説明

記録装置、ディスク切替方法およびコンピュータプログラム

【課題】保存用のハードディスクドライブとキャッシュ用のハードディスクドライブとを適宜切り替えて使用する記録装置を提供すること。
【解決手段】通電状態としてスタンバイ状態とアクティブ状態とを有する複数のハードディスクドライブを備える記録装置であって、前記アクティブ状態である一のハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブとして使用し、残りのハードディスクドライブは保存用のハードディスクドライブとして使用するように、前記複数のハードディスクドライブを、それぞれキャッシュ用のハードディスクドライブまたは保存用のハードディスクドライブに設定するドライブ設定部と、前記ドライブ設定部での設定に従ってそれぞれの前記ハードディスクドライブへの通電を制御する電源制御部と、を含むことを特徴とする、記録装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、ディスク切替方法およびコンピュータプログラムに関し、より詳細には、複数のハードディスクドライブを備える記録装置および、当該記録装置におけるディスク切替方法並びにコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ番組などを録画するハードディスクレコーダのような記録装置は、今後、テレビ番組のデジタル化が進むに連れて、記録するデータ量が膨大になるものと考えられる。記録するデータ量の増大化に対応するため、記録装置の内部に複数のハードディスクを備えることで大容量化を実現することが考えられる。
【0003】
また、複数のハードディスクドライブを備えることで、キャッシュ用のハードディスクドライブと保存用のハードディスクドライブとに使い分けることができ、キャッシュ用のハードディスクドライブを常に起動させておくことで、録画を開始するためにリモコンや記録装置本体の録画ボタンを押してから、実際に録画が開始されるまでのタイムラグを短くする効果も期待される。
【0004】
しかし、複数のハードディスクを備えることで、騒音、消費電力、および温度の上昇といった問題が生じる可能性が考えられる。従って、記録装置に複数のハードディスクを備える場合には、効果的なハードディスクの動作制御が求められる。特許文献1では、複数のハードディスクドライブを備える装置において、ハードディスクドライブの消費電力を削減するとともに騒音を低下させる技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−258996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された技術では、保存用のハードディスクドライブを保存時にのみオンにしているが、キャッシュ用のハードディスクドライブは常に電源がオンになっており、騒音や消費電力の点で改善の余地がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、複数のハードディスクを備える記録装置において、保存用のハードディスクドライブとキャッシュ用のハードディスクドライブとを適宜切り替えて使用する、新規かつ改良された記録装置、およびディスク切替方法並びにコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、通電状態としてスタンバイ状態とアクティブ状態とを有する複数のハードディスクドライブを備える記録装置であって、アクティブ状態である一のハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブとして使用し、残りのハードディスクドライブは保存用のハードディスクドライブとして使用するように、複数のハードディスクドライブを、それぞれキャッシュ用のハードディスクドライブまたは保存用のハードディスクドライブに設定するドライブ設定部と、ドライブ設定部での設定に従ってそれぞれのハードディスクドライブへの通電を制御する電源制御部と、を含むことを特徴とする、記録装置が提供される。
【0009】
かかる構成によれば、ドライブ設定部は、アクティブ状態である一のハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブとして使用し、残りのハードディスクドライブは保存用のハードディスクドライブとして使用するように、複数のハードディスクドライブを、それぞれキャッシュ用のハードディスクドライブまたは保存用のハードディスクドライブに設定し、電源制御部は、ドライブ設定部での設定に従ってそれぞれのハードディスクドライブへの通電を制御する。その結果、アクティブ状態であるハードディスクドライブは1台のみであるので、消費電力を抑えつつ効果的なハードディスクの動作制御が可能となる。
【0010】
上記記録装置は、複数のハードディスクドライブのそれぞれの温度を計測する温度計測部を更に備え、ドライブ設定部は、温度計測部で計測した温度が最も低いハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブとしてもよい。かかる構成によれば、温度計測部は複数のハードディスクドライブのそれぞれの温度を計測し、ドライブ設定部は、温度計測部で計測した温度が最も低いハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブに設定する。その結果、消費電力だけでなく、内部の温度上昇も抑えることが可能となる。
【0011】
ドライブ設定部は、保存用のハードディスクドライブへのデータの記録が完了した時点で、温度計測部で計測した温度が最も低いハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブに設定してもよい。かかる構成によれば、ドライブ設定部は、保存用のハードディスクドライブへのデータの記録が完了した時点で、温度計測部で計測した温度が最も低いハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブに設定する。その結果、保存用のハードディスクドライブへのデータが完了した段階で温度を測定し、最も温度の低いハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブとして通電することで、内部の温度上昇も抑えることが可能となる。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、通電状態としてスタンバイ状態とアクティブ状態とを有する複数のハードディスクドライブを備える機器のディスク切り替え方法であって、アクティブ状態である一のハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブとして使用し、残りのハードディスクドライブは保存用のハードディスクドライブとして使用するように、複数のハードディスクドライブを、それぞれキャッシュ用のハードディスクドライブまたは保存用のハードディスクドライブに設定するドライブ設定ステップと、ドライブ設定ステップでの設定に従ってそれぞれのハードディスクドライブへの通電を制御する電源制御ステップと、を含むことを特徴とする、ディスク切替方法が提供される。
【0013】
上記ディスク切替方法は、複数のハードディスクドライブのそれぞれの温度を計測する温度計測ステップを更に含み、ドライブ設定ステップは、温度計測ステップで計測した温度が最も低いハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブに設定してもよい。かかる構成によれば、温度計測ステップは複数のハードディスクドライブのそれぞれの温度を計測し、ドライブ設定ステップは、温度計測ステップで計測した温度が最も低いハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブに設定する。その結果、消費電力だけでなく、内部の温度上昇も抑えることが可能となる。
【0014】
ドライブ設定ステップは、保存用のハードディスクドライブへのデータの記録が完了した時点で、温度計測ステップで計測した温度が最も低いハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブに設定してもよい。かかる構成によれば、ドライブ設定ステップは、保存用のハードディスクドライブへのデータの記録が完了した時点で、温度計測部で計測した温度が最も低いハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブに設定する。その結果、保存用のハードディスクドライブへのデータが完了した段階で温度を測定し、最も温度の低いハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブとして通電することで、内部の温度上昇も抑えることが可能となる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、通電状態としてスタンバイ状態とアクティブ状態とを有する複数のハードディスクドライブを備える機器においてディスクを切り替えるコンピュータプログラムであって、コンピュータに、アクティブ状態である一のハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブとして使用し、残りのハードディスクドライブは保存用のハードディスクドライブとして使用するように、複数のハードディスクドライブを、それぞれキャッシュ用のハードディスクドライブまたは保存用のハードディスクドライブに設定するドライブ設定ステップと、ドライブ設定ステップでの設定に従ってそれぞれのハードディスクドライブへの通電を制御する電源制御ステップと、を含む処理を実行させることを特徴とする、コンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、複数のハードディスクを備える記録装置において、保存用のハードディスクドライブとキャッシュ用のハードディスクドライブとを適宜切り替えて使用する、新規かつ改良された記録装置、およびディスク切替方法並びにコンピュータプログラムを提供することができる。そして、保存用のハードディスクドライブとキャッシュ用のハードディスクドライブとを適宜切り替えることによって、騒音や消費電力、温度の上昇を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
まず、本発明の一実施形態にかかる記録装置について説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる記録装置10の外観について説明する説明図である。図1に示した、本実施形態にかかる記録装置10は、内部に複数のハードディスクドライブを備えることで大容量化を実現している。
【0019】
しかし、上述したように、複数のハードディスクドライブを備えることで、騒音、消費電力、および温度の上昇といった諸問題が生じる。そこで、本実施形態にかかる記録装置10では、ハードディスクドライブの動作を制御することによって、かかる諸問題を解決することを特徴としている。以下、本発明の一実施形態にかかる記録装置10について、詳細に説明する。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態にかかる記録装置10のハードウェア構成について、記録装置10を上方向から見て説明する説明図であり、図3は図2に示したものを横方向から見た説明図である。以下、図2および図3を用いて本発明の一実施形態にかかる記録装置10のハードウェア構成について説明する。
【0021】
図2に示したように、本発明の一実施形態にかかる記録装置10は、ハードディスクドライブ(HDD)100a、100b、100c、100dと、温度センサ102a、102b、102c、102dと、ファンモータ104a、104bと、マザーボード106と、電源部108と、チューナ/タイマ部110と、CPU(Central Processing Unit)112と、を含んで構成される。
【0022】
ハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dは、記録装置10が受信するアナログまたはデジタル放送を記録するものである。ハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dのそれぞれの容量は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、本実施形態ではこのようにハードディスクドライブを4つ備える記録装置10を例に挙げて説明するが、本発明の記録装置においては、ハードディスクドライブの数は2つ以上であればかかる例に限られない。
【0023】
ハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dは、それぞれスタンバイ状態とアクティブ状態とを有する。スタンバイ状態とは、ハードディスクドライブが起動していない状態を指し、アクティブ状態とは、ハードディスクドライブが使用可能な状態を指す。ハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dにデータを記録するには、状態をアクティブ状態にする必要があり、スタンバイ状態からアクティブ状態にするには、およそ数秒〜数十秒の時間を要する。
【0024】
温度センサ102aは、ハードディスクドライブ100aの周辺温度を感知するものである。同様に、温度センサ102bはハードディスクドライブ100bの、温度センサ102cはハードディスクドライブ100cの、温度センサ102dはハードディスクドライブ100dの周辺温度を、それぞれ感知するものである。
【0025】
ファンモータ104a、104bは、それぞれ外気を取り入れることで、記録装置10の内部を冷却するものである。ファンモータ104a、104bは、それぞれ独立して動作し、温度センサ102a、102b、102c、102dで感知した温度に基づいて、モータの回転速度を変化させることで記録装置10の内部を適切に冷却することができる。複数のセンサで計測した温度に基づいてファンモータの回転速度を切り替える技術は、例えば特開2005−222584号公報に掲載されており、本実施形態にかかる記録装置10も、かかる技術を用いてモータの回転速度を変化させることで、記録装置10の内部を適切に冷却することができる。
【0026】
マザーボード106は、記録装置10を動作させるための各種回路を搭載するものである。マザーボード106には、温度センサ102a、102b、102c、102dやCPU112が搭載される。
【0027】
電源部108は、記録装置10の内部に備えられた各部位に対して電源の供給を行うものである。電源部108からの電源供給を受けることで記録装置10の内部に備えられた各部位は機能する。
【0028】
チューナ/タイマ部110は、記録装置10が受信したアナログ放送またはデジタル放送から映像信号や音声信号を得るものである。チューナ/タイマ部110で得た映像信号や音声信号を、各ハードディスクドライブに記録することで、記録装置10はテレビ番組の録画を行うことができる。
【0029】
CPU112は、数値計算や情報処理、機器制御等を行うものである。本実施形態にかかるCPU112は、例えば温度センサ102a、102b、102c、102dで感知したハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dの温度に基づいて、ファンモータ104a、104bの回転速度の制御を行う。
【0030】
図3は、本実施形態にかかる記録装置10を、図2のAの方向から見たものである。図3に示したように、マザーボード106の上に温度センサ102cおよび102d、並びにCPU112が搭載されている。
【0031】
以上、図2および図3を用いて本発明の一実施形態にかかる記録装置10のハードウェア構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる記録装置10の機能構成について説明する。
【0032】
図4は、本発明の一実施形態にかかる記録装置10の機能構成を機能ブロック図で説明する説明図である。以下、図4を用いて本発明の一実施形態にかかる記録装置10の機能構成について説明する。
【0033】
図4に示したように、本発明の一実施形態にかかる記録装置10の機能構成は、図2および図3に示した構成に加え、メモリ114、AV(Audio/Visual)入出力部116、電源制御部118、およびサブマイコン120を含んで構成される。以下では、図2および図3に示されていない、メモリ114、AV入出力部116、電源制御部118、およびサブマイコン120について詳細に説明する。
【0034】
メモリ114は、CPU112が数値計算や情報処理、機器制御等を行う際に使用するプログラムや演算用のパラメータを格納するものである。メモリ114としてROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)を用いてもよい。プログラムやパラメータの内、基本的に変更されない固定のデータについてはROMに、基本的に各種処理の際に適宜変化するデータについてはRAMに、それぞれ格納してもよい。
【0035】
AV入出力部116は、映像データや音声データの入出力を行うものである。ハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dに記録された番組はCPU112で読み出されて、AV入出力部116から記録された番組の映像データおよび音声データが出力される。また、AV入出力部116で映像データおよび音声データを入力し、入力した映像データおよび音声データをCPU112で読み出して、ハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dに記録することもできる。
【0036】
電源制御部118は、ハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dへの通電の制御を行うものである。電源制御部118がハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dへの通電の制御を行うことで、ハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dは、それぞれスタンバイ状態とアクティブ状態との間で状態が遷移する。どのようにハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dへの通電の制御を行うかについては後に詳述する。
【0037】
サブマイコン120は、本発明のドライブ設定部の一例であって、温度センサ102a、102b、102c、102dで感知した各ハードディスクドライブの温度データを受け取り、受け取った温度データを用いて、ファンモータ104a、104bの回転速度の制御を行ったり、電源制御部118へハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dへの通電の指示を送出したりするものである。サブマイコン120がどのようにファンモータ104a、104bの回転速度の制御を行ったり、電源制御部118へハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dへの通電の指示を送出したりするかについては後に詳述する。
【0038】
以上、図4を用いて本発明の一実施形態にかかる記録装置10の機能構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる記録装置10の動作について説明する。
【0039】
まず、本発明の一実施形態にかかる記録装置10に内蔵されるハードディスクドライブの構成について説明する。図5は、本発明の一実施形態にかかる記録装置10に内蔵されるハードディスクドライブの構成について説明する説明図である。以下、図5を用いて本発明の一実施形態にかかる記録装置10に内蔵されるハードディスクドライブの構成について説明する。
【0040】
図5に示したように、記録装置10に内蔵されるハードディスクドライブは、いずれも、内部に保存エリアおよびキャッシュエリアを有する。また、記録装置10に内蔵されるハードディスクドライブは、1台をキャッシュ用のハードディスクドライブとして使用し、残りのハードディスクドライブは保存用のハードディスクドライブとして使用する。
【0041】
そして、通電させてアクティブ状態とするのは、1台のキャッシュ用のハードディスクドライブまたは1台の保存用のハードディスクドライブのみとする。つまり、通電させてアクティブ状態とするのは、原則として1台のハードディスクドライブのみとする。ハードディスクドライブを複数備えている場合であっても、原則として1台のハードディスクドライブのみをアクティブ状態とすることで、記録装置10の騒音や消費電力、温度の上昇を抑えることが可能となる。
【0042】
記録装置10を使用するユーザが、リモコンや本体を操作して録画するマニュアル録画の際には、録画開始直後はキャッシュ用のハードディスクドライブのキャッシュエリアに番組を録画する。そして、キャッシュエリアに番組を録画している間に、スタンバイ状態にある他のハードディスクドライブの中から1台のハードディスクドライブに通電することでアクティブ状態に遷移させる。
【0043】
ハードディスクドライブが起動してアクティブ状態となると、キャッシュ用のハードディスクドライブのキャッシュエリアから、起動が完了したハードディスクドライブの保存エリアにデータを転送する(図5(a)参照)。そして、転送が完了すると、キャッシュ用のハードディスクドライブに対する通電を止め、キャッシュ用のハードディスクドライブをアクティブ状態からスタンバイ状態へと遷移させる。
【0044】
一方、指定した時間に録画を開始するタイマ録画の際には、指定された時間に合わせて1台のハードディスクドライブを保存用のハードディスクドライブとして起動して、起動した保存用のハードディスクドライブの保存エリアに番組を記録する(図5(b)参照)。
【0045】
以上、図5を用いて本発明の一実施形態にかかる記録装置10に内蔵されるハードディスクドライブの構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる記録装置10に内蔵されるハードディスクドライブの切替方法について、従来技術と対比させて説明する。
【0046】
まず、図6Aに従来のハードディスクドライブの切替方法を示す。図6Aでは、説明の便宜上、4台のハードディスクドライブをそれぞれAドライブ〜Dドライブとして説明する。
【0047】
従来のハードディスクドライブの切替方法においては、1台のハードディスクドライブ(図6Aに示した例ではAドライブ)をキャッシュ用のハードディスクドライブとして固定して使用し、残りのBドライブ〜Dドライブを、適宜保存用のハードディスクドライブとすることで、マニュアル録画を開始する際のタイムラグを最小限に抑えている。そのため、Aドライブは常にアクティブ状態とする必要がある。
【0048】
マニュアル録画を開始する前は、Aドライブのみがアクティブ状態であり、残りのBドライブ、Cドライブ、およびDドライブがスタンバイ状態である(図6A(a)参照)。ユーザがマニュアル録画を開始すると、アクティブ状態にあるAドライブに仮録画を行い。スタンバイ状態にあるハードディスクドライブの内、Bドライブを起動してアクティブ状態とする(図6A(b)参照)。
【0049】
Bドライブの起動が完了すると、Aドライブに仮録画したデータをBドライブに転送する(図6A(c)参照)。転送が完了すると、Aドライブに仮録画したデータは消去あるいは無効とし、Bドライブに録画を行う(図6A(d)、(e)参照)。
【0050】
このように、従来のハードディスクドライブの切替方法においては、複数台のハードディスクドライブがアクティブ状態となるので、騒音や消費電力、温度の上昇といった諸問題が生じてしまう。そこで、本実施形態にかかる記録装置10を用いるハードディスクドライブの切替方法では、原則として1台のハードディスクドライブのみをアクティブ状態とすることで、記録装置10の騒音や消費電力、温度の上昇を抑えることが可能となる。
【0051】
図6Bは、本発明の一実施形態にかかる記録装置10を用いたハードディスクドライブの切替方法の概要を示す説明図である。図6Bでは、説明の便宜上、4台のハードディスクドライブをそれぞれAドライブ〜Dドライブとして説明する。
【0052】
マニュアル録画を開始する前は、Aドライブのみがアクティブ状態であり、残りのBドライブ、Cドライブ、およびDドライブがスタンバイ状態である(図6B(a)参照)。ユーザがマニュアル録画を開始すると、アクティブ状態にあるAドライブに仮録画を行い。スタンバイ状態にあるハードディスクドライブの内、Bドライブを起動してアクティブ状態とする(図6B(b)参照)。
【0053】
Bドライブの起動が完了すると、Aドライブに仮録画したデータをBドライブに転送する(図6B(c)参照)。転送が完了すると、Aドライブに仮録画したデータは消去あるいは無効とし、Bドライブに録画を行う(図6B(d)参照)。
【0054】
ここまでは図6Aに示した、従来のハードディスクドライブの切替方法と変わりは無いが、次に、キャッシュ用のハードディスクドライブであったAドライブの通電を切り、アクティブ状態からスタンバイ状態へと遷移させる。そして、録画を行っているBドライブを、保存用兼キャッシュ用のハードディスクドライブとする(図6B(e)参照)。
【0055】
このように、原則として1台のハードディスクドライブのみをアクティブ状態とすることで、記録装置10の騒音や消費電力、温度の上昇を抑えることができる。
【0056】
以上、図6Bを用いて、本発明の一実施形態にかかる記録装置10を用いたハードディスクドライブの切替方法の概要について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる記録装置10を用いたハードディスクドライブの切替方法について詳細に説明する。
【0057】
図7は、本発明の一実施形態にかかる記録装置10を用いたハードディスクドライブの切替方法について説明する流れ図である。以下、図7を用いて本発明の一実施形態にかかる記録装置10を用いたハードディスクドライブの切替方法について詳細に説明する。
【0058】
記録装置10の主電源が投入されると、温度センサ102a、102b、102c、102dで、ハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dのそれぞれの温度データをサブマイコン120で取得する(ステップS102)。サブマイコン120が温度データを取得すると、サブマイコン120は最も低い温度に対応したハードディスクドライブを、キャッシュ用のハードディスクドライブとして選択する(ステップS104)。サブマイコン120がキャッシュ用のハードディスクドライブを選択すると、選択したハードディスクドライブに対して通電するように、サブマイコン120から電源制御部118に指示する。そして、サブマイコン120からの指示を受けた電源制御部118は、サブマイコン120が選択したハードディスクドライブに対して通電して起動させ、当該ハードディスクドライブの状態をスタンバイ状態からアクティブ状態にさせる(ステップS106)。
【0059】
その後、記録装置10はユーザからのマニュアル録画の要求があるまで待機する(ステップS108)。記録装置10は、マニュアル録画の要求が無ければステップS108を繰り返し、マニュアル録画の要求があれば、キャッシュ用のハードディスクドライブのキャッシュエリアへの録画を行う(ステップS110)。
【0060】
次に温度センサ102a、102b、102c、102dで、ハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dのそれぞれの温度データをサブマイコン120で取得する(ステップS112)。そして、サブマイコン120が温度データを取得すると、取得した時点での最低温度に対応したハードディスクを、保存用のハードディスクドライブとして選択する(ステップS114)。なお、このときキャッシュ用のハードディスクと保存用のハードディスクとは、同一のハードディスクである場合もある。サブマイコン120が保存用のハードディスクドライブを選択すると、選択したハードディスクドライブに対して通電するように、サブマイコン120から電源制御部118に指示する。そして、サブマイコン120からの指示を受けた電源制御部118は、サブマイコン120が選択したハードディスクドライブに対して通電して起動させ、当該ハードディスクドライブの状態をスタンバイ状態からアクティブ状態にさせる(ステップS116)。
【0061】
上記ステップS116において、保存用のハードディスクドライブの起動が完了すると、CPU112によって、キャッシュ用のハードディスクドライブのキャッシュエリアに録画したデータを、保存用のハードディスクドライブの保存エリアに転送する。そして、キャッシュ用のハードディスクドライブに録画したデータの続きを保存用のハードディスクドライブの保存エリアへ録画する(ステップS118)。
【0062】
キャッシュ用のハードディスクドライブから保存用のハードディスクドライブへのデータの転送が完了すると、CPU112によって、キャッシュ用のハードディスクドライブのキャッシュエリアに記録したデータを消去あるいは無効とする。そして、電源制御部118はキャッシュ用のハードディスクドライブへの通電を止めることで、キャッシュ用のハードディスクドライブをスタンバイ状態にさせる(ステップS120)。
【0063】
電源制御部118がキャッシュ用のハードディスクドライブをスタンバイ状態にさせると、次に、上記ステップS114で保存用のハードディスクドライブとして選択したハードディスクドライブを、キャッシュ用兼保存用のハードディスクドライブとする(ステップS122)。そして、キャッシュ用兼保存用のハードディスクドライブに対して録画を行う(ステップS124)。
【0064】
キャッシュ用兼保存用のハードディスクドライブに対する録画が完了すると(ステップS125)、当該ハードディスクドライブに対する録画が完了した時点で、温度センサ102a、102b、102c、102dで、ハードディスクドライブ100a、100b、100c、100dのそれぞれの温度データをサブマイコン120で取得する(ステップS126)。サブマイコン120が温度データを取得すると、その中で最も低い温度に対応したハードディスクドライブを。キャッシュ用のハードディスクドライブとして選択する(ステップS128)。このとき、番組を保存していたハードディスクドライブと、キャッシュ用のハードディスクドライブとは、同一の場合もある。
【0065】
キャッシュ用のハードディスクドライブを選択すると、選択したハードディスクドライブに対して通電するように、サブマイコン120から電源制御部118に指示し、指示を受けた電源制御部118は、サブマイコン120が選択したハードディスクドライブに対して通電して起動させ、当該ハードディスクドライブの状態をスタンバイ状態からアクティブ状態にさせる(ステップS130)。当該ハードディスクドライブの状態がアクティブ状態となると、電源制御部118は、それまで保存用のハードディスクドライブとしていたハードディスクドライブへの通電を止め、保存用のハードディスクドライブとしていたハードディスクドライブをアクティブ状態からスタンバイ状態へと遷移させる(ステップS132)。
【0066】
保存用のハードディスクドライブだったハードディスクドライブをアクティブ状態からスタンバイ状態に遷移させると、上記ステップS128で選択したキャッシュ用のハードディスクドライブを、キャッシュ用兼保存用のハードディスクドライブとする(ステップS134)。
【0067】
そして、ユーザがリモコンまたは記録装置10本体を操作して電源をオフにしたかどうかを判断し(ステップS136)、電源をオフしたならば処理を終了し、オフにしていなければ、上記ステップS108に戻り、ユーザからの録画要求が行われるまで待機する。
【0068】
このように、キャッシュ用のハードディスクドライブと保存用のハードディスクドライブとを適宜切り替えて、温度の低いハードディスクドライブ1台のみをアクティブ状態とするように通電を制御することにより、記録装置10の温度上昇を抑えることができる。
【0069】
以上、図7を用いて本発明の一実施形態にかかる記録装置10を用いたハードディスクドライブの切替方法について詳細に説明した。
【0070】
なお、上述した本発明の一実施形態にかかる記録装置10を用いたハードディスクドライブの切替方法は、上述した一連の処理を実行するようにプログラムされたコンピュータプログラムを、記録装置10の内部、例えばサブマイコン120やメモリ114の内部に格納し、当該コンピュータプログラムをCPU112が順次読み出すことで実行するようにしてもよい。
【0071】
以上説明したように、本発明の一実施形態にかかる記録装置10によれば、複数のハードディスクドライブのそれぞれに対して、キャッシュエリアと保存エリアとを設け、原則として1台のハードディスクドライブのみをアクティブ状態とすることで、記録装置10の騒音や消費電力、温度の上昇を抑えることが可能となる。
【0072】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0073】
例えば、上記実施形態では、図7のステップS114において、2番目に低い温度に対応したハードディスクを、保存用のハードディスクドライブとして選択したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、図7のステップS114において、キャッシュ用のハードディスクドライブより低い温度を示すハードディスクドライブが存在すれば、そのハードディスクドライブを保存用のハードディスクドライブとしてしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、記録装置、ディスク切替方法およびコンピュータプログラムに適用可能であり、特に複数のハードディスクドライブを備える記録装置、当該記録装置におけるディスク切替方法およびコンピュータプログラムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施形態にかかる記録装置10の外観について説明する説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる記録装置10のハードウェア構成について説明する説明図。
【図3】図2を横方向から見た説明図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる記録装置10の機能構成を説明する説明図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる記録装置10に内蔵されるハードディスクドライブの構成について説明する説明図である。
【図6A】従来のハードディスクドライブの切替方法を示す説明図である。
【図6B】本発明の一実施形態にかかる記録装置10を用いたハードディスクドライブの切替方法の概要を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる記録装置10を用いたハードディスクドライブの切替方法について説明する流れ図である。
【符号の説明】
【0076】
10 記録装置
100a、100b、100c、100d ハードディスクドライブ
102a、102b、102c、102d 温度センサ
104a、104b ファンモータ
106 マザーボード
108 電源部
110 チューナ/タイマ部
112 CPU
114 メモリ
116 AV入出力部
118 電源制御部
120 サブマイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電状態としてスタンバイ状態とアクティブ状態とを有する複数のハードディスクドライブを備える記録装置であって、
前記アクティブ状態である一のハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブとして使用し、残りのハードディスクドライブは保存用のハードディスクドライブとして使用するように、前記複数のハードディスクドライブを、それぞれキャッシュ用のハードディスクドライブまたは保存用のハードディスクドライブに設定するドライブ設定部と;
前記ドライブ設定部での設定に従ってそれぞれの前記ハードディスクドライブへの通電を制御する電源制御部と;
を含むことを特徴とする、記録装置。
【請求項2】
前記複数のハードディスクドライブのそれぞれの温度を計測する温度計測部を更に備え、
前記ドライブ設定部は、前記温度計測部で計測した温度が最も低いハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブに設定することを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記ドライブ設定部は、保存用のハードディスクドライブへのデータの記録が完了した時点で、前記温度計測部で計測した温度が最も低いハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブに設定することを特徴とする、請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
通電状態としてスタンバイ状態とアクティブ状態とを有する複数のハードディスクドライブを備える機器のディスク切り替え方法であって、
前記アクティブ状態である一のハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブとして使用し、残りのハードディスクドライブは保存用のハードディスクドライブとして使用するように、前記複数のハードディスクドライブを、それぞれキャッシュ用のハードディスクドライブまたは保存用のハードディスクドライブに設定するドライブ設定ステップと;
前記ドライブ設定ステップでの設定に従ってそれぞれの前記ハードディスクドライブへの通電を制御する電源制御ステップと;
を含むことを特徴とする、ディスク切替方法。
【請求項5】
前記複数のハードディスクドライブのそれぞれの温度を計測する温度計測ステップを更に含み、
前記ドライブ設定ステップは、前記温度計測ステップで計測した温度が最も低いハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブに設定することを特徴とする、請求項4に記載のディスク切替方法。
【請求項6】
前記ドライブ設定ステップは、保存用のハードディスクドライブへのデータの記録が完了した時点で、前記温度計測ステップで計測した温度が最も低いハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブに設定することを特徴とする、請求項5に記載のディスク切替方法。
【請求項7】
通電状態としてスタンバイ状態とアクティブ状態とを有する複数のハードディスクドライブを備える機器においてディスクを切り替えるコンピュータプログラムであって、コンピュータに、
前記アクティブ状態である一のハードディスクドライブをキャッシュ用のハードディスクドライブとして使用し、残りのハードディスクドライブは保存用のハードディスクドライブとして使用するように、前記複数のハードディスクドライブを、それぞれキャッシュ用のハードディスクドライブまたは保存用のハードディスクドライブに設定するドライブ設定ステップと;
前記ドライブ設定ステップでの設定に従ってそれぞれの前記ハードディスクドライブへの通電を制御する電源制御ステップと;
を含む処理を実行させることを特徴とする、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−110104(P2009−110104A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279306(P2007−279306)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】