記録装置、及びその記録装置の回復方法

【課題】 必要以上にプリントアウト時間やスループットを悪化させることなく、また、必要以上に静粛性を損なうことなく、廃インクのあふれや飛散を防止することが可能な記録装置及びその記録装置の回復方法を提供する。
【解決手段】 インクジェット記録ヘッドの回復動作を行い、そのインクジェット記録ヘッドが記録媒体にインクを吐出して記録を行い、回復動作において消費されたインクを排出する動作において、その記録動作とインク排出動作とを並行的に行うよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置、及びその記録装置の回復方法に関し、特に、インクジェット記録ヘッドを用いて記録を行う記録装置、及びインクジェット記録ヘッドの回復を行うその記録装置の回復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からインクジェット記録装置(以下、記録装置)は、そのコンパクト性、高速性、静粛性等の利点を有していることから、広く研究開発されており、プリンタ等として一般に普及している。
【0003】
その記録装置において、インクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッド)のインク吐出口(ノズル口)からのインク中溶媒の蒸発によってノズル口近傍のインクの粘度が上昇したり、ノズル口に埃等の異物が付着したりすると、インク滴が吐出しない、いわゆる不吐出や、インク滴の吐出方向が偏向する、いわゆるヨレといった不具合が発生してしまうことがある。
【0004】
そのため、記録装置には、ノズル口からのインク中溶媒の蒸発を抑え、ノズル口への異物の付着を防止するためのキャップや、粘度が高くなったインクをノズル口から吸引排出するための吸引排出手段等からなる回復機構が備えられているものが多い。
【0005】
このような記録装置では、一般的に、記録(プリント)指令が入力されると、上述のような回復機構を用いた回復処理が行われ、その後、記録媒体(例えば、記録用紙)に記録が行われる。そのため、その回復処理に要する時間は、記録装置のプリントアウト時間(プリント指令が入力されてから記録媒体が排出されるまでの時間)に影響を与える。
【0006】
従って、回復処理に要する時間は短時間であることが求められるが、回復処理に要する時間の短縮には限界があるため、例えば、特許文献1に開示の記録装置では、例えば、記録媒体を給紙搬送する搬送手段の動作と同時に、上述の回復機構を動作させることによって、回復処理に要する時間がプリントアウト時間に与える影響をなくすようにしている。
【0007】
一方、上述の回復機構を備えている記録装置には、一般に、吸引排出したインクを保持するための廃インク保持手段が備えられている。
【0008】
さて、近年になり、デジタルカメラ等で撮影した画像を、例えば、L判サイズ等の比較的小さな記録用紙にプリントすることを主な用途とする、かなりコンパクトな記録装置が製品化されるようになってきている。このような記録装置においては、製品を小型化するために、廃インク保持手段も小型化することが要求される。
【0009】
しかしながら、その小型化には限界があるため、廃インク保持手段を記録装置に対して着脱自在に構成し、交換可能にした記録装置も種々提案されている。
【0010】
このような記録装置の一例が、特許文献2に開示されている。
【0011】
廃インク保持手段を記録装置に対して着脱自在に構成した場合、廃インク保持手段と記録装置との接合部において廃インクのあふれや飛散が生じてしまう虞があるが、特許文献2に開示の記録装置では、その記録装置に対して着脱自在に構成された廃インク容器の、廃インク管の端部が装着される部位に、廃インク管の端部を把持し廃インクの吸収が可能な部材を設けて、廃インク容器と記録装置との接合部における廃インクの飛散を防止するようにしている。
【特許文献1】特開平8−224865号公報
【特許文献2】特開平3−5159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献2のように構成された記録装置においても、排出されるインク量が多い場合には、特許文献1に開示の記録装置のように、記録用紙の給紙/搬送動作中という一般には短い時間内でインクの排出を行うと、廃インクの吸収が可能な部材内の廃インクの浸透速度を廃インク保持手段へのインクの排出速度が上回ってしまい、廃インク保持手段と記録装置との接合部において廃インクのあふれや飛散が生じてしまうという問題が生じる。
【0013】
また、特許文献1に開示の記録装置のように、記録用紙の給紙/搬送動作中という一般には短い時間内で、多くのインクを排出しようとすると、吸引排出手段を高速で駆動しなければならないため、吸引排出手段の駆動音が大きくなって装置の静粛性が損なわれてしまうという問題点が生じる。
【0014】
一方、それに対し、着脱自在に構成された廃インク保持手段と記録装置との接合部における廃インクのあふれや飛散が生じないように、また、静粛性が損なわれないように、常に、インクの排出時間を長くすると、多くの記録装置においてこのインクの排出時間が記録装置のプリントアウト時間やスループットに影響を与え、記録装置のプリントアウト時間やスループットが必要以上に悪化してしまうという不具合が発生する。
【0015】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、必要以上にプリントアウト時間やスループットを悪化させることなく、さらに、例えば、廃インクのあふれや飛散を防止することが可能な記録装置及びその記録装置の回復方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明の記録装置は、以下のような構成からなる。
【0017】
即ち、インクジェット記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録装置の回復方法であって、前記インクジェット記録ヘッドの回復を行う回復工程と、前記インクジェット記録ヘッドが前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録工程と、前記回復工程において消費されたインクを排出する排出工程と、前記記録工程における記録動作と前記排出工程における排出動作とを並行的に行うよう制御する制御工程とを有することを特徴とする。
【0018】
さらに、前記回復の動作が実行されてから次の記録動作指示を入力するまでの経過時間を測定し、その測定された経過時間に従って、前記回復の動作手順を変更することが望ましい。
【0019】
例えば、前記経過時間が第1の時間未満であった場合には、前記回復工程では、前記インクジェット記録ヘッドを動作させて予備吐出を行う一方、前記経過時間が第1の時間よりも長い第2の時間を越えた場合には、前記回復工程では前記インクジェット記録ヘッドのインク吐出口よりインクを吸引すると良い。
【0020】
なお、このようにして、前記回復工程において消費されたインクはインク溜りに一時的に貯留され、前記排出工程では、そのインク溜りに一時的に貯留されたインクを廃インクとして廃インクタンクに排出すると良い。
【0021】
前記制御工程はさらに、前記記録動作が終了する前に前記廃インクタンクへの廃インクの排出が終了するように制御することが望ましく、その廃インクの排出に要する時間は、前記記録媒体のサイズ及び記録媒体への記録の記録モードに従って変化させる、例えば、前記記録媒体のサイズが大きいほどその廃インクを排出する際の排出速度を遅くするように制御すると良い。
【0022】
また他の発明によれば、インクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体に記録を行う記録装置であって、前記インクジェット記録ヘッドの回復を行う回復手段と、前記インクジェット記録ヘッドを駆動して前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録手段と、前記回復手段において消費されたインクを排出する排出手段と、前記記録手段による記録動作と前記排出手段による排出動作とを並行的に行うよう制御する制御手段とを有することを特徴とする記録装置を備える。
【0023】
さらに、前記回復手段による回復の動作が実行されてから次の記録動作指示を入力するまでの経過時間を測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された経過時間に従って、前記回復の動作手順を変更する手順変更手段とを備えることが望ましい。
【0024】
このように構成することで、前記回復手段は、前記経過時間が第1の時間未満であった場合に、インクジェット記録ヘッドを動作させて予備吐出を行ったり、前記経過時間が第1の時間よりも長い第2の時間を越えた場合には、インクジェット記録ヘッドのインク吐出口よりインクを吸引することができる。
【0025】
またさらに、前記インクジェット記録ヘッドのインク吐出面を覆うキャップと、そのインク吐出面を拭うワイパと、回復手段により消費されたインクを一時的に貯留するインク溜りと、そのインク溜りに一時的に貯留されたインクを廃インクとして排出される、例えば、記録装置に対して着脱自在に構成される廃インクタンクとを有することが望ましい。なお、前記インク溜りは、そこに貯留されたインクを廃インクタンクに排出するためのポンプを構成するシリンダであり、前記排出手段は、そのポンプを駆動するためのポンプモータを有するようにすることが望ましい。
【0026】
加えて、予備吐出は、前記キャップ内のインク吸収体に対して予備吐出を行うように制御し、前記インクジェット記録ヘッドのインク吐出口から吸引したインクは、前記インク吸収体に対して吸収させるようにし、前記排出手段が、前記シリンダ内のピストンを上死点から下死点まで移動させることによりインク吸収体に含まれるインクをシリンダ内に導入し、そのピストンを下死点から上死点に移動させることによりシリンダ内に導入されたインクを廃インクタンクに排出するように制御すると良い。
【発明の効果】
【0027】
従って本発明によれば、回復動作により消費されたインクの排出を記録動作に行うことにより、必要以上にプリントアウト時間やスループットを悪化させることがないという効果がある。
【0028】
加えて、例えば、廃インクの排出に要する時間を制御することにより、廃インクのあふれや飛散を防止することができるという効果がある。またさらに、廃インクの排出するための駆動源となるモータの駆動を制御して、装置の静粛性を維持することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施例について、さらに具体的かつ詳細に説明する。
【0030】
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0031】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0032】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0033】
またさらに、「ノズル」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
【0034】
<インクジェット記録装置の説明(図1)>
図1は本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置(以下、記録装置)の構成の概要を示す外観斜視図である。
【0035】
図1において、1は記録媒体(例えば、記録用紙)を給紙するための給紙機構、2は記録用紙を矢印A方向と垂直な方向(以下、副走査方向)に搬送するための搬送機構、3は給紙機構1や搬送機構2を動作させるための駆動力を発生する搬送モータ(以下、LFモータ)である。4はキャリッジ、5はキャリッジ4を矢印A方向(以下、主走査方向)に往復走査させるための駆動力を発生するキャリッジモータ(以下、CRモータ)、6はキャリッジ5が主走査方向に往復走査する際にキャリッジ5を案内支持するガイドシャフト、7はキャップ、吸引排出手段、及び周知のワイピング手段等からなる回復機構である。
【0036】
また、100はキャリッジ6に搭載されたインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッド)である。
【0037】
上述のように構成された記録装置において、記録媒体は、LFモータ3から発生する駆動力を用いて間欠搬送されるが、記録媒体が停止しているときに、CRモータ5によって主走査方向に往復走査されるキャリッジ4に搭載された記録ヘッド100が記録媒体にインクを吐出して、記録を行う。
【0038】
図2は回復機構要部を模式的に示す断面図である。
【0039】
図2において、101はインク吐出口(ノズル口)が副走査方向に1200dpi(ドット/インチ)間隔で600個形成されたノズル口面、110は記録ヘッド100に対して着脱自在に構成されたインクタンク、210はノズル口面101との密着性を確保するために一般にはゴム等の弾性材料からなるキャップである。
【0040】
キャップ210は、記録ヘッド100が図2に示したようにキャッピングされるための位置に設けられる。即ち、キャップ210が相対的に図2に示したノズル口面101に当接するキャッピングポジションにあるときに、記録ヘッド100の全てのノズル口(不図示)がキャッピングされるように配設されている。
【0041】
さらに、キャップ210は、カムやモータ等からなる周知の着脱手段(不図示)によって矢印C方向に往復移動可能であるように構成されており、キャッピングポジションと、キャップ210がノズル口面101から離間している離間ポジション(不図示)との間を往復移動することができる。
【0042】
また、図2に示されているように、キャップ210には、吸引チューブ220が接続されており、吸引チューブ220には、吸引排出手段としてのシリンダポンプ230が接続されている。なお、吸引チューブ220には、矢印Q方向にのみ流体が移動可能な逆止弁221が備えられている。また、シリンダポンプ230には、ドレイン(排出)チューブ240が接続されており、ドレインチューブ240がシリンダポンプ230に接続される側と反対側の端部には、ドレイン針242が接続されている。なお、ドレインチューブ240にも、矢印H方向にのみ流体が移動可能な逆止弁241が備えられている。
【0043】
さらに、内部に多孔質材等からなる廃インク吸収保持部材310を備えた廃インク保持手段としての廃インクタンク300は記録装置に対して着脱自在に構成されている。そのため、廃インクタンク300には、記録装置に装着するときに、ドレイン針242が廃インク吸収保持部材310内に挿入されるべく、ドレイン開口301が設けられている。またさらに、廃インクタンク300には、廃インク吸収保持部材310内に吸収保持された廃インク中の揮発成分が蒸発しやすいように、開口302が設けられている。
【0044】
また、キャップ210には、大気連通チューブ250が接続されており、大気連通チューブ250には、キャップ210がキャッピングポジションに位置しているときにキャップ210とノズル口面101とによって形成されるキャップ内空間150を、大気と連通させるか否かを制御する大気連通弁251が備えられている。
【0045】
さらに、キャップ内空間150には、図2に示したように、多孔質材等からなるインク吸収体215が備えられている。なお、シリンダポンプ230内のピストン231の往復移動は、記録装置に備えられたポンプモータ(不図示)の正逆回転によって、ギア列やリードスクリュー等(不図示)及びピストン軸232を介して行われる。
【0046】
なお、上述のように、インクカートリッジ6と記録ヘッド3と分離可能に構成しても良いが、これらが一体的に形成されて交換可能なヘッドカートリッジIJCを構成しても良い。
【0047】
図3は、インクタンクと記録ヘッドとが一体的に形成されたヘッドカートリッジIJCの構成を示す外観斜視図である。図3において、点線KはインクタンクITと記録ヘッドIJHの境界線である。ヘッドカートリッジIJCにはこれがキャリッジ4に搭載されたときには、キャリッジ2側から供給される電気信号を受け取るための電極(不図示)が設けられており、この電気信号によって、記録ヘッドIJHが駆動されてインクが吐出される。
【0048】
なお、図3において、500はインク吐出口列である。また、インクタンクITにはインクを保持するために繊維質状もしくは多孔質状のインク吸収体が設けられている。
【0049】
<インクジェット記録装置の制御構成(図4)>
図4は図1に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【0050】
図4に示すように、コントローラ600は、MPU601、後述する制御シーケンスに対応したプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納したROM602、キャリッジモータ5の制御、搬送モータ3の制御、及び、以下に詳述する記録ヘッド3の記録制御のための画像データ処理や制御信号を生成する特殊用途集積回路(ASIC)603、画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等を設けたRAM604、MPU601、ASIC603、RAM604を相互に接続してデータの授受を行うシステムバス605、以下に説明するセンサ群からのアナログ信号を入力してA/D変換し、デジタル信号をMPU601に供給するA/D変換器606などで構成される。
【0051】
また、図4において、610は画像データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取り用のリーダやデジタルカメラなど)でありホスト装置と総称される。ホスト装置610と記録装置1との間ではインタフェース(I/F)611を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等を送受信する。
【0052】
さらに、620はスイッチ群であり、電源スイッチ621、プリント開始を指令するためのプリントスイッチ622、及び記録ヘッド3のインク吐出性能を良好な状態に維持するための処理(回復処理)の起動を指示するための回復スイッチ623など、操作者による指令入力を受けるためのスイッチから構成される。630はホームポジションhを検出するためのフォトカプラなどの位置センサ631、環境温度を検出するために記録装置の適宜の箇所に設けられた温度センサ632等から構成される装置状態を検出するためのセンサ群である。
【0053】
さらに、640はキャリッジ4を矢印A方向に往復走査させるためのキャリッジモータ5を駆動させるキャリッジモータドライバ、642は記録媒体を搬送するための搬送モータ3を駆動させる搬送モータドライバである。
【0054】
ASIC603は、記録ヘッド3による記録走査の際に、RAM602の記憶領域に直接アクセスしながら記録ヘッドに対して記録素子(吐出ヒータ)の駆動データ(DATA)を転送する。
【0055】
また、記録装置には、タイマ608が備えられており、前回の回復シーケンス実行からの時間をカウントしている。そして、前回の回復シーケンス実行時刻はEEPROM607に記憶される。
【0056】
次に、上述したような構成の記録装置が実行する回復シーケンスについての実施例を説明する。なお、以下の説明で、回復シーケン開始前の記録装置の各構成要素は、全てホームポジションに位置しているものとする。なお、大気連通弁251のホームポジションは弁開放状態である。
【実施例1】
【0057】
この実施例の回復シーケンス(以下、回復シーケンス1)は、記録装置にプリント指令が入力されたときから480時間(20日)以上が経過した場合に実行される。
【0058】
前回のプリント指令からが480時間以上が経過した場合、記録ヘッド100のノズル口からインク溶媒が蒸発し、ノズル口近傍のインクが粘度が高くなるため、シリンダポンプ230を用いて、記録ヘッド100のノズル口からノズル口近傍の粘度が高くなったインクを吸引排出する。具体的には、1ml(ミリリットル)のインクを吸引排出することによって、記録ヘッド100のインク吐出性能を回復させる。
【0059】
以下、回復シーケンス1についてフローチャートを参照して説明する。
【0060】
図5はこの実施例に従う回復シーケンスの処理を示すフローチャートである。
【0061】
まず、ステップS30でプリント指令が入力されると、処理はステップS31に進み、給送機構1を駆動して記録媒体の給送を開始するのと同時に、ステップS301では大気連通弁251を閉じる。即ち、プリント時間の短縮のため、記録媒体の給送と回復処理とを同時に開始するのである。
【0062】
大気連通弁251を閉じた後、ステップS302ではポンプモータを回転させ、ピストン231をホームポジション(図2に示した位置)から図2においてピストン231が矢印S方向に最も右にまで移動した位置(以下、下死点)まで移動させて、記録ヘッド100のノズル口からインクを吸引する。以下、ピストン231のホームポジション(以下、上死点)から下死点までの移動を吸引方向ストロークという。ちなみに、その反対方向の移動、ピストン231の下死点から上死点までの移動をドレイン方向ストロークという。
【0063】
この間(即ち、ピストン231が吸引方向ストロークを行っている間)に所定のタイミング(吸引されるインク量が1mlとなるタイミング)で、大気連通弁を開放する。大気連通弁の開放後は、大気連通チューブ250を介してキャップ内空間150内へ流入してくる空気とともに、インク吸収体215内に吸収されているインクをシリンダポンプ230内へ吸引する、いわゆる空吸引を行うことになる。この実施例では、このときのポンプモータの回転速度は4秒間で吸引方向ストロークを行うのに相当する回転速度である。また、この間のポンプモータの回転速度は一定であり、ピストン231の移動速度も凡そ一定である。
【0064】
このときのポンプモータの回転方向を、以下CW(時計回り)方向とする。
【0065】
なお、ステップS301〜S302を実行するのに要する時間は4.5秒である。
【0066】
従って、回復シーケンス1における、ステップS30におけるプリント指令入力から記録ヘッド100のノズル口からインクを吸引するインク吸引工程終了までの時間は、4.5秒となる。
【0067】
ステップS302終了後、ステップS303ではキャップ210を上述した離間ポジションへ移動させるのと同時に、ポンプモータをCW方向とは反対の方向(以下、CCW(反時計回り)方向)に回転させ、ステップS310では、ピストン231を下死点から上死点まで移動させてシリンダポンプ230内に吸引されたインクを廃インクタンク300へと排出(ドレイン)するドレイン方向ストロークを開始する。このときのポンプモータの回転速度は、記録媒体のサイズ及び記録(プリント)モードに応じて設定されるのであるが、このときのポンプモータの回転速度については後に詳述する。また、キャップ210を離間ポジションへ移動させたら、ステップS304では周知のワイピング等の動作を行う。
【0068】
なお、ステップS303〜S304を実行するのに要する時間は3秒である。従って、ステップS301〜304を実行するのに要する時間は、7.5秒となる。
【0069】
一方、プリント指令入力後に、給送が開始された記録媒体は、ステップS32において搬送機構2によって所定のプリント開始位置にまで搬送され、その後、ステップS304の処理が終了するのを待ち合わせる。
【0070】
なお、ステップS31〜S32を実行するのに要する時間は約7秒であるので、ステップS304が終了するのを待っている時間は約0.5秒である。ステップS304の処理が終了後、処理はステップS320に進み、プリント動作を開始する。
【0071】
ステップS320におけるプリント動作は、プリント指令入力時にヘッダデータとして同時に入力される記録媒体のサイズ及びプリントモードに応じて制御される。以下、そのプリント動作の概略を簡単に説明する。
【0072】
記録ヘッド100を搭載したキャリッジ4の主走査方向の走査長(以下、スキャン長)は、記録媒体の主走査方向サイズに2mmのマージン及びキャリッジ4の加減速長を加えた長さが、スキャン長となるようにCRモータ5が駆動制御される。また、キャリッジ4が、スキャン長から加減速長を減じた長さを走査するのに要する時間(以下、1スキャン時間)は、スキャン長から加減速長を減じた長さを、キャリッジ4の定速走査速度である508mm/秒(=20インチ/秒)で除算した時間となる。
【0073】
キャリッジ4の主走査方向の走査回数(以下、スキャン数)は、記録媒体の副走査方向サイズ及びプリントモードに応じて、以下の数になるように制御される。
【0074】
この実施例では、プリントモードとして、「はやい」、「標準」、「きれい」の3種類用いている。そして、間欠搬送される記録媒体の1回あたりの搬送量(以下、LF量)が上記3種類のプリントモードに応じて、以下の値になるように制御される。
【0075】
(1)プリントモードが「はやい」のとき
LF量が記録ヘッド100が1回の走査の間に記録媒体に記録することが可能な副走査方向長さ(以下、1パスプリント幅)と同一の12.7mm(=0.5インチ)となるように、LFモータ3の回転量が制御される。
【0076】
(2)プリントモードが「標準」のとき
LF量が、1パスプリント幅の1/4である、3.175mm(=0.125インチ)となるように、LFモータ3の回転量が制御される。
【0077】
(3)プリントモードが「きれい」のとき
LF量が、1パスプリント幅の1/8である、1.5875mm(=0.0625インチ)となるように、LFモータ3の回転量が制御される。
【0078】
なお、上述したように、記録ヘッド100のノズル口面101には、副走査方向に1200dpiの解像度で600個のノズル口が形成されているので、1パスプリント幅は、600/1200=0.5インチ(=12.7mm)となる。また、プリントモードが「標準」あるいは「きれい」であるときには、LF量を1パスプリント幅よりも小さくし、その記録を記録ヘッド100の複数回の走査の間のインク吐出に分割して行う、いわゆるマルチパス記録を行うことによって、高画質化を図っている。
【0079】
この実施例におけるスキャン数は、記録媒体の副走査方向サイズに2mmのマージンを加えた値を、プリントモードに応じたLF量で除算した値(整数に切り上げた値)になるように制御される。
【0080】
以上のように、プリント動作は制御される。
【0081】
従って、ステップS320におけるプリント動作に要する時間(以下、プリント時間)は、記録媒体の主走査方向サイズに応じて決まる1スキャン時間に、キャリッジ4の加減速時間及びLFモータを回転させている時間等のキャリッジ4の各走査間のロス時間(この実施例では0.1秒)を加えた時間に、記録媒体の副走査方向サイズ及びプリントモードに応じて決まるスキャン数を乗じた時間となる。即ち、プリント時間は、記録媒体のサイズ(主走査方向及び副走査方向)及びプリントモードに応じて決まる。
【0082】
従って、回復シーケンス1におけるプリント指令入力から記録ヘッド100が記録媒体にインクを吐出して記録(プリント)を行う記録工程終了までの時間も、記録媒体のサイズ及びプリントモードに応じて決まる時間となる。
【0083】
ステップS320の処理が終了後、ステップS330では記録媒体を記録装置外へ排出し、再び、その後、処理はステップS30に戻り、次のプリント指令の入力を待つ。
【0084】
なお、記録媒体の排出に要する時間は約4秒である。
【0085】
従って、回復シーケンス1における、プリント指令入力から記録媒体を記録装置外へ排出する記録媒体排出工程終了までの時間もプリント時間に記録媒体の排出に要する時間(4秒)を加えた時間として、記録媒体のサイズ及びプリントモードに応じて決まる時間となる。
【0086】
一方、ステップS302終了後に開始された、ステップS310におけるドレイン方向ストロークにおけるポンプモータの回転は、記録媒体のサイズ及びプリントモードに応じて設定された時間で、ドレイン方向ストロークを行うのに相当する回転速度で行われる。なお、この間も、ポンプモータの回転速度は一定であり、ピストン231の移動速度は略一定である。
【0087】
さて、ステップS310におけるドレイン方向ストロークの終了後、処理はステップS30に戻り再度のプリント指令の入力を待ち合わせるが、ステップS310の処理が終了する前にステップS330の処理が終了し、さらに、再度のプリント指令も入力されている場合には、ステップS310の処理が終了するまで、再度のプリント指令入力に伴う動作を開始することができない。
【0088】
その理由は、再度のプリント指令が入力された場合、前回回復シーケンス実行からの経過時間は短いが、そうではあっても記録開始前には記録ヘッド100を駆動してキャップ210内のインク吸収体215にインクを吐出すること(以下、予備吐出)による記録ヘッド100のインク吐出性能の回復が必要であり、この予備吐出されたインクを吸引するために、シリンダポンプ230内のピストン231がホームポジション(上死点)に戻っている必要があるからである。
【0089】
このような理由から、記録媒体の排出動作の終了よりもドレイン方向ストロークの終了が遅くなると、記録装置のスループットが悪化してしまう。
【0090】
ここで、図6を参照してスループットの悪化について詳しく説明する。
【0091】
図6は記録媒体のサイズ及びプリントモードに応じて設定されたドレイン方向ストロークに要する時間(ドレイン時間)の一覧を示す図である。
【0092】
図6に示された6つの場合の内、記録媒体のサイズが「名刺」サイズで、プリントモードが「はやい」以外の場合には、ステップS330の処理が終了する直前にステップS310の処理が終了するようドレイン方向ストロークを行うようにポンプモータの回転を制御している。言い換えると、記録媒体のサイズ及びプリントモードから、ステップS320の処理とステップS330の処理に要する時間を算出し、記録媒体の排出が終了する直前にドレイン方向ストロークが終了するような回転速度でポンプモータを回転させるのである。
【0093】
こうすることによって、記録装置のスループットを悪化させることなく、ポンプモータの回転速度を適切に制御することができ、ポンプモータの駆動音による静粛性の低下を抑えることができる。
【0094】
特に、この実施例においては、ドレイン方向ストロークを実行中、即ち、ポンプモータを駆動中にCRモータやLFモータが駆動されるため、ポンプモータの駆動音を抑えることは記録装置の静粛性の維持に大きく貢献する。
【0095】
一方、記録媒体のサイズが「名刺」サイズでプリントモードが「はやい」場合には、ドレイン時間を8.0秒間で、即ち、8.0秒でドレイン方向ストロークを行うのに相当する回転速度でポンプモータを回転させるよう制御する。
【0096】
その理由は、ステップS302においてシリンダポンプ230内に吸引された1mlのインクを廃インクタンク300へドレインするに際し、8.0秒よりも短い時間でドレイン方向ストロークを行うと、記録装置と廃インクタンク300との接合部、すなわち、ドレイン開口301近傍部において、廃インクのあふれや飛散が生じてしまうことがあるからである。
【0097】
なお、記録媒体のサイズが「名刺」サイズでプリントモードが「はやい」場合には、プリント及び記録媒体の排出に要する時間は5.7秒であるため、ドレイン方向ストロークが終了するよりも0.7秒前に、記録媒体の排出は終了する。
【0098】
従って以上説明した実施例に従えば、記録媒体のサイズ及びプリントモードから算出されるプリント及び記録媒体の排出に要する時間に応じてドレイン方向ストロークの際のピストン231の移動速度を制御するとともに、プリント中にもドレイン方向ストロークを行うことによって、記録装置のスループットを必要以上に悪化させることなく、また、記録装置の静粛性を必要以上に損なうことなく、記録装置と廃インクタンク300との接合部における廃インクのあふれや飛散を防止することもできる。
【実施例2】
【0099】
実施例1では、記録装置にプリント指令が入力された時に、 前回の回復シーケンス実行からの経過時間が長かった場合(480時間以上であった場合)に実行される回復シーケンスの例について説明したが、実施例2では、プリント指令が入力された時に、前回の回復シーケンス実行からの経過時間が比較的短かった場合、具体的には、前回の回復シーケンス実行からの経過時間が168時間(7日)未満であった場合に実行される回復シーケンス(以下、回復シーケンス2)の例について説明する。
【0100】
この実施例に従う記録装置では、プリント指令が入力された時に、前回の回復シーケンス実行からの経過時間が168時間未満と比較的短かった場合、記録ヘッド100のノズル口からのインク中溶媒の蒸発量が少量であるため、ノズル口近傍の少量の粘度が高くなったインクを予備吐出によって排出することで、記録ヘッド100のインク吐出性能を回復させる。
【0101】
以下、回復シーケンス2についてフローチャートを参照して説明する。
【0102】
図7はこの実施例に従う回復シーケンスの処理を示すフローチャートである。なお、図7において、既に実施例1で説明したのと同じ処理ステップには同じステップ参照番号を付し、その説明は省略する。
【0103】
プリント指令が入力されると、ステップS31の処理を開始するのと同時に、ステップS501ではキャップ210を前述した離間ポジションへ移動させる。これにより、この実施例でも、プリント時間の短縮のため、回復処理を同時に開始する。
【0104】
その後、ステップS502では、記録ヘッド100を駆動して、600個のノズル口夫々からインク滴を5,000滴づつキャップ210内のインク吸収体215に吐出して予備吐出を行う。なお、ステップS501〜502の処理を実行するのに要する時間は1秒である。
【0105】
その後、ステップS503では周知のワイピング等の動作を実行するのと同時に、ステップS510ではポンプモータをCW方向に回転させて、ピストン231をホームポジション(上死点)から下死点まで移動させる吸引方向ストロークを行う。この吸引方向ストロークによって、ステップS502においてキャップ210内のインク吸収体215に吐出されたインクがシリンダポンプ230内に吸引される。なお、このときのポンプモータの回転速度は、4秒間で吸引方向ストロークを行うのに相当する回転速度である。また、この間の、ポンプモータの回転速度は一定でありピストン231の移動速度も略一定である。従って、ステップS501〜502及びステップS510を実行するのに要する時間は、5秒となる。
【0106】
即ち、回復シーケンス2における、プリント指令入力から記録ヘッド100がキャップ210内のインク吸収体215にインクを吐出する予備吐出工程において吐出されたインクを吸引する予備吐出インク吸引工程終了までの時間は5秒となる。なお、吸引方向ストロークによってシリンダポンプ230内に吸引されるインクの量は、0.015mlである。
【0107】
ステップS510の実行後、ステップS520ではポンプモータをCCW方向に回転させ、ピストン231を下死点から上死点まで移動させてシリンダポンプ230内に吸引されたインクを廃インクタンク300へと排出するドレイン方向ストロークを開始する。このときのポンプモータの回転速度等については後に詳述する。
【0108】
一方、ステップS503でのワイピング等の動作後は、ステップS32の処理により記録媒体が所定のプリント開始位置にまで搬送されるのを待ち合わせる。
【0109】
なお、ステップS503を実行するのに要する時間は2秒であり、ステップS31〜S32を実行するのに要する時間は7秒であるので、ステップS52が終了するのを待ち合わせる時間は4秒である。
【0110】
プリント用紙が所定のプリント開始位置にまで搬送されたなら、処理はステップS3200に進み、プリントを開始する。そのプリント動作は、実施例1で説明したのと同じである。従って、そのプリント時間は、実施例1と同様、画像の記録サイズ(主走査方向及び副走査方向)及びプリントモードに応じて決まる。従って、回復シーケンス2における、プリント指令入力から記録ヘッド100が記録媒体にインクを吐出して記録(プリント)を行う記録工程終了までの時間も、画像の記録サイズ及びプリントモードに応じて決まる時間となる。
【0111】
ステップS320の処理が終了後、ステップS330では記録媒体を記録装置外へ排出し、その後処理はステップS30に戻って、再び、プリント指令の入力を待ち合わせる。
【0112】
なお、ステップS330の処理に要する時間は、記録媒体のサイズ及び画像の記録サイズ(副走査方向)に応じて異なる。
【0113】
一方、ステップS510終了後に開始された、ドレイン方向ストロークにおけるポンプモータの回転は、画像の記録サイズ及びプリントモードから算出されるプリント時間に応じて設定される時間でドレイン方向ストロークを行うのに相当する回転速度に従って行われる。なお、この間も、ポンプモータの回転速度は一定であり、ピストン231の移動速度は略一定である。また、ドレイン方向ストロークを行っている時間をドレイン時間という。ステップS520の処理が終了後、処理はステップS30に戻り、再度のプリント指令の入力を待ち合わせる。
【0114】
図8はドレイン時間とプリント時間との関係を示す図である。
【0115】
図8において、横軸がプリント時間、縦軸がドレイン時間である。
【0116】
この実施例における記録装置に、プリント指令が入力されてからプリントが開始されるまでに要する時間は、上述したように7秒である。一方、プリント指令が入力されてからドレイン方向ストロークが開始されるまでに要する時間は、上述したように5秒である。
【0117】
そのため、図8に示すプリント時間とドレイン時間との関係は、原則的にはドレイン時間がプリント時間に2秒を加えた時間になるようになっている。
【0118】
言い換えると、画像の記録サイズ及びプリントモードからプリント時間を算出し、ステップS320の処理が終了する直前に、ステップS520の処理が終了するような回転速度でポンプモータを回転させている。
【0119】
こうすることによって、記録装置のスループットを悪化させることなく、ポンプモータの回転速度を下げることができ、ポンプモータの駆動音による静粛性の低下を抑えることができるからである。
【0120】
ただし、図8によれば、プリント時間が2秒以下である場合には、4秒間でドレイン方向ストロークを行うのに相当する回転速度でポンプモータを回転させるよう制御する。このときの速度以上に速くポンプモータを回転させることができないからである。
【0121】
なお、ステップS510においてシリンダポンプ230内に吸引されたインクの量が、上述したように、0.015mlと少ないため、4秒間ドレイン方向ストロークを実行しても、記録装置と廃インクタンク300との接合部において廃インクのあふれや飛散が発生することはない。このときには、ドレイン方向ストロークが終了する前に、プリントは終了している。
【0122】
さらに、図8によれば、プリント時間が38秒以上である場合には、40秒間でドレイン方向ストロークを行うのに相当する回転速度でポンプモータを回転させるよう制御する。このときの速度以上に遅くポンプモータを回転させることができないからである。このときには、プリントが終了する前に、ドレイン方向ストロークは終了している。
【0123】
従って以上説明したようにこの実施例に従えば、前回の回復シーケンス実行からの経過時間が168時間未満と比較的短かい場合に実行される回復シーケンスにおいても、画像の記録サイズ及びプリントモードから算出されるプリント時間に応じて、ドレイン方向ストロークの際のピストン231の移動速度を制御するとともに、プリント中にもドレイン方向ストロークを実行することによって、記録装置のスループットを必要以上に悪化させることなく、また、記録装置の静粛性を必要以上に損なうことなく、記録装置と廃インクタンク300との接合部における廃インクのあふれや飛散を防止することができる。
【0124】
なお、以上説明した実施例では、予備吐出が終了してから、吸引方向ストロークを開始する例について説明したが、予備吐出と吸引方向ストロークとを同時に開始するようにしてもよいし、吸引方向ストロークの終了が予備吐出の終了よりも遅くならなければ、吸引方向ストロークを予備吐出よりも先に開始するようにしてもよい。
【0125】
また、実施例1、2では、プリント及び記録媒体の排出に要する時間、あるいは、プリント時間に応じて吸引されたインクを排出する際の排出速度を制御する例について説明したが、吸引されたインクの排出をプリント中に行うように制御するだけでも、記録装置のプリントアウト時間やスループットを必要以上に悪化させることがない。
【0126】
さらに、実施例1、2では、インクの吸引速度、及び、吸引インクの排出速度は、略一定として説明したたが、本発明はこれによって限定されるものではなく、略一定でなくても良い。加えて、吸引インク量が、例えば、実施例1、2で例示した量よりもかなり多いような場合には、吸引インクの排出方法を間欠排出にすることにより、廃インクのあふれや飛散を防止することができる。
【0127】
またさらに、実施例1、2では、吸引排出手段としてシリンダポンプを採用した例について説明したが、本発明はこれにより限定されるものではなく、シリンダポンプ以外のポンプ等を吸引排出手段として採用しても良い。
【0128】
またさらに、実施例1、2で説明した記録装置で用いられるインクの種類は1種類であったが、複数種類のインクを用いてカラープリントを行う記録装置に対しても本発明は有効である。
【0129】
さらに、以上の実施例において、記録ヘッドから吐出される液滴はインクであるとして説明し、さらにインクタンクに収容される液体はインクであるとして説明したが、その収容物はインクに限定されるものではない。例えば、記録画像の定着性や耐水性を高めたり、その画像品質を高めたりするために記録媒体に対して吐出される処理液のようなものがインクタンクに収容されていても良い。
【0130】
以上の実施例は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0131】
加えて、以上の実施例のようなシリアルスキャンタイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。さらには、記録媒体の幅に相当する記録幅をもったいわゆるフルラインタイプ記録ヘッドを用いた構成の記録装置に対しても、本発明は有効である。
【0132】
さらに加えて、本発明のインクジェット記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力装置として用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したインクジェット記録装置の回復機構要部の模式的断面図である。
【図3】インクタンクと記録ヘッドとが一体的に形成されたヘッドカートリッジの構成を示す外観斜視図である。
【図4】図1に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例1に従う回復シーケンスを示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例1に従うドレイン時間を示す表を示す図である。
【図7】本発明の実施例2に従う回復シーケンスを示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施例2に従うドレイン時間を示すグラフである。
【符号の説明】
【0134】
1 給送機構
2 搬送機構
3 搬送モータ
4 キャリッジ
5 キャリッジモータ
6 ガイドシャフト
7 回復機構
100 インクジェット記録ヘッド
101 ノズル口面
110 インクタンク
150 キャップ内空間
210 キャップ
215 インク吸収体
220 吸引チューブ
221 逆止弁
230 シリンダポンプ
231 ピストン
232 ピストン軸
240 ドレインチューブ
241 逆止弁
242 ドレイン針
250 大気連通チューブ
251 大気連通弁
300 廃インクタンク
301 ドレイン開口
302 開口
310 廃インク吸収保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録装置の回復方法であって、
前記インクジェット記録ヘッドの回復を行う回復工程と、
前記インクジェット記録ヘッドが前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録工程と、
前記回復工程において消費されたインクを排出する排出工程と、
前記記録工程における記録動作と前記排出工程における排出動作とを並行的に行うよう制御する制御工程とを有することを特徴とする記録装置の回復方法。
【請求項2】
前記回復工程における回復の動作が実行されてから次の記録動作指示を入力するまでの経過時間を測定する測定工程と、
前記測定工程において測定された経過時間に従って、前記回復の動作手順を変更する手順変更工程とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置の回復方法。
【請求項3】
前記経過時間が第1の時間未満であった場合には、前記回復工程では、前記インクジェット記録ヘッドを動作させて予備吐出を行うことを特徴とする請求項2に記載の記録装置の回復方法。
【請求項4】
前記経過時間が第1の時間よりも長い第2の時間を越えた場合には、前記回復工程では前記インクジェット記録ヘッドのインク吐出口よりインクを吸引することを特徴とする請求項2に記載の記録装置の回復方法。
【請求項5】
前記回復工程において消費されたインクはインク溜りに一時的に貯留されることを特徴とする請求項3又は4に記載の記録装置の回復方法。
【請求項6】
前記排出工程では、前記インク溜りに一時的に貯留されたインクを廃インクとして廃インクタンクに排出することを特徴とする請求項5に記載の記録装置の回復方法。
【請求項7】
前記制御工程はさらに、前記記録工程における記録動作が終了する前に、前記廃インクタンクへの廃インクの排出が終了するように制御することを特徴とする請求項6に記載の記録装置の回復方法。
【請求項8】
前記廃インクの排出に要する時間は、前記記録媒体のサイズ及び記録媒体への記録の記録モードに従って変化することを特徴とする請求項7に記載の記録装置の回復方法。
【請求項9】
前記記録媒体のサイズが大きいほど、前記廃インクを排出する際の排出速度を遅くすることを特徴とする請求項8記載の記録装置の回復方法。
【請求項10】
インクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体に記録を行う記録装置であって、
前記インクジェット記録ヘッドの回復を行う回復手段と、
前記インクジェット記録ヘッドを駆動して前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録手段と、
前記回復手段において消費されたインクを排出する排出手段と、
前記記録手段による記録動作と前記排出手段による排出動作とを並行的に行うよう制御する制御手段とを有することを特徴とする記録装置。
【請求項11】
前記回復手段による回復の動作が実行されてから次の記録動作指示を入力するまでの経過時間を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定された経過時間に従って、前記回復の動作手順を変更する手順変更手段とをさらに有することを特徴とする請求項10に記載の記録装置。
【請求項12】
前記回復手段は、
前記経過時間が第1の時間未満であった場合に、前記インクジェット記録ヘッドを動作させて予備吐出を行う予備吐出制御手段と、
前記経過時間が第1の時間よりも長い第2の時間を越えた場合には、前記インクジェット記録ヘッドのインク吐出口よりインクを吸引する吸引回復手段とを有することを特徴とする請求項11に記載の記録装置。
【請求項13】
前記インクジェット記録ヘッドのインク吐出面を覆うキャップと、
前記インク吐出面を拭うワイパと、
前記回復手段により消費されたインクを一時的に貯留するインク溜りと、
前記インク溜りに一時的に貯留されたインクを廃インクとして排出される廃インクタンクとをさらに有することを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の記録装置。
【請求項14】
前記インク溜りは、前記インク溜りに貯留されたインクを前記廃インクタンクに排出するためのポンプを構成するシリンダであり、
前記排出手段は、前記ポンプを駆動するためのポンプモータを有することを特徴とする請求項13に記載の記録装置。
【請求項15】
前記廃インクタンクは、前記記録装置に対して着脱自在に構成されることを特徴とする請求項13に記載の記録装置。
【請求項16】
前記予備吐出制御手段は、前記キャップ内のインク吸収体に対して予備吐出を行うように制御し、
前記吸引回復手段は、前記インク吸収体に対して吸引したインクを吸収させることを特徴とする請求項14に記載の記録装置。
【請求項17】
前記排出手段は、前記シリンダ内のピストンを上死点から下死点まで移動させることにより前記インク吸収体に含まれるインクを前記シリンダ内に導入し、前記ピストンを前記下死点から前記上死点に移動させることにより前記シリンダ内に導入されたインクを前記廃インクタンクに排出することを特徴とする請求項16に記載の記録装置。
【請求項18】
前記制御手段はさらに、前記記録手段における記録動作が終了する前に、前記廃インクタンクへの廃インクの排出が終了するように制御することを特徴とする請求項13乃至17のいずれかに記載の記録装置。
【請求項19】
前記廃インクの排出に要する時間は、前記ポンプモータの駆動を制御することにより、前記記録媒体のサイズ及び記録媒体への記録の記録モードに従って変化することを特徴とする請求項18に記載の記録装置。
【請求項20】
前記記録媒体のサイズが大きいほど、前記廃インクを排出する際の排出速度を遅くすることを特徴とする請求項19記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−1186(P2007−1186A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−185216(P2005−185216)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】