説明

試料分析装置

【課題】極めて短時間に且つ簡単に試料分析を行う。
【解決手段】 電子ビーム照射により試料4表面から発生し、X線分光器7のX線検出器に検出された特性X線信号に基づくスペクトルを表示装置17の表示画面上に表示させる様に成してあり、過去の分析に使用した分析条件に関するデータとその分析条件下で検出された信号に基づいて作成された分析データとを関連付けて記憶する記憶手段16、分析データに関係するパラメータの数値範囲を選択可能に表示手段17に表示させるパラメータ表示指令部9P、表示されたパラメータから分析データに関係するパラメータの数値範囲を指定する指定手段18、及び、指定されたパラメータの数値範囲が含まれる分析データに関係づけられた分析条件データを記憶手段16に記憶されたデータから抽出し、表示手段17に表示させる分析条件抽出手段21を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)の如き試料分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料表面を分析する装置として、例えば、試料表面に細く絞った電子ビームを照射し、該試料から発生した特性X線を検出して、該試料の構成元素を調べる電子プローブマイクロアナライザや、試料表面に細く絞った電子ビームを照射し、該試料表面の極薄層から発生したオージェ電子を検出して、該試料表面の極薄層に存在する元素の分布状態を調べるオージェマイクロプローブ等がある。
【0003】
図1は電子プローブマイクロアナライザの一概略例を示したもので、図中1は電子銃、2,3は、それぞれ、該電子銃からの電子ビームを試料4上に集束させるための集束レンズ,対物レンズ、5は前記電子ビームで前記試料上を二次元的に走査するための偏向コイルである。
【0004】
図中6は前記試料4を載置するための試料ステージで、X,Y方向に移動可能に構成されている。
【0005】
図中7は、前記試料からの特性X線を検出するためのX線分光器(例えば、波長分散型X線分光器(WDS))、8は該分光器からの特性X線信号を電気信号に変え、増幅などの信号処理を行う信号処理装置である。
【0006】
図中9は、電子銃制御電源10,集束レンズ制御電源11,偏向コイル制御電源12,対物レンズ制御電源13,試料ステージ駆動装置14,X線分光器駆動装置15に作動指令を送ったり、前記信号処理装置8からのX線信号データに基づいて試料を成す元素の特定(元素の同定)や量(元素の定量)等を知るためのスペクトル等の分析データを算出する制御装置である。
【0007】
図中16は分析条件データ及び前記制御装置9が算出した分析データを記憶する記憶装置、17は前記制御装置9の指令に基づいて表示画面上に前記分析条件データ及び分析データ、或いは、前記スペクトルデータ等を表示する表示装置、18はマウス又はキーボードの如きの入力装置である。
【0008】
さて、この様な構成の電子プローブマイクロアナライザによる分析においては、各分析条件(例えば加速電圧、プローブ電流、電子光学系のレンズ条件など)が目的に応じて最適な値に設定されているか否かが試料表面の分析に大きな影響を及ぼすので、最適な分析条件が選択されるようにすることが非常に重要である
そこで、電子プローブマイクロアナライザの前記記憶装置16内には、過去に行った分析に係わる分析条件に関するデータ(以後、分析条件データと称す)と前記制御装置9が算出した分析データとが関連付けられて記憶されており、試料を分析する際には、前記過去に得られた分析データの中から所望の分析データを含む分析データに関係付けられた分析条件データを前記記憶装置16から見つけ出し、該見つけ出した分析条件データに基づいて試料を分析する様にしている。
【0009】
図2は、前記記憶装置16に記憶された分析条件データとその分析条件によって得られた分析データの多数の組の極く一部の組を示している。図では、便宜上、四組しか示していないが、実際には多数組の分析条件データと分析データが前記記憶装置16に記憶されている。
【0010】
該各分析条件データは、電子光学系設定条件データとWDS設定条件データとステージ設定条件データとから成り、該電子光学設定条件データは、前記電子銃1への加速電圧値,前記集束レンズ2への励磁電流値,前記偏向コイル5への励磁電流値,前記対物レンズ3への励磁電流値等から成る。又、前記WDS設定条件データは測定時間,検出すべき特性X線の検出波長範囲等から成り、前記ステージ設定条件データは試料ステージを駆動するためのモータ(図示せず)に設定する分析位置等から成る。
【0011】
一方、分析データは、1.分析日時データ(分析が行われた年月日時間に関するデータ)、2.スペクトルデータ、3.同定元素名データ、4.検量線法又は補正計算法データ、5.定量値データ(定量分析した時の元素名とその濃度値(%))から成る。
【0012】
この様な構成の電子プローブマイクロアナライザにおいて、入力装置18より分析開始の指示を制御装置9に入力すると、該制御装置は記憶装置16内に記憶されている各分析条件データと分析データを読み込み、それらを表示装置17の画面上に表示させる。
【0013】
次に、オペレータは、分析すべき試料に対する分析条件として、過去に得られた分析データの中で所望の分析データを含む分析データに関係付けられた分析条件データを、前記表示装置17の画面上に表示されたデータの中から選ぶ。
【0014】
該表示装置の画面上に表示されている過去の分析データの中から探し、該探し当てた分析データに関連付けられた分析条件を前記入力装置18により選定する。
【0015】
すると、該制御装置は指定された分析条件の内、電子光学系設定条件に基づく指令を各電源(10,11,12,13)に、WDS設定条件に基づく指令をX線分光器駆動装置15に、ステージ設定条件に基づく指令を試料ステージ駆動装置14にそれぞれ送るので、前記各電源(10,11,12,13),各駆動装置(15,14)は送られて来た指令に基づいて、それぞれ、適宜制御信号,駆動信号を作成する。
【0016】
そして、前記電子銃制御電源10,集束レンズ制御電源11,偏向コイル電源12,対物レンズ電源13は、それぞれ、前記電子銃1,集束レンズ2,偏向コイル5,対物レンズ3に適宜電圧若しくは電流を供給し、前記X線分光器駆動装置15は、例えば、X線分光器7の分光結晶(図示せず)及びX線検出器(図示せず)をローランド円上で移動させる駆動モータ(図示せず)に適宜駆動電流を供給し、前記試料ステージ駆動装置14は試料ステージ6を移動させる駆動モータ(図示せず)に適宜駆動電流を供給する。
【0017】
すると、前記試料ステージ6はX,Y方向に適宜移動し、前記電子銃1からの電子ビームは前記集束レンズ2及び対物レンズ3によって前記試料4上に集束され、前記偏向コイル5により前記試料4上の所定の位置に照射される。
【0018】
そして、この様な電子ビーム照射により前記試料4表面から発生した特性X線は前記X線分光器7のX線検出器(図示せず)に検出され、該検出信号は前記信号処理装置8で信号処理されて前記制御装置9に送られる。
【0019】
該制御装置は送られてきた信号に基づいてスペクトルデータを作成し、該スペクトルデータに基づいて元素の同定及び該同定した元素の濃度を求め、それら分析データを前記記憶装置16に送り、該分析データを前記指定した分析条件と関連付けて記憶させると同時に、前記スペクトルデータに基づくスペクトルを前記表示装置17の表示画面上に表示させる。
【0020】
この時、オペレータは、該表示されたスペクトルを観察して、今般分析すべき試料の分析に際して指定した分析条件の下で適切な分析結果が得られたかどうかを判断する。
【0021】
この判断において、もし、適切な分析結果(最良の分析結果)が得られたと判断された場合には、この試料についての分析を終了する。
【0022】
しかし、この判断において、適切な分析結果が得られなかったと判断した場合には、オペレータは、再度、前記表示装置17の表示画面上に各分析条件データと分析データの組を順次表示させ、過去に得られた分析データの内、所望の分析データを含む分析データに関係づけられた分析条件を新たに前記表示装置17の画面上から探し出し、該探し出した分析条件を前記入力装置18により指定し、前記と同様にして、該探し出した分析条件下でのスペクトルを得る操作を繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2001−41783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
さて、この様に電子プローブマイクロアナライザにより試料分析を行う場合、過去の分析条件データと該条件データに関連づけられた分析データの多数の組を順次表示装置の表示画面に表示させ、その中から所望とする分析データを含む分析条件をオペレータが探し出し、該探し出された分析条件に基づいて試料の分析を行う一連の操作を、満足する分析結果が得られるまで繰り返している。
【0025】
この様な分析条件の探索からの指定には著しく時間がかかり、結果として試料分析全体に要する時間が多大になるばかりか、この様な試料条件の探索・指定を含む試料分析操作自体が極めて厄介である。
【0026】
本発明は、この様な問題を解決する新規な試料分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の試料分析装置は、所望の分析条件に基づいて一次エネルギー線を試料に照射する一次エネルギー線照射手段、該一次エネルギー線の照射により前記試料から発生した二次エネルギー線を検出する検出手段、該検出された信号に基づいて試料の分析データを作成する演算手段、該分析データに前記分析条件を関連付けて記憶する記憶手段、及び、前記作成された分析データに基づくスペクトル等を表示する表示手段を備えた試料分析装置において、前記分析データに関係するパラメータの数値範囲の指定に基づき、該指定されたパラメータの数値範囲が含まれる分析データに関係づけられた分析条件データを前記記憶手段に記憶されたデータから抽出し、該抽出された分析条件データに基づいて前記一次エネルギー線を試料に照射する様にしたことを特徴とする。
【0028】
本発明の試料分析装置は、所望の分析条件に基づいて一次エネルギー線を試料に照射する一次エネルギー線照射手段、該一次エネルギー線の照射により前記試料から発生した二次エネルギー線を検出する検出手段、該検出された信号に基づいて試料の分析データを作成する演算手段、該分析データに前記分析条件を関連付けて記憶する記憶手段、及び、前記作成された分析データに基づくスペクトル等を表示する表示手段を備えた試料分析装置において、前記分析条件データと前記分析データに関係するパラメータを選択可能に前記表示手段に表示させるパラメータ表示指令部、該表示されたパラメータから前記分析データに関係するパラメータの数値範囲を指定する指定手段、及び、該指定されたパラメータの数値範囲が含まれる分析データに関係づけられた分析条件データを前記記憶手段に記憶されたデータから抽出し、前記表示手段に表示させる分析条件抽出手段を備え、該抽出された分析条件データに基づいて前記一次エネルギー線を試料に照射する様にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、過去に得られた分析データに関連するパラメータやパラメータの数値範囲に基づいて、指定されたパラメータやパラメータの数値範囲が含まれる分析データに関連付けられた分析条件データだけ抽出しておき、オペレータはその抽出された分析条件データから適切な分析条件データを選択して試料分析を行う様にしたので、極めて短時間に且つ簡単に試料分析を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】試料分析装置の一例である電子プローブマイクロアナライザの一概略図である。
【図2】分析条件データと分析データの表示例を示す。
【図3】本発明の試料分析装置の一例である電子プローブマイクロアナライザの一概略図である。
【図4】図3に示す試料分析装置の表示装置の表示画面上に表示されたパラメータ選択画面の一例を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図3は本発明の試料分析装置の一例である電子プローブマイクロアナライザの概略を示す。
図中、前記図1にて使用した記号と同一記号が付されたものは同一の構成要素を示す。
【0032】
図3に示す電子プローブマイクロアナライザの構成と図1に示す電子プローブマイクロアナライザの構成とが異なる所は、図3に示す電子プローブマイクロアナライザには新たに分析条件抽出装置21が設けられている点と、制御装置9内にパラメータ表示指令部9Pを新たに内蔵させた点にある。
【0033】
前記分析条件抽出装置21は、入力装置18からの指示を受け取った制御装置9からの指令により記憶装置16から該指令に基づいた分析条件データと該分析条件データに関連づけられた分析データとを組で抽出する抽出部21Sと、該抽出した分析条件データと該分析条件データに関連づけられた分析データとを組で一時的に記憶するメモリMから成る。
【0034】
前記パラメータ表示指令部9Pは、前記入力装置18からの指示を受け取った前記制御装置9からの指令により表示装置に、分析条件データと分析データのパラメータを選択出来るパラメータ選択画面を表示させるものである。
【0035】
この様な構成の電子プローブマイクロアナライザにおいて、入力装置18によりパラメータ表示指示を制御装置9に入力すると、該制御装置9からパラメータ表示指令部9Pに指令が送られ、表示装置17の表示画面上にはパラメータ選択画面が表示される。
【0036】
該パラメータ選択画面は、例えば、図4に示す如きもので、電子プローブマイクロアナライザによる分析条件データと分析データに関する各パラメータの項目が階層付けされて表示されたもので、選択可能なパラメータには、例えば、下線が引かれている。
【0037】
次に、オペレータは、今般分析すべき試料の分析を行うための分析条件を設定する前に、前記入力装置18で、該パラメータ選択画面に表示されているパラメータの中から、所望の分析データに関するパラメータを選択して指定する。
【0038】
例えば、所望の分析データが、例えば、銅(Cu)元素が50%以上の濃度とした場合、前記パラメータ選択画面で、“定量元素名”,“濃度(%)”,“濃度範囲”を順次選択する。この選択時、その都度、各パラメータの指定画面が表示されるので、定量元素名を“Cu”、濃度(%)を“50”、濃度範囲を“以上”にそれぞれ指定する。
【0039】
すると、前記制御装置9の指令により、分析条件抽出装置21の抽出部21Sは、記憶装置16から前記各指定されたパラメータ“Cu”、“50%”、“以上”を含む定量値(図2では、Cu(60)とCu(70))を該記憶装置内に記憶されている過去の全データから探し出し、該定量値が含まれる分析データ(図2では、Cu(60)が含まれる分析データ2のデータとCu(70)が含まれる分析データ4のデータ)に関連付けられている分析条件データ(図2では、分析条件2と分析条件4のデータ)を全て(図2では、分析条件2と分析条件4のデータ)抽出し、メモリMに一時的に記憶する。
【0040】
次に、前記制御装置9は該メモリに一時的に記憶された分析条件データと分析データの組(前記分析条件2のデータと分析データ2及び前記分析条件4のデータと分析データ4)を、前記表示装置17の表示画面上に表示させる。
【0041】
次に、オペレータは前記入力装置18により前記表示画面上に表示された二組の分析条件/分析データの中から、分析条件2のデータを指定する。
【0042】
すると、前記制御装置9は、指定された分析条件2の電子光学系設定条件2に基づく指令を各電源(10,11,12,13)に、WDS設定条件2に基づく指令をX線分光器駆動装置15に、ステージ設定条件2に基づく指令をステージ駆動装置14にそれぞれ送るので、前記各電源(10,11,12,13)、各駆動装置(15,14)は送られて来た指令に基づいて、それぞれ、適宜制御信号,駆動信号を作成する。
【0043】
そして、前記電子銃制御電源10,集束レンズ制御電源11,偏向コイル電源12,対物レンズ電源13は、それぞれ、前記電子銃1,集束レンズ2,偏向コイル5,対物レンズ3,に適宜電圧若しくは電流を供給し、前記X線分光器駆動装置15は、例えば、前記X線分光器7の分光結晶(図示せず)及びX線検出器(図示せず)をローランド円上で移動させる駆動モータ(図示せず)に適宜駆動電流を供給し、前記試料ステージ駆動装置14は前記試料ステージ6を移動させる駆動モータ(図示せず)に適宜駆動電流を供給する。
【0044】
すると、前記試料ステージ6はX,Y方向に適宜移動し、前記電子銃1からの電子ビームは前記集束レンズ2及び対物レンズ3によって前記試料4上に集束され、前記偏向コイル5により前記試料4上の任意の位置に照射される。
【0045】
そして、この様な電子ビーム照射により前記試料4表面から発生した特性X線は前記X線分光器7のX線検出器(図示せず)に検出され、該検出信号は信号処理装置8で信号処理されて前記制御装置9に送られる。
【0046】
該制御装置は送られてきた信号に基づいてスペクトルデータを作成し、該スペクトルデータに基づいて元素の同定及び該同定した元素の濃度を求め、それら分析データを前記記憶装置16に送り、該分析データを前記指定した分析条件と関連付けて記憶させると同時に、前記スペクトルデータに基づくスペクトルを前記表示装置17の表示画面上に表示させる。
【0047】
この時、オペレータは、該表示されたスペクトルを観察して、分析すべき試料の分析に際して指定した分析条件の下で適切な結果が得られたかどうかを判断する。
【0048】
この判断において、適切な結果(最適な分析)が行われたと判断された場合には、この試料の分析を終了する。
【0049】
一方、この判断において、適切な結果が得られなかったと判断した場合には、オペレータは、前記表示装置17に対して、分析条件2のデータと分析データ2及び分析条件4のデータと分析データ4のデータが表示されている最初の表示画面モードに戻させ、前記入力装置18により前記表示画面上に表示された二組の分析条件/分析結果データの中から、今度は、分析条件4のデータを指定する。
【0050】
すると、前記と同様な動作が行われ、分析条件4の基での試料分析が行われる。
【0051】
尚、前記例では、所望の分析データを含む分析データを有する分析条件データと分析データが二組のものを例にして説明したが、通常、三組以上あり、満足する分析結果が得られるまで同様の分析操作が繰り返される。
【0052】
又、ある時間、或いは、ある期間をおいた後、同一試料に対して同じ所望の分析をする場合、又最初から、図4に示す如き初期のパラメータ選択画面を表示させて、この画面上で、所望の分析データに関するパラメータを指定すると、前記記憶装置16に記憶されている全データから該指定されたパラメータを含むデータを全て抽出する操作が始まってしまい、時間が掛かってしまう。
【0053】
そこで、前記初期のパラメータ選択画面上に直近パラメータ画面表示のためのタブを付けておき、前記入力装置18により該タブをオンすると、前記初期のパラメータ選択画面が、前記記憶装置16に記憶された分析条件データと分析データに関係するパラメータの内、直近に記憶された分析データに関するパラメータだけを表示する画面に切り替わる様にしておく。
【0054】
この様にしておけば、前記分析条件抽出装置21の抽出部21Sは、前記記憶装置16に記憶されている過去の全データから直近に指定された数より多い数のパラメータを含む分析データと該分析データに関連づけられている分析条件データを探し出して前記メモリMに一時的に記憶することになるので、該記憶される分析データと分析条件データの数はより限定され、ある時間、或いは、ある期間をおいた後に、同一試料に対して同じ所望の分析をする場合に、かなりの時間短縮が可能になる。
【0055】
又、前記実施例では、分析データに関係する所望のパラメータを選択し、該パラメータを含む分析データに関係付けられた分析条件データを抽出し、該抽出された分析条件に基づいて試料分析を行う様にしたが、分析条件データに関するパラメータの中から所望のパラメータを選択し、該パラメータを含む分析条件データを抽出し、該抽出された分析条件に基づいて試料分析を行う様にしても良いし、或いは、分析データに関するパラメータと分析条件データに関するパラメータの中から所望のパラメータを選択し、該パラメータを含む分析データに関係付けられた分析条件データを抽出し、該抽出された分析条件に基づいて試料分析を行う様にしても良い。
【0056】
この様に、本発明の実施例では、分析データに関係するパラメータの中から所望のパラメータを選択し、該選択されたパラメータを含む分析データに関係付けられた分析条件データを、過去に得られて記憶されている多数の分析データと関係づけられた分析条件データの中から抽出し、該抽出された分析条件データに基づいて試料を分析する様にした。
【0057】
尚、前記本発明の実施例では、X線分光器として波長分散形X線分光器(WDS)を使用した電子プローブマイクロアナライザを説明したが、X線分光器としてエネルギー分散型X線分光検出器(EDS)を使用した分析装置にも本発明は応用可能である。
【0058】
又、本発明は、オージェマイクロプローブの如き分析装置にも応用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 電子銃
2 集束レンズ
3 対物レンズ
4 試料
5 偏向コイル
6 試料ステージ
7 X線分光器
8 信号処理装置
9 制御装置
10 電子銃制御電源
11 集束レンズ制御電源
12 偏向コイル制御電源
13 対物レンズ電源
14 試料ステージ制御装置
15 X線分光器駆動装置
16 記憶装置
17 表示装置
18 入力装置
21 分析条件抽出装置
21S 抽出部
M メモリ
9P パラメータ表示指令部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の分析条件に基づいて一次エネルギー線を試料に照射する一次エネルギー線照射手段、該一次エネルギー線の照射により前記試料から発生した二次エネルギー線を検出する検出手段、該検出された信号に基づいて試料の分析データを作成する演算手段、該分析データに前記分析条件を関連付けて記憶する記憶手段、及び、前記作成された分析データに基づくスペクトル等を表示する表示手段を備えた試料分析装置において、前記分析データに関係するパラメータの数値範囲の指定に基づき、該指定されたパラメータの数値範囲が含まれる分析データに関係づけられた分析条件データを前記記憶手段に記憶されたデータから抽出し、該抽出された分析条件データに基づいて前記一次エネルギー線を試料に照射する様に成した試料分析装置。
【請求項2】
所望の分析条件に基づいて一次エネルギー線を試料に照射する一次エネルギー線照射手段、該一次エネルギー線の照射により前記試料から発生した二次エネルギー線を検出する検出手段、該検出された信号に基づいて試料の分析データを作成する演算手段、該分析データに前記分析条件を関連付けて記憶する記憶手段、及び、前記作成された分析データに基づくスペクトル等を表示する表示手段を備えた試料分析装置において、前記分析条件データと前記分析データに関係するパラメータを選択可能に前記表示手段に表示させるパラメータ表示指令部、該表示されたパラメータから前記分析データに関係するパラメータの数値範囲を指定する指定手段、及び、該指定されたパラメータの数値範囲が含まれる分析データに関係づけられた分析条件データを前記記憶手段に記憶されたデータから抽出し、前記表示手段に表示させる分析条件抽出手段を備え、該抽出された分析条件データに基づいて前記一次エネルギー線を試料に照射する様に成した試料分析装置。
【請求項3】
前記抽出された分析条件データを一時的に記憶するメモリを設けた請求項2記載の試料分析装置。
【請求項4】
前記一次エネルギー線は電子ビームである請求項1〜3の何れかの試料分析装置。
【請求項5】
前記二次エネルギー線は特性X線である請求項1〜3の何れかの試料分析装置。
【請求項6】
前記二次エネルギー線はオージェ電子ビームである請求項1〜3の何れかの試料分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−43348(P2011−43348A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190065(P2009−190065)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】