説明

記録装置

【課題】ロック装置を構成する構成部品が多く、動作するための機構が複雑であり、記録装置が大型化してしまうという課題がある。
【解決手段】第1回動部材30と第2回動部材31とは、第1被係合部301と第2被押圧部312とが対向し、第2被係合部311と第1被押圧部302とが対向するように配置され、印刷装置2に対してスキャナー装置3が閉じた状態で、スキャナー装置3に対して給送装置4が開いた状態にあるとき、第1突出部材20の第1係合部200と第1回動部材30の第1被係合部301とは係合し、スキャナー装置3に対して給送装置4が閉じた状態で、印刷装置2に対してスキャナー装置3が開いた状態にあるとき、第2突出部材40の第2係合部400と第2回動部材31の第2被係合部311とは係合する記録装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドを備えたインクジェット式プリンターや、感光体を備えてレーザーなどによって画像を形成する電子写真式プリンターなどの記録装置には、文字や画像を印刷する印刷装置の上に、原稿に描かれた文字や画像を読み取るスキャナー装置を積み重ね、さらにスキャナー装置の上に、用紙を連続して給送するための給送装置を積み重ねたものがある。
このような記録装置では、ヒンジなどを用いて、印刷装置に対して回動自由にスキャナー装置を連結し、スキャナー装置に対して回動自由に給送装置を連結したものがある。例えば、給送装置を用いないで1枚の原稿を読み取るときは、使用者は給送装置の一端を持ち上げ、1枚の原稿をスキャナー装置の原稿台に載置する。また、印刷装置内に備えられた消耗品を交換したり、紙ジャムなどによって印刷装置内に残った用紙を取り除いたりするときは、使用者はスキャナー装置の一端を持ち上げて行う。
しかし、給送装置の一端を持ち上げたとき、給送装置の下に置かれたスキャナー装置も回動してしまい、スキャナー装置が印刷装置に対して一端が開いてしまうことがある。また、スキャナー装置の一端を持ち上げたとき、スキャナー装置の上に置かれた給送装置も回動してしまい、給送装置がスキャナー装置に対して一端が開いてしまうことがある。
そこで、例えば、特許文献1では、使用者が所望した装置の一端を持ち上げたとき、他の装置が回動して開かないようにするためのロック装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3162429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のロック装置では、ロック装置を構成する構成部品が多く、動作するための機構が複雑であり、記録装置が大型化してしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]第1ユニットと、前記第1ユニットとの連結部を支点として回動する第2ユニットと、前記第2ユニットを挟んで前記第1ユニットと反対側に位置し、前記第2ユニットとの連結部を支点として回動する第3ユニットと、を備え、前記第1ユニットには、先端側に第1係合部を有し、前記第2ユニット側に突出する第1突出部材を備え、前記第3ユニットには、先端側に第2係合部を有し、前記第2ユニット側に突出する第2突出部材を備え、前記第2ユニットには、一端側に形成された第1被係合部と他端側に形成された第1被押圧部とを有して回動する第1回動部材と、一端側に形成された第2被係合部と他端側に形成された第2被押圧部とを有して回動する第2回動部材と、を備え、前記第1回動部材と前記第2回動部材とは、前記第1被係合部と前記第2被押圧部とが対向し、前記第2被係合部と前記第1被押圧部とが対向するように配置され、前記第1ユニットに対して前記第2ユニットが閉じた状態で、前記第2ユニットに対して前記第3ユニットが開いた状態にあるとき、前記第1ユニットに備えられた前記第1突出部材の前記第1係合部と前記第2ユニットに備えられた前記第1回動部材の前記第1被係合部とが係合し、前記第2ユニットに対して前記第3ユニットが閉じた状態で、前記第1ユニットに対して前記第2ユニットが開いた状態にあるとき、前記第3ユニットに備えられた前記第2突出部材の前記第2係合部と前記第2ユニットに備えられた前記第2回動部材の前記第2被係合部とが係合することを特徴とする記録装置。
【0007】
本適用例によれば、第1回動部材と第2回動部材とは、第1被係合部と第2被押圧部とが対向し、第2被係合部と第1被押圧部とが対向するように配置され、第1ユニットに対して第2ユニットが閉じた状態で、第2ユニットに対して第3ユニットが開いた状態にあるとき、第1ユニットに備えられた第1突出部材の第1係合部と第2ユニットに備えられた第1回動部材の第1被係合部とが係合する。これにより、第1ユニットと第2ユニットとはロックされるので、第2ユニットに対して第3ユニットを回動させたとき、第1ユニットに対して第2ユニットが回動してしまい、第2ユニットの一端が第1ユニットに対して開いてしまうことを抑制する。
【0008】
また、第2ユニットに対して第3ユニットが閉じた状態で、第1ユニットに対して第2ユニットが開いた状態にあるとき、第3ユニットに備えられた第2突出部材の第2係合部と第2ユニットに備えられた第2回動部材の第2被係合部とが係合する。これにより、第2ユニットと第3ユニットとはロックされるので、第1ユニットに対して第2ユニットを回動させたとき、第2ユニットに対して第3ユニットが回動してしまい、第3ユニットの一端が第2ユニットに対して開いてしまうことを抑制する。
【0009】
上記の構成によれば、ロックするための構成部品が多くなることにより動作するための機構が複雑化してしまうことを抑制できるので、記録装置が大型化してしまうことや製造コストの増加を抑制できる。
【0010】
[適用例2]前記第1ユニットに対して前記第2ユニットが閉じた状態で、前記第2ユニットに対して前記第3ユニットが開いた状態にあるとき、前記第1突出部材の前記第1係合部は、前記第2回動部材の前記第2被押圧部を押圧し、前記第2ユニットに備えられた前記第2回動部材の前記第2被係合部は、前記第3ユニットに備えられた前記第2突出部材の前記第2係合部と係合せず、前記第2ユニットに対して前記第3ユニットが閉じた状態で、前記第1ユニットに対して前記第2ユニットが開いた状態にあるとき、前記第2突出部材の前記第2係合部は、前記第1回動部材の前記第1被押圧部を押圧し、前記第2ユニットに備えられた前記第1回動部材の前記第1被係合部は、前記第1ユニットに備えられた前記第1突出部材の前記第1係合部と係合しないことを特徴とする上記記録装置。
【0011】
本適用例によれば、第1ユニットに対して第2ユニットが閉じた状態で、第2ユニットに対して第3ユニットが開いた状態にあるとき、第1突出部材の第1係合部は、第2回動部材の第2被押圧部を押圧し、第2ユニットに備えられた第2回動部材の第2被係合部は、第3ユニットに備えられた第2突出部材の第2係合部と係合しない。これにより、第2ユニットと第3ユニットとのロック状態を解除できる。
【0012】
また、第2ユニットに対して第3ユニットが閉じた状態で、第1ユニットに対して第2ユニットが開いた状態にあるとき、第2突出部材の第2係合部は、第1回動部材の第1被押圧部を押圧し、第2ユニットに備えられた第1回動部材の第1被係合部は、第1ユニットに備えられた第1突出部材の第1係合部と係合しない。これにより、第1ユニットと第2ユニットとのロック状態を解除できる。
【0013】
上記の構成によれば、ロックするための構成部品が多くなることにより動作するための機構が複雑化してしまうことを抑制できるので、記録装置が大型化してしまうことや製造コストの増加を抑制できる。
【0014】
[適用例3]前記第2突出部材によって前記第1回動部材が押圧されて回動する方向と反対方向に、前記第1回動部材を回動させる第1付勢部材と、前記第1突出部材によって前記第2回動部材が押圧されて回動する方向と反対方向に、前記第2回動部材を回動させる第2付勢部材と、を前記第2ユニットに備えたことを特徴とする上記記録装置。
【0015】
本適用例によれば、第1回動部材、第2回動部材の回動速度を増加させることができる。そのため、第1ユニットと第2ユニットまたは第2ユニットと第3ユニットとがロックされていない状態からロック状態に移行するまでの時間を短くできる。
【0016】
[適用例4]前記第1回動部材と前記第2回動部材とは、同一形状かつ同一の大きさに形成され、前記第1ユニットに対して前記第2ユニットが閉じた状態で、前記第2ユニットに対して前記第3ユニットが閉じた状態にあるとき、点対称に配置されることを特徴とする上記記録装置。
【0017】
本適用例によれば、製造コストの上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】記録装置の正面側から見た外観斜視図。
【図2】印刷装置、スキャナー装置、給送装置のロック状態を模式的に説明するための図。
【図3】ロック機構が備えられる位置を模式的に説明する図。
【図4】ロック機構を詳細に説明するための図。
【図5】ロック機構を詳細に説明するための図。
【図6】ロック機構を詳細に説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態の記録装置の一例であるインクジェット式プリンター(以降は、プリンターという)1を、正面側から見た外観斜視図である。プリンター1には、印刷装置2、印刷装置2の鉛直方向D1における上側に配置されたスキャナー装置3、スキャナー装置3の鉛直方向D1における上側に配置された給送装置4が備えられる。
【0020】
印刷装置2の正面側には、使用者によって引き出し可能な用紙カセット13が備えられ、用紙カセット13には、記録媒体としての用紙(不図示)が収納される。また、印刷装置2の背面側には、用紙を載置する用紙サポート6を含んで構成される給紙装置が備えられる。給紙装置は、用紙サポート6に載置された用紙を印刷装置2の内部に給紙する。
【0021】
印刷装置2には、インクを噴射する液体噴射ヘッド(不図示)が備えられる。印刷装置2は、用紙サポート6に載置された用紙を液体噴射ヘッドに対向する位置に給紙し、用紙に文字や画像を印刷する。印刷された用紙は、開口部10から排紙方向D2に排紙され、スタッカー11に載置される。
【0022】
スキャナー装置3には、透明な原稿台(不図示)やイメージセンサーなどを搭載した読取部(不図示)などが備えられる。給送装置4は、用紙サポート5に載置された原稿(不図示)をスキャナー装置3内部の原稿台上に給送する。スキャナー装置3は、読取部によって、原稿に描かれた画像を原稿台上で読取り、画像データを取得する。その後、給送装置4は、原稿を排紙方向D3に送ってスタッカー12に排出する。
【0023】
印刷装置2の正面側には、電源のオン・オフ操作や、印刷条件、読取条件の設定操作などを行うための操作ボタン7,8が備えられる。また、印刷装置2の正面側には、印刷条件、読取条件の設定内容や操作内容を表示するため、液晶パネルなどによって構成された表示部9が備えられる。
【0024】
図2(a)、(b)、(c)は、図1のプリンター1を正面側から見た図で、印刷装置2、スキャナー装置3、給送装置4のロック状態を模式的に説明するための図である。第1ユニットとしての印刷装置2と第2ユニットとしてのスキャナー装置3とは、ヒンジなどの連結部14を支点として、回動可能に連結されている。また、スキャナー装置3と第3ユニットとしての給送装置4とは、ヒンジなどの連結部15を支点として、回動可能に連結されている。
【0025】
印刷装置2には、スキャナー装置3側に突出した第1突出部材20が備えられ、給送装置4には、スキャナー装置3側に突出した第2突出部材40が備えられる。スキャナー装置3には、第1回動部材30、第2回動部材31が備えられる。本実施形態におけるロック機構は、第1突出部材20、第2突出部材40、第1回動部材30、第2回動部材31を含んで構成される。
【0026】
図2(a)は、印刷装置2に対してスキャナー装置3が閉じた状態にあり、スキャナー装置3に対して給送装置4が閉じた状態にある。このような状態にあるとき、印刷装置2とスキャナー装置3とはロック状態ではなく、また、スキャナー装置3と給送装置4とはロック状態ではない。
【0027】
図2(b)は、印刷装置2に対してスキャナー装置3が閉じた状態にあり、スキャナー装置3に対して給送装置4が開いた状態にある。使用者は、図2(b)に示すように、連結部15を支点として給送装置4を回動させ、給送装置4をスキャナー装置3に対して開いた状態にして、原稿を原稿台に載置し、原稿に描かれた文字や画像を読み取らせようとするときがある。
【0028】
このような図2(b)の状態にあるとき、印刷装置2に備えられた第1突出部材20とスキャナー装置3に備えられた第1回動部材30とは係合し、印刷装置2とスキャナー装置3とはロック状態である。また、給送装置4に備えられた第2突出部材40とスキャナー装置3に備えられた第2回動部材31とは係合せず、給送装置4とスキャナー装置3とはロック状態ではない。
【0029】
図2(c)は、印刷装置2に対してスキャナー装置3が開いた状態にあり、スキャナー装置3に対して給送装置4が閉じた状態にある。使用者は、図2(c)に示すように、連結部14を支点としてスキャナー装置3を回動させ、スキャナー装置3を印刷装置2に対して開いた状態にして、印刷装置2の消耗品を交換したり、紙ジャムなどによって印刷装置2内に残った用紙を取り出したりするときがある。
【0030】
このような図2(c)の状態にあるとき、給送装置4に備えられた第2突出部材40とスキャナー装置3に備えられた第2回動部材31とは係合し、給送装置4とスキャナー装置3とはロック状態である。また、印刷装置2に備えられた第1突出部材20とスキャナー装置3に備えられた第1回動部材30とは係合せず、印刷装置2とスキャナー装置3とはロック状態ではない。
【0031】
図3は、プリンター1を鉛直方向D1上側から見た図で、図1の用紙サポート5,6、スタッカー11,12を図示せずに、本実施形態におけるロック機構が備えられる位置を模式的に説明する図である。
【0032】
本実施形態のロック機構は、排紙方向D2における両端部で、排紙方向D3における連結部14,15と反対側の端部の位置50,51にそれぞれ備えられる。一つのロック機構を、排紙方向D2における中央部で、排紙方向D3における連結部14,15と反対側の端部の位置52に備えてもよい。
【0033】
図4は、図2(a)の状態におけるロック機構を詳細に説明するための図である。第1回動部材30は、一端側に鉤状の第1被係合部301を有し、他端側に第1被押圧部302を有し、回動軸300を中心に回動自由にスキャナー装置3に備えられる。
【0034】
第2回動部材31は、一端側に鉤状の第2被係合部311を有し、他端側に第2被押圧部312を有し、回動軸310を中心に回動自由にスキャナー装置3に備えられる。
【0035】
第1突出部材20は、印刷装置2の筐体21からスキャナー装置3側に突出して備えられ、スキャナー装置3の筐体36に設けられた貫通孔32を貫通する。また、第2突出部材40は、給送装置4の筐体41からスキャナー装置3側に突出して備えられ、スキャナー装置3の筐体36に設けられた貫通孔33を貫通する。
【0036】
第1突出部材20の先端側に形成された鉤状の第1係合部200は、第2回動部材31の第2被押圧部312を押圧する。そのため、第2回動部材31の第2被係合部311は、第2突出部材40の第2係合部400と係合しない位置にある。
【0037】
また、第2突出部材40の先端側に形成された鉤状の第2係合部400は、第1回動部材30の第1被押圧部302を押圧する。そのため、第1回動部材30の第1被係合部301は、第1突出部材20の第1係合部200と係合しない位置にある。
【0038】
従って、図2(a)、図4の印刷装置2に対してスキャナー装置3が閉じた状態にあり、スキャナー装置3に対して給送装置4が閉じた状態にあるとき、印刷装置2とスキャナー装置3とはロック状態ではなく、また、スキャナー装置3と給送装置4とはロック状態ではない。
【0039】
本実施形態の第1回動部材30と第2回動部材31とは、同じ形状で同じ大きさである。第1回動部材30と第2回動部材31とは点対称に配置される。すなわち、回動軸300,310を通る破線Lにおける回動軸300と回動軸310の中心点Sを中心に、第1回動部材30を180度回転させると、図4の第2回動部材31の位置になり、同様に、第2回動部材31を、中心点Sを中心に180度回転させると、図4の第1回動部材30の位置になる。
【0040】
従って、第1回動部材30の第1被係合部301と第2回動部材31の第2被押圧部312とが対向し、第2回動部材31の第2被係合部311と第1回動部材30の第1被押圧部302とが対向するように、第1回動部材30と第2回動部材31とは備えられる。
【0041】
一端が第1回動部材30と連結され、他端がスキャナー装置3に連結された第1付勢部材としてのバネ35が備えられる。バネ35は、第1回動部材30を鉛直方向D1における上方向に付勢する。そのため、バネ35によって、第2突出部材40の第2係合部400によって第1回動部材30が押圧されて回動する方向A1と反対の方向A2に、第1回動部材30を回動させようとする力が作用する。
【0042】
また、一端が第2回動部材31と連結され、他端がスキャナー装置3に連結された第2付勢部材としてのバネ34が備えられる。バネ34は、第2回動部材31を鉛直方向D1における下方向に付勢する。そのため、バネ34によって、第1突出部材20の第1係合部200によって第2回動部材31が押圧されて回動する方向A3と反対の方向A4に、第2回動部材31を回動させようとする力が作用する。
【0043】
図5は、図2(b)の状態におけるロック機構を詳細に説明するための図である。図4の状態から、図5の給送装置4がスキャナー装置3に対して開いた状態に移行すると、給送装置4に備えられた第2突出部材40の第2係合部400は、第1回動部材30の第1被押圧部302から離れる。
【0044】
そのため、図4の第1回動部材30は、回動軸300を中心に方向A2に回動し、図5に示すように、第1回動部材30の第1被係合部301は、第1突出部材20の第1係合部200と係合する。図5の第2回動部材31の姿勢は、図4の状態のまま維持される。
【0045】
従って、図2(b)、図5の印刷装置2に対してスキャナー装置3が閉じた状態にあり、スキャナー装置3に対して給送装置4が開いた状態にあるとき、印刷装置2とスキャナー装置3とはロック状態であり、スキャナー装置3と給送装置4とはロック状態ではない。
【0046】
図5の状態においても、第1回動部材30の第1被係合部301と第2回動部材31の第2被押圧部312とが対向し、第2回動部材31の第2被係合部311と第1回動部材30の第1被押圧部302とが対向するように、第1回動部材30と第2回動部材31とは備えられる。
【0047】
図5の状態から給送装置4を回動させて図4のスキャナー装置3に対して閉じた状態に戻るときは、第1回動部材30の第1被押圧部302が、第2突出部材40の第2係合部400によって押圧されて、図5の第1回動部材30は、方向A1に回動し、第1回動部材30の第1被係合部301は、第1突出部材20の第1係合部200と係合しない図4の位置になる。
【0048】
図6は、図2(c)の状態におけるロック機構を詳細に説明するための図である。図4の状態から、図6のスキャナー装置3が印刷装置2に対して開いた状態に移行すると、印刷装置2に備えられた第1突出部材20の第1係合部200は、第2回動部材31の第2被押圧部312から離れる。
【0049】
そのため、図4の第2回動部材31は、回動軸310を中心に方向A4に回動し、図6に示すように、第2回動部材31の第2被係合部311は、第2突出部材40の第2係合部400と係合する。図6の第1回動部材30の姿勢は、図4の状態のまま維持される。
【0050】
従って、図2(c)、図6の印刷装置2に対してスキャナー装置3が開いた状態にあり、スキャナー装置3に対して給送装置4が閉じた状態にあるとき、印刷装置2とスキャナー装置3とはロック状態ではなく、スキャナー装置3と給送装置4とはロック状態となる。
【0051】
図6の状態においても、第1回動部材30の第1被係合部301と第2回動部材31の第2被押圧部312とが対向し、第2回動部材31の第2被係合部311と第1回動部材30の第1被押圧部302とが対向するように、第1回動部材30と第2回動部材31とは備えられる。
【0052】
図6の状態からスキャナー装置3を回動させて印刷装置2に対して閉じた図4の状態に戻るときは、第2回動部材31の第2被押圧部312が、第1突出部材20の第1係合部200によって押圧されて、図6の第2回動部材31は、方向A3に回動し、第2回動部材31の第2被係合部311は、第2突出部材40の第2係合部400と係合しない図4の状態になる。
【0053】
以上、本実施形態で説明した図2(a)、(b)、(c)のプリンター1は、第1ユニットとしての印刷装置2、印刷装置2との連結部14を支点として回動する第2ユニットとしてのスキャナー装置3、スキャナー装置3を挟んで印刷装置2と反対側に位置し、スキャナー装置3との連結部15を支点として回動する第3ユニットとしての給送装置4を備える。
【0054】
そして、印刷装置2には、図4、図5、図6の先端側に第1係合部200を有し、スキャナー装置3側に突出する第1突出部材20が備えられ、給送装置4には、先端側に第2係合部400を有し、スキャナー装置3側に突出する第2突出部材40が備えられ、スキャナー装置3には、一端側に形成された第1被係合部301と他端側に形成された第1被押圧部302とを有し、回動する第1回動部材30と、一端側に形成された第2被係合部311と他端側に形成された第2被押圧部312とを有し、回動する第2回動部材31と、が備えられる。
【0055】
そして、第1回動部材30と第2回動部材31とは、第1被係合部301と第2被押圧部312とが対向し、第2被係合部311と第1被押圧部302とが対向するように配置され、図5の印刷装置2に対してスキャナー装置3が閉じた状態で、スキャナー装置3に対して給送装置4が開いた状態にあるとき、印刷装置2に備えられた第1突出部材20の第1係合部200とスキャナー装置3に備えられた第1回動部材30の第1被係合部301とが係合し、図6のスキャナー装置3に対して給送装置4が閉じた状態で、印刷装置2に対してスキャナー装置3が開いた状態にあるとき、給送装置4に備えられた第2突出部材40の第2係合部400とスキャナー装置3に備えられた第2回動部材31の第2被係合部311とが係合する。
【0056】
この構成によれば、図5の印刷装置2に対してスキャナー装置3が閉じた状態で、スキャナー装置3に対して給送装置4が開いた状態にあるとき、印刷装置2とスキャナー装置3とはロックされる。これにより、スキャナー装置3に対して給送装置4を回動させたとき、印刷装置2に対してスキャナー装置3が回動してしまい、スキャナー装置3の一端が印刷装置2に対して開いてしまうことを抑制する。
【0057】
また、図6のスキャナー装置3に対して給送装置4が閉じた状態で、印刷装置2に対してスキャナー装置3が開いた状態にあるとき、スキャナー装置3と給送装置4とはロックされる。これにより、印刷装置2に対してスキャナー装置3を回動させたとき、スキャナー装置3に対して給送装置4が回動してしまい、給送装置4の一端がスキャナー装置3に対して開いてしまうことを抑制する。
【0058】
本実施形態の構成により、ロックするための構成部品が多くなることにより動作するための機構が複雑化してしまうことを抑制できるので、プリンター1が大型化してしまうことや製造コストの増加を抑制できる。
【0059】
また、本実施形態のプリンター1は、図5の印刷装置2に対してスキャナー装置3が閉じた状態で、スキャナー装置3に対して給送装置4が開いた状態にあるとき、第1突出部材20の第1係合部200は、第2回動部材31の第2被押圧部312を押圧し、スキャナー装置3に備えられた第2回動部材31の第2被係合部311は、給送装置4に備えられた第2突出部材40の第2係合部400と係合せず、図6のスキャナー装置3に対して給送装置4が閉じた状態で、印刷装置2に対してスキャナー装置3が開いた状態にあるとき、第2突出部材40の第2係合部400は、第1回動部材30の第1被押圧部302を押圧し、スキャナー装置3に備えられた第1回動部材30の第1被係合部301は、印刷装置2に備えられた第1突出部材20の第1係合部200と係合しない。
【0060】
この構成によれば、図5の印刷装置2に対してスキャナー装置3が閉じた状態で、スキャナー装置3に対して給送装置4が開いた状態にあるとき、スキャナー装置3と給送装置4とのロック状態を解除できる。また、図6のスキャナー装置3に対して給送装置4が閉じた状態で、印刷装置2に対してスキャナー装置3が開いた状態にあるとき、印刷装置2とスキャナー装置3とのロック状態を解除できる。これにより、ロックするための構成部品が多くなることにより動作するための機構が複雑化してしまうことを抑制できるので、プリンター1が大型化してしまうことや製造コストの増加を抑制できる。
【0061】
また、図4の第2突出部材40によって第1回動部材30の第1被押圧部302が押圧されて回動する方向A1と反対の方向A2に、第1回動部材30を回動させる第1付勢部材としてのバネ35と、第1突出部材20によって第2回動部材31が押圧されて回動する方向A3と反対の方向A4に、第2回動部材31を回動させる第2付勢部材としてのバネ34と、をスキャナー装置3に備える。
【0062】
この構成によれば、図4の第2突出部材40の第2係合部400が、図5に示すように、第1回動部材30の第1被押圧部302から離れるとき、第1回動部材30が方向A2に回動するときの回動速度を増加させることができる。これにより、図4に示した印刷装置2とスキャナー装置3とがロックされていない状態から図5に示したロック状態に移行するまでの時間を短くできる。
【0063】
同様に、図4の第1突出部材20の第1係合部200が、図6に示すように、第2回動部材31の第2被押圧部312から離れるとき、第2回動部材31が方向A4に回動するときの回動速度を増加させることができる。これにより、図4に示したスキャナー装置3と給送装置4とがロックされていない状態から図6に示したロック状態に移行するまでの時間を短くできる。
【0064】
また、第1回動部材30と第2回動部材31とは、同一形状かつ同一の大きさに形成され、図4に示したように、印刷装置2に対してスキャナー装置3が閉じた状態で、スキャナー装置3に対して給送装置4が閉じた状態にあるとき、点対称に配置される。このようにすれば、製造コストの上昇を抑制できる。
【0065】
本実施形態では、図2(a)〜(c)の連結部14,15を排紙方向D3における一方の端部に備えたが、排紙方向D2における背面側に備えてもよい。
【0066】
本実施形態では、同一形状かつ同一の大きさに形成された第1回動部材30と第2回動部材31を備えたが、形状や大きさが異なった第1回動部材と第2回動部材を備えてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、バネ34,35を備えたが、第1回動部材30、第2回動部材31の重心位置に対する回動軸300,310の位置を設定することによって、図4の状態において、第1回動部材30を方向A2に回動させ、第2回動部材31を方向A4に回動させる力が作用するようにし、バネ34,35を備えなくてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、液体噴射ヘッドを備えたインクジェット式プリンター1について説明したが、感光体を備えた電子写真式の記録装置にも適用する。
【符号の説明】
【0069】
1…インクジェット式プリンター、2…印刷装置、3…スキャナー装置、4…給送装置、14,15…連結部、20…第1突出部材、30…第1回動部材、31…第2回動部材、40…第2突出部材、200…第1係合部、301…第1被係合部、302…第1被押圧部、311…第2被係合部、312…第2被押圧部、400…第2係合部、A1,A2,A3,A4…回動する方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユニットと、
前記第1ユニットとの連結部を支点として回動する第2ユニットと、
前記第2ユニットを挟んで前記第1ユニットと反対側に位置し、前記第2ユニットとの連結部を支点として回動する第3ユニットと、を備え、
前記第1ユニットには、先端側に第1係合部を有し、前記第2ユニット側に突出する第1突出部材を備え、
前記第3ユニットには、先端側に第2係合部を有し、前記第2ユニット側に突出する第2突出部材を備え、
前記第2ユニットには、一端側に形成された第1被係合部と他端側に形成された第1被押圧部とを有して回動する第1回動部材と、一端側に形成された第2被係合部と他端側に形成された第2被押圧部とを有して回動する第2回動部材と、を備え、
前記第1回動部材と前記第2回動部材とは、前記第1被係合部と前記第2被押圧部とが対向し、前記第2被係合部と前記第1被押圧部とが対向するように配置され、
前記第1ユニットに対して前記第2ユニットが閉じた状態で、前記第2ユニットに対して前記第3ユニットが開いた状態にあるとき、前記第1ユニットに備えられた前記第1突出部材の前記第1係合部と前記第2ユニットに備えられた前記第1回動部材の前記第1被係合部とが係合し、
前記第2ユニットに対して前記第3ユニットが閉じた状態で、前記第1ユニットに対して前記第2ユニットが開いた状態にあるとき、前記第3ユニットに備えられた前記第2突出部材の前記第2係合部と前記第2ユニットに備えられた前記第2回動部材の前記第2被係合部とが係合することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置であって、
前記第1ユニットに対して前記第2ユニットが閉じた状態で、前記第2ユニットに対して前記第3ユニットが開いた状態にあるとき、前記第1突出部材の前記第1係合部は、前記第2回動部材の前記第2被押圧部を押圧し、前記第2ユニットに備えられた前記第2回動部材の前記第2被係合部は、前記第3ユニットに備えられた前記第2突出部材の前記第2係合部と係合せず、
前記第2ユニットに対して前記第3ユニットが閉じた状態で、前記第1ユニットに対して前記第2ユニットが開いた状態にあるとき、前記第2突出部材の前記第2係合部は、前記第1回動部材の前記第1被押圧部を押圧し、前記第2ユニットに備えられた前記第1回動部材の前記第1被係合部は、前記第1ユニットに備えられた前記第1突出部材の前記第1係合部と係合しないことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の記録装置であって、
前記第2突出部材によって前記第1回動部材が押圧されて回動する方向と反対方向に、前記第1回動部材を回動させる第1付勢部材と、
前記第1突出部材によって前記第2回動部材が押圧されて回動する方向と反対方向に、前記第2回動部材を回動させる第2付勢部材と、を前記第2ユニットに備えたことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記第1回動部材と前記第2回動部材とは、同一形状かつ同一の大きさに形成され、前記第1ユニットに対して前記第2ユニットが閉じた状態で、前記第2ユニットに対して前記第3ユニットが閉じた状態にあるとき、点対称に配置されることを特徴とする記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−86291(P2013−86291A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226545(P2011−226545)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】