説明

記録装置及びその制御方法

【課題】 記録媒体の残量不足により撮影チャンスを逃したり、撮影を中断せざるをえなくなったりすることを抑制可能な記録装置を提供する。
【解決手段】 記録媒体の残量が閾値未満になると、希望記録時間をユーザに設定させる。設定された希望記録時間分の記録が現在設定されている目標符号化データレートで行えないと判断される場合には、例えば、より低い目標符号化データレートに対応づけられた記録モードを自動設定することで、希望記録時間の記録ができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置及びその制御方法に関し、特に、動画像データの情報量を圧縮して記録する記録装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動画像や静止画像を撮影して、音声とともに磁気テープやメモリカードなどに記録するビデオカメラが知られている。また、近年では、DVDやハードディスク(HDD)などのディスク状記録媒体に画像や音声を記録するビデオカメラ(以下、ディスクビデオカメラという)も登場している。
ディスクビデオカメラにおいては、撮影により得られた動画像データをMPEG方式などの高能率符号化方式を用いて符号化してディスク媒体に記録する。
【0003】
MPEG方式など多くの符号化方式では、量子化ステップ幅や画素数などを調整することで、圧縮率(%)=(符号化前のデータ量(d0)−符号化後のデータ量(d1))/符号化前のデータ量(d0)*100を変えることができる。圧縮率を高くするほど、単位時間当たりのデータ量は少なくなるが、記録される画像の品質が低下してしまう。一方、圧縮率を低くすれば、高画質な画像を記録することができるが、データ量も増えることになる。
【0004】
そこで、ディスクビデオカメラにおいては、異なる画質(圧縮率)の記録モードを複数用意し、ユーザが記録モードを任意に選択できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
これにより、ユーザは撮影の目的や撮影時間などによって記録モードを適宜切り替えることができ、限られた記録容量のディスク媒体を有効に使用することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−78743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、記録媒体の残量や、使用状況についての情報はビデオカメラのEVF画面などに表示される。圧縮率の異なる複数の記録モードを持つビデオカメラでは、記録媒体の残量が少なくなった場合に、高画質モード(低圧縮率の記録モード)から低画質モード(高圧縮率の記録モード)に切り替えることで、記録可能な時間を増やすことができる。
【0007】
しかし、残量の確認を忘れることも考えられる。特に、ビデオカメラでの撮影に慣れていない初心者のユーザは、被写体を追いかけるのに精一杯で、記録残量まで確認する余裕が無いことは珍しくないであろう。
【0008】
その結果、媒体の交換を促すメッセージが表示された際に初めて残量がないことに気付いたりすることがある。この場合、新しい媒体に交換するか、さもなければ記録済みのデータを消去して記録可能容量を作ることができる。
【0009】
しかしながら、多くのビデオクリップを記録済みの場合、消去するビデオクリップを短時間で決定することは非常に困難である。その結果、撮影チャンスを逃してしまうという問題があった。
【0010】
本発明はこの様な問題を解決することを目的としたもので、記録媒体の残量不足により撮影チャンスを逃したり、撮影を中断せざるをえなくなったりすることを抑制可能な記録装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的は、動画像データを取得する取得手段と、設定された符号化データレートを達成するように動画像データを符号化し、符号化動画像データを出力する符号化手段と、符号化動画像データを記録媒体に記録する記録手段と、設定された符号化データレートにおいて記録媒体に符号化動画像データを記録可能な記録可能時間を算出する算出手段と、記録可能時間が予め定めた閾値未満になったことに応じて、動画像データの希望記録時間をユーザに設定させるための設定画面を表示装置に表示させる表示手段と、設定画面を介して設定された希望記録時間が記録可能時間よりも長い場合、設定された符号化データレートよりも低い符号化データレートでの記録可能時間を算出手段によって算出し、記録可能時間が希望記録時間以上となる符号化データレートを符号化手段に設定する制御手段を有することを特徴とする記録装置によって達成される。
【0012】
また、上述の目的は、動画像データを取得する取得工程と、設定された符号化データレートを達成するように動画像データを符号化し、符号化動画像データを出力する符号化工程と、符号化動画像データを記録媒体に記録する記録工程と、設定された符号化データレートにおいて記録媒体に符号化動画像データを記録可能な記録可能時間を算出する算出工程と、記録可能時間が予め定めた閾値未満になったことに応じて、動画像データの希望記録時間をユーザに設定させるための設定画面を表示装置に表示させる表示工程と、設定画面を介して設定された希望記録時間が記録可能時間よりも長い場合、設定された符号化データレートよりも低い符号化データレートでの記録可能時間を算出工程を用いて算出し、記録可能時間が希望記録時間以上となる符号化データレートを符号化工程で使用するように制御する制御手段を有することを特徴とする記録装置の制御方法によっても達成される。
【発明の効果】
【0013】
このような構成により、本発明によれば、記録媒体の残量不足により撮影チャンスを逃したり、撮影を中断せざるをえなくなったりすることを抑制可能な記録装置およびその制御方法を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る記録装置の一例としてのビデオカメラ100の構成例を示す図である。
【0015】
図1において、取得手段としての撮像部101は公知のレンズユニット、撮像素子及びカメラ信号処理部を備える。撮像部101は、オートフォーカス機構を備えるレンズユニットにより被写体像を撮像素子に結像し、CCDイメージセンサややCMOSイメージセンサ等の撮像素子が光学被写体像を画素信号の集合として出力する。カメラ信号処理部は画素信号をA/D変換し、さらに色補間処理やホワイトバランス処理といった所謂現像処理を行ない、動画像データとして出力する。
【0016】
符号化手段としての圧縮伸長部102は、撮影時には撮像部101が出力する動画像データをMPEG2方式で符号化すると共に、再生時には符号化された動画像データを復号する。また、圧縮伸長部102は、後述の制御部105から設定される、符号化動画像データの平均ビットレート(符号化データレート)を達成するように符号化を行う。
【0017】
表示制御部103は、制御部105からの指示により、各種設定メニューやタイトル、時間などの表示データを生成し、動画像データと共に表示部104に供給する。表示部104は例えばLCDであり、表示制御部103から出力される表示データ及び動画像データに応じた画像を表示する。
【0018】
制御部105はマイクロコンピュータを内蔵し、ビデオカメラ100の全体を制御する。操作部106は操作スイッチ群であり、ユーザが操作可能な各種のスイッチ、ボタン等を備える。操作部106に含まれるスイッチ、ボタン類の中には、動作モード切り替えスイッチも含まれる。本実施形態のビデオカメラ100における動作モードには、主として撮影を行うためのカメラモード、主として再生処理を行うための再生モード及び、電源オフとするパワーオフモードがある。
【0019】
メモリ107は、制御部105の制御処理や、圧縮伸長部102の符号化処理や復号化処理などに用いられる。記録再生部108は、ディスク状記録媒体の一例としてのHDD109に対して符号化動画像データを記録したり、記録済の符号化動画像データを読み出したりする。本実施形態において、HDD109はビデオカメラ100に内蔵されており、リムーバブル記憶媒体ではない。
【0020】
本実施形態のビデオカメラ100は、互いに異なる目標符号化データレート(もしくは目標圧縮率)で動画像データを符号化して記録する、複数の記録モードを有する。例えば、目標符号化データレートが平均10MbpsのXP(高画質)モード、同6MbpsのSP(標準画質)モード、同3MbpsのLP(長時間)モードを有するものとする。
【0021】
ユーザは、操作部106を操作してメニュー画面から設定したり、記録モード設定用のボタンを操作する等により、これら3つの記録モードから所望の記録モードを選択できる。ユーザにより設定された記録モードの情報は、制御部105内部の図示しない不揮発性メモリに格納され、電源オフ中も保持されている。
【0022】
なお、本実施形態のビデオカメラ100は、一般的なビデオカメラと同様、動画像データの記録再生機能に加え、音声データの記録再生機能を有する。音声データの処理は本発明と関係がないため、音声データの記録再生処理についての説明は省略するが、動画像記録再生時には音声データについても動画像データと共に記録再生される点に留意されたい。また、特に説明しないが、本実施形態のビデオカメラ100は、静止画の記録再生機能も有している。
【0023】
(記録処理)
次に、ビデオカメラ100による記録動作について説明する。
操作部106により記録開始の指示があると、制御部105は各部を制御し、記録動作を開始する。撮像部101から出力された動画像データは、メモリ107に記憶される。圧縮伸長部102はメモリ107に記憶された動画像データを順次圧縮符号化し、符号化動画像データをメモリ107に記憶する。
【0024】
このとき、圧縮伸長部102は、ユーザにより設定された記録モードに従って符号化パラメータを変更し、符号化動画像データが設定された目標符号化データレートを達成するよう制御する。また、圧縮伸長部102は、記録開始時における先頭の動画フレームをサムネイル画面として抽出し、メモリ107に記憶する。
【0025】
記録再生部108は、メモリ107に記憶された符号化動画像データを読み出し、サムネイル画像データを含む各種の付加情報を付加してHDD109に記録する。本実施形態では、記録開始の指示から記録停止の指示までの間に記録した一連の動画像データを一つの動画像ファイルとして管理している。
【0026】
また、記録停止中及び記録中において、撮像部101より出力された動画像データは表示制御部103に送られている。表示制御部103は、この動画像データに対し、日時やバッテリー残量など、必要な付加表示情報を付加して表示部104に表示する。これにより、表示部104は所謂電子ビューファインダー(EVF)として機能する。
【0027】
(再生処理)
次に、ビデオカメラ100による再生処理について説明する。
ユーザが操作部106を操作して、サムネイル一覧画面の表示を指示すると、制御部105は記録再生部108を制御して、HDD109に記録された各動画像ファイルのサムネイル画像データを再生し、表示制御部103に送る。表示制御部103は、再生されたサムネイル画像データを用い、HDD109に記録された各動画像ファイルのサムネイル画像の一覧画面を生成し、表示部104に表示する。
【0028】
ユーザは、表示部104に表示されたサムネイル一覧画面を見ながら、所望の動画像ファイルを選択し、再生開始を指示する。この再生開始指示に応答して、制御部105は記録再生部108を制御し、指定されたサムネイルに対応する動画像ファイルをHDD109から読み出す。読み出された動画像データはメモリ107に記憶される。圧縮伸長部102は、メモリ107に記憶された符号化動画像データを復号し、メモリ107に記憶する。表示制御部103は、メモリ107より復号された動画像データを読み出し、表示部104に表示する。
【0029】
動画像ファイルの読み出し、復号及び表示動作は、動画像ファイルが最後まで読み出されるか、再生停止指示があるまで順次行われる。
【0030】
(記録モードの自動設定処理)
次に、本実施形態のビデオカメラにおける、記録モードの自動設定処理について説明する。
図2は、電源投入時において制御部105により実行される処理を示すフローチャートである。
【0031】
電源が投入されると、算出手段としての制御部105は、記録再生部108を用いてHDD109の記録可能容量を取得する。そして、現在設定されている記録モードに対応する目標ビットレートに基づいて、HDD109の記録可能時間を算出する(S201)。
そして、制御部105は、算出した記録可能時間が決められた閾値未満か否かを判別する(S202)。ここで、閾値は、ビデオカメラ100の出荷時に予め設定してもよいし、また、ユーザが任意に設定できる値であっても良い。
【0032】
記録可能時間が閾値以上であった場合には、そのまま通常の処理に移行し、現在設定されている記録モードは変更されない。
【0033】
一方、S202において、記録可能時間が閾値未満であると判別された場合、表示手段としての制御部105は、表示制御部103を制御し、希望記録時間をユーザに設定させる画面を表示部104に表示する(S203)。希望記録時間の設定画面の例を図4(b)に示す。なお、希望記録時間の入力処理については後述する。
【0034】
次に、制御部105は、設定画面を介してユーザから希望記録時間が設定されたか否かを判別し(S204)、設定された場合、S201で算出した記録可能時間が希望記録時間未満か否かを判別する(S205)。記録可能時間が希望記録時間以上であった場合、現在設定されている記録モード(目標符号化ビットレート)を変更する必要がない。制御部105は、図5(a)に示すような、記録モードを変更することなく希望記録時間分の記録が可能である旨をのメッセージ画面を表示制御部103を通じて表示部104に表示させる(S208)。そして、制御部105は、記録モードを現在の設定モードのままにして、処理を終了する。
【0035】
一方、S205において、記録可能時間が希望記録時間未満であると判別された場合、制御部105は記録モードの自動設定処理を行う(S206)。記録モードの自動設定処理の詳細については後述する。
【0036】
また、制御部105は、S204で希望記録時間の設定待ちの間、設定がキャンセルされたか否かを判別する(S207)。キャンセルされない場合にはS203に戻り、希望記録時間が設定されるのを待つ。また、設定がキャンセルされた場合、ユーザは希望記録時間によって記録モードを変える意志はないものとして、現在設定中の記録モードのまま処理を終了する。
【0037】
図4は、本実施形態のビデオカメラ100の表示画面の例を示す図である。
図4(a)は、通常の撮影時における表示部104の表示画面の例を示す図である。
401は表示画面を示し、402は記録モードの状態を示す付加表示である。ここではXPモードが設定されていることを示している。
【0038】
図4(b)は希望記録時間の設定画面の例を示す。
希望記録時間の設定画面には、ユーザに記録可能時間が少なくなってきたことを知らせるとともに、あとどのくらい撮影する予定かを設定するように促すメッセージ403が含まれる。また、録画希望時間を入力領域404が設けられ、ユーザは操作部106に含まれる方向キーなどを操作することで、時間、分を入力することができる。例えば操作部106に、上、下、決定を意味するキーを割り当て、上キー及び下キーで数値を選択し、決定キーで時間から分へ、分から設定終了へと遷移するように画面を構成することができる。
【0039】
決定キーが2度押下され、設定終了状態となると、制御部105は表示制御部103を制御して図4(c)に示すような設定確認画面を表示部104に表させる。
【0040】
設定確認画面には、設定された希望記録時間を確認のためにユーザに示すと共に、設定された希望記録時間を反映させるか否かの最終確認を促すメッセージ405が含まれる。また、「はい」ボタン406及び「いいえ」ボタン407が含まれ、例えば上述の上下キーの操作により、一方が選択状態となる。図4(c)は「はい」ボタン406が選択されている状態、図4(d)は「いいえ」ボタン407が選択されている状態をそれぞれ示す。図4(d)の状態で決定キーが押下されると、S207における設定キャンセルとみなされる。あるいは、キャンセル指示は別のキーに割り当て、図4(d)の状態での決定キーの押下は図4(b)の状態に戻るように構成しても良い。
【0041】
図4(c)に示す状態で決定キーが押下されると、制御部105は、希望記録時間が設定された(S204,Y)と判断する。
図4(e)は、記録モードの自動設定処理(S206)により、希望記録時間に従って記録モードが変更された場合の、通常撮影時における表示画面例を示している。
この場合、記録モードが自動設定されるので、自動記録モード設定状態を示す“Auto”が付加表示されている。
【0042】
(記録モード設定処理)
次に、図2のS206における記録モード設定処理の詳細について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0043】
まず、制御部105は、現在設定されている記録モードが、最も低い目標符号化データレートに対応付けられているか否か(この場合は、LPモードか否か)を判別する(S301)。現在設定されている記録モードがLPモードであった場合、これ以上低い目標符号化データレートに対応づけられた記録モードがなく、S201で算出した記録可能時間を記録モードの変更により延ばすことができない。従って、S201で算出した記録可能時間以上の記録できない。制御部105は、表示制御部103を制御し、例えば図5(b)に示すような警告メッセージを表示部104に所定期間表示させ(S309)、記録モードを変更することなく(すなわち、LPモードのまま)、処理を終了する。なお、警告メッセージを、記録可能時間と希望記録時間の差を用い、「希望記録時間のうち、xx分は記録できません」等としてもよい。
【0044】
また、S301で記録モードがLPモードでない場合、制御部105は、現在の記録モードがSPモードであるか否かを判別する(S302)。
S301においてSPモードでない場合、XPモードに設定されている。従って、制御部105はXPモードの次に低い目標符号化データレートに対応付けられたSPモードでの記録可能時間をS201と同様の方法で算出する(S303)。具体的には、制御部105は、HDD109の記録残容量と、SPモードにおける目標符号化データレートとに基づいて、SPモードでの記録可能時間を算出する。そして、制御部105は、算出した記録可能時間が設定された希望記録時間未満か否かを判別する(S304)。
【0045】
記録可能時間が希望記録時間以上であった場合、制御部105は、記録モードからSPモードを選択し、設定する(S311)。これにより、SPモードに対応付けられた目標符号化ビットレートが圧縮伸長部102に設定される。
【0046】
また、S302で現在の記録モードがSPモードであった場合、または、S304で記録可能時間が希望記録時間未満であると判別された場合、S305へ移行する。ここで制御部105は、SPモードよりも更に低い目標符号化データレートに対応付けられたLPモードでの記録可能時間を算出する。具体的には、制御部105は、HDD109の記録残容量とLPモードにおける目標符号化データレートとに基づいて、記録可能時間を算出する。そして、算出した記録可能時間が希望記録時間未満であるか否かを判別する(S306)。
【0047】
記録可能時間が希望記録時間以上であった場合、制御部105は記録モードからLPモードを選択し、設定する(S312)。
【0048】
また、S306において、記録可能時間が希望記録時間未満と判別された場合は、最も低い目標符号化データレートに対応付けられたLPモードであっても、希望記録時間の記録ができない。そのため、制御部105は、表示制御部103を制御し、図5(c)に示すように、記録モードを変更しても、S305で算出した記録可能時間以上の記録はできない旨の警告メッセージを表示部104に所定時間表示させる(S307)。
【0049】
なお、S307での警告メッセージの表示処理の後、記録モードをLPモードに変更し、少しでも希望記録時間に近い記録を実現するようにしてもよい。
【0050】
この様に、本実施形態によれば、記録媒体の空き容量もしくは記録可能容量が減少し、現在設定された記録モードで記録可能な時間が予め定めた時間未満となった場合、ユーザに希望する録画時間を設定させる処理を自動的に実行する。そして、希望録画時間と現在設定されている記録モードとに応じ、記録モードを自動設定する。そのため、不注意による残量不足が原因で撮影チャンスを逃すことを抑制することができる。また、現在設定されている記録モードでは希望記録時間分の記録ができないと判断される場合のみ記録モードを変更するため、画質を不必要に低下させたり、逆に高画質としすぎることもない。
【0051】
<他の実施形態>
なお、上述の実施形態では、目標符号化データレートが異なる3つの記録モードを有するビデオカメラについて説明したが、これ以外の記録モードを用意することも可能である。また、記録モードに固定の目標符号化データレートを対応させる以外にも、任意の目標符号化データレートをユーザが設定できるように構成することも可能である。
【0052】
また、上述の実施形態では、記録モードの自動設定処理において、希望記録時間を達成可能な記録モードを自動的に選択していた。しかし、記録残容量が余らないように希望記録時間の記録を行うよう、記録モードごとに定められた以外の目標符号化データレートを適宜設定することも可能である。
【0053】
また、上述の実施形態では、記録モードの自動設定処理は、電源投入時に実行される処理の一部として実行されるものとして説明したが、他のタイミングにおいて実行しても良い。例えば、撮影停止指示を受け付けた後に実行したり、電源投入中で、撮影していない状態において定期的に実行するように構成することもできる。
【0054】
また、自動設定処理により記録モードが変更された場合、変更前の設定を制御部105内部の不揮発性メモリに記憶しておき、電源がオフされた際に記録モードを元に戻すように構成しても良い。
【0055】
また、自動設定した記録モードをユーザが変更した場合には、希望記録時間の記録ができなくなる場合でも、ユーザの設定を優先するように構成しても良い。さらに、記録モードの自動設定を実行するかどうかをユーザが初期設定により選択可能に構成することも可能である。
【0056】
さらに、上述の実施形態では、本発明の効果が最もわかりやすい例として、交換不能なディスク状記録媒体を用いたビデオカメラについて説明した。しかし、交換可能な任意の記録媒体を用いる記録装置に対しても本発明を適用することが可能である。
【0057】
また、上述の実施形態では、撮像部を有する記録装置であるビデオカメラに本発明を適用した例を説明したが、撮像部は本発明に必須でなく、符号化を行う動画像データの取得元や取得方法はどのようなものであっても良い。例えば、有線又は無線接続された外部機器から取得しても良い。同様に、復号化機能も必須ではない。
【0058】
また、本明細書において「符号化」は符号変換(トランスコード)も含む。従って、最終的に圧縮伸長部102が出力する符号化動画像データの符号化データレートが可変であれば、圧縮伸長部102に入力される動画像データが他の方式で符号化されていても良い。
【0059】
さらに、上述の実施形態においては、S201で算出した記録可能時間が閾値未満である場合、設定されている記録モードとは無関係に希望記録時間の設定画面を表示していた。しかし、既にLPモードが設定されている場合など、それ以上目標符号化データレートを下げられない状態では、希望記録時間を設定させても意味がない。従って、S202とS203の間で制御部105が現在の設定モードを確認し、既に最低の目標符号化データレートが設定されている場合には希望記録時間の設定画面を表示せず、記録可能時間が少ないことの警告のみを行って処理を終わるように構成しても良い。この場合、制御部105は設定画面の表示を禁止する禁止手段として機能する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係る記録装置の一例としてのビデオカメラの構成例を示す図である。
【図2】電源投入時において制御部105により実行される処理を示すフローチャートである。
【図3】図2のS206における記録モード設定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態のビデオカメラにおける表示画面の例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態のビデオカメラにおける表示画面の例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像データを取得する取得手段と、
設定された符号化データレートを達成するように前記動画像データを符号化し、符号化動画像データを出力する符号化手段と、
前記符号化動画像データを記録媒体に記録する記録手段と、
前記設定された符号化データレートにおいて前記記録媒体に前記符号化動画像データを記録可能な記録可能時間を算出する算出手段と、
前記記録可能時間が予め定めた閾値未満になったことに応じて、前記動画像データの希望記録時間をユーザに設定させるための設定画面を表示装置に表示させる表示手段と、
前記設定画面を介して設定された前記希望記録時間が前記記録可能時間よりも長い場合、前記設定された符号化データレートよりも低い符号化データレートでの記録可能時間を前記算出手段によって算出し、記録可能時間が前記希望記録時間以上となる符号化データレートを前記符号化手段に設定する制御手段を有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記制御手段が、複数の互いに異なる符号化データレートと対応付けられた複数の記録モードのうち、現在設定されている記録モードよりも低い符号化データレートに対応付けられた記録モードのいずれかを選択することにより、前記符号化レートを前記符号化手段に設定することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記記録可能時間が前記希望記録時間以上となる記録モードのうち、最も高い符号化データレートに対応づけられた記録モードを選択することを特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項4】
現在設定されている記録モードが最も低い符号化データレートに対応付けられている場合には、前記表示手段による前記設定画面の表示を禁止する禁止手段をさらに有することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の記録装置。
【請求項5】
動画像データを取得する取得工程と、
設定された符号化データレートを達成するように前記動画像データを符号化し、符号化動画像データを出力する符号化工程と、
前記符号化動画像データを記録媒体に記録する記録工程と、
前記設定された符号化データレートにおいて前記記録媒体に前記符号化動画像データを記録可能な記録可能時間を算出する算出工程と、
前記記録可能時間が予め定めた閾値未満になったことに応じて、前記動画像データの希望記録時間をユーザに設定させるための設定画面を表示装置に表示させる表示工程と、
前記設定画面を介して設定された前記希望記録時間が前記記録可能時間よりも長い場合、前記設定された符号化データレートよりも低い符号化データレートでの記録可能時間を前記算出工程を用いて算出し、記録可能時間が前記希望記録時間以上となる符号化データレートを前記符号化工程で使用するように制御する制御工程を有することを特徴とする記録装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−147790(P2008−147790A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329922(P2006−329922)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】