記録媒体用コネクタ
【課題】 挿入された記録媒体を受け入れて支持するハウジングと、挿入された記録媒体の端子と電気的に接続するコンタクト部とを備え、ハウジングはボディとボディに連結されたカバーとからなる記録媒体用コネクタにおいて、挿入中の記録媒体から強いこじり力が加えられても、カバーがボディから浮き上がる、或いは、記録媒体用コネクタが基板から脱落する虞の抑制された記録媒体用コネクタを提供する。
【解決手段】 カバー3に、カバー3のボディ2に対する連結に基づいて、基板70に接合可能な被連結体60をボディ2の支持壁部に押し付ける押し付け手段3eを設け、カバー3と被連結体60との間に、カバー3を被連結体60に係止させる係止機構3fを設けた。
【解決手段】 カバー3に、カバー3のボディ2に対する連結に基づいて、基板70に接合可能な被連結体60をボディ2の支持壁部に押し付ける押し付け手段3eを設け、カバー3と被連結体60との間に、カバー3を被連結体60に係止させる係止機構3fを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体用コネクタに関し、より具体的には、メモリーカード等の記録媒体を受け入れて支持するハウジングと、挿入された記録媒体の端子と電気的に接続するコンタクト部とを備え、ハウジングはボディと同ボディに連結されたカバーとからなり、且つ、基板に実装可能な記録媒体用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の記録媒体用コネクタとしては、本発明に関連する先行技術文献情報として下記に示す非特許文献1がある。この非特許文献1に記された記録媒体用コネクタでは、絶縁ベース(ボディ)に形成されたキャッチスロット内に接地プレート(連結部材)を係止させ、次に、金属カバーを絶縁ベースの上に嵌着させれば、金属カバーのフックプレートが絶縁ベースと機械的に結合され、同時に、金属カバーの挿入固定プレートに形成された凸部が絶縁ベースのフックブロックを乗り越えて、フックコンケーブ部と接地プレートとの間に挟着されるので、金属カバーと絶縁ベースの間の結合が実現されると同時に、カバーが接地プレートと確実に導通状態に保持され、基板との電気的接続(アース)が確保される。さらに、コネクタを基板に固定するには、コネクタのボディに係止された接地プレートを基板に半田付けすれば良いので、必ずしもコネクタ自身、例えばコネクタのカバーを基板とハンダ付けする必要がないという利点が得られる。
【特許文献1】実用新案登録第3101071号公報(段落番号0007〜0010、図6、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、非特許文献1に記された記録媒体用コネクタでは、金属カバーの一部が絶縁ベース(ボディ)とのみ係止されているので、もしも挿入中の記録媒体から強いこじり力が加えられると、金属カバーのフックプレートが変形して、金属カバーが絶縁ベースから浮き上がる、或いは、記録媒体用コネクタの他の部材、例えばコンタクト部の一部を基板と接合しない限り、接地プレートが記録媒体用コネクタの全体から抜け出して記録媒体用コネクタが基板から脱落する虞があった。
【0004】
したがって、本発明の目的は、上に例示した従来技術による記録媒体用コネクタの持つ前述した欠点に鑑み、挿入中の記録媒体から強いこじり力が加えられても、カバーがボディから浮き上がる、或いは、記録媒体用コネクタが基板から脱落する虞の抑制された記録媒体用コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴構成は、挿入された記録媒体を受け入れて支持するハウジングと、挿入された記録媒体の端子と電気的に接続するコンタクト部とを備え、前記ハウジングはボディと前記ボディに連結されたカバーとからなり、且つ、基板に実装可能な記録媒体用コネクタであって、前記カバーには、前記カバーの前記ボディに対する連結に基づいて、前記基板に接合可能な被連結体を前記ボディの支持壁部に押し付ける押し付け手段が設けられており、且つ、前記カバーと前記被連結体との間には、前記カバーを前記被連結体に係止させる係止機構が設けられている点にある。
【0006】
したがって、本発明の第1の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、カバーをボディに連結すると、先ず、基板上に接合可能な被連結体をボディの支持壁部に押し付ける押し付け手段の作用によって、被連結体がボディに固定されるので、被連結体を基板上に接合すれば、ボディの基板の面に沿った移動が確実に規制される。また、同時に、カバーは、これらの押し付け手段や係止機構とは別の個所に設けられた、例えばボディの左右両側面に形成された突起とカバーに形成された嵌合孔等とからなる嵌合手段によってボディに連結されるだけでなく、カバーと被連結体との間に設けられた係止機構の作用によって被連結体にも係止されるので、被連結体を基板上に接合すれば、カバーは被連結体との係止を介して間接的にボディに連結されるので、カバーの基板から離間する向きの変位が確実に規制される。したがって、もしも記録媒体によって強いこじり力が加えられても、同こじり力は、ボディによってではなく、被連結体が接合された基板によって受け止められるので、こじり力によってカバーがボディ(絶縁ベース)から浮き上がる虞が、非特許文献1に記された記録媒体用コネクタに比して格段に少なくなる。
【0007】
本発明の第2の特徴構成は、前記基板に接合された時、前記被連結体は前記基板に対して垂直に延出しており、前記係止機構は、前記被連結体に設けられた貫通孔と、前記カバーを前記基板に向けて押し付ける操作によって、前記貫通孔に押し嵌めされるべく前記カバーに設けられた爪部とを有する点にある。
【0008】
したがって、本発明の第2の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、カバーをボディに連結する際には、単に、予め被連結体が係止されたボディに対して、カバーの爪部が被連結体に沿うようにカバーを上方から近付け、次に、カバーをボディに押し付けるという簡単な操作を行えば、自動的にカバーの爪部が被連結体の貫通孔に押し嵌めされて、カバーと被連結体とボディの3部材が互いに一体化される。
【0009】
本発明の第3の特徴構成は、前記押し付け手段は前記カバーの一部を下方に曲げ加工した板状断片からなり、前記爪部は前記板状断片の更に一部を前記ボディの支持壁部に向けて切り起こして形成されている点にある。
【0010】
したがって、本発明の第3の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、押し付け手段を構成する板状断片と、係止機構の一方を構成する爪部とが実質的に同じ個所に設けてあるので、組立作業者は、カバーのボディへの連結に際して、爪部の位置を気に掛けず、押し付け手段を構成する板状断片を被連結体に沿うように配置することだけに注意すれば良く、後はカバーをボディに押し付ける操作だけ行えば良い。同押し付け操作を行えば、板状断片が被連結体に沿ってボディに対して変位するのと同時に、自動的に爪部が被連結体の貫通孔に係止され、カバーと被連結体とボディの3部材の一体化が完了する。
【0011】
本発明の第4の特徴構成は、前記カバーの前記基板を介しての接地を実現する前記被連結体はアース端子として設けられている点にある。
【0012】
したがって、本発明の第4の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、カバーと被連結体とボディの3部材を一体化する操作を行い、被連結体を基板上の所定個所(アース用のランド部)に接合すれば、押し付け手段によって被連結体に確実に接地されているカバーは、基板を介して確実に接地(アース)されることになる。
【0013】
本発明の第5の特徴構成は、前記ハウジングは、記録媒体が前記端子を下方に向けた表向き姿勢と前記端子を上方に向けた裏向き姿勢とのいずれで挿入されても受け入れて支持可能に設けられており、前記コンタクト部として、記録媒体が前記表向き姿勢で挿入された時に前記端子と接続する第1コンタクト部と、記録媒体が前記裏向き姿勢で挿入された時に前記端子と接続する第2コンタクト部とを備えている点にある。
【0014】
したがって、本発明の第5の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、記録媒体が表裏いずれの姿勢で挿入されても、ハウジングは損傷することなく記録媒体を受け入れるだけでなく、表裏いずれの姿勢で挿入されても第1コンタクト部と第2コンタクト部のいずれかが記録媒体の端子と電気的に正しく接続され、コネクタとしての機能を果たす。
【0015】
本発明の第6の特徴構成は、前記第1コンタクト部と前記第2コンタクト部とは、遊端側に記録媒体の前記端子と接当可能な接点を備えた板バネ部材からなり、前記第1コンタクト部と前記第2コンタクト部の各接点どうしは、記録媒体の挿入方向に関してほぼ対向配置されている点にある。
【0016】
したがって、本発明の第6の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、記録媒体用コネクタに挿入された記録媒体は、第1コンタクト部の各接点と第2コンタクト部の各接点との双方によって表裏面から挟み付けられるように挟持されるので、記録媒体保持力の高い記録媒体用コネクタが得られる。また、挿入された記録媒体は、第1と第2コンタクト部のうち、端子との電気的接続を行うコンタクト部に対して、反対側のコンタクト部が記録媒体の端子を弾性的に押し付ける作用が生じるので、電気的な接続の確実性の高い記録媒体用コネクタが得られる。
【0017】
本発明の第7の特徴構成は、一度目の記録媒体の押し込み操作に基づいて記録媒体を前記端子と前記コンタクト部とが接続された挿入状態にロックし、二度目の記録媒体の押し込み操作に基づいて記録媒体を取り出し可能な排出状態まで排出するロック/排出機構が、記録媒体の表裏いずれの挿入姿勢でも機能するように、記録媒体の左右両側面に設けられた一対の被係止部に対応して前記ハウジングの両側部に設けられている点にある。
【0018】
したがって、本発明の第7の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、記録媒体の押し込み操作のみで装着と排出の両操作がなされる利便性の高いロック/排出機構を、記録媒体が表向き姿勢と裏向き姿勢とのいずれで挿入されても有効に使うことができる。
【0019】
本発明の第8の特徴構成は、前記ロック/排出機構は、記録媒体の側面に設けられた被係止部と係止可能で、係止された記録媒体を前記挿入状態に配置するロック位置と、記録媒体を前記排出状態に配置するイジェクト位置との間で移動可能なスライダ、前記一度目の押し込み操作に応じて前記スライダを前記ロック位置にロックするロック機構、及び、前記二度目の押し込み操作に応じて前記スライダを前記イジェクト位置に押出す付勢手段を備えている点にある。
【0020】
したがって、本発明の第8の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、二度目の押し込み操作によって記録媒体が排出状態まで排出される際に、左右一対の付勢手段から記録媒体に対して排出の操作力が加えられ、記録媒体に対して左右均等な排出操作力が働くので、記録媒体が排出途中で傾斜することなく真っ直ぐに排出され、同時に、左右に設けられた個々の付勢手段の付勢力を、左右の一方に設けられた付勢手段から排出の操作力が加えられる構成に比して小さく設定することができる。また、一度目の押し込み操作で記録媒体を押し込み操作する際にも、左右一対の付勢手段に抗して押し込み操作するので、記録媒体が真っ直ぐに正しい姿勢で押し込まれ易い。
さらに、二度目の押し込み操作によって記録媒体が排出状態まで排出された時、左右一対のスライダが記録媒体の両側面に設けられた各々の被係止部と係止しているので、左右の一方に設けられたスライダが記録媒体の一方の側面の被係止部と係止する構成に比して記録媒体を排出状態に保持する保持力が高まり、その結果、記録媒体がスライダによる係止状態を超えて記録媒体用コネクタから飛び出してしまう可能性をより確実に抑制することができる。
【0021】
本発明によるその他の特徴および利点は、以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態としてのカードコネクタ1(記録媒体用コネクタの一例)と、このカードコネクタ1に装着されるメモリーカード50(記録媒体の一例)を示す。ここには、発明を説明する上での便宜から、表向き姿勢に配置したメモリーカード50(図の左側)と、裏向き姿勢に配置したメモリーカード50(図の右側)とが同時に示されている。
【0023】
(メモリーカードの構成)
メモリーカード50の裏面の先端側には11個の端子51が設けられている。また、メモリーカード50の外形輪郭を表面側から見ると、その側の左側の側部は台形状に切り欠かれており、その結果、右側の側面は先端の前端面50aに対して直角に延びた概して一本の直線状辺50bからなるが、左側の側面は、前端面50aに対して直角に延びた先端側の第1直線状辺50c、第1直線状辺50cから斜め後方に延びた第2直線状辺50d、及び、第2直線状辺50dから前端面50aに対して直角に延びた第3直線状辺50eからなる。そして、メモリーカード50の表面側にはその左右の側面に、一対の係止凹部52a,52b(被係止部の一例)が設けられている。また、前端面50aの左右端部は一対の被接当部53a,53bを構成している。一対の係止凹部52a,52bは、それぞれ右側の直線状辺50bと左側の第3直線状辺50eとに位置し、先端の端面50aからの距離は互いに等しい。
【0024】
(カードコネクタの概略構成)
図2に示すように、カードコネクタ1は、プラスチック製のボディ2と、ボディ2に対して連結された金属製のカバー3とを有する。ボディ2とカバー3とは、挿入されたメモリーカード50を受け入れて支持するハウジング1aを構成している。ボディ2の後方には、挿入されたメモリーカード50の端子51と電気的に接続するコンタクト部4,5が設けられている。
【0025】
このカードコネクタ1の一つの特徴は、ハウジング1aが、メモリーカード50を端子51が下向きの表向き姿勢と端子51が上向きの裏向き姿勢とのいずれで挿入しても、これをハウジングが損傷することなく受け入れて支持可能であること、そして、前記コンタクト部として、メモリーカード50が表向き(ノーマル)姿勢で挿入された時に端子51と接続する第1コンタクト部4と、メモリーカード50が裏向き(リバース)姿勢で挿入された時に端子51と接続する第2コンタクト部5とを別々に備えているので、メモリーカード50が表裏いずれの姿勢で挿入されても第1コンタクト部4と第2コンタクト部5のいずれかがメモリーカード50の端子51と電気的に正しく接続され、コネクタとしての機能を果たす点である。
【0026】
このために、図3に示すように、ボディ2の後方には、第1コンタクト部4を構成する11個のノーマルコンタクト4aと、第2コンタクト部5を構成する11個のリバースコンタクト5aとが押し嵌めによって取り付けられている。そして、ノーマルコンタクト4aとリバースコンタクト5aとは、遊端側にメモリーカード50の端子51と接当可能な接点を備えた板バネ部材からなり、ノーマルコンタクト4aとリバースコンタクト5aの前記接点どうしは、メモリーカード50の挿入方向に関して互いに対向する位置に配置されているので、ノーマルコンタクト4aとリバースコンタクト5aの一方がメモリーカード50の端子51と電気的に接続する際には、ノーマルコンタクト4aとリバースコンタクト5aの他方がメモリーカード50の端子51を、ノーマルコンタクト4aとリバースコンタクト5aの一方の接点に弾性的に押し付け、良好な電気的な接続状態を確保する作用を果たす。
【0027】
図2と図3に示すように、ボディ2の左右の側面付近には、後述するスライダ10,11を摺動自在に受け入れるスライド溝2aが形成されている。
また、左右のスライド溝2a内には、スライダ10,11がカードコネクタ1の前後方向に摺動自在に装着されている。左右のスライダ10,11どうしは、カードコネクタ1の左右の中心を基準に概して左右対称の形状を有する。スライダ10,11は、プラスチックの一体成形で形成されており、スライド溝2a内を前後方向に摺動移動するスライダ本体10a,11aを有する。スライダ本体10a,11aの各後端付近からは、挿入されるメモリーカード50と接当可能な接当部10b,11bがボディ2の左右中心向きに延びている。接当部10b,11bは、メモリーカード50の第1と第2被接当部53a,53bに対応して設けられている。また、スライダ本体10a,11aの内側の前後方向の中央部付近からは弾性片10c,11cが前端向きに延びており、各弾性片10c,11cの先端には爪部10d,11dが形成されている。爪部10d,11dは、メモリーカード50の係止凹部52a,52bに対応して設けられている。
【0028】
各スライダ10,11には、ハートカム10e,11eと呼ばれる上向きのカム溝が形成されている。ハートカム10e,11eの形状と機能の詳細については後述する。また、ボディ2の各スライド溝2aの前端付近には、スライダ10,11の移動方向に沿って延びたフックピン13の下向きの一端13aがほぼ垂直な軸芯回りで枢支連結されている(図3を参照のこと)。フックピン13のやはり下向きの他端は、ハートカム10e,11eのカム溝に従って左右に移動する倣い軸13bの役目を果たしており、カバー3に板金加工で形成されたバネ板部3hによって、ハートカム10e,11eを構成するカム溝の内のいずれかの箇所に押付けられている。
【0029】
そして、左右のスライド溝2a内のスライダ10,11の後方にはコイルバネ15(付勢手段の一例)が支持されており、このコイルバネ15は、スライダ10,11をハウジング1aの開口部側に押出す方向の付勢力を発揮する。スライダ10,11は、メモリーカード50を装着する際の押し込み操作に基づき、コイルバネ15の付勢力に抗して、スライド溝2aの前端と接当した位置(図3、図6及び図8に示す状態)と、スライド溝2aの後端と近接した位置(図7(ロ)等に示す状態)との間でスライド溝2a内を前後方向に摺動移動する。尚、ボディ2の後方の左右端部付近には、一対の円柱状のバネ支持部7a,7bが備えられ、左右のスライド溝2a内に延出している。コイルバネ15はこれらのバネ支持部7a,7bに外嵌支持される。
【0030】
(挿入検出機構の構成)
また、カードコネクタ1には、メモリーカード50が挿入されたことを電気的に検出する挿入検出機構が設けられている。この挿入検出機構は、ハウジング1aの最奥部に設けられた拡開型検出部材30と、これに対応する接触片部材31とからなる。拡開型検出部材30は、コネクタ幅方向の中央側部位30aが、両端部位30bよりも、記録媒体挿入口側である開口側に突出した「く」の字型形を呈する弾性金属部材である。両端部位30bの一方はボディ2の後端付近に固定されており、他方はボディ2に対して左右に変位可能な遊端となっている。図7(イ)と図7(ロ)から理解されるように、メモリーカード50が挿入されると、突出した中央側部位30aがメモリーカード50の前端面50aによって押されて、拡開型検出部材30は拡開変形し、拡開型検出部材30の幅方向一方端が接触片部材31と電気的に導通するので、メモリーカード50の挿入が検出される。一方、メモリーカード50が取り出された場合には、その待機姿勢である「く」の字型に復帰し、接触片部材31との導通が解除される。すなわち、接触片部材31と拡開型検出部材30との導通が確保された場合に、記録媒体が挿入状態にあり、導通状態にない場合に記録媒体が非挿入状態にあると判断する。この判断回路(不図示)は、カードコネクタ1が基板70を介して装備される機器側に設けてもよいし、カードコネクタ1側に設けてもよい。
【0031】
さらに、拡開型検出部材30の遊端側の端部側部位30bには、図4に示すように、接触片部材31の幅方向の内側端に開口する切り欠き30cを設け、他方、接触片部材31には、切り欠き30cに嵌り込む嵌込部31cを設けている。これら切り欠き30cと嵌込部31cとは、拡開型検出部材30をその拡開動作、あるいはその拡開状態からの「く」の字形状への復帰動作に当たって案内する案内部Gを構成している。メモリーカード50の挿入操作においては、案内部Gが案内として働き、拡開型検出部材30と接触片部材31との摺動位置関係を良好に維持できる。
【0032】
(ハートカムの構成)
左右のスライダ10,11に設けられたハートカム10e,11eは互いに、カードコネクタ1の左右の中心を基準に左右対称の形状を呈しているので、右側のスライダ10のハートカム10eについてのみ説明する。図11に例示するように、ハートカム10eは、上方に突出した突起部20の周囲にハート形状を呈するように形成された一連のカム溝21を有する。カム溝21は、メモリーカード50が挿入されていない時、すなわち、スライダ10がスライド溝2aの前端の初期位置(後述するイジェクト位置と同じ)にある時にフックピン13の倣い軸13bが位置する待機レーン21aと、ユーザーによるメモリーカード50の一度目の押し込み操作に応じて倣い軸13bを待機レーン21aから待機レーン21aと反対側の第1死点S1まで案内する挿入レーン21bと、ユーザーがメモリーカード50の一度目の押し込み力を弛めた時に倣い軸13bを第1死点S1から突起部20の一端に凹部状に形成されたロック凹部S2(ロック機構の一例)まで案内するロックレーン21cと、ユーザーによるメモリーカード50の二度目の押し込み操作に応じて倣い軸13bをロック凹部S2から待機レーン21aと反対側の第2死点S3まで案内する離脱レーン21dと、ユーザーがメモリーカード50の二度目の押し込み力を緩めた時に倣い軸13bを第2死点S3から待機レーン21aへと復帰させるイジェクトレーン21eとからなる。
【0033】
尚、挿入レーン21bとイジェクトレーン21eとの間には、一度目の押し込み操作に応じて倣い軸13bがイジェクトレーン21eに進入するのを阻止する縦壁w1が形成されており、挿入レーン21bとロックレーン21cとの間には、ユーザーがメモリーカード50の一度目の押し込み力を緩めた時に倣い軸13bが挿入レーン21bに戻ることを阻止する縦壁w2が形成されており、ロックレーン21cと離脱レーン21dとの間には、ユーザーによるメモリーカード50の二度目の押し込み操作に際して倣い軸13bが第1死点S1に戻ることを阻止する縦壁w3が形成されており、離脱レーン21dとイジェクトレーン21eとの間には、ユーザーがメモリーカード50の二度目の押し込み力を緩めた時に倣い軸13bが離脱レーン21dに戻ることを阻止する縦壁w4が形成されている。
ハートカム10e,11eとフックピン13とコイルバネ15とは、一度目のメモリーカード50の押し込み操作に基づいてメモリーカード50の端子51とコンタクト部4(または5)とが接続された挿入状態にロックし、二度目のメモリーカード50の押し込み操作に基づいてメモリーカード50を取り出し可能な排出状態まで排出するロック/排出機構を構成している。
【0034】
(表向き挿入時の作用)
メモリーカード50を挿入する前の状態では、外力が何も作用していないので、左右のスライダ10,11はいずれもスライド溝2aの前端の初期位置(イジェクト位置)にあり、フックピン13の倣い軸13bは待機レーン21aに位置する。
次に、図6に示すように、メモリーカード50を表向きにした状態でカードコネクタ1のハウジング1a内に挿入すると、先ず、左右のスライダ10,11の弾性片10c,11cの外向きの弾性変形を経て、左右の弾性片10c,11cの各爪部10d,11dがメモリーカード50の左右の係止凹部52a,52b内に係入し、同時に、メモリーカード50の第1と第2被接当部53a,53bがスライダ10,11の接当部10b,11bと接当する(初期状態)。この状態では、左右のスライダ10,11はいずれも未だスライド溝2aの前端の初期位置にある。また、この時、拡開型検出部材30は、メモリーカード50からの押圧力を受けていないために、その初期状態である「く」の字状を保っており、この拡開型検出部材30と接触片部材31とは導通状態にはない。
【0035】
この状態からユーザーがメモリーカード50に対して一度目の押し込み操作を行うと、その押し込み操作の途中で、左右のスライダ10,11がコイルバネ15の付勢力に抗してスライド溝2a内で押し込み操作され、同時に、各スライダ10,11のフックピン13の倣い軸13bは待機レーン21aから挿入レーン21bに進入する。この時、拡開型検出部材30は、メモリーカード50からの押圧力を受けて拡開状態となり、拡開型検出部材30の端部側部位30bが接触片部材31に接触し、挿入が検出される。さらに一度目の押し込み操作を続けて、メモリーカード50が最も奥まで押し込まれ、ハウジング1aの内面後端に到達すると、各フックピン13の倣い軸13bは第1死点S1に案内される。この時も、拡開型検出部材30は接触片部材31との導通状態を保持している。
【0036】
ユーザーがメモリーカード50への一度目の押し込み力を緩めると、図7(イ)に示すように、コイルバネ15の付勢力によってメモリーカード50はスライダ10,11と共に僅かにカードコネクタ1の前端側に押し戻され、同時に、スライダ10,11のフックピン13の倣い軸13bはコイルバネ15の付勢力によってロック凹部S2に押付けられて同箇所にロックされ(この時、スライダ10,11もロック位置にある)、メモリーカード50は、図10(イ)に示すように、メモリーカード50の下面に位置する端子51が第1コンタクト部4と電気的に接続した挿入状態にロックされる(第2コンタクト部5は使用されない)。この時、拡開型検出部材30は未だ接触片部材31との導通状態を保持している。
【0037】
次に、ユーザーがメモリーカード50に対して二度目の押し込み操作を行うと、図7(ロ)に示すように、左右のスライダ10,11のフックピン13の倣い軸13bがロック凹部S2を抜け出して第2死点S3に達する。次に、前記二度目の押し込み力を緩めると、各倣い軸13bは第2死点S3からイジェクトレーン21eに進入し、最終的に待機レーン21aに戻り、これに応じて、左右のスライダ10,11は各コイルバネ15の付勢力によってイジェクト位置(初期位置)まで真っ直ぐに押出される。メモリーカード50は左右のスライダ10,11の爪部10d,11dによって左右均等に係止された状態で、ユーザーが指で取り出し可能な排出状態まで排出され、図6の状態に戻る。この時、拡開型検出部材30も、拡開型検出部材30と接触片部材31との接触が断たれ、非導通状態となり、初期状態に復帰する。
【0038】
(裏向き挿入時の作用)
メモリーカード50を裏向きで挿入する際の作用は、一度目の押し込み操作によってメモリーカード50の端子51が、第1コンタクト部4ではなく、ハウジング1a内の上方に設けられた第2コンタクト部5と電気的に接続した挿入状態にロックされる点を除けば、前述した表向きで挿入する際の作用と基本的に同じである。
すなわち、図8に示すように、メモリーカード50を裏向きにした状態でカードコネクタ1のハウジング1a内に挿入すると、先ず、左右のスライダ10,11の弾性片10c,11cの外向きの弾性変形を経て、右側の弾性片10cの爪部10dがメモリーカード50の右の係止凹部52b内に係入し、左側の弾性片11cの爪部11dがメモリーカード50の左の係止凹部52a内に係入し、同時に、メモリーカード50の第1及び第2被接当部53a,53bが、右左のスライダ11,10の接当部11b,10bと接当する(初期状態)。この状態では、左右のスライダ10,11は未だいずれもスライド溝2aの前端の初期位置(イジェクト位置)にある。また、拡開型検出部材30と接触片部材31とは導通状態にはない。
【0039】
この状態からユーザーがメモリーカード50に対して一度目の押し込み操作を行うと、その押し込み操作の途中で、スライダ11がコイルバネ15の付勢力に抗してスライド溝2a内で押し込み操作され、同時に、スライダ10,11の各フックピン13の倣い軸13bは待機レーン21aから挿入レーン21bに進入する。この時、拡開型検出部材30は、メモリーカード50からの押圧力を受けて拡開状態となり、拡開型検出部材30の端部側部位30bが接触片部材31に接触し、挿入が検出される。さらに一度目の押し込み操作を続けて、メモリーカード50が最も奥まで押し込まれ、ハウジング1aの内面後端に接当すると、各フックピン13の倣い軸13bは第1死点S1に案内される。
次に、ユーザーがメモリーカード50の一度目の押し込み力を緩めると、図9(イ)に示すように、コイルバネ15の付勢力によってメモリーカード50はスライダ10,11と共に僅かにカードコネクタ1の前端側に押し戻され、同時に、スライダ10,11の各フックピン13の倣い軸13bはコイルバネ15の付勢力によってロック凹部S2に押付けられて同箇所にロックされ(この時、スライダ10,11もロック位置にある)、メモリーカード50は、図10(ロ)に示されるように、メモリーカード50の上面に位置する端子51が第2コンタクト部5と電気的に接続した挿入状態にロックされる(第1コンタクト部4は使用されない)。この時、拡開型検出部材30は未だ接触片部材31との導通状態を保持している。
【0040】
次に、ユーザーがメモリーカード50に対して二度目の押し込み操作を行うと、図9(ロ)に示すように、左右のスライダ10,11の各フックピン13の倣い軸13bがロック凹部S2を抜け出して第2死点S3に達し、二度目の押し込み力を弛めると、各倣い軸13bは第2死点S3からイジェクトレーン21eに進入し、最終的に待機レーン21aに戻る。これに応じて、左右のスライダ10,11は各コイルバネ15の付勢力によってイジェクト位置(初期位置)まで真っ直ぐに押出される。メモリーカード50は左右のスライダ10,11の爪部10d,11dによって左右均等に係止された状態で、ユーザーが指で取り出し可能な排出状態まで排出され、図8の状態に戻る。
【0041】
(組立て及び実装の手順)
本発明のカードコネクタ1のもう一つの特徴は、組立が完了したカードコネクタ1を基板70に実装する際に基板70のアース用のランド部70aに半田付けなどによって接合されるアース端子60が、カードコネクタ1の組立が完了した時点で、すなわち基板70に実装する前から予めボディ2とカバー3との間に取り付けられていることである。図2及び図3に示すように、アース端子60は、基板70のランド部70aに接合可能な板状の基端部60aと、基端部60aから垂直に延びた立設部60b(被連結体の一例)とからなる。立設部60bの幅寸法は基端部60aに比して大きく作られており、立設部60bの左右下端部には、基端部60a側に面した一対の係止端面61が形成されている。また、立設部60bの中央付近には矩形の貫通孔62(係止機構の一例)が形成されている。
【0042】
図2に示すように、カードコネクタ1のカバー3は、概して板状のカバー本体3aと、カバー本体3aの側面から直角に下方に延びたカバー側部3bとを有する。図2と図5に示すように、カバー本体3aの後方の左右端部付近には、カバー本体3aの一部を下方に曲げ加工した板状断片からなる一対の第1連結片3cが設けられており、第1連結片3cの中央付近には貫通孔状の嵌合孔が形成されている。また、図2に示すように、カバー3の左右の前端付近にも、カバー本体3aの一部を下方に曲げ加工した板状断片からなる一対の弾性を備えた第2連結片3e(押し付け手段の一例)が設けられている。さらに、第2連結片3eの一部は、カードコネクタ1の後方に向けて切り起こされることで、上方に延びた爪部3f(係止機構の一例)を形成している。また、図2と図4に示すように、カバー側部3bには矩形の貫通孔状の嵌合孔3gが複数形成されている。
【0043】
他方、ボディ2の左右の前端付近には、アース端子60を装着するための一対の端子係止部2Cが設けられており、各端子係止部2Cには、アース端子60の立設部60bを上方から受け入れるように垂直に延びた受入れ溝2Dが形成されている。受入れ溝2D内には、立設部60bと前後方向で対向可能な支持壁部40(図2と図13を参照)と、アース端子60の横向きに延びた係止端面61(図2を参照)を下方から支持する上向きの支持端面41(図2と図3を参照)とが形成されている。また、ボディ2の後端の左右端部付近には、カバー3の第1連結片3cの嵌合孔に嵌合される嵌合突起2Bが、そして、ボディ2の両側面には、カバー3の嵌合孔3g内に嵌まり込む複数の嵌合突起2Eが形成されている。さらに、図2及び図4に示すように、ボディ2の後方の端面には、各ノーマルコンタクト4aを係止する11個のコンタクト係止部2F、及び、各リバースコンタクト5aを係止する11個の係止部2Gが形成されている。
また、図4に示すように、ボディ2の裏面には、拡開型検出部材30を挿入するための挿入孔2X、拡開型検出部材30の一方の端部30bを嵌め込むための係止部2Y、及び、接触片部材31嵌め込むための係止部2Zが設けられている。
【0044】
カードコネクタ1の組立て、及び、基板70への実装は、例えば次のような方法で実施することができる。
先ず、図2に示すように、11個のノーマルコンタクト4aをボディ2の各コンタクト係止部2Fにボディ2の後端側から押し嵌めし、同様に、11個のリバースコンタクト5aを同じくボディ2の各コンタクト係止部2Gにボディ2の前方側から押し嵌めする。そして、バネ支持部7a,7bにコイルバネ15を外嵌させ、次に、コイルバネ15を押し縮めながら各スライダ10,11をボディ2の左右のスライド溝2aに装着し、引き続き、フックピン13をボディ2とスライダ10,11との間に装着する。これには、フックピン13の一端13aがボディ2の各スライド溝2aの前端に枢支連結され、フックピン13の他端13bがスライダ10,11のハートカム10e,11eの待機レーン21aに位置するように装着すれば良い。さらに、拡開型検出部材30及び接触片部材31をボディ2に装着する。
【0045】
次に、一対のアース端子60をボディ2に取り付ける。この取り付けを行うには、アース端子60の基端部60aを下向きにして、立設部60bの係止端面61がボディ2の支持端面41に当接されるまで、ボディ2の受入れ溝2D内に下向きに押し込めば良い。これによって、アース端子60の立設部60bがボディ2の受入れ溝2Dの支持壁部40と前後方向で対向し、且つ、アース端子60のボディ2から下向きの変位が阻止された状態で、アース端子60のボディ2への取り付けが完了する。
【0046】
さらに、カバー本体3aをボディ2に取り付ける。この取り付けの際には、先ず、図5に示すように、カバー3の後端左右に配置された第1連結片3cの嵌合孔をボディ2の後端の嵌合突起2Bに嵌合させ、次に、カバー3の嵌合孔3gをボディ2の両側面の嵌合突起2Eに嵌合させながら、カバー3の前端左右に配置された第2連結片3eを、既にボディ2に取り付けてあるアース端子60の立設部60bに沿って下方に摺動させる。すると、第2連結片3eに設けられた爪部3fが、アース端子60の立設部60bの貫通孔62内に嵌り込んで、爪部3fが貫通孔62の上縁部の端面に係止され、同時に、アース端子60の立設部60bが第2連結片3eによってボディ2の支持壁部40に弾性的に押し付け保持されるので、以後、第2連結片3eのアース端子60に対する上向きの相対移動が阻止される(この様子は図13から理解される)。但し、この状態は、未だアース端子60はボディ2の受入れ溝2Dから上方向きに抜け出し可能であるため、カバー3のボディ2に対する一次取り付け、いわば仮の取り付けが完了しただけで、カバー3のボディ2に対する最終的な取り付けは完了していない。尚、この一次取り付けが完了すると、カバー3の左右のバネ板部3hがフックピン13の他端付近を下向きに弾性的に押さえ付け、その結果、フックピン13の倣い軸13bは、ハートカム10e,11eの待機レーン21aに軽く押付けられる。
【0047】
最後に、図12と図13に示すように、アース端子60の基端部60aを基板70のランド部70aに半田付けなどで接合すると、カバー3のボディ2に対する二次取り付け、すなわち最終的な取り付けが完了する。この最終的な取り付けが完了すると、以後、アース端子60の基板70に対する上方向きの相対移動が規制される。第2連結片3eによってアース端子60に確実に接地されているカバー3は、基板70を介して確実に接地(アース)され、同時に、もしもユーザーがメモリーカード50を挿入しようとする際に、メモリーカード50によって、カバー3をボディ2から引き外そうとする強いこじり力が加えられても、同こじり力は、ボディ2によってではなく、アース端子60が接合された基板70によって受け止められるので、同こじり力によってカバー3がボディ2から浮き上がる事態が確実に抑制される。
【0048】
尚、図13に示すように、最終的な取り付けが完了した状態で見ると、第2連結片3eの下端は、下方の部位ほど支持壁部40から離間するように斜め下方に延びた傾斜舌片3mとなっている。傾斜舌片3mの内面は、前記一次取り付けを行う際に、第2連結片3eを既にボディ2に取り付けてあるアース端子60の立設部60bに沿って下向きに案内するための案内手段として機能する。また、傾斜舌片3mは、支持壁部40から僅かながら離間しているので、実装されているカードコネクタ1を基板70から取り外す必要が生じた際には、螺旋回し等の工具の先端を傾斜舌片3mに引っ掛けてこじ開けることによって、爪部3fをアース端子60の貫通孔62から引き出すことが容易にできる。これによって、カバー3とアース端子60の間の係合が解除されるので、この時、同時に、カバー3の嵌合孔3gをボディ2の両側面の嵌合突起2Eから外し、カバー3の後端左右の第1連結片3cをボディ2の嵌合突起2Bから外せば、カードコネクタ1を容易に基板70から取り外すことができる。
【0049】
〔別実施の形態〕
上記の実施形態では、記録媒体の挿入・排出が、プッシュ−プッシュ(第一の押し込み動作及び第二の押し込み動作)に伴って起こるものとしたが、この種の動作の代わりに、イジェクト動作、レバーイジェクト動作、手動イジェクト動作等に対応して、記録媒体の挿入・排出を行う記録媒体用コネクタ等、メディアの挿抜を行うことにより使用できる全ての記録媒体用コネクタに、本願構成を採用できる。
【0050】
また、上記の実施の形態にあっては、記録媒体を表・裏、どの姿勢で挿入しても、コンタクトを確立できる構成のものに本願構造を採用することとしたが、本来の姿勢である表姿勢の挿入操作のみにおいて記録媒体の挿入・排出が可能な記録媒体用コネクタにも本願構造は当然に採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】記録媒体用コネクタとメモリーカードを示す斜視図
【図2】記録媒体用コネクタの分解斜視図
【図3】記録媒体用コネクタのボディに取り付けられた状態の各部品を示す斜視図
【図4】各部品を取り付ける前のボディを斜め後方から見た斜視図
【図5】各部品を取り付け後のボディを斜め後方から見た斜視図
【図6】メモリーカード(表向き)が初期位置(イジェクト位置)にある時の平面図
【図7】メモリーカード(表向き)に押し込み操作を加えた時の作用を示す平面図
【図8】メモリーカード(裏向き)が初期位置(イジェクト位置)にある時の平面図
【図9】メモリーカード(裏向き)に押し込み操作を加えた時の作用を示す平面図
【図10】ロック位置における記録媒体用コネクタとメモリーカードとを示す横断面図
【図11】ハートカムの作用を示す平面図
【図12】基板に実装された記録媒体用コネクタのアース端子付近を示す斜視図
【図13】基板に実装された記録媒体用コネクタのアース端子付近を示す破断側面図
【符号の説明】
【0052】
1 カードコネクタ(記録媒体用コネクタ)
1a ハウジング
2 ボディ
2C 端子係止部
2D 受入れ溝
40 支持壁部
41 支持端面
3 カバー
3c 第1連結片
3e 第2連結片(押し付け手段)
3f 爪部(係止機構)
60 アース端子
60b 立設部
61 係止端面
62 貫通孔(係止機構)
70 基板
4 第1コンタクト部
5 第2コンタクト部
10,11 スライダ
10b,11b 接当部
10d,11d 爪部
10e,11e ハートカム
S2 ロック凹部
13 フックピン
15 コイルバネ
30 拡開型検出部材
30a中央側部位
30b端部側部位
30c嵌入部
31 接触片部材
G 案内部
50 メモリーカード(記録媒体)
51 端子
52a,52b 係止凹部(被係止部)
53a,53b 被接当部
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体用コネクタに関し、より具体的には、メモリーカード等の記録媒体を受け入れて支持するハウジングと、挿入された記録媒体の端子と電気的に接続するコンタクト部とを備え、ハウジングはボディと同ボディに連結されたカバーとからなり、且つ、基板に実装可能な記録媒体用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の記録媒体用コネクタとしては、本発明に関連する先行技術文献情報として下記に示す非特許文献1がある。この非特許文献1に記された記録媒体用コネクタでは、絶縁ベース(ボディ)に形成されたキャッチスロット内に接地プレート(連結部材)を係止させ、次に、金属カバーを絶縁ベースの上に嵌着させれば、金属カバーのフックプレートが絶縁ベースと機械的に結合され、同時に、金属カバーの挿入固定プレートに形成された凸部が絶縁ベースのフックブロックを乗り越えて、フックコンケーブ部と接地プレートとの間に挟着されるので、金属カバーと絶縁ベースの間の結合が実現されると同時に、カバーが接地プレートと確実に導通状態に保持され、基板との電気的接続(アース)が確保される。さらに、コネクタを基板に固定するには、コネクタのボディに係止された接地プレートを基板に半田付けすれば良いので、必ずしもコネクタ自身、例えばコネクタのカバーを基板とハンダ付けする必要がないという利点が得られる。
【特許文献1】実用新案登録第3101071号公報(段落番号0007〜0010、図6、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、非特許文献1に記された記録媒体用コネクタでは、金属カバーの一部が絶縁ベース(ボディ)とのみ係止されているので、もしも挿入中の記録媒体から強いこじり力が加えられると、金属カバーのフックプレートが変形して、金属カバーが絶縁ベースから浮き上がる、或いは、記録媒体用コネクタの他の部材、例えばコンタクト部の一部を基板と接合しない限り、接地プレートが記録媒体用コネクタの全体から抜け出して記録媒体用コネクタが基板から脱落する虞があった。
【0004】
したがって、本発明の目的は、上に例示した従来技術による記録媒体用コネクタの持つ前述した欠点に鑑み、挿入中の記録媒体から強いこじり力が加えられても、カバーがボディから浮き上がる、或いは、記録媒体用コネクタが基板から脱落する虞の抑制された記録媒体用コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴構成は、挿入された記録媒体を受け入れて支持するハウジングと、挿入された記録媒体の端子と電気的に接続するコンタクト部とを備え、前記ハウジングはボディと前記ボディに連結されたカバーとからなり、且つ、基板に実装可能な記録媒体用コネクタであって、前記カバーには、前記カバーの前記ボディに対する連結に基づいて、前記基板に接合可能な被連結体を前記ボディの支持壁部に押し付ける押し付け手段が設けられており、且つ、前記カバーと前記被連結体との間には、前記カバーを前記被連結体に係止させる係止機構が設けられている点にある。
【0006】
したがって、本発明の第1の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、カバーをボディに連結すると、先ず、基板上に接合可能な被連結体をボディの支持壁部に押し付ける押し付け手段の作用によって、被連結体がボディに固定されるので、被連結体を基板上に接合すれば、ボディの基板の面に沿った移動が確実に規制される。また、同時に、カバーは、これらの押し付け手段や係止機構とは別の個所に設けられた、例えばボディの左右両側面に形成された突起とカバーに形成された嵌合孔等とからなる嵌合手段によってボディに連結されるだけでなく、カバーと被連結体との間に設けられた係止機構の作用によって被連結体にも係止されるので、被連結体を基板上に接合すれば、カバーは被連結体との係止を介して間接的にボディに連結されるので、カバーの基板から離間する向きの変位が確実に規制される。したがって、もしも記録媒体によって強いこじり力が加えられても、同こじり力は、ボディによってではなく、被連結体が接合された基板によって受け止められるので、こじり力によってカバーがボディ(絶縁ベース)から浮き上がる虞が、非特許文献1に記された記録媒体用コネクタに比して格段に少なくなる。
【0007】
本発明の第2の特徴構成は、前記基板に接合された時、前記被連結体は前記基板に対して垂直に延出しており、前記係止機構は、前記被連結体に設けられた貫通孔と、前記カバーを前記基板に向けて押し付ける操作によって、前記貫通孔に押し嵌めされるべく前記カバーに設けられた爪部とを有する点にある。
【0008】
したがって、本発明の第2の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、カバーをボディに連結する際には、単に、予め被連結体が係止されたボディに対して、カバーの爪部が被連結体に沿うようにカバーを上方から近付け、次に、カバーをボディに押し付けるという簡単な操作を行えば、自動的にカバーの爪部が被連結体の貫通孔に押し嵌めされて、カバーと被連結体とボディの3部材が互いに一体化される。
【0009】
本発明の第3の特徴構成は、前記押し付け手段は前記カバーの一部を下方に曲げ加工した板状断片からなり、前記爪部は前記板状断片の更に一部を前記ボディの支持壁部に向けて切り起こして形成されている点にある。
【0010】
したがって、本発明の第3の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、押し付け手段を構成する板状断片と、係止機構の一方を構成する爪部とが実質的に同じ個所に設けてあるので、組立作業者は、カバーのボディへの連結に際して、爪部の位置を気に掛けず、押し付け手段を構成する板状断片を被連結体に沿うように配置することだけに注意すれば良く、後はカバーをボディに押し付ける操作だけ行えば良い。同押し付け操作を行えば、板状断片が被連結体に沿ってボディに対して変位するのと同時に、自動的に爪部が被連結体の貫通孔に係止され、カバーと被連結体とボディの3部材の一体化が完了する。
【0011】
本発明の第4の特徴構成は、前記カバーの前記基板を介しての接地を実現する前記被連結体はアース端子として設けられている点にある。
【0012】
したがって、本発明の第4の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、カバーと被連結体とボディの3部材を一体化する操作を行い、被連結体を基板上の所定個所(アース用のランド部)に接合すれば、押し付け手段によって被連結体に確実に接地されているカバーは、基板を介して確実に接地(アース)されることになる。
【0013】
本発明の第5の特徴構成は、前記ハウジングは、記録媒体が前記端子を下方に向けた表向き姿勢と前記端子を上方に向けた裏向き姿勢とのいずれで挿入されても受け入れて支持可能に設けられており、前記コンタクト部として、記録媒体が前記表向き姿勢で挿入された時に前記端子と接続する第1コンタクト部と、記録媒体が前記裏向き姿勢で挿入された時に前記端子と接続する第2コンタクト部とを備えている点にある。
【0014】
したがって、本発明の第5の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、記録媒体が表裏いずれの姿勢で挿入されても、ハウジングは損傷することなく記録媒体を受け入れるだけでなく、表裏いずれの姿勢で挿入されても第1コンタクト部と第2コンタクト部のいずれかが記録媒体の端子と電気的に正しく接続され、コネクタとしての機能を果たす。
【0015】
本発明の第6の特徴構成は、前記第1コンタクト部と前記第2コンタクト部とは、遊端側に記録媒体の前記端子と接当可能な接点を備えた板バネ部材からなり、前記第1コンタクト部と前記第2コンタクト部の各接点どうしは、記録媒体の挿入方向に関してほぼ対向配置されている点にある。
【0016】
したがって、本発明の第6の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、記録媒体用コネクタに挿入された記録媒体は、第1コンタクト部の各接点と第2コンタクト部の各接点との双方によって表裏面から挟み付けられるように挟持されるので、記録媒体保持力の高い記録媒体用コネクタが得られる。また、挿入された記録媒体は、第1と第2コンタクト部のうち、端子との電気的接続を行うコンタクト部に対して、反対側のコンタクト部が記録媒体の端子を弾性的に押し付ける作用が生じるので、電気的な接続の確実性の高い記録媒体用コネクタが得られる。
【0017】
本発明の第7の特徴構成は、一度目の記録媒体の押し込み操作に基づいて記録媒体を前記端子と前記コンタクト部とが接続された挿入状態にロックし、二度目の記録媒体の押し込み操作に基づいて記録媒体を取り出し可能な排出状態まで排出するロック/排出機構が、記録媒体の表裏いずれの挿入姿勢でも機能するように、記録媒体の左右両側面に設けられた一対の被係止部に対応して前記ハウジングの両側部に設けられている点にある。
【0018】
したがって、本発明の第7の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、記録媒体の押し込み操作のみで装着と排出の両操作がなされる利便性の高いロック/排出機構を、記録媒体が表向き姿勢と裏向き姿勢とのいずれで挿入されても有効に使うことができる。
【0019】
本発明の第8の特徴構成は、前記ロック/排出機構は、記録媒体の側面に設けられた被係止部と係止可能で、係止された記録媒体を前記挿入状態に配置するロック位置と、記録媒体を前記排出状態に配置するイジェクト位置との間で移動可能なスライダ、前記一度目の押し込み操作に応じて前記スライダを前記ロック位置にロックするロック機構、及び、前記二度目の押し込み操作に応じて前記スライダを前記イジェクト位置に押出す付勢手段を備えている点にある。
【0020】
したがって、本発明の第8の特徴構成による記録媒体用コネクタでは、二度目の押し込み操作によって記録媒体が排出状態まで排出される際に、左右一対の付勢手段から記録媒体に対して排出の操作力が加えられ、記録媒体に対して左右均等な排出操作力が働くので、記録媒体が排出途中で傾斜することなく真っ直ぐに排出され、同時に、左右に設けられた個々の付勢手段の付勢力を、左右の一方に設けられた付勢手段から排出の操作力が加えられる構成に比して小さく設定することができる。また、一度目の押し込み操作で記録媒体を押し込み操作する際にも、左右一対の付勢手段に抗して押し込み操作するので、記録媒体が真っ直ぐに正しい姿勢で押し込まれ易い。
さらに、二度目の押し込み操作によって記録媒体が排出状態まで排出された時、左右一対のスライダが記録媒体の両側面に設けられた各々の被係止部と係止しているので、左右の一方に設けられたスライダが記録媒体の一方の側面の被係止部と係止する構成に比して記録媒体を排出状態に保持する保持力が高まり、その結果、記録媒体がスライダによる係止状態を超えて記録媒体用コネクタから飛び出してしまう可能性をより確実に抑制することができる。
【0021】
本発明によるその他の特徴および利点は、以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態としてのカードコネクタ1(記録媒体用コネクタの一例)と、このカードコネクタ1に装着されるメモリーカード50(記録媒体の一例)を示す。ここには、発明を説明する上での便宜から、表向き姿勢に配置したメモリーカード50(図の左側)と、裏向き姿勢に配置したメモリーカード50(図の右側)とが同時に示されている。
【0023】
(メモリーカードの構成)
メモリーカード50の裏面の先端側には11個の端子51が設けられている。また、メモリーカード50の外形輪郭を表面側から見ると、その側の左側の側部は台形状に切り欠かれており、その結果、右側の側面は先端の前端面50aに対して直角に延びた概して一本の直線状辺50bからなるが、左側の側面は、前端面50aに対して直角に延びた先端側の第1直線状辺50c、第1直線状辺50cから斜め後方に延びた第2直線状辺50d、及び、第2直線状辺50dから前端面50aに対して直角に延びた第3直線状辺50eからなる。そして、メモリーカード50の表面側にはその左右の側面に、一対の係止凹部52a,52b(被係止部の一例)が設けられている。また、前端面50aの左右端部は一対の被接当部53a,53bを構成している。一対の係止凹部52a,52bは、それぞれ右側の直線状辺50bと左側の第3直線状辺50eとに位置し、先端の端面50aからの距離は互いに等しい。
【0024】
(カードコネクタの概略構成)
図2に示すように、カードコネクタ1は、プラスチック製のボディ2と、ボディ2に対して連結された金属製のカバー3とを有する。ボディ2とカバー3とは、挿入されたメモリーカード50を受け入れて支持するハウジング1aを構成している。ボディ2の後方には、挿入されたメモリーカード50の端子51と電気的に接続するコンタクト部4,5が設けられている。
【0025】
このカードコネクタ1の一つの特徴は、ハウジング1aが、メモリーカード50を端子51が下向きの表向き姿勢と端子51が上向きの裏向き姿勢とのいずれで挿入しても、これをハウジングが損傷することなく受け入れて支持可能であること、そして、前記コンタクト部として、メモリーカード50が表向き(ノーマル)姿勢で挿入された時に端子51と接続する第1コンタクト部4と、メモリーカード50が裏向き(リバース)姿勢で挿入された時に端子51と接続する第2コンタクト部5とを別々に備えているので、メモリーカード50が表裏いずれの姿勢で挿入されても第1コンタクト部4と第2コンタクト部5のいずれかがメモリーカード50の端子51と電気的に正しく接続され、コネクタとしての機能を果たす点である。
【0026】
このために、図3に示すように、ボディ2の後方には、第1コンタクト部4を構成する11個のノーマルコンタクト4aと、第2コンタクト部5を構成する11個のリバースコンタクト5aとが押し嵌めによって取り付けられている。そして、ノーマルコンタクト4aとリバースコンタクト5aとは、遊端側にメモリーカード50の端子51と接当可能な接点を備えた板バネ部材からなり、ノーマルコンタクト4aとリバースコンタクト5aの前記接点どうしは、メモリーカード50の挿入方向に関して互いに対向する位置に配置されているので、ノーマルコンタクト4aとリバースコンタクト5aの一方がメモリーカード50の端子51と電気的に接続する際には、ノーマルコンタクト4aとリバースコンタクト5aの他方がメモリーカード50の端子51を、ノーマルコンタクト4aとリバースコンタクト5aの一方の接点に弾性的に押し付け、良好な電気的な接続状態を確保する作用を果たす。
【0027】
図2と図3に示すように、ボディ2の左右の側面付近には、後述するスライダ10,11を摺動自在に受け入れるスライド溝2aが形成されている。
また、左右のスライド溝2a内には、スライダ10,11がカードコネクタ1の前後方向に摺動自在に装着されている。左右のスライダ10,11どうしは、カードコネクタ1の左右の中心を基準に概して左右対称の形状を有する。スライダ10,11は、プラスチックの一体成形で形成されており、スライド溝2a内を前後方向に摺動移動するスライダ本体10a,11aを有する。スライダ本体10a,11aの各後端付近からは、挿入されるメモリーカード50と接当可能な接当部10b,11bがボディ2の左右中心向きに延びている。接当部10b,11bは、メモリーカード50の第1と第2被接当部53a,53bに対応して設けられている。また、スライダ本体10a,11aの内側の前後方向の中央部付近からは弾性片10c,11cが前端向きに延びており、各弾性片10c,11cの先端には爪部10d,11dが形成されている。爪部10d,11dは、メモリーカード50の係止凹部52a,52bに対応して設けられている。
【0028】
各スライダ10,11には、ハートカム10e,11eと呼ばれる上向きのカム溝が形成されている。ハートカム10e,11eの形状と機能の詳細については後述する。また、ボディ2の各スライド溝2aの前端付近には、スライダ10,11の移動方向に沿って延びたフックピン13の下向きの一端13aがほぼ垂直な軸芯回りで枢支連結されている(図3を参照のこと)。フックピン13のやはり下向きの他端は、ハートカム10e,11eのカム溝に従って左右に移動する倣い軸13bの役目を果たしており、カバー3に板金加工で形成されたバネ板部3hによって、ハートカム10e,11eを構成するカム溝の内のいずれかの箇所に押付けられている。
【0029】
そして、左右のスライド溝2a内のスライダ10,11の後方にはコイルバネ15(付勢手段の一例)が支持されており、このコイルバネ15は、スライダ10,11をハウジング1aの開口部側に押出す方向の付勢力を発揮する。スライダ10,11は、メモリーカード50を装着する際の押し込み操作に基づき、コイルバネ15の付勢力に抗して、スライド溝2aの前端と接当した位置(図3、図6及び図8に示す状態)と、スライド溝2aの後端と近接した位置(図7(ロ)等に示す状態)との間でスライド溝2a内を前後方向に摺動移動する。尚、ボディ2の後方の左右端部付近には、一対の円柱状のバネ支持部7a,7bが備えられ、左右のスライド溝2a内に延出している。コイルバネ15はこれらのバネ支持部7a,7bに外嵌支持される。
【0030】
(挿入検出機構の構成)
また、カードコネクタ1には、メモリーカード50が挿入されたことを電気的に検出する挿入検出機構が設けられている。この挿入検出機構は、ハウジング1aの最奥部に設けられた拡開型検出部材30と、これに対応する接触片部材31とからなる。拡開型検出部材30は、コネクタ幅方向の中央側部位30aが、両端部位30bよりも、記録媒体挿入口側である開口側に突出した「く」の字型形を呈する弾性金属部材である。両端部位30bの一方はボディ2の後端付近に固定されており、他方はボディ2に対して左右に変位可能な遊端となっている。図7(イ)と図7(ロ)から理解されるように、メモリーカード50が挿入されると、突出した中央側部位30aがメモリーカード50の前端面50aによって押されて、拡開型検出部材30は拡開変形し、拡開型検出部材30の幅方向一方端が接触片部材31と電気的に導通するので、メモリーカード50の挿入が検出される。一方、メモリーカード50が取り出された場合には、その待機姿勢である「く」の字型に復帰し、接触片部材31との導通が解除される。すなわち、接触片部材31と拡開型検出部材30との導通が確保された場合に、記録媒体が挿入状態にあり、導通状態にない場合に記録媒体が非挿入状態にあると判断する。この判断回路(不図示)は、カードコネクタ1が基板70を介して装備される機器側に設けてもよいし、カードコネクタ1側に設けてもよい。
【0031】
さらに、拡開型検出部材30の遊端側の端部側部位30bには、図4に示すように、接触片部材31の幅方向の内側端に開口する切り欠き30cを設け、他方、接触片部材31には、切り欠き30cに嵌り込む嵌込部31cを設けている。これら切り欠き30cと嵌込部31cとは、拡開型検出部材30をその拡開動作、あるいはその拡開状態からの「く」の字形状への復帰動作に当たって案内する案内部Gを構成している。メモリーカード50の挿入操作においては、案内部Gが案内として働き、拡開型検出部材30と接触片部材31との摺動位置関係を良好に維持できる。
【0032】
(ハートカムの構成)
左右のスライダ10,11に設けられたハートカム10e,11eは互いに、カードコネクタ1の左右の中心を基準に左右対称の形状を呈しているので、右側のスライダ10のハートカム10eについてのみ説明する。図11に例示するように、ハートカム10eは、上方に突出した突起部20の周囲にハート形状を呈するように形成された一連のカム溝21を有する。カム溝21は、メモリーカード50が挿入されていない時、すなわち、スライダ10がスライド溝2aの前端の初期位置(後述するイジェクト位置と同じ)にある時にフックピン13の倣い軸13bが位置する待機レーン21aと、ユーザーによるメモリーカード50の一度目の押し込み操作に応じて倣い軸13bを待機レーン21aから待機レーン21aと反対側の第1死点S1まで案内する挿入レーン21bと、ユーザーがメモリーカード50の一度目の押し込み力を弛めた時に倣い軸13bを第1死点S1から突起部20の一端に凹部状に形成されたロック凹部S2(ロック機構の一例)まで案内するロックレーン21cと、ユーザーによるメモリーカード50の二度目の押し込み操作に応じて倣い軸13bをロック凹部S2から待機レーン21aと反対側の第2死点S3まで案内する離脱レーン21dと、ユーザーがメモリーカード50の二度目の押し込み力を緩めた時に倣い軸13bを第2死点S3から待機レーン21aへと復帰させるイジェクトレーン21eとからなる。
【0033】
尚、挿入レーン21bとイジェクトレーン21eとの間には、一度目の押し込み操作に応じて倣い軸13bがイジェクトレーン21eに進入するのを阻止する縦壁w1が形成されており、挿入レーン21bとロックレーン21cとの間には、ユーザーがメモリーカード50の一度目の押し込み力を緩めた時に倣い軸13bが挿入レーン21bに戻ることを阻止する縦壁w2が形成されており、ロックレーン21cと離脱レーン21dとの間には、ユーザーによるメモリーカード50の二度目の押し込み操作に際して倣い軸13bが第1死点S1に戻ることを阻止する縦壁w3が形成されており、離脱レーン21dとイジェクトレーン21eとの間には、ユーザーがメモリーカード50の二度目の押し込み力を緩めた時に倣い軸13bが離脱レーン21dに戻ることを阻止する縦壁w4が形成されている。
ハートカム10e,11eとフックピン13とコイルバネ15とは、一度目のメモリーカード50の押し込み操作に基づいてメモリーカード50の端子51とコンタクト部4(または5)とが接続された挿入状態にロックし、二度目のメモリーカード50の押し込み操作に基づいてメモリーカード50を取り出し可能な排出状態まで排出するロック/排出機構を構成している。
【0034】
(表向き挿入時の作用)
メモリーカード50を挿入する前の状態では、外力が何も作用していないので、左右のスライダ10,11はいずれもスライド溝2aの前端の初期位置(イジェクト位置)にあり、フックピン13の倣い軸13bは待機レーン21aに位置する。
次に、図6に示すように、メモリーカード50を表向きにした状態でカードコネクタ1のハウジング1a内に挿入すると、先ず、左右のスライダ10,11の弾性片10c,11cの外向きの弾性変形を経て、左右の弾性片10c,11cの各爪部10d,11dがメモリーカード50の左右の係止凹部52a,52b内に係入し、同時に、メモリーカード50の第1と第2被接当部53a,53bがスライダ10,11の接当部10b,11bと接当する(初期状態)。この状態では、左右のスライダ10,11はいずれも未だスライド溝2aの前端の初期位置にある。また、この時、拡開型検出部材30は、メモリーカード50からの押圧力を受けていないために、その初期状態である「く」の字状を保っており、この拡開型検出部材30と接触片部材31とは導通状態にはない。
【0035】
この状態からユーザーがメモリーカード50に対して一度目の押し込み操作を行うと、その押し込み操作の途中で、左右のスライダ10,11がコイルバネ15の付勢力に抗してスライド溝2a内で押し込み操作され、同時に、各スライダ10,11のフックピン13の倣い軸13bは待機レーン21aから挿入レーン21bに進入する。この時、拡開型検出部材30は、メモリーカード50からの押圧力を受けて拡開状態となり、拡開型検出部材30の端部側部位30bが接触片部材31に接触し、挿入が検出される。さらに一度目の押し込み操作を続けて、メモリーカード50が最も奥まで押し込まれ、ハウジング1aの内面後端に到達すると、各フックピン13の倣い軸13bは第1死点S1に案内される。この時も、拡開型検出部材30は接触片部材31との導通状態を保持している。
【0036】
ユーザーがメモリーカード50への一度目の押し込み力を緩めると、図7(イ)に示すように、コイルバネ15の付勢力によってメモリーカード50はスライダ10,11と共に僅かにカードコネクタ1の前端側に押し戻され、同時に、スライダ10,11のフックピン13の倣い軸13bはコイルバネ15の付勢力によってロック凹部S2に押付けられて同箇所にロックされ(この時、スライダ10,11もロック位置にある)、メモリーカード50は、図10(イ)に示すように、メモリーカード50の下面に位置する端子51が第1コンタクト部4と電気的に接続した挿入状態にロックされる(第2コンタクト部5は使用されない)。この時、拡開型検出部材30は未だ接触片部材31との導通状態を保持している。
【0037】
次に、ユーザーがメモリーカード50に対して二度目の押し込み操作を行うと、図7(ロ)に示すように、左右のスライダ10,11のフックピン13の倣い軸13bがロック凹部S2を抜け出して第2死点S3に達する。次に、前記二度目の押し込み力を緩めると、各倣い軸13bは第2死点S3からイジェクトレーン21eに進入し、最終的に待機レーン21aに戻り、これに応じて、左右のスライダ10,11は各コイルバネ15の付勢力によってイジェクト位置(初期位置)まで真っ直ぐに押出される。メモリーカード50は左右のスライダ10,11の爪部10d,11dによって左右均等に係止された状態で、ユーザーが指で取り出し可能な排出状態まで排出され、図6の状態に戻る。この時、拡開型検出部材30も、拡開型検出部材30と接触片部材31との接触が断たれ、非導通状態となり、初期状態に復帰する。
【0038】
(裏向き挿入時の作用)
メモリーカード50を裏向きで挿入する際の作用は、一度目の押し込み操作によってメモリーカード50の端子51が、第1コンタクト部4ではなく、ハウジング1a内の上方に設けられた第2コンタクト部5と電気的に接続した挿入状態にロックされる点を除けば、前述した表向きで挿入する際の作用と基本的に同じである。
すなわち、図8に示すように、メモリーカード50を裏向きにした状態でカードコネクタ1のハウジング1a内に挿入すると、先ず、左右のスライダ10,11の弾性片10c,11cの外向きの弾性変形を経て、右側の弾性片10cの爪部10dがメモリーカード50の右の係止凹部52b内に係入し、左側の弾性片11cの爪部11dがメモリーカード50の左の係止凹部52a内に係入し、同時に、メモリーカード50の第1及び第2被接当部53a,53bが、右左のスライダ11,10の接当部11b,10bと接当する(初期状態)。この状態では、左右のスライダ10,11は未だいずれもスライド溝2aの前端の初期位置(イジェクト位置)にある。また、拡開型検出部材30と接触片部材31とは導通状態にはない。
【0039】
この状態からユーザーがメモリーカード50に対して一度目の押し込み操作を行うと、その押し込み操作の途中で、スライダ11がコイルバネ15の付勢力に抗してスライド溝2a内で押し込み操作され、同時に、スライダ10,11の各フックピン13の倣い軸13bは待機レーン21aから挿入レーン21bに進入する。この時、拡開型検出部材30は、メモリーカード50からの押圧力を受けて拡開状態となり、拡開型検出部材30の端部側部位30bが接触片部材31に接触し、挿入が検出される。さらに一度目の押し込み操作を続けて、メモリーカード50が最も奥まで押し込まれ、ハウジング1aの内面後端に接当すると、各フックピン13の倣い軸13bは第1死点S1に案内される。
次に、ユーザーがメモリーカード50の一度目の押し込み力を緩めると、図9(イ)に示すように、コイルバネ15の付勢力によってメモリーカード50はスライダ10,11と共に僅かにカードコネクタ1の前端側に押し戻され、同時に、スライダ10,11の各フックピン13の倣い軸13bはコイルバネ15の付勢力によってロック凹部S2に押付けられて同箇所にロックされ(この時、スライダ10,11もロック位置にある)、メモリーカード50は、図10(ロ)に示されるように、メモリーカード50の上面に位置する端子51が第2コンタクト部5と電気的に接続した挿入状態にロックされる(第1コンタクト部4は使用されない)。この時、拡開型検出部材30は未だ接触片部材31との導通状態を保持している。
【0040】
次に、ユーザーがメモリーカード50に対して二度目の押し込み操作を行うと、図9(ロ)に示すように、左右のスライダ10,11の各フックピン13の倣い軸13bがロック凹部S2を抜け出して第2死点S3に達し、二度目の押し込み力を弛めると、各倣い軸13bは第2死点S3からイジェクトレーン21eに進入し、最終的に待機レーン21aに戻る。これに応じて、左右のスライダ10,11は各コイルバネ15の付勢力によってイジェクト位置(初期位置)まで真っ直ぐに押出される。メモリーカード50は左右のスライダ10,11の爪部10d,11dによって左右均等に係止された状態で、ユーザーが指で取り出し可能な排出状態まで排出され、図8の状態に戻る。
【0041】
(組立て及び実装の手順)
本発明のカードコネクタ1のもう一つの特徴は、組立が完了したカードコネクタ1を基板70に実装する際に基板70のアース用のランド部70aに半田付けなどによって接合されるアース端子60が、カードコネクタ1の組立が完了した時点で、すなわち基板70に実装する前から予めボディ2とカバー3との間に取り付けられていることである。図2及び図3に示すように、アース端子60は、基板70のランド部70aに接合可能な板状の基端部60aと、基端部60aから垂直に延びた立設部60b(被連結体の一例)とからなる。立設部60bの幅寸法は基端部60aに比して大きく作られており、立設部60bの左右下端部には、基端部60a側に面した一対の係止端面61が形成されている。また、立設部60bの中央付近には矩形の貫通孔62(係止機構の一例)が形成されている。
【0042】
図2に示すように、カードコネクタ1のカバー3は、概して板状のカバー本体3aと、カバー本体3aの側面から直角に下方に延びたカバー側部3bとを有する。図2と図5に示すように、カバー本体3aの後方の左右端部付近には、カバー本体3aの一部を下方に曲げ加工した板状断片からなる一対の第1連結片3cが設けられており、第1連結片3cの中央付近には貫通孔状の嵌合孔が形成されている。また、図2に示すように、カバー3の左右の前端付近にも、カバー本体3aの一部を下方に曲げ加工した板状断片からなる一対の弾性を備えた第2連結片3e(押し付け手段の一例)が設けられている。さらに、第2連結片3eの一部は、カードコネクタ1の後方に向けて切り起こされることで、上方に延びた爪部3f(係止機構の一例)を形成している。また、図2と図4に示すように、カバー側部3bには矩形の貫通孔状の嵌合孔3gが複数形成されている。
【0043】
他方、ボディ2の左右の前端付近には、アース端子60を装着するための一対の端子係止部2Cが設けられており、各端子係止部2Cには、アース端子60の立設部60bを上方から受け入れるように垂直に延びた受入れ溝2Dが形成されている。受入れ溝2D内には、立設部60bと前後方向で対向可能な支持壁部40(図2と図13を参照)と、アース端子60の横向きに延びた係止端面61(図2を参照)を下方から支持する上向きの支持端面41(図2と図3を参照)とが形成されている。また、ボディ2の後端の左右端部付近には、カバー3の第1連結片3cの嵌合孔に嵌合される嵌合突起2Bが、そして、ボディ2の両側面には、カバー3の嵌合孔3g内に嵌まり込む複数の嵌合突起2Eが形成されている。さらに、図2及び図4に示すように、ボディ2の後方の端面には、各ノーマルコンタクト4aを係止する11個のコンタクト係止部2F、及び、各リバースコンタクト5aを係止する11個の係止部2Gが形成されている。
また、図4に示すように、ボディ2の裏面には、拡開型検出部材30を挿入するための挿入孔2X、拡開型検出部材30の一方の端部30bを嵌め込むための係止部2Y、及び、接触片部材31嵌め込むための係止部2Zが設けられている。
【0044】
カードコネクタ1の組立て、及び、基板70への実装は、例えば次のような方法で実施することができる。
先ず、図2に示すように、11個のノーマルコンタクト4aをボディ2の各コンタクト係止部2Fにボディ2の後端側から押し嵌めし、同様に、11個のリバースコンタクト5aを同じくボディ2の各コンタクト係止部2Gにボディ2の前方側から押し嵌めする。そして、バネ支持部7a,7bにコイルバネ15を外嵌させ、次に、コイルバネ15を押し縮めながら各スライダ10,11をボディ2の左右のスライド溝2aに装着し、引き続き、フックピン13をボディ2とスライダ10,11との間に装着する。これには、フックピン13の一端13aがボディ2の各スライド溝2aの前端に枢支連結され、フックピン13の他端13bがスライダ10,11のハートカム10e,11eの待機レーン21aに位置するように装着すれば良い。さらに、拡開型検出部材30及び接触片部材31をボディ2に装着する。
【0045】
次に、一対のアース端子60をボディ2に取り付ける。この取り付けを行うには、アース端子60の基端部60aを下向きにして、立設部60bの係止端面61がボディ2の支持端面41に当接されるまで、ボディ2の受入れ溝2D内に下向きに押し込めば良い。これによって、アース端子60の立設部60bがボディ2の受入れ溝2Dの支持壁部40と前後方向で対向し、且つ、アース端子60のボディ2から下向きの変位が阻止された状態で、アース端子60のボディ2への取り付けが完了する。
【0046】
さらに、カバー本体3aをボディ2に取り付ける。この取り付けの際には、先ず、図5に示すように、カバー3の後端左右に配置された第1連結片3cの嵌合孔をボディ2の後端の嵌合突起2Bに嵌合させ、次に、カバー3の嵌合孔3gをボディ2の両側面の嵌合突起2Eに嵌合させながら、カバー3の前端左右に配置された第2連結片3eを、既にボディ2に取り付けてあるアース端子60の立設部60bに沿って下方に摺動させる。すると、第2連結片3eに設けられた爪部3fが、アース端子60の立設部60bの貫通孔62内に嵌り込んで、爪部3fが貫通孔62の上縁部の端面に係止され、同時に、アース端子60の立設部60bが第2連結片3eによってボディ2の支持壁部40に弾性的に押し付け保持されるので、以後、第2連結片3eのアース端子60に対する上向きの相対移動が阻止される(この様子は図13から理解される)。但し、この状態は、未だアース端子60はボディ2の受入れ溝2Dから上方向きに抜け出し可能であるため、カバー3のボディ2に対する一次取り付け、いわば仮の取り付けが完了しただけで、カバー3のボディ2に対する最終的な取り付けは完了していない。尚、この一次取り付けが完了すると、カバー3の左右のバネ板部3hがフックピン13の他端付近を下向きに弾性的に押さえ付け、その結果、フックピン13の倣い軸13bは、ハートカム10e,11eの待機レーン21aに軽く押付けられる。
【0047】
最後に、図12と図13に示すように、アース端子60の基端部60aを基板70のランド部70aに半田付けなどで接合すると、カバー3のボディ2に対する二次取り付け、すなわち最終的な取り付けが完了する。この最終的な取り付けが完了すると、以後、アース端子60の基板70に対する上方向きの相対移動が規制される。第2連結片3eによってアース端子60に確実に接地されているカバー3は、基板70を介して確実に接地(アース)され、同時に、もしもユーザーがメモリーカード50を挿入しようとする際に、メモリーカード50によって、カバー3をボディ2から引き外そうとする強いこじり力が加えられても、同こじり力は、ボディ2によってではなく、アース端子60が接合された基板70によって受け止められるので、同こじり力によってカバー3がボディ2から浮き上がる事態が確実に抑制される。
【0048】
尚、図13に示すように、最終的な取り付けが完了した状態で見ると、第2連結片3eの下端は、下方の部位ほど支持壁部40から離間するように斜め下方に延びた傾斜舌片3mとなっている。傾斜舌片3mの内面は、前記一次取り付けを行う際に、第2連結片3eを既にボディ2に取り付けてあるアース端子60の立設部60bに沿って下向きに案内するための案内手段として機能する。また、傾斜舌片3mは、支持壁部40から僅かながら離間しているので、実装されているカードコネクタ1を基板70から取り外す必要が生じた際には、螺旋回し等の工具の先端を傾斜舌片3mに引っ掛けてこじ開けることによって、爪部3fをアース端子60の貫通孔62から引き出すことが容易にできる。これによって、カバー3とアース端子60の間の係合が解除されるので、この時、同時に、カバー3の嵌合孔3gをボディ2の両側面の嵌合突起2Eから外し、カバー3の後端左右の第1連結片3cをボディ2の嵌合突起2Bから外せば、カードコネクタ1を容易に基板70から取り外すことができる。
【0049】
〔別実施の形態〕
上記の実施形態では、記録媒体の挿入・排出が、プッシュ−プッシュ(第一の押し込み動作及び第二の押し込み動作)に伴って起こるものとしたが、この種の動作の代わりに、イジェクト動作、レバーイジェクト動作、手動イジェクト動作等に対応して、記録媒体の挿入・排出を行う記録媒体用コネクタ等、メディアの挿抜を行うことにより使用できる全ての記録媒体用コネクタに、本願構成を採用できる。
【0050】
また、上記の実施の形態にあっては、記録媒体を表・裏、どの姿勢で挿入しても、コンタクトを確立できる構成のものに本願構造を採用することとしたが、本来の姿勢である表姿勢の挿入操作のみにおいて記録媒体の挿入・排出が可能な記録媒体用コネクタにも本願構造は当然に採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】記録媒体用コネクタとメモリーカードを示す斜視図
【図2】記録媒体用コネクタの分解斜視図
【図3】記録媒体用コネクタのボディに取り付けられた状態の各部品を示す斜視図
【図4】各部品を取り付ける前のボディを斜め後方から見た斜視図
【図5】各部品を取り付け後のボディを斜め後方から見た斜視図
【図6】メモリーカード(表向き)が初期位置(イジェクト位置)にある時の平面図
【図7】メモリーカード(表向き)に押し込み操作を加えた時の作用を示す平面図
【図8】メモリーカード(裏向き)が初期位置(イジェクト位置)にある時の平面図
【図9】メモリーカード(裏向き)に押し込み操作を加えた時の作用を示す平面図
【図10】ロック位置における記録媒体用コネクタとメモリーカードとを示す横断面図
【図11】ハートカムの作用を示す平面図
【図12】基板に実装された記録媒体用コネクタのアース端子付近を示す斜視図
【図13】基板に実装された記録媒体用コネクタのアース端子付近を示す破断側面図
【符号の説明】
【0052】
1 カードコネクタ(記録媒体用コネクタ)
1a ハウジング
2 ボディ
2C 端子係止部
2D 受入れ溝
40 支持壁部
41 支持端面
3 カバー
3c 第1連結片
3e 第2連結片(押し付け手段)
3f 爪部(係止機構)
60 アース端子
60b 立設部
61 係止端面
62 貫通孔(係止機構)
70 基板
4 第1コンタクト部
5 第2コンタクト部
10,11 スライダ
10b,11b 接当部
10d,11d 爪部
10e,11e ハートカム
S2 ロック凹部
13 フックピン
15 コイルバネ
30 拡開型検出部材
30a中央側部位
30b端部側部位
30c嵌入部
31 接触片部材
G 案内部
50 メモリーカード(記録媒体)
51 端子
52a,52b 係止凹部(被係止部)
53a,53b 被接当部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入された記録媒体を受け入れて支持するハウジングと、挿入された記録媒体の端子と電気的に接続するコンタクト部とを備え、前記ハウジングはボディと前記ボディに連結されたカバーとからなり、且つ、基板に実装可能な記録媒体用コネクタであって、
前記カバーには、前記カバーの前記ボディに対する連結に基づいて、前記基板に接合可能な被連結体を前記ボディの支持壁部に押し付ける押し付け手段が設けられており、且つ、前記カバーと前記被連結体との間には、前記カバーを前記被連結体に係止させる係止機構が設けられている記録媒体用コネクタ。
【請求項2】
前記基板に接合された時、前記被連結体は前記基板に対して垂直に延出しており、前記係止機構は、前記被連結体に設けられた貫通孔と、前記カバーを前記基板に向けて押し付ける操作によって、前記貫通孔に押し嵌めされるべく前記カバーに設けられた爪部とを有する請求項1に記載の記録媒体用コネクタ。
【請求項3】
前記押し付け手段は前記カバーの一部を下方に曲げ加工した板状断片からなり、前記爪部は前記板状断片の更に一部を前記ボディの支持壁部に向けて切り起こして形成されている請求項2に記載の記録媒体用コネクタ。
【請求項4】
前記被連結体は前記基板に接合された時、前記カバーの前記基板を介しての接地を実現するアース端子として機能するように構成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の記録媒体用コネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、記録媒体が前記端子を下方に向けた表向き姿勢と前記端子を上方に向けた裏向き姿勢とのいずれで挿入されても受け入れて支持可能に設けられており、前記コンタクト部として、記録媒体が前記表向き姿勢で挿入された時に前記端子と接続する第1コンタクト部と、記録媒体が前記裏向き姿勢で挿入された時に前記端子と接続する第2コンタクト部とを備えている請求項1から4のいずれか一項に記載の記録媒体用コネクタ。
【請求項6】
前記第1コンタクト部と前記第2コンタクト部とは、遊端側に記録媒体の前記端子と接当可能な接点を備えた板バネ部材からなり、前記第1コンタクト部と前記第2コンタクト部の各接点どうしは、記録媒体の挿入方向に関してほぼ対向配置されている請求項5に記載の記録媒体用コネクタ。
【請求項7】
一度目の記録媒体の押し込み操作に基づいて記録媒体を前記端子と前記コンタクト部とが接続された挿入状態にロックし、二度目の記録媒体の押し込み操作に基づいて記録媒体を取り出し可能な排出状態まで排出するロック/排出機構が、記録媒体の表裏いずれの挿入姿勢でも機能するように、記録媒体の左右両側面に設けられた一対の被係止部に対応して前記ハウジングの両側部に設けられている請求項5または6に記載の記録媒体用コネクタ。
【請求項8】
前記ロック/排出機構は、記録媒体の側面に設けられた被係止部と係止可能で、係止された記録媒体を前記挿入状態に配置するロック位置と、記録媒体を前記排出状態に配置するイジェクト位置との間で移動可能なスライダ、前記一度目の押し込み操作に応じて前記スライダを前記ロック位置にロックするロック機構、及び、前記二度目の押し込み操作に応じて前記スライダを前記イジェクト位置に押出す付勢手段を備えている請求項7に記載の記録媒体用コネクタ。
【請求項1】
挿入された記録媒体を受け入れて支持するハウジングと、挿入された記録媒体の端子と電気的に接続するコンタクト部とを備え、前記ハウジングはボディと前記ボディに連結されたカバーとからなり、且つ、基板に実装可能な記録媒体用コネクタであって、
前記カバーには、前記カバーの前記ボディに対する連結に基づいて、前記基板に接合可能な被連結体を前記ボディの支持壁部に押し付ける押し付け手段が設けられており、且つ、前記カバーと前記被連結体との間には、前記カバーを前記被連結体に係止させる係止機構が設けられている記録媒体用コネクタ。
【請求項2】
前記基板に接合された時、前記被連結体は前記基板に対して垂直に延出しており、前記係止機構は、前記被連結体に設けられた貫通孔と、前記カバーを前記基板に向けて押し付ける操作によって、前記貫通孔に押し嵌めされるべく前記カバーに設けられた爪部とを有する請求項1に記載の記録媒体用コネクタ。
【請求項3】
前記押し付け手段は前記カバーの一部を下方に曲げ加工した板状断片からなり、前記爪部は前記板状断片の更に一部を前記ボディの支持壁部に向けて切り起こして形成されている請求項2に記載の記録媒体用コネクタ。
【請求項4】
前記被連結体は前記基板に接合された時、前記カバーの前記基板を介しての接地を実現するアース端子として機能するように構成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の記録媒体用コネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、記録媒体が前記端子を下方に向けた表向き姿勢と前記端子を上方に向けた裏向き姿勢とのいずれで挿入されても受け入れて支持可能に設けられており、前記コンタクト部として、記録媒体が前記表向き姿勢で挿入された時に前記端子と接続する第1コンタクト部と、記録媒体が前記裏向き姿勢で挿入された時に前記端子と接続する第2コンタクト部とを備えている請求項1から4のいずれか一項に記載の記録媒体用コネクタ。
【請求項6】
前記第1コンタクト部と前記第2コンタクト部とは、遊端側に記録媒体の前記端子と接当可能な接点を備えた板バネ部材からなり、前記第1コンタクト部と前記第2コンタクト部の各接点どうしは、記録媒体の挿入方向に関してほぼ対向配置されている請求項5に記載の記録媒体用コネクタ。
【請求項7】
一度目の記録媒体の押し込み操作に基づいて記録媒体を前記端子と前記コンタクト部とが接続された挿入状態にロックし、二度目の記録媒体の押し込み操作に基づいて記録媒体を取り出し可能な排出状態まで排出するロック/排出機構が、記録媒体の表裏いずれの挿入姿勢でも機能するように、記録媒体の左右両側面に設けられた一対の被係止部に対応して前記ハウジングの両側部に設けられている請求項5または6に記載の記録媒体用コネクタ。
【請求項8】
前記ロック/排出機構は、記録媒体の側面に設けられた被係止部と係止可能で、係止された記録媒体を前記挿入状態に配置するロック位置と、記録媒体を前記排出状態に配置するイジェクト位置との間で移動可能なスライダ、前記一度目の押し込み操作に応じて前記スライダを前記ロック位置にロックするロック機構、及び、前記二度目の押し込み操作に応じて前記スライダを前記イジェクト位置に押出す付勢手段を備えている請求項7に記載の記録媒体用コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−85979(P2006−85979A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−268293(P2004−268293)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】
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