説明

記録装置及び発光強度制御方法

【課題】複数のレーザ光源の発光強度の変動を正確に補正すること。
【解決手段】各半導体レーザ11a、11b、…、11hから出力される各レーザビームを主走査方向に対する走査幅を広げて記録媒体3のエリア外に走査し、この記録媒体3のエリア外に走査されたレーザビームの光強度をモニタし、このモニタされたレーザビームの光強度に応じて各半導体レーザ11a、11b、…、11hの発光強度をそれぞれ個別に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレーザ光源をライン状に配列して成るレーザアレイから出力される各レーザビームを記録媒体上に走査して情報を記録する記録装置に係り、各レーザ光源から出力されるレーザビームの発光強度を制御する記録装置、及びレーザビームの発光強度を制御する発光強度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感熱記録媒体の熱記録方式として、レーザ光源から出力されるレーザビームを主走査方向に走査して記録を行う方式がある。例えばレーザプリンタ等に使用される半導体レーザ等のような単光源のレーザ光源から出力されるレーザビームをポリゴンミラーに照射し、このポリゴンミラーの回転又は往復運動によってレーザビームを主走査方向に走査し、かつ可逆性感熱記録媒体を副走査方向に搬送し、この感熱記録媒体上に2次元の画像情報等を記録する。
【0003】
感熱記録媒体は、特定温度の加熱制御により発色と消色とを繰り返し、感熱記録、感熱消去を可能とするリライタブルな可逆性の媒体である。図8は感熱記録媒体の発色、消去特性を示す。この感熱記録媒体は、例えば融点180℃以上をかけると印字層中に存在する染料と顕色剤とが溶け合った状態になり、この状態から急冷することにより染料と顕色剤とが混ざり合ったまま結晶化して発色する。一方、感熱記録媒体は、ゆっくり冷却すると、染料と顕色剤とがそれぞれ結晶化するので、発色状態を保てず、消去状態になる。さらに、感熱記録媒体3は、染料と顕色剤との融点以下でもある一定時間の加熱により染料と顕色剤とが徐々に分離して結晶化し、消去状態となる温度域、例えば約130℃〜170℃程度もある。このように感熱記録媒体3は、温度と時間とを厳密にコントロールして印字・消去を行う。
【0004】
このようなレーザ光源から出力されるレーザビームを主走査方向に走査して記録を行う方式において、レーザ光源から出力されるレーザビームの発光強度(発光パワー)は、例えば使用時間や経年変化等によって変動する。このレーザ光源の発光強度の変動に対する補正が行われている。この補正方法は、例えばレーザ光源の近傍に受光素子を設け、これらレーザ光源と受光素子とを一体化したパッケージを構成し、受光素子によりレーザ光源から出力されたレーザビームを受光し、この受光量に応じてレーザ光源から出力されるレーザビームの発光強度を調整する方法が主流になっている。
【特許文献1】特開平7−61173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
単光源のレーザ光源から出力されるレーザビームのパワーが小さいため、レーザ光源から出力されるレーザビームのパワーが小さく、感熱記録媒体の記録面を発色温度に加熱するのに時間を要し、感熱記録媒体への記録スピードを高速化できない。そこで、複数のレーザ光源をライン状に配列して成る半導体レーザアレイを用いる方法が考えられる。しかしながら、上記レーザ光源の発光強度の変動に対する補正方法では、半導体レーザアレイの各レーザ光源の各近傍にそれぞれ受光素子を設けることは困難である。又、各受光素子は、両隣のレーザ光源からのレーザ光を受光してしまうため、正確に各レーザビームの発光強度を調整することができない。
【0006】
本発明の目的は、複数のレーザ光源の発光強度の変動を正確に補正できる記録装置及び発光強度制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のレーザ光源をライン状に配置して成る記録ヘッドを有し、複数のレーザ光源から出力される各レーザビームを主走査方向に走査すると共に、記録ヘッドの主走査方向に対して垂直な副走査方向に記録媒体を搬送することにより記録媒体上に情報を記録する記録装置において、レーザビームを主走査方向に対する走査幅を広げて記録媒体エリア外に走査する走査部と、記録媒体エリア外に配置され、記録媒体エリア外に走査された少なくとも1つのレーザビームの光強度をモニタするモニタ部と、モニタ部によりモニタされたレーザビームの光強度に応じて少なくとも1つのレーザ光源の発光強度を制御する光源制御部とを具備する記録装置である。
【0008】
本発明は、複数のレーザ光源をライン状に配置して成る記録ヘッドを有し、複数のレーザ光源から出力される各レーザビームを主走査方向に走査すると共に、記録ヘッドの主走査方向に対して垂直な副走査方向に記録媒体を搬送することにより記録媒体上に情報を記録する記録装置における各レーザ光源の発光強度制御方法において、レーザビームを主走査方向に対する走査幅を広げて記録媒体エリア外に走査し、記録媒体エリア外に走査された少なくとも1つのレーザビームの光強度をモニタし、モニタされたレーザビームの光強度に応じて少なくとも1つのレーザ光源の発光強度を制御する発光強度制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のレーザ光源の発光強度の変動を正確に補正できる記録装置及び発光強度制御方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は記録装置の構成図を示す。記録ヘッドとしてレーザアレイヘッド10が設けられている。このレーザアレイヘッド10は、図2に示すようにレーザ光源として例えば8素子の半導体レーザ11a〜11hをライン状に配置して成る。これら半導体レーザ11a〜11hは、それぞれレーザビームを出力する。これら半導体レーザ11a〜11hから出力される各レーザビームの光路上には、例えばポリゴンミラー2が設けられている。このポリゴンミラー2は、モータ12の駆動によって矢印C方向に回転し、各半導体レーザ11a〜11hから出力された各レーザビームをそれぞれ主走査方向Aに走査する。モータ12は、モータ駆動部13によって回転駆動する。なお、ポリゴンミラー2によるレーザビームの主走査方向Aへの走査範囲は、感熱記録媒体3面上及びこの感熱記録媒体3面のエリア外に設定されている。
【0011】
搬送機構14上には、例えば感熱記録を可能とするリライタブルな感熱記録媒体3が載置される。この搬送機構14は、感熱記録媒体3を副走査方向Bに搬送する。なお、主走査方向Aと副走査方向Bとは、互いに直交する。この搬送機構14の上流側には、記録媒体収納ボックス15が設けられている。この記録媒体収納ボックス15内には、複数の感熱記録媒体3が収納されている。記録媒体収納ボックス15内に収納されている各感熱記録媒体3は、例えば1枚ずつピックアップされて搬送機構14上に載置される。
【0012】
感熱記録媒体3面のエリア外には、受光素子16が設けられている。この受光素子16は、感熱記録媒体3面のエリア外に走査されたレーザビームを受光し、このレーザビームの受光強度に応じた受光信号を出力する。この受光素子16は、レーザアレイヘッド10の各半導体レーザ11a〜11hのうち1つの半導体レーザ11a、11b、…、又は11hから出力されるレーザビームを受光する。
【0013】
記録制御部20は、記録媒体3上に記録すべき画像や文字等を含む記録情報に従ってレーザアレイヘッド10の各半導体レーザ11a〜11hを選択的に発光制御すると共に、モータ駆動部13を駆動してポリゴンミラー2を矢印C方向に回転させ、かつ搬送機構14を搬送動作させて感熱記録媒体3を副走査方向Bに搬送させることにより、各半導体レーザ11a〜11hから出力される各レーザビームを感熱記録媒体3面上で主走査方向Aに繰り返し走査して画像や文字等を含む記録情報を記録媒体3上に記録する。
又、記録制御部20は、受光素子16から出力された受光信号を入力し、レーザビームの受光強度に応じてレーザアレイヘッド10の各半導体レーザ11a〜11hの各発光強度をそれぞれ個別で制御する。
【0014】
具体的に記録制御部20は、CPU、ROM、RAM等により成る主制御部21を有する。ROMには、予め発光強度制御プログラムが記憶されている。この発光強度制御プログラムは、各半導体レーザ11a〜11hから出力される各レーザビームを記録媒体3のエリア外に走査させ、記録媒体3のエリア外に走査された少なくとも1つのレーザビームの光強度を受光素子16により検出させ、この検出されたレーザビームの光強度に応じて少なくとも1つの半導体レーザ11a〜11hの各発光強度を個別に制御させる。
【0015】
主制御部21には、搬送制御部22と、発光情報記憶部23と、操作部24とが接続されている。搬送制御部22は、主制御部21からの搬送指令を受けて搬送機構14を搬送動作する。
搬送制御部22は、搬送機構14に対して搬送機構14を搬送動作させて記録媒体3を例えば一定の搬送速度で搬送させる。
【0016】
発光情報記憶部23には、各半導体レーザ11a〜11hから出力される各レーザビームの光強度をモニタするときの各半導体レーザ11a〜11hの発光順序を示す発光情報Tが予め記憶されている。この発光情報Tは、各半導体レーザ11a〜11hから出力される各レーザビームを1ライン走査する毎に、予め設定された順序に従って各半導体レーザ11a〜11hのうち1つの各半導体レーザ11a、11b、…、又は1hを順次発光させる。例えば図3(a)に示すように第1ライン目の走査時に半導体レーザ11hを発光させ、次に同図(b)に示すように第2ライン目の走査時に半導体レーザ11gを発光させ、次に同図(c)に示すように第3ライン目の走査時に半導体レーザ11fを発光させ、以下同様に、各ラインの走査時に各半導体レーザ11e、11d、…、11aを順次発光させる。
【0017】
なお、発光情報Tは、1ライン走査する毎に1つの半導体レーザ11a、11b、…、又は1hを順次発光させているが、これに限らず、受光素子16のレーザビームを受光してその受光信号を出力するときの応答速度に応じて1ライン走査する毎に1つ以上の各半導体レーザ11a、11b、…、又は1hを順次発光させてもよい。この場合、発光情報Tは、受光素子16の応答速度が速ければ発光させる半導体レーザ11a、11b、…、又は1hの個数が多くなり、受光素子16の応答速度が遅くなれば発光させる半導体レーザ11a、11b、…、又は1hの個数が少なくなる。
【0018】
又、発光情報Tは、図4に示すように複数の発光情報T〜Tnを有する。例えば発光情報Tは、搬送機構14による感熱記録媒体3の搬送速度又はポリゴンミラー2による各半導体レーザ11a〜11hから出力された各レーザビームの主走査方向Aへの走査速度とのうちいずれか一方又は両方によって決まる感熱記録媒体3面上での記録速度に応じて各半導体レーザ11a〜11hの発光強度に設定されている。
【0019】
又、発光情報Tは、それぞれ各半導体レーザ11a〜11hに対するそれぞれレベルの異なる複数の発光強度に設定されていてもよい。例えば、各半導体レーザ11a〜11hの経年変化に応じて各発光強度が低下するので、複数の発光情報Tは、それぞれ各発光強度の低下を補正するための各発光強度に設定してもよい。
さらに、複数の発光情報Tnは、感熱記録媒体3の特性に応じた各半導体レーザ11a〜11hの発光強度が設定されていてもよい。複数の発光情報Tnは、それぞれ各半導体レーザ11a〜11hの発光強度のバラツキを補正するための各発光強度に設定してもよい。
【0020】
操作部24は、各半導体レーザ11a〜11hから出力される各レーザビームの光強度をモニタし、各半導体レーザ11a〜11hの発光強度を制御する動作を行うか否かの選択スイッチが設けられている。なお、各半導体レーザ11a〜11hの発光強度の制御は、常時行うように設定してもよいし、又は定期的に行うように設定してもよい。
【0021】
又、操作部24は、発光情報記憶部23に記憶されている複数の発光情報T〜Tnのうち本記録装置における例えば受光素子16の応答速度、又は感熱記録媒体3面上での記録速度に応じた1つの発光情報T、T又はTnを選択するキー又はボタンを備える。これに限らず操作部24は、各半導体レーザ11a〜11hの経年変化に応じて各発光強度の低下を補正するために例えば発光情報Tnを選択するキー又はボタンを備える。操作部24は、各半導体レーザ11a〜11hの発光強度のバラツキを補正するために例えば発光情報Tnを選択するキー又はボタンを備える。
【0022】
なお、複数の発光情報T〜Tnのうち1つの発光情報T、T又はTnの選択は、主制御部21により搬送機構14による感熱記録媒体3の搬送速度、又はポリゴンミラー2による各半導体レーザ11a〜11hから出力された各レーザビームの主走査方向Aへの走査速度等に応じて自動選択するように設定してもよい。
【0023】
主制御部21は、ROMに記憶されている発光強度制御プログラムを実行することにより走査制御部25と、受光強度モニタ部26と、光源制御部27とを有する。走査制御部25は、モータ駆動部13に対して走査指令を発してポリゴンミラー2を回転させ、各半導体レーザ11a〜11hから出力される各レーザビームを主走査方向Aに走査させ、かつこれらレーザビームの主走査方向Aの走査範囲を感熱記録媒体3面上及びこの感熱記録媒体3面のエリア外で走査させる。
【0024】
受光強度モニタ部26は、受光素子16から出力される受光信号を入力し、この受光信号からレーザビームの受光強度を求める。受光素子16は、各半導体レーザ11a〜11hのうち1つの半導体レーザ11a、11b、…、又は11hから出力されるレーザビームを受光してその受光信号を出力するので、受光強度モニタ部26は、1つの半導体レーザ11a、11b、…、又は11hの受光強度を求める。
【0025】
光源制御部27は、記録媒体3面のエリア外にレーザビームを走査するとき、発光情報記憶部23に記憶されている発光情報Tに従って複数の半導体レーザ11a〜11hのうち1つの半導体レーザ11a、11b、…、又は11hを順次発光させ、かつこのとき受光強度モニタ部26により検出されたレーザビームの光強度に応じて当該1つの半導体レーザ11a、11b、…、又は11hの発光強度を各半導体レーザ11a、11b、…、11h個別に制御する。この場合、光源制御部27は、例えば半導体レーザ11a、11b、…、11hに対する基準の光強度が予め設定され、この基準光強度と受光強度モニタ部26により検出されたレーザビームの光強度との差に応じて各半導体レーザ11a、11b、…、11hの発光強度を制御する。
【0026】
なお、光源制御部27は、記録媒体3面上にレーザビームを走査するとき、画像や文字等を含む記録情報Dに従って各半導体レーザ11a、11b、…、11hを発光制御する。
【0027】
従って、光源制御部27は、画像や文字等を含む記録情報Dに従って各半導体レーザ11a、11b、…、11hを発光制御して記録媒体3面上に記録情報を記録すると同時に、各半導体レーザ11a、11b、…、11hの発光制御を行う場合、図5に示すように画像や文字等を含む記録情報Dと発光情報記憶部23に記憶されている発光情報Tとを合わせた合成データCを作成し、この合成データCに従って各半導体レーザ11a、11b、…、11hを発光制御する。なお、合成データCは、記録媒体3面上で画像や文字等を含む記録情報Dに従って各半導体レーザ11a、11b、…、11hが発光制御させ、かつ記録媒体3面のエリア外すなわち受光素子16の受光面上で発光情報記憶部23に記憶されている発光情報Tに従って各半導体レーザ11a、11b、…、11hが発光制御させるものとなる。
【0028】
次に、上記の如く構成された装置による半導体レーザ11a、11b、…、11hの発光強度の制御について説明する。
記録媒体収納ボックス15内に収納されている各感熱記録媒体3は、例えば1枚ずつピックアップされて搬送機構14上に載置される。この搬送機構14は、感熱記録媒体3を載置し、感熱記録媒体3を副走査方向Bに搬送する。このとき搬送機構14上に載置される感熱記録媒体3は、画像や文字等の画像データの記録の全く無いものである。
光源制御部27は、画像や文字等を含む記録情報Dに従って各半導体レーザ11a、11b、…、11hを選択的に発光制御する。
ポリゴンミラー2は、モータ駆動部13による駆動により矢印C方向に回転し、各半導体レーザ11a〜11hから出力された各レーザビームをそれぞれ主走査方向Aに走査する。これらレーザビームの主走査方向Aの走査範囲は、感熱記録媒体3面上及びこの感熱記録媒体3面のエリア外である。各半導体レーザ11a〜11hから出力された各レーザビームは、ポリゴンミラー2の各ミラーにより走査されることにより感熱記録媒体3面上に1ラインずつ順次走査される。これにより、レーザビームが照射された感熱記録媒体3面上は、これら印字ドット毎に熱の集中により加熱され、図8に示すように発色温度(例えば180℃)に達し、十分な濃度で印字される。この結果、記録媒体3面上に記録情報Dが記録される。
【0029】
一方、各半導体レーザ11a〜11hの発光強度を制御する場合、光源制御部27は、図5に示すように画像や文字等を含む記録情報Dと発光情報記憶部23に記憶されている発光情報Tとを合わせた合成データCを作成する。これにより、各半導体レーザ11a〜11hから出力される各レーザビームが感熱記録媒体3面上に走査されているとき、光源制御部27は、上記同様に、合成データCにおける画像や文字等を含む記録情報Dに従って各半導体レーザ11a、11b、…、11hを選択的に発光制御する。
【0030】
ポリゴンミラー2によるレーザビームの主走査方向Aへの走査範囲は、感熱記録媒体3面上及びこの感熱記録媒体3面のエリア外に設定されているので、各半導体レーザ11a〜11hから出力される各レーザビームが感熱記録媒体3面上に走査されているとき、光源制御部27は、合成データCにおける発光情報Tに従って複数の半導体レーザ11a〜11hのうち1つの半導体レーザ11a、11b、…、又は11hを順次発光させる。
【0031】
すなわち、光源制御部27は、各半導体レーザ11a〜11hから出力された各レーザビームの第1ライン目の走査時に、当該各レーザビームが感熱記録媒体3面のエリア外に走査されているとき、図3(a)に示すように例えば半導体レーザ11hを発光させる。この半導体レーザ11hの発光タイミングは、半導体レーザ11hから出力されたレーザビームが受光素子16の受光面上に照射されるタイミングである。
次に、光源制御部27は、各半導体レーザ11a〜11hから出力された各レーザビームの第2ライン目の走査時に、当該各レーザビームが感熱記録媒体3面のエリア外に走査されているとき、図3(b)に示すように例えば半導体レーザ11gを発光させる。この半導体レーザ11gの発光タイミングも半導体レーザ11gから出力されたレーザビームが受光素子16の受光面上に照射されるタイミングである。
【0032】
次に、光源制御部27は、各半導体レーザ11a〜11hから出力された各レーザビームの第3ライン目の走査時に、当該各レーザビームが感熱記録媒体3面のエリア外に走査されているとき、図3(c)に示すように例えば半導体レーザ11fを発光させる。この半導体レーザ11fの発光タイミングも半導体レーザ11fから出力されたレーザビームが受光素子16の受光面上に照射されるタイミングである。
以下同様に、光源制御部27は、各半導体レーザ11a〜11hから出力された各レーザビームの各ラインの走査時に、当該各レーザビームが感熱記録媒体3面のエリア外に走査されているとき、各ラインの走査時に各半導体レーザ11e、11d、…、11aを順次発光させる。なお、各半導体レーザ11a〜11hから出力された各レーザビームの第9ライン目の走査時、光源制御部27は、当該各レーザビームが感熱記録媒体3面のエリア外に走査されているときに再び図3(a)に示すように例えば半導体レーザ11hを発光させる。
【0033】
受光素子16は、各ラインの走査毎、すなわち、受光素子16は、第1ライン目の走査時に、半導体レーザ11hから出力されたレーザビームを受光し、このレーザビームの受光強度に応じた受光信号を出力する。次に、受光素子16は、第2ライン目の走査時に、半導体レーザ11gから出力されたレーザビームを受光し、このレーザビームの受光強度に応じた受光信号を出力する。以下同様に、受光素子16は、各ラインの走査毎に、11f、11e、11d、…、11aから出力されたレーザビームを順次受光し、これらレーザビームの受光強度に応じた受光信号を順次出力する。そして、受光素子16は、第9ライン目の走査時に、再び半導体レーザ11hから出力されたレーザビームを受光し、このレーザビームの受光強度に応じた受光信号を出力する。
【0034】
先ず、受光強度モニタ部26は、第1ライン目の走査時に、受光素子16から出力される受光信号を入力し、この受光信号から半導体レーザ11hから出力されたレーザビームの受光強度を求める。光源制御部27は、第1ライン目の走査時に、受光強度モニタ部26により検出された半導体レーザ11hから出力されたレーザビームの光強度を入力し、このレーザビームの光強度と予め設定された基準光強度との差に応じて当該半導体レーザ11hの発光強度を個別に制御する。
【0035】
次に、受光強度モニタ部26は、第2ライン目の走査時に、受光素子16から出力される受光信号を入力し、この受光信号から半導体レーザ11gから出力されたレーザビームの受光強度を求める。光源制御部27は、第2ライン目の走査時に、受光強度モニタ部26により検出された半導体レーザ11gから出力されたレーザビームの光強度を入力し、このレーザビームの光強度と予め設定された基準光強度との差に応じて当該半導体レーザ11gの発光強度を個別に制御する。
【0036】
以下、受光強度モニタ部26は、第3ライン目、第4ライン目の各ライン走査時に、受光素子16から出力される受光信号を入力し、この受光信号から半導体レーザ11e、11d、…、11aから出力されたレーザビームの受光強度を順次求める。そして、受光強度モニタ部26は、第9ライン目の走査時に、受光素子16から出力される受光信号を入力し、この受光信号から再び半導体レーザ11hから出力されたレーザビームの受光強度を求める。
【0037】
光源制御部27も上記同様に、第3ライン目、第4ライン目の各ライン走査時に、受光強度モニタ部26により検出された半導体レーザ11e、11d、…、11aから出力されたレーザビームの光強度を入力し、これらレーザビームの光強度と予め設定された基準光強度との差に応じて当該半導体レーザ11e、11d、…、11aの発光強度を個別に制御する。そして、光源制御部27は、第9ライン目の走査時に、受光強度モニタ部26により検出された半導体レーザ11hから出力されたレーザビームの光強度を再び入力し、このレーザビームの光強度と予め設定された基準光強度との差に応じて当該半導体レーザ11hの発光強度を個別に制御する。
この結果、各半導体レーザ11a、11b、…、11hから出力されたレーザビームの光強度は、それぞれ基準光強度に制御される。
【0038】
このように各半導体レーザ11a、11b、…、11hの発光強度をそれぞれ個別に制御する場合、操作部24におけるキー又はボタンが操作されると、この操作を受けて操作部24は、発光情報記憶部23に記憶されている複数の発光情報T〜Tnの中から例えば本記録装置における例えば感熱記録媒体3面上での記録速度に応じた1つの発光情報T、T等を選択可能である。すなわち、感熱記録媒体3の種類によって記録速度が相違する場合、感熱記録媒体3の種類に応じて当該感熱記録媒体3の記録速度が最も速くなる発光強度を有する発光情報Tに設定変更できる。これにより、各半導体レーザ11a、11b、…、11hの発光強度を感熱記録媒体3の記録速度に応じた最適な値に制御できる。
【0039】
さらに、各半導体レーザ11a〜11hは、経年変化に応じて各発光強度が低下する。これら半導体レーザ11a〜11hの経年変化に応じて各発光強度の低下を補正するための発光強度を有する例えば発光情報Tに設定変更できる。これにより、各半導体レーザ11a〜11hの経年変化に応じた各発光強度の低下を補正できる。又、各半導体レーザ11a〜11hは、それぞれ発光強度にバラツキがある。この場合、各半導体レーザ11a〜11hの発光強度のバラツキを補正するための発光情報Tnが設定できる。これにより、各半導体レーザ11a〜11hの発光強度のバラツキを補正できる。
【0040】
このように上記一実施の形態によれば、各半導体レーザ11a、11b、…、11hから出力される各レーザビームを記録媒体3のエリア外に走査し、この記録媒体3のエリア外に走査されたレーザビームの光強度をモニタし、このモニタされたレーザビームの光強度に応じて各半導体レーザ11a、11b、…、11hの発光強度をそれぞれ個別に制御するので、例えば使用時間や経年変化等によって各半導体レーザ11a、11b、…、11hから出力されたレーザビームの光強度がそれぞれ変動しても、これら変動を各半導体レーザ11a、11b、…、11h別に補正できる。
【0041】
これら半導体レーザ11a、11b、…、11hから出力されたレーザビームの光強度の補正は、記録媒体3のエリア外に走査されるレーザビームの光強度をモニタすることにより行われるので、記録媒体3面上への記録情報Dの記録動作時に行うことができ、記録動作時とは別に、各半導体レーザ11a、11b、…、11hから出力されたレーザビームの光強度の補正の為の時間を設ける必要がない。
各半導体レーザ11a〜11hの発光強度の制御は、操作部24に対する操作により例えば常時行うようにしてもよいし、又は定期的に行うようにすることもできる。
【0042】
発光情報記憶部23には、例えば感熱記録媒体3面上での記録速度等に応じた複数の発光情報T〜Tn等が記憶されているので、例えば、感熱記録媒体3の記録速度が最も速くなる発光強度を有する発光情報T、各半導体レーザ11a〜11hの経年変化に応じて各発光強度の低下を補正するための発光情報T、各半導体レーザ11a〜11hの発光強度のバラツキを補正するための発光情報Tnの設定ができる。しかるに、各半導体レーザ11a、11b、…、11hの発光強度を感熱記録媒体3の記録速度に応じた最適な値に制御できる。又、各半導体レーザ11a〜11hの経年変化に応じた各発光強度の低下を補正でき、さらに各半導体レーザ11a〜11hの発光強度のバラツキを補正できる。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、光源制御部27は、記録媒体3面のエリア外にレーザビームを走査するとき、複数の半導体レーザ11a〜11hのうち1つの半導体レーザ11a、11b、…、又は11hの順次に従って発光させているが、これ限らず、複数の半導体レーザ11a〜11hのうち所定間隔毎に配置された各半導体レーザ11a〜11hの順序、例えば図6に示すように1個毎、各半導体レーザ11h、11f、11d、11bの順次に従って発光させ、次に図7に示すように各半導体レーザ11g、11e、11c、11aの順次に従って発光させてもよい。又、光源制御部27は、複数の半導体レーザ11a〜11hのうちランダムな順序で当該半導体レーザ11a〜11hを順次発光させてもよい。このような各半導体レーザ11a〜11hの発光順序は、発光情報記憶部23に記憶されている発光情報Tを変更すれば、容易に変更できる。
【0044】
上記各実施の形態では、各半導体レーザ11a〜11hの個数を例えば8個としているが、これに限らず、各半導体レーザ11a〜11hのレーザパワーの大きさや本装置の温度環境下に応じて各半導体レーザ11a〜11hの個数を設定してよい。又、各半導体レーザ11a〜11hのレーザパワーは、これら半導体レーザ11a〜11hの個数に応じて可変してもよい。
【0045】
ポリゴンミラー2によるレーザビームの主走査方向Aへの走査範囲は、感熱記録媒体3面の一方のエリア外に設定されるに限らず、感熱記録媒体3面の両エリア外に走査することが可能である。レーザビームを感熱記録媒体3面の両エリア外に走査すれば、感熱記録媒体3面の両エリア外にそれぞれ各受光素子16、16を設け、これら受光素子16、16によって記録媒体3のエリア外に走査されたレーザビームの光強度をモニタすることができる。これにより、各半導体レーザ11a、11b、…、11hの発光強度の個別制御に要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る記録装置の一実施の形態を示す構成図。
【図2】同装置におけるレーザアレイヘッドを構成するライン状に配置された複数の半導体レーザを示す図。
【図3】同装置におけるレーザビームの光強度をモニタする各半導体レーザの発光順序を示す発光情報を示す摸式図。
【図4】同装置における発光情報記憶部に記憶されている複数の発光情報を示す摸式図。
【図5】同装置により作成される記録情報と発光情報とを合わせた合成データを示す摸式図。
【図6】同装置における光源制御部よる各受光素子の発光順序の一例を示す図。
【図7】同装置における光源制御部よる各受光素子の発光順序の一例を示す図。
【図8】感熱記録媒体の発色及び消去特性を示す図。
【符号の説明】
【0047】
3:感熱記録媒体、2:ポリゴンミラー、10:レーザアレイヘッド、11a〜11h:半導体レーザ、12:モータ、13:モータ駆動部、14:搬送機構、15:記録媒体収納ボックス、16:受光素子、20:記録制御部、21:主制御部、22:搬送制御部、23:発光情報記憶部、24:操作部、25:走査制御部、26:受光強度モニタ部、27:光源制御部、T〜Tn:発光情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーザ光源をライン状に配置して成る記録ヘッドを有し、前記複数のレーザ光源から出力される各レーザビームを主走査方向に走査すると共に、前記記録ヘッドの主走査方向に対して垂直な副走査方向に記録媒体を搬送することにより前記記録媒体上に情報を記録する記録装置において、
前記レーザビームを前記主走査方向に対する走査幅を広げて前記記録媒体エリア外に走査する走査部と、
前記記録媒体エリア外に配置され、前記記録媒体エリア外に走査された少なくとも1つの前記レーザビームの光強度をモニタするモニタ部と、
前記モニタ部によりモニタされた前記レーザビームの光強度に応じて少なくとも1つの前記レーザ光源の発光強度を制御する光源制御部と、
を具備することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記各レーザビームの光強度をモニタするときの前記複数のレーザ光源の発光順序を示す発光情報を記憶する発光情報記憶部を有し、
前記光源制御部は、前記記録媒体に記録する記録データに対して前記発光情報を合わせた合成データに従って前記複数のレーザ光源を発光制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記走査部は、前記複数のレーザ光源から出力される前記各レーザビームを前記主走査方向に複数ライン走査し、
前記光源制御部は、前記走査部により前記各レーザビームを1ライン走査する毎に、前記記録媒体エリア外において少なくとも1つの前記レーザ光源を発光させる、
ことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項4】
前記光源制御部は、前記各レーザビームを前記1ライン走査する毎に、予め設定された順序に従って少なくとも1つの前記レーザ光源を発光させることを特徴とする請求項3記載の記録装置。
【請求項5】
前記レーザビームを前記記録媒体エリア外に走査したときの前記レーザビームの光強度に応じた発光情報を記憶する発光情報記憶部を有し、
前記光源制御部は、前記発光情報記憶部に記憶されている前記発光情報に従って前記複数の半導体レーザの発光強度を当該各半導体レーザ個別に制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項6】
前記発光情報記憶部には、前記発光情報として少なくとも前記感熱記録媒体面上での記録速度に応じた前記複数のレーザ光源の発光強度が設定されていることを特徴とする請求項5記載の記録装置。
【請求項7】
複数のレーザ光源をライン状に配置して成る記録ヘッドを有し、前記複数のレーザ光源から出力される各レーザビームを主走査方向に走査すると共に、前記記録ヘッドの主走査方向に対して垂直な副走査方向に記録媒体を搬送することにより前記記録媒体上に情報を記録する記録装置における前記各レーザ光源の発光強度制御方法において、
前記レーザビームを前記主走査方向に対する走査幅を広げて前記記録媒体エリア外に走査し、
前記記録媒体エリア外に走査された少なくとも1つの前記レーザビームの光強度をモニタし、
前記モニタされた前記レーザビームの光強度に応じて少なくとも1つの前記レーザ光源の発光強度を制御する、
ことを特徴とする発光強度制御方法。
【請求項8】
前記レーザビームの前記主走査方向に対する走査幅を広げて前記レーザビームを前記記録媒体エリア外に走査することを特徴とする請求項7記載の発光強度制御方法。
【請求項9】
前記各レーザビームを1ライン走査する毎に、前記記録媒体エリア外において少なくとも1つの前記レーザ光源を発光させることを特徴とする請求項7記載の発光強度制御方法。
【請求項10】
前記各レーザビームを前記1ライン走査する毎に、予め設定された順序に従って少なくとも1つの前記レーザ光源を発光させることを特徴とする請求項9記載の発光強度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−56697(P2009−56697A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225954(P2007−225954)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】