説明

設定情報管理装置、設定情報管理方法および設定情報管理プログラム

【課題】ネットワーク機器の構成の変更やその機器のアプリケーションソフトウェアのバージョンアップに伴う設定情報の変更を簡易に実現可能な設定情報管理装置、設定情報管理方法および設定情報管理プログラムを得ること。
【解決手段】ネットワーク管理装置104は監視対象ネットワーク103を構成する各ネットワーク機器の設定情報をコンフィグレーション管理サーバ101から受け取ってそのコンフィグレーションデータベースに格納している。ネットワーク機器の使用するアプリケーションソフトウェアのバージョンが変更されたとき、あるいはこれに伴って障害が発生したとき、データ処理上で連携関係にある他のネットワーク機器との関係でコンフィグレーションデータベースが検索され、該当するコンフィグレーションの書き換えが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ等のネットワーク機器の設定情報を管理する設定情報管理装置、設定情報管理方法および設定情報管理プログラムに係わり、たとえばアプリケーションソフトウェアのバージョンの変更に伴うコンフィグレーション等の設定情報を簡易に変更するのに好適な設定情報管理装置、設定情報管理方法および設定情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ、パーソナルコンピュータ等の各種のネットワーク機器が接続されてなるネットワークでは、個々のネットワーク機器の多機能化に伴って、それらの設定情報としてのコンフィグレーションが複雑化している。また、ネットワーク機器の多機能化と共に、機器の製造メーカごとにコンフィグレーションが多様に変化している。ネットワークの管理者は自身が管理する機器のコンフィグレーションを十分把握している必要がある。しかしながら、前記したようにコンフィグレーションは多様化し複雑化していると共に、機器ベンダが違うとコマンドの形態も異なる。このため、ネットワーク管理者が必要とするあるコマンドの種類が膨大化しており、コンフィグレーションの設定に労力を要する。
【0003】
そこで、ネットワークの構築を行う際にネットワーク機器を選択すると、その設定情報としてのコンフィグレーションを自動的に生成するようにした設定情報管理装置が本発明の関連技術として提案されている(たとえば特許文献1参照)。この関連技術で設定情報生成手段は、予め定義された機器ごとに異なる設定ファイルの生成手順、プロシージャを読みながら、要素(オブジェクト)から取得した情報を基にして、設定ファイル上の対応箇所に書き出すことで、コンフィグレーションを生成している。
【特許文献1】特開2002−368743号公報(第0166段落〜第0168段落、図16)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ネットワークが構築された後に、ネットワーク機器に使用されている所定のデータ処理上のアプリケーションソフトウェアのバージョンアップが行われることがある。アプリケーションソフトウェアのバージョンアップが行われても、そのネットワーク機器の設定情報としてのコンフィグレーションは、変更されずにそのまま保持されている。これは、該当するネットワーク機器とそのアプリケーションソフトウェアとの関係でデータ処理上で連携する他のネットワーク機器との関係によって、コンフィグレーションの変更内容が一律ではなく、新しいバージョンに合わせて勝手に変更することができないからである。
【0005】
この結果、バージョンアップ前には正常に動作していたネットワーク機器が、バージョンアップ後に誤動作を生じるという不都合が発生する場合があった。一例を挙げると、サンバ(samba)サーバを介して第1のパーソナルコンピュータと第2のパーソナルコンピュータが接続されており、所定のアプリケーションソフトウェアを用いることで、これらのパーソナルコンピュータの間で日本語表記のファイルを共有していたとする。この日本語表記に関するアプリケーションソフトウェアが第1のバージョンから第2のバージョンにバージョンアップしたとする。すると、日本語表記に文字化けが発生する場合があり、このような場合にコンフィグレーションを設定し直すことで、この文字化けを解消できる場合がある。
【0006】
しかしながら、すでに説明したようにネットワーク構成が近年ますます複雑化してきている。このため、ネットワーク管理者は、このような状況の下で、個々のネットワーク機器に使用される各種のアプリケーションソフトウェアのバージョンアップに伴う設定情報までも正確かつ迅速に把握することが困難となってきている。このため、ネットワークに不具合が発生しても、この原因を突き止めて、解決するまでに多大な労力を必要とするという問題があった。また、これにより、障害復旧までの時間が長時間化する傾向があるという問題もあった。
【0007】
そこで本発明の目的は、ネットワーク機器のアプリケーションソフトウェアのバージョンアップに伴う設定情報の変更を簡易に実現可能な設定情報管理装置、設定情報管理方法および設定情報管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(イ)ネットワークに接続される特定のネットワーク機器の使用するソフトウェアのバージョンとその特定のネットワーク機器の他のネットワーク機器とのデータ処理上の連携関係に対応付けて前記した特定のネットワーク機器の設定情報を記憶した設定情報記憶手段と、(ロ)前記した特定のネットワーク機器の使用するソフトウェアのバージョンに変更があったときこの変更後のバージョンおよび前記した連携関係に対応する設定情報を前記した設定情報記憶手段から検索する検索手段と、(ハ)この検索手段の検索結果として得られた設定情報に前記した特定のネットワーク機器の前記した連携関係に関する設定情報を書き換える設定情報書き換え手段とを設定情報管理装置に具備させる。
【0009】
また、本発明では、(イ)ネットワークに接続された特定のネットワーク機器の基本ソフトウェア(Operating System)上で動作する所定のアプリケーションソフトウェアのバージョンについてその履歴を記憶するバージョン履歴記憶手段と、(ロ)前記した所定のアプリケーションソフトウェアを使用するときの前記したネットワーク機器とデータ処理上で連携関係にある他のネットワーク機器の基本ソフトウェアの種類を記憶する他装置基本ソフトウェア記憶手段と、(ハ)この他装置基本ソフトウェア記憶手段に記憶された前記した他のネットワーク機器の基本ソフトウェアの種類との関係で前記した所定のアプリケーションソフトウェアのバージョンごとの設定情報を記述したバージョン対応設定情報記述テーブルと、(ニ)前記した特定のネットワーク機器の前記した所定のアプリケーションソフトウェアのバージョンが変更されたとき変更後のバージョンに対応する設定情報の記述を前記したバージョン対応設定情報記述テーブルから検索する対応設定情報検索手段と、(ホ)この対応設定情報検索手段の検索結果として得られた設定情報の記述に従って前記した特定のネットワーク機器の前記した連携関係に関する設定情報を書き換える設定情報書き換え手段とを設定情報管理装置に具備させる。
【0010】
更に本発明では、(イ)ネットワークに接続される特定のネットワーク機器の使用するソフトウェアのバージョンに変更があったとき、そのソフトウェアの各種のバージョンとその特定のネットワーク機器の他のネットワーク機器とのデータ処理上の連携関係に対応付けて前記した特定のネットワーク機器の設定情報を記憶した設定情報記憶手段から変更後のバージョンおよび前記した連携関係に対応する設定情報を検索する検索ステップと、(ロ)この検索手段の検索結果として得られた設定情報に前記した特定のネットワーク機器の前記した連携関係に関する設定情報を書き換える設定情報書き換えステップとを設定情報管理方法に具備させる。
【0011】
更にまた、本発明では、ネットワークに接続される特定のネットワーク機器を管理するコンピュータに、設定情報管理プログラムとして、(イ)前記した特定のネットワーク機器の使用するソフトウェアのバージョンに変更があったとき、そのソフトウェアの各種のバージョンとその特定のネットワーク機器の他のネットワーク機器とのデータ処理上の連携関係に対応付けて前記した特定のネットワーク機器の設定情報を記憶した設定情報記憶手段から変更後のバージョンおよび前記した連携関係に対応する設定情報を検索する検索処理と、(ロ)この検索処理で得られた検索結果としての設定情報に前記した特定のネットワーク機器の前記した連携関係に関する設定情報を書き換える設定情報書き換え処理とを実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、あるネットワーク機器についてのソフトウェアのバージョンの変更があったとき、このソフトウェアに関係する他のネットワーク機器との関係で用意した各バージョンに対する設定情報の中から対応するバージョンの設定情報を選び出してこれに設定情報を書き換えることにしたので、一度集積した設定情報を用いることで同一のネットワーク環境のネットワーク機器の設定情報の管理を簡易に行うことができる。このため、設定情報の書き換えの管理を自動化することができ、また、ネットワークの障害の原因の1つを容易に解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に本発明を一実施の形態と共に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本実施の形態のネットワーク管理システムの概要を表わしたものである。このネットワーク管理システム100は、各種ネットワーク機器のコンフィグレーションを集中的に管理するコンフィグレーション管理サーバ101を備えている。コンフィグレーション管理サーバ101は、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワーク102を介して、監視対象ネットワーク103の設定情報の管理を個々に行うネットワーク管理装置104に接続されている。監視対象ネットワーク103は、一例として、第1のルータ111、第1のサーバ112、第2のルータ113、スイッチ114および第2のサーバ等のネットワーク機器によって構成されている。
【0015】
ここで、設定情報とは、一般にコンフィグレーション(configuration)と呼ばれるものである。代表的にはオペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアについての設定項目をいうが、これ以外の設定項目が含まれていてもよい。また、本実施の形態ではネットワーク管理システム100がネットワークの構築も行うようになっており、結果的に設定情報の初期設定からその後の変更時の管理まで行うことにしているが、単に設定情報の変更のみを行う装置となっていてもよい。また、監視対象ネットワーク103とは、各家庭や事業所で構築したネットワークのうちで、本実施の形態で各種のコンフィグレーションを監視対象とするものである。ネットワーク管理装置104は、コンフィグレーション管理サーバ101と通信することで監視対象ネットワーク103のコンフィグレーションに関する必要な最新情報を取得し、これを用いて監視対象ネットワーク103の監視を行う。
【0016】
図2は、ネットワーク管理装置の構成の概要を表わしたものである。ネットワーク管理装置104は、基本的には通常のパーソナルコンピュータに入出力装置を加えた構成となっている。すなわち、ネットワーク管理装置104は、CPU(Central Processing Unit)121と、このCPU121が実行する制御プログラムを格納したハードディスク等のメモリ122によって実現される主制御部123を備えている。主制御部123は、図1に示した監視対象ネットワーク103と通信を行う通信制御部124と、図示しないキーボードやポインティングデバイスからなる操作入力部125と、たとえば液晶ディスプレイから成り、視覚的なデータを表示する表示部126と、ネットワークの構築を支援するネットワーク構築部127、コンフィグレーションについての管理を行うコンフィグレーション管理部128、コンフィグレーションデータベース129および監視対象ネットワーク103の一般的な障害を検出する障害検出部130を備えている。コンフィグレーションデータベース129には、監視対象ネットワーク103を構成する各ネットワーク機器に対応するコンフィグレーション情報が格納されている。コンフィグレーションデータベース129は、図1に示したコンフィグレーション管理サーバ101との通信によって自装置が監視を行う範囲で必要とされる最新の情報を順次取り入れるようになっている。
【0017】
なお、主制御部123によって管理される通信制御部124等の各部は、ハードウェアで構成されていてもよいし、これら各部の少なくとも一部は、CPU121が制御プログラムを実行することによって、ソフトウェア的に実現されるものであってもよい。また、ネットワーク管理システム100の構成によっては、図1に示した監視対象ネットワーク103自体がネットワーク管理装置104の機能を兼ね備える構成となっていてもよい。この場合、監視対象ネットワーク103は図1に示す通信ネットワーク102に直接接続され、コンフィグレーション管理サーバ101から必要なデータの供給を受けることになる。
【0018】
図3は、コンフィグレーション管理サーバの構成の概要を表わしたものである。コンフィグレーション管理サーバ101は、CPU141と、このCPU141が実行する制御プログラムを格納したハードディスク等のメモリ142によって実現される主制御部143を備えている。主制御部143は、図1に示した通信ネットワーク102を介して、図1には1つしか示していないが各所に配置されたネットワーク管理装置104と通信を行う通信制御部144と、各種のネットワーク機器に関するコンフィグレーションを収集するコンフィグレーション収集部145および各所のネットワーク管理装置104の要求に応えるための各種のコンフィグレーションを格納しておくコンフィグレーション集中管理データベース146から構成されている。
【0019】
ここで、コンフィグレーション収集部145は、たとえば家庭のユーザを対象として家庭用のネットワーク構築用の各種ネットワーク機器を販売している会社に備えられているものであれば、これらのネットワーク機器の各種の接続形態を試みた結果として得られる設定情報を収集する機能を果たしている。このような各種のコンフィグレーションは、ネットワーク機器の製造メーカから情報提供される場合もある。また、コンフィグレーション管理サーバ101の管理者側が各ネットワーク機器に使用されるアプリケーションソフトウェアのバージョンを適宜変更しながら、そのアプリケーションソフトウェアによるデータ処理との関係で連携関係にある他のネットワーク機器との関係で適切な設定情報としてのコンフィグレーションを決定する場合もある。コンフィグレーション集中管理データベース146には、このようにして得られた各種のコンフィグレーションが格納されさている。
【0020】
図1に示したネットワーク管理装置104もコンフィグレーションに関するデータベースとしてコンフィグレーションデータベース129を備えている。コンフィグレーションデータベース129の方は、ネットワーク管理装置104に接続された監視対象ネットワーク103に必要な範囲で各種のコンフィグレーションを格納する点が相違する。
【0021】
図4は、ネットワーク管理装置側に用意されているコンフィグレーションデータベースの要部を表わしたものである。コンフィグレーションデータベース129は、XX社のネットワーク機器に関するXX社機器データベース領域151と、YY社のネットワーク機器に関するYY社機器データベース領域152と、ZZ社のネットワーク機器に関するZZ社機器データベース領域153を備えている。XX社機器データベース領域151には、型番が「xxx−01」のネットワーク機器の領域151−1と、型番が「xxx−02」のネットワーク機器の領域151−2と、型番が「xxx−03」のネットワーク機器の領域151−3が存在している。YY社機器データベース領域152とZZ社機器データベース領域153についても、図示しないがネットワーク機器ごとの領域が備えられている。
【0022】
一例として、XX社機器データベース領域151における型番が「xxx−01」のネットワーク機器の領域151−1には、そのソフトウェアのバージョンを表わしたバージョンデータベース161−1が格納されている。この例の場合には、バージョン1.0からバージョン3.0までの3種類のバージョン161−1V1.0〜161−1V3.0に関するバージョン情報がバージョンデータベース161−1に格納されている。このうちのバージョン161−1V1.0に関するバージョン情報については、これについての設定情報の組としてのコンフィグレーションセット171−1−1が格納されている。このコンフィグレーションセット171−1−1は、インタフェースについての設定情報171−1−1−1、フィルタについての設定情報171−1−1−2およびルーティングについての設定情報171−1−1−3から構成されている。詳細を省略したYY社機器データベース領域152についてのバージョンデータベース162およびそのコンフィグレーションセット172、ならびにZZ社機器データベース領域153についてのバージョンデータベース163およびそのコンフィグレーションセット173についても、同様の情報が格納されている。
【0023】
次に、このような構成のネットワーク管理システム100(図1)を使用して、図1に示した監視対象ネットワーク103を構築する概要を説明し、続いて構築後のネットワークのネットワーク機器の構成が変化した場合やネットワーク機器のソフトウェアのバージョンが変更される場合の処理の様子を説明することにする。ここで、ネットワークの構築時には図2に示したネットワーク構築部127が主となる制御を行い、ネットワーク構築後のコンフィグレーションの変更についてはコンフィグレーション管理部128が主となる制御を行う。
【0024】
<ネットワークの構築について>
【0025】
図5は、ネットワーク構築部を使用したネットワークの構築処理を説明するためのものである。図1および図2と共に説明する。
【0026】
まず、ネットワーク管理装置104の保守者は、表示部126に初期的に表示されるメニュー画面から、ネットワークを構成するための「構成作成画面」を選択し、装置を構成作成モードに移行させる。これにより、構成作成画面181が表示部126に表示される。この構成作成画面181の表示領域の一部は、図示しないが各種のネットワーク機器のアイコンを表示したパーツセット領域を構成している。保守者は、操作入力部125の図示しないマウス等のポインティングデバイスを操作することで、所望のネットワーク機器のアイコンを1つずつ選択して、表示部126の作業表示領域にまで移動してこれを配置する。そして、通信路に見立てた図示しない線分でこれらネットワーク機器のアイコン同士を接続することで、たとえば図1の監視対象ネットワーク103で示されるようなネットワークの構成をグラフィカルに作成する(ステップS201)。
【0027】
以上のようにして所望のネットワークが構成されたら、保守者はネットワーク管理装置104を構成作成モードから機器設定モードあるいは機器情報入力モードに移行させる。機器設定モードに移行した場合には、機器設定画面182が表示部126に表示される。この表示状態で、保守者は操作入力部125の図示しないキーボード等の入力デバイスを操作して、ルータ、スイッチ等のネットワーク機器のうちの1つについて、IP(Internet Protocol)アドレス、ルーティングプロトコル、フィルタ等の機器設定のための情報を入力する(ステップS202)。これら入力された情報は、図2に示したメモリ122の図示しないバッファ領域に一時的に格納されるようになっている。
【0028】
図6は、機器設定画面の表示について一例を示したものである。ここで機器設定画面182は、図1に監視対象ネットワーク103として示したネットワーク機器の例を示している。この画面では、インタフェースIPアドレスと、ルーティングプロトコルおよびフィルタが設定できるようになっており、「別画面」をクリックすることで、該当するネットワーク機器の機器情報入力画面183(図5)への移行も可能になっている。ここで、機器設定画面182の「ルーティングプロトコル」欄における「ospf(Open Shortest Path First)」とは、単一の自律システム内でルーティング情報の配信に使用される内部ゲートウェイプロトコルを意味している。「ルーティングプロトコル」欄や「フィルタ」欄は、保守者がデータを手で直接タイプする必要は必ずしもない。たとえば、予め用意された記入項目をプルダウンメニュー形式で画面に表示し、保守者が操作入力部125から所望のものを選択するようにすることで、入力処理を簡略化することができる。
【0029】
図7は、機器情報入力画面におけるネットワーク機器の機器情報の入力例を示したものである。このうち同図(A)は、ネットワーク機器がルータやスイッチである場合を示しており、同図(B)はサーバである場合を示している。保守者は、図4に示したコンフィグレーションデータベース129から所望のネットワーク機器を選択し、あるいはサーバの場合には基本ソフトウェア(Operating System)の種類や用途を選択する。これにより、図1に示した監視対象ネットワーク103を構成する各ネットワーク機器を具体的に特定することができる。
【0030】
図5に戻って説明を続ける。保守者は、ステップS202でネットワーク機器の1つについてその機器設定のための情報を入力したら、機器情報入力画面183を開いて、図7に示したように、メーカ名、型番、バージョン情報、あるいは基本ソフトウェアの種類や用途を入力する(ステップS203)。このようにして1つのネットワーク機器についての必要な情報の入力が完了すると、ネットワーク構築部127はコンフィグレーションデータベース129からそのネットワーク機器に関する必要なコンフィグレーションセットを抽出する(ステップS204)。たとえば図4に示した例でXX社機器データベース領域151の型番が「xxx−01」のネットワーク機器の領域151−1を選択し、バージョンデータベース161−1からバージョン161−1V1.0を選択した場合には、コンフィグレーションセット171−1−1が抽出されることになる。これは、インタフェースの設定171−1−1−1と、フィルタの設定171−1−1−2と、ルーティングの設定171−1−1−3の組み合わせられた設定情報からなっている。
【0031】
このようにして抽出されたコンフィグレーションセット171−1−1に対して、ステップS202で入力されて、前記した図2に示すメモリ122のバッファ領域に一時的に格納されていたIPアドレス、ルーティングプロトコル、フィルタ等の情報が書き込まれる(ステップS205)。最後に、コンフィグレーションセットが統合され、コンフィグレーションが出力されることになる(ステップS206)。
【0032】
このようにして1つのネットワーク機器に関するコンフィグレーションの出力が終了すると、ステップS201で作成したネットワークを構成する残りのネットワーク機器についても1つずつ前記したと同様の処理が行われて、すべてのネットワーク機器に対するコンフィグレーションの作成が終了する。
【0033】
以上のようにネットワーク構築部127が出力したコンフィグレーションに基づいて、各ネットワーク機器の設定が終了すると、図1に例として示した監視対象ネットワーク103が動作可能な状態となる。そこで、次に監視対象ネットワーク103が動作している状態で、ネットワーク機器のコンフィグレーションの設定の変更が必要になる場合を説明する。図2に示したコンフィグレーション管理部128がこの制御を行う。
【0034】
<ネットワークの設定の変更について>
【0035】
図8は、一度完成した監視対象ネットワークに対するネットワーク管理装置の監視制御の概要を表わしたものである。図1および図2と共に説明する。
【0036】
ネットワーク管理装置104は、操作入力部125から保守者がコンフィグレーションの点検を指示するか(ステップS221:Y)、あるいは障害検出部130が監視対象ネットワーク103の障害を検出したか(ステップS222:Y)の監視を行っている。前者は、たとえば監視対象ネットワーク103のネットワーク機器の一部を変更した場合により操作者がコンフィグレーションの点検を行うことを希望した場合であり、障害が発生しているかは問わない。これらいずれかが生じた場合、主制御部123は、コンフィグレーションの点検と、必要な場合にはその変更を行うコンフィグレーション点検変更処理を実行する(ステップS223)。この詳細については、次に説明する。
【0037】
コンフィグレーション点検変更処理が行われたら、障害検出部130は監視対象ネットワーク103が正常に動作しているかを判別する(ステップS224)。正常に動作していれば(Y)、正常状態に回復したことを表示部126に表示して(ステップS225)、処理を終了する(エンド)。これに対して異常状態が検出されれば、表示部126に異常表示を行って(ステップS226)、処理を終了する(エンド)。後者の場合、たとえば監視対象ネットワーク103を構成する回路装置自体に障害がある可能性がある。そこで、保守者は障害がコンフィグレーション以外の原因によるものであるとして必要な点検を開始することになる。
【0038】
図9は、ステップS223で示したコンフィグレーション点検変更処理の内容を具体的に表わしたものである。図1、図2および図4と共に説明する。
【0039】
コンフィグレーション管理部128は、まずコンフィグレーションの点検変更処理の対象となるネットワーク機器を特定するためのパラメータDを「1」に初期化する(ステップS241)。そして、1番目(D=1)に指定されたネットワーク機器が変更(交換)されたかどうかをチェックする(ステップS242)。ネットワーク機器が変更されていた場合には(Y)、コンフィグレーションデータベース129から変更後のネットワーク機器およびそのアプリケーションソフトウェアのバージョンに対応したコンフィグレーションを読み出す(ステップS243)。そして、1番目に指定されたネットワーク機器のコンフィグレーションの書き換えを行う(ステップS244)。この後、監視対象ネットワーク103を構成する全ネットワーク機器についての点検が終了したかを現在のパラメータDの値によって判別する(ステップS245)。全ネットワーク機器についての点検が終了していなければ(N)、パラメータDの値を「1」だけ加算して(ステップS246)、ステップS242に進んで2番目(D=1+1)に指定されたネットワーク機器についての同様の処理を開始する。以下同様であり、ステップS245で全ネットワーク機器についての点検が終了したと判別されたとき(Y)、コンフィグレーション点検変更処理を終了する(エンド)。
【0040】
以上の処理において、ステップS242で機種が変更されなかったと判別されたときには(N)、そのネットワーク機器にインストールされているアプリケーションソフトウェアのバージョンが変更されたかをチェックする(ステップS247)。メモリ122には、各ネットワーク機器の使用するソフトウェアについてバージョンの変更の履歴が記録されている。主制御部123は、該当するネットワーク機器のアプリケーションソフトウェアについてのバージョンの履歴をチェックして、バージョンが変更されていなければ(N)、該当するネットワーク機器についてのコンフィグレーションに関する点検変更処理が終了したものとされ、次のネットワーク機器についての処理に進むためにステップS245に処理が進む。
【0041】
これに対して、ステップS247で前記したアプリケーションソフトウェアのバージョンが変更されていると判別されたとする(Y)。この場合には、そのネットワーク機器についての変更後の新しいバージョンに対応するコンフィグレーションをコンフィグレーションデータベース129から読み出す(ステップS248)。そして、ステップS244に進んで、現在設定されているそのネットワーク機器のコンフィグレーションを、この読み出したコンフィグレーションに書き換えることになる。
【0042】
このようなアプリケーションソフトウェアのバージョンの変更に基づくコンフィグレーションの書き換えの一例を、図1に示した監視対象ネットワーク103における第1のサーバ112を例にとって具体的に説明する。この例で、第1のサーバ112は、サンバ(samba)サーバとして構成されている。
【0043】
図10は、第1のサーバと、これにネットワークを介して接続された1対のコンピュータの関係を一例として示したものである。第1のサーバ112は、マイクロソフト社のウィンドウズ(登録商標)を基本ソフトウェアとして、日本語文書の共有に関するアプリケーションソフトウェアを実装しており、これによりウィンドウズ(登録商標)(windows(登録商標))を基本ソフトウェアとするコンピュータとユニックス(UNIX(登録商標))系の基本ソフトウェアを使用したコンピュータの間で日本語の文書を共有化することができる。一例として、第1のコンピュータ191がウィンドウズ(登録商標)を基本ソフトウェアとして使用し、第2のコンピュータ192がユニックス(登録商標)を基本ソフトウェアとして使用しているものとする。
【0044】
第1のサーバ112の日本語文章の表示に関する第1のサーバ112側のアプリケーションソフトウェアのコンフィグレーションの設定が正しく行われていたとする。この場合、第1のコンピュータ191と第2のコンピュータ192は、第1のサーバ112を共有ファイルサーバとして利用することで、それぞれの作成した日本語文章を共有し、互いの図示しないモニタ上で文字化けを生じることなく日本語として正しく表示することができる。
【0045】
この状況で、第1のサーバ112にインストールされている日本語表示のためのアプリケーションソフトウェアのバージョンが新しいバージョンにアップグレードされたとする。このような場合、バージョンの変更に伴ってコンフィグレーションが自動的に書き換えられるものではない。これは、それぞれのネットワーク機器(この例の場合には、第1のサーバ112)が他のネットワーク機器とそのアプリケーションソフトウェアを使用する際にどのような接続環境にあるか(この例の場合には、第1のコンピュータ191と第2のコンピュータ192)によって、設定情報としてのコンフィグレーションが異なってくるからである。すなわち、アプリケーションソフトウェアの製造元は、ソフトウェアのバージョンごとに、このアプリケーションソフトウェアを使用するネットワーク機器のコンフィグレーションを予め1通り用意して使用するネットワーク機器側にこれを提供すればよいものではない。
【0046】
本実施の形態の図1に示したコンフィグレーション管理サーバ101は、監視対象ネットワーク103の構築状況を把握している。たとえば、特定の会社が、家庭や小規模のオフィス内で、複数のコンピュータが映像や文書を管理するネットワークの構築をビジネスとして手掛けていたものとする。この会社は、通信ネットワーク102上にコンフィグレーション管理サーバ101を配置すると共に、それぞれ顧客の監視対象ネットワーク103に対応させてネットワーク管理装置104を配置する。そして、ある顧客の監視対象ネットワーク103における第1のサーバ112が使用するアプリケーションソフトウェアのバージョンが変更された場合には、その監視対象ネットワーク103にあった設定情報としてのコンフィグレーションを、変更後のバージョンと第1のコンピュータ191と第2のコンピュータ192の関係をキーにして、ネットワーク管理装置104側のコンフィグレーションデータベース129から検索して書き換えのために取得する。
【0047】
コンフィグレーションデータベース129に該当するコンフィグレーションが存在しないときには、コンフィグレーション管理サーバ101のコンフィグレーション集中管理データベース146から、該当するバージョンと、第1のサーバ112がそのアプリケーションソフトウェアを使用するときのデータ処理上で連携関係にある他のネットワーク機器との関係で目的のコンフィグレーションが取り出される。このようにして得られたコンフィグレーションが第1のサーバ112におけるそのアプリケーションソフトウェアの変更後のバージョンに対するコンフィグレーションとして書き換えられることになる(図9ステップS244)。
【0048】
以上説明したように本実施の形態によれば、同様のネットワーク環境にあるそれぞれのネットワーク機器の設定情報であるコンフィグレーションを、コンフィグレーション管理サーバ101側で実際にテストした結果や他の方法で取得した結果を用いて集中的にデータベース化している。したがって、個々の監視対象ネットワーク103でネットワーク機器に使用されるアプリケーションソフトウェアのバージョンが変更されたときに、ネットワーク管理装置104側がコンフィグレーションデータベース129を適正なデータベースとして更新している前提の下で、管理対象のネットワーク管理装置104のコンフィグレーションの書き換えの管理を自動化することができる。
【0049】
すなわち、従来では、ネットワーク機器の種類やアプリケーションソフトウェアのバージョンが異なると、保守者がそのたびにマニュアルを見ながらコンフィグレーションを作成することになっていたが、本実施の形態により各通信環境のコンフィグレーションを保守者が記憶したり、その都度調べる必要がない。これにより、保守者は本来の仕事としてのネットワークの設計ならびに構成に注力することができる。また、ソフトウェアのバージョンの変更と同期してコンフィグレーションの必要な書き換えを実行するようにすれば、管理対象のネットワークにおけるソフトウェアのバージョンの変更に基づく障害の発生を防止することができる。
【0050】
更に、監視対象ネットワーク103に障害が発生したときには、それがアプリケーションソフトウェアのバージョンの変更に基づくものであれば、コンフィグレーションデータベース129を用いてコンフィグレーションを書き換えることで、その障害を迅速に復旧させることができる。更にまた、ネットワークの設計段階でもコンフィグレーションデータベース129を用いることで、設計ミスの発生を防止することが可能である。
【0051】
なお、実施の形態ではネットワーク機器としての第1のサーバ112がサンバサーバである場合を例に説明したが、これ以外のサーバである場合にも本発明を適用することができる。また、本発明はサーバ以外のネットワーク機器に対しても同様に適用があることは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施の形態のネットワーク管理システムの概要を表わしたシステム構成図である。
【図2】本実施の形態におけるネットワーク管理装置の構成の概要を表わしたブロック図である。
【図3】本実施の形態におけるコンフィグレーション管理サーバの構成の概要を表わしたブロック図である。
【図4】本実施の形態におけるコンフィグレーションデータベースの要部を表わした説明図である。
【図5】本実施の形態でネットワーク構築部を使用したネットワークの構築処理を示す流れ図である。
【図6】本実施の形態における機器設定画面の表示について一例を示した平面図である。
【図7】本実施の形態で機器情報入力画面におけるネットワーク機器の機器情報の入力例を示す平面図である。
【図8】本実施の形態で完成した監視対象ネットワークに対するネットワーク管理装置の監視制御の概要を表わした流れ図である。
【図9】ステップS223で示したコンフィグレーション点検変更処理の具体的な流れ図である。
【図10】本実施の形態でネットワーク構成の要部について具体例を示したネットワーク機器接続図である。
【符号の説明】
【0053】
100 ネットワーク管理システム
101 コンフィグレーション管理サーバ
102 通信ネットワーク
103 監視対象ネットワーク
104 ネットワーク管理装置
112 第1のサーバ
121、141 CPU
122、142 メモリ
123、143 主制御部
128 コンフィグレーション管理部
129 コンフィグレーションデータベース
145 コンフィグレーション収集部
146 コンフィグレーション集中管理データベース
182 機器設定画面
183 入力画面
191 第1のコンピュータ
192 第2のコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続される特定のネットワーク機器の使用するソフトウェアのバージョンとその特定のネットワーク機器の他のネットワーク機器とのデータ処理上の連携関係に対応付けて前記特定のネットワーク機器の設定情報を記憶した設定情報記憶手段と、
前記特定のネットワーク機器の使用するソフトウェアのバージョンに変更があったときこの変更後のバージョンおよび前記連携関係に対応する設定情報を前記設定情報記憶手段から検索する検索手段と、
この検索手段の検索結果として得られた設定情報に前記特定のネットワーク機器の前記連携関係に関する設定情報を書き換える設定情報書き換え手段
とを具備することを特徴とする設定情報管理装置。
【請求項2】
ネットワークに接続された特定のネットワーク機器の基本ソフトウェア(Operating System)上で動作する所定のアプリケーションソフトウェアのバージョンについてその履歴を記憶するバージョン履歴記憶手段と、
前記所定のアプリケーションソフトウェアを使用するときの前記ネットワーク機器とデータ処理上で連携関係にある他のネットワーク機器の基本ソフトウェアの種類を記憶する他装置基本ソフトウェア記憶手段と、
この他装置基本ソフトウェア記憶手段に記憶された前記他のネットワーク機器の基本ソフトウェアの種類との関係で前記所定のアプリケーションソフトウェアのバージョンごとの設定情報を記述したバージョン対応設定情報記述テーブルと、
前記特定のネットワーク機器の前記所定のアプリケーションソフトウェアのバージョンが変更されたとき変更後のバージョンに対応する設定情報の記述を前記バージョン対応設定情報記述テーブルから検索する対応設定情報検索手段と、
この対応設定情報検索手段の検索結果として得られた設定情報の記述に従って前記特定のネットワーク機器の前記連携関係に関する設定情報を書き換える設定情報書き換え手段
とを具備することを特徴とする設定情報管理装置。
【請求項3】
前記バージョン対応設定情報記述テーブルには、所定のアプリケーションソフトウェアのバージョンごとの設定情報としてのコンフィグレーションが前記データ処理上で連携関係にある他のネットワーク機器の前記基本ソフトウェアの種類と対応付けて記述されていることを特徴とする請求項2記載の設定情報管理装置。
【請求項4】
ネットワークに接続される特定のネットワーク機器の使用するソフトウェアのバージョンに変更があったとき、そのソフトウェアの各種のバージョンとその特定のネットワーク機器の他のネットワーク機器とのデータ処理上の連携関係に対応付けて前記特定のネットワーク機器の設定情報を記憶した設定情報記憶手段から変更後のバージョンおよび前記連携関係に対応する設定情報を検索する検索ステップと、
この検索手段の検索結果として得られた設定情報に前記特定のネットワーク機器の前記連携関係に関する設定情報を書き換える設定情報書き換えステップ
とを具備することを特徴とする設定情報管理方法。
【請求項5】
ネットワークに接続される特定のネットワーク機器を管理するコンピュータに、
前記特定のネットワーク機器の使用するソフトウェアのバージョンに変更があったとき、そのソフトウェアの各種のバージョンとその特定のネットワーク機器の他のネットワーク機器とのデータ処理上の連携関係に対応付けて前記特定のネットワーク機器の設定情報を記憶した設定情報記憶手段から変更後のバージョンおよび前記連携関係に対応する設定情報を検索する検索処理と、
この検索処理で得られた検索結果としての設定情報に前記特定のネットワーク機器の前記連携関係に関する設定情報を書き換える設定情報書き換え処理
とを実行させることを特徴とする設定情報管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−20542(P2010−20542A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180435(P2008−180435)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】