)等を加工して形成している。また、高分子アクチュエータ202上部の他方の端部に刺激部位として、半球部材203(材質として、例えば、POM;ポリアセタール)が球面を上側にして、すなわち触覚表示部の表面から球面部分が突出する構成にて設けられている。
【0023】
また、高分子アクチュエータ202各々は、両面に電極(表面電極,裏面電極)が形成され、ブロックの下辺に対して斜め方向、例えば、45度の角度方向に、長尺方向が平行になるように形成されている。ここで表面の表面電極には所定の電圧、例えば接地電圧が印加されている。
そして、高分子アクチュエータ202の裏面電極と、各高分子アクチュエータ202の駆動を制御する有機トランジスタのパッド310とが接着用の導電体ペースト400(例えば、銀(Ag)ペースト)により電気的に結合される。ここで、各高分子アクチュエータ202と、それぞれの高分子アクチュエータ202を駆動する有機トランジスタとはほぼ対向した位置に配置されることになる。
【0024】
次に、フレーム層100の構造は、プラスチックフィルム(例えば、PET;ポリエチレンテレフタレート)で形成されたフレーム101と、このフレーム101の上面に貼着された保護シート102(フッ素コートされたシリコンゴム、例えば、PDMS;ポリジメチルシラン)とから形成されている。
フレーム層100の触覚表示部には、ブロック単位で上記刺激部位である半球部材203が、高分子アクチュエータ202で上下駆動される際、半球部材203上部に移動した場合、この半球部材203の上部が突出する孔が開口されている。ここで、突出した半球部材203の上部が、上記保護シート102を押し上げ、フレーム層100の上面に突出部を形成して、この突出部により利用者に皮膚刺激として知覚させる。
そして、フレーム層100とアクチュエータ層200とは、アクチュエータ層200のスペーサ201表面と、フレーム層100のフレーム101とを貼着することにより接合する。
【0025】
高分子アクチュエータ202の平面的な構造としては、図4(a)及び(b)に示す形状をしており、図4(a)が複数のブロックにより形成された触覚表示部を示し、図4(b)が1つのブロックを拡大した図である。
本実施形態においては、分解能が3×2の6ドット(刺激部位1つが1ドットに対応)であり、高分子アクチュエータ202の端部に刺激部位としての半球部材203が設けられている。すでに述べたように、高分子アクチュエータ202はブロックの底辺に対して45度の角度方向に対して、長尺方向が平行な長尺形状で形成されている。これにより、高分子アクチュエータ202の長尺方向の長さを他の配置に比較して長くすることができ、半球部材203の上下の駆動距離(変位)を、設定されたブロックの面積で最大限に取ることができる。
【0026】
高分子アクチュエータ202は、図4(c)に示すように、有機トランジスタがオン(On)して、裏面電極に表面電極より高い電位が印加されると、その電位に応じて上部方向に駆動(変位)し、端部に設けられた半球部材203を上部に押し上げ、フレーム101の孔から、フレーム101表面の上方に、半球部材203の上部を突出させる。これにより、半球部材203は、保護シート102を押し上げ、保護シート102表面、すなわち触覚表示部に、指の皮膚が知覚できる凹凸を形成し、触覚により知覚するデータの表示処理を行う。
【0027】
一方、高分子アクチュエータ202は、図4(d)に示すように、有機トランジスタがオフ(Off)して、裏面電位に表面電位と同様な電位が印加されると、平衡状態に戻り、端部に設けられた半球部材203を元の位置に戻し、フレーム101の孔から、フレーム101表面の上方に半球部材203を突出させない位置に変位する。これにより、半球部材203は、保護シート102の表面を上方に押し上げず、保護シート102表面の凹凸を無くして平坦の状態とする。
【0028】
図5(a)に示すトランジスタシート300全体の平面図に示す平面形状に有機トランジスタは配置されている。図5(a)における枠で囲んだ領域の拡大図である図5(b)に示すように、右上部の枠で囲んだ領域の3つの有機トランジスタがそれぞれ図4(b)の左側に配置された高分子アクチュエータ202を駆動し、左下部の枠で囲んだ領域の3つの有機トランジスタがそれぞれ図4(b)の右側に配置された高分子アクチュエータ202を駆動する。図2で示す回路構成上にて、図5(b)の有機トランジスタの対応関係を示した概念図が図5(c)である。この有機トランジスタのここで、各有機トランジスタの平面構造は図5(d)に示す形状となっており、電流を多く取るために形成されるチャンネル幅(キャリアの流れる方向に対して垂直チャンネルの長さ)を広く、チャンネルの断面積が大きくなるよう構成されている。
また、図5には図示されていないが、歩留まり改善のため、高分子アクチュエータ202の1つに対して、有機トランジスタが2つ割り当てられており(図5(b)で記載されている枠内で2列に並んでいる上下2つのトランジスタ)、有機トランジスタの動作チェックの結果、高分子アクチュエータ202毎に、一方が動作しない場合に動作しない方を、または双方とも動作する場合に不要な方の有機トランジスタを回路から切り離す。
この有機トランジスタの動作チェックを行う際、BL(ビットライン)が接続されていると、各有機トランジスタ単体での動作チェックが行えないため、この時点では分離されており、使用する有機トランジスタが決定された後、BLを配線し、動作しないまたは不必要な有機トランジスタを高分子アクチュエータ202から切り離す処理を行う。
【0029】
次に、上述した点字ディスプレイの製造方法を以下に説明する。
<トランジスタシートの製造方法>
トランジスタシートにおける各々の有機トランジスタの製造方法を、図6を参照して説明する。図6は、有機トランジスタの製造の各工程毎における、有機トランジスタの断面構造を示す概念図である。
図6(a)の工程において、75μmの厚さのポリイミドの基板301の上面に、約10−4Paの真空度において、約0.1nm/秒の成長速度により、ゲート電極の金属材料として、Cr:5nm/Au:50nmの薄膜を真空蒸着により堆積させる。そして、パターニングにおいて、ゲートを形成する以外の金属材料の薄膜を除去し、ゲート電極302のパターンを形成する。
【0030】
次に、図6(b)の工程において、ゲート電極302上面及び基板301の露出された上面に、スピンコート法により、ゲート電極302上部に240nmの厚さにポリイミドを塗布し、クリーンオーブンにて、120℃(1時間)→150℃(1時間)→180℃(1時間)の順にベーキング処理を行い、ゲート絶縁膜303を形成する。
次に、図6(c)の工程において、上記ゲート絶縁膜303表面に、2〜5×10−5Paの真空度中にて、真空蒸着により1nm以下/分の成長速度で、チャネル層の材料として、ペンタセタンの薄膜を50nm成長させる。
そして、パターニング処理により、ゲート電極302のパターンと同様の幅を有し、平面視にて重なる位置にチャネル層304のパターンを形成する。
【0031】
次に、チャネル層304上面及び露出されているチャネル層304及びゲート絶縁膜303上面に対し、ソースドレインの電極の材料として、約10−4Paの真空度において、約0.1nm/秒の堆積速度にて真空蒸着を行い、Auの薄膜を50nmの厚さで堆積させる。
そして、パターンニングにより、所定のチャネル長(ソース電極及びドレイン電極の対向する離間距離)となるよう、チャネル層304上部における両端部各々に、それぞれソース電極305A,ドレイン電極305Bの電極のパターンを形成する。
【0032】
次に、図6(e)の工程において、基板301の下面に、CVD(化学気相成長)法により、パリレンを8μmの厚さに堆積させ、封止膜307を成長させる。
そして、CO2レーザにより、ソース電極305A,ゲート電極302及びチャネル層304と離間したソース電極305近傍に、基板301,ゲート絶縁膜303及び封止膜307を貫通するビアホールの孔308を開口する。
次に、図6(f)の工程において、孔308内部に導電体として、例えばAuを充填させ、かつこの充填されたAuとをソース電極305Aとを結ぶ導電体として、例えばAuを蒸着させて、導電体309を形成する。
そして、封止膜307の裏面に、この導電体309と電気的に接続されたパッド400を例えば、Auにて形成する。
最終的に、ソース電極305A及びドレイン電極305B側の有機トランジスタ表面に、CVD(化学気相成長)法により、パリレンを8μmの厚さに堆積させ、封止膜306を成長させる。
【0033】
<アクチュエータ層の製造方法>
以下の説明において、各図の断面の概念図における二点鎖線の枠で囲まれている部分が、説明されている工程(現工程)の箇所を示している。
触覚表示部の1つのブロックにおける高分子アクチュエータの製造過程を説明するが、他のブロックも同様の工程で形成され、これら複数のブロックからなる刺激部位での触覚表示を行うアクチュエータ層200が形成される。
高分子アクチュエータの材料としては、デュポン社のNafion(登録商標)膜(製品番号NE−1110)などのイオン伝導性のアクチュエータ膜を用いている。
1.上記アクチュエータ膜に対する表面処理を、以下の洗浄処理にて行う。
a.70℃〜80℃の5% H2O2水溶液に1時間浸潤
b.70℃〜80℃のH2O(純水)に1時間浸潤
c.70℃〜80℃の1M(モル)濃度のHCl水溶液に1時間浸潤
d.70℃〜80℃のH2O(純水)に1時間浸潤
【0034】
2.次工程のメッキの付きをよくするため、アクチュエータ膜表面の粗表面処理(例えば、ヤスリがけなど)を行い、両面の超音波洗浄を10分行う。
3.室温の[AuCl2(phen)]Cl水溶液に、一定時間以上、例えば12時間浸し、無電界メッキを行い、表面電極及び裏面電極の形成を行う。
4.60℃のNa2SO3溶液に5時間浸し、メッキ表面の還元処理を行う。
この3及び4の処理を3〜7回繰り返して行う。
5.1M濃度のLiCl(金錯体)水溶液に、一定時間以上、例えば12時間浸し、イオン交換を行う。
7.図7(a)のアクチュエータ膜の平面図に示すように、アクチュエータ膜をパターンニングし、ブロックの内部方向に、長尺上の高分子アクチュエータ202を形成する。この高分子アクチュエータ202は、図7(b)の点字ディスプレイの断面図に示す位置に設けられ、図7(a)に示すように、アクチュエータブロックの内部方向に、ブロックの底辺に対して斜め、例えば45°の角度方向に平行に長尺方向が対応するように形成する。
【0035】
8.各高分子アクチュエータ202を独立に制御するため、図8(a)のアクチュエータ膜の平面図に示すように、裏面のメッキの1部を除去し(裏面電極を分割する絶縁溝を形成し)、それぞれの高分子アクチュエータ202の裏面電極を電気的に分離する。
また、高分子アクチュエータ202の裏面において、高分子アクチュエータのメッキを除去する位置として、図8(b)の点字ディスプレイの断面図に示すように、ブロック内周に接続されている近傍、すなわち裏面電極と導電体ペースト400とが結合される結合部と、ブロック内周部とが接続される領域にて行う。一方、表面電極は共通であり、組立後には接地電位に固定される。
【0036】
9.高分子アクチュエータ202の上面において、図9(a)のアクチュエータ膜の平面図に示すように、ブロックの外周に接続している部分と逆の端部に、皮膚を刺激する刺激部位として半球部材203を、上側に曲部が位置するように、シリコン・アクリル両面貼着シートにて貼着する。
この半球部材203の配設は、後に説明するフレーム101をスペーサ201上面に貼着させた後、フレーム101の開口部から行う方法が、位置合わせの精度を向上させることができる。また、図9(b)の点字ディスプレイの断面図に示すように、半球部材203は、例えば、半球の直径より十分大きな(球が含まれる大きさ)POMの柱状材料を、摩耗処理により例えば直径1.8mmの球状に加工した後に、球の片側からヤスリにより削り半球形状に加工して作成されている。
【0037】
10.図10(a)の点字ディスプレイの断面図に示す位置、すなわちトランジスタシート300上部に配置されている。
また、高分子アクチュエータ202の駆動部分以外を覆う形状のスペーサ201を、例えば、厚さ125μmの厚さのPENの薄膜を、図10(b)のスペーサ201の平面図に示すように、カッティングプロッターにより、同一ブロック内の各高分子アクチュエータ202の長尺方向の駆動部分の長さを同一と開口部201Aを開口する加工を行い、図11のスペーサ201の平面図に示すように、高分子アクチュエータ202の駆動部分(可動部分)に、上記開口部201Aが対応するようにアクチュエータ膜全面に貼着する。
【0038】
このスペーサ201は、アクチュエータ202のブロックの辺側における端部の裏面電極と、有機トランジスタのパッド310とを接続した際、パッド310部分にストレスが掛からないように、パッド310とコンタクトを取っている裏面電極の領域にて、高分子アクチュエータ202が駆動しないようにするためと、図11のアクチュエータ膜上面にスペーサ201を重ね合わせた状態の平面図に示すように、各ブロック内における高分子アクチュエータ202の駆動部分の長さを均一とするため、スペーサ201により、高分子アクチュエータ202の均一な長さLを超えている、余分な長さ部分を固定することにより、上下駆動の動作を抑制している。これにより、ブロック内の各高分子アクチュエータ202の駆動部分の長さを合わせ、各高分子アクチュエータ202の上下駆動(表示面に対して垂直方向)の変位(変位量)をほぼ同一にし、かつこの上下運動を可能とする空間を得るためとに用いられている。本実施形態においては、高分子アクチュエータ202の駆動部分の長さLを、例えば4mm(図3)としている。
【0039】
<フレーム層の製造方法>
次に、フレーム層100の作成について説明する。
フレーム101は、例えば厚さ500μmの厚さのPETの薄膜をスペーサ201に貼着した際、図12(b)の点字ディスプレイの断面図に示すように、半球部材203が高分子アクチュエータ202により上方に駆動された場合、自身の表面から上方に半球部材203が突出する位置に、図12(a)のフレーム101の平面図に示すように、半球部材203の直径(1.8mm)より大きな直径2mm〜2.1mmの孔105を、開口加工、例えばドリルで孔空けをすることにより形成する。ここで、図13の平面図に示すフレーム101とスペーサ201との貼着は、シリコン・アクリル両面貼着シートを用いて行う。
【0040】
このフレーム101とスペーサ201との貼着の後、すでに述べたように、半球部材203を球面が上方を向くように上記孔105から落とし込み、高分子アクチュエータ202の開放された端部上面に貼着する。この落とし込む際、高分子アクチュエータ202の配設する位置には、接着剤を塗布しておく。
そして、高分子アクチュエータ202の端部に半球部材203を配設した後、フレーム101の上面に、シリコン・アクリル両面貼着シートにより、フッ素コートされた10μmの厚さのPDMSの薄膜を貼着する。このPDMFの薄膜は予めフッ素コートしたガラス上にCVD等により成膜し、成膜されたPDMFの薄膜をフレーム101上面に転写する。このとき、ガラス上にコートされていたフッ素も同時に転写されることとなり、PDMF上面(すなわち、利用者の皮膚が密着する面)がフッ素コートされた状態で、フレーム101上面に貼着される。
【0041】
そして、上述してきたように、フレーム層100とアクチュエータ層200とはすでに接着されているため、トランジスタ層300とアクチュエータ層200との接続を行い点字ディスプレイの組立を終了する。
ここで、トランジスタ層300の各有機トランジスタの裏面に形成されたパッド400と、この有機トランジスタが駆動する高分子アクチュエータ202の裏面電極とを銀ペーストにより電気的及び物理的に接続する。
【0042】
<アクチュエータの性能評価>
次に、上述のように形成した点字アクチュエータの駆動特性の測定結果を図示して説明する。
図14は作成した有機トランジスタにおけるゲート電圧VGS毎に、ドレイン・ソース間電圧VDSを変化させた際のドレイン−ソース間電流IDSの対応を示しており、横軸がドレイン−ソース間電圧VES(V)、縦軸がドレイン−ソース間電流IDS(μA)である。ゲート電圧VGS(V)は、「−10V」〜「0V」まで、2V刻みで変化させている。図14から解るように、ゲート電圧VGSが「0V」の場合、ドレイン−ソース間電流IDSも「0A」であり、オン/オフ動作が正常に行われ、有機トランジスタがスイッチング機能を有し、ゲート電圧VGS及びドレイン・ソース間電圧VDS各々を変化させることにより、ドレイン−ソース間電流IDSが変化することが確認できた変調
【0043】
また、図15に示すIDS−VGS特性(ドレイン−ソース電圧VDS=−10V)から、本実施形態の有機トランジスタの移動度は1cm/Vsと求められた。このIDS−VGS特性から、オフ電流を正の電圧をバイアスとして印加した際の最小電流値とすると、電流値のオン/オフ比は106であることが判る。図15において、横軸がゲート電圧VGS(V)であり、縦軸がドレイン−ソース間電流IDS(A)である。
また、図16はドレイン−ソース間電流IDS及び電流値のオン/オフ比と、純水に浸した時間との対応関係を示している。横軸は純水へ直接に浸した時間(分)を示し、右の縦軸はドレイン−ソース間電流IDS(A)を示し、左の縦軸は電流値のオン/オフ比を示している。ここで、ゲート電圧VGS及びドレイン・ソース間電圧VDSは、それぞれ「−40V」であり、有機トランジスタのチャンネル幅Wとチャンネル長Lとの比W/Lは10である。図16から判るように、本実施形態の有機トランジスタは、表面にパリレンの保護膜(封止膜307及び306)が形成されているため、400分以上純水に浸しておいても、ドレイン−ソース間電流IDS及び電流値のオン/オフ比に変化はなく、耐水性に優れており、耐水性が必要な用途に応用できると考えられる。
【0044】
次に、図17は、高分子アクチュエータの印加電圧と変位(または変位量)とを示している。本実施形態における高分子アクチュエータは、長尺方向の長さが4mmであり、幅が1mmである。図17において、横軸が時間(秒)を示し、上側のグラフの縦軸が高分子アクチュエータの裏面電極及び表面電極間に印加された電圧値を示し、下側のグラフの縦軸が高分子アクチュエータの長尺方向において電極と対向する端部の上下駆動における変位(mm)を示している。この図17から−3Vのときと、3Vのときとにおいて、すなわち6Vの印加電圧の変化により、約0.3mmの変位があり、十分に皮膚の触覚で検知できる変位が得られることが判る。また、表面電極及び裏面電極間に印加される電圧変化のパルスの周期(図では2Hz)から、2Hz以上の応答速度があり、十分に触覚ディスプレイとしての変化に対応できる。
【0045】
また、図18は裏面電極及び表面電極間に印加される電圧と、高分子アクチュエータのに高分子アクチュエータの長尺方向において電極と対向する端部の上下駆動における変位の関係を示した図である。図18において、グラフの横軸が高分子アクチュエータの裏面電極及び表面電極間に印加された電圧(V)を示し、縦軸が高分子アクチュエータの上下駆動における変位(mm)を示している。十分な時間を掛ければ、図17に対して変位が大きくなることが判る。例えば、時間を十分に掛けた際、3Vで0.4mmの変位であり、一方、2Hzで動作させた際、3Vで0.25〜0.3mmの変位である。
また、図19は裏面電極及び表面電極間に印加される電圧と、高分子アクチュエータのに高分子アクチュエータの長尺方向において電極と対向する端部の上下駆動における実用発生力の関係を示した図である。図19において、グラフの横軸が高分子アクチュエータの裏面電極及び表面電極間に印加された電圧(V)を示し、縦軸が高分子アクチュエータの上下駆動における実用発生力(gf)を示している。この図19から、表示ディスプレイに利用者が指で触れた際に、十分に凹凸の触覚を与えることができる。
【0046】
次に、図20は、上述した有機トランジスタと、半球部材を配設した高分子アクチュエータとを、図3に示すように結合して組み立てた状態において測定した、裏面電極及び表面電極間に印加される電圧と、高分子アクチュエータのに高分子アクチュエータの長尺方向において電極と対向する端部の上下駆動における変位の関係を示した図である。図20において、横軸が時間(秒)を示し、上側のグラフの縦軸が高分子アクチュエータの裏面電極及び表面電極間に印加された電圧値(V)を示し、下側のグラフの縦軸が高分子アクチュエータの長尺方向において電極と対向する端部の上下駆動における変位(mm)を示している。上下各々のグラフに記載されている数値は有機トランジスタのゲート電圧VGSを示している。
【0047】
また、図21は、上記図20の下側のグラフにおいて、時間間隔を拡大して記載したものであり、横軸が時間(秒)を示し、 縦軸が高分子アクチュエータの長尺方向において電極と対向する端部の上下駆動における変位(mm)を示している。この図21から判るように、有機トランジスタのゲート電圧VGSを−30Vで印加することで、高分子アクチュエータが上下駆動において1秒で0.2mmの変位し、数値触覚ディスプレイとして、表示部の凹凸を触覚にて認識すること必要な変位を得ることができた。
また、図22は、ドレイン−ソース間電流IDS及び高分子アクチュエータの上下駆動における変位速度と、ゲート電圧VGSとの対応関係を示している。横軸はゲート電圧VGS(V)を示し、右の縦軸は高分子アクチュエータの上下駆動における変位速度(mm/分)を示し、左の縦軸はドレイン−ソース間電流IDS(A)を示している。この図22により、ゲート電圧VGSを増加させるに従い、ドレイン−ソース間電流IDSが増加、すなわち、高分子アクチュエータの表面電極及び裏面電極間に対する電圧の上昇速度を向上させ、これにより、上下駆動における変位速度が向上されることが判る
【0048】
次に、図23は、実際に組み立てた触覚ディスプレイの表示部における一つのブロックの凹凸を示す写真を示す図である。各図におけるスケールバーの長尺方向の長さは1mmである。
図23(a)における上部の写真が高分子アクチュエータが、裏面電極と上面電極との間に駆動の為の電圧が印加されて上方に駆動(Up)され、半球部材により表示部表面に凸部が突出した状態を示し、図23(a)における下部の写真が高分子アクチュエータが、裏面電極と上面電極との間の電圧が等しく、駆動前の位置に戻った(Down)し突出部がなくなった状態を示している。図23(b)は、ブロックの左側の列が全て凸状態に駆動され、ブロックの右側の列が全て駆動されていない状態を示している。また、図23(c)は、図23(b)と異なるパターンの表示状態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態による触覚ディスプレイの各構成要素の平面形状を示す概念図である。
【図2】図1におけるトランジスタシート300の回路構成例を示す概念図である。
【図3】本発明の一実施形態による触覚ディスプレイにおける1ドット分の断面構造を示す概念図である。
【図4】アクチュエータ層200における高分子アクチュエータの構造例を示す概念図である。
【図5】図1におけるトランジスタシート300の有機トランジスタの構造例を示す概念図である。
【図6】本実施形態の有機トランジスタを製造する過程を説明する、各製造工程における断面を示した概念図である。
【図7】本実施形態における高分子アクチュエータを製造する過程を説明する概念図である。
【図8】本実施形態における高分子アクチュエータを製造する過程を説明する概念図である。
【図9】本実施形態における高分子アクチュエータを製造する過程を説明する概念図である。
【図10】本実施形態における高分子アクチュエータを製造する過程を説明する概念図である。
【図11】本実施形態における高分子アクチュエータを製造する過程を説明する概念図である。
【図12】本実施形態における高分子アクチュエータを製造する過程を説明する概念図である。
【図13】本実施形態における高分子アクチュエータを製造する過程を説明する概念図である。
【図14】製作した本実施形態における有機トランジスタのVDS−IDS特性のグラフを示す図である。
【図15】製作した本実施形態における有機トランジスタのVGS−IDS特性のグラフを示す図である。
【図16】製作した本実施形態における有機トランジスタの耐水性のグラフを示す図である。
【図17】製作した本実施形態における高分子アクチュエータの応答速度及び上下駆動の変位の特性を示す図である。
【図18】製作した本実施形態における高分子アクチュエータの印加電圧と上下駆動の変位量との関係を示す図である。
【図19】製作した本実施形態における高分子アクチュエータの印加電圧と、上下駆動における実用反発力との関係を示す図である。
【図20】組み立てた表示ディスプレイにおける高分子アクチュエータの変位量及び変位速度を示す図である。
【図21】組み立てた表示ディスプレイにおける高分子アクチュエータの変位速度を示す図である。
【図22】組み立てた表示ディスプレイにおける高分子アクチュエータの変位速度を示す図である。
【図23】本実施形態において、実際に作成した触覚ディスプレイの表示部における1ブロックの駆動状態の写真を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
100…フレーム層
101…スペーサ
102…保護シート
105…孔
200…アクチュエータ層
201…スペーサ
202…高分子アクチュエータ
203…半球部材
300…トランジスタシート
301…基板
302…ゲート電極
303…ゲート絶縁膜
304…チャネル層
305A…ソース電極
305B…ドレイン電極
306,307…封止膜
308…ビアホール
309…導電体
400…導電体ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触覚を刺激する刺激部位がマトリクス状に形成された触覚表示部が設けられた触覚ディスプレイであり、
前記刺激部位を上下駆動させる高分子材料で形成された長尺形状の高分子アクチュエータと、
該高分子アクチュエータの駆動制御を行う有機材料で形成された有機トランジスタと
を有することを特徴とする触覚ディスプレイ。
【請求項2】
前記各高分子アクチュエータの長尺方向が、前記表示平面において斜め方向に配置されていることを特徴とする請求項1記載の触覚ディスプレイ。
【請求項3】
前記高分子アクチュエータ各々が、長尺方向の駆動範囲を等しくするスペーサに固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の触覚ディスプレイ。
【請求項4】
刺激部位上部を含む触覚表示部全面がフッ素コートされたシリコンゴムの保護シートで覆われていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の触覚ディスプレイ。
【請求項5】
前記触覚表示部が複数のブロックから構成され、各ブロックが点字1文字分の分解能の刺激部位を有する点字ディスプレイとして形成されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の触覚ディスプレイ
【請求項6】
触覚を刺激する刺激部位がマトリクス状に形成された触覚表示部が設けられた触覚ディスプレイの製造方法であり、
前記刺激部位を上下駆動させる高分子材料で形成された、触覚表示部毎に設けられた長尺形状の高分子アクチュエータからなるアクチュエータ層を形成するアクチュエータ作成工程と、
該高分子アクチュエータを刺激部位単位に駆動制御を行う有機材料で形成された有機トランジスタからなるトランジスタシートを形成するトランジスタシート作成工程と、
各高分子アクチュエータと、それぞれのアクチュエータを駆動するトランジスタとの位置が対向するように、アクチュエータ層とトランジスタシートとを重ね合わせて結合する貼り合わせ工程と
を有することを特徴とする触覚ディスプレイの製造方法。
【請求項7】
前記アクチュエータ作成工程において、前記各高分子アクチュエータの長尺方向を、前記表示平面において斜め方向とするよう形成することを特徴とする請求項6記載の触覚ディスプレイの製造方法。
【請求項8】
前記アクチュエータ作成工程において、前記高分子アクチュエータ各々を、長尺方向の駆動範囲を等しくするスペーサに固定することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の触覚ディスプレイの製造方法。
【請求項9】
前記貼り合わせ工程において、トランジスタシートにおける各有機トランジスタのコンタクトパッドと、高分子アクチュエータとを導電体ペーストにより接合することで貼り付けることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の触覚ディスプレイの製造方法。
【請求項10】
刺激部位上部を含む触覚表示部全面をフッ素コートされたシリコンゴムの保護シートで覆う工程をさらに有することを特徴とする請求項6から請求項9のいずれかに記載の触覚ディスプレイの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−79172(P2007−79172A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267582(P2005−267582)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(801000049)財団法人生産技術研究奨励会 (72)
【Fターム(参考)】